(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の生育抑制方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/44 20060101AFI20240318BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240318BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20240318BHJP
C12H 1/00 20060101ALI20240318BHJP
C12C 5/02 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A23L2/44
A23L2/00 B
C12G3/04
C12H1/00
C12C5/02
(21)【出願番号】P 2019166487
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-07-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)2019 ASBC meeting 発表要旨 掲載年月日 平成31年4月12日 掲載アドレス https://asbc.confex.com/asbc/2019/meetingapp.cgi/Paper/1972 (2)集会名 2019 ASBC meeting 開催日 令和元年6月24~26日(発表は25日) (3)2019 ASBC meeting 発表スライド 掲載年月日 令和元年8月6日 掲載アドレス https://www.asbcnet.org/events/archives/2019meeting/proceedings/Documents/Presentations/28_Takesue.pdf
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】竹末 信親
(72)【発明者】
【氏名】野場 静
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/140065(WO,A1)
【文献】特開2010-051309(JP,A)
【文献】特開2012-135277(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109797057(CN,A)
【文献】特開2020-137420(JP,A)
【文献】特開平02-262584(JP,A)
【文献】国際公開第2011/148651(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/005816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C12C
C12G
C12H
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/CABA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビールテイスト飲料の製造工程においてフィチン酸を添加し、
飲料中のpHを3.5~4.5に調整することを含み、
前記ビールテイスト飲料中の鉄濃度を20ppb以下に調整することをさらに含む、ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の生育抑制方法。
【請求項2】
前記ビールテイスト飲料においてペクチネイタス フリシンジェンシスを1.26×10
3個/ml接種し、30℃、10日間培養した場合の600nm濁度が0.2以下である、請求項1に記載のペクチネイタス属細菌の生育抑制方法。
【請求項3】
前記ビールテイスト飲料中のフィチン酸の含有量が200~600mg/Lである請求項1または2に記載のペクチネイタス属細菌の生育抑制方法。
【請求項4】
フィチン酸を含む、ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の生育抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
醸造された非加熱ビールなどにおいて増殖し、濁り等を生じさせ、その商品価値に悪影響を与える細菌(ビール混濁性有害菌)の存在が知られている。
ビール混濁性有害菌としては一部の乳酸菌が知られているが、他方乳酸菌以外でも、ここ30年来ビールに生育し、ビールを混濁することが知られるようになった、偏性嫌気性細菌ペクチネイタス属細菌(Pectinatus sp.)が挙げられる。
ペクチネイタス属細菌の増殖の抑制には、アルコール濃度の上昇やpHの低下が有効であることが知られている。また、抗菌物質であるナイシンの添加によってもペクチネイタス属細菌の増殖を抑制できることが知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】N.-E. Chihib et al., Nisin, temperature and pH effects on growth and viability of Pectinatus frisingensis, a Gram-negative, strictly anaerobic beer-spoilage bacterium, Journal of Applied Microbiology 1999, 87, 438-446
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビールテイスト飲料の商品設計の自由度の観点から、ペクチネイタス属細菌の増殖を抑制できる技術について、さらなる選択肢の要求が存在する。
本発明は、ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の増殖を抑制できる新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究の結果、その製造のいずれかの段階においてビールテイスト飲料中にフィチン酸を添加し、pHを3.5~4.5とすることで、ペクチネイタス属細菌の増殖を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] ビールテイスト飲料の製造工程においてフィチン酸を添加し、飲料中のpHを3.5~4.5に調整することを含む、ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の生育抑制方法。
[2] ビールテイスト飲料中の鉄濃度を、20ppb以下に調整することをさらに含む、[1]に記載のペクチネイタス属細菌の生育抑制方法。
[3] 前記ビールテイスト飲料においてペクチネイタス フリシンジェンシスを1.26×103個/ml接種し、30℃、10日間培養した場合の600nm濁度が0.2以下である、[1]または[2]に記載のペクチネイタス属細菌の生育抑制方法。
[4] 前記フィチン酸の含有量が200~600mg/Lである[1]から[3]のいずれか一つに記載のペクチネイタス属細菌の生育抑制方法。
[5] フィチン酸を含む、ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の抑制剤。
[6] フィチン酸の含有量が200~600mg/Lである、ビールテイスト飲料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の増殖を抑制できる新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は、ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の増殖の抑制方法に関し、ビールテイスト飲料の製造工程のいずれかの段階においてフィチン酸を添加し、飲料中のpHを3.5~4.5に調整することを含む。
フィチン酸は、ミオ-イノシトール1,2,3,4,5,6-六リン酸をいい、公知の方法により合成または天然物等から抽出することによって製造することができるほか、市販品を用いてもよい。
【0009】
抑制される対象となるペクチネイタス属細菌としては、特に限定されないが、例えばペクチネイタス フリシンジェンシス(Pectinatus frisingensis)、ペクチネイタス セレビシフィラス(Pectinatus cerevisiiphilus)、ペクチネイタス ハイカラエ (Pectinatus haikarae)などが挙げられる。
フィチン酸は鉄をキレートする作用を有しており、一方、ペクチネイタス属細菌は鉄要求性であるので、ビールテイスト飲料における鉄分がフィチン酸によりキレートされ、ペクチネイタス属細菌の増殖が抑えられるものと考えられる。
【0010】
本明細書において、ビールテイスト飲料とは、炭酸ガスによる発泡性を有し、ビールと同様又は同類の香味を有するアルコール飲料およびノンアルコール飲料を意味する。なお、ビールテイスト飲料に該当するか否かは、酒税法上の分類、使用原料やその使用量にとらわれるものではない。
【0011】
以下の説明においては、ビールテイスト飲料の一例として、発酵ビールテイスト飲料を例に挙げて説明する。
当該発酵ビールテイスト飲料について、フィチン酸が添加され、そのpHが3.5~4.5に調整される以外は特に限定されず、例えば常法により製造された発酵ビールテイスト飲料とすることができる。
発酵ビールテイスト飲料のアルコール濃度は限定されず、0.5容量%以上のアルコール飲料であってもよく、0.5容量%未満のいわゆるノンアルコール飲料であってもよい。具体的には、ビール、発泡酒、ノンアルコールビール等が挙げられる。
【0012】
発酵ビールテイスト飲料の製造工程の一例を以下に示す。
一般的な発酵ビールテイスト飲料は、仕込(発酵原料液調製)、発酵、貯酒、濾過の工程で製造することができる。
まず、仕込工程として、穀物原料および糖質原料からなる群から選択される1種以上の原料(発酵原料)から発酵原料液を調製する。具体的には、まず、穀物原料と糖質原料の少なくともいずれかと原料水とを含む混合物を調製して加温し、穀物原料等の澱粉質を糖化させる。当該混合物には、穀物原料等と水以外の副原料を加えてもよい。当該副原料としては、例えば、ホップ、食物繊維、酵母エキス、甘味料、果汁、苦味料、着色料、香草、香料等が挙げられる。また、必要に応じて、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等の糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤を添加することができる。
【0013】
糖化処理は、穀物原料等由来の酵素や、別途添加した酵素を利用して行う。糖化処理時の温度や時間は、用いた穀物原料等の種類、発酵原料全体に占める穀物原料の割合、添加した酵素の種類や混合物の量、目的とする発酵ビールテイスト飲料の品質等を考慮して、適宜調整される。例えば、糖化処理は、穀物原料等を含む混合物を35~70℃で20~90分間保持する等、常法により行うことができる。
【0014】
糖化処理後に得られた糖液を煮沸することにより、煮汁(糖液の煮沸物)を調製する。糖液は、煮沸処理前に濾過し、得られた濾液を煮沸処理することが好ましい。また、この糖液の濾液の替わりに、麦芽エキスに温水を加えたものを用い、これを煮沸してもよい。煮沸方法及びその条件は、適宜決定することができる。
【0015】
煮沸処理前または煮沸処理中に香草等(例えばホップ)を適宜添加することにより、所望の香味を有する発酵ビールテイスト飲料を製造するようにしてもよい。香草等の添加量、添加態様(例えば数回に分けて添加するなど)および煮沸条件は、適宜決定することができる。
【0016】
仕込工程後、発酵工程前に、調製された煮汁から、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。粕の除去は、いずれの固液分離処理で行ってもよいが、一般的にはワールプールと呼ばれる槽を用いて沈殿物を除去する。この際の煮汁の温度は、15℃以上であればよく、一般的には50~90℃程度で行われる。粕を除去した後の煮汁(濾液)は、プレートクーラー等により適切な発酵温度まで冷却する。この粕を除去した後の煮汁が、発酵原料液となる。
【0017】
次いで、発酵工程として、冷却した発酵原料液に酵母を接種して、発酵を行う。冷却した発酵原料液は、そのまま発酵工程に供してもよく、所望のエキス濃度に調整した後に発酵工程に供してもよい。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではなく、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択して用いることができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、大型醸造設備への適用が容易であることから、下面発酵酵母であることが好ましい。
【0018】
さらに、貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより、酵母及び当該温度域で不溶なタンパク質等を除去して、発酵ビールテイスト飲料を得ることができる。当該濾過処理は、酵母を濾過除去可能な手法であればよく、例えば、珪藻土濾過、平均孔径が0.4~0.6μm程度のフィルターによるフィルター濾過等が挙げられる。また、所望のアルコール濃度とするために、濾過前又は濾過後に適量の加水を行って希釈してもよい。なお、後述のとおり、本実施形態に係わる発酵ビールテイスト飲料においては当該濾過工程を省略する場合もある。
【0019】
その他、酵母による発酵工程以降の工程において、例えばアルコール含有蒸留液と混和することにより、酒税法におけるリキュール類に相当する発酵ビールテイスト飲料を製造することもできる。アルコール含有蒸留液の添加は、アルコール濃度の調整のための加水前であってもよく、加水後であってもよい。添加するアルコール含有蒸留液は、より好ましい麦感を有する発酵ビールテイスト飲料を製造し得ることから、麦スピリッツが好ましい。
得られた発酵ビールテイスト飲料は、通常、充填工程により容器詰めされる。
【0020】
本実施形態において、発酵ビールテイスト飲料がフィチン酸を含有する状態とするための処理については特に限定されず、製造工程のいずれかの段階でフィチン酸が添加されればよい。例えば、得られた発酵ビールテイスト飲料へのフィチン酸の添加が例示できる。
具体的には、例えば、得られた発酵ビールテイスト飲料を容器に充填する前にフィチン酸を発酵ビールテイスト飲料に混合し、pHを3.5~4.5に調整するなどすればよい。
添加されるフィチン酸の量は特に限定されないが、ペクチネイタス属細菌の増殖をより抑制する観点から、その含有量が200~600mg/Lが好ましい。
【0021】
また、フィチン酸が添加される本実施形態に係わる発酵ビールテイスト飲料においては、ペクチネイタス属細菌の増殖をより抑制する観点から、発酵ビールテイスト飲料中の鉄濃度が20ppb以下に調整されることがより好ましい。
なお、本明細書において鉄濃度とは、ビールテイスト飲料中に溶解している鉄成分全体の濃度をいう。該鉄濃度は、硝酸などでサンプルを湿式灰化させた後、例えば誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により測定することができる。
鉄濃度の調整方法は特に限定されず、例えば、フィチン酸の添加量の調整などによっても行うことができるほか、ろ過に用いる珪藻土の選定などにより行うようにしてもよい。
【0022】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、ビールテイスト飲料として発酵ビールテイスト飲料を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、非発酵ビールテイスト飲料であってもよい。
非発酵ビールテイスト飲料とは、発酵を経ずに製造されるビールテイスト飲料を意味する。非発酵ビールテイスト飲料は、例えば、麦芽エキス、ホップエキス、酸味料、甘味料等の原料を混合し、得られた調合液に炭酸ガスを導入することにより製造される。
【0023】
非発酵ビールテイスト飲料は、アルコール(エタノール)を含有するアルコール飲料であってもよく、アルコール含量が1容量%未満であるいわゆるノンアルコール飲料またはローアルコール飲料であってもよい。
非発酵ビールテイスト飲料として、具体的には、発泡酒、ローアルコール発泡性飲料、ノンアルコールビール等のビールテイスト飲料が挙げられる。その他、発酵工程を経ずに製造された飲料を、アルコール含有蒸留液及び炭酸ガスと混和して得られたリキュール類であってもよい。アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、スピリッツ等の一般に蒸留酒に分類されるものを用いることができる。
【0024】
非発酵ビールテイスト飲料は、麦芽や麦類を原料とすることができるほか、麦芽等を原料としないものであってもよく、特に限定されない。
ここで「原料が麦芽を含む」とは、非発酵ビールテイスト飲料に対し、麦芽由来成分を実質的な量で配合することを意味する。例えば、香料等の原料として麦芽が用いられており、麦芽が香料として非発酵ビールテイスト飲料に少量配合された場合は、「原料が麦芽を含む」ことに該当しない。これに対し、商品として販売されるときに原材料として麦芽等として明記される場合には、「原料が麦芽を含む」に該当する。
【0025】
非発酵ビールテイスト飲料についてもフィチン酸を含有する状態とするための処理については特に限定されず、製造工程のいずれかの段階でフィチン酸が添加されればよい。例えば、得られた非発酵ビールテイスト飲料を容器に充填する前にフィチン酸を非発酵ビールテイスト飲料に混合し、pHを3.5~4.5に調整するなどすればよい。添加されるフィチン酸の量も、発酵ビールテイスト飲料と同様の理由から、その含有量が200mg/L~600mg/Lが好ましい。また、発酵ビールテイスト飲料と同様の理由から、鉄濃度について、20ppb以下に調整されることが好ましい。
【0026】
本発明によれば、ビールテイスト飲料におけるペクチネイタス属細菌の増殖を抑制できる新規な技術を提供することができる。例えば、ビールテイスト飲料においてペクチネイタス フリシンジェンシスを1.26×103個/ml接種し、30℃、10日間培養した場合の600nm濁度が0.2以下であるようにすることができる。当該濁度が0.2以下となるようにするにあたっては、上述のとおり、フィチン酸を添加しpHを3.5~4.5に調整するとともに、必要に応じて鉄濃度の調整を行うなどすればよい。
なお、本明細書において、濁度とは、波長600nmの吸光度をいい、分光光度計(例えば日立 U-3900型)により測定することができる。
また、本発明の他の態様として、本発明は、フィチン酸の含有量が200~600mg/Lである、ビールテイスト飲料に関する。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0028】
[試験例1]
市販ビールA(pH 4.4)を対照として用いた。また、該ビールAに5N-HClでpHを4.1に下げたもの(比較例1)と、50%フィチン酸でpHを4.1に下げたもの(実施例1、フィチン酸添加量:295 mg/L)を調製した。
上記ビールにPectinatus frisingensisをそれぞれ接種した(初期菌数が1.26×103個/mlになるように接種)。30℃、11日間後のPectinatus frisingensisの増殖を、600nmの濁度を測定(日立 U-3900を用いて測定)することにより、比較した。
【0029】
【0030】
結果を表1に示す。
表1から理解できるとおり、フィチン酸を添加した場合に、未添加の場合や塩酸添加の場合と比較して、Pectinatus frisingensisの増殖が大きく抑制されていることが理解できる。
【0031】
[試験例2]
市販の5種類の珪藻土(A~E)各々0.25gをアサヒスーパードライ(アサヒビール株式会社製造)100mlに懸濁し、0.45μmのメンブランで濾過して、ビール中の鉄濃度をICP-MS(アジレント テクノロジー社製 7800)により測定した。前処理・分析は常法(硝酸により湿式酸化)により実施した。珪藻土Aで濾過したものは、ビール中の鉄濃度が20ppb以下であった。また、濾過後ビールにPectinatus frisingensisを培養時間を10日間としたほかは試験例1と同様の方法で接種して培養したところ、珪藻土Aで濾過したビールは、10日培養で、600nmの濁度0.2以下と、他の珪藻土濾過済みビールに比べて、増殖が抑制できた。
【0032】