(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】差動信号駆動回路及び光電変換装置
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20240318BHJP
H04N 25/78 20230101ALI20240318BHJP
H03K 19/00 20060101ALI20240318BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20240318BHJP
G05F 3/24 20060101ALI20240318BHJP
H03F 3/45 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
H04N25/78
H03K19/00 108
H03K19/00 210
H04L25/02 S
G05F3/24 Z
H03F3/45
(21)【出願番号】P 2019197616
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】中村 恒一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 大祐
(72)【発明者】
【氏名】板野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大介
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-078495(JP,A)
【文献】特開平08-190437(JP,A)
【文献】特開2008-003787(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111462(WO,A1)
【文献】特開2019-186738(JP,A)
【文献】特開2004-336699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/0175
H04N 25/78
H03K 19/00
H04L 25/02
G05F 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーンに対応する複数の差動トランスミッタと、
前記複数の差動トランスミッタの各々に電源電圧を供給する電源回路と、を有し、
前記電源回路は、
前記複数の差動トランスミッタに供給する前記電源電圧を規定する共通回路部と、
前記複数の差動トランスミッタに対応して設けられ、各々が前記共通回路部に接続された複数の個別回路部と、を有し、
前記複数の個別回路部の各々は、
ソースフォロワ回路を構成し、前記電源電圧を出力する第1のトランジスタと、
前記共通回路部により規定される前記電源電圧を、前記複数の差動トランスミッタのうちの対応する前記差動トランスミッタに出力する出力ノード
と、を有し、
前記共通回路部は、
非反転入力端子と、反転入力端子と、出力端子と、を含む差動増幅回路と、
ソースフォロワ回路を構成し、前記差動増幅回路の前記出力端子にゲートが接続された第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソースと基準電圧ノードとの間に接続された負荷素子と、を有し、
前記複数の個別回路部の各々の前記出力ノードは、
前記第2のトランジスタの前記ソースと前記負荷素子との間の接続ノードに接続されている
ことを特徴とする差動信号駆動回路。
【請求項2】
前記差動増幅回路は、前記非反転入力端子に参照電圧が供給され、前記反転入力端子が前記接続ノードに接続されている
ことを特徴とする請求項
1記載の差動信号駆動回路。
【請求項3】
前記負荷素子は抵抗である
ことを特徴とする請求項
1又は
2記載の差動信号駆動回路。
【請求項4】
前記負荷素子は電流源である
ことを特徴とする請求項
1又は
2記載の差動信号駆動回路。
【請求項5】
前記第1のトランジスタのゲートは、前記差動増幅回路の前記出力端子及び前記第2のトランジスタのゲートに接続されている
ことを特徴とする請求項
1乃至
4のいずれか1項に記載の差動信号駆動回路。
【請求項6】
前記第1のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとは、抵抗を介して接続されている
ことを特徴とする請求項
1乃至
5のいずれか1項に記載の差動信号駆動回路。
【請求項7】
前記差動増幅回路に供給される電源電圧と、前記ソースフォロワ回路に供給される電源電圧とが異なっている
ことを特徴とする請求項
1乃至
6のいずれか1項に記載の差動信号駆動回路。
【請求項8】
前記複数の個別回路部の前記第1のトランジスタのゲートは、抵抗を介して接続されている
ことを特徴とする請求項
1乃至
7のいずれか1項に記載の差動信号駆動回路。
【請求項9】
前記複数の差動トランスミッタの各々は、
前記電源回路から前記電源電圧が供給される電源電圧端子と、
前記電源電圧端子に一方の端子が接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の他方の端子にドレインが接続された第3のトランジスタ及び第4のトランジスタと、
前記第3のトランジスタのソースにドレインが接続された第5のトランジスタと、
前記第4のトランジスタのソースにドレインが接続された第6のトランジスタと、
前記第5のトランジスタのソース及び前記第6のトランジスタのソースに一方の端子が接続された第2の抵抗と、
前記第2の抵抗の他方の端子に接続された基準電圧端子と、を有し、
前記第3のトランジスタのゲート及び前記第6のトランジスタのゲートが接続される第1のノードと、前記第4のトランジスタのゲート及び前記第5のトランジスタのゲートが接続される第2のノードとが、一対の差動入力端子を構成し、
前記第3のトランジスタの前記ソースと前記第5のトランジスタの前記ドレインとが接続される第3のノードと、前記第4のトランジスタの前記ソースと前記第6のトランジスタの前記ドレインとが接続される第4のノードとが、一対の差動出力端子を構成している
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の差動信号駆動回路。
【請求項10】
複数のレーンに対応する複数の差動トランスミッタに電源電圧を供給する電源回路であって、
前記複数の差動トランスミッタに供給する前記電源電圧を規定する共通回路部と、
前記複数の差動トランスミッタに対応して設けられ、各々が前記共通回路部に接続された複数の個別回路部と、を有し、
前記複数の個別回路部の各々は、
ソースフォロワ回路を構成し、前記電源電圧を出力する第1のトランジスタと、
前記共通回路部により規定される前記電源電圧を対応する前記差動トランスミッタに出力するための出力ノード
と、を有し、
前記共通回路部は、
非反転入力端子と、反転入力端子と、出力端子と、を含む差動増幅回路と、
ソースフォロワ回路を構成し、前記差動増幅回路の前記出力端子にゲートが接続された第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのソースと基準電圧ノードとの間に接続された負荷素子と、を有し、
前記複数の個別回路部の前記出力ノードは、
前記第2のトランジスタの前記ソースと前記負荷素子との間の接続ノードに接続されている
ことを特徴とする電源回路。
【請求項11】
前記差動増幅回路は、前記非反転入力端子に参照電圧が供給され、前記反転入力端子が前記接続ノードに接続されている
ことを特徴とする請求項
10記載の電源回路。
【請求項12】
前記第1のトランジスタのゲートは、前記差動増幅回路の前記出力端子及び前記第2のトランジスタのゲートに接続されている
ことを特徴とする請求項
10又は
11記載の電源回路。
【請求項13】
入射光の光量に応じた信号を出力する画素と、
前記画素から出力される信号を外部へと出力する出力回路部と、を有し、
前記出力回路部は、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の差動信号駆動回路を含む
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項14】
請求項
13記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号を処理する信号処理部と
を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項15】
移動体であって、
請求項
13記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と
を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動信号駆動回路及び光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速のデータ通信方式としてLVDS(小振幅差動信号:Low Voltage Differential Signaling)方式やSLVS(スケーラブル小振幅差動信号:Scalable Low Voltage Signaling)方式といった差動信号伝送方式が広く利用されている。特許文献1には、抵抗の製造ばらつきに起因する出力振幅のばらつきを抑制したLVDSドライバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のLVDSドライバは、出力回路と複数の制御回路とにより構成され、出力回路から出力される差動信号のHighレベルとLowレベルとを制御回路により決定するものである。LVDSドライバからデータを出力する必要がない場合、例えば電力削減のために、LVDSドライバの出力回路の電流パスを切断することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載のLVDSドライバにおいて電流パスが切断された状態からの復帰後にデータ出力を開始しようとすると、出力開始の直後に差動信号のHighレベルがLVDSドライバの動作状態よりも高電圧になることがあった。同様の現象は、電源起動時などにも起こりうる。
【0005】
本発明の目的は、動作状態を切り替えた場合にも安定した振幅で信号を出力しうる差動信号駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、複数のレーンに対応する複数の差動トランスミッタと、前記複数の差動トランスミッタの各々に電源電圧を供給する電源回路と、を有し、前記電源回路は、前記複数の差動トランスミッタに供給する前記電源電圧を規定する共通回路部と、前記複数の差動トランスミッタに対応して設けられ、各々が前記共通回路部に接続された複数の個別回路部と、を有し、前記複数の個別回路部の各々は、ソースフォロワ回路を構成し、前記電源電圧を出力する第1のトランジスタと、前記共通回路部により規定される前記電源電圧を、前記複数の差動トランスミッタのうちの対応する前記差動トランスミッタに出力する出力ノードと、を有し、前記共通回路部は、非反転入力端子と、反転入力端子と、出力端子と、を含む差動増幅回路と、ソースフォロワ回路を構成し、前記差動増幅回路の前記出力端子にゲートが接続された第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタのソースと基準電圧ノードとの間に接続された負荷素子と、を有し、前記複数の個別回路部の各々の前記出力ノードは、前記第2のトランジスタの前記ソースと前記負荷素子との間の接続ノードに接続されている差動信号駆動回路が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一観点によれば、複数のレーンに対応する複数の差動トランスミッタに電源電圧を供給する電源回路であって、前記複数の差動トランスミッタに供給する前記電源電圧を規定する共通回路部と、前記複数の差動トランスミッタに対応して設けられ、各々が前記共通回路部に接続された複数の個別回路部と、を有し、前記複数の個別回路部の各々は、ソースフォロワ回路を構成し、前記電源電圧を出力する第1のトランジスタと、前記共通回路部により規定される前記電源電圧を対応する前記差動トランスミッタに出力するための出力ノードと、を有し、前記共通回路部は、非反転入力端子と、反転入力端子と、出力端子と、を含む差動増幅回路と、ソースフォロワ回路を構成し、前記差動増幅回路の前記出力端子にゲートが接続された第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタのソースと基準電圧ノードとの間に接続された負荷素子と、を有し、前記複数の個別回路部の前記出力ノードは、前記第2のトランジスタの前記ソースと前記負荷素子との間の接続ノードに接続されている電源回路が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動作状態を切り替えた場合にも安定した振幅で信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態による差動信号駆動回路の概略構成を示す回路図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による差動信号駆動回路における差動トランスミッタの構成例を示す回路図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による差動信号駆動回路の動作を説明する図である。
【
図4】第1参考例による差動信号駆動回路の概略構成を示す回路図である。
【
図5】第1参考例による差動信号駆動回路の動作を説明する図である。
【
図6】第1参考例による差動信号駆動回路の課題を説明する図である。
【
図7】第2参考例による差動信号駆動回路の概略構成を示す回路図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の変形例による差動信号駆動回路の概略構成を示す回路図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の第3実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第4実施形態による撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による差動信号駆動回路について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態による差動信号駆動回路の概略構成を示す回路図である。
図2は、本実施形態による差動信号駆動回路における差動トランスミッタの構成例を示す回路図である。
図3は、本実施形態による差動信号駆動回路の動作を説明する図である。
【0011】
本実施形態による差動信号駆動回路100は、
図1に示すように、共通回路部10と、複数の個別回路部20と、を有する。複数の個別回路部20の各々が1つのレーンに対応する回路ブロックである。
図1には簡略化のため2つの個別回路部20のみを示しているが、個別回路部20の数は特に限定されるものではなく、必要なレーン数に応じて適宜増減することができる。
【0012】
共通回路部10は、差動増幅回路12と、N型MOSトランジスタSF0と、負荷抵抗R0と、を有する。複数の個別回路部20の各々は、N型MOSトランジスタSF1と、差動トランスミッタTXと、を有する。共通回路部10は、複数の差動トランスミッタTXに供給される電源電圧を規定する。また、個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1は、共通回路部10により規定される電源電圧を対応する差動トランスミッタTXに出力する。つまり、差動信号駆動回路100を構成する回路要素のうち、共通回路部10及び個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1は、差動トランスミッタTXの電源電圧端子に電源電圧を供給する電源回路を構成している。
【0013】
共通回路部10の差動増幅回路12は、2つの入力端子(非反転入力端子(+)及び反転入力端子(-))と出力端子とを有する。差動増幅回路12の出力端子は、N型MOSトランジスタSF0のゲートに接続されている。N型MOSトランジスタSF0は、ドレインが電源電圧ノード(電圧VDD)に接続されており、ソースフォロワ回路を構成している。N型MOSトランジスタSF0のソースは、負荷抵抗R0の一方の端子及び差動増幅回路12の反転入力端子に接続されている。負荷抵抗R0の他方の端子は、基準電圧ノード(GNDノード)に接続されている。以後、N型MOSトランジスタSF0のソースと、負荷抵抗R0の一方の端子と、差動増幅回路12の反転入力端子との間の接続ノードを、便宜的にノードN1と呼ぶものとする。
【0014】
なお、
図1にはN型MOSトランジスタSF0に接続される負荷素子として負荷抵抗R0を示しているが、負荷抵抗R0の代わりに他の負荷素子、例えば電流源を接続してもよい。
【0015】
差動増幅回路12の非反転入力端子には、参照電圧(電圧Vtx)が供給される。差動増幅回路12の反転入力端子の電圧をVDDTXとすると、差動増幅回路12がイマジナリーショートになっていることから電圧VDDTXは電圧Vtxと等しくなる。つまり、N型MOSトランジスタSF0のソースの電圧、すなわちノードN1の電圧は、電圧Vtxとなる。
【0016】
個別回路部20の差動トランスミッタTXは、電源電圧端子と、基準電圧端子と、一対の差動入力端子と、一対の差動出力端子と、を有する。N型MOSトランジスタSF1は、ドレインが電源電圧ノード(電圧VDD)に接続されており、ソースフォロワ回路を構成している。N型MOSトランジスタSF1のゲートは、N型MOSトランジスタSF0のゲートと、差動増幅回路12の出力端子とに接続されている。N型MOSトランジスタSF1のソースは、ノードN1と、差動トランスミッタTXの電源電圧端子とに接続されている。つまり、N型MOSトランジスタSF1のソースは、差動トランスミッタTXに電源電圧を出力する出力ノードである。
【0017】
差動トランスミッタTXの基準電圧端子は、基準電圧ノード(GNDノード)に接続されている。差動トランスミッタTXの差動出力端子は、差動信号駆動回路100が搭載されるチップの外部において終端抵抗Rtに接続される。
【0018】
このように、本実施形態による差動信号駆動回路100において、共通回路部10のN型MOSトランジスタSF0と個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1とは、ゲート、ドレイン及びソースの各々が共通接続されている。これにより、N型MOSトランジスタSF1の各々のソースの電圧、すなわち各個別回路部20の差動トランスミッタTXの電源電圧端子に供給される電圧は、電圧Vtxとなる。
【0019】
差動トランスミッタTXは、例えば
図2に示すように、N型MOSトランジスタM1,M2,M3,M4と、抵抗R1,R2と、により構成され得る。N型MOSトランジスタM1,M2のドレインは、抵抗R1を介して、電圧VDDTX_Iが供給される電源電圧端子に接続されている。N型MOSトランジスタM1のソースは、N型MOSトランジスタM3のドレインに接続されている。N型MOSトランジスタM2のソースは、N型MOSトランジスタM4のドレインに接続されている。N型MOSトランジスタM3,M4のソースは、抵抗R2を介して、基準電圧端子(GNDノード)に接続されている。
【0020】
対をなす差動入力端子のうち、データDが入力される一方の入力端子は、N型MOSトランジスタM1のゲート及びN型MOSトランジスタM4のゲートに接続されている。対をなす差動入力端子のうち、データDの反転データであるデータDBが入力される他方の入力端子は、N型MOSトランジスタM2のゲート及びN型MOSトランジスタM3のゲートに接続されている。
【0021】
N型MOSトランジスタM1のソースとN型MOSトランジスタM3のドレインとの接続ノードは、対をなす差動出力端子のうちの一方の出力端子となる。当該一方の出力端子から出力される信号が例えばデータOUTPである。また、N型MOSトランジスタM2のソースとN型MOSトランジスタM4のドレインとの接続ノードは、対をなす差動出力端子のうちの他方の出力端子となる。当該他方の出力端子から出力される信号が例えばデータOUTNである。差動出力端子には、差動信号駆動回路100が搭載されるチップの外部において終端抵抗Rtが接続される。また、差動出力端子の当該一方の出力端子は、レシーバチップに配されるレシーバRXの非反転入力端子に接続される。差動出力端子の当該他方の出力端子は、レシーバチップに配されるレシーバRXの反転入力端子に接続される。
【0022】
次に、差動トランスミッタTXから出力される信号のHighレベルの電圧Vsighについて、
図2を用いて説明する。ここでは仮に、データDがHighレベルであり、データDBがLowレベルである場合を想定する。
【0023】
図2に示す差動トランスミッタTXにおいて、差動入力端子にHighレベルのデータDとLowレベルのデータDBとが入力されると、N型MOSトランジスタM1,M4はオンになり、N型MOSトランジスタM2,M3はオフになる。これにより、抵抗R1、N型MOSトランジスタM1、終端抵抗Rt、N型MOSトランジスタM4、抵抗R2を介して、電圧VDDTX_Iが供給されている電源電圧端子から基準電圧端子へと電流が流れる。ここで、N型MOSトランジスタM1,M4のチャネル抵抗を無視できるものと仮定すると、電圧Vsighは、以下の式(1)のように表すことができる。
Vsigh=VDDTX_I×(Rt+R2)/(R1+Rt+R2) …(1)
【0024】
ここで、共通回路部10が動作状態であり、差動トランスミッタTXが非動作状態である場合を考慮する。このようなケースとしては、例えば電源起動時やチップ外にデータを出力する必要がない場合などが挙げられる。
【0025】
差動トランスミッタTXが非動作状態ときには、消費電力の削減の観点から、電源電圧端子から基準電圧端子へと流れる電流の経路を切断することが望ましい。電流経路を切断する方法としては、例えば、データD及びデータDBの双方をLowレベルにしてN型MOSトランジスタM1~M4を総てオフにする方法が挙げられる。或いは、差動トランスミッタTXが非動作状態のときに差動出力端子を固定電位に接続する手段を備えるように差動トランスミッタTXを構成してもよい。
【0026】
共通回路部10が動作状態であり、差動トランスミッタTXが非動作状態である場合の動作について、
図3を用いて説明する。なお、
図3においては、差動トランスミッタTXが非動作状態であり、電源電圧端子から基準電圧端子へと流れる電流の経路が切断されたオープン状態であることを視覚的に表すために、差動トランスミッタTXの回路記号を破線で表している。
【0027】
個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1のソースは、前述のように、ノードN1に共通に接続されている。したがって、N型MOSトランジスタSF1のソースの電圧VDDTXは電圧Vtxであり、差動トランスミッタTXの電源電圧端子に供給される電圧VDDTX_Iもまた電圧Vtxである。
【0028】
この状態から差動トランスミッタTXが動作状態に遷移すると、差動トランスミッタTXの電源電圧端子には引き続き電圧Vtxが供給される。つまり、差動トランスミッタTXが動作状態に復帰した直後でも電源電圧端子の電圧は電圧Vtxになっており、差動トランスミッタTXから出力される信号は式(1)で表されるように所望の電圧範囲となる。
【0029】
なお、差動トランスミッタTXが動作状態に復帰する際には、N型MOSトランジスタSF1には負荷として抵抗R1,R2及び終端抵抗Rtが接続されることになる。そのため、復帰後には、復帰前まで電流が流れていなかったこれら負荷抵抗に電流が供給される結果、N型MOSトランジスタSF1のソース電圧が一時的に降下する。しかしながら、この電圧変化を受けて差動増幅回路12の出力電圧が上昇することで、N型MOSトランジスタSF1のソースの電圧、つまり差動トランスミッタTXの電源電圧端子の電圧は電圧Vtxに落ち着くことになる。
【0030】
次に、本実施形態による差動信号駆動回路により奏される効果について、
図4乃至
図7を用い、参考例による差動信号駆動回路との比較を交えて説明する。
【0031】
図4に示す第1参考例による差動信号駆動回路は、個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1のソースと差動トランスミッタTXの電源電圧端子との接続ノードがノードN1に接続されていない点で、本実施形態による差動信号駆動回路とは異なっている。つまり、第1参考例による差動信号駆動回路では、N型MOSトランジスタSF1のソースの電圧VDDTX1が、差動トランスミッタTXの電源電圧端子に供給される電圧となる。
【0032】
第1参考例による差動信号駆動回路では、差動トランスミッタTXの動作時にN型MOSトランジスタSF0のソースの電圧VDDTXとN型MOSトランジスタSF1のソースの電圧VDDTX1とが等しくなるように回路設計がなされているものとする。
【0033】
電圧VDDTXと電圧VDDTX1とが等しくなる条件は、以下の式(2)及び式(3)のように表される。
R0=k×(R1+Rt+R2) …(2)
W0/L0=W1/(k×L1) …(3)
【0034】
式(2)は、差動トランスミッタTXにおける抵抗R1、抵抗R2及び終端抵抗Rtの総和と負荷抵抗R0との関係を表す式である。式(3)は、N型MOSトランジスタSF0のゲート幅W0とゲート長L0との比(W0/L0)と、N型MOSトランジスタSF1のゲート幅W1とゲート長L1との比(W1/L1)との関係を表す式である。式(2)及び式(3)中、kは定数である。式(2)及び式(3)をともに満足する場合に、N型MOSトランジスタSF0のソースの電圧VDDTXとN型MOSトランジスタSF1のソースの電圧VDDTX1とが等しくなる。
【0035】
第1参考例による差動信号駆動回路において、差動トランスミッタTXが非動作状態から動作状態に遷移するときの動作について、
図5を用いて説明する。なお、
図5においては、差動トランスミッタTXが非動作状態であり、電源電圧端子から基準電圧端子へと流れる電流の経路が切断されたオープン状態であることを視覚的に表すために、差動トランスミッタTXの回路記号を破線で表している。
【0036】
第1参考例による差動信号駆動回路では、差動トランスミッタTXが非動作状態のとき、
図5に示すように、個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1のソースはオープン状態になる。したがって、N型MOSトランジスタSF1には電流が流れず、N型MOSトランジスタSF1のソースの電圧VDDTX1は、差動トランスミッタTXの動作時よりも高電圧になっている。つまり、各部の電圧は、以下の式(4)に示す関係になっている。
VDDTX1>VDDTX=Vtx …(4)
【0037】
そのため、この状態から差動トランスミッタTXが動作状態に遷移すると、その直後に差動トランスミッタTXの電源電圧端子に供給される電圧は電圧Vtxよりも高くなる。その結果、差動トランスミッタTXから出力される出力データのHighレベルは、例えば
図6に示すように、所望の電圧よりも高くなる。
【0038】
出力データの信号レベルが所望の電圧よりも高い場合、そのデータを受信するレシーバの定格電圧を超える可能性があり、最悪の場合、レシーバが故障する虞がある。例えば、レシーバの電源電圧を電圧VDDRECとして、個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1のドレインに接続される電源の電圧VDDと電圧VDDRECとが以下の式(5)の関係となる場合に、レシーバの最大定格を超える可能性が高い。
VDD>VDDREC …(5)
【0039】
この点、本実施形態による差動信号駆動回路においては、差動トランスミッタTXに供給される電圧VDDTX_Iは常に電圧Vtxとなり、差動トランスミッタTXから出力される出力データの信号レベルは常に所望の電圧の範囲内に制御が可能である。したがって、差動トランスミッタTXから出力される出力データの信号レベルがレシーバの定格電圧を超えることはなく、差動トランスミッタTXから出力されるデータ信号によってレシーバが故障するのを防止することができる。
【0040】
図7に示す第2参考例による差動信号駆動回路は、電源生成部30において電圧VDDTXを生成し、この電圧VDDTXを各レーンの差動トランスミッタTX1,TX2に電源電圧(電圧VDDTX_I)として供給する例である。
図7では、電源生成部30からの距離が近い差動トランスミッタTX1と、電源生成部30からの距離が遠い差動トランスミッタTX2とを想定している。また、ここでは仮に、電源生成部30と差動トランスミッタTX1とを接続する電源配線の配線抵抗がRpであり、電源生成部30と差動トランスミッタTX2とを接続する電源配線の配線抵抗が2Rpであるものとする。
【0041】
電源生成部30は、差動増幅回路32と、N型MOSトランジスタSF3と、負荷抵抗R3と、を有する。差動増幅回路32は、2つの入力端子(非反転入力端子(+)及び反転入力端子(-))と出力端子とを有する。差動増幅回路32の非反転入力端子には、電圧Vtxが供給される。差動増幅回路32の出力端子は、N型MOSトランジスタSF3のゲートに接続されている。N型MOSトランジスタSF3は、ドレインが電源電圧ノード(電圧VDD)に接続されており、ソースフォロワ回路を構成している。N型MOSトランジスタSF3のソースは、負荷抵抗R3の一方の端子及び差動増幅回路32の反転入力端子に接続されている。負荷抵抗R3の他方の端子は、基準電圧ノード(GNDノード)に接続されている。
【0042】
ここで、N型MOSトランジスタSF3のソースと、負荷抵抗R3の一方の端子と、差動増幅回路32の反転入力端子との間の接続ノードを、便宜的にノードN3と呼ぶものとする。また、GNDノードに接続される負荷抵抗R3の他方の端子部を、ノードN4と呼ぶものとする。ノードN3の電圧VDDTXは、共通回路部10のノードN1と同様、電圧Vtxと等しくなる。各レーンの差動トランスミッタTX1,TX2には、ノードN3及びノードN4から配線を介して電源電圧及び基準電圧がそれぞれ供給される。
【0043】
各レーンの差動トランスミッタTX1,TX2の動作時は、電源電圧端子から基準電圧端子に向かって常に電流が流れている。
図2に示した差動トランスミッタTXの回路例では、電源電圧端子から基準電圧端子へと流れる電流Itxは、以下の式(6)のように表される。
Itx=VDDTX_I/(R1+Rt+R2) …(6)
【0044】
また、電源生成部30から差動トランスミッタTX1,TX2へと供給される電源電圧は、電源生成部30と差動トランスミッタTX1,TX2との間の配線抵抗によって低下する。すなわち、電源生成部30から差動トランスミッタTX1に供給される電圧VDDTX_Iは、以下の式(7)のように表される。また、電源生成部30から差動トランスミッタTX2に供給される電圧VDDTX_Iは、以下の式(8)のように表される。
VDDTX_I=VDDTX-Rp×Itx …(7)
VDDTX_I=VDDTX-2×Rp×Itx …(8)
【0045】
このように、第2参考例による差動信号駆動回路では、電源生成部30から距離が遠い差動トランスミッタTXほど、電源電圧端子に供給される電圧は低下することになる。また、GNDノード側の電圧についても同様であり、電源生成部30から距離が遠い差動トランスミッタTXほど、基準電圧端子に供給される電圧は増加することになる。
【0046】
したがって、第2参考例による差動信号駆動回路では、レーンによって差動トランスミッタTXに供給される電源電圧が異なることとなり、ひいては差動トランスミッタTXから出力されるデータ信号の振幅がレーン間で異なることになる。
【0047】
この点、本実施形態による差動信号駆動回路においては、
図1に示すように、電源電圧ノードから各レーンのN型MOSトランジスタSF1を介して差動トランスミッタTXの電源電圧端子に電圧VDDTXが供給される。この場合にも、電源電圧配線の配線抵抗によって各レーンの個別回路部20に供給される電圧VDDに電圧ドロップは起きるが、電圧ドロップが起きるのはソースフォロワ回路を構成しているN型MOSトランジスタSF1のドレインである。N型MOSトランジスタSF1が飽和領域で動作している場合、ドレイン電圧の変化によるドレイン電流への影響は小さいため、各レーンの差動トランスミッタTXに供給される電圧VDDTXへの影響は小さい。したがって、差動トランスミッタTXから出力されるデータ信号の振幅に与える影響も、第2参考例による差動信号駆動回路の場合よりも小さくすることができる。本実施形態による差動信号駆動回路におけるGNDノード側の電圧への影響については、第2参考例による差動信号駆動回路の場合と同様である。
【0048】
なお、本実施形態では、共通回路部10のN型MOSトランジスタSF0のゲートと個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1のゲートとを直接接続しているが、必ずしも直接接続する必要はない。例えば
図8に示すように、N型MOSトランジスタSF0のゲートとN型MOSトランジスタSF1のゲートとを、ゲート抵抗Rgを介して接続するようにしてもよい。また、一の個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1のゲートと他の個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1のゲートとを、ゲート抵抗Rgを介して接続するようにしてもよい。差動信号駆動回路をこのように構成した場合にも、本実施形態で説明した効果と同様の効果を奏することができる。ゲート抵抗Rgは、抵抗素子を配置することにより構成してもよいし、配線を局所的に細くして配線抵抗を増加することにより構成してもよい。
【0049】
このように、本実施形態によれば、差動信号駆動回路の動作状態を切り替えた場合にも安定した振幅で信号を出力することができる。これにより、差動トランスミッタから出力される信号の品質を向上することができる。また、差動トランスミッタから信号を受けるレシーバの故障を防止することができる。
【0050】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による光電変換装置について、
図9を用いて説明する。第1実施形態による差動信号駆動回路と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
図9は、本実施形態による光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【0051】
第1実施形態による差動信号駆動回路100は、特に限定されるものではないが、例えば光電変換装置の出力回路部として好適に利用することができる。本実施形態では、第1実施形態による差動信号駆動回路を適用した光電変換装置の一例について説明する。
【0052】
本実施形態による光電変換装置200は、
図9に示すように、画素領域110と、垂直走査回路120と、AD変換回路部130と、メモリ部140と、水平走査回路150と、演算部160と、信号処理回路170と、差動信号駆動回路100と、を有する。
【0053】
画素領域110には、複数の行及び複数の列をなすように行列状に配された複数の画素112が設けられている。各々の画素112は、フォトダイオード等の光電変換素子からなる光電変換部を含み、入射光の光量に応じた画素信号を出力する機能を備える。垂直走査回路120は、画素領域110から画素信号を読み出す際に画素112を駆動するための制御信号を、画素アレイの各行に設けられた制御線を介して画素112に供給する制御回路部である。
【0054】
AD変換回路部130は、画素アレイの各列に対応して設けられた複数の列AD変換回路132を有する。列AD変換回路132は、対応する列の画素112から出力されるアナログ画素信号をデジタルデータに変換する。メモリ部140は、画素アレイの各列に対応して設けられた複数の列メモリ142を有する。列メモリ142は、対応する列の列AD変換回路132により変換されたデジタルデータを格納する。水平走査回路150は、各列の列メモリ142を順次選択し、選択された列メモリ142に格納されたデジタルデータを演算部へと出力する。
【0055】
演算部160は、メモリ部140から転送されるデジタルデータに対して、所定の演算処理、例えば増幅処理やデジタル相関二重サンプリング(CDS)処理などの演算を行い、処理後のデジタルデータを信号処理回路170に出力する。信号処理回路170は、パラレルシリアル変換回路を含み、演算部160から出力されるパラレルデータをシリアルデータに変換し、差動信号駆動回路100へと出力する。
【0056】
差動信号駆動回路100は、第1実施形態で説明した差動信号駆動回路100である。差動信号駆動回路100は、信号処理回路170から受信したシリアルデータを差動信号に変換し、差動トランスミッタTXを介して光電変換装置200の外部へと出力する。なお、
図9では図面の簡略化のため、差動信号駆動回路100を構成する複数の個別回路部20のうち、1レーンに対応する1つの個別回路部20のみを示している。差動トランスミッタTXへの電源供給は、個別回路部20により行われる。また、個別回路部20のN型MOSトランジスタのゲート及びソースに供給される電圧は、共通回路部10にて生成される。
【0057】
光電変換装置の信号出力部に第1実施形態の差動信号駆動回路100を適用することにより、差動トランスミッタTXから出力される信号を常に所望の範囲内にすることができる。これにより、信号の品質を向上するとともに、信号を受信するレシーバの破壊を防止することができる。また、差動トランスミッタTXの電源電圧をチップ内部で生成するため、チップ外部には電源ICは不要である。これにより、部品点数を削減し、ローコスト化を図ることができる。
【0058】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による撮像システムについて、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【0059】
上記第2実施形態で述べた光電変換装置200は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。
図10には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0060】
図10に例示した撮像システム300は、撮像装置301、被写体の光学像を撮像装置301に結像させるレンズ302、レンズ302を通過する光量を可変にするための絞り304、レンズ302の保護のためのバリア306を有する。レンズ302及び絞り304は、撮像装置301に光を集光する光学系である。撮像装置301は、第2実施形態で説明した光電変換装置200であって、レンズ302により結像された光学像を画像データに変換する。
【0061】
撮像システム300は、また、撮像装置301より出力される出力信号の処理を行う信号処理部308を有する。信号処理部308は、撮像装置301が出力するデジタル信号から画像データの生成を行う。また、信号処理部308は必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。撮像装置301は、信号処理部308で処理されるデジタル信号を生成するAD変換部を備え得る。AD変換部は、撮像装置301の光電変換部が形成された半導体層(半導体基板)に形成されていてもよいし、撮像装置301の光電変換部が形成された半導体層とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、信号処理部308が撮像装置301と同一の半導体基板に形成されていてもよい。
【0062】
撮像システム300は、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部310、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)312を有する。更に撮像システム300は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体314、記録媒体314に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)316を有する。なお、記録媒体314は、撮像システム300に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0063】
更に撮像システム300は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部318、撮像装置301と信号処理部308に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部320を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム300は少なくとも撮像装置301と、撮像装置301から出力された出力信号を処理する信号処理部308とを有すればよい。
【0064】
撮像装置301は、撮像信号を信号処理部308に出力する。信号処理部308は、撮像装置301から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部308は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
【0065】
このように、本実施形態によれば、第2実施形態による光電変換装置200を適用した撮像システムを実現することができる。
【0066】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による撮像システム及び移動体について、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
【0067】
図11(a)は、車載カメラに関する撮像システムの一例を示したものである。撮像システム400は、撮像装置410を有する。撮像装置410は、上記第2実施形態に記載の光電変換装置200である。撮像システム400は、撮像装置410により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部412と、撮像システム400により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部414を有する。また、撮像システム400は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部416と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部418と、を有する。ここで、視差取得部414や距離取得部416は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部418はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0068】
撮像システム400は車両情報取得装置420と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム400は、衝突判定部418での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU430が接続されている。また、撮像システム400は、衝突判定部418での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置440とも接続されている。例えば、衝突判定部418の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU430はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置440は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0069】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム400で撮像する。
図11(b)に、車両前方(撮像範囲450)を撮像する場合の撮像システムを示した。車両情報取得装置420が、撮像システム400ないしは撮像装置410に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0070】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0071】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0072】
また、共通回路部10の差動増幅回路12に供給する電源電圧と、共通回路部10のN型MOSトランジスタSF0及び個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1に供給する電源電圧とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。例えば、差動増幅回路12に供給する電源電圧は、N型MOSトランジスタSF0,SF1に供給する電源電圧よりも高い電圧に設定してもよい。
【0073】
また、共通回路部10の差動増幅回路12の基準電圧と、差動トランスミッタTXの基準電圧とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、共通回路部10のN型MOSトランジスタSF0に供給する電源電圧と個別回路部20のN型MOSトランジスタSF1に供給する電源電圧とをともに電圧VDDとしたが、これら電源電圧は異なっていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、電源回路や差動トランスミッタを、N型MOSトランジスタを用いて構成する例を示したが、P型MOSトランジスタを用いて構成することも可能である。
【0076】
また、上記第2実施形態に示した光電変換装置は、第1実施形態の差動信号駆動回路を適用しうる光電変換装置を例示したものであり、当該差動信号駆動回路を適用可能な装置は
図9に示した構成に限定されるものではない。
【0077】
また、上記第3及び第4実施形態に示した撮像システムは、第2実施形態の光電変換装置を適用しうる撮像システムを例示したものであり、光電変換装置を適用可能な撮像システムは
図10及び
図11に示した構成に限定されるものではない。
【0078】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
10…共通回路部
12…差動増幅回路
20…個別回路部
100…差動信号駆動回路
R0…負荷抵抗
Rt…終端抵抗
Rx…レシーバ
SF0,SF1…N型MOSトランジスタ
TX,TX1,TX2…差動トランスミッタ