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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】校正装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20240318BHJP
   F17C 5/06 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
F17C13/02 301A
F17C5/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019200357
(22)【出願日】2019-11-04
(65)【公開番号】P2021076119
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 恒治
(72)【発明者】
【氏名】中村 壮良
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067470(JP,A)
【文献】特開2011-037468(JP,A)
【文献】特開2009-178070(JP,A)
【文献】特開2010-001065(JP,A)
【文献】特開2017-067467(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03299776(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
F17C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるハウジングと、前記ハウジング内に設けられた被充填タンクと、前記ハウジングの重量を計測する秤と、一端が前記被充填タンクに接続されるとともに他端が前記ハウジングから外部に突出した充填口が設けられた接続管路と、を備え、前記被充填タンク内への水素ガスの充填前後における前記ハウジングの重量を計測する校正装置において、
前記ハウジングの下面に設けられた開口部と、
前記車両の車体側に固定されるとともに、一端が前記ハウジング外から前記開口部を介して前記ハウジング内に挿入された状態に保持され、前記ハウジング内に乾燥ガスを供給させる乾燥ガス供給管路と、
前記ハウジングに対し着脱可能に取り付けられることで、前記乾燥ガス供給管路の外周面と前記開口部の内周面との間に全周にわたって設けられた隙間を閉塞、開口させる閉塞部材と、を備え
前記閉塞部材は、当該閉塞部材に形成された孔に前記乾燥ガス供給管路が差し込まれた状態に保持されるとともに、前記乾燥ガス供給管路に沿う方向の変位を可能に設けられ、かつ、前記ハウジングに対して磁力によって吸着することで前記隙間が閉塞された状態が保持される、ことを特徴とする校正装置。
【請求項2】
前記閉塞部材は、筒状のマグネットと環状のシール部材とを備え、
前記シール部材は、前記シール部材の中央部に形成された孔と前記マグネットの中央部に形成された孔とが一致するように前記マグネットに取り付けられており、
前記閉塞部材は、前記マグネット側が前記ハウジングに対向するように設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の校正装置。
【請求項3】
前記シール部材の孔の径は、前記乾燥ガス供給管路の外径と略同一であり、前記マグネットの孔の径は、前記シール部材の孔の径よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の校正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば燃料電池自動車等の車両の被充填タンクに水素ガスを充填するための水素ガス充填装置(水素ガス供給装置)の校正を行う校正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、燃料電池自動車等の車両に搭載された被充填タンク(燃料タンク)に高圧状態の水素ガスを充填する水素ガス充填装置(水素ガス供給装置)が記載されている。ここで、水素ガスの充填は、充填時間を短縮するために高圧で行われる(高圧充填)。この場合、高圧充填に伴う温度上昇を抑制するために、水素ガスは、冷却装置によって、例えば-40℃程度に冷却されて被充填タンクに充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-021572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような水素ガス充填装置を長期にわたって使用すると、例えば、水素ガス充填装置内で水素ガスの流量を計測する流量計に誤差が発生する可能性がある。そこで、このような水素ガス充填装置の計測誤差の校正を行う校正装置が検討されている。このような校正装置として、例えば、ハウジング内に収容された計測用の被充填タンクに校正対象の水素ガス充填装置から水素ガスを充填し、この水素ガスの充填の前後の重量変化をハウジングごと秤によって計測することにより、水素ガス充填装置の校正を行う校正装置が考えられる。
【0005】
しかし、水素ガス充填装置から計測用の被充填タンクに供給される水素ガスが高圧で低温である場合、ハウジング内の計測用の被充填タンクやこの被充填タンクに接続されている配管(管路)等の機器が、周囲の温度よりも低くなり、結露が発生する可能性がある。そして、この結露の発生と結露の蒸発とに伴って、校正装置の秤によって計測される重量が変化し、校正装置の精度が低下するおそれがある。また、水素ガスの計測後に被充填タンクから水素ガスを放出するときに、この被充填タンクの温度が断熱膨張現象により低下し、この面からも結露が発生する可能性がある。そして、複数回の校正を行う場合には、例えば、表面積の大きい計測用の被充填タンクの表面で結露、蒸発が繰り返され、重量の変化が顕著に現れる可能性もある。
【0006】
これに対して、例えば、校正装置として、ハウジングに対して着脱可能に接続され、ハウジング内に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給管路を備える構成とすることが考えられる。この場合には、被充填タンクに水素ガスを充填する前に、乾燥ガス供給管路を通じて予めハウジング内に乾燥ガスを供給(充満)しておくことができる。これにより、ハウジング内の機器に結露が発生することを抑制でき、結露に伴う計測精度の低下を抑制できる。しかし、乾燥ガスの供給の前後でハウジングと乾燥ガス供給管路とを着脱することに伴って、ハウジングに外力が加わり、秤の計測精度に影響を与える可能性がある。
【0007】
本発明の一実施形態の目的は、校正の精度を向上できる校正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、車両に搭載されるハウジングと、前記ハウジング内に設けられた被充填タンクと、前記ハウジングの重量を計測する秤と、一端が前記被充填タンクに接続されるとともに他端が前記ハウジングから外部に突出した充填口が設けられた接続管路と、を備え、前記被充填タンク内への水素ガスの充填前後における前記ハウジングの重量を計測する校正装置において、前記ハウジングの下面に設けられた開口部と、前記車両の車体側に固定されるとともに、一端が前記ハウジング外から前記開口部を介して前記ハウジング内に挿入された状態に保持され、前記ハウジング内に乾燥ガスを供給させる乾燥ガス供給管路と、前記ハウジングに対し着脱可能に取り付けられることで、前記乾燥ガス供給管路の外周面と前記開口部の内周面との間に全周にわたって設けられた隙間を閉塞、開口させる閉塞部材と、を備え、前記閉塞部材は、当該閉塞部材に形成された孔に前記乾燥ガス供給管路が差し込まれた状態に保持されるとともに、前記乾燥ガス供給管路に沿う方向の変位を可能に設けられ、かつ、前記ハウジングに対して磁力によって吸着することで前記隙間が閉塞された状態が保持される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、校正の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態による校正装置が搭載された車両を模式的に示す断面図である。
図2図1中の校正装置を校正対象となる水素ガス充填装置と共に模式的に示す断面図である。
図3】校正装置の被充填タンクと水素ガス充填装置とを接続した状態を示す図2と同様位置の断面図である。
図4図2中の(IV)部の拡大断面図である。
図5図3中の(V)部の拡大断面図である。
図6】閉塞部材を乾燥ガス供給管路と共に示す斜視図である。
図7】車両が移動するときの状態を示す図1と同様位置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態による校正装置を、車両に搭載した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。
【0012】
図1において、車両1は、例えば小型トラック(小型貨物自動車、準小型貨物自動車)であり、車輪2,2と車体3とを備えている。車体3は、内部に運転席(図示せず)等が設けられたキャブ4と、内部が収容空間となった箱型の荷台5とを含んで構成されている。車両1の荷台5には、校正装置11が搭載されている。校正装置11は、水素ディスペンサとも呼ばれる水素ガス充填装置6(図2および図3参照)の校正を行う。なお、図1および図7では、箱形の荷台5を断面で示しており、実際には、校正装置11は、前面、左側面、右側面、後面、上面、下面を備えた箱型の荷台5内に収容されている。
【0013】
実施形態では、校正装置11は、荷台5に搭載された状態で水素ガス充填装置6の校正を行う。このために、荷台5には、校正を行うときに、荷台5内の校正装置11と荷台5外の水素ガス充填装置6とを充填ホース7および充填ノズル8(図2およびお図3参照)を用いて接続できるように、図示しない開閉ドアが設けられている。校正装置11により水素ガス充填装置6の校正を行うときは、荷台5の開閉ドアを開放して行うことができる。なお、図2および図3では、車両1を省略して示しており、実際には、図1に示すように、校正装置11は荷台5内に収容されている。
【0014】
校正対象となる水素ガス充填装置6は、例えば、図示しない燃料電池自動車等の車両の燃料タンクとなる被充填タンクに圧縮状態の水素ガスを充填する。即ち、水素ガス充填装置6は、図示しない車両の被充填タンクの充填口に、充填ノズル8を接続した状態で、水素ガス蓄圧器(図示せず)から冷却器(図示せず)、充填ホース7および充填ノズル8を通じて車両の被充填タンクに水素ガスを充填する。水素ガス充填装置6は、例えば、水素ガス供給ステーションと呼ばれる設備(燃料供給所)に設置されている。
【0015】
燃料電池自動車等、水素ガスを燃料とする車両は、水素ガス供給ステーションで水素ガス充填装置6から水素ガスを車両の被充填タンクに充填する。校正装置11は、各地に点在する水素ガス供給ステーションで水素ガス充填装置6の校正を行うことができるように、車両1の荷台5に搭載されている。校正装置11は、車両1の荷台5に搭載された状態で移動し、荷台5に搭載された状態で水素ガス充填装置6の計測誤差の校正を行う。
【0016】
この場合、校正装置11は、校正対象となる水素ガス充填装置6から計測用の被充填タンク13に高圧充填された水素ガスの重量を測定する。そして、校正装置11の測定値(水素ガスの重量)と水素ガス充填装置6で計測された測定値(例えば、水素ガスの流量による重量)とを比較し、校正装置11の測定値を基準として水素ガス充填装置6の計測器(流量計)を校正(補正)する。
【0017】
校正装置11は、ハウジング12と、計測用の被充填タンク13と、秤14とを備えている。ハウジング12は、計測用の被充填タンク13を全体にわたって覆う外殻を構成している。被充填タンク13は、ハウジング12内に配置され、外部から高圧の水素ガスが充填(供給)される。秤14は、被充填タンク13に充填された水素ガスの重量を測定する。秤14は、車体3(荷台5の底面)に載置されている。秤14は、秤14上に載置されたハウジング12および被充填タンク13の重量(より具体的には、被充填タンク13に水素ガスを充填する前と充填した後の重量変化)を計測する計測器である。この場合、秤14は、ハウジング12ごと被充填タンク13および被充填タンク13内の水素ガスの重量を測定する。
【0018】
被充填タンク13は、接続管路15を介してハウジング12外に通じている。即ち、接続管路15の一端側は、被充填タンク13に接続されており、接続管路15の他端側は、ハウジング12から外部に突出している。そして、接続管路15の他端側には、水素ガス充填装置6の充填ノズル8が接続される充填口16が設けられている。水素ガス充填装置6の充填ノズル8と接続管路15の充填口16は、気密状態で接続される接続カップリングを構成している。
【0019】
接続管路15の途中でハウジング12から突出した部位には、手動操作により開,閉される開閉弁17が設けられている。開閉弁17は、例えば、接続管路15を通じて水素ガスを被充填タンク13に充填するときに開弁される。また、開閉弁17は、接続管路15内の水素ガスの流通を阻止するときに閉弁される。
【0020】
次に、校正装置11により水素ガスの充填量(重量)を計測するときの手順の一例について説明する。
【0021】
まず、校正装置11に水素ガスを充填するのに先立って(即ち、校正対象の水素ガス充填装置6の充填ノズル8を校正装置11の充填口16に接続するのに先立って)、水素ガスを充填する前の被充填タンク13およびハウジング12の重量を秤14で計測する。次に、校正対象の水素ガス充填装置6の充填ノズル8と校正装置11の充填口16とを接続し、水素ガス充填装置6により校正装置11の被充填タンク13に所定量の水素ガスを充填する。このとき、開閉弁17は開弁されている。また、所定量は、水素ガス充填装置6の計測器で計測する。
【0022】
水素ガス充填装置6により所定量の水素ガスを被充填タンク13に充填したら、水素ガスの充填を終了し、水素ガス充填装置6の充填ノズル8と校正装置11の充填口16との接続を解除する(切離す)。この状態で、水素ガスを充填した後の被充填タンク13およびハウジング12の重量を秤14で計測する。そして、水素ガスの充填前後の秤14による重量計測値の差を求めることにより、水素ガスの充填量(重量)を算出し、この算出された充填量(重量)と水素ガス充填装置6で計測された所定量と比較することにより、校正を行う。即ち、校正装置11の値(即ち、算出された充填量(重量))を基準として、水素ガス充填装置6の計測器(流量計)を校正(補正)する。
【0023】
ところで、水素ガス充填装置6から校正装置11の計測用の被充填タンク13に供給(充填)される水素ガスは、高圧で低温である。このため、ハウジング12内の計測用の被充填タンク13やこの被充填タンク13に接続されている接続管路15等の機器が、周囲の温度よりも低くなり、結露が発生する可能性がある。そして、この結露の発生と結露の蒸発とに伴って、校正装置11の秤14によって計測される重量が変化し、校正装置11の精度が低下するおそれがある。また、計測後に被充填タンク13から水素ガスを放出するときに、この被充填タンク13の温度が断熱膨張現象により低下し、この面からも結露が発生する可能性がある。そして、複数回の校正を行う場合には、例えば、表面積の大きい被充填タンク13の表面で結露、蒸発が繰り返され、重量の変化が顕著に現れる可能性もある。
【0024】
これに対して、例えば、校正装置11のハウジング12内に乾燥ガスを供給し、ハウジング12内を乾燥状態にすることが考えられる。この場合に、例えば、乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給管路をハウジングに対して着脱可能に接続する構成とすることが考えられる。即ち、水素ガスの充填に先立って、乾燥ガス供給管路をハウジングに接続し、ハウジング内に乾燥ガスを供給する。そして、ハウジング内に乾燥ガスを充満させ、ハウジング内が乾燥状態になった後、ハウジングに接続されている乾燥ガス供給管路をハウジングから取外す。この場合には、ハウジング内が乾燥状態であるため、被充填タンクに低温の水素ガスを充填することにより被充填タンクおよび接続管等の機器が低温となっても、結露が発生することを抑制でき、結露に伴う計測精度の低下を抑制できる。
【0025】
しかし、乾燥ガスの供給の前後でハウジングと乾燥ガス供給管路とを着脱することに伴って、ハウジングに外力が加わり、秤の計測精度に影響を与える可能性がある。即ち、乾燥ガス供給管路とハウジングとを着脱可能に接続する構成とした場合、接続部の構造は、例えば「ネジ込み式」や「所謂ワンタッチ式のチャッキング」による機械的な接続を採用することになる。このため、この接続部の着脱に伴って、ハウジングに外力が加わり秤の計測が不安定になる可能性がある。
【0026】
また、ハウジングと乾燥ガス供給管路とが機械的な接続の場合、これらの接続が強固となるため、乾燥ガスをハウジング内に供給するときに、ハウジング内の圧力が上昇する。このため、ハウジングは、その内圧の上昇分にも耐える強度が必要となり、ハウジングが重くなる可能性がある。この場合、計測対象の水素ガスの充填量が少ない(重量が小さい)と、ハウジングの重量と充填される水素ガスの重量との差が大きくなり、秤の計測精度が低下する可能性がある。さらには、ハウジング内の乾燥ガスの圧力が高い状態で重量を計測すると、計測の間に乾燥ガスがハウジング外に流出する可能性があり、この面からも、重量の計測精度に影響を与える可能性がある。
【0027】
そこで、実施形態では、水素ガスの充填量(重量)を正確に測定するために、校正装置11は、ハウジング12と被充填タンク13と秤14とに加えて、開口部21と、乾燥ガス供給管路22とをさらに備えている。開口部21は、ハウジング12に設けられている。この場合、開口部21は、ハウジング12の下面に設けられている。一方、乾燥ガス供給管路22は、開口部21に挿入された状態で保持されている。この場合、乾燥ガス供給管路22は、鉛直方向に直線的に延びる直線部22Aが開口部21に鉛直方向の下側から挿入されている。乾燥ガス供給管路22は、一端側となる直線部22Aの開口側がハウジング12内に進入しており、他端側が乾燥ガスの供給源となるボンベ(乾燥ガス圧力容器)、例えば、窒素ガスNが貯蔵された窒素ガスボンベ25に接続されている。直線部22Aの開口は、ハウジング12内で、かつ、ハウジング12の開口部21よりも上側に位置している。乾燥ガス供給管路22は、窒素ガスボンベ25とともに、乾燥ガス供給装置を構成している。
【0028】
実施形態では、乾燥ガス供給管路22は、ハウジング12ではなく、車体3(荷台5)側に固定されている。乾燥ガス供給管路22は、図3に二点鎖線で示すように、ハウジング12内に乾燥ガス(例えば、窒素ガスN)を供給させる。乾燥ガス供給管路22または窒素ガスボンベ25には、乾燥ガス(窒素ガスN)の供給と停止とを切換える開閉弁(図示せず)が設けられている。そして、図4に拡大して示すように、乾燥ガス供給管路22の外周面(より具体的には、直線部22Aの外周面)とハウジング12の開口部21の内周面との間には、全周にわたって隙間24が設けられている。また、校正装置11は、閉塞部材23を備えている。閉塞部材23は、開口部21を閉塞(図3図5)または開口(図2図4)させる開閉部材であり、乾燥ガス供給管路22の直線部22Aに設けられている。閉塞部材23は、乾燥ガス供給管路22(直線部22A)に沿う方向(上下方向)の変位を可能に乾燥ガス供給管路22(直線部22A)に取付けられている。
【0029】
図4ないし図6に示すように、閉塞部材23は、円筒状のマグネット23Aと、ゴム、スポンジ等の弾性材および芯金(抑え部材)を含んで構成される円環状のシール部材23Bとを備えている。これにより、閉塞部材23は、ハウジング12に対して磁力によって着脱が可能である。この場合、少なくともハウジング12の開口部21の周囲は、鉄等の磁石(マグネット)が吸着する素材により形成する。例えば、ハウジング12全体を磁石が吸着する素材により形成してもよく、また、鉄板等の磁石が吸着する板材に開口部21を形成し、この開口部21が形成された板材をハウジング12の貫通口に固定する構成としてもよい。開口部21が形成された板材をハウジング12の貫通口に固定することによりハウジング12の開口部21を形成した場合は、ハウジング12全体を磁石が吸着する素材により形成しなくてもよい。
【0030】
閉塞部材23は、ハウジング12内に乾燥ガスを供給するときに開口部21を閉塞する。即ち、ハウジング12内に乾燥ガスを供給する作業を行うときは、ハウジング12の開口部21に閉塞部材23を近付けてハウジング12に閉塞部材を吸着させることにより、開口部21を閉塞する。そして、この状態で、窒素ガスボンベ25から乾燥ガス供給管路22を介して、ハウジング12内に乾燥ガスとなる窒素ガスNを供給する。このとき、窒素ガスNをハウジング12内に供給する前にハウジング12内に入っていた空気は、例えば、ハウジング12の下面に設けられた図示しない排出口を介して排出することができる。
【0031】
即ち、空気より軽い(密度が小さい)窒素ガスNは、乾燥ガス供給管路22を通じてハウジング12内に供給されると、ハウジング12内を上側に向けて流れる。これと共に、内部の空気(湿った空気)は、ハウジング12の下面に設けられた排出口から排出され、ハウジング12内は、乾燥ガスである窒素ガスNにより満たされる。なお、排出口は、例えば、手動により開閉可能な開閉弁(コック)により構成することができる。また、排出口は、例えば、ハウジング12の下面に設けた貫通孔により構成することができる。この場合には、この貫通孔を磁力によって着脱可能な閉塞部材により閉塞または開口する構成とすることができる。いずれの場合も、ハウジング12内が窒素ガスNにより満たされたら、排出口を閉じる(閉塞する)。
【0032】
ここで、図5に示すように、ハウジング12の開口部21の内径をAとし、乾燥ガス供給管路22(直線部22A)の外径をBとし、マグネット23Aの内径をCとする。この場合、B<C<Aとなっている。また、閉塞部材23のシール部材23Bの内周縁(内周面)は、乾燥ガス供給管路22(直線部22A)の外周面に弾性的に接触している。これにより、シール部材23Bは、閉塞部材23がマグネット23Aの磁力によってハウジング12の下面に密着(吸着)した状態でハウジング12を密閉することができる。
【0033】
このように、実施形態では、乾燥ガス供給管路22(直線部22A)には、ハウジング12の開口部21を密閉するために自在に稼動する閉塞部材23が設けられている。閉塞部材23は、ハウジング12に密着させるために、マグネット23Aとシール部材23Bとにより構成されている。また、ハウジング12の開口部21は、鉄等の磁石が吸着する材料であるため、閉塞部材23は、ハウジング12に加わる力を抑えつつ、簡単に吸着保持または取外しできる。一方、シール部材23Bは、スポンジやゴム等の弾性のある材料であるため、乾燥ガス供給管路22(直線部22A)と接触する部分は、乾燥ガス供給管路22(直線部22A)に隙間なく接触するが、乾燥ガス供給管路22(直線部22A)に対して自在に移動することができる。そして、閉塞部材23がハウジング12に吸着した状態で、シール部材23Bは、一定の気密性を確保することができる。
【0034】
また、図5に示すように、ハウジング12の開口部21の内径Aは、乾燥ガス供給管路22(直線部22A)の外径Bに対して接触しない寸法にする必要がある。このために、ハウジング12と秤14の相対的な位置を厳密に規制する必要がある。しかし、ハウジング12と秤14の相対的な位置を規制するために、ハウジング12と秤14とを機械的に固定することは、校正装置11を移動して運用する場合を考慮すると、移動時に秤14に過剰な負荷が加わる可能性があり、困難である。
【0035】
特に、図7に示すように、校正装置11を車両1等に積載して移動させる場合は、移動時の振動等の影響を考慮して、ハウジング12と秤14とをジャッキアップ装置等を用いて切り離し(離間させ)、ハウジング12の振動等が秤14に直接的に加わることを抑制する必要がある。一方、校正を行うときは、図1に示すように、ハウジング12と秤14とを接続する(ハウジング12を秤14に載置する)必要がある。即ち、校正装置11を移動する毎に、ハウジング12と秤14の切り離しと接続の作業を行う必要がある。
【0036】
これに対して、実施形態では、校正装置11は、乾燥ガス供給管路22の直線部22Aとハウジング12の開口部21との隙間24に対して簡単に閉止可能な閉塞部材23を備えている。このため、ハウジング12の開口部21の内径Aを乾燥ガス供給管路22の直線部22Aの外径Bに対して大きくすることが可能になり、移動する毎にハウジング12と秤14との相対的位置を厳密に管理する必要がなくなる。
【0037】
また、ハウジング12の開口部21に対する閉塞部材23の吸着力Fは、マグネット23Aの磁力を変更することにより自由に調整できる。このため、ハウジング12内の乾燥ガス(窒素ガスN)の圧力がハウジング12の耐えられる圧力P以上にならないように、マグネット23Aの吸着力Fとハウジング12の開口部21の内径Aの寸法を適正に決定することが可能となる。適正値は下記の数1式で表すことができる。
【0038】
【数1】
【0039】
ハウジング12内の圧力がP以上になると、その圧力によって閉塞部材23を押す力がマグネット23Aの吸着力Fよりも強くなり、閉塞部材23は、ハウジング12の開口部21から自動的に外れる。この場合、乾燥ガス供給管路22を通じて流入する乾燥ガス(窒素ガスN)が開口部21を通じてハウジング12から流出するため、ハウジング12内の圧力が過剰に上昇することを抑制できる。即ち、実施形態では、ハウジング12と閉塞部材23との磁力による接続は、ハウジング12内の乾燥ガス(窒素ガスN)の供給により所定の内圧Pになった場合には、その接続が解除される(ハウジング12から閉塞部材23が外れる)。
【0040】
さらに、開口部21は、ハウジング12の下面に設けている。このため、ハウジング12内に供給する乾燥ガスを、入手が容易な窒素ガスNとすることができ、かつ、開口部21から窒素ガスNの流出を抑制できる。即ち、窒素ガスNの密度は空気の密度よりも小さいため、乾燥ガス供給管路22を通じてハウジング12内に供給された窒素ガスN(乾燥ガス)が、開口部21を通じてハウジング12の外部に流出することを抑制できる。
【0041】
実施形態による校正装置11は、上述の如き構成を有するもので、次に、実施形態の校正装置11による校正作業、即ち、水素ガスの充填量(重量)の計測作業について説明する。
【0042】
まず、校正装置11を搭載した車両1は、校正対象となる水素ガス充填装置6が設置された水素ガス供給ステーションに移動する。このとき、図7に示すように、車両1の移動時は、校正装置11のハウジング12と秤14とを図示しないジャッキアップ装置等を用いて離間しておく。また、移動時は、ハウジング12の開口部21を閉塞部材23により閉塞しておくことができる。これにより、ハウジング12内に乾燥ガス(窒素ガスN)が予め入っている場合に、この乾燥ガス(窒素ガスN)をハウジング12から漏れにくくすることができる。
【0043】
車両1は、例えば、校正対象となる水素ガス充填装置6の近傍で停車する。校正装置11を用いた水素ガス充填装置6の校正作業は、校正装置11を車両1に搭載した状態で行う。このために、車両1には、例えば、アウトリガ(図示せず)を設け、校正作業を行うときは、車両1のアウトリガのアーム部を地面に押付けることにより、車両1の姿勢を安定させるようにしてもよい。また、アウトリガに代えて、車両1をジャッキアップして校正作業を行ってもよい。そして、図2に示すように、校正に先立って、校正装置11のハウジング12と秤14とを接続する。即ち、ハウジング12を秤14に載置する。
【0044】
図3および図5に示すように、閉塞部材23をハウジング12に吸着させ、ハウジング12の開口部21を閉塞部材23で塞ぐ。これにより、ハウジング12内は、一定の気密性が確保される。この状態で、窒素ガスボンベ25から乾燥ガス供給管路22を介して、ハウジング12内に乾燥ガスとなる窒素ガスNを供給し、ハウジング12内を乾燥状態にする。そして、このとき、ハウジング12の下面に図示しない排出口を設けることにより、必要に応じて、当該排出口の開口させることにより、窒素ガスNを供給する前にハウジング12内に入っている空気を排出し易くすることができる。ハウジング12内を乾燥状態にしたら、閉塞部材23を、ハウジング12の開口部21から取外す。即ち、ハウジング12の開口部21は、閉塞部材23で塞がずに開放する。
【0045】
そして、図2に示すように、校正装置11に水素ガスを充填するのに先立って(即ち、校正対象の水素ガス充填装置6の充填ノズル8を校正装置11の充填口16に接続するのに先立って)、水素ガスを充填する前(つまり、ハウジング12内に乾燥ガスを供給させた後)の被充填タンク13およびハウジング12の重量を秤14で計測する。このとき、図2および図4に示すように、閉塞部材23をハウジング12から外した状態(開口部21を開とした状態)で、被充填タンク13およびハウジング12の重量を秤14で計測する。なお、図2および図3では、車両1を省略しているが、校正装置11による校正は、校正装置11を車両1に搭載したまま行うことができる。
【0046】
次に、校正装置11の接続管路15の充填口16に、校正対象の水素ガス充填装置6の充填ノズル8を接続する。そして、水素ガス充填装置6により校正装置11の被充填タンク13に所定量の水素ガスを充填する。このとき、開閉弁17は開弁されている。また、被充填タンク13に充填する水素ガスの所定量は、校正対象となる水素ガス充填装置6の計測器で計測する。また、乾燥状態になったか否かは、例えば、ハウジング12内の湿度を検出する湿度計(湿度センサ、または露点計)の検出値(測定値)から判定することができる。
【0047】
ここで、水素ガス充填装置6により充填される水素ガスは、被充填タンク13で水素ガスを高圧充填することに伴う温度上昇を抑制するために、水素ガス充填装置6で冷却された状態で被充填タンク13に充填される。これに対して、実施形態では、ハウジング12内は、乾燥ガス(窒素ガスN)によって乾燥状態となっている。このため、水素ガス充填装置6により充填される水素ガスによって被充填タンク13等の機器の温度が低くなっても、結露が発生することを抑制できる。
【0048】
水素ガス充填装置6により所定量の水素ガスを被充填タンク13に充填したら、水素ガスの充填を終了し、水素ガス充填装置6の充填ノズル8と校正装置11の接続管路15の充填口16との接続を解除する(切離す)。この状態で、水素ガスを充填した後の被充填タンク13およびハウジング12の重量を秤14で計測する。
【0049】
そして、水素ガスの充填前後の秤14による重量計測値の差を求めることにより、水素ガスの充填量(重量)を算出する。算出された充填量(重量)は、水素ガス充填装置6で計測された所定量と比較し、校正装置11の値を基準として水素ガス充填装置6の計測器(流量計)を校正(補正)する。また、校正装置11の測定(算出)が終了したら、校正装置11の被充填タンク13から図示しない排出管路を通じて水素ガスを排出する。ハウジング12内の窒素ガスNについては、ハウジング12内から排出せずに、そのままハウジング12内に入れといてよい。
【0050】
以上のように、実施形態では、乾燥ガス供給管路22の外周面とハウジング12の開口部21の内周面との間には、全周にわたって隙間24が設けられている。このため、乾燥ガス供給管路22を通じて乾燥ガス(窒素ガスN)をハウジング12内に供給した後、秤14により重量の計測を行うときに、乾燥ガス供給管路22は、開口部21に隙間を持って挿入された状態が保持される。即ち、ハウジング12と乾燥ガス供給管路22との接続、および、ハウジング12と乾燥ガス供給管路22との取外しを必要とすることなく、乾燥ガス供給管路22を通じて乾燥ガスをハウジング12内に供給し、秤14により計測を行うことができる。これにより、ハウジング12に外力が加わり、秤14の計測精度に影響を与えることを抑制することができ、校正装置11による校正の精度を向上できる。
【0051】
実施形態では、ハウジング12の開口部21を閉塞または開口させる閉塞部材23が乾燥ガス供給管路22に設けられている。このため、開口部21を閉塞部材23で閉塞することにより、ハウジング12内に乾燥ガスを供給したときに開口部21から乾燥ガスが流出することを抑制できる。また、閉塞部材23は、乾燥ガス供給管路22に設けられている。このため、閉塞部材23は、乾燥ガス供給管路22に沿って移動させることで、開口部21を開口または閉塞することができる。これにより、閉塞部材23により開口部21を開口または閉塞するときにハウジング12に外力が加わることを抑制できる。
【0052】
実施形態では、閉塞部材23は、ハウジング12に対して磁力によって着脱が可能である。このため、閉塞部材23による開口部21の閉塞、開口を容易に行うことができる。即ち、磁力によってハウジング12に対する閉塞部材23の吸着、取外しを容易に行うことができる。
【0053】
実施形態では、開口部21は、ハウジング12の下面に設けられている。このため、ハウジング12内に供給された乾燥ガス(例えば、窒素ガスN)が開口部21から流出しにくくなり、かつ、乾燥ガスが供給される前のハウジング12内の気体(空気)を開口部21から流出し易くできる。これにより、ハウジング12内の気体(空気)と乾燥ガス(窒素ガスN)との置換を促進できる(乾燥ガスの入れ換えを効率よく行うことができる)。
【0054】
このように、実施形態では、乾燥ガスの流入時の流入部の気密性を、着脱が簡単なマグネット23Aの吸着力を利用した閉塞部材23で確保するため、閉塞部材23の着脱におけるハウジング12に加わる力を大幅に低減でき、秤14の計測精度の低下を抑制できる。また、閉塞部材23をハウジング12に対して磁力により取付けるため、例えば、ハウジング12内への乾燥ガスの流入量が多い場合には、ハウジング12内の圧力が一定以上になると、簡単に閉塞部材23がハウジング12から外れる。このため、安全弁等を設けなくても、ハウジング12の内圧に対する強度を上げる必要がなく、ハウジング12の重量を抑制でき、秤14の計測精度の確保することができる。
【0055】
なお、実施形態では、閉塞部材23は、ハウジング12に近い側をマグネット23Aとし、マグネット23Aよりもハウジング12から遠い側をシール部材23Bとした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、閉塞部材は、マグネットとシール部材の配置を逆、即ち、ハウジングに近い側をシール部材とし、シール部材よりもハウジングから遠い側をマグネットとしてもよい。さらに、ハウジングの開口部にマグネットを固定して設け、かつ、閉塞部材のシール部材支持部(芯金)を磁石が吸着する素材(例えば鋼材)により形成することにより、ハウジングのマグネットに閉塞部材のシール部材支持部を磁力によって着脱可能にしてもよい。
【0056】
実施形態では、開口部21を閉塞または開口させる閉塞部材23を備える構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、閉塞部材を省略してもよい。即ち、開口部の隙間が常にハウジング外に通じる構成としてもよい。
【0057】
実施形態では、開口部21をハウジング12の下面に設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、開口部をハウジングの側面(前面、後面、左側面、右側面)または上面に設ける構成としてもよい。
【0058】
実施形態では、校正装置11を車両1に搭載して校正を行う場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、校正装置を車両の荷台から降ろして校正を行ってもよい。また、校正装置を車両の荷台に搭載する場合を例に挙げて説明したが、例えば、トレーラ(被牽引車両)に搭載してもよい。即ち、校正装置を何に搭載するか、何で搬送するかは限定されない。
【0059】
実施形態では、校正装置11による水素ガス充填装置6の校正、即ち、秤14による計測、水素ガス充填装置6の計測器(流量計)の校正(補正)を手動で行う場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、コンピュータを用いて、計測と校正(補正)を自動で行う構成としてもよい。即ち、校正装置は、コンピュータ、センサ、アクチュエータおよび制御プログラムを用いて自動で行うことができる処理(例えば、計測、開閉弁、校正)は、自動で行う構成とすることができる。
【0060】
実施形態では、乾燥ガスとして窒素ガスNを用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、乾燥装置(ドライヤ)により乾燥させた乾燥空気等、窒素ガス以外の乾燥ガスを用いてもよい。
【0061】
実施形態では、校正対象として、車両の被充填タンクに水素ガスを充填する水素ガス充填装置6(換言すれば、車両の燃料タンクに水素ガスを供給する水素ガス供給装置)を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、車両以外の被充填タンク(タンク、容器等)に水素ガスを充填する水素ガス充填装置(水素ガス供給装置)に用いてもよい。
【0062】
以上説明した実施形態に基づく校正装置として、例えば下記に述べる態様のものが考えられる。
【0063】
第1の態様としては、ハウジングと、被充填タンクと、秤と、を備えた校正装置において、前記ハウジングに設けられた開口部と、前記開口部に挿入され、前記ハウジング内に乾燥ガスを供給させる乾燥ガス供給管路と、をさらに備え、前記乾燥ガス供給管路の外周面と前記開口部の内周面との間には、全周にわたって隙間が設けられている。
【0064】
この第1の態様によれば、乾燥ガス供給管路を通じて乾燥ガスをハウジング内に供給した後、秤により計測を行うときに、乾燥ガス供給管路は、開口部に隙間を持って挿入された状態が保持される。このため、ハウジングと乾燥ガス供給管路との接続、および、ハウジングと乾燥ガス供給管路との取外しを必要とすることなく、乾燥ガス供給管路を通じて乾燥ガスをハウジング内に供給し、秤により計測を行うことができる。これにより、着脱に関わらず乾燥ガス供給管路の振動等により、ハウジングに乾燥ガス供給管路が当たってしまうことによるハウジングへの外力が加わり、秤の計測精度に影響を与えることを抑制することができ、校正の精度を向上できる。
【0065】
第2の態様としては、第1の態様において、前記乾燥ガス供給管路に設けられ、前記開口部を閉塞または開口させる閉塞部材をさらに備える。この第2の態様によれば、開口部を閉塞部材で閉塞することにより、ハウジング内に乾燥ガスを供給したときに開口部から乾燥ガスが流出することを抑制できる。また、閉塞部材は、乾燥ガス供給管路に設けられる。このため、閉塞部材は、乾燥ガス供給管路に沿って移動させることで、開口部を開口または閉塞することができる。これにより、閉塞部材により開口部を開口または閉塞するときにハウジングに外力が加わることを抑制できる。
【0066】
第3の態様としては、第2の態様において、前記閉塞部材は、前記ハウジングに対して磁力によって着脱が可能である。この第3の態様によれば、閉塞部材による開口部の閉塞、開口を容易に行うことができる。即ち、磁力によってハウジングに対する閉塞部材の吸着、取外しを容易に行うことができる。
【0067】
第4の態様としては、第1の態様ないし第3の態様のいずれかにおいて、前記開口部は、前記ハウジングの下面に設けられている。この第4の態様によれば、ハウジング内に供給された乾燥ガスを開口部から流出しにくくでき、かつ、乾燥ガスが供給される前のハウジング内の気体(空気)を開口部から流出し易くできる。これにより、ハウジング内の気体(空気)と乾燥ガスとの置換を促進できる(乾燥ガスの入れ換えを効率よく行うことができる)。
【符号の説明】
【0068】
6 水素ガス充填装置(校正対象)
11 校正装置
12 ハウジング
13 被充填タンク
14 秤
21 開口部
22 乾燥ガス供給管路
23 閉塞部材
23A マグネット
23B シール部材
24 隙間
25 窒素ガスボンベ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7