IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特許7455553未硬化密封剤の絞り出しを防止するためのEMEキャップ
<>
  • 特許-未硬化密封剤の絞り出しを防止するためのEMEキャップ 図1
  • 特許-未硬化密封剤の絞り出しを防止するためのEMEキャップ 図2
  • 特許-未硬化密封剤の絞り出しを防止するためのEMEキャップ 図3
  • 特許-未硬化密封剤の絞り出しを防止するためのEMEキャップ 図4
  • 特許-未硬化密封剤の絞り出しを防止するためのEMEキャップ 図5
  • 特許-未硬化密封剤の絞り出しを防止するためのEMEキャップ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】未硬化密封剤の絞り出しを防止するためのEMEキャップ
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/14 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
F16B37/14 C
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019202104
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2020098028
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】16/185,500
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハンゼン, ダリン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハーグレーブ, ベンジャミン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】パジェル, カリッサ
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物(14)を通って延在する金属ファスナ(12)を包囲するための封じ込め装置(10)であって、
キャップ部材(16)を備え、前記キャップ部材(16)が、
第1の空洞(20)と第1の端部(22)を画定する第1の壁部材(18)であって、前記第1の端部(22)が、前記金属ファスナ(12)の少なくとも一部分用の前記第1の空洞(20)の中へのアクセスを提供する第1の開口部(24)を画定する、第1の壁部材(18)
記第1の壁部材(18)と共に接合された第2の壁部材(26)と、を備え、
前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)から間隔を空けられて前記第1の壁部材(18)に沿って連続的に前記第2の壁部材(26)の第1の端部(32)まで延在し、
前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)の間に配置された第2の空洞(30)を形成するように、前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)を取り囲み、
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)が、互いに同一平面上にある、封じ込め装置(10)。
【請求項2】
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)が、平坦面(34)を備える、請求項1に記載の封じ込め装置(10)。
【請求項3】
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)の前記平坦面(34)が、円形方向(C)に延在し、円形状(38)を有する第1の開口部(24)を画定する、請求項2に記載の封じ込め装置(10)。
【請求項4】
前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)が、互いに一体化されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の封じ込め装置(10)。
【請求項5】
前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)から間隔を空けられた位置(M)で接合されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の封じ込め装置(10)。
【請求項6】
前記第2の壁部材(26)の外面(52)が、前記第1の壁部材(18)の外面(28)から曲線方向(53)に延在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の封じ込め装置(10)。
【請求項7】
前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)が、平坦面(40)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の封じ込め装置(10)。
【請求項8】
前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)の前記平坦面(40)と前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)の前記平坦面(34)が、互いから間隔を空けられている、請求項2を引用する請求項7に記載の封じ込め装置(10)。
【請求項9】
前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)の前記平坦面(40)が、前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)の前記平坦面(34)を取り囲んでいる、請求項8に記載の封じ込め装置(10)。
【請求項10】
構造物(14)から延在する金属ファスナ(12)を包囲するための封じ込め装置(10)を設置する方法(62)であって、
未硬化密封剤(66)をキャップ部材(16)の第1の空洞(20)の中に置くステップ(64)であって、前記キャップ部材(16)が、
前記第1の空洞(20)と第1の端部(22)を画定する第1の壁部材(18)であって、前記第1の端部(22)が、前記金属ファスナ(12)の少なくとも一部分用の前記第1の空洞(20)の中へのアクセスを提供する第1の開口部(24)を画定する、第1の壁部材(18)を備え、
第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)の外面(28)に固定され、前記第1の壁部材(18)の前記外面(28)から延在し、
前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)から間隔を空けられて前記第1の壁部材(18)に沿って前記第2の壁部材(26)の第1の端部(32)まで延在し、
前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)の間に配置された第2の空洞(30)を形成するように、前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)を取り囲み、
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)が、互いに同一平面上にある、ステップ(64)、及び
前記金属ファスナ(12)の少なくとも一部分を前記第1の空洞(20)の中に挿入するステップ(68)を含む、方法(62)。
【請求項11】
前記金属ファスナ(12)に向けて方向(70)へ前記キャップ部材(16)上に力をかけるステップを更に含む、請求項10に記載の方法(62)。
【請求項12】
前記キャップ部材(16)上に前記力をかけるステップが、前記キャップ部材(16)の中心軸(74)の周りで前記キャップ部材(16)を回すことを更に含む、請求項11に記載の方法(62)。
【請求項13】
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記構造物(14)との間で、未硬化密封剤(66)を移動させるステップを更に含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法(62)。
【請求項14】
前記移動させるステップが、前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)が、前記構造物(14)から間隔を空けて配置された状態で、前記第1の壁部材(18)を越えて移動した未硬化密封剤(66)を、前記第2の空洞(30)と位置合わせするように配置することを更に含む、請求項13に記載の方法(62)。
【請求項15】
未硬化密封剤(66)が前記第2の空洞(30)内に配置された状態で、前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)を、前記構造物(14)に当接する関係で配置するステップを更に含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法(62)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁効果(「EME」)や雷撃イベントが生じた際に、金属ファスナが金属ファスナの位置の近傍に電流や火花を伝送することを電気的に絶縁する、電気絶縁封じ込め装置に関し、特に、キャップ部材の範囲内の金属ファスナ及びそこから金属ファスナが延在するところの構造物表面を包囲する、密封剤を含む電気絶縁キャップ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化密封材料から作られたキャップ部材などの電気絶縁封じ込め装置は、密封剤も含み、構造物表面から延在する金属ファスナアセンブリの端部分をカバーし、包囲し、且つ電気的に絶縁するために使用されてきた。金属ファスナアセンブリは、広い範囲のファスナを含んでよい。その場合、端部分は、例えば、ナット及びスタッド若しくはボルトのねじ付き端部分、又はワッシャー並びに他のそのような構成を伴ったボルトヘッドを含むことができる。キャップ部材は、キャップ部材の範囲内の金属ファスナの端部分、及びそこから金属ファスナが延在するところの構造物表面を閉じ込める。
【0003】
未硬化密封剤の一部分が、キャップ部材の範囲内に配置され、しばしば、キャップ部材の設置中に、キャップ部材の中に挿入される金属ファスナの端部分によって押し出される。押し出される未硬化密封剤は、キャップ部材の縁部と、キャップ部材の縁部が隣接するキャップ部材が設置されようとしている構造物表面との間から絞り出される。キャップ部材からの未硬化密封剤は、構造物表面上に配置され、キャップ部材の周りに配置される。
【0004】
次いで、キャップ部材から排出され又は絞り出された未硬化密封剤は、封じ込めキャップの周りで平滑化され、キャップ部材の適正な密封を保証する。未硬化密封剤の平滑化プロセスは、面倒で時間がかかる。更に、未硬化密封剤が平滑化された後で、キャップ部材の外側に配置された密封剤は、視覚検査、接着試験、及び接着後の検査も受ける。結果として、キャップ部材の設置の際に、キャップ部材の閉じ込めから逃げる未硬化密封剤の発生を防止するような、金属ファスナを電気的に絶縁するための未硬化密封剤を含むキャップ部材を設計することが必要である。
【発明の概要】
【0005】
一実施例は、構造物を通って延在する金属ファスナを包囲するための封じ込め装置を含む。その装置は、キャップ部材を含む。キャップ部材は、第1の空洞及び第1の端部を画定する第1の壁部材を含む。その場合、第1の端部は、金属ファスナの少なくとも一部分用の第1の空洞の中へのアクセスを提供する第1の開口部を画定する。キャップ部材は、第1の壁部材の外面に固定され且つ第1の壁部材の外面から延在する、第2の壁部材を更に含む。第2の壁部材は、第1の壁部材から間隔を空けられて第1の壁部材に沿って第1の端部まで延在する。第2の壁部材は、第1の壁部材と第2の壁部材が、第1の壁部材と第2の壁部材との間に配置された第2の空洞を形成するように、第1の壁部材を取り囲む。第1の壁部材の第1の端部と第2の壁部材の第1の端部は、互いに同一平面上にある。
【0006】
一実施例は、構造物から延在する金属ファスナを包囲するための封じ込め装置を設置する方法を含む。該方法は、未硬化密封剤をキャップ部材の第1の空洞の中に置くステップを含む。キャップ部材は、第1の空洞及び第1の端部を画定する第1の壁部材を含む。その場合、第1の端部は、金属ファスナの少なくとも一部分用の第1の空洞の中へのアクセスを提供する第1の開口部を画定する。キャップ部材は、第1の壁部材の外面に固定され且つ第2の壁部材の外面から延在する、第2の壁部材を更に含む。その場合、第2の壁部材は、第1の壁部材から間隔を空けられて第1の壁部材に沿って第2の壁部材の第1の端部まで延在する。第2の壁部材は、第1の壁部材と第2の壁部材が、第1の壁部材と第2の壁部材との間に配置された第2の空洞を形成するように、第1の壁部材を取り囲む。第1の壁部材の第1の端部と第2の壁部材の第1の端部は、互いに同一平面上にある。該方法は、金属ファスナの少なくとも一部分を第1の空洞の中に挿入するステップを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】金属ファスナの端部分と、そこから金属ファスナが延在するところの構造物とを包囲するための、封じ込め装置の分解斜視図である。
図2】構造物表面から延在する金属ファスナの一部分を包囲する、構造物表面に対して配置された、図1の封じ込め装置の断面図である。
図3】そこから金属ファスナが延在するところの構造物表面上に設置された図2の封じ込め装置の上面図である。
図4】封じ込めキャップが設置され金属ファスナの端部分を包囲する前の、未硬化密封剤が封じ込めキャップの第1の空洞内に配置された、図1の封じ込め装置の中への斜視図である。
図5】設置されようとしている図2の封じ込め装置の断面図である。
図6】構造物を通って延在する金属ファスナを包囲するための封じ込め装置を設置するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図3を参照すると、構造物14を通って延在する金属ファスナ12を包囲するための封じ込め装置10が示されている。封じ込め装置10のキャップ部材16は、第1の壁部材18を含む。第1の壁部材18は、第1の空洞20と第1の端部22を画定する。その場合、第1の端部22は、金属ファスナ12の少なくとも一部分用の第1の空洞20の中へのアクセスを提供する第1の開口部24を画定する。第2の壁部材26が、第1の壁部材18の外面28に固定され、第1の壁部材18の外面28から延在する。第2の壁部材26は、第1の壁部材18から間隔を空けられて第1の壁部材18に沿って第1の端部32まで延在する。第2の壁部材26は、分離した部品として第1の壁部材18に連結されてよく、又は単一の部品として一体的に成形されてよい。図4で見られるように、第2の壁部材26は、第1の壁部材18を取り囲んでいる。それによって、第1の壁部材18と第2の壁部材26は、第1の壁部材18と第2の壁部材26の間に配置された第2の空洞30を形成する。図5で見られるように、第1の壁部材18の第1の端部22と第2の壁部材26の第1の端部32は、互いに同一平面上にあり、平面P内に配置されている。キャップ部材16のこの構成は、設置中にキャップ部材16から未硬化密封剤を絞り出すことがないように、未硬化密封剤を閉じ込めることをもたらす。未硬化密封剤がキャップ部材16を出て行くのを避けることにおいて、出て行った未硬化密封剤を平滑化する必要がないので、大幅な労力及び費用を避けることができる。更に、第2の空洞30は、設置中に第1の空洞20の中への金属ファスナ12の挿入によって第1の空洞20から押し出された未硬化密封剤を閉じ込める。第2の空洞30内に閉じ込められた未硬化密封剤は、硬化したときに、第1の空洞20内に配置された硬化した密封剤によって提供される、キャップ部材16の構造物14に対する固定を更に強化する。
【0009】
キャップ部材16は、例えば様々な成形技術や積層造形法などの様々な製作工程のうちの1つで、例えば、熱可塑性材料や熱硬化性材料などの幅広い様々な材料のうちの1つから構築されてよい。熱可塑性材料は、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、及びポリエーテルイミドのような組成物、又は他の同様な組成物を含んでよい。熱硬化性材料は、例えば、ポリスルフィド、ポリチオエーテル、ポリウレタン、エポキシ、アクリレート、若しくはポリイミドのような組成物、又は他の同様な組成物を含んでよい。
【0010】
図2及び図4を参照すると、この実施例では、第1の端部22が平坦面34を含む。図4で見られるように、第1の端部22の平坦面34は、円形方向Cに延在し、円形状38を有する第1の開口部24を画定している。平坦面34は、キャップ部材16が構造物14の平坦面に対して配置された状態で、金属ファスナ12の信頼可能な閉じ込めを提供する。円形状は、キャップ部材16の製造における容易さを提供し、種々の形状の金属ファスナ12に係合する多用途構成を提供する。この実施例では、第2の壁部材26の第1の端部32が、平坦面40を含む。平坦面40は、未硬化密封剤が、第2の空洞30から出ること及びキャップ部材16の外側に配置されることを防止することにおいて、第2の空洞30での信頼可能な閉じ込めを提供する。第2の壁部材26の第1の端部32の平坦面40と第1の壁部材18の第1の端部22の平坦面34は、互いから間隔を空けられており、第2の壁部材26の第1の端部32の平坦面40は、第1の壁部材18の第1の端部22の平坦面34を取り囲む。第2の壁部材26の平坦面40は、円形方向C’に延在している。図4で見られるように、平坦面34及び40は同心構成を提供する。第1の壁部材18の周りで間隔を空けて第2の壁部材26が取り囲むことによって、第2の空洞30内に未硬化密封剤を固定し保存するための第2の空洞30が設けられ、初めに第1の空洞20内に配置された未硬化密封剤が、キャップ部材16を出ることを防止する。
【0011】
図2で見られるように、この実施例では、第1の壁部材18と第2の壁部材26が、互いに一体化され、それは、製造における容易さ及び組立てに関する費用の低減をもたらす。第1の壁部材18と第2の壁部材26は、第1の壁部材18の第1の端部22と第2の壁部材26の第1の端部32から間隔を空けられた位置Mで共に接合されている。第1の壁部材18と第2の壁部材26のこの構成は、第1の空洞20を出て行く未硬化密封剤を受け入れるための、第2の空洞30内の受け入れ空間を提供し、未硬化密封剤が第2の空洞30を出て行くことを防止する。第2の壁部材26の内面42は、第2の壁部材26の第1の端部32から曲線方向44に延在する。第1の壁部材18の内面46の少なくとも一部分45は、曲線方向47に延在する。それぞれの壁部材の曲面は、キャップ部材16の製造における容易さをもたらす。第2の壁部材26の外面52は、第1の壁部材18の外面28から曲線方向53に延在し、キャップ部材16の製造における容易さをもたらす、滑らかな連続的外面を提供する。
【0012】
図6を参照すると、構造物14表面17から延在する金属ファスナ12を包囲するための封じ込め装置10を設置する方法62は、キャップ部材16の第1の空洞20の中に未硬化密封剤66を置くステップ64を含む。図4で見られるように、キャップ部材16は、第1の空洞20と第1の端部22を画定する第1の壁部材18を含む。未硬化密封剤66は、例えば、ポリスルフィド、ポリチオエーテル、ポリウレタン、エポキシ、アクリレート、又はポリイミドなどの、幅広い様々な化学組成物のうちの1つを含んでよい。第1の端部22は、金属ファスナ12の少なくとも一部分用の第1の空洞20の中へのアクセスを提供する第1の開口部24を画定する。図2で見られるように、第2の壁部材26が、第1の壁部材18の外面に固定され、第1の壁部材18の外面28から延在する。第2の壁部材26は、第1の壁部材18から間隔を空けられて第1の壁部材18に沿って第2の壁部材26の第1の端部32まで延在する。第2の壁部材26は、第1の壁部材18を取り囲んでいる。それによって、第1の壁部材18と第2の壁部材26は、第1の壁部材18と第2の壁部材26の間に配置された第2の空洞30を形成する。図5で見られるように、第1の壁部材18の第1の端部22と第2の壁部材26の第1の端部32は、互いに同一平面上にあり、平面P内に配置されている。方法62は、図5でも見られるように、金属ファスナ12の少なとも一部分を第1の空洞20の中に挿入するステップ68を更に含む。方法62は、キャップ部材16の設置を提供する。それによって、未硬化密封剤66は、設置中にキャップ部材16内に閉じ込められ、キャップ部材16内の未硬化密封剤66が、設置中にキャップ部材16から絞り出されることをもたらさない。未硬化密封剤66がキャップ部材16を出て行くのを避けることにおいて、キャップ部材16から出て行った未硬化密封剤66を平滑化する必要がないので、大幅な労力及び費用を節約することができる。更に、第2の空洞30は、設置中に金属ファスナ12の挿入によって第1の空洞20から出て来て第2の空洞30の中に入る、未硬化密封剤66を閉じ込める。第2の空洞30内に閉じ込められた未硬化密封剤66は、硬化したときに、第1の空洞20内に配置された硬化した密封剤66によって提供される、キャップ部材16の構造物14に対する固定を更に強化する。方法62は、金属ファスナ12に向けて方向70へキャップ部材16上に力をかけるステップを更に含む。キャップ部材16上に力をかけるステップは、キャップ部材16の中心軸74の周りで方向72にキャップ部材16を回すことを更に含む。金属ファスナ12が第1の空洞20の中に挿入されようとしている状態で、金属ファスナ12に向けて力を加えること及びキャップ部材16を回すことは、第1の空洞20を出て行く未硬化密封剤66を滑らかにし(smoothing)薄くする(thinning out)。
【0013】
方法62は、図5で見られるように、第1の壁部材18の第1の端部22と構造物14との間で、未硬化密封剤66を移動させるステップを更に含む。未硬化密封剤66のこの移動は、キャップ16を回転させること及びキャップ部材16上へ力を加えることによって、第1の壁部材18の第1の端部22と構造物14の表面17との間に配置されている未硬化密封剤66を滑らかにし絞り出すことを伴って、促進される。壁部材18の第1の端部22との間の未硬化密封剤66の移動は、押し出された未硬化密封剤が第1の空洞20から第2の空洞30の中へ移動することを可能にし、第1の端部22と構造物14との間を通って流れる未硬化密封剤の抵抗をほとんど受けることなしに、キャップ部材16を金属ファスナ12上に設置することを容易にし得る。移動させるステップは、第1の壁部材18の第1の端部22と第2の壁部材26の第1の端部32が、構造物14から間隔を空けて配置された状態で、第1の壁部材18を越えて移動した未硬化密封剤66を、第2の空洞30と位置合わせするように配置することを更に含む。未硬化密封剤66を第2の空洞30と位置合わせするように配置することによって、キャップ部材16を設置するときに、未硬化密封剤66を第2の空洞30内に閉じ込めることが容易になる。方法62は、未硬化密封剤66が第2の空洞30内に配置された状態で、第1の壁部材18の第1の端部22と第2の壁部材26の第1の端部32を、構造物14に当接する関係で配置するステップを更に含む。第1の端部22と第1の端部32を構造物14に対して当接させることによって、第2の空洞30に位置合わせされた未硬化密封剤66は、次いで、第2の空洞30内に閉じ込められ、キャップ部材16から出て行くことを密封される。それによって、結果として、第1の壁部材18から絞り出された未硬化密封剤66は、第2の壁部材26が未硬化密封剤66が第2の壁部材26を越えて絞り出されることをブロックすることによって、第2の空洞30内に閉じ込められる。上述されたように、キャップ部材16内に未硬化密封剤66を閉じ込めることは、未硬化密封剤66を平滑化する必要なしに、労力及び費用を低減させ、未硬化密封剤66が、キャップ部材16の外側の構造物14上に配置されること及び未硬化密封剤66に敏感な環境内に配置されることを防止する。第1の空洞20内に配置された未硬化密封剤66は、硬化したときに、キャップ部材16を構造物14に固定し、第2の空洞30内に配置された未硬化密封剤66は、硬化したときに、キャップ部材16を構造物14に更に固定する。
【0014】
更に本発明は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1.
構造物(14)を通って延在する金属ファスナ(12)を包囲するための封じ込め装置(10)であって、
キャップ部材(16)を備え、前記キャップ部材(16)が、
第1の空洞(20)と第1の端部(22)を画定する第1の壁部材(18)であって、前記第1の端部(22)が、前記金属ファスナ(12)の少なくとも一部分用の前記第1の空洞(20)の中へのアクセスを提供する第1の開口部(24)を画定する、第1の壁部材(18)を備え、
第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)の外面(28)に固定され、前記第1の壁部材(18)の前記外面(28)から延在し、
前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)から間隔を空けられて前記第1の壁部材(18)に沿って第1の端部(32)まで延在し、
前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)の間に配置された第2の空洞(30)を形成するように、前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)を取り囲み、
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)が、互いに同一平面上にある、封じ込め装置(10)。
条項2.
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)が、平坦面(34)を備える、条項1に記載の封じ込め装置(10)。
条項3.
前記第1の端部(22)の前記平坦面(34)が、円形方向(C)に延在し、円形状(38)を有する第1の開口部(24)を画定する、条項2に記載の封じ込め装置(10)。
条項4.
前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)が、互いに一体化されている、条項1から3のいずれか一項に記載の封じ込め装置(10)。
条項5.
前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)から間隔を空けられた位置(M)で接合されている、条項1から4のいずれか一項に記載の封じ込め装置(10)。
条項6.
前記第2の壁部材(26)の外面(52)が、前記第1の壁部材(18)の前記外面(28)から曲線方向(53)に延在する、条項1から5のいずれか一項に記載の封じ込め装置(10)。
条項7.
前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)が、平坦面(40)を備える、条項1から6のいずれか一項に記載の封じ込め装置(10)。
条項8.
前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)の前記平坦面(40)と前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)の前記平坦面(34)が、互いから間隔を空けられている、条項7に記載の封じ込め装置(10)。
条項9.
前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)の前記平坦面(40)が、前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)の前記平坦面(34)を取り囲んでいる、条項8に記載の封じ込め装置(10)。
条項10.
前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)の前記平坦面(40)が、円形方向(C’)に延在する、条項9に記載の封じ込め装置(10)。
条項11.
構造物(14)から延在する金属ファスナ(12)を包囲するための封じ込め装置(10)を設置する方法(62)であって、
未硬化密封剤(66)をキャップ部材(16)の第1の空洞(20)の中に置くステップ(64)であって、前記キャップ部材(16)が、
前記第1の空洞(20)と第1の端部(22)を画定する第1の壁部材(18)であって、前記第1の端部(22)が、前記金属ファスナ(12)の少なくとも一部分用の前記第1の空洞(20)の中へのアクセスを提供する第1の開口部(24)を画定する、第1の壁部材(18)を備え、
第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)の外面(28)に固定され、前記第1の壁部材(18)の前記外面(28)から延在し、
前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)から間隔を空けられて前記第1の壁部材(18)に沿って前記第2の壁部材(26)の第1の端部(32)まで延在し、
前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)と前記第2の壁部材(26)の間に配置された第2の空洞(30)を形成するように、前記第2の壁部材(26)が、前記第1の壁部材(18)を取り囲み、
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)が、互いに同一平面上にある、ステップ(64)、及び
前記金属ファスナ(12)の少なくとも一部分を前記第1の空洞(20)の中に挿入するステップ(68)を含む、方法(62)。
条項12.
前記金属ファスナ(12)に向けて方向(70)へ前記キャップ部材(16)上に力をかけるステップを更に含む、条項11に記載の方法(62)。
条項13.
前記キャップ部材(16)上に前記力をかけるステップが、前記キャップ部材(16)の中心軸(74)の周りで前記キャップ部材(16)を回すことを更に含む、条項12に記載の方法(62)。
条項14.
前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記構造物(14)との間で、未硬化密封剤(66)を移動させるステップを更に含む、条項11から13のいずれか一項に記載の方法(62)。
条項15.
前記移動させるステップが、前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)が、前記構造物(14)から間隔を空けて配置された状態で、前記第1の壁部材(18)を越えて移動した未硬化密封剤(66)を、前記第2の空洞(30)と位置合わせするように配置することを更に含む、条項14に記載の方法(62)。
条項16.
未硬化密封剤(66)が前記第2の空洞(30)内に配置された状態で、前記第1の壁部材(18)の前記第1の端部(22)と前記第2の壁部材(26)の前記第1の端部(32)を、前記構造物(14)に当接する関係で配置するステップを更に含む、条項11から15のいずれか一項に記載の方法(62)。
【0015】
様々な実施形態について上記したが、本開示はそれらに限定されることを意図するものではない。開示されている実施形態に対しては、添付の特許請求の範囲内で更に変形を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6