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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240318BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240318BHJP
   H04N 1/12 20060101ALI20240318BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H04N1/04 106Z
H04N1/10
H04N1/12
G03B27/50 B
G03B27/50 H
G03B27/50 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019215854
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021087148
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 聡
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-035136(JP,A)
【文献】特開平11-146199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/10
H04N 1/12
G03B 27/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を積載する原稿積載部と、
前記原稿積載部に積載された原稿を搬送する原稿搬送部と、
前記原稿搬送部により搬送された原稿の画像を設定された読取解像度によって読み取り、読み取った画像の画像情報を生成する画像読取部と、
前記画像読取部に白基準部材を読み取らせて、前記画像情報をシェーディング補正するためのシェーディング補正値を取得するシェーディング処理部と、を備え、
前記シェーディング処理部は、
記原稿積載部に原稿が積載された場合、前記画像読取部によって前記白基準部材を第1読取解像度で読み取ることにより前記シェーディング補正値として第1補正値を取得し、
前記原稿の読取開始の指示を受ける前に、前記読取解像度の設定の変更に関する設定変更情報を受けた場合、前記原稿の読取開始の指示を受ける前に、前記設定変更情報に基づいて変更された第2読取解像度前記画像読取部により前記白基準部材を再び読み取ることにより、前記シェーディング補正値として第2補正値を取得する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記シェーディング補正値を取得するために前記画像読取部を前記白基準部材に対向する位置に移動させる移動部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
ユーザにより情報を入力される操作部を備え、
前記設定変更情報は、前記操作部により入力される情報である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記読取解像度を変更する変更指示を入力可能であり、
前記変更指示は、前記設定変更情報であり、
前記読取解像度は、前記変更指示の入力に基づいて変更される、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記操作部は、画像形成の倍率に関する倍率情報を入力可能であり、
前記倍率情報は、前記設定変更情報であり、
前記読取解像度は、前記倍率情報の変更に基づいて変更される、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項6】
画像情報を外部装置に送信する送信部を備え、
前記操作部は、前記送信部により送信される画像情報の送信解像度を入力可能であり、
前記送信解像度は、前記設定変更情報であり、
前記読取解像度は、前記送信解像度の変更に基づいて変更される、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読取解像度は、主走査方向の読取解像度と副走査方向の読取解像度とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
記憶部を備え、
前記シェーディング処理部は、前記原稿の読取開始の指示を受ける前に、前記読取解像度の設定の変更に関する設定変更情報を受けた場合、前記第2読取解像度に対応する前記シェーディング補正値が前記記憶部に記憶されていれば、前記白基準部材の再びの読み取りを行わず、前記第2読取解像度に対応する前記シェーディング補正値が前記記憶部に記憶されていなければ、前記第2補正値を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ等の画像読取装置や、複写機等に設けられた画像読取装置では、画像読取処理の高速化が望まれている。このため、原稿を600dpiで読み取り可能な画像読取装置において、読取解像度を落として300dpiで読み取りする画像読取装置が知られている。このような画像読取装置では、変倍率や出力解像度といった読取ジョブの設定に基づいて、読取解像度を600dpiあるいは300dpiにするかを、読取ジョブの開始後、即ち、開始ボタンの押し下げ後、画像読取処理の中で決定する。
【0003】
一方、画像読取装置としては、シートの画像を読み取る前の準備として、基準データとして基準白板を読み取る動作を行なってシェーディング補正値を取得する補正値取得処置を実行するものが普及している。近年では、FCOT(First Copy Output Time)、即ち、読取開始指示から1枚目の出力までの時間を短縮することが望まれている。そこで、シェーディング補正値を取得する補正値取得処理を読取ジョブの開始前に先行して行うことで、FCOTを短縮させる画像読取装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-306707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の構成では、読取ジョブの開始前にシェーディング補正値を取得する補正値取得処理を先行して行う場合、読取解像度を例えば600dpi等で固定して補正値取得処理を行っていた。これに対し、例えば、コピー処理において倍率を50%に設定変更した場合や、ファクシミリ送信の送信解像度を300dpiに設定した場合には、読取解像度を300dpiで画像読取処理を行うようになる。このため、読取ジョブの開始前に補正値取得処理を行った読取解像度と読取ジョブの開始後の実際の読取解像度とが、異なる場合がある。その場合、読取ジョブの開始後、補正値取得処理をやり直す必要があるため、その時間の分だけ画像読取処理が遅れてしまい、FCOTが遅くなるという課題があった。
【0006】
本発明は、読取開始指示から1枚目の出力までの時間を短縮可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像読取装置は、原稿を積載する原稿積載部と、前記原稿積載部に積載された原稿を搬送する原稿搬送部と、前記原稿搬送部により搬送された原稿の画像を設定された読取解像度によって読み取り、読み取った画像の画像情報を生成する画像読取部と、前記画像読取部に白基準部材を読み取らせて、前記画像情報をシェーディング補正するためのシェーディング補正値を取得するシェーディング処理部と、を備え、前記シェーディング処理部は、前記原稿積載部に原稿が積載された場合、前記画像読取部によって前記白基準部材を第1読取解像度で読み取ることにより前記シェーディング補正値として第1補正値を取得し、前記原稿の読取開始の指示を受ける前に、前記読取解像度の設定の変更に関する設定変更情報を受けた場合、前記原稿の読取開始の指示を受ける前に、前記設定変更情報に基づいて変更された第2読取解像度前記画像読取部により前記白基準部材を再び読み取ることにより、前記シェーディング補正値として第2補正値を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、読取開始指示から1枚目の出力までの時間を短縮する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る画像読取装置を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る画像読取装置を示す断面図である。
図3】本実施形態に係る画像読取装置の制御系を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る画像読取装置の操作部の表示画面であり、(a)はトップメニュー画面、(b)はコピー画面である。
図5】本実施形態に係る画像読取装置の操作部の表示画面であり、(a)は倍率を変更する画面、(b)はSEND画面である。
図6】本実施形態に係る画像読取装置の操作部に示された送信解像度画面である。
図7】本実施形態に係る画像読取装置における読取ジョブの開始前に読取解像度を設定する処理手順を示す第1のフローチャートである。
図8】本実施形態に係る画像読取装置における読取ジョブの開始前に読取解像度を設定する処理手順を示す第2のフローチャートである。
図9】本実施形態に係る画像読取装置における読取ジョブの開始前に読取解像度を設定する処理手順を示す第3のフローチャートである。
図10】本実施形態に係る画像読取装置における読取ジョブの開始後に読取解像度を設定する処理手順を示すフローチャートである。
図11】本実施形態に係る画像読取装置において流し読みを実行する際の断面図であり、(a)は表面読取部が待機位置にある場合、(b)は表面読取部が流し読み位置にある場合である。
図12】本実施形態に係る画像読取装置において固定読みを実行する際の断面図であり、(a)は表面読取部が待機位置にある場合、(b)は表面読取部が圧板加速開始位置にある場合である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
[画像形成装置]
まず、画像読取装置としての画像形成装置1の構成について図1を参照しながら説明する。画像形成装置1は、図1に示すように、装置本体2と画像読取装置10とを備えた複合機である。本実施形態では、ユーザが画像形成装置1に対して各種情報の入力や設定を行う操作部(入力部)3に臨む位置を画像形成装置1の「手前側」とし、背面側を「奥側」とする。また、画像形成装置1を手前側から視たときの左右方向を、そのまま左右方向とする。
【0012】
装置本体2は、記録媒体として用いられる記録材に画像を形成する。即ち、装置本体2は、画像読取装置10により読み取られた画像の画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部に相当する。装置本体2の上方に配置された画像読取装置10は、読取装置本体20とADF(Auto Document Feeder、搬送部)30とを備え、シートである原稿の画像の印刷された原稿面を光学的に走査して画像情報を読み取る。ADF30は、読取装置本体20に対して、読取装置本体20の上面奥側に設けられた右ヒンジ11及び左ヒンジ12により、開閉自在となるように接続されている。記録材又は原稿として用いられるシートには、薄紙及び厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHP)等のプラスチックフィルム、コート紙等の表面処理がされた紙、封筒等の特殊形状のシート、及び布が含まれる。
【0013】
[読取装置本体]
図2に示すように、読取装置本体20は、原稿台ガラス21と、表面読取部(読取部、第1読取部)22、光学モータ(移動部)305(図3参照)と、読取移動ガイド24と、表面流し読みガラス26と、白基準部材(基準部)25と、を有する。読取装置本体20は、光学モータ305を用いて表面読取部22を読取移動ガイド24に沿って移動させながら、原稿台ガラス21上に載置された原稿の表面(第1面)を1ラインずつ読み取ることで、原稿の表面の画像の読み取りを行う。また、原稿台ガラス21上に載置された原稿は、ADF30が閉じられると圧板白板によって押さえられて固定される。表面流し読みガラス26は、白基準部材25と一体になっており、ADF30により表面流し読みガラス26上に搬送されてきた原稿の画像を表面読取部22により読み取る。
【0014】
本実施形態では、白基準部材25は、下方を向いた第1基準面(第1基準部)25aと上方を向いた第2基準面(第2基準部)25bとを有する。白基準部材25の第1基準面25aは、シェーディング補正値を設定するために、表面読取部22によって読み取られる。白基準部材25の第2基準面25bは、シェーディング補正値を設定するために、後述する裏面読取部40によって読み取られる。
【0015】
[ADF]
ADF30は、1枚以上の原稿で構成される原稿束を積載する原稿トレイ31と、分離機構としての分離ローラ対32と、ピックアップローラ33とを有する。原稿トレイ31は、原稿の有無を検知する原稿有無センサ205を有する。ピックアップローラ33を、原稿トレイ31に積載された原稿束の最上面に落下させて回転させることにより、原稿束の最上面の原稿が搬送される。ピックアップローラ33によって搬送された原稿は、分離ローラ対32の作用によって最上面の1枚が分離され搬送される。これにより、分離ローラ対32は、原稿の搬送開始前に、原稿束が原稿トレイ31より突出して下流へ進出するのを規制する。この分離は、公知の分離技術によって実現されている。
【0016】
分離ローラ対32によって分離された原稿は、レジローラ対35へと搬送されて突き当てられる。突き当てられた原稿の先端部分がループ状に形成され、これにより原稿搬送における斜行が解消される。レジローラ対35の下流側には、レジローラ対35を通過した原稿を表面流し読みガラス26方向へ搬送する搬送路が配置されている。搬送路に送られた原稿は、リード上流ローラ対36によって両面読取位置に搬送される。表面読取の場合、表面流し読みガラス26と、裏面流し読みガラス37の間を通過する原稿は、流し読みガイド34の下を通過する際、表面流し読みガラス26の下から表面LED22a、22bにより照射される。表面LED22a、22bからの反射光を、表面レンズアレイ27を通して表面ラインセンサ28で読み取ることによって、原稿の表面の画像を読み取る。
【0017】
両面読取の場合、表面は前述したように表面読取部22で読み取りを行う。表面とは反対側の裏面(第2面)については、裏面読取部(読取部、第2読取部)40により、表面流し読みガラス26と一体となった白基準部材25上を通過する際に、裏面LED40a、40bにより照射される。裏面LED40a、40bからの反射光を、裏面レンズアレイ41を通して裏面ラインセンサ42で読み取ることによって、原稿の裏面の画像を読み取る。リード下流ローラ対38により搬送された原稿は、排出ローラ対39によって排出トレイ43上に排出される。裏面読取部40は、白基準部材25の第2基準面25bに対向した状態でADF30に固定されている。ADF30によって搬送された原稿は、裏面読取部40と第2基準面25bとの間を搬送される。
【0018】
表面読取部22及び裏面読取部40としては、等倍光学系の密着型イメージセンサ(CIS(Contact Image Sensor))が用いられている。密着型イメージセンサは、光源としてのLEDから原稿の画像面に光を照射し、画像面で反射した反射光を表面ラインセンサ28及び裏面ラインセンサ42にそれぞれ結像して光電変換して画像情報を読み取るものである。本実施形態では、表面読取部22及び裏面読取部40として、CISを適用しているが、これには限られず、レンズアレイやミラーを用いた縮小光学系で構成されるCCDなども適用することができる。
【0019】
[制御部]
図3は、本実施形態の画像読取装置10の制御部4を示すブロック図である。制御部4は、リーダ制御部300とシステム制御部310とを備えている。リーダ制御部300は、中央演算処理装置であるリーダCPU301と、リードオンリーメモリであるリーダROM302と、ランダムアクセスメモリであるリーダRAM303とを備えている。リーダROM302には、制御プログラムが格納されており、リーダRAM303には、入力データや作業用データが格納される。リーダCPU301には、原稿搬送機能を実現するために、搬送用の各ローラを駆動させる搬送モータ306が接続されている。ローラは、例えば、駆動や停止を切り替えるクラッチを介して、搬送モータ306と接続されている。
【0020】
さらに、リーダCPU301には、原稿トレイ31に積載された原稿を検知する原稿有無センサ205と、シート搬送路上の原稿端部を検知する給紙センサ207と、リードセンサ210とが接続されている。本実施形態での搬送モータ306はパルスモータであり、リーダCPU301は駆動パルス数を制御する事で各モータのパルスを管理している。パルス数は搬送中の原稿の搬送距離として捉えることができ、リーダCPU301はモータパルスから算出した搬送距離を基に、各負荷などを制御し原稿の搬送を行っている。
【0021】
リーダCPU301には、原稿読取機能を実現するために、表面LED22a、22bと、表面ラインセンサ28と、が接続される。リーダCPU301は表面ラインセンサ28によって読み取られた画像データを画像処理部304で各種画像処理を実施してから画像データバス322を介してシステム制御部310へ送信する。さらに、リーダCPU301は原稿画像データの先端の基準となる垂直同期信号及び1ラインの画素先端の基準となる水平同期信号を原稿読み取りタイミングに合わせて、制御部IFを通してシステム制御部310へ通知する。
【0022】
システム制御部310では、システムCPU311と、システムROM312と、システムRAM313とを備えており、リーダCPU301とのコマンドデータバス321を介して原稿読取制御に関するデータの授受を行う。画像処理部304で処理された画像データは画像データバス322を介して、システム制御部310内の画像処理部314へ転送されて、色の判断などの所定の画像処理を施された後に、画像メモリ315に格納される。また、システム制御部310は、操作部3に接続されており、ユーザとのインターフェイス制御は操作部3を介してシステムCPU311によって行われる。尚、操作部3は、液晶表示及びタッチ入力可能な表示パネルにより構成されている。
【0023】
[操作部の画面]
本実施形態における操作部3に表示する画面例について、図4(a)~図6を用いて説明する。図4(a)に、操作部3に表示するトップメニュー画面の一例を示す。トップメニュー画面400に表示される各機能のボタンを押下することにより、ジョブの設定とジョブを開始するための画面に遷移する。コピーボタン401は、コピー機能を実行するコピー画面に遷移するためのボタンである。SENDボタン402は、ファクシミリ機能を実行するSEND画面に遷移するためのボタンである。プリントボタン403は、文書の印刷機能を実行するプリント画面に遷移するためのボタンである。
【0024】
図4(b)に示すように、コピーボタン401(図4(a)参照)を押下して遷移するコピー画面410では、基本的な設定として、カラー選択ボタン411、倍率ボタン412、用紙選択ボタン413が配置されている。また、それらの設定状況が、設定表示部417に表示されている。基本的な設定以外の設定はその他の機能416を押下することによって選択可能である。ここでは図示しないが、その他の機能416には、ページ印字やページ集約や製本など様々な機能が用意されている。それら機能の中でユーザが頻繁に使う機能については、コピー画面にショートカットボタンを作成可能となっている。ここでは、両面印刷を設定するための両面ボタン414、印刷時の出力モードや、後処理を設定するための仕上げボタン415を配置している。
【0025】
図5(a)に示すように、倍率ボタン412(図4(b)参照)を押下することで表示される倍率画面420では、指定したい倍率をマイナスボタン421、プラスボタン422で変更可能となっている。倍率を変更した後、OKボタン424の押下で倍率を決定させるか、キャンセルボタン423の押下で設定変更の取り消しが可能である。
【0026】
図5(b)に示すように、SENDボタン402(図4(a)参照)を押下して遷移するSEND画面430では、基本的な設定として、カラー選択ボタン433、送信解像度ボタン434、読取サイズボタン435が配置されている。基本的な設定以外の設定は、その他の機能436を押下することによって選択可能である。送信先は、アドレス帳ボタン431で表示される不図示のアドレス帳から選択するか、新規に入力ボタン432から新しい送信先の設定が可能である。
【0027】
図6に示すように、送信解像度ボタン434(図5(b)参照)を押下することで表示される送信解像度画面440では、送信解像度のボタンが表示されている。ここでは、例えば、100×100dpiボタン441と、300×300dpiボタン442と、600×600dpiボタン443とが配置されており、300×300dpiがデフォルトの設定として選択されている。送信解像度を変更した後、OKボタン445で送信解像度を決定させるか、キャンセルボタン444の押下で設定変更の取り消しが可能である。
【0028】
ここで、本実施形態の画像読取装置10では、読取ジョブでの原稿搬送前に以下のことを実行している。(1)読取センサ(CMOS)起動、(2)LEDの点灯、(3)光学調整(シェーディング)、(4)光学ユニットの読み取り位置への移動。また、読取ジョブの開始前にシェーディング補正値を取得する補正値取得処理を先行して行う場合、読取解像度を例えば600dpi等で固定して補正値取得処理を行っていた。これに対し、例えば、コピー処理において倍率を50%に設定変更した場合や、ファクシミリ送信の送信解像度を300dpiに設定した場合には、読取解像度を300dpiで画像読取処理を行うようになる。このため、読取ジョブの開始前に補正値取得処理を行った読取解像度と読取ジョブの開始後の実際の読取解像度とが、異なる場合がある。その場合、読取ジョブの開始後、補正値取得処理をやり直す必要がある。
【0029】
やり直しが必要になる理由としては、(1)読取センサ(CMOS)起動、(2)LEDの点灯、(3)光学調整(シェーディング)というのは、カラーモード及び解像度によって読取センサの駆動周波数を変えていることに起因する。即ち、事前に準備していた解像度が異なる場合は、表面ラインセンサ28又は裏面ラインセンサ42の駆動周波数を変えるために、補正値取得処理をやり直す必要がある。やり直す場合には、表面ラインセンサ28又は裏面ラインセンサ42を起動し直して、光学ユニットを元の位置に戻してシェーディング処理を実行しなければならないので、普通に読取ジョブを開始してから起動するよりも遅くなる虞がある。これにより、読取ジョブの開始後、読取解像度が変更されることで補正値取得処理をやり直すために、その時間の分だけ画像読取処理が遅れてしまい、FCOTが遅くなる可能性があった。そこで、本実施形態では、読取開始指示から1枚目の出力までの時間を短縮するために、読取ジョブの開始前に適切な読取解像度を設定して、その読取解像度に基づいてシェーディング補正値を取得するようにしている。
【0030】
以下、本実施形態の画像読取装置10において読取ジョブの開始前に読取解像度を設定する処理手順を、図7図9のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、原稿の表面のみを読み取るものとして、対応する表面読取部22における読取解像度を設定する手順について説明する。
【0031】
まず、読取ジョブの開始前の処理は、システム制御部310のシステムCPU311がシステムROM312から読み出してシステムRAM313に展開された制御プログラムを実行することで行われる。図4(a)に示すトップメニュー画面400が操作部3に表示されていて、トップメニュー画面400に示される一連の処理が開始される。
【0032】
システムCPU311は、読取ジョブが開始前であるか否かを判定する(ステップS1)。システムCPU311は、読取ジョブが開始前であると判定した場合は(ステップS1のYES)、コピーボタン401又はSENDボタン402の押下を検知したか否かを判定する(ステップS2)。システムCPU311は、コピーボタン401又はSENDボタン402の押下を検知したと判定した場合は(ステップS2のYES)、送信解像度が変更されたか否かを判定する(ステップS3)。送信解像度の変更は、図6に示す送信解像度画面440から送信解像度を選択し、OKボタン445を押下することで行われる。
【0033】
システムCPU311は、送信解像度が変更されていないと判定した場合は(ステップS3のNO)、倍率の変更がされたか否かを判定する(ステップS4)。倍率の変更は、図5(a)に示す倍率画面420から倍率を変更し、OKボタン424を押下することで行われる。システムCPU311は、倍率が変更されていないと判定した場合は(ステップS4のNO)、原稿トレイ31上の原稿有無に変化があるか否かを判定する(ステップS5)。
【0034】
ここで、本実施形態においては、原稿トレイ31上の原稿の有無によって読取解像度は変わらない。しかしながら、後述するシェーディング補正値の取得フローにおいて、シェーディング補正値が流し読み用と圧板用とで異なるので、シェーディング補正値の取得処理を実行するための一要素として原稿トレイ31上の原稿有無の変化を判定している。
【0035】
システムCPU311は、原稿トレイ31上の原稿有無に変化がないと判定した場合は(ステップS5のNO)、カラーモードが変更されたか否かを判定する(ステップS6)。カラーモードは、図4(b)に示すカラー選択ボタン411、又は、図5(b)に示すカラー選択ボタン433により変更が可能であり、不図示の白黒、カラー、自動といったボタンを押下しカラーモードを変更する。カラーモードは、表面ラインセンサ28と裏面ラインセンサ42における白黒ラインセンサのシェーディング補正を実行するか、RGB3ラインセンサのシェーディング補正を実行するかを判断するために使用する。システムCPU311は、カラーモードが変更されていないと判定した場合は(ステップS6のNO)、ステップS1に戻る。
【0036】
一方、システムCPU311は、ステップS2においてコピーボタン401又はSENDボタン402の押下を検知していないと判定した場合(ステップS2のNO)は、ジョブ開始前の状態で読取解像度を設定する(ステップS7、解像度設定処理)。送信解像度が変更されたと判定した場合(ステップS3のYES)、倍率が変更されたと判定した場合(ステップS4のYES)も、同様である。また、原稿トレイ31上の原稿有無に変化があったと判定した場合(ステップS5のYES)、カラーモードが変更されたと判定した場合(ステップS6のYES)も、同様である。
【0037】
システムCPU311は、読取解像度を、ジョブ種(機能)やジョブの設定情報等により設定する。本実施形態においては、ジョブ種、倍率、送信解像度から決定するものとする。ここで、表1に、ジョブ種(機能)、倍率、送信解像度に対応する読取解像度を示す。
【表1】
【0038】
表1に示すように、基本的には、画像処理部314の解像度変換処理による画質の劣化を防ぐために、最終的に出力する画像データの解像度よりも高い解像度となるように読取解像度を定める。また、読取ジョブ開始前のジョブ種の判断は、操作部3にコピー画面410(図4(b)参照)を表示していればコピージョブであり、操作部3にSEND画面430(図5(b)参照)を表示していればSENDジョブと判断する。読取ジョブ開始前の倍率と送信解像度については、コピー画面410、又はSEND画面430において、変更されていなければデフォルトの設定値を使用し、設定が変更されていれば変更後の設定値を使用する。
【0039】
システムCPU311は、ステップS7で読取解像度が決定した後、決定した読取解像度及びカラーモードをリーダ制御部300のリーダCPU301にコマンドデータバス321を介して通知する。その後、システムCPU311は、後述する処理手順によりシェーディング補正値を取得する(ステップS8、補正値設定処理)。
【0040】
次に、本実施形態におけるシェーディング補正値を取得する処理手順について、図8及び図9に示すフローチャートを用いて説明する。ここでの処理は、リーダ制御部300のリーダCPU301がリーダROM302から読み出してリーダRAM303に展開された制御プログラムを実行することで行われる。まず、リーダCPU301は、LED22a、22bをオン状態に点灯する(ステップS10)。リーダCPU301は、原稿トレイ31上に原稿があるか否かを原稿有無センサ205の検知結果を用いて判定する(ステップS11)。
【0041】
リーダCPU301は、原稿トレイ31上に原稿があると判定した場合は(ステップS11のYES)、表面読取部22(読取部)が流し読み位置(第1領域)P1にあるか否かを判断する(ステップS12)。ここで、表面読取部22の流し読み位置P1とは、図2及び図11(b)に示すように、表面流し読みガラス26の下で、かつ、流し読みガイド34の下の位置とする。
【0042】
リーダCPU301は、表面読取部22が流し読み位置P1にあると判断した場合は(ステップS12のYES)、読取解像度とカラーモードについて判断する。即ち、リーダCPU301は、システム制御部310のシステムCPU311から通知された読取解像度とカラーモードが、前回通知された読取解像度とカラーモードと同じか否かを判断する(ステップS13)。
【0043】
リーダCPU301は、読取解像度とカラーモードとが前回と同じであると判断した場合は(ステップS13のYES)、シェーディング補正データを取得する必要がないため、LED22a、22bをオフ状態にして(ステップS18)、処理を終了する。リーダCPU301は、読取解像度とカラーモードとが前回と同じでないと判断した場合は(ステップS13のNO)、図11(a)に示すように表面読取部22を移動させる(ステップS14)。ここでは、リーダCPU301は、光学モータ305(図3参照)を駆動して、表面読取部22を白基準部材25の端となる待機位置HP(ホームポジション)に移動させる。
【0044】
リーダCPU301は、表面読取部22が流し読み位置P1にないと判断した場合(ステップS12のNO)、又は表面読取部22を待機位置HPに移動させた場合(ステップS14)は、流し読み位置P1に表面読取部22を移動させる(ステップS15)。これにより、図11(a)に示すように、表面読取部22は黒矢印の方向(左)へ移動する。
【0045】
リーダCPU301は、表面読取部22が流し読み位置P1へ移動する途中、白基準部材25のシェーディング領域(第2領域)Ar1において、シェーディング補正値を取得する(ステップS16)。シェーディング領域Ar1(白基準部材25)は、流し読み位置P1に対して副走査方向に隣接して配置されている。ここでは、リーダCPU301は、システムCPU311から通知された読取解像度とカラーモードに応じたシェーディング補正値を取得する。即ち、光学モータ305(図3参照)は、白基準部材25の読み取り時には表面読取部22を流し読み位置P1とは異なるシェーディング領域Ar1に位置するように、表面読取部22を副走査方向に移動させる。リーダCPU301は、表面読取部22が流し読み位置P1に達するまで、移動を継続する(ステップS17)。即ち、図11(a)、(b)に示すように、シェーディング領域Ar1でシェーディング補正を実行して流し読み位置P1に移動している。
【0046】
リーダCPU301は、表面読取部22が流し読み位置P1にまで移動を完了したと判断した場合は(ステップS17のYES)、LED22a、22bをオフ状態にして(ステップS18)、処理を終了する。尚、表面流し読みガラス26は、ガラス表面に帯電コーティングなどの帯電防止やごみ付着を防ぐ加工がされていると読み取り画像が暗くなる。このため、原稿台ガラス21で読んだ画像と同じ値になるように、流し読み用シェーディング補正値は圧板用シェーディング補正値に対して所定の係数を掛け算した値となる。
【0047】
一方、リーダCPU301は、ステップS11において、原稿トレイ31上に原稿がないと判定した場合は(ステップS11のNO)、図12(a)に示すように原稿Dは原稿台ガラス21に載置されているものと判断する。この場合、原稿Dの読み取りが行われる第1領域は、原稿台ガラス21の少なくとも一部であればよく、本実施形態では原稿台ガラス21の全域とする。表面読取部22は、原稿台ガラス21に載置された原稿Dの画像を副走査方向に移動しながら読み取る。また、この場合も、シェーディング領域Ar1(白基準部材25)は、原稿台ガラス21に対して副走査方向に隣接して配置されている。
【0048】
リーダCPU301は、表面読取部22が圧板加速開始位置P2(図12(a)参照)にあるか否かを判断する(ステップS20)。リーダCPU301は、表面読取部22が圧板加速開始位置P2にあると判断した場合は(ステップS20のYES)、読取解像度とカラーモードについて判断する。即ち、リーダCPU301は、システム制御部310のシステムCPU311から通知された読取解像度とカラーモードが、前回通知された読取解像度とカラーモードと同じか否かを判断する(ステップS21)。
【0049】
リーダCPU301は、読取解像度とカラーモードとが前回と同じであると判断した場合は(ステップS21のYES)、シェーディング補正データを取得する必要がないため、LED22a、22bをオフ状態にして(ステップS18)、処理を終了する。リーダCPU301は、読取解像度とカラーモードとが前回と同じでないと判断した場合は(ステップS21のNO)、図12(a)に示すように白基準部材25の端となる待機位置HP(ホームポジション)に表面読取部22を移動させる(ステップS22)。
【0050】
リーダCPU301は、表面読取部22を待機位置HPに移動させてから、又は、表面読取部22が圧板加速開始位置P2にないと判断した場合は(ステップS20のNO)、表面読取部22を圧板加速開始位置P2に移動させる(ステップS23)。これにより、図12(a)に示すように、表面読取部22は黒矢印の方向(左)へ移動する。
【0051】
リーダCPU301は、表面読取部22が圧板加速開始位置P2へ移動する途中、シェーディング領域Ar1において、システムCPU311から通知された読取解像度とカラーモードに応じたシェーディング補正値の取得を行う(ステップS24)。リーダCPU301は、表面読取部22が圧板加速開始位置P2に達するまで、移動を継続する(ステップS17)。即ち、図12(a)、(b)に示すように、シェーディング領域Ar1でシェーディング補正を実行して圧板加速開始位置P2に移動している。リーダCPU301は、表面読取部22が圧板加速開始位置P2にまで移動を完了したと判断した場合は(ステップS17のYES)、LED22a、22bをオフ状態にして(ステップS18)、処理を終了する。
【0052】
また、本実施形態において、長時間画像読取を行わない状態で、表面読取部22が流し読み位置P1、又は、圧板加速開始位置P2にいる場合は、所定時間経過後、待機位置HPに移動させる。そうすることで、温度など環境の変化により画像読取の特性が変化した場合にも、再びシェーディング補正値の取得処理が行われるため、適切なシェーディング補正データに更新することができる。
【0053】
ここで、操作部3により入力された情報に基づいて読取ジョブにおける読取解像度を設定する解像度設定処理(ステップS7)の実行後、読取ジョブを開始する情報が操作部3により入力される前(ステップS1のYES)を、ジョブ開始前期間とする。このジョブ開始前期間において、制御部4は、設定した読取解像度に基づいて表面読取部22により白基準部材25のシェーディング領域Ar1を読み取って、シェーディング補正値を設定する補正値設定処理(ステップS8)を開始する。
【0054】
また、制御部4は、例えば、1回目の解像度設定処理において、読取解像度として600dpi(第1解像度)を設定したとする。次いで、制御部4は、1回目の補正値設定処理において、600dpiに基づいて表面読取部22により白基準部材25を読み取って、シェーディング補正値として第1補正値を設定して記憶したとする。更に、制御部4は、第1補正値を設定して記憶した後、読取ジョブを開始する前に、読取ジョブの設定が変更されて、2回目の解像度設定処理において、読取解像度を600dpiとは異なる300dpi(第2解像度)に変更したとする。これにより、制御部4は、2回目の補正値設定処理において、300dpiに基づいて表面読取部22により白基準部材25を読み取って、シェーディング補正値として第2補正値を設定したとする。更に、制御部4は、第2補正値を設定して記憶した後、読取ジョブを開始する前に、再び読取ジョブの設定が変更されて、3回目の解像度設定処理において、読取解像度を300dpiから600dpiに変更したとする。この場合、制御部4は、3回目の補正値設定処理において、600dpiに基づいて表面読取部22により白基準部材25を読み取ることなく、シェーディング補正値として、記憶された第1補正値を設定する。即ち、一旦設定したシェーディング補正値を所定時間、あるいは読取ジョブが開始されるまで記憶するようになっている。これにより、シェーディング補正値の精度を低下させることなく、処理時間を短縮することができる。
【0055】
次に、本実施形態の画像読取装置10において読取ジョブの開始後に読取解像度を設定する処理手順を、図10のフローチャートを用いて説明する。ここでの処理は、システムCPU311がステップS1において読取ジョブが開始前でないと判定した場合に(ステップS1のNO)、実行される。また、ここでの処理は、システムCPU311が、システムROM312から読み出してシステムRAM313に展開された制御プログラムを実行することで行われる。
【0056】
システムCPU311は、投入されたジョブのジョブ種(機能)やジョブの設定情報に基づいて、読取解像度を設定する(ステップS30)。読取解像度の設定方法は、前述したステップS7と同様であるため、説明を省略する。システムCPU311は、読取解像度の設定後、リーダ制御部300のリーダCPU301に読取解像度と読取ジョブに設定されたカラーモードをコマンドデータバス321を介して通知する。リーダCPU301は、シェーディング補正値の取得処理を実行する(ステップS31)。シェーディング補正値の取得処理は、前述した図8及び図9に示すフローチャートの処理であるため、説明を省略する。リーダCPU301は、シェーディング補正値の取得処理を実行後、画像読取処理を実行し(ステップS32)、処理を終了する。
【0057】
制御部4は、補正値設定処理(ステップS7、S30)の終了後、かつ、読取ジョブを開始する情報が操作部3により入力された後に、読取ジョブを開始する。即ち、読取ジョブを開始する情報が操作部3により入力された後であっても、補正値設定処理が終了するまでは、読取ジョブは開始されないようにしている。原稿の読み取り時には、光学モータ305(図3参照)は、表面読取部22を流し読み位置P1に位置するように、表面読取部22を副走査方向に移動させる。表面読取部22は、流し読み位置P1に停止した状態で、ADF30によって搬送された原稿の画像を読み取る。
【0058】
上述したように、本実施形態の画像読取装置10では、解像度設定処理の実行後、読取ジョブの開始前に、設定した読取解像度に基づいて表面読取部22により白基準部材25を読み取ってシェーディング補正値を設定する補正値設定処理を開始する。このため、読取ジョブの開始前に取得したシェーディング補正値が読取ジョブの開始後に読取解像度の違いにより使うことができなくなり、再びシェーディング補正値を取得し直すことを抑制できる。これにより、読取ジョブの開始後に表面読取部22を待機位置HPに戻して、流し読み位置P1又は圧板加速開始位置P2まで移動する時間を省くことができる。よって、読取開始指示から1枚目の出力までの時間を短縮すると共に、画像読取処理を短縮することができる。
【0059】
また、本実施形態の画像読取装置10によれば、補正値設定処理の終了後、かつ、読取ジョブを開始する情報が操作部3により入力された後に、読取ジョブを開始する。このため、シェーディング補正値が設定されてから読取ジョブが開始されるので、適切な読取処理を行うことができる。
【0060】
また、本実施形態の画像読取装置10によれば、一旦設定したシェーディング補正値を所定時間、あるいは読取ジョブが開始されるまで記憶するようになっている。これにより、1つの読取ジョブの開始前の短い期間内のように、読取解像度が同じであればシェーディング補正値も同じであると予測される場合に、補正値を再設定する時間を省くことができる。よって、シェーディング補正値の精度を低下させることなく、処理時間を短縮することができる。
【0061】
また、本実施形態の画像読取装置10によれば、シェーディング領域Ar1(白基準部材25)は、流し読み位置P1及び原稿台ガラス21に対して副走査方向に隣接して配置されている。このため、待機位置HPに位置する表面読取部22が、流し読み位置P1又は圧板加速開始位置P2に移動する途中でシェーディング領域Ar1を通過するように配置できる。このため、シェーディング補正値の取得処理時間をより短縮することができる。
【0062】
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、原稿の表面のみを読み取る場合ついて説明したが、これには限られず、原稿の両面を読み取る場合に表面読取部22及び裏面読取部40のそれぞれについて読取解像度を設定するようにしてもよい。ここでは、裏面読取部40は移動しない点で表面読取部22とは構成を異にするが、裏面読取部40の読取解像度の設定手順は、上述した表面読取部22と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0063】
この場合、制御部4は、原稿の表面の読取解像度である第1解像度を設定する第1解像度設定処理を実行する。その後、制御部4は、読取ジョブを開始する情報が操作部3により入力される前に、設定した第1解像度に基づいて表面読取部22により第1基準面25aを読み取って表面読取部22のシェーディング補正値を設定する第1補正値設定処理を開始する。また、制御部4は、原稿の裏面の読取解像度である第2解像度を設定する第2解像度設定処理を実行する。その後、読取ジョブを開始する情報が操作部3により入力される前に、設定した第2解像度に基づいて裏面読取部40により第2基準面25bを読み取って裏面読取部40のシェーディング補正値を設定する第2補正値設定処理を開始する。裏面読取部40は、裏面読取部40と第2基準面25bとの間を原稿が搬送されていないときには第2基準面25bを読取可能である。また、裏面読取部40は、裏面読取部40と第2基準面25bとの間を原稿が搬送されているときには、搬送されている原稿を読取可能である。
【0064】
この場合、解像度設定処理の実行後、読取ジョブの開始前に、設定した読取解像度に基づいて表面読取部22及び裏面読取部40により白基準部材25を読み取ってシェーディング補正値を設定する補正値設定処理を開始する。このため、読取ジョブの開始前に取得したシェーディング補正値が読取ジョブの開始後に読取解像度の違いにより使うことができなくなり、再びシェーディング補正値を取得し直すことを抑制できる。これにより、読取開始指示から1枚目の出力までの時間を短縮すると共に、画像読取処理を短縮することができる。
【0065】
また、本実施形態では、読取解像度決定のための情報としてジョブ種と倍率と送信解像度とカラーモードとしたが、これには限られず、他の情報を使用するようにしてもよい。例えば、薄紙や厚紙といった原稿の紙厚や、写真あるいは文字といった原稿の種類に基づいて読取解像度を決定するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、入力部として操作部3を適用した場合について説明したが、これには限られない。例えば、外部コンピュータから操作部3に情報を入力するようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、表面読取部22及び裏面読取部40の2つの読取部を有する場合について説明したが、これには限られず、読取部を1つのみ有する画像読取装置であっても適用可能である。
【0068】
また、本実施形態では、画像読取装置10が装置本体2と連結されている場合について説明したが、これには限られず、例えば、ADF30を備えたフラットベッドスキャナのように画像形成装置とは独立した画像読取装置に適用してもよい。その場合、表面読取部22及び裏面読取部40によって読み取られた画像情報は、有線又は無線の通信手段を介して外部のコンピュータに伝送されるか、或いは画像読取装置内部の記憶装置に格納された後、記憶媒体又は外部コンピュータに伝送される。
【符号の説明】
【0069】
2…装置本体(画像形成部)、3…操作部(入力部)、4…制御部、10…画像読取装置、21…原稿台ガラス(第1領域)、22…表面読取部(読取部、第1読取部)、25…白基準部材(基準部)、25a…第1基準面(第1基準部)、25b…第2基準面(第2基準部)、30…ADF(搬送部)、40…裏面読取部(読取部、第2読取部)、305…光学モータ(移動部)、Ar1…シェーディング領域(第2領域)、D…原稿(シート)、P1…流し読み位置(第1領域)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12