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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240318BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240318BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20240318BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20240318BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/04 101
H04N1/00 350
G03B27/62
G03B27/50 A
G03G15/04 114
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019216501
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021087168
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】清水 比呂夢
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-032075(JP,A)
【文献】特開2009-260912(JP,A)
【文献】特開2010-050684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
G06T 1/00
H04N 1/00
G03B 27/62
G03B 27/50
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される透明部材と、
を照射して第1方向に移動する光源と、前記光源から照射される前記光によって照明される前記原稿からの反射光を受光する読取素子と、を有する読取ユニットと、
前記透明部材の表面を覆う閉角度と前記透明部材の前記表面を露出する開角度とへ前記透明部材に対して回転するように構成された圧板であって、前記透明部材に対する前記圧板の角度が前記閉角度である状態で前記圧板が前記透明部材に載置された前記原稿を前記透明部材に向かって押圧する圧板と、
前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記閉角度より大きい第1角度である第1状態および前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1角度より小さく前記閉角度より大きい第2角度である第2状態を検知するための角度検知手段と、
前記読取素子の受光結果に基づいて画像データを生成し、前記画像データに基づいて前記第1方向に直交する第2方向における前記原稿のサイズを決定し、第1のサイズ決定モードと第2のサイズ決定モードとを切り替える制御手段と、
を備え、
前記第1のサイズ決定モードにおいて、前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1角度より大きい角度から前記第1角度へ変化する第1変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記透明部材に載置された前記原稿を照明する前記光を照射し、
前記第2のサイズ決定モードにおいて、前記第1変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記光を照射せず、前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1状態から前記第2状態へ変化する第2変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記透明部材に載置された前記原稿を照明する前記光を照射し、
前記第1のサイズ決定モードにおいて、前記制御手段は、前記角度検知手段による前記第1変化の検知に基づいて前記光源から照射される前記光に対応する前記画像データに基づいて前記第2方向における前記原稿の前記サイズを決定するように構成されており、
前記第2のサイズ決定モードにおいて、前記制御手段は、前記角度検知手段による前記第2変化の検知に基づいて前記光源から照射される前記光に対応する前記画像データに基づいて前記第2方向における前記原稿の前記サイズを決定するように構成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
サイズ決定モードを前記第1のサイズ決定モード又は前記第2のサイズ決定モードに設定する設定ユニットを更に備え、
前記制御手段は、前記設定ユニットによって設定された前記サイズ決定モードに基づいて前記第1のサイズ決定モードと前記第2のサイズ決定モードを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記透明部材に載置された前記原稿の有無を検知する原稿検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記原稿検知手段の検知結果に基づいて前記第1方向における前記原稿のサイズを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿検知手段は、不可視光を照射することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
画像形成装置であって、
画像読取装置と、
前記画像読取装置によって読み取られた原稿の画像を記録材に形成する画像形成部と、
を備え、
前記画像読取装置は、
原稿が載置される透明部材と、
を照射して第1方向に移動する光源と、前記光源から照射される前記光によって照明される前記原稿からの反射光を受光する読取素子と、を有する読取ユニットと、
前記透明部材の表面を覆う閉角度と前記透明部材の前記表面を露出する開角度とへ前記透明部材に対して回転するように構成された圧板であって、前記透明部材に対する前記圧板の角度が前記閉角度である状態で前記圧板が前記透明部材に載置された前記原稿を前記透明部材に向かって押圧する圧板と、
前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記閉角度より大きい第1角度である第1状態および前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1角度より小さく前記閉角度より大きい第2角度である第2状態を検知するための角度検知手段と、
前記読取素子の受光結果に基づいて画像データを生成し、前記画像データに基づいて前記第1方向に直交する第2方向における前記原稿のサイズを決定し、第1のサイズ決定モードと第2のサイズ決定モードとを切り替える制御手段と、
を備え、
前記第1のサイズ決定モードにおいて、前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1角度より大きい角度から前記第1角度へ変化する第1変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記透明部材に載置された前記原稿を照明する前記光を照射し、
前記第2のサイズ決定モードにおいて、前記第1変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記光を照射せず、前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1状態から前記第2状態へ変化する第2変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記透明部材に載置された前記原稿を照明する前記光を照射し、
前記第1のサイズ決定モードにおいて、前記制御手段は、前記角度検知手段による前記第1変化の検知に基づいて前記光源から照射される前記光に対応する前記画像データに基づいて前記第2方向における前記原稿の前記サイズを決定するように構成されており、
前記第2のサイズ決定モードにおいて、前記制御手段は、前記角度検知手段による前記第2変化の検知に基づいて前記光源から照射される前記光に対応する前記画像データに基づいて前記第2方向における前記原稿の前記サイズを決定するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記画像読取装置は、サイズ決定モードを前記第1のサイズ決定モード又は前記第2のサイズ決定モードに設定する設定ユニットを更に備え、
前記制御手段は、前記設定ユニットによって設定された前記サイズ決定モードに基づいて前記第1のサイズ決定モードと前記第2のサイズ決定モードを切り替えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像読取装置は、前記透明部材に載置された前記原稿の有無を検知する原稿検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記原稿検知手段の検知結果に基づいて前記第1方向における前記原稿のサイズを決定することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記原稿検知手段は、不可視光を照射することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿台に載置された原稿の画像を読み取る画像読取装置及び当該画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿台に載置された原稿に対して読取ユニットを副走査方向に移動させながら原稿の画像(以下、原稿画像という)を読み取る画像読取装置は、読み取った原稿画像に基づいて原稿のサイズを検知するものがある。特許文献1は、読取ユニットによって読み取られた原稿画像から主走査方向の原稿サイズを検知し、原稿台上の原稿の有無を検知するセンサの検知結果から副走査方向の原稿サイズを検知する原稿サイズ検知装置を開示する。原稿サイズ検知装置は、原稿台に載置された原稿を押さえるための圧板が原稿台に対して所定の角度で開いている状態で原稿に光を照射して原稿画像を読み取る。
【0003】
特許文献2は、読取ユニットによって読み取られた原稿画像から原稿エッジ(原稿端部)を検知し、原稿エッジの位置から主走査方向の原稿サイズを検知する画像読取装置を開示する。特許文献2の画像読取装置は、原稿台上の原稿の有無を検知するセンサの検知結果から副走査方向の原稿サイズを検知する。画像読取装置は、原稿台に載置された原稿を押さえるための圧板が原稿台に対して所定の角度で開いている状態で原稿に光を照射して副走査方向に原稿画像を読み取ることで原稿エッジを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4012093号公報
【文献】特開2018-186381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
主走査方向の原稿サイズを検知する場合、読取結果に含まれる輝度を所定の閾値と比較することで原稿の有無を判定し、原稿の有無が変化する位置により原稿サイズが決定される。通常、圧板の原稿を押さえる面に設けられる原稿押さえ部材が白色であり、原稿も白色である。そのために、圧板で原稿を押さえた状態で原稿を読み取ると、その読取結果に含まれる輝度から原稿の有無を区別することが困難である。副走査方向の原稿サイズの検知に用いられるセンサ(原稿サイズセンサ)には、反射型センサが用いられることが多い。反射型センサは、圧板が閉状態のときの原稿押さえ部材と原稿との反射光量に差が少ないために、原稿の有無の区別が困難である。以上のことから、特許文献1及び特許文献2では原稿サイズの検知時には圧板が開状態で原稿の有無が検知される。圧板が開状態で読取ユニットや原稿サイズセンサの光源が点灯すると、ユーザの目に光源からの光が直接届くことになる。これはユーザにとって眩しく感じられる。そこで、特許文献1及び特許文献2は、ユーザの目に光源からの光が直接届くことがないように、圧板が閉じられるときに圧板が原稿台に対して所定の角度より小さい角度で開いている状態で光源を点灯し原稿サイズを検出する。
【0006】
しかし、ユーザの目に光源からの光が直接届くことがないようにするための原稿台に対する圧板の所定の角度は、ユーザの目の高さに対する画像読取装置の高さによって変化する。また、原稿サイズ検知時に光源の光の眩しさを気にするユーザと、それよりも原稿サイズ確定までの時間を重要視するユーザがいる。
【0007】
そこで、本発明は、原稿サイズ検知のための照明手段の点灯を開始するための原稿台に対する圧板の角度を切り替えることができる画像読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、一実施例による画像読取装置は、
原稿が載置される透明部材と、
を照射して第1方向に移動する光源と、前記光源から照射される前記光によって照明される前記原稿からの反射光を受光する読取素子と、を有する読取ユニットと、
前記透明部材の表面を覆う閉角度と前記透明部材の前記表面を露出する開角度とへ前記透明部材に対して回転するように構成された圧板であって、前記透明部材に対する前記圧板の角度が前記閉角度である状態で前記圧板が前記透明部材に載置された前記原稿を前記透明部材に向かって押圧する圧板と、
前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記閉角度より大きい第1角度である第1状態および前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1角度より小さく前記閉角度より大きい第2角度である第2状態を検知するための角度検知手段と、
前記読取素子の受光結果に基づいて画像データを生成し、前記画像データに基づいて前記第1方向に直交する第2方向における前記原稿のサイズを決定し、第1のサイズ決定モードと第2のサイズ決定モードとを切り替える制御手段と、
を備え、
前記第1のサイズ決定モードにおいて、前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1角度より大きい角度から前記第1角度へ変化する第1変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記透明部材に載置された前記原稿を照明する前記光を照射し、
前記第2のサイズ決定モードにおいて、前記第1変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記光を照射せず、前記透明部材に対する前記圧板の前記角度が前記第1状態から前記第2状態へ変化する第2変化が前記角度検知手段によって検知された場合に、前記光源は、前記透明部材に載置された前記原稿を照明する前記光を照射し、
前記第1のサイズ決定モードにおいて、前記制御手段は、前記角度検知手段による前記第1変化の検知に基づいて前記光源から照射される前記光に対応する前記画像データに基づいて前記第2方向における前記原稿の前記サイズを決定するように構成されており、
前記第2のサイズ決定モードにおいて、前記制御手段は、前記角度検知手段による前記第2変化の検知に基づいて前記光源から照射される前記光に対応する前記画像データに基づいて前記第2方向における前記原稿の前記サイズを決定するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原稿サイズ検知のための照明手段の点灯を開始するための原稿台に対する圧板の角度を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像読取装置の側面図。
図2】画像読取装置の断面図。
図3】筐体の原稿台の説明図。
図4】制御ユニットの説明図。
図5】原稿サイズ検知処理を含む原稿画像の読取処理を表すフローチャート。
図6】原稿エッジの検知処理の説明図。
図7】原稿エッジの検知処理の説明図。
図8】操作部での原稿サイズ検知方式の設定モードの選択表示の一例を示す図。
図9】原稿サイズ検知処理を含む原稿画像の読取処理を表す別のフローチャート。
図10】画像形成装置の高さによる光源の照射角の違いの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、画像読取装置10の側面図である。図2は、画像読取装置10の断面図である。画像読取装置10は、箱形の筐体101と、読取の対象となる原稿Aが載置される原稿台102と、原稿Aを押圧する原稿押さえ部材105が取り付けられた圧板104とを備える。原稿台102は、ガラス等の透明部材により構成される。原稿Aは、読み取られる面を原稿台102側に向けて載置される。原稿押さえ部材105は、読取時に原稿Aの領域外が黒くならないように、原稿Aを押さえる側の面が白色で構成される。圧板104は、筐体101に対して取付角度が可変になっており、原稿台102に対して開閉可能に筐体101に取り付けられる。筐体101は、原稿Aから原稿画像を読み取る読取ユニット103、制御ユニット400、及び副走査サイズ検知部109を内蔵する。
【0012】
読取ユニット103は、照明部201a、201b、反射ミラー202a、202b、202c、202d、202e、結像レンズ203、受光部204及びセンサ基板205を備える。照明手段としての照明部201a、201bは、原稿台102に載置された原稿Aに光を照射する。照明部201a、201bは、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子が線状に複数並べられて構成される。受光手段としての受光部204は、照明部201a、201bから照射された光の原稿による反射光を受光する。反射ミラー202a~202eは、原稿Aによる反射光を結像レンズ203まで導く光学系である。結像レンズ203は、反射ミラー202a~202eにより導かれた反射光を受光部204の受光面に結像させる。
【0013】
受光部204は、受光面で受光した反射光に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、原稿Aから読み取った原稿画像を表すアナログ信号である。受光部204は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ等の光電変換素子が発光素子列と同方向に複数並んで構成される。受光部204は、センサ基板205に実装される。センサ基板205は、制御ユニット400に接続されており、受光部204から出力されるアナログ信号を制御ユニット400へ送信する。制御ユニット400の構成は後述する。
【0014】
読取手段としての読取ユニット103は、照明部201a、201bの発光素子列及び受光部204の光電変換素子列が並ぶ方向を主走査方向MSとして、原稿画像を読み取る。読取ユニット103は、レール206に沿って移動可能である。読取ユニット103の移動方向は、主走査方向MSに直交する副走査方向SSである。読取ユニット103は、レール206上を副走査方向SSに移動しながら原稿画像を読み取る。
【0015】
副走査サイズ検知部109は、反射型センサであり、原稿台102上の原稿Aによる反射光の有無を検知する。原稿検知手段としての副走査サイズ検知部109による反射光の検知結果により、原稿台102に載置された原稿Aの有無が区別可能である。副走査サイズ検知部109は、副走査方向SSの所定の位置に配置され、これにより原稿Aの副走査方向のサイズが検知可能である。副走査サイズ検知部109は、不可視光の光、例えば赤外線を原稿Aに照射し、その反射光により原稿Aの有無を区別する。そのためにユーザは、圧板104が開状態のときであっても、副走査サイズ検知部109から照射される光により眩しさを感じることはない。
【0016】
筐体101は、圧板104の原稿台102に対する開閉状態を検知するための圧板角度検知フラグ106、第1角度検知部107、及び第2角度検知部108を備える。第1角度検知部107及び第2角度検知部108は、圧板104が原稿台102に対して第1角度になった第1状態および圧板104が原稿台102に対して第1角度より小さい第2角度になった第2状態を検知するための角度検知手段として機能する。圧板104の開閉により圧板角度検知フラグ106の位置が変化して、第1角度検知部107及び第2角度検知部108の出力が変化する。第1角度検知部107は、圧板104の原稿台102に対する角度が、所定の第1角度以下のときにオン状態となり、第1角度より大きいときにオフ状態になる。第2角度検知部108は、圧板104の原稿台102に対する角度が、所定の第2角度以下のときにオン状態となり、第2角度より大きいときにオフ状態になる。第1角度は、反射型センサである副走査サイズ検知部109が圧板104を原稿として誤検知することがない角度、例えば15°に設定される。第2角度は、第1角度より小さく、読取ユニット103が照射する光がユーザの目に届きにくい角度、例えば0°に設定される。
【0017】
なお、第1角度は15°より大きい20°などの他の角度でも構わない。また、第2角度も10°や5°などの15°より小さく、読取ユニット103が照射する光が、想定する身長を有するユーザの目に届きにくい角度であれば構わない。
【0018】
図3は、筐体101の原稿台102の説明図である。原稿台102の周囲には、主走査原稿サイズ指標301、副走査原稿サイズ指標302、原稿Aが載置される際の基準位置303が設けられる。原稿Aは、基準位置303に角部を合わせるようにして原稿台102に載置される。主走査原稿サイズ指標301は、基準位置303に合わせて載置された原稿Aの主走査方向MSの定型サイズの指標である。副走査原稿サイズ指標302は、基準位置303に合わせて載置された原稿Aの副走査方向SSの定型サイズの指標である。図3の例では、A4サイズの原稿Aが原稿台102の上に載置されている。
【0019】
原稿Aの副走査方向SSのサイズは、副走査サイズ検知部109を用いて検知される。副走査サイズ検知部109は、副走査方向SSの2つの定型サイズの指標の間に設けられ、原稿台102上の原稿Aの有無を検知する。検知結果により原稿Aの副走査方向SSのサイズが検知される。図3の例では、副走査サイズ検知部109は、2つの定型サイズの指標であるLTRとB5Rとの間に設けられる。この位置に設けられる副走査サイズ検知部109の原稿Aの有無の検知結果により、原稿Aの副走査方向SSのサイズがLTR以下か、或いはB5R以上かが区別可能である。つまり副走査サイズ検知部109の原稿Aの有無の検知結果により、原稿Aの副走査方向SSのサイズが、大きい方の定型サイズ以上であるか、或いは小さい方の定型サイズ以下であるかが決定される。なお、他の位置に副走査サイズ検知部109が設けられる場合、その位置に応じて原稿の副走査方向SSのサイズを区別することができる。また、複数の副走査サイズ検知部109を副走査方向SSに並べて設けることで、さらに詳細な副走査方向SSの原稿サイズの検知が可能になる。
【0020】
原稿Aの主走査方向MSのサイズは、原稿サイズ検知位置SDPで検知開始される。原稿Aは、原稿画像の読取時に原稿先端位置OTPから読取を開始される。原稿サイズ検知位置SDPは、原稿先端位置OTPから副走査方向SSに所定距離(バックスキャン区間BS)離れた位置に設定される。原稿先端位置OTPは、原稿Aを読み取る際に最初に原稿画像の読取が行われる位置である。
【0021】
圧板104が開かれると、制御ユニット400は、第1角度検知部107の検知結果に基づいて、圧板104が、原稿台102に対する圧板104の角度が第1角度より大きい待機状態になったか否かを検知することができる。制御ユニット400は、圧板104の閉じ動作によって第1角度検知部107がオフ状態からオン状態へ変化すると、圧板104の開状態で原稿Aの主走査方向MSのサイズを検知するために読取ユニット103を原稿サイズ検知位置SDPへ移動させる。眩しさ回避優先モードが設定されている場合に、制御ユニット400は、読取ユニット103の原稿サイズ検知位置SDPへの移動後に、第2角度検知部108の検知結果がオン状態であるか否かを判断する。圧板104の閉じ動作によって第2角度検知部108がオフ状態からオン状態へ変化すると、制御ユニット400は、読取ユニット103を原稿サイズ検知位置SDPから原稿先端位置OTPへ移動させながら、原稿Aを所定のライン数だけ読み取る。原稿サイズ検知位置SDPから原稿先端位置OTPまでのバックスキャン区間BSにおいて読取ユニット103が原稿Aを読み取る動作をバックスキャンという。制御ユニット400は、読取ユニット103による読取結果に基づいて、原稿Aの原稿エッジを検知し、原稿エッジに基づいて原稿の主走査方向MSのサイズを決定する。
【0022】
一方、原稿サイズ確定速度優先モードが設定されている場合に第1角度検知部107がオフ状態からオン状態へ変化して読取ユニット103が原稿サイズ検知位置SDPへ移動すると、制御ユニット400は、照明部201a、201bを点灯させる。制御ユニット400は、読取ユニット103に原稿サイズ検知位置SDPの1ラインで原稿Aを読み取らせる。制御ユニット400は、読取ユニット103による読取結果に基づいて、原稿Aの原稿有無範囲を検知し、原稿有無範囲に基づいて原稿Aの主走査方向MSのサイズを決定する。
【0023】
図4は、制御ユニット400の説明図である。制御ユニット400は、読取ユニット103の照明部201a、201b及び受光部204に電気的に接続されている。制御ユニット400は、更に、第1角度検知部107、第2角度検知部108、副走査サイズ検知部109及びモータ406に電気的に接続されている。モータ406は、読取ユニット103をレール206に沿って移動させるための駆動源である。なお、図4においては、画像読取装置10は、複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置40に接続されている。
【0024】
制御ユニット400は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402及びRAM(Random Access Memory)410を備えるコンピュータシステムである。制御手段としてのCPU401は、ROM402からコンピュータプログラムを読み出し、RAM410を作業領域に用いて実行することで画像読取装置10の動作を制御する。CPU401は、副走査サイズ検知部109の動作を制御して、その検知結果を取得する。この他に制御ユニット400は、読取ユニット103の動作を制御するための点灯制御部403及び走査制御部405を備える。また、制御ユニット400は、原稿Aの原稿サイズを検知するためのA/D変換部407、画像処理部408、原稿サイズ決定部(原稿サイズ決定手段)409を備える。制御ユニット400は、ディスクリート品やワンチップの半導体製品により実現されてもよい。ワンチップの半導体製品は、例えばMPU(Micro-Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、SOC(System-On-a-Chip)である。
【0025】
点灯制御部403は、CPU401の制御により、照明部201a、201bの点灯及び消灯動作を制御する。点灯制御部403は、原稿サイズ確定速度優先モードにおいて第1角度検知部107の検知結果に従って照明部201a、201bを点灯させ、眩しさ回避優先モードにおいて第2角度検知部108の検知結果に従って照明部201a、201bを点灯させる。走査制御部405は、CPU401の制御により、モータ406へ駆動信号を送信して読取ユニット103をレール206に沿って副走査方向SSへ所定の速度で移動させる。
【0026】
A/D変換部407は、CPU401の制御により、受光部204から原稿画像を表すアナログ信号を受信し、該アナログ信号をデジタル信号へ変換して画像処理部408へ送信する。画像処理部408は、CPU401の制御により、A/D変換部407から取得したデジタル信号に対して各種の画像処理を行い、原稿Aから読み取った原稿画像を表す画像データを生成する。画像データは、制御ユニット400から画像形成装置40やパーソナルコンピュータ等に送信される。
【0027】
主走査サイズ決定手段としての原稿サイズ決定部409は、CPU401の制御により、画像処理部408によって生成された画像データに基づいて原稿Aの主走査方向MSのサイズを決定する。原稿サイズ決定部409は、CPU401を介して副走査サイズ検知部109の検知結果を取得し、これにより原稿Aの副走査方向SSのサイズを決定する。図3の例では、原稿サイズ決定部409は、副走査サイズ検知部109の検知結果が原稿有りを示す場合、原稿Aの副走査方向SSのサイズがB5R以上であると決定する。副走査サイズ検知部109の検知結果が原稿無しを示す場合、原稿サイズ決定部409は、原稿Aの副走査方向SSのサイズがLTR以下であると決定する。原稿サイズ決定部409は、原稿Aの主走査方向MSのサイズ及び副走査方向SSのサイズに応じて、原稿サイズを決定する。
【0028】
CPU401は、第1角度検知部107及び第2角度検知部108の検知結果から圧板104の角度を検知する。CPU401は、検知した圧板104の角度が所定の角度になったことをトリガとして、原稿Aの原稿サイズの検知を原稿サイズ決定部409により検知する。
【0029】
画像形成装置40は、画像形成部411及び操作部412を備える。画像形成部411は、制御ユニット400から取得する画像データに応じて、該画像データが表す画像をシート等の記録材に形成する。画像形成部411は、制御ユニット400によって決定された原稿サイズに応じたサイズの記録材に画像を形成する。これにより、画像読取装置10によって読み取られた原稿画像が適切なサイズの記録材に形成される。操作部412は、入力装置および出力装置を備えるユーザインタフェースである。入力装置は、例えば各種の操作キーやタッチパネルである。出力装置は、例えばディスプレイである。操作部412は、出力装置により情報をユーザへ提供し、入力装置によりユーザからの指示を受け付ける。操作部412は、受け付けた指示を制御ユニット400や画像形成部411へ送信する。また、操作部412は、原稿サイズ決定モードを原稿サイズ確定速度優先モード(第1のサイズ決定モード)と眩しさ回避優先モード(第2のサイズ決定モード)とを切り替えられるように構成されている。なお、操作部412は、画像読取装置10に設けられていてもよい。
【0030】
図5は、画像読取装置10による原稿サイズ検知処理を含む原稿画像の読取処理を表すフローチャートである。制御ユニット400は、圧板104が原稿台102に対して第1角度以下から第1角度より大きい角度に開かれたか否かを、第1角度検知部107から取得する検知結果の変化に応じて判断する(S501)。制御ユニット400は、第1角度検知部107の検知結果がオン状態からオフ状態に変化することで、圧板104が原稿台102に対して第1角度以下から第1角度より大きい角度になったと判断する。圧板104が原稿台102に対して第1角度より大きい角度に開いた場合(S501でYES)、制御ユニット400は、読取ユニット103を原稿サイズ検知位置SDPへ移動させる(S502)。このときユーザは、原稿Aの角部を基準位置303に合わせて原稿台102上に載置する。その後、制御ユニット400は、圧板104が原稿台102に対して第1角度より大きい角度から第1角度以下に閉じられたか否かを、第1角度検知部107から取得する検知結果の変化により判断する(S503)。制御ユニット400は、第1角度検知部107の検知結果がオフ状態からオン状態に変化することで、圧板104が原稿台102に対して第1角度より大きい角度から第1角度以下に閉じられたと判断する。
【0031】
圧板104が第1角度以下に閉じられた場合(S503でYES)、制御ユニット400は、副走査サイズ検知部109の出力である検知結果を取得する(S504)。制御ユニット400は、副走査サイズ検知部109の検知結果に基づいて原稿Aの副走査方向のサイズを決定する(S505)。圧板104の原稿台102に対する角度が第1角度であれば、副走査サイズ検知部109から照射される不可視光が圧板104へ到達しない。したがって、副走査サイズ検知部109は、圧板104が第1角度以下に閉じられた直後であれば圧板104を原稿Aと誤検知することはない。
【0032】
制御ユニット400は、原稿サイズ検知方式(サイズ決定モード)が眩しさ回避優先モードに設定されているか否かを判断する(S506)。原稿サイズ検知方式は、例えば、操作部412からユーザもしくはサービスマンによって眩しさ回避優先モードと原稿サイズ確定速度優先モードに切り替えられる。
【0033】
原稿サイズ検知方式が眩しさ回避優先モードに設定されている場合(S506でYES)、制御ユニット400は、圧板104が原稿台102に対して第2角度より大きい角度から第2角度以下に閉じられたか否かを判断する(S507)。この判断は、第2角度検知部108から取得された検知結果がオフ状態からオン状態へ変化したか否かに基づいて行われる。制御ユニット400は、第2角度検知部108の検知結果がオフ状態からオン状態へ変化した場合、圧板104が原稿台102に対して第2角度より大きい角度から第2角度以下に閉じられたと判断する。
【0034】
圧板104が第2角度以下に閉じられた場合(S507でYES)、制御ユニット400は、読取ユニット103の照明部201a、201bを点灯させ(S508)、読取ユニット103を原稿サイズ検知位置SDPから原稿先端位置OTPへ移動させる。これにより制御ユニット400は、原稿Aを所定のライン数分だけ読み取るバックスキャンを行う(S509)。バックスキャンにより、制御ユニット400は、読取ユニット103から所定のライン数分の原稿画像を表すアナログ信号を取得する。圧板104が第2角度以下に閉じられているので、ユーザが感じる照明部201a、201bの光の眩しさが、最小限に抑制される。
【0035】
制御ユニット400は、取得した原稿画像を表すアナログ信号をA/D変換部407によってデジタル信号へ変換する。制御ユニット400は、デジタル信号を画像処理部408によって画像処理して画像データを生成する。制御ユニット400は、画像データに基づいて原稿サイズ決定部409によって原稿Aの主走査方向MSの原稿エッジを検知する(S510)。原稿エッジの検知処理の詳細は後述する。制御ユニット400は、検知した原稿エッジに基づいて原稿Aの主走査方向MSのサイズを決定する(S511)。
【0036】
一方、原稿サイズ検知方式が眩しさ回避優先モードに設定されていない場合(S506でNO)、制御ユニット400は、処理をS512へ進める。本実施例において、原稿サイズ検知方式が眩しさ回避優先モードに設定されていない場合、原稿サイズ検知方式は、原稿サイズ確定速度優先モードに設定されている。制御ユニット400は、圧板104が第2角度以下に閉じられる前、つまり圧板104が開いている状態で、読取ユニット103の照明部201a、201bを点灯させる(S512)。
【0037】
制御ユニット400は、主走査原稿サイズ指標301で指示される主走査方向の定型サイズ位置毎の原稿Aの有無を検知する(S513)。制御ユニット400は、照明部201a、201bの点灯により得られる1回の読取処理による所定のライン数分の読取結果に基づいて、主走査方向MSの定形サイズ位置における輝度を、所定の閾値と比較して2値化する。原稿Aは一般的に白色であるために輝度が大きく、原稿Aがない部分は、圧板104が開状態であるために照明部201a、201bの光が反射されず、輝度が小さくなる。そのために制御ユニット400は、輝度が大きい部分は原稿Aが有り、輝度が小さい部分は原稿Aが無いと判断できる。制御ユニット400は、2値化した輝度により定形サイズ位置まで原稿有りと判断された位置を判定して、原稿Aの主走査方向MSのサイズを決定する(S514)。原稿サイズ確定速度優先モードでは、圧板104が開いた状態で照明部201a、201bを点灯させ、原稿Aの主走査方向MSのサイズを決定する。したがって、原稿サイズ確定速度優先モードでは、ユーザが圧板104を閉じたときには原稿サイズが確定しており、原稿サイズ確定までの時間が短く感じられる。
【0038】
制御ユニット400は、S505で決定した原稿Aの副走査方向SSのサイズ及びS511またはS514で決定した原稿Aの主走査方向MSのサイズに応じて、原稿Aの原稿サイズを決定する(S515)。原稿サイズを決定した制御ユニット400は、読取ユニット103の動作を制御して、原稿台102に載置された原稿Aの原稿画像を読み取る(S516)。ユーザは、原稿Aを原稿台102上に載置した後に操作部412を操作して、原稿画像の読取を画像読取装置10に指示する。操作部412は、ユーザの操作に応じて、制御ユニット400に原稿画像の読取の指示を送信する。制御ユニット400は、操作部412から原稿画像の読取の指示を取得することで原稿画像の読取を開始する。
【0039】
以上のような処理により、原稿台102に載置された原稿Aの原稿サイズが決定されて、原稿画像が読み取られる。読み取られた原稿画像を表す画像データは、例えば画像形成装置40に送られて、画像形成部411により記録材への画像形成処理に用いられる。
【0040】
本実施例によれば、原稿サイズ検知のために設定されたモードに基づいて、原稿サイズ検知のための照明部201a、201bの点灯を開始するための原稿台に対する圧板の角度を切り替えることができる。
【0041】
図6及び図7は、S510の原稿エッジの検知処理の説明図である。制御ユニット400の原稿サイズ決定部409は、原稿画像の画素毎に該画素が原稿エッジであるか否かを判定して、原稿エッジの位置を検知する。制御ユニット400は、以下のようにして、原稿押さえ部材105に埃や髪の毛等のゴミが付着していても精度よく原稿エッジを検知する。
【0042】
原稿サイズ決定部409は、原稿エッジの判定対象となる注目画素が原稿エッジの画素(原稿エッジ画素)であるか否かを判定するために、3つの判定式を用いる。注目画素の主走査方向MSの位置を「x」、注目画素の輝度値を「f(x)」とする。画素毎の輝度値は、画像データに含まれる。第1の判定式は、注目画素から主走査方向MSに所定の第1距離H1離れた2つの位置(x+H1)、(x-H1)の画素の輝度値f(x+H1)、f(x-H1)の差分値である輝度差分値g(x)を表す。
g(x) = f(x+H1)-f(x-H1)
【0043】
第2の判定式は、注目画素から主走査方向MSに第1距離H1より大きい所定の第2距離H2の範囲内にある画素の最大輝度値と最小輝度値との差分値h(x)を表す。
h(x) = max(f(x-H2)、…、f(x)、…f(x+H2))
-min(f(x-H2)、…、f(x)、…f(x+H2))
【0044】
第3の判定式は、注目画素から主走査方向MSに所定の第3距離H3の範囲内にある画素の輝度値の平均値i(x)を表す。
i(x) = ave(f(x+H3)、…、f(x)、…f(x-H3))
原稿サイズ決定部409は、第1~第3の判定式による算出結果を、それぞれ第1~第3閾値と比較することで注目画素が原稿エッジ画素であるか否かの判定を行う。
【0045】
照明部201a、201bの発光素子は、原稿Aを斜めから照射する。そのために原稿Aの厚みにより原稿エッジに影が生じる。この影により、原稿エッジと原稿押さえ部材105との間に輝度差が生じる。輝度差分値g(x)は、この輝度差を検知するために算出される。第1閾値TH1は、原稿エッジによる輝度値と、背景である原稿押さえ部材105による輝度値とを区別できる値に設定される。原稿エッジでは輝度差分値g(x)の絶対値が第1閾値TH1より大きく、原稿エッジではない原稿押さえ部材105の部分では輝度差分値g(x)の絶対値が第1閾値TH1より小さくなる。影が生じにくい坪量の小さな原稿を考慮して、第1閾値TH1は設定される。
【0046】
なお、原稿サイズ決定部409は、輝度差分値g(x)の符号の変化により白スジを切り分けることができる。原稿エッジの影は周囲の画素よりも輝度が低いために、輝度差分値g(x)の符号が主走査方向MSに外側から見てプラスからマイナスに変化する。白スジは、周囲の画素よりも輝度が高いために、輝度差分値g(x)の符号が主走査方向MSに外側から見てマイナスからプラスに変化する。原稿サイズ決定部409は、この符号の変化により白スジを切り分ける。このように輝度差分値g(x)は、原稿エッジと原稿押さえ部材105及び白スジとの切り分けに用いることができる。しかしながら輝度差分値g(x)は、埃や髪の毛等のゴミを読み取った場合も値が大きくなる。そのために原稿サイズ決定部409は、輝度差分値g(x)により、ゴミを読み取ったときの画素と、原稿エッジとの切り分けが困難である。
【0047】
原稿サイズ決定部409は、差分値h(x)と第2閾値TH2とを比較することで、ゴミを読み取ったときの画素と、原稿エッジとの切り分けを行う。原稿エッジにより生じる影と、ゴミにより生じる影とでは、輝度の特徴に相違があることが多い。原稿エッジにより生じる影は、照明部201a、201bの拡散光の影響によりぼやけたものとなる。ゴミにより生じる影は、ゴミ自体が暗いことが多く、原稿エッジにより生じる影よりも鮮明になる。そのために、ゴミにより生じる影の輝度値は、原稿エッジにより生じる影の輝度値よりも低い値になる。つまり、原稿エッジによる影を含む範囲の差分値h(x)は、ゴミにより生じる影を含む範囲の差分値h(x)よりも小さくなる。そのために、差分値h(x)を適切な第2閾値TH2により区別することで、影の原因を判断することができる。第2閾値TH2は、このような値に設定される。しかしながら、輝度差分値g(x)及び差分値h(x)では、原稿サイズ決定部409は、余白のない黒原稿の原稿エッジを、埃や髪の毛等のゴミと誤検知してしまうことがある。
【0048】
原稿サイズ決定部409は、平均値i(x)と第3閾値TH3とを比較することで、平均値i(x)により余白のない黒原稿の原稿エッジと、ゴミを読み取ったときの画素とを切り分ける。原稿Aが余白のない黒原稿の場合、原稿エッジ付近で主走査方向MSの所定の範囲内の画素の輝度値の平均値i(x)が、ゴミによる輝度値を含む場合の平均値i(x)よりも小さくなる。これは、平均値i(x)に黒原稿の原稿エッジの輝度値が多く含まれるためである。ゴミは、小さい点又はスジ状であることが多く、ある程度広い範囲で輝度値を平均するとゴミの影響が小さくなり、平均値i(x)に原稿押さえ部材105の白色による輝度値が多く含まれる。そのためにゴミによる輝度値を含む場合、平均値i(x)が大きくなる。このような平均値i(x)を適切な第3閾値TH3により区別することで、影の原因を判断することができる。第3閾値TH3は、このような値に設定される。
【0049】
原稿サイズ決定部409は、輝度差分値g(x)、差分値h(x)、及び平均値i(x)による判定を組み合わせて行うことで、注目画素が原稿エッジ画素か否かの切り分けを正確に行うことができる。さらに原稿サイズ決定部409は、図7に示すように、副走査方向SSに複数のラインで、原稿エッジ画素の数をカウントすることで、ノイズ等の影響を抑え、原稿エッジの検知精度を上げることができる。原稿サイズ決定部409は、原稿エッジ検知によって検知された原稿エッジ位置が複数存在する場合、最も外側の位置を原稿エッジ位置とする。これにより、原稿A内の図や罫線が誤って原稿エッジとして検知される可能性が低減する。
【0050】
図7では、原稿エッジの候補画素のカウント数により原稿エッジを検知する。主走査方向MSで、原稿エッジの候補画素が判断される。Nライン分繰り返し行うことで、副走査方向SSで、主走査方向MSに同じ位置の画素が原稿エッジの候補画素で所定数以上存在するか否かが判断可能になる。この所定数が第4閾値TH4である。図7の例では、主走査方向MSに左端から8画素目の画素に原稿エッジの候補画素が7画素ある。そのために主走査方向MSに左端から8画素目が原稿エッジであると判断される。主走査方向MSに左端から3画素目、14画素目、及び16画素目は、原稿エッジの候補画素が存在するが、所定数(第4閾値TH4)より少ないために、原稿エッジとして判断されない。このように、1ラインの処理では誤検知してしまう可能性のあるゴミが生じた場合であっても、その影響を抑制して精度よく原稿エッジが検知できる。
【0051】
図8は、操作部412での原稿サイズ検知方式の設定モードの選択表示の一例を示す図である。本実施例において、原稿サイズ検知方式の設定モードは、眩しさ回避優先モードと原稿サイズ確定速度優先モードを含む。なお、原稿サイズ検知方式の設定モードは、操作部412からの指示によって設定される場合に限らない。例えば、ユーザ毎に自動で原稿サイズ検知方式の設定モードが切り替えられるようにしてもよい。
【0052】
図9は、画像読取装置10による原稿サイズ検知処理を含む原稿画像の読取処理を表す別のフローチャートである。S601~S605の処理及びS607~S616の処理は、図5のS501~S505の処理及びS507~S516の処理とそれぞれ同様であるため、説明を省略する。
【0053】
制御ユニット400は、画像読取装置10が取り付けられた画像形成装置40の背の高さが所定値以上であるか否かを判断する(S606)。画像形成装置40の背の高さが所定値以上の場合(S606でYES)、制御ユニット400は、眩しさを低減する眩しさ回避優先モード(第2のサイズ決定モード)で処理(S607~S611)を実行する。画像形成装置40の背の高さが所定値より小さい場合(S606でNO)、制御ユニット400は、原稿サイズ確定までの時間を短縮する原稿サイズ確定速度優先モード(第1のサイズ決定モード)で処理(S612~S614)を実行する。S612~S614の処理は、図5のS512~S514の処理と同様であるので説明を省略する。
【0054】
図10は、画像形成装置40の高さによる光源の照射角の違いの説明図である。図10(a)に示すように、画像形成装置40の背の高さHT1が高い場合、ユーザの目線EHと読取ユニット103の照明部201a、201bの光とがなす角度θ1が小さいため、照明部201a、201bの光が圧板104によって遮られにくい。よって、ユーザの目に照明部201a、201bの光が届きやすく、ユーザが眩しさを感じてしまう。そのため、画像形成装置40の背の高さHT1が高い場合は、原稿サイズ検知時に眩しさが低減されるモードであることが望ましい。図9に示す例では、制御ユニット400は、画像形成装置40の背の高さHT1が所定値以上である場合(S606でYES)、図5の眩しさ回避優先モードにおける処理(S50~S511)と同様の処理(S60~S611)が行われる。

【0055】
一方、図10(b)に示すように、画像形成装置40の背の高さHT2が低い場合、ユーザの目線EHと読取ユニット103の照明部201a、201bの光とがなす角度θ2が大きいため、照明部201a、201bの光が圧板104によって遮られやすい。よって、ユーザの目に照明部201a、201bの光が届きにくく、ユーザが眩しさを感じることは少ない。そのため、画像形成装置40の背の高さHT2が低い場合は、原稿サイズの確定までの時間が短いモードであることが望ましい。図9に示す例では、制御ユニット400は、画像形成装置40の背の高さHT2が所定値より小さい場合(S606でNO)、図5の原稿サイズ確定速度優先モードにおける処理(S512~S514)と同様の処理(S612~S614)が行われる。なお、画像形成装置40の背の高さHT1及びHT2は、例えば、カセットぺディスタルの設置数などによって判別される。カセットペディスタルは、画像形成装置40の下部に設けられ、記録材を収容し、画像形成部411へ記録材を給送する給送部である。
【0056】
本実施例によれば、画像形成装置40の背の高さに基づいて、原稿サイズ検知のための照明部201a、201bの点灯を開始するための原稿台に対する圧板の角度を切り替えることができる。
【符号の説明】
【0057】
10:画像読取装置/40:画像形成装置/102:原稿台/103:読取ユニット/104:圧板/107:第1角度検知部/108:第2角度検知部/201a、201b:照明部/204:受光部/400:制御ユニット/401:CPU/403:点灯制御部/409:原稿サイズ決定部/411:画像形成部/412:操作部/A:原稿
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10