(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】ガス除去濃縮装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/06 20060101AFI20240318BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240318BHJP
F24F 1/0328 20190101ALI20240318BHJP
【FI】
B01D53/06 100
B01D53/14 100
F24F1/0328
(21)【出願番号】P 2019224972
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390020215
【氏名又は名称】株式会社西部技研
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和行
(72)【発明者】
【氏名】井上 宏志
(72)【発明者】
【氏名】梅崎 哲春
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-171256(JP,A)
【文献】特開2019-062862(JP,A)
【文献】国際公開第2015/173848(WO,A1)
【文献】特開2017-213842(JP,A)
【文献】特開2012-102997(JP,A)
【文献】特開2011-033317(JP,A)
【文献】特開2017-075715(JP,A)
【文献】特開平03-188918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/34-53/85
B01D53/92
B01D53/96
B01D53/06
B01D53/14
F24F7/00
F24F1/02
B01J20/22
A61L9/014
B01J20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
50℃以下の低温再生可能な吸着材を担持した吸着ハニカムロータを有し、前記吸着ハニカムロータを少なくとも処理ゾーンと再生ゾーンに分割し、前記処理ゾーンに処理対象ガスを通風し、目的物質をハニカムに吸着させて除去し、前記再生ゾーンに再生用ガスを通風することでハニカムが吸着した前記目的物質を脱着させるようにしたガス除去濃縮装置であって、再生用送風機を再生入口側に配置し
、前記再生用送風機による昇温のみで加熱することにより再生加熱手段を不要としたことを特徴とするガス除去濃縮装置。
【請求項2】
前記吸着ハニカムロータにおいて、前記再生ゾーンの後にパージゾーンを設けたことを特徴とする請求項1に記載のガス除去濃縮装置。
【請求項3】
前記吸着ハニカムロータにおいて、前記再生ゾーンの前にプレパージゾーン、後にパージゾーンを設けたことを特徴とする請求項1に記載のガス除去濃縮装置。
【請求項4】
前記吸着ハニカムロータにおいて、前記再生ゾーンの出口ガスの一部を前記プレパージゾーンの入口へ導入するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のガス除去濃縮装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のガス除去濃縮装置において、前記パージゾーンの出口ガス及び又は前記プレパージゾーンの出口ガスの風量を風量調整装置によって制御するようにしたことを特徴とするガス除去濃縮装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガス除去濃縮装置において、制御盤に空気取入れ口と空気取出し口を設け、前記空気取出し口から前記再生ゾーン入口、前記パージゾーン入口、前記パージゾーン出口のうち少なくとも一つ以上に通る配管を設けたことを特徴とするガス除去濃縮装置。
【請求項7】
請求項6に記載のガス除去濃縮装置において、前記配管を処理用送風機及び又は前記再生用送風機のモータ付近を通すようにしたことを特徴とするガス除去濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のガス成分から構成される処理対象ガスから目的物質を除去または濃縮するために、低温再生可能な吸着材が担持された吸着ハニカムロータを用いて温度差により吸脱着することを特徴とするガス除去濃縮装置において、低温再生が可能な場合、通常再生ガス加熱手段として再生ヒータなどを用いる代わりに、再生ガスを送風するための再生用送風機による昇温のみで加熱するので、加熱のためのエネルギーを省き、省エネルギーを達成できるガス除去濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス状の除去対象物質を処理対象空気から濃縮状態で、低温で分離除去できる装置として、例えば特許文献1に見られるようにアミン系吸収剤を保持させた通気性の吸着ハニカムロータを用い、処理対象空気と再生用空気とのエンタルピー差を用いて目的物質を分離することにより、再生エネルギーを抑えながらも装置の物質回収率を確保できる吸収式除去・濃縮装置が知られている。また、低温で再生することにより、アミン系吸収剤の酸化劣化や臭いの問題も低減されている。
【0003】
低温再生に関して、特許文献2には低温再生デシカント除湿機が開示されている。前記低温再生デシカント除湿機は、高分子収着剤などの吸着材を担持したデシカントロータを用いており、冷房モードでは還気のエネルギーを再生エネルギーとしてデシカントロータを再生できるので、再生入口前段の加熱源である温水コイルは基本的な運転では不要であり、省エネ性がある。再生入口前段の温水コイルは、冷房モードで処理入口前段の冷温水コイルによる除湿能力が不足する場合に、再生に用いる還気を加熱するための還気予熱部として作用させることにより、デシカントロータを再生して除湿能力を確保する。一方、暖房モードでは、冷房モードにおけるデシカントロータの処理側と再生側が入れ替わり、外気を温水コイルに通して加熱して、加湿した空気を室内へ供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-154063号公報
【文献】特許第5669587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたものは、再生空気の加熱のための温度調整手段としては、冷却コイル、加熱コイル、ベルチェ素子、電気ヒータ、蒸気ヒータやヒートポンプの凝縮器(コンデンサ)、蒸発器(エバポレータ)などが挙げられており、低温再生ではあるが加熱のためのエネルギーを要する。
【0006】
特許文献2に記載のものは、冷房モードでは基本的に再生空気加熱手段である温水コイルは不要であるが、処理入口前段の冷温水コイルによる除湿能力が不足する場合や、暖房時の加熱手段として、温水コイルが必要とされており、加熱手段を設ける必要がある。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は低温再生可能な吸着材を担持した吸着ハニカムロータを用いたガス除去濃縮装置において、低温再生可能な場合において、再生用ガスを昇温する加熱手段として送風機による昇温を利用することにより、再生ヒータや温水コイルなどの加熱手段を必要とせず、再生エネルギーやランニングコストを低減できるガス除去濃縮装置を提供することにある。なお、本発明において「低温再生」とは、摂氏50℃以下(以下、温度は全て「摂氏」とする)の温度の再生用ガスで再生することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以上のような課題を解決するため、吸着ハニカムロータを有し、前記吸着ハニカムロータを少なくとも処理ゾーンと再生ゾーンとに分け、処理ゾーンに処理対象ガスを通風することで、その処理対象ガスに含まれる目的物質をハニカムに吸着させて処理対象ガスから分離除去し、再生ゾーンでは、再生用ガスを通風することで、前記処理ゾーンでハニカムが吸着した目的物質を、再生用ガスで脱着させることにより濃縮し、ロータ部分の担持吸着材を再生するガス除去濃縮装置であって、再生加熱手段として再生ヒータなどを用いる代わりに、再生用送風機による昇温のみで加熱するので、加熱のためのエネルギーが不要となり、省エネルギーを達成できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガス除去濃縮装置は前述の如く構成したもので、処理ゾーンに処理対象ガスを通風することで、その処理対象ガスに含まれる目的物質をハニカムに吸着させて処理対象ガスから分離除去し、再生ゾーンでは、再生用ガスを通風することで、ハニカムが前記処理ゾーンで吸着した目的物質を、再生用空気に脱着させて濃縮し、ロータ部分の担持吸着材を再生する。このハニカムの再生において、低温再生が可能な場合、再生ヒータなどの加熱手段を必要とせず、再生用送風機による昇温のみで加熱するので、加熱のためのエネルギーが不要となり、省エネルギーを達成でき、ランニングコストを低減できる。
【0010】
例えば、本発明に係るガス除去濃縮装置において、低温再生可能な吸着材として温度による性能劣化を生じやすいアミン系吸収剤を用いても、吸収剤の酸化劣化や臭いを抑えることができる。また、ヒートポンプや温水などのユーティリティが無い環境でも、簡単に運転することが可能である。さらに、再生ヒータや熱交換器が不要なので、装置全体が小型化でき、イニシャルコストの低減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本発明のガス除去濃縮装置の実施例1におけるフロー図である。
【
図2】
図2は本発明のガス除去濃縮装置の実施例2におけるフロー図である。
【
図3】
図3は本発明のガス除去濃縮装置の実施例3におけるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、低温再生可能な吸着材を担持した吸着ハニカムロータを有し、前記吸着ハニカムロータを少なくとも処理ゾーンと再生ゾーンに分割する。処理対象ガスを処理ゾーンに通風して、処理対象ガスから目的物質を分離除去し、再生用送風機を通して昇温させた再生用ガスを再生ゾーンに通風して、吸着した目的物質を脱着させるという構成にしてある。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明のガス除去濃縮装置の実施例1について
図1に沿って詳細に説明する。1は吸着ハニカムロータであり、セラミック繊維紙やガラス繊維紙などの不燃性のシートをコルゲート(波付け)加工しロータ状に巻き付け加工したもので、50℃以下の温度で低温再生可能な吸着材、例えばアミン系固体吸収剤が担持されている。吸着ハニカムロータ1は処理ゾーン2、再生ゾーン3、パージゾーン4に分割されており、この順番に吸着ハニカムロータ1が回転することにより、連続的に処理対象ガスから目的物質を除去濃縮する。
【0014】
処理対象ガスを処理ゾーン2に通風して、処理対象ガスに含まれる例えば二酸化炭素といった目的物質をハニカムに吸着させて処理対象ガスから分離除去することにより、目的物質濃度は低減し、処理用送風機5を通して供給先に供給または排気される。処理ゾーンに供給するガスの一部を分岐して、パージゾーン4に通風することでガス温度は上昇する。さらにパージゾーン4を通過したガスを再生用送風機6に通し、昇温した再生用ガスを、再生ゾーン3に通風して、ハニカムに吸着した目的物質を再生用ガスに脱着させ、濃縮された目的物質を含むガスが供給先に供給または排気される。
【0015】
特許文献2に記載のように、除湿装置に限らず、通常、吸着ハニカムロータを用いた装置は、再生出口側に送風機が配置してある。これは、再生入口側には加熱手段として再生ヒータなどを配置することも一つの理由であるが、処理出口ガスを供給先へ供給する除去用途の場合、処理入口・処理出口に対して、再生入口・再生出口が負圧となり、再生側から処理側へ脱着した目的物質のリーク量が減少するので、処理出口側における目的物質の除去効率が良くなるためである。
【0016】
一方、本発明に係る実施例1の再生用送風機6は、再生入口側に配置してある。再生出口ガスを供給先へ供給する濃縮用途の場合、再生入口・再生出口に対して、処理入口・処理出口が負圧になり、処理側から再生側へ目的物質濃度の低い処理側のガスのリーク量が減少するので、濃縮性能が向上する。しかし、除去用途では目的物質を除去した処理出口ガスを供給先へ供給するので、再生入口側から処理出口側にリークが生じ、除去効率が悪くなる可能性がある。そこで、ロータ回転方向に沿って、再生ゾーン3の後にパージゾーン4を設け、処理側・再生側間のリークを低減するようにしてある。
【0017】
送風機を通過した風を直接ダクトに通風すると、偏流で風切り音が生じることがある。ビル空調では風切り音は騒音の原因となり、致命的な問題となり得る。実施例1では、再生側において再生用送風機6を通過後の再生用ガスを吸着ハニカムロータ1に通風するので、整流され、吸着ハニカムロータ1の吸音効果により風切り音が低減する。従って、本発明に係るガス除去濃縮装置を室内に設置した際の騒音や振動を低減することができ、機械室などに装置を設置することができる。
【0018】
送風機による昇温は送風機の種類によって異なる。プラグファンやターボファンなどの遠心送風機であれば3℃程度であるが、高静圧を発生することができる送風機(例えばボルテックスブロワのような渦流送風機)であれば、10℃以上昇温する。例えば、外気が20℃であれば、パージを通過した後は温度が30℃程度にまで上昇する。その後、送風機を通してさらに3~10℃昇温することになる。
【0019】
タイやシンガポールなどの亜熱帯地域のビルでは温水がほとんど供給されず、再生の加熱ガスを得るためには電気ヒータによる加熱やヒートポンプの排熱、あるいはチラーの排熱が必要となる。本発明に係るガス除去濃縮装置では、これらを必要とせず、送風機による昇温のみで再生入口温度をカバーできるので、温水が期待できない亜熱帯地域に特に威力を発揮することができる。
【0020】
本発明において、吸着材は50℃以下という低温でも目的物質を脱着できる特性が求められる。目的物質が例えば二酸化炭素の場合、吸着材にはアミン担持固体吸収剤を用いるが、低温で再生することにより、熱劣化を低減させて、吸着ハニカムロータの長寿命化につながる効果がある。さらにアミンの分解などによる、アミン臭などの吸着ハニカムロータからの臭気発生も抑制することが可能となる。
【0021】
本発明は
図1のフローに限定されるものではなく、処理ゾーン2を通過した処理出口ガスの一部や外気、室内からの還気などをパージゾーン4に導入する構成にしてもよい。さらに、処理側、再生側のいずれか一方もしくは両方を循環させる構成にしてもよい。
【0022】
また必要に応じて、プレクーラ、アフタークーラ、湿度調整手段などを設ける構成にしてもよく、処理用送風機5を処理入口側に設置するように構成してもよい。なお、再生用送風機6以外の送風機は必要に応じて適切な場所に配置し、増設するように構成してもよい。
【0023】
さらに、パージゾーンを無くして処理ゾーンと再生ゾーンのみの構成にしてもよい。
この場合、再生側から処理側へのリークが問題となるが、例えば目的物質が二酸化炭素の場合、外気の二酸化炭素濃度は450ppm程度と低いために外気が処理出口側にリークしても、処理出口の二酸化炭素濃度は数十ppm程度高くなるだけである。パージゾーンを設けることと、イニシャルコストを天秤にかけ、要求に合わせた提案ができる。
【実施例2】
【0024】
図2の本発明の実施例2に係るフローにおいて、実施例1と異なる点は、プレパージゾーン7を有することである。このように、再生ゾーン3の前にプレパージゾーン7、後にパージゾーン4を設けることにより、さらにリークを低減することができる。
【0025】
図2におけるガスの流れは、基本的に
図1と同様であるが、パージゾーン4を通過したガスとプレパージゾーン7を通過したガスを混合して、再生用送風機6を通過させて昇温させ、再生ゾーン3に通風する。
【0026】
なお、本発明は
図2のフローに限定されるものではなく、パージゾーン4には処理ゾーン2を通過した処理出口ガスの一部や外気、室内からの還気を導入する構成にしてもよい。同様に、プレパージ7には外気だけでなく、室内からの還気、処理ゾーンに導入するガスの一部、処理ゾーンを通過した処理出口ガスの一部などを導入するようにしてもよい。パージゾーン4、プレパージゾーン7の間をガスが循環するように構成しても良い。さらに、処理側、再生側のいずれか一方もしくは両方を循環させる構成にしてもよい。
【0027】
また必要に応じて、プレクーラ、アフタークーラ、湿度調整手段などを設ける構成にしてもよい。なお、再生用送風機6以外の送風機は必要に応じて適切な場所に配置し、増設するように構成してもよい。
【実施例3】
【0028】
図3の本発明の実施例3に係るフローにおいて、実施例2と異なる点は、再生出口ガスの一部をプレパージゾーン7に導入することである。目的物質を濃縮する場合、再生出口ガスの一部を循環させることで更に濃度を高めることができる。
【0029】
ゾーン間を区切る手段であるチャンバー(図示せず)の再生出口チャンバーは、プレパージ入口および再生出口間のゾーンの仕切りを無くして、チャンバー内で再生出口ガスの一部を直接プレパージ入口へ戻すように構成すると、チャンバーのコストダウンにつながる。なお、この形態に限るものでは無く、再生出口チャンバーを通過したガスの一部をチャンバー外からダクトを通してプレパージ入口へ導入する構成にしてもよい。
【0030】
本発明は
図3のフローに限定されるものではなく、処理ゾーン2を通過した処理出口ガスの一部や外気、室内からの還気などをパージゾーン4に導入する構成にしてもよい。
【0031】
また必要に応じて、プレクーラ、アフタークーラ、湿度調整手段などを設ける構成にしてもよい。なお、再生用送風機6以外の送風機は必要に応じて適切な場所に配置し、増設するように構成してもよい。さらに、処理側を循環させる構成にしてもよい。
【0032】
さらに、
図2、3のパージゾーン4の出口とプレパージゾーン7の出口から再生用送風機6にガスを送る配管のいずれか一方もしくは両方に、ダンパやバルブのような風量調整装置を設けて風量を制御できるようにして、処理出口側の目的物質除去性能や再生出口側の目的物質濃縮性能を制御するような構成としてもよい。
【0033】
一般的な除湿装置や本願発明のような装置には、制御盤が一体となって取り付けてある場合が多い。通常、制御盤内の温度は、内部機器等の発熱により昇温し、制御盤の不具合に繋がる場合が有るため、冷却用の小型のファン等が設けてある。この昇温分の熱回収をするために、制御盤に空気取入れ口を設け、その反対側の位置に空気取出し口を設け、空気取出し口からパージ入口や出口に繋がる配管を設けるような構成としてもよい。さらに、例えば、その配管を各送風機のモータ付近を通るようにして、各モータから外部に出る熱を回収するようにしてもよい。なお、空気取出し口はパージゾーンを設けていない場合、再生ゾーン入口に繋がる配管を設けるように構成してもよい。
【0034】
図1に示すフローにおいて、直径φ200mm×厚み200mmの吸着ハニカムロータを搭載したガス除去濃縮装置による二酸化炭素除去濃縮実験を行った。処理入口側およびパージ入口側に供給する二酸化炭素濃度は大気条件である500ppm程度とした。装置は、
図1のフローを構成する機器を用いた場合(パターン1)と、それらの機器に加えて制御盤に空気取入れ口を設け、その反対側の位置に空気取出し口を設け、空気取出し口からパージ入口に繋がる配管を設け、さらにその配管を処理用送風機、再生用送風機のモータ付近を通るようにして、制御盤内の熱および各モータからの熱を回収する構成にした場合(パターン2)の2パターンを比較した。この結果、熱を回収する構成にしたパターン2の装置は、パターン1の装置に比べて、パージ入口温度は3℃以上上昇し、再生用送風機を通過したガスの温度は2℃以上上昇した。これにより、パターン2における再生出口側の二酸化炭素の濃縮濃度は、パターン1に比べて50ppm上昇した。また、1kg当たりの二酸化炭素を回収するために必要なランニングコストは、パターン2の場合、パターン1に比べて10%の削減となった。
【0035】
なお、本実験の制御盤の空気取入れ口については、装置の外側に向いた制御盤の扉下部に除塵フィルタを取付けた開口を設けて、空気取出し口については、装置の内側に向いた制御盤取付け部の上部に設けた。ただし、本願発明は、制御盤の上記の位置に限定されるものではなく、空気取入れ口を制御盤下部の側面に設けてもよく、空気取出し口を制御盤の天井に設けてもよい。要は、制御盤内の機器の配置や空気の流れなどによって、最大限に発生する熱を回収できるように構成すればよい。さらに装置を屋外に設置する場合は、制御盤内への雨水の侵入を防止するため、ルーバーやガラリなどを取付ける構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、低温再生可能な吸着材を担持した吸着ハニカムロータを用いたガス除去濃縮装置において、通常再生ヒータなどの再生ガス加熱手段することで昇温させて再生する代わりに、再生用送風機のみの昇温で加熱するので、吸着された目的物質の脱着に必要な加熱エネルギーを削減することができ、省エネルギーであり、ランニングコストを削減することができる。また、再生ヒータや熱交換器が不要なので、装置全体が小型化でき、イニシャルコストの低減にもつながる。
【符号の説明】
【0037】
1 吸着ハニカムロータ
2 処理ゾーン
3 再生ゾーン
4 パージゾーン
5 処理用送風機
6 再生用送風機
7 プレパージゾーン