(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/56 20060101AFI20240318BHJP
B65H 3/46 20060101ALI20240318BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20240318BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B65H3/56 330S
B65H3/46 F
B65H3/06 A
B65H11/00 G
(21)【出願番号】P 2019231458
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 明典
(72)【発明者】
【氏名】立石 朋也
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062399(JP,A)
【文献】実開昭60-064942(JP,U)
【文献】特開2006-117362(JP,A)
【文献】特開2012-051731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0120810(US,A1)
【文献】特開2019-116367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載方向に重ね合わされた第1シート及び第2シートを支持するシート支持部と、
前記シート支持部に支持された前記第1シートを給送する給送回転体と、
前記第1シートに連れ送りされた前記第2シートを前記第1シートから分離する分離部と、
前記分離部によって前記第1シートから分離された前記第2シートを前記シート支持部に向けて戻す戻し部と、
前記シート支持部に支持された前記第1シート及び前記第2シートの先端の位置を規制する規制面を有し、前記規制面によって前記第1シート及び前記第2シートの先端の位置を規制する規制位置と、前記シート支持部に支持された前記第1シート及び前記第2シートが給送されることを許容する許容位置と、に移動可能な規制部と、を備え、
前記戻し部は、接触したシートを前記シート支持部に向けて戻すための爪部を備え、シートが通過する搬送路に前記爪部が突出する突出位置と、前記搬送路から前記爪部が退避する退避位置に、第1回動軸を中心に回動可能であり、
前記規制面は、前記規制部が前記規制位置に位置する状態において、前記積載方向に延びて
おり、
前記規制部は、前記戻し部が前記突出位置に位置する場合において前記規制位置から前記許容位置への回動が規制され、かつ前記戻し部が前記突出位置から前記退避位置に回動することで、前記規制位置から前記許容位置への回動が許容される、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
シート給送方向及び前記積載方向に対して傾斜し、前記給送回転体によって給送された前記第1シート及び前記第2シートに摺接する傾斜面を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記規制面は、前記規制部が前記規制位置に位置する状態において、前記給送回転体の回転軸の軸方向に視て、前記傾斜面から前記積載方向に突出している、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
駆動力を発生させる駆動源と、
前記駆動源の駆動力によって前記戻し部及び前記規制部を駆動させる駆動伝達部と、を備え、
前記戻し部は、第1カムフォロアを有し、
前記駆動伝達部は、前記第1カムフォロアに係合して回転することで前記戻し部を駆動させる第1カムを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記規制部は、前記第1回動軸に平行な第2回動軸と、前記第2回動軸を中心に回動可能に支持され、前記規制面を有する規制部材と
、を有し、
前記規制部材は、前記第2回動軸の軸方向において、少なくとも一部が前記爪部に重なる位置に配置される、
ことを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記戻し部は、前記規制部材に当接可能な当接部を有し、
前記当接部は、前記戻し部が前記突出位置に位置する状態において、前記規制部の前記許容位置への回動を規制している、
ことを特徴とする請求項
5に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記規制部を、前記規制部材が前記当接部に当接するように付勢する付勢部を更に備える、
ことを特徴とする請求項
6に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記爪部は、前記第1回動軸の軸方向に直交する径方向に移動可能に支持される、
ことを特徴とする請求項
1乃至
7のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項9】
積載方向に重ね合わされた第1シート及び第2シートを支持するシート支持部と、
前記シート支持部に支持された前記第1シートを給送する給送回転体と、
前記第1シートに連れ送りされた前記第2シートを前記第1シートから分離する分離部と、
前記分離部によって前記第1シートから分離された前記第2シートを前記シート支持部に向けて戻す戻し部と、
前記シート支持部に支持された前記第1シート及び前記第2シートの先端の位置を規制する規制面を有し、前記規制面によって前記第1シート及び前記第2シートの先端の位置を規制する規制位置と、前記シート支持部に支持された前記第1シート及び前記第2シートが給送されることを許容する許容位置と、に移動可能な規制部と、
駆動力を発生させる駆動源と、
前記駆動源の駆動力によって前記戻し部及び前記規制部を駆動させる駆動伝達部と、を備え、
前記規制面は、前記規制部が前記規制位置に位置する状態において、前記積載方向に延びており、
前記戻し部は、第1カムフォロアを有し、
前記規制部は、第2カムフォロアを有し、
前記駆動伝達部は、
前記第1カムフォロアに係合して回転することで前記戻し部を駆動させる第1カムと、前記第2カムフォロアに係合して回転することで前記規制部を駆動させる第2カム
と、を有する、
ことを特徴とす
るシート給送装置。
【請求項10】
前記駆動伝達部は、前記駆動源の駆動力を前記給送回転体及び前記分離部に伝達する、
ことを特徴とする請求項9に記載のシート給送装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置によって給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送するシート給送装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手差しトレイに積載されたシートを給送するピックアップローラと、ピックアップローラによって給送されたシートを1枚ずつに分離する搬送ローラ及び分離ローラと、を備えたシート給送装置が提案されている(特許文献1参照)。このシート給送装置は、回転可能に支持されていると共に、待機位置において待機するように構成される戻し爪を有している。搬送ローラ及び分離ローラによって分離されたシートは、戻し爪が待機位置から回動することで、手差しトレイに戻される。これにより、シートの重送が低減され、給送性能の向上が図られている。
【0003】
また、戻し爪は、待機位置において、手差しトレイに積載されたシートの先端が突き当たる突き当て面を有している。この突き当て面によって、手差しトレイに挿入されたシートの先端の位置が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の戻し爪の突き当て面は、搬送ローラ及び分離ローラによって分離されたシートを確実に手差しトレイに戻すために、先端部が屈曲して形成されている。これにより、手差しトレイに挿入されたシートは、屈曲した突き当て面に倣ってセットされ、セット性に問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、給送性能の向上とシートのセット性の向上を両立したシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート給送装置において、積載方向に重ね合わされた第1シート及び第2シートを支持するシート支持部と、前記シート支持部に支持された前記第1シートを給送する給送回転体と、前記第1シートに連れ送りされた前記第2シートを前記第1シートから分離する分離部と、前記分離部によって前記第1シートから分離された前記第2シートを前記シート支持部に向けて戻す戻し部と、前記シート支持部に支持された前記第1シート及び前記第2シートの先端の位置を規制する規制面を有し、前記規制面によって前記第1シート及び前記第2シートの先端の位置を規制する規制位置と、前記シート支持部に支持された前記第1シート及び前記第2シートが給送されることを許容する許容位置と、に移動可能な規制部と、を備え、前記戻し部は、接触したシートを前記シート支持部に向けて戻すための爪部を備え、シートが通過する搬送路に前記爪部が突出する突出位置と、前記搬送路から前記爪部が退避する退避位置に、第1回動軸を中心に回動可能であり、前記規制面は、前記規制部が前記規制位置に位置する状態において、前記積載方向に延びており、前記規制部は、前記戻し部が前記突出位置に位置する場合において前記規制位置から前記許容位置への回動が規制され、かつ前記戻し部が前記突出位置から前記退避位置に回動することで、前記規制位置から前記許容位置への回動が許容される、ことを特徴とする。
また、本発明は、シート給送装置において、積載方向に重ね合わされた第1シート及び第2シートを支持するシート支持部と、前記シート支持部に支持された前記第1シートを給送する給送回転体と、前記第1シートに連れ送りされた前記第2シートを前記第1シートから分離する分離部と、前記分離部によって前記第1シートから分離された前記第2シートを前記シート支持部に向けて戻す戻し部と、前記シート支持部に支持された前記第1シート及び前記第2シートの先端の位置を規制する規制面を有し、前記規制面によって前記第1シート及び前記第2シートの先端の位置を規制する規制位置と、前記シート支持部に支持された前記第1シート及び前記第2シートが給送されることを許容する許容位置と、に移動可能な規制部と、駆動力を発生させる駆動源と、前記駆動源の駆動力によって前記戻し部及び前記規制部を駆動させる駆動伝達部と、を備え、前記規制面は、前記規制部が前記規制位置に位置する状態において、前記積載方向に延びており、前記戻し部は、第1カムフォロアを有し、前記規制部は、第2カムフォロアを有し、前記駆動伝達部は、前記第1カムフォロアに係合して回転することで前記戻し部を駆動させる第1カムと、前記第2カムフォロアに係合して回転することで前記規制部を駆動させる第2カムと、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、給送性能の向上とシートのセット性の向上を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
【
図3】(a)は駆動伝達部を示す斜視図、(b)は駆動伝達部を示す斜視図。
【
図8】(a)は離間位置に位置する分離ローラ及びその周辺構成を示す斜視図、(b)は当接位置に位置する分離ローラ及びその周辺構成を示す斜視図。
【
図9】(a)は待機位置に位置する戻し爪を示す斜視図、(b)は退避位置に位置する戻し爪を示す斜視図。
【
図10】(a)はシートが給送される前の戻し爪の様子を示す断面図、(b)はシート搬送中の戻し爪の様子を示す斜視図、(c)は第2シートを戻している戻し爪の様子を示す断面図。
【
図11】(a)は待機位置に位置する先端規制部を示す斜視図、(b)は待機位置に位置する先端規制部を示す斜視図。
【
図12】(a)は退避位置に位置する先端規制部を示す斜視図、(b)は退避位置に位置する先端規制部を示す斜視図。
【
図13】第2の実施の形態に係る先端規制部を示す斜視図。
【
図14】(a)は待機位置に位置する先端規制部及び戻し爪の様子を示す断面図、(b)は退避位置に位置する先端規制部及び戻し爪の様子を示す断面図。
【
図15】他の実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
【
図16】比較例に係るシート給送装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタ100は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。プリンタ100は、
図1に示すように、プリンタ100の下部に設けられたシート給送装置10と、シート給送装置10によって給送されたシートSに画像を形成する画像形成部20と、定着部30と、排出ローラ対109と、を有している。
【0011】
プリンタ100に画像形成の指令が出力されると、プリンタ100に接続された外部のコンピュータ等から入力された画像情報に基づいて、画像形成部20による画像形成プロセスが開始される。画像形成部20は、像担持体である感光ドラム102と、現像ローラ113と、レーザースキャナ103と、転写ローラ106と、を有している。レーザースキャナ103は、入力された画像情報に基づいて、感光ドラム102に向けてレーザー光112を照射する。このとき感光ドラム102は、不図示の帯電ローラにより予め帯電されており、レーザー光112が照射されることで感光ドラム102上に静電潜像が形成される。その後、現像ローラ113によりこの静電潜像が現像され、感光ドラム102上にトナー像が形成される。
【0012】
上述の画像形成プロセスに並行して、シート給送装置10によってシートSが給送される。シート給送装置10によって給送されたシートSは、搬送ローラ対105によって転写ローラ106に向けて搬送される。シートSは、転写ローラ106に転写バイアスが印加されることで、感光ドラム102上に形成されたトナー像が転写される。
【0013】
転写ローラ106によってトナー像が転写されたシートSは、定着部30によって加熱・加圧処理され、トナー像が定着される定着部30は、ヒータを内蔵する加熱ローラ107と、加熱ローラ107に向けて付勢される加圧ローラ108と、から構成される。そして、シートSは、排出ローラ対109によって排出トレイ114に排出される。
【0014】
シートSの両面に画像を形成する場合には、排出ローラ対109は、第1面に画像が形成されたシートSをスイッチバックさせることで、両面搬送路41に案内する。両面搬送路41を通過したシートSは、転写ローラ106によって第2面に画像が形成された後、排出ローラ対109によって機外に排出される。
【0015】
[シート給送装置]
次に、シート給送装置10の構成について詳述する。シート給送装置10は、
図1及び
図2に示すように、シートが積載されて支持される積載トレイ110と、積載トレイ110に積載されたシートSを給送する給送部50と、を有している。また、シート給送装置10は、先端規制部118と、戻し爪119と、後端規制板11と、駆動源としてのモータ120の駆動によって、給送部50、先端規制部118及び戻し爪119を駆動する駆動伝達部60と、を有している。
【0016】
積載トレイ110に積載されたシートSは、先端規制部118によって先端の位置が規制され、後端規制板11によって後端の位置が規制される。後端規制板11は、積載トレイ110に対してシート給送方向FDに移動可能に支持されており、シートSのサイズに応じてユーザによって位置決めされる。
【0017】
給送部50は、積載されたシートSに接触して給送する給送ローラ104と、給送ローラ104によって給送されたシートSを搬送する搬送ローラ115と、搬送ローラ115と共に分離ニップ117を形成する分離ローラ116と、を有する。また、給送部50は、搬送ローラ軸115a(
図6参照)を中心に揺動可能に支持され、給送ローラ104を回転可能に支持する給送ホルダ129と、シートSを案内する搬送ガイド135と、を有している。搬送ガイド135は、シート給送方向FD及び積載方向SDに対して傾斜し給送ローラ104によって給送されたシートSに摺接する傾斜面135aを有している。シートSは、傾斜面135aに摺接することで、1枚ずつに捌かれる。
【0018】
戻し部としての戻し爪119は、分離ニップ117によって最上位シートから分離されたシートをシート支持部としての積載トレイ110に向けて戻す。これにより、シートSの重送を低減し、安定した給送性能を得ることができる。
【0019】
なお、本実施の形態では、搬送ローラ115と分離ローラ116とによってシートを1枚ずつに分離する分離ニップ117を形成していたが、これに限定されない。例えば、分離ローラ116に代えて、分離パッドを適用してもよい。また、分離ローラ116には、例えばトルクリミッタ方式やリタードローラ方式の構成が適用される。
【0020】
[駆動伝達部]
次に、駆動伝達部60について詳述する。駆動伝達部60は、
図3(a)(b)に示すように、モータ120によって駆動されるピニオンギヤ120aと、ピニオンギヤ120aに噛合する第1駆動ギヤ121と、第1駆動ギヤ121に噛合する第2駆動ギヤ122と、を有している。
【0021】
また、駆動伝達部60は、第2駆動ギヤ122によって回転する欠歯ギヤ123と、欠歯ギヤ123を待機位置に位置決めするソレノイドユニット65と、欠歯ギヤ123に噛合する分離離間ギヤ124及びフィードギヤ125と、を有している。
【0022】
欠歯ギヤ123は、複数のギヤ歯を有するギヤ部123aと、ギヤ歯が形成されない欠歯部123bと、を有しており、欠歯部123bは、欠歯ギヤ123が待機位置に位置決めされている状態で、第2駆動ギヤ122の出力ギヤ122aに対向している。分離離間ギヤ124及びフィードギヤ125は、欠歯ギヤ123のギヤ部123aに噛合している。分離離間ギヤ124は、欠歯ギヤ123のギヤ部123aと同数の歯数を有している。
【0023】
ソレノイドユニット65は、欠歯ギヤ123の外周面の一部に形成される係合部123cに係合可能な係合爪66と、係合爪66を係合部123cに係合する方向に付勢するバネ67と、ソレノイド68と、を有している。ソレノイド68は、通電することで、バネ67の付勢力に抗して係合爪66を係合部123cから離間するように揺動させる。
【0024】
プリンタ100に画像形成ジョブが入力されると、モータ120が駆動し、ピニオンギヤ120a、第1駆動ギヤ121及び第2駆動ギヤ122が回転する。この時、欠歯ギヤ123はソレノイドユニット65の係合爪66によって
図3(a)(b)に示す待機位置に位置決めされており、欠歯ギヤ123の欠歯部123bは第2駆動ギヤ122の出力ギヤ122aに対向している。このため、欠歯ギヤ123には第2駆動ギヤ122から駆動力が伝達されない。
【0025】
ソレノイドユニット65のソレノイド68が通電されると、係合爪66がバネ67の付勢力に抗して欠歯ギヤ123の係合部123cから離間する。すると、欠歯ギヤ123に内蔵される不図示のバネによって欠歯ギヤ123は所定角度回転し、第2駆動ギヤ122の出力ギヤ122aにギヤ部123aが噛合する。これにより、欠歯ギヤ123が第2駆動ギヤ122の駆動力によって回転し、欠歯ギヤ123に噛合する分離離間ギヤ124及びフィードギヤ125が回転する。欠歯ギヤ123が1回転して待機位置に戻ると、バネ67によって付勢された係合爪66が係合部123cに係合し、欠歯ギヤ123は待機位置で保持される。
【0026】
このように、モータ120が駆動している状態でソレノイド68が通電することにより、欠歯ギヤ123は1回転するように制御される。そして、欠歯ギヤ123が回転している間のみ、分離離間ギヤ124及びフィードギヤ125が回転する。
【0027】
図4に示すように、フィードギヤ125は、搬送ローラ115が取付けられた搬送ローラ軸115aに固定されており、フィードギヤ125が回転することで搬送ローラ115が回転する。また、搬送ローラ軸115aには、ギヤ126が固定されており、ギヤ126は、アイドラギヤ列127を介して給送ギヤ128に駆動を伝達する。給送ギヤ128は、給送ローラ104の不図示の回転軸に固定されており、給送ギヤ128が回転することで給送ローラ104が回転する。このように、フィードギヤ125が回転すると、給送ローラ104及び搬送ローラ115が回転する。
【0028】
[給送ローラの昇降動作]
次に、給送ローラ104の周辺構成及び昇降動作について説明する。
図3(a)、
図5及び
図6に示すように、欠歯ギヤ123の側面には、欠歯ギヤ123と一体に回転する給送カム130が取付けられている。また、給送ホルダ129の側面129bからは、シート給送方向FDに直交する幅方向W(軸方向)に当接部129aが突出している。
【0029】
当接部129aは、給送ホルダ129が上昇位置に位置する際には、給送カム130のカム面130aに当接している。給送ホルダ129は、給送バネ131によって下方に付勢されている。すなわち、給送ホルダ129が上昇位置に位置する際には、当接部129aは、給送バネ131の付勢力によってカム面130aに押し付けられている。給送ホルダ129が上昇位置に位置する場合、給送ホルダ129に保持される給送ローラ104は、積載トレイ110(
図1参照)に積載されたシートSから離間している。
【0030】
欠歯ギヤ123が回転して給送カム130が回転すると、給送カム130のカム面130aと当接部129aとの係合が解除され、給送ホルダ129は、給送バネ131によって、搬送ローラ軸115aを中心に下方に回動する。これにより、給送ホルダ129に保持された給送ローラ104がシートSに接触し、シートSが給送回転体としての給送ローラ104によって給送される。
【0031】
更に給送カム130が回転すると、カム面130aに当接部129aが再び係合し、給送ホルダ129が上昇位置に回動する。給送ホルダ129が上昇位置に位置する状態で、欠歯ギヤ123はソレノイドユニット65によって待機位置で停止する。すなわち、欠歯ギヤ123及び給送カム130が一回転すると、給送ローラ104は、シートSに対して、離間状態、当接状態及び離間状態の順で遷移する。
【0032】
[分離ローラの離間動作]
次に、分離ローラ116の周辺構成及び搬送ローラ115に対する離間動作について説明する。分離ローラ116は、
図7乃至
図8(b)に示すように、分離ローラホルダ132によって回転可能に保持されている。なお、分離ローラ116は、所定のトルクが付与されるとシートに従動回転するトルクリミッタを有しており、該トルクリミッタを介して分離ローラホルダ132に保持されている。
【0033】
搬送ガイド135には、ホルダ軸132bが回転可能に支持されており、ホルダ軸132bには、ホルダ軸132bと一体に回動するように分離ローラホルダ132が支持されている。分離ローラホルダ132は、分離ローラ116が搬送ローラ115から離間する離間位置(
図8(a)に示す位置)と、分離ローラ116が搬送ローラ115に当接する当接位置(
図8(b)に示す位置)と、に回動可能である。分離ローラホルダ132は、分離バネ133によって当接位置に付勢されている。
【0034】
また、搬送ガイド135には、分離ニップガイド134が固定されており、分離ニップガイド134は、搬送ガイド135の傾斜面135aと略面一に形成される傾斜面134aを有している。傾斜面134aは、給送ローラ104(
図1参照)によって給送されたシートSを分離ニップ117に向けてスムーズに案内している。
【0035】
一方、
図3(a)並びに
図7乃至
図8(b)に示すように、分離離間ギヤ124には、分離離間ギヤ124と一体に回転する分離カム136が取付けられている。ホルダ軸132bの一端部には、レバー部132aが固定されており、レバー部132aは、分離カム136のカム面136aに当接可能に設けられている。
【0036】
レバー部132aは、分離ローラ116が離間位置に位置する際には、分離カム136のカム面136aに当接している。分離バネ133は、分離ローラホルダ132を介してホルダ軸132bを
図8(a)の時計回り方向に付勢している。すなわち、分離ローラ116が離間位置に位置する際には、レバー部132aは、分離バネ133の付勢力によってカム面136aに押し付けられている。
【0037】
欠歯ギヤ123及び分離離間ギヤ124が回転して分離カム136が回転すると、分離カム136のカム面136aとレバー部132aとの係合が解除され、分離ローラホルダ132は、分離バネ133によって、ホルダ軸132bを中心に上方に回動する。これにより、分離ローラホルダ132に保持された分離ローラ116が搬送ローラ115に接触し、分離ローラ116は当接位置に位置決めされる。
【0038】
更に分離カム136が回転すると、カム面136aにレバー部132aが再び係合し、分離ローラ116が離間位置に回動する。分離ローラ116が離間位置に位置する状態で、欠歯ギヤ123はソレノイドユニット65によって待機位置で停止する。すなわち、欠歯ギヤ123及び分離カム136が一回転すると、分離ローラ116は、離間位置、当接位置及び離間位置の順で揺動する。
【0039】
[戻し爪の動作]
次に、戻し爪119の構成及び動作について説明する。
図9(a)は、突出位置としての待機位置に位置する戻し爪119を示す斜視図であり、
図9(b)は、退避位置に位置する戻し爪119を示す斜視図である。
【0040】
戻し爪119は、
図9(a)(b)に示すように、搬送ガイド135(
図7参照)に回動可能に支持される第1回動軸としての回動軸140と、回動軸140に固定されるベース部138a,138bと、爪部139a,139bと、を有している。ベース部138b及び爪部139bは、ベース部138a及び爪部139aに対して回動軸140の軸方向に所定の間隔を空けて配置されているが、ベース部138a及び爪部139aと同様の構成である。
【0041】
爪部139a,139bは、回動軸140に対して軸方向に位置決めされると共に、軸方向に直交する径方向に移動可能に支持されている。ベース部138aと爪部139aとの間には、バネ137aが縮設されており、バネ137aは、爪部139aを、回動軸140に対して径方向外側に付勢している。同様に、ベース部138bと爪部139bとの間には、バネ137bが縮設されており、バネ137bは、爪部139bを、回動軸140に対して径方向外側に付勢している。
【0042】
一方、
図3(a)及び
図9(a)(b)に示すように、分離離間ギヤ124には、分離離間ギヤ124と一体に回転する戻し爪カム144が取付けられている。回動軸140の一端部には、カムフォロア140aが設けられており、第1カムフォロアとしてのカムフォロア140aは、第1カムとしての戻し爪カム144のカム面144aに当接可能に設けられている。戻し爪119は、戻し爪バネ141によって、回動軸140を中心に、
図9(a)(b)における反時計回りに付勢されている。
【0043】
カムフォロア140aは、
図9(a)に示すように、戻し爪119が待機位置に位置する際には、戻し爪カム144のカム面144aに当接している。そして、カムフォロア140aは、戻し爪バネ141の付勢力によってカム面144aに押し付けられている。
【0044】
欠歯ギヤ123及び分離離間ギヤ124が回転して戻し爪カム144が回転すると、戻し爪カム144のカム面144aとカムフォロア140aとの係合が解除され、戻し爪119は、戻し爪バネ141によって、回動軸140を中心に反時計回りに回動する。これにより、戻し爪119は、退避位置に移動する。すなわち、戻し爪119は、待機位置から退避位置に移動することで、シート給送方向FDにおける下流側に回動し、シートSが通過する搬送路から退避する。
【0045】
より具体的には、戻し爪119は、退避位置において、搬送ガイド135の傾斜面135aに対して給送ローラ104とは反対側に退避する。これにより、給送ローラ104及び分離ニップ117によって搬送されるシートSは、退避位置に位置する戻し爪119によって搬送が阻害されず、スムーズに搬送される。
【0046】
更に戻し爪カム144が回転すると、カム面144aにカムフォロア140aが再び係合し、戻し爪119が待機位置に揺動する。戻し爪119が待機位置に位置する状態で、欠歯ギヤ123はソレノイドユニット65によって待機位置で停止する。すなわち、欠歯ギヤ123及び分離カム136が一回転すると、戻し爪119は、待機位置、退避位置及び待機位置の順で回動する。
【0047】
次に、
図10(a)乃至
図10(c)を参照して、シート搬送時の戻し爪119の動作について説明する。なお、以下では、積載トレイ110に積載された最上位のシートを第1シートS1とし、積載方向SDにおいて第1シートS1に重ね合わされたシートを第2シートS2とする。
【0048】
図10(a)に示すように、画像形成ジョブが入力されておらず欠歯ギヤ123が待機位置で停止している状態では、戻し爪119は、待機位置に位置している。爪部139a,139bは、戻し爪119が待機位置に位置する状態において、シートが通過する搬送路CPに突出している。この時、分離ローラ116は、離間位置に位置している。
【0049】
図10(b)は、シートが搬送されている状態を示す断面図である。この時、分離ローラ116は、当接位置に位置しており、戻し爪119は、第1シートS1の搬送を阻害しないように退避位置に位置している。爪部139a,139bは、戻し爪119が退避位置に位置する状態において、シートが通過する搬送路CPから退避している。搬送ローラ115及び分離ローラ116によって形成される分離ニップ117は、第1シートS1を搬送している。第2シートS2は、給送ローラ104によって第1シートS1に連れ送りされたものの、分離部としての分離ニップ117によって第1シートS1から分離されている。
【0050】
図10(c)は、戻し爪119が第2シートS2を積載トレイ110(
図1参照)に向けて戻している様子を示す断面図である。この時、分離ローラ116は、離間位置に位置している。上述したように、戻し爪カム144が回転することで、戻し爪119は、退避位置から待機位置に回動し、戻し爪119の爪部139a,139bの先端部146a,146bは、第1シートS1の下面に摺接する。これにより、分離ニップ117によって第1シートS1から分離された第2シートS2は、積載トレイ110に向けて戻される。
【0051】
なお、戻し爪119が退避位置から待機位置に回動する際、爪部139a,139bは、第1シートS1から回動軸140の径方向内側への力を受ける。このため、爪部139a,139bは、バネ137a,137bを圧縮するように移動する。第1シートS1が爪部139a,139bの先端部146a,146bを通過中は、先端部146a,146bは第1シートS1の表面に摺接し、姿勢が維持される。
【0052】
第1シートS1の後端が爪部139a,139bの先端部146a,146bを抜けると、爪部139a,139bは、バネ137a,137bによって
図10(a)に示す位置に戻る。このような構成により、第1シートS1の後端が爪部139a,139bの先端部146a,146bを抜けてから、戻し爪119が
図10(a)に示す待機位置に速やかに復帰することができるので、スループットを向上することができる。
【0053】
[先端規制部の動作]
次に、先端規制部118の構成及び動作について説明する。
図11(a)(b)は、規制位置としての待機位置に位置する先端規制部118を示す斜視図である。規制部としての先端規制部118は、
図11(a)(b)に示すように、搬送ガイド135に回動可能に支持される第2回動軸としての回動軸151と、回動軸151に固定される先端規制部材152,153と、を有している。回動軸151は、回動軸140(
図9(a)参照)に平行に延びている。先端規制部材153は、先端規制部材152に対して回動軸140の軸方向に所定の間隔を空けて配置されているが、先端規制部材152と同様の構成である。
【0054】
規制部材としての先端規制部材152,153は、先端規制部118が待機位置に位置する際に、積載方向SDに延び、積載トレイ110(
図1参照)に積載されたシートSの先端の位置を規制する規制面152a,153aをそれぞれ有している。規制面152a,153aは、
図10(a)に示すように、先端規制部118が待機位置に位置する状態において、給送ローラ104の軸方向に視て、傾斜面134a,135aから積載方向SDに突出している。
【0055】
一方、
図3(b)及び
図11(a)(b)に示すように、欠歯ギヤ123には、欠歯ギヤ123と一体に回転する先端規制カム143が取付けられている。第2カムとしての先端規制カム143は、欠歯ギヤ123を挟んで、給送カム130と反対側に配置されている。回動軸151の一端部には、カムフォロア151aが設けられており、第2カムフォロアとしてのカムフォロア151aは、先端規制カム143のカム面143aに当接可能に設けられている。先端規制部118は、先端規制バネ142によって、回動軸151を中心に、
図11(b)における時計回りに付勢されている。
【0056】
カムフォロア151aは、
図11(b)に示すように、先端規制部118が待機位置に位置する際には、先端規制カム143のカム面143aに当接している。そして、カムフォロア151aは、先端規制バネ142の付勢力によってカム面143aに押し付けられている。
【0057】
欠歯ギヤ123が回転して先端規制カム143が回転すると、
図12(a)(b)に示すように、先端規制カム143のカム面143aとカムフォロア151aとの係合が解除される。そして、先端規制部118は、先端規制バネ142によって、回動軸151を中心に
図12(b)における矢印方向に回動する。これにより、先端規制部118は、許容位置としての退避位置に移動する。すなわち、先端規制部118は、待機位置から退避位置に移動することで、シート給送方向FDにおける下流側に回動し、シートSが給送されることを許容する。
【0058】
より具体的には、退避位置は、規制面152a,153aが搬送ガイド135の傾斜面135aに倣うような先端規制部118の位置である。なお、先端規制部118が退避位置に位置する状態で、規制面152a,153aは、傾斜面135aに対して搬送ガイド135の内方側に全体が退避しても、僅かに給送ローラ104側に突出していてもよい。いずれにしても、先端規制部118は、退避位置において、シートSの給送を許容する位置に位置している。
【0059】
更に先端規制カム143が回転すると、カム面143aにカムフォロア151aが再び係合し、先端規制部118が待機位置に回動する。先端規制部118が待機位置に位置する状態で、欠歯ギヤ123はソレノイドユニット65によって待機位置で停止する。すなわち、欠歯ギヤ123が一回転すると、先端規制部118は、待機位置、退避位置及び待機位置の順で回動する。
【0060】
[戻し爪と先端規制部の動作のタイミング]
次に、戻し爪119と先端規制部118の動作のタイミングについて説明する。例えば、戻し爪119が待機位置に位置する状態で、給送ローラ104によってシートSが一定量搬送されると、シートSが戻し爪119の先端部146a,146bに擦れ、シートSが傷つく虞がある。
【0061】
このため、戻し爪119が待機位置から退避位置に回動するタイミングを、以下のように設定する。給送動作開始後の給送ローラ104とシートSとのスリップをゼロとしたときの給送ローラ104によるシートSの理想的な搬送距離を距離Aとする。待機位置に位置する先端規制部118の規制面152a,153aから待機位置に位置する戻し爪119の先端部146a,146bまでの距離を距離Bとする。
【0062】
本実施の形態では、距離A<距離Bにおいて、戻し爪119が待機位置から退避位置に回動するようにソレノイド68の通電タイミングが制御される。これにより、シートSへのダメージを低減できる。
【0063】
また、先端規制部118は、給送ローラ104が積載トレイ110上のシートSに接触する前に待機位置から退避位置に回動する。更に、待機位置に位置する先端規制部118の規制面152a,153aから分離ニップ117までの距離を距離Cとすると、分離ローラ116は、距離A<距離Cにおいて、離間位置から当接位置に移動する。
【0064】
更に、待機位置に位置する先端規制部118の規制面152a,153aから搬送ローラ対105のニップまでの距離を距離Dとすると、分離ローラ116は、距離A>距離Dにおいて、当接位置から離間位置に移動する。戻し爪119及び先端規制部118は、分離ニップ117が解除された後に、退避位置から待機位置に戻る。なお、戻し爪119及び先端規制部118の動作タイミングは、必ずしも同じである必要はなく、互いにずれていてもよい。
【0065】
戻し爪119、先端規制部118及び分離ローラ116の動作と、給送ローラ104の昇降のタイミングは、ソレノイド68の通電タイミング並びに戻し爪カム144、先端規制カム143、分離カム136及び給送カム130の形状によって決定される。これらの動作のタイミングは、適宜設定してよい。
【0066】
[比較例]
図16は、比較例に係るシート給送装置710を示す断面図である。シート給送装置710は、先端規制部118を有しておらず、積載トレイ110にセットされたシート束SBの先端SLは、傾斜面134a,135aに倣う。傾斜面134a,135aは、シート給送方向FD及び積載方向SDに傾斜する方向に延びているため、シート束SBの先端SLは、シート給送方向FDにおいてバラバラとなる。このように、シート束SBのセット性に問題がある。
【0067】
なお、後端規制板11は、積載方向SDに延び、シート束SBの後端STの位置を規制する規制面11aを有している。上述したように、シート束SBの先端SLが傾斜面134a,135aに倣うと、シート束SBの後端STもシート給送方向FDにおいてバラバラとなる。すると、シート束SBの後端STと、積載方向SDに延びる規制面11aとの間に空間SPができ、シート束SBがずれやすくなってしまう。このため、シートの先端の位置が安定せず、給送性能が低下してしまう。
【0068】
[本実施の形態の効果]
そこで、本実施の形態のシート給送装置10では、先端規制部118を設けている。先端規制部118は、待機位置において積載方向SDに延びる規制面152a,152bを有している。積載トレイ110に積載されたシートSは、規制面152a,152bに先端が突き当てられた状態でセットされるので、セット性を向上できる。
【0069】
また、シート給送装置10は、戻し爪119を有しており、戻し爪119は、分離ニップ117で滞留したシートを積載トレイ110に向けて戻す。これにより、シートSの重送を低減し、給送性能を向上することができる。このように、給送性能の向上とシートのセット性の向上とを両立することができる。
【0070】
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の先端規制部118の構成を変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0071】
第2の実施の形態に係る先端規制部218は、
図13に示すように、搬送ガイド135に回動可能に支持される回動軸151と、回動軸151に固定される先端規制部材152,153と、を有している。先端規制部材152,153は、先端規制部218が待機位置に位置する際に、積載方向SDに延び、積載トレイ110(
図1参照)に積載されたシートSの先端の位置を規制する規制面152a,153aをそれぞれ有している。
【0072】
一方で、先端規制部218には、第1の実施の形態のようなカムフォロア151a(
図11(b)参照)は設けられておらず、
図3(b)に示すような先端規制カム143も省かれている。
【0073】
図14(a)は、戻し爪219及び先端規制部218が待機位置に位置する様子を示す断面図であり、
図14(b)は、戻し爪219及び先端規制部218が退避位置に位置する様子を示す断面図である。
【0074】
戻し部としての戻し爪219は、
図13及び
図14(a)に示すように、搬送ガイド135に回動可能に支持される回動軸140と、回動軸140に固定されるベース部138a,138bと、爪部139a,139bと、を有している。
【0075】
爪部139a,139bは、回動軸140に対して軸方向に位置決めされると共に、軸方向に直交する径方向に移動可能に支持されている。ベース部138aと爪部139aとの間には、バネ137aが縮設されており、バネ137aは、爪部139aを、回動軸140に対して径方向外側に付勢されている。同様に、ベース部138bと爪部139bとの間には、バネ137bが縮設されており、バネ137bは、爪部139bを、回動軸140に対して径方向外側に付勢されている。戻し爪219の駆動構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0076】
先端規制部材152,153は、回動軸151の軸方向ADにおいて、それぞれ爪部139a,139bと少なくとも一部が重なる位置に配置されている。爪部139a,139bには、先端規制部材152,153に当接する当接部240a,240bがそれぞれ設けられている。先端規制部材152,153は、回動軸151に取り付けられた付勢部としての先端規制バネ242によって、当接部240a,240bに当接するように付勢されている。
【0077】
すなわち、当接部240a,240bは、戻し爪219が待機位置に位置する状態において、先端規制部218の退避位置への回動を規制している。また、規制部としての先端規制部218は、戻し爪219が待機位置から退避位置に回動することで、待機位置から退避位置への回動が許容される。
【0078】
図14(a)(b)に示すように、戻し爪219が待機位置から退避位置に回動すると、先端規制部218は、先端規制バネ242の付勢力によって、戻し爪219の当接部240a,240bに追従するように回動する。これにより、先端規制部218は、待機位置から退避位置に回動する。
【0079】
そして、戻し爪219が退避位置から待機位置に回動すると、先端規制部218は、先端規制バネ242の付勢力に抗して当接部240a,240bによって押圧される。これにより、先端規制部218は、待機位置に復帰する。
【0080】
なお、本実施の形態では、先端規制部218を先端規制バネ242によってシート給送方向FDにおける下流側に付勢していたが、これに限定されない。例えば、先端規制バネ242を設けずに、給送ローラ104によって給送されたシートSの先端によって先端規制部218が押圧されて回動する構成であってもよい。
【0081】
[本実施の形態の効果]
以上のような構成により、積載トレイ110に積載されたシートSは、規制面152a,152bに先端が突き当てられた状態でセットされるので、セット性を向上できる。また、戻し爪219は、分離ニップ117で滞留したシートを積載トレイ110に向けて戻す。これにより、シートSの重送を低減し、給送性能を向上することができる。このように、給送性能の向上とシートのセット性の向上とを両立することができる。
【0082】
また、先端規制部218の先端規制部材152,153は、軸方向ADにおいて少なくとも一部が爪部139a,139bにそれぞれ重なる位置に配置されている。このため、先端規制部材152,153及び爪部139a,139b等が収容される搬送ガイド135の切欠き部135b(
図13参照)を小型化できる。これにより、シートSが切欠き部135bに引っかかって、給送不良が発生することを低減できる。
【0083】
<その他の実施の形態>
なお、既述のいずれの形態においても、積載トレイ110に積載されたシートを給送するシート給送装置10を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図15に示すように、画像形成装置としてのプリンタ200は、手差しトレイ201と、手差しトレイ201に積載されたシートを給送するシート給送装置210と、を有している。本発明は、シート給送装置210に適用してもよい。また、画像読取装置に設けられるADF(Auto Document Feeder)に本発明を適用してもよい。
【0084】
また、既述のいずれの形態においても、給送ローラ104によってシートSを給送していたが、これに限定されない。例えば、給送ローラ104に代えて、静電気力又は負圧によってシートSを吸着するベルトによってシートSを給送してもよい。
【0085】
また、既述のいずれの形態においても、積載トレイ110にシートSをセットする構成を例に説明したが、これに限定されない。例えば、積載トレイ110は、プリンタ本体に対して着脱可能に構成されていてもよく、積載トレイ110に代えて、シートを収容すると共にプリンタ本体に対して着脱されるカセットを設けてもよい。
【0086】
また、第2の実施の形態において、当接部240a,240bは、爪部139a,139bに設けられていたが、これに限定されない。例えば、戻し爪219の回動軸140に当接部240a,240bが設けられてもよい。
【0087】
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ100,200を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
10,210:シート給送装置/60:駆動伝達部/100,200:画像形成装置(プリンタ)/104:給送回転体(給送ローラ)/110:シート支持部(積載トレイ)/117:分離部(分離ニップ)/118,218:規制部(先端規制部)/119,219:戻し部(戻し爪)/120:駆動源(モータ)/135a:傾斜面/139a,139b:爪部/140:第1回動軸(回動軸)/140a:第1カムフォロア(カムフォロア)/143:第2カム(先端規制カム)/144:第1カム(戻し爪カム)/151:第2回動軸(回動軸)/151a:第2カムフォロア(カムフォロア)/152,153:規制部材(先端規制部材)/152a,153a:規制面/240a,240b:当接部/242:付勢部(先端規制バネ)/AD:軸方向/CP:搬送路/FD:シート給送方向/S1:第1シート/S2:第2シート/SD:積載方向