(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240318BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240318BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/00 500
H05B3/00 310A
H05B3/00 335
(21)【出願番号】P 2020006854
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 光彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊範
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181643(JP,A)
【文献】特開2004-102214(JP,A)
【文献】特開2011-237480(JP,A)
【文献】特開2008-070560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/00
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源からAC電力が供給されるAC入力部と、
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
それぞれ発熱する第1定着ヒータと第2定着ヒータとを有し、前記第1定着ヒータ及び前記第2定着ヒータの熱により前記画像が形成された前記記録材を加熱して該記録材に該画像を定着させる定着器と、
少なくとも第1接点および第2接点を有し、第1駆動電流に応じて、前記第1接点および前記第2接
点が導通状態と切断状態とに切り替わる第1リレーと、
少なくとも第3接点および第4接点を有し、第2駆動電流に応じて、前記第3接点および前記第4接
点が導通状態と切断状態とに切り替わる第2リレーと、を備え、
前記AC入力部は、本体用電源へ給電する第1入力部と、定着器用電源へ給電する第2入力部と、を含み、
前記第1定着ヒータは、前記第1リレー
の前記第1接点を介して、前記第1入力部のホット給電線に接続され、かつ
、前記第2リレー
の前記第3接点を介して、前記第1入力部のニュートラル給電線に接続され、
前記第2定着ヒータは、前記第1リレー
の前記第2接点を介して、前記第2入力部のホット給電線に接続され、かつ
、前記第2リレー
の前記第4接点を介して、前記第2入力部のニュートラル給電線に接続されることを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項2】
商用電源からAC電力が供給されるAC入力部と、
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
それぞれ発熱する第1定着ヒータと第2定着ヒータとを有し、前記第1定着ヒータ及び前記第2定着ヒータの熱により前記画像が形成された前記記録材を加熱して該記録材に該画像を定着させる定着器と、
少なくとも第1接点および第2接点を有し、第1駆動電流に応じて、前記第1接点および前記第2接点が導通状態と切断状態とに切り替わる第1リレーと、
少なくとも第3接点および第4接点を有し、第2駆動電流に応じて、前記第3接点および前記第4接点が導通状態と切断状態とに切り替わる第2リレーと、を備え、
前記AC入力部は、本体用電源へ給電する第1入力部と、定着器用電源へ給電する第2入力部と、を含み、
前記第1定着ヒータは、前記第1リレーの前記第1接点を介して、前記第1入力部のホット給電線に接続され、かつ、前記第2リレーの前記第3接点を介して、前記第1入力部のニュートラル給電線に接続され、
前記第2定着ヒータは、前記第2リレーの前記第4接点を介して、前記第2入力部のホット給電線に接続され、かつ、前記第1リレーの前記第2接点を介して、前記第2入力部のニュートラル給電線に接続されることを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項3】
前記第1リレーに駆動電流を供給する第1駆動回路と、
前記第2リレーに駆動電流を供給する第2駆動回路と、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1駆動回路により前記第1リレーを切断状態にできない場合、前記第2駆動回路により前記第2リレーを切断状態にし、前記第2駆動回路により前記第2リレーを切断状態にできない場合、前記第1駆動回路により前記第1リレーを切断状態にすることを特徴とする、
請求項1
または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1定着ヒータと前記ニュートラル給電線又は
前記ホット給電線に接続されるリレーとの間に第1トライアックが設けられ、
前記第2定着ヒータと前記ニュートラル給電線又は
前記ホット給電線に接続されるリレーとの間に第2トライアックが設けられ、
前記制御手段は
、複数のリレーをそれぞれ導通状態にして、前記第1トライアックにより前記第1定着ヒータへの前記AC電力の給電を制御し、前記第2トライアックにより前記第2定着ヒータへの前記AC電力の給電を制御することを特徴とする、
請求項
3記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を定着させる定着器内部に、定着処理時に発熱するヒータ(定着ヒータ)を複数備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、記録材に転写されたトナー像を加熱して溶着させる定着器を備えることがある。このような定着器は、高い生産性を確保するために、複数の定着ヒータを備える場合がある。特許文献1には、1つの商用電源から複数の定着ヒータに電力を供給する画像形成装置が開示される。特許文献2には、さらに高い生産性の要求に対して、複数の商用電源を用いて複数の定着ヒータに電力を供給する電子写真方式の画像形成装置が開示される。このような画像形成装置の定着器は、商用電源を用いて発熱動作を行うために、制御異常の発生により想定される異常発熱を防止する必要がある。異常発熱の防止のために、特許文献2、3、4には、リレーで商用電源からの電力供給を遮断する構成が開示される。
【0003】
以上のような背景から、複数の定着ヒータを備える画像形成装置は、商用電源のホット給電線(H)及びニュートラル給電線(N)からのすべての給電経路にリレーを備える必要がある。しかし、すべての給電経路に1つずつリレーを設ける場合、リレーの面積分だけ基板の構成が増大する。そのために特許文献5では、1つで複数の接点を有するリレーを用いて省スペースを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-15810号公報
【文献】特開2016-14769号公報
【文献】特開2003-58002号公報
【文献】特開2000-10434号公報
【文献】特開2008-70560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の接点を有するリレーを用いて定着器の温度を調整する従来の画像形成装置は、リレーの駆動回路の故障により定着ヒータへの給電を遮断できなくなる可能性がある。この場合、定着ヒータに電力が供給され続けるために、定着ヒータは、異常発熱する。これは、画像形成装置の安全性に直結する問題であるために、定着ヒータの制御異常が発生した場合には、直ちに定着ヒータへの電力供給を遮断する必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の接点を有するリレーの故障時に定着ヒータの異常発熱を防止することができる画像形成装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、商用電源からAC電力が供給されるAC入力部と、記録材に画像を形成する画像形成手段と、それぞれ発熱する第1定着ヒータと第2定着ヒータとを有し、前記第1定着ヒータ及び前記第2定着ヒータの熱により前記画像が形成された前記記録材を加熱して該記録材に該画像を定着させる定着器と、少なくとも第1接点および第2接点を有し、第1駆動電流に応じて、前記第1接点および前記第2接点が導通状態と切断状態とに切り替わる第1リレーと、少なくとも第3接点および第4接点を有し、第2駆動電流に応じて、前記第3接点および前記第4接点が導通状態と切断状態とに切り替わる第2リレーと、を備え、前記AC入力部は、本体用電源へ給電する第1入力部と、定着器用電源へ給電する第2入力部と、を含み、前記第1定着ヒータは、前記第1リレーの前記第1接点を介して、前記第1入力部のホット給電線に接続され、かつ、前記第2リレーの前記第3接点を介して、前記第1入力部のニュートラル給電線に接続され、前記第2定着ヒータは、前記第1リレーの前記第2接点を介して、前記第2入力部のホット給電線に接続され、かつ、前記第2リレーの前記第4接点を介して、前記第2入力部のニュートラル給電線に接続されることを特徴とする。
本発明の他の画像形成装置は、商用電源からAC電力が供給されるAC入力部と、記録材に画像を形成する画像形成手段と、それぞれ発熱する第1定着ヒータと第2定着ヒータとを有し、前記第1定着ヒータ及び前記第2定着ヒータの熱により前記画像が形成された前記記録材を加熱して該記録材に該画像を定着させる定着器と、少なくとも第1接点および第2接点を有し、第1駆動電流に応じて、前記第1接点および前記第2接点が導通状態と切断状態とに切り替わる第1リレーと、少なくとも第3接点および第4接点を有し、第2駆動電流に応じて、前記第3接点および前記第4接点が導通状態と切断状態とに切り替わる第2リレーと、を備え、前記AC入力部は、本体用電源へ給電する第1入力部と、定着器用電源へ給電する第2入力部と、を含み、前記第1定着ヒータは、前記第1リレーの前記第1接点を介して、前記第1入力部のホット給電線に接続され、かつ、前記第2リレーの前記第3接点を介して、前記第1入力部のニュートラル給電線に接続され、前記第2定着ヒータは、前記第2リレーの前記第4接点を介して、前記第2入力部のホット給電線に接続され、かつ、前記第1リレーの前記第2接点を介して、前記第2入力部のニュートラル給電線に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の接点を有するリレーの故障時に定着ヒータの異常発熱を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】(a)、(b)は、画像形成処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のヒータ制御装置を備える画像形成装置の構成図である。画像形成装置100は、本体30と定着装置300とを備えた構成である。本実施形態の画像形成装置100は、タンデム型の中間転写方式のフルカラープリンタである。本体30の上部には操作部202が設けられる。本体30は、記録材Pにトナー像(画像)を形成する。定着装置300は、本体30からトナー像が形成された記録材Pを取得し、トナー像を該記録材Pに定着させる。
【0012】
本体30は、画像形成部1a、1b、1c、1d、露光器6、中間転写ユニット20、カセット容器4、及び記録材Pの搬送機構を備える。画像形成部1a、1b、1c、1dは、中間転写ユニット20が備える中間転写ベルト3の上向き面に沿って配列される。画像形成部1a、1b、1c、1dの各々で形成されたトナー像は、中間転写ベルト3に転写される。
【0013】
カセット容器4は、記録材Pを収容する。カセット容器4は、本体30から引き出し可能であり、ユーザにより記録材Pが補給されて本体30にセットされる。記録材Pは、カセット容器4から給紙され、搬送機構により本体30の内部の搬送経路を搬送される。搬送機構は、搬送経路に沿って、分離ローラ8、レジストローラ9、及び排出ローラ12と排出ローラ13とに掛け渡して支持された排出ベルト14と、を備える。分離ローラ8は、カセット容器4から記録材Pをピックアップし、1枚ずつ分離してレジストローラ9へ搬送する。レジストローラ9は、分離ローラ8から搬送される記録材Pを停止状態で待機する。記録材Pは、停止状態のレジストローラ9に搬送方向の先端が当接して所定量の撓みが形成されることで、搬送方向に対する斜行が補正される。
【0014】
画像形成部1a、1b、1c、1dは、同じ構成であり、形成するトナー像の色が異なるのみである。画像形成部1aはブラックのトナー像を形成する。画像形成部1bはシアンのトナー像を形成する。画像形成部1cはマゼンタのトナー像を形成する。画像形成部1dはイエローのトナー像を形成する。以下の説明において、色を分けて説明する必要が無い場合には、符号末尾のa、b、c、dを省略する。
【0015】
画像形成部1は、感光ドラム10、帯電器41、及び現像器51を備える交換可能なユニットである。露光器6は画像形成部1の近傍に設けられる。感光ドラム10は、表面に感光層が設けられたドラム形状の感光体である。感光ドラム10は、不図示の駆動モータにより図中時計回り方向に所定のプロセススピードで回転する。帯電器41は、回転中の感光ドラム10の感光層を一様な負極性の電位に帯電する。
【0016】
露光器6は、対応する色の分解色画像を展開した走査線画像データにより変調されたレーザビームを、帯電した感光ドラム10の感光層に照射する。露光器6は、回転ミラーを内蔵する。レーザビームは、回転ミラーに反射されて感光ドラム10を照射することで、回転ミラーの回転に応じて感光ドラム10を走査する。レーザビームにより走査されることで、感光ドラム10の感光層には静電潜像が形成される。現像器51は、対応する色のトナーを静電潜像に付着させて、静電潜像を現像する。これにより感光ドラム10の表面に対応する色のトナー像が形成される。
【0017】
感光ドラム10の表面は、中間転写ベルト3に接触可能である。中間転写ベルト3を挟んで感光ドラム10a、10b、10c、10dに対向する位置には、一次転写ローラ2a、2b、2c、2dが設けられる。一次転写ローラ2は、中間転写ベルト3を感光ドラム10側に押圧することで、感光ドラム10と中間転写ベルト3とを当接させて一次転写領域Tを形成する。一次転写ローラ2に正極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム10に担持された負極性のトナー像が、一次転写領域Tを通過する中間転写ベルト3へ転写される。各感光ドラム10a、10b、10c、10dからトナー像が重畳して転写されることで、中間転写ベルト3にはフルカラーのトナー像が形成される。
【0018】
中間転写ユニット20は、本体30から一体に着脱して交換が可能なユニットである。中間転写ユニット20は、中間転写ベルト3の支持機構及び駆動機構を含む。中間転写ベルト3は、伸縮性のない無端状のベルト部材である。中間転写ベルト3は、支持機構であるテンションローラ27、ベルト駆動ローラ26、及び二次転写内ローラ25に掛け渡して支持される。ベルト駆動ローラ26は不図示の駆動機構に回転駆動されることで、中間転写ベルト3を矢印R2方向に回転する。
【0019】
中間転写ベルト3を挟んで二次転写内ローラ25に対向する位置には、二次転写外ローラ22が設けられる。二次転写内ローラ25と二次転写外ローラ22とは、二次転写領域T2を構成する。二次転写内ローラ25が中間転写ユニット20に組み立てられ、二次転写外ローラ22が本体30に組み立てられている。二次転写内ローラ25は、二次転写領域T2で中間転写ベルト3を張架している。不図示の電源から二次転写外ローラ22に正極性の直流電圧が印加されることで、接地電位に接続された二次転写内ローラ25との間にトナー像を転写するための転写電界が生じる。
【0020】
中間転写ベルト3は、ベルト駆動ローラ26により駆動されることで、画像形成部1から転写されたトナー像を二次転写領域T2に搬送する。レジストローラ9は、トナー像が二次転写領域T2に搬送されるタイミングに応じて、記録材Pを二次転写領域T2に搬送する。中間転写ベルト3が担持するトナー像は、転写電界により記録材Pに転写される。このようにして記録材Pにトナー像が形成される。トナー像が形成された記録材Pは、排出ベルト14上を搬送されて定着装置300へ受け渡される。
【0021】
定着装置300は、定着器5及び排紙ローラ11を備え、記録材Pにトナー像を定着させる。定着器5は、定着ローラ5a及び加圧ローラ5bを備える。定着ローラ5aに加圧ローラ5bを圧接することで、加熱ニップが形成される。定着ローラ5aは、定着ヒータ305aを内包する。加圧ローラ5bは、定着ヒータ305bを内包する。記録材Pは、加熱ニップで挟持搬送される過程で、定着ローラ5a及び加圧ローラ5bにより加熱されることでトナー像が溶融し、加圧されることで画像が表面に定着される。画像定着後の記録材Pは、排紙ローラ11により定着器5から排紙トレイ7へ排出される。
【0022】
操作部202は、ユーザインタフェースであり、入力インタフェース及び出力インタフェースを備える。入力インタフェースは、各種のキーボタンやタッチパネル等である。出力インタフェースは、ディスプレイやスピーカ等である。記録材Pへの画像形成処理は、ユーザが操作部202の入力インタフェースにより画像形成の指示を入力することで実行開始される。操作部202の出力インタフェースは、画像形成装置100(本体30、定着装置300)の状態、例えば画像形成枚数や画像形成中か否かの情報、ジャムの発生やその箇所等をユーザに報知することができる。また、操作部202の出力インタフェースは、サービスマンに対して、サービス作業の効率を向上させるために動作不良に至った原因の表示や、本体設置時や現像器交換時の初期化動作の案内表示、操作開始の受付画面表示を行う。
【0023】
(システム構成)
図2は、画像形成装置100のシステム構成の説明図である。太い実線は商用電源から給電されるAC電力の給電経路(給電線)を示す。太い点線は、AC電力から生成されたDC電力の給電経路(給電線)を示す。細線は、信号が伝送される信号線を示す。なお、「AC」は交流を表す。「DC」は直流を表す。
【0024】
画像形成装置100は、本体30が第1AC入力部101を介して商用電源に接続されている。定着装置300は、第2AC入力部301を介して商用電源に接続されている。第1AC入力部101及び第2AC入力部301は、説明を簡潔にするために電力線を1本として図示するが、電力線の本数はこれに限られない。
【0025】
本体30の内部には、第1AC分配部102、本体用AC/DC電源103、本体制御部106、及び主制御部110が設けられる。定着装置300には、定着器5の他に、第2AC分配部302、定着装置用AC/DC電源303、第1温調制御部304、及び定着装置制御部306が設けられる。
【0026】
商用電源は、第1AC入力部101を介して第1AC分配部102にAC電力を供給する。第1AC分配部102は、供給されたAC電力を本体用AC/DC電源103と定着装置300の第1温調制御部304とに分配する。本体用AC/DC電源103は、供給されたAC電力を本体30で使用するDC電力に変換し、給電線651を介して、主制御部110、本体制御部106、及び操作部202に分配する。
【0027】
主制御部110は、CPU(Central Processing Unit)104a、ROM(Read Only Memory)104b、及びRAM(Random Access Memory)104cを備える。CPU104aは、ROM104bに格納されるコンピュータプログラムを実行することで、画像形成装置100全体(本体30及び定着装置300)の動作を統括的に制御する。RAM104cは、CPU104aが処理を実行する際の一時記憶領域を提供する。RAM104cは、例えば画像形成時に印加する高電圧の設定値、各種データ、操作部202からの画像形成指令情報等を保存する。RAM104cは図示しないバッテリー等により、画像形成装置100の電源が切られてもデータを保持可能な構成となっている。
【0028】
CPU104aは、信号線702を介して本体制御部106と通信を行う。CPU104aは、本体制御部106との間で信号線702を介して通信を行うことで、本体30の動作制御を行う。CPU104aは、信号線703を介して操作部202と通信を行う。CPU104aは、操作部202との間で信号線703を介して通信を行うことで、ユーザインタフェースの入出力制御を行う。CPU104aは、信号線704を介して第1温調制御部304と通信を行う。CPU104aは、第1温調制御部304との間で信号線704を介して通信を行うことで、定着器5の温度(定着温度)の温調制御を行う。CPU104aは、信号線705を介して定着装置制御部306と通信を行う。CPU104aは、定着装置制御部306との間で信号線705を介して通信を行うことで、定着装置300の動作制御を行う。
【0029】
本体制御部106は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成され、本体30に設けられる不図示のモータ、ソレノイド、クラッチ等の負荷やセンサ類が接続されている。本体制御部106は、信号線702を介して取得する主制御部110からの指示に基づいて、本体30内の負荷の駆動やセンサ類からの情報取得、画像形成制御(例えば、高圧出力制御、露光器6の点灯制御)を行う。負荷やセンサ類には本体制御部106を介してDC電力が供給される。
【0030】
商用電源は、第2AC入力部301を介して第2AC分配部302にAC電力を供給する。第2AC分配部302は、供給されたAC電力を第1温調制御部304と定着装置用AC/DC電源303とに分配する。定着装置用AC/DC電源303は、供給されたAC電力を定着装置300で使用するDC電力に変換し、給電線653を通して、第1温調制御部304及び定着装置制御部306に分配する。
【0031】
第1温調制御部304は、信号線704を介して取得する主制御部110からの指示に基づいて、定着器5の定着ヒータ305a、305bへのAC電力の供給を制御する。定着ヒータ305a、305bへのAC電力の供給制御により、記録材Pにトナー像を定着させるための定着温度を適切に調整することができる。なお、本実施形態の第1温調制御部304は、第1AC分配部102から供給されるAC電力を定着ヒータ305bに供給し、第2AC分配器302から供給されるAC電力を定着ヒータ305aに供給する。つまり、定着器5の2つの定着ヒータ305a、305bは、それぞれ異なる電源系統からAC電力が供給される。
【0032】
定着ローラ5a及び加圧ローラ5bには、定着ヒータ305a、305bの温度を検出するためのサーミスタ等の温度検出装置(不図示)が設けられる。主制御部110は、温度検出装置による検出結果に基づいて第1温調制御部304によるAC電力の定着ヒータ305a、305bへの供給を制御することで、定着温度を制御する。
【0033】
定着装置制御部306は、例えばASICで構成され、定着装置300に設けられる不図示のモータ、ソレノイド、クラッチ等の負荷やセンサ類が接続されている。定着装置制御部306は、信号線705を介して取得する主制御部110からの指示に基づいて、定着装置300内の負荷の駆動やセンサ類からの情報取得を行う。負荷やセンサ類には定着装置制御部306を介してDC電力が供給される。
【0034】
(第1温調制御部)
図3は、第1温調制御部304の構成説明図である。第1温調制御部304は、第1リレー500、第2リレー510、第1トランジスタ501、第2トランジスタ511、及びトライアック503、513を備える。第1リレー500及び第2リレー510は、いずれも可動な複数の接点(本実施形態では2接点)を有するリレーである。第1リレー500及び第2リレー510は、定着ヒータ305a、305bへのAC電力の給電を行ったり、給電を強制的に遮断する際に用いられる。第1温調制御部304は、第1AC分配部102を介して第1AC入力部101のホット給電線101H及びニュートラル給電線101Nに接続される。第1温調制御部304は、第2AC分配部302を介して第2AC入力部301のホット給電線301H及びニュートラル給電線301Nに接続される。ホット給電線101H、301Hは、商用電源のホット端子に接続される給電線である。ニュートラル給電線101N、301Nは、商用電源のニュートラル端子に接続される給電線である。第1トランジスタ501は、第1リレー500に駆動電流を供給する駆動回路である。第2トランジスタ511は、第2リレー510に駆動電流を供給する駆動回路である。
【0035】
第1リレー500の第1接点500aは、一端がニュートラル給電線301Nに接続される。第1リレー500の第1接点500aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、一端がニュートラル給電線101Nに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第1リレー500は、第1トランジスタ501が導通状態になることにより、給電線653から供給されるDC電力(DC電圧V_fu)の印加が制御される。第1トランジスタ501が導通されることでDC電圧V_fuが印加され、第1トランジスタ501に電流(駆動電流)が流れる。これにより第1リレー500の内部の電磁石により第1接点500a及び第2接点500bが接続され、第1リレー500が導通状態になる。第1トランジスタ501に流れる電流が遮断されることで第1接点500a及び第2接点500bが切断(開)され、第1リレー500が切断状態になる。第1トランジスタ50の導通と遮断とは、第1温調制御部304からの制御信号502により制御される。制御信号502は、CPU104aの指示に応じて状態が決定される。このように第1トランジスタ501は、第1リレー500の接続状態を制御する接続制御部として機能する。
【0036】
第2リレー510の第1接点510aは、一端がホット給電線301Hに接続される。第2リレー510の第1接点510aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、一端がホット給電線101Hに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第2リレー510は、第2トランジスタ511が導通状態になることにより、給電線653から供給されるDC電力(DC電圧V_fu)の印加が制御される。第2トランジスタ511が導通されることでDC電圧V_fuが印加され、第2トランジスタ511に電流(駆動電流)が流れる。これにより第2リレー510の内部の電磁石により第1接点510a及び第2接点510bが接続され、第2リレー510が導通状態になる。第2トランジスタ511に電流が流れなくなることで第1接点510a及び第2接点510bが切断され、第2リレー510が導通状態になる。第2トランジスタ511の導通と遮断とは、第1温調制御部304からの制御信号512により制御される。制御信号512は、CPU104aの指示に応じて状態が決定される。このように第2トランジスタ511は、第2リレー510の接続状態を制御する接続制御部として機能する。
【0037】
定着器5の定着ヒータ305aは、第1温調制御部304内の第1接点510aを介してホット給電線301Hに接続される。定着ヒータ305aは、第1温調制御部304内の第1接点500a及びトライアック503を介してニュートラル給電線301Nに接続される。トライアック503は、第1温調制御部304から入力される制御信号によって制御される。この制御信号は、CPU104aの指示に応じて状態が決定される。トライアック503により定着ヒータ305aへのAC電力の供給が制御され、定着温度が調整される。
【0038】
定着器5の定着ヒータ305bは、第1温調制御部304内の第2接点510bを介してホット給電線101Hに接続される。定着ヒータ305bは、第1温調制御部304内の第2接点500b及びトライアック513を介してニュートラル給電線101Nに接続される。トライアック513は、第1温調制御部304から入力される制御信号によって制御される。この制御信号は、CPU104aの指示に応じて状態が決定される。トライアック513により定着ヒータ305bへのAC電力の供給が制御され、定着温度が調整される。
【0039】
以上のような構成の第1温調制御部304は、トライアック503、513による温調制御が不調な場合に第1リレー500及び第2リレー510を切断することで定着器5の異常発熱を防止することができる。
トライアック503による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第1温調制御部304は、第2リレー510の第1接点510aを制御信号512により切断(開)する。これにより第1温調制御部304は、定着ヒータ305aへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック503による温調制御が不調で且つ第2トランジスタ511にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第1温調制御部304は、第1リレー500の第1接点500aを制御信号502により切断(開)する。これにより第1温調制御部304は、定着ヒータ305aへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック513による温調制御が不調で且つ第2トランジスタ511にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第1温調制御部304は、第1リレー500の第2接点500bを制御信号502により切断(開)する。これにより第1温調制御部304は、定着ヒータ305bへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック513による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第1温調制御部304は、第2リレー510の第2接点510bを制御信号512により切断(開)する。これにより第1温調制御部304は、定着ヒータ305bへのAC電力の供給を遮断する。
【0040】
図4に示す従来の温調制御部を参考に、本実施形態の第1温調制御部304の効果について説明する。この温調制御部3040は、内部構成は第1温調制御部304と同じであるが、第1リレー500、第2リレー510の各接点とAC電力の極性との接続が異なる。具体的には、温調制御部3040では、第1リレー500の第1接点500aは、一端がニュートラル給電線301Nに接続される。第1リレー500の第1接点500aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、一端がホット給電線301Hに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第2リレー510の第1接点510aは、一端がニュートラル給電線101Nに接続される。第2リレー510の第1接点510aは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、一端がホット給電線101Hに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。
【0041】
このような接続であるために、例えばトライアック503による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、温調制御部3040の制御によらずに、第1リレー500の各接点が接続状態となる。そのために定着ヒータ305aに供給されるAC電力が遮断できない状態になり、異常発熱が発生する。トライアック513の温調制御が不調で且つ第2トランジスタ501エミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合も同様に、定着ヒータ305bに供給されるAC電力が遮断できない状態になり、異常発熱が発生する。
【0042】
このように、従来の温調制御部3040は、トライアック503及び第1リレー500に異常が発生する場合或いはトライアック513及び第2リレー510に異常が発生する場合に、定着ヒータ305a、305bの異常発熱を防止することが困難である。
これに対して本実施形態の第1温調制御部304は、トライアック503及び第1リレー500に異常が発生する場合或いはトライアック513及び第2リレー510に異常が発生する場合に、定着ヒータ305a、305bへのAC電力の供給を遮断可能である。AC電力の供給を遮断することで、定着ヒータ305a、305bの異常発熱を防止することが可能となる。そのために従来の温調制御部3040よりも本実施形態の第1温調制御部304の方が、異常発生時のAC電力の供給遮断の信頼性が高くなる。
【0043】
なお、国際電気標準会議(IEC)における画像形成装置に関する取り決めにおいても、発熱を伴うAC負荷に対して、電力の遮断部品としてリレーが定義づけられているが、トライアックは定義されていない。これは、リレーが遮断部品としての規格を満足できる部品、すなわち遮断手段としての信頼性がトライアックより高い事を示している。
【0044】
(画像形成処理)
図5は、本実施形態の画像形成処理を表すフローチャートである。
図5(a)は、画像形成処理の全体のフローチャートを示す。画像形成装置100は、不図示の電源スイッチが操作されて商用電源からAC電力の給電が開始されることで、この処理を開始する。
【0045】
AC電力の給電が開始されると、本体用AC/DC電源103及び定着装置用AC/DC電源303が起動する。CPU104aは、本体用AC/DC電源103からDC電力が供給されて動作を開始し、画像形成装置100の状態確認及び各種調整等の各種処理を実行する起動シーケンスを行う(S401)。定着装置300は、起動シーケンスにおいて第1リレー500及び第2リレー510の各接点を接続する。起動シーケンスが終了すると、CPU104aは、画像形成装置100の動作モードをスタンバイモードに設定する(S402)。スタンバイモードでは、CPU104aは、操作部202や外部装置から画像形成要求を取得したか否かを判断する(S403)。
【0046】
画像形成要求を取得した場合(S403:Y)、CPU104aは、画像形成装置の動作モードを画像形成モードに設定し、本体制御部106及び定着装置制御部306の動作を制御して画像形成処理を行う(S404)。CPU104aは、画像形成処理時に定着器5の定着温度を温度検出装置の検出結果に基づいて監視し、定着制御が正常に行われているか否かを判断する(S405)。CPU104aは、画像形成処理が終了するまで、定着制御の判断を行う(S405:Y、S413:N)。画像形成処理が終了するまで定着制御が正常に行われた場合(S405:Y、S413:Y)、CPU104aは、画像形成装置100の動作モードをスタンバイモードに戻す。
【0047】
定着制御に異常が生じたと判断した場合(S405:N)、CPU104aは、定着器5へのAC電力の遮断シーケンを実行する(S411)。CPU104aは、遮断シーケンス後に、定着制御に異常が生じたことを示すエラーを操作部202により報知する(S412)。CPU104aは、エラーモードとして画像形成装置100の動作を停止する。
【0048】
画像形成要求が取得されていない場合(S403:N)、CPU104aは、スタンバイモード時よりも消費電力の少ない省エネモードへの移行要求の有無を判断する(S406)。省エネモードへの移行要求は、例えば操作部202に設けられる不図示の電力モード切替スイッチの操作や画像形成要求が所定時間ない等により、CPU104aに入力される。省エネモードへの移行要求がない場合(S406:N)、CPU104aは、スタンバイモードで画像形成要求を待機する。
【0049】
省エネモードへの移行要求がある場合(S406:Y)、CPU104aは、省エネモード移行シーケンスを実行する(S407)。省エネモード移行シーケンスでは、定着器5は、第1リレー500及び第2リレー510の各接点が切断される。省エネモード移行シーケンスが終了すると、CPU104aは、画像形成装置100の動作状態を省エネモードに設定する(S408)。省エネモードでは、CPU104aは、省エネモード復帰要求を取得したか否かを判断する(S409)。省エネモード復帰要求は、例えば操作部202に設けられる不図示の電力モード切替スイッチの操作等により、CPU104aに入力される。
【0050】
省エネモード復帰要求を取得した場合(S409:Y)、CPU104aは、省エネモード復帰シーケンスを実行する(S410)。省エネモード復帰要求は、例えば操作部202に設けられる不図示の電力モード切替スイッチの操作や画像形成ジョブが入力される等により、CPU104aに入力される。省エネモード復帰シーケンスが終了すると、CPU104aは、画像形成装置100の動作モードをスタンバイモードに戻す。
【0051】
図5(b)は、S411のAC電力の遮断シーケンス処理を表すフローチャートである。この処理は、CPU104aが信号線704を介して制御信号を第1温調制御部304に送信することで行われる。
【0052】
CPU104aは、第1温調制御部304のトライアック503を遮断し(S501)、トライアック513を遮断する(S502)。次いで、CPU104aは、第1リレー500の接点を切断し(S503)、第2リレー510の各接点を切断する(S504)。これにより、定着ヒータ305a、305bへのAC電力の給電は、ホット給電線、ニュートラル給電線ともに遮断される。なお、トライアック503、513の遮断の順序及び第1リレー500と第2リレー510の切断の順序は、逆であってもよい。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1温調制御部304に代えて第2温調制御部が用いられる。他の構成(画像形成装置100の構成、システム構成)は、
図1、
図2に示す第1実施形態と同様である。画像形成時の処理(
図5)も第1実施形態と同様である。
図6は、第2温調制御部334の構成説明図である。
図3に示す第1温調制御部304との相違点について説明する。
【0054】
第1リレー500の第1接点500aは、一端がニュートラル給電線301Nに接続される。第1リレー500の第1接点500aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、一端がホット給電線101Hに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第2リレー510の第1接点510aは、一端がホット給電線301Hに接続される。第2リレー510の第1接点510aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、一端がニュートラル給電線101Nに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第1リレー500及び第2リレー510の動作原理は、第1温調制御部304の第1リレー500及び第2リレー510と同様である。
【0055】
定着器5の定着ヒータ305aは、第2温調制御部334内の第1接点510aを介してホット給電線301Hに接続される。定着ヒータ305aは、第2温調制御部334内の第1接点500a及びトライアック503を介してニュートラル給電線301Nに接続される。定着器5の定着ヒータ305bは、第2温調制御部334内の第2接点500bを介してホット給電線101Hに接続される。定着ヒータ305bは、第2温調制御部334内の第2接点510b及びトライアック513を介してニュートラル給電線101Nに接続される。
【0056】
以上のような構成の第2温調制御部334を使用する場合においても、第1温調制御部304と同様の効果が得られる。
トライアック503による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第2温調制御部334は、第2リレー510の第1接点510aを制御信号512により切断する。これにより第2温調制御部334は、定着ヒータ305aへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック503による温調制御が不調で且つ第2トランジスタ511にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第2温調制御部334は、第1リレー500の第1接点500aを制御信号502により切断する。これにより第2温調制御部334は、定着ヒータ305aへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック513による温調制御が不調で且つ第2トランジスタ511にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第2温調制御部334は、第1リレー500の第2接点500bを制御信号502により切断する。これにより第2温調制御部334は、定着ヒータ305bへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック513による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第2温調制御部334は、第2リレー510の第2接点510bを制御信号512により切断する。これにより第2温調制御部334は、定着ヒータ305bへのAC電力の供給を遮断する。
【0057】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の画像形成装置の構成図である。第3実施形態の画像形成装置100は、第1実施形態の画像形成装置100の本体30の筐体と定着装置300の筐体とを一体にした構成である。すなわち、第3実施形態の画像形成装置100の本体35は、第1実施形態の画像形成装置100の本体30の構成及び機能と定着装置300の構成及び機能とを含む。画像形成時の処理(
図5)は第1実施形態と同様である。
【0058】
画像形成装置100の本体35は、二次転写領域T2でトナー像を記録材Pに転写する。トナー像が形成された記録材Pは、定着器5によりトナー像が定着される。定着器5の構成は、第1実施形態の定着装置300が備える定着器5とほぼ同じであるが、必要な電力が少なくなっている。そのため、電源系統は1つとなっている。画像定着後の記録材Pは、定着器5から排紙ローラ11を介して排紙トレイ7へ排出される。
【0059】
図8は、第3実施形態の画像形成装置100のシステム構成の説明図である。太い実線は商用電源から給電されるAC電力の給電経路(給電線)を示す。太い点線は、商用電源から生成されたDC電力の給電経路(給電線)を示す。細線は、信号線を示す。
図2の第1実施形態のシステム構成との相違点について説明する。
【0060】
第2実施形態の画像形成装置100は、商用電源の入力部が第1AC入力部101のみとなる。第1実施形態の第2AC入力部301は不要となっている。これにより、第2実施形態の画像形成装置100のシステム構成は、AC電力の給電線の配線が第1実施形態とは異なる。
【0061】
画像形成装置100は、本体35が第1AC入力部101を介して商用電源に接続されている。第1AC入力部101は、説明を簡潔にするために電力線を1本として図示するが、電力線の本数はこれに限られない。本体35の内部には、第3AC分配部152、本体用AC/DC電源103、本体制御部106、主制御部110、定着・排紙用AC/DC電源353、第3温調制御部354、及び定着・排紙制御部356が設けられる。
【0062】
商用電源は、第1AC入力部101を介して第3AC分配部152にAC電力を供給する。第3AC分配部152は、供給されたAC電力を本体用AC/DC電源103、第3温調制御部354、及び定着・排紙用AC/DC電源353に分配する。定着・排紙用AC/DC電源353は、第1実施形態の定着装置用AC/DC電源303と同じ機能を有する。定着・排紙制御部356は、第1実施形態の定着装置制御部306と同じ機能を有する。
【0063】
図9は、第3温調制御部354の構成説明図である。第3温調制御部304の内部構成は、第1実施形態の第1温調制御部304と同じであるが、第1リレー500、第2リレー510の各接点とAC電力の極性との接続が異なる。第1実施形態との相違点について説明する。
【0064】
上記の通り、第3AC分配部152は、AC電力を本体用AC/DC電源103、第3温調制御部354、及び定着・排紙用AC/DC電源353に分配する。第3温調制御部354は、第3AC分配部152を介して第1AC入力部101のホット給電線101H、101H2及びニュートラル給電線101N、101N2に接続される。これは、第3AC分配部152と第3温調制御部354との結線に用いるコネクタ及び電線の定格電流を考慮した構成である。コネクタ及び電線が定格電流を満足する場合には、ホット給電線を1本、ニュートラル給電線を1本とし、第3温調制御部354内部でAC電力を定着ヒータ305aと定着ヒータ305bとに分配する構成であってもよい。
【0065】
第1リレー500の第1接点500aは、一端がニュートラル給電線101N2に接続される。第1リレー500の第1接点500aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、一端がニュートラル給電線101Nに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第2リレー510の第1接点510aは、一端がホット給電線101H2に接続される。第2リレー510の第1接点510aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、一端がホット給電線101Hに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第1リレー500及び第2リレー510の動作原理は、第1温調制御部304の第1リレー500及び第2リレー510と同様である。
【0066】
定着器5の定着ヒータ305aは、第3温調制御部354内の第1接点510aを介してホット給電線101H2に接続される。定着ヒータ305aは、第3温調制御部354内の第1接点500a及びトライアック503を介してニュートラル給電線101N2に接続される。定着器5の定着ヒータ305bは、第3温調制御部354内の第2接点510bを介してホット給電線101Hに接続される。定着ヒータ305bは、第3温調制御部354内の第2接点500b及びトライアック513を介してニュートラル給電線101Nに接続される。トライアック503、513の動作原理は、第1温調制御部304のトライアック503、513と同様である。
【0067】
以上のような構成の第3温調制御部354を使用する場合においても、第1温調制御部304と同様の効果が得られる。
トライアック503による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第3温調制御部354は、第2リレー510の第1接点510aを制御信号512により切断する。これにより第3温調制御部354は、定着ヒータ305aへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック503による温調制御が不調で且つ第2トランジスタ511にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第3温調制御部354は、第1リレー500の第1接点500aを制御信号502により切断する。これにより第3温調制御部354は、定着ヒータ305aへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック513による温調制御が不調で且つ第2トランジスタ511にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第3温調制御部354は、第1リレー500の第2接点500bを制御信号502により切断する。これにより第3温調制御部354は、定着ヒータ305bへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック513による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第3温調制御部354は、第2リレー510の第2接点510bを制御信号512により切断する。これにより第3温調制御部354は、定着ヒータ305bへのAC電力の供給を遮断する。
【0068】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第3実施形態の第3温調制御部354に代えて第4温調制御部が用いられる。他の構成(画像形成装置100の構成、システム構成)は、
図7、
図8に示す第3実施形態と同様である。画像形成時の処理(
図5)は第1実施形態と同様である。
図10は、第4温調制御部384の構成説明図である。
図9に示す第3温調制御部354との相違点について説明する。
【0069】
第1リレー500の第1接点500aは、一端がニュートラル給電線101N2に接続される。第1リレー500の第1接点500aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、一端がホット給電線101Hに接続される。第1リレー500の第2接点500bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第2リレー510の第1接点510aは、一端がホット給電線101H2に接続される。第2リレー510の第1接点510aは、他端が定着ヒータ305aに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、一端がニュートラル給電線101Nに接続される。第2リレー510の第2接点510bは、他端が定着ヒータ305bに接続される。第1リレー500及び第2リレー510の動作原理は、第3温調制御部354の第1リレー500及び第2リレー510と同様である。
【0070】
定着器5の定着ヒータ305aは、第4温調制御部384内の第1接点510aを介してホット給電線101H2に接続される。定着ヒータ305aは、第4温調制御部384内の第1接点500a及びトライアック503を介してニュートラル給電線101N2に接続される。定着器5の定着ヒータ305bは、第4温調制御部384内の第2接点500bを介してホット給電線101Hに接続される。定着ヒータ305bは、第4温調制御部384内の第2接点510b及びトライアック513を介してニュートラル給電線101Nに接続される。
【0071】
このような構成の第4温調制御部384を使用する場合においても、第1温調制御部304と同様の効果が得られる。
トライアック503による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第4温調制御部384は、第2リレー510の第1接点510aを制御信号512により切断する。これにより第4温調制御部384は、定着ヒータ305aへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック503による温調制御が不調で且つ第2トランジスタ511にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第4温調制御部384は、第1リレー500の第1接点500aを制御信号502により切断する。これにより第4温調制御部384は、定着ヒータ305aへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック513による温調制御が不調で且つ第2トランジスタ511にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第4温調制御部384は、第1リレー500の第2接点500bを制御信号502により切断する。これにより第4温調制御部384は、定着ヒータ305bへのAC電力の供給を遮断する。
トライアック513による温調制御が不調で且つ第1トランジスタ501にエミッタ-コレクタ間のショートが発生する場合、第4温調制御部384は、第2リレー510の第2接点510bを制御信号512により切断する。これにより第4温調制御部384は、定着ヒータ305bへのAC電力の供給を遮断する。
【0072】
以上のような各実施形態の画像形成装置100は、複数の定着ヒータへのAC電力の給電制御を、それぞれが複数の接点を有する複数のリレーを含む第1~第4温調制御部304、334、354、384により行う。一つの定着ヒータに対して、AC電力のホット給電線とニュートラル給電線とが、それぞれ異なるリレーを介して接続される。つまり一つの定着ヒータは、異なるリレーを介して商用電源のホット端子とニュートラル端子とに接続される。一つのリレーの各接点は、異なる定着ヒータに接続される。このような構成であるために、定着ヒータに接続される一方のリレーに故障が発生して該リレーの切断ができない場合であっても、他方のリレーを切断することで、該定着ヒータへの給電を遮断することができる。そのために、一方のリレーが故障しても定着ヒータが異常温度になることを防止することができる。
上述した各実施形態では、トライアック503,513はリレーを介してニュートラル給電線に接続されているが、ホット給電線に接続されてもよい。