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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20240318BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20240318BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20240318BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G02B27/02 Z
G02B7/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020015293
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021125706
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】北上 真梨奈
(72)【発明者】
【氏名】川合 利治
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-523401(JP,A)
【文献】特開2017-049553(JP,A)
【文献】特開2019-082531(JP,A)
【文献】特開昭60-186708(JP,A)
【文献】特開2007-081984(JP,A)
【文献】特開2010-186033(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101393704(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64- 5/655
G02B 7/00
G02B 7/18- 7/24
G02B 27/00-30/60
G09G 5/00- 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光学系と、
前記表示光学系を略直線状に移動可能にガイドする表示光学系ガイド手段を有する基部と、
前記基部を収納する本体外装と、
前記表示光学系を覆う表示外装と、
前記表示外装を前記本体外装に対して略直線状に移動可能にガイドする表示外装ガイド手段と、を備え、
前記表示光学系は、前記表示外装に連動して移動するように前記表示外装に係合され、
前記基部および前記本体外装の一方は、軸部を有し、
前記基部および前記本体外装の他方は、軸孔を有し、
前記基部と前記本体外装とは、前記軸部と前記軸孔とがすき間ばめの状態で挿通されることにより係合されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記基部は、前記軸部および前記軸孔を中心とした前記基部の回転を止めるための回転止め部を有することを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記本体外装に対して前記表示外装を任意の位置で保持する保持機構を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示外装および前記本体外装の少なくとも一方は、前記表示外装を前記本体外装に対して移動した場合に前記表示外装の移動を制限する制限機構を備えることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記基部は、周囲の画像を取得する撮像手段および位置情報を取得するための取得手段の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記表示外装は、前記本体外装に対して前記略直線状に沿った方向とは異なる方向に移動可能に配置され、前記表示光学系に位置決めされていることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
第1の表示光学系と、
第2の表示光学系と、
前記第1及び第2の表示光学系のそれぞれを略直線状に移動可能にガイドする表示光学系ガイド手段を有する基部と、
前記第1及び第2の表示光学系は覆わず前記基部を収納する本体外装と、
前記第1の表示光学系を覆う第1の表示外装と、
前記第2の表示光学系を覆う第2の表示外装と、
前記第1及び第2の表示外装のそれぞれを略直線状に移動可能にガイドする表示外装ガイド手段と、を備え、
前記第1の表示光学系と前記第1の表示外装とは、連動して移動するように係合されており、
前記第2の表示光学系と前記第2の表示外装とは、連動して移動するように係合されており、
前記基部および前記本体外装の一方は、軸部を有し、
前記基部および前記本体外装の他方は、軸孔を有し、
前記基部と前記本体外装とは、前記軸部と前記軸孔とがすき間ばめの状態で挿通されることにより係合されていることを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置として、使用者の頭部に装着して、使用者の眼前に画像を表示するヘッドマウントディスプレイ(HMD)が、利用されている。HMDは、手軽に画像を大画面で見ることが可能であること、立体視が容易であること等の理由から、人工現実感(バーチャルリアリティ=VR)、複合現実感(ミックスドリアリティ=MR)を体験可能な機器として使用されている。
【0003】
MRを実現するためのHMDは、使用者の左右の眼に対応した被写体の画像を取り込むための撮像部と、該撮像部により撮影された画像とPC等により生成された3DCG画像とを重畳し表示するための表示部と、使用者に投影するための表示光学系とを有する。使用者に投影する画像は、使用者の左右の眼に対応した小型の液晶パネル等の表示素子に表示され、この画像を使用者の左右の眼に対応した表示光学系を介して拡大した後に、使用者の左右の眼球に投影する。
【0004】
また、撮影された被写体の画像は左右両眼に対応する視差を有した画像になっている。更に、3DCG画像を使用者の左右両眼に対応した視差画像で生成し、撮像系で撮像された画像に重畳して表示することで、あたかも仮想の3DCG画像が現実に存在するかのように表現することが可能になっている。HMDは、使用者の両眼の距離に合わせて表示光学系の位置を調整する機能が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4609256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、左眼用表示ユニットと右眼用表示ユニットとの間の距離を調整するための眼幅調整機構を備えたヘッドマウントディスプレイが開示されている。しかしながら、特許文献1のヘッドマウントディスプレイは、表示ユニットがレールを介して本体フレームに取り付けられていることから、使用者が本体をねじる等の変形する外力を加えた場合にレールが塑性変形してしまい、光学精度が悪化する懸念がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、光学精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表示光学系と、前記表示光学系を略直線状に移動可能にガイドする表示光学系ガイド手段を有する基部と、前記基部を収納する本体外装と、前記表示光学系を覆う表示外装と、前記表示外装を前記本体外装に対して略直線状に移動可能にガイドする表示外装ガイド手段と、を備え、前記表示光学系は、前記表示外装に連動して移動するように前記表示外装に係合され、前記基部および前記本体外装の一方は、軸部を有し、前記基部および前記本体外装の他方は、軸孔を有し、前記基部と前記本体外装とは、前記軸部と前記軸孔とがすき間ばめの状態で挿通されることにより係合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の画像表示装置を前側から見た図である。
図2】画像表示装置を後側から見た図である。
図3】レンズの構成を示す図である。
図4】画像表示装置のレンズの間隔を調整する場合を示す図である。
図5】外装ユニットの一部を切断した構成を示す図である。
図6】光学ユニットの構成を示す図である。
図7】外装ユニットと光学ユニットとの係合機構を示す図である。
図8】第2の実施形態の画像表示装置を後側から見た図である。
図9】外装ユニットの一部を切断した構成を示す図である。
図10】第3の実施形態の外装ユニットと光学ユニットとの係合機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明に係る画像表示装置の実施形態について説明する。なお、各図には必要に応じて前側を前、後側を後、右側を右、左側を左として示している。
(第1の実施形態)
図1は、画像表示装置100を前側から見た図である。図2は、画像表示装置100を後側から見た図である。
画像表示装置100は、撮像カメラ10L・10Rと、位置合わせカメラ11L・11Rとを備える。撮像カメラ10L・10Rは使用者にレンズ20L・20Rを介して表示する周囲の現実画像を取得するためのステレオカメラである。撮像カメラ10L・10Rは、撮像手段の一例に対応する。位置合わせカメラ11L・11Rは取得した画像からマーカや物体のエッジ等の特徴点等を利用して画像表示装置100の位置情報や姿勢情報を取得するためのステレオカメラである。位置合わせカメラ11L・11Rは、取得手段の一例に対応する。
【0011】
本実施形態の画像表示装置100は、撮像カメラ10L・10Rおよび位置合わせカメラ11L・11Rを別々に設け、位置合わせカメラ11L・11Rがモノクロで高画角、高シャッター速度、長い基線長等を利用して高精度、高耐障害な位置合わせをする。ただし、画像表示装置100は、撮像カメラ10L・10Rのみで表示画像の取得と位置合わせ情報の取得とを行ってもよい。また、画像表示装置100は、位置合わせカメラ11L・11Rを超音波や赤外線等を利用した距離センサ等に置き換えてもよい。
【0012】
また、画像表示装置100は、ケーブル95を介して外部のPCやコントローラと位置情報や画像を送受信することで現実画像にCGを重畳等した表示画像を生成し、画像表示装置100内に設けられたLCDやOLED等の画像表示部に表示画像を表示する。使用者は、後側からレンズ20L・20Rを通して画像を観察することができる。レンズ20L・20Rは、画像表示部に表示された画像を拡大したり導光したりするプリズムやレンズ等である。レンズ20L・20Rは、表示光学系の一例に対応する。画像表示装置100は、レンズ20L・20Rの周囲にレンズフード30L・30Rを備える。レンズフード30L・30Rは、表示外装の一例に対応する。
【0013】
図3は、レンズ20L・20Rの構成を示す図である。図3(a)はレンズ20L・20Rの断面図であり、図3(b)はレンズ20L・20Rの分解斜視図である。
レンズ20L・20Rは、2枚のレンズを組み合わせた構成であり、鏡筒を備えていない。レンズ20L・20Rは、G1レンズ21とG2レンズ22とが接着されることにより構成される。G1レンズ21は、光学範囲外に筒状のリブ21aが設けられる。リブ21aは、後端に光軸に対して略直交する平面部が形成される。G2レンズ22は、光学範囲外の前端に光軸に対して略直交する平面部が形成される。G1レンズ21のリブ21aの平面部とG2レンズ22の平面部とを面接触させることでG1レンズ21とG2レンズ22の面間距離が規定される。また、G1レンズ21とG2レンズ22とを面接触させることで、レンズ20L・20R内の防塵を図ることができる。図3(b)に示すように、G1レンズ21の光学範囲外に設けた位置決め部21b、21cによってG1レンズ21およびG2レンズ22間の光軸ずれシフト量が規定される。このようなレンズ20L・20Rの構成は、鏡筒が不要であるために部品数を削減でき、コストダウンおよび小型軽量化を図ることができる。
【0014】
図4は、画像表示装置100を後側から見た図であり、使用者の眼幅に応じてレンズ20Lとレンズ20Rとの間隔を調整する場合を示す図である。レンズ20L・20Rとレンズフード30L・30Rとは連動して移動できるように係合されている。なお、本実施形態のレンズフード30L・30Rは、レンズ20L・20Rとの間で、左右方向(移動方向)にのみ係合され、それ以外の方向は所定の距離の範囲で可動することができる。
図4(a)に示すように、使用者はレンズフード30L・30Rを操作することで、使用者の眼幅に合わせてレンズ20Lとレンズ20Rとの間隔を調整可能である。本実施形態では、レンズフード30L・30Rと後述するリアカバー41とが別体であるが、部品数を削減するためにレンズフード30L・30Rとリアカバー41とを一体化させ、レンズ20L・20Rを露出させる構成も考えられる。ただし、この場合には、レンズ20L・20Rの眼幅方向の可動範囲を全てリアカバー41で覆う必要があり、画像表示装置100全体が大型化してしまう。本実施形態のように、レンズフード30L・30Rとリアカバー41とを別体にして、レンズ20L・20Rとレンズフード30L・30Rとを連動させることで、画像表示装置100全体の小型化を図ることができる。
【0015】
次に、画像表示装置100の外装ユニット101の構成について説明する。図5(a)は、外装ユニット101の一部を切断した構成を示す図である。
外装ユニット101は、リアカバー41と、フロントカバー42と、レンズフード30L・30Rとを有する。リアカバー41およびフロントカバー42は、後述するオプトベース50を収納する。ただし、リアカバー41およびフロントカバー42は、レンズ20L・20Rを覆わない。リアカバー41およびフロントカバー42は、本体外装の一例に対応する。
また、リアカバー41は、内側の空間内で左右に離れて垂下する支持板に形成された2つの軸孔41aを有する(後述する図7も参照)。2つの軸孔41aは、それぞれ軸線が左右方向に沿った同一軸線上に位置する。軸孔41aは、後述する光学ユニット102と外装ユニット101とを係合させる係合機構の一部として機能する。
【0016】
また、リアカバー41は、レンズフード30L・30Rが配置される空間の上下にレール部材31T・31Bを有する。レール部材31T・31Bは、表示外装ガイド手段の一例に対応する。レール部材31T・31Bは、レンズフード30L・30Rをリアカバー41に対して左右方向に沿って略直線状に移動可能にガイドする。
【0017】
図5(b)は、図5(a)に示すレール部材31Tの周辺の構成を左側から見た図である。レール部材31Tは、前後それぞれに突出する第1突出部31aと、下側に向かって一対で突出する第2突出部31bとを有する。リアカバー41は、第1突出部31aを左右方向に沿って摺動可能にガイドする溝部41bを有する。したがって、レール部材31Tは、リアカバー41に対して溝部41bに沿って左右方向に摺動する。同様に、レール部材31Bは、リアカバー41に対して左右方向に摺動する。
【0018】
レンズフード30L・30Rは、レール部材31T・31Bと左右方向に沿って一体で移動するようにレール部材31T・31Bに左右方向が係合されている。また、レンズフード30L・30Rは、レール部材31Tの一対の第2突出部31bの間に位置する規制部30aを有する。本実施形態の規制部30aは、一対の第2突出部31bとの間ですき間がなく配置されることで、前後方向および上下方向の移動が規制される。したがって、レンズフード30L・30Rは、レール部材31T・31Bとの間で左右方向、前後方向および上下方向が係合されている。このようにレンズフード30L・30Rとレール部材31T・31Bとが係合されることで、レンズフード30L・30Rは、レール部材31T・31Bを介してリアカバー41に対して左右方向に沿って略直線状に移動可能である。なお、レンズフード30L・30Rは、リアカバー41およびフロントカバー42により覆われないレンズ20L・20Rの周縁をそれぞれ覆う。
【0019】
本実施形態のように、レール部材31T・31Bとレンズフード30L・30Rとを一体にさせずに別体にすることで材料を分けることができる。例えば、レール部材31T・31Bには摺動性が高く比重の重いポリアセタール樹脂(POM)を用い、レンズフード30L・30Rには比重が軽い変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)を用いることで軽量化を図ることができる。また、レンズフード30L・30Rは、左右方向以外がリアカバー41にレール部材31T・31Bを介して位置決めされているために、リアカバー41との部品間に生じる隙間を最小限にすることができ、外観品位を向上させることができる。
【0020】
また、リアカバー41には図示しないストッパを有する。ストッパは、レンズフード30L・30Rを左右方向に最大または最小まで移動した場合に、リアカバー41に対してレンズフード30L・30Rおよびレール部材31T・31Bの少なくとも一方を接触させて、レンズフード30L・30Rの移動を制限する。ここで、最大とはレンズフード30Lとレンズフード30Rとが最も離れる方向にそれぞれを移動させる場合をいい、最小とはレンズフード30Lとレンズフード30Rとが最も近づく方向にそれぞれを移動させる場合をいう。ストッパは、制限機構の一例に対応する。なお、リアカバー41がストッパを有する場合に限られず、フロントカバー42がストッパを有していてもよく、レンズフード30L・30Rがストッパを有していてもよい。
【0021】
また、リアカバー41にはロータリダンパ60を有する。ロータリダンパ60は、ラック&ピニオンでレール部材31Bと噛み合わせることで、レール部材31Bを介してレンズフード30L・30Rをリアカバー41に対して任意の位置で保持することができる。ロータリダンパ60は、保持機構の一例に対応する。なお、リアカバー41がロータリダンパ60を有する場合に限られず、フロントカバー42がロータリダンパ60を有していてもよい。また、ロータリダンパ60は、ダンパヒンジ等に置き換えてもよい。
【0022】
次に、画像表示装置100の光学ユニット102の構成について説明する。図6は、光学ユニット102の構成を示す図である。
光学ユニット102は、オプトベース50と、撮像カメラ10L・10Rと、位置合わせカメラ11L・11Rと、レンズ20L・20Rと、レンズホルダ23L・23Rとを有する。
【0023】
オプトベース50は、ベース部50aと、レール部50bと、軸部50cと、回転止め部50dとを有する。オプトベース50は、基部の一例に対応する。
ベース部50aは、左右方向に長い略板状であり、前後方向に対して直交する面を有する。ベース部50aは、撮像カメラ10L・10Rと、位置合わせカメラ11L・11Rとを支持する。レール部50bは、ベース部50aの上端に4つ、下端に2つの合計6つが配置される。レール部50bは、レンズ20L・20Rを左右方向に沿って略直線状に移動可能にガイドする。左側の3つのレール部50bがレンズ20Lをガイドし、右側の3つのレール部50bがレンズ20Rをガイドする。レール部50bは、表示光学系ガイド手段の一例に対応する。レンズ20L・20Rには、レンズホルダ23L・23Rが接着される。レンズホルダ23L・23Rは、各レール部50bに沿って摺動する摺動部23aを有する。レンズホルダ23L・23Rは左右方向以外がレール部50bおよび摺動部23aによって位置決めされているために、レンズ20L・20Rは左右方向に沿って移動することができる。
【0024】
軸部50cは、ベース部50aの上端に左右に離れて2つ配置される。2つの軸部50cは、それぞれの軸線が左右方向に沿った同一軸線上であって、隣接するレール部50bの間に位置する。軸部50cは、光学ユニット102と外装ユニット101とを係合させる係合機構の一部として機能する。本実施形態の軸部50cは、レール部50bと一体で成形される。
回転止め部50dは、ベース部50aの左右方向の略中央の下端に配置される。回転止め部50dは、光学ユニット102と外装ユニット101とを係合させたときに光学ユニット102が軸部50cおよび軸孔41aを中心に回転してしまうことを止める。本実施形態の回転止め部50dは、略板状であって、ベース部50aと一体で成形される。
【0025】
本実施形態のオプトベース50はレール部50bを摺動性が高いポリアセタール樹脂(POM)、ベース部50aを剛性の高いアルミニウム合金でインサート成形される。したがって、オプトベース50は、樹脂成型による精度と板金の剛性との両立を図ることができる。また、オプトベース50に撮像カメラ10L・10Rおよび位置合わせカメラ11L・11Rを取り付けることで、撮像と表示のアライメントずれを抑制することができる。また、ベース部50aは金属板金であることから、樹脂材料よりも熱伝導率が高い。したがって、撮像カメラ10L・10R、位置合わせカメラ11L・11Rおよび画像表示部等のデバイスが使用中に発熱して、オプトベース50の温度が上昇した場合でも放熱されて、オプトベース50の熱変形を抑制することができる。そのために、撮像カメラ10L・10R、位置合わせカメラ11L・11Rおよび画像表示部のアライメントサーマルシフトを抑制することができる。
【0026】
次に、外装ユニット101と光学ユニット102との係合機構について説明する。
図7は、外装ユニット101と光学ユニット102との係合機構を示す図である。
オプトベース50の2つの軸部50cがリアカバー41の2つの軸孔41aにそれぞれすき間ばめの状態で挿通されることで、光学ユニット102と外装ユニット101とが係合される。軸部50cと軸孔41aとがすき間ばめの状態であることから、オプトベース50は軸部50cおよび軸孔41aを介してリアカバー41により吊り下げられた浮遊状態で支持される。なお、オプトベース50による軸部50cおよび軸孔41aを中心とした回転は、回転止め部50dがリアカバー41およびフロントカバー42に当接することで止められる。
【0027】
このような外装ユニット101と光学ユニット102との係合機構によれば、使用者が外装ユニット101を把持して、ねじる等の変形させる外力を加えたとしても、オプトベース50に伝達されるのを抑制させることができる。オプトベース50に力が伝達されるのを抑制させることで、オプトベース50に取り付けられたレンズ20L・20R、撮像カメラ10L・10R、位置合わせカメラ11L・11Rに与える影響を軽減でき、光学ユニット102の光学精度を向上させることができる。
【0028】
また、オプトベース50と外装ユニット101とは、すき間ばめの状態で軸部50cが軸孔41aに挿通されることで係合されている。したがって、使用者が外装ユニット101をねじる等の変形させる外力を加えた場合には、軸部50cが軸孔41aの軸線周りに回動することで、オプトベース50に力が伝達されるのを抑制させることができる。
また、オプトベース50は回転止め部50dによりオプトベース50の回転が止められる。したがって、無負荷時であっても画像表示装置100の光学位置の精度を向上させることができる。
【0029】
また、画像表示装置100は、リアカバー41およびフロントカバー42に対してレンズフード30L・30Rを任意の位置で保持するロータリダンパ60を備える。したがって、使用者が眼幅に合わせてレンズフード30L・30Rを移動させた後、その位置を保持することができる。
【0030】
また、リアカバー41およびフロントカバー42の一方は、レンズフード30L・30Rを移動した場合にレンズフード30L・30Rの移動を制限するストッパを備える。したがって、使用者が左右方向に通常の使用以上の力で変形を与えても、ストッパが受け止めることでレンズ20L・20Rに力が伝達されないことで、光学精度を保持することができる。
【0031】
また、画像表示装置100は、周囲の画像を取得する撮像カメラ10L・10Rおよび位置情報を取得するための位置合わせカメラ11L・11Rを有するために、撮像カメラ10L・10Rおよび位置合わせカメラ11L・11Rの光学精度も要求される。本実施形態では、オプトベース50が撮像カメラ10L・10Rおよび位置合わせカメラ11L・11Rを有することで、撮像カメラ10L・10Rおよび位置合わせカメラ11L・11Rの光学精度を保持することができる。なお、画像表示装置100は、撮像カメラ10L・10Rおよび位置合わせカメラ11L・11Rを有する場合について説明したが、この場合に限られず、撮像カメラ10L・10Rおよび位置合わせカメラ11L・11Rの少なくとも一方を有していてもよい。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の画像表示装置110について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。
図8は、画像表示装置110を後側から見た図である。画像表示装置110は、第1の実施形態の外装ユニット101に代えて、外装ユニット111を備える。
【0033】
図9(a)は、外装ユニット111の一部を切断した構成を示す図である。
外装ユニット111は、リアカバー41と、フロントカバー42と、レンズフード70L・70Rとを有する。
また、リアカバー41は、レンズフード70L・70Rが配置される空間の上下にレール部材71T・71Bを有する。レール部材71T・71Bは、レンズフード70L・70Rをリアカバー41に対して左右方向に沿って略直線状に移動可能にガイドする。
【0034】
図9(b)は、図9(a)に示すレール部材71Tの周辺の構成を左側から見た図である。レール部材71Tは、リアカバー41に対して溝部41bに沿って左右方向に摺動する。同様に、レール部材71Bは、リアカバー41に対して左右方向に摺動する。
レンズフード70L・70Rは、レール部材71T・71Bと左右方向に沿って一体で移動するようにレール部材71T・71Bに左右方向が係合されている。また、レンズフード70L・70Rは、レール部材71Tの一対の第2突出部31bの間に位置する規制部70aを有する。本実施形態の規制部70aは、一対の第2突出部31bとの間で前後方向および上下方向にすき間を有して配置されることで、前後方向および上下方向に所定の距離の範囲で可動することができる。したがって、レンズフード70L・70Rは、レール部材71T・71Bとの間で左右方向のみが係合され、前後方向および上下方向が移動可能に係合されている。このようにレンズフード70L・70Rとレール部材71T・71Bとが係合されることで、レンズフード30L・30Rは、レール部材31T・31Bを介してリアカバー41に対して左右方向および左右方向とは異なる方向にも移動可能である。
【0035】
また、レンズ20L・20Rとレンズフード70L・70Rとは連動して移動できるように係合されている。なお、本実施形態のレンズフード70L・70Rは、レンズ20L・20Rとの間で左右方向に加えて、前後方向および上下方向にも係合している。したがって、図8に示すように、レンズ20L・20Rとレンズフード70L・70Rとの間に生じる隙間を最小限にすることができ、外観品位を向上させることができる。ただし、このような構成にすることで、レンズフード70L・70Rを変形する外力が加えられると、レンズ20L・20Rにも影響が及ぶ可能性がある。この場合、レンズフード70L・70Rにレンズ20L・20Rが塑性変形する以上の外力が加えられると、レンズフード70L・70Rがリアカバー41またはレール部材71T・71Bに接触するストッパ構造を設ける。したがって、ストッパ構造によりレンズ20L・20Rの変形を弾性変形内で抑えることができ、光学精度ずれを防止することができる。
【0036】
このように、レンズフード70L・70Rは、レンズ20L・20Rに位置決めされていることで、外観品位を向上させることができる。また、レンズフード70L・70Rは、リアカバー41に対して左右方向以外にも移動可能であり、変形する外力が加えられた場合にリアカバー41またはレール部材71T・71bに接触するストッパ構造を設けることで、光学精度を向上させることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の画像表示装置120について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。画像表示装置120は、外装ユニット121と、光学ユニット122とを備える。
【0038】
図10は、外装ユニット121と光学ユニット122との係合機構を示す図である。
外装ユニット121は、リアカバー81を有する。リアカバー81は、内側の空間内で上下および左右に離れて前側に突出する支持板に形成された4つの軸孔81aを有する。軸孔81aは、光学ユニット122と外装ユニット121とを係合させる係合機構の一部として機能する。一方、光学ユニット122は、オプトベース90を有する。オプトベース90は、ベース部50aの上下および左右に離れて4つの軸部90cが配置される。軸部90cは、光学ユニット122と外装ユニット121とを係合させる係合機構の一部として機能する。
【0039】
オプトベース90の4つの軸部90cがリアカバー81の4つの軸孔81aにそれぞれ挿通されることで、光学ユニット122と外装ユニット121とが係合される。ここで、軸部90cと軸孔81aとはすき間を有して挿通されることで、オプトベース90とリアカバー81とは遊びを有した状態で係合される。したがって、オプトベース90は、リアカバー81に対して一定距離の範囲で移動可能である。本実施形態では、光学ユニット122の位置を安定させるために、軸部90cと軸孔81aとの間にスポンジ等の柔軟部材が配置されている。したがって、オプトベース90がリアカバー81に対して移動可能な距離の分だけ、使用者が外装ユニット121を把持して、ねじる等の変形させる外力を加えたとしても、オプトベース90に伝達されるのを抑制させることができる。オプトベース90に力が伝達されるのを抑制させることで、オプトベース90に取り付けられたレンズ20L・20R、撮像カメラ10L・10R、位置合わせカメラ11L・11Rに与える影響を軽減でき、光学ユニット122の光学精度を向上させることができる。
【0040】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、上述した実施形態を適時組み合わせてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、リアカバー41、81が軸孔41a、81aを有し、オプトベース50、90が軸部50c、90cを有する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、リアカバー41、81またはフロントカバー42が軸部および軸孔の一方を有し、オプトベース50、90が軸部および軸孔の他方を有していてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100、110、120:画像表示装置 10L、10R:撮像カメラ 11L、11R:位置合わせカメラ 20L、20R:レンズ 21:G1レンズ 22:G2レンズ 30L、30R、70L、70R:レンズフード 31T、31B、71T、71B:レール部材 41、81:リアカバー 41a、81a:軸孔 42:フロントカバー 50、90:オプトベース 50b:レール部 50c、90c:軸部 50d:回転止め部 60:ロータリダンパ 101、111、121:外装ユニット 102、122:光学ユニット
図1
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図10