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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】コンタクトピン及びソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20240318BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R33/76 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020021595
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021128838
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 嘉伸
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0052011(US,A1)
【文献】特開2016-217910(JP,A)
【文献】特開2010-025844(JP,A)
【文献】国際公開第2020/022493(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0009233(KR,A)
【文献】特開2010-204082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0270438(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0266240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/00-13/08
H01R 13/15-13/35
H01R 33/00-33/975
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電気部品と第二電気部品とを電気的に接続するコンタクトピンであって、
伸縮可能に組み合わされた内側ピン要素及び外側ピン要素を有するピン本体と、
前記ピン本体の収縮状態において、前記ピン本体が伸長する方向に、前記内側ピン要素と前記外側ピン要素とを付勢する弾性部材と、
前記外側ピン要素に設けられ、前記ピン本体が収縮する際、軸方向における第一方向に移動する前記内側ピン要素に当接する当接部を有し、前記第一方向に直交する第二方向の成分を含む力を、前記当接部を介して付与する押付部と、を備え
前記押付部における前記当接部の位置は、前記伸縮可能に組み合わされた前記内側ピン要素及び前記外側ピン要素のうち少なくとも前記内側ピン要素が、前記ピン本体を収縮させる方向に押圧されていないときに、前記内側ピン要素の第一方向側先端部よりも前記第一方向に離れている位置である、
コンタクトピン。
【請求項2】
前記押付部は、前記外側ピン要素と一体に設けられている、請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項3】
前記押付部は、前記第一方向に向かうほど前記外側ピン要素の中心軸に近づく方向に傾斜している、請求項2に記載のコンタクトピン。
【請求項4】
前記押付部は、前記中心軸を通る平面により切断した場合の断面形状が直線又は曲線の板状部材により構成されている、請求項3に記載のコンタクトピン。
【請求項5】
前記外側ピン要素は、前記軸方向に延在する筒部を有し、
前記内側ピン要素は、一部が前記筒部に挿入されており、
前記押付部は、前記筒部に設けられている、請求項2~4の何れか一項に記載のコンタクトピン。
【請求項6】
前記筒部は、小径筒部と、前記小径筒部の前記第一方向側の端部に接続された大径筒部と、を有し、
前記押付部は、前記大径筒部に設けられている、請求項5に記載のコンタクトピン。
【請求項7】
前記外側ピン要素は、前記小径筒部と前記大径筒部との間に外側受面を有し、
前記内側ピン要素は、前記軸方向における中間部に内側受面を有し、
前記弾性部材は、前記内側ピン要素を囲む状態で、前記外側受面と前記内側受面との間に設けられている、請求項6に記載のコンタクトピン。
【請求項8】
前記外側ピン要素は、径方向において前記押付部と対向する位置に凸部を有する、請求項2~7の何れか一項に記載のコンタクトピン。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のコンタクトピンと、
前記コンタクトピンを保持する保持部を有する支持部材と、を備える
ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置(以下、「ICパッケージ」と称する。)等の電気部品の性能試験等に使用されるコンタクトピン及びソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICパッケージ等の電気部品を外部との電気的接続のために収容するソケットとして、例えば、ICソケット(以下、単に「ソケット」と称する。)が知られている(例えば、特許文献1参照)。ソケットは、電気部品を出荷検査する際、電気部品の電気的特性を検査するために使用される。
【0003】
このようなソケットは、電気部品と検査装置側の基板である検査用基板とを電気的に接続する複数のコンタクトピンを備えている。コンタクトピンは、アッパプランジャ、ロアプランジャ、及びコイルスプリングを有する。
【0004】
アッパプランジャは、上端部に、電気部品の端子に接触する接点部を有する。ロアプランジャは、下端部に、検査用基板の端子に接触する接点部を有する。このようなロアプランジャは、アッパプランジャに対する上下方向の移動可能な状態で、アッパプランジャに挿入されている。コイルスプリングは、アッパプランジャとロアプランジャとを互いに離れる方向に付勢する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-196937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなソケットにおいて、アッパプランジャとロアプランジャとを確実に接触させることにより、電気部品と検査用基板との間の安定した接続を確保できるコンタクトピンの構造が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、第一電気部品と第二電気部品との接続を安定させることができるコンタクトピン及びソケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンタクトピンの一態様は、
第一電気部品と第二電気部品とを電気的に接続するコンタクトピンであって、
伸縮可能に組み合わされた内側ピン要素及び外側ピン要素を有するピン本体と、
前記ピン本体の収縮状態において、前記ピン本体が伸長する方向に、前記内側ピン要素と前記外側ピン要素とを付勢する弾性部材と、
前記外側ピン要素に設けられ、前記ピン本体が収縮する際、軸方向における第一方向に移動する前記内側ピン要素に当接する当接部を有し、前記第一方向に直交する第二方向の成分を含む力を、前記当接部を介して付与する押付部と、を備え
前記押付部における前記当接部の位置は、前記伸縮可能に組み合わされた前記内側ピン要素及び前記外側ピン要素のうち少なくとも前記内側ピン要素が、前記ピン本体を収縮させる方向に押圧されていないときに、前記内側ピン要素の第一方向側先端部よりも前記第一方向に離れている位置である
【0009】
本発明に係るソケットの一態様は、
上述のコンタクトピンと、
コンタクトピンを保持する保持部を有する支持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第一電気部品と第二電気部品との接続を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るコンタクトピンの側面図である。
図2図2は、非使用状態における、コンタクトピンの断面図である。
図3図3は、使用状態における、コンタクトピンの断面図である。
図4A図4Aは、非使用状態におけるコンタクトピンの状態を示すソケットの部分断面図である。
図4B図4Bは、検査用基板上に配置された状態におけるコンタクトピンの状態を示すソケットの部分断面図である。
図4C図4Cは、使用状態におけるコンタクトピンの状態を示すソケットの部分断面図である。
図5A図5Aは、押付部の変形例1を説明するための図であって、図3のX部に相当する断面図である。
図5B図5Bは、押付部の変形例2を説明するための図であって、図3のX部に相当する断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態2に係るコンタクトピンの側面図である。
図7図7は、非使用状態における、コンタクトピンの断面図である。
図8図8は、使用状態における、コンタクトピンの断面図である。
図9A図9Aは、本発明の実施形態3に係る非使用状態におけるコンタクトピンの断面図である。
図9B図9Bは、使用状態におけるコンタクトピンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。尚、後述する実施形態に係るソケットは、本発明に係るソケットの一例であり、本発明は実施形態により限定されない。
【0013】
[実施形態1]
以下、図1図4Cを参照して、本発明の実施形態1に係るソケットS及びコンタクトピン2について説明する。
【0014】
以下の説明において、軸方向は、コンタクトピン2及びコンタクトピン2の構成部材における中心軸に平行な方向を意味する。軸方向における一方側は使用状態における下方側に対応し、軸方向における他方側は使用状態における上方側に対応する。軸方向における一方側から他方側に向かう方向は、軸方向における第一方向に対応する。軸方向における他方側から一方側に向かう方向は、軸方向における第二方向に対応する。
【0015】
径方向は、コンタクトピン2及びコンタクトピン2の構成部材において、コンタクトピン2及びコンタクトピン2の構成部材の中心軸を中心とした円の径方向を意味する。
【0016】
円周方向は、コンタクトピン2及びコンタクトピン2の構成部材において、コンタクトピン2及びコンタクトピン2の構成部材の中心軸を中心とした円の円周方向を意味する。
【0017】
<ソケット>
ソケットSは、ICパッケージ5(図4C参照)等の電気部品を検査する際、ICパッケージ5と検査用基板6(図4C参照)とを電気的に接続するためのソケットとして使用される。
【0018】
本実施形態において、ICパッケージ5は、第一電気部品の一例に該当する。又、検査用基板6は、第二電気部品の一例に該当する。尚、検査用基板6が第一電気部品の一例に該当し、ICパッケージ5が、第二電気部品の一例に該当する場合もある。
【0019】
ICパッケージ5の下面には、複数のパッケージ側端子(不図示)がマトリクス状に設けられている。パッケージ側端子は、例えば、半田ボールである。又、検査用基板6の上面には、複数の基板側端子(不図示)がマトリクス状に設けられている。
【0020】
ソケットSは、検査用基板6に配置される支持部材1と、コンタクトピン2と、を有する。
【0021】
尚、ソケットSは、種々のソケットであってよい。図示は省略するが、ソケットSは、支持部材1を収容するための収容部を有するハウジングを備えてもよい。又、ソケットSは、ハウジングに開閉可能に設けられ、ソケットの使用状態においてハウジングの収容部を上方から覆うカバー部材を有してもよい。又、ソケットSは、カバー部材に支持されソケットの使用状態においてICパッケージ5を下方に向けて押圧する押圧部材を有してもよい。
【0022】
本明細書において、ソケットSの非使用状態(以下、単に「非使用状態」とも称する。)とは、図4Aに示すように、ソケットSが検査用基板6上に配置されてなく、且つ、ソケットSにICパッケージ5が収容されていない状態を意味する。但し、ソケットSが検査用基板6上に配置されてなく、且つ、ソケットSに収容されたICパッケージ5が、例えば押圧部材により押圧されていない状態も、ソケットSの非使用状態と捉えてよい。
【0023】
一方、ソケットSの使用状態(以下、単に「使用状態」とも称する。)とは、図4Cに示すソケットSの状態(電気部品の検査を実施する際のソケットの状態と同じ状態)を意味する。換言すれば、ソケットSの使用状態とは、ソケットSが検査用基板6上に配置され、且つ、ソケットSに収容されたICパッケージ5が、例えば押圧装置7の押圧部材71(図4C参照)により下方に押圧されている状態を意味する。
【0024】
<支持部材>
支持部材1は、例えば、矩形板状である。このような支持部材1は、コンタクトピン2を支持するためのものである。支持部材1は、隣り合うコンタクトピン2同士を絶縁する。支持部材1の材料は、例えば、合成樹脂である。支持部材1は、弾性を有する材料であってもよい。
【0025】
支持部材1は、固定部11と、可動部12と、載置面13と、保持部14と、を有する。
【0026】
<固定部>
固定部11は、矩形板状であって、締結部品等の固定手段により、ソケットSの側壁部(不図示)に固定されている。尚、側壁部は、例えば、矩形枠状であって、支持部材1を囲むように設けられている。よって、固定部11は、側壁部に対して移動不可能である。
【0027】
固定部11は、上下方向に対向して設けられた複数枚の板状部材により構成されている。具体的には、固定部11は、上から順に、第一プレート111、第二プレート112、第三プレート113、及び第四プレート114を有する。
【0028】
第一プレート111、第二プレート112、第三プレート113、及び第四プレート114は、上下方向に離間した状態で、ボルト等の締結部品により接続されている。尚、固定部11を構成するプレートの数は、本実施形態の場合に限定されない。固定部11は、一枚のプレートにより構成されてもよい。
【0029】
<可動部>
可動部12は、矩形板状であって、固定部11の第一プレート111よりも上方に、固定部11と対向した状態で設けられている。可動部12は、固定部11に対する上下方向の移動可能な状態で、固定部11に支持されている。
【0030】
具体的には、可動部12は、複数のガイド部材(不図示)により上下方向の移動を案内されている。ガイド部材は、固定部11(具体的には、第四プレート114)に固定され、固定部11(具体的には、第一プレート111、第二プレート112、及び第三プレート113)及び可動部12に挿通されている。
【0031】
可動部12と固定部11との間には、コイルスプリング等の複数の弾性部材(不図示)が設けられている。弾性部材は、ソケットの非使用状態(ソケットの非押圧状態とも称する。)において、自由状態である。ICパッケージ5が押圧部材71(図4C参照)により下方に押圧されると、弾性部材が収縮して可動部12が下方に移動する。
【0032】
弾性部材は、ソケットの使用状態(ソケットの押圧状態とも称する。)において、可動部12に上向きの弾性力を付与する。押圧部材によるICパッケージ5への押圧が解消されると、弾性部材は伸長する。その結果、可動部12は、上方に移動する。
【0033】
又、本実施形態において、可動部12は、説明の便宜上、可動部と称しているが、固定部11に固定され、移動しない態様であってもよい。この場合、後述のコンタクトピン2の上端部は、可動部12から上方に突出している。そして、コンタクトピン2は、自身の伸縮に応じて、使用状態と非使用状態とを切り替える。
【0034】
<載置面>
載置面13は、可動部12の上面により構成されている。使用状態において、載置面13には、ICパッケージ5が置かれる。
【0035】
<保持部>
保持部14は、コンタクトピン2を保持している。支持部材1は、複数の保持部14を有する。本実施形態の場合、保持部14は、支持部材1を厚さ方向(上下方向)に貫通する貫通孔である。
【0036】
具体的には、保持部14は、上から順に、可動部12に設けられた貫通孔121、第一プレート111に設けられた貫通孔111a、第二プレート112に設けられた貫通孔112a、第三プレート113に設けられた貫通孔113a、及び第四プレート114に設けられた貫通孔114aを有する。
【0037】
貫通孔121、貫通孔111a、貫通孔112a、貫通孔113a、及び貫通孔114aは、互いに上下方向に対向している。貫通孔111aは、軸方向における中間部に、下方を向いた円輪状の受面111b(図4A図4C参照)を有する。
【0038】
保持部14の配置は、ICパッケージ5のパッケージ側端子及び検査用基板6の基板側端子の配置に応じて適宜決定される。このような保持部14には、コンタクトピン2が挿通されている。
【0039】
<コンタクトピン>
コンタクトピン2は、ピン本体21と、弾性部材22と、を有する。以下、コンタクトピン2及びコンタクトピン2の構成部材の説明において、軸方向における第一方向側(本実施形態の場合、下側)の端部(本実施形態の場合、下端部)を第一端部と称し、軸方向における第二方向側(本実施形態の場合、上側)の端部(本実施形態の場合、上端部)を第二端部と称する。
【0040】
(ピン本体)
ピン本体21は、伸縮可能に組み合わされた第一ピン要素3と、第二ピン要素4と、を有する。
【0041】
(第一ピン要素)
第一ピン要素3は、外側ピン要素の一例に該当し、全体が導電性を有する金属製である。第一ピン要素3は、本体部31と、押付部32と、を有する。
【0042】
(本体部)
本体部31は、筒状であって、第一端部(下端部)側から順に、第一端子部310と、第一小径筒部311と、第一接続部312と、大径筒部313と、第二接続部314と、第二小径筒部315と、を有する。
【0043】
(第一端子部)
第一端子部310は、使用状態において、検査用基板6の基板側端子に接触する部分である。第一端子部310は、図4Aに示す非使用状態において、支持部材1の下面から下方に突出している。
【0044】
(第一小径筒部)
第一小径筒部311は、軸方向に延在する筒状である。第一小径筒部311の下端部は、第一端子部310の上端部に接続されている。第一小径筒部311の上端部は、第一接続部312に接続されている。
【0045】
(第一接続部)
第一接続部312は、円輪状であって、第一小径筒部311と大径筒部313とを接続している。第一接続部312の径方向における内側の端部は、第一小径筒部311の上端部に接続されている。第一接続部312の径方向における外側の端部は、大径筒部313の下端部に接続されている。
【0046】
(大径筒部)
大径筒部313は、軸方向に延在する筒状である。大径筒部313の下端部は、第一接続部312に接続されている。大径筒部313の上端部は、後述の第二接続部314に接続されている。
【0047】
大径筒部313は、軸方向における中間部にU字状のスリット313aを有する。スリット313aは、上端部において不連続である。スリット313aにより囲まれる部分は、大径筒部313の内側に折り曲げられることにより、後述の押付部32を構成している。
【0048】
大径筒部313は、円周方向においてスリット313aと反対側となる位置に、貫通孔313bを有する。貫通孔313bは、大径筒部313を径方向に貫通している。このような貫通孔313bは、第一ピン要素3の製造工程において、第一ピン要素3の表面にメッキ等の表面処理を施す際、メッキの材料の通り道となる。
【0049】
本実施形態の場合、貫通孔313bは、円周方向における位相が、後述の押付部32と180°ずれた位置に設けられている。但し、貫通孔313bの位置は、本実施形態の場合に限定されない。
【0050】
(第二接続部)
第二接続部314は、円輪状であって、大径筒部313と後述の第二小径筒部315とを接続している。第二接続部314の径方向における外側の端部は、大径筒部313の上端部に接続されている。第二接続部314の径方向における内側の端部は、第二小径筒部315の下端部に接続されている。
【0051】
第二接続部314は、上面に円輪状の下側受面314aを有する。下側受面314aは、後述の弾性部材22の下端部と当接している。下側受面314aは、弾性部材22から加わる下向きの弾性力を受けるためのものである。下側受面314aは、外側受面の一例に該当する。
【0052】
第二小径筒部315は、軸方向に延在する筒状である。第二小径筒部315の下端部は、第二接続部314に接続されている。第二小径筒部315の上端部は、他の部分に接続されていない。本実施形態の場合、大径筒部313及び第二小径筒部315が、筒部の一例に該当する。
【0053】
(押付部)
押付部32は、第一ピン要素3と第二ピン要素4との間に設けられ、コンタクトピン2が収縮する際、軸方向における第一方向(下方)に移動する第二ピン要素4に、コンタクトピン2の軸方向に直交する方向の成分を含む力を付与するためのものである。コンタクトピン2の軸方向に直交する方向は、第二方向の一例に該当する。
【0054】
本実施形態の場合、押付部32は、大径筒部313のスリット313aにより囲まれた部分が、コンタクトピン2の中心軸に向かって折り曲げられることにより構成されている。
【0055】
具体的には、押付部32は、上下方向に対して所定角度傾斜した方向に直線的に延在する板状である。押付部32の上端部は、大径筒部313に接続されており、スリット313aの上端部により囲まれている。又、押付部32の下端部は、押付部32の上端部よりも、コンタクトピン2の中心軸に近い。換言すれば、押付部32は、上端部から下端部に向かうほど、コンタクトピン2の中心軸に近づく方向に傾斜している。
【0056】
押付部32は、径方向における内側の面である第一面(押付部32の内側面とも称する。)に、ガイド面321を有する。ガイド面321は、コンタクトピン2が収縮する際、下方に移動する第二ピン要素4と当接することにより、第二ピン要素4を、ガイド面321に沿う方向に案内するためのものである。
【0057】
ガイド面321は、上端部から下端部に向かうほど、コンタクトピン2の中心軸に近づく方向に傾斜する傾斜面である。
【0058】
本実施形態の場合、押付部32は、大径筒部313と一体に設けられている。つまり、押付部32と大径筒部313とは、一物品により構成されている。但し、押付部は、大径筒部313とは異なる部材により構成されてもよい。この場合、押付部は、大径筒部313の内周面の所定位置に、接着や締結部品(ピン等)等の固定手段により固定されてよい。
【0059】
又、本実施形態の場合、押付部32は1個である。但し、押付部32は、2個以上であってもよい。例えば、押付部が第一押付部と第二押付部により構成されている場合、第一押付部と第二押付部とは、円周方向に隣り合うように設けられてよい。具体的には、第一押付部と第二押付部とは、大径筒部313の内周面において、円周方向における位相が所定角度(例えば、90度)ずれた状態で設けられてよい。
【0060】
(押付部の変形例1)
図5Aは、押付部の変形例1を説明するための図である。本変形例に係る押付部32Bは、軸方向に平行な平面で切断した場合の断面形状が、径方向における外側が凸となる曲板状である。本実施形態の場合も、押付部32Bの下端部は、押付部32Bの上端部よりも、コンタクトピン2の中心軸に近い。換言すれば、押付部32Bは、上端部から下端部に向かうほど、コンタクトピン2の中心軸に近づく方向に曲線的に傾斜している。
【0061】
押付部32Bは、径方向における内側の面である第一面(押付部32Bの内側面とも称する。)に、ガイド面321Bを有する。ガイド面321Bは、径方向における外側が凸となる曲面である。ガイド面321Bは、コンタクトピン2が収縮する際、下方に移動する第二ピン要素4と当接することにより、第二ピン要素4を、ガイド面321Bに沿う方向に案内するためのものである。
【0062】
(押付部の変形例2)
図5Bは、押付部の変形例1を説明するための図である。本変形例に係る押付部32Cは、第一曲板部33と、第二曲板部34と、を有する。
【0063】
第一曲板部33は、軸方向に平行な平面で切断した場合の断面形状が、径方向における外側が凸となる曲板状である。第一曲板部33の上端部は、大径筒部313に接続されている。第一曲板部33の下端部は、第二曲板部の上端部に接続されている。
【0064】
第一曲板部33の下端部は、第一曲板部33の上端部よりも、コンタクトピン2の中心軸に近い。換言すれば、第一曲板部33は、上端部から下端部に向かうほど、コンタクトピン2の中心軸に近づく方向に曲線的に傾斜している。
【0065】
第一曲板部33は、径方向における内側の面である第一面(第一曲板部の内側面とも称する。)に、第一ガイド面331を有する。第一ガイド面331は、径方向における外側が凸となる曲面である。第一ガイド面331は、コンタクトピン2が収縮する際、下方に移動する第二ピン要素4と当接することにより、第二ピン要素4を、第一ガイド面331に沿う方向に案内するためのものである。
【0066】
第二曲板部34は、軸方向に平行な平面で切断した場合の断面形状が、径方向における内側が凸となる曲板状である。第二曲板部34の曲率は、第一曲板部33の曲率よりも大きい。第二曲板部34の上端部は、第一曲板部33に接続されている。第二曲板部34は、第一曲板部33に対して滑らかに接続さている。
【0067】
第二曲板部34は、径方向における内側の面である第一面(第二曲板部34の内側面とも称する。)に、第二ガイド面341を有する。第二ガイド面341は、径方向における内側が凸となる曲面である。第二ガイド面341は、コンタクトピン2が収縮する際、下方に移動する第二ピン要素4を、径方向における内側に向けて押す。
【0068】
(第二ピン要素)
第二ピン要素4は、内側ピン要素の一例に該当し、全体が導電性を有する金属製である。第二ピン要素4は、第一ピン要素3に対する軸方向の移動可能な状態で、第一ピン要素3に挿通されている。第二ピン要素4の上端部は、第一ピン要素3の上端部から常時上方に突出している。
【0069】
具体的には、第二ピン要素は、第一端部(下端部)側から順に、被押付部41と、第一軸部42と、上側第一受部43と、第二軸部44と、上側第二受部45と、第三軸部46と、第二端子部47と、を有する。
【0070】
(被押付部)
被押付部41は、第二ピン要素4の下端部に設けられた円錐台状である。被押付部41は、非使用状態及び使用状態において、第一ピン要素3の大径筒部313の内側に配置されている。具体的には、被押付部41は、下方に向かうほど、外径が小さくなる円錐台状である。
【0071】
被押付部41は、非使用状態から、第二ピン要素4が軸方向における第一方向(下方)に所定距離移動した場合に、第一ピン要素3の押付部32と当接する。被押付部41の上端は、後述の第一軸部42に接続されている。
【0072】
(第一軸部)
第一軸部42は、上下方向に延在する軸状である。第一軸部42の外径及び内径は、軸方向における全長にわたり一定である。第一軸部42の下端部は、被押付部41に接続されている。第一軸部42の下半部の少なくも一部は、使用状態及び非使用状態において、第一ピン要素3の第二小径筒部315の内側に配置されている。第一軸部42の上端部は、使用状態及び非使用状態において、第一ピン要素3の上端部よりも上方に位置している。
【0073】
(上側第一受部)
上側第一受部43は、第一軸部42の外径よりも大きい外径を有する。上側第一受部43は、
第一軸部42の上端部に接続されている。上側第一受部43は、第一ピン要素3の上端部よりも常時上方に位置している。
【0074】
上側第一受部43は、軸方向における第一方向側の面である第一面(上側第一受部43の下面とも称する。)に円輪状の上側第一受面431を有する。上側第一受面431は、後述の弾性部材22の上端部と当接している。上側第一受面431は、弾性部材22から加わる上向きの弾性力を受けるためのものである。上側第一受面431は、内側受面の一例に該当する。
【0075】
第二軸部44は、例えば、軸方向における全長にわたり外径及び内径が変わらない軸状である。第二軸部44の外径は、第一軸部42の外径と等しい。第二軸部44の下端部は、上側第一受部43に接続されている。第二軸部44は、使用状態及び非使用状態において、第一ピン要素3の上端部よりも常時上方に位置している。
【0076】
上側第二受部45は、第二軸部44の外径よりも大きい外径を有する。上側第二受部45は、第二軸部44の上端部に接続されている。上側第二受部45は、第一ピン要素3の上端部よりも常時上方に位置している。
【0077】
上側第二受部45は、軸方向における第二方向側の面である第一面(上側第二受部45の上面とも称する。)に円輪状の上側第二受面451を有する。上側第二受面451は、非使用状態において、支持部材1の受面111bと当接する。
【0078】
上側第二受面451と支持部材1の受面111bとの当接に基づいて、コンタクトピン2の上方への抜け出しが防止されている。
【0079】
第三軸部46は、例えば、軸方向における全長にわたり外径及び内径が変わらない軸状である。第三軸部46の外径は、第二軸部44の外径と等しい。第三軸部46の下端部は、上側第二受部45に接続されている。第三軸部46は、使用状態及び非使用状態において、第一ピン要素3の上端部よりも常時上方に位置している。
【0080】
第二端子部47は、使用状態において、ICパッケージ5のパッケージ側端子に接触する部分である。具体的には、第二端子部47は、第二ピン要素4の上端部に設けられた円錐台状である。
【0081】
具体的には、第二端子部47は、上方に向かうほど、外径が小さくなる円錐台状である。このような第二端子部47は、非使用状態及び使用状態において、保持部14の可動部12における貫通孔121の内側に配置されている。第二端子部47は、非使用状態及び使用状態において、支持部材1の上面よりも下方に位置している。
【0082】
(弾性部材)
弾性部材22は、コイルばねであって、第一ピン要素3と、第二ピン要素4との間に設けられている。弾性部材22は、ピン本体21が伸長する方向に、第一ピン要素3と第二ピン要素4とを付勢するためのものである。
【0083】
具体的には、弾性部材22は、非使用状態において、第一ピン要素3の第二小径筒部315と、第二ピン要素4の第一軸部42を囲むように設けられている。弾性部材22の下端部は、第一ピン要素3の第二接続部314における下側受面314aに当接している。弾性部材22の上端部は、第二ピン要素4の上側第一受部43における上側第一受面431に当接している。
【0084】
本実施形態の場合、弾性部材22は、図4Aに示す非使用状態において、収縮していない(つまり、最大長さである)。弾性部材22は、図4Bに示す状態、及び、図4Cに示す使用状態において、収縮する。弾性部材22は、収縮した状態(以下、収縮状態とも称する。)において、第一ピン要素3と第二ピン要素4とに、第一ピン要素3と第二ピン要素4とが離れる方向の力を加える。
【0085】
以上のようなコンタクトピン2は、支持部材1の保持部14に保持されている。具体的には、図4Aに示すように、非使用状態において、コンタクトピン2の第一ピン要素3は、支持部材1における第三プレート113の貫通孔113a及び第四プレート114の貫通孔114aに挿通されている。
【0086】
非使用状態において、コンタクトピン2の第一ピン要素3の上端部は、第三プレート113の貫通孔113aよりも上方に位置している。
【0087】
非使用状態において、弾性部材22の下端部は、支持部材1における第三プレート113の貫通孔113aに配置されている。非使用状態において、第二ピン要素4の上側第一受部43及び弾性部材22の上端部は、支持部材1における第二プレート112の貫通孔112aに配置されている。
【0088】
非使用状態において、第二ピン要素4の上側第二受部45は、支持部材1における第一プレート111の貫通孔111aに配置されている。又、第二ピン要素4の上側第二受部45における上側第二受面451は、第一プレート111の貫通孔111aにおける受面111bに当接している。
【0089】
<ソケットの動作>
以下、図4A図4Cを参照して、ソケットSの動作について説明する。図4Aは、非使用状態に対応する、ソケットSの状態を示す図である。又、図4Bは、検査用基板6に配置されたソケットSの状態を示す図である。図4Cは、使用状態に対応する、ソケットSの状態を示す図である。
【0090】
先ず、図4Aに示す非使用状態のソケットSを検査用基板6上に配置する。すると、検査用基板6の基板側端子(図示省略)によりコンタクトピン2の第一端子部310が上方に押される。この結果、第一ピン要素3が、弾性部材22の弾性力に対抗して、上方に移動する。そして、コンタクトピン2は、図4Bに示す状態となる。
【0091】
図4Bに示す状態において、第二ピン要素4の被押付部41は、第一ピン要素3の押付部32におけるガイド面321に当接していない。
【0092】
次に、図4Bに示す状態のソケットSに収容されたICパッケージ5を、押圧装置7の押圧部材71により下方に押圧する。すると、押圧部材71から加わる下向きの押付力に基づいて、ICパッケージ5と共に、支持部材1の可動部12が下方に移動する。
【0093】
その後、ICパッケージ5のパッケージ側端子により、第二ピン要素4の第二端子部47が下方に押される。そして、ICパッケージ5から加わる下向きの押付力に基づいて、第二ピン要素4が下方(図4Cの矢印Aの方向)に移動する。
【0094】
第二ピン要素4が下方に所定距離移動すると、第二ピン要素4の被押付部41が、第一ピン要素3の押付部32におけるガイド面321に当接する。図4Cの矢印Aが指す方向は、軸方向における第一方向の一例に該当する。
【0095】
第一ピン要素3の押付部32におけるガイド面321は、上端部から下端部に向かうほど、コンタクトピン2の中心軸に近づく方向に傾斜しているため、第二ピン要素4は、第一ピン要素3の押付部32から、ガイド面321の法線方向の力F図4C参照)を受ける。
【0096】
この力Fは、軸方向における第一方向に直交する第二方向の成分である力F図4C参照)を含む。そして、力Fに基づいて、第二ピン要素4の移動方向が、図4Cの矢印Aが指す方向から、図4Cの矢印Aが指す方向に変わる。この結果、第二ピン要素4が、第一ピン要素3に対して所定角度傾く。尚、図4Cの矢印Aが指す方向は、軸方向における第一方向に直交する第二方向の一例に該当する。
【0097】
第二ピン要素4が、第一ピン要素3に対して傾くと、第二ピン要素4における上側接触位置48a及び下側接触位置48b(図4Cに黒丸で示す部分)が、第一ピン要素3に接触する。そして、ソケットSは、図4Cに示す使用状態となる。
【0098】
具体的には、使用状態において、上側接触位置48aは、第一ピン要素3における第二小径筒部315の上端部と接触する。又、使用状態において、下側接触位置48bは、第一ピン要素3における第二小径筒部315の下端部と接触する。
【0099】
本実施形態の場合、上側接触位置48a及び下側接触位置48bは、第二ピン要素4の第一軸部42に設けられている。上側接触位置48aは、第二ピン要素4の第一軸部42において、下側接触位置48bよりも上方に位置する部分である。上側接触位置48aと下側接触位置48bとは、円周方向における位相が180°ずれている。
【0100】
(作用・効果)
以上のような構成を有する本実施形態の場合、コンタクトピン2が収縮する際、第二ピン要素4が第一ピン要素3に対して傾斜することにより、第二ピン要素4における上側接触位置48a及び下側接触位置48b(図4Cに黒丸で示す部分)が、第一ピン要素3に接触する。このため、第一ピン要素3と第二ピン要素4とが確実に接続される。この結果、ICパッケージ5と検査用基板6との電気的な接続を安定させることができる。
【0101】
[実施形態2]
図6図8を参照して、本発明の実施形態2に係るコンタクトピン2Bについて説明する。コンタクトピン2B以外のソケットの構造は、既述の実施形態1のソケットSと同様である。
【0102】
本実施形態のコンタクトピン2Bは、ピン本体21Bと、弾性部材22と、を有する。弾性部材22の構造は、既述の実施形態1の弾性部材22と同様である。
【0103】
(ピン本体)
ピン本体21Bは、伸縮可能に組み合わされた第一ピン要素3Bと、第二ピン要素4と、を有する。第二ピン要素4は、既述の実施形態1の第二ピン要素4と同様である。
【0104】
(第一ピン要素)
第一ピン要素3Bは、外側ピン要素の一例に該当し、全体が導電性を有する金属製である。第一ピン要素3Bは、本体部31Bと、押付部32と、を有する。押付部32の構造は、既述の実施形態1の押付部32と同様である。
【0105】
(本体部)
本体部31Bは、筒状であって、第一端部(下端部)側から順に、第一端子部310と、第一小径筒部311と、第一接続部312と、大径筒部313Bと、を有する。第一端子部310、第一小径筒部311、及び第一接続部312の構造は、既述の実施形態1の第一端子部310、第一小径筒部311、及び第一接続部312と同様である。このような本体部31Bは、既述の実施形態1における本体部31が有する第二接続部314及び第二小径筒部315を有していない。
【0106】
(大径筒部)
大径筒部313Bは、例えば、軸方向における全長にわたり外径及び内径が変わらない筒状である。大径筒部313Bの下端部は、第一接続部312に接続されている。
【0107】
大径筒部313Bは、上端面に円輪状の下側受面313cを有する。下側受面313cは、弾性部材22の下端部と当接している。下側受面313cは、弾性部材22から加わる下向きの弾性力を受けるためのものである。
【0108】
(弾性部材)
弾性部材22は、コイルばねであって、第一ピン要素3と、第二ピン要素4との間に設けられている。弾性部材22は、ピン本体21が伸長する方向に、第一ピン要素3と第二ピン要素4とを付勢するためのものである。
【0109】
具体的には、弾性部材22は、非使用状態において、第二ピン要素4の第一軸部42を囲むように設けられている。弾性部材22の下端部は、第一ピン要素3の大径筒部313Bにおける下側受面313cに当接している。弾性部材22の上端部は、第二ピン要素4の上側第一受部43における上側第一受面431に当接している。
【0110】
以上のようなコンタクトピン2Bは、支持部材1の保持部14に保持されている。尚、非使用状態及び使用状態におけるコンタクトピン2Bの支持部材1に対する支持態様は、既述の実施形態1と同様である。又、ソケットSの動作についても、既述の実施形態1のソケットSと同様である。
【0111】
[実施形態3]
図9A及び図9Bを参照して、本発明の実施形態3に係るコンタクトピン2Cについて説明する。図9Aは、非使用状態におけるコンタクトピン2Cの断面図である。図9Bは、使用状態におけるコンタクトピン2Cの断面図である。コンタクトピン2C以外のソケットの構造は、既述の実施形態1のソケットSと同様である。
【0112】
本実施形態のコンタクトピン2Cは、ピン本体21Cと、弾性部材22と、を有する。弾性部材22の構造は、既述の実施形態1の弾性部材22と同様である。
【0113】
(ピン本体)
ピン本体21Cは、伸縮可能に組み合わされた第一ピン要素3Cと、第二ピン要素4と、を有する。第二ピン要素4は、既述の実施形態1の第二ピン要素4と同様である。
【0114】
(第一ピン要素)
第一ピン要素3Cは、外側ピン要素の一例に該当し、全体が導電性を有する金属製である。第一ピン要素3Cは、本体部31Cと、押付部32と、を有する。押付部32の構造は、既述の実施形態1の押付部32と同様である。
【0115】
(本体部)
本体部31Cは、筒状であって、第一端部(下端部)側から順に、第一端子部310と、第一小径筒部311と、第一接続部312と、大径筒部313Cと、第二接続部314と、第二小径筒部315と、を有する。
【0116】
第一端子部310、第一小径筒部311、第一接続部312、第二接続部314、及び第二小径筒部315の構造は、既述の実施形態1の第一小径筒部311、第一接続部312、第二接続部314、及び第二小径筒部315と同様である。
【0117】
大径筒部313Cは、例えば、上下方向に延在する筒状である。大径筒部313Cの下端部は、第一接続部312に接続されている。大径筒部313Cの上端部は、後述の第二接続部314に接続されている。
【0118】
大径筒部313Cは、軸方向における中間部にU字状のスリット313aを有する。スリット313aは、上端部において不連続である。スリット313aにより囲まれる部分は、大径筒部313Cの内側に折り曲げられることにより、押付部32を構成している。スリット313aの構造は、既述の実施形態1のスリット313aと同様である。
【0119】
大径筒部313Cは、内周面において円周方向においてスリット313aと反対側となる位置に、下側凸部313dを有する。下側凸部313dは、大径筒部313Cの内周面から径方向における内側に突出している。このような下側凸部313dは、押付部32と径方向に対向している。
【0120】
又、大径筒部313Cは、外周面において下側凸部313dと径方向に対向する部分に、下側凹部313eを有する。下側凹部313eは、大径筒部313の外周面から径方向における内側に凹んでいる。
【0121】
又、大径筒部313Cは、内周面においてスリット313aの上端部よりも上方に、環状の上側凸部313fを有する。上側凸部313fは、大径筒部313Cの内周面から径方向における内側に突出している。上側凸部313fは、大径筒部313Cの内周面において、円周方向の全周にわたり連続している。
【0122】
又、大径筒部313Cは、外周面において上側凸部313fと径方向に対向する部分に、環状の上側凹部313gを有する。上側凹部313gは、大径筒部313Cの外周面から径方向における内側に凹んでいる。上側凹部313gは、大径筒部313Cの外周面において、円周方向の全周にわたり連続している。
【0123】
その他のコンタクトピン2Cの構成は、既述の実施形態1におけるコンタクトピン2と同様である。
【0124】
以上のような構成を有する本実施形態の場合、ソケットに収容されたICパッケージ5が、押圧部材71(図4C参照)により下方に押圧されると、押圧部材71から加わる下向きの押付力に基づいて、ICパッケージ5(図4C参照)と共に、支持部材1の可動部12(図4C参照)が下方に移動する。
【0125】
その後、ICパッケージ5のパッケージ側端子により、第二ピン要素4の第二端子部47が下方に押される。そして、ICパッケージ5から加わる下向きの押付力に基づいて、第二ピン要素4が下方に移動する。
【0126】
第二ピン要素4が下方に所定距離移動すると、第二ピン要素4の被押付部41が、第一ピン要素3Cの押付部32におけるガイド面321に当接する。
【0127】
第一ピン要素3Cの押付部32におけるガイド面321は、上端部から下端部に向かうほど、コンタクトピン2の中心軸に近づく方向に傾斜しているため、第二ピン要素4は、第一ピン要素3Cの押付部32から、ガイド面321の法線方向の力F図4C参照)を受ける。
【0128】
この力Fは、軸方向における第一方向に直交する第二方向の成分である力F図4C参照)を含む。そして、力Fに基づいて、第二ピン要素4の移動方向が、図4Cの矢印Aが指す方向から、図4Cの矢印Aが指す方向に変わる。この結果、第二ピン要素4が、第一ピン要素3Cに対して所定角度傾く。
【0129】
本実施形態の場合、第二ピン要素4が、第一ピン要素3Cに対して傾くと、第二ピン要素4における上側接触位置48a及び下側接触位置48c(図9Bに黒丸で示す部分)が、第一ピン要素3に接触する。上側接触位置48aは、既述の実施形態1の上側接触位置48aと同様である。
【0130】
本実施形態の場合も、上側接触位置48a及び下側接触位置48cは、第二ピン要素4の第一軸部42に設けられている。上側接触位置48aは、第二ピン要素4の第一軸部42において、下側接触位置48cよりも上方に位置する部分である。上側接触位置48aと下側接触位置48cとは、円周方向における位相が180°ずれている。
【0131】
尚、第二ピン要素4が第一ピン要素3Cに対して傾いた状態で、第一軸部42は、上側凸部313fと接触してもよい。又、本実施形態の場合も、第二ピン要素4が第一ピン要素3Cに対して傾いた状態で、第二ピン要素4における下側接触位置48bが、第一ピン要素3Cに接触してもよい。第一ピン要素3Cと第二ピン要素4との接触位置は、第一ピン要素3C及び第二ピン要素4の形状に応じて、適宜決定されてよい。
【0132】
以上のような本実施形態の場合、第二ピン要素4が第一ピン要素3Cに対して傾いた状態において、第一ピン要素3Cと第二ピン要素4とが接触する位置を多くすることができる。このため、ICパッケージ5と検査用基板6との電気的な接続をより安定させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、種々の電気部品同士を接続するためのソケットに適用できる。
【符号の説明】
【0134】
S ソケット
1 支持部材
11 固定部
111 第一プレート
111a 貫通孔
111b 受面
112 第二プレート
112a 貫通孔
113 第三プレート
113a 貫通孔
114 第四プレート
114a 貫通孔
12 可動部
121 貫通孔
13 載置面
14 保持部
2、2B、2C コンタクトピン
21、21B、21C ピン本体
22 弾性部材
3、3B、3C 第一ピン要素
31、31B、31C 本体部
310 第一端子部
311 第一小径筒部
312 第一接続部
313、313B、313C 大径筒部
313a スリット
313b 貫通孔
313c 下側受面
313d 下側凸部
313e 下側凹部
313f 上側凸部
313g 上側凹部
314 第二接続部
314a 下側受面
315 第二小径筒部
32、32B、32C 押付部
321、321B ガイド面
33 第一曲板部
331 第一ガイド面
34 第二曲板部
341 第二ガイド面
4 第二ピン要素
41 被押付部
42 第一軸部
43 上側第一受部
431 上側第一受面
44 第二軸部
45 上側第二受部
451 上側第二受面
46 第三軸部
47 第二端子部
48a 上側接触位置
48b、48c 下側接触位置
5 ICパッケージ
6 検査用基板
7 押圧装置
71 押圧部材
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B