(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
G08G1/09 H
(21)【出願番号】P 2020039933
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】井上 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】張 春宇
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-208111(JP,A)
【文献】特開2016-051920(JP,A)
【文献】特開2019-049812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗用車と比べて背の高い車両の上部に取り付けられた、周囲を撮像する撮像部と、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記撮像部が撮像した画像に基づき、運転者の視界の一部が妨げられている対象移動体を特定することと、
前記撮像部が撮像した画像から得られる情報のうち、前記対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報を特定することと、
前記死角情報を出力することと、を実行するように構成されて
おり、
前記コントローラは、前記撮像部が取り付けられた前記背の高い車両の前方の移動体について、前記前方の移動体の更に前を走る移動体よりも背の低く前記前を走る移動体との高さの差分が所定値以上である場合に、前記前方の移動体が前記対象移動体であると特定する、制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記撮像部が取り付けられた前記背の高い車両の後方の移動体について、前記背の高い車両よりも背の低く前記背の高い車両との高さの差分が所定値以上である場合に、前記後方の移動体が前記対象移動体であると特定する、請求項
1記載の制御システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記対象移動体と、該対象移動体の運転者の視界を妨げる要因となっている移動体との離間距離に基づいて、前記対象移動体において妨げられている視界を特定し、前記死角情報を特定する、請求項1
又は2記載の制御システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記死角情報を前記対象移動体に送信する、請求項1~
3のいずれか一項記載の制御システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記死角情報を交通管制に係る外部装置に送信する、請求項1~
4のいずれか一項記載の制御システム。
【請求項6】
乗用車と比べて背の高い車両の上部に取り付けられた撮像部が撮像した画像を取得することと、
前記撮像部が撮像した画像に基づき、運転者の視界の一部が妨げられている対象移動体を特定することと、
前記撮像部が撮像した画像から得られる情報のうち、前記対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報を特定することと、
前記死角情報を出力することと、を含
み、
前記撮像部が取り付けられた前記背の高い車両の前方の移動体について、前記前方の移動体の更に前を走る移動体よりも背の低く前記前を走る移動体との高さの差分が所定値以上である場合に、前記前方の移動体が前記対象移動体であると特定する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやバス等の商用車は、乗用車と比べて背の高い車両である。このため、背の高い車両及び乗用車が混在して走行する場合、乗用車のドライバの視界が前方の背の高い車両によって遮られることが考えられる。このような課題を解決する方法として、例えば特許文献1に記載された技術では、前方を走行する車両が取得した画像を後方車両へ送信し、後方車両のウィンドウにおいて取得した画像を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような技術では、前方を走行する車両から後方車両に常に情報送信が行われるため、車車通信の負荷が高くなる。また、後方車両のドライバにとっては、視界が遮られておらず情報送信が不要である場合にも前方を走行する車両から情報送信がされてくるため、当該情報送信を煩わしく感じるおそれがある。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、視界が遮られている移動体に対して必要十分な情報提供を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御システムは、乗用車と比べて背の高い車両の上部に取り付けられた、周囲を撮像する撮像部と、コントローラと、を備え、コントローラは、撮像部が撮像した画像に基づき、運転者の視界の一部が妨げられている対象移動体を特定することと、撮像部が撮像した画像から得られる情報のうち、対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報を特定することと、死角情報を出力することと、を実行するように構成されている。
【0007】
本発明の一態様に係る制御システムでは、乗用車と比べて背の高い車両の上部に取り付けられた撮像部が撮像した周囲の画像に基づいて、運転者の視界の一部が妨げられている対象移動体が特定される。このように、乗用車と比べて背の高い車両の上部に取り付けられた撮像部における撮像画像が用いられることにより、例えば背の高い車両の周囲において他の車両(当該車両を含む他の車両)よりも背の低い移動体等が適切に検出され、運転者の視界の一部が妨げられているであろう対象移動体を適切に特定することができる。そして、本発明の一態様に係る制御システムでは、撮像部が撮像した画像から得られる情報のうち、対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報が出力される。このように、対象移動体において妨げられている視界が判断されて、妨げられている視界に係る死角情報が出力されることにより、単に撮像部が撮像した画像の情報が全て出力されるのではなく、対象移動体の運転者にとって必要な情報のみが出力されることになる。これにより、本発明の一態様に係る制御システムによれば、視界が遮られている移動体に対して必要十分な情報提供を行うことが可能になる。このことで、例えば撮像部が撮像した画像の情報が全て出力される場合と比較して、通信負荷を軽減しながら、視界が遮られている移動体の運転を適切に補助することができる。また、視界が遮られている移動体の運転者が真に必要としている情報のみを提供することが可能になるため、運転者に提供される情報が過剰になり運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制できる。
【0008】
コントローラは、撮像部が取り付けられた背の高い車両の前方の移動体について、前方の移動体の更に前を走る移動体よりも背の低く前を走る移動体との高さの差分が所定値以上である場合に、前方の移動体が対象移動体であると特定してもよい。これにより、撮像部が取り付けられている背の高い車両の前方において、更に前を走る移動体の影響により視界の一部が妨げられている移動体を対象移動体として適切に特定することができる。
【0009】
コントローラは、撮像部が取り付けられた背の高い車両の後方の移動体について、背の高い車両よりも背の低く背の高い車両との高さの差分が所定値以上である場合に、後方の移動体が対象移動体であると特定してもよい。これにより、撮像部が取り付けられている背の高い車両の後方において、該背の高い車両の影響により視界の一部が妨げられている移動体を対象移動体として適切に特定することができる。
【0010】
コントローラは、対象移動体と、該対象移動体の運転者の視界を妨げる要因となっている移動体との離間距離に基づいて、対象移動体において妨げられている視界を特定し、死角情報を特定してもよい。離間距離が考慮されることにより、妨げられている視界を適切に特定し、適切な死角情報を提供することが可能になる。
【0011】
コントローラは、死角情報を前記対象移動体に送信してもよい。これにより、対象移動体における運転を適切に補助することができる。
【0012】
コントローラは、死角情報を交通管制に係る外部装置に送信してもよい。このように死角情報が交通管制に係る外部装置に提供されることにより、視界が妨げられやすい場所及び時間等の情報を交通管制に活用することが可能になる。
【0013】
本発明の一態様に係る制御方法は、乗用車と比べて背の高い車両の上部に取り付けられた撮像部が撮像した画像を取得することと、撮像部が撮像した画像に基づき、運転者の視界の一部が妨げられている対象移動体を特定することと、撮像部が撮像した画像から得られる情報のうち、対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報を特定することと、死角情報を出力することと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、視界が遮られている移動体に対して必要十分な情報提供を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る制御システムを説明する図である。
【
図3】本実施形態に係る制御システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に係る制御システム及び制御方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
最初に、
図1を参照して、本実施形態に係る制御システム1の概要を説明する。
図1は、本実施形態に係る制御システム1を説明する図である。
【0018】
本実施形態に係る制御システム1は、視界が遮られている車両(
図1中では車両C2)を対象移動体として特定すると共に、該対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報を特定し、該死角情報を対象移動体等に出力する(情報提供する)システムである。
【0019】
制御システム1は、カメラ10(撮像部)と、コントローラ20とを備えている。カメラ10は、乗用車である車両C2と比べて背の高い車両である背の高い車両C1の上部に取り付けられている。背の高い車両とは、例えばトラック又はバス等の商用車である。カメラ10の取り付け位置は、背の高い車両C1の前方側の高い位置であればよく、荷室上、キャブ上、車室内のウィンドウ最上部等である。カメラ10は、背の高い車両C1の周囲(
図1に示される例では前方)を撮像し、撮像画像をコントローラ20に送信する。コントローラ20は、カメラ10によって撮像された画像に基づいて、上述した対象移動体を特定すると共に、該対象移動体の死角情報を特定する。そして、コントローラ20は、特定した死角情報を対象移動体である車両C2のコントローラ200等に送信する。以下では、コントローラ20は背の高い車両C1の内部に設けられているとして説明するが、コントローラ20は、カメラ10等と通信可能であれば、背の高い車両C1の外部に設けられていてもよい。
【0020】
図1に示される例では、カメラ10によって撮像された画像に基づいて、背の高い車両C1の1つ前を走行する車両C2が、視界が妨げられている対象移動体として特定されている。コントローラ20は、例えば、背の高い車両C1の高さBが該背の高い車両C1の1つ前を走る車両C3の高さAよりも所定値以上小さい場合(高さの差分が所定値以上である場合)において、車両C2を、視界が妨げられている対象移動体であると特定する。この場合、コントローラ20は、例えば、車両C2と車両C3との離間距離に基づいて、車両C2において妨げられている視界(
図1中であれば信号TL)を特定し、カメラ10によって撮像された、該妨げられている視界の画像を対象移動体である車両C2のコントローラ200等に送信する。なお、以下では、対象移動体は車両であるとして説明するが、対象移動体は自転車等の他の移動体であってもよい。
【0021】
次に、
図2を参照して、制御システム1の機能構成について説明する。
図2は、制御システム1に含まれるコントローラ20の機能ブロック図である。コントローラ20は、コンピュータであって、物理的には、RAM、ROM等のメモリ、CPU等のプロセッサ(演算回路)、通信インターフェイス、ハードディスク等の格納部を備えて構成されている。コントローラ20は、メモリに格納されるプログラムをコンピュータシステムのCPUで実行することにより機能する。
図2に示されるように、コントローラ20は、取得部21と、対象車両特定部22と、死角特定部23と、出力部24と、を備えている。
【0022】
取得部21は、カメラ10から撮像画像を取得する。取得部21は、カメラ10から送信された撮像画像を受信することにより撮像画像を取得する。取得部21は、取得した撮像画像を対象車両特定部22に出力する。
【0023】
対象車両特定部22は、撮像画像に基づき、運転者の視界の一部が遮られている対象移動体を特定する。対象車両特定部22は、例えばカメラ10が前方を撮像する場合(
図1に示される場合)においては、背の高い車両C1の前方の移動体である車両C2について、該車両C2の更に前を走る車両C3よりも背の低く該車両C3との高さの差分(車両C3の高さA-車両C2の高さB)が所定値以上である場合(
図1参照)に、背の高い車両C1が対象移動体であると特定する。このような処理においては、対象車両特定部22は、最初に、撮像画像に基づいて、カメラ10が設けられた背の高い車両C1と前方の車両C2との離間距離が所定範囲内であると共に、前方の車両C2と更にその前を走る車両C3との離間距離が所定範囲内であることを条件に、前方の車両C2の高さB及び更にその前を走る車両C3の高さAを測定する。そして、対象車両特定部22は、高さの差分(車両C3の高さA-車両C2の高さB)が所定値以上である場合には背の高い車両C1が対象移動体であると特定すると共に、該高さの差分が所定値より小さい場合(
図3参照)には背の高い車両C1が対象移動体ではない(対象移動体は存在しない)と特定する。なお、車両の高さは、予め特定されている車両全高であってもよいし、周囲の構造物の画像との比較により導出されてもよい。
【0024】
また、対象車両特定部22は、例えばカメラ10が後方を撮像する場合においては、カメラ10が設けられた背の高い車両の後方の移動体について、背の高い車両よりも背の低く商用者との高さの差分が所定値以上である場合に、該後方の移動体が対象移動体であると特定してもよい。このような処理においては、対象車両特定部22は、最初に、撮像画像に基づいて、カメラ10が設けられた背の高い車両と後方の車両との離間距離が所定範囲内であることを条件に、後方の車両の高さを測定する。そして、対象車両特定部22は、高さの差分(背の高い車両の高さ-後方の車両の高さ)が所定値以上である場合には、後方の車両が対象移動体であると特定すると共に、該高さの差分が所定値より小さい場合には後方車両が対象移動体ではない(対象移動体は存在しない)と特定する。
【0025】
死角特定部23は、撮像画像から得られる情報のうち、対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報を特定する。ここでの死角情報(妨げられている視界に係る情報)とは、例えば妨げられている視界の画像そのものである。死角特定部23は、対象移動体と、該対象移動体の運転者の視界を妨げる要因となっている移動体との離間距離に基づいて、対象移動体において妨げられている視界を特定し、該視界の画像を死角情報として特定する。例えば
図1に示される例において車両C2が対象移動体である場合、死角特定部23は、撮像画像に基づいて、車両C2と該車両の更に前を走る車両C3との離間距離SDを特定する。ここでの離間距離SDとは、例えば車両C2の運転者の目の位置から車両C3の後端部までの距離である。死角特定部23は、例えば、離間距離SDと、車両C2の運転者の目の位置と、車両C3の高さAとに基づいて、車両C2において妨げられている視界を特定する。
図1に示される例では、これらの情報に基づいて、信号TLの領域が妨げられている視界であると特定され、撮像画像のうち、該信号TLのリアルタイムの画像が死角情報として特定される。なお、上述した離間距離については、カメラ以外の検出手段(例えばミリ波レーダ等)に基づき導出されてもよいし、PCS情報から取得されてもよい。また、信号TL等の構造物の位置は予め定められている情報から取得されてもよい。
【0026】
出力部24は、死角特定部23が特定した死角情報を送信(出力)する。出力部24は、死角情報を対象移動体のコントローラ(
図1に示される例では車両C2のコントローラ200)に送信する。また、出力部24は、死角情報を交通管制に係る外部装置500に送信してもよい。この場合、出力部24は、対象移動体を特定する情報、死角情報が特定される時間帯、場所等の情報を、併せて外部装置500に送信してもよい。
【0027】
次に、
図4を参照して、制御システム1のコントローラ20が実行する対象移動体への死角情報に係る情報提供処理について説明する。
図4は、情報提供処理を示すフローチャートである。
図4の処理は、
図1に示されるシチュエーションにおいてコントローラ20が実行する処理である。
【0028】
図4に示されるように、コントローラ20は、カメラ10が撮像した撮像画像(背の高い車両C1の前方の画像)を取得する(ステップS1)。
【0029】
つづいて、コントローラ20は、取得した撮像画像に基づいて、前方の車両C2の高さBを測定すると共に(ステップS2)、前方の車両C2の更に前を走る車両C3の高さAを測定する(ステップS3)。
【0030】
つづいて、コントローラ20は、車両C3の高さAと車両C2の高さBとの差分(車両C3の高さA-車両C2の高さB)が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において所定値以上でないと判定した場合には、コントローラ20は、運転者の視界の一部が妨げられている対象移動体(対象車両)なしと判定し(ステップS5)、処理を終了する。
【0031】
一方で、ステップS4において所定値以上であると判定した場合には、コントローラ20は、車両C2が対象移動体であると判定し、車両C2の死角情報を特定する(ステップS6)。具体的には、コントローラ20は、撮像画像に基づいて、車両C2と該車両の更に前を走る車両C3との離間距離SDと、車両C2の運転者の目の位置と、車両C3の高さAとを特定し、これらの情報に基づいて、車両C2において妨げられている視界を特定する。コントローラ20は、車両C2において妨げられている視界の画像を死角情報として特定する。最後に、コントローラ20は、死角情報を車両C2のコントローラ200及び外部装置500に送信する。
【0032】
次に、本実施形態に係る制御システム1の作用効果について説明する。
【0033】
本実施形態に係る制御システム1は、乗用車と比べて背の高い車両の上部に取り付けられた、周囲を撮像するカメラ10と、コントローラ20と、を備え、コントローラ20は、カメラ10が撮像した画像に基づき、運転者の視界の一部が妨げられている対象移動体を特定することと、カメラ10が撮像した画像から得られる情報のうち、対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報を特定することと、死角情報を出力することと、を実行するように構成されている。
【0034】
本実施形態に係る制御システム1では、背の高い車両の上部に取り付けられたカメラ10が撮像した周囲の画像に基づいて、運転者の視界の一部が妨げられている対象移動体が特定される。このように、乗用車と比べて背の高い車両の上部に取り付けられたカメラ10における撮像画像が用いられることにより、例えば背の高い車両の周囲において他の車両(当該背の高い車両を含む他の車両)よりも背の低い移動体等が適切に検出され、運転者の視界の一部が妨げられているであろう対象移動体を適切に特定することができる。そして、本実施形態に係る制御システム1では、カメラ10が撮像した画像から得られる情報のうち、対象移動体において妨げられている視界に係る情報である死角情報が出力される。このように、対象移動体において妨げられている視界が判断されて、妨げられている視界に係る死角情報が出力されることにより、単にカメラ10が撮像した画像の情報が全て出力されるのではなく、対象移動体の運転者にとって必要な情報のみが出力されることになる。これにより、本実施形態に係る制御システム1によれば、視界が遮られている移動体に対して必要十分な情報提供を行うことが可能になる。このことで、例えばカメラ10が撮像した画像の情報が全て出力される場合と比較して、通信負荷を軽減しながら、視界が遮られている移動体の運転を適切に補助することができる。また、視界が遮られている移動体の運転者が真に必要としている情報のみを提供することが可能になるため、運転者に提供される情報が過剰になり運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制できる。さらに、制御システム1によれば、運転者の視界が遮られて運転者の判断・操作が遅れることを回避できる。
【0035】
コントローラ20は、カメラ10が取り付けられた背の高い車両の前方の移動体である車両C2について、前方の車両C2の更に前を走る車両C3よりも背の低く前を走る車両C3との高さの差分が所定値以上である場合に、前方の車両C2が対象移動体であると特定してもよい。これにより、カメラ10が取り付けられている背の高い車両の前方において、更に前を走る車両C3の影響により視界の一部が妨げられている車両C2を対象移動体として適切に特定することができる。
【0036】
コントローラ20は、カメラ10が取り付けられた背の高い車両の後方の移動体について、背の高い車両よりも背の低く背の高い車両との高さの差分が所定値以上である場合に、当該後方の移動体が対象移動体であると特定してもよい。これにより、カメラ10が取り付けられている背の高い車両の後方において、該背の高い車両の影響により視界の一部が妨げられている移動体を対象移動体として適切に特定することができる。
【0037】
コントローラ20は、対象移動体と、該対象移動体の運転者の視界を妨げる要因となっている移動体との離間距離に基づいて、対象移動体において妨げられている視界を特定し、死角情報を特定してもよい。離間距離が考慮されることにより、妨げられている視界を適切に特定し、適切な死角情報を提供することが可能になる。
【0038】
コントローラ20は、死角情報を対象移動体のコントローラ200に送信してもよい。これにより、対象移動体における運転を適切に補助することができる。
【0039】
コントローラ20は、死角情報を交通管制に係る外部装置500に送信してもよい。このように死角情報が交通管制に係る外部装置に提供されることにより、視界が妨げられやすい場所及び時間等の情報を交通管制に活用することが可能になる。
【符号の説明】
【0040】
1…制御システム、10…カメラ、20…コントローラ、500…外部装置、C1…背の高い車両、C2…車両(対象移動体)。