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  • 特許-熱源システム 図1
  • 特許-熱源システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】熱源システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20240318BHJP
   F24F 11/85 20180101ALI20240318BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240318BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/85
F24F5/00 101Z
F25B1/00 399Y
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020052457
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152420
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 徳臣
(72)【発明者】
【氏名】松本 勇司
(72)【発明者】
【氏名】栗原 義臣
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-287798(JP,A)
【文献】特開2003-139372(JP,A)
【文献】特開2009-030821(JP,A)
【文献】特開2009-063231(JP,A)
【文献】特開2011-058659(JP,A)
【文献】特開2015-108461(JP,A)
【文献】特開2018-119764(JP,A)
【文献】特開2021-148390(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0025369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24F 5/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転周波数の上限周波数と下限周波数が予め設定されたポンプを備え、液体を送水設定温度に加熱または冷却する複数の熱源機と、
前記複数の熱源機と、液体を循環させる配管で接続される複数の負荷側装置と、
を含む熱源システムであって、
前記複数の熱源機の動作を制御する第1制御部と、
前記複数の負荷側装置の負荷の状態を管理する第2制御部と、
前記第2制御部と直接又は間接的に接続され、前記負荷側装置の負荷温度を検出する温度センサと、
を備え、
前記第2制御部は、前記第1制御部の要求に応じて、前記温度センサが取得する前記負荷温度を取得し、当該取得した温度を前記第1制御部に送信し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から取得した前記温度に応じて、前記複数の熱源機の段数を制御すると共に前記ポンプの前記運転周波数を変更して前記配管を流れる液体の流量を制御し、前記運転周波数が前記上限周波数を超えた場合、前記送水設定温度を上げると共に前記運転周波数を下げ、前記運転周波数が前記下限周波数を下回った場合、前記送水設定温度を下げると共に前記運転周波数を上げて、前記負荷温度を目標温度となるように調整する、
熱源システム。
【請求項2】
前記負荷側装置は所定空間内の空調を調整する空調装置であって、前記温度センサは、前記空調装置の給気ダクト又は前記所定空間内の任意の位置に設けられる、
請求項1に記載の熱源システム。
【請求項3】
前記複数の負荷側装置にそれぞれ送られる前記液体の流量は、同一流量である、
請求項1又は2に記載の熱源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、熱源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の熱源機と、複数の空気熱交換器を備え、空気熱交換器が設置された室内空間の温度を調整する熱源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2015/125863号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の熱源機を用いて多数の室内空間の温度を調整する場合、一般に各室内空間に設置される1又は複数の空調装置等の負荷側装置にはそれぞれコントローラが対応付けて設けられる。そして、多数の室内空間を管理する管理装置が、各コントローラと通信を行うことにより空気熱交換器が設置されている室内空間の温度等を取得し、この取得した温度等に基づいて複数の熱源機に指示を送信することにより、熱源機から空調装置に流れる媒体の温度や流量を流量調整弁により調整し、各室内空間の温度を調整していた。このため、熱源機と、空調装置とをつなぐ配管に空調装置に流入する水の流量を調整する流量調整弁を設ける必要があった。このように流量調整弁を設けるため、流量調整弁を設けるコスト、及び流量調整弁を管理するためのコストがかかっていた。
【0005】
本発明の目的は、コストを低減することができる熱源システムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る、熱源システムは、運転周波数の上限周波数と下限周波数が予め設定されたポンプを備え、液体を送水設定温度に加熱または冷却する複数の熱源機と、前記複数の熱源機と液体を循環させる配管で接続される複数の負荷側装置と、含む。さらに、熱源システムは、前記複数の熱源機の動作を制御する第1制御部と、前記複数の負荷側装置の負荷の状態を管理する第2制御部と、前記第2制御部と直接又は間接的に接続され、前記負荷側装置の負荷温度を検出する温度センサと、を備える。前記第2制御部は、前記第1制御部の要求に応じて、前記温度センサが取得する前記負荷温度を取得し、当該取得した温度を前記第1制御部に送信する。前記第1制御部は、前記第2制御部から取得した前記温度に応じて、前記複数の熱源機の段数を制御すると共に前記ポンプの前記運転周波数を変更して前記配管を流れる液体の流量を制御し、前記運転周波数が前記上限周波数を超えた場合、前記送水設定温度を上げると共に前記運転周波数を下げ、前記運転周波数が前記下限周波数を下回った場合、前記送水設定温度を下げると共に前記運転周波数を上げて、前記負荷温度を目標温度となるように調整する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る熱源システムの構成の一例を示す図。
図2】同実施形態に係る熱源機のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
図1は、実施形態の熱源システム101の構成の一例を示す図である。なお、熱源システム101は、熱媒体の液体として水を用いる場合について説明する。
【0010】
図1に示すように、熱源システム101は、複数の熱源機102、複数の負荷側装置103(103a,103b,103c)、熱源機102と複数の負荷側装置103との間で水を循環させるための送水管104および還水管105、送水管104において熱源機102側と複数の負荷側装置103側との間に設けられている送水側ヘッダ107、還水管105において熱源機102側と複数の負荷側装置103側との間に設けられている還水側ヘッダ108、還水管105を還流する水に圧力を加えるための膨張タンク109等が設けられている。
【0011】
また、熱源システム101は、各熱源機102に設けられる一次ポンプ111と、送水側ヘッダ107に複数設けられる二次ポンプとによって水を循環させるように構成された複式ポンプ式の熱源システムとなっている。
【0012】
このような熱源システム101は、熱源機102によって所定の送水設定温度に調整した水を、送水管104を介して、複数の負荷側装置103側に送るとともに、複数の負荷側装置103側からの水が還水管105を通って熱源機102側に環流する構成となっている。
【0013】
また、白抜きの矢印W1は、熱源機102から送水管104を介して送水側ヘッダ107に流れ込む水の流れを示している。さらに、白抜きの矢印W21,W22,W23は、送水側ヘッダ107から各負荷側装置103a,103b,103cにそれぞれ流れ込む水の流れを示している。この矢印W21,W22,W23は、例えば、配管長等を考慮したうえで配管の直径を調整し、それぞれ同一流量となるように設計されている。つまり、W21=W22=W23である。このように、本実施形態の熱源システム101においては、負荷側装置103に流入する水を調整する調整弁(バルブ)を設けなくても、負荷側装置103に送水される水の流量(W21,W22,W23)は、同一となるように構成されている。そして、負荷側装置103を通過した水は、それぞれ還水側ヘッダ108に流れ込む。白抜きの矢印W3は、還水側ヘッダ108から複数の熱源機102に流れ込む水の流れを示している。
【0014】
また、複数の負荷側装置103は、例えばビルを空調する空調装置や工場に設置される洗浄装置、乾燥装置、外気を取り込む外気装置などであり、本実施形態では、複数の負荷側装置103は、室内空調装置である。なお、本実施形態では、複数の負荷側装置103は、103a,103b,103cの3台の場合で説明するが、これに限るものではなく、空調の対象となる空間に応じて適宜設定される。
【0015】
熱源機102は、要求される仕様に基づいて、また、故障した際にバックアップが可能となるように、例えば2台から十数台程度の複数台が設置されている。各熱源機102は、熱処理部110、一次ポンプ111、水熱交換器111a、熱源機102を個別に制御するユニットコントローラ112等を備えている。
【0016】
熱処理部110は、本実施形態では各熱源機102に複数個が設けられており、例えば水と冷媒との間で熱交換を行う冷凍サイクル装置であって、水熱交換器111aに供給される水を冷却および/または加熱する。なお、熱処理部110としては、いわゆる温水を生成可能なもの、いわゆる冷水を生成可能なもの、温水および冷水のいずれも生成可能なものを目的に応じて適宜採用することができる。
【0017】
一次ポンプ111は、図示しないインバータによって制御されるものであり、水熱交換器111aの入口側において還水管105に接続されている。この一次ポンプ111は、還水管105を流れる水を所定の圧力に調整した後に水熱交換器111aに送っている。これにより、水熱交換器111aに一定の圧力で水が送られるようになり、水熱交換器111aにおいて適切な熱交換を行うことが可能になる。
【0018】
ユニットコントローラ112は、熱源機102を個別に制御するものであり、水熱交換器111a内を流れる水の流量の制御等を行っている。このユニットコントローラ112は、熱源システム101全体を制御するモジュールコントローラ(第1制御部)113に接続されている。
【0019】
モジュールコントローラ113は、本実施形態では複数台設置されている熱源機102のうちの1台に内蔵されており、熱源システム101を制御するための制御指令を各熱源機102に出力するとともに、各熱源機102の運転状態を取得する。
【0020】
複数の負荷側装置103(103a,103b,103c)は、例えば体育館のようなある程度容量の大きな所定空間である空調対象空間A内に設置される。また、本実施形態では、負荷側装置103は、当該空調対象空間A内に設置される室内空調装置である。この複数の負荷側装置103を動作させ、空調対象空間A内の空気と、負荷側装置103を通過する水との熱交換を実行することにより、空調対象空間A内の空調を調整する。
【0021】
負荷側装置103(103a,103b,103c)は、それぞれ、ユニットコントローラ121(121a,121b,121c)、温度センサ122(122a,122b,122c)、給気ダクト123(123a,123b,123c)を有している。ユニットコントローラ121は、自身が設けられる負荷側装置103を制御するコントローラである。つまり、負荷側装置103の動作を制御する。また、ユニットコントローラ121には、温度センサ122が接続されており、この温度センサ122は、給気ダクト123にそれぞれ設けられる。温度センサ122は、例えば、給気温度測定用のサーミスタである。このように温度センサ122が設けられるため、ユニットコントローラ121は、自身が設けられる負荷側装置103の給気ダクト123の温度を温度センサ122によりそれぞれ検出することが可能である。
【0022】
また、負荷側装置103aには、モジュールコントローラ(第2制御部)120が設けられている。モジュールコントローラ120は、ユニットコントローラ121a,121b,121cと接続されており、ユニットコントローラ121a,121b,121cからそれぞれ情報を取得できるようになっている。本実施形態では、ユニットコントローラ121a,121b,121cから温度センサ122a,122b,122cが検出する温度(つまり、給気ダクト123の温度)を取得できるようになっている。なお、本実施形態では、温度センサ122は、モジュールコントローラ120と間接的に接続される場合で説明するが、温度センサ122が体育館(所定空間)A内の任意の位置に設置される場合には、温度センサ122は、モジュールコントローラ120と直接接続されるように構成してもよい。
【0023】
さらに、モジュールコントローラ120は、熱源機102のモジュールコントローラ113と通信回路N1により接続されている。この通信回線N1を介して、熱源機102のモジュールコントローラ113と、負荷側装置103のモジュールコントローラ120とは、互いに情報を送受信することができるようになっている。
【0024】
次に、熱源システム101で実行される処理について説明する。図2は、モジュールコントローラ113が実行する処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、所定の起動時間に空調対象空間A内の空調が所定の目標温度となるようにスケジュールがされており、当該スケジュールに沿って、モジュールコントローラ113が熱源機102を制御する場合で説明する。
【0025】
図2に示すように、モジュールコントローラ113は、熱源機102の起動時間か否かを判定する(ST101)。熱源機102の起動時間でないと判定した場合(ST101:NO)、モジュールコントローラ113は、ステップST101の判定処理を繰り返す。つまり、熱源システム101は、待機状態となる。なお、本実施形態では、熱源機102が起動時間になった場合に、本処理が実行される場合で説明するが、空調対象空間A(所定空間)内のいずれかの箇所に操作部を設け、当該操作部の操作を受付けた場合に本処理を実行するようにしてもよい。
【0026】
一方、熱源機102の起動時間であると判定した場合(ST101:YES)、モジュールコントローラ113は、熱源機102を起動する(ST102)。次に、モジュールコントローラ113は、複数の負荷側装置103をそれぞれ起動する(ST103)。このように負荷側装置103が起動すると、熱源システム101は、空調を開始する(ST104)。より詳細には、各熱源機102が動作し、熱源機102から送水設定温度に調整された水が送水管104を流れ、各負荷側装置103を通過した後、還水管105を通って熱源機102へ還水されるようになる。
【0027】
次に、熱源機102から負荷側装置103へ温度取得を指示する(ST105)。具体的には、熱源機102のモジュールコントローラ113は、通信回線N1を介して負荷側装置103aのモジュールコントローラ120へ、各負荷側装置103の温度センサ123aが検出している温度を取得するように指示を送信する。負荷側装置103aのモジュールコントローラ120が当該指示を受信すると、モジュールコントローラ120は、ユニットコントローラ121a,121b,121cから温度センサ123a,123b,123cがそれぞれ検出している給気ダクトの給気ダクト温度をそれぞれ取得する。また、モジュールコントローラ120は、このように取得した給気ダクト温度を、熱源機102のモジュールコントローラ113へ送信する。
【0028】
そして、熱源機102のモジュールコントローラ113は、負荷側装置103aのモジュールコントローラ120から各負荷側装置103の給気ダクト温度を取得する(ST106)。これにより、モジュールコントローラ113は、空調対象空間A内の所定位置に設置されている負荷側装置103の給気ダクト温度を取得することができる。
【0029】
次に、モジュールコントローラ113は、空調対象空間A内がスケジュールされている目標温度となるように、稼働する熱源機102の段数、及び流量を変更する(ST107)。より詳細には、空調対象空間A内の温度が目標温度となるように、加熱機102内の段数(稼働台数)、及び送水される水の流量が調整され、調整された水が送水管104を介して各負荷側装置103に流れる。そして、各負荷側装置103を通過した水は、還水管105を通って複数の熱源機102に還水される。この際、複数の負荷側装置103により空調対象空間A内の空気と、負荷側装置103を通過する水との熱交換が実行される。
【0030】
次に、モジュールコントローラ113は、所定時間が経過したか否かを判定する(ST108)。モジュールコントローラ113により所定時間が経過したと判定された場合(ST108:YES)、処理はステップST105の処理へ戻る。これにより、所定時間が経過する毎に、各負荷側装置103の給気ダクトの温度が取得され、その取得した温度と、目標温度とから熱源機102の動作が決定される。このような処理が行われるため、空調対象空間Aの空気の温度が徐々に目標温度に近づいていく。ここで、所定時間は、スケジュールを設定する際に、熱源システム101の管理者が任意に設定すればよい。
【0031】
一方、所定時間が経過していないと判定した場合(ST108:NO)、モジュールコントローラ113は、終了時刻か否かを判定する(ST109)。終了時刻は、スケジュールとして予め設定されており、終了時刻は、例えば、空調対象空間Aの利用時間の終了時刻である。モジュールコントローラ113が終了時刻でないと判定した場合(ST109:NO)、処理はステップST108の処理へ戻り、終了であると判定した場合(ST109:YES)、この処理を終了する。つまり、モジュールコントローラ113は、熱源機102、及び各負荷側装置103の動作を停止する処理を実行する。
【0032】
以上のように説明した熱源システム101によると、モジュールコントローラ113は、モジュールコントローラ120から取得した各負荷側装置103の温度センサ123が検出した温度に応じて、複数の熱源機102の段数(稼働する台数)及び送水管104へ送水する水の流量を制御し、空調対象空間A内の室内温度を目標温度となるように調整することができる。したがって、熱源機102内の一次ポンプ11の変流量制御により空調対象空間A内の室内温度を制御するために負荷側装置103に送水管104から流入する水を調整する流量調整弁を設ける必要がなく、熱源システム101のコストを低減することができる。
【0033】
これに伴って、熱源システム101は、熱源システム101の配管システムの負荷が減少したときに流量調整弁の開度が小さくなった時の閉塞運転を防止するためのバイパス配管(送水側ヘッダ107より上流側、かつ還水側ヘッダ108より下流側で負荷側装置103と並行に配置される配管)、バイパス配管の流量を調整するバイパス流量調整弁、負荷側装置103側に配置される差圧計、負荷側装置103側で負荷側流量を検出するための流量計、往水・還水温度センサを設ける必要がなくなり、熱源機102を含むシステム、及び複数の負荷側装置103を含むシステムを統合するための環境を整備するためのコストや施工コストを不要とすることができる。
【0034】
また、上記実施形態では、温度センサ123を負荷側装置103の給気ダクトに設置することとしたが、これに限るものではない。例えば、空調対象空間A(上記実施形態では例えば、体育館)内の所定位置(例えば、負荷側装置103)に温度センサを設置し、当該温度センサが検出する温度を熱源機102のモジュールコントローラ113が負荷側装置103aのモジュールコントローラ120から取得するようにしてもよい。
【0035】
さらに、上記実施形態では、熱源機102から負荷側装置103へ送水される送水設定温度を変更する制御については言及していないが、以下のように送水設定温度の制御を実行するようにしてもよい。すなわち、モジュールコントローラ113が一次ポンプ11を運転する運転周波数に対して周波数の閾値(上限周波数、及び下限周波数)を予め設定しておく。そして、一次ポンプ11の運転周波数が閾値を超えた場合に、モジュールコントローラ113が熱源機102の送水設定温度を変更するようにする。具体的には、モジュールコントローラ113は、上限周波数を超えた場合は、送水設定温度を上げると共に運転周波数を下げ、下限周波数を下回った場合は、送水設定温度を下げると共に運転周波数を上げる。また、上記実施形態では、体育館のようなある程度大きな空調対象空間としたが、これに限るものではない。例えば、複数に区画された小空間を合わせた空調対象空間でもよい。この場合、それぞれの小空間の熱負荷に対して対応する台数の負荷側装置を設置しても良い。
【0036】
このように構成すると、負荷の増減によって一次ポンプ11の運転周波数が上限周波数、又は下限周波数に到達した場合、送水設定温度が変化し、熱源機102の揚程の最高周波数、又は最低周波数で運転させないようにすることができる。したがって、熱源機102内の一次ポンプ11での変流量制御による温度制御ができない状態となり、熱源機102の運転範囲が狭くなってしまうという事態を回避することができる。
【0037】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
101…熱源システム、102…熱源機、103,103a,103b,103c…負荷側装置、104…送水管、105…還水管、107…送水側ヘッダ、108…還水側ヘッダ、112…ユニットコントローラ(熱源機)、113…モジュールコントローラ(熱源機)、120…モジュールコントローラ(負荷側装置)、121、121a,121b,121c…ユニットコントローラ(負荷側装置)、122、122a,122b,122c…温度センサ、123、123a,123b,123c…給気ダクト
図1
図2