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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】釣り具
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/015 20060101AFI20240318BHJP
   A01K 87/04 20060101ALI20240318BHJP
   A01K 97/12 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A01K89/015 A
A01K87/04 D
A01K97/12 Z
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020076937
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021170983
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤村 慎也
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04418489(US,A)
【文献】特開2008-237137(JP,A)
【文献】特開2003-310127(JP,A)
【文献】特開平05-161442(JP,A)
【文献】特開2010-246394(JP,A)
【文献】特開2012-005430(JP,A)
【文献】特開平11-075637(JP,A)
【文献】特開平06-174536(JP,A)
【文献】特開2020-034399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/015
A01K 87/04
A01K 97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り具であって、
釣り具本体と、
前記釣り具本体に設けられる単一の基材と、
前記基材に形成され、前記基材の一部とともにひずみゲージを構成する抵抗体と、
前記基材に形成され、前記抵抗体に電気的に接続される電気配線と、
前記基材に形成または直接実装され、前記電気配線に電気的に接続される信号処理部と、
前記信号処理部からの信号を出力する信号出力部と、
前記信号処理部に電気的に接続され、前記釣り具本体および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給される電力入力部と、を備える、釣り具。
【請求項2】
前記信号処理部は、アンプ、および、ADコンバータの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の釣り具。
【請求項3】
前記基材に形成または実装される、温度センサをさらに含む、請求項1または2に記載の釣り具。
【請求項4】
前記抵抗体は、第1抵抗体と、第2抵抗体と、を含み、
前記温度センサは、少なくとも一部が前記第1抵抗体と、前記第2抵抗体との間の領域に配置される、請求項3に記載の釣り具。
【請求項5】
前記基材の厚み方向から見て、前記温度センサの少なくとも一部は、前記抵抗体の少なくとも一部に重なるように配置される、請求項3または4に記載の釣り具。
【請求項6】
前記電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値は、前記抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低い、請求項1からのいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項7】
釣り具であって、
釣り具本体と、
前記釣り具本体に設けられる単一の基材と、
前記基材に形成され、前記基材の一部とともにひずみゲージを構成する抵抗体と、
前記基材に形成され、前記抵抗体に電気的に接続される電気配線と、
前記基材に実装され、前記電気配線に電気的に接続される信号処理部と、
前記信号処理部からの信号を出力する信号出力部と、
前記信号処理部に電気的に接続され、前記釣り具本体および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給される電力入力部と、を備え、
前記電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値は、前記抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低い、釣り具。
【請求項8】
気回路基板と、
前記ひずみゲージおよび前記電気回路基板を電気的に接続するフレキシブルプリント配線基板と、
前記フレキシブルプリント配線基板と、前記ひずみゲージおよび前記フレキシブルプリント配線基板が接続される第1接続部と、前記フレキシブルプリント配線基板および前記電気回路基板が接続される第2接続部と、の少なくともいずれか1つに設けられる温度センサと、さらに備える、請求項7に記載の釣り具。
【請求項9】
前記温度センサは、前記フレキシブルプリント配線基板に設けられ、
前記ひずみゲージは、抵抗体と、前記抵抗体に対して電気的に絶縁される第1熱伝導体と、を含み、
前記フレキシブルプリント配線基板は、前記第1熱伝導体に接続される第2熱伝導体を含み、
前記温度センサは、前記第2熱伝導体に接触または近接して配置される、請求項8に記載の釣り具。
【請求項10】
アンプおよびADコンバータの少なくとも1つをさらに含み、
前記アンプおよび前記ADコンバータの前記少なくとも1つは、前記フレキシブルプリント配線基板と、前記第1接続部と、前記第2接続部と、の少なくとも1つに設けられ、前記ひずみゲージに電気的に接続される、請求項またはに記載の釣り具。
【請求項11】
気回路基板と、
前記ひずみゲージおよび前記電気回路基板を電気的に接続するフレキシブルプリント配線基板と、
前記ひずみゲージに電気的に接続され、前記フレキシブルプリント配線基板と、前記ひずみゲージおよび前記フレキシブルプリント配線基板が接続される第1接続部と、前記フレキシブルプリント配線基板および前記電気回路基板が接続される第2接続部と、の少なくとも1つに設けられるアンプおよびADコンバータの少なくとも1つと、をさらに備え、
前記信号処理部は、前記電気回路基板に設けられ、前記アンプおよび前記ADコンバータの前記少なくともに電気的に接続され
前記電力入力部は、前記アンプおよび前記ADコンバータの前記少なくとも1つと、前記信号処理部と、のそれぞれに電気的に接続される、請求項7から10のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項12】
前記抵抗体の組成と、前記電気配線の組成とは異なる、請求項から11のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項13】
前記電気配線は、第1配線部分と、前記第1配線部分を被覆する第2配線部分を含み、
前記抵抗体と前記電気配線の前記第1配線部分とは一体成形され、
前記第2配線部分の電気抵抗率は、前記抵抗体の電気抵抗率および前記第1配線部分の電気抵抗率よりも低い、請求項6から11のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項14】
前記抵抗体は、CuNi、Ni、および、NiCrの1つを含み、
前記電気配線の少なくとも一部は、Cuを含む、請求項12または13に記載の釣り具。
【請求項15】
前記基材は、厚み方向に離間して配置される第1配置面および第2配置面を含み、
前記抵抗体は、前記第1配置面に設けられ、
前記電気配線の少なくとも一部は、前記第2配置面に設けられる、請求項1から14のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項16】
前記基材には前記第1配置面と前記第2配置面との間を接続する接続孔が形成され、
前記電気配線の一部は、前記接続孔に設けられる、請求項15に記載の釣り具。
【請求項17】
前記基材は、絶縁性および屈曲性を有する樹脂フィルムを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項18】
前記信号出力部は、前記信号処理部からの信号に対応する情報を無線送信する無線送信装置を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項19】
前記釣り具本体および前記信号処理部の少なくとも1つに設けられる演算処理装置を含み、
前記演算処理装置は、前記釣り具本体に与えられる力に関する情報を演算するように構成される、請求項1から18のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項20】
前記釣り具本体に設けられ、前記演算処理装置にリセット信号を入力する操作部をさらに含む、請求項19に記載の釣り具。
【請求項21】
前記釣り具本体の少なくとも一部の回転状態を検出する回転状態検出部をさらに含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項22】
前記釣り具本体に設けられ、発光装置および発音装置の少なくとも1つを有する報知装置をさらに含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項23】
前記釣り具本体に設けられ、少なくとも前記ひずみゲージおよび前記信号処理部が配置される密閉空間を形成するカバー部材をさらに含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項24】
前記釣り具本体は、リールおよび釣り竿の少なくとも1つを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項25】
前記ひずみゲージは、前記リールのハンドル、前記ハンドルのハンドル軸、スプール、前記スプールのスプール軸、前記リールのケース、釣り竿本体、前記釣り竿本体の端部に設けられるトップガイド、および、前記スプールにトルクを付与するように構成される電動ユニットの少なくとも1つに設けられる、請求項24に記載の釣り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、ひずみゲージを含む釣り具を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-117902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、ひずみゲージを含み、釣りに好適に用いられる釣り具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う釣り具は、釣り具であって、釣り具本体と、前記釣り具本体に設けられる単一の基材と、前記基材に形成され、前記基材の一部とともにひずみゲージを構成する抵抗体と、前記基材に形成され、前記抵抗体に電気的に接続される電気配線と、前記基材に形成または直接実装され、前記電気配線に電気的に接続される信号処理部と、前記信号処理部からの信号を出力する信号出力部と、前記信号処理部に電気的に接続され、前記釣り具本体および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給される電力入力部と、を備える。
第1側面の釣り具によれば、単一の基材に、抵抗体と、電気配線と、信号処理部と、が設けられるため、部品点数を削減できる。このため、第1側面の釣り具は、釣りに好適に用いられる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の釣り具において、前記信号処理部は、アンプ、および、ADコンバータの少なくとも1つを含む。
第2側面の釣り具によれば、単一の基材に、抵抗体と、アンプおよびADコンバータの少なくとも1つと、が設けられるため、アンプおよびADコンバータの少なくとも1つを抵抗体の近くに配置できる。このため、抵抗体から出力される信号に含まれるノイズの影響を低減できる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面の釣り具において、前記基材に形成または実装される、温度センサをさらに含む。
第3側面の釣り具によれば、単一の基材に、抵抗体と、温度センサと、が設けられるため、温度センサを抵抗体の近くに配置できる。このため、温度センサによって抵抗体の周囲の温度を精度よく検出できる。
【0008】
本開示の第3側面に従う第4側面の釣り具において、前記抵抗体は、第1抵抗体と、第2抵抗体と、を含み、前記温度センサは、少なくとも一部が前記第1抵抗体と、前記第2抵抗体との間の領域に配置される。
第4側面の釣り具によれば、温度センサを第1抵抗体と第2抵抗体との間の領域に配置できるため、温度センサによって第1抵抗体の周囲の温度および第2抵抗体の周囲の温度を精度よく検出できる。
【0009】
本開示の第5側面に従う釣り具は、釣り具であって、釣り具本体と、前記釣り具本体に設けられる単一の基材と、前記基材に形成され、前記基材の少なくとも一部とともにひずみゲージを構成する抵抗体と、前記基材に形成または実装される温度センサと、前記抵抗体に電気的に接続される信号処理部と、前記信号処理部からの信号を出力する信号出力部と、前記信号処理部に電気的に接続され、前記釣り具本体および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給される電力入力部と、を備え、前記抵抗体は、前記基材の第1部分とともに第1ひずみゲージを構成する第1抵抗体と、前記基材の第2部分とともに第2ひずみゲージを構成する第2抵抗体と、含み、前記温度センサの少なくとも一部は、前記基材のうち、前記第1部分と前記第2部分とを接続する接続部において、前記第1抵抗体と前記第2抵抗体との間の領域に配置される。
第5側面の釣り具によれば、温度センサの少なくとも一部は、基材のうち、第1部分と第2部分とを接続する接続部において、第1抵抗体と第2抵抗体との間の領域に配置されるため、第5側面の釣り具は、温度センサによって第1抵抗体の周囲の温度および第2抵抗体の周囲の温度を精度よく検出できるので、釣りに好適に用いられる。
【0010】
本開示の第3から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の釣り具において、前記基材の厚み方向から見て、前記温度センサの少なくとも一部は、前記抵抗体の少なくとも一部に重なるように配置される。
第6側面の釣り具によれば、基材の厚み方向から見て、温度センサの少なくとも一部は、抵抗体の少なくとも一部に重なるように配置されるため、温度センサを抵抗体の近くに配置できる。このため、温度センサによって抵抗体の周囲の温度を精度よく検出できる。第6側面の釣り具によれば、基材のサイズを小型化しやすい。
【0011】
本開示の第7側面に従う釣り具は、釣り具であって、釣り具本体と、前記釣り具本体に設けられる単一の基材と、前記基材に形成され、前記基材の一部とともにひずみゲージを構成する抵抗体と、前記基材に形成または実装され、前記基材の厚み方向から見て、少なくとも一部が前記抵抗体に重なるように配置される温度センサと、前記抵抗体に電気的に接続される信号処理部と、前記信号処理部からの信号を出力する信号出力部と、前記信号処理部に電気的に接続され、前記釣り具本体および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給される電力入力部と、を備える。
第7側面の釣り具によれば、基材の厚み方向から見て、温度センサの少なくとも一部は、抵抗体の少なくとも一部に重なるように配置されるため、温度センサを抵抗体の近くに配置できる。このため、温度センサによって抵抗体の周囲の温度を精度よく検出でき釣りに好適に用いられる。第7側面の釣り具によれば、基材のサイズを小型化しやすい。
【0012】
本開示の第8側面に従う釣り具は、釣り具であって、釣り具本体と、前記釣り具本体に設けられるひずみゲージと、電気回路基板と、前記ひずみゲージおよび前記電気回路基板を電気的に接続するフレキシブルプリント配線基板と、前記フレキシブルプリント配線基板と、前記ひずみゲージおよび前記フレキシブルプリント配線基板が接続される第1接続部と、前記フレキシブルプリント配線基板および前記電気回路基板が接続される第2接続部と、の少なくともいずれか1つに設けられる温度センサと、前記ひずみゲージに電気的に接続される信号処理部と、前記信号処理部からの信号を出力する信号出力部と、前記信号処理部に電気的に接続され、前記釣り具本体および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給される電力入力部と、を備える。
第8側面の釣り具によれば、温度センサが、フレキシブルプリント配線基板と、第1接続部と、第2接続部と、の少なくともいずれか1つに設けられるため、温度センサを電気回路基板に配置するよりも、抵抗体の近くに配置できる。第8側面の釣り具は、温度センサによって抵抗体の周囲の温度を検出しやすいので、釣りに好適に用いられる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の釣り具において、前記温度センサは、前記フレキシブルプリント配線基板に設けられ、前記ひずみゲージは、抵抗体と、前記抵抗体に対して電気的に絶縁される第1熱伝導体と、を含み、前記フレキシブルプリント配線基板は、前記第1熱伝導体に接続される第2熱伝導体を含み、前記温度センサは、前記第2熱伝導体に接触または近接して配置される。
第9側面の釣り具によれば、ひずみゲージの温度が第1熱伝導体および第2熱伝導体を介して伝導するので、温度センサがフレキシブルプリント配線基板に配置されていても、温度センサによって抵抗体の周囲の温度を精度よく検出できる。
【0014】
本開示の第8または第9側面に従う第10側面の釣り具において、アンプおよびADコンバータの少なくとも1つをさらに含み、前記アンプおよび前記ADコンバータの前記少なくとも1つは、前記フレキシブルプリント配線基板と、前記第1接続部と、前記第2接続部と、の少なくとも1つに設けられ、前記ひずみゲージに電気的に接続される。
第10側面の釣り具によれば、アンプおよびADコンバータの少なくとも1つが第1接続部と、第2接続部と、の少なくともいずれか1つに設けられるため、アンプおよびADコンバータの少なくとも1つを抵抗体の近くに配置できる。このため、抵抗体の出力から出力される信号に含まれるノイズの影響を低減できる。
【0015】
本開示の第11側面に従う釣り具は、釣り具であって、釣り具本体と、前記釣り具本体に設けられるひずみゲージと、電気回路基板と、前記ひずみゲージおよび前記電気回路基板を電気的に接続するフレキシブルプリント配線基板と、前記ひずみゲージに電気的に接続され、前記フレキシブルプリント配線基板と、前記ひずみゲージおよび前記フレキシブルプリント配線基板が接続される第1接続部と、前記フレキシブルプリント配線基板および前記電気回路基板が接続される第2接続部と、の少なくとも1つに設けられるアンプおよびADコンバータの少なくとも1つと、前記電気回路基板に設けられ、前記アンプおよび前記ADコンバータの前記少なくともに電気的に接続される信号処理部と、前記信号処理部からの信号を出力する信号出力部と、前記釣り具本体および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給され、前記アンプおよび前記ADコンバータの前記少なくとも1つと、前記信号処理部と、のそれぞれに電気的に接続される電力入力部と、を備える。
第11側面の釣り具によれば、アンプおよびADコンバータの少なくとも1つが第1接続部と、第2接続部と、の少なくともいずれか1つに設けられるため、アンプおよびADコンバータの少なくとも1つを抵抗体の近くに配置できる。第8側面の釣り具は、抵抗体から出力される信号に含まれるノイズの影響を低減できるので、釣りに好適に用いられる。
【0016】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第12側面の釣り具において、前記電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値は、前記抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低い。
第12側面の釣り具によれば、電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値が抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低いため、電気配線におけるひずみゲージから出力される信号の損失を抑制できる。
【0017】
本開示の第13側面に従う釣り具は、釣り具であって、釣り具本体と、前記釣り具本体に設けられる単一の基材と、前記基材に形成され、前記基材の一部とともにひずみゲージを構成する抵抗体と、前記基材に形成され、前記抵抗体に電気的に接続される電気配線と、前記基材に実装され、前記電気配線に電気的に接続される信号処理部と、前記信号処理部からの信号を出力する信号出力部と、前記信号処理部に電気的に接続され、前記釣り具本体および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給される電力入力部と、を備え、前記電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値は、前記抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低い。
第13側面の釣り具によれば、電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値が抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低いため、電気配線におけるひずみゲージからの出力される信号の損失を抑制できる。このため、第13側面の釣り具は、釣りに好適に用いられる。
【0018】
本開示の第12または第13側面に従う第14側面の釣り具において、前記抵抗体の組成と、前記電気配線の組成とは異なる。
第14側面の釣り具によれば、抵抗体の組成と、電気配線の組成とを異ならせることによって、電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値を抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低くできる。第14側面の釣り具によれば、抵抗体と、電気配線とを、それぞれ適切な材料と用いて構成できる。
【0019】
本開示の第13側面に従う第15側面の釣り具において、前記電気配線は、第1配線部分と、前記第1配線部分を被覆する第2配線部分を含み、前記抵抗体と前記電気配線の前記第1配線部分とは一体成形され、前記第2配線部分の電気抵抗率は、前記抵抗体の電気抵抗率および前記第1配線部分の電気抵抗率よりも低い。
第15側面の釣り具によれば、第2配線部分の電気抵抗率を抵抗体の電気抵抗率および第1配線部分の電気抵抗率よりも低くすることによって、電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値を抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低くできる。
【0020】
本開示の第14または第15側面に従う第16側面の釣り具において、前記抵抗体は、CuNi、Ni、および、NiCrの1つを含み、前記電気配線の少なくとも一部は、Cuを含む。
第16側面の釣り具によれば、抵抗体がCuNi、Ni、および、NiCrの1つを含み、ゲージ配線の少なくとも一部がCuを含むことによって、電気配線の単位長さあたりの電気抵抗値を抵抗体の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低くできる。
【0021】
本開示の第1から第3および第13から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の釣り具において、前記基材は、厚み方向に離間して配置される第1配置面および第2配置面を含み、前記抵抗体は、前記第1配置面に設けられ、前記電気配線の少なくとも一部は、前記第2配置面に設けられる。
第17側面の釣り具によれば、抵抗体と電気配線の少なくとも一部とを異なる材料によって形成する場合、抵抗体と、電気配線の少なくとも一部と、をそれぞれ異なる製造プロセスによって作成しやすい。
【0022】
本開示の第17側面に従う第18側面の釣り具において、前記基材には前記第1配置面と前記第2配置面との間を接続する接続孔が形成され、前記電気配線の一部は、前記接続孔に設けられる。
第18側面の釣り具によれば、電気配線を抵抗体に電気的に接続しやすい。
【0023】
本開示の第1から第7および第13から第18側面のいずれか1つに従う第19側面の釣り具において、前記基材は、絶縁性および屈曲性を有する樹脂フィルムを含む。
第19側面の釣り具によれば、基材を釣り具の形状に沿わせやすい。
【0024】
本開示の第1から第19側面のいずれか1つに従う第20側面の釣り具において、前記信号出力部は、前記信号処理部からの信号に対応する情報を無線送信する無線送信装置を含む。
第20側面の釣り具によれば、無線送信装置によって信号処理部からの信号に対する情報を外部装置に送信できる。
【0025】
本開示の第1から第20側面のいずれか1つに従う第21側面の釣り具において、前記釣り具本体および前記信号処理部の少なくとも1つに設けられる演算処理装置を含み、前記演算処理装置は、前記釣り具本体に与えられる力に関する情報を演算するように構成される。
第21側面の釣り具によれば、演算処理装置によって釣り具本体に与えられる力に関する情報を演算できる。
【0026】
本開示の第21側面に従う第22側面の釣り具において、前記釣り具本体に設けられ、前記演算処理装置にリセット信号を入力する操作部をさらに含む。
第22側面の釣り具によれば、操作部の操作によって演算処理装置にリセット信号を入力できる。
【0027】
本開示の第1から第22側面のいずれか1つに従う第23側面の釣り具において、前記釣り具本体の少なくとも一部の回転状態を検出する回転状態検出部をさらに含む。
第23側面の釣り具によれば、回転状態検出部によって釣り具本体の少なくとも一部の回転状態を検出できる。
【0028】
本開示の第1から第23側面のいずれか1つに従う第24側面の釣り具において、前記釣り具本体に設けられ、発光装置および発音装置の少なくとも1つを有する報知装置をさらに含む。
第24側面の釣り具によれば、発光装置および発音装置の少なくとも1つを有する報知装置によって、ユーザに情報を報知できる。
【0029】
本開示の第1から第24側面のいずれか1つに従う第25側面の釣り具において、前記釣り具本体に設けられ、少なくとも前記ひずみゲージおよび前記信号処理部が配置される密閉空間を形成するカバー部材をさらに含む。
第25側面の釣り具によれば、ひずみゲージおよび信号処理部に異物が付着することを、カバー部材によって抑制できる。
【0030】
本開示の第1から第25側面のいずれか1つに従う第26側面の釣り具において、前記釣り具本体は、リールおよび釣り竿の少なくとも1つを含む。
第26側面の釣り具によれば、リールおよび釣り竿の少なくとも1つを含む釣り具本体を備える釣り具が釣りに好適に用いられる。
【0031】
本開示の第26側面に従う第27側面の釣り具において、前記ひずみゲージは、前記リールのハンドル、前記ハンドルのハンドル軸、スプール、前記スプールのスプール軸、前記リールのケース、釣り竿本体、前記釣り竿本体の端部に設けられるトップガイド、および、前記スプールにトルクを付与するように構成される電動ユニットの少なくとも1つに設けられる。
第27側面の釣り具によれば、リールのハンドル、ハンドルのハンドル軸、スプール、スプールのスプール軸、リールのケース、釣り竿本体、トップガイド、および、電動ユニットの少なくとも1つのひずみを好適に検出できる。
【発明の効果】
【0032】
本開示の釣り具は、ひずみゲージを含み、釣りに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施形態の釣り具の側面図。
図2】第1実施形態の釣り具の一例の斜視図。
図3図2の釣り具の断面図。
図4図3の釣り具の一部を拡大して示す断面図。
図5図2の釣り具の電気的な構成の一部を示すブロック図。
図6図2の釣り具の電気的な構成の他の一部の電気的な構成および外部装置を示すブロック図。
図7】モジュールの第1例を示すブロック図。
図8】モジュールの第2例を示すブロック図。
図9】モジュールの第3例を示すブロック図。
図10】モジュールの第4例を示すブロック図。
図11図4のひずみゲージの構成の一例を示す模式図。
図12図4のひずみゲージと温度センサとの第1例の位置関係を示す断面図。
図13図4のひずみゲージと温度センサとの第2例の位置関係を示す断面図。
図14図4のひずみゲージと温度センサとの第3例の位置関係を示す断面図。
図15図4のひずみゲージと温度センサとの第4例の位置関係を示す断面図。
図16図4のひずみゲージと温度センサとの第5例の位置関係を示す断面図。
図17図16のひずみゲージと温度センサとの第5例の位置関係を示す平面図。
図18図4のひずみゲージとアンプとの第1例の位置関係を示す断面図。
図19図4のひずみゲージとアンプとの第2例の位置関係を示す断面図。
図20図4のひずみゲージの抵抗体およびゲージ配線の第1例の構成を示す模式図。
図21図4のひずみゲージの抵抗体およびゲージ配線の第2例の構成を示す模式図。
図22図21の抵抗体およびゲージ配線の製造方法の第1工程を示す模式図。
図23図21の抵抗体およびゲージ配線の製造方法の第2工程を示す模式図。
図24図21の抵抗体およびゲージ配線の製造方法の第3工程を示す模式図。
図25図4のひずみゲージとゲージ配線との接続方法の一例を示す断面図。
図26図4のひずみゲージのゲージ端子と配線端子との関係を示す平面図。
図27】第2実施形態の釣り具の斜視図。
図28図27の釣り具の断面図。
図29図28の釣り具の一部を拡大して示す断面図。
図30】第3実施形態の釣り具の長手方向に沿う部分断面図。
図31図30の切断面線A-Aから見た断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
図1から図26を参照して、第1実施形態の釣り具10について説明する。
釣り具10は、釣り具本体12を含む。釣り具本体12は、リール14および釣り竿16の少なくとも1つを含む。本実施形態では、釣り具本体12は、リール14を含む。
【0035】
釣り竿16は、互いに連結される複数の釣り竿本体18を含む。複数の釣り竿本体18は、それぞれ先細りテーパ形状を有する。複数の釣り竿本体18は、例えば、最も竿元側に位置する太径の元竿18A、元竿18Aの穂先側に位置する中竿18B、および、中竿18Bの穂先側に位置する穂先竿18Cを含む。各釣り竿本体18は、振出形式および並継形式等の周知の連結手法によって連結される。
【0036】
元竿18Aの外周部にはリール14を取り付けるためのリールシート20が設けられる。釣り竿本体18には、釣り竿16の軸方向に間隔を隔てて複数の釣り糸ガイド22が配置される。釣り竿本体18の端部には、トップガイド24が設けられる。トップガイド24は、穂先竿18Cの穂先側端部に取り付けられる。リール14から引き出される釣り糸Lは、釣り糸ガイド22に案内されてトップガイド24に通される。好ましくは、釣り竿本体18は、炭素繊維およびガラス繊維等の強化繊維にエポキシ樹脂等の熱硬化性合成樹脂を含浸させたプリプレグ素材を焼成して形成される。好ましくは、穂先竿18Cは、中実のソリッド素材によって形成される。
【0037】
図2から図4に示すリール14は、ベイトキャスティング用のロープロファイル形の両軸受リールである。好ましくは、リール14は、リール14のハンドル26、ハンドル26のハンドル軸28、スプール30、スプール30の回転を制動する制動ユニット47、および、リール14のケース15を含む。ケース15には、スプール回転用のハンドル26が配置される。ハンドル26のケース15側には、ドラグ調整用のスタードラグ29Aが配置される。
【0038】
ハンドル26は、アーム部26Aと、アーム部26Aの両端部のそれぞれに回転可能に装着される把手26Bとを有する。ハンドル26は、ダブルハンドル形のハンドルである。アーム部26Aは、ハンドル軸28の一端部にハンドル軸28と一体回転するように取り付けられており、ナット28Aによってハンドル軸28に取り付けられる。
【0039】
ケース15は、例えばマグネシウム合金等の軽金属を含む。ケース15は、フレーム15Aと、フレーム15Aの両側方に装着される第1側カバー15Bおよび第2側カバー15Cとを有する。ケース15の内部において、糸巻用のスプール30がスプール軸31を介してケース15に回転可能に設けられる。
【0040】
フレーム15Aには、スプール30と、サミングを行う場合の親指の当てとなるクラッチレバー42Aと、スプール30内に均一に釣り糸Lを巻くためのレベルワインド機構39Aとが配置される。フレーム15Aと第2側カバー15Cとの間には、ハンドル26からの回転力をスプール30およびレベルワインド機構39Aに伝えるためのギア機構40と、スプール30とハンドル26との連結および遮断を切り替えるクラッチ機構41と、クラッチレバー42Aの操作に応じてクラッチ機構41を制御するためのクラッチ制御機構42と、スプール30を制動するドラグ機構29と、スプール30の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構43とが配置される。フレーム15Aと第1側カバー15Bとの間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための電気制御式のスプール30の制動ユニット47が配置される。
【0041】
フレーム15Aは、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置される第1側板15Dおよび第2側板15Eと、第1側板15Dと第2側板15Eを一体で連結する複数の連結部15Fと、を有する。第1側板15Dには、円形の開口15Gが形成される。開口15Gには、ケース15を構成するスプール支持部15Hが着脱可能に固定される。スプール支持部15Hにはスプール30の一端を支持する第1軸受33Aが収納される軸受収納部15Jが設けられる。スプール支持部15Hは、開口15Gに形成される雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有する。スプール支持部15Hは、開口15Gにねじ込み固定される。
【0042】
スプール30は、軸方向の両端部にフランジ部30Aを有する。スプール30は、両フランジ部30Aの間に位置する筒状の糸巻胴部30Bを有する。第1側カバー15B側のフランジ部30Aの外周面は、糸噛みを防止するために開口15Gの内周側に僅かな隙間をあけて配置される。スプール30は、糸巻胴部30Bの内周側を貫通するスプール軸31に、例えば、セレーション結合によって回転不能に取り付けられる。
【0043】
スプール軸31は、例えば、SUS304等の非磁性金属を含む。スプール軸31は、第2側板15Eを貫通して第2側カバー15Cの外方に延びる。スプール軸31の外方に延びた一端部は、第2側カバー15Cに装着されるボス部15Kに第2軸受33Bによって回転可能に支持される。スプール軸31の他端部は第1軸受33Aを介してケース15に対して回転可能に支持される。スプール軸31の中心には、大径部31Aが形成される。大径部31Aの両端部には、第1軸受33Aおよび第2軸受33Bを介してケース15に支持される第1小径部31Bおよび第2小径部31Cが形成される。第1軸受33Aおよび第2軸受33Bは、例えば、転がり部材と内輪および外輪とがSUS404C製でその表面を改質して耐食性を向上させた転がり軸受である。
【0044】
第1側カバー15B側の第1小径部31Bと大径部31Aとの間には両者の中間の外径を有する磁石装着部31Dが形成される。磁石装着部31Dには、磁石保持部31Fが例えば、セレーション結合によって回転不能に取り付けられる。磁石保持部31Fは、例えば、押出または切削等によって加工されるSUM等の鉄材の表面に無電界ニッケルめっきを施すことによって形成される。磁石保持部31Fは、断面が正方形で中心に磁石装着部31Dが貫通する貫通孔31Gが形成される四角柱状の部材である。磁石保持部31Fの磁石装着部31Dへの取り付け方法はセレーション結合に限定されず、キー結合またはスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。
【0045】
スプール軸31の大径部31Aの第2側カバー15C側の端部は、第2側板15Eの貫通部分に配置される。スプール軸31の大径部31Aの第2側カバー15C側の端部には、クラッチ機構41を構成する係合ピン31Hが固定される。係合ピン31Hは、直径に沿って大径部31Aを貫通しており、その両端部が径方向に突出する。
【0046】
クラッチレバー42Aは、第1側板15Dと第2側板15Eの間の後部でスプール30後方に配置される。クラッチレバー42Aはクラッチ制御機構42に連結されており、第1側板15Dと第2側板15Eの間でスライドして、クラッチ機構41を連結状態と遮断状態との間で切り換える。
【0047】
ギア機構40は、ハンドル軸28と、ハンドル軸28に固定される駆動ギア40Aと、駆動ギア40Aに噛み合う筒状のピニオンギア40Bとを有する。ハンドル軸28は、第2側板15Eおよび第2側カバー15Cに回転可能に装着されており、ローラ型のワンウェイクラッチ40Gおよび爪式のワンウェイクラッチ40Hによって糸繰り出し方向の回転が禁止される。ワンウェイクラッチ40Gは、第2側カバー15Cとハンドル軸28との間に設けられる。駆動ギア40Aは、ハンドル軸28に回転可能に取り付けられており、ハンドル軸28とドラグ機構29を介して連結される。
【0048】
ピニオンギア40Bは、第2側板15Eの外方から内方に延び、中心にスプール軸31が貫通する筒状部材であり、スプール軸31に対して軸方向に移動可能にスプール軸31に取り付けられる。ピニオンギア40Bの第1側カバー15B側の端部は、軸受40Cによって第2側板15Eに対して回転可能かつ軸方向に移動可能に第2側板15Eに支持される。ピニオンギア40Bの第1側カバー15B側の端部には係合ピン31Hに噛み合う噛み合い溝40Dが形成される。噛み合い溝40Dと係合ピン31Hとによってクラッチ機構41が構成される。ピニオンギア40Bの中間部にはくびれ部40Eが、溝40Dが形成される側と反対側の端部には駆動ギア40Aに噛み合うギア部40Fがそれぞれ形成される。
【0049】
クラッチ制御機構42は、スプール軸31方向に沿って移動するクラッチヨーク42Bを有する。また、クラッチ制御機構42は、スプール30の糸巻取方向の回転に連動してクラッチ機構41をクラッチオンさせるクラッチ戻し機構を有する。
【0050】
キャスティングコントロール機構43は、スプール軸31の両端部を挟むように配置される複数の摩擦プレート43Aと、摩擦プレート43Aによるスプール軸31の挟持力を調節するための制動キャップ43Bとを有する。第1側カバー15B側の摩擦プレート43Aは、スプール支持部15H内に装着される。
【0051】
好ましくは、釣り具10は、釣り具本体12の少なくとも一部の回転状態を検出する回転状態検出部66をさらに含む。スプール制動機構32は、制動ユニット47と、回転状態検出部66と、スプール制御ユニット25Aと、モードつまみ25Bと、を有する。制動ユニット47は、スプール30とケース15とに設けられる。回転状態検出部66は、スプール30の回転速度を検出する。スプール制御ユニット25Aは、制動ユニット47を制御する。モードつまみ25Bは、制動ユニット47を制御する後述する4つの制動モードのいずれか1つを選択するために設けられる。
【0052】
制動ユニット47は、スプール30を発電によって制動する電気的に制御可能なものである。制動ユニット47は、スプール軸31に回転方向に並べて配置される複数の磁石Mを含む回転子47Aと、回転子47Aの外周側に対向して配置され直列接続される複数のコイル47Bと、直列接続される複数のコイル47Bの両端部が接続されるスイッチ素子47Cとを備える。複数の磁石Mは、例えば、4つである。複数のコイル47Bは、例えば、4つである。制動ユニット47は、磁石Mとコイル47Bとの相対回転によって発生する電流を、スイッチ素子47Cによってオンオフすることによってデューティ比を変更してスプール30を制動する。制動ユニット47で発生する制動力はスイッチ素子47Cのオン時間が長いほどに強くなる。スイッチ素子47Cのオン時間が長いほどデューティ比は大きくなる。
【0053】
回転子47Aの4つの磁石Mは、周方向に並べて配置され極性が交互に異なる。磁石Mは、磁石保持部31Fと略同等の長さを有する部材である。磁石保持部31Fの外側面は断面円弧状の面であり、内側面は平面である。磁石保持部31Fの内側面がスプール軸31の磁石保持部31Fの外周面に接触して配置される。
【0054】
糸巻胴部30Bの内周面の磁石Mに対向する位置には、スリーブ47Eが装着される。スリーブ47Eは、例えば、押出および切削等によって加工されるSUM等の鉄材の表面に無電界ニッケルめっきを施した磁性体を含む。スリーブ47Eは、糸巻胴部30Bの内周面に圧入または接着等の適宜の固定方法によって固定される。磁性体を含むスリーブ47Eを磁石Mに対向して配置すると、磁石Mからの磁束がコイル47Bを集中して通過するため、発電およびブレーキ効率が向上する。
【0055】
好ましくは、コイル47Bは、コギングを防止してスプール30の回転をスムーズにするためにコアレスタイプのものが採用される。好ましくは、コイル47Bには、ヨークが設けられていない。コイル47Bは、巻回される芯線が磁石Mに対向して磁石Mの磁場内に配置されるように略矩形に巻回される。4つのコイル47Bは直列接続されており、その両端部がスイッチ素子47Cに接続される。コイル47Bは、磁石Mの外側面との距離が略一定になるようにスプール軸31の回転軸芯に対して実質的に同芯の円弧状にスプール30の回転方向に沿って湾曲して成形される。このため、コイル47Bと回転中の磁石Mとの隙間を一定に維持できる。好ましくは、コイル47Bは、回路基板48に取り付けられる。
【0056】
スイッチ素子47Cは、例えば、高速でオンオフ制御できる並列接続される2つのFET(電界効果トランジスタ)を有する。FETの各ドレイン端子に直列接続されるコイル47Bが接続される。好ましくは、スイッチ素子47Cは、回路基板48に装着される。
【0057】
回転状態検出部66は、例えば、投光部と受光部とを有する投受光型の光電スイッチを用いる。回路基板48に対向するスプール30のフランジ部30Aの外側面には、回転方向に間隔を隔てて配置される複数のスリットを有する検出筒部30Cが一体形成される。回転状態検出部66は、検出筒部30Cを挟んで投光部と受光部とが対向して配置され、スリットを通過する光によってスプール30の回転速度を検出する。
【0058】
モードつまみ25Bは、4つの制動モードのいずれかを選択するために設けられる。4つの制動モードは、それぞれ第1制動力および第2制動力が異なる制動モードであり、Lモードと、Mモードと、Aモードと、Wモードの4つのモードを含む。Lモードは、遠投モードであり、Mモードは、中距離モードであり、Aモードは、オールラウンドモードであり、Wモードは、ウインドモードである。
【0059】
Lモードは、比重の軽い釣り糸Lを使用し、追い風の恵まれた条件においてスプーン、メタルジグ、または、バイブレーション等の空気抵抗が少なく重い仕掛け(ルアー)を超遠投するためのロングディスタンスモードである。Lモードは、キャスティング直後のエネルギーを極限まで利用し、最大回転数を可能な限り高め、さらに中盤以降をほとんどフリーにして飛距離を伸ばせるように考慮された制動モードであり、第1制動力が最も小さく設定される。
【0060】
Mモードは、重心移動式プラグ、ペンシルベイト、または、バイブレーション等空気抵抗の少ない仕掛け(プラグ)で快適に遠投できるように設定された制動モードである。Mモードは、キャスティング直後のオーバーランを抑えつつ、中盤以降を上手く補正してギリギリのところでバックラッシュさせずに飛距離を伸ばせるように設定する。比重の小さいポリアミド樹脂系の釣り糸Lを使用する場合、Mモードを基準に設定するのが好ましい。
【0061】
Aモードは、キャスティング直後のエネルギーを極限まで利用しつつ、後半の伸びを重視したブレーキ設定である。Aモードは、釣り糸Lおよび仕掛けの種類、風向きを問わず、ほとんどの状況でオールマイティーに使用可能である。とくに、比重の重いフロロカーボン系の釣り糸Lを使用する場合、Aモードを基準に設定するのが好ましい。
【0062】
Wモードは、完全な向かい風の中で仕掛けの飛行距離が落ちる状況でもバックラッシュを可及的に抑えて飛行距離を伸ばすモードであり、第2制動力が最も大きく設定される。Wモードは、飛行中に回転して減速しやすい重心固定ミノーまたはフラットサイドクランクを向かい風に向かって投げる場合に最適なように設定される。Wモードは、ピッチングまたはスキッピング等のライトキャスティングであっても低回転からしっかりとバックラッシュを防止するように設定される。
【0063】
モードつまみ25Bは、第1側カバー15Bに回動自在かつ制動モードに応じた4つの回転位相に位置決め可能に設けられる。モードつまみ25Bには図示しない磁石が設けられる。回路基板48には磁石が回動する領域に間隔を隔てて配置される2つのホール素子を含むモードつまみ位置センサ25Cが設けられる。モードつまみ位置センサ25Cは、磁石の通過による2つのホール素子のオンオフの変化、具体的には、両方オン、一方オン他方オフ、一方オフ他方オン、両方オフによって、モードつまみ25Bの回転位相を検出する。制御部49は、4つの制動モードのいずれかをモードつまみ25Bの回転位相に応じて設定する。
【0064】
スプール制御ユニット25Aは、スプール支持部15Hのスプール30のフランジ部30Aに対向する面に装着される回路基板48と、回路基板48に搭載される制御部49とを有する。
【0065】
回路基板48は、中心が円形に開口する座金形状のリング状の基板であり、軸受収納部15Jの外周側でスプール軸31と実質的に同芯に配置される。回路基板48は、スプール支持部15Hに対して回動可能にスプール支持部15Hに取り付けられる。回路基板48は、開口15Gに対して所定の位相で配置されるように位置決めされる。これにより、スプール支持部15Hを開口15Gに対して回して着脱しても回路基板48が一定の位相で配置される。
【0066】
回路基板48は、スプール支持部15Hのスプール30のフランジ部30Aと対向する面に設けられる。このため、回転子47Aの周囲に配置されるコイル47Bを回路基板48に直接取り付けることができる。このため、コイル47Bと回路基板48とを接続するリード線が不要になり、コイル47Bと回路基板48との絶縁不良を軽減できる。コイル47Bがスプール支持部15Hに取り付けられた回路基板48に装着されるため、回路基板48をスプール支持部15Hに取り付けるだけでコイル47Bもスプール支持部15Hに装着される。このため、スプール制動機構32を容易に組み立てできる。回路基板48はスプール支持部15Hに相対回転自在に装着され、かつ開口15Gに対して所定の位相に位置決めされるので、回路基板48とケース15との位相が変化しない。このため、開閉する第1側カバー15Bに装着されるモードつまみ25Bに磁石を設け、回路基板48にホール素子を設けても、ホール素子が磁石を常に同じ位置関係で検出できる。
【0067】
制御部49は、例えば演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)49AまたはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部49は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部49は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、制御部49は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部には、制御部49の処理結果が記憶されていてもよい。記憶部は、例えば不揮発性メモリ49Cおよび揮発性メモリ49Bを含む。不揮発性メモリ49Cは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリ49Bは、RAM(Random access memory)を含む。制御部49の不揮発性メモリ49Cには、制御プログラムが格納されるとともに、2つの制動処理において用いられる第1制動力に関する情報、第2制動力に関する情報、およびタイマ等のデータがそれぞれ4つの制動モードに応じて格納される。制御部49の不揮発性メモリ49Cには、各制動モード時の張力の参照張力および開始張力等の設定値等も格納される。制御部49は、I/Oインターフェイス49Dをさらに含む。I/Oインターフェイス49Dには、無線受信装置60A、報知装置68、操作部64、回転状態検出部66、およびモードつまみ位置センサ25Cが電気的に接続される。
【0068】
制御部49には、回転状態検出部66と、モードつまみ25Bの回動位置を検出するためのモードつまみ位置センサ25Cとが接続される。制御部49には、スイッチ素子47Cの各FETのゲートと、が接続される。制御部49は、回転状態検出部66およびモードつまみ位置センサ25Cからの入力と制御プログラムとによって、制動ユニット47のスイッチ素子47Cを、例えば、周期1/1000秒のPWM(パルス幅変調)信号によってオンオフ制御する。制御部49は、選択された制動モードにおいて、回転速度に応じて減少するデューティ比Dでスイッチ素子47Cをオンオフ制御する。制御部49には電源63からの電力が供給される。本実施形態では、電源63は、釣り具本体12に設けられる。電源63は、例えば、蓄電素子63Aを含む。制御部49には蓄電素子63Aからの電力が供給される。蓄電素子63Aの電力は、回転状態検出部66とモードつまみ位置センサ25Cにも供給される。蓄電素子63Aの電力は、無線受信装置60A、報知装置68および操作部64にも供給される。好ましくは、制御部49は、仕掛けが着水状態であることを検出するとともに、仕掛けが着水状態であるとその旨を報知装置68から音を発生させることによって釣り人に報知する。蓄電素子63Aは、ケース15に設けられる。蓄電素子63Aは、バッテリを含んでいてもよく、コンデンサを含んでいてもよい。
【0069】
制御部49は、ソフトウェアによって実現される機能構成として、スプール制御部と、張力検出部と、着水判断部と、着水報知部と、を備える。スプール制御部は、制動処理を行う。張力検出部は、釣り糸Lの張力を算出する。張力検出部は、例えば、スプール軸31に与えられる力に関する情報に応じて、釣り糸Lの張力を算出する。着水判断部は、機能構成として非加速状態判断部と、非加速時間判断部と、速度判断部と、を有する。非加速状態判断部は、スプール30が加速していない、非加速状態を判断する。非加速状態は、等速回転状態および減速回転状態を含む。この判断は、回転状態検出部66の時系列的な出力によって行われる。非加速時間判断部は、非加速状態が所定時間継続するか否かを判断する。所定時間は、例えば、0.05秒から0.5秒である。速度判断部は、スプール30の回転速度が着水状態の判断基準となる極低速の終了速度になったか否かを判断する。着水報知部は、着水判断部を仕掛けが着水状態であることを判断すると、仕掛けが着水状態であると判断したことを、デューティ制御の周波数を可聴領域の周波数にしてデューティによる音、すなわちデューティ制御音を鳴動させることによって報知する。
【0070】
本実施形態では、蓄電素子63Aは、例えば、電解コンデンサを含む。蓄電素子63Aは、整流回路47Dに接続される。整流回路47Dは、スイッチ素子47Cに接続される。整流回路47Dは、回転子47Aとコイル47Bとを有し発電機として機能する制動ユニット47からの交流電流を直流に変換し、かつ電圧を安定化して蓄電素子63Aに供給する。本実施形態では、電源63は、制動ユニット47および整流回路47Dをさらに含む。
【0071】
好ましくは、整流回路47Dおよび蓄電素子63Aは回路基板48に搭載される。この回路基板48に搭載されるコイル47Bを含む各部は、合成樹脂絶縁体製の絶縁被膜48Aによって覆われる。絶縁被膜48Aは、鍔付き円筒状に形成される。絶縁被膜48Aは、コイル47Bと回路基板48と回路基板48に装着される電気部品と、を覆っている。回転状態検出部66の投受光部分は、絶縁被膜48Aから露出する。
【0072】
キャスティングを行う場合、釣り人は、クラッチレバー42Aを下方に押圧してクラッチ機構41をクラッチオフ状態にする。クラッチオフ状態においては、スプール30が自由回転状態になり、キャスティングを行うと仕掛けの重さによって釣り糸Lがスプール30から勢いよく繰り出される。キャスティングによってスプール30が回転すると、磁石Mがコイル47Bの内周側を回転して、スイッチ素子47Cをオンするとコイル47Bに電流が流れスプール30が制動される。キャスティング時にはスプール30の回転速度は急激に速くなり、ピークを越えると徐々に減速する。
【0073】
仕掛けが着水状態になると、デューティ制御音が鳴動し、釣り人は、仕掛けが着水したことを判断できる。このため、釣り人は、ハンドル26を糸巻取方向に回転させてクラッチ戻し機構によってクラッチ機構41をクラッチオン状態にし、ケース15をパーミングしてアタリを待つ。
【0074】
キャスティング時の制御部49の概略のブレーキ制御動作について説明する。
キャスティングが開始され、制御部49に電源63から電力が供給されると、モードつまみ25Bの位置に応じて、制動モードに応じた後述する第1制動処理の第1初期制動力と、第2制動処理の第2初期制動力と、第2制動力の倍率MP(例えば、1.2倍から2.5倍の範囲)と、第2制動力の減衰率(例えば0.2から0.6)と、補正制動時のタイマのタイマ値(例えば、0.05秒から0.5秒の範囲)と、が制御部49にセットされる。また、検出された張力に対する比較対照としての参照張力および制動開始時点を決定する開始張力の少なくとも1つも制御部49にセットされる。第2制動力の倍率MPは、例えば1.5である。
【0075】
張力は、スプール軸31に設けられるひずみゲージ52の出力に応じて算出される。
キャスティング開始から徐々に降下する張力が所定値(開始張力Fs)以下になったときに大きな制動力を作用させると、回転速度のピークの手前で仕掛けの姿勢が反転して安定して飛行する。このため、制御部49は、回転速度のピークの手前で制動して安定した姿勢で仕掛けを飛行させるために以下の制御を行う。すなわち、制御部49は、キャスティング当初に短時間にわたり強い制動力を作用させて仕掛けを反転させる第1制動処理を行い、続いて、徐々に弱くなる第1制動力と第2制動力とを組み合わせて徐々に制動していき、仕掛けの着水を判断するまでスプール30を制動する。第1制動力は、制動開始時の制動力から回転速度の二乗に比例して減少する。第2制動力は、第1制動力に所定の倍率MPを掛けた初期値からセットされた減衰率で減少する。
【0076】
スプール制御部は、第1制動処理と第2制動処理との2つの制動処理を行う。スプール制御部は、第2制動処理では、少なくとも一部が時間とともに減少するように設定された参照張力と検出された検出張力とを比較し、検出張力が参照張力以下になると、第2制動力でスプール30を制動する。第2制動力は、第1制動力を基準にして増加させたものであり、減衰率に従って減衰する。具体的には、検出張力が参照張力以下になると、タイマ(N:1,2,3・・・)がその都度作動し、タイマがタイムアップすると、スプール制御部は、そのときの第1制動力を基準にして増加した第2制動力によって制動する。なお、タイムアップ前に検出張力が参照張力を超えるとタイマはリセットされ、第2制動力について、第1制動力を基準にして増加させる処理は行われない。すなわち、張力は、それまでの減衰率にしたがって減衰する。
【0077】
スプール制御部は、仕掛けの着水を判断する際に、制動力を瞬時増加させて、制動解除後のスプール30の回転速度によって仕掛けが着水状態であるか否かを判断する。このため、電気的に制御可能な両軸受リール14の制動ユニット47において、スプール制御部は、仕掛けの着水を精度良く判断できるようになる。
【0078】
スプール制御部は、仕掛けが着水状態であると判断すると、デューティ制御音を鳴動させて、その旨を釣り人に報知できるので、夜釣り等で仕掛けの着水を目視できなくても、釣り人が仕掛けの着水を認識できる。このため、釣り人は、着水後のサミング操作およびクラッチオン操作をタイミングよく行える。
【0079】
制御部49は、好ましくは、無線受信装置60Aと接続される。無線送信装置60は、好ましくは、無線送信装置60と無線通信するように構成される。無線受信装置60Aは、無線送信装置60から出力されるスプール軸31に与えられる力に関する情報を受信して、制御部49に送信する。制御部49は、無線受信装置60Aによって受信するスプール軸31に与えられる力に関する情報に応じて、張力を算出する。
【0080】
釣り具10は、釣り具本体12と、ひずみゲージ52と、信号処理部54と、信号出力部56と、電力入力部58と、を備える。信号処理部54は、ひずみゲージ52に電気的に接続される。信号出力部56は、信号処理部54からの信号を出力する。電力入力部58は、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給される。本実施形態では、ひずみゲージ52はスプール軸31の外周面に設けられる。ひずみゲージ52は、スプール軸31の外周面に接着して固定される。
【0081】
好ましくは、釣り具10は、釣り具本体12に設けられ、密閉空間12Aを形成するカバー部材50をさらに含む。密閉空間12Aは、カバー部材50と、釣り具本体12とに囲まれる空間である。密閉空間12Aには、少なくともひずみゲージ52および信号処理部54が配置される。好ましくは、ひずみゲージ52と、信号処理部54の少なくとも一部と、電力入力部58とは、密閉空間12Aに配置される。信号出力部56は、密閉空間12Aの外部に配置されてもよく、密閉空間12Aに配置されてもよい。カバー部材50は、例えば、釣り具本体12に接着される。カバー部材50は、釣り具本体12に着脱可能に取り付けられてもよい。カバー部材50は、例えば樹脂によって形成される。
【0082】
本実施形態では、電源63は、釣り具本体12に設けられる。本実施形態では、電源63の一部が密閉空間12Aに配置される。電源63の一部または全部が、釣り具本体12の外部に配置されてもよい。電源63の配置場所については、特に限定されない。
【0083】
本実施形態では、電源63は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、例えば、充電池を含む。バッテリ素子は、充電池ではなく、コイン電池等の放電のみを行う電池を含んでいてもよい。本実施形態では、電源63は、コイン電池63Bを含む。好ましくは、密閉空間12Aに、1または複数のバッテリ素子が配置される。本実施形態では、密閉空間12Aにコイン電池63Bが配置される。電源63は、電力入力部58を介してひずみゲージ52および信号処理部54に電力を供給するように構成される。本実施形態では、密閉空間12Aに配置される電源63の一部が、電力入力部58を介してひずみゲージ52および信号処理部54に電力を供給するように構成される。密閉空間12Aに電源63の一部が配置されない場合、蓄電素子63Aから、例えばスリップリングを介して、電力入力部58に電力が供給されてもよい。密閉空間12Aに配置される電源63の一部は、好ましくは、釣り具本体12に着脱可能に設けられる。電力入力部58は、電気端子、電気ケーブル、および、電気コネクタの少なくとも1つを含む。電源63は、例えば、電力入力部58に電気ケーブル63aを介して接続され、信号処理部54に電力を供給する。電気ケーブル63aは、フレキシブル配線基板に置き替えられてもよい。
【0084】
好ましくは、釣り具10は、アンプ54AおよびAD(アナログ/デジタル)コンバータ54Bの少なくとも1つをさらに含む。好ましくは、信号処理部54は、アンプ54A、および、ADコンバータ54Bの少なくとも1つを含む。好ましくは、釣り具10は、アンプ54AおよびADコンバータ54Bの両方を含む。アンプ54Aは、ひずみゲージ52と電気的に接続され、ひずみゲージ52から出力される信号を増幅するように構成される。ADコンバータ54Bは、ひずみゲージ52と電気的に接続され、ひずみゲージ52から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成される。好ましくは、ひずみゲージ52の出力される信号がアンプ54Aによって増幅された後、ADコンバータ54Bに入力される。好ましくは、ADコンバータ54Bによって生成されるデジタル信号は、演算処理装置62に出力される。
【0085】
信号出力部56は、好ましくは、電気端子56A、電気ケーブル、および、電気コネクタの少なくとも1つを含む。好ましくは、信号出力部56は、信号処理部54からの信号に対応する情報を無線送信する無線送信装置60を含む。無線送信装置60は、無線受信装置60Aと無線通信するように構成される。無線送信装置60は、外部装置100と無線通信するように構成されてもよい。無線送信装置60は、例えば、電気端子56Aと、電気ケーブルを介して電気的に接続される。後述する単一の基材70に無線送信装置60を設ける場合は、無線送信装置60は、電気端子56Aおよび電気ケーブルを介さないで、単一の基材70に形成される電気配線に直接接続されてもよい。無線送信装置60は、例えば、Bluetooth(登録商標)、ANT+(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、および、赤外線通信の少なくとも1つの通信方式を用いて通信するように構成される。無線送信装置60は、独自の通信方式によって情報を送信してもよい。無線送信装置60は、密閉空間12Aに配置されてもよい。無線送信装置60および無線受信装置60Aが省略される場合、電気端子56Aは、例えばスリップリングを介して制御部49に電気的に接続されてもよい。
【0086】
外部装置100は、好ましくは、ディスプレイを含む。外部装置100は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、および、パーソナルコンピュータの少なくとも1つを含む。信号出力部56は、電気ケーブルによって外部装置100と接続され、外部装置100と通信するように構成されていてもよい。信号出力部56が電気ケーブルによって外部装置100と接続される場合、信号出力部56は、例えば、コネクタを含む。外部装置100は、無線送信装置60から送信される情報を表示するように構成される。
【0087】
好ましくは、釣り具10は、釣り具本体12および信号処理部54の少なくとも1つに設けられる演算処理装置62を含む。好ましくは、演算処理装置62は、釣り具本体12に与えられる力に関する情報を演算するように構成される。演算処理装置62は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置62は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。演算処理装置62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、演算処理装置62は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部には、演算処理装置62の処理結果が記憶されていてもよい。記憶部は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。信号出力部56は、記憶部に記憶される演算処理装置62の処理結果を、出力するように構成されていてもよい。
【0088】
演算処理装置62は、例えば、ひずみゲージ52の出力に応じて、釣り具本体12に与えられる力を演算する。本実施形態では、本実施形態では、演算処理装置62は、スプール軸31に与えられる力に関する情報を演算するように構成される。演算処理装置62は、ひずみゲージ52の出力に応じて、釣り糸Lの張力を演算してもよい。この場合、制御部49に設けられる張力検出部を省略して、制御部49は、無線受信装置60Aを介して、無線送信装置60から出力される釣り糸Lの張力に関する情報を受信するように構成される。好ましくは、ひずみゲージ52から出力される信号は、アンプ54Aによって増幅され、ADコンバータ54Bによってデジタル信号に変換された後、演算処理装置62に入力される。演算処理装置62によって演算される力の情報は、例えば、外部装置100、釣り具本体12、および、釣り具10とは異なる他の釣り具において用いられる。例えば、外部装置100がディスプレイを含む場合、釣り糸Lの張力に関する情報がディスプレイに表示される。演算処理装置62は、制御部49を含んでいてもよい。この場合、制御部49が設けられる回路基板48は、演算処理装置62が設けられる基材70と一体であってもよい。
【0089】
好ましくは、釣り具10は、釣り具本体12に設けられ、演算処理装置62にリセット信号を入力する操作部64をさらに含む。操作部64が釣り具本体12に設けられる場合、無線受信装置60Aおよび無線送信装置60は、無線通信機能を有する。操作部64は、例えば、スイッチを含む。操作部64は、ユーザが操作可能な位置に配置される。操作部64は、例えば、ケース15の外表面に設けられる。操作部64が操作されると、無線受信装置60Aおよび無線送信装置60を介して、演算処理装置62に予め定める指令が入力される。演算処理装置62は、操作部64に第1操作が行われる場合、例えば、演算処理装置62の記憶部に記憶される情報の一部を削除するまたは初期値にする。演算処理装置62の記憶部に記憶される情報は、例えば、ひずみゲージ52の出力に応じて演算処理装置62が演算した値であってもよく、演算処理装置62がひずみゲージ52の出力を用いて演算する場合に用いられる補正値であってもよく、無線送信装置60に関する情報であってもよい。
【0090】
回転状態検出部66は、スプール30の回転速度に応じた信号を出力する。回転状態検出部66は、好ましくは、演算処理装置62と電気的に接続される。回転状態検出部66から出力される信号は、好ましくは、演算処理装置62に入力される。回転状態検出部66は、信号処理部54に含まれていてもよい。回転状態検出部66は、光電スイッチまたは磁気センサを含む。回転状態検出部66が光電スイッチを含む場合、例えば、投光部と受光部とを有する投受光型の光電スイッチを含む。スプール30には、スプール30の回転方向に間隔を隔てて配置される複数のスリットが形成される。光電スイッチは、投光部と受光部との間をスリットが通過するように対向して配置され、スリットを通過する光に応じて信号を出力する。回転状態検出部66が磁気センサを含む場合、スプール30には、スプール30の回転方向に磁界の強度が変化する環状の磁石、または、回転方向に間隔を隔てて配置される複数の磁石が設けられる。磁気センサは、磁石の磁界の変化に応じた信号を出力する。
【0091】
好ましくは、釣り具10は、釣り具本体12に設けられる報知装置68をさらに含む。報知装置68は、発光装置および発音装置の少なくとも1つを有する。発光装置は、例えば、LED(light emitting diode)を含む。発光装置は、釣り具10のうちのユーザが視認可能な位置に設けられる。例えば、報知装置68は、ケース15の外表面に配置される。発音装置は、例えば、スピーカまたはブザーを含む。例えば、演算処理装置62は、演算処理装置62によって処理される情報に応じて、報知装置68から報知するように報知装置68を制御してもよい。例えば、演算処理装置62は、電源63のバッテリレベルに関する情報に応じて、報知装置68から報知するように報知装置68を制御してもよい。
【0092】
図11に示されるように、ひずみゲージ52は、基材70と、基材70に設けられる抵抗体72と、を含む。好ましくは、抵抗体72は、複数の抵抗体72を含む。好ましくは、複数の抵抗体72の少なくとも一部は、電気的に接続される。好ましくは、複数の抵抗体72のうちの一部と、複数の抵抗体72のうちの他の一部とは、互いに異なる方向のひずみを検出するように配置される。図11では、12個のひずみゲージ52を構成するように、12個の抵抗体72が基材70に設けられる。ひずみゲージ52がスプール30のスプール軸31に設けられる場合、好ましくは、回転軸心に対して傾斜する方向におけるスプール軸31の伸縮を検出するように2個または4個の抵抗体72が設配置される。ひずみゲージ52がスプール30のスプール軸31に設けられる場合、好ましくは、回転軸心に対して傾斜する方向にグリッド長が沿う2個または4個の抵抗体72が配置される。抵抗体72の数および配置については、測定対象に応じて適宜変更可能であるため、特に限定されない。
【0093】
好ましくは、ひずみゲージ52は、基材70に設けられ、抵抗体72に電気的に接続されるゲージ配線74を含む。好ましくは、抵抗体72は、第1抵抗体72Aと第2抵抗体72Bとを含む。ゲージ配線74は、第1抵抗体72Aと第2抵抗体72Bとを電気的に接続する。抵抗体72が3つ以上の抵抗体72を含む場合、第1抵抗体72Aは、3つ以上の抵抗体72のうちの任意の1つであり、第2抵抗体72Bは、3つ以上の抵抗体72のうちの第1抵抗体72Aとは異なる任意の1つである。好ましくは、複数の抵抗体72の少なくとも一部は、ブリッジ回路を形成する。ブリッジ回路は、ハーフブリッジ回路であってもよく、フルブリッジ回路であってもよい。基材70は、絶縁性および屈曲性を有する樹脂フィルムを含む。好ましくは、樹脂フィルムは、ポリイミドフィルムである。
【0094】
好ましくは、ひずみゲージ52は、基材70に設けられ、かつ、抵抗体72に電気的に接続されるゲージ端子76をさらに含む。ゲージ配線74は、抵抗体72とゲージ端子76とを電気的に接続する。ゲージ端子76は、例えば、パッドである。
【0095】
釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられる単一の基材70と、基材70に形成され、基材70の一部とともにひずみゲージ52を構成する抵抗体72と、電気配線75と、信号処理部54と、信号出力部56と、電力入力部58と、を備える。電気配線75は、基材70に形成され、抵抗体72に電気的に接続される。信号処理部54は、基材70に形成または直接実装され、電気配線75に電気的に接続されてもよい。信号処理部54が、基材70に形成または直接実装される場合、ゲージ端子76は省略されてもよい。好ましくは、釣り具10は、基材70に形成または実装される、温度センサ80をさらに含む。
【0096】
図7から図10に示されるように、ひずみゲージ52と、信号処理部54の少なくとも一部と、電力入力部58と、は、単一のモジュール59に含まれていてもよい。好ましくは、信号出力部56の少なくとも一部は、モジュール59に含まれる。信号出力部56が無線送信装置60を含む場合、無線送信装置60は、モジュール59に含まれてもよく、モジュール59に含まれていなくてもよい。無線送信装置60は、基材70に直接実装されていてもよい。無線送信装置60は、信号処理回路を含み、アンテナをさらに含んでいてもよい。
【0097】
図7に示すモジュール59Aでは、基材70にひずみゲージ52が形成され、かつ、アンプ54Aが直接実装される。モジュール59Aでは、基材70に、電力入力部58が形成または実装され、かつ、信号出力部56が形成または実装される。ADコンバータ54Bは、基材70には実装されない。ADコンバータ54Bは、例えば、基材70に電気的に接続されるフレキシブルプリント配線基板に設けられてもよく、基材70にフレキシブルプリント配線基板を介して電気的に接続される電気回路基板に設けられてもよい。演算処理装置62は、基材70には実装されない。演算処理装置62は、基材70に電気的に接続されるフレキシブルプリント配線基板に設けられてもよく、基材70にフレキシブルプリント配線基板を介して電気的に接続される電気回路基板に設けられてもよい。
【0098】
図8に示すモジュール59Bでは、基材70にひずみゲージ52が形成され、かつ、アンプ54AとADコンバータ54Bとが直接実装される。モジュール59Bでは、基材70に、電力入力部58が形成または実装され、かつ、信号出力部56が形成または実装される。演算処理装置62は、基材70には実装されない。演算処理装置62は、基材70に電気的に接続されるフレキシブルプリント配線基板に設けられてもよく、基材70にフレキシブルプリント配線基板を介して電気的に接続される電子回路基板に設けられてもよい。
【0099】
図9に示すモジュール59Cでは、基材70にひずみゲージ52が形成され、かつ、アンプ54A、ADコンバータ54Bおよび演算処理装置62が基材70に直接実装される。モジュール59Bでは、基材70に、電力入力部58が形成または実装され、かつ、信号出力部56が形成または実装される。モジュール59Cにおいて、信号出力部56が無線送信装置60を含んでいてもよい。
【0100】
図10に示されるように、ひずみゲージ52と、電力入力部58と、温度センサ80が、単一のモジュール59に含まれていてもよい。図10に示すモジュール59Dでは、基材70にひずみゲージ52が形成され、かつ、基材70に温度センサ80が形成または実装される。モジュール59Dでは、基材70に、電力入力部58が形成または実装される。モジュール59A、59B、59Cにおいて、温度センサ80を基材70に形成または実装してもよい。モジュール59Aにおいて、アンプ54AをADコンバータ54Bに変更してもよい。図7から図10に示す構成は、モジュール59の一例に対応する。
【0101】
基材70の少なくとも一部は、釣り具本体12に接着材によって接着される。基材70のうち、少なくともひずみゲージ52を構成する部分は、釣り具本体12に接着材によって接着される。本実施形態では、基材70のうち、少なくともひずみゲージ52を構成する部分は、例えば、スプール軸31の大径部31Aの外表面に接着される。基材70のうち、少なくともひずみゲージ52を構成する部分は、スプール30のスプール軸31まわりの外周面に接着されてもよく、スプール30のスプール軸31まわりの外周部と、スプール軸31とを接続する部分に接着されてもよい。
【0102】
密閉空間12Aは、スプール軸31の外周面と、カバー部材50とによって形成される。カバー部材50は、スプール軸31に設けられるモジュール59を覆うように配置される。カバー部材50は、スプール軸31に固定され、スプール軸31と一体に回転する。好ましくは、モジュール59の少なくとも一部は、密閉空間12Aに配置される。好ましくは、モジュール59の全てが密閉空間12Aに配置される。密閉空間12Aは、例えば、フレーム15Aに囲まれる空間につながっていて、完全に密閉されていなくてもよい。
【0103】
温度センサ80は、熱電対、サーミスタ、測温抵抗体、および、リニア抵抗体の少なくとも1つを含む。好ましくは、演算処理装置62は、温度センサ80の出力に応じて、ひずみゲージ52から出力される信号、および、ひずみゲージ52から出力される信号に関する情報の少なくとも1つを補正する。好ましくは、温度センサ80から出力される信号は、ADコンバータによってデジタル信号に変換されて演算処理装置62に入力される。
【0104】
好ましくは、温度センサ80は、釣り具10において、以下に説明する第1配置例A1、第2配置例A2、第3配置例A3、および、第4配置例A4のうちの1つの位置に配置される。温度センサ80は、複数の温度センサ80を含んでいてもよい。温度センサ80が複数の温度センサ80を含む場合、各温度センサ80は、釣り具10において第1配置例A1から第4配置例A4のうちの異なる位置に配置されてもよい。
【0105】
図11に示されるように、第1配置例A1においては、抵抗体72は、第1抵抗体72Aと、第2抵抗体72Bと、を含み、温度センサ80は、少なくとも一部が第1抵抗体72Aと、第2抵抗体72Bとの間の領域R1に配置される。
【0106】
図12および図13に示されるように、第2配置例A2においては、基材70の厚み方向から見て、温度センサ80の少なくとも一部は、抵抗体72の少なくとも一部に重なるように配置される。
【0107】
図12に示す第2配置例A2では、基材70は、第1層71Aを含む。第1層71Aは、厚み方向において離間して配置される第1配置面71Aaおよび第2配置面71Abを有する。第1配置面71Aaに抵抗体72が配置され、第2配置面71Abに温度センサ80が配置される。図12に示す第2配置例A2において、好ましくは、基材70は、第2層71Bおよび第3層71Cを含む。第2層71Bは、接着層82Aを介して抵抗体72を覆うように第1層71Aの第1配置面71Aaに配置される。第3層71Cは、接着層82Bを介して温度センサ80を覆うように第1層71Aの第2配置面71Abに配置される。好ましくは、第1層71A、第2層71B、および、第3層71Cは、絶縁性および屈曲性を有する樹脂フィルムを含む。好ましくは、樹脂フィルムは、ポリイミドフィルムである。接着層82Aおよび接着層82Bは、例えば、エポキシ樹脂を含む。接着層82Aおよび接着層82Bを含んで基材70としてもよい。図12に示す第2配置例A2では、第2層71Bが釣り具本体12に接着されてもよく、第3層71Cが釣り具本体12に接着されてもよい。
【0108】
図13に示す第2配置例A2では、基材70は、第1層71Dおよび第2層71Eを含む。第1層71Dは、第1層71Dの厚み方向において離間して配置される第1配置面71Daおよび第2配置面71Dbを有する。第1配置面71Daに抵抗体72が配置され、抵抗体72を覆うように第1層71Dの第1配置面71Daに接着層82Cを介して第2層71Eが配置される。第2層71Eの厚み方向において離間して配置される第1配置面71Eaおよび第2配置面71Ebを有する。第2層71Eの第2配置面71Ebは、第1層71Dの第1配置面71Daに対向する。第2層71Eの第1配置面71Eaに温度センサ80が配置される。図13に示す第2配置例A2において、好ましくは、基材70は、第3層71Fを含む。第3層71Fは、接着層82Dを介して温度センサ80を覆うように第2層71Eの第1配置面71Eaに配置される。図11に示す第2配置例A2では、好ましくは、第1層71Dが釣り具本体12に接着される。図11に示す第2配置例A2において、温度センサ80が第1層71Dに配置され、抵抗体72が第2層71Eに配置されてもよい。好ましくは、第1層71D、第2層71E、および、第3層71Fは、絶縁性および屈曲性を有する樹脂フィルムを含む。好ましくは、樹脂フィルムは、ポリイミドフィルムである。接着層82Cおよび接着層82Dは、例えば、エポキシ樹脂を含む。接着層82Cおよび接着層82Dを含んで基材70としてもよい。
【0109】
信号処理部54の少なくとも一部が基材70に形成または実装されない場合、または、演算処理装置62が基材70に実装されない場合、釣り具10は、電気回路基板84と、ひずみゲージ52および電気回路基板84を電気的に接続するフレキシブルプリント配線基板86と、を備えていてもよい。図14および図15に示す第3配置例A3においては、ひずみゲージ52の基材70と、フレキシブルプリント配線基板86および電気回路基板84と、が別体に形成される。フレキシブルプリント配線基板86の基材70は、好ましくは、いずれも絶縁性および屈曲性を有する樹脂フィルムを含む。好ましくは、樹脂フィルムは、ポリイミドフィルムである。電気回路基板84は、一般的なプリント配線基板を含む。電気回路基板84には、電子部品84Aが設けられる。電子部品84Aは、例えば、信号処理部54の少なくとも一部、演算処理装置62、電力入力部58、および、信号出力部56の少なくとも1つを含む。フレキシブルプリント配線基板86には、電子部品86Aが設けられてもよい。電子部品86Aは、例えば、信号処理部54の少なくとも一部を含んでいてもよい。フレキシブルプリント配線基板86には、電気配線78Aが形成される。電気配線78Aは、例えば、信号の電送方向における両端部のみがフレキシブルプリント配線基板86の外部に露出するよう形成される。
【0110】
例えば、図17に示すように、釣り具10は、ファスナ部材79をさらに含んでいてもよい。ファスナ部材79は、ゲージ端子76と電気配線78Aとが密着するように、ひずみゲージ52とフレキシブルプリント配線基板78とを連結する。ファスナ部材79は、例えば、ねじ、ボルト、および、クランプの少なくとも1つを含む。ファスナ部材79は、例えば、予め定める方向においてゲージ端子76の両側に配置される。ファスナ部材79は、例えば、板状の部材と釣り具本体12との間に、ゲージ端子76と電気配線78Aの一部とが挟まれた状態において、板状の部材を釣り具本体12に固定するように構成されていてもよい。
【0111】
温度センサ80は、フレキシブルプリント配線基板86と、ひずみゲージ52およびフレキシブルプリント配線基板86が接続される第1接続部88Aと、フレキシブルプリント配線基板86および電気回路基板84が接続される第2接続部88Bと、の少なくともいずれか1つに設けられてもよい。第1接続部88Aと、第2接続部88Bとは、例えば、はんだ、または、ACF(Anisotropic Conductive Film)接続構造を含む。
【0112】
図14に示す第3配置例A3では、温度センサ80は、第1接続部88Aに設けられる。第1接続部88Aは、例えば、はんだを含んで構成される。第1接続部88Aは、ひずみゲージ52の抵抗体72と、フレキシブルプリント配線基板86に設けられる電気配線78Aとを電気的に接続する。第1接続部88Aは、ゲージ端子76と、電気配線78Aとの間に配置される。図14に示す第3配置例A3では、温度センサ80は、電気回路基板84よりも抵抗体72に近い位置に設けられる。温度センサ80は、第1接続部88Aにおいて、ひずみゲージ52の基材70に実装されてもよく、フレキシブルプリント配線基板86に実装されていてもよい。温度センサ80は、第1接続部88Aにおいて、ゲージ端子76と、電気配線78Aとに、はんだを介して、それぞれ接続されていてもよい。
【0113】
図15に示す第3配置例A3では、温度センサ80は、第2接続部88Bに設けられる。第2接続部88Bは、例えば、はんだを含んで構成される。第2接続部88Bは、電気回路基板84に設けられる電子部品84Aと、フレキシブルプリント配線基板86に設けられる電気配線78Aと、を電気的に接続する。第2接続部88Bは、電気回路基板84に設けられる電気配線78Aの端子と、電気配線78Aとの間に配置される。図15の配置例A3では、温度センサ80は、フレキシブルプリント配線基板86よりも抵抗体72に近い位置に設けられる。温度センサ80は、第2接続部88Bにおいて、電気回路基板84に実装されてもよく、フレキシブルプリント配線基板86に実装されていてもよい。温度センサ80は、第2接続部88Bにおいて、電気回路基板84に設けられる電気配線の端子と、電気配線78Aとに、はんだを介して、それぞれ接続されていてもよい。
【0114】
図16および図17に示す第4配置例A4においては、温度センサ80は、フレキシブルプリント配線基板86に設けられる。温度センサ80は、フレキシブルプリント配線基板86に設けられ、ひずみゲージ52は、抵抗体72と、抵抗体72に対して電気的に絶縁される第1熱伝導体90Aと、を含み、フレキシブルプリント配線基板86は、第1熱伝導体90Aに接続される第2熱伝導体90Bを含み、温度センサ80は、第2熱伝導体90Bに接触または近接して配置されてもよい。好ましくは、第1熱伝導体90Aおよび第2熱伝導体90Bの熱伝導率は、基材70の熱伝導率よりも高い。例えば、第1熱伝導体90Aおよび第2熱伝導体90Bは、金属材料によって形成される。第1熱伝導体90Aおよび第2熱伝導体90Bは、例えば、Cuを含む。第1熱伝導体90Aおよび第2熱伝導体90Bは、はんだ、または、ACF(Anisotropic Conductive Film)接続によって間接的に接続されていてもよい。第1熱伝導体90Aおよび第2熱伝導体90Bが間接的に接続される場合、演算処理装置62は、第1熱伝導体90Aおよび第2熱伝導体90Bを接続する部材に応じて、検出される温度を補正するようにしてもよい。温度センサ80は、例えば、基材70の厚み方向から見て、第2熱伝導体90Bに重なるように配置されていてもよい。温度センサ80は、第2熱伝導体90Bと一体に形成されていてもよい。温度センサ80から出力される信号は、例えば、電気配線78Aを介して伝送される。
【0115】
アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、フレキシブルプリント配線基板86と、第1接続部88Aと、第2接続部88Bと、の少なくとも1つに設けられ、ひずみゲージ52に電気的に接続されてもよい。図18に示す第5配置例B1および図19に示す第6配置例B2においては、釣り具10は、電気回路基板84と、ひずみゲージ52および電気回路基板84を電気的に接続するフレキシブルプリント配線基板86と、を備える。図18に示す第5配置例B1においては、ひずみゲージ52の基材70と、フレキシブルプリント配線基板86および電気回路基板84と、が別体に形成される。図19に示す第6配置例B2においては、電気回路基板84の基材70と、フレキシブルプリント配線基板86および電気回路基板84と、が別体に形成される。
【0116】
アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、フレキシブルプリント配線基板86と、ひずみゲージ52およびフレキシブルプリント配線基板86が接続される第1接続部88Aと、フレキシブルプリント配線基板86および電気回路基板84が接続される第2接続部88Bと、の少なくともいずれか1つに設けられてもよい。アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、フレキシブルプリント配線基板86に配置されてもよい。アンプ54AおよびADコンバータ54Bのうち、アンプ54Aのみが、フレキシブルプリント配線基板86に配置されてもよい。アンプ54AおよびADコンバータ54Bのうち、ADコンバータ54Bのみが、フレキシブルプリント配線基板86に配置されてもよい。アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、釣り具10において第5配置例B1および第6配置例B2のうちの1つの位置に配置されてもよい。アンプ54AおよびADコンバータ54Bは、それぞれ釣り具10において第5配置例B1および第6配置例B2のうちの異なる位置に配置されてもよい。
【0117】
図18に示す第5配置例B1では、アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、第1接続部88Aに設けられる。アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、第1接続部88Aにおいて、ひずみゲージ52の基材70に実装されてもよく、フレキシブルプリント配線基板86に実装されていてもよい。アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、第1接続部88Aにおいて、ゲージ端子76と、電気配線78Aとに、はんだを介して、それぞれ接続されていてもよい。図19に示す第6配置例B2では、アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、第2接続部88Bに設けられる。アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、第2接続部88Bにおいて、電気回路基板84に実装されてもよく、フレキシブルプリント配線基板86に実装されていてもよい。アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つは、第2接続部88Bにおいて、電気回路基板84に設けられる電気配線の端子と、電気配線78Aとに、はんだを介して、それぞれ接続されていてもよい。
【0118】
好ましくは、抵抗体72は、0.01マイクロメートル以上かつ1マイクロメートル以下の厚さの金属層によって形成される。好ましくは、金属層の厚さは、0.05マイクロメートル以上かつ0.5マイクロメートル以下である。好ましくは、金属層の厚さは、0.1マイクロメートル以上かつ0.3マイクロメートル以下である。抵抗体72の線幅および抵抗体72の線間隔は、ひずみゲージ52のサイズによって選択される。抵抗体72の線幅は、例えば、1マイクロメートル以上かつ200マイクロメートルである。抵抗体72の線間隔は、例えば、1マイクロメートル以上かつ200マイクロメートルである。
【0119】
好ましくは、ゲージ配線74の単位長さあたりの電気抵抗値は、抵抗体72の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低い。電気配線75の単位長さあたりの電気抵抗値は、抵抗体72の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低い。本実施形態における電気配線75は、ゲージ配線74と等しい。このため、以下の説明において、ゲージ配線74を電気配線75と読み替えてもよく、電気配線75をゲージ配線74と読み替えてもよい。
【0120】
以下に説明する第1例の構成および第2例の構成の少なくとも1つによって、ゲージ配線74および電気配線75の単位長さあたりの電気抵抗値を、抵抗体72の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低くできる。抵抗体72の厚さと、ゲージ配線74の厚さとは、等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0121】
図20に第1例の構成を示す。第1例の構成では、抵抗体72の組成と、ゲージ配線74の組成とは異なる。抵抗体72の組成と、電気配線75の組成とは異なる。好ましくは、抵抗体72は、CuNi、Ni、および、NiCrの1つを含み、ゲージ配線74の少なくとも一部は、Cuを含む。好ましくは、抵抗体72は、CuNi、Ni、および、NiCrの1つを含み、電気配線75の少なくとも一部は、Cuを含む。
【0122】
図21に第2例の構成を示す。第2例の構成では、ゲージ配線74は、第1部分74Aおよび第1部分74Aを被覆する第2部分74Bを含み、抵抗体72とゲージ配線74の第1部分74Aとは一体成形され、第2部分74Bの電気抵抗率は、抵抗体72の電気抵抗率および第1部分74Aの電気抵抗率よりも低い。電気配線75は、第1配線部分75Aと、第1配線部分75Aを被覆する第2配線部分75Bを含み、抵抗体72と電気配線75の第1配線部分75Aとは一体成形され、第2配線部分75Bの電気抵抗率は、抵抗体72の電気抵抗率および第1配線部分75Aの電気抵抗率よりも低い。好ましくは、抵抗体72、第1部分74A、および、第1配線部分75Aは、CuNi、Ni、および、NiCrの1つを含み、第2部分74Bおよび第2配線部分75Bは、Cuを含んでいてもよい。
【0123】
図20および図22から図24を参照して、図20に示す抵抗体72およびゲージ配線74の製造方法について説明する。図22に示す第1工程では、基材70の第1配置面70A上においてゲージ配線74を形成する。ゲージ配線74は、例えばスパッタリングによって形成される。
【0124】
図23に示す第2工程では、基材70の第1配置面70A上において、ゲージ配線74を覆うレジストを形成し、レジストのうち抵抗体72を形成する領域に、例えば露光、現像、およびエッチングによって開口を形成する。レジストは、例えばフォトレジストによって形成される。
【0125】
図24に示す第3工程では、第2工程において形成される開口に抵抗体72を形成するための金属膜を形成する。金属膜は、例えばスパッタリングによって形成される。第4工程では、第3工程において形成される金属膜にレジストを形成して、例えば露光、現像、およびエッチングによって、抵抗体72を形成する。第4工程が終了すると、レジストを除去する第5工程によって、抵抗体72とゲージ配線74とが接続される。第1工程から第5工程は、RTR(ロールtoロール)方式において実行されてもよい。
【0126】
図25に示すように、基材70は、厚み方向に離間して配置される第1配置面70Aおよび第2配置面70Bを含み、抵抗体72は、第1配置面70Aに設けられ、ゲージ配線74の少なくとも一部は、第2配置面70Bに設けられてもよい。基材70は、厚み方向に離間して配置される第1配置面70Aおよび第2配置面を含み、抵抗体72は、第1配置面70Aに設けられ、電気配線75の少なくとも一部は、第2配置面70Bに設けられてもよい。第1配置面70Aには、抵抗体72を覆う保護絶縁層73が形成されてもよい。保護絶縁層73は、電気絶縁性を有する。基材70は、保護絶縁層73を含んでいてもよい。好ましくは、基材70には第1配置面70Aと第2配置面70Bとの間を接続する第1接続孔70Cが形成され、ゲージ配線74の一部は、第1接続孔70Cに設けられる。好ましくは、基材70には第1配置面70Aと第2配置面70Bとの間を接続する接続孔70Dが形成され、電気配線75の一部は、接続孔70Dに設けられる。第1接続孔70Cに配置されるゲージ配線74の一部は、ゲージ配線74の他の部分と、同一の材料によって形成されてもよく、異なる材料によって形成されていてもよい。接続孔70Dに配置される電気配線75の一部は、電気配線75の他の部分と、同一の材料によって形成されてもよく、異なる材料によって形成されていてもよい。
【0127】
好ましくは、ゲージ端子76とゲージ配線74とは一体成形される。好ましくは、釣り具10は、基材70と一体成形される基板78Bと、基板78Bに設けられる電気配線78Aと、を含むフレキシブルプリント配線基板78をさらに含み、ゲージ端子76と、電気配線78Aの少なくとも一部と、が一体成形される。
【0128】
釣り具10は、電気配線78Aを有するフレキシブルプリント配線基板86を含んでいてもよい。ひずみゲージ52とフレキシブルプリント配線基板86とが別体に形成される場合、ゲージ端子76と、電気配線78Aとは、直接または導電性粒子を介して電気的に接続されてもよい。ゲージ端子76と、電気配線78Aとが、直接または導電性粒子を介して電気的に接続される場合、好ましくは、図26に示す釣り具10は、ひずみゲージ52と、フレキシブルプリント配線基板86と、を接着する接着層92をさらに含み、接着層92は、導電性粒子を含む。電気配線78Aは、ゲージ端子76に対向する配線端子78Cを含み、ゲージ端子76および配線端子78Cの一方は、櫛形電極94によって形成される。ゲージ端子76と、配線端子78Cとは、例えば、ACFによって接続される。
【0129】
<第2実施形態>
図27から図29を参照して、第2実施形態の釣り具10について説明する。第2実施形態の釣り具10の釣り具本体12は、第1実施形態のリール14と異なるリール14Xを備える点以外は、第1実施形態の釣り具10と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。リール14Xは、図5のブロック図に示す構成から、モードつまみ位置センサ25C、制動ユニット47、スイッチ素子47C、整流回路47D、および蓄電素子63Aが省略される。本実施形態では、電源63は、釣り具本体12と、釣り具10の外部とに設けられる。電源63は、釣り具本体12には設けられず、釣り具10の外部にのみ設けられてもよい。この場合、リール14Xは、釣り具10の外部に設けられる蓄電池等の電源63と接続するための電源ケーブル用のコネクタ部が設けられる。釣り具本体12に電源63の一部が配置されない場合、外部の電源63から、例えばスリップリングを介して、電力入力部58に電力が供給されてもよい。
【0130】
図27から図29に示すリール14Xは、電動リールである。リール14Xは、スプール103にトルクを付与するように構成される電動ユニット104を備える。リール14Xでは、ひずみゲージ52、モジュール59、カバー部材50、および、電源63の一部がハンドル軸133に設けられる。ひずみゲージ52、ひずみゲージ52を含むモジュール59、カバー部材50、密閉空間12Aに配置される電源63の一部についての構成については、スプール軸31がハンドル軸133に変更されている以外は、第1実施形態と同様である。カバー部材50は、ハンドル軸133に固定され、ハンドル軸133と一体に回転する。密閉空間12Aは、ハンドル軸133の外周面と、カバー部材50とによって形成される。
【0131】
リール14Xは、ハンドル101が装着されるケース102と、ケース102に回転自在に装着されるスプール103と、電動ユニット104と、を備える。電動ユニット104は、スプール103内に装着される第1モータ104Aを備える。ケース102の上部には、水深表示等を行うためのカウンタ105が装着される。カウンタ105には、操作キー部199が設けられる。ケース102の内部には、ハンドル101および第1モータ104Aの回転をスプール103に伝達する回転伝達機構106と、第1モータ104Aの糸繰り出し方向の逆転を禁止および許可の間で切り替える第1逆転禁止機構107と、ハンドル101の糸繰り出し方向の逆転を禁止する第2逆転禁止機構108と、ハンドル101の糸巻取方向の正転を禁止および許可の間で切り替える正転禁止機構109と、第1逆転禁止機構107と正転禁止機構109の状態を切り換える第2モータを含む切換部とが設けられる。
【0132】
ケース102は、フレーム113と、フレーム113の両側方を覆う側カバー114、115とを有している。フレーム113は、アルミニウム合金ダイカストの一体成形された部材であり、左右1対の側板116、117と、側板116、117を複数箇所で連結する連結部材118とを有している。下部の連結部材118には、釣り竿16を装着するための竿装着脚119が装着される。
【0133】
側カバー115は、側板117にボルトによって締結される。側カバー115には、回転伝達機構106等を装着するための固定フレーム120がボルトによって締結される。側カバー115を側板117から外すと、固定フレーム120も回転伝達機構106の一部および側カバー115とともに側板117から外れる。側カバー114は、側板116にボルトによって締結される。側カバー114には、外部に設けられた蓄電池等の電源と接続するための電源ケーブル用のコネクタ部114aが前部に斜めに突出して設けられる。側板116は、周縁部にリブを有する合成樹脂製の板状部材であり、中心部には、第1モータ104Aを装着するための膨出部127が外方に突出して形成される。
【0134】
スプール103は、内部に第1モータ104Aを収納可能な筒状の糸巻胴部103aと、糸巻胴部103aの外周部に間隔を隔てて形成された左右1対のフランジ部103bとを有している。スプール103の一端はフランジ部103bから外方に延びており、その延びた端部の内周面に軸受125が配置される。スプール103の他端には、ギア板103cが固定される。ギア板103cは、レベルワインド機構にスプール103の回転を伝達する。ギア板103cのスプール中心側部において、ギア板103cと固定フレーム120との間には転がり軸受126が装着される。この2つの軸受125、126によって、スプール103は、ケース102に回転可能に支持される。
【0135】
第1モータ104Aは、内部に界磁または電機子などを有する直流モータであり、スプール103の糸巻取動作および糸繰り出し動作に用いられる。第1モータ104Aは、基端が開口する有底筒状のケース部材と、開口を塞ぐためにケース部材の基端に固定されるキャップ部材と、ケース部材とキャップ部材とに回転可能に装着される出力軸130とを有している。ケース部材は、有底筒状の部材であり、底部で出力軸130を回転可能に支持する。出力軸130の一端部には、第1遊星歯車機構140の第1太陽ギアが回転不能に装着される。他端部には、第1逆転禁止機構107を構成する第1ワンウェイクラッチが装着される。
【0136】
カウンタ105は、釣り糸Lの先端に装着される仕掛けの水深を表示するとともに、第1モータ104Aおよび第2モータを制御するために設けられる。カウンタ105には、仕掛けの水深や棚位置を水面からと底からとの2つの基準で表示するための液晶表示ディスプレイからなる水深表示部198と、水深表示部198の周囲に配置される複数のスイッチを含む操作キー部199とが設けられる。
【0137】
操作キー部199は、水深表示部198の右側に上下に配置されるモータ巻取のオンオフ用の巻取スイッチPWと、第1モータ104Aを糸繰り出し方向に回転させるための糸繰り出しのオンオフ用の繰り出しスイッチLFと、左側に上下に並べて配置されたさそいスイッチIBと、糸長と水深との関係に関する設定を行う水深設定モードスイッチMDと、棚位置および底位置などを設定するための位置設定スイッチとを有している。
【0138】
カウンタ105の内部には、制御部49が設けられる。制御部49は、水深表示部198および第1モータ104Aおよび第2モータを制御する。制御部49には、操作キー部199を含む操作部64と、調整レバー111と、回転状態検出部66と、切換部の状態を検出する切換位置センサと、各種の報知用のブザーを含む報知装置68と、水深表示部198と、第1モータ104AをPWM(パルス幅変調)駆動する第1モータ駆動回路と、第2モータをPWM駆動する第2モータ駆動回路と、無線受信装置60Aと、他の入出力部とが接続される。制御部49は、無線受信装置60Aによって、無線送信装置60から出力されるハンドル軸133に与えられる力に関する情報を受信する。
【0139】
調整レバー111は、側カバー115に揺動可能に装着され、スプール103の速度および釣り糸Lの張力を調整する。回転状態検出部66は、スプールセンサである。回転状態検出部66は、スプール103の回転数と回転方向とを例えば回転方向に並べて配置される2つのリードスイッチによって検出する。ひずみゲージ52は、ハンドル軸133に作用する力を検出する。制御部49は、ハンドル軸133に作用する力に応じて、スプール103に巻き付けられる釣り糸Lに作用する張力を算出する。制御部49は、ハンドル軸133に作用する力を、メインギア134とピニオンギア135とのギア比に基づいてスプール103に作用するトルクに換算し、糸巻径に応じて補正して釣り糸Lに作用する張力を算出する。制御部49は、回転状態検出部66の計数値、つまりスプール103の回転位置データからスプール103に巻き付けられている釣り糸Lの糸巻径を算出する。
【0140】
制御部49は、糸巻取時に第1モータ104Aを張力一定モードと速度一定モードとの2つのモードのいずれかで複数段階(例えば、速度は5から13段階程度、張力は3から10段階程度)において制御する。速度一定モードと張力一定モードとの切換は、例えば、さそいスイッチIBを所定時間以上長押しすることによって行える。速度一定モードや張力一定モードのとき、演算処理装置62は、調整レバーの操作量に応じて第1モータ104Aの巻き上げ速度や巻き上げトルクを複数段階に制御する。演算処理装置62は、巻取スイッチPWまたは繰り出しスイッチLFが操作されて、第2モータによって第1逆転禁止機構107および正転禁止機構109の状態を切り換えると、第1モータ104Aを正転又は逆転させるとともに停止させる。演算処理装置62は、スプールセンサの出力によって釣り糸Lの先端に取り付けられる仕掛けの水深を算出し、それを水深表示部198に表示する。演算処理装置62は、操作キー部199の操作によって底位置や棚位置が設定されると、算出された水深と設定された底位置や棚位置とが一致して仕掛け棚位置や底位置に到達したときに、糸繰り出し方向に回転する第1モータ104Aを停止させて仕掛けをその位置に配置する。
【0141】
回転伝達機構106は、ハンドル101と回転不能に装着されるハンドル軸133と、ハンドル軸133に回転自在に装着されるメインギア134と、メインギア134に噛み合うピニオンギア135と、ハンドル軸133の周囲に配置されるドラグ機構136と、第1モータ104Aの回転を2段階で減速する第1遊星歯車機構140とを有する。回転伝達機構106は、ハンドル101の回転を伝達および遮断の間で切り替えるクラッチ機構112と、クラッチ機構112を制御するクラッチ切換機構とを有している。
【0142】
ハンドル軸133は、固定フレーム120に軸受137とハンドル軸133の糸繰り出し方向の回転を禁止するローラクラッチ138とによって回転自在に支持される。ハンドル軸133の先端にハンドル101が回転不能に装着され、その内側にドラグ機構136のスタードラグ122が螺合している。ハンドル軸133には、スプール103に作用するトルクによって釣り糸Lに作用する張力を検出するひずみゲージ52が設けられる。
【0143】
メインギア134には、ドラグ機構136を介してハンドル軸133の回転が伝達される。ピニオンギア135は、側カバー115に立設されるピニオンギア軸147に回転自在かつ軸方向移動自在に装着される。ピニオンギア軸147は、第1モータ104Aの出力軸と同芯に配置される。ピニオンギア135の軸方向の端部には、係合凹部135aが形成され、右端にはメインギア134に噛み合う歯部135bが形成される。またその間には小径のくびれ部135cが形成される。係合凹部135aは、第1遊星歯車機構140のキャリア146に形成される係合凸部に回転不能に係合する。この係合凹部135aと係合凸部とによって、クラッチ機構112が構成される。ピニオンギア135は、くびれ部135cに係合するクラッチ切換機構によってピニオンギア軸147の軸方向に移動する。
【0144】
ドラグ機構136は、スプール103の糸繰り出し方向の回転を制動するものであり、スタードラグ122と、スタードラグ122によってメインギア134に対する押圧力(ドラグ力)が変化する複数のドラグディスク123とを有する公知の機構である。
【0145】
クラッチ機構112は、スプール103を糸巻取可能状態と自由回転可能状態とに切換可能な機構である。ピニオンギア135が、軸方向の一方に移動して係合凹部135aとキャリア146の係合凸部と係合した状態がクラッチオン状態であり、離反した状態がクラッチオフ状態である。クラッチオン状態では、スプール103は第1モータ104Aによる糸巻取および糸繰り出し可能状態になり、クラッチオン状態では、スプール103は自由回転可能状態になる。
【0146】
クラッチ切換機構は、クラッチ機構112のオンオフ状態を切り換えるものである。クラッチ切換機構は、側カバー115に揺動自在に装着されるクラッチ操作レバーと、クラッチ操作レバーの揺動によってハンドル軸133に向かって進退するクラッチカムと、クラッチカムの進退移動によってピニオンギア軸147方向に移動するクラッチヨークとを有している。通常状態ではピニオンギア135は内方のクラッチ係合位置に位置しており、その係合凹部135aとキャリア146の係合凸部とが係合してクラッチ機構112がクラッチオン状態となっている。一方、クラッチヨークによってピニオンギア135が外方に移動した場合は、係合凹部135aと係合凸部との係合が外れ、クラッチ機構112がクラッチオフ状態となる。
【0147】
第1逆転禁止機構107は、第1モータ104Aの逆転を禁止する禁止状態と許可する許可状態とに切り換え可能な機構である。第1逆転禁止機構107は、第1モータ104Aの出力軸130に装着される第1ワンウェイクラッチと、第1ワンウェイクラッチの外輪に回転不能に装着される支持軸と、支持軸に回転不能に装着される第1ラチェットホイールと、第1ラチェットホイールに食い込み可能な第1ラチェット爪とを有している。第1ラチェットホイールの逆転が阻止されると、第1ワンウェイクラッチの外輪の逆転も阻止され、第1ワンウェイクラッチを介して第1モータ104Aの逆転が禁止され、第1モータ104Aは糸巻取方向の正転だけが可能になる。また、離反して逆転が許可されると第1ワンウェイクラッチが逆転可能になり、第1モータ104Aの逆転が可能になり、釣り糸Lをスプール103から繰り出すことができる。第1ラチェット爪には、切換部を構成する径方向の延びる第1切換アームが一体で形成される。
【0148】
第2逆転禁止機構108は、ハンドル軸133の糸繰り出し方向の逆転を禁止することによって、第1モータ104A駆動時にハンドル101および第1遊星歯車機構140のキャリア146が回転するのを防止するために設けられる。第2逆転禁止機構108は、ハンドル軸133に回転不能に装着される第2ラチェットホイール162と、第2ラチェットホイール162に食い込み可能な第2ラチェット爪と、第2ラチェット爪を第2ラチェットホイール162に向けて付勢するコイルばねとを有している。
【0149】
第2ラチェットホイール162は、ひずみゲージ52と固定フレーム120との間でハンドル軸133に回転不能に装着される。第2ラチェットホイール162の外周側には径方向に突出する第2ラチェット歯が形成される。第2逆転禁止機構108は常時ハンドル軸133の糸巻取方向の回転を禁止している。リール14には、第2逆転禁止機構108に加えて、ハンドル軸133の逆転を瞬時に禁止するローラクラッチ138が側カバー115とハンドル軸133との間に配置される。
【0150】
正転禁止機構109は、第2ラチェットホイール162に食い込んで第2ラチェットホイール162を介してハンドル軸133の正転を禁止するものである。正転禁止機構109は、第2ラチェットホイール162に接触する正転禁止位置と離反する正転許可位置とに揺動自在に固定フレーム120に装着される第3ラチェット爪を有している。正転禁止機構109によって第1遊星歯車機構140のキャリア146の回転が阻止され、第1遊星歯車機構140を介して第1モータ104Aの糸繰り出し方向の回転がスプール103に減速して伝達される。また、第1モータ104Aによってスプール103を糸繰り出し方向に回転させて釣り糸Lを繰り出すとき、ハンドル101が回転しなくなる。第3ラチェット爪には、切換部を構成する径方向の延びる第2切換アームが一体形成される。
【0151】
切換部は、第1逆転禁止機構107の逆転禁止状態および逆転許可状態を切り換える第1切換機構と、正転禁止機構109の正転禁止状態および正転許可状態を切り換える第2切換機構と、リール制御部によって制御され、第1および第2切換機構を動作させる第2モータを含む動作機構とを有している。
【0152】
動作機構は、第1切換機構が第1逆転禁止機構107を逆転禁止状態に切り換えると第2切換機構が正転禁止機構109を正転許可状態にするとともに、第1切換機構が第1逆転禁止機構107を逆転許可状態に切り換えると第2切換機構が正転禁止機構109を正転禁止状態にするように第1および第2切換機構を連動して動作させる連動機構と、演算処理装置62によって制御され連動機構を動作させる駆動機構とを有している。
【0153】
連動機構は、第1切換機構が第1逆転禁止機構107を逆転禁止状態に切り換えると第2切換機構が正転禁止機構109を正転許可状態にするとともに、第1切換機構が第1逆転禁止機構107を逆転許可状態に切り換えると第2切換機構が正転禁止機構109を正転禁止状態にする。
【0154】
駆動機構は、第2モータと、第2モータの回転を減速する第2遊星歯車機構とを有している。第2モータは、ケース102の前部で両側板116,117の間に装着される装着筒部の内部に収納される。第2モータは、第2ワンウェイクラッチによって一方向にのみ回転可能になっている。
【0155】
制御部49は、ひずみゲージ52によって検出されるトルクをスプール30の回転位置に基づき検出される糸巻径によって補正して釣り糸Lに作用する張力を算出し、張力が最小になるように第1モータ104Aの逆転速度を自動的に調整する。これによって、仕掛けの自重に応じた一定の速度で釣り糸Lを繰り出せるようになる。
【0156】
<第3実施形態>
図30および図31を参照して、第3実施形態の釣り具10について説明する。第3実施形態の釣り具10は、釣り具本体12が釣り竿16を含む点以外は、第1実施形態の釣り具10と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0157】
本実施形態において釣り具本体12は、釣り竿16を含む。釣り竿16は、釣り竿本体18と、釣り竿本体18の端部に設けられる。トップガイド24を含む。トップガイド24は、本体部211と、本体部211の穂先側に一体化され穂先竿18Cの軸方向に貫通する貫通孔が形成される起立部212とを有している。起立部212には起立部212および本体部211の少なくとも1つの形状に沿ってカバー部材213が脱着自在に起立部212および本体部211の少なくとも1つに取り付けられる。カバー部材213は、起立部212のうち竿元側の面を覆うように設けられる。
【0158】
起立部212の貫通孔には、硬質リング215がはめ込まれる。起立部212および本体部211の少なくとも1つには、1または複数のひずみゲージ52が設けられる。ひずみゲージ52は、起立部212および本体部211の少なくとも1つに設けられる場合、好ましくは、釣り竿16の長手方向におけるトップガイド24の伸縮を検出するように少なくとも1個の抵抗体72が設けられる。ひずみゲージ52は、起立部212および本体部211の少なくとも1つに設けられる場合、好ましくは、釣り竿16の長手方向にグリッド長が沿うように少なくとも1個の抵抗体72が設けられる。本実施形態では、起立部212にひずみゲージ52が設けられる。ひずみゲージ52の抵抗体72の個数および配置については、釣り糸Lが引っ張られることによって、トップガイド24が曲がることを検出できれば、特に限定されない。
【0159】
本体部211は略パイプ状の部材であって穂先竿18Cの軸方向に伸びている。本体部211は、例えば、ステンレス、チタン等を含む合金または硬質合成樹脂から形成される。本体部211は、竿元側端部に穂先竿18Cが挿入される状態において、穂先竿18Cの穂先側端部に装着される。例えば、接着剤等によって脱着可能に本体部211を穂先竿18Cに装着してもよいが、ねじ構造または嵌着構造によって脱着自在にしてもよい。本体部211の穂先側部分は、起立部212が伸びる側において開口している。本体部211の開口を塞ぐようにカバー部材213が設けられる。カバー部材213は、本体部211および起立部212の少なくとも1つと共に密閉空間213Aを形成する。
【0160】
硬質リング215は、セラミックス等をリング状に加工して形成される。硬質リング215は、起立部212の貫通孔の内周に合致するように形成される。硬質リング215は、起立部212の表面側において拡径するフランジ部分を有する。硬質リング215の内周面は、軸方向断面において丸みを帯びるように加工される。
【0161】
カバー部材213は、樹脂によって形成される。カバー部材213を形成する樹脂は、例えば、ポリカーボネイト等の透明な硬質合成樹脂を含む。カバー部材213は、起立部212および本体部211の少なくとも1つの形状に沿って形成される。起立部212の頭端側および本体部211の竿元側端部にフック部分が形成され、このフック部分がそれぞれ起立部212,本体部211に係止される。カバー部材213は、本体部211の穂先側の開口部分および起立部212の背面側の少なくとも1つとの間に空隙を設けるように配置される。カバー部材213の起立部212の貫通孔に対応する位置には、起立部212の貫通孔と同様の貫通孔が形成されており釣り糸Lが挿通可能となっている。カバー部材213の貫通孔の周囲には起立部212側へ延びるスリーブ213aが形成されており、釣り糸Lに付着する水が不用意にカバー部材213と起立部212および本体部211の少なくとも1つとの間の空隙に浸入しないように構成される。
【0162】
本体部211および起立部212の少なくとも1つとカバー部材213との間の空隙、すなわち密閉空間213Aには、ひずみゲージ52またはひずみ52を含むモジュール59と、制御部216と、電源63と、報知装置218とが収納される。制御部216は、例えば演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部216は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部216は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、制御部216は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部には、制御部216の処理結果が記憶されていてもよい。記憶部は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、RAM(Random access memory)を含む。制御部216は、ひずみゲージ52に配線等によって電気的に連結されており、ひずみゲージ52の出力に応じて電源63と報知装置218とを電気的に連結するスイッチを含む。制御部216は、例えばマイクロコンピュータを含む。電源63は、例えばボタン電池を含む。制御部216と電源63とは、本体部211に固定される。本実施形態では、報知装置218は、発光装置218Aを含む。発光装置218Aは、LED等を含む発光装置218Aは、釣り人が釣りを行いながらその発光を認識できるように、起立部212の背面側に装着される。報知装置218は、発音装置を含んでいてもよい。報知装置218は、基材70に設けられてもよい。発光装置218Aは、基材70に設けられてもよい。
【0163】
釣り糸Lの先端に連結される仕掛けに魚が係って魚から釣り糸Lに力が加わると、釣り糸Lからトップガイド24にかかる力が大きくなる。釣り糸Lからの力を受けるとトップガイド24の起立部212がひずむので、ひずみゲージ52の出力が変化する。制御部216は、ひずみゲージ52の出力に応じて、電源63と発光装置218Aとを電気的に接続して発光装置218Aへ電流を供給することによって、発光装置218Aが発光する。
【0164】
第3実施形態では、ひずみゲージ52またはモジュール59と、制御部216とは異なる基材70に設けられていてもよく、同一の基材70に設けられていてもよい。第3実施形態において、モジュール59の演算処理装置62が制御部216を含んでいてもよい。第3実施形態において、ひずみゲージ52の出力に応じた情報を、第1および第2実施形態と同様に、無線送信装置60から外部装置100に送信してもよい。この場合、釣り具10から釣り人が離れていても、外部装置100によって釣り具10の状態を知ることができる。
【0165】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う釣り具が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う釣り具は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0166】
第1実施形態および第2実施形態では、釣り具本体12がリール14,14Xを含む例について説明しているが、釣り具本体12は、リール14,14Xおよび釣り竿16の少なくとも1つを含んでもよい。
【0167】
・第1実施形態では、ひずみゲージ52がスプール30のスプール軸31に設けられる例について説明しているが、ひずみゲージ52は、リール14のハンドル26、ハンドル26のハンドル軸28、スプール30、スプール軸31、リール14のケース15、釣り竿本体18、および、釣り竿本体18の端部に設けられるトップガイド24の少なくとも1つに設けられてもよい。ひずみゲージ52は、リール14のハンドル26のアーム部26Aに設けられてもよい。ひずみゲージ52は、アーム部26Aに設けられる場合、信号処理部54からの信号に対応する情報は、例えば、アーム部26Aの与えられる力の情報、アーム部26Aに与えられるパワーに関する情報、ハンドル軸28の回転中心に関して、アーム部26Aの径方向に作用する力の情報、アーム部26Aの回転方向に作用する力の情報、および、アーム部26Aの長手方向の軸線に関して捻れる方向に作用する力の情報、の少なくとも1つを含む。アーム部26Aには、例えば図11に示すひずみゲージ52が設けられてもよい。
【0168】
・第2実施形態では、ひずみゲージ52がハンドル軸133に設けられる例について説明しているが、ひずみゲージ52は、リール14Xのハンドル101、ハンドル101のハンドル軸133、スプール103、スプール103の回転を制動する制動ユニット、リール14Xのケース102、釣り竿本体18、釣り竿本体18の端部に設けられるトップガイド24、および、スプール103にトルクを付与するように構成される電動ユニット104の少なくとも1つに設けられてもよい。ひずみゲージ52は、リール14Xのハンドル101のアーム部に設けられてもよい。
【0169】
・第1実施形態および第2実施形態の釣り具本体12は、両軸受けリールであるが、片軸受けリールであってもよく、スピニングリールであってもよい。
【0170】
・第3実施形態では、ひずみゲージ52がトップガイド24に設けられる例について説明しているが、ひずみゲージ52は、釣り竿本体18に設けられてもよい。
【0171】
・演算処理装置62は、基材70に設けられていなくてもよい。演算処理装置62は、制御部49に設けられていてもよく、外部装置100に設けられていてもよい。
【0172】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられる単一の基材70と、基材70に形成され、基材70の一部とともにひずみゲージ52を構成する抵抗体72と、基材70に形成され、抵抗体72に電気的に接続される電気配線75と、基材70に形成または直接実装され、電気配線75に電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給される電力入力部58と、を備えていれば、他の構成を省略できる。この場合、例えば、抵抗体72は、1マイクロメートルよりも厚い金属層によって形成されていてもよい。信号処理部54は、温度センサ80、アンプ54A、ADコンバータ54B、および、演算処理装置62の少なくとも1つに代えて、または、加えて、通信装置を含んでいてもよい。通信装置は、外部装置100と電気ケーブルによって接続される有線通信部を含んでいてもよく、無線送信装置60を含んでいてもよい。
【0173】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられる単一の基材70と、基材70に形成され、基材70の少なくとも一部とともにひずみゲージ52を構成する抵抗体72と、基材70に形成または実装される温度センサ80と、抵抗体72に電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給される電力入力部58と、を備え、抵抗体72は、基材70の第1部分70Xとともに第1ひずみゲージ52を構成する第1抵抗体72Aと、基材70の第2部分70Yとともに第2ひずみゲージ52を構成する第2抵抗体72Bと、含み、温度センサ80の少なくとも一部は、基材70のうち、第1部分70Xと第2部分70Yとを接続する接続部において、第1抵抗体72Aと第2抵抗体72Bとの間の領域R1に配置されるように構成されていていれば、ていれば、他の構成を省略できる。この場合、例えば、領域R1は、ひずみゲージ52が複数のひずみゲージ52を含む場合、相互に隣接する2つのひずみゲージの抵抗体72の間の領域であってもよく、相互に隣接しないひずみゲージの抵抗体72の間の領域であってもよい。したがって、図9の二点鎖線によって示される位置に温度センサ80を配置してもよい。
【0174】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられる単一の基材70と、基材70に形成され、基材70の一部とともにひずみゲージ52を構成する抵抗体72と、基材70に形成または実装され、基材70の厚み方向から見て、少なくとも一部が抵抗体72に重なるように配置される温度センサ80と、抵抗体72に電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給される電力入力部58と、を備えていれば、他の構成を省略できる。この場合、例えば、抵抗体72は、1マイクロメートルよりも厚い金属層によって形成されていてもよい。
【0175】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられるひずみゲージ52と、電気回路基板84と、ひずみゲージ52および電気回路基板84を電気的に接続するフレキシブルプリント配線基板86と、フレキシブルプリント配線基板86と、ひずみゲージ52およびフレキシブルプリント配線基板86が接続される第1接続部88Aと、フレキシブルプリント配線基板86および電気回路基板84が接続される第2接続部88Bと、の少なくともいずれか1つに設けられる温度センサ80と、ひずみゲージ52に電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給される電力入力部58と、を備えていれば、他の構成を省略できる。この場合、例えば、抵抗体72は、1マイクロメートルよりも厚い金属層によって形成されていてもよい。温度センサ80は、モジュール59に含まれていなくてもよい。
【0176】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられるひずみゲージ52と、電気回路基板84と、ひずみゲージ52および電気回路基板84を電気的に接続するフレキシブルプリント配線基板86と、ひずみゲージ52に電気的に接続され、フレキシブルプリント配線基板86と、ひずみゲージ52およびフレキシブルプリント配線基板86が接続される第1接続部88Aと、フレキシブルプリント配線基板86および電気回路基板84が接続される第2接続部88Bと、の少なくとも1つに設けられるアンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つと、電気回路基板84に設けられ、アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくともに電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給され、アンプ54AおよびADコンバータ54Bの少なくとも1つと、信号処理部54と、のそれぞれに電気的に接続される電力入力部58と、を備えていれば、他の構成を省略できる。この場合、例えば、抵抗体72は、1マイクロメートルよりも厚い金属層によって形成されていてもよい。
【0177】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられる単一の基材70と、基材70に形成され、基材70の一部とともにひずみゲージ52を構成する抵抗体72と、基材70に形成され、抵抗体72に電気的に接続される電気配線75と、基材70に実装され、電気配線75に電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源からの電力が供給される電力入力部58と、を備え、電気配線75の単位長さあたりの電気抵抗値は、抵抗体72の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低ければ、他の構成を省略できる。この場合、例えば、抵抗体72は、1マイクロメートルよりも厚い金属層によって形成されていてもよい。
【0178】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられるひずみゲージ52と、ひずみゲージ52に電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給される電力入力部58と、を備え、ひずみゲージ52は、基材70と、基材70に設けられる抵抗体72と、を含み、抵抗体72は、0.01マイクロメートル以上かつ1マイクロメートル以下の厚さの金属層によって形成されていれば、他の構成を省略できる。この場合、例えば、信号処理部54は、基材70に実装または形成されていなくてもよく、温度センサ80は、基材70に実装または形成されていなくてもよい。
【0179】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられひずみゲージ52と、ひずみゲージ52に電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給される電力入力部58と、を備え、ひずみゲージ52は、基材70と、基材70に設けられる抵抗体72と、基材70に設けられ、抵抗体72に電気的に接続されるゲージ配線74を含み、ゲージ配線74の単位長さあたりの電気抵抗値は、抵抗体72の単位長さあたりの電気抵抗値よりも低ければ、他の構成を省略できる。この場合、例えば、抵抗体72は、1マイクロメートルよりも厚い金属層によって形成されていてもよい。例えば、信号処理部54は、基材70に実装または形成されていなくてもよく、温度センサ80は、基材70に実装または形成されていなくてもよい。
【0180】
・釣り具10は、釣り具本体12と、釣り具本体12に設けられるひずみゲージ52と、電気配線75を有するフレキシブルプリント配線基板86と、フレキシブルプリント配線基板86の電気配線75を介して、ひずみゲージ52に電気的に接続される信号処理部54と、信号処理部54からの信号を出力する信号出力部56と、信号処理部54に電気的に接続され、釣り具本体12および外部の少なくとも1つに設けられる電源63からの電力が供給される電力入力部58と、を含み、ひずみゲージ52は、基材70と、基材70に設けられる抵抗体72と、基材70に設けられ、かつ、抵抗体72に電気的に接続されるゲージ端子76を含み、ゲージ端子76と、電気配線75とが、直接または導電性粒子を介して電気的に接続されていれば、他の構成を省略できる。この場合、例えば、抵抗体72は、1マイクロメートルよりも厚い金属層によって形成されていてもよい。例えば、信号処理部54は、基材70に実装または形成されていなくてもよく、温度センサ80は、基材70に実装または形成されていなくてもよい。
【0181】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他・の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0182】
10…釣り具、12…釣り具本体、12A…密閉空間、14,14X…リール、15,102…ケース、16…釣り竿、18…釣り竿本体、24…トップガイド、26,101…ハンドル、28,133…ハンドル軸、30,103…スプール、47…制動ユニット、50…カバー部材、52,52a、52b…ひずみゲージ、54…信号処理部、54A…アンプ、54B…ADコンバータ、56…信号出力部、58…電力入力部、60…無線送信装置、62…演算処理装置、63…電源、64…操作部、66…回転状態検出部、68…報知装置、70…基材、70A…第1配置面、70B…第2配置面、70C…第1接続孔、70X…第1部分、70Y…第2部分、72…抵抗体、72A…第1抵抗体、72B…第2抵抗体、74…ゲージ配線、74A…第1部分、74B…第2部分、75…電気配線、75A…第1配線部分、75B…第2配線部分、76…ゲージ端子、78…フレキシブルプリント配線基板、78A…電気配線、78B…基板、78C…配線端子、79…ファスナ部材、80…温度センサ、84…電気回路基板、86…フレキシブルプリント配線基板、88A…第1接続部、88B…第2接続部、90A…第1熱伝導体、90B…第2熱伝導体、92…接着層、94…櫛形電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図26
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図28
図29
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図31