(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】携帯用加工機
(51)【国際特許分類】
B23D 47/02 20060101AFI20240318BHJP
B23D 45/16 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B23D47/02
B23D45/16
(21)【出願番号】P 2020089441
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 修司
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039100(JP,A)
【文献】特開2016-097520(JP,A)
【文献】特許第4870973(JP,B2)
【文献】特開2013-248740(JP,A)
【文献】特開2005-066730(JP,A)
【文献】特開2006-159786(JP,A)
【文献】特開2017-047647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 47/00、02
B23D 45/16
B25F 5/00
B27B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用加工機であって、
加工材に当接される下面を具備するベースと、
前記ベースの上面側に支持された加工機本体と、
前記ベースに補助器具を取り外し可能に取り付ける取り付け部を有し、
前記取り付け部は、
前記補助器具が保持される保持溝部の上方を跨るように前記ベースに一体に設けられた台座部と、
前記
台座部の下面側に着脱可能に保持される雌ねじ部材と、
前記雌ねじ部材に螺合され、かつ前記雌ねじ部材に対して締め込まれて前記補助器具を前記ベースに押し付ける雄ねじ部材と、
前記雄ねじ部材と前記補助器具との間に配置され、かつ前記
台座部に取り付けられて、前記雄ねじ部材を介して前記雌ねじ部材を前記
台座部に保持するリーフスプリングを有する携帯用加工機。
【請求項2】
請求項1に記載した携帯用加工機であって、
前記リーフスプリングは、
前記台座部の上面に当接する天板部と、前記雄ねじ部材と前記補助器具との間に配置される底板部と、前記天板部と前記底板部を連結して前記底板部が前記雄ねじ部材を介して前記雌ねじ部材を弾性的に
前記台座部の下面側に押し付けることを許容する連結部を有する携帯用加工機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した携帯用加工機であって、
前記
台座部の上面には、前記リーフスプリングが前記雄ねじ部材の締め付け方向と直交する面方向に変位することを規制する変位規制部が設けられた携帯用加工機。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載した携帯用加工機であって、
前記リーフスプリングが押圧される前記
台座部の上面に、
前記リーフスプリングを前記台座部から取り外す際に用いる工具を差し入れることを許容する凹部が設けられた携帯用加工機。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載した携帯用加工機であって、
前記リーフスプリングは、前記雄ねじ部材と前記補助器具の間に設置される底板部と、前記補助器具を前記ベースに取り付ける取り付け方向における前記底板部の端縁から前記補助器具から離れる方向に斜めに延出する案内部を有する携帯用加工機。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載した携帯用加工機であって、
前記雄ねじ部材の前記雌ねじ部材に対する緩み止めをするために前記雌ねじ部材又は前記雄ねじ部材に設けられた緩み止め構造を有する携帯用加工機。
【請求項7】
請求項6記載の携帯用加工機であって、
前記雌ねじ部材は挿通孔を有し、前記挿通孔の一部に雌ねじ部が形成され、前記緩み止め構造が前記雌ねじ部材の前記挿通孔に設けられた携帯用加工機。
【請求項8】
請求項
1~7の何れか1項に記載した携帯用加工機であって、
前記雄ねじ部材の押す力を
前記リーフスプリングを介して前記補助器具に伝える携帯用加工機。
【請求項9】
請求項
1~8の何れか1項に記載した携帯用加工機であって、
前記台座部の下面に前記雌ねじ部材を収容可能な保持孔を有し、前記保持孔の下方に前記ベースを貫通して設けられて前記雌ねじ部材を通過可能とする窓部を有する携帯用加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が手に持って移動操作することにより切断加工等を行う携帯用加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用加工機の移動方向を加工材の端縁に対して平行に案内するために平行定規が用いられる。平行定規は、携帯用加工機のベースに装着される。ベースには、平行定規の脚部を固定するための定規取り付け部が設けられる。
【0003】
特許文献1には、ベースに設けた雌ねじ部に雄ねじ部材を締め込んで、その先端部を板金部材を介して脚部に押し付けることで平行定規を固定する構成が開示されている。特許文献2には、雄ねじ部材の先端に押圧部材を軸回りに回転可能に支持して、雄ねじ部材の締め込みにより押圧部材を脚部に押し付けて平行定規を固定する構成が開示されている。特許文献3には、ベースに取り付けた高耐久性の雌ねじ部材に雄ねじ部材を締め込む構成、雄ねじ部の先端に押圧部材を軸回りに回転可能に支持した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-248740号公報
【文献】特開2017-206003号公報
【文献】特開2018-39100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示された技術では、ベースに設けた雌ねじ部に加工屑等の異物を噛み込んだまま雄ねじ部材を無理に締め込んだ場合には雌ねじ部が損傷を受けるおそれがあり、場合によってはベースごと交換する必要があった。この点でメンテナンスコストが嵩む。特許文献3に開示された技術では、ベースとは別部品で高耐久性の雌ねじ部材が用いられる。このため、雌ねじ部材が損傷を受けた場合には、雌ねじ部材のみをベースから取り外して交換すれば足りる。これによりメンテナンスコストを低減できる。しかしながら、当該携帯用加工機の組み立て段階で、雄ねじ部材の緩み止めをするため圧縮ばねを、別部品である雌ねじ部材と組み合わせてベースに組み付ける必要があり、この点で組み付け作業が面倒で手間が掛かる問題があった。この点は、メンテナンス性の低下の原因ともなっている。
【0006】
以上のことから、携帯用加工機の例えば平行定規等の補助器具の取り付け構造について、組み立て性及びメンテナンス性を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの特徴によると、携帯用加工機は、加工材に当接される下面を具備するベースと、ベースの上面側に支持された加工機本体とを備える。ベースに補助器具を取り外し可能に取り付ける取り付け部を有する。取り付け部は、ベースに着脱可能に保持される雌ねじ部材と、雌ねじ部材に螺合され、かつ雌ねじ部材に対して締め込まれて補助器具をベースに押し付ける雄ねじ部材とを有する。雄ねじ部材の雌ねじ部材に対する緩み止めをするために、雌ねじ部材又は雄ねじ部材に緩み止め構造を有する。
【0008】
従って、雌ねじ部が損傷を受けた場合等には、ベースから取り外して雌ねじ部だけを交換することができる。これにより、ベースの全体を交換等する従来構成に比してメンテナンスコストを低減することができる。緩み止め構造により雄ねじ部材の緩み止めがなされる。緩み止め構造は、雌ねじ部材自体又は雄ねじ部材自体に設けられる。このため、雌ねじ部材又は雄ねじ部材とは別部材の圧縮ばね等を用いて雄ねじ部材の緩み止めをする従来構成に比して、補助器具取り付け部位の組み立て性が良くなる。緩み止め構造を有する雌ねじ部材には、例えばねじ孔に隣接してポリアミド製のリングを装着したナイロンナット(JIS B1199-1、ナイロンは登録商標)、又はねじ孔に金属リングを装着したロックナットを用いることができる。緩み止め構造には、例えばハードロックナット(登録商標)などのように金属で一体になったねじ山自体を弾性変形させる構造を用いることができる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、雌ねじ部材は挿通孔を有している。挿通孔の一部に雌ねじ部が形成されている。緩み止め構造が雌ねじ部材の挿通孔内の雌ねじ部に隣接した部位に設けられている。従って、雌ねじ部材に対する雄ねじ部の緩み止めがなされる。このため、従来緩み止めのために用いた圧縮ばね等の付勢部材を省略することで組み立て性が改善される。
【0010】
本開示の他の特徴によると、雄ねじ部材と補助器具との間に配置されて、雄ねじ部材の押し力を補助器具に伝えるリーフスプリングを有する。従って、雄ねじ部材の軸力のみがリーフスプリングを介して補助器具に伝わって補助器具が固定される。これに対して、雄ねじ部の回転トルクはリーフスプリングで受けられて補助器具に伝わらないことから、雄ねじ部材の締め付けの際に補助器具の位置ずれが防止される。
【0011】
本開示の他の特徴によると、リーフスプリングは、ベースに取り付けられる。雄ねじ部材を介して雌ねじ部材がリーフスプリングによりベースに保持される。従って、簡易な構成で雌ねじ部材のベースに対する保持がなされるとともに、雌ねじ部材の脱着の容易性が確保される。このように、リーフスプリングに、雄ねじ部材と補助器具との間の介在部材としての機能に加えて、雌ねじ部材を保持する機能を併せ持たせることができる。
【0012】
本開示の他の特徴によると、携帯用加工機は、加工材に当接される下面を具備するベースと、ベースの上面側に支持された加工機本体とを有する。ベースに補助器具を取り外し可能に取り付ける取り付け部を有する。取り付け部は、ベースに着脱可能に保持される雌ねじ部材と、雌ねじ部材に螺合され、かつ雌ねじ部材に対して締め込まれて補助器具をベースに押し付ける雄ねじ部材とを有する。雄ねじ部材と補助器具との間に配置され、かつベースに取り付けられて、雄ねじ部材を介して雌ねじ部材をベースに保持するリーフスプリングを有する。
【0013】
従って、雌ねじ部が損傷を受けた場合等には、ベースから取り外して雌ねじ部だけを交換することができる。これにより、ベースの全体を交換等する従来構成に比してメンテナンスコストを低減することができる。雄ねじ部材と補助器具との間にリーフスプリングが介在されることで、雄ねじ部材を締め付ける際の補助器具の位置ずれが防止される。また、雄ねじ部材を介してリーフスプリングにより雌ねじ部材がベースに保持される。これにより、簡易な構成での雌ねじ部材の保持が実現されるとともに、雌ねじ部材の脱着の容易性が高められる。従って、補助器具の取り付け部位の組み立て性が改善される。このようにリーフスプリングに、雄ねじ部材と補助器具との間の介在部材としての機能に加えて、雌ねじ部材を保持する機能を併せ持たせることができる。
【0014】
本開示の他の特徴によると、リーフスプリングは、ベースの台座部に当接する天板部と、雄ねじ部材と補助器具との間に配置される底板部とを有する。リーフスプリングは、天板部と底板部を連結して底板部が雄ねじ部材を介して雌ねじ部材を弾性的にベースの台座部に押し付けることを許容する連結部を有する。従って、リーフスプリングのベースに対する取り付け構造が簡略されるとともに、脱着の容易性が高められる。
【0015】
本開示の他の特徴によると、リーフスプリングとベースとの間には、リーフスプリングが雄ねじ部材の締め付け方向と直交する面方向に変位することを規制する変位規制部が設けられている。これによりリーフスプリングの不用意な脱落が防止される。また、雄ねじ部材の締め付けの際の回転トルクをリーフスプリングで受けて、補助器具の位置ずれを確実に防止できる。
【0016】
本開示の他の特徴によると、リーフスプリングが押圧されるベースの台座部に、リーフスプリングとの間に工具を差し入れることを許容する凹部が設けられている。従って、リーフスプリングを台座部から取り外す際の便宜が図られる。
【0017】
本開示の他の特徴によると、リーフスプリングは、雄ねじ部材と補助器具の間に設置される底板部と、補助器具をベースに取り付ける取り付け方向における底板部の端縁から補助器具から離れる方向に斜めに延出する案内部を有する。従って、案内部により、補助器具を取り付ける際又は取り外す際の便宜が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る携帯用加工機の全体右側面図である。
【
図2】携帯用加工機を
図1中矢印II方向から見た上面図である。
【
図3】携帯用加工機を
図2中矢印III方向から見た左側面図である。
【
図4】携帯用加工機を
図3中矢印IV方向から見た前面図である。
【
図5】携帯用加工機を
図3中矢印V方向から見た後面図である。
【
図6】携帯用加工機を
図3中矢印VI方向から見た下面図である。
【
図7】ベース及びベースに取り付けた平行定規の斜視図である。本図では、ベースから加工機本体が分離された状態が示されている。
【
図8】
図2中のVIII-VIII線断面矢視図であって、平行定規及び取り付け部の縦断面図である。
【
図9】ベースの前部であって、平行定規の取り付け部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本開示の実施形態を
図1~
図12に基づいて説明する。
図1~6には本実施形態に係る携帯用加工機1が示されている。携帯用加工機1は、携帯マルノコと称される携帯用切断機で、矩形平板形状を有して加工材Wの上面に当接されるベース2と、ベース2の上面側に支持した加工機本体10を備えている。
【0020】
図1、2において、使用者は携帯用加工機1の左側に位置して、携帯用加工機1を
図1、2において右側へ移動させることにより切断加工が進行する。以下の説明において、切断加工が進行する方向を前側とし、使用者側を後側として部材及び構成の前後方向を特定する。また、左右方向については使用者を基準にして特定する。
【0021】
加工機本体10は、電動モータ12を駆動源として回転するチップソーと称される円板形の刃具13を備えている。刃具13の上部側は固定カバー14で覆われている。
図2、4、5に示すように固定カバー14の左側面に減速ギヤ部11を介して電動モータ12が配置されている。電動モータ12は円筒形のモータハウジング12aに内装されている。電動モータ12は、モータ軸線(出力軸線)Jを左右方向に沿わせた向きで取り付けられている。電動モータ12にはブラシレスモータが用いられている。
【0022】
図3に示すようにモータハウジング12aの左側面には、外気導入用の吸気口12bが設けられている。電動モータ12の出力軸には冷却ファン(図では見えていない)が取り付けられている。電動モータ12が起動して冷却ファンが回転すると。吸気口12bからモータハウジング12a内に外気が導入されて電動モータ12の冷却がなされる。
【0023】
モータハウジング12aの上部には、転倒接地用の脚部12cが設けられている。ベース2の下面を上方へ向けた当該携帯用加工機1の転倒姿勢で、脚部12cとハンドル部25の上部とベース2の前角部が接地されることで、当該携帯用加工機1を安定した転倒姿勢で設置しておくことができる。これにより加工作業中の合間に一時的に当該携帯用加工機1から手を放して安定姿勢で設置しておくことができる。
【0024】
減速ギヤ部11は、同じく円筒形を有するギヤハウジング11aに収容されている。減速ギヤ部11には、平歯車を噛み合わせたギヤ列が用いられている。電動モータ12の回転出力が減速ギヤ部11で減速されて、刃具13を取り付けたスピンドル13aに出力される。スピンドル13aは、ギヤハウジング11aから固定カバー14内に突き出されている。固定カバー14内に突き出されたスピンドル13aの先端に刃具13が取り付けられている。刃具13は、スピンドル13aの先端に固定ねじを締め込んで固定されている。
【0025】
図1、3、4、5に示すように、刃具13の下部側は、ベース2の窓部2aを経て下面側に突き出されている。ベース2の下面側に突き出された下部側が加工材Wに切り込まれて切断加工がなされる。ベース2の下面側へ突き出された刃具13の下部側の周縁部(刃先)は、可動カバー15で覆われている。可動カバー15は、固定カバー14に対して刃具13の回転中心(スピンドル13a)付近を中心として回動可能に支持されている。可動カバー15は、
図1において時計回り方向に回動されると開かれて、刃具13の周縁が露出される。可動カバー15は、
図1において反時計回り方向に回動されると、閉じられて刃具13の周縁が覆われる。
図6に示すように可動カバー15と固定カバー14との間に引っ張りばね16が介装されている。可動カバー15は、引っ張りばね16によって閉じ方向に付勢されている。
【0026】
図3に示すようモータハウジング12aの後方には、コントローラ収容部17が設けられている。コントローラ収容部17には、矩形平板形のコントローラ17aが収容されている。コントローラ17aにより電動モータ12の動作制御がなされる。コントローラ17aの制御基板には、電動モータ12のセンサ基板で検知された回転子の位置情報に基づいて制御信号を送信する制御回路が搭載されている。また、コントローラ17aの制御基板には、この制御回路から受信した制御信号に基づいて電動モータ12の電流をスイッチングする駆動回路が搭載されている。さらに、制御基板には、バッテリパック20の状態の検出結果に応じて過放電又は過電流状態とならないように電動モータ12への電力供給を遮断するオートストップ回路が搭載されている。
【0027】
コントローラ収容部17の後方に、バッテリ取り付け部21が設けられている。バッテリ取り付け部21は概ね平板形を有して後方へ水平に延びる状態に設けられている。バッテリ取り付け部21の下面に直方体形をなす1つのバッテリパック20が取り付けられている。バッテリパック20は、バッテリ取り付け部21の下面に沿ってスライドさせて取り付け、取り外しされる。
図5に示すようにバッテリ取り付け部21に対して右方へスライドさせてバッテリパック20を取り付けることができる。バッテリ取り付け部21に対して左方へスライドさせてバッテリパック20を取り外すことができる。電動モータ12は、バッテリパック20の電力を電源として起動する。
【0028】
図2、5に示すようにバッテリ取り付け部21の上面には、1つの六角棒スパナ22を保持しておくことができる。六角棒スパナ22は、一端側をバッテリ取り付け部21の上面に設けた二股部21aに弾性的に挟み込まれて保持されている。六角棒スパナ22の他端側は、バッテリ取り付け部21の上面に設けた保持孔21bに差し込まれて保持されている。
【0029】
モータハウジング12aとギヤハウジング11aとの結合部付近とバッテリ取り付け部21の後部上面付近との間に跨ってループ形のハンドル部25が設けられている。ハンドル部25は、モータハウジング12aとギヤハウジング11aとの結合部付近から上方へ延びる起立部25aと、起立部25aの上部から後方へ下る方向に延びる把持部25bを備えている。把持部25bの後部がバッテリ取り付け部21の後部上面付近に結合されている。起立部25aと把持部25bの結合部付近下面にトリガ形式のスイッチレバー25cが設けられている。使用者は、把持部25bを把持して当該携帯用加工機1を移動操作し、またスイッチレバー25cを引き操作して電動モータ12を起動させることができる。
【0030】
スイッチレバー25cの上方には、ロックオフボタン25dが設けられている。ロックオフボタン25dは、ハンドル部25の左右両側面からはみ出すように配置されている。ロックオフボタン25dを押し込み操作しない状態ではスイッチレバー25cの引き操作が禁止されたロックオフ状態となる。ロックオフボタン25dの何れか一方側を押し込み操作すると、ロックオフ状態が解除されてスイッチレバー25cを引き操作可能となる。スイッチレバー25cの引き操作を解除すると、ロックオフボタン25dの押し込み操作が解除されて、ロックオフ状態に自動復帰する。ロックオフ状態により使用者の意図しない不用意な起動が防止される。
【0031】
ロックオフボタン25dは、ハンドル部25を左右幅方向に跨る長さの円柱体形を有して、その両端部(操作部)がハンドル部25の左右両側に突き出されている。このため、ロックオフボタン25dは、左右何れの側からも押し込み操作してロックオフ状態を解除できる。
図4,5に示すようにロックオフボタン25dの端部は、斜め上方に向けた傾斜面に形成されている。使用者は傾斜面に指先を押し当てて下方へ押し下げる力を加えることでロックオフボタン25dを左右方向に移動させて押し込み操作することができる。これにより、使用者は指先に窮屈な姿勢を取ることなくロックオフボタン25dを楽に押し込み操作でき、この点でロックオフボタン25dの良好な操作性が確保されている。
【0032】
図3に示すようにハンドル部25の起立部25aの左側部には、アダプタ収容部26が設けられている。アダプタ収容部26には、近距離無線通信用の通信アダプタ26aが一つ収容されている。通信アダプタ26aにより当該携帯用加工機1と他の無線機器との間で近距離無線通信がなされる。近距離無線通信により、当該携帯用加工機1の起動停止操作に連動して、例えば付近に設置した集塵機の起動停止がなされる。この無線通信機能により、作業者は清浄な作業環境を維持しつつ切断作業を効率よく続行することができる。通信アダプタ26aは、アダプタ収容部26から取り外すことができる。取り外した通信アダプタ26aは、互換性を有する他の電動工具に転用することができる。
【0033】
加工機本体10は、前部支持部4と後部支持部5を介してベース2の上面に支持されている。加工機本体10は、前部支持部4の上下揺動支軸3を介してベース2に対して上下に揺動可能に支持されている。加工機本体10のベース2に対する上下の揺動位置を変化させることにより、刃具13のベース2の下面側への突き出し量を変化させることができ、これにより加工材Wに対する切り込み深さを調整することができる。
図1は、加工機本体10をベース2に対して下動端に位置させて切り込み深さを最大に設定した状態を示している。
【0034】
加工機本体10のベース2に対する上下揺動位置は、後部支持部5の固定レバー5aを固定側に回動操作することにより固定される。後部支持部5は、ベース2の上面に設けた円弧形のデプスガイド5bを備えている。デプスガイド5bは、揺動支軸5cを介して前後に揺動可能に支持されている。固定レバー5aには、固定ねじ5dが結合されている。固定ねじ5dは、デプスガイド5bのガイド溝に挿通されて、固定カバー14の左側部に螺合されている。固定レバー5aの下方への傾動操作により固定ねじ5dが締め付けられ、上方への傾動操作により固定ねじ5dが緩められる。固定レバー5aを下方へ傾動操作して固定ねじ5dを締め込むことで、デプスガイド5bが挟み込まれる。これにより、加工機本体10のベース2に対する上下揺動位置が固定されて、切り込み深さが固定される。固定レバー5aを上方へ傾動操作して固定ねじ5dが緩められることで、加工機本体10の上下揺動位置を変更して切り込み深さを調整することができる。
【0035】
加工機本体10は、前後の左右傾動支軸6,7を介してベース2に対して左右に傾動可能に支持されている。前側の左右傾動支軸6が
図4に示され、後側の左右傾動支軸7が
図5に示されている。前後の左右傾動支軸6,7は、相互に同軸に配置されている。左右傾動支軸6,7を介して加工機本体10の左右傾動位置を調整することにより刃具13を加工材Wに対して斜めに切り込ませて傾斜切りを行うことができる。
【0036】
加工機本体10の左右傾動位置若しくは直角切り位置は、前部支持部4の固定レバー4aを締め込み、後部支持部5の摘みねじ5eを締め込むことで固定される。固定レバー4aと摘みねじ5eを緩めることで、加工機本体10を左右に傾動させることができる。
図1~4に示すようにベース2の前部上面には、円弧形のアンギュラープレート4bが起立状に設けられている。アンギュラープレート4bの後面に沿って傾動ブラケット4cが支持されている。傾動ブラケット4cが前側の左右傾動支軸6を介してアンギュラープレート4bに対して左右に傾動可能に結合されている。固定レバー4aの締め込みにより傾動ブラケット4cの左右傾動位置が固定される。傾動ブラケット4cに上下揺動支軸3を介して加工機本体10の前部が結合されている。
【0037】
図2~6に示すようにベース2の前部には、補助器具を取り付けることができる。本実施形態では、図示するように補助器具として平行定規30を例示する。平行定規30は、刃具13を加工材Wの側部に沿って平行に切り込ませていくためのガイドの機能を果たす。平行定規30は、加工材Wの側部に当接させる平板形の定規本体31と、定規本体31から左右方向に長く延びる1つの脚部32を有する。ベース2に対して脚部32を固定することで、刃具13に対する定規本体31の位置が固定される。
【0038】
平行定規30は、ベース2の前部に設けた定規取り付け部35に取り付けられる。定規取り付け部35の詳細が
図7、8に示されている。定規取り付け部35は、固定部36と左右の保持部37,38を有している。左右の保持部37,38は、ベース2の左右側部に設けられている。ベース2の左右側部には、それぞれ壁部2b,2cが上方へ折り返し状に設けられている。左右の壁部2b,2cは、主として当該ベース2の面剛性を高めるためのリブとして機能する。左右の壁部2b,2cのそれぞれに1つの保持部37,38が設けられている。
【0039】
左側の壁部2bに設けた保持部37は、上方へ開口された断面矩形の溝形状を有している。右側の壁部2cに設けた保持部38は、矩形の貫通孔形状を有している。平行定規30の脚部32は、左右の保持部37、38に跨って支持されている。
図7に示すように左側の保持部37と右側の保持部38との間に、脚部32をガタツキなく収容するための保持溝部39が設けられている。
【0040】
左側の保持部37の右隣に、固定部36が設けられている。固定部36の詳細が
図8,9に示されている。固定部36は、保持溝部39を前後に跨る台座部36aを有する。台座部36aは、アルミダイキャストによりベース2に一体に成形されている。台座部36aは、上面が平坦な上面部36bと、上面部36bの左右端縁から下方へ張り出す左右壁部36c,36dを有している。台座部36aは、左右壁部36c,36dの下方に平行定規30の脚部32を挿通可能となるよう保持溝部39から上方へ変位した位置に配置されている。
【0041】
図9,10に示すように上面部36bの前後には、保持壁部36e,36fが設けられている。前後の保持壁部36e,36fは、それぞれ上面部36bの前後縁部に沿って設けられている。前後の保持壁部36e,36fは、相互に一定の間隔をおいて平行に配置されている。上面部36bの中央には、円形の挿通孔36gが一つ設けられている。
【0042】
挿通孔36gの右側には、1つの係合凸部36hが設けられている。係合凸部36hの左部には、挿通孔36g側に向けて下る案内傾斜面36iが設けられている。係合凸部36hの右方であって、上面部36bの右端縁には、矩形の凹部36jが設けられている。挿通孔36g、係合凸部36h、凹部36jの詳細については後述する。
【0043】
上面部36bの下方には、矩形の窓部2dが設けられている。このため、
図11に示すように平行定規30を取り外した状態では、窓部2dを経て上面部36bの下面側がベース2の下面側に露出される。
図11に示すように上面部36bの下面には六角形の保持孔36kが設けられている。保持孔36kは、下方に向けて開口されている。保持孔36kは、挿通孔36gと同軸に設けられている。
【0044】
図8、9に示すように固定部36は、上記台座部36aに加えて、1つの雄ねじ部材40と、1つのリーフスプリング41と、1つの雌ねじ部材42を有する。雄ねじ部材40は、ねじ軸部40aと摘み部40bを有する。ねじ軸部40aが上面部36bの挿通孔36gに上方から挿通されている。
【0045】
リーフスプリング41の詳細が
図9、12に示されている。リーフスプリング41は、台座部36aの上面側(上面部36b側)沿って当接される天板部41aと、台座部36aの下面に沿って位置する底板部41bと、天板部41aと底板部41bを連結する連結部41cを有する。天板部41aの左端部と、底板部41bの左端部が連結部41cで連結されて、当該リーフスプリング41は正面視でC字形を有する。
【0046】
天板部41aの中央には円形の挿通孔41dが設けられている。挿通孔41dは、台座部36aの挿通孔36gより少し大きい径で形成されている。当該リーフスプリング41が台座部36aに取り付けられた状態では、挿通孔41dが台座部36aの挿通孔36gに同軸に位置されて、雄ねじ部材40のねじ軸部40aが挿通される。
【0047】
挿通孔41dの右部には、矩形の係合凹部41eが切り込み形成されている。当該リーフスプリング41が台座部36aに取り付けられた状態では、台座部36aの係合凸部36hが係合凹部41e内に進入される。これにより、リーフスプリング41のガタツキ等による台座部36aに対する位置ずれや離脱が防止される。従って、係合凸部36hは、リーフスプリング41の面方向(上面部36bの面方向)の変位を規制する変位規制部として機能する。
【0048】
底板部41bの先端部には、一定幅で上方へ上る方向に傾斜する案内部41fが設けられている。平行定規30を取り付けるために脚部32を保持溝部39内に進入させる際に、案内部41fにより脚部32の先端部が底板部41bの下面側に案内される。これにより平行定規30の取り付けの際の便宜が図られている。
【0049】
雌ねじ部材42には、六角ナットが用いられている。雌ねじ部材42には、ねじ孔42aの口元の円環形の溝内に樹脂部材としてポリアミド製のリング(緩み止め部材42b)が設けられた緩み止めナット(ナイロンナット:JIS B1199-1)が用いられている。雌ねじ部材42は、台座部36aの保持孔36kに収容される。緩み止め部材42bが緩み止め構造に相当する。
【0050】
図9に示すように台座部36aに対するリーフスプリング41の装着に先だって、雌ねじ部材42が台座部36aの保持孔36kに収容される。雌ねじ部材42は、ベース2の窓部2dを経て台座部36aの保持孔36kに収容することができる。保持孔36kに収容された状態では、雌ねじ部材42のねじ孔42aが台座部36aの挿通孔36gにほぼ同軸に位置される。雌ねじ部材42の収容状態を保持しつつ、リーフスプリング41が、台座部36aに対して左側から装着される。リーフスプリング41は、連結部41cとは反対側の開口側を台座部36aに向けて右方へ移動させることで台座部36aに装着される。
【0051】
リーフスプリング41が台座部36aに装着されると、天板部41aが台座部36aの上面部36bに沿って位置し、底板部41bが台座部36aの下面側に沿って位置する。リーフスプリング41は、天板部41aと底板部41bで台座部36aを弾性的に挟み込んで装着される。
【0052】
リーフスプリング41が装着された状態では、その天板部41aが台座部36aの上面部36bに弾性的に押圧される。
図7,8に示すようにリーフスプリング41の天板部41aは、前後の保持壁部36e,36f間にガタつきなく嵌まり込んで、上面部36bに押圧される。前後の保持壁部36e,36fは、係合凸部36hと同じくリーフスプリング41の面方向(上面部36bの面方向)の変位を規制する変位規制部としての機能を有している。また、リーフスプリング41の挿通孔41dと台座部36aの挿通孔36gがほぼ同軸に一致した状態となる。さらに、リーフスプリング41の係合凹部41eには、台座部36aの係合凸部36hが嵌まり込んで、天板部41aひいてはリーフスプリング41の台座部36aからの不用意な脱落が防止される。
【0053】
台座部36aに対してリーフスプリング41が装着される段階では、天板部41aの先端が、上面部36bの案内傾斜面36iに案内されることで、天板部41aの係合凹部41e内に係合凸部36hがスムーズに嵌まり込んで位置決めされる。
【0054】
図8に示すようにリーフスプリング41が装着されると、その天板部41aの先端部が、台座部36aの凹部36jに被さるように位置される。このため、凹部36jにマイナスドライバ等の工具の先端部を差し入れて、天板部41aを上面部36bから容易に浮き上がらせることができる。天板部41aを上面部36bから浮き上がらせることで、リーフスプリング41の係合凹部41eに対する係合凸部36hの係合状態を容易に外すことができる。これにより、リーフスプリング41を台座部36aから取り外す際の便宜が図られる。
【0055】
リーフスプリング41が装着されて底板部41bが台座部36aの下面側に沿って位置することで、保持孔36kが底板部41bで塞がれる。これにより、雌ねじ部材42が保持孔36kに収容された状態に保持される。
【0056】
リーフスプリング41が台座部36aに装着された状態では、連結部41cが台座部36aの左壁部36cに当接される。これによりリーフスプリング41の台座部36aに対する右方(取り付け方向)への位置決めがなされる。リーフスプリング41の台座部36aに対する左方(取り外し方向)への位置決めは、上記したように係合凹部41e内に係合凸部36hが嵌まり込むことでなされる。
【0057】
台座部36aに対してリーフスプリング41と雌ねじ部材42が装着された状態で、雄ねじ部材40のねじ軸部40aが、リーフスプリング41の挿通孔41d、台座部36aの挿通孔36gを経て雌ねじ部材42のねじ孔42aに締め込まれる。
図8に示すように締め込まれたねじ軸部40aの先端部が、雌ねじ部材42のねじ孔42aから突き出されてリーフスプリング41の底板部41bに突き当てられる。
【0058】
雄ねじ部材40が雌ねじ部材42に対して十分に締め込まれると、ねじ軸部40aの先端部がリーフスプリング41の底板部41bを介して平行定規30の脚部32に押し当てられる。これにより平行定規30が移動不能に取り付けられる。また、ねじ軸部40aにはねじ孔42aの口元に設けた緩み止め部材42bが押圧される。これにより雄ねじ部材40の雌ねじ部材42に対する緩み止めがなされる。
【0059】
以上のように構成した携帯用加工機1によれば、雄ねじ部材40が締め込まれる雌ねじ部材42はベース2とは別体で取り付けられている。このため、例えば加工屑の噛み込み等により雌ねじ部材42が損傷を受けた場合等には、ベース2から取り外して雌ねじ部材42だけを交換することができる。これにより、ベースの全体を交換等する従来構成に比してメンテナンスコストを低減することができる。
【0060】
また、雌ねじ部材42にはねじ孔42aの口元にポリアミド製の緩み止め部材42bが設けられた緩み止めナットが用いられている。雄ねじ部材40の緩み止めが緩み止めナットによりなされることから、従来の緩み止め用の圧縮ばねを省略することができる。これにより、固定部36の組み立て性及びメンテナンス性が良くなる。
【0061】
従来の圧縮ばねに代えて用いる緩み止め構造は、雌ねじ部材42のねじ孔42aの口元に設けたポリアミド製の緩み止め部材42bに代えて様々な形態の緩み止め構造を用いることができる。例えば、雄ねじ部材40のねじ軸部40aに緩み止め部材(樹脂を霧状にして雄ねじのねじ部に吹き付け、弾性を有した状態で固化する方法が知られている)を塗布してもよい。また、雌ねじ部材のねじ孔の口元に金属リングを装着した緩み止めナット(ロックナット)を用い、あるいはハードロックナット(登録商標)などのような金属製のねじ山を弾性変形させる構成としてもよい。これらの緩み止め構造を用いることで、従来緩み止めのために用いた圧縮ばね等の付勢部材を省略することができる。これにより、補助器具の取り付け部位の組み立て性及びメンテナンス性が改善される。
【0062】
例示した定規取り付け部35によれば、雄ねじ部材40のねじ軸部40aと脚部32との間に、リーフスプリング41の底板部41bが挟み込まれる。従って、底板部41bを介して雄ねじ部材40の押し力が脚部32に伝わる。このため、雄ねじ部材40の締め付け力(回転トルク)はリーフスプリング41の底板部41bで受けられて脚部32に伝わらない。これにより、雄ねじ部材40の締め付けの際に脚部32ひいては平行定規30の位置ずれが防止される。
【0063】
リーフスプリング41は、ベース2に設けた台座部36aに取り付けられる。雄ねじ部材40を介して雌ねじ部材42がリーフスプリング41の底板部41bによりベース2の台座部36aに保持される。従って、簡易な構成で雌ねじ部材42のベース2に対する保持がなされるとともに、雌ねじ部材42の脱着の容易性が確保される。このように、リーフスプリング41に、雄ねじ部材40と脚部32との間の介在部材としての機能に加えて、雌ねじ部材42を保持する機能を併せ持たせることができる。
【0064】
リーフスプリング41は、台座部36aの上面部36bに当接する天板部41aと、雄ねじ部材40と平行定規30の脚部32との間に配置される底板部41bとを有する。天板部41aと底板部41bは連結部41cで連結されている。正面視でC字形を有するリーフスプリング41の弾性力により、台座部36aが天板部41aと底板部41bで弾性的に挟み込まれて当該リーフスプリング41が台座部36aに取り付けられる。これにより、リーフスプリング41の台座部36aに対する取り付け構造が簡略されるとともに、脱着の容易性が高められる。また、リーフスプリング41の弾性力により、底板部41b及び雄ねじ部材40を介して雌ねじ部材42が台座部36aの保持孔36kに弾性的に押し付けられて保持される。これにより、台座部36aに対する雌ねじ部材42の脱着の容易性が確保される。
【0065】
台座部36aには、リーフスプリング41が雄ねじ部材40の締め付け方向と直交する面方向に変位することを規制する変位規制部として係合凸部36h及び前後の保持壁部36e,36fが設けられている。これによりリーフスプリング41の面方向(上面部36bの面方向)への変位が規制されて、台座部36aからの不用意な脱落が防止される。
【0066】
また、台座部36aの上面部36bに、リーフスプリング41の天板部41aとの間にマイナスドライバ等の工具を差し入れることを許容する凹部36jが設けられている。これにより、リーフスプリング41を台座部36aから取り外す際の便宜が図られる。
【0067】
さらに、リーフスプリング41の底板部41bの先端には、上側へ傾斜する案内部41fを有する。この案内部41fによれば、脚部32を保持溝部39内に進入させる際に、脚部32の先端部が底板部41bの下面側に案内される。これにより平行定規30の取り付けの際の便宜が図られる。
【0068】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、定規取り付け部35の固定部36をベース2の左側の保持部37に隣接して配置した構成を例示したが、ベース2の左右幅方向の中央、あるいは右側の保持部38に隣接して配置する構成としても良い。また、固定部36は1箇所に限らず、複数個所に設けることができる。
【0069】
雄ねじ部材40の雌ねじ部材42に対する緩み止め構造として、圧縮ばねを用いる従来構成を適用してもよい。この場合、雄ねじ部材40の摘み部40bと台座部36aの上面部36bとの間に圧縮ばねを介装することができる。これにより例示したポリアミド製の緩み止め部材42b等の緩み止め構造を省略することができる。
【0070】
携帯用加工機1の補助器具として平行定規30を例示したが、長尺定規アダプタあるいは際切り用の分割サブベース等その他の補助器具をベースに取り付ける場合に、例示した補助器具取り付け構造を適用することができる。
【0071】
また、携帯用加工機1として携帯マルノコとも称される携帯用切断機を例示したが、カッタ、ルーターあるいはジグソー等その他の携帯用加工機について、例示した補助器具取り付け構造を適用することができる。携帯用加工機は、バッテリパックを電源とするDC機に限らず、商用の交流100Vを電源とするAC機であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…携帯用加工機(携帯マルノコ)
W…加工材
2…ベース
2a…窓部、2b…壁部(左側)、2c…壁部(右側)、2d…窓部
3…上下揺動支軸
4…前部支持部
4a…固定レバー、4b…アンギュラープレート、4c…傾動ブラケット
5…後部支持部
5a…固定レバー、5b…デプスガイド、5c…傾動支軸、5d…固定ねじ、5e…摘みねじ
6…左右傾動支軸(前側)
7…左右傾動支軸(後側)
10…加工機本体
11…減速ギヤ部
11a…ギヤハウジング
12…電動モータ
12a…モータハウジング、12b…吸気口、12c…脚部
J…モータ軸線
13…刃具
13a…スピンドル
14…固定カバー
15…可動カバー
16…引っ張りばね
17…コントローラ収容部
17a…コントローラ
20…バッテリパック
21…バッテリ取り付け部
21a…二股部、21b…保持孔
22…六角棒スパナ
25…ハンドル部
25a…起立部、25b…把持部、25c…スイッチレバー、25d…ロックオフボタン
26…アダプタ収容部
26a…通信アダプタ
30…平行定規(補助器具)
31…定規本体
32…脚部
35…定規取り付け部
36…固定部
36a…台座部、36b…上面部、36c…壁部(左側)、36d…壁部(右側)
36e…保持壁部(前側)、36f…保持壁部(後側)、36g…挿通孔、36h…係合凸部
36i…案内傾斜面、36j…凹部、36k…保持孔
37…保持部(左側)
38…保持部(右側)
39…保持溝部
40…雄ねじ部材
40a…ねじ軸部、40b…摘み部
41…リーフスプリング
41a…天板部、41b…底板部、41c…連結部、41d…挿通孔、41e…係合凹部
41f…案内部
42…雌ねじ部材(緩み止めナット)
42a…ねじ孔、42b…緩み止め部材(緩み止め構造)