(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240318BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20240318BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240318BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
B65H1/04 310B
G03G15/00 107
G03G21/16 109
(21)【出願番号】P 2020095453
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】福島 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐一
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓真
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-230670(JP,A)
【文献】特開平08-002700(JP,A)
【文献】特開平07-072685(JP,A)
【文献】特開2018-100179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00 - 3/68
G01P 15/00 -15/18
G03B 27/58 -27/64
G03G 13/00
G03G 13/04
G03G 13/045
G03G 13/056
G03G 13/34 -15/00
G03G 15/04 -15/043
G03G 15/047
G03G 15/056
G03G 15/36
G03G 21/00 -21/02
G03G 21/14 -21/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が積載される積載手段と、
前記積載手段に積載された原稿の幅方向における一端が突き当たる突き当て手段と、
前記積載手段に積載された原稿を給送方向に給送する給送手段と、
前記給送手段により給送された原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される原稿の画像を読み取る読取手段と、
前記積載手段を前記搬送手段に対して回転自在に支持し、前記給送方向に延在する回動軸と、
前記回動軸を中心として前記積載手段を回転させる駆動手段と、を備え、
前記回動軸は、前記幅方向において、前記突き当て手段に一端が突き当たった状態の前記搬送手段により搬送可能な最大幅原稿の前記一端と、前記一端とは反対側の他端との間に、前記回動軸の少なくとも一部が存在するように配置されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記積載手段に、前記搬送手段により搬送可能な最大幅原稿を前記突き当て手段に一端を突き当てて積載したときの、前記最大幅原稿の前記幅方向における中央を通り、前記給送方向に平行な直線を第1直線とし、
前記積載手段に、前記搬送手段により搬送可能な最小幅原稿を前記突き当て手段に一端を突き当てて積載したときの、前記最小幅原稿の前記幅方向における中央を通り前記給送方向に平行な直線を第2直線としたとき、
前記回動軸は、前記幅方向において、前記第1直線と前記第2直線との間に、前記回動軸の少なくとも一部が存在するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
原稿が積載される積載手段と、
前記積載手段に積載された原稿の幅方向における一端が突き当たる突き当て手段と、
前記積載手段に積載された原稿を前記幅方向に直交する給送方向に給送する給送手段と、
前記給送手段により給送された原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される原稿の画像を読み取る読取手段と、
前記積載手段を前記搬送手段に対して回転自在に支持し、前記給送方向に延在する回動軸と、
前記回動軸を中心として前記積載手段を回転させる駆動手段と、
を備え、
前記回動軸は、前記幅方向において、前記積載手段の重心を含む中央領域に、前記回動軸の少なくとも一部が存在するように配置されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
前記回動軸は、前記幅方向において、前記積載手段の重心を通り前記給送方向に平行な直線上に、前記回動軸の少なくとも一部が存在するように配置されることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記積載手段は、前記給送手段による給送を行うことができない第1状態から、前記突き当て手段の位置が前記第1状態より高く、前記給送手段による給送を行うことが可能である第2状態になるように、前記駆動手段により前記回動軸を中心として回転することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記突き当て手段は、前記積載手段に固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置と、記録材に画像を形成する画像形成手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナ等の画像読取装置や、複写機等に設けられた画像読取装置には、原稿トレイ上に積載された原稿を連続的に給紙して画像読取位置まで搬送し、原稿の画像読み取りを行ったあとに排紙トレイ上に排紙する原稿送り装置が備えられている。一般的に、この原稿送り装置ではユーザーが水平の原稿トレイ上に原稿を置き、原稿トレイに設けられるサイド規制板を操作することで、原稿の幅方向を整列させている。
【0003】
一方で、原稿送り装置に用いられる原稿トレイにおいては、ユーザーによるサイド規制板の操作を不要にするために、特開平7-072685号公報のようにユーザーが原稿をセットする際に原稿トレイを手前側に傾斜させることで、原稿の自重を使って原稿を整列させる技術が知られている。特開平7-072685号公報の構成では、回動軸を中心に原稿トレイが回転可能に支持されており、ユーザーの原稿セット時には、回動軸を回転中心にして、原稿トレイが手前側に傾斜することが可能である。
【0004】
また、原稿トレイを手前側に傾斜させる構成を持つ原稿送り装置として、視点の低い操作者が操作パネル部の傾斜角度を見やすい角度に変更したときに、原稿トレイの傾斜角度を自動的に変更し、低い視点位置からでも原稿トレイの原稿積載面が見えるようにする技術(特開2003-323084号公報)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-072685号公報
【文献】特開2003-323084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原稿送り装置の原稿トレイを回転させるために必要なトルクは、回転軸の位置と、原稿トレイ自身及びそこにセットされる原稿の重心の位置に大きく依存する。原稿トレイの回転に必要なトルクが大きくなると、駆動源も大きいものが必要になり、装置が大型化してしまう。そのため、原稿トレイを回転させるためのトルクは小さい方が望ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、回転中心である回動軸が原稿トレイの手前側の端部に配置されている。つまり、回転中心は原稿トレイの重心及びそこにセットされる原稿の重心から離れた位置に存在する。そのため、原稿がセットされた状態で原稿トレイを回転させるとき、原稿トレイ及びそこにセットされた原稿を回転させるために必要なトルクが大きくなってしまう。
【0008】
特許文献2に記載の構成では、回転中心である回動軸が原稿トレイの奥側の端部に配置されている。そのため、特許文献1と同様に、原稿トレイ及びそこにセットされた原稿を回転させるために必要なトルクが大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、原稿トレイ自身の重量及びそこにセットされた原稿の重量によるモーメントを小さくすることで、駆動源の大きさを必要最小限にし、装置の小型化につなげることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、原稿が積載される積載手段と、前記積載手段に積載された原稿の幅方向における一端が突き当たる突き当て手段と、前記積載手段に積載された原稿を給送方向に給送する給送手段と、前記給送手段により給送された原稿を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される原稿の画像を読み取る読取手段と、前記積載手段を前記搬送手段に対して回転自在に支持し、前記給送方向に延在する回動軸と、前記回動軸を中心として前記積載手段を回転させる駆動手段と、を備え、前記回動軸は、前記幅方向において、前記突き当て手段に一端が突き当たった状態の前記搬送手段により搬送可能な最大幅原稿の前記一端と、前記一端とは反対側の他端との間に、前記回動軸の少なくとも一部が存在するように配置されることを特徴とする画像読取装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、原稿トレイ及びそこにセットされた原稿を回転させるために必要なトルクを小さくすることができるため、駆動源の大きさを必要最小限にすることが可能になる。それにより、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本発明に係る画像読取装置の原稿をセットするときの状態を示す右側面図。
【
図4】本発明に係る画像読取装置の原稿を給送するときの状態を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、発明の好適な実施形態を説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
<画像形成装置101の構成>
まず、本実施形態の画像形成装置101の概略構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る画像形成装置101の断面図である。なお、以下では、ユーザーが画像形成装置101に対して各種入力/設定を行う不図示の操作部に臨む位置を画像形成装置101の「手前側」といい、背面側を「奥側」という。つまり、
図1は手前側から見た画像形成装置101の内部構成を示したものである。
【0015】
画像形成装置101は、
図1に示すように、装置本体101Aと、画像読取装置103と、を備えている。装置本体101Aの上方に配置された画像読取装置103は、詳しくは後述するように、リーダ20とADF1とを備え、原稿Dを光学的に走査して画像情報を読み取る。「ADF」は自動原稿給送装置(Auto Document Feeder)を表す。原稿Dとは、用紙及び封筒等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、布などのシートである。画像読取装置103によって電気信号に変換された画像情報は、装置本体101Aに設けられた制御部132へと転送される。
【0016】
装置本体101Aは、記録材であるシートPに画像を形成するための画像形成手段である画像形成部133と、画像形成部133にシートPを給送するシート給送部34と、を有している。シート給送部34は、互いに異なるサイズのシートを収納可能なシート収納部137a、137b、137c、137dを備えている。各シート収納部に収納されたシートは、ピックアップローラ32によって繰り出され、フィードローラ33a及びリタードローラ33bによって1枚ずつ分離されて、対応する搬送ローラ対131へと受け渡される。そして、シートPは、シート搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラ対131に順に受け渡されることで、レジストレーションローラ対136へと搬送される。
【0017】
なお、ユーザーによって手差しトレイ137eに積載されたシートPは、給送ローラ138によって装置本体101Aの内部に給送され、レジストレーションローラ対136へと搬送される。レジストレーションローラ対136は、シートPの先端を停止させて斜行を補正すると共に、画像形成部133によるトナー像の形成プロセスである作像動作の進行に合わせてシートPの搬送を再開する。
【0018】
シートPに画像を形成する画像形成部133は、感光体である感光ドラム121を備えた電子写真方式の画像形成ユニットである。感光ドラム121は、シートPの搬送方向に沿って回転可能であり、感光ドラム121の周囲には帯電器118、露光装置123、現像器124、転写帯電器125、分離帯電器126、及びクリーナ127が配置されている。帯電器118は感光ドラム121の表面を一様に帯電させ、露光装置123は画像読取装置103等から入力される画像情報に基づいて感光ドラム121を露光し、ドラム上に静電潜像を形成する。
【0019】
現像器124は、トナーを含む現像剤を収容しており、感光ドラム121に帯電したトナーを供給することで静電潜像をトナー像に現像する。感光ドラム121に担持されたトナー像は、転写帯電器125が形成するバイアス電界により、レジストレーションローラ対136から搬送されるシートPに転写される。トナー像を転写されたシートPは、分離帯電器126が形成するバイアス電界によって感光ドラム121から離間し、定着前搬送部128によって定着部129へ向けて搬送される。なお、シートPに転写されずに感光ドラム121に残留した転写残トナー等の付着物はクリーナ127によって除去され、感光ドラム121は次の作像動作に備える。
【0020】
定着部129に搬送されたシートPは、ローラ対に挟持されて搬送されながら、トナー像の加圧及び加熱を含む定着処理を受ける。これによってトナーが溶融し、その後固着することにより、シートPに画像が定着する。画像出力が完了している場合、定着画像が得られたシートPは、排出ローラ対40を介して、装置本体101Aの外方に突出した排出トレイ130に排出される。両面印刷においてシートPの裏面に画像を形成する場合、定着部129を通過したシートPは、反転部139によって表面と裏面とを入れ替えられ、両面搬送部140によってレジストレーションローラ対136へと搬送される。そして、画像形成部133によって再び画像を形成されたシートPは、排出トレイ130に排出される。
【0021】
上記の画像形成部133は画像形成手段の一例であり、例えばインクジェット方式の画像形成ユニットやオフセット印刷方式の印刷機構を画像形成手段として用いてもよい。
【0022】
<画像読取装置103の構成>
次に、
図2を用いて画像読取装置の概略構成について説明する。
図2は画像読取装置103の断面図である。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0023】
図2に示すように、ADF1は原稿トレイ2と搬送部12と排紙トレイ3により構成される。ADF1は、リーダ20の上面で開閉可能に取り付けられている。ADF1は、原稿Dをリーダ20の上面にある流し読みガラス上の読取位置に搬送する。また、ADF1に設けられた積載手段である原稿トレイ2に原稿Dがセットされる。原稿トレイ2は、搬送部12に対して回転可能であるように、給送方向Fに沿って延在する回動軸11で支持されている。ここで、本実施形態における給送方向Fとは、後述する給送ローラ4によって原稿Dが給送される方向であり、給送時の原稿積載面2aに沿った方向である。また、給送方向Fは給送時の原稿トレイ2の幅方向に直交している。ここで、幅方向とは、画像読取装置103が原稿Dの画像を読み取る際の主走査方向である。
【0024】
回動軸11は、原稿トレイ2を搬送手段である搬送部12に対して回転自在に支持している。そのため、回動軸11が回転すると、原稿トレイ2も同時に回動軸11を回転中心として回転することができる。原稿トレイ2は駆動手段であるモータ13によって回転する。本実施形態において、モータ13は搬送部12の内部に配置されているが、モータ13の配置はこれに限らない。例えば、原稿トレイ2の内部に配置しても良いし、後述する各搬送ローラに回転駆動力を与えるための駆動部側に配置しても良い。
【0025】
ADF1には、給送ローラ4、給紙ローラ5、分離ローラ6、搬送ローラ7、搬送ローラ8、搬送ローラ9、排紙ローラ10が設けられている。また、搬送ローラ8の搬送方向下流側には画像読取部Eがある。画像読取部Eには、リーダ20に設けられた表面読取ユニット14及びADF1に設けられた裏面読取ユニット15が存在している。
【0026】
原稿トレイ2上の原稿Dは、給送手段である給送ローラ4の回転駆動力によって給紙ローラ5まで繰り出される。原稿Dは給紙ローラ5とその下方からバネ付勢されている分離ローラ6との間の摩擦力によって1枚ずつに分離される。分離された原稿Dは、搬送ローラ7、8の回転駆動力によって画像読取部Eに向けて送り込まれる。画像読取部Eに送り込まれた原稿Dは、読取手段である表面読取ユニット14と裏面読取ユニット15によって両面の画像を読み取られる。そして、原稿Dは搬送ローラ9によって排紙ローラ10に搬送され、排紙ローラ10によって排紙トレイ3上に排紙される。
【0027】
<原稿トレイ2の構成>
次に
図3、
図4を用いて、原稿トレイ2の構成について説明する。ここで、
図3は原稿Dをセットするときの原稿トレイ2の状態を示す図である。また、
図4はセットされた原稿Dを給送するときの原稿トレイ2の状態を示す図である。
【0028】
図3に示すように、原稿トレイ2は原稿積載面2aと突き当て手段である原稿突き当て部2bとで構成されている。原稿突き当て部2bは原稿トレイ2に固定されている。ユーザーが原稿Dをセットする場合には、回動軸11を中心に原稿トレイ2を手前側に回転させて傾ける。すなわち、原稿トレイ2は
図3における矢印Bの方向に回転する。そして、ユーザーは原稿トレイ2を手前側に傾斜させた第1状態(
図3に示す状態)で原稿Dをセットする。このとき、給送方向Fに沿った方向から見た場合、原稿積載面2aが水平方向に対して角度θだけ手前側に傾いているので、ユーザーがセットした原稿Dは自重により手前側に移動する。また、原稿突き当て部2bが原稿トレイ2の手前側に設けられている。そのため、自重により移動した原稿Dの幅方向における一端が原稿突き当て部2bに突き当てられ、原稿Dは整列される。これによって、従来、ユーザーが意識的に行っていた原稿Dを揃える動作を省略し、原稿Dのセットを簡略化することができる。また、原稿積載面2aが水平方向に対して角度θだけ傾いた状態では、原稿積載面2aと搬送部12の搬送路が滑らかに接続されていない。つまり、原稿積載面2aの給送方向Fにおける下流側の端部と、搬送部12の搬送路を構成するガイドの上流側の端部とがずれている。そのため、原稿トレイ2が手前側に傾斜した第1状態において、ADF1は給送動作を行うことができない。
【0029】
本実施形態における角度θは30度としているがこの値に限定するものではなく、0度<θ<40度となっていればよい。ここでの角度θの上限値である40度は、セットされた原稿Dが原稿突き当て部2bに突き当てられた際に座屈しないための最大傾斜角度である。また、本実施形態において、原稿突き当て部2bの給送方向Fにおける長さは、原稿Dのセット時の視認性を考慮して、150mmとしているが、この値に限定するものではない。
【0030】
上述したように、ユーザーは原稿トレイ2が手前側に傾斜した第1状態で原稿Dをセットする。しかし、原稿トレイ2が手前側に傾斜した状態では、ADF1は給送動作を行うことができない。そのため、原稿Dがセットされた後、原稿トレイ2は原稿Dをセットした状態のまま、
図3に示す第1状態よりも原稿突き当て部2bの位置が高くなるように回転する。すなわち、原稿トレイ2は
図4における矢印Cの向きに回転する。これにより、原稿トレイ2は手前側と奥側がほとんど同じ高さである第2状態(
図4に示す状態)となる。その後、原稿Dの給送動作を開始する。この際、原稿トレイ2は、図示しない操作部によって読取動作の開始がユーザーによって指示されることに応じて回転する。
【0031】
本実施形態では、給送方向Fに沿った方向からみた場合、給送動作を開始するときの原稿積載面2aの水平方向に対する角度θは0度としている。しかし、給送動作を開始するとき、原稿積載面2aと搬送部12の搬送路が滑らかに接続されていればよい。そのため、給送動作を開始するとき、給送動作が可能な範囲で、原稿積載面2aが水平方向に対して少し傾斜していてもよい。
【0032】
<回動軸11の幅方向における位置>
次に
図5、
図6を用いて回動軸11の、原稿トレイ2の幅方向における位置について説明する。
図5は原稿トレイ2に最大幅原稿D1を積載した際の、ADF1の上面図である。
図6は原稿トレイに最大幅原稿D1と最小幅原稿D2を積載した際の、ADF1の上面図である。
図5及び
図6において、原稿トレイ2は第2状態(
図4に示す状態)であり、原稿トレイ2の内部に存在する回動軸11は破線で表されている。また、
図5において、原稿トレイ2に最大幅原稿D1がセットされた際に、セットされた最大幅原稿D1の幅方向における一端から他端までの範囲を領域Wとする。
図6において、最大幅原稿D1の中央を通り給送方向Fに平行な直線L1と、最小幅原稿D2の中央を通り給送方向Fに平行な直線L2との間の範囲を領域W2とする。領域W2は領域Wの中に含まれている。ここで、最大幅原稿D1及び最小幅原稿D2とは、それぞれ装置の仕様上で、読取が可能とされている原稿サイズのうち、最大幅を有するサイズの原稿と最小幅を有するサイズの原稿である。つまり、最大幅原稿D1は搬送部12により搬送可能な最大幅の原稿であり、最小幅原稿D2は搬送部12により搬送可能な最小幅の原稿である。本実施形態のADF1において、最大幅原稿D1はA3サイズ、最小幅原稿D2はB6サイズである。
【0033】
上述したように、回動軸11は、原稿トレイ2を搬送手段である搬送部12に対して回転自在に支持している。さらに、
図5に示すように、回動軸11は原稿トレイ2の幅方向において、領域Wに配置されている。言い換えると、幅方向において、原稿トレイ2にセットされた最大幅原稿の幅方向における一端と、該一端とは反対側の他端との間に、回動軸11の少なくとも一部が存在するように回動軸11は配置される。ここで、原稿トレイ2に原稿がセットされるとは、原稿の一端が原稿突き当て部2bに突き当たった状態で原稿トレイ2に積載されることを意味している。
【0034】
原稿トレイ2に仕様上積載可能な最大枚数の原稿Dをセットした場合、原稿Dの重量は原稿トレイ2に比べ大きくなる。しかし、本実施形態では、回動軸11を領域Wに配置している。したがって、回動軸11はセットされた原稿Dの重心に近い位置となる。そのため、多くの枚数の原稿Dがセットされた状態で原稿トレイ2を回転させるときにおいても、原稿Dの重量によるモーメントを小さくすることができる。
【0035】
さらに、原稿トレイ2にセットされる原稿のサイズは、ユーザーによって様々である。
図6に示すように、原稿トレイ2に最大幅原稿D1をセットした場合と、最小幅原稿D2をセットした場合とでは、原稿の重心の位置は大きく異なる。そのため、原稿トレイ2に最大幅原稿D1をセットした場合と、最小幅原稿D2をセットした場合とでは、原稿によるモーメントの大きさが異なる。通常、最大幅原稿D1の重心G1は直線L1上に存在し、最小幅原稿D2の重心G2は直線L2上に存在する。そのため、回動軸11は原稿トレイ2の幅方向において、領域Wの中でも領域W2に配置されることが望ましい。このように回動軸11を配置することで、原稿トレイ2にどのようなサイズの原稿がセットされても、回動軸11はセットされた原稿Dの重心に近い位置に存在するため、原稿Dの重量によるモーメントを小さくすることができる。
【0036】
[第2の実施形態]
図7を参照して、回動軸11の幅方向における位置の別の一例について説明する。
図7はADF1の上面図である。なお、
図7において、原稿トレイ2の最大幅を幅方向において三等分する直線L3及び直線L4の間を中央領域W3とする。
【0037】
第1の実施形態では、回動軸11を、原稿トレイ2に積載される原稿Dの重心に近い位置に配置する例を示した。これに対して、本実施形態では回動軸11を原稿トレイ2の重心G3に近い位置に配置する。具体的には、
図7に示すように、回動軸11は原稿トレイ2の幅方向において中央領域W3に配置される。
【0038】
原稿トレイ2に少ない枚数の原稿Dをセットする場合、原稿Dの重量は原稿トレイ2の重量に比べ小さくなる。そのため、原稿トレイ2の回動軸11は原稿トレイ2の重心に近い位置に配置することが望ましい。ここで
図7に示すように、原稿トレイ2の重心G3の幅方向における位置は、原稿トレイ2の最大幅の中央付近である。そのため、原稿トレイ2の重心G3は原稿トレイ2の最大幅を三等分した3つの領域のうち、中央の領域である中央領域W3に位置する。よって、本実施形態のように回動軸11が中央領域W3に配置されることで、原稿トレイ2の重量によるモーメントを小さくすることが可能である。
【0039】
さらに、原稿トレイ2の重量によるモーメントを小さくするためには、回動軸11を原稿トレイ2の幅方向において、原稿トレイ2の重心G3を通る給送方向Fに平行な直線上に回動軸11の少なくとも一部が存在するように配置することが望ましい。また本実施形態において、原稿トレイ2が必要以上に大きくなることを防ぐため、原稿トレイ2の最大幅は、最大幅原稿D1の幅より少し大きい幅となっている。このことより、原稿トレイ2の中央領域W2及び原稿トレイ2の重心G3は
図5の領域Wに含まれている。
【0040】
<実施形態まとめ>
以上説明したように、第1及び第2の実施形態によれば、回動軸11の幅方向における位置は、セットされた原稿Dの重心または原稿トレイ2の重心近傍になるように配置しているため、原稿トレイ2の重量及びそこに積載される原稿Dの重量によるモーメントを小さくすることができる。よって、モータ13が原稿トレイ2を回転させるのに必要なトルクを小さくできる。以上より、モータ13を必要以上に大きくすることなく、回動軸11を中心に原稿トレイ2を回転させることができる。
【0041】
上述のいずれの実施形態でも原稿突き当て部は固定されているが、幅方向に移動できる形態であってもよい。この形態の場合、積載手段の重心とは、最大幅原稿を突き当てるときの位置に、原稿突き当て部を位置させた状態での積載手段の重心である。
【符号の説明】
【0042】
1 ADF
2 原稿トレイ
2a 原稿積載面
2b 原稿突き当て部
3 排紙トレイ
4 給送ローラ
5 給紙ローラ
6 分離ローラ
7、8、9 搬送ローラ
10 排紙ローラ
11 回動軸
12 搬送部
13 モータ
14 表面読取ユニット
15 裏面読取ユニット
20 リーダ
101 画像形成装置
103 画像読取装置