(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】燃料電池システムの排気水素濃度低減装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04089 20160101AFI20240318BHJP
H01M 8/0444 20160101ALI20240318BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240318BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240318BHJP
【FI】
H01M8/04089
H01M8/0444
H01M8/0438
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2020122329
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0152535
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウォンウク
(72)【発明者】
【氏名】イ、ナムウ
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-235204(JP,A)
【文献】特開2005-276818(JP,A)
【文献】特開2009-076247(JP,A)
【文献】特開2005-100846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04089
H01M 8/0444
H01M 8/0438
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソードに供給される外気を遮断する第1ACV(Air Cut-off Valve)と、
カソードから排出される排気水素を遮断する第2ACVと、
カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する第1モード、カソードと空気圧縮機の吸気口との連結を遮断する第2モードで動作するASV(Air Suction Valve)と、
アノードへの水素供給時、第1ACVを開放して第2ACVは閉じた状態で、ASVを第1モードで動作させてカソード内の空気をエアタンクに貯蔵し、カソードへの外気供給時、第1ACVの開放状態を維持して第2ACVを開放した状態で、ASVを第2モードで動作させてカソードに供給された外気を排気ラインを介して排出する制御器と、
を含む燃料電池システムの排気水素濃度低減装置。
【請求項2】
前記空気圧縮機は、
前記ASVが第1モードで動作時、カソード内の空気を吸い込んでエアタンクに貯蔵することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減装置。
【請求項3】
前記制御器は、
基準時間の間にカソード内の空気を吸い込むよう前記空気圧縮機を制御することを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減装置。
【請求項4】
前記制御器は、
前記エアタンクに外気を貯蔵するよう前記空気圧縮機を制御することを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減装置。
【請求項5】
前記カソードと前記第2ACVを連結する排気ラインに位置して前記カソード内の水素の濃度を測定する濃度センサ、
をさらに含む、請求項1に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減装置。
【請求項6】
前記制御器は、
前記濃度センサによって測定された水素の濃度が基準濃度を超過すると、前記カソード内の水素の濃度を低減させることを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減装置。
【請求項7】
前記エアタンクの圧力を測定する圧力センサと、
前記エアタンク内の空気を外部に排出するAEV(Air Exhaust Valve)と、
をさらに含む、請求項1に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減装置。
【請求項8】
前記制御器は、
前記圧力センサによって測定された圧力が基準圧力を超過すると、前記AEVを開放して前記エアタンクの圧力を下げることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減装置。
【請求項9】
アノードへの水素供給時、第1ACV(Air Cut-off Valve)を開放して第2ACVは閉じた状態で、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階と、
前記空気圧縮機を動作させてカソード内の空気をエアタンクに貯蔵する段階と、
カソードへの外気供給時、第1ACVの開放状態を維持して第2ACVを開放した状態で、カソードと前記空気圧縮機の吸気口との連結を遮断し、カソードに供給された外気を排気ラインを介して排出する段階と、
を含む燃料電池システムの排気水素濃度低減方法。
【請求項10】
前記カソード内の空気をエアタンクに貯蔵する段階は、
基準時間の間に前記空気圧縮機を動作させるものである、請求項9に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減方法。
【請求項11】
前記カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階は、
カソード内の水素の濃度を測定する段階と、
前記測定された水素の濃度が基準濃度を超過すると、第1ACVを開放して第2ACVは閉じた状態で、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階と、
を含む、請求項9に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減方法。
【請求項12】
前記カソード内の空気をエアタンクに貯蔵する段階は、
前記エアタンクの圧力を測定する段階と、
前記測定された圧力が基準圧力を超過すると、前記エアタンク内の空気を外部に排出する段階と、
を含む、請求項9に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減方法。
【請求項13】
アノードへの水素供給時、第1ACV(Air Cut-off Valve)を開放して第2ACVは閉じた状態で、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階と、
エアタンクの圧力を基準圧力に下げる段階と、
前記空気圧縮機を動作させてカソード内の空気を前記エアタンクに貯蔵する段階と、
カソードへの外気供給時、第1ACVの開放状態を維持して第2ACVを開放した状態で、カソードと前記空気圧縮機の吸気口との連結を遮断し、カソードに供給された外気を排気ラインを介して排出する段階と、
前記空気圧縮機の吸気口を外気と連結する段階と、
を含む燃料電池システムの排気水素濃度低減方法。
【請求項14】
前記カソード内の空気を前記エアタンクに貯蔵する段階は、
基準時間の間に前記空気圧縮機を動作させるものである、請求項13に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減方法。
【請求項15】
前記カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階は、
アノードに水素を供給する段階と、
カソード内の水素の濃度を測定する段階と、
前記測定された水素の濃度が基準濃度を超過すると、第1ACVを開放して第2ACVは閉じた状態で、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階と、
を含む、請求項13に記載の燃料電池システムの排気水素濃度低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックのカソードから排気ラインを介して排出される水素(排気水素)の濃度を低減させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料が有している化学エネルギーを燃焼によって熱に変えずに、燃料電池スタック内で電気化学的に直接電気エネルギーに変換させる一種の発電システムである。
【0003】
燃料電池システムは、大きく電気エネルギーを発生させる燃料電池スタック、燃料電池スタックに燃料である水素を供給する水素供給装置、燃料電池スタックに電気化学反応に必要な酸化剤である空気(酸素)を供給する空気供給装置、燃料電池スタックの反応熱をシステム外部に排出し、燃料電池スタックの運転温度を制御しながら水管理機能を行う熱/水管理システム(Thermal Management System、TMS)、及び燃料電池システムの作動全般を制御する燃料電池システム制御器を含んで構成される。
【0004】
このような構成で燃料電池システムでは、燃料である水素と空気中の酸素を反応させて電気が発生し、反応副産物として熱と水を排出する。
【0005】
車両用として最も注目される燃料電池タイプは、燃料電池のうち最も高い電力密度を有するイオン交換膜燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell若しくはPolymer Electrolyte Membrane Fuel Cell、PEMFC)であり、これは、低い作動温度による速い始動時間と速い電力変換反応時間を有する特徴がある。
【0006】
イオン交換膜燃料電池に搭載される燃料電池スタックは、水素イオンが移動する高分子電解質膜を中心に膜の両方に電気化学反応が起こる電極/触媒層が付着された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、MEA)、反応気体を均一に分布させて発生した電気を伝達する役割を行う気体拡散層(Gas Diffusion Layer、GDL)、反応気体及び冷却水の気密性と適正締結圧を維持するためのガスケット及び締結機構、そして、反応気体及び冷却水を移動させる分離板(bipolar plate)を含んで構成され、水素と酸素が供給される時に燃料電池反応によって電流を生成する。
【0007】
このような燃料電池システムは、排気ガスに含まれた水素ガスによる爆発又は発火の危険を最小化するために、排気ガス内の水素ガスの濃度を所定基準値以下に維持しなければならない。
【0008】
しかし、燃料電池システムの水素パージバルブを介して排出される水素ガスと、クロスオーバー(cross over)現象によって発生したカソード内の水素ガスが排気ラインを介して排出され得る。このとき、クロスオーバー現象は、燃料電池スタック内のアノード(Anode)とカソード(Cathod)の間の気体濃度の差によってアノードの水素ガスがカソードに拡散する現象を意味する。
【0009】
現在、全世界的に適用中のGTR(Global Technical Regulation)法規に従って燃料電池システムから排出される水素ガスの許容濃度は、最大8%未満であり、3秒測定時の平均が4%を超過してはならない。
【0010】
したがって、水素を燃料として用いる燃料電池車両は、全ての運転条件において常に一定水準以下の水素濃度を有する排気ガスを排出しなければならない。
【0011】
この背景技術部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を促進するために作成されたものであって、この技術が属する分野で通常の知識を有する者に既に知られた従来技術ではない事項を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のような従来の技術の問題点を解決するために、本発明は、燃料電池スタックへの水素供給時にカソードの入口側ACV(Air Cut-off Valve)を開放してカソードの出口側ACVは閉じた状態で、ASV(Air Suction Valve)を第1モードで動作させてカソード内の空気をエアタンクに貯蔵し、カソードへの外気(Ambient Air)供給時にカソードの入口側ACVの開放状態を維持してカソードの出口側ACVを開放した状態で、ASVを第2モードで動作させてカソードに供給された外気が排気ラインを介して外部に排出されるようにすることで、前記排気ラインを介して排出される空気内の水素の濃度を低減できる燃料電池システムの排気水素濃度低減装置及びその方法を提供することにその目的がある。
【0013】
本発明の目的は上記で言及した目的に制限されず、言及されていない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解されてよく、本発明の実施形態によってより明らかに分かるようになる。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが容易に分かるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための本発明の装置は、燃料電池システムの排気水素濃度低減装置において、カソードに供給される外気を遮断する第1ACV(Air Cut-off Valve)と、カソードから排出される排気水素を遮断する第2ACVと、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する第1モード、カソードと空気圧縮機の吸気口との連結を遮断する第2モードで動作するASV(Air Suction Valve)と、アノードへの水素供給時に第1ACVを開放して第2ACVは閉じた状態で、ASVを第1モードで動作させてカソード内の空気をエアタンクに貯蔵し、カソードへの外気供給時に第1ACVの開放状態を維持して第2ACVを開放した状態で、ASVを第2モードで動作させてカソードに供給された外気を排気ラインを介して排出する制御器と、を含んでよい。
【0015】
ここで、前記空気圧縮機は、前記ASVが第1モードで動作時にカソード内の空気を吸い込んでエアタンクに貯蔵できる。このとき、前記制御器は、基準時間の間にカソード内の空気を吸い込むよう前記空気圧縮機を制御できる。また、前記制御器は、前記エアタンクに外気を貯蔵するよう前記空気圧縮機を制御することもできる。
【0016】
このような本発明の装置は、前記カソードと前記第2ACVを連結する排気ラインに位置して前記カソード内の水素の濃度を測定する濃度センサをさらに含んでよい。
【0017】
ここで、前記制御器は、前記濃度センサによって測定された水素の濃度が基準濃度を超過すると、前記カソード内の水素の濃度を低減させることができる。
【0018】
このような本発明の装置は、前記エアタンクの圧力を測定する圧力センサと、前記エアタンク内の空気を外部に排出するAEV(Air Exhaust Valve)と、をさらに含んでよい。
【0019】
ここで、前記制御器は、前記圧力センサによって測定された圧力が基準圧力を超過すると、前記AEVを開放して前記エアタンクの圧力を下げることができる。
【0020】
前記目的を達成するための本発明の方法は、燃料電池システムの排気水素濃度低減方法において、アノードへの水素供給時に第1ACV(Air Cut-off Valve)を開放して第2ACVは閉じた状態で、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階と、前記空気圧縮機を動作させてカソード内の空気をエアタンクに貯蔵する段階と、カソードへの外気供給時に第1ACVの開放状態を維持して第2ACVを開放した状態で、カソードと前記空気圧縮機の吸気口との連結を遮断し、カソードに供給された外気を排気ラインを介して排出する段階と、を含んでよい。
【0021】
ここで、前記カソード内の空気をエアタンクに貯蔵する段階は、基準時間の間に前記空気圧縮機を動作させてよい。
【0022】
また、前記カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階は、カソード内の水素の濃度を測定する段階と、前記測定された水素の濃度が基準濃度を超過すると、第1ACVを開放して第2ACVは閉じた状態で、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階と、を含んでよい。
【0023】
また、前記カソード内の空気をエアタンクに貯蔵する段階は、前記エアタンクの圧力を測定する段階と、前記測定された圧力が基準圧力を超過すれば、前記エアタンク内の空気を外部に排出する段階と、を含んでよい。
【0024】
前記目的を達成するための本発明の他の方法は、燃料電池システムの排気水素濃度低減方法において、アノードへの水素供給時に第1ACV(Air Cut-off Valve)を開放して第2ACVは閉じた状態で、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階と、エアタンクの圧力を基準圧力に下げる段階と、前記空気圧縮機を動作させてカソード内の空気を前記エアタンクに貯蔵する段階と、カソードへの外気供給時に第1ACVの開放状態を維持して第2 ACVを開放した状態で、カソードと前記空気圧縮機の吸気口との連結を遮断し、カソードに供給された外気を排気ラインを介して排出する段階と、前記空気圧縮機の吸気口を外気と連結する段階と、を含んでよい。
【0025】
ここで、前記カソード内の空気を前記エアタンクに貯蔵する段階は、基準時間の間に前記空気圧縮機を動作させてよい。
【0026】
また、前記カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階は、アノードに水素を供給する段階と、カソード内の水素の濃度を測定する段階と、前記測定された水素の濃度が基準濃度を超過すると、第1ACVを開放して第2ACVは閉じた状態で、カソードと空気圧縮機の吸気口を連結する段階と、を含んでよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減装置及びその方法は、燃料電池スタックへの水素供給時にカソードの入口側ACVを開放してカソードの出口側ACVは閉じた状態で、ASVを第1モードで動作させてカソード内の空気をエアタンクに貯蔵し、カソードへの外気(Ambient Air)供給時にカソードの入口側ACVの開放状態を維持してカソードの出口側ACVを開放した状態で、ASVを第2モードで動作させてカソードに供給された外気が排気ラインを介して外部に排出されるようにすることで、前記排気ラインを介して排出される空気内の水素の濃度を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減装置の構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減方法の流れ図である。
【
図3】本発明の他の実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減方法の流れ図である。
【
図4】本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減方法を行うためのコンピューティングシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面を介して詳細に説明する。各図面の構成要素に付加した参照符号について、同一の構成要素に対しては、他の図面上に表示される場合でも、出来る限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施形態の説明において、関連された公知構成又は機能に対する具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0030】
本発明の実施形態の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を用いてよい。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためだけのものであり、その用語によって当該構成要素の本質や順番又は順序等は限定されない。また、異なるように定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含め、ここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に用いられる辞書に定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本出願において明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味に解釈されない。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減装置の構成図である。
【0032】
図1に示された通り、本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減装置300は、記憶部10、濃度センサ20、ACV1(Air Cut-off Valve 1)30、ACV2 40、ASV(Air Suction Valve)50、空気圧縮機(Air Compressor)60、エアタンク(Air Tank)70、圧力センサ71、AEV(Air Exhaust Valve)80、及び制御器90を含んでよい。このとき、本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減装置300を実施する方式によって、各構成要素は互いに結合され一つに具現されてもよく、一部の構成要素が省略されてもよい。
【0033】
前記各構成要素について検討すれば、先ず、記憶部10は、燃料電池スタック200への水素供給時にACV1 30を開放してACV2 40は閉じた状態で、ASV50を第1モードで動作させてカソード内の空気をエアタンク70に貯蔵し、カソードへの外気供給時にカソードのACV1 30の開放状態を維持してACV2 40を開放した状態で、ASV50を第2モードで動作させてカソードに供給された外気が排気ラインを介して外部に排出されるようにする過程で要求される各種ロジックとアルゴリズム及びプログラムを記憶してよい。ここで、排気ラインは、カソードの出力端からACV2 40を経て外部に繋がる通路を意味する。
【0034】
記憶部10は、燃料電池スタック200への水素供給時、カソード内の水素の濃度を低減させるか低減させないかを決定する条件として用いられる基準濃度値(一例として1%)を記憶してよい。このとき、基準濃度値は、GTR(Global Technical Regulation)法規を満たす値に設定するのが好ましい。
【0035】
記憶部10は、エアタンク70内の空気の放出可否を決定する条件として用いられる基準圧力値(一例として9.5bar)を記憶してよい。このとき、エアタンク70は、適正圧力(一例として10bar)を有する。
【0036】
記憶部10は、ASV50を第1モードで動作させる時間を限定するための基準時間(一例として10秒)を記憶してもよい。
【0037】
記憶部10は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マイクロタイプ(micro type)、及びカードタイプ(例えば、SDカード(Secure Digital Card)又はXDカード(eXtream Digital Card))等のメモリと、ラム(RAM、Random Access Memory)、SRAM(Static RAM)、ロム(ReadOnlyMemory)(ROM、Read-Only Memory)、PROM(Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable PROM)、磁気メモリ(MRAM、Magnetic RAM)、磁気ディスク(magnetic disk)、及び光ディスク(optical disk)タイプのメモリのうち少なくとも一つのタイプの記録媒体(storage medium)を含んでよい。
【0038】
濃度センサ20は、燃料電池スタック200のカソードとACV2 40を連結する排気ラインに位置してカソード内の水素の濃度を測定できる。
【0039】
ACV1 30は、燃料電池スタック200のカソードに供給される外気(Ambient Air)を遮断する役割を行ってよい。
【0040】
ACV2 40は、燃料電池スタック200のカソードから排出される排気水素を遮断する役割を行ってよい。
【0041】
ASV50は、燃料電池スタック200のカソードと空気圧縮機60の吸気口を連結する第1モード、又は燃料電池スタック200のカソードと空気圧縮機60の吸気口との連結を遮断する第2モードで動作してよい。
【0042】
本発明の一実施形態がバスやトラックに適用される場合、ASV50は、3ウェイ(way)バルブであって、燃料電池スタック200のカソードと空気圧縮機60の吸気口を連結する第1モード、又は外気と空気圧縮機60の吸気口を連結する第2モードで動作してよい。このとき、ASV50は、燃料電池スタック200のカソードと空気圧縮機60の吸気口を連結する第1バルブと、外気を空気圧縮機60の吸気口と連結する第2バルブで具現されてもよい。
【0043】
空気圧縮機60は、ASV50が第1モードで動作時に燃料電池スタック200のカソード内の空気を吸い込んでエアタンク70に貯蔵する役割を行い、ASV50が第2モードで動作時に外気を吸い込んでエアタンク70に貯蔵する役割を行ってよい。本発明の一実施形態がバスやトラックに適用される場合、空気圧縮機60は、バスやトラックにおいて圧縮空気を供給する空気圧縮機で具現されてよい。
【0044】
エアタンク70は、空気圧縮機60から供給された燃料電池スタック200のカソード内の空気又は外気を貯蔵する役割を行ってよい。本発明の一実施形態がバスやトラックに適用される場合、エアタンク70は、バスやトラックにおいて圧縮空気を貯蔵するエアタンクで具現されてよい。
【0045】
圧力センサ71は、エアタンク70の圧力を測定してよい。本発明の一実施形態がバスやトラックに適用される場合、圧力センサ71は、バスやトラックにおいて圧縮空気の圧力を測定するセンサで具現されてよい。
【0046】
AEV80は、エアタンク70内の空気を外部に排出してよい。本発明の一実施形態がバスやトラックに適用される場合、AEV80は、バスやトラックにおいて制動システムに圧縮空気を供給するバルブで具現されてよい。
【0047】
制御器90は、前記各構成要素が本来の機能を正常に遂行できるように全般的な制御を行う。このような制御器90は、ハードウェアの形態で具現されるか、又はソフトウェアの形態で具現されるか、又はハードウェア及びソフトウェアが結合された形態で具現されてよい。好ましくは、制御器90は、マイクロプロセッサで具現されてよいが、これに限定されるものではない。
【0048】
特に、制御器90は、燃料電池スタック200への水素供給時(すなわち、アノードへの水素供給時)にACV1 30を開放してACV2 40は閉じた状態で、ASV50を第1モードで動作させてカソード内の空気をエアタンク70に貯蔵し、カソードへの外気供給時にACV1 30の開放状態を維持してACV2 40を開放した状態で、ASV50を第2モードで動作させてカソードに供給された外気が排気ラインを介して外部に排出されるようにする過程で各種制御を行ってよい。
【0049】
制御器90は、使用者から燃料電池システムの始動命令の入力を受けると、水素供給装置100を制御して燃料電池スタック200に水素を供給できる。このとき、水素供給装置100は、FBV(Fuel Block Valve)110、FSV(Fuel Supply Vlave)120、FEJ(Fuel EJector)130、FP10(Fuel Pressure sensor)140、FPV(Fuel-line Purge Valve)150、FWT(Fuel-line Water Trap)160、FL20(Fuel-line Level sensor)170、及びFDV(Fuel-line Drain Valve)180を含んでよい。
【0050】
FBV110は、燃料電池スタック200に供給される水素を遮断する役割を行う。
【0051】
FSV120は、燃料電池スタック200に供給される水素圧力を調節する役割を行う。
【0052】
FEJ130は、燃料電池スタック200内の燃料極の水素を再循環させる役割を行う。
【0053】
FP10 140は、圧力センサであって燃料電池スタック200に供給される水素圧力を測定する役割を行う。
【0054】
FPV150は、燃料電池スタック200内の燃料極の凝縮水及び不純物を排出する役割を行う。
【0055】
FWT160は、燃料電池スタック200内の燃料極の凝縮水を貯蔵する役割を行う。
【0056】
FL20 170は、水位測定センサであってFWT160に貯蔵された凝縮水のウォーターレベルを測定する役割を行う。
【0057】
FDV180は、FWT160に貯蔵された凝縮水を排出する役割を行う。
【0058】
一方、制御器90は、燃料電池スタック200への水素供給時に燃料電池スタック200のカソード内の水素の濃度を低減させる過程を開始(start)してよい。
【0059】
制御器90は、濃度センサ20の測定値に基づいて燃料電池スタック200のカソード内の水素の濃度を低減させる過程を開始(start)してよい。このとき、制御器90は、濃度センサ20によって測定された燃料電池スタック200のカソード内の水素の濃度が基準濃度(一例として1%)を超過すれば、燃料電池スタック200のカソード内の水素の濃度を低減させる過程を開始(start)してよい。
【0060】
制御器90は、燃料電池スタック200のカソード内の水素の濃度を低減させるために、ACV130を開放してACV2 40は閉じた状態で、ASV50を第1モードで動作させてよい。以後、制御器90は、空気圧縮機60を動作させて燃料電池スタック200のカソード内の空気(水素を含む)をエアタンク70に貯蔵してよい。
【0061】
制御器90は、エアタンク70の圧力が基準圧力を超過すれば、エアタンク70の圧力が閾値(一例として7~10%)ほど低くなるようにAEV80を開放してよい。
【0062】
制御器90は、本発明の一実施形態がバスやトラックに適用される場合、エアタンク70が常に適正圧力を維持する点を考慮し、燃料電池スタック200のカソード内の水素の濃度低減時、先にエアタンク70の圧力が閾値低くなるようにAEV80を開放してよい。すなわち、制御器90は、燃料電池スタック200のカソード内の空気を貯蔵するためのエアタンク70内の空間を予め確保してよい。
【0063】
制御器90は、燃料電池スタック200のカソードへの外気供給時、ACV1 30の開放状態を維持してACV2 40を開放した状態で、ASV50を第2モードで動作させてカソードに供給された空気が排気ラインを介して外部に排出されるようにする。このとき、制御器90は、燃料電池スタック200のカソードに外気を供給するための空気圧縮機(図示省略)をさらに制御してよい。
【0064】
図2は、本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減方法の流れ図である。
【0065】
先ず、制御器90は、アノードへの水素供給時、ACV1 30を開放してACV2 40は閉じた状態で、カソードと空気圧縮機60の吸気口を連結する(201)。
【0066】
以後、制御器90は、空気圧縮機60を動作させてカソード内の空気をエアタンク70に貯蔵する(202)。このとき、エアタンク70は空気圧縮機60の排気口と連結されている。
【0067】
以後、制御器90は、カソードへの外気供給時、ACV1 30の開放状態を維持してACV2 40を開放した状態で、カソードと空気圧縮機60の吸気口との連結を遮断し、カソードに供給された外気を排気ラインを介して排出する(203)。
【0068】
図3は、本発明の他の実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減方法の流れ図であって、バスやトラックに適用される場合を示す。
【0069】
先ず、制御器90は、アノードへの水素供給時、ACV1 30を開放してACV2 40は閉じた状態で、カソードと空気圧縮機60の吸気口を連結する(301)。
【0070】
以後、制御器90は、AEV 80を開放してエアタンクの圧力を基準圧力に下げる(302)。
【0071】
以後、制御器90は、空気圧縮機60を動作させてカソード内の空気をエアタンク70に貯蔵する(303)。このようにエアタンク70に貯蔵された空気は、バスやトラックで圧縮空気を必要とするシステム(一例として制動システム等)に用られてよい。
【0072】
以後、制御器90は、カソードへの外気供給時、ACV1 30の開放状態を維持してACV2 40を開放した状態で、カソードと空気圧縮機60の吸気口との連結を遮断し、カソードに供給された外気を排気ラインを介して排出する(304)。
【0073】
以後、制御器90は、空気圧縮機60の吸気口を外気と連結する(305)。このとき、空気圧縮機60は、バスやトラックで圧縮空気を生成するモジュールであって、本来機能を行うために空気圧縮機60の吸気口を外気と連結する。
【0074】
図4は、本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減方法を行うためのコンピューティングシステムを示すブロック図である。
【0075】
図4を参照すれば、上述した本発明の一実施形態による燃料電池システムの排気水素濃度低減方法は、コンピューティングシステムを介して具現されてよい。コンピューティングシステム1000は、システムバス1200を介して連結される少なくとも一つのプロセッサ1100、メモリ1300、使用者インターフェース入力装置1400、使用者インターフェース出力装置1500、ストレージ(storage)1600、及びネットワークインターフェース1700を含んでよい。
【0076】
プロセッサ1100は、中央処理装置(CPU)又はメモリ1300及び/又はストレージ1600に保存された命令語等に対する処理を行う半導体装置であってよい。メモリ1300及びストレージ1600は、多様な種類の揮発性又は不揮発性の記録媒体を含んでよい。例えば、メモリ1300は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでよい。
【0077】
したがって、本明細書に開示された実施形態に関連して説明された方法又はアルゴリズムの段階は、プロセッサ1100により行われるハードウェア、ソフトウェアモジュール、又はその二つの結合によって直接具現されてよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスター、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、脱着型ディスク、CD-ROMのような記録媒体(すなわち、メモリ1300及び/又はストレージ1600)に常駐してもよい。例示的な記録媒体は、プロセッサ1100にカップリングされ、そのプロセッサ1100は、記録媒体から情報を読み取りでき、記録媒体に情報を書き込みできる。他の方法として、記録媒体は、プロセッサ1100と一体型であってもよい。プロセッサ及び記録媒体は、特定用途向け集積回路(ASIC)内に常駐してもよい。ASICは、使用者の端末機内に常駐してもよい。他の方法として、プロセッサ及び記録媒体は、使用者の端末機内に個別コンポーネントとして常駐してもよい。
【0078】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能なはずである。
【0079】
したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0080】
10:記憶部
20:濃度センサ
30:ACV1
40:ACV2
50:ASV
60:空気圧縮機
70:エアタンク
80:AEV
90:制御器