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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】回転電機の回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 19/10 20060101AFI20240318BHJP
   H02K 19/14 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H02K19/10 A
H02K19/14 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020131848
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028449
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 活徳
(72)【発明者】
【氏名】松下 真琴
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄司
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-159691(JP,A)
【文献】特開2017-208910(JP,A)
【文献】特開2000-270525(JP,A)
【文献】特開2013-121253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 19/10
H02K 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線の回りで回転自在なシャフトと、
前記中心軸線の回りの周方向に並んだ複数の磁極を有し、前記シャフトに固定された回転子鉄心と、を備え、
前記回転子鉄心の磁極には、前記回転子鉄心の外周面におけるある箇所から他の箇所に至る複数層のフラックスバリアが前記中心軸線を通る所定の軸線をそれぞれ通過するように並べられて形成され、
前記フラックスバリアは、前記フラックスバリアの長手方向の両端において前記回転子鉄心の外周面の一部を形成する第1ブリッジ部および第2ブリッジ部と、前記第1ブリッジ部と第2ブリッジ部との間に位置する空隙層と、を含み、
少なくとも1層のフラックスバリアは、前記空隙層の少なくとも1部に充填された硬磁性材料で形成された磁化反転可能な硬磁性領域を有し、
Imax:定格電圧で始動した場合に流れる3相電流の実効値の最大値、Hc:硬磁性材料の保磁力、Nt:スロット内の直列導体数Ns:スロット数、p:磁極数、Nc:並列回路数、tm:1磁極当たりの硬磁性領域の厚みの総和、とした場合、
【数1】
の関係式を満たす、回転子。
【請求項2】
前記フラックスバリアの前記空隙層において、前記硬磁性領域以外の領域は、鉄心部分に比較して透磁率が低いバリア領域を形成している請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
少なくとも1層の前記フラックスバリアの前記空隙層において、前記硬磁性領域以外の領域は、非磁性導電体が充填され、鉄心部分に比較して透磁率が低く、かつ、導電率が大きい導電性領域を形成している請求項1に記載の回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、回転電機の回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機として、同期リラクタンスモータ(SynRM)が提供されている。このリラクタンスモータの回転子には、非磁性体で構成されたフラックスバリアが設けられている。回転子鉄心とフラックスバリアとの透磁率の違いによって突極性を得ることにより、トルクを発生する。非磁性体(比透磁率がほぼ1である)の代表例としては空気が挙げられる。このため、インバータ駆動形の同期リラクタンスモータの実用例としては,フラックスバリアを空洞(何も充填しない)とすることが多い。
【0003】
一方、アルミニウムや銅なども非磁性体であるが、これらは同時に導電体でもある。そのため、アルミニウムや銅などをフラックスバリアに充填することで二次導体を構成することができる。すなわち,非同期状態(固定子の回転磁界の回転速度と回転子の物理的な回転速度が一致せず、滑っている状態)においては、誘導トルクが発生するため、商用直入れ運転が可能な自己始動形(Line-Start)の同期リラクタンスモータ(LS-SynRM)を実現することが可能となる。
自己始動形の同期リラクタンスモータは、駆動用のインバータが不要となるため、モータドライブシステムとしてみた時に、低コスト化が実現できる。また、スイッチング損失などの変換器で発生する損失がないため、システム全体の効率を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4098939号公報
【文献】特許第4588255号公報
【文献】特開平5-91684号公報
【文献】特許第5411883号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】「ヒステリシスモータの動特性」、日立論評、1969年5月号
【文献】「ヒステリシスモータ」、電氣學會雜誌,Vol. 99, No. 4,1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、自己始動形の同期リラクタンスモータは、低コストと高効率が両立できる優れた性質を有しているが、始動特性に課題がある。自己始動形の同期リラクタンスモータにおいては、定常運転時は同期速度で回転し、滑りはゼロとなる。滑りのある状態から、同期速度まで加速することを同期引き入れという。同期引き入れの可否は、慣性モーメントに依存し、たとえ負荷トルクが定格トルク以下であっても、慣性モーメントが大きい場合は、同期引き入れできない可能性がある。例えば、負荷として接続されるファンやブロアの慣性モーメントは、モータ自体の慣性モーメントに対して、数倍から数十倍と大きい。そのため、ファンやブロアが接続されたモータは、同期引き入れの可否が問題となる場合がある。同期引き入れが可能な負荷慣性モーメントの最大値(以下では許容慣性モーメントと呼ぶ)は、誘導トルクを大きくすることで改善することができる。
【0007】
誘導トルクを大きくするためには、二次導体の断面積を大きくして、二次抵抗を小さくする必要がある。しかし、二次導体の面積を大きくした場合、相対的に鉄心部分の面積が小さくなり、回転子の磁気的なバランスが崩れ、回転子の突極性が低下する。すなわち、同期引き入れができても、定常運転時のトルクや力率が低く、同期リラクタンスモータとしての性能を十分に発揮することが困難となる。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その課題は、リラクタンストルクを低下させることなく、始動特性の向上した回転電機の回転子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、回転電機の回転子は、中心軸線の回りで回転自在なシャフトと、
前記中心軸線の回りの周方向に並んだ複数の磁極を有し、前記シャフトに固定された回転子鉄心と、を備えている。前記回転子鉄心の磁極には、前記回転子鉄心の外周面におけるある箇所から他の箇所に至る複数層のフラックスバリアが前記中心軸線を通る所定の軸線をそれぞれ通過するように並べられて形成され、前記フラックスバリアは、前記フラックスバリアの長手方向の両端において前記回転子鉄心の外周面の一部を形成する第1ブリッジ部および第2ブリッジ部と、前記第1ブリッジ部と第2ブリッジ部との間に位置する空隙層と、を含んでいる。少なくとも1層のフラックスバリアは、前記空隙層の少なくとも1部に充填された硬磁性材料で形成された磁化反転可能な硬磁性領域を有している
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る回転電機の横断面図。
図2図2は、前記回転電機の回転子の1磁極部分を拡大して示す横断面図。
図3A図3Aは、硬磁性領域における磁界ベクトルおよび磁化ベクトルの第1時間変化を概略的に示す図。
図3B図3Bは、硬磁性領域における磁界ベクトルおよび磁化ベクトルの第2時間変化を概略的に示す図。
図3C図3Cは、硬磁性領域における磁界ベクトルおよび磁化ベクトルの第3時間変化を概略的に示す図。
図3D図3Dは、硬磁性領域における磁界ベクトルおよび磁化ベクトルの第4時間変化を概略的に示す図。
図4図4は、硬磁性領域における磁界と磁化の時間変化を示す図。
図5図5は、非同期運転時に発生するトルクの解析結果を示す図。
図6図6は、始動時における電機子電流波形の一例を示す図。
図7図7は、第1変形例に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図。
図8図8は、第2変形例に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図。
図9図9は、第3変形例に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図。
図10図10は、第2実施形態に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図。
図11図11は、第3実施形態に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る回転電機の横断面図、図2は、回転子の1磁極分を拡大して示す断面図である。
図1に示すように、回転電機10は、例えば、インナーロータ形の回転電機として構成され、図示しない固定枠に支持された環状あるいは円筒状の固定子12と、固定子の内側に中心軸線Cの回りで回転自在に、かつ固定子12と同軸的に支持された回転子14と、を備えている。実施形態において、回転電機10は、自己始動形のリラクタンスモータ(LS-SynRM)を構成している。
【0012】
固定子12は、円筒状の固定子鉄心16と固定子鉄心16に巻き付けられた電機子巻線18とを備えている。固定子鉄心16は、磁性材、例えば、ケイ素鋼などの円環状の電磁鋼板を多数枚、同芯状に積層して構成されている。固定子鉄心16は、軟磁性粉を加圧成形して形成することも可能である。固定子鉄心16は環状のヨーク部17と、それぞれヨーク部17の内周から中心軸線Cに向かって延出しヨーク部17の周方向に等間隔で配列された複数本(例えば、本実施形態では36本)の固定子ティース21と、を一体に有している。ティース21は、断面略矩形状に形成されている。ティース21の延出端は、所定の隙間を置いて回転子14に面している。
隣接する各ティース21間には、それぞれスロット20が形成されている。複数のスロット20は、円周方向に等間隔を置いて並んでいる。各スロット20は、固定子鉄心16の内周面に開口し、この内周面から放射方向に延出している。また、各スロット20は、固定子鉄心16の軸方向の全長に亘って延在している。
【0013】
複数のスロット20に電機子巻線18が埋め込まれ、図示しないインシュレータや絶縁被膜を介して各固定子ティース21に巻き付けられている。電機子巻線18は3相(U相、V相、W相)に分かれている。3相交流電源から電機子巻線18に電流を流すことにより、固定子12(固定子ティース21)に所定の鎖交磁束が形成される。
なお、固定子鉄心16に絶縁性を有するインシュレータが装着されてもよく、あるいは、固定子鉄心16の外面全体が絶縁被膜で被覆されてもよい(何れも図示しない)。
【0014】
回転子14は、円柱形状のシャフト(回転軸)22と、このシャフト22の軸方向ほぼ中央部に同軸的に固定された円柱形状の回転子鉄心24と、を有している。シャフト22は、図示しない軸受により中心軸線Cの回りで回転自在に支持されている。回転子14は、固定子12の内側に僅かな隙間(エアギャップ)Gを置いて同軸的に配置されている。すなわち、回転子鉄心24の外周面は、僅かな隙間Gをおいて、固定子12の内周面(固定子ティース21の先端面)に対向している。回転子鉄心24は中心軸線Cと同軸的に形成された内孔25を有している。シャフト22は内孔25に挿通および嵌合され、回転子鉄心24と同軸的に延在している。回転子鉄心24は、磁性材、例えば、ケイ素鋼などの円環状の電磁鋼板を多数枚、同芯状に積層した積層体として構成されている。回転子鉄心24は、軟磁性粉を加圧成形して形成することも可能である。
【0015】
本実施形態において、回転子14は、複数磁極、例えば、4磁極に設定されている。回転子鉄心24において、中心軸線Cと直交する方向を径方向、中心軸線C回りに周回する方向を周方向と称する。また、中心軸線Cおよび隣合う磁極間の境界を通り中心軸線Cに対して径方向あるいは放射方向に延びる軸をq軸、およびq軸に対して電気的、磁気的に直交する軸をd軸と称する。ここでは、固定子12によって形成される鎖交磁束の流れ易い方向をq軸としている。d軸およびq軸は、回転子鉄心24の円周方向に交互に、かつ、所定の位相で設けられている。回転子鉄心24の1磁極分とは、隣合う2本のq軸間の領域(1/4周の周角度領域)をいう。1磁極のうちの周方向中央がd軸となる。
【0016】
図2は、回転子の1磁極部分、すなわち、1/4周の周角度領域分を示す断面図である。図1および図2に示すように、回転子鉄心24は、1磁極ごとに、複数層、例えば、4層のフラックスバリア30a、30b、30c、30dを有している。各磁極において、4層のフラックスバリア30a~30dは、回転子鉄心24の径方向(ここでは、d軸方向)に互いに間隔を置いて、中心軸線C側から外周面側に順に並んで設けられている。すなわち、フラックスバリア30a~30dの各々は、回転子鉄心24の外周面におけるある箇所からd軸を通り外周面の他の箇所に至り、中心軸線Cに向かって凸状に湾曲して延在している。複数のフラックスバリア30a~30dは、固定子12により形成された磁束が通過する複数の磁路の間に形成され、各磁路を区画している。
【0017】
本実施形態において、各フラックスバリア30a~30dは、d軸を中心とするほぼ双曲線状に延在する空隙層32と、空隙層32の一端と外周面との間に位置する鉄心で形成された薄肉連結部(第1ブリッジ部)34aと、空隙層32の他端と外周面との間に位置する鉄心で形成された薄肉連結部(第2ブリッジ部)34bと、を有している。第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bは、径方向の幅WOを有している。第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bは、各フラックスバリア30a~30dの空隙層32により分離された回転子鉄心24同士を結合(接続)する役割を果たす。なお,各層に属する第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bの径方向の幅WOは、一定にかぎらず、不均一であってもよい。
【0018】
例えば、最も内周側に設けられたフラックスバリア30aにおいて、空隙層32の一端は、外周面の近傍、かつ、一方のq軸の近傍に位置し、空隙層32の他端は外周面の近傍、かつ、他方のq軸の近傍に位置している。空隙層32は、上記一端から他端まで、q軸に沿うと共に周方向の中央部が最も径方向内側に位置するように、外周側から径方向内側の中心軸線Cに向かって凸形状に湾曲したほぼ円弧状の断面形状を有している。一例では、空隙層32は一定の幅を有する帯状に形成されている。なお、各空隙層32の形状は、円弧状に限らず、双曲線状あるいはU字形のような凸形状であってもよい。また、空隙層32の幅は、一定に限らず、部位に応じて異なる幅に形成しても良い。
2層目、3層目、および最外層のフラックスバリア30b、30c、30dは、最内層のフラックスバリア30aに対して、d軸方向に間隔を置いて並んでいる。フラックスバリアは、4層に限らず、単層、2層、3層、あるいは5層以上に形成されてもよい。また、各フラックスバリアの空隙層32は、連続した一層に限らず、複数に分割された空隙層としてもよい。
【0019】
各空隙層32には、非磁性の絶縁体(空気や樹脂など)が充填され、鉄心部分に比較して透磁率が低いバリア領域40を形成している。バリア領域40は、磁路に比べて磁束を通しにくい(磁束の流れを妨げる)性質がある。
回転子鉄心24において、前述したq軸は、バリア領域40によって磁束の流れが妨げられない方向に相当している。すなわち、回転子鉄心24の外周面のある周角度位置Aに正の磁位(例えば磁石のN極を近づける)を与え、それに対して1極分(本実施例の場合は90度)ずれた周角度位置Bに負の磁位(例えば磁石のS極を近づける)を与え、Aの位置を周方向へずらしていった場合に最も多くの磁束が流れる時の中心軸線Cから位置Aに向かう方向をq軸と定義している。一方、q軸に対して磁気的に直交するd軸は、バリア領域40によって磁束の流れが妨げられる方向に相当している。
【0020】
バリア領域40によって、d軸方向の磁束が妨げられるため、回転子鉄心24にはd軸方向とq軸方向のそれぞれで磁気異方性が表れる。これによってリラクタンストルクが発生し、リラクタンスモータ10は同期速度において一定のトルクを生み出す。一方で、非同期速度では、リラクタンストルクは脈動し,平均値は零となる。
【0021】
図1および図2に示すように、第1実施形態によれば、フラックスバリア30a~30dの少なくとも一層において、例えば、内周側の3層のフラックスバリア30a、30b、30cにおいて、各バリア領域40の少なくとも一部、例えば、長手方向の中央部は、硬磁性材料が充填された硬磁性領域42に置き換えられている。硬磁性材料は、永久磁石を構成するような材料であり、例えば、希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石、サマリウム鉄コバルト磁石などを構成する材料を用いている。硬磁性領域42は、着磁されていても、着磁されていなくても、あるいは、不完全に着磁されていてもよい。硬磁性領域42は、d軸を横切るように配置され、長手方向に所定長さを有している。本実施形態では、硬磁性領域42は、d軸に対して左右対称に設けられている。フラックスバリア30a、30b、30cにおいて、硬磁性領域42を除く領域は、バリア領域40、ブリッジ部34a、34bとなっている。
各硬磁性領域42の磁化容易軸方向は、d軸方向に略平行となっている。なお、上記に述べた一般的な硬磁性材料のリコイル比透磁率はほぼ1である。すなわち、硬磁性材料の磁気抵抗は、回転子鉄心24の鉄心部に比べて十分大きく、バリア領域としての機能を有している。従って、バリア領域40の一部を硬磁性領域42に置き換えた場合でも、同期リラクタンスモータ本来の性質(効率や力率など)は損なわれない。
【0022】
回転電機の始動時などの非同期運転時においては、同期速度と回転子14の物理的な速度に差が発生し、回転子14に交番磁界が印加される。硬磁性領域42の磁束密度は、硬磁性材料のヒステリシス磁気特性によって、不可逆に変化する。不可逆的な変化により、磁界と磁化に位相差が発生し、ヒステリシストルクを生じる。
【0023】
図3A、3B、3C、3Dは、有限要素法を用いた磁界解析によって、第1実施形態における硬磁性領域42の磁化反転の様子をシミュレーションした結果をそれぞれ示す図である。電機子巻線18には、実効値が一定の3相交流電流を通電し、回転磁界を発生させた。
図3Aに示す状態1は、硬磁性材料に加わる磁界がほぼ0となるような状態である。この時、各硬磁性領域42の磁化は、d軸の正方向(図の上方向)を向いている。
図3Bに示す状態2は、次に、少し時間が経過して3相交流の位相が変化し、d軸の負方向(図の下方向)に磁界が生じた時の状態である。この状態2でも、磁化は概ねd軸の正方向となっている。その後、時間の経過に伴い、図3Cに示す状態3、図3Dに示す状態4に順次変化し、負方向の磁界が大きくなるにつれて、磁化も負方向へ変化する。
【0024】
このように,磁界の変化より少し遅れて、硬磁性領域42の磁化が変化する。
図4は、磁界と磁化の時間変化を表した図である。図4からも、磁化の変化が磁界の変化に対して遅れていることが分かる。
【0025】
図5は、非同期運転時に発生するトルクの解析結果を示す図である。
図5において、(FB+Mag)は、第1実施形態に係るリラクタンスモータ10を模擬した解析結果を示している。すなわち、フラックスバリアがバリア領域40と硬磁性領域42とにって構成されている。なお、図中の平均トルクは、電気角一周期あたりの平均値である。第1実施形態に係るリラクタンスモータ10では、滑りによらず、ほぼ一定のトルクが得られることが分かる。
図5において、FBは、一般的な同期リラクタンスモータを模擬した場合の解析結果を示している。すなわち、一般的な同期リラクタンスモータでは、フラックスバリアはバリア領域のみで構成され、硬磁性領域を有していない。このリラクタンスモータでは、電気角一周期の平均トルクは零となっており、加速(始動)できないことが確認できる。
【0026】
一方、同期リラクタンスモータに永久磁石を挿入することにより、効率や力率を向上させる技術が知られている。これらのモータでは、いかなる運転状態においても永久磁石が磁化反転(不可逆減磁)しないよう、保磁力Hcが非常に高い硬磁性材料の磁石が用いられている。これに対して、本実施形態に係るリラクタンスモータでは、硬磁性領域42を形成する硬磁性材料は、非同期運転時に磁化が反転することを前提としている。
【0027】
スロット20内の直列導体数をNt、固定子のスロット数をNs、極数をP、電機子巻線の並列回路数をNc、1極あたりの硬磁性領域の厚みの総和をtmとすると、一極当たりの各相に対応するスロット数(毎極毎相スロット数)Taは次のようになる。
【数1】


電機子巻線18の内の1相(U相)に流れる電流をiuとすすると、U相電流が作る起磁力Fuは次のようになる。
【数2】


V相とW相についても同様である。これらをベクトルとして足し合わせると、実効値Iaの3相電流が作る起磁力Fは次のように計算できる。
【数3】


1極あたりのフラックスバリア30aの厚み(フラックスバリアのd軸方向の幅)の総和をtmとすると、硬磁性領域42に発生する磁界Hは次のように計算できる。
【数4】


Hc<Hとなった時、硬磁性領域42の磁化の反転が発生する。したがって、本実施形態に係る自己始動形の同期リラクタンスモータ10は、定格電圧で始動した場合に流れる3相電流の実効値の最大値をImaxとした時、以下の条件が成立するモータである。
【数5】

【0028】
図6は、電機子巻線電流の始動時の電流波形の一例を示す図である。図示のように、3相電流の包絡線の最大値は114Aとなっている。したがって、この例では、最大値をImaxは、
【数6】

と計算できる。なお、U相、V相、W相電流の瞬時値をiu(t)、iv(t)、iw(t)とすると、3相電流の包絡線A(t)は、次のように計算できる。
【数7】

【0029】
以上のように構成された第1実施形態に係る自己始動形の同期リラクタンスモータ10によれば、回転子鉄心24の各磁極に複数層のフラックスバリア30a~30dが形成され、各フラックスバリアには、複数のブリッジ部34a、34bが形成されているとともにブリッジ部の間にバリア領域40が形成されている。バリア領域40には、非磁性の絶縁体(空気や樹脂など)が充填され、磁束の流れを妨げる。少なくとも1層のフラックスバリアにおいて、バリア領域40の少なくとも一部に硬磁性材料(希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石、サマリウム鉄コバルト磁石など)が充填され硬磁性領域42を形成している。硬磁性領域42は、磁束の流れを妨げるとともに、非同期時には硬磁性材料の磁化が反転(不可逆減磁)してヒステリシストルクを生じる。これにより、負荷のトルクや慣性モーメントが大きい場合でも、同期引き入れすることができる。特に、ヒステリシストルクを負荷トルクよりも大きく設定すれば、許容負荷慣性モーメントの制約から解放され、本リラクタンスモータの応用範囲が格段に広くなる。以上のように、上述した技術を活用することで、始動性の向上した自己始動形の同期リラクタンスモータおよびその回転子が得られる。
【0030】
次に、変形例および他の実施形態に係る回転電機について説明する。以下に述べる変形例および他の実施形態において、上述した第1実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(第1変形例)
図7は、第1変形例に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図である。
図示のように、フラックスバリア30a、30b、30cの硬磁性領域42は、空隙層32に挿入配置された平板状の硬磁性材料で構成してもよい。
【0031】
(第2変形例)
図8は、第2変形例に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図である。
図示のように、フラックスバリア30a、30bの周方向の中央部に、鉄心部で形成されたセンターブリッジ44、45をそれぞれ設けても良い。本変形例において、センターブリッジ44、45は、d軸上に配置されている。センターブリッジ44、45を設けることにより、遠心力に対する回転子鉄心24の機械強度が向上し、より早い回転数でも動作させることができる。
フラックスバリア30b、30cにおいて、バリア領域に2つ以上の硬磁性領域42が設けられている。硬磁性領域42は、フラックスバリアの長手方向の一端と中央部との間、および長手方向の他端と中央部との間、にそれぞれ設けられている。
硬磁性領域42の設置数は、2つに限らず、3つ以上としてもよく、設置位置も上記に限らず、任意に選択可能である。
【0032】
(第3変形例)
図9は、第3変形例に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図である。
図示のように、回転子鉄心24の各磁極に3層のフラックスバリア30a、30b、30cが設けられている。3層のフラックスバリア30a、30b、30cは、回転子鉄心24の径方向に互いに間隔を置いて、中心軸線C側から外周面側に順に並んで設けられている。フラックスバリア30a、30b、30cの各々は、回転子鉄心24の外周面におけるある箇所からd軸を通り外周面の他の箇所に至り、中心軸線Cに向かって凸状に湾曲して延在している。複数のフラックスバリア30a、30b、30cは、固定子12により形成された磁束が通過する複数の磁路の間に形成され、各磁路を区画している。
【0033】
各フラックスバリア30a、30b、30cは、d軸を中心とするほぼ双曲線状に延在する空隙層32と、空隙層32の一端と外周面との間に位置する鉄心で形成された第1ブリッジ部34aと、空隙層32の他端と外周面との間に位置する鉄心で形成された第2ブリッジ部34bと、を有している。第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bは、径方向の幅WOを有している。第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bは、各フラックスバリア30a、30b、30cの空隙層32により分離された回転子鉄心24同士を結合(接続)する役割を果たす。なお,各層に属する第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bの径方向の幅WOは、一定に限らず、不均一であってもよい。
【0034】
例えば、最も内周側に設けられたフラックスバリア30aにおいて、空隙層32の一端は、外周面の近傍、かつ、一方のq軸の近傍に位置し、空隙層32の他端は外周面の近傍、かつ、他方のq軸の近傍に位置している。空隙層32は、上記一端から他端まで、q軸に沿うと共に周方向の中央部が最も径方向内側に位置するように、外周側から径方向内側の中心軸線Cに向かって凸形状に湾曲した双曲線状の断面形状を有している。なお、各空隙層32の形状は、双曲線状に限らず、円弧状あるいはU字形のような凸形状であってもよい。
2層目および3層目のフラックスバリア30b、30cは、最内層のフラックスバリア30aに対して、d軸方向に間隔を置いて並んでいる。フラックスバリアは、3層に限らず、単層、2層、あるいは4層以上としてもよい。
【0035】
各空隙層32には、非磁性の絶縁体(空気や樹脂など)が充填され、鉄心部分に比較して透磁率が低いバリア領域40を形成している。3層のフラックスバリア30a、30b、30cにおいて、各バリア領域40の少なくとも一部、例えば、長手方向の中央部は、硬磁性材料が充填された硬磁性領域42に置き換えられている。硬磁性材料は、永久磁石を構成するような材料であり、例えば、希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石、サマリウム鉄コバルト磁石などを構成する材料を用いている。硬磁性領域42は、着磁されていても、着磁されていなくても、あるいは、不完全に着磁されていてもよい。硬磁性領域42は、d軸を横切るように配置され、長手方向に所定長さを有している。本実施形態では、硬磁性領域42は、d軸に対して左右対称に設けられている。
【0036】
第3変形例によれば、各フラックスバリア30a、30b、30cにおいて、長手方向の中央部に、鉄心部で形成された2つのブリッジ46a、46bが設けられている。ブリッジ46a、46bの各々は、空隙層32を径方向に横切って延び各フラックスバリアの内周側に位置する鉄心部と外周側に位置する鉄心部とを連結している。ブリッジ46a、46bは、硬磁性領域42の長手方向の両側に配置されている。一例では、ブリッジ46a、46bは、d軸に対して、左右対称に配置されている。ブリッジ46a、46bを設けることにより、遠心力に対する回転子鉄心24の機械強度が一層向上し、より早い回転数でも動作させることができる。
なお、ブリッジの数は、2つに限らず、3つ以上としてもよく、設置位置も上記に限らず、任意に選択可能である。
前述した第2変形例では,機械的なバランスを保つために、d軸に対して対称な位置に硬磁性領域42を配置する必要があり、硬磁性体を多数に分割する必要があった。これに対して、第3変形例では、硬磁性体の分割数を増やすことなく、機械的なバランスを保った高強度な回転子14が実現できる。
【0037】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図。
第1実施形態では、フラックスバリアは、バリア領域40と硬磁性領域42とで、またはどちらか一方によって構成されている。第2実施形態によれば、バリア領域の一部、または全てに、非磁性の導電体が充填され、それぞれ導電性領域(2次導体)50を構成している。図示の例では、バリア領域すべてを導電性領域50に置き換えている。非磁性の導電体としては、銅やアルミニウム、ステンレス等を用いることができる。
これらの導電性領域50は、回転子鉄心24の軸方向の一端に設けられた図示しない短絡部材(例えば、エンドリング)により互いに短絡され、二次巻線を構成している。
【0038】
バリア領域を導電性領域50とすることにより、非同期運転時においては、導電性領域50に渦電流が発生し、誘導トルクが得られる。第1実施形態と同様に、各フラックスバリアの硬磁性領域42にはヒステリシストルクが生じるため、より大きな始動トルクを得ることができる。なお、誘導トルクを発生するための導電性領域50は、回転子鉄心24の外周に近い領域に設けられていることが望ましい。
前述した図5において、(Cnd+Mag)は、第2実施形態に係るリラクタンスモータ10を模擬した解析結果を示している。すなわち、フラックスバリアは導電性領域と硬磁性領域とで構成されている。図5から、第2実施形態に係るリラクタンスモータ10は、第1実施形態に係るリラクタンスモータ(FB+Mag)よりも大きなトルクが得られていることが解る。
【0039】
図5において、Cndは、全てのバリア領域および硬磁性領域を導電性領域に置き換えたリラクタンスモータ(誘導トルクのみを用いた自己始動形の同期リラクタンスモータ)を模擬した場合の解析結果を示している。このモータでは、滑りが零に近づくにつれて、トルクも零に近づいている。これに対して、第2実施形態に係るリラクタンスモータ10では、(Cnd+Mag)で示されているように、滑りが零となってもヒステリシストルクが得られるため、トルクは零より大きな値に近づいている。
以上のように、第2実施形態に係るリラクタンスモータは、第1実施形態に係るリラクタンスモータよりも大きな始動トルクを得ることができ、更に、従来の自己始動形の同期リラクタンスモータの欠点を克服することができる。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、負荷のトルクや慣性モーメントが大きい場合でも,同期引き入れすることができ、始動性の向上した自己始動形の同期リラクタンスモータおよび回転子が得られる。
【0040】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態に係る回転電機の回転子の1磁極部分を示す断面図。
第3実施形態では、リラクタンスモータ10の回転子14の磁極数は2磁極に設定している。図11に示すように、回転子鉄心24は、1磁極ごとに、複数層、例えば、3層のフラックスバリア30a、30b、30cを有している。各磁極において、3層のフラックスバリア30a、30b、30c、回転子鉄心24の径方向(ここでは、d軸方向)に互いに間隔を置いて、中心軸線C側から外周面側に順に並んで設けられている。
【0041】
最も内周側に位置する1層目のフラックスバリア30aは、回転子鉄心24の外周面におけるある箇所からd軸を通りほぼ180度離間した外周面の他の箇所に至り、概略直線状に延在している。フラックスバリア30aは、概略直線状の空隙層32と、空隙層32の長手方向の一端と外周面との間に位置する鉄心で形成された第1ブリッジ部34aと、空隙層32の長手方向の他端と外周面との間に位置する鉄心で形成された第2ブリッジ部34bと、を有している。空隙層32の長手方向の中央部分はシャフト22を避けるように外周面の側に凸状に湾曲している。
【0042】
2層目のフラックスバリア30bは、1層目のフラックスバリア30aに対して、径方向に所定距離だけ離間して設けられている。フラックスバリア30bは、回転子鉄心24の外周面におけるある箇所からd軸を通りほぼ180度離間した外周面の他の箇所に至り、概略直線状に延在している。フラックスバリア30bは、概略直線状の空隙層32と、空隙層32の長手方向の一端と外周面との間に位置する鉄心で形成された第1ブリッジ部34aと、空隙層32の長手方向の他端と外周面との間に位置する鉄心で形成された第2ブリッジ部34bと、を有している。空隙層32の長手方向の中央部分は外周面の側に凸状に湾曲している。
【0043】
3層目のフラックスバリア30cは、2層目のフラックスバリア30aに対して、径方向の外方に、すなわち、外周面の側に、所定距離だけ離間して設けられている。フラックスバリア30cは、回転子鉄心24の外周面におけるある箇所からd軸を通りほぼ180度離間した外周面の他の箇所に至り、概略直線状に延在している。フラックスバリア30cは、概略直線状の空隙層32と、空隙層32の長手方向の一端と外周面との間に位置する鉄心で形成された第1ブリッジ部34aと、空隙層32の長手方向の他端と外周面との間に位置する鉄心で形成された第2ブリッジ部34bと、を有している。
3層のフラックスバリア30a、30b、30cは、固定子12により形成された磁束が通過する複数の磁路の間に形成され、各磁路を区画している。各相のフラックスバリアの第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bは、径方向の幅WOを有している。第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bは、各フラックスバリア30a、30b、30cの空隙層32により分離された回転子鉄心24同士を結合(接続)する役割を果たしている。なお,各層に属する第1ブリッジ部34aおよび第2ブリッジ部34bの径方向の幅WO、一定にかぎらず、不均一であってもよい。
【0044】
各フラックスバリア30a、30b、30cの空隙層32には、非磁性の絶縁体(空気や樹脂など)が充填され、鉄心部分に比較して透磁率が低いバリア領域40を形成している。バリア領域40は、磁路に比べて磁束を通しにくい性質がある。本実施形態によれば、3層のフラックスバリア30a、30b、30cにおいて、各バリア領域40の少なくとも一部、例えば、長手方向の中央部は、硬磁性材料が充填された硬磁性領域42に置き換えられている。硬磁性材料は、永久磁石を構成するような材料であり、例えば、希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石、サマリウム鉄コバルト磁石などを構成する材料を用いている。硬磁性領域42は、着磁されていても、着磁されていても、あるいは、不完全に着磁されていてもよい。硬磁性領域42は、d軸を横切るように配置され、長手方向に所定長さを有している。本実施形態では、硬磁性領域42は、d軸に対して左右対称に設けられている。フラックスバリア30a、30b、30cにおいて、硬磁性領域42を除く領域は、バリア領域40、ブリッジ部34a、34bとなっている。
各硬磁性領域42の磁化容易軸方向は、d軸方向に略平行となっている。なお、上記に述べた一般的な硬磁性材料のリコイル比透磁率はほぼ1である。
【0045】
上記のように構成された2磁極のリラクタンスモータ10においても、前述した第1実施形態に係るリラクタンスモータと同様の作用効果を得ることができる。
第3実施形態において、各フラックスバリアの空隙層32は、連続した一層に限らず、複数に分割された空隙層としてもよい。すなわち、前述した第2変形例、第3変形例と同様に、空隙層32の長手方向の1箇所あるいは複数箇所にブリッジを設けても良い。
また、バリア領域40の一部、または全てに、非磁性の導電体を充電し、バリア領域を導電性領域に置き換えても良い。非磁性の導電体としては、銅やアルミニウム、ステンレス等を用いることができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態、変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
本発明の実施形態として上述した各構成を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての構成も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。例えば、実施形態では、4磁極あるいは2磁極の回転子を示しているが、これに限らず、回転子は、6磁極以上の回転子としてもよい。回転子の寸法、形状、フラックスバリアの層数、ブリッジ部の形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
10…回転電機、12…固定子、14…回転子、16…固定子鉄心、
18…電機子巻線、20…スロット、22…シャフト、24…回転子鉄心、
30a、30b、30c、30d…フラックスバリア、32…空隙層、
32a…第1ブリッジ部、32b…第2ブリッジ部、40…バリア領域、
42…硬磁性領域、50…導電性領域
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11