(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】撮像システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20240318BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G01N21/17 630
G01N21/64 E
(21)【出願番号】P 2020146103
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 佳祐
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/052311(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0122488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/74
G01B 11/00-G01B 11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を撮像するための、光干渉方式の第1の撮像装置と、
前記撮像対象を撮像するための、光シート顕微鏡方式の第2の撮像装置とを備え、
前記第1の撮像装置は、
前記第2の撮像装置と共通して設けられる光源部と、
前記第2の撮像装置と共通して設けられ、かつ、入射された光を前記撮像対象に集光するための集光部と、
入射された前記光を反射するための反射部と、
前記光源部から入射された光を、前記光のうちの一部が前記反射部に入射され前記光のうちの他の一部が前記集光部に入射されるように分岐させるための分岐部と、
前記撮像対象で反射した後、前記集光部を介して入射された前記光と、前記反射部で反射した後、入射された前記光とを合成して合成光を出射するための合成部と、
前記合成光のスペクトル分布を検出するための第1の検出部と、
前記合成光の前記スペクトル分布に基づいて、前記撮像対象内の界面位置を算出するための算出部とを備え、
前記第2の撮像装置は、
前記光源部と、
前記光源部から入射された前記光を前記撮像対象に集光するための前記集光部と、
前記撮像対象に集光された前記光によって生じる蛍光
が入射されるレンズ系、前記蛍光が有する波長の光を通過させるバンドパスフィルタ、および、前記バンドパスフィルタを通過した前記蛍光を検出するための第2の検出部
を備える観察系とを備え
、
前記集光部は、第1の対物レンズと第2の対物レンズとを切り替え可能であり、
前記第1の対物レンズは前記分岐部から入射した光を一点に集光させ、
前記第2の対物レンズは前記分岐部から入射した光を前記第2の対物レンズの光軸方向と直交する一の方向に絞ることにより、シート状の分布を有する光を前記撮像対象に入射させ、
前記観察系の光軸は、前記シート状の分布がなす面と直交する、
撮像システム。
【請求項2】
撮像対象を撮像するための、光干渉方式の第1の撮像装置と、
前記撮像対象を撮像するための、光シート顕微鏡方式の第2の撮像装置とを備え、
前記第1の撮像装置は、
第1の光
源と、
前記第2の撮像装置と共通して設けられ、かつ、
前記第1の光源から入射された光を前記撮像対象に集光するための集光部と、
前記第1の光源から入射された前記光を反射するための反射部と、
前記
第1の光
源から入射された光を、前記光のうちの一部が前記反射部に入射され前記光のうちの他の一部が前記集光部に入射されるように分岐させるための分岐部と、
前記撮像対象で反射した後、前記集光部を介して入射された前記光と、前記反射部で反射した後、入射された前記光とを合成して合成光を出射するための合成部と、
前記合成光のスペクトル分布を検出するための第1の検出部と、
前記合成光の前記スペクトル分布に基づいて、前記撮像対象内の界面位置を算出するための算出部とを備え、
前記第2の撮像装置は、
第2の光
源と、
前記
第2の光
源から入射され
た光を前記撮像対象に集光するための前記集光部と、
前記撮像対象に集光された前記光によって生じる蛍光
が入射されるレンズ系、前記蛍光が有する波長の光を通過させるバンドパスフィルタ、および、前記バンドパスフィルタを通過した前記蛍光を検出するための第2の検出部
を備える観察系とを備え
、
前記集光部は、第1の対物レンズと第2の対物レンズとを切り替え可能であり、
前記第1の対物レンズは前記分岐部から入射した光を一点に集光させ、
前記第2の対物レンズは前記分岐部から入射した光を前記第2の対物レンズの光軸方向と直交する一の方向に絞ることにより、シート状の分布を有する光を前記撮像対象に入射させ、
前記観察系の光軸は、前記シート状の分布がなす面と直交する、
撮像システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像システムであり、
前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとは、前記集光部に入射される前記光の波長に応じて切り替え可能である、
撮像システム。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像システムであり、
前記集光部は、前記第1の光源から入射された前記光に
前記第1の対物レンズを対応させ、前記第2の光源から入射された前記光に
前記第2の対物レンズを対応させ、
前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとは、前記集光部に入射される前記光の波長に応じて切り替え可能である、
撮像システム。
【請求項5】
請求項1から
4のうちのいずれか1つに記載の撮像システムであり、
前記撮像対象を収容するための容器をさらに備え、
前記容器は、鉛直方向に対して傾斜する複数の内壁面を有し、
前記撮像対象は、前記複数の内壁面に挟まれる底部に配置される、
撮像システム。
【請求項6】
請求項1から
5のうちのいずれか1つに記載の撮像システムであり、
前記撮像対象を収容するための容器をさらに備え、
前記容器は、複数の外壁面を有し、
前記複数の外壁面のうちの第1の外壁面は、前記第2の検出部の光軸と直交し、
前記複数の外壁面のうちの第2の外壁面は、前記集光部によって前記撮像対象に集光される前記光の光軸と直交する、
撮像システム。
【請求項7】
請求項1から
6のうちのいずれか1つに記載の撮像システムであり、
前記第1の撮像装置および前記第2の撮像装置に共通して設けられ、かつ、前記集光部によって前記撮像対象に集光される前記光を走査するための走査部をさらに備える、
撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、撮像システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体または半透明物質の断層を非接触、非侵襲で観察可能な装置として、光干渉断層撮影装置(optical coherence tomography、すなわち、OCT)が実用化されている(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、生体などの3次元構造を観察できる技術として、蛍光色素で染色した試料または蛍光タンパク質などに対してシート状に形成された励起光を照射し、当該光の照射領域から発せられた蛍光を検出する光シート顕微鏡方式の撮像装置が普及している。
【0004】
OCT観察では撮像対象の外部形状および内部形状が観察され、蛍光観察では生体内の特定物質の空間分布が観察される。また、OCT観察は非侵襲での観察が可能である一方、蛍光観察では蛍光色素で染色する場合などで侵襲的な観察となる。そのため、目的に応じてそれらの撮像方法が使い分けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
同一の撮像対象に対してOCT観察と蛍光観察とを順次行い、両撮像方法による撮像結果を比較および評価する場合、装置間で撮像対象を移動させる際に位置ずれ(移動または回転など)が生じる。当該位置ずれは誤差の要因ともなるため、比較および評価の精度を低下させる場合があった。
【0007】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、撮像方法の切り替えに伴う撮像対象の位置ずれを抑制するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である撮像システムは、撮像対象を撮像するための、光干渉方式の第1の撮像装置と、前記撮像対象を撮像するための、光シート顕微鏡方式の第2の撮像装置とを備え、前記第1の撮像装置は、前記第2の撮像装置と共通して設けられる光源部と、前記第2の撮像装置と共通して設けられ、かつ、入射された光を前記撮像対象に集光するための集光部と、入射された前記光を反射するための反射部と、前記光源部から入射された光を、前記光のうちの一部が前記反射部に入射され前記光のうちの他の一部が前記集光部に入射されるように分岐させるための分岐部と、前記撮像対象で反射した後、前記集光部を介して入射された前記光と、前記反射部で反射した後、入射された前記光とを合成して合成光を出射するための合成部と、前記合成光のスペクトル分布を検出するための第1の検出部と、前記合成光の前記スペクトル分布に基づいて、前記撮像対象内の界面位置を算出するための算出部とを備え、前記第2の撮像装置は、前記光源部と、前記光源部から入射された前記光を前記撮像対象に集光するための前記集光部と、前記撮像対象に集光された前記光によって生じる蛍光が入射されるレンズ系、前記蛍光が有する波長の光を通過させるバンドパスフィルタ、および、前記バンドパスフィルタを通過した前記蛍光を検出するための第2の検出部を備える観察系とを備え、前記集光部は、第1の対物レンズと第2の対物レンズとを切り替え可能であり、前記第1の対物レンズは前記分岐部から入射した光を一点に集光させ、前記第2の対物レンズは前記分岐部から入射した光を前記第2の対物レンズの光軸方向と直交する一の方向に絞ることにより、シート状の分布を有する光を前記撮像対象に入射させ、前記観察系の光軸は、前記シート状の分布がなす面と直交する。
【0009】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である撮像システムは、撮像対象を撮像するための、光干渉方式の第1の撮像装置と、前記撮像対象を撮像するための、光シート顕微鏡方式の第2の撮像装置とを備え、前記第1の撮像装置は、第1の光源と、前記第2の撮像装置と共通して設けられ、かつ、前記第1の光源から入射された光を前記撮像対象に集光するための集光部と、前記第1の光源から入射された前記光を反射するための反射部と、前記第1の光源から入射された光を、前記光のうちの一部が前記反射部に入射され前記光のうちの他の一部が前記集光部に入射されるように分岐させるための分岐部と、前記撮像対象で反射した後、前記集光部を介して入射された前記光と、前記反射部で反射した後、入射された前記光とを合成して合成光を出射するための合成部と、前記合成光のスペクトル分布を検出するための第1の検出部と、前記合成光の前記スペクトル分布に基づいて、前記撮像対象内の界面位置を算出するための算出部とを備え、前記第2の撮像装置は、第2の光源と、前記第2の光源から入射された光を前記撮像対象に集光するための前記集光部と、前記撮像対象に集光された前記光によって生じる蛍光が入射されるレンズ系、前記蛍光が有する波長の光を通過させるバンドパスフィルタ、および、前記バンドパスフィルタを通過した前記蛍光を検出するための第2の検出部を備える観察系とを備え、前記集光部は、第1の対物レンズと第2の対物レンズとを切り替え可能であり、前記第1の対物レンズは前記分岐部から入射した光を一点に集光させ、前記第2の対物レンズは前記分岐部から入射した光を前記第2の対物レンズの光軸方向と直交する一の方向に絞ることにより、シート状の分布を有する光を前記撮像対象に入射させ、前記観察系の光軸は、前記シート状の分布がなす面と直交する。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第3の態様である撮像システムは、第1または2の態様である撮像システムに関連し、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとは、前記集光部に入射される前記光の波長に応じて切り替え可能である。
【0011】
本願明細書に開示される技術の第4の態様である撮像システムは、第2の態様である撮像システムに関連し、前記集光部は、前記第1の光源から入射された前記光に前記第1の対物レンズを対応させ、前記第2の光源から入射された前記光に前記第2の対物レンズを対応させ、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとは、前記集光部に入射される前記光の波長に応じて切り替え可能である。
【0013】
本願明細書に開示される技術の第5の態様である撮像システムは、第1から4のうちのいずれか1つの態様である撮像システムに関連し、前記撮像対象を収容するための容器をさらに備え、前記容器は、鉛直方向に対して傾斜する複数の内壁面を有し、前記撮像対象は、前記複数の内壁面に挟まれる底部に配置される。
【0014】
本願明細書に開示される技術の第6の態様である撮像システムは、第1から5のうちのいずれか1つの態様である撮像システムに関連し、前記撮像対象を収容するための容器をさらに備え、前記容器は、複数の外壁面を有し、前記複数の外壁面のうちの第1の外壁面は、前記第2の検出部の光軸と直交し、前記複数の外壁面のうちの第2の外壁面は、前記集光部によって前記撮像対象に集光される前記光の光軸と直交する。
【0015】
本願明細書に開示される技術の第7の態様である撮像システムは、第1から6のうちのいずれか1つの態様である撮像システムに関連し、前記第1の撮像装置および前記第2の撮像装置に共通して設けられ、かつ、前記集光部によって前記撮像対象に集光される前記光を走査するための走査部をさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1の態様によれば、撮像装置間で光源および物体系を共通して備えるため、それぞれの撮像装置に応じて撮像方法を切り替える際にも撮像対象を移動させる必要がない。よって、撮像方法の切り替えに伴う撮像対象の位置ずれが生じにくくなる。
【0017】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に関する撮像システムの構成の例を概略的に示す図である。
【
図2】制御部の機能的な構成を概念的に示す図である。
【
図3】実施の形態に関する撮像システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図4】
図1に例が示された撮像システムにおける対物レンズおよびその周辺の構成の例を示す図である。
【
図5】
図1に例が示された撮像システムにおける対物レンズおよびその周辺の構成の例を示す図である。
【
図6】実施の形態に関する撮像システムの構成の例を概略的に示す図である。
【
図7】制御部の機能的な構成を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。また、それぞれの実施の形態によって生じる効果の例については、すべての実施の形態に関する説明の後でまとめて記述される。
【0020】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0021】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0022】
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0023】
また、以下に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0024】
また、以下に記載される説明における、相対的または絶対的な位置関係を示す表現、たとえば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」または「同軸」などは、特に断らない限りは、その位置関係を厳密に示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において角度または距離が変位している場合を含むものとする。
【0025】
また、以下に記載される説明において、等しい状態であることを示す表現、たとえば、「同一」、「等しい」、「均一」または「均質」などは、特に断らない限りは、厳密に等しい状態であることを示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において差が生じている場合を含むものとする。
【0026】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0027】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する撮像システムについて説明する。
【0028】
<撮像システムの構成について>
図1は、本実施の形態に関する撮像システムの構成の例を概略的に示す図である。
図1に例が示されるように、撮像システム1は、光干渉方式の撮像装置10と、光シート顕微鏡方式の撮像装置20と、撮像装置10および撮像装置20を無線または有線の通信手段を介して制御する制御部30とを備える。
【0029】
光干渉方式の撮像装置10は、たとえば、OCTである。OCTは、生体または半透明物質の断層を非接触、かつ、非侵襲で観察することができる。OCTは、光の干渉現象を利用して、生体などを含む撮像対象の内部の深さ方向における界面位置を検出する。そして、当該検出動作を複数の断層について行うことで、撮像対象の断層画像さらには撮像対象の3次元構造を得ることができる。OCTには、主に医療分野または工業分野などで多く実用化されている方式であるfourier domain OCT(FD-OCT)などが含まれる。
【0030】
撮像装置10は、光源102と、検出器106と、光源102および検出器106に接続される分岐および合成系12と、分岐および合成系12から分岐する参照系14および物体系16とを備える。
【0031】
光源102は、super luminescent diode(SLD)またはフェムト秒レーザーなどの広い波長領域を有する広帯域光源であり、たとえば、波長が700nm以上、かつ、1300nm以下である近赤外領域の光源などが用いられる。
【0032】
検出器106は、たとえば、回折格子などの分光器である。検出器106は、入射される干渉光をスペクトル分解することによって、スペクトル分布を検出する。
【0033】
分岐および合成系12は、光源102および検出器106に接続されるファイバカプラ104と、ビームスプリッター108とを備える。
【0034】
ファイバカプラ104は、光源102から入射される光をビームスプリッター108へ出射する。また、ファイバカプラ104は、ビームスプリッター108側から入射される光を検出器106へ出射する。なお、ファイバカプラ104がいわゆる2×2型の4つのポートを有する構成である場合に、出射側に参照系14と物体系16とをそれぞれ接続して、ファイバカプラ104のみによって分岐および合成系12を構成することも可能である。
【0035】
ビームスプリッター108は、ファイバカプラ104から出射された後、コリメーターなどによって平行光に変換された光を、参照系14と物体系16とに分岐させてそれぞれ出射する。また、ビームスプリッター108は、参照系14から入射される光と物体系16から入射される光とを合成して、ファイバカプラ104へ出射する。
【0036】
参照系14では、ビームスプリッター108において分岐された光がリレーレンズ110を介してミラー112で反射する。そして、ミラー112で反射された光はリレーレンズ110を介して同じ光路を戻り、参照光としてビームスプリッター108に入射する。
【0037】
物体系16では、ビームスプリッター108において分岐された光がダイクロイックミラー114を透過し、さらに、ガルバノミラー116、リレーレンズ118、対物レンズ120を介して撮像対象に集光された状態(たとえば、一点に集光された状態)で入射される。ここで、撮像対象とは、たとえは、培養液などで満たされている容器52内に収容されたサンプル50である。また、容器52の外壁面は、光の屈折の影響を受けないように、物体系16の光軸と直交することが望ましい。具体的には、対物レンズ204の光軸と直交することが望ましい。言い換えると、入射側の容器に入っていく光の方向と直交することが望ましい。
【0038】
そして、サンプル50内部で反射された光は、対物レンズ120、リレーレンズ118、ガルバノミラー116、ダイクロイックミラー114を介して同じ光路を戻り、ビームスプリッター108に入射する。ここで、対物レンズ120は、後述の対物レンズ204と交換可能に設けられる。
【0039】
参照系14から入射された参照光、および、物体系16から入射された光は、ビームスプリッター108において合成され、合成光としてファイバカプラ104を介して検出器106へ入射される。
【0040】
撮像装置20は、光源202と、撮像装置10と共通する物体系16と、観察系18とを備える。
【0041】
光源202は、たとえば、近紫外領域から可視領域までの波長を有するレーザー光源である。
【0042】
物体系16は撮像装置10と共通しており、光源202から出射された後、コリメーターなどによって平行光に変換された光が、ビームスプリッター108とガルバノミラー116との間に配置されたダイクロイックミラー114で反射され、さらに、ガルバノミラー116、リレーレンズ118、対物レンズ204を介して撮像対象であるサンプル50に入射される。すなわち、光源202からの光は、物体系16へ直接入射される。
【0043】
ここで、対物レンズ204は対物レンズ120と交換可能に設けられており、たとえば、シリンドリカルレンズなどを含む。対物レンズ204を介してサンプル50に入射される光は、Y軸方向のみで絞られた光、すなわち、XZ平面に拡がるシート状の分布を有する光(以下、光シートと称する場合がある)である。光シートは、あらかじめ蛍光色素で染色された撮像対象または蛍光タンパク質である撮像対象などに対して照射され、対応するXZ平面に位置する撮像対象を励起させることによって撮像対象から蛍光を生じさせる。なお、光シートは、対物レンズ204などによって点状の分布を有する光(一点に集光された状態)を形成した上で当該光をサンプル50に対してX軸方向において高速走査(たとえば、後述のエリアカメラのシャッタースピードに対して十分に速い走査)をすることによって、実質的に形成されるものであってもよい。
【0044】
観察系18は、光シートによってサンプル50から生じる蛍光が入射される対物レンズ206と、対物レンズ206に入射された蛍光がバンドパスフィルタ208および結像レンズ210を介して入射されるエリアカメラ212とを備える。ここで、バンドパスフィルタ208は、特定の波長の光だけを透過させるフィルタである。
【0045】
エリアカメラ212を含む観察系18の光軸は、対物レンズ204を含む物体系16の光軸と直交する。ここで、「直交」には、公差の範囲で角度がずれる「略直交」も含まれるものとし、また、XZ平面の撮像を同程度に行うことができる範囲で角度がずれる場合も含まれるものとする。観察系18の焦点位置(具体的には、対物レンズ206の焦点位置)は、光の照射領域であるXZ平面に合わせられている。ここで、容器52の外壁面は、光の屈折の影響を受けないように、観察系18の光軸と直交することが望ましい。具体的には、対物レンズ206の光軸と直交することが望ましい。言い換えると、入射側の容器に入っていく光の方向と直交することが望ましい。XZ平面におけるサンプル50から生じる蛍光に基づいてエリアカメラ212で検出される画像によれば、当該平面において蛍光を発するサンプル50の2次元的な位置情報などを得ることができる。
【0046】
上記のような光シート顕微鏡方式の撮像装置20によれば、エリアカメラ212によって得られる画像からXZ平面におけるサンプル50の2次元的な位置情報などを一括で取得することができるため、観察時間を短縮して、サンプル50の光照射によるダメージを軽減することができる。
【0047】
制御部30は、たとえば、ハードディスクドライブ(Hard disk drive、すなわち、HDD)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)を含む記憶装置と、たとえば、当該記憶装置、外部のCD-ROM、外部のDVD-ROM、または、外部のフラッシュメモリなどに格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)などの処理回路と、マウス、キーボード、タッチパネル、または、各種スイッチなどの、情報を入力することができる入力装置と、ディスプレイ、液晶表示装置、または、ランプなどの、情報を出力することができる出力装置とを含むことができる。
【0048】
ここで、
図1に例が示された撮像システム1は、方向W1が鉛直方向に対応するように配置されていてもよい。方向W1が鉛直方向に対応する場合には、容器52の内壁面が方向W1に対して傾斜することによって、サンプル50が容器52の角部である底部52Aに固定される。
【0049】
この場合、対物レンズ120または対物レンズ204、および、対物レンズ206は、容器52の外壁面を見上げる位置でそれぞれ容器52に対向して配置される。
【0050】
図2は、制御部30の機能的な構成を概念的に示す図である。
図2に例が示されるように制御部30は、撮像装置10の駆動および撮像装置20の駆動を制御するための駆動制御部32と、撮像装置10および撮像装置20によって得られる検出結果などを解析するための解析部34とを備える。
【0051】
駆動制御部32は、光源102から出射される光の光量および波長領域、参照系14のミラー112、物体系16のガルバノミラー116および対物レンズ120、光源202から出射される光の光量および波長領域、観察系18の対物レンズ206およびエリアカメラ212などの駆動を制御する。なお、それぞれの機構は、図示が省略される駆動機構によって駆動する。また、このような駆動機構には、たとえば、モーターなどの公知の機構を用いることができる。
【0052】
解析部34は、検出器106において検出されるスペクトル分布に関するデータをフーリエ変換することによって、干渉光のスペクトル分布に内在する、サンプル50内の深さ方向(物体系16の光軸に沿う方向、すなわち、Z軸方向に沿う方向)における界面位置に関するデータを抽出する。また、解析部34は、エリアカメラ212において検出される画像に関するデータを解析することによって、蛍光を発するサンプル50の2次元的な位置データを抽出する。
【0053】
撮像装置10では、撮像対象の界面で発生する反射散乱光を検出する。一方で、撮像装置20では、特定の物質から発せられる蛍光を検出する。すなわち、撮像装置10では、撮像対象の外部形状および内部形状が観察され、撮像装置20では、撮像対象における特定の物質の空間分布が観察される。
【0054】
また、撮像装置10は、非侵襲で撮像対象の観察が可能である。一方で、撮像装置20は、蛍光色素で染色する場合には侵襲的な観察となる。よって、目的に応じてそれぞれの撮像装置が使い分けられることが一般的である。ただし、本実施の形態のように、撮像装置10および撮像装置20が双方ともに用いられてもよい。
【0055】
<撮像システムの動作について>
次に、
図3を参照しつつ、本実施の形態に関する撮像システム1の動作を説明する。
図3は、本実施の形態に関する撮像システム1の動作の例を示すフローチャートである。
【0056】
図3に例が示されるように、ステップST101では、ユーザーが、サンプル50を容器52に収容する。この際、必要に応じてサンプル50を蛍光色素で染色しておく。
【0057】
次に、ステップST102では、制御部30が、光源102からの光を分岐および合成系12に入射させる。そして、制御部30は、当該光を分岐および合成系12において分岐させ、参照系14および物体系16へそれぞれ入射させる。この際、制御部30は、物体系16において交換可能に設けられる対物レンズ120および対物レンズ204のうち、対物レンズ120が入射される光の光路上に位置するように設定する。
【0058】
そして、制御部30は、分岐および合成系12における、参照系14においてミラー112で反射された光と、物体系16においてサンプル50内部で反射された光との干渉光を、検出器106において検出させる。
【0059】
次に、ステップST103では、制御部30が、検出器106において検出された干渉光のスペクトル分布に関するデータを取得する。さらに、制御部30が、当該データをフーリエ変換することによって、干渉光のスペクトル分布に内在する、サンプル50内の深さ方向における界面位置に関するデータを抽出する。
【0060】
次に、ステップST104では、制御部30が、光源102の出射を停止しつつ、光源202からの光を物体系16へ入射させる。この際、ステップST101において容器52内に収容されたサンプル50は、配置を変えずにそのまま流用することができる。また、この際、制御部30は、物体系16において交換可能に設けられる対物レンズ120および対物レンズ204のうち、対物レンズ204を入射される光の光路上に位置するように設定する。
【0061】
そして、制御部30は、対物レンズ204を介してサンプル50へ入射される光シートによってサンプル50から生じる蛍光を、エリアカメラ212において画像として検出させる。
【0062】
次に、ステップST105では、制御部30が、エリアカメラ212において検出された画像(蛍光画像)に関するデータを取得し、さらに、当該データを解析することによって、蛍光を発するサンプル50の2次元的な位置データを抽出する。
【0063】
なお、上記の説明では、撮像装置10による干渉光の検出の後に撮像装置20による蛍光画像の検出が行われたが、これらの検出の順序は逆であってもよい。
【0064】
図4は、
図1に例が示された撮像システム1における対物レンズ120およびその周辺の構成の例を示す図である。
図4においては、
図1に例が示された撮像システム1の物体系16において、対物レンズ120が入射される光の光路上に位置する状態が示されている。
【0065】
図4に例が示されるように、対物レンズ120によって一点に集光された光は、走査部122によってXY平面において走査されてもよい。走査部122による走査は、たとえば、ガルバノミラーなどの光路を変化させる光学部品を用いて光の入射位置を変化させる方法、または、容器52および対物レンズ120のうちの少なくとも一方をXY平面上で移動させることによって、これらの相対位置を変化させる方法などによって実現可能である。
【0066】
ここで、方向W1が鉛直方向に対応する場合には、容器52の内壁面52Bと内壁面52Cとが方向W1に対してそれぞれ傾斜することによって、サンプル50が、内壁面52Bと内壁面52Cとに挟まれる角部である底部52Aに固定される。
【0067】
また、容器52の外壁面52Dは、光の屈折の影響を受けないように、物体系16によってサンプル50に集光される光の光軸と直交することが望ましい。
【0068】
上記のような走査によって検出された複数点のスペクトル分布によれば、サンプル50の断層画像を作成することができる。
【0069】
図5は、
図1に例が示された撮像システム1における対物レンズ204およびその周辺の構成の例を示す図である。
図5においては、
図1に例が示された撮像システム1の物体系16において、対物レンズ204が入射される光の光路上に位置する状態が示されている。
【0070】
図5に例が示されるように、対物レンズ204によって集光された光シートは、走査部222によってY軸方向において走査されてもよい。走査部222による走査は、たとえば、ガルバノミラーなどの光路を変化させる光学部品を用いて光の入射位置を変化させる方法、または、容器52および対物レンズ204のうちの少なくとも一方をY軸方向において移動させることによって、これらの相対位置を変化させる方法などによって実現可能である。
【0071】
ここで、観察系18の焦点位置は、光の照射領域であるXZ平面に合わせられるが、上記の走査によって光の照射領域がY軸方向に移動する場合には、制御部30は、観察系18の焦点位置も光の照射領域に合わせて移動させる。
【0072】
方向W1が鉛直方向に対応する場合、対物レンズ204は、容器52の外壁面52Dを見上げる位置で容器52に対向して配置される。同様に、対物レンズ206は、容器52の外壁面52Eを見上げる位置で容器52に対向して配置される。
【0073】
また、容器52の外壁面52Dは、光の屈折の影響を受けないように、物体系16の光軸と直交することが望ましい。同様に、容器52の外壁面52Eは、光の屈折の影響を受けないように、観察系18の光軸と直交することが望ましい。
【0074】
なお、走査部222は、走査部122と同一のものであってもよい。すなわち、1つの走査部が、撮像装置10における光学走査および撮像装置20における光学走査に流用されてもよい。その場合、撮像装置10における光学走査と撮像装置20における光学走査とで、走査部は走査方法を切り替え可能である。
【0075】
上記のような走査によって検出された複数面の蛍光画像によれば、サンプル50の3次元的な画像を作成することができる。この際のY軸方向の分解能は、光シートのY軸方向における厚みに依存する。
【0076】
本実施の形態によれば、サンプル50を移動させずに、撮像装置10としての撮像と、撮像装置20としての撮像とを行うことができる。そのため、双方の撮像による検出結果(解析結果)を比較する際などに、サンプル50の位置ずれなどを考慮する必要がない。よって、容易に、かつ、高い精度で、双方の検出結果を比較することができる。
【0077】
また、撮像装置10および撮像装置20において物体系16が共通するため、システム構成の小型化を促進することができる。
【0078】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する撮像システムについて説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0079】
<撮像システムの構成について>
図6は、本実施の形態に関する撮像システムの構成の例を概略的に示す図である。
図6に例が示されるように、撮像システム1Aは、光干渉方式の撮像装置10Aと、光シート顕微鏡方式の撮像装置20Aと、撮像装置10Aおよび撮像装置20Aを無線または有線の通信手段を介して制御する制御部30Aとを備える。
【0080】
光干渉方式の撮像装置10Aは、たとえば、OCTである。撮像装置10Aは、光源102Aと、検出器106と、光源102Aおよび検出器106に接続される分岐および合成系12と、分岐および合成系12から分岐する参照系14および物体系16Aとを備える。
【0081】
光源102Aは、たとえば、近紫外領域から近赤外光領域までの広い波長領域において、出射光の波長が可変である光源などが用いられる。
【0082】
物体系16Aでは、ビームスプリッター108において分岐された光が、ガルバノミラー116、リレーレンズ118および対物レンズ120Aを介して撮像対象に集光された状態(たとえば、一点に集光された状態)で入射される。
【0083】
そして、サンプル50内部で反射された光は、対物レンズ120A、リレーレンズ118およびガルバノミラー116を介して同じ光路を戻り、ビームスプリッター108に入射する。
【0084】
参照系14から入射された参照光、および、物体系16Aから入射された光は、ビームスプリッター108において合成され、合成光としてファイバカプラ104を介して検出器106へ入射される。
【0085】
撮像装置20Aは、撮像装置10Aと共通する光源102Aと、撮像装置10と共通する物体系16Aと、観察系18とを備える。
【0086】
物体系16Aは撮像装置10と共通しており、撮像装置10Aと共通する光源102Aから出射された後、コリメーターなどによって平行光に変換された光が、ビームスプリッター108で反射した後、ガルバノミラー116、リレーレンズ118および対物レンズ120Aを介してサンプル50に入射される。
【0087】
ここで、対物レンズ120Aを介してサンプル50に入射される光は、Y軸方向のみで絞られた光、すなわち、XZ平面に拡がるシート状の分布を有する光シートである。なお、当該光シートは、対物レンズ120Aが撮像装置10Aの物体系16Aとして動作する際と同様に点状の分布を有する光(一点に集光された状態)を形成した上で、当該光をサンプル50に対してX軸方向において高速走査をすることによって形成される。
【0088】
エリアカメラ212を含む観察系18の光軸は、対物レンズ120Aを含む物体系16Aの光軸と直交する。観察系18の焦点位置は、光の照射領域であるXZ平面に合わせられている。
【0089】
制御部30Aは、たとえば、HDD、RAM、ROM、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)を含む記憶装置と、たとえば、当該記憶装置、外部のCD-ROM、外部のDVD-ROM、または、外部のフラッシュメモリなどに格納されたプログラムを実行するCPUなどの処理回路と、マウス、キーボード、タッチパネル、または、各種スイッチなどの、情報を入力することができる入力装置と、ディスプレイ、液晶表示装置、または、ランプなどの、情報を出力することができる出力装置とを含むことができる。
【0090】
図7は、制御部30Aの機能的な構成を概念的に示す図である。
図7に例が示されるように制御部30Aは、撮像装置10Aの駆動および撮像装置20Aの駆動を制御するための駆動制御部32Aと、撮像装置10Aおよび撮像装置20Aによって得られる検出結果などを解析するための解析部34Aとを備える。
【0091】
駆動制御部32Aは、光源102Aから出射される光の光量および波長領域、参照系14のミラー112、物体系16Aのガルバノミラー116および対物レンズ120A、観察系18の対物レンズ206およびエリアカメラ212などの駆動を制御する。なお、それぞれの機構は、図示が省略される駆動機構によって駆動する。また、このような駆動機構には、たとえば、モーターなどの公知の機構を用いることができる。
【0092】
解析部34Aは、検出器106において検出されるスペクトル分布に関するデータをフーリエ変換することによって、干渉光のスペクトル分布に内在する、サンプル50内の深さ方向における界面位置に関するデータを抽出する。また、解析部34Aは、エリアカメラ212において検出される画像に関するデータを解析することによって、蛍光を発するサンプル50の2次元的な位置データを抽出する。
【0093】
<撮像システムの動作について>
次に、本実施の形態に関する撮像システム1Aの動作を説明する。本実施の形態に関する撮像システム1Aでは、光源102Aから出射される光の波長領域、および、対応する走査方法を調整することによって、撮像装置10Aとしての撮像と、撮像装置20Aとしての撮像とを使い分ける。
【0094】
具体的には、撮像装置10Aとしての撮像を行う場合、制御部30Aは、光源102Aから出射される光の波長領域を、たとえば、波長が700nm以上、かつ、1300nm以下に設定する。そして、光源102Aからの光を分岐および合成系12に入射させる。そして、制御部30Aは、当該光を分岐および合成系12において分岐させ、参照系14および物体系16Aへそれぞれ入射させる。
【0095】
そして、制御部30Aは、分岐および合成系12における、参照系14においてミラー112で反射された光と、物体系16Aにおいてサンプル50内部で反射された光との干渉光を、検出器106において検出させる。
【0096】
一方で、撮像装置20Aとしての撮像を行う場合、制御部30Aは、光源102Aから出射される光の波長領域を、たとえば、近紫外領域から可視領域までに設定する。そして、光源102Aからの光を分岐および合成系12に入射させる。
【0097】
そして、制御部30Aは、対物レンズ120Aを介してサンプル50へ入射され、かつ、たとえば、
図5に例が示される走査部222などによって走査される光シートによって生じる蛍光を、エリアカメラ212において画像として検出させる。
【0098】
なお、容器52内に収容されたサンプル50は、撮像装置10Aとしての撮像の際と、撮像装置20Aとしての撮像の際とで、配置を変えずにそのまま流用することができる。
【0099】
本実施の形態によれば、サンプル50を移動させずに、撮像装置10Aとしての撮像と、撮像装置20Aとしての撮像とを行うことができる。そのため、双方の撮像による検出結果(解析結果)を比較する際などに、サンプル50の位置ずれなどを考慮する必要がない。よって、容易に、かつ、高い精度で、双方の検出結果を比較することができる。
【0100】
また、撮像装置10Aおよび撮像装置20Aにおいて、出射波長が可変な光源102Aおよび物体系16Aが共通するため、システム構成の小型化を促進することができる。
【0101】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0102】
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
【0103】
以上に記載された実施の形態によれば、撮像システムは、光干渉方式の第1の撮像装置と、光シート顕微鏡方式の第2の撮像装置とを備える。ここで、第1の撮像装置は、たとえば、撮像装置10、撮像装置10Aなどのうちのいずれか1つに対応するものである(以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)。また、第2の撮像装置は、たとえば、撮像装置20、撮像装置20Aなどのうちのいずれか1つに対応するものである(以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)。撮像装置10Aは、撮像対象を撮像する。ここで、撮像対象は、たとえば、サンプル50などに対応するものである。撮像装置20Aも、サンプル50を撮像する。撮像装置10Aは、光源部と、集光部と、反射部と、分岐部と、合成部と、第1の検出部と、算出部とを備える。ここで、光源部は、たとえば、光源102、光源102A、光源202などのうちのいずれか1つに対応するものである(以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)。また、集光部は、たとえば、物体系16、物体系16Aなどのうちのいずれか1つに対応するものである(以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)。また、反射部は、たとえば、参照系14などに対応するものである。また、分岐部および合成部は、たとえば、分岐および合成系12などに対応するものである。また、第1の検出部は、たとえば、検出器106などに対応するものである。また、算出部は、たとえば、制御部30、制御部30Aなどのうちのいずれか1つに対応するものである(以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)。光源102Aは、撮像装置20Aと共通して設けられる。物体系16Aは、撮像装置20Aと共通して設けられる。また、物体系16Aは、入射された光をサンプル50に集光する。参照系14は、入射された光を反射する。分岐および合成系12は、光源102Aから入射された光を、その一部が参照系14に入射され、他の一部が物体系16Aに入射されるように分岐させる。また、分岐および合成系12は、サンプル50で反射した後、物体系16Aを介して入射された光と、参照系14で反射した後、入射された光とを合成して合成光を出射する。検出器106は、合成光(干渉光)のスペクトル分布を検出する。制御部30Aは、合成光のスペクトル分布に基づいて、サンプル50内の界面位置を算出する。一方で、撮像装置20Aは、光源102Aと、物体系16Aと、第2の検出部とを備える。ここで、第2の検出部は、たとえば、観察系18などに対応するものである。物体系16Aは、光源102Aから入射された光をサンプル50に集光する。観察系18は、サンプル50に集光された光によって生じる蛍光を検出する。
【0104】
このような構成によれば、撮像装置10Aと撮像装置20Aとの間で光源102Aおよび物体系16Aを共通して備えるため、それぞれの撮像装置に応じて撮像方法を切り替える際にもサンプル50を移動させる必要がない。よって、撮像方法の切り替えに伴うサンプル50の位置ずれが生じにくくなり、両撮像間で撮像結果を容易に比較することができる。また、撮像装置10Aと撮像装置20Aとの間で光源102Aおよび物体系16Aを共通して備えるため、撮像システム全体の構成を小型化することができる。
【0105】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0106】
また、以上に記載された実施の形態によれば、光源部は、分岐および合成系12へ光を入射する第1の光源と、物体系16へ光を入射する第2の光源とを備える。ここで、第1の光源は、たとえば、光源102などに対応するものである。また、第2の光源は、たとえば、光源202などに対応するものである。このような構成によれば、それぞれの撮像方法に応じて専用の光源を設けることによって、光干渉方式の撮像装置10としての撮像、および、光シート顕微鏡方式の撮像装置20としての撮像を、容易に切り替えながら行うことができる。
【0107】
また、以上に記載された実施の形態によれば、物体系16は、第1の対物レンズと、対物レンズ120とは異なる第2の対物レンズとを備える。ここで、第1の対物レンズは、たとえば、対物レンズ120などに対応するものである。また、第2の対物レンズは、たとえば、対物レンズ204などに対応するものである。そして、対物レンズ120と対物レンズ204とは、物体系16に入射される光の波長に応じて切り替え可能である。このような構成によれば、光源から物体系16へ入射される光の波長に応じて対物レンズを切り替えることで、光干渉方式の撮像装置10としての撮像、および、光シート顕微鏡方式の撮像装置20としての撮像を、容易に切り替えながら行うことができる。
【0108】
また、以上に記載された実施の形態によれば、物体系16は、光源102から入射された光に対物レンズ120を対応させ、光源202から入射された光に対物レンズ120とは異なる対物レンズ204を対応させる。ここで、対物レンズ120と対物レンズ204とは、物体系16に入射される光の波長に応じて切り替え可能である。このような構成によれば、光源102および光源202の切り替えに応じて対物レンズを切り替えることで、光干渉方式の撮像装置10としての撮像、および、光シート顕微鏡方式の撮像装置20としての撮像を、容易に切り替えながら行うことができる。
【0109】
また、以上に記載された実施の形態によれば、観察系18の光軸は、物体系16Aによってサンプル50に集光される光の光軸と直交する。このような構成によれば、光シートによって蛍光を生じるサンプル50のXZ平面の画像を適切に取得し、当該平面における蛍光物質の2次元的な位置情報を得ることができる。
【0110】
また、以上に記載された実施の形態によれば、撮像システムは、サンプル50を収容する容器52を備える。容器52は、鉛直方向に対して傾斜する複数の内壁面(内壁面52B、内壁面52C)を有する。そして、サンプル50は、内壁面52Bと内壁面52Cとに挟まれる底部52Aに配置される。このような構成によれば、サンプル50が容器52の角部に固定されるため、サンプル50の位置ずれが生じにくい。よって、撮像方法の切り替えに伴うサンプル50の位置ずれが生じにくくなり、両撮像間で撮像結果を容易に比較することができる。
【0111】
また、以上に記載された実施の形態によれば、撮像システムは、サンプル50を収容する容器52を備える。容器52は、複数の外壁面(外壁面52D、外壁面52E)を有する。外壁面52D、外壁面52Eのうちの第1の外壁面である外壁面52Eは、観察系18の光軸と直交する。また、外壁面52D、外壁面52Eのうちの第2の外壁面である外壁面52Dは、物体系16Aによってサンプル50に集光される光の光軸と直交する。このような構成によれば、容器52の壁面における光の屈折の影響を抑制して、光路長などに生じ得る誤差を抑制することができる。
【0112】
また、以上に記載された実施の形態によれば、撮像システムは、走査部122(または走査部222)を備える。走査部122は、撮像装置10Aおよび撮像装置20Aに共通して設けられる、また、走査部122は、物体系16Aによってサンプル50に集光される光を走査する。このような構成によれば、サンプル50の複数点でのスペクトル分布の取得、または、サンプル50の複数平面での蛍光画像の取得が可能となる。
【0113】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0114】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態における構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0115】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【0116】
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていてもよいものとする。
【0117】
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
【0118】
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
【0119】
また、本願明細書における説明は、本技術に関連するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
【符号の説明】
【0120】
1,1A 撮像システム
10,10A,20,20A 撮像装置
12 分岐および合成系
14 参照系
16,16A 物体系
18 観察系
30,30A 制御部
32,32A 駆動制御部
34,34A 解析部
50 サンプル
52 容器
52A 底部
52B,52C 内壁面
52D,52E 外壁面
102,102A,202 光源
104 ファイバカプラ
106 検出器
108 ビームスプリッター
110,118 リレーレンズ
112 ミラー
114 ダイクロイックミラー
116 ガルバノミラー
120,120A,204,206 対物レンズ
122,222 走査部
208 バンドパスフィルタ
210 結像レンズ
212 エリアカメラ