(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】釣状況検知・伝達装置及びこれを備える釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/00 20060101AFI20240318BHJP
A01K 97/12 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A01K87/00 640Z
A01K97/12 Z
(21)【出願番号】P 2021025718
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】小田 琢也
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-094780(JP,U)
【文献】特開2001-224294(JP,A)
【文献】特開2017-029051(JP,A)
【文献】実開平07-013179(JP,U)
【文献】特開平10-004835(JP,A)
【文献】特開2003-310127(JP,A)
【文献】特開2014-045722(JP,A)
【文献】特開平10-127218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00
A01K 97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を備え、端部に釣針を有する釣糸が取付けられた釣竿に設けられる釣状況検知・伝達装置であって、
該把持部に設けられ、振動を発生させる振動生成部と、該釣竿に設けられ、該釣竿の動きや振動を検出して第1の時系列データを生成する第1の検出部と、該第1の時系列データに基づき、該振動生成部に振動発生信号を送信する情報処理部と、を備え、
前記振動生成部は、本体部と、該本体部の内部に設けられたアクチュエータ部と、を備える
ものであり、
前記アクチュエータ部は、板状アクチュエータであり、前記本体部は、内部が中空に形成され、前記アクチュエータ部は、前記本体部の側部に少なくともその一端部が支持又は固定され、
前記アクチュエータ部は、前記本体部の側部に少なくともその一端部が支持又は固定された状態で、該少なくとも一端部以外の部分が該本体部に接触しないように、該本体部の内部に設けられることを特徴とする、釣状況検知・伝達装置。
【請求項2】
前記本体部の側部に段部が設けられ、前記アクチュエータ部は、該段部に少なくともその一端部が載置される、請求項
1に記載の釣状況検知・伝達装置。
【請求項3】
前記本体部には、蓋部が設けられる、請求項1
又は2に記載の釣状況検知・伝達装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ部は、前記本体部の側部に少なくともその一端部が支持又は固定された状態で、該少なくとも一端部以外の部分が前記蓋部の内面に接触しない又は接触しても動きが制限されないように、該本体部の内部に設けられる、請求項
3に記載の釣状況検知・伝達装置。
【請求項5】
前記該蓋部には貫通孔が設けられる、請求項
3又は
4に記載の釣状況検知・伝達装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ部は、少なくともその表面の一部に被覆部材が設けられる、請求項1から
5までのいずれか1項に記載の釣状況検知・伝達装置。
【請求項7】
前記被覆部材は、フィルム又はシートである、請求項
6記載の釣状況検知・伝達装置。
【請求項8】
前記アクチュエータ部は、前記被覆部材により包囲される、請求項
6に記載の釣状況検知・伝達装置。
【請求項9】
請求項1から
8までのいずれか1項に記載の釣状況検知・伝達装置を備えることを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に設けられることが想定される釣状況検知・伝達装置及びこれを備える釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚信の検出が可能な様々な方法が知られている。このような釣竿では、所謂アタリの振動を検知して、これを発光体やブザーなどの報知手段や電子装置を用いて釣人に知らせるようにしている。
【0003】
このような釣竿は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1では、釣竿本体の基端部を囲む基端保護部を有する釣竿であって、前記釣竿本体内部に基端面で開口する空洞が形成されているとともに、前記基端保護部には内部を貫通する通孔が形成され、前記釣竿本体の基端部を前記基端保護部の通孔に挿通することにより、少なくとも釣をしている間、前記釣竿本体に形成された空洞が前記通孔と連通して外部に開口している状態であることにより、使用時に水底または水中において魚が掛かったときに道糸を介して釣竿の穂先に伝わるアタリの振動が前記空洞にも伝達されて前記開口から抜けることで増幅と鋭敏化が生じ、釣竿本体を把持する釣人に前記アタリの振動を明確に感知させる釣竿が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、釣竿の先端に位置するように形成された取付体の前方の下側に、釣糸支承環の支持杆を設け、該支持杆の下端近傍に水平方向に伸びる支軸を有する枢軸部を設け、該枢軸部に上部に回動接点を有する釣糸支承環の中部を軸着し、取付体の前端下側に固定接点を設け、釣糸支承環を常時後傾姿勢をとらせるようにし、釣糸支承環をくぐらせた釣糸が釣糸支承環の下半部に当接するとき、その当接によって後傾姿勢の釣糸支承環を前傾する向きに回動させて回動接点を固定接点に接触させ、釣糸の前記の当接が緩められると釣糸支承環が後傾する向きに回動して回動接点が固定接点から離れるように構成し、かつ、電池の一方の電極と回動接点とを結線し他方の電極と固定接点とを結線して、その結線路中に電気報知器を挿設したところの感知部と、釣竿の先端近傍の下側にあって釣糸支承環の後方に位置して釣糸を係止する釣糸係止部とから成る魚信の感知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6634628号公報
【文献】特開2005-34116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る態様では、所謂アタリの振動を増幅して伝達することが可能となるとしているものの、該アタリはあくまで魚が餌を咥え、釣針に魚がかかった状態であり、該アタリ以外の仕掛け投入から魚を釣り上げるまでの間の状態を知ることはできないという問題があった。例えば、仕掛けの餌に魚が近付いてくると、魚が釣糸に接触したり仕掛け周辺が水流変化等の影響を受けて移動や振動をする結果、餌が取付けられた釣糸を通じて釣竿に微小な変形や振動として伝達されることが判っているが、このような微小な変形や振動を釣人に伝達することは難しかった。また、誘い動作の際に手元で感じることができる感覚(振動)は、負荷が強くなったり弱くなったりという感覚でしか伝わらず、単独では、状況を判断し難いため、穂先の動きを目視で確認しながら錘が着底したことや、誘い幅、誘い速さが適当であるかを判断する必要があるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に係る置き竿でも、微妙なアタリの感知を行うことができるとするものの、該アタリ以外の仕掛け投入から魚を釣り上げるまでの間の状態を知ることは難しいという問題があった。
【0008】
釣果をさらに向上させるためには、アタリの振動検知をより確実に伝達することに加え、着底を含め仕掛け投入から誘い動作、アタリまでの間の魚や釣糸の状況、またアタリ以降の巻上げ等の状況(以下、アタリを含め、総合して釣状況と呼ぶこととする)を的確かつ確実に伝達することが必要不可欠となっているが、特許文献1に係る態様も含め、このような釣状況を検知・伝達を行うことができていない。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、釣竿に設けることができ、上述のような釣状況を的確かつ確実に検知し、これを釣人に伝達することが可能な釣状況検知・伝達装置を提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置は、把持部を備え、端部に釣針を有する釣糸が取付けられた釣竿に設けられる釣状況検知・伝達装置であって、該把持部に設けられ、振動を発生させる振動生成部と、該釣竿に設けられ、該釣竿の動きや振動を検出して第1の時系列データを生成する第1の検出部と、該第1の時系列データに基づき、該振動生成部に振動発生信号を送信する情報処理部と、を備え、前記振動生成部は、本体部と、該本体部の内部に設けられたアクチュエータ部と、を備えるように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記本体部は、内部が中空に形成され、前記アクチュエータ部は、前記本体部の側部に少なくともその一端部が支持又は固定される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記アクチュエータ部は、前記本体部の側部に少なくともその一端部が支持又は固定された状態で、該少なくとも一端部以外の部分が該本体部に接触しないように、該本体部の内部に設けられる。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記アクチュエータ部は、板状アクチュエータである。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記本体部の側部に段部が設けられ、前記アクチュエータ部は、該段部に少なくともその一端部が載置される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記本体部には、蓋部が設けられる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記アクチュエータ部は、前記本体部の側部に少なくともその一端部が支持又は固定された状態で、該少なくとも一端部以外の部分が該蓋部の内面に接触しない又は接触しても動きが制限されないように、該本体部の内部に設けられる。また、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記蓋部には貫通孔が設けられる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記アクチュエータ部は、少なくともその表面の一部(例えば、アクチュエータ部の上面などが考えられるが、これに限られない)に被覆部材が設けられる。また、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記アクチュエータ部は、前記被覆部材により包囲されるようにされる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記被覆部材は、フィルム又はシートである。
【0019】
本発明の一実施形態に係る釣竿は、上記いずれかの釣状況検知・伝達装置を備えるように構成される。
【発明の効果】
【0020】
上記実施形態によれば、釣竿に設けることができ、釣状況を的確かつ確実に検知し、これを釣人に伝達することが可能な釣状況検知・伝達装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る釣竿を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置の振動生成部を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置における時系列データを説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における振動生成部12の態様及びこれにより生成された振動の加速度の時間波形を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における振動生成部12の態様及びこれにより生成された振動の加速度の時間波形を説明する図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における振動生成部12の態様及びこれにより生成された振動の加速度の時間波形を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における振動生成部12により生成された振動の加速度の時間波形を説明する図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における振動生成部12により生成された振動の加速度の時間波形を説明する図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における振動生成部12により生成された振動の加速度の時間波形を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る釣状況検知・伝達装置及びこれを備えた釣竿の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0023】
図1は、釣竿を説明する図である。図示のように、釣竿11は、竿体2と、竿体2に釣竿11を介して取り付けられたリール6と、竿体2に取り付けられた釣糸ガイド10と、を備える。図示の実施形態においては、釣竿11及び釣糸ガイド10の各々が、竿体の外周面に取り付けられる取付部品に該当する。
【0024】
竿体2は、例えば、元竿3、中竿5、及び穂先竿7等を連結することによって構成されている。これらの各竿体は、例えば、並継ぎ式に継合される。元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、振出方式、逆並継方式、インロー方式、又はこれら以外の公知の任意の継合方式により継合され得る。竿体2は、単一の竿体から構成されていても良い。
【0025】
元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、例えば、繊維強化樹脂製の管状体で構成されている。この繊維強化樹脂製の管状体は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し、このプリプレグシートを加熱して硬化させることにより作成される。このプリプレグシートに含まれる強化繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びこれら以外の任意の公知の強化繊維を用いることができる。当該プリプレグシートに含まれるマトリクス樹脂として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。プリプレグシートが硬化された後には、芯金が脱芯される。また、管状体の外表面は、適宜研磨される。各竿体は、中実状に構成されてもよい。
【0026】
図示の実施形態において、元竿3、中竿5及び穂先竿7には、釣竿11に装着されるリール6から繰り出される釣糸を案内する複数の釣糸ガイド10(釣糸ガイド10A~10D)が設けられている。より具体的には、元竿3には釣糸ガイド10Aが設けられ、中竿5には釣糸ガイド10Bが設けられ、穂先竿7には釣糸ガイド10Cが設けられている。穂先竿7の先端には、トップガイド10Dが設けられるが、詳細は省略する。
【0027】
次に、
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1は、把持部4を備え、端部に釣針16を有する釣糸8が取付けられた釣竿11に設けられ、該把持部4に設けられ、振動を発生させる振動生成部12と、該釣竿に設けられ、該釣竿の動きや振動を検出して第1の時系列データを生成する第1の検出部13と、該第1の時系列データに基づき、該振動生成部12に振動発生信号を送信する情報処理部14と、を備えるよう構成される。振動生成部12の詳細については後述する。
【0028】
第1の検出部13として、圧電素子、ひずみゲージ"又は歪検出素子を用いることができるがこれらに限られない。ここで、該釣竿の動きや振動を振動生成部12により忠実に再現することができる。また、該釣竿の動きや振動を振動生成部12により増幅して生成してもよい。または、該釣竿の動きや振動を振動生成部12において伝達強度を調整して生成するようにしてもよい。なお、当該釣糸8には、釣針16に加えて、ルアーや集魚部材(例えば、コマセ籠や集魚板など)等を取付けることができ(これらに限られない)、これらを総称して釣針等と呼ぶこととする。
【0029】
次に、
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1の振動生成部12について説明する。
図3aに示すように、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1の振動生成部12は、本体部20と、該本体部20の内部に設けられたアクチュエータ部21と、を備えるように構成される(両側自由端又は片側固定端等とすることが可能であるが、これらに限られない)。また、当該本体部20には、蓋部22が設けられるようにしてもよい。また、
図3bは、
図3aに示した振動生成部12が振動する様子を示したものである。
【0030】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1によれば、釣竿に設けることができ、釣状況を的確かつ確実に検知し、これを釣人に伝達することが可能となる。これにより、釣人は、アタリ、アタリ以前の釣糸や釣針等の状況やアタリ以降の釣糸や釣針等の状況を広く知ることができるため、釣人の技量によらず釣果の大幅な向上や釣への関心の向上に繋げることができる。ここで、従来、誘い動作の際に手元で感じることができる感覚(振動)は、負荷が強くなったり弱くなったりという感覚でしか伝わらず、単独では、状況を判断し難いため、穂先の動きを目視で確認しながら錘が着底したことや、誘い幅、誘い速さが適当であるかを判断する必要があったが、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1によれば、釣状況を的確かつ確実に検知し、これを釣人に伝達することが可能となる。
【0031】
より具体的には、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1は、上述の振動生成部12を備えることにより、釣り状況を的確に把握することができ、例えば、餌が残っているか否かが分かったり、誘い動作を行う場合は、誘い動作の幅や速さを触感として感じることができたり、着底を明確に判断できたり、微妙な前アタリも感じることができる、ということが挙げられる。その結果、様々なフィードバックを得ることができることとなるため、釣りが飽きないということに繋がる。
【0032】
ここで、端部に釣針16を有する釣糸が取付けられた釣竿11という場合、当該端部は、仕掛けの種類によっては、厳密な意味で端部とはならない場合もある。例えば、釣糸の端部に仕掛けやルアー若しくはその他の部材が設けられ、これらに釣針16が設けられることもあるし、釣糸自体が複数の釣糸で構成されていたり、複数の釣糸とこれらの釣糸間に別の中間部材が取付けられるなど様々な態様が考えられる。以上のことから、釣糸には、1つの釣糸、複数の釣糸、又は複数の釣糸とこれらの間に設けられた中間部材とで構成され得、釣糸の端部に釣針を設けるという場合、釣糸の端部に直接又は中間部材(仕掛けやルアー等が想定されるがこれらに限られない)を介して設けることを意味するものと理解されたい。
【0033】
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、当該本体部20は、内部が中空に形成され、アクチュエータ部21は、当該本体部20の側部23(側部23の側壁や側部の上面、側部が段部の場合は当該段部等が考えられるがこれらに限られない)に少なくともその一端部24が支持又は固定される。このようにして、アクチュエータ部21が面に固定されていないため、アクチュエータ部21が発する振動を阻害したり減衰させないことが可能となる。
図3の例では、アクチュエータ部21は、当該本体部20の側部にその両端部24が支持されているが、支持の態様は様々に考えられ、特定の態様に限定されるものではない。
【0034】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、当該アクチュエータ部21は、当該本体部20の側部23に少なくともその一端部24が支持又は固定された状態で、該少なくとも一端部24以外の部分が該本体部20に接触しないように、該本体部20の内部に設けられる。このようにして、アクチュエータ部21が面に固定されていないため、アクチュエータ部21が発する振動を阻害したり減衰させないことが可能となる。
【0035】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、当該アクチュエータ部21は、板状アクチュエータである。ここで、板状アクチュエータが望ましい理由は、まず、振動生成12の振動波形を釣人の実釣感覚と同化させるのに最適であること(板の変形形態が釣竿の変形形態と同じで、穂先の変形・振動が手元にあるように感ずる)、次に、物理的な変形により、低周波数(1Hz~)の振動も感じ取ることができるからである。
【0036】
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、本体部20の側部23に段部25が設けられ、アクチュエータ部21は、該段部25に少なくともその一端部24(図示の例では、その両端部24)が載置される。
図3の例では、アクチュエータ部21は、当該本体部20の側部の段部にその両端部24が支持されているが、支持の態様は様々に考えられ、特定の態様に限定されるものではない。
【0037】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、アクチュエータ部21は、本体部20の側部23に少なくともその一端部24が支持又は固定された状態で、当該少なくとも一端部24以外の部分が該蓋部22の内面に接触しない若しくは接触してもアクチュエータ部21の動きが制限されないように、該本体部20の内部に設けられる。このようにして、蓋部22がアクチュエータ部21の振動を阻害しないようにすることが可能となる。
【0038】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、蓋部22には貫通孔が設けられる。このようにして、アクチュエータを指先等で直接感じることが可能となる。
【0039】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記アクチュエータ部は、少なくともその表面の一部(例えば、アクチュエータ部の上面などが考えられるが、これに限られない)に被覆部材が設けられる。また、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記アクチュエータ部は、前記被覆部材により包囲されるようにされる。このようにして、圧電素子を使用した場合に直接触れると感電するため、これを防止することが可能となる。
【0040】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、前記被覆部材は、フィルム又はシートである。このように、圧電素子を使用した場合に直接触れると感電するため、圧電素子の振動を阻害しないフィルムやシート(薄いフィルムやシートでもよい)等を用いることができる。
【0041】
次に、
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における第1の時系列データについて説明する。
図3において、横軸は時間を示し、縦軸に電圧を示す。図示の例では、カワハギを例に釣の開始からカワハギが釣れるまでの、該釣竿の動きや振動を第1の検出部13により捉えたものである。
【0042】
例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、第1の検出部13が、図示の第1の時系列データのAを検出したとすると、波形の性質から釣竿による誘いの動作中であることが判るため、当該振動生成部は、釣竿による誘いの動作中であることを示す第1の振動を生成するようにする。
【0043】
また、例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、第1の検出部13が、図示の第1の時系列データのBを検出したとすると、波形の性質から釣針に魚が近付いている(所謂前アタリとも呼ぶ)ことを示すことが判るため、当該振動生成部は、釣針に魚が近付いていることを示す第2の振動を生成するようにする。
【0044】
次に、例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、第1の検出部13が、図示の第1の時系列データのCを検出したとすると、波形の性質から釣針への魚のアタリを示すことが判るため、当該振動生成部は、釣針への魚のアタリを示す第3の振動を生成するようにする。
【0045】
また、例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、第1の検出部13が、図示の第1の時系列データのDを検出したとすると、波形の性質から釣糸の合わせ及び巻上げ中であることを示すことが判るため、当該振動生成部は、釣糸の合わせ及び巻上げ中であることを示す第4の振動を生成するようにする。
【0046】
次に、例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、第1の検出部13が、図示の第1の時系列データのEを検出したとすると、波形の性質から釣糸の巻上げ中であることを示すことが判るため、当該振動生成部は、釣糸の巻上げ中であることを示す第5の振動を生成するようにする。
【0047】
本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1において、該第1の検出部は、釣竿の変形と振動を検出可能な位置に設けられるように構成される。例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置において、該第1の検出部は、釣竿の曲率変化が大きな位置に設けられるように構成される。このようにして、釣竿の僅かな変形や振動をより正確に捉えることが可能となる。
【0048】
ここで、釣竿の曲率変化が大きな位置とは、釣竿の竿先に荷重を加えると釣竿は曲がるが、この際、釣竿を局所的に観察すると、各部分の曲がりはk(曲率)で表すことができる。当該k(曲率)は、荷重を変化させると、これに同調して変化するものである。釣竿において当該Rの変化が大きい位置を釣竿の曲率変化が大きな位置と定義される。これ以上の詳細は省略する。
【0049】
次に、
図5-7を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における振動生成部12により生成された振動の加速度の時間波形について説明する(アタリ信号を加振器を通して繰り返し入力した場合)。まず、第1の検出部13が、
図4の第1の時系列データBを検出した場合、すなわち、アタリを検出した場合に、当該振動生成部12が生成した、魚の当たりであることを示す第3の振動についての試験結果を説明する。
【0050】
ここで、試験方法として、釣糸の先端に設けた加振器を用いてカワハギのアタリを再現し、釣糸を通して釣竿を振動させると共に、振動生成部12に加速度計を設置し加速度の時間波形を検出して、振動を確認することにより行った。
【0051】
図5bは、板状アクチュエータを用い、その両端が本体部の側部若しくは段部に支持するようにする一方で、当該端部は側部に固定されていない場合(
図5aに示した態様)であって、当該両端以外の部分は本体部の中空の領域に配置される場合における、生成振動の加速度の時間波形を示したものである。図示のように、加速度振幅が後述する
図7の場合に比べて大きく、触感として振動を強く感じる事ができるので、微妙な振動も感知することができることが判った。
【0052】
次に、
図6bは、板状アクチュエータを用い、その一方の端部10mm程度を本体部の側部若しくは段部に(例えば、両面テープ等により)固定するようにする一方で、他方の端部は固定も支持もされていない場合(
図6aに示した態様)であって、当該両端以外の部分は本体部の中空の領域に配置される場合における、生成振動の加速度の時間波形を示したものである。図示のように、加速度振幅が後述する
図7の場合に比べて大きく、触感として振動を強く感じる事ができるので、微妙な振動も感知することができることが判った。
【0053】
次に、
図7bは、板状アクチュエータを用い、その全面を本体部に設けた設置部(平面部)に(例えば、両面テープ等により)固定するようにする場合(
図7aに示した態様で、この場合は、板状アクチュエータのいずれも本体部の中空の領域に配置されず、当該設置部上の載置されて固定される場合)における、生成振動の加速度の時間波形を示したものである。図示の場合、増幅した振動にもかかわらず、振動が減衰されて触感として感じることが難しいということが判った。
【0054】
次に、
図8-10を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況検知・伝達装置1における振動生成部12により生成された振動の加速度の時間波形について説明する(誘い動作を機械にて繰り返し実施した場合)。まず、第1の検出部13が、
図4の第1の時系列データのAを検出した場合、すなわち、釣竿による誘いの動作中である場合に、当該振動生成部12が生成した、釣竿による誘いの動作中であることを示す第1の振動についての試験結果を説明する。
【0055】
ここで、試験方法として、釣竿の後端に設けた回転装置(釣竿のハンドル部を固定して回転させることで竿先を上下させる装置)を用いてカワハギの誘いの状態を再現し、釣糸を通して釣竿を振動させると共に、振動生成部12に加速度計を設置し加速度の時間波形を検出して、振動(それぞれ1Hzの場合と2Hzの誘い動作の場合)を確認することにより行った。
【0056】
図8は、板状アクチュエータを用い、その両端が本体部の側部若しくは段部に支持するようにする一方で、当該端部は側部に固定されていない場合(
図5aに示した態様)であって、当該両端以外の部分は本体部の中空の領域に配置される場合(アクチュエータが両端自由の場合)における、生成振動の加速度の時間波形(それぞれ1Hzの場合と2Hzの誘い動作の場合)を示したものである。図示の場合、加速度振幅が後述する
図10の場合に比べて大きく、触感として振動を強く感じる事ができるので、十分なフィードバック感が得られる。
【0057】
次に、
図9は、板状アクチュエータを用い、その一方の端部10mm程度を本体部の側部若しくは段部に(例えば、両面テープ等により)固定するようにする一方で、他方の端部は固定も支持もされていない場合(アクチュエータは片端固定の場合であり、
図6aに示した態様)であって、当該両端以外の部分は本体部の中空の領域に配置される場合における、生成振動の加速度の時間波形(それぞれ1Hzの場合と2Hzの誘い動作の場合)を示したものである。図示の場合、加速度振幅が後述する
図10の場合に比べて大きく、触感として振動を強く感じる事ができるので、十分なフィードバック感が得られる。
【0058】
次に、
図10は、板状アクチュエータを用い、その全面を本体部に設けた設置部(平面部)に(例えば、両面テープ等により)固定するようにする場合(アクチュエータが全面固定の場合であり、
図7aに示した態様で、この場合は、板状アクチュエータのいずれも本体部の中空の領域に配置されず、当該設置部上の載置されて固定される場合)における、生成振動の加速度の時間波形(それぞれ1Hzの場合と2Hzの誘い動作の場合)を示したものである。図示の場合、増幅した振動にもかかわらず、振動が減衰されて触感として感じることが難しいということが判明した。
【0059】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 釣状況検知・伝達装置
2 竿体
3 元竿
4 把持部
5 中竿
6 リール
7 穂先竿
8 釣糸
10 釣糸ガイド
11 釣竿
12 振動生成部
13 第1の検出部
14 情報処理部
16 釣針
20 本体部
21 アクチュエータ部
22 蓋部
23 側部
24 端部
25 段部