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特許7455807鋳造砂廃棄物からの砂、ベントナイト、及び有機物の回収
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  • 特許-鋳造砂廃棄物からの砂、ベントナイト、及び有機物の回収 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】鋳造砂廃棄物からの砂、ベントナイト、及び有機物の回収
(51)【国際特許分類】
   B22C 1/00 20060101AFI20240318BHJP
   B22C 5/00 20060101ALI20240318BHJP
   B22C 5/10 20060101ALI20240318BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B22C1/00 B
B22C5/00 B
B22C5/00 C
B22C5/10
B09B5/00 B ZAB
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021503109
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2019042642
(87)【国際公開番号】W WO2020018928
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】62/701,286
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】398031330
【氏名又は名称】アイメリーズ ユーエスエー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100217825
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 博喜
(72)【発明者】
【氏名】スティール,ロバート シー.
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-532129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00
B22C 5/00
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造廃棄物の第1の部分を水流式選別に供することにより、ベントナイト及び有機化合物に富む水性留分、並びに粗砂に富むアンダーフロー留分を作製することと、
鋳造廃棄物の第2の部分を乾式選別に供することにより、粗砂を含む重質留分、並びにベントナイト及び有機化合物を含む軽質留分を作製することと、
生砂型を作るための原材料として、前記水性留分及び前記軽質留分からのベントナイト及び有機化合物の少なくとも一部を使用することと、
を含む、生砂鋳造所で生じる鋳造廃棄物から砂、ベントナイト粘土及び有機化合物を回収するプロセス。
【請求項2】
前記鋳造廃棄物が鋳型廃棄物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記鋳造廃棄物が、金属注型プロセスで生成される余分な鋳造用生鋳型砂(湿潤)として定義される生オーバーフロー砂を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記鋳造廃棄物がバッグハウス粉塵を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
生砂型を作るために、前記アンダーフロー留分中の粗砂及び/又は前記重質留分中の粗砂を使用することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記軽質留分からのベントナイト及び有機化合物を、生砂型の作製に使用する前に水性液体と合わせる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記軽質留分中のベントナイト及び有機化合物を、生砂型の作製に使用する前に前記水性留分と合わせる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記水流式選別が、凝結、デカンテーション、サイクロンの使用、及び遠心分離の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記凝結が、高分子凝結剤を添加することを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記回収されたベントナイト及び有機化合物を使用して作製された生砂型が45%超のコンパクタビリティを有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記回収されたベントナイト及び有機化合物を使用して作製された生砂型が、15.5N/cm超の圧縮強度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記回収されたベントナイト及び有機化合物を使用して作製された生砂型が、3.5N/cm超の剪断強度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記回収されたベントナイト及び有機化合物を使用して作製された生砂型が65超の透過性を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
生砂型を作るための前記原材料を使用して作製された生砂型が、36N/cm超の乾燥圧縮強度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記回収されたベントナイト及び有機化合物を使用して作製された生砂型が23超のコーン衝撃靭性を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記回収されたベントナイト及び有機化合物を使用して作製された生砂型が7.4%未満の破砕性を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記有機化合物が、石炭又は褐炭の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
鋳造廃棄物の第1の部分を水流式選別に供することにより、ベントナイト及び有機化合物に富む水性流出液流、並びに粗砂に富むアンダーフロー流を作製する工程と、
鋳造廃棄物の第2の部分を乾式選別に供することにより、粗砂を含む重質留分、並びにベントナイト及び有機化合物を含む軽質留分を作製する工程と、
前記水性流出液流及び前記軽質留分の両方の前記ベントナイト及び前記有機化合物を合わせる工程と、
を含む、鋳型砂添加剤を形成する方法。
【請求項19】
前記水性流出液流及び前記軽質留分の両方の記ベントナイト及び前記有機化合物から鋳型砂添加剤を形成することを更に含む、請求項18に記載の鋳型砂添加剤を形成する方法。
【請求項20】
生砂型を作るための原材料として、非砂留分及び砂留分を含む鋳型媒体を準備することと、
なお、前記非砂留分の少なくとも一部が、請求項1に記載のプロセスによって回収された前記ベントナイト及び前記有機化合物を含む;
前記鋳型媒体から前記生砂型を形成することと、
前記生砂型に溶融金属を加えることと、
を含む、金属部品を成形する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本PCT国際出願は、2018年7月20日付けで出願された米国仮特許出願第62/701,286号の優先権の利益を主張し、その主題は、引用することによりその全体が本出願の一部をなす。
【0002】
この開示は、概して、砂型鋳造成形の分野及び金属の鋳造における改善に関する。本開示はまた、砂型添加剤及び鋳型組成物へのリサイクルのために鋳型廃棄物を回収することによる、鋳物の製造において溶融金属が注がれる型の形成に用いられる砂型媒体の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
生型注型は、金属注型品を形成するためのよく知られたプロセスである。このプロセスでは、鋳物を作製するための注型用鋳型は、1つ又は複数の鋳物を製造するための主に砂及びベントナイト粘土である鋳型媒体から形成される。鋳物が型内で固まると、型を壊し、注型サイクルが完了する。鋳型媒体を、別の注型プロセスにリサイクルすることができるが、鋳型媒体のかなりの部分が鋳造廃棄物として鋳造所から出る。米国だけでも、鋳造廃棄物は年間およそ600万立方ヤード~1000万立方ヤードの割合で蓄積する。埋め立て地の面積及び輸送コストの増加と相まって、大量の鋳造廃棄物が問題となっている。鋳造廃棄物には、最大90%の再利用可能な鋳型媒体が含まれている可能性がある。
【0004】
鋳造は古代の技術であり、砂型にて空隙部を定め、そこに溶融金属を注ぐ。金属が冷えた後、注型品を取り出し、通常、取り出す過程で砂型を壊す。かかる砂型を形成するための通常の基本的な手順は、パターンの周りに砂型媒体を圧縮した後、そのパターンの輪郭を持つ空隙部を残して、パターンを取り出すことである。
【0005】
砂がその成形された空隙部を定める輪郭を維持するために、砂粒子を凝集させる結合剤を混合物に含める。粘土は長い間一般的に受け入れられた適切な結合剤であった。粘土は総称であり、含水アルミノケイ酸塩鉱物の大きな集団を包含する。個々の鉱物の粒は微視的な寸法まで様々なサイズがある。湿らせた場合、粘土は粘りが強く、可塑性である。湿らせた後乾燥させると、特に高温で乾燥すると、粘土は固くなる。湿潤ベントナイト製品は、注型条件下でより優れた性能を発揮する。
【0006】
本明細書に開示されるプロセスは、いわゆる生型注型が標準的な慣行である鋳造に特に有用である可能性がある。生型注型は、粘土の凝集特性を作用させるために加えられた水分をなおも保持しながら、溶融金属を砂型に注ぐプロセスを包含する。鉄鋳造用の砂型媒体は、3つの基本的な成分、すなわち砂、粘土、及び一般に「石炭粉(sea coal)」として業界で知られている細かく粉砕した瀝青炭を含む。場合によっては、鋳型媒体の性能を向上させるために少量の他の有機鉱物添加剤を加えることができる。使用中、砂型媒体を水で湿らせて、パターンの周りに圧縮して鋳型空隙部を形成することができる媒体を提供する。生砂型は、典型的には、重量基準で約86%~90%の砂と、8%~10%のベントナイト粘土と、2%~4%の有機化合物と、2%~4%の水分とを含む複数の非砂成分とを含む。パターンを取り除いた後、砂型媒体がまだ湿った状態又は「生(green)」の状態にある間に、溶融鉄を鋳型空隙部に注ぐ。鋳型空隙部表面上に直接隣接する石炭粉は、溶融鉄が型に注がれるにつれて溶融鉄の熱で分解する。この分解の生成物は、鋳型空隙部と注がれた鉄との間の界面にある、グラファイトの形態の炭素元素である。このグラファイト元素は、固まった鋳物を、砂粒子を含まずに型から解放することを可能にする主な機能を果たす。グラファイト元素の二次的な利点は、鋳型空隙部の表面を平らにする傾向があり、それによって注型品の表面がより滑らかになることである。
【0007】
鋳造所は、粘土成分及び炭素成分を含む「プレミックス」を購入してもよい。次に、鋳造所はプレミックスを地元の供給源からの砂と混合して、操業に使用される砂型媒体を提供する。
【0008】
砂型媒体の十分な凝集力は、その「生の」状態で、すなわち湿っている場合に最も重要である。圧縮して空隙部を定めた後、生型媒体は、好ましくは、パターンの取り出しから生じるいかなる力にも耐えるのに十分な強度を有し、その結果、空隙部の輪郭が無傷のまま維持される。次に、砂型媒体は、生の段階にあるとき、好ましくは、空隙部に金属を注ぐための型を作製する過程において様々な形での型の移動及び再配置から生じる力に耐えるのに十分な強度を有する。さらに、砂型媒体は、好ましくは、溶融鉄を空隙部に注ぐことから生じる動水力に耐えるのに十分な凝集力を有する。
【0009】
生型の乾燥は非常に急速に起こり、金属がまだ溶融している間に発生する場合があり、型構造に動水力を加え続ける場合がある。したがって、鋳型媒体の乾燥強度は、適切な輪郭の注型品を得るまで型の完全性が維持されることを保証する上で重要である。
【0010】
砂型媒体のもう1つの重要で客観的な特性は、透過性である。溶融鉄が鋳型空隙部に注がれるときの型の損傷を防ぐために、比較的高い透過性が好ましい。これは、溶融金属が鋳型空隙部に注がれると、空気が鋳型媒体を通って移動することを指す。さらに重要なことに、砂型媒体は湿っているため、蒸気がかなり激しく又は爆発的に生成される可能性がある。かかる蒸気は、好ましくは、最小のガス流動抵抗で鋳型媒体を通して排出される。したがって、多孔質型構造は、好ましくは、比較的高いガス透過性を有する。強度特性及び透過性は客観的に決定することができ、また砂型媒体に許容可能な生強度及び乾燥強度と並んで、透過性が現在確立されている。
【0011】
物品を注型した後、砂型を壊して、再利用のために貯めておく。余分な鋳型媒体、すなわち後続する注型サイクルで再利用することができない鋳造廃棄物は、「鋳型廃棄物」して知られている。「鋳型廃棄物」という句は、壊れた生砂型及び中子からの余分な鋳型媒体を指し、型ばらし(shakeout)の間に生成される流れとして排出することができる。多くの生砂鋳造所では、鋳型廃棄物は典型的には、重量基準で約80%~約90%の砂と、約6%~約10%のベントナイト粘土と、約1%~約4%の有機化合物とを含む。鋳型廃棄物は、接着剤でコーティングされた砂、並びに砂、ベントナイト及び有機化合物の個々の粒子を含む。
【0012】
砂が中子の製造に再利用することができるほど十分にきれいになるように、砂から接着剤を除去する機械的再生利用によって鋳型廃棄物の蓄積を減らす試みがなされてきた。かかる過程で砂は回収されるが、重量基準で砂の数倍のコストがかかるベントナイト粘土、及び有機化合物は通常回収することができない。機械的再生利用の欠点は、多くの地理的区域でプライム砂(prime sand)のコストが十分に低く、砂の回収のための設備投資が経済的に実行不可能であることである。
【0013】
鋳型廃棄物に加えて、金属注型プロセスで生成される余分な鋳造用生型砂(湿潤)を、別の鋳造廃棄物流として処分することができる。このいわゆる「生オーバーフロー砂(overflow green sand)」廃棄物流は、一般に、鋳造所で使用される相対比率のシリカ鋳型砂及び関連する鋳型砂添加剤の両方を含む余分な生砂を含む。
【0014】
鋳造廃棄物のもう1つの発生源として、鋳造所の空気排出システムで収集された砂、ベントナイト粘土、有機化合物、及びデブリの微粒子が含まれる。この鋳造廃棄物は、鋳造所では「バッグハウス粉塵」として一般に知られている。ベントナイト粘土は注型プロセスで使用される砂よりも細かいため、空中での輸送がより容易であることから、バッグハウス粉塵は鋳型廃棄物よりもかなり多くのベントナイト粘土を含む。バッグハウス粉塵は、典型的には、約40%~約70%の砂と、約20%~約50%のベントナイト粘土と、約10%~約30%の有機化合物とを含む。
【0015】
砂システムの物質収支を超えること、及び各鋳造所の顧客独自の注型設計を満たすために成形要件が変わることを理由に、一般には、砂型材料に由来する材料は使用後に廃棄される。成形システムの物質収支は、成形サイクルごとの成形システムの新たな砂、中子砂、及び鋳型砂の合計として定義される。注型設計が異なること、及び各成形サイクルで使用される中子を支持するために必要な中子砂が原因で、鋳型砂システム内の砂の総量が成形システムの容量を超える可能性があり、そのため、各成形サイクルの最後に廃棄する必要がある。その結果、注がれる金属1トンあたり10%を超える砂型材料が、1日に1つの鋳造所で廃棄される可能性がある。この廃棄される材料は、結果として大量の廃棄物、並びに廃棄及び埋め立ての費用による鋳造所のコストの増加につながる可能性がある。
【0016】
したがって、生砂鋳造所から出る鋳造廃棄物の量を減らすことが望ましい場合がある。後続する注型プロセスで使用することができる中子及び生砂型を作るために鋳造所で使用するのに十分な品質を有する砂を回収するプロセスを提供することが望ましい場合がある。また、原材料として鋳造所に入る新たなプライム材料(プレミックス)の量を減らすために、生砂型の非砂成分を回収するプロセスを提供することが望ましい場合もある。さらに、加工特性が改善された生砂型組成物を提供することが望ましい場合がある。
【0017】
本発明の譲受人に譲渡された特許文献1に記載されるように、鋳造所の排気システムによって捕捉されたバッグハウス粉塵を、粗砂を回収する第1の水流式(湿式)選別に続いて、ベントナイト粘土及び有機物を回収する第2の水流式選別に供することによって、この使用済み鋳型媒体のかなりの追加部分を、再利用のために回収及びリサイクルすることができる。これらの材料を再利用することで、生じる鋳造廃棄物の量と並んで、更なる型及び中子を作製するために必要な追加の原材料、すなわち、砂、ベントナイト粘土、及び有機物の量を大幅に減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】米国特許第6,554,049号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明によれば、かかるプロセスで再利用するために回収される砂、ベントナイト、及び有機物の量は、鋳造所で生じるバッグハウス粉塵を処理するために湿式(水流式)選別プロセスと乾式選別プロセスの両方を使用することによって更に大幅に増加され得ることがわかった。特に、湿式選別プロセスと乾式選別プロセスとの組み合わせを使用することにより、湿式選別プロセス単独又は乾式選別プロセス単独のいずれかを使用することによって回収され得るよりも、より多くのこれらの有用な原料を、新たな型及び中子を作製する際の再利用のために回収することができることがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、一態様では、本発明は、鋳造廃棄物の第1の部分を水流式選別に供することにより、ベントナイト及び有機化合物に富む水性留分、並びに粗砂に富むアンダーフロー留分を作製することと、鋳造廃棄物の第2の部分を乾式選別に供することにより、粗砂を含む重質留分、並びにベントナイト及び有機化合物を含む軽質留分を作製することと、生砂型を作るための原材料として、水性留分及び軽質留分からのベントナイト及び有機化合物の少なくとも一部を使用することとを含む、生砂鋳造所で生じた鋳造廃棄物から砂、ベントナイト粘土及び有機化合物を回収する改善されたプロセスを提供する。
【0021】
他の態様では、鋳造廃棄物は、鋳型廃棄物、生オーバーフロー砂、又はバッグハウス粉塵の1つ以上を含み得る。別の態様では、上記プロセスは、生砂型を作るために、アンダーフロー流中の粗砂及び/又は重質留分中の粗砂を使用することを含み得る。
【0022】
更に別の態様では、上記プロセスは、軽質留分からのベントナイト及び有機化合物を、生砂型の作製に使用する前に水性液体と合わせることを含み得る。例えば、上記プロセスは、軽質留分中のベントナイト及び有機化合物を、生砂型の作製に使用する前に水性留分と合わせることを含み得る。
【0023】
別の態様では、水流式選別工程は、凝結、デカンテーション、サイクロンの使用、及び遠心分離の少なくとも1つを含み得る。水流式選別工程が凝結を含む場合、高分子凝結剤の添加を更に含み得る。
【0024】
別の態様では、上記プロセスに従って作製された生砂型は幾つかの有益な特性のいずれかを有し得る。例えば、回収されたベントナイト及び有機化合物を使用して作製された生砂型は、次の1つ以上を有し得る:約45%超のコンパクタビリティ、約15.5N/cm超の生圧縮強度、約3.5N/cm超の生剪断強度、約65超の透過性、約36N/cm超の乾燥圧縮強度、約23超のコーン衝撃靭性、及び/又は約7.4%未満の破砕性。
【0025】
更に別の態様では、有機化合物は、石炭又は褐炭の少なくとも1つを含み得る。
【0026】
更なる態様では、鋳造廃棄物の第1の部分を水流式選別に供することにより、ベントナイト及び有機化合物に富む水性流出液流、並びに粗砂に富むアンダーフロー流を作製する工程と、鋳造廃棄物の第2の部分を乾式選別に供することにより、粗砂を含む重質留分、並びにベントナイト及び有機化合物を含む軽質留分を作製する工程と、水性流出液流及び軽質留分の両方のベントナイト及び有機化合物を合わせる工程とを含む、鋳型砂添加剤を形成する方法が提供される。幾つかの態様では、上記方法は、回収されたベントナイト及び有機化合物から鋳型砂添加剤を形成することを更に含む。
【0027】
更に別の態様では、回収された非砂留分及び砂留分を含む鋳型媒体を準備することと、なお、上記回収された非砂留分が、水流式選別によって回収された非砂留分及び乾式選別により回収された非砂留分を含む;鋳型媒体から生砂型を形成することと、生砂型に溶融金属を加えることとを含む、金属部品を成形する方法が提供される。
【0028】
下記図を参照することにより、本発明をよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】前述の特許文献1の回収プロセスを説明するフロー図である。
図2】前述の特許文献1の回収プロセスを説明するフロー図である。
図3図2と同様のフロー図であり、本発明の回収プロセスを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の図及び説明は、本開示の明確な理解に関連する要素を解説するために簡略化されており、明確にする目的で、当業者によく知られているであろう他の要素又は理解され得る他の要素を排除していることを理解されたい。
【0031】
本開示は、注型施設での全体的な廃棄物を削減すると同時に、注型成形に使用される鋳型砂添加剤等の貴重な回収材料を提供するシステム及び方法を説明する。注型後に使用済みの砂型を壊すプロセスは、大量の産業廃棄物をもたらす。その廃棄物の一部(鋳型廃棄物)は、新たな砂型の生成に再利用することができず、手作業で処理して廃棄される。
【0032】
しかしながら、例えば、鋳造施設からの空気が捕捉され、バッグハウスと呼ばれる大規模な濾過システムを通過する際に、大量の鋳造廃棄物が鋳造所の排気システムによって捕捉され得る。そこに集められた固体粒子は、一般に「バッグハウス粉塵」と称され、砂に加えて、かなりの量の粘土及び有機化合物で構成されている。場合によっては、バッグハウス粉塵は、典型的には約15重量%~約70重量%の砂と、約20重量%~約85重量%のベントナイト粘土と、約10重量%~約40重量%の有機化合物とを含み得る。バッグハウス粉塵に存在する高レベルのベントナイト粘土及び有機化合物は、生型鋳造成形(green cast molding)で使用される添加剤の原材料の貴重な供給源となる可能性がある。
【0033】
鋳造廃棄物を、生オーバーフロー砂又は鋳型廃棄物の形態で捕捉することもできる。「鋳型廃棄物」を、注型後に生砂型及び中子が壊される際に捕捉することができる。幾つかの生砂鋳造所では、鋳型廃棄物は、約80重量%~約90重量%の砂と、約6重量%~約10重量%のベントナイト粘土と、約1重量%~約4重量%の有機化合物とを含み得る。鋳型廃棄物は、接着剤でコーティングされた砂と並んで、砂、ベントナイト及び有機化合物の個々の粒子を含む。「生オーバーフロー砂」とは、金属注型プロセスで生成される余分な鋳造用生鋳型砂(湿潤)を指す。
【0034】
一実施形態では、本開示の方法及びシステムは、例えば、鋳造プレミックスの成分として使用するために、捕捉されたバッグハウス粉塵、鋳型廃棄物、又は生オーバーフロー砂の1つ以上を任意に利用して、乾燥鋳型砂添加剤を生成することができる。乾燥とは、湿気がないように感じること(感触)を指す。市販の鋳型砂添加剤は、典型的には最大15%の含水率を有する。この特許出願の目的での「乾燥」鋳型砂添加剤も同様であるが、最大30%の含水率、例えば最大20%の含水率を有する。
【0035】
一態様では、本開示の方法及びシステムは、捕捉されたバッグハウス粉塵、鋳型廃棄物、又は生オーバーフロー砂の1つ以上を利用して、新たな鋳型媒体又は新たなプレミックス組成物のいずれかに直接リサイクルされる注型成形用の鋳型砂添加剤を生成し得る。例えば、バッグハウス粉塵、鋳型廃棄物、又は生オーバーフロー砂の砂留分及び非砂留分は、当該技術分野で知られている方法を使用して互いに分別される。この分別により、鋳型砂添加剤の非砂留分の成分レベルを調整することが可能性である。未加工の又は分別された非砂留分に見られる高レベルの粘土及び有機化合物により、回収された鋳型廃棄物は、注型組成物の重要な成分を提供することができ、これをリサイクルされていない非砂留分又はリサイクルされていない砂留分等のリサイクルされていない、すなわち「新鮮な」材料と共に再利用又はリサイクルすることができる。幾つかの実施形態では、得られる鋳型砂添加剤又は鋳型砂組成物は、以前にリサイクルされた非砂留分又は砂留分の成分を含み得る。
【0036】
幾つかの実施形態では、鋳型廃棄物の非砂留分は、商業的に入手可能なプレミックスと比較した場合、他の不純物(例えば、硫黄)が低レベルの場合があることから、従来技術に対する改善となる。幾つかの実施形態では、硫黄は、混合物の0.03重量%未満であり得る。
【0037】
幾つかの実施形態では、収集された鋳型廃棄物は、単独で、又は他の分別プロセスと組み合わせて、水流式選別プロセスを使用して分別することができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、回収された鋳型廃棄物の含水量は、例えば、噴霧乾燥、凝結、水流式選別、及び/又はクロスフロー濾過等の脱水プロセスによって任意に低減され得る。脱水により、鋳型砂添加剤の含水率が0%~20%に低下し得る。幾つかの実施形態によれば、非砂留分の含水率は、非砂留分中の水和ベントナイトの有益な特性を維持するために、20%超、又は約25%超に維持され得る。
【0039】
鋳型砂添加剤又は鋳型砂組成物で使用するために回収された材料のスラリーは、砂成分、非砂成分、又は両方の成分の組み合わせを含み得る。必要に応じて、スラリーは、注型プロセスの特定の要件に従って部分的又は完全に脱水され得る。
【0040】
鋳型廃棄物の回収部分の非砂留分に見られる様々な成分の相対レベルは、粘土又は有機化合物を添加して適切な濃度を達成し、所望の特性を有する鋳型砂添加剤を形成することによって調整され得る。粘土又は有機成分の添加は、砂型成形プロセスから回収されない、リサイクルされていない、すなわち「新鮮な」粘土又は有機化合物を含み得る。幾つかの実施形態によれば、粘土又は有機成分の添加は、砂型成形プロセスから以前にリサイクルされた粘土又は有機成分を含み得る。添加剤の具体的な量は、鋳型廃棄物の回収された部分の特定の組成に依存し、顧客によって指示される新たな鋳型砂組成物の要件又は次の注型のニーズに依存する。鋳型砂添加剤のpHは一般に塩基性であり、約7~約11のpHの範囲であり得る。一旦確立されると、鋳型砂添加剤は、以前に注型プロセスで使用された鋳型砂と合わせて、注型プロセスで効果的に使用することができる新たな鋳型砂を生成し得る。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、鋳型廃棄物からリサイクルされた非砂留分の使用は、例えば、生圧縮強度、生剪断強度、透過性、乾燥圧縮強度、及び/又はコーン衝撃靭性の1つ以上を増加させること等によって、鋳型砂添加剤の特性を改善し得る。鋳型廃棄物からリサイクルされた非砂留分の使用は、例えば、鋳型砂添加剤の破砕性を低下させること等によって、鋳型砂添加剤の特性を改善し得る。
【0042】
幾つかの具体例が提供される。各例には、鉄製品の注型に使用される型を形成するための砂型媒体のバッチが含まれているが、他の金属の注型も可能である。幾つかの例の砂型媒体のバッチには共通点があり、これらは本開示の改善の理解を容易にする。
【0043】
図1は、典型的な生型注型プロセスを示し、このプロセスでは、プライム(すなわち、新たな)ケイ砂1及び化学結合剤3を使用して中子形成工程Aで中子を製造し、一方、ケイ砂2、ベントナイト粘土4、及び有機化合物5を使用して型形成工程Bで生砂型を製造する。生砂型は、一般に「接着剤」として知られているベントナイトと有機化合物との混合物でコーティングされた砂を、プレス成形することによって作られる。注入流6からの水の添加により、接着剤が水和して、砂粒が互いに付着して形を作る。生砂型は、典型的には、重量基準で約86重量%~90重量%の砂と、8重量%~10重量%のベントナイト粘土と、2重量%~4重量%の有機化合物と、2重量%~4重量%の水分とを含む。
【0044】
工程Cで注型した後、注型が行われた生砂型/中子を、型ばらしステーションDで小さな粒子又は塊にばらした。排出流7で表されるこの使用済み鋳型媒体の一部は、更なる生砂型を作るために型形成工程Bにリサイクルされ、一方、残りは排出流8を介して廃棄物へと排出される。型形成工程Bで添加されるプライム(新たな)砂2、プライム(新たな)ベントナイト粘土4、及びプライム(新たな)有機化合物5は、排出流8及び他の場所を介してシステムへと失われる砂、ベントナイト粘土、及び有機物を補償する。
【0045】
典型的な生砂鋳造所によってもたらされる産業廃棄物である「鋳造廃棄物」には、通常、「鋳型廃棄物」及び「バッグハウス粉塵」が含まれる。「鋳型廃棄物」は、型ばらしステーションDからの排出流8中の使用済み鋳型媒体、鋳型廃棄物9によって例示されるような未使用又は欠陥のある型及び中子からなる鋳型廃棄物、並びに鋳造所全体の様々な場所のコンベアシステムから落ちる鋳型媒体を含む。多くの生砂鋳造所では、鋳型廃棄物は、典型的には、約80重量%~90重量%の砂と、約6重量%~10重量%のベントナイト粘土と、約1重量%~4重量%の有機化合物とを含む。
【0046】
一方、微粒子形態の「バッグハウス粉塵」は、典型的には、約40重量%~70重量%の砂、及び約10重量%~30重量%の有機物を含む。加えて、典型的には、鋳型廃棄物に含まれる量を大幅に上回る約20重量%~50重量%のベントナイト粘土も含む。
【0047】
鋳型廃棄物及びバッグハウス粉塵から砂、ベントナイト、及び有機物を回収してリサイクルするために様々な試みがなされてきたが、実際問題として特に成功したものはない。
【0048】
図2は、一連の水流式(湿式)選別工程を使用して、典型的な生砂鋳造所で見られるバッグハウス粉塵に含まれるかなりの量の有用な成分を回収及びリサイクルする例示的な回収プロセスを解説する。図2に示すように、バッグハウス粉塵10及び水22は、スラリー工程Eで混合されてスラリー24をもたらし、次いで、第1の分別工程Fに移送されて、そこで水流によりアンダーフロー流28及びオーバーフロー流26に分けられる。アンダーフロー流28は、元々スラリー24に存在するより粗く、より重い砂粒子を含み、通常、このスラリーに元々存在する砂の少なくとも40%、より典型的には50%~80%を占める。一方、オーバーフロー流26は、通常、スラリー24中に少なくとも約60%のベントナイト粘土を含む。
【0049】
脱水工程Hで脱水した後、アンダーフロー流28中のより粗くて重い砂粒子は34で型形成工程Bへとリサイクルされ、少量のベントナイト及び有機物を含むアンダーフロー流28中の水も36で型形成工程Bへとリサイクルされる。必要に応じて、アンダーフロー流28内のより粗くて重い砂粒子を乾燥させて、型形成工程Bではなく中子形成工程Aにリサイクルすることができる。
【0050】
一方、オーバーフロー流26は、第2の分別工程Gに送られ、工程Gでは廃棄物流32及び流出液排出流30に水圧により分別される。バッグハウス粉塵10の組成と並んで、第1の水流式選別工程Fをどのように操作するかにより、流出液オーバーフロー流26には、粒子径が細かすぎて(約20ミクロン以下)更なる生砂型の作製に使用することができない砂が大量に含まれる場合がある。したがって、オーバーフロー流26は、第2の水流式選別工程Gで処理されて、この微細な砂の内容物と並んで、この流れに存在する可能性がある他のデブリも除去する。
【0051】
分別工程Fは、スラリー24中のベントナイト粘土の少なくとも約60重量%、例えば、ベントナイト粘土の約70重量%~95重量%、及びスラリー24中の有機物の70重量%~90重量%がオーバーフロー流26に回収されるように行われ得る。これは、流出液排出流30も、典型的には、オーバーフロー流26に元々存在するベントナイト粘土及び有機化合物の多くを含み、元々オーバーフロー流26に含まれていた砂の約5重量%以下、約3重量%以下、又は更には約1重量%以下を含むことを意味する。加えて、また、流出液流は、典型的には、スラリー24に元々存在するベントナイトの少なくとも約50重量%、より典型的には少なくとも約70重量%、又は更には85重量%を含むことを意味する。オーバーフロー流26中に保持されているベントナイト粘土の大半は、脱水された後再水和された際に幾つかの活性結合特性を示すという意味で「活性」であるため、流出液排出流30は、更なる生砂型を作るために型形成工程Bにリサイクルされる。
【0052】
特許文献1で更に説明されているように、型ばらし工程Dに由来する鋳型廃棄物8、並びに鋳型廃棄物9によって例示されるような未使用の又は欠陥のある型及び中子からなる鋳型廃棄物等の典型的な生型注型プロセス(図1)で生じる鋳型廃棄物もまた、この特許の水流式選別プロセスによって処理することができる。これもまた図2で説明されており、図2は、最初の乾燥、スクリーニング、及び減磁工程Iを経た後、これらの廃棄物が機械的分別工程Jで機械的に分別されて、より軽い留分(図2の残留流56)及びより重い留分(排出流58)をもたらすことを示している。砂、ベントナイト粘土、及び有機化合物で構成される残留流56は、スラリース工程Eにリサイクルされ、そこで新鮮なバッグハウス粉塵及び水と合わさった後、第1の水流式選別工程F及び第2の水流式選別工程Gに供される。一方、粗砂を主成分とする排出流58は、仕上げ工程Kで洗浄乾燥した後、排出流60として中子形成工程Aにリサイクルされる。
【0053】
本発明のプロセスの一態様が図3に説明され、図3は供給ライン10からのバッグハウス粉塵が2つの部分に分割されて、第1の部分が供給ライン70を通ってスラリー工程Eに移送されてスラリー24をもたらし、第2の部分が供給ライン72を通って乾式選別ステーションMに移送されることを示している。このステーションは、1つ以上のサイクロン、又は粒子混合物をサイズ、密度若しくはその両方に基づいて別々の留分に分別することができる任意のその他のタイプの装置で構成され得る。本発明によれば、バッグハウス粉塵は、乾式選別ステーションMにおいて、主にベントナイト及び炭素で構成される軽質留分78、主に粗砂及び中程度の砂で構成される重質留分76、及び任意に更なる中子及び/又は型の作製に使用するのに不適切な微粉で主に構成される中間留分74の少なくとも2つの異なる留分へと分別され得る。
【0054】
図3に示すように、中間留分74は廃棄物へと放出され、一方、重質留分76は、別々に又は脱水ステーションHを出る粗砂34と合わせた後のいずれかで、型形成ステーションBにリサイクルされる。一方、軽質留分78も型成形ステーションBにリサイクルされる。示される特定の実施形態では、軽質留分78はスラリーステーションNに供給され、そこで第2の水流式選別工程Gを出る流出液排出流30と合わさってスラリー80を形成した後に型形成ステーションBに戻る。しかしながら、軽質留分78を、例えば、必要に応じて、適量の水又は他の水性液体と合わせた後、型形成ステーションBに別々に戻すこともできる。
【0055】
この点に関して、上記の特許文献1の回収プロセスによって製造された型及び中子は通常、従来の方法で作製された型及び中子よりも、高温圧縮強度、耐破砕性、生強度、及び湿潤引張強度を含む良好な成形特性を示すことを理解されたい。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、この結果は、水流式選別工程F及びGが、鋳造所のバッグハウス粉塵に見られるベントナイト留分を回収することに加えて、この回収されたベントナイトを型形成ステーションBに戻す前に完全に水和することも可能にするという事実に起因すると考えられる。対照的に、型形成ステーションBに供給される際に典型的には脱水粉末形態である新鮮な(プライム)ベントナイトは、型又は中子へと形成される前に完全に水和するのに十分な時間がなかった可能性がある。この違いのため、このリサイクルベントナイトは、含水量が高いため、新鮮な(プライム)ベントナイトよりも優れた結合強度を提供すると考えられる。
【0056】
いずれにせよ、本発明によれば、この流れで回収されたベントナイトを可能な限り水和することを可能にするため、第2の水流式選別工程Gを出る流出液排出流30と合わせるか、そうでなければ、型形成工程Bにリサイクルされる前に軽質留分78を水又は他の水性液体と合わせてもよい。典型的な生砂鋳造所のバッグハウス粉塵に見られるような乾燥した粉末ベントナイトは、通常、約0.5重量%~4重量%の水を含み、一方、完全に水和したベントナイトは、通常、約8重量%~14重量%の水を含む。本発明によれば、軽質留分78は、型形成工程Bにリサイクルされる前に、この流れにあるベントナイトを少なくとも8重量%、より典型的には少なくとも10重量%、少なくとも12重量%、又は少なくとも14重量%の水分レベルに水和することを可能にする時間及び条件下で、水又は他の水性液体と合わせることができる。
【0057】
上に示したように、軽質留分78は、型形成工程Bにリサイクルされる前に、第2の水流式選別工程Gを出る流出液排出流30と合わせることができる。場合によっては、かかるアプローチにより、典型的な生砂精製所のバッグハウス粉塵中の貴重な原料を最大限に回収して再利用することができる。
【0058】
この点に関して、型及び中子は通常、適切な形状に形成された後に乾燥される型形成原料の水性スラリーから作製される。工業用生砂鋳造所では、水の量が多いほどスラリーの乾燥までより長い時間を要することから、各型/中子の作製にかかる時間に関連する制約要因は、かかるスラリーを構成するために使用される水の量である。したがって、かかるスラリーに含めることができる水の量は、実際的な最大量に制限される。
【0059】
上記の特許文献1の技術は、典型的な生砂鋳造所のバッグハウス粉塵に含まれるかなりの量の貴重な原料を回収して再利用することを可能にするが、これらの原料はまだかなりの量残っており、回収することができない。これは、回収されたベントナイト及び有機物の大部分を含むプロセス流(すなわち、第2の水流式選別ステーションGから出ていく流出液排出流30)が、かなりの量の水も含むためである。典型的な生砂鋳造所のバッグハウス粉塵中のベントナイトのほとんど又は全てが流出液排出流30に回収されるように水流式選別ステーションF及びGが操作される場合には、この流れの水の量は型形成ステーションBが処理するには多すぎるであろう。この制約の実際的な影響は、回収及び再利用することができる典型的な生砂鋳造所のバッグハウス粉塵中のベントナイトの量が、典型的には、存在するベントナイトの総量の約10重量%~30重量%に制限されることである。乾式選別セクションMから出て行く軽質留分78を、第2の水流式選別工程Gを出る流出液排出流30と合わせることによって、この制約が破られる可能性がある。その結果、型形成ステーションBに容易にリサイクルすることができるスラリー80を製造するのに追加の水をほとんど又は全く必要としないため、回収可能なベントナイトの量を大幅に、およそ2倍に増やすことができると同時に、このスラリー中のベントナイトの量を大幅に増加させることができると考えられる。
図1
図2
図3