(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】コンテナベースの医薬品投与ガイダンスを提供して、糖尿病を治療するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240318BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2021510651
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2019072872
(87)【国際公開番号】W WO2020043734
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-09
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミゲリク, アラン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, トーマス デデンロース
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-501311(JP,A)
【文献】特表2018-523546(JP,A)
【文献】特表2018-503896(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049789(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0091419(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0316759(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対象者の所定の血糖目標範囲を達成して、真性糖尿病の症状を治療するためのある用量のインスリン薬剤に関する医薬品投与ガイダンスを
、複数の機能を含む多機能投与ガイダンスアルゴリズムを使用して複数の対象者に提供するためのコンピューティングシステムであって、前記複数の機能のうちの各それぞれの機能が、対応するコンテナクラスに関連付けられ、前記コンピューティングシステムが、一つ以上のプロセッサおよびメモリを備え、前記メモリが、
-命令を含み、前記命令が、前記一つ以上のプロセッサによって実行されると、前記複数の対象者のうちのある対象者から医薬品投与ガイダンス要求を受信することに応答して方法を実施し、前記方法が、
(i)前記医薬品投与ガイダンス要求を満たすために必要な複数の機能要求を識別するステップであって、前記複数の機能要求のうちのある機能要求が、前記複数の機能のうちの対応する機能によって実行可能である、識別するステップと、
(ii)エンコーダモジュールを使用して、前記複数の機能要求のうちの各それぞれの機能要求に対して、前記それぞれの機能要求および関連付けられた入力データを、前記それぞれの機能要求に対応する前記機能に関連付けられた前記コンテナクラスのコンテナに埋め込むステップと、
(iii)前記複数の機能要求のうちの各それぞれの機能要求に対して、前記それぞれの機能要求を実行した前記コンテナからの機能結果を収集し、それによって、複数の機能結果を取得するステップと、
(iv)前記複数の機能結果を使用して、推奨医薬品投与ガイダンスを提供するステップと、を含
み、
-所与のコンテナクラスの前記コンテナに対する複合リソース要件が、定期的なベースで評価され、
-前記所与のコンテナクラスの前記コンテナに対する前記複合リソース要件が、前記所与のコンテナクラスに関連付けられたリソース割り当て閾値を満たす場合、前記所与のコンテナクラスの一つ以上の追加のコンテナが追加され、前記所与のコンテナクラスと一致する前記エンコーダモジュールからの機能要求を受理することができ、
-前記所与のコンテナクラスの前記コンテナに対する前記複合リソース要件が、前記所与のコンテナクラスに関連付けられた第2のリソース割り当て閾値を満たす場合、前記所与のコンテナクラスの一つ以上のコンテナが除去され、前記エンコーダモジュールからの機能要求をもはや受理することができず、
-前記医薬品投与ガイダンス要求が、ある用量のインスリン薬剤に関するものであり、
-前記用量のインスリン薬剤が、対象者の所定の血糖目標範囲を達成して、真性糖尿病の症状を治療するためのものである、コンピューティングシステム。
【請求項2】
-前記複数の機能が、第1の機能および第2の機能を含み、
-前記第1の機能が、第1のコンテナクラスの各コンテナによって実行可能であり、
-前記第2の機能が、第2のコンテナクラスの各コンテナによって実行可能であり、
-前記第1の機能のハードウェアリソース要件が、前記第2の機能のハードウェアリソース要件とは異なる、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項3】
-前記複数の機能が、第1の機能および第2の機能を含み、
-前記第1の機能が、第1のコンテナクラスの各コンテナによって実行可能であり、
-前記第2の機能が、第2のコンテナクラスの各コンテナによって実行可能であり、
-前記第1のコンテナクラスの各コンテナが、第1のサーバのセットのうちのサーバによってホストされ、
-前記第2のコンテナクラスの各コンテナが、前記第1のサーバのセット以外の第2のサーバのセットのうちのあるサーバによってホストされる、請求項1または2のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項4】
-所与の機能要求に対応する前記機能に関連付けられたコンテナクラスの所与のコンテナが、機能結果を提供するために前記機能に必要な入力データが前記それぞれの機能要求に含まれているかどうかを評価し、
-前記必要な入力データが前記機能要求に含まれていない場合、前記機能に関連付けられた前記コンテナクラスの前記所与のコンテナが、いずれの機能結果も提供しない、請求項1~
3のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記
コンピューティングシステムが、前記複数の対象者のうちの各対象者に対して医薬品投与ガイダンス要求を同時実行する、請求項1~
4のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項6】
前記複数の対象者が、少なくとも10,000人の対象者を含む、請求項
5に記載のコンピューティングシステム。
【請求項7】
前記複数の機能が、
-対象者の推奨医薬品投与ガイダンスを計算すること、
-対象者のインスリン注射履歴を再構成すること、
-対象者の滴定グルコースレベルを計算すること、
-対象者の血糖履歴を再構成すること、および
-対象者の投与ガイダンスパラメータを得ること、のうちの一つ以上を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項8】
前記方法が、
-前記
医薬品投与ガイダンス要求の品質確認を実施するさらなるステップを含み、
(a)対象者からの
医薬品投与ガイダンス要求が、低血糖事象の記録を含む場合、または
(b)対象者からの
医薬品投与ガイダンス要求が、前記対象者が以前に推奨された医薬品用量を摂取することができなかったことを示す記録を含む場合、前記品質確認が失敗し、結果として、いずれの推奨医薬品投与ガイダンスも提供されない、請求項1~
7のいずれか一項に記載の
コンピューティングシステム。
【請求項9】
前記エンコーダモジュール(ii)が、リソース要件に対する各それぞれの機能を評価することをさらに含む、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項10】
対象者に対する少なくとも二つの機能が、同時実行される、請求項1~
9のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項11】
対象者に対する少なくとも二つの機能が、順次実行される、請求項1~
10のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記機能要求が必要とする前記入力
データが、所与の対象者に対して、少なくとも、
-前記対象者の上限目標グルコース範囲、
-前記対象者の血糖履歴、
-前記対象者の基礎注射履歴、および
-最新の推奨医薬品投与ガイダンス、を含み、
かつ任意選択で、
-前記対象者の体重、
-前記対象者の下限目標グルコース範囲、
-前記対象者の過度の基礎化限界、および
-前記対象者の開始インスリン基礎投与、のうちの一つ以上を含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医薬品用量を管理する際に患者および医療従事者を支援するためのシステムおよび方法であって、処方された医薬品の用量が、各患者に特異的な情報に基づいて計算される、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真性糖尿病は、高血糖につながるインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性を特徴とする。2型真性糖尿病は、正常な生理的インスリン分泌の進行性の妨害を特徴とする。健康な個体では、膵β細胞による基礎インスリン分泌が連続的に起こり、食間で長期間にわたって定常グルコースレベルを維持する。健康な個体ではまた、食事に対応する初期の第一段階スパイクでインスリンが急速に放出され、続いて2~3時間後に基底レベルに戻る長期インスリン分泌が続く。何年も制御不良な高血糖が続くと、複数の健康上の合併症を引き起こす可能性がある。真性糖尿病は、世界中の早期罹患率および死亡率の主な原因の一つである。
【0003】
血糖/血漿グルコースの効果的な制御は、これらの合併症の多くを予防または遅延させることができるが、一度確立されるとそれらを元に戻すことができない可能性がある。したがって、糖尿病の合併症を予防するための努力において良好な血糖制御を達成することは、1型および2型糖尿病の治療における主要な目標である。特に、インスリン用量滴定の頻繁な変化は、患者の血糖値の安定化を助けるための鍵となる(Bergenstal et al.,“Can a Tool that Automates Insulin Titration be a Key to Diabetes Management?”Diabetes Tech.and Thera.2012,14(8)675-682)。インスリン薬剤治療レジメンを施すために、調整可能なステップサイズ、ならびに生理学的パラメータ推定および所定の空腹時血糖目標値を用いるスマートタイトレータが開発されている。長時間作用型基礎インスリンの最適な開始方法および滴定方法は、依然として決定されている。しかしながら、証拠は、多くの患者が、グルコース制御の目標レベルを達成するのに十分に滴定されたインスリン用量を受け取らないこと(最適以下の用量のままであり、治療目標に到達できない)が多いことを示唆している(Holman et al.,“10-year follow-up of intensive glucose control in type 2 diabetes,”N.Engl.J.Med.2008,359:1577-1589)。
【0004】
インスリンレジメンに関する主要な問題のうちの一つは、患者の自律性およびエンパワーメントの欠如である。患者はしばしば、新しい滴定量を計算するために診療所を訪問しなければならない。診療所が患者のインスリン用量を滴定しなければならない場合、滴定用量の変更頻度には自然制限がある。自己滴定レジメンは、患者のエンパワーメントを促進し、治療により深く関与することを可能にし、その結果、血糖制御の改善をもたらす可能性がある(Khunti et al.,“Self-titration of insulin in the management of people with type 2 diabetes:a practical solution to improve management in primary care,”Diabetes,Obes.,and Metabol.2012,15(8)690-700)。糖尿病の管理およびインスリンの滴定に積極的な役割を果たす患者は、自身のセルフケアに責任を持ち、自身の行動が自身の疾患に影響を及ぼすと強く信じ、より良い治療結果をもたらすことができる可能性がある(Norris et al.,“Self-management education for adults with type 2 diabetes:a meta-analysis on the effect of glycemic control.Diabetes Care,”2002,25:1159-71,Kulzer et al.,“Effects of self-management training in type 2 diabetes:a randomized,prospective trial,”Diabet.Med.2007,24:415-23,Anderson et al.,“Patient empowerment:results of a randomized controlled trial,”Diabetes Care.1995,18:943-9)。さらに、患者が自身の滴定を制御している場合、滴定の頻度が増加し、それにより、患者が所望の血糖値を達成する可能性が高まる。
【0005】
自律的な患者主導の滴定を可能にするツールを開発するため、多くの努力が本分野に投じられている。また、滴定アルゴリズムの開発において大幅な進歩がなされている(Edelman et al.,“AUTONOMY:The First Randomized Trial Comparing Two Patient-Driven Approaches to Initiate and Titrate Prandial Insulin Lispro in Type 2 Diabetes,”2014,37(8):2132-2140)。しかしながら、多くの滴定アルゴリズムは、患者ではなく、臨床訪問中に主に医療従事者によって使用され続けており、それに伴って、各患者が受け取る滴定の数が限定されている(Arnolds et al.,“Common Standards of Basal Insulin Titration in T2DM,”J.Diabetes Sci.Technol.2013,7(3):771-788)。必要とされるのは、患者が健康診療所での予約を有する場合だけではなく、患者が医療従事者によって推奨されたスケジュールを選択するか、またはそのスケジュールに従っていればいつでも、患者がアクセスすることができる、完全自律型の医薬品投与ガイダンスシステムである。
【0006】
自律型の医薬品投与ガイダンスシステムの構造は、演算の複雑さおよび提供するためのコストを含む、いくつかの困難を提起する。患者がオンデマンドで利用可能な自律型の医薬品投与ガイダンスシステムは、クライアント側のモバイルアプリケーション、およびサーバ側のバックエンドの二つの部分を使用して構築することができる。バックエンドサーバは、データベースおよびエンジンにパーティション化することができ、エンジンは、システムの演算集約型機能の大部分が存在する場所である。サーバ側のバックエンドシステムは、多くの場合、クラウドコンピューティングのスケーラビリティの有利な点を得るために、クラウド環境内で展開される。Amazon(AWS)、IBM(Bluemix)、Microsoft(Azure)などの企業が提供するクラウドは、「インフラストラクチャアズアサービス(IaaS)」として最も一般的にアクセス可能である。より多くの患者が自律型の投与ガイダンスシステムを使用するにつれて、コンピューティングリソースの大部分が必要とされるクラウドベースのエンジンは、システムのタイムアウトを回避するために、必要に応じて追加のリソースを割り当てることになる。クラウドコンピューティングは、演算の複雑さまたはクエリの量(例えば、推奨投与ガイダンスを計算することの難しさ、または投与ガイダンスを要求する患者の数)に応じて、法外に高価で時間がかかる場合がある(Berriman et al.,“The Application of Cloud Computing to Scientific Workflows:A Study of Cost and Performance,”Phil.Trans.R.Soc.A 2013,371:20120066)。
【0007】
現状は、モノリシックアーキテクチャを使用してエンジンを開発し、それをクラウドベースのハイパーバイザシステム上で展開することになる(Lim et al.,“Automated Control in Cloud Computing:Challenges and Opportunities,”ACD’09,Barcelona,Spain.2009)。これらのモノリシックアプリケーションは、仮想マシン(VM)を動作させるハイパーバイザシステムで展開される。需要が増加する(例えば、より多くの患者が投与ガイダンスの要求を開始する)たびに、ハイパーバイザは需要を満たすために追加のVMを作成しなければならない。これは、VMの基礎となるオペレーティングシステム(OS)には、VMのストレージに必要な時間、メモリ、およびディスク空き容量を必要とするため、相当な演算オーバーヘッドを伴う。一つのエンジンサブ機能が他のサブ機能よりも多くの演算能力を必要とする場合、それは、システム全体のリソースボトルネックとして作用し得、需要に追いつくために、追加のVMの無関係で回避可能な充当(avoidable devotion)を強いることになる。クラウドベースのシステムを、患者の薬物滴定を計算するために有用なものにするためには、VMのオーバーヘッドレベルを必要としない解決策が必要である。
【0008】
したがって、解決すべき問題は、IaaSクラウドモデルにおいて医薬品投与ガイダンスを与える際に、エンジンの効率と、そのコンピューティングリソースの使用を最大化することである。インスリン滴定用量を計算するための効率的で費用効果の高いモデルにより、より多くの患者がオンデマンドで自律型の医薬品投与滴定にアクセスすることができる。この背景セクションに開示された情報は、本発明の一般的な背景の理解の改良のみを目的としており、この情報が当業者に既に公知の先行技術を形成するという認識またはいかなる形態の提案として解釈されるべきではない。
【0009】
上記の背景を考慮すると、本発明の目的は、医薬品投与ガイダンスに関連して、クラウドコンピューティング環境内の演算集約型タスクの分散型リソース管理のための改善されたシステムおよび方法を提供するためのデバイス、システム、および方法を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Bergenstalら著、「Can a Tool that Automates Insulin Titration be a Key to Diabetes Management?」、Diabetes Tech.and Thera出版、2012年、14(8)675-682
【文献】Holmanら著、「10-year follow-up of intensive glucose control in type 2 diabetes」、N.Engl.J.Med.出版、2008年、359:1577-1589
【文献】Khuntiら著、「Self-titration of insulin in the management of people with type 2 diabetes:a practical solution to improve management in primary care」、Diabetes,Obes.,and Metabol.出版、2012年、15(8)690-700
【文献】Norrisら著、「Self-management education for adults with type 2 diabetes:a meta-analysis on the effect of glycemic control. Diabetes Care」2002年、25:1159-71
【文献】Kulzerら著、「Effects of self-management training in type 2 diabetes:a randomized,prospective trial」Diabet.Med.出版、2007年、24:415-23
【文献】Andersonら著、「Patient empowerment:results of a randomized controlled trial」Diabetes Care出版、1995年、18:943-9
【文献】Edelmanら著、「AUTONOMY:The First Randomized Trial Comparing Two Patient-Driven Approaches to Initiate and Titrate Prandial Insulin Lispro in Type 2 Diabetes」、2014年、37(8):2132-2140
【文献】Arnoldsら著、「Common Standards of Basal Insulin Titration in T2DM」、J.Diabetes Sci.Technol.出版、2013年、7(3):771-788
【文献】Berrimanら著、「The Application of Cloud Computing to Scientific Workflows:A Study of Cost and Performance」、Phil.Trans.R.Soc.A出版、 2013年、371:20120066
【文献】Limら著、「Automated Control in Cloud Computing:Challenges and Opportunities」、ACD’09出版、Barcelona,Spain、2009年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の開示では、上記の目的のうちの一つ以上に対処する、または下記の開示だけでなく例示的な実施形態の説明から明らかな目的に対処する実施形態および態様が説明される。
【0012】
本発明の第1の態様では、複数の機能を含む多機能投与ガイダンスアルゴリズムを使用して、複数の対象者に推奨医薬品投与ガイダンスを提供するためのコンピューティングシステムであって、複数の機能のうちの各それぞれの機能が、対応するコンテナクラスに関連付けられ、コンピューティングシステムが、一つ以上のプロセッサおよびメモリを備える、コンピューティングシステムが提供される。メモリは、命令を含み、命令は、一つ以上のプロセッサによって実行されると、複数の対象者のうちのある対象者から医薬品投与ガイダンス要求を受信することに応答して方法を実施する。本システムは、(i)医薬品投与ガイダンス要求を満たすために必要な複数の機能要求を識別するステップであって、複数の機能要求のうちのある機能要求が、複数の機能のうちの対応する機能によって実行可能である、識別するステップと、(ii)エンコーダモジュールを使用して、複数の機能要求のうちの各それぞれの機能要求に対して、それぞれの機能要求および関連付けられた入力データを、それぞれの機能要求に対応する機能に関連付けられたコンテナクラスのコンテナに埋め込むステップと、(iii)複数の機能要求のうちの各それぞれの機能要求に対して、それぞれの機能要求を実行したコンテナからの機能の結果を収集し、それによって、複数の機能結果を取得するステップと、(iv)複数の機能結果を使用して、推奨医薬品投与ガイダンスを提供するステップと、を含む。
【0013】
この配置により、バックエンドエンジンおよびその機能を、分散型マイクロサービスアーキテクチャ内のコンテナに分けることができる。コンテナ(オペレーティングシステムレベルの仮想化)は、アプリケーションが意図したとおりに動作および機能するために必要な必要最低限しか提供しない、仮想化するための難易度が低いアプローチである。エンジンの各サブ機能をコンテナ化することにより、エンジンが、オペレーティングシステムおよび物理インフラを無視することによって、異なる環境で確実に動作することが可能になる。
【0014】
例示的な実施形態では、複数の機能は、第1の機能および第2の機能を含み、第1の機能は、第1のコンテナクラスの各コンテナによって実行可能であり、第2の機能は、第2のコンテナクラスの各コンテナによって実行可能であり、第1の機能のハードウェアリソース要件は、第2の機能のハードウェアリソース要件とは異なる。
【0015】
複数の機能は、第1の機能および第2の機能を含み得、第1の機能は、第1のコンテナクラスの各コンテナによって実行可能であり、第2の機能は、第2のコンテナクラスの各コンテナによって実行可能であり、第1のコンテナクラスの各コンテナは、第1のサーバのセットのうちのサーバによってホストされ、第2のコンテナクラスの各コンテナは、第1のサーバのセット以外の第2のサーバのセットのうちのあるサーバによってホストされる。
【0016】
例示的な実施形態では、所与のコンテナクラスのコンテナに対する複合リソース要件は、定期的なベースで評価され、所与のコンテナクラスのコンテナに対する複合リソース要件が、所与のコンテナクラスに関連付けられたリソース割り当て閾値を満たす場合、所与のコンテナクラスの一つ以上の追加のコンテナが追加され、所与のコンテナクラスと一致するエンコーダモジュールからの機能要求を受理することができる。
【0017】
それに応じて、所与のコンテナクラスのコンテナに対する複合リソース要件が、所与のコンテナクラスに関連付けられた第2のリソース割り当て閾値を満たす場合、所与のコンテナクラスの一つ以上のコンテナが除去され得、エンコーダモジュールからの機能要求をもはや受理することができない場合がある。
【0018】
例示的な実施形態では、所与の機能要求に対応する機能に関連付けられたコンテナクラスの所与のコンテナは、機能結果を提供するために機能に必要な入力データがそれぞれの機能要求に含まれているかどうかを評価し、必要な入力データが機能要求に含まれていない場合、機能に関連付けられたコンテナクラスの所与のコンテナは、いずれの機能結果も提供しない。
【0019】
コンピューティングシステムは、複数の対象者のうちの各対象者に対して医薬品投与ガイダンス要求を同時実行するように操作することができる。複数の対象者は、少なくとも10,000人の対象者を含み得る。
【0020】
複数の機能は、対象者の推奨医薬品投与ガイダンスを計算すること、対象者のインスリン注射履歴を再構成すること、対象者の滴定グルコースレベルを計算すること、対象者の血糖履歴を再構成すること、および対象者の投与ガイダンスパラメータを得ること、のうちの一つ以上を含み得る。
【0021】
医薬品投与ガイダンス要求は、対象者の所定の血糖目標範囲を達成して、真性糖尿病の症状を治療するために、ある用量のインスリン薬剤に関するものであってもよい。
【0022】
例示的な実施形態では、本方法は、投与ガイダンス要求の品質確認を実施するさらなるステップを含み、(a)対象者からの投与ガイダンス要求が、低血糖事象の記録を含む場合、または(b)対象者からの投与ガイダンス要求が、対象者が以前に推奨された医薬品投与を行うことができなかったことを示す記録を含む場合、品質確認は失敗し、結果として、いずれの推奨医薬品投与ガイダンスも提供されない。
【0023】
エンコーダモジュール(ii)は、リソース要件に対する各それぞれの機能を評価することをさらに含み得る。
【0024】
対象者に対する少なくとも二つの機能が同時実行され得、かつ/または対象者に対する少なくとも二つの機能が順次実行され得る。
【0025】
例示的な実施形態では、機能要求が必要とする入力には、所与の対象者に対して、少なくとも、対象者の上限目標グルコース範囲、対象者の血糖履歴、対象者の基礎注射履歴、および最新の推奨医薬品投与ガイダンス、が含まれ、任意選択で、対象者の体重、対象者の下限目標グルコース範囲、対象者の過度の基礎化限界、および対象者の開始インスリン基礎投与のうちの一つ以上が含まれる。
【0026】
第2の態様では、本開示は、医薬品用量ガイダンスのための、特に医療従事者を訪問するまでの間に使用するための、システムおよび方法を提供することによって、当技術分野における上記で識別されるニーズに対処する。本開示では、複数の対象者に推奨医薬品投与ガイダンスを提供するためのコンピューティングシステムは、複数の機能を含む多機能投与ガイダンスアルゴリズムを使用する。複数の機能のうちの各それぞれの機能は、複数のコンテナクラスのうちのあるコンテナクラスに関連付けられる。コンピューティングシステムは、一つ以上のプロセッサおよびメモリを備える。メモリは、命令を含み、命令は、一つ以上のプロセッサによって実行されると、複数の対象者のうちのある対象者から医薬品投与ガイダンス要求を受信することに応答して方法を実施する。本方法は、(i)医薬品投与ガイダンス要求を満たすために必要な複数の機能要求を識別することであって、複数の機能要求のうちのある機能要求が、複数の機能のうちの対応する機能によって実行可能である、識別することと、(ii)エンコーダモジュールを使用して、複数の機能要求のうちの各それぞれの機能要求に対して、それぞれの機能要求を、それぞれの機能要求に対応する機能に関連付けられたコンテナクラスのコンテナに埋め込むことと、(iii)複数の機能要求のうちの各それぞれの機能要求に対して、それぞれの機能要求を実行したコンテナクラスのコンテナからの機能結果を収集し、それによって、複数の機能結果を取得することと、(iv)複数の機能結果を使用して、推奨医薬品投与ガイダンスを提供することと、を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の機能は、第1の機能および第2の機能を含む。第1の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第1のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能である。第2の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第2のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能である。第1の機能のハードウェアリソース要件は、第2の機能のハードウェアリソース要件とは異なる。
【0028】
本開示の一態様では、本システムは、複数の対象者、例えば、少なくとも10.000人の対象者のうちの各対象者に対して医薬品投与ガイダンス要求を同時実行する。対象者に対する第1の機能および第2の機能は、同時実行され得るか、または順次実行され得る。
【0029】
本開示の別の態様では、第1のコンテナクラスのコンテナの第1のインスタンスのセットの複合リソース要件は、定期的なベースで評価される。第1のコンテナクラスのコンテナの第1のインスタンスのセットの複合リソース要件が、第1のコンテナのセットに関連付けられた第1のリソース割り当て閾値を満たす場合、コンテナクラスのコンテナの一つ以上の追加のインスタンスが第1のコンテナのセットに追加され、第1のコンテナクラスのタイプと一致するエンコーダモジュールからの機能要求を受理することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のコンテナクラスの第1のインスタンスのセットの複合リソース要件が、第1のコンテナのセットに関連付けられた第2のリソース割り当て閾値を満たす場合、第1のコンテナのセットの一つ以上のコンテナが第1のコンテナのセットから除去され、エンコーダモジュールからの機能要求をもはや受理することができない。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数の機能は、第1の機能および第2の機能を含む。第1の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第1のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能である。第2の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第2のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能である。第1のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスは、第1のサーバのセットのうちのサーバによってホストされる。第2のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスは、第2のサーバのセットのうちのあるサーバによってホストされる。
【0032】
コンピューティングシステムの例示的な実施形態では、複数の機能は、第1の機能および第2の機能を含み、第1の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第1のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能であり、第2の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第2のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能である。第1のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスは、第1のサーバのセットのうちのサーバによってホストされ、第2のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスは、第1のサーバのセット以外の第2のサーバのセットのうちのあるサーバによってホストされる。
【0033】
第1の機能は、(i)対象者の推奨医薬品投与ガイダンスを計算すること、(ii)対象者のインスリン注射履歴を再構成すること、(iii)対象者の滴定グルコースレベルを計算すること、(iv)対象者の血糖履歴を再構成すること、または(v)対象者の投与ガイダンスパラメータを得ること、のうちの一つを含み得る。
【0034】
対象者の血糖履歴を再構成することは、血糖履歴時間的経過がギャップを含む場合、対象者の再構成された血糖履歴を計算することをさらに含み得、再構成された血糖履歴は、各暦日の対象者の血糖履歴に基づいて計算される。
【0035】
コンピューティングシステムのさらなる例示的な実施形態では、それぞれの機能要求に対応する機能に関連付けられたコンテナクラスのコンテナは、機能結果を提供するために機能に必要な入力データがそれぞれの機能要求に含まれているかどうかを評価し、必要な入力が機能要求に含まれていない場合、機能に関連付けられたコンテナクラスのコンテナは、いずれの機能結果も提供しない。
【0036】
機能要求が必要とする入力には、所与の対象者に対して、少なくとも、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、(iv)対象者の過度の基礎化限界、(v)対象者の血糖履歴、(vi)最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/または対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに(vii)対象者の基礎注射履歴、が含まれる。
【0037】
推奨医薬品投与ガイダンスを決定するために使用される上限目標グルコース範囲は、80~180mg/dL、90~180mg/dL、100~180mg/dL、90~200mg/dL、90~250mg/dL、または90~300mg/dLの範囲内である。
【0038】
推奨医薬品投与ガイダンスを決定するために使用される下限目標グルコース範囲は、50~70mg/dL、70~90mg/dL、70~100mg/dL、60~100mg/dL、または60~90mg/dLの範囲内である。
【0039】
コンピューティングシステムのさらなる例示的な実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求は、ある用量のインスリン薬剤に関するものであり、本用量のインスリン薬剤は、対象者の所定の血糖目標範囲を達成して、真性糖尿病の症状を治療するためのものである。症状は、2型糖尿病であってもよく、インスリン薬剤は、LysB29(Nc-ヘキサデカンジオイル-y-Glu)des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標))であってもよい。
【0040】
所与の血糖目標範囲は、50~180mg/dL、60~180mg/dL、70~180mg/dL、80~180mg/dL、50~200mg/dL、60~200mg/dL、70~200mg/dL、80~200mg/dL、50~250mg/dL、60~250mg/dL、70~250mg/dL、または80~250mg/dLである。
【0041】
コンピューティングシステムのなおもさらなる例示的な実施形態では、本方法は、投与ガイダンス要求の品質確認を実施することをさらに含み、品質確認が失敗し、かつ(a)対象者が低血糖事象を記録した場合、または(b)対象者が以前に推奨された医薬品用量を摂取することができなかった場合、推奨医薬品投与ガイダンスが提供される。
【0042】
コンピューティングシステムのさらなる例示的な実施形態では、エンコーダモジュール(ii)は、リソース要件に対する各それぞれの機能を評価することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下では、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0044】
【
図1A-1B】
図1Aおよび
図1Bは、推奨投与ガイダンスを提供するシステムの第1の実施形態のプロセスおよび特徴のフローチャートを示している。
【
図2A-2B】
図2Aおよび
図2Bは、CGMデータに基づいてTGL値がどのように決定されるかを例示している。
【
図3】
図3は、本開示のある実施形態による、推奨医薬品投与ガイダンスを自律的に提供するためのコンテナ組織化の例示的なシステムを例示している。
【
図4A-4B】
図4Aおよび
図4Bは、h患者データ(例えば、対象者からのグルコースデータを測定する一つ以上のグルコースセンサからのデータ)を収集するためのデータ収集デバイスと、医薬品投与ガイダンス要求システムと、各々がオーケストレータおよび一つ以上のコンテナを含む一つ以上のコンテナエンジンと、を含み、本開示のある実施形態に従って、上記で識別される構成要素が、任意選択で通信ネットワークを介して、相互接続される、例示的なシステムトポロジを集合的に例示している。
【
図5】
図5は、本開示のある実施形態による、推奨医薬品投与ガイダンスを自律的に提供するためのコンピュータシステムを例示している。
【
図6】
図6は、本開示の様々な実施形態による、推奨医薬品投与ガイダンスを自律的に提供するためのデバイスのプロセスおよび特徴のフローチャートを提供する。
【
図7】
図7は、本開示のある実施形態による、対象者に対する医薬品投与ガイダンス要求を例示している。
【
図8】
図8は、本開示のある実施形態による、推奨医薬品投与ガイダンスを自律的に提供するための、接続されたインスリンペン(複数可)、連続グルコースモニタ(複数可)、メモリ、およびプロセッサの例示的な統合システムを例示している。
【
図9】
図9は、本開示のさらなる実施形態による、推奨医薬品投与ガイダンスを自律的に提供するためのコンテナ組織化の例示的なシステムを例示している。
【0045】
図面において、同様の構造物は、主として同様の参照番号によって識別される。
【発明を実施するための形態】
【0046】
糖尿病は、世界の健康に関して流行、拡大している。糖尿病は、確立された滴定治療レジメンおよび医薬品により効果的に管理することができるが、最新の推奨滴定へのアクセスは依然として限られている。本開示は、インスリンおよび他の薬物の両方に対して、自動化された医薬品用量調整および自己滴定を容易にし、それに伴って、患者のエンパワーメントを強化するとともに、治療結果を低下させることなく、投与調整に必要な医師診察の頻度を低減することによって、治療コストを大幅に低減し得る、患者中心の滴定アルゴリズムを提供する。本開示は、患者からの要求に応じて、または自律的にのいずれかで、推奨医薬品投与ガイダンスを提供するシステムを説明する。本開示の一つの態様は、推奨医薬品投与を提供するための統合システムがクラウドエコシステムに基づいていることである。
【0047】
本発明自体の実施形態を説明する前に、保存された命令が実行される場合に、どのように投与ガイダンス要求(DGR)が受信され、処理されるかの具体的な例を説明する。機能の数、機能の順序、および特定の機能、例えば、各付与機能に組み込まれたルールは全て例示的なものである。例示的な実施形態では、記載された規則は、Novo Nordisk A/SからのTresiba(登録商標)の推奨滴定ラベルに対応する。
【0048】
以下に記載するシステム設定は、クラウドベースの大規模な糖尿病管理システムの一部として使用されるように適合されたバックエンドエンジンとして実装されるように設計されている。このようなクラウドベースのシステムにより、エンジンを常に最新の状態にすることができ(例えば、患者のスマートフォンなどで完全に稼働するアプリベースのシステムとは対照的に)、機械学習および人工知能などの高度な方法を実装することができるか、またデータをより大きな「デジタルヘルス」設定で他のサービスと組み合わせて使用することができる。このようなクラウドベースのシステムは、理想的には、推奨投与を求める大量の患者の要求を処理するため、目的のサービスを可能な限り迅速に提供し、利用可能なリソースを効果的に使用するようにシステムを設定することが重要である。
【0049】
全体として、2型糖尿病を有する患者およびその医療従事者(HCP)が、血糖値および以前に記録された投与で記録されたインスリン量に応じて、基礎インスリンを滴定することを支援する、糖尿病管理システムが提供される。完全なシステムは、クライアントおよびオペレーティングシステムの形態で相互作用するシステムと組み合わせて使用される本発明の主要な態様であるバックエンドエンジン(「エンジン」)を含む。
【0050】
クライアントは、エンジンの観点から投与ガイダンスを要求するソフトウェア構成要素である。クライアントは、必要なデータ(例えば、CGMデータ、注射データ、患者パラメータ)を収集し、エンジンからの要素ガイダンスを要求する。次にクライアントは、エンジンから応答を受信する。典型的な設定では、クライアントは、患者の医療デバイスとクラウドとの間のインターフェースとして作用する専用データハブであってもよく、または患者のスマートフォン上で動作するアプリであってもよい。クラウドオペレーティングシステムは、エンジンに、機能するために必要な最小限のリソース(メモリ、処理など)を提供する。クラウドオペレーティングシステムは、エンジンがインストールされた環境として機能し、その展開を可能にする。
【0051】
以下では、真性糖尿病を治療する対象者のための長時間作用型または超長時間作用型インスリン調整日投与推奨(ADDR)を提供するためのシステムの実施形態であって、システムが、クラウドベースの大規模な糖尿病管理システムとしての実施に好適である、実施形態について説明する。
【0052】
より詳細には、真性糖尿病を治療する対象者のための長時間作用型または超長時間作用型インスリン調整日投与推奨(ADDR)を提供するシステムが提供される。システムは、一つ以上のプロセッサおよびメモリを含み、メモリは、一つ以上のプロセッサによって実行されると、投与ガイダンス要求(DGR)の受信に応答して方法を実行する命令を含む。
【0053】
命令は、対象者のグルコース上限目標範囲レベル(UTR)、および対象者のグルコース下限目標範囲レベル(LTR)を含む第1のデータ構造を取得することと、現在の投与ガイダンスベースライン(DGB)、およびどの時点でDGBが作成されたかを表す対応するDGBタイムスタンプを含む第2のデータ構造を取得することと、を提供する。現在のDGBは、最新の調整日投与推奨、または開始基礎投与のいずれか、すなわち患者の担当医によって一般的に設定される基礎投与に対応し得る。上述したように、これらのデータ構造は、それぞれ患者のBGレベルの目標範囲である滴定レジメンの開始点(開始投与)を表す。
【0054】
更新されるADDRを計算できるようにするために、命令は、第1および第2のデータセットを取得することを提供する。第1のデータセットは、時間的経過にわたって取得された対象者の複数のグルコース測定値を含み、それによって血糖履歴(BGH)を確立し、複数のグルコース測定値における各それぞれのグルコース測定が、血糖(BG)値、および時間的経過中のどの時点でそれぞれのグルコース測定が行われたかを表す対応する血糖タイムスタンプ(BGT)を含む。BG値は、独立のBG値の形態であり得、典型的には、朝に取得され、空腹時のBGを表す1日の測定値である。この場合、各BG値は、更新されるADDRの計算の基となる1日滴定グルコースレベル値(TGL)と称されるものを表す。あるいは、第1のデータセットは、皮膚装着型連続グルコースモニタリング(CGM)デバイス(例えば、5分毎にBG値を提供する)の使用によって、毎日にわたって収集された多数のBG値を含み得る。以下でより詳細に説明するように、CGMデータに基づいて、適切なアルゴリズムを使用して毎日のTGLを決定することができる。
【0055】
第2のデータセットは、対象者の基礎インスリン注射履歴(IH)を含み、履歴は、対応する注射量(IA)、および時間的経過中のどの時点でそれぞれの注射が発生したかを表す注射タイムスタンプ(IT)により特徴付けされるそれぞれの注射を伴う時間的経過の全てまたは一部の間に複数の注射を含む。注射履歴が最新であることを保証するために、注射履歴再読込タイムスタンプを含む第3のデータ構造を取得することができる。注射データは、患者によって手動で取り込まれたか、または投与記録回路を備えた薬物送達デバイスを使用して取り込まれ得る。後者の場合、排出された投与に留意する必要があり、必ずしも注射された投与が記録されるとは限らない。実際に、この不正確さは、手動で生成された投与ログにも適用される可能性がある。注射されていないプライミング/エアショットの問題については、以下に記載する。
【0056】
命令はさらに、データ構造およびデータセットを評価し、それによって、投与ガイダンス要求に必要な全てのデータタイプが存在し、指定範囲内にあるかを決定することを提供する。これには、BGデータ、注射データ、目標グルコース範囲の上限および下限、ならびに最新の調整日投与推奨または開始基礎投与が含まれる。これは、何かが欠けている、または明らかに間違っている、または不十分である場合に、リソースが要求を処理しようと試みて無駄にならないようにするためである。要求が、データタイプを欠くか、または正常とみなされるものよりも1桁大きいパラメータを有する場合、エンジンは、対応するエラーメッセージを返す。全てのデータタイプが存在し、範囲内にある場合(品質および/または数量はここでは考慮されない)、確認はデータを引き継ぎ、さらなる処理を行う。
【0057】
ADDRを計算する前に、いくつかのデータ確認が実行され得、例えば、投与ガイダンス要求が、注射履歴再読込タイムスタンプから所与の制限時間内に受信されたかを確認する再読込確認し、投与ガイダンス要求が、DGBタイムスタンプから所与の制限時間内に受信されたかを確認する更新確認を実行する。
【0058】
さらに、1回以上の投与事象確認が実行され得、注射履歴(IH)中の個々の注射の数、タイミング、およびサイズが、予め決定された順守要件のセットに適合するかを決定する。
【0059】
本発明の例示的な実施形態の基本的な構成要素を記載したが、特定の実施形態は、
図1を参照して記載され、フローチャートは、保存された命令が実行される場合に、どのように投与ガイダンス要求(DGR)が受信され、処理されるかを示す。機能の数、機能の順序、および特定の機能、例えば、各付与機能に組み込まれたルールは全て例示的なものである。例示的な実施形態では、記載された規則は、Novo Nordisk A/SからのTresiba(登録商標)の推奨滴定ラベルに対応する。
【0060】
1.1 有効な要求確認
この機能は、上記に記載され、投与ガイダンス要求に必要な全てのデータタイプ(すなわち、クライアント入力データ)が指定範囲内に存在することを確認する。要求に適切なデータがない場合、機能はエラーメッセージを返す。それ以外の場合、確認はデータに沿って通過する。
【0061】
所与の設定については、確認に合格する要求には、追加の入力データ、例えばタイムスタンプ、所与の期間の最大基礎限界などを伴う報告されたいかなる低血糖事象を含む「低履歴」、例えば1日または1週間あたり、要求時間(TOR)、個々の投与ガイダンス要求の一意の識別子、およびクライアントの一意の識別子を必要とし得る。
【0062】
1.2 最後の注射データ再読込確認
この機能は、注射履歴データが、例えば、直前の30秒など、所与の制限時間内に再読込されていることを確認し、これは、注射履歴データの最新の記録があることを確認するためのものである。
【0063】
1.3 注射履歴確認
この機能は、過去8時間以内に既に投与事象があったかを確認する。その場合、別の注射を推奨することは、Tresiba(登録商標)のラベル表示に違反し(すなわち、1日1回、少なくとも8時間の間隔を空けて注射すること)、ユーザを低血糖事象のリスクにさらすことになる。過去8時間以内に投与事象がない場合、確認はデータに沿って次の機能へ通過する。
【0064】
1.4 補充注射確認
Tresiba(登録商標)のラベルには、ユーザは1日1回、少なくとも8時間の間隔を空けて注射を受ける必要があると記載されている。ただし、患者が1日の服用を忘れた場合、その忘れた分は、通常の予定投与(8時間以上間隔を空けて服用)に加えて翌日に服用することができる。これに対応して、この機能は最初に、暦日内に投与事象が既に発生しているかを確認する。その場合は、前の暦日が投与事象のない日であるかを確認し、これが真実であれば確認に合格する。前の暦日に記録された投与事象がある場合、確認はエラーメッセージを返し、推奨投与を示さない。
【0065】
1.5 記録された低血糖事象確認
この機能は、要求とともに受信したデータ構造が、一つ以上の記録された低血糖事象に関する指標を含むかを確認する。一つ以上の低血糖事象が、予め設定された制限時間内に記録された場合、新しいADDRは計算されないが、現在のDGBは2 UIのインスリンで調整される。低血糖事象は、患者によって手動で記録され得、および/またはCGMがBGデータ捕捉に使用される場合に自動的に登録され得る。後者の場合、患者は事象の確認を求められることがある。
【0066】
1.6 BGデータ品質確認
BGデータが、個々のBG測定値、例えば、空腹時BGに基づいて提供される場合、機能は、例えば、過去4日間に少なくとも三つの有効なBG値など、有効なBG値が、指定された最近の日数のうち、指定された日数の間記録されていることを確認する。BGデータがCGM測定値に基づいて提供される場合、CGMデータ品質確認を実行され得、誤った滴定グルコースレベルの決定につながり得る許容できないデータギャップがないことを確認することができる。許容できないレベルのCGMデータ品質についての例示的な基準を以下に記載する。データ品質が最小閾値を満たすことができない場合、この機能はエラーメッセージを返し、投与ガイダンス要求は続行しない。あるいは、CGMデータ内のギャップを埋めることも可能である。これは、データ内にギャップがある(例えば、新しいセンサが準備されている)にもかかわらず、投与ガイダンス要求が次のCGMデータ品質確認に合格する確率を増加させるためである。適切な数学的アプローチの例を、以下により詳細に記載する。
【0067】
1.7投与事象の識別
NovoPen(登録商標)6などの統合投与記録機能を備えるペン型デバイスでは、その使用説明書に従って、患者はインスリンが押し出されるまでデバイスを刺激する必要がある。これらのプライミング「注射」(または「エアショット」)は、ペンによる実際の身体注射と区別されず、エンジンの観点からは、身体に個別に注射されたものとして見られる。患者が実際に注射した回数は、投与ガイダンスシステムによって、患者が滴定レジメンを順守しているかを判断するために確認することができるパラメータのうちの一つであるため、このようなプライミング「注射」をフィルタで除去できることが妥当である。このフィルタリングは、投与記録回路(NovoPen(登録商標)6に統合されたか、またはペン型デバイスに装着されるアドオン記録デバイスとして提供されるかを問わない)において行われ得、患者のスマートフォンアプリにおいて、通常、ADDRの要求の一部として送信される前に注射データおよびBGデータを受信および収集するよう適合されるデバイス、またはクラウドエンジンにおいて行われる。フィルタリングは通常、投与サイズに基づいて行われる(プライミング投与は通常、注射投与よりも(かなり)小さい、注射間の時間である)。この解析を実行する多くのアルゴリズムは、例えば、US 2019/0035500に開示されるように公知である。フィルタリングは、後続のフィルタリングでは何もフィルタリングされないため、複数のレベルで実装できる。「分割投与」、すなわち、患者が2回に分けて投与する(通常)高投与を「投与事象」に組み合わせる必要がある2回に分けて投与する場合も同様の考慮事項が適用され、投与事象の数に基づいて滴定レジメンを危険にさらす2回の個別の投与として数えないようにするように、以下を参照されたい。
【0068】
1.8 投与事象確認
この機能は、患者が注射のルーチンを十分に順守しているかを確認する。これは、最新のADDR以降少なくとも3回の投与事象を検出し、今日から過去4暦日のウィンドウまでに発生したことを確認する。確認中のこの追加の暦日は、通常予定される投与に加えて、投与のない日(例えば、忘れた日)を許容し、その後、翌日に服用することができる。この時間枠に3回未満の投与事象がある場合(患者が複数日忘れたため)、この確認は失敗し、最新のADDRが再推奨につながる。また、単一のADDRのみが分配されることを保証し、それ以降に行われたいかなる注射も伴わないADDRに対して繰り返し要求するシナリオでは再推奨のみが続く。
【0069】
1.9 DGB確認
この機能は、いつ最新のADDRが作成されたか、またはいつ開始基礎投与(SBD)値が設定されたかを確認する。最新のADDRが現在および過去7暦日以内に行われた場合、確認は合格となる。最新のADDRがこれより古い場合、新しいSBD量を入力し、投与ガイダンス要求プロセスをこの新しいポイントから再開する必要がある。新しいSBDは、現在のDGBとみなされる。
【0070】
1.10 順守確認
この機能は、データセット内の三つの最新の投与事象の注射量を確認し、それぞれが最新のADDRの量と少なくとも同じか、それ以上であることを確認する。いずれかの投与事象がこの量未満である場合、確認は失敗し、最新のADDRから量を再推奨する。これにより、過少投与による血糖レベルの上昇に基づいてエンジンが滴定されないことが保証される。
【0071】
1.11多すぎる投与の確認
この機能は、過去48時間に、Tresiba(登録商標)ラベルの推奨に反する2回を超える投与事象があるかを確認する。過去48時間に2回を超える投与事象が記録されている場合、エラーメッセージが生成され得る。
【0072】
1.12 1日のTGLを決定する
BGデータが、個々のBG測定値、例えば、空腹時BGに基づいて提供される場合、機能は、有効なBG値が指定された時間範囲内に記録されていることを確認する。BGデータがCGM測定値に基づいて提供される場合、この機能はCGMデータセットを見て、可能であれば、例えば、TORから4日など、最新のADDRからの毎日または最大日数までのTGLを決定し、これは投与ガイダンス期間である。「日」は、暦日(一部の日は部分的)であるか、または例えば、TORなどから計算される24時間の期間であり得、下記を参照されたい。これは、例えば、3時間の「スライドウィンドウ」を、CGM測定値の一つのデータポイントにわたって適用することによって行い、
図2Aおよび2Bを参照されたく、現在の時刻から最終投与調整時までの各3時間間隔の平均を計算する。例示的な実施形態では、1日のTGLは、以下に記載されるように、BGHデータ品質試験に合格した日間のみ決定される。各日の3時間の最小平均値は、TGL値として記録し、滴定に使用する。
【0073】
1.13 1日のTGL確認
この確認は、目標グルコース範囲パラメータの下限を下回る毎日のTGLを検索する。その場合、最新で与えられたADDRから2IUで次のADDRが減少する。そうでない場合、確認は次の機能に通過する。
【0074】
1.14 TGL平均決定
投与ガイダンス期間(例えば、過去4日間)について、有効な1日のTGL値の少なくとも最小数、例えば二つを決定した場合、少なくとも二つのTGL値の平均が計算される。
【0075】
1.15 滴定決定
この機能は全体的なTGL平均を利用し、それが目標範囲内にある場合、滴定決定は最新のADDRから+0IUとなる。TGL平均が目標範囲の上限を上回る場合、次のADDRは最新のADDRから2IU増加する。TGL平均が目標範囲の上限を下回る場合、次のADDRは最新のADDRから2IU減少する。
【0076】
1.16 最大制限確認
過量投与を防止するために、この機能は、所与の期間における所与の最大投与、例えば、先週のTresiba(登録商標)の300IUの最大投与を超過していないことを確認する。また、患者固有の値も要求データに含まれ得る。あるいは、機能は、次のADDRが患者の「過度の基礎化」制限(BW(kg)*OBL(IU/kg))を超えるかを確認し得る。そのためには、対象者の体重(BW)、および対象者の過度の基礎化限界(OBL)が、要求とともに受信したデータの一部として提供されていることが必要となる。
【0077】
1.17 出力
投与ガイダンス要求への応答としてのエンジンからの主出力は、実際はクライアントによって受信されたADDRであるが、例えば、CGM値および特定のエラーまたは警告メッセージ、または信頼性および安全性を改善するための検証データに基づいてエンジンによって計算されるTGL値など、患者の治療に直接関連する追加情報は、患者にとって有用であり得る。対応するように、出力は、以下のタイプのデータのうちの一つ以上を含み得る:ユーザID、処理ID、ADDR、日TGL、全体的なTGL、投与事象履歴、低血糖症履歴、警告およびエラーコード。
【0078】
上記「1.6BGデータ品質確認」を参照し、以下では、許容できないレベルのCGMデータ品質の例示的な基準について記載する。
【0079】
一般に、CGMデバイスを使用してT2DM患者にインスリン投与ガイダンスを提供する意思決定支援システムについては、上記のシステムは、インスリン、グルコース、および患者データを取り込み、患者がより正常な生活を送ることができるように、現在の基礎インスリン量を解析し、推奨するための後置投与ガイダンスエンジンである。
【0080】
取り込まれるグルコースデータは、連続的なグルコースモニタからであり得る。Dexcom G5などの現在のCGMは、5分ごとに連続的にデータを報告し、この連続するデータのストリームから滴定グルコースレベル(TGL)を決定し、最終的に推奨投与を決定するのはエンジンのタスクである。残念ながら、今日のCGMにはデータを保存するメモリがなく、受信側デバイス、例えば、患者のスマートフォンで起動しているモバイルアプリなどが受信していないいずれかのデータは失われる。これは、TGLを安全に決定しながら、実際の使用で発生する可能性が高いこれらのギャップに対処する上で、課題となる。表1は、CGMデータのギャップを安全に処理するための実行か中止かを決める第1の例を示す。
【0081】
以下では、さらに例として、BGHデータ品質試験について記載する。
【0082】
投与ガイダンス期間(DG_PERIOD)は、要求時からDGBのタイムスタンプまでの期間として、例えば、最大~96:00時間として定義できる。DG_PERIODのBGHデータは、以下の可能な増分に分割される。BGH_PERIOD_1:0~24:00時間、BGH_PERIOD_2:-24:00~-48:00時間、BGH_PERIOD_3:-48:00~DGB時間/-72:00時間、およびBGH_PERIOD_4:-72:00~DGB時間/-96:00時間。
【0083】
データ品質試験を実行するため、各BGH_PERIODは重複しない6時間間隔に分割される。各間隔は、一つ以上のVALID_TGLの存在が、50%を超えるBGHデータポイントが存在する時間枠として定義されるか確認される。ウィンドウは、例えば3時間であり得る。6時間間隔に一つ以上のVALID_TGLがない場合、BGH_PERIOD全体がデータ品質試験に失敗となり、すなわち、各BGH_PERIODは個別に試験され、独自の合否決定が行われる。CGMデータ品質試験に関するさらなる詳細は、WO 2018/228932に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
上記のように、「投与事象」を作成するために投与を組み合わせる必要があり得る。例示的な実施形態では、例えば60分の実行中のDE_WINDOW内に収まるIH内の全ての注射は、現在の時間から始まるDOSE_EVENT量に集約される。DG_PERIOD内の注射のみがDOSE_EVENTに集約される。DOSE_EVENTタイムスタンプは、例えば、DE_WINDOW内の最新の注射のタイムスタンプである。表示されているように、プライミングおよびエアショットの放出事象が、DGRの一部として提出される前にIHから除外されない場合、これらの未注射投与は、注射投与の一部として計算される。あるいは、エンジンは、EP出願18198410.5に記載されるように、例えば、接続型ペンに対するルールベースのフロー確認検出など、その所有者フィルタ機能を備え得る。
【0085】
開示されたエンジンが安全であるだけでなく、対象となる患者の治療にも有効であることを保証するために、以前にTGLを決定できず、システムが推奨投与ガイダンスを決定することができなかったCGMデータの特定のギャップを埋めるために、追加のデータ処理ステップが適用され得る。データギャップ充填方法を利用することにより、エンジンは、基礎インスリン投与ガイダンスを分配するためにシステムが安全かつ有効である一方で、データがギャップを有することができる、より現実的な「現実世界」環境で、基礎投与ガイダンスを計算できる場合がある。
【0086】
より詳細には、以下の方法の主概念は、グルコースプロファイルの最低準定常状態を定義し、それらに関してデータ間隔を埋めることである。提案されているモデルは、患者の一般的な傾向および典型的な行動を考慮に入れている。
【0087】
このモデルは、基礎療法のみを用いた研究開始時の2週間のCGMデータを使用した臨床試験の患者のCGMデータに基づいて開発された。データの解析は、患者の少なくとも30%がCGMデータにかなり大きなギャップを有することを示した。これらのギャップは、昼および夜の異なる時間であった。プロジェクトのリスク解析によると、これらのギャップは、絶食期間中にギャップが生じる可能性があるため、アルゴリズムの投与決定に重大な影響を及ぼすリスクがあり、その結果、滴定アルゴリズムがTGLを正しく特定できなくなり、誤った推奨を行い得る。解析を実行し、提案されたアプローチがCGMノイズに依存せず、低血糖事象に至らなかったことを確認することがタスクであった。
【0088】
CGMデータギャップ充填処理ステップは、いくつかのステップで構成される。第1に、CGMストリームで使用可能なデータ量を確認する。要件は、TGLの特定および滴定に必要な過去X日内に少なくとも30%のデータを有することである(例えば、例示的なアルゴリズムの実装例ではX=3)。第2に、CGMデータのギャップを特定し、それらをギャップに格納する必要がある。1~72の欠損点(1欠損点=2間隔=10分間ギャップ)まで補充できる。72の欠損点のギャップが大きく見えても、ギャップ充填アルゴリズムはCGMデータを正しく再構成できた。
【0089】
データ解析により、90パーセンタイルおよび75パーセンタイルの隣接点間の絶対値の差は、血糖変動の大きいユーザでは約10mg/dlおよび6mg/dlであり、一方で血糖変動の少ないユーザでは5mg/dlおよび3mg/dlのみであることが示された。
次の論理ステップは、7~360分間の全てのギャップを見つけることである。再構成プロセスは、全てのギャップを個別に処理する。アルゴリズムは、以下のとおりである:
・ギャップの前の最後の点および後の最初の一つを取得する
・75パーセンタイルで特定のユーザの典型的なCGM変化率(ROC)を見つけ、
・最後の(最初の)点の値からROCを引いたものに欠損点の数(それぞれx3およびx4で示される)を引いた差として、最後の点および最初の点の差の最大値を計算し、
・二つの線の交点を見つけ、時間iの値を保存する。
【0090】
時として、|x1-x2|の差がROC×欠損点の数よりも大きい場合、交点は時間間隔(t1、t2)の範囲外となる。90%パーセンタイルROCでアルゴリズムルーチンの上記の部分を繰り返す必要がある。アルゴリズムが90%パーセンタイルROCとの時間間隔(t1、t2)内で交点を達成できない場合、点は直線で接続される。その数理的な記述は、ギャップの時間が小さく、高血糖指数の食事から上昇している場合、最悪の場合のシナリオは直線(V字型の線の退化した場合)となる。
【0091】
さらに、データ解析では、真の絶食期間の値が、ある程度の妥当な量の点とともに谷を形成することが示されている。
【0092】
機械学習クラスタリング手法k-平均値を使用すると、点のクラスタを見つけることができる。クラスタ重心の無作為初期化を伴う標準k-平均アルゴリズムを使用した。クラスタを見つけるには、CGMデータを準備する必要がある。CGMデータを選別する最も簡単な方法は、ストリームの30パーセンタイルを超える全てのデータを無視することである。このアプローチの利点は、クラスタを見つけるのに十分なデータポイントが依然として存在する一方で、入力データに基づくカットオフラインがシフトすることである。
【0093】
クラスタ重心を定義することは、非常に強力なツールであり、クラスタ重心の最小値を見つけることで、クラスタの点が、より低く、より接近する傾向にある。最後のステップでは、最小クラスタの最小を定義し、この値xcを格納する。
【0094】
クラスタ重心のギャップを定義した後、V字型の曲線で再充填することができ、Vの頭部は点[ti、xc]で定義される。患者の体は完全に再現できないため、全ての非線形は線で近似できる。
【0095】
所与のBGデータセットがBGデータ品質確認に合格すると、1日のTGL決定が実行されるであろう。その目的として、以下の二つの概念を記載する。上記の例示的な実施形態とは対照的に、60分のスライディングウィンドウを利用した。
【0096】
アプローチ1:
60分間のグルコースレベルの最低平均値(すなわち、24時間中に5分間隔で連続288回、13回測定した場合の最低値)を選択してTGLを検出する。このアプローチは、以下の式を使用して5分間隔の13回の連続する測定値の移動平均(MA)を計算し、
式中、Gは、グルコース測定値であり、添字iは、現在の試料である。00:00~23:59までの24時間の最小MA
60分,iが、TGLであると決定される。このアプローチは、b)不規則な日課(シフト勤務者など)を有する人々、およびc)日課が通常の習慣から逸脱している人々(朝食をとらないなど)を軽減するという仮説を立てている。
【0097】
アプローチ2:
04.00~10.00の時間間隔で第1の急な曲線を特定することにより、TGLを検出し、これは朝食を表すと想定され、TGLを-90分~-60分の時間間隔での平均グルコースレベルとして決定する。このアプローチは、Dassauらが記載した後方差分を計算する。CGMデータを使用した食事検出のための[XX]:
式中、Gはグルコース測定値であり、tは、時間であり、Δtは、二つの試料間隔間の時間差であり、ならびに添字i、i-1、およびi-2は、現在および二つの以前の試料である。dG/dtは、予め定義された期間内の全ての点について計算する。食事の開始は、dG/dtが最大になる場所と定義する。次にTGLは、-90分~-60分の時間間隔における測定値の平均として計算される。このアプローチは、a)規則的で予測可能な生活習慣を有する人ではより強固であると仮定されているが、生活習慣の不規則性が存在する場合には強固性は低くなる。
【0098】
この二つのアプローチは、複数のシナリオを作成し、(例えば、「典型的な」で予測可能な生活習慣を有する人々、「非定型的な」日常生活習慣を有する人々、インスリン感受性の変化、およびCGMセンサの偏差について)、各シナリオについて、仮想患者モデルに基づいてCGMデータセットを生成することにより、互いに対して検証した。
【0099】
次に、シミュレータからの継続的なグルコース出力に基づいて、結果の測定値を計算した。結果の測定値は、臨床治験の結果と比較した生理学的モデルの性能を評価し、治療決定アルゴリズムの安全性および性能を比較するために使用した。
結果の測定1:重度の低血糖事象の頻度
結果の測定2:高すぎるまたは低すぎる推奨投与の重症度
結果の測定3:範囲内の時間
【0100】
二つのアプローチをランク付けすると、アプローチ1は全てのシミュレーション試験で最良のパフォーマンスを示した。対応するように、アプローチ1はTGLを検出および決定するための実行可能な手段であると評価され、CGMに基づく基礎インスリンの滴定を実施するための安全なアプローチであると評価される。
【0101】
アプローチ1の実際的な適用は、インスリン投与要求についての要求に対して24時間の期間以前の三つを使用することである。すなわち、推奨投与時間=投与時間=t0。三つの移動平均は、1)t-24時間~t0、2)t-48時間~t-24時間、および3)t-72時間~t-48時間の間に見出される。TGL期間の間には、例えばTGL期間の間に少なくとも8時間など、時間差が必要である。これは、同じTGL期間が二つの24時間期間で使用されるシナリオを回避するためである。
【0102】
以下では、推奨基礎インスリン投与を安全かつ確実に実施するために、CGMからどのようなデータ品質が必要であるかを評価する。以下の前提が適用される:
・適応:T2DMを有する患者の基礎インスリン滴定
・滴定アルゴリズム:「シンプル」2-0-2アルゴリズム
・TGLの検出および決定へのアプローチ:アプローチ1、上記を参照されたい
・試験で使用される基礎インスリンはインスリンデグルデクであり、9時間の中央値のt
max、およそ25時間の
を伴う非常に平坦な作用プロファイルを有する。
【0103】
原則として、これらの前提を考慮すると、TGLを検出および決定するための保守的なアプローチと組み合わせた保守的な滴定アルゴリズムは、それ自体で安全な自動基礎インスリン滴定を提供する必要がある。しかしながら、以下では、欠失箇所のあるCGMデータを用いて評価する。
【0104】
欠失箇所および最適化されたCGMデータ品質を伴うGCMデータの使用案は、公表済みの臨床治験NN1218-3853の既存の臨床GCMデータを使用して評価する:「2型糖尿病(Onset(登録商標)2)を有する成人におけるインスリングラルギンおよびメトホルミンと組み合わせたインスリンアスパルトと比較したFiasp(登録商標)の有効性および安全性」。この治験のCGMデータは、以下の理由で適用可能である:
・治験には2型糖尿病患者のみが含まれる
・治験は、基礎インスリンが滴定される8週間の導入期間を有する
・8週間の導入期間終了時には、67対象者についてのCGMデータが14日間にわたって存在する
・使用したCGMデバイスはDexcom G4である
【0105】
食事、運動、睡眠、インスリン注射の典型的なスケジュールでの日常生活における糖尿病患者におけるBGの最大頻度(バンドエッジ頻度とも称される)は、0.9 10~3Hzである(K.-D.K.B.T.Gough DA,「Frequency characterization of blood glucose dynamics.Ann Biomed Eng.2003;31:91-97」)。したがって、内因性BG動態は、およそ18分(バンドエッジ頻度の逆数)より速くはない。したがって、約20分の連続データよりも短いデータギャップの欠損は、推奨投与の安全性に影響を及ぼさない。
【0106】
これらの考慮事項に基づいて、上記の表1に示すように、欠損CGMデータに基づくアクションのルールセットを提案できる。
【0107】
917個の個々のCGMデータセットNN1218-3853のうち、134個は、3日間連続でCGMデータがない最初の2日間に関するため、アクションは推奨されず、CGM値を含まない16個のデータセットは、以下の表に含まれない。残りの767個のデータセットのうち、推奨は表2に示され、継続的に期待できるものを表す必要がある。
【0108】
全体として、エンジンが三つの24時間のCGMデータに基づいて推奨投与を提供する時間の76%、アプリが二つの24時間のCGMデータに基づいて推奨投与を提供する時間の19%、および4%の時間でのみ、欠損CGMデータの量に基づく推奨投与を提供するアプリを省略する。
【0109】
保存された命令が実行される場合に、どのように投与ガイダンス要求が受信され、処理されるかの具体的な例を説明してきたが、医薬品投与ガイダンスに関連するクラウドコンピューティング環境内の演算集約型タスクの分散型リソース管理のための改善されたシステムおよび方法を提供するという課題に対処する。
【0110】
提案される解決策は、分散型マイクロサービスアーキテクチャ内で、バックエンドエンジンとその機能をコンテナに分けることである。コンテナ、またはオペレーティングシステムレベルの仮想化としても知られるものは、アプリケーションが意図したとおりに動作および機能するために必要な必要最低限しか提供しない、仮想化するための難易度が低いアプローチである。ある意味では、ハイパーバイザ上で動作していない超ミニマリストの仮想マシンとみなすことができる。エンジンの各サブ機能をコンテナ化することにより、エンジンが、オペレーティングシステムおよび物理インフラを無視することによって、異なる環境で確実に動作することが可能になる。コンテナのサイズは通常、数十メガバイトで測定され(一方、仮想マシンは数GBである)、追加の需要を満たすために一つをプロビジョニングするのに1~2秒しかかからない。負荷が増加しているときに、必要に応じて新しい仮想化を作成することができ、負荷が落ちると、コンテナが破壊される可能性がある。実行するコンテナに埋め込まれる機能を決定し、その後、投与ガイダンスシステムのニーズを満たし、システムのタイムアウトを回避するために、専用の任意の追加のコンピューティングリソースを有するように、オーケストレータがネットワーク内に含まれるものとする。
【0111】
このモデルにより、演算リソースがエンジン全体ではなく、個々の機能レベルに充当されることを確保し、演算上の無駄および最終的には過剰なコストを最小限に抑えながら、最も効率的なリソースの使用を確保する。
【0112】
図2に例示されるように、示されるエンジンは、オーケストレータの呼び出し時にマイクロサービスアーキテクチャに従ってAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を介して互いに通信する、埋め込まれた機能を備えるコンテナから構成されている。エンジン機能は、演算集約性のレベル、ならびにそれらの異なる投与ガイダンスシステムにわたる再利用性のレベルに基づいて、コンテナに分離される。例えば、「2.計算機能」は、データセットを再構成するために回帰分析と補間を行うために、一度に数千のデータ点を必要とし得る「5.データ再構成」とは対照的に、非常に単純な数学的機能(例えば、ほんの少しの数の加算/減算)からなるため、コンピューティングリソースはほとんど必要ない。これは、どの機能がいつ必要になるかを識別する「1.オーケストレータ」までであり、これは、必要に応じて任意の追加の演算リソースをトリガし得る。この方法により、「5.データ再構成」は、互いに独立して実行され得るため、「3.順守」の前またはそれと平行してスケジュールされ得、「5.データ再構成」は、専用の追加のリソースを有し、それによって、クライアントへの応答がタイムアウトしないことを確保することができる。
【0113】
図2に示されるように、四つの対応するコンテナクラスに四つの関連付けられたコンテナを有する第1のエンジンに対して、第1のオーケストレータ「CGMBoT202」が提供されている。このセットアップにより、追加のオーケストレータ、例えば、既に実装されている機能を再使用し得るか、または対応するコンテナクラスに実装される新しい機能を要求し得る、エンジン「SMBGBot202」を実装することができる。実際に、将来のタイプの機能には、新しいコンテナクラスが必要となる場合がある。
【0114】
PRIO
図4Aは、対象者に対する推奨医薬品投与ガイダンスを決定するためのシステム602(様々に「コンピュータシステム602」、「医薬品投与ガイダンスコンピューティングシステム602」、または「医薬品投与ガイダンスシステム602」)に依存する、統合システム48の実施例を例示している。
図9は、医薬品投与ガイダンス要求の処理を例示する、システム602のさらなる詳細を提供する。コンピュータシステム602は、コンテナエンジン70、オーケストレータ230、および一つ以上のコンテナ74を含む。コンテナは、ユーザ空間インスタンスである。かかるユーザ空間インスタンスは、それらのインスタンス上で動作する機能の視点からは、実コンピュータのように見える。通常のオペレーティングシステム上で動作するコンピュータプログラムは、そのコンピュータの全てのリソース(接続されたデバイス、ファイルおよびフォルダ、ネットワーク共有、CPU電源、定量化可能なハードウェア機能)を見ることができる。しかしながら、コンテナの内側で動作するプログラム(例えば、開示される機能)は、コンテナに割り当てられたコンテナのコンテンツおよびデバイスのみを見ることができる。コンテナの例としては、chroot、Docker、Linux-VServer、lmctfy、LXC、Singularity、OpenVZ、Vituozzo、Solaris Containers、FreeBSD jail、sysjail、WPARs、iCore Virtual Accounts、Sandboxie、Systemd-nspawn、およびTurboが挙げられるが、これらに限定されない。参照により本明細書に組み込まれる、Hoggによる“Software Containers:Used More Frequently than Most Realize,”Network World、2016年5月26日を参照されたい。
【0115】
図4Bは、対象者のユーザデバイス(例えば、110-1)がグルコースセンサ102およびインスリンペン104からなる、システム48の特定のインスタンス化を例示している。統合システム502は、対象者のグルコースデータおよび推奨医薬品投与ガイダンスの要求の自律的なアルゴリズム分類を実施するための、一つ以上の接続されたインスリンペン104、一つ以上のグルコースモニタ102、メモリ506、およびプロセッサ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、グルコースモニタ102は、連続グルコースモニタである。
【0116】
ここで、実施形態について詳細に参照し、その実施例を添付図面に図示する。以下の実装例の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の特定な詳細が記載されている。しかしながら、本発明はこれらの特定な詳細なしに実施され得ることが、当業者には明らかであろう。
【0117】
定義
本開示で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、本発明を限定することを意図していない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途文脈が明確に示さない限り、複数形も同様に含むことが意図される。本明細書で使用される場合、用語「および/または」とは、関連する列挙された項目のうちの一つ以上の可能性のある任意および全ての組み合わせを指し、包含することも理解されるであろう。本明細書で使用される場合、用語「含む(includes)」および/または「含む(comprising)」とは、記載される特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または付加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0118】
第1、第2などの用語は本明細書では様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されよう。これらの用語は、一つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、第1のフィルタは、本開示の範囲から逸脱することなく、第2のフィルタと称され得、同様に、第2のフィルタは、第1のフィルタと称され得る。第1のフィルタおよび第2のフィルタは両方ともフィルタであるが、同じフィルタではない。
【0119】
本明細書で使用される場合、用語「場合(if)」とは、文脈に応じて、「ときに(when)」または「際に(upon)」または「決定に応じて(in response to determining)」または「検出に応じて(in response to detecting)」を意味すると解釈され得る。同様に、語句「決定される場合」または「〔記載の状態または事象〕が検出される場合」とは、文脈に応じて、「決定する際に(upon determining)」、または「決定に応じて(in response to determining)」、または「〔記載の状態または事象〕を検出する際に(in response to detecting[the stated condition or event])」、または「〔記載の状態または事象〕の検出に応じて(in response to detecting[the stated condition or event])」を意味すると解釈され得る。
【0120】
用語「or」は、排他的な「or」ではなく、包括的な「or」を意味することを意図している。すなわち、別段の指定がない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを採用する」という語句は、自然包括的な順列のいずれかを意味することを意図している。すなわち、「XはAまたはBを採用する」という語句は、以下の場合のいずれかによって満たされる。XはAを採用する、XはBを採用する、またはXはAおよびBの両方を採用する。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるような冠詞「a」および「an」は、別段の指定がない限り、または単数形に向けられる文脈から明らかでない限り、一般に「一つ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【0121】
「対象者」、「個体」、および「ユーザ」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ヒトを指す。好ましくは、個体は成人個体である。
【0122】
本明細書で使用される場合、用語「薬剤」は、対象者の医学的処置に使用される化学物質を指す。用語「薬剤」、「医薬品」、および「薬物」は、本明細書では互換的に使用される。薬剤は、医師または他の医療従事者によって処方され得る。あるいは、薬剤は、市販の薬物または製品であってもよい。本開示の特定の実施例では、薬剤は、真性糖尿病を治療するために使用されるインスリンである。
【0123】
「糖尿病」または「真性糖尿病」という用語は、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、妊娠糖尿病(妊娠中)、および高血糖を引き起こすその他の状態を含む。この用語は、膵臓が不十分な量のインスリンを産生する、または体の細胞がインスリンに適切に反応せず、細胞がグルコースを吸収するのを妨げる代謝性疾患に対して使用されます。その結果、血中にグルコースが蓄積し、血糖値を制御するために治療が必要となる。
【0124】
本発明によれば、インスリンは、長時間作用型インスリンおよび超長時間作用型インスリンを含むか、またはそれからなる。原則として、インスリンの半減期が長いほど、投与間隔(すなわち、注射間の時間間隔)にわたってグルコース低下作用がより安定し、均等に分布する。本発明によれば、インスリンは、該対象者において有益な血糖制御を達成する量で投与される。本発明によれば、該対象者における有益な血糖制御は、該基礎インスリンの投与後、少なくとも該対象者におけるHbA1c(グリコシル化ヘモグロビン)レベルによって決定される。本発明による基礎インスリンの使用およびその投与により、それを必要とする患者の割合がHbA1cの目標値に達する改善を達成することができる。
【0125】
インスリンペンという用語は、インスリン製剤の統一性のない投与を適用するのに好適な注射デバイスを意味し、注射デバイスは、投与に関係するデータのログおよび通信のためにも適合される。
【0126】
本明細書で使用される場合、「構成要素」および「システム」という用語、ならびにそれらの様々な形態(例えば、構成要素、システム、サブシステムなど)は、コンピュータ関連のエンティティ、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかを指すことが意図されている。例えば、構成要素は、プロセッサ上で動作しているプロセス、プロセッサ、オブジェクト、インスタンス、実行可能なもの、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータであってもよいが、これらに限定されない。例示として、コンピュータ上で動作しているアプリケーションおよびコンピュータの両方を構成要素とすることができる。一つ以上の構成要素を、拡張可能なクラウドベースのサービスに分散することができる。一つ以上の構成要素が、実行のプロセスおよび/またはスレッド内に存在してもよく、構成要素を、一つのコンピュータ上にローカライズすることができ、かつ/または二つ以上のコンピュータ間で分散することができる。
【0127】
説明
本開示に従って、対象者に対して処方された薬物レジメンで薬剤用量を自律的に計算するためのシステム48の詳細な説明を、
図1および
図2と併せて説明する。したがって、
図1および
図2は、本開示によるシステムのトポロジを集合的に例示している。トポロジには、対象者に対して処方された薬物レジメンで薬剤用量を自律的に調整するための医薬品投与ガイダンスシステム(「医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602」)(
図1および
図2)と、対象者からの情報を収集するためのデバイス(「対象者ユーザデバイス110」)と、医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602と対象者ユーザデバイス110との間で情報を送信するためのデバイス(「データ送信デバイス150」)と、がある。
【0128】
図4Aを参照すると、コンピュータシステム602は、対象者に対して調整された薬剤用量を自律的に提供する。コンピュータシステム602またはその一部は、(例えば、クラウド内の)サービスから取得される情報を含み得るか、またはクラウドコンピューティング環境で実質的に操作することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Microsoft Technology Licensing LLCに譲渡された「Application Service Architecture」と題する米国特許出願第2017/0063833号に記載されるように、クラウドコンピューティング環境は、ネットワーク内の複数のデバイス上に存在する情報を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態では、薬剤は、医療従事者によって処方される薬物である。いくつかの実施形態では、薬剤は、市販の薬物である。推奨薬剤投与ガイダンスを計算するために、コンピュータシステム602と(データ送信デバイス150を介して、通信ネットワーク106を介して、または直接のいずれかによって)電気通信する対象者ユーザデバイス110は、対象者の薬剤の使用に関連する自律的な対象者特異的情報を受信する。例えば、いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150は、無線周波数信号を通じて無線でこのデータを受信する。いくつかの実施形態ではこのような信号は、802.11(Wifi)、Bluetooth、またはZigbee標準に従っている。いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150は、かかるデータを直接受信し、データをコンピュータシステム602に送信し、次いで、データを分析し、(対象者ユーザデバイス110に直接、またはデータ送信デバイス150を介してのいずれかで)推奨医薬品投与ガイダンスを提供する。いくつかの実施形態では、対象者ユーザデバイス110は、RFIDタグを含み、RFID通信を使用して、データ送信デバイス150および/または医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602と通信する。いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150および/またはコンピュータシステム602はまた、対象者の生理学的測定値を取得または受信する(例えば、着用可能な生理学的測定デバイスから、磁力計またはサーモスタットなどのデータ送信デバイス150内の測定デバイスからなど)。
【0130】
いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150および/またはコンピュータシステム602は、対象者に近接していない、および/もしくは無線機能を有していない、またはかかる無線機能がグルコースデータ、インスリン薬剤注射データ、および/もしくは生理学的測定データを取得する目的のために使用されていない。かかる実施形態では、通信ネットワーク106を使用して、対象者ユーザデバイス110からの対象者情報をデータ送信デバイス150および/もしくは医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602に、ならびに/または一つ以上の生理学的測定デバイス(図示せず)からの生理学的測定データをデータ送信デバイス150および/もしくは医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602に通信することができる。
【0131】
図4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、対象者ユーザデバイス110は、グルコースセンサ102および/またはインスリンペン104からなる。いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602および/またはデータ送信デバイス150は、対象者に継続的に取り付けられる一つ以上のグルコースセンサ102に由来するグルコース測定値およびインスリン滴定要求を受信する。いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150はまた、インスリン薬剤を注射するために対象者が使用する一つ以上のインスリンペン104から、インスリン薬剤注射データを受信する。いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150は、かかるデータを、グルコースセンサ(複数可)102および対象者が使用するインスリンペン104から直接受信する。いくつかの実施形態では、グルコースセンサ102および/またはインスリンペン104は、RFIDタグを含み、RFID通信を使用して、データ送信デバイス150および/またはコンピュータシステム602と通信する。本発明のいくつかの実施形態については、対象者ユーザデバイス110は、インスリンペン型デバイスである。いくつかの実施形態では、インスリンペン型デバイスは、FlexPen(登録商標)(複数可)またはFlexTouch(登録商標)(複数可)である。FlexPen(登録商標)およびFlexTouch(登録商標)は、Novo Nordisk A/Sの商標である。
【0132】
いくつかの実施形態では、
図4Bに示されるように、データ送信デバイス150および/または医薬品投薬ガイダンスコンピュータシステム602は、対象者に近接していない、および/もしくは無線機能を有していない、またはかかる無線機能がグルコースデータ、インスリン薬剤注射データ、および/もしくは生理学的測定データを取得する目的のために使用されていない。かかる実施形態では、通信ネットワーク106を使用して、グルコースセンサ102からのグルコース測定値をデータ送信デバイス150および/もしくは医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602に、一つ以上のインスリンペン104からのインスリン薬剤注射データをデータ送信デバイス150および/もしくは医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602に、ならびに/または一つ以上の生理学的測定デバイス(図示せず)からの生理学的測定データをデータ送信デバイス150および/もしくはコンピュータシステム602に通信することができる。
【0133】
ネットワーク106(
図4Aおよび
図4Bに示される)の例としては、World Wide Web(WWW)、イントラネット、および/または無線ネットワーク、例えば、携帯電話ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、および/もしくはメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ならびに無線通信による他のデバイスなどが挙げられる、これらに限定されない。ワイヤレス通信は、任意選択的に、限定されないが、汎欧州デジタル移動電話方式(Global System for Mobile Communications)(GSM)、高速データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、エボリューションデータオンリー(EV-DO)、HSPA、HSPA+、デュアルセルHSPA(DC-HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離無線通信(NFC)、広帯域符号分割多元接続(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、Wireless Fidelity(Wi-Fi)(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11ac、IEEE802.11ax、IEEE802.11b、IEEE 802.11g、および/またはIEEE802.11n)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用プロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)、および/またはポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージング(例えば、エクステンシブルメッセージングアンドプレゼンスプロトコル(XMPP)、インスタントメッセージングアンドプレゼンスレバレッジングエクステンション用セッション初期化プロトコル(SIMPLE)、インスタントメッセージングアンドプレゼンスサービス(IMPS))、および/またはショートメッセージサービス(SMS)、または本開示の出願日には未開発である通信プロトコルを含む任意の他の好適な通信プロトコルを含む、複数の通信基準、プロトコル、および技術のうちのいずれかを使用する。
【0134】
いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150は、対象者ユーザデバイス110の一部である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150および対象者ユーザデバイス110は、単一のデバイスである。いくつかの実施形態では、対象者に取り付けられる単一のグルコースセンサ102があり、データ送信デバイス150は、グルコースセンサ102の一部である。すなわち、いくつかの実施形態では、データ送信デバイス150およびグルコースセンサ102は、単一のデバイスである。
【0135】
もちろん、システム48の他のトポロジが可能である。例えば、通信ネットワーク106に頼るのではなく、一つ以上の対象者ユーザデバイス110は、情報を、データ送信デバイス150および/または医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602に直接無線で送信し得る。同様に、一つ以上のグルコースセンサ102および一つ以上のインスリンペン104は、情報を、データ送信デバイス150および/または医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602に直接無線で送信し得る。さらに、データ送信デバイス150および/または医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602は、ポータブル電子デバイス、サーバコンピュータを構成し得るか、または実際には、ネットワークで一緒に連結されているいくつかのコンピュータを構成し得るか、もしくはクラウドコンピューティングコンテキストの仮想マシンであり得る。したがって、
図1Aおよび
図1Bに示される例示的なトポロジは、単に、当業者に容易に理解される様式で本開示の例示的な実施形態の特徴を説明するのに役立つ。
【0136】
図1Aおよび
図1Bに開示されるシステム48はスタンドアローンで動作することができるが、いくつかの実施形態では、電子医療記録と連結して任意の方式で情報を交換することもできる。
【0137】
図5に例示されるように、コンピュータシステム602は、好ましくは、分散型マイクロサービスアーキテクチャ内に一つ以上のエンジン70を備える。
図5に例示される構成要素は、例示的なものであり、必要とされ得るか、または含まれ得る、全ての構成要素を全て包括することを意味するものではない。さらに、構成要素の数は、本明細書に記載される主題の態様の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態で異なってもよい。
【0138】
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、コンピュータシステム602は、一つ以上のシステムを含む。いくつかの実施形態では、対象者に対して処方された薬剤レジメンで推奨医薬品投与ガイダンスを自律的に提供するための機能は、任意の数のネットワーク化されたコンピュータにわたって広がり、かつ/または通信ネットワーク106にわたってアクセス可能な遠隔地にあるいくつかのネットワーク化されたコンピュータの各々に存在し、かつ/または一つ以上のクラウドベースの環境でホストされる。広範な異なるコンピュータトポロジのうちのいずれかがアプリケーション用に使用され、全てのかかるトポロジが本開示の範囲内であることを当業者は理解するであろう。
【0139】
いくつかの実施形態では、対象者に対して処方された薬剤レジメンで推奨薬剤用量を自律的に提供するための例示的な医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602は、一つ以上の処理ユニット(CPU)202と、ネットワークまたは他の通信インターフェース260と、メモリ214(例えば、ランダムアクセスメモリ)と、一つ以上のコントローラ218によって任意選択でアクセスされる一つ以上の磁気ディスクストレージおよび/または持続的デバイス220と、前述の構成要素を相互接続するための一つ以上の通信バス212と、前述の構成要素に電力供給するための電源224と、を備える。いくつかの実施形態では、メモリ214内のデータは、キャッシュなどの既知の演算技法を使用する、不揮発性メモリ220とシームレスに共有される。いくつかの実施形態では、メモリ214および/またはメモリ220は、中央処理ユニット(複数可)202に対して遠隔に位置する大容量ストレージを含む。言い換えれば、メモリ214および/またはメモリ220に保存されている一部のデータは、実際に、医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602の外部であるが、ネットワークインターフェース210を使用してインターネット、イントラネット、または他の形態のネットワークもしくは電子ケーブル(
図4Aに要素106として例示されている)を介して、医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602によって電子的にアクセスされ得るコンピュータ上でホストされ得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、複数の対象者に推奨医薬品投与ガイダンスを提供するための医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602のメモリ214は、
・一つ以上のオーケストレータ230および複数のコンテナ74(例えば、74-1、74-2、74-Z)を備える、エンジン70と、
・対象者データ、医薬品投与ガイダンス要求を決定するために必要な機能、およびコンテナ74への機能要求254の分散を組織化する、一つ以上のオーケストレータ230と、
・機能252をコンテナ74に埋め込む、エンコーダモジュール240と、
・一つ以上のコンテナ74であって、それらの各々が埋め込まれた機能252を含み、機能要求254を実行する、一つ以上のコンテナ74と、を保存する。
【0141】
いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンスシステム602は、任意のブラウザ(電話、タブレット、ラップトップ/デスクトップ)を介してアクセス可能である。好ましい実施形態では、医薬品投与ガイダンスシステム602は、クラウドコンピューティング環境に保存される。
【0142】
いくつかの実装例では、複数の機能を含む多機能投与ガイダンスアルゴリズムを使用して、複数の対象者に推奨医薬品投与ガイダンスを提供するための医薬品投与ガイダンスコンピュータシステム602の上記で識別されるデータ要素またはモジュールのうちの一以上は、前述のメモリデバイスのうちの一つ以上に保存され、上述の機能を実施するための命令のセットに対応する。上述の識別されたデータ、モジュール、またはプログラム(例えば、一組の命令)は、別個のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実装される必要はなく、これらのモジュールのさまざまなサブセットを、さまざまな実装で組み合わせるかまたはそうでなければ再配置され得る。いくつかの実装例では、メモリ214および/または220は、任意選択で、上記で識別されるモジュールのサブセットを保存する。さらに、いくつかの実施形態では、メモリ214および/または220は、上述されていない追加のモジュールを保存する。
【0143】
いくつかの実施形態では、対象者に対して処方されたインスリンレジメン212で長時間作用型インスリン薬剤用量216を自律的に調整するための医薬品投与ガイダンス要求は、スマートフォン(例えば、iPhone)、ラップトップ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、または他の形態の電子デバイス(例えば、ゲーム機)などのユーザデバイス278によって生成される。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム602は、
図5に描かれるコンピュータシステム602内に見られる回路、ハードウェア構成要素、およびソフトウェア構成要素のいずれかまたは全てを有する。簡潔性および明瞭性の観点では、コンピュータシステム602にインストールされ得る追加のソフトウェアモジュールをより強調するために、コンピュータシステム602の可能な構成要素のうちのいくつかのみが示される。
【0144】
複数の機能を含む多機能投与ガイダンスアルゴリズムを使用して、複数の対象者に推奨医薬品投与ガイダンスを提供するためのシステム48およびデバイス200の詳細を開示してきたので、本開示の様々な実施形態による、システムのプロセスおよび特徴のフローチャートに関する詳細を、
図6を参照して開示する。
【0145】
図6のブロック302を参照すると、本開示の目的は、データ送信デバイス150およびコンピュータシステム602などのデバイスと併せて、複数の機能を含む多機能投与ガイダンスアルゴリズムを使用して、複数の対象者に推奨医薬品投与ガイダンスを提供することである。対象者の各々は、糖尿病症状を有する。
【0146】
dL
いくつかの実施形態では、糖尿病症状は、2型真性糖尿病である。いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求は、ある用量のインスリン薬剤に関するものであり、本用量のインスリン薬剤は、対象者の所定の血糖目標範囲を達成して、真性糖尿病を治療するためのものである。
【0147】
いくつかの実施形態では、所与の血糖目標範囲は、50~180mg/dL、60~180mg/dL、70~180mg/dL、80~180mg/dL、50~200mg/dL、60~200mg/dL、70~200mg/dL、80~200mg/dL、50~250mg/dL、60~250mg/dL、70~250mg/dL、または80~250mg/dLである。
【0148】
いくつかの実施形態では、複数の対象者は、少なくとも100人の対象者、少なくとも1,000人の対象者、少なくとも5,000人の対象者、少なくとも10,000人の対象者、少なくとも50,000人の対象者、または少なくとも100,000人の対象者を含む。いくつかの実施形態では、本システムは、かかる対象者ごとに医薬品投与ガイダンス要求を同時実行する。
【0149】
複数の機能のうちの各それぞれの機能252は、複数のコンテナクラスのうちのコンテナクラス250に関連付けられる。
図5に例示されるように、コンピュータシステム602は、一つ以上のプロセッサ202およびメモリ214/220を含む。メモリは、命令を含み、命令は、一つ以上のプロセッサによって実行されると、複数の対象者のうちのある対象者から推奨医薬品投与要求を受信することに応答して方法を実施する。
いくつかの実施形態では、それぞれの機能要求254に対応する機能252に関連付けられたコンテナクラス250のコンテナ74は、それぞれの機能要求254が機能結果256を提供するために機能に必要な入力を含むかどうかを評価する。かかる例では、機能要求が必要な入力を含まない場合、機能に関連付けられたコンテナクラスのコンテナは、いずれの機能結果256も提供しない。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも5歳、少なくとも10歳、少なくとも11歳、少なくとも12歳、少なくとも13歳、少なくとも14歳、少なくとも15歳、少なくとも16歳、少なくとも17歳、少なくとも18歳、少なくとも19歳、または少なくとも20歳である対象者を治療するために使用される。
【0151】
いくつかの実施形態では、本開示は、ボディマス指数が32kg/m2以下である対象者を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本開示は、ボディマス指数が34kg/m2以下である対象者を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本開示は、ボディマス指数が35kg/m2以下である対象者を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本開示は、ボディマス指数が36kg/m2以下である対象者を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本開示は、ボディマス指数が37kg/m2以下である対象者を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本開示は、ボディマス指数が38kg/m2以下である対象者を治療するために使用される。
【0152】
いくつかの実施形態では、本開示は、ボディマス指数が約25kg/m2である対象者を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本開示は、ボディマス指数が20kg/m2~30kg/m2である対象者を治療するために使用される。
【0153】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1年間、少なくとも5年間、少なくとも7年間、少なくとも9年間、または少なくとも11年間、糖尿病に罹患している対象者を治療するために使用される。
【0154】
いくつかの実施形態では、本開示は、数週間の治療後に、7%以下の対象者に対してベースラインHbA1cレベルを達成する。いくつかの実施形態では、本開示は、10~40週間の治療後、15~30週間の治療後、もしくは20~28週間の治療後、または26週間の治療後に、7%以下の対象者に対してベースラインHbA1cレベルを達成する。いくつかの実施形態では、本開示は、数週間の治療後に、6%以下、7%以下、または8%以下の対象者に対してベースラインHbA1cレベルを達成する。いくつかの実施形態では、本開示は、10~40週間の治療後、15~30週間の治療後、もしくは20~28週間の治療後、または26週間の治療後に、6%以下、7%以下、または8%以下の対象者に対してベースラインHbA1cレベルを達成する。
【0155】
いくつかの実施形態では、薬剤は、インスリンペン型デバイス104の使用によるなどの、注射によって送達されるインスリンを含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、LysB29(Nc-ヘキサデカンジオイル-y-Glu)des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標))である。
【0156】
本発明によれば、基礎インスリンは、長時間作用型インスリンおよび超長時間作用型インスリンを含むか、またはそれからなる。
【0157】
いくつかの実施形態では、薬剤は、天然に発生するインスリンの誘導体または類似体を含み、天然に発生するインスリンは、
(a)生理学的条件において、少なくとも部分的に、天然に発生するインスリンのインスリン受容体結合、好ましくは、天然に発生するインスリンのインスリン受容体結合の少なくとも0.01%、例えば、天然に発生するインスリンのインスリン受容体結合の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、もしくは少なくとも150%、および/または少なくとも部分的に、天然に発生するインスリンの能力、好ましくは、天然に存在するインスリンの能力の少なくとも25%、例えば、天然に発生するインスリンの能力の少なくとも少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、もしくは150%を示し、かつ
(b)皮下注射した場合、生理学的条件で少なくとも5時間~18時間未満、例えば、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12.5時間、12.5時間超、少なくとも15時間、または少なくとも17.5時間、および18時間未満、5~17.5時間、10~17.5時間または15~17.5時間の平均終末半減期を示す。
【0158】
いくつかの実施形態では、薬剤は、「長時間作用型インスリン」を含み、これはまた、
(c)対象者の24時間の期間にわたる平均インスリン濃度(AUCF%)からの最大偏差を、≦±20、例えば≦±18、≦±17、≦±16、≦±15、≦±14、≦±13、≦±12、≦±11、≦±10、≦±9、≦±8、≦±7、≦±6、≦±5、≦±4、≦±3、≦±2、≦±1、≦±0.5、≦±0.1で誘発する。
【0159】
いくつかの実施形態では、薬剤は、天然に発生するインスリンの誘導体または類似体を含む「長時間作用型インスリン」を含み、これは、
(a)生理学的条件において、少なくとも部分的に、天然に発生するインスリンのインスリン受容体結合、好ましくは、天然に発生するインスリンのインスリン受容体結合の少なくとも0.01%、例えば、天然に発生するインスリンのインスリン受容体結合の少なくとも0.1%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、もしくは少なくとも150%、および/または少なくとも部分的に、天然に発生するインスリンの能力、好ましくは、天然に存在するインスリンの能力の少なくとも25%、例えば、天然に発生するインスリンの能力の少なくとも少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、もしくは150%を示し、
(b)皮下注射した場合、生理学的条件で少なくとも18時間、例えば、18時間超、少なくとも20時間、20時間超、22時間超、少なくとも22.5時間、または24時間超、少なくとも25時間、少なくとも27.5時間、少なくとも30時間、少なくとも32.5、少なくとも35時間、少なくとも37.5時間、または少なくとも40時間、または18~40時間、20~40時間、24時間~40時間の平均終末半減期を示す。
【0160】
いくつかの実施形態では、薬剤は、「長時間作用型インスリン」を含み、これはまた、
(c)対象者の24時間の期間にわたる平均インスリン濃度(AUCF%)からの最大偏差を、≦±20、例えば≦±18、≦±17、≦±16、≦±15、≦±14、≦±13、≦±12、≦±11、≦±10、≦±9、≦±8、≦±7、≦±6、≦±5、≦±4、≦±3、≦±2、≦±1、≦±0.5、≦±0.1で誘発する。
【0161】
原則として、インスリンの半減期が長いほど、投与間隔(すなわち、注射間の時間間隔)にわたってグルコース低下作用がより安定し、均等に分布する。
【0162】
本開示によれば、基礎インスリンは、長時間作用型インスリンおよび超長時間作用型インスリンを含むか、またはそれからなる。
【0163】
本開示によれば、基礎インスリンは、対象者において有益な血糖制御を達成する量で投与される。
【0164】
いくつかの実施形態では、薬剤は、12~24時間の作用持続時間を有する単一のインスリン薬剤、または集合的に12~24時間の作用持続時間を有するインスリン薬剤の混合物からなる。かかるインスリン薬剤の例としては、以下に限定されないが、Degludec(商標名Tresiba(登録商標)下でNOVO NORDISKによって開発された)、NPH(Schmid,2007,“New options in insulin therapy,”J Pediatria(Rio J).83(Suppl 5):S146-S155)、Glargine(LANTUS,March 2,2007)、Insulin Glargine injection(Dunn et al.2003,“An Updated Review of its Use in the Management of Diabetes Mellitus”Drugs 63:p.1743)、およびDetermir(Plank et al.,2005,“A double-blind,randomized,dose-response study investigating the pharmacodynamic and pharmacokinetic properties of the long-acting insulin analog detemir,”Diabetes Care 28:1107-1112)を含み、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0165】
いくつかの実施形態では、複数の機能252は、第1の機能および第2の機能を含む(304)。いくつかの実施形態では、第1の機能(例えば、252-1)は、加算または減算を実施する。いくつかの実施形態では、第2の機能(例えば、252-2)は、(例えば、データセットを再構成するために)回帰分析および/または補間を実施する。いくつかの実施形態では、第1の機能(例えば、252-1)は、複数のコンテナクラスのうちの第1のコンテナクラス(例えば、250-1)のコンテナ(例えば、74-1)の各インスタンスによって実行可能である。いくつかの実施形態では、コンテナクラスは、データ再構成クラス、順守クラス、計算クラス、および/または滴定グルコースレベルクラスを含む。いくつかの実施形態では、オーケストレータ230は、機能要求254を、必要なコンテナクラス(例えば、250-1)のインスタンスであるコンテナ(例えば、74-1および74-2)に分散する。
【0166】
いくつかの実施形態では、第1のコンテナクラス(例えば、250-1)のコンテナ(例えば、74-2および74-2)の各インスタンスは、第1のサーバのセット(図示せず)のうちのサーバによってホストされ、第2のコンテナクラス(例えば、250-W)のコンテナ(例えば、74-Z)の各インスタンスは、第2のサーバのセットのうちのあるサーバによってホストされる。かかる実施形態では、第1のサーバのセットは、第2のサーバのセットとは異なる。いくつかの実施形態では、かかるトポロジは、より演算集約型の機能として役立つコンテナのためのより強力な、またはより大きなサーバのセットのプロビジョニングを可能にするという利点を有する。代替的な実施形態では、二つ以上の異なるクラスのコンテナを、同じサーバ上で同時に動作させることが可能である。
【0167】
ブロック306を参照すると、いくつかの実施形態では、第1の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第1のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能である。例えば、第1の機能が滴定グルコースレベルクラスである場合、第1のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスは、滴定グルコースレベルクラスを有する。
【0168】
ブロック308を参照すると、いくつかの実施形態では、第2の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第2のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能である。言い換えれば、コンピューティングシステムによって提供されるそれぞれの機能と、それぞれのコンテナクラスとの間に一対一の対応がある。
【0169】
いくつかの実施形態では、複数のコンテナクラスは、二つ以上のコンテナクラス、三つ以上のコンテナクラス、四つ以上のコンテナクラス、または五つ以上のコンテナクラスを含む。
【0170】
ブロック310を参照すると、いくつかの実施形態では、第1の機能のハードウェアリソース要件は、第2の機能のハードウェアリソース要件とは異なる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、複数の機能は、第1の機能および第2の機能を含み、第1の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第1のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能であり、第2の機能は、複数のコンテナクラスのうちの第2のコンテナクラスのコンテナの各インスタンスによって実行可能であり、第1の機能のハードウェアリソース要件は、第2の機能のハードウェアリソース要件とは異なる。一つのかかる実施例では、第1の機能は、第2の機能よりも演算的により高価である。例えば、第1の機能を取り扱うコンテナクラスのコンテナは、第2の機能を取り扱うコンテナクラスのコンテナよりも多くのCPU時間を必要とする。代替的にまたは追加として、第1の機能を取り扱うコンテナクラスのコンテナは、第2の機能を取り扱うコンテナクラスのコンテナよりも多くのランダムアクセスメモリを必要とし得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、所与のタイプの機能に対して特定のコンテナクラスの別のコンテナを開始するかどうかを決定する際に、コンテナの相対的なリソース要件が考慮される。すなわち、特定の機能に対する要求の数は、経時的な特定の機能に対する要求にわたるハードウェアリソース要件の中心傾向の推定される尺度によって重み付け(スケール化、正規化)される。いくつかの実施形態では、本開示のシステムによって提供される複数の機能の機能ごとの相対的なリソース要件に対する好適なメトリック(スケーリングファクタ)を導き出すために、かかる機能に対する過去の要求にわたって、特定の機能のリソース要件の記録が保持される。いくつかの実施形態では、かかる機能要求のリソース要件の中心傾向の尺度は、経時的に機能ごとに追跡される。いくつかの実施形態では、かかる中心傾向の尺度を演算する場合、より古い機能要求が、より最近の機能要求よりも低く重み付けされる。
【0171】
いくつかの実施形態では、エンコーダモジュールは、(例えば、エンジン70全体のリソース要件を評価し、それに伴って、最も効率的なリソースの使用を確保し、演算上の無駄を最小限に抑えることとは対照的に)リソース要件に対して、各それぞれの機能を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のコンテナクラスのコンテナの第1のインスタンスのセットの複合リソース要件は、定期的なベースで評価される。かかる実施形態では、第1のコンテナクラスのコンテナの第1のインスタンスのセットの複合リソース要件が、第1のコンテナのセットに関連付けられた第1のリソース割り当て閾値を満たす場合(例えば、対応する機能で現在割り当てられているコンテナのセットが扱うことができるよりも多くの対応する機能の機能要求が行われている場合)、コンテナクラスのコンテナの一つ以上の追加のインスタンスが第1のコンテナのセットに追加され、第1のコンテナクラスのタイプと一致するエンコーダモジュールからの機能要求を受理することができる。いくつかの実施形態では、所与のコンテナクラスに関連付けられた第1のリソース割り当て閾値は、上述のように、経時的に追跡される所与のコンテナクラスのそれぞれのサービス提供済み機能要求のリソース要件の中心傾向の尺度の評価に基づいて、経時的に調整される。
【0172】
いくつかの実施形態では、所与のコンテナクラスに関連付けられた第1のリソース割り当て閾値は、コンテナクラスのコンテナのセットによって集合的に使用されるランダムアクセスメモリが、>1MB、>5MB、>50MB、>500MB、>1GB、または>5GBである場合に満たされる。いくつかの実施形態では、所与のコンテナクラスに関連付けられた第1のリソース割り当て閾値は、コンテナクラスのコンテナのセットが、機能結果256を返すために、平均、>0.05秒、>0.5秒、>1秒、>5秒、>10秒、>15秒、>30秒、>1分、または>5分を必要とする場合に満たされる。
【0173】
いくつかの実施形態では、第1のコンテナクラスの第1のインスタンスのセットの複合リソース要件が、第1のコンテナのセットに関連付けられた第2のリソース割り当て閾値を満たす場合、第1のコンテナのセットの一つ以上のコンテナが第1のコンテナのセットから除去され、エンコーダモジュールからの機能要求をもはや受理することができない。いくつかの実施形態では、所与のコンテナクラスに関連付けられた第2のリソース割り当て閾値は、上述のように、経時的に追跡される所与のコンテナクラスのそれぞれのサービス提供済み機能要求のリソース要件の中心傾向の尺度の評価に基づいて、経時的に調整される。
【0174】
いくつかの実施形態では、所与のコンテナクラスに関連付けられた第2のリソース割り当て閾値は、コンテナクラスのコンテナのセットのために集合的に使用されるランダムアクセスメモリが、<1MB、<5MB、<50MB、<500Mb、<1GB、または<5GBである場合に満たされる。いくつかの実施形態では、所与のコンテナクラスに関連付けられた第2のリソース割り当て閾値は、コンテナクラスのコンテナのセットが、機能結果256を返すために、平均、<0.05秒、<0.5秒、<1秒、<5秒、<10秒、<15秒、<30秒、<1分、または<5分を必要とする場合に満たされる。
【0175】
図6のブロック312を参照すると、いくつかの実施形態では、本方法は、特定の対象者に対する医薬品投与ガイダンス要求を満たすために必要な複数の機能要求を識別する。かかる実施形態では、複数の機能要求のうちの機能要求254は、複数の機能のうちの対応する機能によって実行可能である。いくつかの実施形態では、複数の機能要求は、二つ以上の対応するコンテナクラスのサービスを必要とする二つ以上の機能に対する要求を含む。いくつかの実施形態では、複数の機能要求は、三つ以上の対応するコンテナクラスのサービスを必要とする三つ以上の機能に対する要求を含む。いくつかの実施形態では、複数の機能要求は、四つ以上の対応するコンテナクラスのサービスを必要とする四つ以上の機能に対する要求を含む。いくつかの実施形態では、複数の機能要求は、五つ以上の対応するコンテナクラスのサービスを必要とする五つ以上の機能に対する要求を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、複数の機能要求は、第1の機能要求を含む。いくつかの実施形態では、この第1の機能要求は、対象者の推奨医薬品投与ガイダンスを計算する(例えば、対象者に新しい、かつ/または更新された推奨投与を提供する)ためのものである。代替的な実施形態では、この第1の機能要求は、対象者のインスリン注射履歴を再構成するためのものである。例えば、いくつかの実施形態では、インスリン注射履歴は、インスリンペン104によって収集され、インスリンペン104また、対象者のインスリン注射履歴を医薬品投与ガイダンスシステム602に送信する。いくつかの実施形態では、インスリン注射履歴は、時間的なギャップ(例えば、データポイントの欠落)または他のエラー(例えば、インスリン注射としての「プライミング」事象のログ)を含む。かかるオカレンスは、参照により本明細書に組み込まれる、2017年8月23日に出願された「Patient Mounted Micro Vein Enhancer」と題する米国特許出願公開第2018/0014776(A1)号に記載されている。いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンスシステム602は、推奨インスリン投与ガイダンスを提供する一環として、対象者のインスリン注射履歴を再構成する必要がある。
【0177】
いくつかの実施形態では、第1の機能要求は、対象者の滴定グルコースレベルを計算するためのものである。滴定グルコースレベルは、対象者のグルコースセンサ102によって収集される血糖履歴、およびインスリンペン104によって投与されるインスリン注射量に基づく。滴定グルコースレベルは、対象者ごとに特異的であり、いくつかの実施形態では、一つ以上の対象者パラメータ512にも基づく。いくつかの実施形態では、滴定グルコースレベルを計算する方法は、参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月23日に出願された「Basal Titration with Adaptive Target Glucose Level」と題する国際出願第PCT/EP2017/065578号に記載されるとおりである。
【0178】
いくつかの実施形態では、第1の機能要求は、対象者の血糖履歴を再構成するためのものである。いくつかの実施形態では、対象者の血糖履歴は、グルコースセンサ102によって測定され、グルコースセンサ102は、いくつかの実施形態では、参照により本明細書に組み込まれる、2003年12月9日に出願された「Graphical Display for Medical Devices and Methods for Displaying Medical Information」と題する米国特許公開第2004/0153257(A1)号に記載されるような連続血糖モニタである。いくつかの実施形態では、血糖履歴は、時間的なギャップ(例えば、データポイントの欠落)を含む。例えば、連続血糖モニタは、血糖値を記憶する際のユーザエラーまたはその他の技術的難しさにより、断続的な期間にわたって対象者の血糖値を記録することができない場合がある。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、グルコースセンサによって自律的に測定される。例えば、いくつかの実施形態では、グルコースセンサ102は、対象者の自律的なグルコース測定を行うABBOTTによるFREESTYLE LIBRE CGM(「LIBRE」)に代表される。LIBREは、近づけると、近距離無線通信を介して最高8時間分のデータをリーダーデバイスに送ることができる、皮膚上のコインサイズのセンサを用いる較正不要のグルコース測定を可能にする。LIBREは14日間着用することができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、第1の機能要求は、対象者の投与ガイダンスパラメータ(例えば、対象者パラメータ512)を取得するためのものである。いくつかの実施形態では、投与ガイダンスパラメータは、対象者の体重、対象者の年齢、対象者の上限目標グルコース範囲、対象者の下限目標グルコース範囲、対象者の過度の基礎化限界、最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/もしくは対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに対象者の基礎注射履歴のうちの一つ以上を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、更新される最新の推奨医薬品投与ガイダンスを決定するために使用される上限目標グルコース範囲は、80~180mg/dL、90~180mg/dL、100~180mg/dL、90~200mg/dL、90~250mg/dL、または90~300mg/dLの範囲内である。
【0181】
いくつかの実施形態では、更新される推奨医薬品投与ガイダンスを決定するために使用される下限目標グルコース範囲は、50~70mg/dL、70~90mg/dL、70~100mg/dL、60~100mg/dL、または60~90mg/dLの範囲内である。
【0182】
いくつかの実施形態では、対象者の血糖履歴を再構成することは、血糖履歴時間的経過が時間的なギャップを含む場合(例えば、対象者の連続グルコースモニタが、センサエラー(ユーザもしくは技術的エラーのいずれか)を有し、断続的な時間にわたって血糖測定値を記録していない場合、または対象者が連続グルコースモニタに影響を及ぼすエラーを犯した場合)、対象者の再構成された血糖履歴を計算することを含む。いくつかの実施形態では、時間的経過のギャップは、いずれの血糖測定値も記録されなかった所与の期間からなる。いくつかの実施形態では、血糖履歴のギャップを定義する所与の期間は、>5分、>10分、>20分、>30分、または>1時間である。
【0183】
いくつかの実施形態では、血糖履歴にギャップがある場合、再構成された血糖履歴は、ギャップの直前の過去1時間、ギャップの直前の過去1週間、ギャップの直前の過去2週間、ギャップの直前の過去1ヶ月、またはギャップの直前の過去1年間にわたる対象者の血糖履歴に基づいて計算される。いくつかの実施形態では、再構成された血糖履歴は、ギャップの前後1分、ギャップの前後5分、ギャップの前後10分、ギャップの前後15分、ギャップの前後30分、および/またはギャップの前後1時間の血糖履歴に基づいて計算される。
【0184】
いくつかの実施形態では、機能要求が必要とする入力には、所与の対象者に対して、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、(iv)対象者の過度の基礎化限界、(v)対象者の血糖履歴、(vi)最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/もしくは対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに/または(vii)対象者の基礎注射履歴、が含まれる。一部の機能要求は、この情報のサブセットのみを必要とする。一部の機能要求は、追加のデータを必要とする。
【0185】
いくつかの実施形態では、機能要求が必要とする入力には、所与の対象者に対して、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、(iv)対象者の過度の基礎化限界、(v)対象者の血糖履歴、(vi)最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/または対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに(vii)対象者の基礎注射履歴のうちのいずれか一つが含まれる。かかる機能要求の一部は、追加のデータを必要とする。
【0186】
いくつかの実施形態では、機能要求が必要とする入力には、所与の対象者に対して、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、(iv)対象者の過度の基礎化限界、(v)対象者の血糖履歴、(vi)最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/または対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに(vii)対象者の基礎注射履歴のうちのいずれか二つが含まれる。かかる機能要求の一部は、追加のデータを必要とする。
【0187】
いくつかの実施形態では、機能要求が必要とする入力には、所与の対象者に対して、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、(iv)対象者の過度の基礎化限界、(v)対象者の血糖履歴、(vi)最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/または対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに(vii)対象者の基礎注射履歴のうちのいずれか三つが含まれる。かかる機能要求の一部は、追加のデータを必要とする。
【0188】
いくつかの実施形態では、機能要求が必要とする入力には、所与の対象者に対して、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、(iv)対象者の過度の基礎化限界、(v)対象者の血糖履歴、(vi)最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/または対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに(vii)対象者の基礎注射履歴のうちのいずれか三つが含まれる。かかる機能要求の一部は、追加のデータを必要とする。
【0189】
ブロック314を参照すると、いくつかの実施形態では、本方法は、エンコーダモジュール240を使用して、複数の機能要求のうちの各それぞれの機能要求254に対して、それぞれの機能要求254を、それぞれの機能要求254に対応する機能に関連付けられたコンテナクラスのコンテナに埋め込む。いくつかの実施形態では、それぞれの機能要求に対応する機能に関連付けられたコンテナクラスの所与のコンテナは、2人以上、3人以上、4以上、5人以上、6人以上、7人以上、8人以上、10人以上、50人以上、100人以上、1000人以上、または10,000人の対象者に対して、同じクラスの二つ以上、三つ以上、四つ以上、五つ以上、六つ以上、七つ以上、八つ以上、10個以上、50個以上、100個以上、1000個以上、または10,000個以上の要求を同時にサービス提供する。
【0190】
ブロック316を参照すると、いくつかの実施形態では、本方法は、複数の機能要求のうちの各それぞれの機能要求254に対して、それぞれの機能要求254を実行したコンテナクラスのコンテナからの機能結果256を収集し、それによって、複数の対象者のうちの単一の対象者に対する複数の機能結果を取得する。この目的のために、いくつかの実施形態では、対象者に対して第1の機能および第2の機能が、同時実行される。代替的な実施形態では、対象者に対して第1の機能および第2の機能が、順次実行される。さらに他の実施形態では、ブール論理を使用して、所与の対象者に対して特定の機能要求を行うかどうかをゲート制御する。例えば、いくつかの実施形態では、第1のコンテナクラスに対応する第1の機能要求の機能結果が、モニタリング条件を満たさないという結果をもたらす場合、対象者に対して、第2のコンテナクラスに対応する第2の機能要求は発出されない。
【0191】
ブロック318を参照すると、いくつかの実施形態では、本方法は、複数の機能結果を使用して推奨医薬品投与ガイダンスを提供する。ブロック318は、全ての要求された機能要求が、対象者に対する有効な推奨用量を計算するために処理され得る好適な機能結果を返した場合に、達成される。いくつかの実施形態では、本方法は、投与ガイダンス要求の品質確認を実施することをさらに含み、品質確認が失敗した場合(例えば、品質確認により、機能要求が、機能要求を処理するための対応する機能に対して必要な情報、例えば、対象者パラメータ512に関する情報もしくは必要な機能に関する情報を欠いていることが明らかになった場合、または機能要求のサイズが、利用可能なコンピューティングリソースを圧倒している場合)、いずれの推奨医薬品投与ガイダンスも提供されない。いくつかの実施形態では、データ品質確認が失敗した場合、および対象者が低血糖事象を記録するか、または対象者が以前に推奨された医薬品用量を摂取することができなかったかのいずれかの場合、推奨医薬品投与ガイダンスが提供される。いくつかの実施形態では、対象者は、対象者の血糖値が70mg/L、75mg/L、80mg/L、65mg/L、60mg/L、55mg/L、50mg/L、45mg/L、または40mg/Lを下回る場合に、低血糖事象を記録する。いくつかの実施形態では、対象者は、対象者が投与を行うのを忘れた場合、または対象者が誤った投与量を摂取した場合、以前に推奨された医薬品投与を行うことができない。
【0192】
図7は、対象者に推奨医薬品投与ガイダンスを提供するための(例えば、電子デバイスで実施される)例示的な方法400の例示している。いくつかの実施形態では、
図7の方法は、対象者が推奨医薬品投与ガイダンスを以前に提供されていない場合に実施される。いくつかの実施形態では、
図7の方法は、以前に提供された推奨医薬品投与ガイダンスの再推奨を提供する。いくつかの実施形態では、
図7の方法を実施して、更新される推奨医薬品投与ガイダンスを提供し、その後、一つ以上の以前の推奨医薬品投与ガイダンスを提供する。
【0193】
図7を参照すると、コンピュータシステム602は、医薬品投与ガイダンス要求402を受信する。いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求は、ユーザデバイス(例えば、対象者ユーザデバイス110)によって自動的に(人が介在することなく)生成される。いくつかの実施形態では、ユーザは、医薬品投与ガイダンスに対して特定の要求を行う。本方法は、続行され、要求が有効であることの確認404を行う(例えば、システムは、必須のまたは必要なデータ、例えば、対象者の体重、対象者の上限目標グルコース範囲、対象者の下限目標グルコース範囲、対象者の過度の基礎化限界、最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/もしくは開始基礎インスリン投与、対象者の血糖履歴、対象者の基礎インスリン注射履歴、ならびに/または対象者の注射データ再読込のうちの一つ以上が、要求に含まれていることを確認する)。いくつかの実施形態では、機能要求254が必要とする入力には、所与の対象者に対して、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、(iv)対象者の過度の基礎化限界、(v)対象者の血糖履歴、(vi)最新の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/または対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに(vii)対象者の基礎注射履歴のうちのいずれか一つ以上、これらのうちのいずれか二つ以上、これらのうちのいずれか三つ以上、これらのうちのいずれか四つ以上、これらのうちのいずれか五つ以上、これらのうちのいずれか六つ以上、これらの七つ全て、これらのうちの少なくとも七つ全て、が含まれる。いくつかの実施形態では、機能要求254が必要とする入力には、所与の対象者に対して、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、(iv)対象者の過度の基礎化限界、(v)対象者の血糖履歴、(vi)最新の推奨インスリン滴定および/または対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに(vii)対象者の基礎注射履歴、のサブセットが含まれる。
【0194】
投与ガイダンス要求に必要なデータが含まれていない場合、本方法は終了し405、ガイダンスは提供されず、任意選択で、適切なデータを後で返すようにユーザに通知する。いくつかの実施形態では、デバイスは、どのデータが欠落しているかをユーザに通知するか、またはユーザがその医療デバイスについて支援を求めることを提案する。医薬品投与ガイダンス要求に適切な情報が含まれている場合、本方法は、要求された推奨医薬品投与ガイダンスを提供するために必要な機能要求254(例えば、投与ガイダンス要求内に含まれる機能要求)を識別し406、複数の機能要求のうちの各機能要求254は、複数の機能のうちの対応する機能によって実行可能である。本方法は、各機能要求に対して初期ハードウェアリソース要件(例えば、メモリ要件、計算の複雑さなど)の決定408を行う。いくつかの実施形態では、本方法は、必要なコンテナの数および/または機能要求のタイプによるコンテナの分割を決定する。いくつかの実施形態では、オーケストレータ230は、ハードウェアリソース決定を実施する。いくつかの実施形態では、ハードウェアリソース決定は、対象者に推奨医薬品用量を提供するために必要な機能要求を実施するのに必要な機能に関連付けられたコンテナクラスのコンテナをインスタンス化することを含む。
【0195】
本方法は、続行され、機能要求に関連する機能を、選択された(例えば、インスタンス化された)コンテナに埋め込む(410)。いくつかの実施形態では、オーケストレータ230は、埋め込みを実施する。機能要求は、適切な埋め込まれた機能を有するコンテナに割り当てられる412。各機能要求254は、機能を実施するために必要なデータセットを含めるために評価される407。必要なデータが機能要求254に含まれていない場合、本方法はプロセスを終了し405、ガイダンスは提供されず、任意選択で、後で返すようにユーザに通知する。
【0196】
コンテナに割り当てられており、必要なデータセットが含まれている各機能要求254に対して、それぞれのコンテナは、機能要求を実行する414。本方法によって、システムが機能要求254を実施するためにはより多くの演算リソースが必要であると決定された場合409、それぞれのコンテナクラスのより多くのコンテナが、それぞれの機能要求を実施するために割り当てられる411。本方法によって、機能要求を実行するために十分な演算リソースが利用可能であると決定された場合、方法は続行される。
【0197】
コンテナは、機能要求に結果を返す416。いくつかの実施形態では、コンテナは、各投与ガイダンス要求510に対して機能要求を同時実行する。いくつかの実施形態では、コンテナは、各投与ガイダンス要求510に対して機能要求を順次実行する。いくつかの実施形態では、コンテナは、投与ガイダンス要求510に対して機能要求のサブセットを同時実行し、機能要求の別のサブセットを順次実行する。本方法は、続行され、複数の機能結果(例えば、256-1-1、256-1-Vなど)を使用して、対象者に結果(例えば、推奨医薬品投与ガイダンス)を提供する418。いくつかの実施形態では、結果は、ユーザ(例えば、対象者ユーザデバイス110)に直接提供される。いくつかの実施形態では、結果は、データ送信デバイス150を介してユーザに提供される。
【0198】
図8を参照すると、本開示のいくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求510は、真性糖尿病を治療するために血糖値を低下させるためのインスリン用量の滴定に関するガイダンスのための要求である。かかる実施形態では、対象者ユーザデバイス110は、グルコースセンサ102およびインスリンペン104のうちの一つ以上からなり得る。統合システム502は、対象者のタイムスタンプ付きインスリン注射および血糖測定値を(例えば、グルコースセンサ102および/またはインスリンペン104から)自律的に取得する520。また、いくつかの実施形態では、対象者が処方されたインスリンレジメンを適用するために使用する一つ以上のインスリンペン104からのデータが、複数の注射履歴記録として取得される540。各注射履歴データポイントは、対象者が処方されたインスリン薬剤用量レジメンの一部として受け取った、注射されたインスリン薬剤の量を特定するタイムスタンプ付き事象を含む。グルコース測定値(例えば、血糖履歴)は、品質評価504で評価され、必要に応じて、再構成された血糖履歴が計算される。血糖履歴または再構成された血糖履歴は、非一時的メモリ506に保存される。メモリ506は、命令を含み、命令は、一つ以上のプロセッサによって実行されると、投与ガイダンス要求を受信することに応答して方法を実施する。本開示の方法に従って、推奨投与ガイダンス要求をコンピュータシステム602に送って510、推奨医薬品投与ガイダンス610を提供する。
【0199】
いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求は、少なくとも、(i)対象者の体重、(ii)対象者の上限目標グルコース範囲、(iii)対象者の下限目標グルコース範囲、および(iv)対象者の過度の基礎化限界、を含む、対象者パラメータ512を取得することを含む。いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求はまた、少なくとも、(i)最新の推奨医薬品投与ガイダンス、および/または(ii)開始基礎投与、が含まれる、第2のデータセット522(医薬品投与ガイダンスベースライン)を取得することを含む。いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求はまた、血糖データセット520を取得することを含み、血糖データセットは、血糖履歴を確立するために時間的経過にわたって得られた対象者の複数のグルコース測定値と、複数のグルコース測定値のうちの各それぞれのグルコース測定値に対する、時間的経過の中でそれぞれのグルコース測定がいつ行われたかを表す対応するグルコースタイムスタンプと、を含む。いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求はまた、注射履歴データセット540を取得することを含み、注射履歴データセットは、(i)注射履歴が、時間的経過の全てまたは一部の間の複数の注射を含む、対象者の基礎インスリン注射履歴、ならびに複数の注射のうちの各それぞれの注射について、(ii)対応する投与事象量、および(iii)時間的経過の中でそれぞれの注射事象がいつ行われたかを表す投与事象タイムスタンプ、を含み、第2のデータセットは、(iv)対象者の最後の注射データ再読込をさらに含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、推奨医薬品投与ガイダンスを決定するために使用される上限目標グルコース範囲は、80~180mg/dL、90~180mg/dL、100~180mg/dL、90~200mg/dL、90~250mg/dL、または90~300mg/dLの範囲内である。いくつかの実施形態では、推奨医薬品投与ガイダンスを決定するために使用される下限目標グルコース範囲は、50~70mg/dL、70~90mg/dL、70~100mg/dL、60~100mg/dL、または60~90mg/dLの範囲内である。
【0201】
いくつかの実施形態では、グルコース測定値522は、自律的に測定される。ABBOTT(「LIBRE」)によるFREESTYLE LIBRE CGMは、対象者の自律的なグルコース測定を行うためにグルコースセンサ102として使用され得る、グルコースセンサの例である。LIBREは、近づけると、近距離無線通信を介して最高8時間分のデータをリーダーデバイス(例えば、データ送信デバイス150および/またはコンピュータシステム602)に送ることができる、皮膚上のコインサイズのセンサを用いる較正不要のグルコース測定を可能にする。LIBREは、全日常生活活動において14日間着用することができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、医薬品投与ガイダンス要求はまた、評価情報のセットに少なくとも、(i)対象者の体重、(ii)時間的経過にわたって得られた対象者の複数のグルコース測定値、(iii)対象者の注射履歴、(iv)最後の推奨医薬品投与ガイダンスおよび/または対象者の開始長時間作用型もしくは超長時間作用型インスリン投与、(v)対象者の過度の基礎化限界、(vi)対象者の最後の注射データ再読込、(vii)対象者の上限目標グルコース範囲、ならびに(viii)対象者の下限目標グルコース範囲、が含まれるかどうかについて、提供された対象者情報を評価することを含む。提供された対象者情報に必要な評価情報のセットが含まれていないとの決定がなされた場合、いずれの推奨医薬品投与ガイダンスも行われない。適切な評価情報が利用可能であるとの決定がなされた場合、コンピューティングシステム602の方法は、推奨医薬品投与ガイダンス610を提供することを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、達成および維持がインスリン滴定の主要目標である目標の血糖目標範囲は、50~180mg/dL、60~180mg/dL、70~180mg/dL、80~180mg/dL、50~200mg/dL、60~200mg/dL、70~200mg/dL、80~200mg/dL、50~250mg/dL、60~250mg/dL、70~250mg/dL、または80~250mg/dLである。
【0204】
インスリンの投与は、例えば、体重(および/もしくは身長)、空腹時血糖、ならびに性別(以後、高速血糖および/もしくはHbA1cレベルの結果に従って経験的に調整される)に基づいて計算され得る、様々な方法を介して決定され得る。初期投与標準または経験的に決定された投与を施した後、必要に応じて、目標血糖/血漿および/またはHbA1cレベルに到達して維持するために、血糖/血漿測定値に基づいて、さらなる投与が事前に決定された増分によって調整される滴定法(例えば、滴定アルゴリズム)を使用することがますます一般的になっている。ただし、かかる滴定モデルは、常にガイダンスとしてのみ提供され、個々の調整は(例えば、推奨インスリン滴定ガイダンスを介して)ケースバイケースを基本として適用可能である。
【0205】
図9を参照すると、コンピューティングシステム602は、1人以上の対象者から医薬品投与ガイダンス要求510を受信し、各対象者に対して推奨医薬品投与ガイダンス610を提供する。好ましい実施形態では、医薬品投与ガイダンスシステム602は、クラウド環境内に存在する。コンテナエンジン70は、医薬品投与ガイダンス要求510を受信する。いくつかの実施形態では、エンジン機能は、演算集約性のレベル、ならびに異なる投与ガイダンスシステムにわたるコンテナの再利用性のレベル(例えば、複数の機能のうちのそれぞれの機能がどれだけ頻繁に使用されるか)に基づいて、コンテナ74に分離される。医薬品投与ガイダンス要求510には、対象者情報512が含まれる。いくつかの実施形態では、対象者情報512-1は、少なくとも、対象者の血糖履歴、最新の推奨インスリン滴定および/または対象者の開始インスリン基礎投与、ならびに対象者の基礎注射履歴を含む。いくつかの実施形態では、対象者パラメータ512は、少なくとも、対象者の体重、時間的経過にわたって得られた対象者の複数のグルコース測定値、対象者の注射履歴、対象者の過度の基礎化限界、対象者の最後の注射データ再読込、対象者の上限目標グルコース範囲、および対象者の下限目標グルコース範囲、を含む。
【0206】
オーケストレータ230は、コンテナエンジン70内で、対象者パラメータ512に基づいて、医薬品投与ガイダンス要求510に応答して、医薬品投与ガイダンス要求510の機能要求254を組織化する。オーケストレータ230は、対象者パラメータ512に基づいて、どの機能608が必要かを識別する。必要な機能は、エンコーダモジュール240(図示せず)によって、選択されたコンテナ74に埋め込まれる。オーケストレータ203は、機能を実施する必要がある順序が存在するかどうかをさらに決定する。例えば、データ再構成埋め込み型機能608-4を有するコンテナ74-4は、順守埋め込み型機能608-2を有するコンテナ74-2の前に、またはそれと並行して機能要求を実行するようにスケジュールされ得る、これは、これらの機能が互いに独立して実行され得るためである。しかしながら、いくつかの実施形態では、コンテナ74-2、74-3、および74-4のセットのうちのあるコンテナは、計算埋め込み型機能608-1を有するコンテナ74-1に依存し得る(例えば、コンテナ74-2内の順守埋め込み型機能608-2は、いくつかの計算を必要とする場合があり、これらの計算は、いくつかの実施形態では、コンテナ74-1内の計算埋め込み型機能608-1によって実施され得る)。オーケストレータ230は、必要に応じて、演算リソースの追加(例えば、任意の特定のコンテナクラスにおける追加のコンテナ74)をトリガし得る。例えば、データ再構成のための埋め込み型機能608-4を有するコンテナ74-4は、専用の追加リソース(例えば、同じコンテナクラスのより多くのコンテナ74)を有し、それによって、医薬品投与ガイダンス要求510に対する応答がタイムアウトしないことを確保することができる。
【0207】
いくつかの実施形態では、機能要求により多くの演算リソースが必要な場合、オーケストレータ230は、その機能要求に対してそれぞれの機能を実行することができる、コンテナクラスのコンテナをインスタンス化する。
【0208】
オーケストレータ230は、各コンテナ74の進捗を監視し、コンテナは、コンテナ間で情報を交換して、コンテナのそれぞれの機能要求254の実行を容易にすることができる。複数のコンテナのうちの各コンテナ74は、オーケストレータ230の呼び出し時にマイクロサービスアーキテクチャに従って、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して他のコンテナと通信する。いくつかの実施形態では、オーケストレータ230は、Azure Service Fabric、Kubernetes、Docker Swarm、およびMesosphere DC/OSを含むが、これらに限定されない、複数の市販のオーケストレータのいずれかである。いくつかの実施形態では、オーケストレータ230は、市販されていない専有のオーケストレータである。
【0209】
各コンテナ74は、それぞれの機能要求254に対して機能結果256を生み出す。複数の機能結果を使用して、推奨医薬品投与ガイダンス610を提供する。いくつかの実施形態では、別のコンテナ(例えば、74-5、図示せず)を使用して、複数の機能要求をコンパイルし、対象者に対する推奨医薬品投与ガイダンス610に組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、オーケストレータ230は、機能結果のコンパイルを実施し、対象者に推奨医薬品投与ガイダンス610を提供する。
【0210】
引用された参考文献および代替的な実施形態
本明細書に引用された全ての参考文献は、各個々の出版物、または特許、または特許出願が、全て目的のためにその全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示されるのと同じ程度の範囲で、それらの全体が参照により、全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0211】
全ての見出しおよび小見出しは、本明細書では便宜上使用されているだけであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0212】
本明細書で提示する任意のおよびいっさいの例または例示的な語句(例えば「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより明瞭にするという意図しかなく、特に明記しない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいずれの語句も、特許の範囲にない任意の要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈すべきではない。
【0213】
本明細書の特許文書の引用および組み込みは、便宜上行われているだけであり、こうした特許文書の有効性、特許性および/または執行可能性のいっさいの観点を反映するものではない。
【0214】
本発明は、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体に埋め込まれたコンピュータプログラム機構を備えるコンピュータプログラム製品として実装されてもよい。例えば、コンピュータプログラム製品には、
図1および
図2の任意の組み合わせで示され、かつ/または
図8に描かれるプログラムモジュールが含まれ得る。これらのプログラムモジュールは、CD-ROM、DVD、磁気ディスクストレージ製品、USBキー、または任意の他の非一時的コンピュータ可読データもしくはプログラムストレージ製品に保存することができる。
【0215】
本発明の多くの修正および変形を、当業者に明らかであるように、その趣旨および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載される特定の実施形態は、例証としてのみ提供される。本発明およびその実用的用途の原理を最もよく説明するために実施形態を選択して説明したが、それにより、特定の用途に適した様々な修正を用いて、当業者が本発明および様々な実施形態を最良に利用できるようになる。本発明は、添付の特許請求の範囲の条件と、そのような請求の範囲が適用されるあらゆる等価物によってのみ限定される。