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▶ ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】冷却孔の自動識別及びツールパスの生成
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20240318BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20240318BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240318BHJP
   B23P 6/00 20060101ALI20240318BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G01B11/24 K
F01D25/00 V
F01D25/00 X
F02C7/00 A
F02C7/00 D
B23P6/00 Z
B23Q17/20 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021512415
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 US2018053613
(87)【国際公開番号】W WO2020068130
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ラマムルシー、ラジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング、ケヴィン ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ロマス、ジョナサン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバーグ、ヴァディム
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-090456(JP,A)
【文献】特開2014-163898(JP,A)
【文献】特開2004-144091(JP,A)
【文献】特表2009-510302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
F01D 25/00
F02C 7/00
B23P 6/00
B23Q 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(36)を処理する方法(2500)であって、当該方法が、
前記部品(36)のコンピュータ支援設計(CAD)モデルを用いて、前記部品(36)に配置された少なくとも1つの孔(62)の位置を識別するステップ(2502)と、
前記部品(36)を取付システム(56)内で位置合わせするステップ(2504)と、
前記部品(36)を3Dスキャンするステップ(2506)と、
前記部品(36)を3Dスキャンするステップで得られたデータを使用して構造化3D点群を生成するステップ(2508)と、
所定の閾値体積を超える体積の異物を有する少なくとも1つの孔を選択するステップ(2512)と、
前記選択された少なくとも1つの孔に対して第2の3Dスキャンを実施するステップ(2514)と、
元の3Dスキャン及び第2の3Dスキャンのうちの少なくとも一方で得られた構造化3D点群上に公称孔境界の第1の投影を重ね合わせるステップ(2516)と、
構造化3D点群データをフィルタリングして、前記部品(36)の垂直面及び非垂直面を識別するステップ(2518)と、
公称孔境界の第1の投影と前記構造化3D点群との間に少なくとも1つのオフセット(84)を定義するステップであって、前記少なくとも1つのオフセット(84)が、並進及び回転のうちの少なくとも一方を含む、ステップと、
前記部品(36)を3Dスキャンするステップ(2506)で得られた少なくとも1つのデータに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの孔(62)の少なくとも1つの境界特徴を検出するステップ(2520)と、
前記少なくとも1つの境界特徴に少なくとも部分的に基づいて、第1のツールパス(92)を生成するステップ(2536)と
を含んでおり、
前記少なくとも1つの孔(62)が冷却孔(54、62)を含んでおり、
前記少なくとも1つの孔(62)の少なくとも1つの境界特徴を検出するステップ(2520)が、
冷却孔下流隅部、冷却孔傾斜段部、冷却孔側壁、冷却孔自由縁部(73)のうちの少なくとも1つを検出するステップと、
冷却孔傾斜段部を検出するステップと
をさらに含んでおり、前記冷却孔傾斜段部が、前記冷却孔(54、62)の調量部分と前記部品(36)の基材との間の移行部を形成する、方法(2500)。
【請求項2】
前記構造化3D点群を生成するステップ(2508)が、記部品(36)を3Dスキャンするステップで得られたデータを、前記部品(36)のコンピュータ支援設計(CAD)モデルの形状データと位置合わせすることを含む、請求項1に記載の方法(2500)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの孔(62)の少なくとも1つの境界特徴を検出するステップ(2520)が、冷却孔自由縁部(73)を検出するステップをさらに含んでおり、
前記冷却孔自由縁部(73)が、前記部品(36)の非垂直面と前記部品(36)の基材との間の移行部を形成し、前記部品(36)の基材が垂直面配向を有する、請求項1に記載の方法(2500)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの孔(62)の少なくとも1つの境界特徴を検出するステップ(2520)が、第2の3Dスキャンで得られた面法線データを使用して少なくとも1つの境界特徴を検出するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法(2500)。
【請求項5】
前記公称孔境界が船形である、請求項に記載の方法(2500)。
【請求項6】
当該方法(2500)が、
第2の投影(88)を生成するために前記少なくとも1つのオフセット(84)を使用して第1の投影を改良及びスケーリングするステップ(2528)であって、第2の投影(88)が第1の投影をスケーリングしたものである、ステップ(2528)と、
第2の3Dスキャンで得られた前記構造化3D点群上に公称孔境界の第2の投影(88)を重ね合わせるステップと
をさらに含む、請求項に記載の方法(2500)。
【請求項7】
当該方法(2500)が、少なくとも1つの外れ値データ点を削除するステップ(2532)をさらに含んでおり、
前記少なくとも1つの外れ値データ点が、前記構造化3D点群において第2の投影(88)内に配置された垂直面配向を有する第1の部分及び前記構造化3D点群において第2の投影(88)の外側に配置された非垂直面配向を有する第2の部分の少なくとも一方を含む、請求項に記載の方法(2500)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの外れ値データの除去に続いて第2の投影(88)を再スケーリングするステップをさらに含む、請求項に記載の方法(2500)。
【請求項9】
第1のツールパス(92)を生成するステップ(2536)が、第2の投影(88)に少なくとも部分的に基づいて第1のツールパス(92)を生成するステップをさらに含む、請求項に記載の方法(2500)。
【請求項10】
前記構造化3D点群上に第1のツールパス(92)をマッピングするステップをさらに含む、請求項に記載の方法(2500)。
【請求項11】
当該方法(2500)が、
第2のツールパスを生成するために、第1のツールパス(92)を前記少なくとも1つの孔の少なくとも1つの部品形状データと組み合わせるステップであって、第2のツールパスが第1のツールパス(92)の改善版である、ステップと、
第2のツールパスに少なくとも部分的に基づいて前記部品(36)を修復するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法(2500)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの孔の前記少なくとも1つの部品形状データが、
調量セクション(96)と、
前記調量セクション(96)の下流側の拡散セクション(98)と、
スロート部(100)と
を含んでおり、前記スロート部(100)が、前記調量セクション(96)と前記拡散セクション(98)との間で移行する、請求項11に記載の方法(2500)。
【請求項13】
当該方法(2500)が、
少なくとも1つの外れ値データ点を削除するステップ(2532)と、
前記少なくとも1つの外れ値データを削除した後に、第2の投影(88)を再スケーリングするステップと
をさらに含んでおり、
前記少なくとも1つの外れ値データ点が、第2の投影(88)内に配置された垂直面配向を有する前記構造化3D点群の第1の部分及び第2の投影(88)の外側に配置された非垂直面配向を有する前記構造化3D点群の第2の部分のうちの少なくとも一方を含んでおり、
前記公称孔境界が船形である、請求項12に記載の方法(2500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、一般に、ガスタービンの被冷却構造に関し、より具体的には、タービン翼形部に関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型のヘビーデューティー産業用ガスタービンエンジンでは、燃焼器発生した高温ガス流がタービンを通過して機械的仕事を生じる。タービンは、高温ガス流が作用するステータ静翼及びロータ動翼の1以上の列又は段を含んでおり、高温ガス流の温度は徐々に低下する。タービン、ひいてはエンジンの効率は、タービンに流入するガス流を高めることによって向上させることができる。しかし、タービン入口温度は、タービン、特に第1段静翼及び動翼の材料特性、さらにはかかる第1段翼形部の冷却能力によって制限されることがある。
【0003】
第1段ロータ及びステータ構成要素最も高いガス流温度に曝され、ガス流がタービン段を通過するにつれて温度徐々に低下する。第1段及び第2段翼形部(動翼及び静翼)は、冷却空気を内部冷却通路に通し、膜冷却孔から冷却空気を排出して冷却空気のブランケット層を与え、高温ガス流から被冷却表面を保護することによって、冷すべきである
【0004】
タービンロータ動翼静止静翼及びそれらの内部の冷却通路は、例えば、冷却通路が閉塞した否かを判断するため及び又は部品の幾何形状が所期の設計から逸脱したか否かを判断するため、検査を必要とすることが多々ある。しかし、ガスタービンエンジンには多数のタービン翼形部(動翼及び静翼)があり、各翼形部は冷却通路と孔が多数あることが多いため、個々の孔を手動で検査するのは時間のかかる作業である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第3168808号明細書
【発明の概要】
【0006】
以下の詳細な説明に発明の態様及び利点を開示するが以下の詳細な説明から本発明の態様及び利点は明らかとなろう
【0007】
一実施形態では、部品理方法は、部品36のコンピュータ支援設計(CAD)モデルを用いて、部品に配置された少なくとも1つの孔62の位置を識別するステップ2502と、部品を取付システム56内位置合わせするステップ2504と、部品36を3Dスキャンするステップ2506と、部品36を3Dスキャンするステップ2506で得られた少なくとも1つのデータに少なくとも部分的に基づいて、孔36の少なくとも1つの境界特徴を検出するステップ2520と、境界特徴に少なくとも部分的に基づいて、第1のツールパス92を生成するステップ2536とを含む。
【0008】
発明上記その他の特徴、態様及び利点については、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって理解を深めることができよう。添付の図面は、本明細書に取り込まれて本明細書の一部をなすものであり、本発明の実施形態を例示するとともに詳細な説明と併せて発明基本原理を説明するためのものである
【0009】
最良の形態を含めて、当業者に向けて、実施可能とするための十分な開示を、添付の図面を参照して、本明細書に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書の実施形態を組み込むことができる典型的なガスタービンの概略図である。
図2】例示的なタービンロータ動翼の部分拡大断面側面図である。
図3】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図4】翼形部、位置合わせシステム及び取付システムの例示的な図である。
図5】翼形部の例示的な図である。
図6】翼形部の例示的な図である。
図7】翼形部の例示的な図である。
図8】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図9】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図10】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図11】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図12】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図13】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図14】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図15】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図16】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図17】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図18】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図19】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図20】冷却孔の例示的な側面概略図である。
図21】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図22】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図23】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図24】冷却孔を含む基材の部分拡大図である。
図25】ツールパスの上面図である。
図26】ツールパスの底面図である。
図27】ツールパスの側面図である。
図28】本発明の様々な実施形態に係る構成要素の修復方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び図面において、繰返し用いられる号は、本発明の同一又は類似の特徴又は要素を表
【0012】
下、本実施形態の態様について詳細に説明するが、その1以上の例添付の図面に示。詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字及び文字の符号を使用する。図面及び詳細な説明における同様又は類似の符号は、本実施形態の同様又は類似の部分を示すために用いられる。本明細書で用いる「第」、「第及び「第」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために互換的に用いることができ、個々の構成要素の位置又は重要性を示すものではない。「上流」又は「後方」並びに「下流」又は「前方」という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を示す。例えば、「上流」又は「後方」は、流体が流れてくる方向を示し、「後部」と呼ばれることもある。「下流」又は「前方」は、流体が流れていく方向を示し、「前部」と呼ばれることもある。「半径方」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に略垂直な相対的な方向を示し、「軸方」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に略平行な相対的な方向を示す。「円周方及び「接線方」という用語は、回転タービン又は圧縮機ロータの円周と整列した方向を示すことがある。
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量を修飾し、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表現する際に適用される。したがって、「約」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能である。かかる範囲はその上下限で規定され、前後関係等から明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を包含する。
【0014】
各例は、本実施形態を説明するためのものであり、本実施形態を限定するものではない。実際、本実施形態の技術的範囲又は技術的思想を逸脱せずに、様々な修正及び変形をなすことができることは、当業者に明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は記載した特徴を別の実施形態に利用してさらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲に属する修正及び変形を包含す。本実施形態の例示的な態様は、例示のため概してガスタービンに関して記載するが、実施形態の態様任意のターボ機械に適用することができ、特許請求の範囲に明示されていない限り、産業用ガスタービンに限定されないことは、当業者には明らかであろう。本明細書では産業用、船舶用又は陸上用のガスタービンについて記載及び例示するが、本明細書に記載及び例示される本発明は、特許請求の範囲に明示されていない限り、陸上用及び/又は産業用及び/又は船舶用のガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に記載される開示内容は、限定はしないが、航空機転用タービン又は船舶用ガスタービン並びに航空機エンジンタービン及び又は航空用エンジンを含む任意のタイプのタービンに使用得る。
【0015】
ここで図面を参照すると、同様の参照符号は同様の構成要素を示し図1は、本実施形態の様々な態様を組み込むことができるガスタービン10の例を示。図示す通り、ガスタービン10は、一般に、圧縮機セクション12を含み、圧縮機セクション12は、ガスタービン10の上流端に配置された入口14と、圧縮機セクション12を少なくとも部分的に囲むケーシング16とを有する。ガスタービン10は、圧縮機セクション12から下流に少なくとも1つの燃焼器20を有する燃焼セクション18と、燃焼セクション18から下流のタービンセクション22とをさらに含む。図示す通り、燃焼セクション18は、複数の燃焼器20を含むことができる。シャフト24は、ガスタービン10を通って軸方向に延在する。図1は、半径方向94、軸方向92及び円周方向90を示
【0016】
動作中、空気26は、圧縮機セクション12の入口14に引き込まれ、次第に圧縮されて圧縮空気28を燃焼セクション18に供給する。圧縮空気28は、燃焼セクション18に流入し、燃焼器20において燃料と混合されて可燃性混合物を形成する。可燃性混合物は、燃焼器20で燃焼して高温ガス30を生成し、高温ガス30は、燃焼器20からタービンノズル34の第1段32を横切ってタービンセクション22に流れ込。タービンセクションは、一般に、隣接するタービンノズル34の列によって軸方向に分離されたロータ動翼36の1以上の列を含む。ロータ動翼36は、ロータディスクを介してロータシャフト24に結合される。ロータシャフト24は、エンジン中心線CLを中心として回転する。タービンケーシング38は、ロータ動翼36及びタービンノズル34を少なくとも部分的に包囲する。ロータ動翼36の列の各々又は一部は、タービンケーシング38内に配置されるシュラウドブロックアセンブリ40によって同心状に囲まれてもよい。高温ガス30は、タービンセクション22を通って流れる際に急速に膨張する。熱及び又は運動エネルギーが高温ガス30からロータ動翼36の各段に伝達され、それによりシャフト24が回転して機械的仕事生じる。シャフト24は、発電機(図示せず)などの負荷に結合されて電気を発生することができる。加えて又は代わりに、シャフト24を使用して、ガスタービンの圧縮機セクション12を駆動することができる。
【0017】
図2は、軸方向前方の前縁44から軸方向後方の後縁46まで延在するとともに半径方向内側根元48から半径方向外側先端42まで延在する例示的なタービンロータ動翼すなわち翼形部36の拡大断面側面図を示す。翼形部36は、高温ガス経路の半径方向内側境界を画成するプラットフォーム50を含む。翼形部36、膜冷却孔(図示せず)などの冷却孔を配置することができる少なくとも1つの基材52含む。冷却孔を含む基材は、前縁44、後縁46、先端42を含む翼形部の任意の部分、並びに翼形部の正圧側及び又は翼形部の負圧側にあってもよい。図2の翼形部36は、本明細書に記載のシステム及び方法を説明するための例示的な構成要素として使用され、タービン静翼、タービンノズル、燃焼器ライナー、シュラウド、並びに冷却孔が配置された基材及び又は表面を含む他の構成要素にも適用される。
【0018】
図3は、冷却孔54を含む翼形部36の基材52の一部を示。コンピュータ支援設計(CAD)モデルを用いて、冷却孔54の位置を特定することができる。各冷却孔54は、CADにおいて、円筒60によって表すことができ円筒60のz軸の中心線は、冷却孔54の中心の位置及び配向と整列る。円筒60の直径は、冷却孔54のボア直径と一致するようなサイズにすることができる。したがって、冷却孔54の幾何形状の多くの態様は、ADにおいて円筒を用いて表すことができる。他の実施形態では、楕円形、台形、三角形、長方形及び又は他の形状のプリズムを使用して、冷却孔54の形状を表すことができ、使用される形状は、冷却孔54の断面形状に依存し得る図3x-y-z座標系も示しており、z軸は、冷却孔54の近傍で局所表面又は基材52に垂直になるように位置合わせすることができる。z軸のゼロ点又は原点(及び一般にx-y-z座標系のゼロ点)は、冷却孔54の内部中心として選択得る。
【0019】
図4は、前縁44、後縁46、翼形部先端42、翼形部根元46及び翼形部プラットフォーム50を含む例示的な翼形部36を示す。図4の実施形態では、幾つかの冷却孔54が、翼形部36の基材52に配置されている。図4は、x-y-z座標系に対して位置合わせした翼形部36、及び取付システム56を示。例えば、x軸翼形部プラットフォームの円周方向縁部に沿って規定し、y軸プラットフォームの軸方向縁部に沿って規定し、z軸翼形部36の前縁及び又は他の半径方向に延在する部分に沿って整列さてもよい。他の座標系も規定することができる。6軸ロボットアーム58及び又は他の位置合わせツールを使用して、x-y-z座標系が翼形部上で正確に位置合わせされるように、取付システム56に対して翼形部36を位置合わせすることができる。翼形部36、取付システム56及びx-y-z座標系のロボットによる位置合わせは、6軸ロボットアーム58に搭載されたカメラで得られるカメラビュー、並びにキャリパー、深さゲージ、近接ゲージ、ジャイロスコープ、マーカー、位置特定機構及び又は翼形部36上の位置合わせ機構を含む他の計測器を使用して実施し得る。使用できる他のタイプのゲージ又はプローブとして、構造化光プローブ、点共焦点プローブ、コノスコピックプローブ又は干渉プローブが挙げられ、ロボットと組み合わせて又は固定された配置で位置合わせを確立する。さらに、精密な機械的固定具を使用して、部品モデルに従って既知のデータ点を使用して部品を位置合わせすることができる。翼形部36、取付システム56及びx-y-z座標系の位置合わせに続いて、Dスキャナを用いて翼形部36の初期3Dスキャンを行うことができる。3Dスキャナは、レーザーストライプシステム、三角測量ベースの構造化光システム、位相シフトベースの白色光スキャナ、点スキャニング共焦点システム、レーザーレーダーシステム、立体写真測量システム、デプスフロムフォーカスベースのカメラシステム、メカニカルタッチベースのシステム又は上記の任意の組み合わせで構成得る。位置合わせ及びスキャンシステムは、単一のシステムとして統合してもよいし、或いは2以上の別個のシステムであってもよい。別個の位置合わせ及びスキャンシステム及び又は機械を使用する、各システムが単一の目的のみを果たすことができ、各システムの精度を向上させることができる。さらに、別個の位置合わせ及びスキャンシステム及び又は機械を使用する、システムが独立して及び又は同時に動作させることができるので、プロセス全体改善することができる。
【0020】
図5は、図4の3Dスキャナを介して受信された測定データに対して傾斜している翼形部36を示換言すると、3Dスキャナ取得た3D測定データは、図4で確立された孔のx-y-z座標系と一致するように変換される。スキャナ取得た3D測定データは、非構造化3D点群から、例えば、点の3D三角測量などによって、局所法線及び連結性などの局所近傍情報を有する構造3D点群データへと変換得る。このような構造データクラウドは、3Dメッシュ、データメッシュ、3Dデータメッシュ及び又は3D測定データメッシュと呼ばれることがあり、データ構造を保持するために、ステレオリソグラフィ(.stl)、VRML又はWavefrontデータフォーマットを始めとする様々なファイルフォーマットを使用して、スキャナから他の処理システムに転送得る。
【0021】
図6は、翼形部基材52内に配置された幾つかの冷却孔54と、幾つかの冷却孔内に配置された円筒60とを含む翼形部36を示。3Dスキャナ取得た3D測定データは円筒座標系に移され、3D測定データで得られた各データ、それ関連付けられ冷却孔54の円筒60の体積の内側又は外側のいずれかに位置する。3D測定データの円筒座標への変換は、検査座標系を孔座標系と関連付ける行列変換を始めとする様々な方法で実施できる。
【0022】
図7は、追加の処理のために選択された冷却孔62を含む翼形部36を示。冷却孔62は、ある1又は複数の基準を超える円筒60(図示せず)の体積内の3D測定データを始めとする様々な基準を使用して選択得る。例えば、冷却孔62は、3D測定データが、円筒の体積内(したがって、冷却孔62内)の残存及び又は摩損し遮熱コーティング(TBC)その他の異物のような異物の存在を示唆している場合に選択得る。換言すれば、異物の体積が所定の値体積(例えば、円筒体積所定の割合)を超える場合その冷却孔62を追加の処理のために選択得る。同様に、る範囲の冷却孔の深さ(すなわち、円筒座標系のz軸に対して)に異物が存在することを3D測定データが示唆する場合にも、その冷却孔62を追加の処理のために選択得る。追加の処理のために選択された任意の冷却孔62に対して、少なくとも1の追加の3Dスキャンを実行することができる。その他の異物として摩損したボンドコート、環境バリアコーティング(EBC)、付着物、汚染物質、汚物質、酸化及びその他の材料を挙げることができる。起こり得る損傷、材料の欠落又は重大な位置ずれのために、孔選択してもよい
【0023】
図8は、翼形部36(図示せず)の基材52内に配置された冷却孔62の拡大図を示。冷却孔62は、1以上の側壁64と、冷却孔が基材52の平面と交差する冷却孔出口部分に以上の下流隅部68を含むことができる。冷却孔62、冷却孔調量セクションと冷却孔出口との間の移行部画成する傾斜段部66を含んでいてもよい傾斜段部66は、実質的に平面であってもよく、空力形状を有してもよい。冷却孔62、中央ボア70を含んでいてもよい
【0024】
図9は、図8の冷却孔62の拡大図を示、その上に点群データマッピングしたものであるこの点群は一連の測定データ点であり、点間の隣接、表面フィッティング又はその他の数学的モデル連結に関して点同士を関連付ける連結又は順序付けが確立されていないものである。各点について知られ唯一の情報は、その点のX-Y-Z座標である。公称モデル形状に基づいて個々の点を曲線又は小さな表面領域の数学的表面にロフトしてそれらの表面を使用して幾何学的特徴を決定するという従来のアプローチではなく、この点データだけを使用して局所傾向又は変化を評価する。フィットさせた数学的表面の使用は時間がかかり、数学的表面モデル内の他の非孔特徴部の形状又は位置のために、点群データ内に存在する非常に局所的な特徴われたり偏ってしまうおそれがある。点群データは、追加の処理のために選択された冷却孔62での2回目以降の3Dスキャンの際並びに他のプロセスによって収集得る。点群データは、各箇所で表面に垂直な方向の配向を表すことができる。同様に、点群データは、面法線配向の変化を表すことができる。したがって、点群データ面法線配向がすぐ近傍の他の点に対して一定である領域(基材52及び傾斜段部66などの平面部分など)を識別するのに用いることができる。点群データ、下流隅部68及び側壁64のように面法線配向が急速に変化する領域を特定するのに用いることができる。点群データ、冷却孔の中央ボア70のように面法線配向が存在しない領域を特定するのに用いることができる。点群データ、基材52のように、面法線配向が3Dスキャン方向(例えば、z軸)に対して垂直な領域を特定するのに用いることができる。群データを上述の通り使用することによって、数学的にフィッティングした表面に影響を与えるおそれのある部品上の他の特徴による偏り又は平均化の影響を受けずに、冷却孔62の形状の複数の属性を特定することができるようになりひいては、測定された冷却孔の形状が公称冷却孔の形状又は想位置から逸脱している場合でも、冷却孔62の境界を特定する複数の方法が可能となる。
【0025】
図10は、点群データ及び基材の面法線用いて基材52及び大まかな孔境界72を識別する際の第1のパスを含む、図8及び図9の冷却孔62の拡大図を示す。
【0026】
図11は、図8図10の冷却孔62の拡大図を示し、点群データ及び基材の面法線を用いた基材52及び大まかな孔境界72並びに下流隅部及び又は傾斜段部の点群データを使用する孔境界72の改善されたマッピング含む。
【0027】
図12は、基材52のような垂直面配向を有する部分、並びに第1の非垂直面部分74及び第2の非垂直面部分76を含む冷却孔62の表示の拡大図を示す。
【0028】
図13は、基材52のような垂直面配向を有する部分、並びに第1の非垂直面部分74及び第2の非垂直面部分76を含む冷却孔62の表示の拡大図を示す。図13では、冷却孔自由縁部73の一部、基材52のような垂直面配向を有する部分と、第1及び第2の非垂直面部分74、76の少なくとも一方との間の移行部又は縁部で識別される。冷却孔自由縁部73は、円筒座標系において、公称部品形状の形状と一致する形状を有することができる。図13では、冷却孔自由縁部73は、基材52と第1の非垂直面74との間の移行部で識別される。材52と第2の非垂直面76との間の移行部では、移行部が公称部品データの形状と一致しないか又は配向が一致しないため、冷却孔自由縁部73は識別されない。第3の非垂直面77も識別されるが、基準に一致する冷却孔自由縁部73を含まない。換言すれば、垂直部分と非垂直部分との間の移行部の形状及び配向の両方を使用して、冷却孔境界を識別することができる。冷却孔自由縁部73は、冷却孔境界72(図示せず)と一致する場合と一致しない場合がある。例えば、垂直面配向を有する部分と非垂直面配向を有する部分との間の移行部画成する冷却孔自由縁部73は、冷却孔62内にある場合があり、したがって、冷却孔境界を画成しない場合がある。これは、冷却孔境界72が、1層以上のデブリ、コーティング及び又は汚損物質で覆われていて垂直面配向を有するように見掛けられるものの、少なくとも1つの冷却孔自由縁部73(すなわち、垂直面配向と非垂直面配向との間の移行部)が冷却孔62内の深さに配置されている場合に起こり得る。このように、冷却孔自由縁部73は冷却孔境界72の近似であり、スケーリング(自由縁部が冷却孔62内の深さ又は冷却孔62を超える高さでみられることによる)及び又は冷却孔自由縁部73が冷却孔境界72の特徴的な孔形状の一部(例えば片側)しか含まないことによる並進を必要とすることがある
【0029】
さらに図13を参照すると、第2の非垂直面部分76(すなわち、垂直面配向を有すると「予想される」基材の位置で)は、基材の浸食、剥離、異物の堆積、異物損傷、並びに他の形態の変質及び又は劣化に起因する可能性がある。冷却孔62の表示は、垂直配向を有しているように見掛けられそのため冷却孔62を囲む基材52の一部であるように見掛けられるが、冷却孔62自体によって占有される予想される冷却孔62の表示の部分に位置する埋込み垂直部分80を含んでもよい。冷却孔62内の部分は周囲の基材52に「見掛けられる」ことがあるので、冷却孔自由縁部73の形状を公称部品データの形状と正確に一致させることができない場合がある。図8図11並びに図12及び図13は、他にも可能な目的はあるものの、特に冷却孔62の初期境界又は大まかな境界を特定する目的で、測定された面法線データ、公称部品データ形状及び所定の座標系に対するそれらの配向を使用する方法を例示する
【0030】
図14は、図12及び図13の冷却孔境界72(図示せず)の近似の改善を示し、却孔自由縁部73を含む測定された3Dデータに、予想される冷却孔境界の特徴的な船形の投影82をマッピングしたものである。特徴的な船形は、縁部の丸い対称台形として表すことができる。投影82は、冷却孔自由縁部73に最もよく一致するように、サイズを拡大又は縮小することができる。例えば、冷却孔62内に付着物が存在する場合、冷却孔自由縁部73は、図示しない冷却孔境界72(すなわち、例えば、深さがゼロで又は基材52と共平面である平面内で冷却孔62と基材52との交点)とは異なる大きさに見掛けられることがある。冷却孔62の輪郭は、様々な異なる深さで同じ特徴的形状を含、サイズが拡大又は縮小されているだけの場合がある(例えば、膜冷却孔が基材52へと移行するにつれて、膜冷却孔の拡散部分の断面積及び又は流路面積が漸増するため)。さらに、所定の許容誤差内で円筒座標系に対する投影の配向に基づくスケーリング望ましいこともある。したがって、冷却孔自由縁部73と一致するように投影82をスケーリングすることが必要な場合がある。投影82図14に示すように、特徴的形状のために舟形として表すこともできる。
【0031】
図15は、別の改善を含み、冷却孔自由縁部73と特徴的な船形の投影82とを互いに重ね合わせたものだけを示す。この重ね合わせによって、少なくとも1つのオフセット84を規定できるようになる。オフセット84は、冷却孔特徴部の公称位置と対応する測定データの位置との間の空間変位として定義することができる。オフセットは、任意の軸(横方向、縦方向、軸方向)に対する並進及び又は円筒座標系に対する配向に一致する回転を含んでもよい。さらに、複数のオフセットを規定することできる。
【0032】
図16は、特徴的な船形の投影80と、図15で得られたオフセット84を特徴的な船形の投影80に適用したオフセット舟形86とを図16、基材52によって画成される平面で冷却孔境界72を近似する第2の投影88を示換言すれば、特徴的な船形の投影80及びオフセット舟形6は、基材52によって画成される平面とは異なる深さ及び又は高さで得られ、その差は、第2の投影88によって近似説明することができる。
【0033】
図17は、特徴的な船形の投影80、オフセット舟形86、及び測定データの3Dメッシュに重ね合わせた第2の投影88を示し、垂直面配向を有する部分として示される基材52してある図17は、第2の投影88(冷却孔境界72の改善された近)を測定データの3D点に重ね合わせた後垂直面配向の部分が投影孔境界内にあることを示す。換言すれば、面法線のため基材52の一部(したがって冷却孔境界72の外側)である可能性が高いと以前に識別された測定データの部分は、近似善後は実際には冷却孔境界72内にあると決定された。したがって、基材52の一部として当初識別されたもの、改善によって、冷却孔62内の漂遊物又は異物として再識別される。したがって、図13図17に示すように、冷却孔自由縁部73、特徴的な船形の投影80、オフセット舟形86、及び測定データの3Dメッシュに重ね合わせた第2の投影88を使用すると、冷却孔境界を識別する面法線データにしか依拠しない方法論に比べて、冷却孔境界72のより精密な調整が可能となる。
【0034】
図18は、第2の投影88(すなわち、冷却孔境界72の近似)内にあった垂直面分を取り除いた後の冷却孔62の改善された近似を示。第2及び第3の非垂直面76、77、改善された冷却孔境界72の外側として識別され冷却孔62の一部を形成しない。
【0035】
図19は、第2の投影88(又は冷却孔境界の近似)の内側にある垂直面の一部及び第2の投影88の外側にある第2及び第3の非垂直面76、77(図示せず)を取り除いた後の、高次のフィッテイング又は近似を用いた冷却孔62の改善された近似を示。これらの外れ値表面を削除すると、冷却孔境界の近似をさらに改善することができる。そのため、外れ値データを破棄した後に、フィッテイングの次数を繰り返し及び又は段階的に増やすことにより、さらなる改善が可能になる
【0036】
図20は、調量セクション96、拡散セクション98への移行部画成するスロート100及び基材52を含む例示的な冷却孔62の側面図を示す。冷却孔62は、中心線102及びピアス点104を含む。ピアス点104は、冷却孔の中心線102と基材52の平面との交点として定義される。ピアス点104は、孔座標系の原点又はゼロ点として使用することができる。ピアス点104、冷却孔境界近似(例えば、第2の投影88)を、冷却孔境界が定義される平面(すなわち、基材52)に固定するために使用得る。
【0037】
図21は、第2の投影88実際の冷却孔境界に変換る前の、冷却孔62、基材52及び第2の投影88を示
【0038】
図22は、第2の投影88実際の冷却孔境界に変換した後の、冷却孔62、基材52及び第2の投影88を示。第2の投影88は図の平面内で並進及び回転させて、実際の冷却孔境界に一致するベストフィットへと変形させることができる。さらに、第2の投影88は、図20に示すピアス点104を用いて、正しい高さ又は平面に固定得る。
【0039】
図23は、複数の曲線92から構築されたツールパス90を示しており、曲線92は第2の投影88から構築される。第2の投影88は、冷却孔境界72の全周の改善された近似を与え、複数の深さで適用される。第2の投影88が適用される各々の深さは、複数の曲線92のうちの1つによって表され、各曲線は特徴的な船形を含むことができ、第2の投影88の冷却孔62の中心と同心であり得る。
【0040】
図24は、複数の深さでの第2の投影88から生じるツールパス90図23に示す)を、3Dスキャン測定データを含む翼形部36(冷却孔62及び基材52を含む)の表面に重ね合わせたものを示す。ツールパス90は、オフセットデータを使用して垂直面平面内で並進及び又は回転され、円筒座標系を使用して冷却孔62の対応する部分と位置合わせされる。
【0041】
図25図27は、それぞれ、第2の投影88(すなわち、冷却孔境界72の改善された近似)及び様々な深さでの複数の曲線92を含む改善されたツールパス94の上面図、底面図及び側面図を示す。図25図27の改善されたツールパス94図23及び図24のツールパス90を冷却孔部品の幾何形状データと交差及び又は組み合わせることによって構築される部分含む。例えば、冷却孔部品の幾何形状データは、冷却孔スロート100で拡散セクション98へと移行する調量セクション96を含んでもよい。
【0042】
図28は、本明細書に開示した実施形態による部品の修復方法2500を示。ステップ2502で、方法2500は、冷却孔を識別し、CADで冷却孔座標系を定義するステップを含む。冷却孔座標系は、冷却孔の中心軸位置及び軸配向、並びに冷却孔ボアの直径を定義する円筒60を含むことができる。ステップ2504で、方法2500は、6軸ロボット28などの位置合わせツールを使用して、部品を取付システム56と位置合わせするステップを含む。部品座標系は、部品形状に基づく任意の実施形態を含むことができる。例えば、部品座標系は、x、y及びz軸を、ターボ機械で使用される部品(タービン動翼又はタービンノズルなど)の円周方向、軸方向及び半径方向にマッピングすることができる。他の座標系も可能である。ステップ2506で、方法2500は、部品を3Dスキャンするステップを含む。ステップ2508で、方法2500は、ステップ2506のスキャンで得られた3D測定データを部品形状データと位置合わせするステップ、並びに非構造化測定点群から三角メッシュなどの3D構造化点群データを構築するステップを含む。ステップ2510で、方法2500は、3D測定データ(すなわち、スキャンで得られたデータ)を部品座標系から孔座標系に変換するステップを含む。ステップ2512で、方法2500は、追加の処理のために所定の値をパスする冷却孔62を識別するステップを含む。所定の値は、円筒60の体積内にかなりの材料(すなわち、例えば、特定の体積パーセントを超える)を含む冷却孔を識別するステップを含むことができる。
【0043】
引き続き図28を参照すると、ステップ2514で、方法2500は、ステップ2512で追加の処理のために選択された冷却孔のみの第2の3Dスキャンを実行するステップを含むことができる。或いは、ステップ2514で、方法2500は、元のスキャン(すなわち、ステップ2506)で得られたデータを使用し、選択された冷却孔に対応するデータを再処理するステップを含むことができる。ステップ2516で、本方法は、第2のスキャンで得られた面法線データ及び又は第1のスキャンで得られた3D測定データを部品形状データに重ね合わせるステップを含む。ステップ2518で、方法2500は、冷却孔62及び周囲の基材52の垂直面及び垂直面を識別するために点群データをフィルタリングするステップを含む。ステップ2520で、方法2500は、面法線データを使用して大まかな孔境界を決定するステップを含むことができる。大まかな孔境界を決定するステップは、3Dスキャンデータを、下流隅部68、傾斜段部66及び少なくとも1つの冷却孔自由縁部73などの公称冷却孔特性と一致させるステップを含むことができる。ステップ2522で、方法2500は、冷却孔の形状特性を使用して、近似された冷却孔境界を3D測定データメッシュにマッピングするステップを含む。ステップ2524で、方法2500は、公称冷却孔境界を3D測定データメッシュに投影するステップを含むことができる。ステップ2526で、方法2500は、公称冷却孔境界と測定された冷却孔境界との間のオフセットを決定するステップを含むことができる。オフセットは、基材52によって画成されたプレート内の回転及び又は並進、並びに平行平面(孔内又は基材52より上の高さでの測定データを説明するため)を含むことができる。
【0044】
さらに図28を参照すると、ステップ2528で、本方法は、オフセット及び又は孔の深さデータ(すなわち、測定データが対応する深度)に基づいて投影をスケーリングするステップを含むことができる。ステップ2530で、本方法は、X、Y及びZ方向の各々で実際に検出された境界に一致するようにスケーリングされた投影88を変換するために、ピアス点を使用して、スケーリングされた投影88を3D測定データメッシュ又は構造化点群に投影するステップを含むことができる。ステップ2532で、本方法は、外れ値データを除去するステップを含むことができる。外れ値データは、スケーリングされた投影88内で識別された垂直面データ(すなわち、冷却孔境界近似)、並びにスケーリングされた(又は第2の)投影88の外側にある非垂直面データ(すなわち、「見掛けられるものの、実際には基材の一部に位置するデータ)を含むことができる。ステップ2534で、方法2500は、より高次の適合を使用して冷却孔境界を改善するステップを含むことができる。ステップ2536で、方法2500は、オフセットデータ及びスケーリングされた投影88を使用してツールパスを生成するステップを含むことができる。ステップ2538で、方法2500は、ツールパスを3D測定データメッシュに投影するステップを含むことができる。ステップ2540で、本方法は、ツールパスを部品形状データと交差及び又は組み合わせて、改善されたツールパスを生成するステップを含むことができる。ステップ2542で、本方法は、改善されたツールパスを使用して部品を修復するステップを含むことができる。部品を修復するステップは、冷却孔、冷却孔境界、冷却孔壁及び又は基材の部分を穿孔、フライス加工、他の形態の機械加工、再コーティング、再表面加工及び又は改質するステップを含むことができる。換言すれば、修復プロセスは、アディティブ及び又はサブトラクティブな冷却孔復元プロセスを含むことができる。他の修復方法も使用することができる。さらに、翼形部、部品及び又は冷却孔の部分の改質は、積層造形法及び他のプロセスによって実施してもよい。方法2500、他のステップ及びサブステップを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、方法2500のすべてのステップを実施しなくてもよい。さらに、方法2500の様々なステップは、図28に示ものとは異なる順序で実施してもよい。
【0045】
本明細書に記載した方法、システム及び実施形態は、広範囲の冷却孔の形状をクリア又はマスキングする迅速かつ自動化プロセスを可能にし、それらは、手動の冷却孔のクリアランス及び復元の労働集約的なプロセスを完全に排除することができる。また、スキャン情報を用いて冷却孔の特徴情報を直接計算することで、各部品のデジタルスレッド及びツインを確立することができ、実際の孔の位置と境界データに基づいてより正確な部品ライフィングモデルを生成するための、ファミリ内の幾つかの部品の冷却孔の形状情報の統計的調査が可能になる。部品上の冷却孔の位置と境界形状を自動的に識別し、多軸ロボットが各冷却孔内又はその周辺に材料を正確かつ適応的に堆積又は除去することを可能にする一組のツールパス命令を生成することにより、本明細書に記載された方法及びシステムは、部品修復プロセスをストリームライン化すると同時に、復プロセス及び得られる修復部品の品質を向上させることができる。本明細書で説明するプロセスは、エンジン構成要素(例えば、タービン動翼又はノズル)の公称設計形状を、構成要素の物理的インスタンスからの3次元スキャンデータと組み合わせて利用する。
【0046】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0047】
10 ガスタービン
12 圧縮機セクション
14 入口
16 ケーシング
18 燃焼セクション
20 燃焼器
22 タービンセクション
24 ロータシャフト
26 空気
28 圧縮空気、6軸ロボット
30 高温ガス
32 第1段
34 タービンノズル
36 翼形部、部品
38 タービンケーシング
40 シュラウドブロックアセンブリ
42 半径方向外側先端、翼形部先端
44 前縁
46 後縁、翼形部根元
48 半径方向内側根元
50 翼形部プラットフォーム
52 翼形部基材
54 冷却孔
56 取付システム
58 6軸ロボットアーム
60 円筒
62 冷却孔
64 側壁
66 傾斜段部
68 下流隅部
70 中央ボア
72 冷却孔境界
73 冷却孔自由縁部
74 第1の非垂直面部分
76 第2の非垂直面部分
77 第3の非垂直面
80 投影
82 投影
84 オフセット
86 オフセット舟形
88 第2の投影
90 ツールパス、円周方向
92 曲線、第1のツールパス
94 半径方向、ツールパス
96 調量セクション
98 拡散セクション
100 冷却孔スロート
102 中心線
104 ピアス点
2500 方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28