(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】睡眠呼吸障害イベントを分析するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20240318BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/1455
(21)【出願番号】P 2021514543
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 US2019051472
(87)【国際公開番号】W WO2020061014
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-14
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520500082
【氏名又は名称】マイカーディオ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヒルミッソン,フギ
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0213621(US,A1)
【文献】特開2016-073674(JP,A)
【文献】特表2007-502670(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0173728(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/16
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠をアセスメント(評価)する方法であって、
ある期間中の人の酸素飽和度測定値を含む酸素飽和度データにアクセスすることと、
前記酸素飽和度データに基づいて、前記期間中の人の呼吸障害イベントを判定することと、
前記期間中の前記酸素飽和度データと時間的に相関する、睡眠中の人の心肺カップリングデータにアクセスすることと、
前記呼吸障害イベントに時間的に対応する前記心肺カップリングデータに基づいて、前記呼吸障害イベントの各々についての心肺カップリングイベントのタイプを判定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記酸素飽和度データに基づいて、前記呼吸障害イベントは睡眠呼吸障害イベントであると判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記呼吸障害イベントを判定することは、
第1の酸素飽和度測定と前記第1の酸素飽和度測定の時間的に後である第2の酸素飽和度測定との間での酸素飽和度データの低下によって潜在的呼吸障害イベントの開始を識別することと、
以下の条件:
連続酸素飽和度測定値が、所定のプラトー持続時間にわたって変化しないままである、
連続酸素飽和度測定値が、所定の増加持続時間にわたって増加する、
潜在的呼吸障害イベントの開始以降に所定の持続時間限界に達する、
連続酸素飽和度測定での酸素飽和度低下速度が、所定の飽和度低下限界を超える、または
無効な酸素飽和度測定値に直面する、
のうちの少なくとも1つによって潜在的呼吸障害イベントを検証することと、
を含み、前記連続酸素飽和度測定は、前記第2の酸素飽和度測定の時間的に後である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記潜在的呼吸障害イベントを検証することは、前記条件のいずれか1つが満たされているかどうかを判定するべく前記条件のすべてをアセスメント(評価)することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の増加持続時間は1秒である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記呼吸障害イベントを判定することは、
前記潜在的呼吸障害イベントの開始から終了までの間の前記潜在的呼吸障害イベントの持続時間を判定することと、
前記潜在的呼吸障害イベントの持続時間中の酸素飽和度低下の大きさを判定することと、
前記潜在的呼吸障害イベントの持続時間が所定の最小持続時間以上であり、且つ前記持続時間中の酸素飽和度低下の大きさが所定の最小酸素飽和度低下の大きさ以上であるとき、前記潜在的呼吸障害イベントを前記呼吸障害イベントのうちの1つとして記録することと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
記録される呼吸障害イベントについて、前記記録される呼吸障害イベントの持続時間および酸素飽和度低下の大きさを記録することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記呼吸障害イベントを判定することは、
酸素飽和度データにおけるSO
2酸素飽和度測定値が所定のSO
2イベント閾値を下回る持続時間によって潜在的呼吸障害イベントを識別することと、
以下の条件:
前記持続時間が所定の最小持続時間よりも短い、
前記持続時間中のSO
2飽和度低下の大きさが所定の最小SO
2飽和度低下閾値よりも小さい、または
前記潜在的呼吸障害イベントが所定の最大SO
2飽和度低下速度以上の初期SO
2飽和度低下速度を含む、
のうちの少なくとも1つによって前記潜在的呼吸障害イベントは呼吸障害イベントではないと判定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記呼吸障害イベントを判定することは、所定の最小SO
2閾値を下回るSO
2酸素飽和度測定値を無視することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記潜在的呼吸障害イベントは、連続SO
2酸素飽和度測定値が所定の最大プラトー持続時間にわたって変化しないときに終了する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記潜在的呼吸障害イベントを前記呼吸障害イベントのうちの1つとして記録することと、
前記潜在的呼吸障害イベントを、
前記持続時間中のSO
2飽和度低下の大きさが所定の有意な低下閾値以上である、有意低下イベント、
SO
2酸素飽和度測定値が所定の臨界的低値を下回る、臨界超過イベント、および
前記持続時間中のSO
2飽和度低下の大きさが前記所定の有意な低下閾値以上であり且つSO
2酸素飽和度測定値が前記所定の臨界的低値を下回る、有意低下且つ臨界超過イベント、
を含むカテゴリのうちの1つにカテゴリ化することと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
人の心拍数の周期的変動データにアクセスすることと、
前記心肺カップリングデータと前記心拍数の周期的変動データを組み合わせて、前記期間中の前記酸素飽和度データと時間的に相関するCPC-CVHRデータを提供することと、
前記呼吸障害イベントに時間的に対応する前記CPC-CVHRデータに基づいて、前記呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定することが、前記呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFC
CVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFC
CVHR)、CVHRなしの超低周波結合(vLFC)、CVHRありのvLFC(vLFC
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBB
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNB
CVHR)からなる群から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントの前記タイプを判定することが、前記呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFC
CVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFC
CVHR)、CVHRなしのREM(REM)、CVHRありのREM(REM
CVHR)、CVHRなしの覚醒(覚醒)、CVHRありの覚醒(覚醒
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBB
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNB
CVHR)からなる群から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
HFC、CVHRありのHFC、LFC、CVHRありのLFC、REM、CVHRありのREM、覚醒、CVHRありの覚醒、eLFCBB、CVHRありのeLFCBB、eLFCNB、およびCVHRありのeLFCNBを含むイベントタイプの各々のイベントの総数を判定することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記呼吸障害イベントの総数に基づいて睡眠障害有病率尺度を判定することと、
前記イベントタイプ全体での前記呼吸障害イベントの分布に基づいて睡眠障害重症度尺度を判定することであって、前記分布は、前記イベントタイプの各々のイベントの総数に基づく、睡眠障害重症度尺度を判定することと、
前記睡眠障害有病率尺度および前記睡眠障害重症度尺度に基づいて睡眠時無呼吸尺度を判定することと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記イベントタイプの各々について、前記イベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下の大きさおよび前記イベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下速度を判定することと、
大きさ閾値および速度閾値にアクセスすることと、
各イベントタイプの前記平均の飽和度低下の大きさを前記大きさ閾値と比較することに基づいて、人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定することと、
各イベントタイプの前記平均の飽和度低下速度を前記速度閾値と比較することと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定することは、前記呼吸障害イベントの総持続時間、前記呼吸障害イベントの平均酸素飽和度、および前記イベントタイプ全体での前記呼吸障害イベントの分布、のうちの少なくとも1つにさらに基づいている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
睡眠をアセスメント(評価)するシステムであって、
1つ以上のプロセッサと、
命令を記憶する少なくとも1つのメモリと、
を備え、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記システムに、
ある期間中の人の酸素飽和度測定値を含む酸素飽和度データにアクセスさせ、
前記酸素飽和度データに基づいて前記期間中の人の呼吸障害イベントを判定させ、
前記期間中の前記酸素飽和度データと時間的に相関する、前記人の心肺カップリングと心拍数の周期的変動との組み合わせ(CPC-CVHR)データにアクセスさせ、
前記呼吸障害イベントに時間的に対応する前記CPC-CVHRデータに基づいて、前記呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定させる、
システム。
【請求項20】
睡眠をアセスメント(評価)するためのシステムであって
1つ以上のプロセッサと、
命令を記憶する少なくとも1つのメモリと、
を備え、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記システムに、
ある期間中の人の酸素飽和度測定値を含む酸素飽和度データにアクセスさせ、
前記酸素飽和度データに基づいて前記期間中の人の呼吸障害イベントを判定させ、
前記期間中の前記酸素飽和度データと時間的に相関する睡眠中の人の心肺カップリングデータにアクセスさせ、
前記呼吸障害イベントに時間的に対応する前記心肺カップリングデータに基づいて前記呼吸障害イベントの各々についての心肺カップリングイベントのタイプを判定させる、
システム。
【請求項21】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムにさらに、前記酸素飽和度データに基づいて前記呼吸障害イベントは睡眠呼吸障害イベントであると判定させる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記呼吸障害イベントを判定する際、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
第1の酸素飽和度測定と前記第1の酸素飽和度測定の時間的に後である第2の酸素飽和度測定との間での酸素飽和度データの低下によって潜在的呼吸障害イベントの開始を識別させ、
以下の条件:
連続酸素飽和度測定値が、所定のプラトー持続時間にわたって変化しないままである、
連続酸素飽和度測定値が、所定の増加持続時間にわたって増加する、
潜在的呼吸障害イベントの開始以降に所定の持続時間限界に達する、
連続酸素飽和度測定での酸素飽和度低下速度が所定の飽和度低下限界を超える、または
無効な酸素飽和度測定値に直面する、
のうちの少なくとも1つによって前記潜在的呼吸障害イベントを検証させ、
前記連続酸素飽和度測定は、前記第2の酸素飽和度測定の時間的に後である、
請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記潜在的呼吸障害イベントを検証する際、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、前記条件のいずれか1つが満たされているかどうかを判定するべく前記条件のすべてをアセスメント(評価)させる、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記所定の増加持続時間は1秒である、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記呼吸障害イベントを判定する際、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
前記潜在的呼吸障害イベントの開始から終了までの間の前記潜在的呼吸障害イベントの持続時間を判定させ、
前記潜在的呼吸障害イベントの前記持続時間中の酸素飽和度低下の大きさを判定させ、
前記潜在的呼吸障害イベントの持続時間が所定の最小持続時間以上であり、且つ前記持続時間中の酸素飽和度低下の大きさが所定の最小酸素飽和度低下の大きさ以上であるとき、前記潜在的呼吸障害イベントを前記呼吸障害イベントのうちの1つとして記録させる、
請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムにさらに、記録される呼吸障害イベントについて、前記記録される呼吸障害イベントの持続時間および酸素飽和度低下の大きさを記録させる、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記呼吸障害イベントを判定する際、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
前記酸素飽和度データにおけるSO
2酸素飽和度測定値が所定のSO
2イベント閾値を下回る持続時間によって潜在的呼吸障害イベントを識別させ、
以下の条件:
前記持続時間が所定の最小持続時間よりも短い、
前記持続時間中のSO
2飽和度低下の大きさが所定の最小SO
2飽和度低下閾値よりも小さい、または
前記潜在的呼吸障害イベントが所定の最大SO
2飽和度低下速度以上の初期SO
2飽和度低下速度を含む、
のうちの少なくとも1つによって前記潜在的呼吸障害イベントは呼吸障害イベントではないと判定させる、
請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
前記呼吸障害イベントを判定する際、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、所定の最小SO
2閾値を下回るSO
2酸素飽和度測定値を無視させる、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記潜在的呼吸障害イベントは、連続SO
2酸素飽和度測定値が所定の最大プラトー持続時間にわたって変化しないときに終了する、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムにさらに、
前記潜在的呼吸障害イベントを前記呼吸障害イベントのうちの1つとして記録させ、
前記潜在的呼吸障害イベントを、
前記持続時間中のSO
2飽和度低下の前記大きさが所定の有意な低下閾値以上である、有意低下イベント、
SO
2酸素飽和度測定値が所定の臨界的低値を下回る、臨界超過イベント、および
前記持続時間中のSO
2飽和度低下の前記大きさが前記所定の有意な低下閾値以上であり且つSO
2酸素飽和度測定値が前記所定の臨界的低値を下回る、有意低下且つ臨界超過イベント、
を含むカテゴリのうちの1つにカテゴリ化させる、
請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムにさらに、
人の心拍数の周期的変動データにアクセスさせ、
前記心肺カップリングデータと前記心拍数の周期的変動データを組み合わせて、前記期間中の酸素飽和度データと時間的に相関するCPC-CVHRデータを提供させ、
前記呼吸障害イベントに時間的に対応する前記CPC-CVHRデータに基づいて、前記呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定させる、
請求項20に記載のシステム。
【請求項32】
呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントの前記タイプを判定する際、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、前記呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFC
CVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFC
CVHR)、CVHRなしの超低周波結合(vLFC)、CVHRありのvLFC(vLFC
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBB
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNB
CVHR)からなる群から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択させる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントの前記タイプを判定する際、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、前記呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFC
CVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFC
CVHR)、CVHRなしのREM(REM)、CVHRありのREM(REM
CVHR)、CVHRなしの覚醒(覚醒)、CVHRありの覚醒(覚醒
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBB
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNB
CVHR)からなる群から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択させる、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムにさらに、HFC、CVHRありのHFC、LFC、CVHRありのLFC、REM、CVHRありのREM、覚醒、CVHRありの覚醒、eLFCBB、CVHRありのeLFCBB、eLFCNB、およびCVHRありのeLFCNBを含むイベントタイプの各々のイベントの総数を判定させる、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムにさらに、
前記呼吸障害イベントの総数に基づいて睡眠障害有病率尺度を判定させ、
前記イベントタイプ全体での前記呼吸障害イベントの分布に基づいて睡眠障害重症度尺度を判定させ、前記分布は、前記イベントタイプの各々のイベントの総数に基づいており、
前記睡眠障害有病率尺度および前記睡眠障害重症度尺度に基づいて睡眠時無呼吸尺度を判定させる、
請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムにさらに、
前記イベントタイプの各々について、前記イベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下の大きさおよび前記イベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下速度を判定させ、
大きさ閾値および速度閾値にアクセスさせ、
各イベントタイプの前記平均の飽和度低下の大きさを前記大きさ閾値と比較することに基づいて、人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定させ、
各イベントタイプの前記平均の飽和度低下速度を前記速度閾値と比較させる、
請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定することは、前記呼吸障害イベントの総持続時間、前記呼吸障害イベントの平均酸素飽和度、および前記イベントタイプ全体での前記呼吸障害イベントの分布のうちの少なくとも1つにさらに基づいている、請求項36に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月17日に提出された米国仮特許出願第62/732490号の利益および優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、睡眠分析に関し、特に、睡眠中の睡眠呼吸障害イベントの分析に関する。
【背景技術】
【0003】
一般人口の少なくとも5パーセントが医学的に重大な睡眠障害に悩まされており、最も一般的なのは睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸としても知られている)である。公衆衛生上の主な懸念として、睡眠障害は、日中の過度の眠気と、それに伴う運転事故、高血圧症、心臓発作、脳卒中、鬱、および/または注意欠陥障害のリスクの一因となる。睡眠障害の有病率は、肥満症、鬱血性心不全、糖尿病、および/または腎不全を患っている人などの選択された集団ではるかに高い(30パーセントを超える)。
【0004】
従来の診断システムは、睡眠呼吸障害を検出するために存在し、睡眠状態の生理学および安定性に対する様々な睡眠破壊刺激(騒音、痛み、薬物、気分障害、呼吸障害など)の存在および影響の簡単で安価な繰り返し可能な測定を提供する。従来の睡眠診断システムの例はフルポリソムノグラフである。ポリソムノグラフィは、睡眠呼吸障害の検出および定量化の参照標準と考えられ、睡眠ステージング、呼吸異常(例えば、無呼吸、低呼吸、フローリミテーション、周期性呼吸、および飽和度低下エピソード)のスコアリング、および四肢運動を含む。睡眠障害の重症度の様々なマーカは、睡眠断片化指数、無呼吸低呼吸指数、呼吸障害指数、覚醒頻度または指数、および/または酸素飽和度低下指数を含む。例えば、無呼吸低呼吸指数(AHI)は、無呼吸または低呼吸イベントが1時間に何回発生したかを判定するのに用いられる。無呼吸低呼吸指数は、スコアを定義された閾値と比較することによって重症度指数として解釈され、これは、より有病率が高いほど、より深刻な状態を示していることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タイプ、有病率、および/または重症度について睡眠呼吸障害イベントを分析するための技術をさらに開発および改善することに関心がもたれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、睡眠をアセスメント(評価)するための方法およびシステムを提供する。本開示の態様によれば、方法は、ある期間中の人の酸素飽和度測定値を含む酸素飽和度データにアクセスすることと、酸素飽和度データに基づいて、前記期間中の人の呼吸障害イベントを判定することと、前記期間中の酸素飽和度データと時間的に相関する、睡眠中の人の心肺カップリングデータにアクセスすることと、呼吸障害イベントに時間的に対応する心肺カップリングデータに基づいて、呼吸障害イベントの各々についての心肺カップリングイベントのタイプを判定することとを含む。
【0007】
方法の様々な実施形態では、方法は、酸素飽和度データに基づいて、そのイベントは睡眠呼吸障害イベントであると判定することを含む。
【0008】
方法の様々な実施形態では、呼吸障害イベントを判定することは、第1の酸素飽和度測定と第1の酸素飽和度測定の時間的に後である第2の酸素飽和度測定との間での酸素飽和度データの低下によって潜在的呼吸障害イベントの開始を識別することと、少なくとも1つの条件によって潜在的呼吸障害イベントを検証することとを含む。
【0009】
方法の様々な実施形態では、条件は、連続酸素飽和度測定値が、所定のプラトー持続時間にわたって変化しないままである、連続酸素飽和度測定値が、所定の増加持続時間にわたって増加する、潜在的呼吸障害イベントの開始以降に所定の持続時間限界に達する、連続酸素飽和度測定での酸素飽和度低下速度が、所定の飽和度低下限界を超える、または無効な酸素飽和度測定値に直面する、のうちの少なくとも1つを含み、連続酸素飽和度測定は、第2の酸素飽和度測定の時間的に後である。方法の様々な実施形態では、潜在的呼吸障害イベントを検証することは、条件のいずれか1つが満たされているかどうかを判定するべく条件のすべてをアセスメント(評価)することを含む。方法の様々な実施形態では、所定の増加持続時間は1秒である。
【0010】
方法の様々な実施形態では、呼吸障害イベントを判定することは、潜在的呼吸障害イベントの開始から終了までの間の潜在的呼吸障害イベントの持続時間を判定することと、潜在的呼吸障害イベントの持続時間中の酸素飽和度低下の大きさを判定することと、潜在的呼吸障害イベントを呼吸障害イベントのうちの1つとして記録することとを含む。方法の様々な実施形態では、方法は、潜在的呼吸障害イベントの持続時間が所定の最小持続時間以上であり、且つ前記持続時間中の酸素飽和度低下の大きさが所定の最小酸素飽和度低下の大きさ以上であるとき、潜在的呼吸障害イベントを呼吸障害イベントのうちの1つとして記録することを含む。
【0011】
方法の様々な実施形態では、記録される呼吸障害イベントについて、方法は、記録される呼吸障害イベントの持続時間および酸素飽和度低下の大きさを記録することを含む。
【0012】
方法の様々な実施形態では、呼吸障害イベントを判定することは、酸素飽和度データにおけるSO2酸素飽和度測定値が所定のSO2イベント閾値を下回る持続時間によって潜在的呼吸障害イベントを識別することと、少なくとも1つの条件によって潜在的呼吸障害イベントは呼吸障害イベントではないと判定することを含む。条件は、持続時間が所定の最小持続時間よりも短い、持続時間中のSO2飽和度低下の大きさが所定の最小SO2飽和度低下閾値よりも小さい、または潜在的呼吸障害イベントが所定の最大SO2飽和度低下速度以上の初期SO2飽和度低下速度を含む、のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
方法の様々な実施形態では、呼吸障害イベントを判定することは、所定の最小SO2閾値を下回るSO2酸素飽和度測定値を無視することをさらに含む。
【0014】
方法の様々な実施形態では、潜在的呼吸障害イベントは、連続SO2酸素飽和度測定値が所定の最大プラトー持続時間にわたって変化しないときに終了する。
【0015】
方法の様々な実施形態では、方法は、潜在的呼吸障害イベントを呼吸障害イベントのうちの1つとして記録することと、潜在的呼吸障害イベントをカテゴリにカテゴリ化することを含む。カテゴリは、持続時間中のSO2飽和度低下の大きさが所定の有意な低下閾値以上である、有意低下イベント、SO2酸素飽和度測定値が所定の臨界的低値を下回る、臨界超過イベント、および/または持続時間中のSO2飽和度低下の大きさが所定の有意な低下閾値以上であり且つSO2酸素飽和度測定値が所定の臨界的低値を下回る、有意低下且つ臨界超過イベントを含み得る。
【0016】
方法の様々な実施形態では、方法は、人の心拍数の周期的変動データにアクセスすることと、心肺カップリングデータと心拍数の周期的変動データを組み合わせて、前記期間中の酸素飽和度データと時間的に相関するCPC-CVHRデータを提供することと、呼吸障害イベントに時間的に対応するCPC-CVHRデータに基づいて、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定することとを含む。
【0017】
方法の様々な実施形態では、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定することは、呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFCCVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFCCVHR)、CVHRなしの超低周波結合(vLFC)、CVHRありのvLFC(vLFCCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBBCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNBCVHR)からなる群から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択することを含む。
【0018】
方法の様々な実施形態では、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定することは、呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFCCVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFCCVHR)、CVHRなしのREM(REM)、CVHRありのREM(REMCVHR)、CVHRなしの覚醒(覚醒)、CVHRありの覚醒(覚醒CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBBCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNBCVHR)からなる群から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択することを含む。
【0019】
方法の様々な実施形態では、方法は、HFC、CVHRありのHFC、LFC、CVHRありのLFC、REM、CVHRありのREM、覚醒、CVHRありの覚醒、eLFCBB、CVHRありのeLFCBB、eLFCNB、およびCVHRありのeLFCNBを含むイベントタイプの各々のイベントの総数を判定することを含む。
【0020】
方法の様々な実施形態では、方法は、呼吸障害イベントの総数に基づいて睡眠障害有病率尺度を判定することと、イベントタイプ全体での呼吸障害イベントの分布に基づいて睡眠障害重症度尺度を判定することと、分布は、イベントタイプの各々のイベントの総数に基づいており、睡眠障害有病率尺度および睡眠障害重症度尺度に基づいて睡眠時無呼吸尺度を判定することとを含む。
【0021】
方法の様々な実施形態では、方法は、イベントタイプの各々について、イベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下の大きさおよびイベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下速度を判定することと、大きさ閾値および速度閾値にアクセスすることと、各イベントタイプの平均の飽和度低下の大きさを大きさ閾値と比較することに基づいて、人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定することと、各イベントタイプの平均の飽和度低下速度を速度閾値と比較することとを含む。
【0022】
方法の様々な実施形態では、人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定することは、呼吸障害イベントの総持続時間、呼吸障害イベントの平均酸素飽和度、およびイベントタイプ全体での呼吸障害イベントの分布、のうちの少なくとも1つにさらに基づいている。
【0023】
本開示の態様によれば、睡眠をアセスメント(評価)するシステムは、1つ以上のプロセッサと、命令を記憶する少なくとも1つのメモリとを備え、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、システムに、ある期間中の人の酸素飽和度測定値を含む酸素飽和度データにアクセスさせ、酸素飽和度データに基づいて前記期間中の人の呼吸障害イベントを判定させ、前記期間中の酸素飽和度データと時間的に相関する人の心肺カップリングと心拍数の周期的変動(CPC-CVHR)データにアクセスさせ、呼吸障害イベントに時間的に対応するCPC-CVHRデータに基づいて、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定させる。
【0024】
本開示の態様によれば、睡眠をアセスメント(評価)するシステムは、1つ以上のプロセッサと、命令を記憶する少なくとも1つのメモリとを含み、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、システムに、ある期間中の人の酸素飽和度測定値を含む酸素飽和度データにアクセスさせ、酸素飽和度データに基づいて前記期間中の人の呼吸障害イベントを判定させ、前記期間中の酸素飽和度データと時間的に相関する睡眠中の人の心肺カップリングデータにアクセスさせ、呼吸障害イベントに時間的に対応する心肺カップリングデータに基づいて呼吸障害イベントの各々についての心肺カップリングイベントのタイプを判定させる。
【0025】
システムの様々な実施形態では、命令は、プロセッサによって実行されると、システムにさらに、酸素飽和度データに基づいて呼吸障害イベントは睡眠呼吸障害イベントであると判定させる。
【0026】
システムの様々な実施形態では、呼吸障害イベントを判定する際、命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、第1の酸素飽和度測定と第1の酸素飽和度測定の時間的に後である第2の酸素飽和度測定との間での酸素飽和度データの低下によって潜在的呼吸障害イベントの開始を識別させ、少なくとも1つの条件によって潜在的呼吸障害イベントを検証させる。
【0027】
システムの様々な実施形態では、条件は、連続酸素飽和度測定値が、所定のプラトー持続時間にわたって変化しないままである、連続酸素飽和度測定値が、所定の増加持続時間にわたって増加する、潜在的呼吸障害イベントの開始以降に所定の持続時間限界に達する、連続酸素飽和度測定での酸素飽和度低下速度が、所定の飽和度低下限界を超える、または無効な酸素飽和度測定値に直面する、のうちの少なくとも1つを含み、連続酸素飽和度測定は、第2の酸素飽和度測定の時間的に後である。システムの様々な実施形態では、潜在的呼吸障害イベントを検証する際、命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、条件のいずれか1つが満たされているかどうかを判定するべく条件のすべてをアセスメント(評価)させる。システムの様々な実施形態では、所定の増加持続時間は1秒である。
【0028】
システムの様々な実施形態では、呼吸障害イベントを判定する際、命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、潜在的呼吸障害イベントの開始から終了までの間の潜在的呼吸障害イベントの持続時間を判定させ、潜在的呼吸障害イベントの持続時間中の酸素飽和度低下の大きさを判定させ、潜在的呼吸障害イベントを呼吸障害イベントのうちの1つとして記録する。システムの様々な実施形態では、システムは、潜在的呼吸障害イベントの持続時間が所定の最小持続時間以上であり、且つ前記持続時間中の酸素飽和度低下の大きさが所定の最小酸素飽和度低下の大きさ以上であるとき、潜在的呼吸障害イベントを呼吸障害イベントのうちの1つとして記録する。
【0029】
システムの様々な実施形態では、命令は、プロセッサによって実行されると、システムにさらに、記録される呼吸障害イベントについて、記録される呼吸障害イベントの持続時間および酸素飽和度低下の大きさを記録させる。
【0030】
システムの様々な実施形態では、呼吸障害イベントを判定する際、命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、酸素飽和度データにおけるSO2酸素飽和度測定値が所定のSO2イベント閾値を下回る持続時間によって潜在的呼吸障害イベントを識別させ、少なくとも1つの条件によって潜在的呼吸障害イベントは呼吸障害イベントではないと判定させる。少なくとも1つの条件は、持続時間が所定の最小持続時間よりも短い、持続時間中のSO2飽和度低下の大きさが所定の最小SO2飽和度低下閾値よりも小さい、または潜在的呼吸障害イベントが所定の最大SO2飽和度低下速度以上の初期SO2飽和度低下速度を含む、のうちの1つまたは複数を含む。
【0031】
システムの様々な実施形態では、呼吸障害イベントを判定する際、命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、所定の最小SO2閾値を下回るSO2酸素飽和度測定値を無視させる。
【0032】
システムの様々な実施形態では、潜在的呼吸障害イベントは、連続SO2酸素飽和度測定値が所定のプラトー持続時間にわたって変化しないときに終了する。
【0033】
システムの様々な実施形態では、命令は、プロセッサによって実行されると、システムにさらに、潜在的呼吸障害イベントを呼吸障害イベントのうちの1つとして記録させ、潜在的呼吸障害イベントをカテゴリにカテゴリ化させる。カテゴリは、持続時間中のSO2飽和度低下の大きさが所定の有意な低下閾値以上である、有意低下イベント、SO2酸素飽和度測定値が所定の臨界的低値を下回る、臨界超過イベント、および持続時間中のSO2飽和度低下の大きさが所定の有意な低下閾値以上であり且つSO2酸素飽和度測定値が所定の臨界的低値を下回る、有意低下且つ臨界超過イベントを含む。
【0034】
システムの様々な実施形態では、命令は、プロセッサによって実行されると、システムにさらに、無呼吸中の人の心拍数の周期的変動データにアクセスさせ、心肺カップリングデータと心拍数の周期的変動データを組み合わせて、前記期間中の酸素飽和度データと時間的に相関するCPC-CVHRデータを提供させ、呼吸障害イベントに時間的に対応するCPC-CVHRデータに基づいて、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定させる。
【0035】
システムの様々な実施形態では、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定する際、命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFCCVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFCCVHR)、CVHRなしの超低周波結合(vLFC)、CVHRありのvLFC(vLFCCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBBCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNBCVHR)からなる群から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択させる。
【0036】
システムの様々な実施形態では、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定する際、命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFCCVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFCCVHR)、CVHRなしのREM(REM)、CVHRありのREM(REMCVHR)、CVHRなしの覚醒(覚醒)、CVHRありの覚醒(覚醒CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBBCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNBCVHR)からなる群から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択させる。
【0037】
システムの様々な実施形態では、命令は、プロセッサによって実行されると、システムにさらに、HFC、CVHRありのHFC、LFC、CVHRありのLFC、REM、CVHRありのREM、覚醒、CVHRありの覚醒、eLFCBB、CVHRありのeLFCBB、eLFCNB、およびCVHRありのeLFCNBを含むイベントタイプの各々のイベントの総数を判定させる。
【0038】
システムの様々な実施形態では、命令は、プロセッサによって実行されると、システムにさらに、呼吸障害イベントの総持続時間に基づいて睡眠障害有病率尺度を判定させ、イベントタイプ全体での呼吸障害イベントの分布に基づいて睡眠障害重症度尺度を判定させ、分布は、イベントタイプの各々のイベントの総数に基づいており、睡眠障害有病率尺度および睡眠障害重症度尺度に基づいて睡眠時無呼吸尺度を判定させる。
【0039】
システムの様々な実施形態では、命令は、プロセッサによって実行されると、システムにさらに、イベントタイプの各々について、イベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下の大きさおよびイベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下速度を判定させ、大きさ閾値および速度閾値にアクセスさせ、各イベントタイプの平均の飽和度低下の大きさを大きさ閾値と比較することに基づいて、人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定させ、各イベントタイプの平均の飽和度低下速度を速度閾値と比較させる。
【0040】
システムの様々な実施形態では、人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定することは、呼吸障害イベントの総持続時間、呼吸障害イベントの平均酸素飽和度、およびイベントタイプ全体での呼吸障害イベントの分布のうちの少なくとも1つにさらに基づいている。
【0041】
本開示のシステムおよび方法の目的および特徴は、添付の図面を参照してその様々な実施形態の説明が読まれるときに当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2】本開示の態様に従って提供される、酸素飽和度および心肺カップリングデータを使用して睡眠呼吸障害イベントを分析するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図3】本開示の態様に従って提供される、潜在的呼吸障害イベントを判定するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の態様に従って提供される、呼吸障害イベントを判定および記録するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態に従って提供される、潜在的呼吸障害イベントを判定および記録するための別の例示的な方法のフローチャートである。
【
図6】本開示の態様に従って提供される、酸素飽和度および心肺カップリング分析を心拍数の周期的変動の分析と組み合わせることによって睡眠呼吸障害イベントを分析するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図7】本開示の態様に従って提供される、酸素飽和度データおよび分析に基づいて潜在的な睡眠障害イベントを識別する例の図である。
【
図8】本開示の態様に従って提供される、主として中枢性無呼吸がある成人研究例の図である。
【
図9】本開示の態様による、例示的なシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示は、睡眠呼吸障害イベントの分析に関する。本開示の態様によれば、分析は、酸素飽和度データと心肺カップリングデータに基づいている。様々な実施形態では、分析はさらに、心拍数の周期的変動データに基づいている。このようなデータの組み合わせを使用して、睡眠1時間あたりの睡眠時無呼吸または低呼吸イベントの数を単に反映する無呼吸低呼吸指数などの従来の分析よりも、さらに洗練された分析を提供する。
【0044】
心肺カップリングは、とりわけ、米国特許第7,324,845号、米国特許第7,734,334号、米国特許第8,403,848号、および米国特許第8,401,626号に記載されており、これらはすべて、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。心肺カップリングは、対応する直接または導出された呼吸信号と結合された心拍変動からのN-N間隔系列の2つの生理学的信号間で定量的分析を実行して、これら2つの信号のコヒーレントクロスパワーを判定することにより、睡眠の質をアセスメント(評価)する技術である。このコヒーレントクロスパワーは、睡眠呼吸障害疾患における閉塞性と非閉塞性とを区別するために使用できる心肺カップリングの尺度を提供する。様々な実施形態では、2つの生理学的信号は、様々な生理学的尺度から導出することができる。
【0045】
心肺カップリングを使用して睡眠呼吸障害を検出する際、CPCイベントのタイプは、とりわけ、高周波結合、低周波結合、および超低周波結合を含み、これらについては本明細書で後でより詳しく説明する。高周波結合は、統合された安定したNREM睡眠のバイオマーカである安定した睡眠を表し、これは、安定した呼吸の期間、高い迷走神経緊張、脳波図(EEG)上の一般的に非周期性交互パターン、高い相対デルタパワー、生理学的血圧降下(健康上)、および/または安定した覚醒閾値に関連付けられる。低周波結合は、安定した睡眠とは反対の特徴を有する統合された不安定なNREM睡眠のバイオマーカである不安定な睡眠を表す。不安定な睡眠は、周期性交互パターン(CAP)と呼ばれるEEG活動、呼吸パターンが変動する期間(1回換気量の変動)、心拍数の周期的変動(CVHR)、血圧の非降下、および/または可変覚醒閾値に関連付けられる。断片的なREM睡眠は、低周波結合特性を有する。超低周波結合は、REM睡眠および覚醒を表す。他のCPCイベントについては本明細書で後でより詳しく説明する。人の睡眠が様々なCPCイベントによって特徴付けられる時間の割合は、睡眠呼吸障害を含む睡眠障害をアセスメント(評価)するのに用いることができる。
【0046】
酸素飽和度は、赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素分子とどの程度結合しているかの尺度である。酸素飽和度は様々な方法で定量化することができ、「酸素飽和度」または「SO2」という用語は、本明細書ではSaO2およびSpO2の一般的な記述子として用いられ、これは酸素飽和度データを収集する様々な方法に対応する。様々な実施形態では、酸素飽和度データは、動脈血中の酸素で飽和したヘモグロビン分子のパーセンテージを示す血中酸素飽和度測定値を含む。
【0047】
次に
図1を参照すると、本開示の態様によるシステム100の図が示される。システム100は、心電図測定値または他の生理学的測定値など、心肺カップリング(「CPC」)を計算するために使用することができる生理学的測定値を取得するために、睡眠中に人に取り付けることができる。システム100は、酸素飽和度測定値も取得する。生理学的信号および酸素飽和を検出するための様々なセンサは、当業者によって理解されるであろう。生理学的測定値は、ディスクドライブ、フラッシュドライブ、ソリッドステートドライブ、または他の記憶媒体などの記憶媒体に記録することができる。様々な実施形態では、CPCを計算するための生理学的測定値および酸素飽和度測定値は、並行して記録することができる。様々な実施形態では、各記録されたデータは、タイムスタンプがタグ付けされ得るか、またはタイムスタンプに関連付けられ得る。様々な実施形態では、生理学的測定値を使用して、経時的なCPCイベントを判定することができ、CPCイベントは記憶媒体に記録することができる。様々な実施形態では、経時的なCPCイベントは、タイムスタンプがタグ付けされ得るか、またはタイムスタンプに関連付けられ得る。記録されたデータにタイムスタンプをタグ付けまたは関連付けることによって、様々な記録された測定値を、時間的に互いに相関させることができる。開示される実施形態は、例示的であり、記録された測定値を時間的に相関させる他の方法が使用され得ることが企図される。
【0048】
図2は、酸素飽和度データおよび心肺カップリングデータを使用して睡眠呼吸障害イベントを分析するための動作のフローチャートを示す。睡眠呼吸障害イベントのアセスメント(評価)には、
図1に関連して説明した記憶媒体に記録された酸素飽和度データおよび心肺カップリングデータを使用することができる。要約すれば、酸素飽和度データは、潜在的な睡眠呼吸障害イベントを識別するのに用いることができ、CPCデータは、潜在的呼吸障害イベントをカテゴリ化するのに用いることができる。様々な実施形態では、開示される動作は、1つ以上のプロセッサ上で実行するソフトウェア命令によって実施することができる。
【0049】
ステップ203で、酸素飽和度(SO2)データにアクセスする。前述のように、SO2は、本明細書では酸素飽和度の一般的な記述子として用いられ、様々なデータ収集方法のSaO2および/またはSpO2を含み得る。様々な実施形態では、酸素飽和度データは、動脈血中の酸素で飽和したヘモグロビン分子のパーセンテージを示す血中酸素飽和度読取値を含む。ステップ206で、アクセスした酸素飽和度データに基づいて呼吸障害イベントを判定する。様々な実施形態では、潜在的呼吸障害イベントは、SO2が低下する期間またはSO2が特定の閾値を下回る期間を検出することによって判定され得る。様々な実施形態では、SO2分析出力は、睡眠呼吸障害以外の睡眠障害によって引き起こされる覚醒とは対照的に、そのイベントが睡眠時無呼吸の結果としてSO2の低下を引き起こしたかどうかを確認するのに用いることができる。
【0050】
ステップ209で、酸素飽和度データと時間的に相関する心肺カップリング(CPC)データにアクセスする。CPCデータは、心拍変動(HRV)と呼吸とを結合して
図8に示される周波数マップなどの結合された自律呼吸振動の周波数マップを生成することに基づき得る。様々な実施形態では、睡眠中の心拍変動(HRV)と呼吸とを結合するCPC周波分析には、高周波、低周波、および超低周波を含む少なくとも3つの周波帯域が含まれ得る。高周波帯域は、0.1Hzよりも高い周波数を含み、低周波帯域は、0.01Hzから0.1Hzの間の周波数を包括的に含み、超低周波範囲は、0.01Hz未満の周波数を含む。
【0051】
前述のように、高周波は、統合された安定したNREM睡眠のバイオマーカである安定した睡眠を表す。低周波は、安定した睡眠とは反対の特徴を有する統合された不安定なNREM睡眠のバイオマーカである不安定な睡眠を表す。断片的なREM睡眠は、低周波結合特性を有する。超低周波は、REM睡眠および覚醒状態を表す。低周波結合は、上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)または断片化、上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)または周期性、或いは上昇した低周波結合なしとしてさらにサブカテゴリ化され得る。加えて、CPCの各タイプには、心拍数の周期的変動(CVHR)またはCVHRなしが含まれ得る。これらの心肺カップリングのタイプの各々を、本明細書では「CPCイベント」と呼ぶ。
【0052】
ステップ212で、CPCデータに基づいて、呼吸障害イベントの各々についてのCPCイベントのタイプを判定する。様々な実施形態では、CPCイベントは、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFC
CVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFC
CVHR)、CVHRなしの超低周波結合(vLFC)、CVHRありの超低周波結合(vLFC
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB
CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB
CVHR)を含むことができる。CPCイベントは、睡眠障害のタイプおよび特性を識別するのに用いられ、それについては本明細書で後でより詳しく説明する。示された実施形態では、ステップ215で、呼吸障害イベントが睡眠呼吸障害イベントであるかどうかを確認する。その後、睡眠アセスメント(評価)動作は終了する。ここで、
図2の動作の様々な部分を、
図3~
図5に関連してより詳細に説明する。
【0053】
図3を参照すると、潜在的呼吸障害イベントを判定するための方法が示されている。様々な実施形態では、
図3は、
図2のステップ206内で生じ、潜在的呼吸障害イベントの開始を識別することと、潜在的呼吸障害イベントを検証することを含む。ステップ301で、酸素飽和度データを使用して、潜在的呼吸障害イベントの開始が既に識別されているかどうかを判定する。まだ識別されていない場合、ステップ303で、第1の酸素飽和度測定と後続の第2の酸素飽和度測定との間での酸素飽和度の低下に基づいて、潜在的呼吸障害イベントの開始を識別することができる。すなわち、連続酸素飽和度測定間での低下を、潜在的呼吸障害イベントの開始として識別することができる。ステップ306での判定の際に低下があった場合、すなわち、第1の酸素飽和度測定と後続の第2の酸素飽和度測定との間で酸素飽和度データが低下した場合、ステップ309で、酸素飽和度の低下を潜在的呼吸障害イベントの開始として識別する。しかし、ステップ306での判定の際に酸素飽和度の低下がなかった場合、低下が検出されるまで酸素飽和度データを経時的に分析する。
【0054】
ステップ312で、潜在的呼吸障害イベントの開始が識別されると、条件323、326、329、331、および335の組に基づいて、潜在的呼吸障害イベントを検証するかどうかを決定するべく酸素飽和度データがさらに分析される。条件323は、連続酸素飽和度測定値が所定のプラトー持続時間にわたって変化しないままであるかどうかを識別する。条件326は、連続酸素飽和度測定値が所定の増加持続時間にわたって増加したかどうかを識別する。いくつかの実施形態では、所定の増加持続時間は1秒である。様々な実施形態では、所定の増加持続時間は、別の期間とすることができる。条件329は、潜在的呼吸障害イベントの開始以降に所定の持続時間限界に達しているかどうかを識別する。条件331は、連続酸素飽和度測定での酸素飽和度低下速度が所定の飽和度低下限界を超えているかどうかを識別する。条件335は、酸素飽和度測定値が無効であるかどうかを識別する。例えば、酸素飽和度測定値は、収集中のまたは記憶媒体でのデータ破壊、または他の要因のために無効となる場合がある。ステップ373で、条件のいずれかが満たされているかどうかを判定する。ステップ376で、条件323、326、329、331、または335の組のうちの少なくとも1つが満たされている場合、潜在的呼吸障害イベントは検証および記録される。ステップ379で、条件323、326、329、331、または335の組のいずれも満たされない場合、条件323、326、329、331、または335のうちの1つが満たされるまで、酸素飽和度データをさらに分析する。したがって、
図3の動作により、酸素飽和度データに基づいて、潜在的呼吸障害イベントの開始および妥当性を識別することができる。呼吸障害イベントは、酸素飽和度が増加するときに終了する。開示される実施形態は例示的であり、本開示の範囲内で変形が企図される。例えば、潜在的呼吸障害イベントの開始を識別する、または潜在的呼吸障害イベントを検証するために、上記に開示した条件以外の条件を用いることができる。
【0055】
図7は、酸素飽和度データおよび分析に基づいて潜在的呼吸障害イベントを識別する例の図を示す。
図3を引き続き参照すると、
図3のステップ303で、第1の酸素飽和度測定と後続の第2の酸素飽和度測定との間での酸素飽和度データの低下に基づいて、潜在的呼吸障害の開始を判定する。ステップ309で、第1の酸素飽和度測定と後続の第2の酸素飽和度測定との間で酸素飽和度データが低下していることにより、酸素飽和度測定値の低下を潜在的呼吸障害イベントの開始として識別する。
図7の701は、SO
2データが、潜在的なイベントの開始をマークする低下を経験することを示す。低下を検出し、
図3のステップ312で潜在的呼吸障害イベントの開始を識別すると、条件323、326、329、331、または335の組のうちの少なくとも1つが満たされるまで酸素飽和度データを分析し、満たされた時点で、潜在的呼吸障害イベント730を検証および記録する。連続酸素飽和度測定値が所定のプラトー持続時間にわたって変化しないままであるかどうかを識別する、条件323に関して、
図7は、測定712と715との間で発生するプラトーと、それに続く、さらなる飽和度低下の例を示す。様々な実施形態では、このプラトーが条件323を満たす場合、このようなプラトーは、潜在的呼吸障害の終了として識別されることになる。
図7の例では、プラトーは、条件323を満たしておらず、酸素飽和度測定値の分析は測定730まで続く。測定730が、例えば条件326または条件329を満たすことができていれば、潜在的呼吸障害イベントを検証する。
図7の例は、例示的であり、本開示の範囲を制限するものではない。
【0056】
ここで
図4を参照すると、
図3の動作で識別された呼吸障害イベントを検証および記録する、または記録しないための方法400が開示される。様々な実施形態では、
図4の動作も、
図2のステップ206で発生し得る。潜在的呼吸障害イベントの開始と終了との両方が識別されると、ステップ403で、潜在的呼吸障害イベントの開始から終了までの間の潜在的呼吸障害イベントの持続時間をアセスメント(評価)する。前述のように、潜在的呼吸障害イベントは、連続酸素飽和度測定値が増加するときに終了する。ステップ406で、潜在的呼吸障害イベントの持続時間中の酸素飽和度低下の大きさをアセスメント(評価)する。ステップ403で判定された持続時間に基づいて、ステップ409で、潜在的呼吸障害の持続時間を所定の最小持続時間と比較し、潜在的呼吸障害イベントの持続時間が所定の最小持続時間以上であるかどうかを判定する。ステップ412で、酸素飽和度低下の大きさを所定の最小酸素飽和度低下と比較し、酸素飽和度低下の大きさが所定の最小酸素飽和度低下以上であるどうかを判定する。ステップ418で、潜在的呼吸障害イベントの持続時間が所定の最小持続時間以上であり、且つ酸素飽和度低下の大きさが所定の最小酸素飽和度低下以上である場合、潜在的呼吸障害イベントは、検証され、呼吸障害イベントとして記録される。しかしながら、潜在的呼吸障害イベントの持続時間が所定の最小持続時間よりも短い、または酸素飽和度低下の大きさが所定の最小酸素飽和度低下よりも小さい場合、潜在的な障害イベントは、検証されず、記録されない。様々な実施形態では、ステップ418で、記録される呼吸障害イベントの持続時間および酸素飽和度低下の大きさも、記録される呼吸障害イベントと共に記録する。様々な実施形態では、SO
2分析は、呼吸障害イベントを検証するのに所定のベースライン値を必要としない。
【0057】
図5を参照すると、
図3の動作で識別された呼吸障害イベントを検証および記録する、または記録しないための別の方法が開示される。様々な実施形態では、
図5の動作も、
図2のステップ206で発生し得る。様々な実施形態では、
図5の動作は、
図4の動作の前または後に発生し得る。
図5に示された動作は、SpO
2酸素飽和度に基づいているが、この動作は、他の酸素飽和度測定値にも同様に適用可能であることが理解されるであろう。ステップ501で、酸素飽和度データにおけるSpO
2酸素飽和度測定値について最小SpO
2閾値にアクセスする。ステップ503で、例えば
図3の動作に基づいて、潜在的呼吸障害イベントを識別する。ステップ506および509において、動作は、特定の酸素飽和度測定値を削除する。ステップ506は、SpO
2酸素飽和度測定値が所定の最小SpO
2閾値を下回るかどうかを判定する。ステップ509で、SpO
2酸素飽和度測定値が所定の最小SpO
2閾値を下回る場合、このSpO
2酸素飽和度測定値を無視する。潜在的呼吸障害イベントは残りの酸素飽和度測定値によって形成され、潜在的呼吸障害イベントは様々な条件に基づいて分析され、それにより、潜在的呼吸障害イベントは検証および記録される、または記録されない。ステップ515で、動作は、潜在的な酸素飽和度低下イベントの持続時間が所定の最小持続時間よりも短いかどうかをアセスメント(評価)する。ステップ518で、動作は、持続時間中のSpO
2飽和度低下の大きさが所定の最小SpO
2飽和度低下閾値よりも小さいかどうかをアセスメント(評価)する。ステップ521で、動作は、潜在的呼吸障害イベントが所定の最大SpO
2飽和度低下速度以上の初期SpO
2飽和度低下速度を含むかどうかをアセスメント(評価)する。様々な実施形態では、ステップ521のアセスメント(評価)は、潜在的呼吸障害イベントの開始を識別するのに用いられる酸素飽和度測定値に基づくことができる。ステップ524で、動作は、条件515、518、または521のいずれかが満たされているかどうかをアセスメント(評価)する。条件のいずれかが満たされている場合、ステップ527で、潜在的呼吸障害イベントは、睡眠呼吸障害イベントと考えられず、記録されない。ステップ530で、条件のいずれも満たされない場合、潜在的呼吸障害イベントは、睡眠呼吸障害イベントとして記録される。
【0058】
本開示の態様によれば、記録される呼吸障害イベントは、持続時間中のSpO2飽和度低下の大きさが所定の有意な低下閾値以上である、有意低下イベント、SpO2酸素飽和度測定値のいずれかが所定の臨界的低値を下回る、臨界超過イベント、および/または持続時間中のSpO2飽和度低下の大きさが所定の有意な低下閾値以上であり、且つSpO2酸素飽和度測定値のいずれかが所定の臨界的低値を下回る、有意低下且つ臨界超過イベントを呈するかどうかを判定することによってカテゴリ化することができる。様々な実施形態では、各カテゴリパラメータは、デフォルト値を有していてよく、これは校正中に決定することができるが、特定の要件に基づいて変更することができる。いくつかの実施形態では、各呼吸障害イベントは、開始日、イベント持続時間、飽和度低下パーセンテージの低下、飽和度低下速度の低下、および/または最低のSO2測定データで特徴付けることができる。
【0059】
したがって、本明細書の上記で説明しているのは、潜在的呼吸障害イベントを識別するための、および潜在的呼吸障害イベントを検証および記録する、または記録しないための例示的な動作である。以下、心肺カップリング(「CPC」)および心拍数の周期的変動(「CVHR」)データに基づいて、記録された呼吸障害イベントをカテゴリ化し、睡眠アセスメント(評価)を行うことを説明する。
【0060】
本開示の態様によれば、
図6を参照すると、心肺カップリング分析に基づいておよび心拍数の周期的変動特性に基づいて睡眠呼吸障害イベントを分析する方法が示されている。ステップ603および606は、本明細書の上記で説明した
図3~
図5の動作によって実施することができる。ステップ603で、酸素飽和度(SO
2)データにアクセスする。ステップ606で、アクセスした酸素飽和度データに基づいて呼吸障害イベントを判定する。従来の無呼吸低呼吸指数は、1時間あたりのイベントとして提示され、1時間あたりのイベントを定義された閾値と比較することによって重症度指数として解釈され、無呼吸および低呼吸イベントの有病率が高いほど、より深刻な状態を示す。しかしながら、この従来の指数によって提供される情報は限られている。本開示の態様によれば、被検者の症状に関するさらなる情報を提供するべく呼吸障害イベントをカテゴリ化するのにCPCおよびCVHRデータが用いられる。CPCは、心血管のメカニズムと肺のメカニズムとの結合を反映しており、CPCイベントは、自律神経系によって判定される被検者の状態と相関し得る。したがって、イベントの結果は、被検者の症状の重症度を定義することができる。
【0061】
ステップ609で、酸素飽和度データと時間的に相関する心肺カップリング(CPC)データにアクセスする。ステップ612で、酸素飽和度データと時間的に相関する心拍数の周期的変動(CVHR)データにアクセスする。CPCおよびCVHRデータに基づいて、ステップ615で、これらを組み合わせてCPC-CVHRデータを提供する。ステップ618で、CPC-CVHRデータに基づいて、睡眠呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定する。本明細書で前述したように、様々な実施形態では、イベントは、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFCCVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFCCVHR)、CVHRなしの超低周波結合(vLFC)、CVHRありの超低周波結合(vLFCCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBBCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNBCVHR)を含むことができる。
【0062】
本開示の態様によれば、CPC-CVHRイベントは、人の睡眠状態をアセスメント(評価)する際におよびイベントの表現型を決定する際に用いられ得る。例えば、eLFCBBは、断片化のマーカであり、閉塞性無呼吸(OA)に関連付けられる。eLFCNBは、周期性のマーカであり、周期性呼吸(PB)、チェーン・ストークス呼吸(CS)、および中枢性無呼吸(CA)に関連付けられる。しかしながら、eLFCBBは、断片化を引き起こす睡眠中の痛みまたは他の外乱などの他の障害によって引き起こされることがあり、一方、eLFCNBは、周期性四肢運動によって引き起こされることがある。別の例として、「eLFCNB+CVHR」の多数のイベントは、「HFC」の同じ数のイベントよりもさらに深刻である。これは、eLFCNB+CVHRのイベントが、周期性と、徐脈とそれに続く頻脈の心血管のサイン(CVHR)を同時に反映するためである。
【0063】
本開示の態様によれば、イベントの総カウント/持続時間は、睡眠障害の有病率の尺度として用いられ、一方、イベントが発生するカテゴリは、睡眠障害の重症度を定義する。加えて、カテゴリ内の重症度を定義するために、平均イベント持続時間、平均飽和度低下、および平均飽和度低下速度を用いることができる。
【0064】
様々な実施形態では、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定することは、呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFCCVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFCCVHR)、CVHRなしの超低周波結合(vLFC)、CVHRありのvLFC(vLFCCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBBCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNBCVHR)から1つのCPC-CVHRイベントタイプを選択することを含み得る。
【0065】
様々な実施形態では、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプを判定することは、呼吸障害イベントの各々について、CVHRなしの高周波結合(HFC)、CVHRありのHFC(HFCCVHR)、CVHRなしの低周波結合(LFC)、CVHRありのLFC(LFCCVHR)、CVHRなしのREM(REM)、CVHRありのREM(REMCVHR)、CVHRなしの覚醒(覚醒)、CVHRありの覚醒(覚醒CVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合広帯域(eLFCBB)、CVHRありのeLFCBB(eLFCBBCVHR)、CVHRなしの上昇した低周波結合狭帯域(eLFCNB)、およびCVHRありのeLFCNB(eLFCNBCVHR)からCPC-CVHRイベントタイプの1つを選択することを含む。ステップ621で、呼吸障害イベントの各々についてのCPC-CVHRイベントのタイプが判定されると、イベントタイプの各々のイベントの総数を判定する。カウントされるイベントタイプは、CVHRなしのHFC、CVHRありのHFC、CVHRなしのLFC、CVHRありのLFC、CVHRなしのREM、CVHRありのREM、CVHRなしの覚醒、CVHRありの覚醒、CVHRなしのeLFCBB、CVHRありのeLFCBB、CVHRなしのeLFCNB、およびCVHRありのeLFCNBを含み得る。
【0066】
ステップ624で、呼吸障害イベントの総持続時間に基づいて睡眠障害の有病率を測定する。ステップ627で、イベントタイプの各々のイベントの総数に基づくイベントタイプ全体での呼吸障害イベントの分布に基づいて睡眠障害の重症度を測定する。ステップ630で、測定された睡眠呼吸障害の有病率および睡眠障害の重症度に基づいて睡眠時無呼吸の尺度を測定する。例えば、
図8を参照すると、主として中枢性無呼吸を有する352分間の成人研究では、この人のAHIは67.3(イベント/時)、無呼吸は178分間、その178分間のうち134分間がeLFCNBで発生したと判定された。
【0067】
本開示の態様によれば、各カテゴリのイベントがさらに分析される。ステップ633で、イベントタイプの各々について、動作は、イベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下の大きさおよび最大飽和度低下、並びに、イベントタイプにおけるイベントの平均の飽和度低下速度、最大速度、および最小速度を判定する。加えて、様々な実施形態では、動作は、各イベントタイプについて、イベントの平均持続時間、最大持続時間、および最小持続時間を判定することができる。次いで、ステップ636で、大きさ閾値および速度閾値にアクセスし、ステップ639で、動作は、様々なメトリックおよび閾値に基づいて、人が低呼吸または無呼吸を経験しているかどうかをアセスメント(評価)する。例えば、各イベントタイプの平均の飽和度低下の大きさを大きさ閾値と比較することは、被検者が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定する際に用いることができる。様々な実施形態では、人が低呼吸または無呼吸を経験したかどうかを判定することは、呼吸障害イベントの総持続時間、呼吸障害イベントの平均酸素飽和度、およびイベントタイプ全体での呼吸障害イベントの分布のうちの少なくとも1つにさらに基づき得る。
【0068】
本開示の態様によれば、閾値を各イベントカテゴリの飽和度低下パーセンテージおよび飽和度低下速度と比較し、CPCカテゴリを識別することに基づいて、低呼吸と無呼吸を区別することができる。低呼吸は、普通は、異常に浅い呼吸として説明され、一方、無呼吸は、呼吸の停止として定義される。これらの2つの呼吸イベントタイプの重症度の差異の結果として、酸素飽和応答は重症度が異なり、異なる飽和度低下低値(DL)、異なる大きさ(DM)、異なる速度(DR)、および異なる加速度(DA)によって特徴付けられる。例えば、様々な実施形態では、固定または可変の閾値を上回るDM、DR、および/またはDAの値は無呼吸を示し、一方、閾値を下回る値は低呼吸を示す。次いで、イベントは、無呼吸低呼吸指数(すべてのイベントを含む)、無呼吸指数(無呼吸のみ)、および低呼吸指数(低呼吸のみ)として要約することができる。加えて、イベントは、それらの無呼吸/低呼吸分類および関連する重症度特性(DL、DM、DR、およびDA)と共に一覧表示することができる。
【0069】
イベントの特性と、カテゴリ間のイベントの分布を分析することにより、本開示は、従来のレガシーAHIよりもさらに情報伝達型である障害の重症度の尺度を生成する。本開示の態様によれば、有病率(1時間あたりのイベントの数)、および重症度(DMおよびDR)、カテゴリ集中(無呼吸のほとんどが発生する状態)、および平均酸素飽和度を組み合わせて、障害の重症度を示す数を生成することができる。この数を、本明細書ではsAHIと呼ぶ。加えて、様々な実施形態では、(イベントの総数)/(総睡眠時間)として計算される従来のレガシーAHIが生成される。
【0070】
以下、カテゴリタイプによる重症度の例を提供する:
【表1】
【0071】
被検者Aは、CVHRなしおよびeLFCなしカテゴリ(通常のフォント)にほとんど集中したイベントを経験した。一方、被検者Bは、CVHRおよびeLFCカテゴリに集中したイベントを経験し、これは、イベントが、eLFCNB-中枢性睡眠時無呼吸および周期性呼吸に関連する状態で発生することに加えて、心血管反応を引き起こしたことを示す。両方の被検者は、同じ数のイベントを経験したため、同じ有病率を有する。睡眠持続時間を7時間とすると、被検者AとBの両方は、イベントの数を睡眠持続時間で割ることに基づいて、1時間あたり15イベントを経験することになる。イベントが発生するCPC-CVHRタイプごとにイベントに重み付けすることにより、被検者ごとに重症度指数が計算され、結果的に得られるメトリックは、睡眠呼吸障害イベントに応答した自律神経系の活動を示すCPC-CVHRを組み込むことによって、重症度をさらに正確に反映することになる。例えば、重症度尺度は、CVHRなしのHFCの重みが最も低く、CVHRありのeLFCNBの重みが最も高くなるように表の各セルに重みを割り当てることによって生成することもできる。各セルは、イベント全体に対するそのカテゴリのイベントの比として表され、これは次に、関連するカテゴリの重みを最大の重みで割った値が乗算される。次いで、結果の値が加算され、[0,1]内の数値が生成される。例として、イベントがCVHRなしのHFCでのみ発生した場合、重症度メトリックはゼロ(0)に等しくなる。イベントがCVHRありのeLFCNBでのみ発生した場合、重症度メトリックは1になる。これは、重症度(S)が[0,1]の範囲内である、以下の式で表すことができ:
【数1】
式中、Tは、イベントの総数であり、x
i,jおよびy
i,jは、それぞれマトリクスX(イベントのカウント)およびY(カテゴリのウェイト)の要素であり、MAX(Y)は、Yの最大である。
【0072】
図2~
図6は、本開示の実施形態を説明する例示的な図である。本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせで実装することができることを理解されたい。このような実施形態では、様々なコンポーネントおよびステップは、本開示の機能を実行するために、ハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアに実装されることになる。すなわち、同じハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアのモジュールが、図示したブロック(すなわち、コンポーネントまたはステップ)の1つ以上を実行することもできる。
【0073】
本開示は、本明細書に記載の機能を実行することができる1つ以上のコンピュータシステムに実装することができる。
図9を参照すると、本開示を実装するためのコンピュータシステム900の例が示されている。本明細書に記載の本開示の様々な実施形態は、コンピュータシステム900によって実施することができる。しかしながら、他のコンピュータシステムおよび/またはコンピュータアーキテクチャを使用して本開示をどのように実施するかは当業者には明白であろう。
【0074】
コンピュータシステム900は、プロセッサ904などの1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサ904は、通信インフラストラクチャ906(例えば、通信バス、クロスオーバー・バー、またはネットワーク)に接続される。
【0075】
コンピュータシステム900は、表示のために通信インフラストラクチャ906から(または図示していないフレームバッファから)グラフィックス、テキスト、および他のデータを受信するディスプレイ930を含むことができる。様々な実施形態では、ディスプレイ930は、本明細書の上記で説明した酸素飽和度およびsAHIスコアを含む本明細書で説明した様々な測定値およびメトリックを提示することができる。様々な実施形態では、sAHIスコアは、睡眠呼吸障害(SDB)の臨床決定を支援するべく酸素飽和度(SO2)で表示することができる。様々な実施形態では、ディスプレイ930は、とりわけ、医師、訓練を受けた技術者、または他の医療従事者がまたはその命令で使用するために、入眠潜時、睡眠持続時間、睡眠の質、および/または睡眠の病状のグラフおよび数値表現を提示およびレポートすることができる。提示およびレポートは、本明細書の上記で開示した様々なメトリックのいくつかまたはすべてを含むことができる。
【0076】
コンピュータシステム900はまた、メインメモリ908、好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM)を含み、また、二次メモリ910を含むことができる。二次メモリ910は、例えば、ハードディスクドライブ912、および/または、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブなどを表す取り外し可能なストレージドライブ914を含むことができる。取り外し可能なストレージドライブ914は、周知の方法で、取り外し可能なストレージユニット918からの読み出しおよび/またはこれへの書き込みを行う。取り外し可能なストレージユニット918は、取り外し可能なストレージドライブ914によって読み書きされるフロッピーディスク、磁気テープ、光ディスクなどを表す。理解されるように、取り外し可能なストレージ918は、コンピュータソフトウェア(例えば、プログラムまたは他の命令)および/またはデータを記憶しているコンピュータで使用可能な記憶媒体を含む。
【0077】
様々な実施形態では、二次メモリ910は、コンピュータソフトウェアおよび/またはデータをコンピュータシステム900にロードすることを可能にするための他の同様のデバイスを含むことができる。このようなデバイスは、例えば、取り外し可能なストレージ922およびインターフェース920を含むことができる。そのような例は、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース(レガシーデバイスに見られるものなど)、取り外し可能なメモリチップ(EPROMまたはPROMなど)および関連するソケット、並びに他の取り外し可能な記憶装置922、並びに取り外し可能な記憶装置922からコンピュータシステム900にソフトウェアおよびデータが転送されることを可能にするインターフェース920を含むことができる。
【0078】
コンピュータシステム900はまた、通信インターフェース924を含むことができる。通信インターフェース924は、コンピュータシステム900と外部デバイスとの間でソフトウェアおよびデータが転送されることを可能にする。通信インターフェース924の例としては、他の構成要素の中でもとりわけ、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネットまたはWiFiカードなど)、通信ポート、PCMCIAまたはSDまたは他のスロット、およびカードが挙げられる。通信インターフェース924を介して転送されるソフトウェアおよびデータは、通信インターフェース924によって受信することができる電子信号、電磁気信号、光信号、または他の信号であり得る信号928の形態である。これらの信号928は、通信経路(すなわち、チャネル)926を介して通信インターフェース924に提供される。通信経路926は、信号928を搬送し、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、電話回線、セルラーフォンリンク、RFリンク、自由空間光通信、および/または他の通信チャネルを用いて実装することができる。
【0079】
本明細書で用いられる場合の「コンピュータプログラム媒体」および「コンピュータで使用可能な媒体」という用語は、一般に、取り外し可能なストレージ918、取り外し可能なストレージ922、ハードディスクドライブ912に入れられたハードディスク、および信号928などのメディアを指すのに用いられる。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム900にソフトウェアを提供するためのデバイスである。本開示は、このようなコンピュータプログラム製品を含む。
【0080】
コンピュータプログラム(コンピュータ制御論理またはコンピュータ可読プログラムコードとも呼ばれる)は、メインメモリ908および/または二次メモリ910に格納される。コンピュータプログラムはまた、通信インターフェース924を介して受信することができる。このようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム900が本明細書で説明したように本開示を実施することを可能にする。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ904が、例えば、上で説明した方法200、300、400、500、および600の様々なステップなど、本開示のプロセスおよび動作を実施することを可能にする。したがって、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム900のコントローラを表す。
【0081】
本開示がソフトウェアを用いて実施される実施形態では、ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品に格納し、取り外し可能なストレージドライブ914、ハードドライブ912、インターフェース920、または通信インターフェース924を用いてコンピュータシステム900にロードすることができる。制御論理(ソフトウェア)は、プロセッサ904によって実行されると、プロセッサ904に本明細書に記載の本開示の機能を実行させる。したがって、本開示の技術は、ソフトウェア医療機器(SaMD)としてまたは非医療ソフトウェアとして提供され得る。様々な実施形態では、ソフトウェアは、クラウドベースのアプリケーションを含み得る。
【0082】
本明細書に開示される実施形態は、本開示の例であり、様々な形態で具現化され得る。例えば、本明細書の特定の実施形態は、別個の実施形態として記載されるが、本明細書の実施形態の各々は、本明細書の他の実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ得る。本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定的ではなく、実質的に任意の適切に詳細な構造で本開示を多様に採用するように当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるものとする。
【0083】
「一実施形態では」、「実施形態では」、「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、または「他の実施形態では」という句は、各々、本開示による同じまたは異なる実施形態のうちの1つ以上を指し得る。「AまたはB」という形式の句は、「(A)、(B)、または(AおよびB)」を意味する。「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という形式の句は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)」を意味する。
【0084】
本明細書に記載の方法、プログラム、アルゴリズムまたはコードのいずれかは、プログラミング言語またはコンピュータプログラムに変換されてもよく、またはプログラミング言語またはコンピュータプログラムで表現されてもよい。本明細書で使用される場合、「プログラミング言語」および「コンピュータプログラム」という用語は、各々、コンピュータへの命令を指定するために使用される任意の言語を含み、以下の言語およびその派生物を含む(ただし、これに限定されない)。アセンブラ、Basic、バッチファイル、BCPL、C、C+、C++、Delphi、Fortran、Java、JavaScript、マシンコード、オペレーティングシステムのコマンド言語、Pascal、Perl、PL1、Python、スクリプト言語、Visual Basic、プログラムを指定するメタ言語、およびすべての第1世代、第2世代、第3世代、第4世代、第5世代、またはさらなる世代のコンピュータ言語。データベースおよび他のデータスキーマ、および任意の他のメタ言語も含まれる。インタープリタ型であるか、コンパイル型であるか、またはコンパイル型およびインタープリタ型の両方のアプローチを使用する言語は区別されない。プログラムのコンパイルされたバージョンとソースバージョンとは、区別されない。したがって、プログラムは、プログラミング言語が2つ以上の状態(ソース、コンパイル型、オブジェクト、またはリンクなど)で存在し得る場合、任意のおよびすべてのそのような状態への言及である。
【0085】
本明細書で説明するシステムはまた、1つ以上のコントローラを利用して、様々な情報を受信し、受信した情報を変換して出力を生成し得る。コントローラは、メモリに記憶される一連の命令を実行することができる任意のタイプのコンピューティングデバイス、計算回路、または任意のタイプのプロセッサもしくは処理回路を含み得る。コントローラは、複数のプロセッサおよび/またはマルチコア中央処理ユニット(CPU)を含んでもよく、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など任意のタイプのプロセッサを含んでもよい。コントローラはまた、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに1つ以上の方法および/またはアルゴリズムを実行させるデータおよび/または命令を記憶するためのメモリを含んでもよい。
【0086】
前述の説明は、単に本開示を示すにすぎないことを理解されたい。本開示から逸脱することなく、様々な代替および修正が当業者によって考案され得る。したがって、本開示は、すべてのそのような代替、修正、および変異を包含することを意図する。添付の図面を参照して説明される実施形態は、本開示の特定の例を示すためにのみ提示される。上記のものとごくわずかに異なる他の要素、ステップ、方法、および技術もまた、本開示の範囲内にあることが意図される。