(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】金属製品または合金製品の表面処理方法、および金属製品または合金製品
(51)【国際特許分類】
C25F 3/24 20060101AFI20240318BHJP
C25D 11/34 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
C25F3/24
C25D11/34 F
(21)【出願番号】P 2021522543
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 EP2019078784
(87)【国際公開番号】W WO2020083952
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102018218393.7
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508312027
【氏名又は名称】アエスクラップ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】バイエル ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ボーナー シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ドイッチェンドルフ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ガスナー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シャウアー ラモン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイデリッヒ ルーカス
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05057108(US,A)
【文献】登録実用新案第3215968(JP,U)
【文献】特開平06-088300(JP,A)
【文献】中国特許第106048707(CN,B)
【文献】特開平03-118049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25F 3/24
C25D 11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製品または合金製品の表面処理方法および/または製造方法であって、以下の工程:
a)金属製品または合金製品の表面のつや消し
b)金属製品または合金製品の前記つや消し表面の電気化学的処理
を含み、
工程a)を実施するためにブラスト媒体が使用され、前記ブラスト媒体が、金属または合金を含み、
工程b)を実施するために金属製品または合金製品の前記つや消し表面の電解研磨が実施され、
金属製品または合金製品は、外科用器具、外科用器具の中間体、または外科用器具の構成要素である、方法。
【請求項2】
金属製品または合金製品の表面の研削が工程a)の前に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブラスト媒体がステンレス鋼を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブラスト媒体が角および/または端を
有していないことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程b)が複数回実施されることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程b)が、それぞれ30秒~120秒、45秒~90秒、または60秒の期間にわたって実施されることを特徴とする、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程c)金属製品または合金製品の電気化学的に処理された表面の不動態化が、工程b)の後に行われることを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
クエン酸および/または硝酸を含有する不動態化水溶液が工程c)を実施するために使用されることを特徴とする、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程d)金属製品または合金製品の包装を工程c)の後に行うこと、および工程cd)金属製品または合金製品の滅菌を工程c)と工程d)との間で行なうこと、または工程e)金属製品または合金製品の滅菌を工程d)の後に行うことを特徴とする
請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
金属製品または合金製品が鋼からなることを特徴とする、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記鋼が非錆性または耐食性ステンレス鋼であることを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記外科用器具の中間体が半完成部品、ブランクもしくは部分的に製造された部品である請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記外科用器具が拡開器具、把持器具、クランプ器具、切断器具、縫合器具、内視鏡、および組み合わされた器具からなる群から選択される請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記外科用器具、前記外科用器具の中間体、または前記外科用器具の構成要素が、標準水素電極に対して測定して100mV~1200mVの孔食電位を有し、および/またはASTM D 7334-08に従って測定して60°~140°の接触角を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属製品または合金製品の表面処理および/または製造方法に関し、また、この方法によって製造されたまたは製造することができる金属製品または合金製品に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製品または合金製品、例えば外科用器具は一般に、その製造が完了する前に表面処理を受ける。このために、製品の表面は最初に、バレル仕上げおよび/またはベルト研磨の手段によって処理することができる。このようにして、そうしなければ製品の耐食性に悪影響を及しうる前駆体材料中の欠陥および/または鍛造に関連する欠陥、例えば、脱炭領域、または表面欠陥、例えば気孔、隆起領域または亀裂を排除することができる。
【0003】
金属製品または合金製品の研磨処理は通常、複数の工程で行われ、材料の除去は徐々に増加し、表面粗さは減少する。
【0004】
製品表面上の微細なノッチまたは隆起領域が、ベルト研磨によって形成され得る。これらは、後続の処理工程の間に曲げられるか、または圧入され得る。このようにして、材料の蓄積が生じ得る。さらに、研磨ベルトから製品表面への材料、例えば炭化ケイ素粒子の散乱移動が起こり得る。材料のこのような移送および機械的作業によって生じるストレスは、次に、製品内に残留ストレスを生じさせ、または増加させ得る。問題は、研削中に除去されなかったか、または研削中に生じた表面欠陥が、後続の処理工程において限られた程度にしか除去され得ないことである。
【0005】
研削工程に続くつや消し工程では、通常は球状のブラスト媒体、例えばガラスビーズが製品表面上に加速される。これは、製品表面の塑性変形をもたらし、その結果、後者は拡大され、粗面化される。ガラスビーズは一般に非常に硬く(硬度6モース)、また脆いので、ブラスト媒体はつや消し中に部分的に破壊される。その結果、球状ガラスビーズと破壊されたガラスビーズの両方が製品の表面に衝突する。破壊されたガラスビーズは製品表面に鋭いノッチを生成するが、破壊されていないガラスビーズは製品の表面に球形の刻み目を残す。破壊されたガラスビーズと破壊されていないガラスビーズとの衝突は、破壊されたガラスビーズによってノッチされた製品表面と、破壊されていないガラスビーズによって平滑化された製品表面との間の相互作用をもたらす。このようにして、材料蓄積が同様に生じる。塑性変形およびそれに伴う製品応力の生成に加えて、ブラスト媒体の材料の製品表面への移送が行われ得る。この材料の転写は、ガラスビーズの材料が蓄積され得るノッチの領域において特に高い。
【0006】
ガラスビーズの例について上述したブラスト媒体処理の代替として、金属製品または合金製品の表面をブラッシングすることができる。このために、製品表面は、例えば、ディスク形状の研磨不織布の手段によって、または研磨粒子を有するディスクの形態で配置されたナイロン繊維によって、ブラシディスクで加工することができる。酸化アルミニウムおよび/または酸化ケイ素粒子が、通常、ブラシディスクに塗布される。しかしながら、欠点は、ブラシ処理された製品表面がつや消しされた製品表面よりも強い反射挙動を有することである。
【0007】
金属製品または合金製品の表面に材料蓄積によって形成された微小クラックまたはノッチ、およびそれに伴う製品内の残留応力の発生または増加が製品の耐食性に悪影響を及ぼすことが知られている。材料の転写の場合、例えばベルト研磨および/またはつや消し中に、転写された材料は、追加の微小亀裂を発生させ、不動態化層の脆弱化をもたらす可能性がある。
【0008】
金属製品または合金製品の表面処理におけるさらなる問題は、表面変色の発生である。これは、多くの場合、ケイ酸塩堆積物、酸化チタン堆積物、およびウォータスポットに起因する。ウォータスポットは簡単な対策、例えば脱イオン水の使用および/またはすすぎ後の直接乾燥によって予防または除去することができるが、酸化チタン堆積物およびケイ酸塩堆積物の予防または除去は比較的困難である。
【0009】
酸化チタン堆積物およびケイ酸塩堆積物は化学的に中性であり、したがって衛生的に問題がない。しかしながら、それらの外観のために、それらは、いつでも、誤って、衛生的に警戒心を抱かせる。両タイプの堆積物の視覚的変色は、厚さがナノメートル範囲にある生成物層上の白色光の反射と干渉に基づいている。
【0010】
大面積の酸化チタン堆積物の原因は、一般に使用される洗浄剤である。酸化チタン堆積物は最初に、そして最前面で、滑らかで光沢のある製品表面上に見られる。
【0011】
ケイ酸塩堆積物は、蒸気滅菌中に、水中に溶解したシリカが金属製品または合金製品の表面に堆積することによって生じる。液滴形状のために、このタイプのケイ酸塩層は、マットな製品表面上で特によく見られる。これらは、液滴の端で光をより強く反射し、良好な視認性に関連する。プロセスエンジニアリングの観点から、ケイ酸塩堆積物を完全に回避するためには、非常に高価な水処理が必要であろう。
【0012】
このように、ケイ酸塩堆積物は主にマットな表面上に現れるが、酸化チタン堆積物は主に滑らかな表面上に容易に見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はこの種の方法で生じる欠点を少なくとも部分的に回避し、特に、耐食性の改善をもたらし、また、対応して処理されたおよび/または製造された金属製品または合金製品における表面変色の発生の減少をもたらす、金属製品または合金製品の表面処理および/または製造のための方法を提供するという課題に取り組む。
【0014】
本発明によって対処されるさらなる問題は、対応する金属製品または合金製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の問題は、独立請求項1の特徴を有する方法によって、また、請求項15に記載の金属製品または合金製品によって、本発明に従って解決される。本方法の好ましい実施形態は従属請求項の主題であり、明細書の主題でもある。すべての特許請求の範囲の表現は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0016】
第1の態様では、本発明は金属製品または合金製品の表面処理および/または製造の方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む:
a)金属製品または合金製品の表面のつや消し
b)金属製品または合金製品のつや消し表面の電気化学的処理。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的のために、「金属製品」という表現は金属を含むか、または金属からなる製品を指し、本発明の目的のために使用される「金属製品」という表現は、好ましくは金属からなる製品を指す。
【0018】
本発明の目的のために、「合金製品」という表現は合金を含むか、または合金からなる製品を指し、本発明の目的のために使用される「合金製品」という表現は、好ましくは合金から構成される製品を指す。
【0019】
本発明の目的のために、「合金」という表現は少なくとも1つの元素が金属である少なくとも2つの元素(成分)からなる巨視的に均質な金属材料を指す。したがって、「合金」という表現は本発明の目的のために、少なくとも2つの異なる金属からなる巨視的に均質な金属材料を指すことができ、代替として、本発明の目的のために使用される「合金」という表現は、少なくとも1つの金属と少なくとも1つの非金属、例えば炭素、からなる巨視的に均質な金属材料を指すことができる。
【0020】
驚くべきことに、金属製品または合金製品の表面処理に関連して先行技術において生じる欠点は、つや消し工程と電気化学的処理工程との組合せによって、部分的にまたは完全にさえ回避され得ることが見出された。したがって、本発明によるつや消し工程(工程a))は特に有利には製品表面の反射挙動の減少をもたらし、その結果、外科医の眩惑を防止することができる。その後の電気化学的処理工程(工程b))の結果として、金属製品または合金製品の耐食性を有利に改善することができ、堆積物の付着(表面変色)を低減することができる。
【0021】
本発明の一実施形態では金属製品または合金製品の表面の研削、好ましくはバレル仕上げおよび/またはベルト研磨は工程a)の前に実施される。
【0022】
バレル仕上げのために、金属製品または合金製品は好ましくはバルク材料として構成されるバレル仕上げ体と一緒に、またはバレル仕上げ体および任意に添加剤を含有する水溶液と一緒に、容器に導入される。任意に提供される添加剤は防食剤、脱脂剤、酸洗剤、剥離剤(例えば、<1mmの直径を有するプラスチック球体)およびそれらの混合物からなる群より選択することができる。このような溶液により、有利にはバレル仕上げ体から生じる研磨された材料、および製品から除去された材料を取り上げて運び去ることが可能になる。特定の場合に使用される添加剤に応じて、さらなる効果、例えば腐食保護、脱脂および接着予防をさらに実現することができる。
【0023】
容器の振動または回転運動は、金属製品または合金製品とバレル仕上げ体との間の相対運動をもたらす。これにより、金属製品または合金製品から、特にその端で材料が除去される。金属製品または合金製品の表面外観、粗さ、材料の除去、およびバリ取り性能は、有利には機械、バレル仕上げ体、およびバレル仕上げに使用される任意の添加剤によって、目標とする方法で影響を受けることができる。
【0024】
バレル仕上げ体は、セラミック、ポリマー、クルミ殻などの天然産物、鋼、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料を含むか、またはそれらからなることができる。
【0025】
バレル仕上げ体は、原則として、規則的な形状および/または不規則な形状とすることができる。
【0026】
バレル仕上げ体は特に、角および/または端が無くてもよく、例えば、楕円体、トロイダルまたは球形の形状を有する。
【0027】
代替として、または組み合わせて、バレル仕上げ体は、角および/または端を有していることができる。特に、バレル仕上げ体は多面体形状を有することができ、例えば、立方体形状、立方体形状、プリズム形状、ピラミッド形状またはヘラミッド形状を有することができる。さらに、バレル仕上げ体は特に、直角プリズムおよび/または斜角プリズムとして構成することができる。
【0028】
代替として、または組み合わせて、バレル仕上げ体は、円錐形状を有することができる。
【0029】
さらに、金属製品または合金製品をバレル仕上げするために、異なる形状のバレル仕上げ体の混合物を使用することができる。例えば、角および/または端を有しておらずかつ多面体であるバレル仕上げ体を使用することができる。代替として、または組み合わせて、異なる形状の角および/または端を有していないバレル仕上げ体および/または異なる多面体バレル仕上げ体を使用することができる。可能な構成および形状に関しては、バレル仕上げ体について前段落で説明した構成および形状の全体を参照する。
【0030】
バレル仕上げ体はまた、少なくとも1つの寸法、特に少なくとも1つの平均寸法、例えば直径、特に平均直径、および/または高さ、特に平均高さ、および/または長さ、特に平均長さが、1mm~80mmの範囲であることができる。ここで、球形状バレル仕上げ体の直径は、単一の球形状バレル仕上げ体の半径の2倍の本発明の目的のためである。一方、非球形バレル仕上げ体の直径は本発明の目的のために、円周線に沿って単一のバレル仕上げ体を包含することができる2点間の最大の可能な距離である。この段落で言及される平均的な寸法は例えば、嵩密度測定および/または光学測定の手段によって決定することができる。バレル仕上げは、ドラム仕上げ、振動仕上げ、浸漬切削、抗力仕上げ、遠心切削または圧力ラッピングとして行うこともできる。
【0031】
金属製品または合金製品のベルト研磨は、研磨ベルトを用いて行うことが好ましい。このためには、特に少なくとも2つのローラの周りを走行する研磨ベルトを用いることができる。研磨ベルトは、好ましくは150~1200のメッシュサイズを有する。メッシュサイズ番号は、1インチ(25.4mm)あたりのメッシュ開口数である。従って、メッシュサイズ150を有する研磨材は例えば、1インチ当たり150個の開口部を有する篩を通過するだけである。
【0032】
本発明によれば、例えば、最初にバレル仕上げを行い、続いてベルト研磨を、工程a)を実施する前に実施することができる。ベルト研磨は金属製品または合金製品のいわゆるカットオフ領域の処理に関して特に有利であるが、このような領域の外側でもある。カットオフ領域は特に金属製品または合金製品の幾何学的形状および/または構成のために、バレル仕上げ体もはや有効でないか、または表面上で限定された有効性しか有さない、金属製品または合金製品の領域を定義する。
【0033】
代替として、工程a)を実施する前に、バレル仕上げの手段によってのみ、金属製品または合金製品の表面を研削することができる。これは、製品表面上のベルト研磨から生じるノッチおよび/または隆起領域の形成を回避することを可能にし、従って、金属製品または合金製品の耐食性を更に改善することを可能にする。
【0034】
代替として、工程a)が実施される前に、ベルト研磨の手段によってのみ、金属製品または合金製品の表面を同様に良好に研削することができる。
【0035】
本発明のさらなる実施形態では、工程a)を実施するために、ブラスト媒体、特に延性、すなわち非脆性のブラスト媒体が使用される。そのようなブラスト媒体の使用は、特に有利にはノッチおよび/または微小亀裂の形成を防止するか、または少なくとも低減することを可能にする。その結果、製品における局部応力ピークの発生を回避するか、または少なくとも低減することができ、特に、金属製品または合金製品の耐食性を追加的に改善することができる。さらに、このようなブラスト媒体を使用することによって、金属製品または合金製品の耐引掻性を有利に改善することができる。
【0036】
原則として、ブラスト媒体は、金属、金属酸化物、合金、セラミック、ポリマー、植物材料、砂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含むか、またはそれらからなることができる。
【0037】
金属は、特にアルミニウムとすることができる。
【0038】
金属酸化は、特にアルミナ(Al2O3)とすることができる。
【0039】
ポリマーは特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂またはメラミン樹脂とすることができる。
【0040】
セラミックは特に、ガラスまたは混合セラミックとすることができる。
【0041】
合金は特に、鋼、好ましくはステンレス鋼とすることができる。
【0042】
砂は特に、ざくろ石砂とすることができる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態では、ブラスト媒体が金属もしくは合金を含むか、または金属もしくは合金からなる。このようなブラスト媒体は特に、破損せず、従って、金属製品または合金製品の表面にノッチを生じさせないという利点を有する。さらに、製品表面への材料の移動を回避することができる。全体として、金属製品または合金製品の耐食性は、付加的に改善され、それによって、製品内の望ましくない残留応力の発生を回避することができる。さらに、このようなブラスト媒体は、金属製品または合金製品の耐引掻性を増大させるのに特に適している。
【0044】
ブラスト媒体は、好ましくは鋼、特にステンレス鋼からなるか、または鋼、特にステンレス鋼からなる。このようなブラスト媒体は、最後の段落で述べた利点を特に強くもたらすことができる。
【0045】
原則として、ブラスト媒体は規則的および/または不規則な形状を有することができ、特に、規則的および/または不規則な形状のブラスト媒体本体として存在することができる。
【0046】
本発明のさらなる実施形態では、ブラスト媒体は角および/または端を有しておらず、特に、角および/または端を有していないブラスト媒体本体として構成されている。このようにすれば、金属製品または合金製品の表面に切欠きを形成することが回避され、その耐食性を向上させることができる。
【0047】
原則として、ブラスト媒体は楕円形、トロイダル形、球形、またはビーズ状の形状を有することができ、または対応して構成されたブラスト媒体本体の形成で存在することができる。
【0048】
ブラスト媒体は、好ましくは球状および/またはビーズ状の形状を有するか、または球状および/またはビーズ状のブラスト媒体本体として構成される。
【0049】
代替として、または組み合わせて、ブラスト媒体は、角および/または端を有することができる。特に、ブラスト媒体は多面体、例えば、立方体、立方体、プリズム形状、ピラミッド状であってもよく、またはへら状の形状を有してもよく、または対応して構成されたブラスト媒体本体として存在していてもよい。ブラスト媒体は直角プリズムまたは斜角プリズムの形状を有していてもよく、または対応して構成されたブラスト媒体本体の形で存在していてもよい。
【0050】
代替として、または組み合わせて、ブラスト媒体は円錐形状を有していてもよく、または円錐ブラスト媒体本体の形で存在していてもよい。
【0051】
代替として、または組み合わせて、ブラスト媒体は、球形で、例えば丸い導線の形で、または対応して構成されたブラスト媒体本体の形で存在していてもよい。
【0052】
代替として、または組み合わせて、ブラスト媒体は、破壊された形で、特に破壊された研磨体の形で存在していてもよい。
【0053】
さらに、ブラスト媒体またはブラスト媒体本体は、少なくとも1つの寸法、特に少なくとも1つの平均寸法、例えば直径、特に平均直径、および/または高さ、特に平均高さ、および/または長さ、特に平均長さを、40μm~2000μmの範囲で有していることができる。ここで、球形ブラスト媒体または球形ブラスト媒体本体の直径は本発明の目的のために、球形ブラスト媒体または単一の球形ブラスト媒体本体の半径の2倍である。他方、非球形ブラスト媒体または非球形ブラスト媒体本体の直径は本発明の目的のために、非球形ブラスト媒体または単一の非球形ブラスト媒体本体を円周線に沿って包含することができる2つの点の間の可能な最大距離である。この段落で言及される平均的な寸法は例えば、レーザー光散乱または篩分析の手段によって決定することができる。
【0054】
金属製品または合金製品の表面上へブラスト媒体またはブラスト媒体本体を加速するために、例えば、圧力ジェットシステム、インジェクタジェットシステム、または遠心ホイールシステムを使用することが可能である。圧力ジェットシステムまたはインジェクタジェットシステムが使用される場合、1バール(bar)から6バールの圧力を採用することができる。
【0055】
本発明のさらなる実施形態では、金属製品または合金製品のつや消し表面の電解研磨が工程b)を実施するために実施される。ここで、金属製品または合金製品の表面は通常、電解質中で陽極酸化処理により除去され、すなわち、金属製品または合金製品は、電気化学セル中で陽極を形成する。電解研磨は、金属製品または合金製品の表面粗さを特に有利に減少させ、従って、その腐食に対する感受性を低下させる。ステンレス鋼からなる製品の場合、電解研磨は電解研磨プロセス中のクロムおよびニッケルの含有量を増加させるという追加の利点を有し、その結果として、その後の不動態化層の形成を促進することができる。
【0056】
電解研磨を行うためには、通常、水性電解質が使用される。電解質は、好ましくは水に加えて無機酸または無機酸混合物を含有する。鉱酸は特に、リン酸、硫酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。リン酸および/または硫酸を含有する水性電解質は、金属製品または合金製品、特にステンレス鋼製の製品の表面を電解研磨するのに特に有利であることが見出されている。
【0057】
さらに、電解研磨は水溶液電解質、特に老化した水溶液電解質を使用して実施することができ、この水溶液電解質は、それぞれ電解質の総重量に基づいて、45重量%のリン酸含有量または35重量%の硫酸含有量を有する。
【0058】
電解質はまた、添加剤、例えば界面活性物質を含むことができる。
【0059】
電解質の腐食性は、その中の水の割合によって、目標とする方法で有利に制御することができる。
【0060】
金属製品または合金製品のつや消し表面の電解研磨は、2Vから10Vの直流電圧を用いて行うことが好ましい。電解研磨中にDC電圧を一定に保つことができる。代替として、DC電圧は、電解研磨中に変化させることができる。
【0061】
5A/dm2~50A/dm2の電流密度は、好ましくは金属製品または合金製品のつや消し表面の電解研磨のために設定される。
【0062】
さらに、電解研磨は、50℃~65℃の温度で行うことができる。
【0063】
金属製品または合金製品は、電解研磨前に洗浄および/または脱脂することができる。
【0064】
本発明のさらなる実施形態では、工程b)を実施するために、金属製品または合金製品のつや消し表面の陽極酸洗いが実施される。ここで、製品表面からの金属または合金の除去は、原則として、直流電解液中での適当な電解質の手段による上記の電解研磨と同様の方法で陽極酸化処理により行われる。除去作用は、金属または合金の溶解および/または形成されたガス、特に酸素による金属酸化物の剥離に基づく。電解質としては、リン酸、硫酸またはこれらの混合物を含む水性電解質を使用することが可能である。さらに、陽極酸洗は上記の電解研磨と同様に、特に浸漬浴中で行うことができる。金属または合金の除去は特に、電流密度および/または時間を介して制御することもできる。
【0065】
本発明のさらなる実施形態において、工程b)は、複数回、特に2回実施される。このようにして、金属製品または合金製品の幾何学的特異性、例えば金属製品または合金製品の端部は、関連するシャドウイングが発生することなく均一に処理することができる。金属製品または合金製品の端部はわずかなシャドウイングしか生じないように、2つの位置で処理することができる。代替として、工程b)が行われている間、金属製品または合金製品をゆっくりと関節運動させることが好ましい。
【0066】
本発明のさらなる実施形態では、工程b)はそれぞれ30秒~120秒、特に45秒~90秒、好ましくは60秒の期間にわたって実施される。前項で述べた利点も同様に当てはまる。
【0067】
本発明のさらなる実施形態では、工程b)の後に、工程c)金属製品または合金製品の電気化学的に処理された、特に電解研磨または陽極酸化処理仕上げされた表面の不動態化、が実施される。このようにして、不動態化層または不動態層、すなわち保護層を、金属製品または合金製品の電気化学的に処理された、特に電解研磨された、または陽極酸化処理仕上げされた表面上に、目標とする方法で生成することができる。金属製品または合金製品の耐食性は、このようにして追加的に改善することができる。鋼製品、特にステンレス鋼製品のケースでは、工程c)の手段によって、例えば、製品表面上に増加した酸化クロム層を形成することが可能である。
【0068】
本発明のさらなる実施形態では、いわゆる不動態化溶液、すなわち酸含有水溶液が工程c)を実施するために使用される。工程c)を実施するために、クエン酸、硝酸またはクエン酸と硝酸との混合物を含有する不動態化水溶液を使用することが好ましい。例えば、希釈クエン酸水溶液、特に、希釈クエン酸水溶液の総重量に基づいて5重量%~60重量%のクエン酸含量を有するものを不動態化溶液として使用することができる。代替として、希硝酸水溶液、特に、希硝酸水溶液の総重量に基づいて5重量%~60重量%の硝酸含量を有するものを不動態化溶液として使用することができる。
【0069】
クエン酸の使用は健康の観点および職業衛生の観点の両方から、硝酸の使用を上回る利点を有する。さらに、硝酸を使用する場合よりもステンレス鋼を含むかまたはステンレス鋼からなる製品の場合にはクエン酸を手段することによって、より厚い酸化クロム層を実現することができ、その理由は硝酸を使用する場合にはステンレス鋼の場合には他の合金成分の割合も減少するからである。
【0070】
工程c)を実施するために、金属製品または合金製品を、例えば、不動態化溶液中に浸漬することができる。代替として、不動態化溶液は、金属製品または合金製品の表面上に噴霧または注ぐことができる。
【0071】
さらに、工程c)は、2分~2時間、特に5分~60分、好ましくは10分~30分の期間実施することができる。
【0072】
さらに、工程c)は、20℃~80℃、特に30℃~65℃、好ましくは50℃~60℃の温度範囲で実施することができる。
【0073】
さらに、工程bc)金属製品または合金製品の洗浄および/または脱脂、特に金属製品または合金製品の電気化学的に処理された、特に電解研磨または陽極酸化処理仕上げされた表面の洗浄および/または脱脂を、工程b)と工程c)との間で行うことができる。
【0074】
さらに、工程c)の後に、工程d)金属製品または合金製品の包装および/またはマーキング、特にラベル付けを行うことができる。
【0075】
さらに、工程c)と工程d)との間に、金属製品または合金製品の工程cd)滅菌、特に蒸気滅菌を実施することができる。代替として、工程d)の後に、金属製品または合金製品の工程e)滅菌、特に蒸気滅菌を実施することができる。
【0076】
本発明のさらなる実施形態では、金属製品または合金製品が鋼、特にステンレス鋼または錆びない鋼を含むか、または鋼、特にステンレス鋼または錆びない鋼からなる。
【0077】
本発明の目的のために(EN10020と一致して)、「ステンレス鋼」という表現は、特定の純度、例えば≦0.025%、特に<0.025%の硫黄および/またはリンの質量比を有する合金鋼または非合金鋼を指す。
【0078】
鋼は、好ましくは非錆性または耐食性の鋼、特に非錆性または耐食性のステンレス鋼である。
【0079】
鋼は特に、フェライト鋼、マルテンサイト鋼、オーステナイト-フェライト鋼またはオーステナイト鋼とすることができる。
【0080】
鋼は、好ましくはマルテンサイト耐食鋼、特にいわゆる炭素マルテンサイト、すなわち主合金成分としてクロムおよび炭素を有する耐食鋼、またはいわゆるニッケルマルテンサイト、すなわちISO7153-1による主合金成分としてニッケルを有する耐食鋼である。
【0081】
例えば、鋼は、材料略称X12Cr13(材料番号1.4006)を有する鋼とすることができる。これは、炭素の質量比が0.08%~0.15%、クロムの質量比が11.5%~13.5%、ニッケルの質量比が0.75%以下のマルテンサイト鋼である。
【0082】
代替として、鋼は材料略称X12CrS13(材料番号1.4005)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.08~0.15%であり、クロムの質量比が12.0~14.0%であり、モリブデンの質量比が≦0.60%であり、および任意に硫黄の質量比が0.15~0.35%である。
【0083】
代替として、鋼は、材料略称X20Cr13(材料番号:1.4021)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.16%~0.25%であり、クロムの質量比が12.0%~14.0%である。
【0084】
代替として、鋼は材料略称X15Cr13(材料番号:1.4024)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.12%~0.17%であり、クロムの質量比が12.0%~14.0%である。
【0085】
代替として、鋼は、材料略称X30Cr13(材料番号:1.4028)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.26%~0.35%であり、クロムの質量比が12.0%~14.0%である。
【0086】
代替として、鋼は材料略称X46Cr13(材料番号:1.4034)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.43%~0.50%であり、クロムの質量比が12.5%~14.5%である。
【0087】
代替として、鋼は材料略称X50CrMoV15(材料番号:1.4116)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.45%~0.55%であり、クロムの質量比が14.0%~15.0%であり、モリブデンの質量比が0.50%~0.80%であり、バナジウムの質量比が0.10%~0.20%である。
【0088】
代替として、鋼は材料略称X17CrNi16-2(材料番号:1.4057)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.12%~0.22%であり、クロムの質量比が15.0%~17.0%であり、ニッケルの質量比が1.5%~2.5%である。
【0089】
代替として、鋼は材料略称X39CrMo17-1(材料番号:1.4122)のマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.33%~0.45%であり、クロムの質量比が15.5%~17.5%であり、モリブデンの質量比が0.8%~1.3%であり、ニッケルの質量比が1.0%以下である。
【0090】
代替として、鋼は材料略称X14CrMoS17(材料番号:1.4104)のマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.10%~0.17%、クロムの質量比が15.5%~17.5%、モリブデンの質量比が0.20%~0.60%、硫黄の質量比が0.15%~0.35%である。
【0091】
代替として、鋼は材料略称X3CrNiMo13-4(材料番号:1.4313)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.05%であり、クロムの質量比が12.0%~14.0%であり、モリブデンの質量比が0.3%~0.7%であり、ニッケルの質量比が3.5%~4.5%である。
【0092】
代替として、鋼は、材料略称X4CrNiMo16-5-1(材料番号:1.4418)を有するマルテンサイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.06%であり、クロムの質量比が15.0%~17.0%であり、モリブデンの質量比が0.80%~1.50%であり、ニッケルの質量比が4.0%~6.0%である。
【0093】
代替として、鋼は、材料略称X65Cr13を有するマルテンサイト鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.58%~0.70%であり、クロムの質量比が12.5%~14.5%であり、マンガンの質量比が1.00%以下であり、ケイ素の質量比が1.00%以下であり、リンの質量比が0.04%であり、硫黄の質量比が0.015%である。
【0094】
代替として、鋼は、材料略称X30CrMoN15-1(材料番号:1.4108)を有するマルテンサイト鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.25%~0.35%であり、クロムの質量比が14.0%~16.0%であり、モリブデンの質量比が0.85%~1.10%であり、ニッケルの質量比が0.50%であり、マンガンの質量比が1.00%であり、ケイ素の質量比が1.00%であり、窒素の質量比が0.03%~0.50%である。
【0095】
代替として、鋼は、材料略称X70CrMo15(材料番号:1.4109)を有するマルテンサイト鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.60%~0.75%であり、クロムの質量比が14.0%~16.0%であり、モリブデンの質量比が0.40%~0.80%であり、マンガンの質量比が≦1.00%であり、ケイ素の質量比が≦0.70%であり、リンの質量比が0.04%であり、硫黄の質量比が0.015%である。
【0096】
代替として、鋼は、材料略称X90CrMoV18(材料番号:1.4112)を有するマルテンサイト鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.90%であり、クロムの質量比が17%~19%であり、モリブデンの質量比が0.90%である。
【0097】
代替として、鋼は、材料略称X38CrMoV15(材料番号:1.4117)を有するマルテンサイト鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.38%であり、クロムの質量比が14%~15%であり、モリブデンの質量比が0.50%である。
【0098】
代替として、鋼は、材料略称X150CrMo17(材料番号:1.4125)を有するマルテンサイト鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が1.10%であり、クロムの質量比が17%であり、モリブデンの質量比が0.60%である。
【0099】
代替として、鋼は、材料略称X22CrMoNiS13-1(材料番号:1.4121)を有するマルテンサイト鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.20%~0.25%であり、クロムの質量比が12.0%~14.0%であり、モリブデンの質量比が1.00%~1.50%であり、ニッケルの質量比が0.80%~1.20%であり、マンガンの質量比が1.00%~1.50%であり、ケイ素の質量比が≦1.00%、リンの質量比が0.045%であり、硫黄の質量比が0.15%~0.25%である。
【0100】
代替として、鋼は、材料略称X40CrMoVN16-2(材料番号:1.4123)を有するマルテンサイト鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が0.35%~0.50%であり、クロムの質量比が14.0%~16.0%であり、モリブデンの質量比が1.00%~2.50%であり、ニッケルの質量比が0.5%であり、マンガンの質量比が1.00%以下であり、ケイ素の質量比が1.00%以下であり、リンの質量比が0.04%であり、硫黄の質量比が0.015%である。
【0101】
代替として、鋼は、材料略称X105CrMo17(材料番号:1.4125)を有するマルテンサイト鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が0.95%~1.20%であり、クロムの質量比が16.0%~18.0%であり、モリブデンの質量比が0.04%~0.80%であり、マンガンの質量比が1.00%以下であり、ケイ素の質量比が1.00%以下であり、リンの質量比が0.040%以下、硫黄の質量比が0.015%以下である。
【0102】
代替として、鋼は、材料略称X5CrNiCuNb16-4(材料番号:1.4542)を有する析出硬化型耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.07%であり、クロムの質量比が15.0%~17.0%であり、モリブデンの質量比が≦0.60%であり、ニッケルの質量比が3.0%~5.0%であり、銅の質量比が3.0%~5.0%であり、ニオブの質量比が0.45%以下である。
【0103】
代替として、鋼は、材料略称X7CrNiAl17-7(材料番号:1.4568)を有する析出硬化型耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.09%であり、クロムの質量比が16.0%~18.0%であり、ニッケルの質量比が6.5%~7.8%であり、アルミニウムの質量比が0.70%~1.50%である。
【0104】
代替として、鋼は、材料略称X5CrNiMoCuNb14-5(材料番号:1.4594)を有する析出硬化型耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.07%であり、クロムの質量比が13.0%~15.0%であり、モリブデンの質量比が1.20%~2.00%であり、ニッケルの質量比が5.0%~6.0%であり、銅の質量比が1.20%~2.00%であり、ニオブの質量比が0.15%~0.60%である。
【0105】
代替として、鋼は、材料略称X3CrNiTiMb12-9(材料番号:1.4543)を有する析出硬化型耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.03%であり、クロムの質量比が11.0%~12.5%であり、モリブデンの質量比が≦0.50%であり、ニッケルの質量比が3.00%~5.00%であり、チタンの質量比が≦0.90%~1.40%であり、銅の質量比が1.50%~2.50%であり、ニオブの質量比が0.10%~0.50%であり、マンガンの質量比が0.50%であり、ケイ素の質量比が0.50%であり、リンの質量比が0.02%であり、硫黄の質量比が0.015%である。
【0106】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNi12(材料番号:1.4003)を有するフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.03%であり、クロムの質量比が10.5%~12.5%であり、ニッケルの質量比が0.3%~1.00%であり、窒素の質量比が≦0.03%である。
【0107】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNi12(材料番号:1.4512)を有するフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.03%以下であり、クロムの質量比が10.5%~12.5%であり、チタンの質量比が0.65%以下である。
【0108】
代替として、鋼は材料略称X6Cr17(材料番号:1.4016)を有するフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.08%であり、クロムの質量比が16.0%~18.0%である。
【0109】
代替として、鋼は、材料略称X3CrTi17(材料番号:1.4510)を有するフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.05%以下であり、クロムの質量比が16.0%~18.0%であり、チタンの質量比が0.80%以下である。
【0110】
代替として、鋼は材料略称X6CrMoS17(材料番号:1.4105)を有するフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.08%であり、クロムの質量比が16.0%~18.0%であり、モリブデンの質量比が0.20%~0.60%であり、硫黄の質量比が0.15%~0.35%である。
【0111】
代替として、鋼は材料略称X3CrNb17(材料番号:1.4511)を有するフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.05%以下であり、クロムの質量比が16.0%~18.0%であり、ニオブの割合が1.00%以下である。
【0112】
代替として、鋼は、材料略称X2CrTiNb18(材料番号:1.4509)を有するフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.03%以下であり、クロムの質量比が17.5%~18.5%であり、ニオブの質量比が1.00%以下であり、チタンの質量比が0.10%~0.60%である。
【0113】
代替として、鋼は材料略称X6CrMo17-1(材料番号:1.4113)のフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は炭素の質量比が0.08%以下であり、クロムの質量比が16.0%~18.0%であり、モリブデンの質量比が0.90%~1.40%である。
【0114】
代替として、鋼は、材料略称X2CrMoTi18-2(材料番号:1.4521)を有するフェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.025%であり、クロムの質量比が17.0%~20.0%であり、モリブデンの質量比が1.80%~2.50%であり、チタンの質量比が0.80%以下である。
【0115】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNi22-2(材料番号:1.4062)を有するオーステナイト・フェライト系耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.03%であり、クロムの質量比が21.5%~24.0%であり、モリブデンの質量比が≦0.45%であり、ニッケルの質量比が1.00%~2.90%であり、窒素の質量比が0.16%~0.28%である。
【0116】
代替として、鋼は、材料略称X2CrMnNiN21-5-1(材料番号:1.4162)を有するオーステナイト・フェライト系耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.04%であり、クロムの質量比が21.0%~22.0%であり、モリブデンの質量比が0.10%~0.80%であり、ニッケルの質量比が1.35%~1.70%であり、マンガンの質量比が4.0%~6.0%であり、窒素の質量比が0.20%~0.25%であり、の銅の質量比がおよび0.10%~0.80%である。
【0117】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiN23-4(材料番号:1.4362)を有するオーステナイト・フェライト系耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.03%であり、クロムの質量比が22.0%~24.0%であり、モリブデンの質量比が0.10%~0.60%であり、ニッケルの質量比が3.5%~5.5%であり、銅の質量比が0.10%~0.60%である。
【0118】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMoN22-5-3(材料番号:1.4462)を有するオーステナイト・フェライト系耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.03%であり、クロムの質量比が21.0%~23.0%であり、モリブデンの質量比が2.5%~3.5%であり、ニッケルの質量比が4.5%~6.5%であり、窒素の質量比が0.10%~0.22%である。
【0119】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMnMoCuN24-4-3-2(材料番号:1.4662)を有するオーステナイト・フェライト系耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.03%であり、クロムの質量比が23.0%~25.0%であり、モリブデンの質量比が1.00%~2.00%であり、ニッケルの質量比が3.0%~4.5%であり、マンガンの質量比が2.5%~4.0%であり、銅の質量比が0.10%~0.80%である。
【0120】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMoN25-7-4(材料番号:1.4410)を有するオーステナイト・フェライト系耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.03%であり、クロムの質量比が24.0%~26.0%であり、モリブデンの質量比が3.0%~4.5%であり、ニッケルの質量比が6.0%~8.0%であり、窒素の質量比が0.24%~0.35%である。
【0121】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMoCuWN25-7-4(材料番号:1.4501)を有するオーステナイト・フェライト系耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.03%であり、クロムの質量比が24.0%~26.0%であり、モリブデンの質量比が3.0%~4.0%であり、ニッケルの質量比が6.0%~8.0%であり、銅の質量比が0.50%~1.00%であり、タングステンの質量比が0.50%~1.00%であり、窒素の質量比が0.20%~0.30%である。
【0122】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMo18-15-3(材料番号:1.4441)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が0.030%以下であり、クロムの質量比が17.0%~19.0%であり、モリブデンの質量比が2.70%~3.0%であり、ニッケルの質量比が13.0%~15.0%であり、マンガンの質量比が2.00%以下であり、銅の質量比が0.50%以下であり、ケイ素の質量比が0.75%以下であり、リンの質量比が0.025%以下であり、硫黄の質量比が0.003%以下であり、窒素の質量比が0.10%以下である。
【0123】
代替として、鋼は、材料略称X5CrNi18-10(材料番号:1.4301)を有するオーステナイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.07%であり、クロムの質量比が17.5%~19.5%であり、ニッケルの質量比が8.0%~10.5%であり、窒素の質量比が≦0.11%である。
【0124】
代替として、鋼は、材料略称X4CrNi18-12(材料番号:1.4303)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.06%であり、クロムの質量比が17.0%~19.0%であり、ニッケルの質量比が11.0%~13.0%であり、窒素の質量比が≦0.11%である。
【0125】
代替として、鋼は、材料略称X8CrNiS18-9(材料番号:1.4305)を有するオーステナイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.10%であり、クロムの質量比が17.0%~19.0%であり、ニッケルの質量比が8.0%~10.0%であり、硫黄の質量比が0.15%~0.35%であり、銅の質量比が≦1.00%である。
【0126】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNi19-11(材料番号:1.4306)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.030%であり、クロムの質量比が18.0%~20.0%であり、ニッケルの質量比が10.0%~12.0%であり、窒素の質量比が≦0.11%である。
【0127】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNi18-9(材料番号:1.4307)を有するオーステナイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.030%であり、クロムの質量比が17.5%~19.5%であり、ニッケルの質量比が8.0%~10.5%であり、窒素の質量比が≦0.11%である。
【0128】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNi18-10(材料番号:1.4311)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.030%であり、クロムの質量比が17.5%~19.5%であり、ニッケルの質量比が8.5%~11.5%であり、窒素の質量比が0.12%~0.22%である。
【0129】
代替として、鋼は、材料略称X6CrNiTi18-10(材料番号:1.4541)を有するオーステナイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.08%であり、クロムの質量比が17.0%~19.0%であり、ニッケルの質量比が9.0%~12.0%であり、チタンの質量比が0.70%以下である。
【0130】
代替として、鋼は、材料略称X6CrNiNb18-10(材料番号:1.4550)を有するオーステナイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.08%であり、クロムの質量比が17.0%~19.0%であり、ニッケルの質量比が9.0%~12.0%であり、ニオブの質量比が1.00%以下である。
【0131】
代替として、鋼は、材料略称X3CrNiCu18-9-4(材料番号:1.4567)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.04%であり、クロムの質量比が17.0%~19.0%であり、ニッケルの質量比が8.5%~10.5%であり、銅の質量比が3.0%~4.0%である。
【0132】
代替として、鋼は、材料略称X10CrNi18-8(材料番号:1.4310)を有するオーステナイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が0.05%~0.15%であり、クロムの質量比が16.0%~19.0%であり、モリブデンの質量比が≦0.80%であり、ニッケルの質量比が6.0%~9.5%である。
【0133】
代替として、鋼は、材料略称X5CrNiMo17-12-2(材料番号:1.4401)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.07%であり、クロムの質量比が16.5%~18.5%であり、モリブデンの質量比が2.00%~2.50%であり、ニッケルの質量比が10.0%~13.0%であり、窒素の質量比が≦0.10%である。
【0134】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMo17-12-2(材料番号:1.4404)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.030%であり、クロムの質量比が16.5%~18.5%であり、モリブデンの質量比が2.00%~2.50%であり、ニッケルの質量比が10.0%~13.0%であり、窒素の質量比が≦0.10%である。
【0135】
代替として、鋼は、材料略称X6CrNiMoTi17-12-2(材料番号:1.4571)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.08%であり、クロムの質量比が16.5%~18.5%であり、モリブデンの質量比が2.00%~2.50%であり、ニッケルの質量比が10.5%~13.5%であり、チタンの質量比が0.70%以下である。
【0136】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMoN17-13-3(材料番号:1.4429)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.030%であり、クロムの質量比が16.5%~18.5%であり、モリブデンの質量比が2.5%~3.0%であり、ニッケルの質量比が11.0%~14.0%であり、窒素の質量比が0.12%~0.22%である。
【0137】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMo18-14-3(材料番号:1.4435)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.030%であり、クロムの質量比が17.0%~19.0%であり、モリブデンの質量比が2.5%~3.0%であり、ニッケルの質量比が12.5%~15.0%であり、窒素の質量比が≦0.10%である。
【0138】
代替として、鋼は、材料略称X3CrNiMo17-13-3(材料番号:1.4436)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.05%であり、クロムの質量比が16.5%~18.5%であり、モリブデンの質量比が2.5%~3.0%であり、ニッケルの質量比が10.5%~13.0%であり、窒素の質量比が≦0.10%である。
【0139】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMoN17-13-5(材料番号:1.4439)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.030%であり、クロムの質量比が16.5%~18.5%であり、モリブデンの質量比が4.0%~5.0%であり、ニッケルの質量比が12.5%~14.5%であり、窒素の質量比が0.12%~0.22%である。
【0140】
代替として、鋼は、材料略称X1NiCrMoCu25-20-5(材料番号:1.4539)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.020%であり、クロムの質量比が19.0%~21.0%であり、モリブデンの質量比が4.0%~5.0%であり、ニッケルの質量比が24.0%~26.0%であり、銅の質量比が1.20%~2.00%であり、窒素の質量比が≦0.15%である。
【0141】
代替として、鋼は、材料略称X2CrNiMnMoNbN25-18-5-4(材料番号:1.4565)を有するオーステナイト耐食鋼とすることができる。この鋼は、炭素の質量比が≦0.030%であり、クロムの質量比が24.0%~26.0%であり、モリブデンの質量比が4.0%~5.0%であり、ニッケルの質量比が16.0%~19.0%であり、マンガンの質量比が5.0%~7.0%であり、窒素の質量比が0.30%~0.60%であり、ニオブの質量比が≦0.15%である。
【0142】
代替として、鋼は、材料略称X1NiCrMoCuN25-20-7(材料番号:1.4529)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.020%であり、クロムの質量比が19.0%~21.0%であり、モリブデンの質量比が6.0%~7.0%であり、ニッケルの質量比が24.0%~26.0%であり、銅の質量比が0.50%~1.50%であり、窒素の質量比が0.15%~0.25%である。
【0143】
代替として、鋼は、材料略称X1CrNiMoCuN20-18-7(材料番号:1.4547)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.020%であり、クロムの質量比が19.5%~20.5%であり、モリブデンの質量比が6.0%~7.0%であり、ニッケルの質量比が17.5%~18.5%であり、銅の質量比が0.50%~1.00%であり、窒素の質量比が0.18%~0.25%である。
【0144】
代替として、鋼は、材料略称X1CrNiMoCuN24-22-8(材料番号:1.4652)を有するオーステナイト耐食鋼であり得る。この鋼は、炭素の質量比が≦0.020%であり、クロムの質量比が23.0%~25.0%であり、モリブデンの質量比が7.0%~8.0%であり、ニッケルの質量比が21.0%~23.0%であり、マンガンの質量比が2.0%~4.0%であり、窒素の質量比が0.45%~0.55%である。
【0145】
金属製品または合金製品は好ましくは一般に、10%~25%のクロムの質量比を有する鋼、特に耐食性の鋼を含むか、またはそのような鋼、特にそのような耐食性の鋼からなる。
【0146】
本発明のさらなる実施形態では、金属製品または合金製品は、医療製品もしくは医療工学製品、または医療製品もしくは医療工学製品、特に医療器具、好ましくは外科用器具の中間体、特に半完成部品、ブランクもしくは部分的に製造された部品、または構成要素、例えば、ねじ、リベット、ガイドピン、中空ステープル、ハンドルまたはばねである。
【0147】
医療製品または医療工学製品は、好ましくは医療器具、特に外科用器具である。
【0148】
外科用器具は特に、拡開器具、把持器具、クランプ器具、切断器具、縫合器具、内視鏡、および組み合わされた器具からなる群から選択され得る。
【0149】
拡張装置は例えば、創傷フック、開創器、創傷拡張器、胸骨拡張器、創傷閉鎖、検鏡またはトロカールスリーブであってもよい。
【0150】
把持器具は例えば、ピンセット、クランプ、針ホルダ、または鉗子とすることができる。
【0151】
クランプ器具は例えば、特に腸および細い血管を一時的にクランプするためのソフトクランプであってもよく、または調製クランプであってもよい。
【0152】
切断器具は例えば、メス、ナイフ、剪刀、分岐鉗子、骨細片トング、環トング、エレクトロトーム、コンコートム鉗子、焼灼器または超音波ナイフであってもよい。
【0153】
縫合器具は特に、ステープラまたはステープル除去器であってもよい。
【0154】
組み合わされた装置は例えば、中空器官をクランプし、同時に正確に切断するエンドステープラーまたはクランプ縫合装置であってもよい。さらに、複合装置は、自在縫合装置として把持および切断の両方を行うことができる複合針ホルダであってもよい。
【0155】
さらに、外科用器具はハンマーであってもよい。
【0156】
さらに、外科用器具は、チゼル、特に中空骨チゼルなどの平坦または中空のチゼル、またはキュレット、特に骨キュレットであってもよい。
【0157】
さらに、外科用器具はプローブであってもよい。
【0158】
さらに、外科用器具は、骨パンチであってもよい。
【0159】
さらに、外科用器具は、レバーまたはエレベーターまたは骨膜エレベーターであってもよい。
【0160】
第2の態様では、本発明は金属製品または合金製品を提供する。
【0161】
金属製品または合金製品は、好ましくは本発明の第1の態様による方法によって製造されているか、または製造することができる。
【0162】
金属製品または合金製品は、100mV~1200mV、特に200mV~800mV、好ましくは300mV~600mV(標準水素電極に対して測定)の孔食電位を有していればよい。
【0163】
代替として、または組み合せて、金属製品または合金製品は、60°~140°、特定65°~120°、好ましくは70°~100°の接触角を有していればよい。接触角の測定は、ASTM D 7334-08に従って行うことができる。代替として、接触角の測定はdataPhysics(Contact Angle System OCA 15 Plus)からの接触角測定機器を使用し、0.9%濃度の塩化ナトリウム溶液(B.Braun)を使用して、液滴体積を1μlとして実施することができる。接触角を測定するために、この場合、試験片は標準的な製造方法で洗浄し、測定の前に5分間超音波浴の脱イオン水中で洗浄すればよく、試験片は測定の直前に脱イオン水ですすぎ、油を含まない圧縮空気で吹き付け乾燥する。
【0164】
本発明のさらなる特徴および利点は、特許請求の範囲および実施例を用いた好ましい実施形態の以下の説明から得られる。ここで、本発明の特徴は、それぞれの場合において、単独で、または互いに組み合わせて実現することができる。以下に記載される実施形態は、本発明をそれに限定することなく、本発明をさらに例示するのに役立つ。
【実施例】
【0165】
1.本発明の方法による外科用器具またはその代表的な試験片の表面処理
【0166】
使用した試験片は同じ材料から、外科用器具(例えば、クランプ、針ホルダ、超硬合金を有する剪刀など)と同じ製造工程を使用して製造した。
【0167】
腐食試験片および装置についてSEM/EDX分析(異物および材料蓄積)を行った。
【0168】
動電位試験(孔食電位)は最初に試験片についてのみ実施した。ベンチマークを分析し、比較のために、試験片上で測定された測定値が装置に持ち越され得るかどうかを分析するために、装置は実験室で測定された。試験片の結果をここで確認した。
【0169】
接触角測定(接触角)は一部、装置(シャドウイングのない平坦な表面)で実施されたが、ここでは変動があまり顕著ではないので、好ましくは試験板上で実施された。
【0170】
まず、外科用器具(クランプBH110R)、腐食試験片および試験プレートを、バレル仕上げの手段によって4時間処理した。この後、外科用器具および試験片を1時間かけて磨いた。装置および試験片の両方は同一の材料から作製された。
【0171】
次いで、外科用器具および試験標本を粒子ブラストの手段によって処理した。ブラスト媒体として、200μm~400μmの平均ビーズ直径を有するステンレス鋼ビーズ(鋳造ステンレス鋼Cr-Shot Beta 30)を使用した。ブラスト作業には噴射器ブラスト装置を使用した。ブラストは4バールの圧力下で行った。
【0172】
続いて、外科用器具および試験片の表面を電解研磨した。これは4.5ボルトの直流電圧で行った。電解研磨は80℃の温度で45秒間にわたり行った。
【0173】
続いて、外科用器具および試験片の表面を不動態化した。この目的のために、外科用器具および試験片を33%濃度の硝酸に浸漬した。30℃の温度で30分間にわたって不動態化を行った。
【0174】
外科用器具および試験片の表面処理の終了後、材料の蓄積または材料の重なり、および異物の移動も測定することができなかった。腐食試験片は550mVの孔食電位を有していた。試験板は86.0°の接触角を有していた。
【0175】
2.一般的な方法の手段による外科用器具の表面処理
【0176】
まず、外科用器具(クランプBH110R)、腐食試験片および試験プレートを、4時間にわたるバレル仕上げの手段によって処理した。次いで、外科用器具および試験標本を1時間かけて磨いた。
【0177】
次いで、外科用器具および試験標本を粒子ブラストの手段によって処理した。この目的のために、40μm~70μmの平均直径を有するガラスビーズを使用した。4バールの圧力下で噴射器ブラスト装置でブラスト処理を行った。
【0178】
続いて、外科用器具および試験片を不動態化した。10%濃度のクエン酸溶液をこの目的のために使用した。不動態化は55℃の温度で10分間にわたって行った。
【0179】
外科用器具および試験片の表面処理の終了後、材料の大幅な蓄積および材料の重なりを見出すことができた。さらに、1.4%の異物の移動を検出することができた。腐食試験片の孔食電位は386mVであった。さらに、試験板は74.4°の接触角を有していた。
【0180】
3.結論
【0181】
本発明による方法と一般的な方法との上記の比較は、本発明による方法がより耐食性の、特により耐引掻性の製品をもたらすことを示す。さらに、本発明による方法は、一般的な方法と比較して、表面変色の発生の危険性を減少させるのに適している。さらに、本発明による方法は、より容易に洗浄することができる製品をもたらす(測定された接触角を参照されたい)。