(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】自動ドライバ又は補助付きマニュアル駆動力を有するIOLインジェクタ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A61F2/16
(21)【出願番号】P 2021531358
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 IB2019060789
(87)【国際公開番号】W WO2020128758
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-01
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】インホイ ウー
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0257317(US,A1)
【文献】特表2016-514598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049866(US,A1)
【文献】特表2013-523193(JP,A)
【文献】国際公開第2010/026919(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0005788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズ(IOL)インジェクタにおいて、
近位端と遠位端を有するインジェクタ本体であって、
遠位端と近位端を有するインジェクタ主要部と、
前記インジェクタ主要部の前記遠位端に連結されるノズルと、
前記インジェクタ本体の前記近位端から前記インジェクタ本体の前記遠位端まで延びるボアと、
を含むインジェクタ本体と、
近位部分と遠位部分を有するプランジャであって、前記ボアの中にスライド可能に配置され、IOLを前記IOLインジェクタの長さ方向軸に沿って前進させるようになされたプランジャと、
自動プランジャ前進ドライバであって、
前記プランジャの前記近位部分の周囲に同心円状に配置されたシリンダであって、前記プランジャの前記近位部分内のプランジャねじ山と回転可能に係合するようになされたねじ山を有するシリンダと、
蓄積された回転エネルギを有するトーションばねであって、前記シリンダの周囲に同心円状に配置されるトーションばねと、
を有する自動プランジャ前進ドライバと、
を含み、
前記トーションばねの少なくとも一方の端は前記シリンダに連結され、それによって、前記蓄積された回転エネルギの解放に応答して、前記シリンダは前記長さ方向軸の周囲で回転するように構成され、前記プランジャは前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって軸方向に移動するIOLインジェクタ。
【請求項2】
前記プランジャの軸方向の移動を阻止するように構成されたブレーキ機構であって、
ハンドルであって、近位端と遠位端を有し、前記ハンドルに力が加えられたことに応答して、前記ハンドルの前記近位端と前記遠位端との間に配置された旋回点において前記インジェクタ本体に回転可能に連結されるハンドルと、
前記ハンドルに連結される近位端と、前記ハンドルに力が加えられないと、前記プランジャに摩擦ブレーキ力を加えるようになされた1つ又は複数のブレーキパッドに連結される遠位端を有するブレーキ解除アームと、
前記インジェクタ本体と前記ブレーキパッドとの間に配置された圧縮ばねであって、前記ブレーキパッドを前記プランジャに向かって移動させるようになされた圧縮ばねと、
を含むブレーキ機構をさらに含み、
前記ハンドルに前記力が加えられたことに応答して、前記ブレーキ解除アームは前記圧縮ばねを圧縮して、前記ブレーキパッドを前記プランジャから離れて移動させ、それによって前記プランジャから前記摩擦ブレーキ力を除去し、前記トーションばねの蓄積された回転エネルギの解放に応答して、前記プランジャが移動できるようにする、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項3】
油圧減衰機構であって、
近位端と遠位端を有する近位チャンバと、
近位端と遠位端を有する遠位チャンバと、
前記近位チャンバを前記遠位チャンバに流体連結するオリフィスと、
を含む油圧減衰機構をさらに含み、
前記プランジャの前記近位部分は前記近位チャンバ内にスライド可能に配置された近位ピストンを有し、
前記プランジャの前記遠位部分は前記遠位チャンバ内にスライド可能に配置された遠位ピストンを有し、
前記近位ピストンは、前記プランジャの前記ねじ切りシリンダ係合部分の移動に応答して、前記近位チャンバの前記近位端から前記近位チャンバの前記遠位端に移動可能であり、
前記オリフィスによって、前記近位ピストンの移動に応答して油圧流体が前記近位チャンバから前記遠位チャンバに移動可能であり、
前記遠位ピストンは、前記流体の移動に応答して、前記遠位チャンバの前記近位端から前記遠位チャンバの前記遠位端に移動可能である、
請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項4】
前記プランジャの軸方向の移動を阻止するように構成されたブレーキ機構であって、
ハンドルであって、近位端と遠位端を有し、前記ハンドルに加えられる力に応答して前記ハンドルの前記近位端と前記遠位端との間に配置された旋回点において前記インジェクタ本体に回転可能に連結されるハンドルと、
前記ハンドルに連結される第一の端と、前記オリフィス内にスライド可能に配置された第二の端を有し、前記ハンドルに力が加えられないと、前記オリフィスを通る前記流体の前記近位チャンバから前記遠位チャンバへの移動を阻止するようになされた油圧流バリアと、
油圧流ゲートであって、前記油圧流ゲートが前記オリフィス内に配置されると前記オリフィスを通る前記流体の移動を可能にするようになされた通路を形成する油圧流ゲートと、
前記ハンドルと前記オリフィスとの間に配置された圧縮ばねであって、前記油圧流ゲートを前記オリフィスの外に移動させるようになされた圧縮ばねと、
を含むブレーキ機構をさらに含み、
前記ハンドルに力が加えられたことに応答して、前記油圧流ゲートは前記オリフィス内に移動して、前記オリフィスを通る前記流体の前記近位チャンバから前記遠位チャンバへの移動を可能にする、請求項3に記載のIOLインジェクタ。
【請求項5】
前記ノズルの中空部分内に配置されたIOLをさらに含み、それによって、前記プランジャが前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって軸方向に移動すると、前記IOLは前記ノズルから排出される、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項6】
眼内レンズ(IOL)インジェクタであって、
近位端と遠位端を有するインジェクタ本体であって、
遠位端と近位端を有するインジェクタ主要部と、
前記インジェクタ主要部の前記遠位端に連結されるノズルと、
前記インジェクタ本体の前記近位端から前記インジェクタ本体の前記遠位端まで延びるボアと、
を含むインジェクタ本体と、
近位端と遠位端を有するプランジャであって、前記ボアの中にスライド可能に配置され、IOLを前記IOLインジェクタの長さ方向軸に沿って前進させるようになされたプランジャと、
蓄積された弾性エネルギを有する1つ又は複数の補助ばねを含むばね補助駆動機構であって、前記補助ばねは、前記ばねの第一の端において前記プランジャに、及び前記ばねの第二の端において前記インジェクタ本体に直接又は間接に連結され、それによって前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かう前記プランジャの移動は、前記ばねからの弾性エネルギの解放により補助されるばね補助駆動機構と、
1つ又は複数の抵抗ばねであって、前記ばねの第一の端において前記プランジャに、及び前記ばねの第二の端において前記インジェクタ本体に直接又は間接に連結される1つ又は複数の抵抗ばねを含み、それによって、前記プランジャが前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって軸方向に移動したことに応答して、弾性エネルギが前記抵抗ばねに蓄積されるばね減衰機構と、
を含むIOLインジェクタ。
【請求項7】
前記ばね補助駆動機構は、1つ又は複数の補助ばね駆動歯車であって、
蓄積された弾性エネルギを有し、第一の端において前記インジェクタ本体に回転可能に連結される第一の歯車に連結される第一のばねであって、第二の端において前記インジェクタ本体に連結される第一のばねと、
前記プランジャ上に配置されたラックであって、前記第一の歯車の歯と回転可能に嵌合するようになされた歯を有するラックと、
を有する1つ又は複数の補助ばね駆動歯車を有し、
前記第一の歯車は、前記第一のばねからの前記蓄積された弾性エネルギの解放に応答して回転するようになされ、
前記プランジャは、前記第一の歯車の回転に応答して前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって軸方向に移動するようになされ、
前記ばね補助駆動機構はそれによって、前記プランジャの前記軸方向の移動を補助し、
前記ばね減衰機構は、1つ又は複数の減衰ばね駆動歯車であって、
第一の端において、前記インジェクタ本体に回転可能に連結される第二の歯車に連結される第二のばねであって、第二の端において前記インジェクタ本体に連結される第二のばねを有する1つ又は複数の減衰ばね駆動歯車を有し、
前記第二の歯車は、前記プランジャが前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって軸方向に移動したことに応答して回転するようになされ、
前記第二のばねは、前記第二の歯車の前記回転に応答して弾性エネルギを蓄積するようになされ、
前記ばね減衰機構はそれによって、前記プランジャの前記軸方向の移動に対する抵抗を提供する、
請求項6に記載のIOLインジェクタ。
【請求項8】
使用者が前記プランジャに軸方向の力を加えて前記プランジャを前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって前進させたことに応答して、前記ラックは前記第一の歯車と係合し、前記第一の歯車は、前記ボアを通って前記プランジャをさらに前進させるのを補助する力を加え、
使用者が前記プランジャに軸方向の力をさらに加えて、前記プランジャを前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって前進させたことに応答して、前記ラックは前記第二の歯車と係合し、前記第二の歯車は前記ボアを通って前記プランジャがさらに前進するのに抵抗する力を加える、
請求項7に記載のIOLインジェクタ。
【請求項9】
前記第一のばね及び/又は前記第二のばねは引張ばねである、請求項6に記載のIOLインジェクタ。
【請求項10】
前記第一のばね及び/又は前記第二のばねは圧縮ばねである、請求項6に記載のIOLインジェクタ。
【請求項11】
補助用引張ばねであって、前記引張ばねの近位端において前記プランジャに、及び前記引張ばねの遠位端においてシースに連結され、前記引張ばねは前記シース内に配置され、前記プランジャの一部は前記引張ばねの中に配置される補助用引張ばねと、
近位端において前記シースに、及び近位端において前記インジェクタ本体の内壁に連結される少なくとも1つの止め具に連結される減衰用圧縮ばねであって、前記は前記圧縮ばね内に配置される減衰用圧縮ばねと、
を含み、
前記プランジャは、前記引張ばねからの弾性エネルギの解放に応答して、前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって軸方向に移動し、
前記圧縮ばねは、前記プランジャが前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって移動したことに応答して、弾性エネルギを蓄積するようになされる
請求項6に記載のIOLインジェクタ。
【請求項12】
補助用圧縮ばねであって、前記補助用圧縮ばねの近位端において前記インジェクタ本体の前記近位端に、及び前記補助用圧縮ばねの遠位端において前記プランジャに連結される補助用圧縮ばねと、
抵抗圧縮ばねであって、前記抵抗圧縮ばねの遠位端において前記インジェクタ本体の前記遠位端に連結される抵抗圧縮ばねと、
前記インジェクタ本体の近位部分において前記ボアの中に配置される第一の取外し可能止め具と、
前記インジェクタ本体の遠位部分において前記ボアの中に配置される第二の取外し可能止め具と、
を含み、
第一の状態で、前記第一の止め具は前記補助用圧縮ばねと接触するようになされ、それによって前記補助用圧縮ばねを、蓄積された弾性エネルギを有する圧縮状態に保持し、
第二の状態で、前記第一の止め具は前記ボアから外され、それに応答して、前記補助用圧縮ばねは伸長するように構成され、それに応答して、前記プランジャは前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって、前記補助用圧縮ばねが前記第二の止め具に接触するまで軸方向に移動するように構成され、
第三の状態で、前記第二の止め具も前記ボアから外され、それに応答して、前記補助用圧縮ばねは伸長して前記抵抗圧縮ばねに接触するように構成され、それに応答して、
前記プランジャは前記インジェクタ本体の前記遠位端に向かって軸方向にさらに移動するように構成され、
前記抵抗圧縮ばねは圧縮するように構成され、前記抵抗圧縮ばねの圧縮は前記プランジャの前記移動と反対の抵抗力を提供する
請求項6に記載のIOLインジェクタ。
【請求項13】
前記第二の状態では、前記プランジャのプランジャ先端は、IOL待機位置に近位側で隣接する位置まで移動するように構成される、請求項12に記載のIOLインジェクタ。
【請求項14】
前記第三の状態では、前記プランジャのプランジャ先端は、前記インジェクタ本体の前記遠位端まで移動するように構成される、請求項12に記載のIOLインジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼内レンズ(IOL)インジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
人の眼は、ごく簡単に言えば、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通じて光を透過させ、屈折させ、さらにIOLによって眼後部の網膜に結像させることによって視覚を提供するように機能する。結像の質は、眼の大きさ、形状、及び長さ、並びに角膜とIOLとの形状及び透明性をはじめとする多くの要素に依存する。外傷、加齢、又は疾病によってIOLの透明性が低減すると、網膜まで透過させることのできる光が減少するため、視力が低下する。このような眼内IOLの障害は、医学的に白内障として知られる。このような状態の治療は、手術によるIOLの除去及び人工IOL(「IOL」)の移植である。
【0003】
多くの白内障水晶体は、超音波水晶体乳化吸引術と呼ばれる外科的技術によって除去される。この処置では、眼の前嚢に開口が作られ、超音波水晶体乳化吸引用切除チップを病変IOL内に挿入し、超音波で振動させる。振動する切除チップによって、IOLが液化又は乳化し、それによってIOLが眼から吸い出され得る。病変IOLは、取り出されると、IOLと置換される。
【0004】
IOLは小さい切開創から注入され得、病変IOLの除去に使われたものと同じ切開創が使用されることもある。IOLインジェクタは、IOLを眼内に送達するために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様によれば、本開示はIOLインジェクタに関する。IOLインジェクタは、近位端と遠位端を有するインジェクタ本体を有する。インジェクタ本体は、遠位端と近位端を有するインジェクタ主要部と、インジェクタ主要部の遠位端に連結されるノズルと、インジェクタ本体の近位端からインジェクタ本体の遠位端まで延びるボアと、を含む。IOLインジェクタはまた、近位部分と遠位部分を有するプランジャを有し、プランジャはボアの中にスライド可能に配置され、IOLをIOLインジェクタの長さ方向軸に沿って前進させるようになされる。IOLインジェクタはまた、自動プランジャ前進ドライバも有し、これはプランジャの近位部分の周囲に同心円状に配置されたシリンダであって、プランジャの近位部分のプランジャねじ山と回転可能に係合するようになされたねじ山を有するシリンダと、蓄積された回転エネルギを有するトーションばねであって、シリンダの周囲に同心円状に配置されるトーションばねと、を有し、トーションばねの少なくとも一方の端はシリンダに連結され、それによって、蓄積された回転エネルギの解放に応答して、シリンダは長さ方向軸の周囲で回転するように構成され、プランジャはインジェクタ本体の遠位端に向かって軸方向に移動する。
【0006】
第二の態様によれば、本開示はIOLインジェクタに関する。IOLインジェクタは、近位端と遠位端を有するインジェクタ本体を有する。インジェクタ本体は、遠位端と近位端を有するインジェクタ主要部と、インジェクタ主要部の遠位端に連結されるノズルと、インジェクタ本体の近位端からインジェクタ本体の遠位端まで延びるボアと、を有する。IOLインジェクタはまた、近位端と遠位端を有するプランジャも有し、プランジャはボアの中にスライド可能に配置され、IOLをIOLインジェクタの長さ方向軸に沿って前進させるようになされる。IOLインジェクタはまた、蓄積された弾性エネルギを有する1つ又は複数の補助ばねを含むばね補助駆動機構も有し、補助ばねは、ばねの第一の端においてプランジャに、及びばねの第二の端においてインジェクタ本体に直接又は間接に連結され、それによって、インジェクタ本体の遠位端に向かうプランジャの移動は、ばねからの弾性エネルギの解放により補助される。IOLインジェクタはばね減衰機構も有し、これは、ばねの第一の端においてプランジャに、及びばねの第二の端においてインジェクタ本体に直接又は間接に連結される1つ又は複数の抵抗ばねを含み、それによってプランジャがインジェクタ本体の遠位端に向かって軸方向に移動したことに応答して、弾性エネルギが抵抗ばねの中に蓄積される。
【0007】
各種の態様は、以下の特徴の1つ又は複数を含んでいてよい。IOLインジェクタは、プランジャの軸方向の移動を阻止するように構成されたブレーキ機構を有していてよく、これは、ハンドルであって、近位端と遠位端を有し、ハンドルに力が加えられたことに応答して、ハンドルの近位端と遠位端との間に配置された旋回点においてインジェクタ本体に回転可能に連結されるハンドルと、ハンドルに連結される近位端と、ハンドルに力が加えられないと、プランジャに摩擦ブレーキ力を加えるようになされた1つ又は複数のブレーキパッドに連結される遠位端を有するブレーキ解除アームと、インジェクタ本体とブレーキパッドとの間に配置された圧縮ばねであって、ブレーキパッドをプランジャに向かって移動させるようになされた圧縮ばねと、を含み、ハンドルに力が加えられたことに応答して、ブレーキ解除アームは圧縮ばねを圧縮して、ブレーキパッドをプランジャから離れて移動させ、それによってプランジャから摩擦ブレーキ力を除去し、トーションばねの蓄積された回転エネルギの解放に応答して、プランジャが移動できるようにする。IOLインジェクタは、油圧減衰機構を有していてよく、これは、近位端と遠位端を有する近位チャンバと、近位端と遠位端を有する遠位チャンバと、近位チャンバを遠位チャンバに流体連結するオリフィスと、を含み、プランジャの近位部分は近位チャンバ内にスライド可能に配置された近位ピストンを有し、プランジャの遠位部分は遠位チャンバ内にスライド可能に配置された遠位ピストンを有し、近位ピストンは、プランジャのねじ切りシリンダ係合部分の移動に応答して、近位チャンバの近位端から近位チャンバの遠位端に移動可能であり、オリフィスによって、近位ピストンの移動に応答して油圧流体が近位チャンバから遠位チャンバに移動可能であり、遠位ピストンは、流体の移動に応答して、遠位チャンバの近位端から遠位チャンバの遠位端に移動可能である。IOLインジェクタは、プランジャの軸方向の移動を阻止するように構成されたブレーキ機構を有してよく、これは、ハンドルであって、近位端と遠位端を有し、ハンドルに加えられる力に応答してハンドルの近位端と遠位端との間に配置された旋回点においてインジェクタ本体に回転可能に連結されるハンドルと、ハンドルに連結される第一の端と、オリフィス内にスライド可能に配置された第二の端を有し、ハンドルに力が加えられないと、オリフィスを通る近位チャンバから遠位チャンバへの流体の移動を阻止するようになされた油圧流バリアと、油圧流ゲートであって、油圧流ゲートがオリフィス内に配置されるとオリフィスを通る流体の移動を可能にするようになされた通路を形成する油圧流ゲートと、ハンドルとオリフィスとの間に配置された圧縮ばねであって、油圧流ゲートをオリフィスの外に移動させるようになされた圧縮ばねと、を含み、ハンドルに力が加えられたことに応答して、油圧流ゲートはオリフィス内に移動して、オリフィスを通る流体の近位チャンバから遠位チャンバへの移動を可能にする。IOLインジェクタは、ノズルの中空部分内に配置されたIOLを含んでいてよく、それによって、プランジャがインジェクタ本体の遠位端に向かって軸方向に移動すると、IOLはノズルから排出される。IOLインジェクタは、1つ又は複数の補助ばね駆動歯車を含むばね補助駆動機構であって、蓄積された弾性エネルギを有し、第一の端においてインジェクタ本体に回転可能に連結される第一の歯車に連結される第一のばねであって、第二の端においてインジェクタ本体に連結される第一のばねと、プランジャ上に配置されたラックであって、第一の歯車の歯と回転可能に嵌合するようになされた歯を有するラックと、を有し、第一の歯車は、第一のばねからの蓄積された弾性エネルギの解放に応答して回転するようになされ、プランジャは、第一の歯車の回転に応答してインジェクタ本体の遠位端に向かって軸方向に移動するようになされ、ばね補助駆動機構はそれによって、プランジャの軸方向の移動を補助する、ばね補助駆動機構と、1つ又は複数の減衰ばね駆動歯車を有するばね減衰機構であって、第一の端において、インジェクタ本体に回転可能に連結される第二の歯車に連結される第二のばねであって、第二の端においてインジェクタ本体に連結され、第二の歯車は、プランジャがインジェクタ本体の遠位端に向かって軸方向に移動したことに応答して回転するようになされ、第二の歯車の回転に応答して弾性エネルギを蓄積するようになされた第二のばねを含み、ばね減衰機構はそれによって、プランジャの軸方向の移動に対する抵抗を提供するばね減衰機構と、を有する。IOLインジェクタの幾つかの実装形態において、使用者がプランジャに軸方向の力を加えてプランジャをインジェクタ本体の遠位端に向かって前進させたことに応答して、ラックは第一の歯車と係合し、第一の歯車は、ボアを通ってプランジャをさらに前進させるのを補助する力を加え、使用者がプランジャに軸方向の力をさらに加えて、プランジャをインジェクタ本体の遠位端に向かって前進させたことに応答して、ラックは第二の歯車と係合し、第二の歯車はボアを通ってプランジャがさらに前進するのに抵抗する力を加える。第一のばね及び/又は第二のばねは引張ばねであってよい。第一のばね及び/又は第二のばねは圧縮ばねであってよい。IOLインジェクタは、補助用引張ばねであって、引張ばねの近位端においてプランジャに、及び引張ばねの遠位端においてシースに連結され、引張ばねはシース内に配置され、プランジャの一部は引張ばねの中に配置される補助用引張ばねと、近位端においてシースに、及び近位端においてインジェクタ本体の内壁に連結される少なくとも1つの止め具に連結され、は圧縮ばね内に配置される減衰用圧縮ばねと、を有していてよく、プランジャは、引張ばねから弾性エネルギが解放されたことに応答して、インジェクタ本体の遠位端に向かって軸方向に移動し、圧縮ばねは、プランジャがインジェクタ本体の遠位端に向かって移動したことに応答して、弾性エネルギを蓄積するようになされる。IOLインジェクタは、補助用圧縮ばねであって、補助用圧縮ばねの近位端においてインジェクタ本体の近位端に、及び補助用圧縮ばねの遠位端においてプランジャに連結される補助用圧縮ばねと、抵抗圧縮ばねであって、抵抗圧縮ばねの遠位端においてインジェクタ本体の遠位端に連結される抵抗圧縮ばねと、インジェクタ本体の近位部分においてボアの中に配置される第一の取外し可能止め具と、インジェクタ本体の遠位部分においてボアの中に配置される第二の取外し可能止め具と、を有し、第一の状態で、第一の止め具は補助用圧縮ばねと接触するようになされ、それによって補助用圧縮ばねを、蓄積された弾性エネルギを有する圧縮状態に保持し、第二の状態で、第一の止め具はボアから外され、それに応答して、補助用圧縮ばねは伸長するように構成され、それに応答して、プランジャはインジェクタ本体の遠位端に向かって、補助用圧縮ばねが第二の止め具に接触するまで軸方向に移動するように構成され、第三の状態で、第二の止め具もボアから外され、それに応答して、補助用圧縮ばねは伸長して抵抗圧縮ばねに接触するように構成され、それに応答して、プランジャはインジェクタ本体の遠位端に向かって軸方向にさらに移動するように構成され、抵抗圧縮ばねは圧縮するように構成され、抵抗圧縮ばねの圧縮はプランジャの移動と反対の抵抗力を提供する。第二の状態では、プランジャのプランジャ先端は、IOL待機位置に近位側で隣接する位置まで移動するように構成されてよい。第三の状態では、プランジャのプランジャ先端は、インジェクタ本体の遠位端まで移動するように構成されてよい。
【0008】
本開示をより十分に理解するために、ここで、正確な縮尺で描かれていない下記のような添付の図面と読むべき以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、使用者が手で力を加えることによって作動される例示的なIOLインジェクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、使用者が手で力を加えることによって作動されるIOLインジェクタの長さ方向断面図である。
【
図4】
図4は、IOLがその中に配置された、待機位置でのIOLインジェクタの遠位端の図である。
【
図5】
図5は、自動ドライバにより作動されるIOLインジェクタの断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示される自動ドライバにより作動されるIOLインジェクタの、カバーを取り除いた状態の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5に示される自動ドライバにより作動されるIOLインジェクタの、カバーを取り除いた状態の他の断面図である。
【
図8】
図8は、自動ドライバにより作動され、例示的な油圧減衰機構を有する例示的なIOLインジェクタの斜視図である。
【
図9A-9B】
図9A-
図9Bは、回転ばね歯車で補助される手動駆動力による例示的なIOLインジェクタの略図である。
【
図10】
図10は、つる巻きばねで補助される手動駆動力による他の例示的なIOLインジェクタの断面図である。
【
図11A】
図11Aは、手動駆動力を補助するための圧縮ばねと止め具を有するまた別の例示的なIOLインジェクタの断面図である。
【
図11B】
図11Bは、手動駆動力を補助するための圧縮ばねと止め具を有する
図11Aの例示的なIOLインジェクタの他の断面図である。
【
図11C】
図11Cは、手動駆動力を補助するための圧縮ばねと止め具を有する
図11Aの例示的なIOLインジェクタのまた別の断面図である。
【
図12】
図12は、ベースと光学部を含む例示的な2ピースIOLを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の原理の理解を進めるために、ここで、図面に描かれた実装形態を参照し、具体的な文言を使ってこれを説明する。それでも、本開示の範囲の限定は意図されていないと理解されたい。記載されているIOLインジェクタ、機器、方法、及び本開示の原理の他の何れの応用に対する何れの変更及びさらなる改良も、本開示が関係する分野の当業者が通常着想するように、十分に想定される。特に、1つの実装形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わされてよいことも十分に想定される。
【0011】
眼の組織と構造の敏感さと繊細さから、使用者が移植中にIOLを容認可能なピーク速度及び力で前進させることができることが有益である。しかしながら、IOLを圧縮して眼内へと前進させる機構では本来的に、IOLがIOLインジェクタのノズルの出口にあるときに大きい圧力解放が生じる。場合によってはそれによりIOLが高速で、制御しにくい方法で排出される。注入中の圧力及び力の変化により、使用者はインジェクタを制御しにくくなり、それによってIOLが飛び出すリスクが高まる。したがって、本開示のインジェクタは、使用者の操作を通じて加えられる力のメカニズムと大きさが確実に適切であり、繰返し可能であるようにするのに役立ち得る。インジェクタはまた、操作が直感的であり、どのような技能及び技術レベルの医療従事者であっても使用できるかもしれない。
【0012】
本開示は、IOLを眼内に送達するためのシステム、装置、及び方法に関する。
【0013】
図1は、例示的なIOL 10を示す。IOL 10は、光学部20と、前方支持部30と、後方支持部40と、を含む1ピースIOLである。支持部30及び40は各々、自由に延びる端45を有する。
【0014】
幾つかの実装形態において、IOL 10は1ピースIOLであってよい。すなわち、幾つかの実装形態において、IOL 10は、
図1に示されるように、光学部20と支持部30及び40とを含んでいてよい。幾つかの実装形態において、光学部20と支持部30及び40は1つの材料片から一体に形成されてよい。他の実装形態において、光学部20は材料の1片から形成されてよく、支持部30及び40は材料の他の1片から形成されてよく、光学部20と支持部30及び40は眼内に送達される前に相互に連結されてよい。幾つかの例において、光学部20と支持部30及び40は、IOLインジェクタに挿入され、眼内に送達される前に相互にしっかりと固定されてよい。
【0015】
他の実装形態において、IOL 10は、例えば
図12に示されるように、マルチピースIOLであってもよい。例えば、幾つかの実装形態において、IOL 10は2つ又はそれ以上の別々のコンポーネントを含んでいてよい。
図12は、取外し可能に取り付けられた2つのコンポーネントを含む例示的なIOL 10である。
図12に示されているように、IOL 10は、光学部1260と、支持部1250を含むベース1261と、を含む。ベース1261は中空のベースであってよい。光学部1260とベース1261は、相互に連結されて1つのIOLとされ、その後、必要に応じて相互に分離されて別々のコンポーネントとなるようになされてよい。幾つかの例では、マルチピースIOL、例えば
図12に示される2ピースIOL 10の1つ又は複数のコンポーネントは、患者の眼内に別々に注入可能であってよい。眼内に入ったところで、コンポーネントは完全なIOLに組み立てられてよい。例えば、
図12に示される2ピースIOL 10では、光学部1260とベース1261は眼内に別々に注入可能である。光学部1260は、いったん注入されると、ベース1261に連結され、その上に載るようになされる。
【0016】
図2及び3は、使用者が手で力を加えることによって作動されるIOLインジェクタ210の例示的略図である。IOLインジェクタ210は、インジェクタ本体220と、インジェクタ本体220の中に形成されるボアを通じて往復運動するようになされるプランジャ230と、折り畳み器276と、インジェクタ本体220の遠位端260に配置されたノズル277と、を含む。
【0017】
IOLインジェクタ210はまた、長さ方向軸275を含む。長さ方向軸275は、プランジャ230に沿って延び、プランジャ230の長さ方向軸を画定する。
【0018】
ノズル277は、畳まれた状態のIOLがそこを通って前進させられ、遠位端260の開口を通じて眼内に送達されてよい通路を画定する。折り畳み器276の送達チャネル280は、ボア及び、畳まれた状態のIOLがそこを通って前進させられ、眼内に送達されてよい通路と整列されてよい。概略的に示される折り畳み器276は、畳まれていないIOL 270を眼内に送達するために折り畳むことのできる何れの折り畳み器であってもよい。ボア、折り畳み器276の送達チャネル280、及び畳まれた状態のIOLがそこを通って前進させられ、眼内に送達されてよい通路は、一体化され、インジェクタ本体220の近位端250から遠位端260まで延びていてよい。プランジャ230は、ボアの中に受けられ、その中で移動可能であってよく、それによってプランジャ230はボアの中でスライド可能である。特に、プランジャ230は、IOL、例えばIOL 270を折り畳み器276の送達チャネル280及びノズル277の通路内で前進させて眼内に送達できるようにするために、ボアの中でスライド可能であってよい。
【0019】
折り畳み器276は、折り畳み器276の内部にアクセスできるようにするためのドア290を含んでいてよい。ドア290はヒンジ300を含んでいてよく、それによってドア290はヒンジ300の周囲で旋回して、折り畳み器276を開いてよく、例えば、IOL 270の取付を可能にする。他の実装形態において、折り畳み器276にはIOL 270を取り付けるためのドアがなくてもよい。このような例では、IOL 270は折り畳み器276の組立時に折り畳み器276の中に組み込まれてよい。このような例ではIOLインジェクタ210であるこれは、プリロードIOLインジェクタとなる。
【0020】
インジェクタ本体220はまた、インジェクタ本体220の近位端250に形成されたタブ310も含んでいてよい。タブ310は、使用者、例えば眼科医、眼科手術助手若しくは看護師、又はその他の医療従事者の指で操作されて、プランジャ230をボアの中で前進させてよい。プランジャ230は、本体部分400と、本体部分400から遠位方向に延びるプランジャロッド410と、プランジャロッド410の遠位端に形成され、例えばIOLインジェクタ210の折り畳み器276の中に配置された、畳まれた状態のIOLと接触するようになされるプランジャ先端420と、を含んでいてよい。プランジャ230がボアの中で矢印278の方向に遠位側に変位されると、プランジャ230は折り畳み器276の中に収容された、畳まれた状態のIOL、例えばIOL 270と係合し、それを前進させる。
【0021】
本明細書に記載の幾つかの実装形態において、プランジャ230の様々な部品は、IOLインジェクタ210のインジェクタ本体220の中で相互に物理的に分離又は切断されていてもよい。例えば、幾つかの実装形態において、本体部分400はプランジャロッド410から物理的に分離又は切断されていてもよい。各種の実装形態において、プランジャ230の様々な部品が相互に物理的に分離又は切断されている場合、プランジャ230の他の部品の移動に応答して、IOLインジェクタ210の追加のコンポーネントがプランジャ230の1つの部品の移動を作動させてよく、これは、本開示を読んだ当業者にとって明らかであろう。
【0022】
時折、患者はIOLの交換を必要とすることがあり、IOLの交換のための処置の結果として、眼が損傷を受けることがある。例えば、2ピースIOLを使用することにより、交換のための処置に関わるのは光学部の交換のみで、ベースは眼内の所定の位置に残されたままでよい。
【0023】
前述のように、幾つかの実装形態において、IOL 10は、例えば
図10に示されるような2ピースIOLであってよい。IOL 10は、ベース1261と光学部1260を含み、これらは患者の眼内に別々に注入される。したがって、2ピースIOLの場合、ベース1261と光学部1260は、眼内に挿入するために別のIOLインジェクタに収容されてよい。他の実装形態では、2ピースIOLの2つのコンポーネントは、1つのIOLインジェクタを使って別々に眼内に挿入されてよい。シングルピースIOL(例えば、
図1に示される)の場合、光学部20と支持部30及び40は1つのIOLを形成し、1つのIOLインジェクタを使って単体として眼内に挿入可能である。
【0024】
したがって、幾つかの実装形態において、使用者は1ピースIOLをIOLインジェクタの中に、例えばIOLをIOLインジェクタのIOL折り畳み器のIOL保管室の中に装填することによってセットしてよい。幾つかの実装形態において、IOLは、IOLインジェクタに取り付けられる前に、圧縮又は畳まれた状態に手で折り畳まれてもよい。IOLはすると、折り畳み器によってさらに圧縮又は折り畳まれてもよく、又はIOLインジェクタは折り畳み器を持たなくてもよく、単純に折り畳み器の代わりにIOL保管室を含んでいてもよい。
【0025】
2ピースIOLの場合、幾つかの実装形態において、使用者はベース(ベース1261と同様であってよい)をIOLインジェクタのIOL保管室に、例えばドアを介して装填してよい。光学部(光学部1260と同様であってよい)は、別のIOLインジェクタのIOL保管室の中に、例えばドアを介して導入されてよい。幾つかの例では、IOL保管には、ドア290と同様のドアを通じてアクセスされてよい。幾つかの実装形態において、IOLインジェクタへの実装の前に、ベースと光学部の一方又は両方は、手で折り畳んで圧縮された、又は畳まれた状態にされてもよい。
【0026】
幾つかの実装形態において、IOLは、例えば製造中又はそれ以外に最終使用者への販売前に、IOLインジェクタの保管室内にプリロードされてよい。したがって、1ピースIOLの場合、1ピースIOLは最終使用者が受け取る前に、IOLインジェクタの保管室にプリロードされてよい。2ピースIOLの場合、ベースは1つのIOLインジェクタの保管室内にプリロードされてよく、他方で光学部は別のIOLインジェクタのIOL保管室の中にプリロードされてもよい。「プリロード」という用語は、本明細書で使用さるかぎり、1ピース又はマルチピース構成(例えば、2ピース構成を含む)のIOLが、使用者によってIOLインジェクタに装填されるのではなく、IOLが事前にIOLインジェクタの中に取り付けられ、IOLインジェクタが使用者によって受け取られるときにはIOLインジェクタ内に既に収容されていることを意味する。IOLインジェクタは、使用者が受け取るときには、滅菌包装材の中に包装されてよい。
【0027】
当業者であればわかるように、IOLインジェクタにプリロードされたIOLには、使用者が行う手作業によるIOLのIOLインジェクタへの取付と折り畳みに対する利点がある。例えば、IOLを手で取り付け、折り畳むことによって、エラーが生じるチャンスが高くなり、これによって、ただでさえ複雑な処置において、不必要な二次的操作又は修正が発生する可能性がある。手でIOLを取り付け、折り畳むと、例えばヒューマンエラーや不十分な滅菌技術により、IOLの汚染の可能性も生じ得る。IOLの汚染は、患者にための滅菌環境を損ない、患者に対して感染その他の危害のリスクを及ぼしかねない。
【0028】
図4は、IOLインジェクタ210の遠位端460の図を示し、IOL 470がその中の待機位置477にある。
図4の待機位置477は、
図3に示されるノズル277内の位置に対応してよい。
図4に示されるように、IOL 470の待機位置477は、IOL 470の光学部450の遠位縁が境界1900と実質的に整列する位置と定義されてよい。支持部440又はその一部は、境界1900を越えて延びてよい。
【0029】
本明細書に記載の各種の実装形態において、また当業者により理解される説明の範囲内で、本開示のIOLインジェクタは1つ又は複数のばねを含む。幾つかの実装形態において、ばねは、IOLインジェクタの遠位端に向かうプランジャの軸方向の前進を駆動又は補助するための機械的な力を提供するように構成される。幾つかの実装形態において、ばねは、IOLインジェクタの遠位端に向かうプランジャの軸方向の前進と反対の機械的な力を提供し、それによってIOLインジェクタ本体の遠位端に向かうプランジャの軸方向の前進に対する減衰又は抵抗力を提供するように構成される。
【0030】
「ばね」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、機械的エネルギを蓄積する弾性物体を指す。より具体的には、ばねは、弾性材料の原子間の結合を引っ張ることによって、位置エネルギ、具体的には弾性位置エネルギを蓄積するIOLインジェクタである。
【0031】
本明細書に記載のIOLインジェクタの各種の実装形態において、及び本開示の範囲内で使用できるばねには各種あり、例えばコイルばねやトーションばねである。
【0032】
例えば、コイルばねとも呼ばれる、つる巻きばねがその休止位置から圧縮され、又は引き伸ばされると、これはその長さの変化にほぼ比例する反力を発生させる。「休止位置」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、基本的に蓄積された弾性エネルギを持たないばねを指す。コイルばねには典型的に2種類ある:引張ばねか圧縮ばねである。引張又は引きばねは、負荷を受けると長くなるように設計される。その巻き(ループ)は典型的に無負荷位置で接触し、また、これらは各端においてフック、目玉、又はその他の取付手段を有していてよい。それに対して、圧縮ばねは、負荷を受けるとより短くなるように設計される。その巻き(ループ)は典型的に無負荷位置では接触せず、また、これらは典型的に、引張ばねに使用されるような取付点を必要としない。
【0033】
トーションばねは、ねじり又は捻りによって作用するばねであり、すなわち、それが捻られると機械的エネルギを蓄積する柔軟な弾性物体である。これは、捻られると、それが捻られた量(角度)に比例する反対方向の力(トルク)を発生させる。
【0034】
本開示のIOLインジェクタの各種の実装形態で使用されてよいその他の種類のばねには、一定荷重ばね、可変ばね、可変剛性ばね、薄板ばね、機械加工ばね、サーペンタインスプリング、片持ちばね、中空チューブばね、タケノコばね、ひげぜんまい、板ばね、V字ばね、皿ばね、一定力ばね、主ばね、ネゲータスプリング、プログレシブレートコイルスプリング、ゴムバンド、ばね座金、及びウェーブスプリング、並びに当業者であれば特定できるその他が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
図5、6、及び7は、自動プランジャ前進ドライブにより作動される例示的なIOLインジェクタ500を示す。各種の実装形態において、IOLインジェクタ500はインジェクタ本体509を含み、これらは、遠位端505と近位端506を有するインジェクタ主要部510と、インジェクタ主要部510の遠位端505に連結されるノズル(図示せず)と、を含む。インジェクタ本体510は、インジェクタ本体509の近位端506からインジェクタ本体509の遠位端(図示せず)まで延びるボア564を画定する。
【0036】
IOLインジェクタ500は、インジェクタ本体内に形成されるボア564の中で往復運動するようになされるプランジャ565を有する。プランジャ565はボア564の中に受けられ、その中で移動可能であり、それによってプランジャ565はボア564の中でスライド可能である。特に、プランジャ565は、IOL、例えばIOL 10をインジェクタ本体509の中で前進させるためにボア564の中でスライド可能である。
【0037】
IOLインジェクタ500はまた、長さ方向軸575も含む。長さ方向軸575は、プランジャ565に沿って延び、プランジャ565の長さ方向軸を画定してよい。
【0038】
プランジャ565がボア564の中で矢印535の方向に遠位方向へと変位されると、プランジャ565はIOL、例えばIOL 10と係合し、これをIOLインジェクタ500を通ってノズル(図示せず)から眼内へと前進させる。
【0039】
IOLインジェクタ500は、シリンダ550の中に同心円状に配置されたプランジャ565の近位部分を有する。シリンダ550の内壁567はシリンダねじ山568を有する。プランジャ565の一部は、プランジャねじ山569を有するねじ切りシリンダ係合部分540を有する。シリンダねじ山568は、シリンダ550が矢印555の方向に回転したことに応答して、プランジャねじ山569と係合し、矢印535の方向へのプランジャ665の軸方向の移動を可能にするようになされる。プランジャ565は、ボア564の中に回転可能に固定され、それによってプランジャ565は、シリンダ550が矢印555の方向に回転したことに応答して矢印555の方向には回転しないが、矢印535の方向に軸方向に移動する。
【0040】
シリンダ550は、トーションばね560と同心円状に配置される。トーションばね560は、トーションばね560のコイル状巻き線が、トーションばね560を含む駆動機構にブレーキ力が加えられないと解かれるようになされているため、蓄積位置回転エネルギを含む。トーションばね560の少なくとも一方の端は、シリンダ550に連結される。例えば、トーションばねは、遠位端571及び/又は近位端572においてシリンダ550に連結されてよく、それによって、後述のようにブレーキ力が解除されたときに解かれることによってトーションばね560の貯蓄エネルギが解放されると、シリンダ550は、例えば方向555に回転する。幾つかの実装形態において、トーションばねの一方の端はインジェクタ本体509に連結されてよい。
【0041】
IOLインジェクタ500は、プランジャ565の軸方向の移動を阻止するようになされたブレーキ機構を有する。幾つかの実装形態において、例えば
図5に示されるように、IOLインジェクタ500はハンドル520を有し、これは旋回点563においてインジェクタ主要部510に回転可能に連結され、それによってハンドル520は、矢印525の方向に力が加えられたことに応答して、旋回点563の周囲で回転するようになされる。ハンドルは、遠位端561と近位端562を有する。ハンドル520の近位端562は、ブレーキ機構のブレーキ解除アーム577の近位端574に連結される。ブレーキ解除アーム577の遠位端578は、プランジャ565と接触するようになされた1つ又は複数のブレーキパッド579に連結され、それによってブレーキパッドがプランジャと接触すると、プランジャ565の移動と反対の摩擦ブレーキ力が提供される。ブレーキパッド579は、プランジャ565と内壁582との間に形成されるスペースを有するブレーキパッドポケット581の中に軸方向に移動可能に配置される。ブレーキパッドポケット581の内壁582はテーパ状であり、ブレーキパッドポケット582の遠位端583においてより狭く、それによって、ブレーキパッド579がブレーキパッドポケット582の遠位端583に配置されると、ブレーキパッド579は内壁582とプランジャ565との間にきつい状態で保持され、プランジャ565に向かって矢印584への方向に横方向の摩擦ブレーキ力を提供し、それによってプランジャ565の軸方向の移動を阻止する。
【0042】
ハンドル520の遠位端561に矢印525の方向の力が加えられないと、ブレーキパッド565は、ブレーキパッド579の近位端とインジェクタ主要部510との間に連結される1つ又は複数の圧縮ばね580によって加えられる軸方向の力に応答して、ブレーキパッドポケット581の遠位端583に保持される。したがって、圧縮ばねの減圧によって、ブレーキパッド579は矢印535の方向にブレーキングポケット581の遠位端583に向かって移動する。ハンドル520の遠位端561の矢印525の方向に力が加えられたことに応答して、ブレーキ解除アーム577は矢印585の方向に移動し、圧縮ばね580を圧縮し、ブレーキパッド579をブレーキングポケット581の近位端に向かって引く。ブレーキングポケット581の近位端における内壁582は、プランジャ565から反対に向かってテーパ状であり、それによって、ブレーキパッド575がブレーキングポケット581の近位端に向かって移動すると、ブレーキパッド579はプランジャ565に当たってきつい状態で保持されなくなり、横方向の摩擦ブレーキ力がプランジャ565から取り除かれる。
【0043】
したがって、ハンドル520の遠位端561に方向525への力が加えられたことに応答して、圧縮ばね580が圧縮されてブレーキ機構がプランジャ565から外れ、プランジャ565は、トーションばね560の蓄積エネルギの解放とシリンダ550の方向555への回転に応答して矢印535の方向へと軸方向に移動できる。
【0044】
トーションばね560は、プランジャ565を軸方向に前進させるためのエネルギ源として使用され、それによって使用者は片手でこれを使用できることになる。例えば、IOLインジェクタ500は、使用者がIOLインジェクタ500を鉛筆を握るように持ち、ハンドルの遠位端を人差し指で押せるようになされる。自動駆動機構によって、IOL送達工程はより一貫し、予測可能なものとなり、その一方で、ブレーキ機構はIOLが飛び出すリスクを低減させる。
【0045】
図5、6、7、及び8のIOLインジェクタ500は、ノズルの中空部分の中に配置されたIOLをさらに含むことができる。プランジャがノズルに向かって前進すると、プランジャはIOLを押してノズルから排出する。
【0046】
幾つかの実装形態において、自動駆動機構を有するIOLインジェクタは、例えば
図8の例示的な実装形態において示されるような油圧減衰機構を含むことができる。幾つかの実装形態において、
図8に示される例示的な油圧減衰機構は、上述され且つ
図5~7に示される摩擦ブレーキ機構と同様に機能してよいが、代わりに油圧流体の流量の制御を利用して、プランジャ565の前進速度を制御する。油圧減衰機構は、近位端702と遠位端703を有する近位チャンバ701と、近位端705と遠位端706を有する遠位チャンバ704と、を含む。プランジャ565は、近位部分200と遠位部分210を含む。近位部分200は近位ピストン801を含み、これは近位チャンバ701内にスライド可能に配置され、プランジャ565のねじ切りシリンダ係合部分540が矢印535の方向に移動したことに応答して、近位チャンバ701の近位端702から近位チャンバ701の遠位端703へと移動可能である。近位チャンバ701の遠位端703はオリフィス707に連結され、これは近位チャンバ701の遠位端703を遠位チャンバ704の近位端705に流体連結して、近位ピストン801の移動に応答して、油圧流体が近位チャンバ701から遠位チャンバ704に移動できるようにする。プランジャ565の遠位部分210の近位端は遠位ピストン802を含み、これは遠位チャンバ704の中にスライド可能に配置され、流体の移動に応答して遠位チャンバ704の近位端705から遠位チャンバ704の遠位端706へと移動可能である。
【0047】
流体は、鉱物油又は、本明細書に記載の油圧移動に適した他の流体であってよい。
【0048】
幾つかの実装形態において、オリフィス707の内径は0.1~2mmであってよい。
【0049】
幾つかの実装形態において、オリフィスは一方向弁を含んでいてよく、それによって流体の軸方向移動は矢印535の方向であり、逆の軸方向ではない。
【0050】
図8に示される例示的な実装形態において、ハンドル520は旋回点563と遠位端561との間で油圧流バリア803の第一の端805に連結される。油圧流バリア803の第二の端806はオリフィス707内にスライド可能に配置され、それによって、ハンドル520に矢印525の方向に力が加えられていないと、油圧流バリア803は流体がオリフィスを通って近位チャンバ701から遠位チャンバ704へと流れるのを阻止する。油圧流バリア803は油圧流ゲート804を含み、これは油圧流ゲート804がオリフィス内に配置されたときに、流体がオリフィス707を通って流れることができるようになされた通路を形成する。ハンドル520に矢印525の方向の力が加えられていないと、ハンドル520とオリフィス707との間に配置された圧縮ばね580は、矢印525の方向と反対の力を加え、油圧流ゲート804をオリフィス707の外へと移動させる。ハンドル520に矢印525の方向の力が加えられたことに応答して、油圧流ゲート804はオリフィスの中へと移動し、流体はオリフィスを通って近位チャンバ701から遠位チャンバ704へと移動できる。したがって、プランジャ565を軸方向に移動させるために、使用者は、矢印525の方向の力を加えることによってハンドル530を押して油圧流ゲート804をオリフィス707の中に位置付けてよく、それによって、トーションばね560が移動してシリンダを方向555に回転させ、プランジャねじ山を介してシリンダねじ山に連結されるプランジャの近位部分を方向535に軸方向に移動させたことに応答して、流体は近位チャンバ701から遠位チャンバ704へと矢印535の方向に移動できる。油圧減衰機構はそれによって、油圧ブレーキとして機能する。ハンドル520を矢印525の方向に押すことにより、使用者は油圧ブレーキを解除して、プランジャ565を方向535に前進させてよい。したがって、油圧減衰機構により、使用者は近位チャンバ701から遠位チャンバ704への油圧流体の流量を制御し、それによってトーションばね560からの回転エネルギのプランジャ565の軸方向移動への変換を制御することができる。
【0051】
したがって、上述の
図5~8に示される例示的なIOLインジェクタのような幾つかの実装形態において、プランジャをIOLインジェクタのボアの中でIOLインジェクタ本体の遠位端に向かって、IOLを眼に送達するために軸方向に移動させるための駆動力は、トーションばね等のばねからの蓄積エネルギの解放によって提供されてよい。したがって、いくつかの実装形態において、プランジャの軸方向移動は、ばねからの蓄積エネルギの解放によって自動的に駆動されてよい。したがって、幾つかの実装形態において、プランジャの前進は、ユーザがプランジャに軸方向の力を加えずに起こされてもよい。それに加えて、幾つかの実装形態では、ブレーキ機構はIOLインジェクタに含められてよく、使用者はプランジャのブレーキ力の付加を解除して、ばねからの蓄積エネルギを解放させることによってプランジャの軸方向移動を駆動してもよい。
【0052】
後述の、例えば
図9~11Cに示される例示的なIOLインジェクタのような他の実装形態において、IOLを眼に送達するためにプランジャをIOLインジェクタのボアの中で第一の軸方向にIOLインジェクタ本体の遠位端に向かって軸方向に移動させるための駆動力は、使用者がプランジャに付加する第一の手を用いた軸方向の力によって提供されてよく、プランジャの軸方向移動はまた、ばねからの蓄積エネルギの解放により提供される第二の駆動力により補助されてもよい。したがって、各種の実装形態において、ばねからの蓄積エネルギの解放は、ばねからの蓄積された弾性エネルギをプランジャの軸方向移動の運動エネルギへの変換によって、プランジャの軸方向移動を補助するようになされ、これは本明細書においてばね補助駆動機構と呼ばれる。例えば、幾つかの実装形態において、ばねの蓄積エネルギの解放は圧縮ばねの減圧により実装されてよい。他の実装形態において、ばねの蓄積エネルギの解放は引張ばねの収縮により実装されてよい。各種の実装形態において、プランジャをIOLインジェクタの遠位端に向かって移動させるための補助駆動力を提供するばねは、補助ばねと呼ばれてよい。ばね補助駆動機構は、1つ又は複数の補助ばねを含んでいてよい。補助ばねは、ばねの第一の端においてプランジャに直接又は間接に、及びばねの第二の端においてインジェクタ本体に直接又は間接に連結されてよく、それによって補助ばねからの蓄積された弾性エネルギの解放は、インジェクタ本体の遠位端に向かうプランジャの軸方向移動を駆動するのを補助する。間接的な連結の本明細書に記載の非限定的な例には、ばねの歯車への連結が含まれ、この場合、歯車は歯車と嵌合するようになされたラックを有するプランジャに回転可能に連結される。
【0053】
それに加えて、幾つかの実装形態において、1つ又は複数のばねがIOLインジェクタの中で、IOLインジェクタ本体の遠位端に向かうプランジャの軸方向移動と反対の軸方向の抵抗力を提供するようになされたばね減衰機構に含められてよい。例えば、幾つかの実装形態において、抵抗力は圧縮ばねを圧縮することによって実装されてよい。他の実装形態において、抵抗力は引張ばねを引き伸ばすことによって実装されてよい。したがって、各種の実装形態において、ばね減衰機構は、プランジャの移動の運動エネルギをばね内の蓄積された弾性エネルギに変換することによって、プランジャの軸方向移動に対する抵抗又はその減衰を提供するようになされてよい。各種の実装形態において、IOLインジェクタの遠位端に向かうプランジャの移動と反対の第二の軸方向への抵抗力を提供するばねは、抵抗ばね又は減衰ばねと呼ばれてよい。ばね減衰機構は、1つ又は複数の抵抗ばね又は減衰ばねを含んでいてよい。減衰ばねは、ばねの第一の端においてプランジャに直接又は間接に、及びばねの第二の端においてインジェクタ本体に直接又は間接に連結されてよく、それによってインジェクタ本体の遠位端に向かうプランジャの軸方向の移動は、減衰ばね内に弾性エネルギを蓄積する。間接的な連結の本明細書に記載の非限定的な例には、ばねの歯車への連結が含まれ、この場合、歯車は歯車と嵌合するようになされたラックを有するプランジャに回転可能に連結される。
【0054】
したがって、各種の実装形態において、1つ又は複数の補助用及び/又は抵抗ばねがIOLインジェクタの中に、IOLインジェクタ本体の遠位端に向かうプランジャの軸方向の、それぞれ駆動及び/又は減衰を補助する補助及び/又は抵抗力の組合せを提供するために含められてよい。幾つかの実装形態において、ばね補助駆動力は、1つ又は複数のばね駆動歯車を含んでいてよい。「ばね駆動歯車」という用語は、ばねからの蓄積エネルギの解放に応答して回転するようになされた歯車を指す。それゆえ、各種の実装形態において、IOLインジェクタに含められるばね駆動歯車は、補助ばね駆動歯車又は減衰ばね駆動歯車であってよい。「補助ばね駆動歯車」という用語は、ばねからの蓄積エネルギの解放を通じてインジェクタ本体の遠位端に向かうプランジャの軸方向の移動を駆動し、開放されたエネルギを歯車の回転運動に変換するのを援助する歯車を指し、歯車は典型的にプランジャ上に配置されたラックの歯と歯車の歯との嵌合を通じてプランジャに連結され、プランジャの軸方向の移動を駆動するのを補助するようになされる。それに対して、「減衰ばね駆動歯車」という用語は、典型的にプランジャ上に配置されたラックの歯と歯車の歯との嵌合を通じて、軸方向のプランジャの移動の運動エネルギをばね内の蓄積エネルギに変換することによって、インジェクタ本体の遠位端に向かうプランジャの軸方向の移動と反対の力を提供する歯車を指す。
【0055】
例えば、
図9Aは、IOLインジェクタの各種の実装形態で使用されてよいばね駆動歯車の例示的な実装形態の一面を示す略図である。
図9Aは、ボア915を画定するインジェクタ本体910と、ボア915を通って往復運動するようになされ、その中で移動可能であるプランジャ960を有し、それによってプランジャ960がボア915の中でスライド可能であるIOLインジェクタ900を示す。プランジャ960は、その上に配置されたラック980を含み、これは第一の歯車940の歯と嵌合するように構成される複数の歯を含み、それによってプランジャ960は第一の歯車940の回転に応答して軸方向に移動可能である。第一の歯車940は、インジェクタ本体910に回転可能に連結されるシャフト995に固定して連結される。第一の歯車940は、蓄積された弾性エネルギを有するばねの収縮に応答して、矢印994の方向に回転するように構成される。例えば、
図9Aに示される例示的なばねは弾性バンドであり、例えばこれは第一の端でシャフト995の周囲に巻き回され、第二の端992でインジェクタ本体910に連結されるゴムバンド993である。例えば、
図9Aに示されるように、シャフト995の周囲のゴムバンド993を巻き出すことによって、ゴムバンド993内の蓄積された弾性エネルギが解放されて、第一の歯車940は矢印994の方向に回転し、プランジャはそれに応答して矢印997の方向にインジェクタ本体の遠位端920に向かって移動する。それに対して、プランジャ960が矢印997と反対の軸方向に移動すると、第一の歯車940は矢印994と反対方向に回転し、それによってゴムバンド993はシャフト995の周囲に巻かれ、それによってプランジャ960の移動の運動エネルギがゴムバンド993の中に弾性エネルギとして蓄積され、ゴムバンドはプランジャ960の軸方向の移動に対する抵抗力を提供する。幾つかの実装形態において、ばね駆動歯車は、補助ばね駆動歯車及び減衰ばね駆動歯車の両方として逐次的に機能するように構成されてよい。
【0056】
図9Bは、補助ばね駆動歯車と減衰ばね駆動歯車を有する例示的IOLインジェクタ900の断面図を示す。IOLインジェクタ900はインジェクタ本体910を含み、これはインジェクタ本体910の内壁935により画定されるボア930を有する。例示的なIOLインジェクタ900は、ばねからの蓄積エネルギの解放をプランジャの軸方向移動に変換するようになされた1つ又は複数の補助ばね駆動歯車を有していてよい。例えば、ボア930の中で、第一の歯車940はインジェクタ本体910の近位端915において、インジェクタ本体910の内壁935上に配置される。第一の歯車940は、補助ばね駆動歯車であってよい。したがって、例えば、第一の歯車940は蓄積された弾性エネルギを有するばねに連結されてよく、この場合、第一の歯車940は、連結されるばねからの蓄積された弾性エネルギの解放に応答して回転するようになされる。IOLインジェクタ900はプランジャ960を有し、これは、プランジャ960の近位端977に加えられる軸方向の力に応答して、インジェクタ本体910のボア930の中で、矢印997で示される第一の方向にインジェクタ本体910の遠位端920に向かって移動可能である。プランジャ960は、その上に配置されたラック980を含み、これは第一の歯車940の歯と嵌合するように構成された複数の歯を含み、プランジャ960は、第一の歯車940の回転に応答して軸方向に移動可能である。
【0057】
使用者がプランジャ960の近位端977に力を加えて、プランジャ960をボア930の中でインジェクタ本体910の遠位端920に向かって前進させることは、第一の歯車940に連結されるばねからの蓄積された弾性エネルギの解放により補助されてよく、それによってボア930を通じたプランジャ960の前進が補助される。
【0058】
幾つかの実装形態において、IOLインジェクタは第二のばね駆動歯車950を含んでいてよい。
【0059】
図9Bでは、第一の歯車940と第二の歯車950は、第一の歯車940及び第二の歯車950の回転軸がそれぞれ矢印998及び999により指示されるように示されている。
【0060】
幾つかの実装形態において、第二のばね駆動歯車950は抵抗ばね駆動歯車として構成されてよい。したがって、幾つかの実装形態において、第二の歯車950は、第二の歯車950がプランジャ960のラック980と係合する前には蓄積された弾性エネルギをほとんど又は全く持たないばねに連結されてよい。使用者がプランジャ960に矢印997の方向への軸方向の力を加え続けると、ラック980は第二の歯車950の歯と嵌合して、第二の歯車を回転させるように構成される。第二の歯車950の回転に応答して、弾性エネルギが第二の歯車950に連結されるばねに蓄積される。第二の歯車950によって、プランジャ960の移動の運動エネルギが蓄積された弾性エネルギに変換されることにより、プランジャ960の軸方向の運動に対する抵抗力が提供される。
【0061】
幾つかの実装形態において、第一及び第二の歯車940、950は、回転ばね駆動歯車とすることができる。幾つかの実装形態において、歯車の1つ又は複数は、例えば
図10に示される例示的な実装形態において後述するように、つる巻きばねに置き換えることができる。
【0062】
幾つかの実装形態において、第二の歯車950は、プランジャ960の軸方向の移動に対する摩擦抵抗を提供するようになされたシリンジ型減衰器に置き換えることができる。
【0063】
したがって、幾つかの実装形態において、IOLインジェクタは1つ又は複数のばね駆動歯車を含んでいてよく、これは軸方向のプランジャの移動に関する補助用の軸方向の力及び/又は抵抗の軸方向の力を提供する。例えば、幾つかの実装形態において、
図9Bに示されるように、第一の歯車940は、使用者がインジェクタ900を通じてIOLを前進させるために加えるのに必要な力を減少させるように構成されてよい。幾つかの実装形態において、第二の歯車950は、インジェクタ900からIOLを排出する際に使用者が経験する力の急激な減少を緩和するように構成されてよい。したがって、各種の実装形態において、IOLインジェクタに含まれる1つ又は複数のばね駆動歯車は、使用者がIOLインジェクタを通じてIOLを前進させるのを補助する一貫したスムーズな軸方向の駆動力を提供し、それと同時に、減衰機能はIOLが飛び出すリスクを低下させ、使用者にとってより高い信頼性を提供する。
【0064】
したがって、幾つかの実装形態において、使用者がプランジャに軸方向の力を加えてプランジャをインジェクタ本体の遠位端に向かって前進させると、ラックは第一の歯車と係合し、第一の歯車が、ボアを通じてプランジャをさらに前進させるのを補助する力を加える。それに加えて、幾つかの実装形態において、使用者がプランジャにさらに軸方向の力を加えてプランジャをインジェクタ本体の遠位端に向かって前進させると、ラックが第二の歯車と係合し、第二の歯車は、ボアを通じたプランジャのそれ以上の前進に抵抗する力を加える。
【0065】
幾つかの実装形態において、第一の歯車940と第二の歯車950はそれぞれ、異なる弾性又はその他の機械的特性を有するばねに連結されてよい。例えば、幾つかの実装形態において、第一の歯車940に連結されるばねは、第二の歯車950に連結されるばねより大きい弾性エネルギ解放の力を有してよい。例えば、第一の歯車940に連結されるばねは第二の歯車950に連結されるばねの1.5倍、又は約1.5倍の力を有していてよい。幾つかの実装形態において、第一の歯車940に連結されるばねは第二の歯車950に連結されるばねの1、2、3、若しくは4倍、又は約1、2、3、若しくは4倍の力を有していてよい。
【0066】
図10は、つる巻きばねで補助される軸方向の駆動力を有する他の例示的なIOLインジェクタ1000の断面を示す略図である。例示的なIOLインジェクタ1000はインジェクタ本体1010を含み、内壁1035により画定されるボア1030と、遠位端1020及び近位端1025を有する。少なくとも1つの止め具1040が内壁1035の遠位端1020に配置され、各止め具1040は、ボア1030の中へと突出するピン1045を有する。
【0067】
第一のつる巻きばね1050は、IOLインジェクタ1000の内壁1035内に配置され、第二のつる巻きばね1060は第一のつる巻きばね1050の中に配置される。
【0068】
IOLインジェクタ1000はプランジャ1070を含み、これは、プランジャ1070に軸方向の力が加えられたことに応答してボア1030の中で移動可能であり、それによってプランジャ1070はボア1030の中でスライド可能であり、プランジャ1070は遠位端1075と近位端1077を有する。使用者は、プランジャ1070の近位端1077に軸方向の力を加えて、プランジャをインジェクタ本体1010の中で、方向1090により示されるように前進させることができる。
【0069】
図10に示される例示的な実装形態において、プランジャ1070は、第二のばね1060の中に配置され、第二のばねはシース1001の中に配置される。例えば、シース1001はシリンダであってよく、これは、インジェクタ本体1010の内壁1035の中に配置され、プランジャ1070の一部を取り囲む大きさである。ボア1030の一部は、シース1001の中に画定され、それによってプランジャ1070はシース1001の中でスライド式に移動できる。第二のばね1060の近位端1002は、プランジャ1070に連結される。第二のばね1060の遠位端1003はシース1001に連結される。幾つかの実装形態において、第二のつる巻きばね1060は補助ばねであってよい。例えば、第二のつる巻きばね1060は引張ばねであってよく、これは引張ばねが収縮すると解放される蓄積された弾性エネルギを有する。例えば、
図10に示されるように、第二のばね1060が引張ばねである場合、プランジャ1070は、第二のばね1060の収縮に応答して方向1090に移動するようになされる。
【0070】
シースは、プランジャ1070に方向1090への軸方向の力が加えられたことに応答して、ボア1030の中の止め具1040間でスライド式に移動可能である。特に、幾つかの実装形態において、シースは、第二のばね1060が完全に圧縮されると、プランジャ1070にさらに方向1090への軸方向の力が加えられたことに応答して、ボア1030の中の止め具1040間でスライド式に移動可能である。したがって、第二のばね1060は、第二のばねの近位端においてプランジャ1070に連結され、第二のばね1060の遠位端においてインジェクタ本体1010に間接的に連結される。
【0071】
幾つかの実装形態において、第一のばね1050は抵抗ばねであってよい。例えば、
図10において、シース1001は第一のばね1050の中に配置される。第一のばね1050の近位端1004はシース1001に連結される。第一のばね1050の遠位端1005は、止め具1040に連結される。したがって、第一のばね1050は、第一のばね1050の近位端においてプランジャ1070に間接的に連結され、第一のばね1050の遠位端においてインジェクタ本体1010に間接的に連結される。幾つかの実装形態において、例えば、第一のつる巻きばね1060は、圧縮ばねが圧縮されると弾性エネルギを蓄積するようになされた圧縮ばねであってよい。例えば、
図10に示されるように、第一のばね1060が圧縮ばねである場合、第一のばねはプランジャ1070が方向1090に軸方向に移動したことに応答して圧縮されるようになされる。したがって、第一のばねの圧縮は、方向1090へのプランジャの軸方向の移動に対する矢印1055の方向への減衰抵抗力を提供する。特に、幾つかの実装形態において、
図10に示されるように、シース1001がボア1030の中の止め具1040間でスライド式に移動する間に、第一のばね1050は圧縮されてよく、それによってシース1001とプランジャ1070の軸方向の移動に対する抵抗減衰力が提供される。
【0072】
したがって、第二のつる巻きばね1060は、使用者がインジェクタ1000を通じてIOLを前進させるために必要なピーク力を縮小させる。第一のつる巻きばね1050は、インジェクタ1000からIOLを排出するときに使用者が体験する力の突然の低下の可能性を減少させる減衰力を提供するように構成されてよい。
【0073】
図11A~
図11Cは、補助ばねと減衰ばねを含むIOLインジェクタの他の例の略図である。例示的なIOLインジェクタ1100はインジェクタ本体1110を含み、これはインジェクタ本体1100の内壁1135によって画定されるボア1130を有する。インジェクタ本体1110は、遠位端1120と近位端1125を有する。ノズル1200は、インジェクタ本体110の遠位端1120に配置される。
【0074】
IOLインジェクタ1100はプランジャ1170をさらに含み、これはプランジャ先端340を有する遠位端、及び近位端1177を有する。プランジャ1170はボア1130の中に受けられ、その中で移動可能であり、それによってプランジャ1170は、遠位端1177に方向1190により示されるような軸方向の力が加えられたことに応答してボア1130の中でスライド可能である。
【0075】
第一のつる巻きばね1150は、ボア1130の中の近位端1125の付近に配置される。幾つかの実装形態において、第一のつる巻きばね1150は補助ばねである。例えば、第一のつる巻きばね1150は圧縮ばねであってよい。幾つかの実装形態において、初期状態で、第一のつる巻きばねは圧縮ばねであり、これは休止位置におけるその休止時長さの40~50%まで、又は約40~50%まで圧縮される。例えば、
図11Aに示されるように、第一のつる巻きばね1150の遠位端1151は、プランジャ1170に連結される。第一のつる巻きばね1150の近位端1152は、インジェクタ本体1110の近位端1125に連結される。幾つかの実装形態において、第一のつる巻きばね1150の近位端1152は、インジェクタ本体1110の近位部分の、例えばインジェクタ本体1110の近位端1125に隣接した位置に連結されてよい。幾つかの実装形態において、第一のつる巻きばね1150の遠位端1151はまた、第一の接触タブ1153にも連結され、これはIOLインジェクタが第一の状態にあるとき、ボア1130の中に配置された第一の取外し可能止め具1210と接触するようになされる。他の実装形態において、第一の接触タブ1153はなくてもよく、第一のつる巻きばね1150の遠位端1151は、第一の取外し可能止め具1210に直接接触するようになされてよい。第一の状態では、例えば
図11Aに示されるように、第一の接触タブ1153は、第一の止め具1210と接触し、これによって第一のつる巻きばね1150は比較的圧縮された状態に保たれ、蓄積された弾性エネルギを有する。
図11Bに示されるように、第二の状態では、第一の止め具1210が外されたことに応答して、第一のつる巻きばね1150は、典型的には第一のつる巻きばねのその休止位置における休止時長さの75%まで、又は約75%まで伸長するように構成され、これによって矢印1190の方向へのプランジャの移動を補助する。第一のつる巻きばね1150は、第一の接触タブ1153がボア1130の中に配置された第二の取外し可能止め具1220と接触するまで伸長するようになされる。幾つかの実装形態において、プランジャ先端340は、第一の接触タブ1153が第二の取外し可能止め具1220と接触しているとき、IOL待機位置1250に近位側で隣接してよい。幾つかの実装形態において、第一の接触タブ1153は、インジェクタ本体1110内に配置されたチャネル1154の中で軸方向にスライドするようになされてよい。
【0076】
したがって、幾つかの実装形態において、第一のつる巻きばね1150は、第一の止め具が外された後の方向1190へのプランジャの軸方向の移動に対する抵抗力を提供する。
【0077】
幾つかの実装形態において、第二のつる巻きばね1160は、ボア1130の中の、インジェクタ本体1110の遠位端1120の付近に配置されてよい。第二のつる巻きばね1160の遠位端1161は、インジェクタ本体1110の遠位端1120に隣接して、例えばインジェクタ主要部の遠位端に隣接する位置においてインジェクタ本体1110に連結される。第二のつる巻きばね1160の近位端1162は、第二の取外し可能止め具1220と接触するようになされた第二の接触タブ1163に連結される。他の実装形態において、第二の接触タブ1163はなくてもよく、第一のつる巻きばね1160の近位端1162は第二の取外し可能止め具1220と直接接触するようになされてよい。第二の状態では、例えば
図11Aに示されるように、第二の接触タブ1153は第二の止め具1220と接触していてよく、これは、幾つかの実装形態において、第二のつる巻きばね1160を比較的圧縮されていない状態、すなわち休止位置に保持してよく、蓄積された弾性エネルギをほとんど又は全く持たない。幾つかの実装形態において、第二の接触タブ1163は、インジェクタ本体1110の中に配置されたチャネル1154の中で軸方向にスライドするようになされてよい。
【0078】
第三の状態では、第二の取外し可能止め具1220は外されてよく、それによってプランジャ1170は方向1190へと軸方向にさらに前進でき、それによってプランジャ先端340はIOL待機位置1250に近位側で隣接する位置からインジェクタ本体1110の遠位端1120へと移動し、それによってIOLを眼内へと排出する。第三の状態では、第二の取外し可能止め具1220がインジェクタ本体1110から外されると、第一の接触タブ1153と第二の接触タブ1163は、
図11Cに示されるように相互に接触するようになされ、又はタブがない場合、第一のつる巻きばねと第二のつる巻きばねは相互に接触してよい。したがって、プランジャ先端340がIOL待機位置に近位側で隣接する位置からインジェクタ本体1110の遠位端1120へと軸方向に移動している間に、第一のつる巻きばね1150と第二のつる巻きばね1160は相互に対して作用し、第一のつる巻きばね1150はその最後の約25%から完全な伸長状態まで延びる。それと同時に、第二のつる巻きばね1160は、比較的圧縮されていない状態又は休止位置から圧縮状態へと圧縮される。特に、プランジャ先端340がIOLをノズル1200の外へと前進させると、第二のつる巻きばね1160はその最大圧縮状態に近くなるようになされ、使用者がそれを押してノズル出口からIOLを排出させていることが確認される。第二のつる巻きばねにより提供される減衰力には、IOLが飛び出す可能性を低減させるという利点がある。
【0079】
本明細書に記載され、本開示の範囲に含まれるIOLインジェクタの各種の実装形態は、マルチピースIOLのIOLベース及び/又はIOL光学部、又は1ピースIOLを送達するように構成されてよい。本明細書に記載のIOLインジェクタの各種の実装形態は、使用者によってIOLインジェクタの中に手作業で装填されるか、又は使用者により送達前にプリロードされる、IOLベース及び/又は光学部に使用されてよい。
【0080】
本開示によりなされ得るIOLインジェクタの非限定的な例には、米国特許第7,156,854号明細書及び米国特許出願公開第2016/0256316号明細書に記載されているものが含まれ、各々の開示の全体を参照によって本願に援用する。
【0081】
本開示は様々な例を提供しているが、本開示の範囲はそのように限定されない。むしろ、上記の開示の中での様々な改良、変更、及び置き換えが想定される。本開示の範囲から逸脱することなく、上記の内容にこのような変更が行われてよいと理解されたい。