(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】可動ナビゲーションセンサを備えたサイヌプラスティ器具
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240318BHJP
A61B 17/24 20060101ALI20240318BHJP
A61F 11/00 20220101ALI20240318BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B17/24
A61F11/00 350
(21)【出願番号】P 2021533583
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(86)【国際出願番号】 IB2019060500
(87)【国際公開番号】W WO2020121138
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パルシ・ジェットミア
(72)【発明者】
【氏名】サラザール・ヘンリー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】トロット・ジョーダン・アール
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0117290(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0214216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)ハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位方向に延在するガイド部材と、
(c)前記ガイド部材内に摺動可能に配設された伸縮部材と、
(
d)前記ガイド部材に対して摺動可能に配設された拡張カテーテルであって、患者の副鼻腔口を拡張するように構成された膨張可能な要素を含む拡張カテーテルと、
(
e)
前記伸縮部材の遠位端
部に配設されたナビゲーションセンサであって、
前記ナビゲーションセンサは前記伸縮部材の前記遠位端部と共に移動するように構成されており、前記ナビゲーションセンサは、前記患者内のその位置に対応する信号を発生させるように動作可能であり、
前記ナビゲーションセンサは、前記拡張カテーテルの遠位端部が前記ガイド部材
の遠位端部を越えて遠位方向に並進するとき、前記ガイド部材に対して前記拡張カテーテルと共に遠位方向に並進するように構成され、
前記ナビゲーションセンサは、前記拡張カテーテルの前記遠位端部が前記ガイド部材の前記遠位端部の近位側に後退するときに、前記ガイド部材の前記遠位端部
の遠位側の位置に留まるように構成されている、ナビゲーションセンサと、を備え
ており、
前記伸縮部材は、前記ガイド部材及び前記ハンドルアセンブリに対して延出及び後退するように構成され、前記伸縮部材の前記遠位端部は、患者の副鼻腔口を通過するようにサイズ決めされている、装置。
【請求項2】
前記伸縮部材の前記遠位端部は、前記ハンドルアセンブリに対する前記拡張カテーテルの近位後退に応答して、前記ガイド部材の遠位端部において停止するように構成されている、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記伸縮部材の前記遠位端部は、前記ハンドルアセンブリに対する前記拡張カテーテルの近位後退に応答して、前記ガイド部材の前記遠位端部に当接するように構成されている、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハンドルアセンブリは、
(a)前記拡張カテーテルと動作可能に連結された第1の摺動可能部材であって、前記ハンドルアセンブリに対して前記拡張カテーテルを作動させるように動作可能である第1の摺動可能部材と、
(b)前記伸縮部材と動作可能に連結された第2の摺動可能部材であって、前記ハンドルアセンブリに対して前記伸縮部材を作動させるように動作可能である第2の摺動可能部材と、を備える、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の摺動可能部材は前記第2の摺動可能部材に対して近位側に位置付けられている、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の摺動可能部材は、前記第2の摺動可能部材とは独立して第1の可動域にわたって並進可能であり、前記第1の摺動可能部材は、前記第2の摺動可能部材と一緒に第2の可動域にわたって並進可能であり、前記第2の可動域は前記第1の可動域に対して遠位側にある、請求項
4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の摺動可能部材は、前記第2の可動域にわたって前記第2の摺動可能部材を駆動するように動作可能である、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の摺動可能部材は、前記第1の摺動可能部材と前記第2の摺動可能部材の両方を前記第2の可動域にわたって作動させるためにユーザによって係合されるように構成されたユーザ係合機構を含む、請求項
6に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の摺動可能部材又は前記第2の摺動可能部材のうちの少なくとも一方は、前記第1の可動域から前記第2の可動域への前記第1の摺動可能部材の遠位作動に応答して、前記第1の摺動可能部材又は前記第2の摺動可能部材の他方と解放可能に連結するように構成された連結機構を含む、請求項
6に記載の装置。
【請求項10】
前記連結機構は、前記第2の可動域から前記第1の可動域への前記第1の摺動可能部材の近位後退に応答して、前記第1の摺動可能部材又は前記第2の摺動可能部材の他方を係合解除するように構成されている、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記連結機構はラッチ又は磁石の少なくとも一方を含む、請求項
9に記載の装置。
【請求項12】
前記ナビゲーションセンサは電磁センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ガイド部材の少なくとも遠位部分は可鍛性であり、前記ガイド部材の近位部分の長手方向軸線に対して屈曲構成を取るように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ガイド部材は第1のガイド部材を含み、前記装置は、前記ハンドルアセンブリから遠位方向に延在し、前記第1のガイド部材の少なくとも近位部分の周りに配設されて、それとの間に円筒状の間隙を画定する第2のガイド部材を更に備え、前記拡張カテーテルは、前記円筒状の間隙を通って並進するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2018年12月12日出願の米国仮特許出願第62/778,341号、発明の名称「Sinuplasty Instrument with Moveable Navigation Sensor」に対する優先権を主張するものであり、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一部の症例においては、患者の解剖学的通路の拡開が望ましい場合がある。これには、副鼻腔の口の拡張(例えば、副鼻腔炎を治療するため)、喉頭の拡張、耳管の拡張、耳、鼻、又は喉内の他の通路の拡張などが含まれ得る。解剖学的通路を拡張する1つの方法としては、ガイドワイヤ及びカテーテルを用いて解剖学的通路内に膨張可能なバルーンを配置し、続いてバルーンを流体(例えば、生理食塩水)を用いて膨張させて解剖学的通路を拡張することが挙げられる。例えば、拡張可能なバルーンを副鼻腔の口内に配置し、次に膨張させることによって、粘膜の切開又は骨の切除を必要とせずに、口に隣接する骨を再構築することにより口を拡開することができる。その後、拡開した口によって、罹患した副鼻腔からの排液及びその副鼻腔の通気を改善することができる。このような処置を行うために用い得るシステムは、米国特許出願公開第2011/0004057号、発明の名称「Systems and Methods for Transnasal Dilation of Passageways in the Ear,Nose or Throat」(2011年1月6日に公開)の教示に従って提供され得、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれている。このようなシステムの一例として、Acclarent,Inc.(Irvine,California)によるRelieva(登録商標)Spin Balloon Sinuplasty(商標)Systemがある。
【0003】
耳管拡開との関連で、拡開カテーテル又は他の拡開器具を耳管に挿入し、続いて、これを膨張させるか、ないしは別の方法で拡張することによって耳管を拡開することができる。拡開された耳管は、鼻咽頭から中耳への通気を改善し、更に中耳から鼻咽頭への排液を改善することができる。耳管を拡開するための方法及びデバイスは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0274188号、発明の名称「Method and System for Treating Target Tissue within the ET」(2010年10月28日公開);及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0274715号、発明の名称「Method and System for Eustachian Tube Dilation」(2013年10月17日公開)、に開示されている。このようなシステムの一例として、Acclarent,Inc.(Irvine,California)によるAera(登録商標)Eustachian Tube Balloon Dilation Systemがある。
【0004】
画像誘導手術(IGS)は、コンピュータを用いて、患者の身体内に挿入された器具の位置の、術前に得られた画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)のセットに対するリアルタイムの相関を得ることで、コンピュータシステムが器具の現在の位置を術前に得られた画像に重ねる技術である。IGS処置で使用できる電磁IGSナビゲーションシステムの例は、Biosense-Webster,Inc.(Irvine,California)によるCARTO(登録商標)3 Systemである。いくつかのIGS手技では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁界を発生させる及び/又は外部で発生した電磁界に反応する電磁コイル)を有する特別な器具を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各手術用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対する各手術用器具のリアルタイム位置を示す指標(例えば、クロスヘア又は照明ドットなど)と共にビデオモニタ上に表示される。したがって、外科医が器具自体を体内のその現在の位置において直接視覚化することができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって、各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0005】
外科処置において、いくつかのシステム及び方法が製造及び使用されてきたが、本発明者ら以前に、添付の特許請求の範囲に記載される発明を製造又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論とするものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。図中、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【
図1A】初期構成における例示的な拡張器具の側面図を示す。
【
図1B】ガイドワイヤが遠位位置に前進した、
図1Aの拡張器具の側面図を示す。
【
図1C】ガイドワイヤが
図1Bの遠位位置に前進し、拡張カテーテルが遠位位置に前進した、
図1Aの拡張器具の側面図を示す。
【
図2A】器具のガイド部材が屈曲構成にあり、ガイドワイヤが遠位位置に前進した、
図1Aの拡張器具の遠位端部の側面図を示す。
【
図2B】器具のガイド部材が
図2Aの屈曲構成にあり、拡張カテーテルが遠位位置に前進した、
図1Aの拡張器具の遠位端部の側面図を示す。
【
図2C】器具のガイド部材が
図2Aの屈曲構成にあり、拡張カテーテルが
図2Bの遠位位置に前進し、拡張カテーテルの拡張部が膨張状態にある、
図1Aの拡張器具の遠位端部の側面図を示す。
【
図3】例示的な外科用ナビゲーションシステムの模式的な斜視図を示す。
【
図4】
図3の外科用ナビゲーションシステムと共に動作可能なナビゲーションセンサを有する、別の例示的な拡張器具の斜視図を示す。
【
図5】ハンドルアセンブリの内部機構を明らかにするために器具のハンドルアセンブリの側方シュラウド部分が図から省略された、
図4の拡張器具の別の斜視図を示す。
【
図6】剛性外側ガイド部材、可鍛内側ガイド部材、拡張カテーテル、及びその遠位先端にナビゲーションセンサを有する伸縮部材の各部分を含む、
図4の拡張器具の遠位部分の概略側面図を示す。
【
図7A】側方シュラウド部分が省略され、拡張カテーテルスライダ及び伸縮部材スライダがそれぞれ近位の定位置にある、
図4の拡張器具のハンドルアセンブリの近位部分の斜視図を示す。
【
図7B】拡張カテーテルスライダが伸縮部材スライダと連結するように、第1の可動域にわたって遠位方向に前進された後の拡張カテーテルスライダを示す、
図7Aのハンドルアセンブリの近位部分の別の斜視図を示す。
【
図7C】第2の可動域にわたって互いに遠位方向に前進した後の拡張カテーテルスライダと伸縮部材スライダを示す、
図7Aのハンドルアセンブリの近位部分の別の斜視図を示す。
【
図7D】伸縮部材スライダがその近位の定位置に復帰するように、第2の可動域にわたって互いに近位方向に後退した後の拡張カテーテルスライダと伸縮部材スライダを示す、
図7Aのハンドルアセンブリの近位部分の別の斜視図を示す。
【
図7E】伸縮部材スライダが依然としてその近位の定位置にある間に、拡張カテーテルスライダが第1の可動域にわたってその近位の定位置へと近位方向に後退するように分離された拡張カテーテルスライダと伸縮部材スライダとを示す、
図7Aのハンドルアセンブリの近位部分の別の斜視図を示す。
【
図8A】拡張カテーテルスライダ及び伸縮部材スライダが
図7Aのそれぞれの近位の定位置にあるときの、それぞれの近位の位置にある拡張カテーテル及び伸縮部材を示す、
図4の拡張器具の遠位部分の概略的側面図を示す。
【
図8B】拡張カテーテルスライダ及び伸縮部材スライダが
図7Bのそれぞれの位置にあるときの、それぞれの位置にある拡張カテーテル及び伸縮部材を示す、
図4の拡張器具の遠位部分の別の概略的側面図を示す。
【
図8C】拡張カテーテルスライダ及び伸縮部材スライダが
図7Cのそれぞれの位置にあるときの、それぞれの位置にある拡張カテーテル及び伸縮部材を示す、
図4の拡張器具の遠位部分の別の概略的側面図を示す。
【
図8D】拡張カテーテルスライダ及び伸縮部材スライダが
図7Dのそれぞれの位置にあるときの、それぞれの位置にある拡張カテーテル及び伸縮部材を示す、
図4の拡張器具の遠位部分の別の概略的側面図を示す。
【
図8E】拡張カテーテルスライダ及び伸縮部材スライダが
図7Eのそれぞれの位置にあるときの、それぞれの位置にある拡張カテーテル及び伸縮部材を示す、
図4の拡張器具の遠位部分の別の概略的側面図を示す。
【0007】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部/機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0009】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して使用されることが理解されるであろう。すなわち、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位側にある。便宜上及び明確さのために、「上部」及び「下部」などの空間用語もまた、本明細書において、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医を基準にして使用されていることが更に理解されよう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0010】
本明細書で使用されるとき、任意の数値や数値の範囲についての「約」又は「およそ」という用語は、指し示される厳密な値だけでなく、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的に沿って機能することを可能とする適当な寸法の許容誤差をも包含することを意図したものである。
【0011】
本明細書に記載の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0012】
I.例示的な拡張器具
図1A~
図1Cは、副鼻腔の小孔を拡張するために、又は何らかの他の解剖学的通路(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)を拡張するために使用され得る、例示的な拡張器具(10)を示す。単なる例として、拡張器具(10)は、米国特許公開第2012/0071857号、発明の名称「Methods and Apparatus for Treating Disorders of the Sinuses」(2012年3月22日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であってもよい。追加的に又は代替的に、拡張器具(10)は、Acclarent,Inc.(Irvine、California)によるRelieva Scout(登録商標)洞拡張システムのように構成されてよく、また動作可能となり得る。
【0013】
本実施例の拡張器具(10)は、ハンドルアセンブリ(20)と、剛性ガイド部材(30)と、回動ノブ(40)と、可鍛ガイド部材(50)と、ガイドワイヤ(60)と、拡張カテーテル(70)と、を備える。剛性ガイド部材(30)は、ハンドルアセンブリ(20)から遠位に延在し、実質的に直線である。本実施例では、剛性ガイド部材(30)の長手位置及び角度位置は、ハンドルアセンブリ(20)に対して固定されている。
【0014】
可鍛ガイド部材(50)が、剛性ガイド部材(30)の開放遠位端(32)から遠位に突出する。可鍛ガイド部材(50)の外径は剛性ガイド部材(30)の内径よりも小さく、それにより、円筒状の間隙は、可鍛ガイド部材(50)の外径と剛性ガイド部材(30)の内径との間で画定される。この円筒状の間隙は、以下により詳細に説明されるように、並進拡張カテーテル(70)を収容するようにサイズ決定される。可鍛ガイド部材(50)は
図1A~
図1Cにおいて直線構成を有するものとして示されているが、可鍛ガイド部材(50)は、例えば
図2Aに示されるような様々な折り曲げ角度まで折り曲げられ得る。オペレータが可鍛ガイド部材(50)を意図的に伸ばす又は再度折り曲げる工程を行うまで、可鍛ガイド部材(50)は、いったん折り曲げられたときの折り曲げ角度を実質的に維持するように構成されている。換言すれば、可鍛ガイド部材(50)は、拡張処置における拡張器具(10)の動作中、選択された折り曲げ角度を維持するために十分な剛性を有し、それにより、拡張処置における拡張器具(10)の使用により、可鍛ガイド部材(50)を望ましくない方法で伸ばさせない又は再度折り曲げさせない。本実施例では、可鍛ガイド部材(50)は金属から形成されているが、任意の他の好適な金属(単数又は複数)を使用してよい。
【0015】
ガイドワイヤ(60)は、可鍛ガイド部材(50)内に画定された中央管腔内に摺動可能に受容される。ガイドワイヤ(60)は、可鍛ガイド部材(50)の開放遠位端(52)に対して遠位に位置する円形の先端特徴部(62)を含む。ガイドワイヤ(60)は、ハンドルアセンブリ(20)と摺動可能に結合した滑動部(64)に固着される。したがって、滑動部(64)は、近位位置(
図1A)と遠位位置(
図1B)との間でガイドワイヤ(60)を摺動するように動作可能である。本実施例では、先端特徴部(62)は、可鍛ガイド部材(50)の遠位端(52)の内径よりも大きい外径を有し、それにより、先端特徴部(62)は、可鍛ガイド部材(50)を通って近位に戻るように後退できなくなる。一部の変形形態では、ガイドワイヤ(60)は、1つ又は2つ以上の光ファイバを含み、先端特徴部(62)は、そのような光ファイバにより通信する光を発するように構成されている。これは、オペレータが、本技術分野で既知であるような透光効果によって、洞腔内の先端特徴部(62)の位置付けを確認することを可能にし得る。単に一例として、ガイドワイヤ(60)は、米国特許出願公開第2012/0078118号(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくともいくつかに従って構成されてよく、また動作可能となり得る。本明細書の教示を考慮することで、ガイドワイヤ(60)が取り得る他の好適な形態が当業者に明らかとなろう。
【0016】
拡張カテーテル(70)は、可鍛ガイド部材(50)に沿って摺動可能に配置され、したがって、可鍛ガイド部材(50)の外径と剛性ガイド部材(30)の内径との間に画定された円筒状の間隙を通して並進するように動作可能である。拡張カテーテル(70)は、ハンドルアセンブリ(20)と摺動可能に結合した滑動部(74)に固着される。したがって、滑動部(74)は、近位位置(
図1B及び
図2A)と遠位位置(
図1C及び
図2B)との間で拡張カテーテル(70)を摺動するように動作可能である。拡張カテーテル(70)が近位位置から遠位位置まで並進すると、拡張カテーテル(70)は、可鍛ガイド部材(50)の開放遠位端(52)を通り越し、その後、可鍛ガイド部材(50)の開放遠位端(52)から遠位方向に延在するガイドワイヤ(60)の長さの少なくとも一部に沿って横方向に動く。
【0017】
拡張カテーテル(70)の遠位端は、拡張部(72)を備える。拡張部(72)は、非膨張状態(
図2B)と膨張状態(
図2C)との間で移行するように動作可能である。非膨張状態では、拡張部(72)は、副鼻腔口又は副鼻腔と関連付けられる他のドレナージ通路の中に挿入されてよい。次いで、拡張部(72)は、本明細書の種々の参考文献で記載される通り、副鼻腔又は他の排水通路を拡張するように膨張してもよい。本実施例では、拡張部(72)は、膨張のために食塩水(又はいくつかの他の流体)を受け入れる膨張可能なバルーンを備えるが、拡張部(72)が、その代わりに種々の他の形態をとっていてもよいことを理解すべきである。一部の変形形態では、拡張カテーテル(70)は、米国特許出願公開第2014/0074141号、発明の名称「Inflator for Dilation of Anatomical Passageway」(2014年3月13日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って構成され、かつ動作可能である。
【0018】
回動ノブ(40)は、可鍛ガイド部材(50)の近位端に固定されるように固着されている。回動ノブ(40)の回転は、可鍛ガイド部材(50)を回転させ、それによって、可鍛ガイド部材(50)の遠位端部(52)及びガイドワイヤ(60)の先端特徴部(62)の向きを変更することになる。オペレータは、ガイドワイヤ(60)及び拡張カテーテル(70)が挿入される洞に基づいて、そのような回転及び向き変更を提供することを望み得る。本実施例では、回動ノブ(40)及び可鍛ガイド部材(50)の角度位置は、ハンドル組立体(20)に対して回動ノブ(40)の長手方向の位置付けに基づいて、選択的にロック又はロック解除される。したがって、剛性ガイド部材(30)の長手方向軸を中心に回動ノブ(40)及び可鍛ガイド部材(50)を回転させるために、オペレータは、回動ノブ(40)を握持し、回動ノブ(40)を近位方向に引っ張り、回動ノブ(40)をそのまま近位方向に引っ張りながら所望の角度位置を達成するために、回動ノブ(40)を回転させ、その後、回動ノブ(40)を解放し、回動ノブ(40)が遠位位置に戻ることを可能にし得る。
【0019】
あるいは、器具(10)は、更にその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0120020号、発明の名称「Apparatus for Bending Malleable Guide of Surgical Instrument」(2017年5月4日公開)の教示に従って更に構成され、動作可能となり得る。
【0020】
II.例示的な画像誘導手術ナビゲーションシステム
患者(P)の頭部(H)内で医療処置を実施するとき、特に器具が患者(P)の頭部(H)内の器具の作業要素の内視鏡視野を得ることが困難又は不可能である場所にある場合に、患者(P)の頭部(H)内の器具の位置に関する情報を有することが望ましい場合がある。
図3は、画像誘導を使用してENT手技の実施を可能にする例示的なIGSナビゲーションシステム(100)を示す。本明細書に記載されている構成要素及び動作性を有することに加えて、あるいはそれに代わって、IGSナビゲーションシステム(100)は、以下の文献の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能となり得る。すなわち、米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)、米国特許出願公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)。
【0021】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(100)は、馬蹄形フレーム(104)に一体化された磁界発生器(106)を含む磁界発生器アセンブリ(102)を含む。磁界発生器(106)は、患者(P)の頭部(H)の周りに異なる周波数の交流磁界を発生させるように動作可能である。この実施例では、ナビゲーションガイドワイヤ(120)が患者(P)の頭部(H)に挿入される。ナビゲーションガイドワイヤ(120)は、独立型装置であってもよく、又は外科用切断器具若しくは拡張器具などの医療器具のエンドエフェクタ又は他の位置に配置されてもよい。本実施例では、フレーム(104)が椅子(130)に装着され、フレーム(104)が患者(P)の頭部(H)に隣接して配置されるように患者(P)は椅子(130)に着座する。ほんの一例として、椅子(130)及び/又は磁界発生器アセンブリ(102)は、米国特許出願第15/933,737号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2018年3月23日出願)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の少なくとも一部の教示に従って構成され、動作可能であり得る。
【0022】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(100)は、IGSナビゲーションシステム(100)の磁界発生器(106)及び他の要素を制御するプロセッサ(108)を更に含む。例えば、プロセッサ(108)は、磁界発生器(106)を駆動して交流電磁界を生成し、ナビゲーションガイドワイヤ(120)からの信号を処理して患者(P)の頭部(H)内におけるナビゲーションガイドワイヤ(120)内のセンサの場所を判定するように動作可能である。プロセッサ(108)は、1つ以上のメモリと通信する処理ユニットを含む。本実施例のプロセッサ(108)は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティング装置を含む動作制御部(112)を含むコンソール(110)内に装着されている。医師は、外科的処置を行いながら、プロセッサ(108)と相互作用する動作制御部(112)を使用する。
【0023】
ナビゲーションガイドワイヤ(120)は、磁界発生器(106)によって発生された交流電磁界内の位置決めに応答するセンサ(図示せず)を含む。連結ユニット(116)はナビゲーションガイドワイヤ(120)の近位端に固定され、コンソール(110)とナビゲーションガイドワイヤ(120)との間のデータ及び他の信号の通信を提供するように構成されている。連結ユニット(116)は、コンソール(110)とナビゲーションガイドワイヤ(120)との間のデータ及び他の信号の有線通信又は無線通信を提供し得る。
【0024】
本実施例では、ナビゲーションガイドワイヤ(120)のセンサは、ナビゲーションガイドワイヤ(120)の遠位端部に少なくとも1つの導電性コイルを含む。かかるコイルが磁界発生器(106)によって生成された交流電磁界の中に配置されると、交流磁界がコイルの中に電流を生成し、この電流は、ナビゲーションガイドワイヤ(120)内の導電路(単数又は複数)に沿って近位方向に、また連結ユニット(116)を介して更にプロセッサ(108)に伝送され得る。この現象により、IGSナビゲーションシステム(100)は、3次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内など)におけるナビゲーションガイドワイヤ(120)又は他の医療器具(拡張器具、外科用切断器具など)の遠位端の場所を判定することができる。これを達成するため、プロセッサ(108)は、ナビゲーションガイドワイヤ(120)の遠位端の位置座標を、ナビゲーションガイドワイヤ(120)内のコイル(複数可)の位置関連信号から計算するアルゴリズムを実行する。この実施例では、位置センサが、ガイドワイヤ(120)内に配置されているが、このような位置センサは、以下により詳細に記載されるものを含む、様々な他の種類の器具に統合されてもよい。
【0025】
プロセッサ(108)は、プロセッサ(108)のメモリに格納されたソフトウェアを使用して、IGSナビゲーションシステム(100)を較正及び操作する。このような動作は、磁界発生器(106)を駆動することと、ナビゲーションガイドワイヤ(120)からのデータを処理することと、動作制御部(112)からのデータを処理することと、ディスプレイスクリーン(114)を駆動することと、を含む。いくつかの実装形態では、動作はまた、IGSナビゲーションシステム(100)の1つ若しくは2つ以上の安全機構又は機能の監視及び施行も含み得る。プロセッサ(108)は、患者の頭部(H)のビデオカメラ画像、患者の頭部(H)のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成三次元モデルに関してナビゲーションガイドワイヤ(120)の遠位端の位置を示すディスプレイスクリーン(114)を介して、リアルタイムでビデオを提供するように更に動作可能である。ディスプレイスクリーン(114)は、外科手技中にこのような画像(118)を同時に及び/又は互いに重ねて表示することができる。このように表示される画像(118)は、ナビゲーションガイドワイヤ(120)などの患者の頭部(H)に挿入される器具のグラフィック表示も含んでもよく、こうして、操作者は、その実際の位置で、リアルタイムで器具の仮想レンダリングを見ることができる。単に一例として、ディスプレイスクリーン(114)は、米国特許出願公開第2016/0008083号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って画像(118)を提供してもよい。操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像をディスプレイスクリーン(114)に表示することもできる。
【0026】
ディスプレイスクリーン(114)によって提供される画像(118)は、器具がナビゲーションガイドワイヤ(120)を組み込んでいる場合、患者の頭部(H)内のかかる器具を操縦する、及びその他の方法で操作を行う際に操作者を誘導するのに役立ち得る。また、以下に記載するように、手術用器具の他の構成要素及び他の種類の手術用器具は、ナビゲーションガイドワイヤ(120)のセンサのようなセンサを組み込んでもよいことを理解されたい。
【0027】
III.可動ナビゲーションセンサを備える例示的な拡張器具
場合によっては、拡張器具(10)の操作の様々な段階の間に拡張器具(10)のどの構成要素が最遠位位置に存在したかにかかわらず、拡張処置中に患者内における拡張器具(10)の最遠位部分のリアルタイム追跡を提供するように動作可能なナビゲーションセンサを備える拡張器具(10)を提供することが望ましくなり得る。
図4は、患者(P)体内における拡張器具(210)の最遠位部分のリアルタイム追跡を提供するように上記のIGSナビゲーションシステム(100)と共に動作可能である、このようなナビゲーションセンサ(264)を有する例示的な代替の拡張器具(210)を示す。具体的には、以下でより詳細に記載されるように、拡張器具(210)は、伸縮部材(260)の遠位端部(262)並びに拡張カテーテル(270)の遠位端部(272)の両方のリアルタイム追跡を、これらの構成要素(260、270)のどれが拡張器具(210)の動作の様々な段階の間に最遠位位置に存在するかに応じてナビゲーションセンサ(264)が提供するように、好適に構成される。
【0028】
A.可動ナビゲーションセンサを備えた拡張器具の概要
拡張器具(210)は、以下に別途記載される場合を除き、上述の拡張器具(10)と構造及び機能において実質的に同様である。
図4に示されるように、拡張器具(210)が、ハンドルアセンブリ(220)と、剛性外側ガイド部材(230)と、回動ノブ(240)と、可鍛内側ガイド部材(250)と、伸縮部材(260)と、拡張カテーテル(270)と、を含む。拡張カテーテル(270)は、可鍛ガイド部材(250)に被さって摺動可能に配設され、伸縮部材(260)は、可鍛ガイド部材(250)内に摺動可能に配設される。以下により詳細に記載されるように、伸縮部材(260)は、上述のガイドワイヤ(60)と同様に、可鍛ガイド部材(250)に対して延出及び後退するように構成される。しかしながら、ガイドワイヤ(60)とは異なり、本実施例の伸縮部材(260)は、スライダ(64)のような独自の独立して制御可能なスライダを欠いている。
【0029】
図4~
図6に示されるように、剛性ガイド部材(230)は、ハンドルアセンブリ(220)の遠位端部から遠位方向に延在し、開放遠位端部(232)で終端する。可鍛ガイド部材(250)は、ハンドルアセンブリ(220)に対して遠位方向に延在し、剛性ガイド部材(230)の開放遠位端部(232)を通って突出し、それ自体の開放遠位端部(252)で終端する。可鍛ガイド部材(250)の外径は、剛性ガイド部材(230)の内径よりも小さく、したがって、円筒状の間隙がそれとの間に画定される。円筒状の間隙は、拡張カテーテル(270)が可鍛ガイド部材(250)の上を通って軸方向に並進することを可能にするような大きさをなす。上述した可鍛ガイド部材(50)と同様に、剛性ガイド部材(230)から突出する可鍛ガイド部材(250)の遠位部分は、剛性ガイド部材(230)及び可鍛ガイド部材(250)の少なくとも近位部分がそれに沿って延在する長手方向ガイド軸線に対して様々な所望の屈曲角度に屈曲され得る。回動ノブ(240)は、可鍛ガイド部材(250)の近位端部に固定的に固着され、ハンドルアセンブリ(220)の遠位端部に回転可能に連結される。回動ノブ(40)と同様に、回動ノブ(240)は、剛性ガイド部材(230)及び長手方向ガイド軸線を中心に回転し、それによって、可鍛ガイド部材(250)をハンドルアセンブリ(220)に対して回転させるように構成されている。可鍛ガイド部材(250)の遠位部分が屈曲構成にあるとき、そのような回転は、長手方向ガイド軸線を中心として開放遠位端部(252)を再配向することになる。
【0030】
図5及び
図7Aに最もよく示されるように、ハンドルアセンブリ(220)は、拡張カテーテルスライダ(222)と、拡張カテーテルスライダ(222)の遠位側に構成配置された伸縮部材スライダ(226)と、を含む。拡張カテーテルスライダ(222)は、拡張カテーテル(270)の近位部分に固着されており、したがって、拡張カテーテルスライダ(222)の遠位及び近位移動によって、拡張カテーテル(270)は可鍛ガイド部材(250)の上で遠位方向及び近位方向に作動する。伸縮部材スライダ(226)は、伸縮部材(260)の近位部分に固着されており、したがって、伸縮部材スライダ(226)の遠位及び近位移動によって、伸縮部材(260)は可鍛ガイド部材(250)の上で遠位方向及び近位方向に作動する。本実施例では、スライダ(226)は、ハンドルアセンブリ(220)内に完全に収容されており、その結果、スライダ(226)のいかなる部分も、ハンドルアセンブリ(220)のいかなるシュラウド又はハウジングに対して露出されない。対照的に、拡張カテーテルスライダ(222)は、ハンドルアセンブリ(220)のシュラウド又はハウジングに対して露出され、それによって操作者がスライダ(222)に触れ、それによって、以下で更に詳述されるようにスライダ(222)を長手方向に駆動することが可能となる。
【0031】
伸縮部材(260)及び拡張カテーテル(270)の各近位部分は、それぞれのスライダ(222、226)と連結するように構成されたリンク機構の任意の好適な構成配置を含んでもよい。スライダ(222、226)は、ハンドルアセンブリ(220)と摺動可能に連結され、ハンドルアセンブリ(220)の内部で長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に並進するように構成されている。本実施例の拡張カテーテルスライダ(222)は、ハンドルアセンブリ(220)の上部長手方向スロットを通って上方に突出するユーザ係合機構(223)を含む。ユーザ係合機構(223)は、拡張カテーテルスライダ(222)を長手方向に作動させるためにユーザの1本以上の指によって把持されるように構成されている。
【0032】
図7Aに最も良く示されるように、拡張カテーテルスライダ(222)の遠位端部は、遠位方向に突出するラッチ(224)の形態をなす第1の連結機構を含む。伸縮部材スライダ(226)の直面する近位端部は、上向きに突出する隆起部(228)の形態をなす第2の連結機構を含む。以下により詳細に記載されるように、ラッチ(224)は、拡張カテーテルスライダ(222)が遠位方向に駆動されて伸縮部材スライダ(226)と係合するときに、隆起部(228)を捕捉し、それによってスライダ(222、226)を一体に解放可能に連結するように構成される。ラッチ(224)は、以下により詳細に記載されるように、スライダ(222、226)がそれらの定位置へと近位方向に後退するときに、隆起部(228)を解放し、それによってスライダ(222、226)の軸方向の分離を可能にするのに好適な程度の柔軟性と弾力性を与えられている。他の変形形態では、スライダ(222、226)は、当業者には容易に明らかである、様々な他の好適なタイプの連結機構を設けられてもよい。例えば、スライダ(222、226)は、磁石の形態をなすそれぞれの連結機構を含んでもよい。
【0033】
図6に最も良く示されるように、伸縮部材(260)は、可鍛ガイド部材(250)内に摺動可能に配設され、患者の副鼻腔口を通過するようにサイズ決めされた非外傷性遠位先端部(262)を含む。本変形形態の遠位先端部(262)は、可鍛ガイド部材(250)の内径よりも大きくサイズ決めされ、これにより、遠位先端部(262)は、伸縮部材(260)が伸縮部材スライダ(226)によって近位方向に後退されるときに、可鍛ガイド部材(250)の遠位端部(252)に当接するように構成されている。以下に記載されるように、いくつかの変形形態では、この当接は、伸縮部材(260)の近位後退を、したがって伸縮部材スライダ(226)の近位後退を阻止し、それによって、伸縮部材スライダ(226)は、ハンドルアセンブリ(220)を介したスライダ(222、226)の近位後退の間に、拡張カテーテルスライダ(222)から分離される。
【0034】
本実施例では、伸縮部材(260)の遠位先端部(262)は、拡張処置中に患者(P)体内における遠位先端部(262)のリアルタイム追跡を提供するように動作可能なナビゲーションセンサ(264)(概略的に示される)を収容する。本変形形態のナビゲーションセンサ(264)は、上述の外科用ナビゲーションシステム(100)の磁界発生器(106)によって発生された交番磁界と相互作用するように動作可能な1つ以上の導電性コイルを備える電磁センサの形態で提供される。交番磁界中にナビゲーションセンサ(264)が存在することにより、ナビゲーションセンサ(264)の1つ以上のコイル内に電流が誘発され、この電流が電気信号として連結ユニット(116)へと近位方向に伝達される。その点で、伸縮部材(260)は、1つ以上のセンサワイヤ(図示せず)がナビゲーションセンサ(264)を連結ユニット(116)と電気的に連結するように延在する内側ルーメンを画定する管状構造を有してもよい。ナビゲーションセンサ(264)によって発生された電気信号は、センサワイヤを介して結合ユニット(116)に伝達され得る。次いで、連結ユニット(116)は、コンソール(110)内に搭載されたプロセッサ(108)に電気信号を送信する(
図3を参照)。
【0035】
連結ユニット(116)から信号を受信したことに応答して、プロセッサ(108)は、磁界発生器(106)によって生成された交番磁界によって占有される三次元空間内のナビゲーションセンサ(264)の位置を判定するためのアルゴリズムを実行する。プロセッサ(108)は、この三次元空間を患者(P)の既知の解剖学的構造に相関させ、術前に分析し、患者(P)体内のナビゲーションセンサ(264)の三次元位置を決定する。本実施例では、ナビゲーションセンサ(264)が伸縮部材(260)の遠位先端部(262)内に収容されているため、ナビゲーションセンサ(264)のこの決定された3次元位置はしたがって、患者(P)体内の遠位先端部(262)の位置に対応する。プロセッサ(108)は次いで、上述のように、また本明細書で引用される様々な参考文献に記載されているように、術前に取得された患者頭部(H)の1つ以上の画像上に、遠位先端部(262)の位置の視覚的指示をリアルタイムで提示するようにディスプレイスクリーン(114)を駆動してもよい。
【0036】
B.拡張器具機構の例示的な作動
図7A~
図7E及び
図8A~
図8Eは、ハンドルアセンブリ(220)に対する拡張カテーテル(270)及び伸縮部材(260)の遠位延出及び近位後退をもたらす拡張カテーテルスライダ(222)の例示的な動作を示す。上述のように、拡張カテーテルスライダ(222)は、伸縮部材スライダ(226)と解放可能に連結するように構成されており、そのため、拡張カテーテルスライダ(222)は、可鍛ガイド部材(250)に対して長手方向に拡張カテーテル(270)と伸縮部材(260)の両方を作動させるためにユーザによって係合可能となっている。したがって、以下でより詳細に記載されるように、拡張カテーテルスライダ(222)は、所定の長手方向可動域にわたって拡張カテーテル(270)及び伸縮部材(260)の関節作動を提供するように構成されている。他の変形形態では、伸縮部材スライダ(226)はまた、拡張カテーテルスライダ(222)とは独立して伸縮部材スライダ(226)がユーザによって作動されることを可能にするユーザ係合機構を含んでもよい。
【0037】
図7Aは、ハンドルアセンブリ(220)内のそれぞれの近位の定位置にある拡張カテーテルスライダ(222)及び伸縮部材スライダ(226)を示す。拡張カテーテルスライダ(222)は、ハンドルアセンブリ(220)の近位端に位置付けられており、伸縮部材スライダ(226)は、拡張カテーテルスライダ(222)から遠位方向に離間されたハンドルアセンブリ(220)の中央部分に位置付けられている。
図8Aに示されるようにスライダ(222、226)のこれらの近位の定位置は、剛性ガイド部材(230)の遠位端部(232)に拡張カテーテル(270)の遠位端部(272)を位置付け、可鍛ガイド部材(250)の遠位端部(252)に伸縮部材(260)の遠位先端部(262)を位置付ける。したがって、
図7A及び
図8Aの構成では、ナビゲーションセンサ(264)によって発生された信号は、患者(P)体内の伸縮部材(260)の遠位先端部(262)及び可鍛ガイド部材(250)の遠位端部(252)の位置にのみ対応する。操作者は、遠位端部(252)が患者(P)の頭部(H)内の標的の解剖学的通路(例えば、副鼻腔口、前頭陥凹部、耳管など)にあるいはその付近に位置付けられるように拡張器具(210)を操作するために、ナビゲーションセンサ(264)及びIGSナビゲーションシステム(100)からの位置フィードバックを利用し得る。
【0038】
操作者が、ナビゲーションセンサ(264)及びIGSナビゲーションシステム(100)からの位置フィードバックを利用することによって、患者(P)の頭部(H)内の標的の解剖学的通路(例えば、副鼻腔口、前頭陥凹部、耳管など)又はその付近における遠位端部(252)の所望の位置付けを達成すると、操作者は次いで、標的の解剖学的通路内に拡張カテーテル(270)の拡張部(274)を位置付けるために、拡張カテーテルスライダ(222)を作動させ得る。
図7B及び
図8Bに示されるように、拡張カテーテルスライダ(222)及び拡張カテーテル(270)は、ハンドルアセンブリ(220)及び可鍛ガイド部材(250)に対して第1の可動域にわたって遠位方向に前進されるのに対し、伸縮部材スライダ(226)及び伸縮部材(260)は静止したままである。この第1の可動域の遠位端部に到達すると、拡張カテーテルスライダ(222)の遠位ラッチ(224)は、伸縮部材スライダ(226)の近位隆起部(228)と弾性的に係合し、それによってスライダ(222、226)を互いに解放可能に連結する。伸縮部材スライダ(226)は、近位隆起部(228)と遠位ラッチ(224)との完全な係合を容易にするのに好適な近位方向の力(すなわち、機械的抵抗)を提供するように構成された戻り止め機構を含んでもよい。
【0039】
図8Bに示されるように、拡張カテーテル(270)の遠位端部(272)は、第1の可動域の遠位端部に到達すると、可鍛ガイド部材(250)の遠位端部(252)又はその近くの位置に前進される。本実施例では、第1の可動域にわたって延出されると、拡張カテーテル(270)の遠位端部(272)は、伸縮部材(260)の遠位先端部(262)から所定の長手方向間隔(X)だけ近位方向に離間される。本実施例のように長手方向間隔(X)が名目上のものである変形形態では、ナビゲーションセンサ(264)によって発生される信号は、患者(P)体内の拡張カテーテル(270)の伸縮部材(260)の遠位先端部(262)と遠位端部(272)の両方の位置に対応すると解釈され得る。長手方向間隔(X)が公称よりも大きい変形形態では、患者(P)体内の拡張カテーテル遠位端部(272)の位置は、伸縮部材遠位先端部(262)の感知された位置及び長手方向間隔(X)の既知の大きさに基づいて、プロセッサ(108)によって計算され得る。長手方向間隔(X)は、伸縮部材スライダ(226)及び/又は拡張カテーテルスライダ(222)の長さ及び/又は近位の定位置を修正することによって、所望の通りに調節され得ることが理解されよう。いくつかの変形形態では、スライダ(222、226)及び拡張カテーテル(270)は、拡張カテーテルスライダ(222)が第1の可動域にわたって完全に前進されたときに、拡張カテーテル遠位端部(272)が拡張部材遠位先端部(262)の最遠位点と実質的に面一となり、それによって長手方向間隔(X)がおよそゼロとなるように、適切に構成され得る。
【0040】
図7C及び8Cに示されるように、ユーザ係合機構(223)を介した拡張カテーテルスライダ(222)の継続的な遠位前進が同様に伸縮部材スライダ(226)を遠位方向に駆動し、それによって、両方のスライダ(222、226)、拡張カテーテル(270)、及び伸縮部材(260)が、
図7A~
図7B及び
図8A~
図8Bに示される第1の可動域の遠位である第2の可動域にわたって一緒に並進することになる。この第2の可動域にわたって並進する間、ナビゲーションセンサ(264)によって発生される信号は、上述の長手方向間隔(X)(又は別様に既知でありかつ一定の間隔(X)の公称大きさが原因で、伸縮部材遠位先端部(262)と拡張カテーテル遠位端部(272)の両方の患者(P)体内の位置に対応する。
【0041】
操作者はここでも、拡張カテーテル遠位端部(272)が第2の可動域の間に標的の解剖学的通路(例えば、副鼻腔口、前頭陥凹部、耳管など)の中に正常に進入したか否かを判定するために、ナビゲーションセンサ(264)及びIGSナビゲーションシステム(100)からの位置フィードバックを利用し得る。更に、遠位端部(272)と拡張部(274)との間の距離は既知であり、固定されているため、操作者は、拡張部(274)が第2の可動域の間に標的の解剖学的通路の中に完全に進入したか否かを判定するために、ナビゲーションセンサ(264)及びIGSナビゲーションシステム(100)からの位置フィードバックを利用してもよい。拡張部(274)が標的の解剖学的通路内に首尾よく進入したことを確認すると、操作者は、第2の可動域が完了したと見なすことができる。
【0042】
標的の解剖学的通路内への拡張部(274)の望ましい位置付けに対応する、第2の可動域の遠位端部に到達すると、拡張カテーテル(270)の拡張部(274)は、標的の解剖学的通路内に位置付けられ、膨張され、それによって拡張部(274)が位置付けられた患者(P)の解剖学的通路を拡張することができる。上述の拡張部(72)と同様に、拡張部(274)は、展開可能なバルーン又は本明細書の教示を考慮することで当業者には容易に明らかとなる様々な他の選択的に膨張可能な部材の形態をなしてよい。解剖学的通路の拡張、及び任意の追加の処置工程に続いて、拡張器(274)は収縮されてもよい(例えば、縮小されてもよい)。
【0043】
図7D及び
図8Dに示されるように、拡張カテーテルスライダ(222)は次いで近位側に作動され、それによって、伸縮部材スライダ(226)、伸縮部材(260)、及び拡張カテーテル(270)が第2の可動域にわたって近位方向に後退され得る。その点で、スライダ(222、226)は、近位隆起部(228)と遠位ラッチ(224)との係合を介して、第2の可動域にわたる近位後退を通して一緒に結合されたままである。したがって、第2の可動域にわたって、拡張カテーテルスライダ(222)の近位作動は、伸縮部材スライダ(226)の近位作動を、したがって伸縮部材(260)の近位作動をもたらす。
図7Dに示されるように、伸縮部材スライダ(226)は、第2の可動域の近位端に後退すると、その近位の定位置を取り戻す。
【0044】
図7Eに示されるように、拡張カテーテルスライダ(222)が第2の可動域から第1の可動域へと継続的に近位後退すると、スライダ(222、226)は、近位隆起部(228)からの遠位ラッチ(224)の係合解除によって互いから分離され、それによって、伸縮部材スライダ(226)はその近位の定位置に残留する。本実施例では、スライダ(222、226)のこの分離は、上述のように、遠位先端部(262)の外径が遠位端部(252)の内径よりも大きいために、伸縮部材(260)の遠位先端部(262)と可鍛ガイド部材(250)の遠位端部(252)とが当接係合することによって提供される。他の変形形態では、遠位先端部(262)は、任意の好適なサイズ(例えば、遠位端部(252)よりも小さい)を備えてもよく、スライダ(222、226)の分離は、ハンドルアセンブリ(220)内に組み込まれた機構によって提供されてもよい。例えば、その近位ホーム位置に後退されると、伸縮部材スライダ(226)は、伸縮部材スライダ(226)及び伸縮部材(260)の更なる近位後退を防止する、ハンドルアセンブリ(220)の内部に設けられた突出部(例えば、ボス)又は他の好適な機構と係合するように構成されてもよい。いずれの場合も、
図8Eに示されるように、伸縮部材(260)の遠位先端部(262)は、可鍛ガイド部材(250)の遠位端部(252)に静止したままであるが、拡張カテーテル(270)の遠位端部(272)は、剛性ガイド部材(230)の遠位端部(232)へと更に近位方向に後退する。
【0045】
上述したように、ナビゲーションセンサ(264)は、外科用ナビゲーションシステム(100)が拡張処置中に患者(P)体内の伸縮部材遠位先端部(262)の位置を追跡することを可能にするように構成されている。拡張カテーテル(270)及び伸縮部材(260)は、拡張カテーテル遠位端部(272)と伸縮部材遠位先端部(262)が公称長手方向間隔(X)だけ分離される第2の可動域にわたって一緒に延出及び後退するように構成されているため、第2の可動域にわたってナビゲーションセンサ(264)によって発生される信号は、患者(P)体内の遠位先端部(262)と遠位端部(272)の両方の位置に対応する。したがって、有利には、ナビゲーションセンサ(264)は、拡張器具(210)のユーザが、単一のナビゲーションセンサ(264)を介して患者(P)体内の遠位先端部(262)及び遠位端部(272)の位置を効果的に監視することを可能にする。当然ながら、他の変形形態では、拡張処置中に患者(P)に対する拡張器具(210)の他の部分の位置を独立して追跡するために、1つ以上の追加のナビゲーションセンサ(264)が提供されてもよいことが理解されるであろう。
【0046】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0047】
装置であって、(a)ハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリから遠位方向に延在するガイド部材と、(c)ガイド部材に対して摺動可能に配設された拡張カテーテルであって、患者の副鼻腔口を拡張するように構成された膨張可能な要素を含む拡張カテーテルと、(d)ガイド部材の遠位端部に移動可能に配設されたナビゲーションセンサであって、ナビゲーションセンサは、患者内のその位置に対応する信号を発生させるように動作可能であり、ナビゲーションセンサは、拡張カテーテルの遠位端部がガイド部材の遠位端部を越えて遠位方向に並進するとき、ガイド部材に対して拡張カテーテルと共に遠位方向に並進するように構成され、ナビゲーションセンサは、拡張カテーテルの遠位端部がガイド部材の遠位端部の近位方向に後退するときに、ガイド部材の遠位端部における位置を取るように構成されている、ナビゲーションセンサと、を備える装置。
【実施例2】
【0048】
ガイド部材内に摺動可能に配設された伸縮部材を更に備え、伸縮部材は、ガイド部材及びハンドルアセンブリに対して延出及び後退するように構成され、伸縮部材の遠位端部は、患者の副鼻腔口を通過するようにサイズ決めされている、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0049】
伸縮部材の遠位端部は、ハンドルアセンブリに対する拡張カテーテルの近位後退に応答して、ガイド部材の遠位端部において停止するように構成されている、実施例2に記載の装置。
【実施例4】
【0050】
伸縮部材の遠位端部は、ハンドルアセンブリに対する拡張カテーテルの近位後退に応答して、ガイド部材の遠位端部に当接するように構成されている、実施例2又は3に記載の装置。
【実施例5】
【0051】
ハンドルアセンブリは、(a)拡張カテーテルと動作可能に連結された第1の摺動可能部材であって、ハンドルアセンブリに対して拡張カテーテルを作動させるように動作可能である第1の摺動可能部材と、(b)伸縮部材と動作可能に連結された第2の摺動可能部材であって、ハンドルアセンブリに対して伸縮部材を作動させるように動作可能である第2の摺動可能部材と、を備える、実施例2~4のいずれか1つに記載の装置。
【実施例6】
【0052】
第1の摺動可能部材は第2の摺動可能部材に対して近位側に位置付けられている、実施例5に記載の装置。
【実施例7】
【0053】
第1の摺動可能部材は、第2の摺動可能部材とは独立して第1の可動域にわたって並進可能であり、第1の摺動可能部材は、第2の摺動可能部材と一緒に第2の可動域にわたって並進可能であり、第2の可動域は第1の可動域に対して遠位側にある、実施例5又は6に記載の装置。
【実施例8】
【0054】
第1の摺動可能部材は、第2の可動域にわたって第2の摺動可能部材を駆動するように動作可能である、実施例7に記載の装置。
【実施例9】
【0055】
第1の摺動可能部材は、第1の摺動可能部材と第2の摺動可能部材の両方を第2の可動域にわたって作動させるためにユーザによって係合されるように構成されたユーザ係合機構を含む、実施例7又は8に記載の装置。
【実施例10】
【0056】
第1の摺動可能部材又は第2の摺動可能部材のうちの少なくとも一方は、第1の可動域から第2の可動域への第1の摺動可能部材の遠位作動に応答して、第1の摺動可能部材又は第2の摺動可能部材の他方と解放可能に連結するように構成された連結機構を含む、実施例7~9のいずれか1つに記載の装置。
【実施例11】
【0057】
連結機構は、第2の可動域から第1の可動域への第1の摺動可能部材の近位後退に応答して、第1の摺動可能部材又は第2の摺動可能部材の他方を係合解除するように構成されている、実施例10に記載の装置。
【実施例12】
【0058】
連結機構はラッチ又は磁石の少なくとも一方を含む、実施例10又は11に記載の装置。
【実施例13】
【0059】
ナビゲーションセンサは電磁センサを含む、実施例1~12のいずれか1つに記載の装置。
【実施例14】
【0060】
ガイド部材の少なくとも遠位部分は可鍛性であり、ガイド部材の近位部分の長手方向軸線に対して屈曲構成を取るように構成されている、実施例1~13のいずれか1つに記載の装置。
【実施例15】
【0061】
ガイド部材は第1のガイド部材を含み、装置は、ハンドルアセンブリから遠位方向に延在し、第1のガイド部材の少なくとも近位部分の周りに配設されて、それとの間に円筒状の間隙を画定する第2のガイド部材を更に備え、拡張カテーテルは、円筒状の間隙を通って並進するように構成されている、実施例1~14のいずれか1つに記載の装置。
【実施例16】
【0062】
装置であって、(a)ハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリに対して延出及び後退するように構成された伸縮部材であって、伸縮部材の遠位端部が、患者の副鼻腔口を通過するようにサイズ決めされている、伸縮部材と、(c)伸縮部材の遠位端部に固着されたナビゲーションセンサであって、患者内のその位置に対応する信号を発生させるように動作可能であるナビゲーションセンサと、(d)伸縮部材の周りに摺動可能に配設された拡張カテーテルであって、拡張カテーテルは、副鼻腔口を拡張するように動作可能な膨張可能な部材を含み、拡張カテーテルは、伸縮部材とは独立して、第1の可動域にわたって並進するように構成され、そのため、第1の可動域にわたってナビゲーションセンサによって発生された信号は、患者内の伸縮部材の遠位端部の位置に対応し、拡張カテーテル及び伸縮部材は、第1の可動域に対して遠位側の第2の可動域にわたって一緒に並進するように構成され、そのため、第2の可動域にわたってナビゲーションセンサによって発生された信号は、患者内の拡張カテーテルの一部分の位置に対応する、拡張カテーテルと、を備える装置。
【実施例17】
【0063】
伸縮部材は、第1の可動域の遠位端部にわたる拡張カテーテルの遠位作動に応答して、拡張カテーテルと共に第2の可動域にわたって遠位方向に並進するように構成されている、実施例16に記載の装置。
【実施例18】
【0064】
第2の可動域にわたってナビゲーションセンサによって発生された信号は、患者内の拡張カテーテルの遠位端部の位置に対応する、実施例16又は17に記載の装置。
【実施例19】
【0065】
ハンドルアセンブリから遠位方向に延在するガイド部材を更に備え、拡張カテーテルは、ガイド部材の上に摺動可能に配設され、伸縮部材の遠位端部は、拡張カテーテルが第1の可動域にわたってガイド部材の上を並進する間、ガイド部材の遠位端部において静止したままであるように構成されている、実施例16~18のいずれか1つに記載の装置。
【実施例20】
【0066】
装置であって、(a)ハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリから遠位方向に延在するガイド部材と、(c)ガイド部材内に摺動可能に配設された伸縮部材であって、伸縮部材は、ガイド部材及びハンドルアセンブリに対して延出及び後退するように構成され、伸縮部材の遠位端部は、患者の副鼻腔口を通過するようにサイズ決めされている、伸縮部材と、(d)伸縮部材の遠位端部に固着されたナビゲーションセンサであって、患者内の伸縮部材の遠位端部の位置に対応する信号を発生させるように動作可能であるナビゲーションセンサと、(e)ガイド部材に対して摺動可能に配設された拡張カテーテルであって、副鼻腔口を拡張させるように動作可能な膨張可能な部材を含む拡張カテーテルと、を備える装置。
【0067】
V.その他
本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて、様々な他の特徴部を含み得ることが理解されるべきである。単に一例として、本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、参照により本明細書に組み込まれる様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴部のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0068】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0069】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0070】
本明細書に開示される装置の変形形態は、1回の使用後に処分されるように設計するか又は複数回使用されるように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置の変形形態は、分解することができ、かつ、装置の任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組み合わせにおいて選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部分を洗浄時及び/又は交換時に、装置の変形形態は、再調整用の施設において、又は外科手技の直前に外科チームによってのどちらかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0071】
単に一例として、本明細書に記載の変形形態は、手術前に処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、手術設備で開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0072】
本発明の様々な変形例について図示し説明してきたが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現され得る。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上述の実施例、変形形態、幾何形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)ハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位方向に延在するガイド部材と、
(c)前記ガイド部材に対して摺動可能に配設された拡張カテーテルであって、患者の副鼻腔口を拡張するように構成された膨張可能な要素を含む拡張カテーテルと、
(d)前記ガイド部材の遠位端部に移動可能に配設されたナビゲーションセンサであって、前記ナビゲーションセンサは、前記患者内のその位置に対応する信号を発生させるように動作可能であり、
前記ナビゲーションセンサは、前記拡張カテーテルの遠位端部が前記ガイド部材の前記遠位端部を越えて遠位方向に並進するとき、前記ガイド部材に対して前記拡張カテーテルと共に遠位方向に並進するように構成され、
前記ナビゲーションセンサは、前記拡張カテーテルの前記遠位端部が前記ガイド部材の前記遠位端部の近位側に後退するときに、前記ガイド部材の前記遠位端部における位置を取るように構成されている、ナビゲーションセンサと、を備える装置。
(2) 前記ガイド部材内に摺動可能に配設された伸縮部材を更に備え、前記伸縮部材は、前記ガイド部材及び前記ハンドルアセンブリに対して延出及び後退するように構成され、前記伸縮部材の遠位端部は、患者の副鼻腔口を通過するようにサイズ決めされている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記伸縮部材の前記遠位端部は、前記ハンドルアセンブリに対する前記拡張カテーテルの近位後退に応答して、前記ガイド部材の遠位端部において停止するように構成されている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記伸縮部材の前記遠位端部は、前記ハンドルアセンブリに対する前記拡張カテーテルの近位後退に応答して、前記ガイド部材の前記遠位端部に当接するように構成されている、実施態様2に記載の装置。
(5) 前記ハンドルアセンブリは、
(a)前記拡張カテーテルと動作可能に連結された第1の摺動可能部材であって、前記ハンドルアセンブリに対して前記拡張カテーテルを作動させるように動作可能である第1の摺動可能部材と、
(b)前記伸縮部材と動作可能に連結された第2の摺動可能部材であって、前記ハンドルアセンブリに対して前記伸縮部材を作動させるように動作可能である第2の摺動可能部材と、を備える、実施態様2に記載の装置。
【0074】
(6) 前記第1の摺動可能部材は前記第2の摺動可能部材に対して近位側に位置付けられている、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記第1の摺動可能部材は、前記第2の摺動可能部材とは独立して第1の可動域にわたって並進可能であり、前記第1の摺動可能部材は、前記第2の摺動可能部材と一緒に第2の可動域にわたって並進可能であり、前記第2の可動域は前記第1の可動域に対して遠位側にある、実施態様5に記載の装置。
(8) 前記第1の摺動可能部材は、前記第2の可動域にわたって前記第2の摺動可能部材を駆動するように動作可能である、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記第1の摺動可能部材は、前記第1の摺動可能部材と前記第2の摺動可能部材の両方を前記第2の可動域にわたって作動させるためにユーザによって係合されるように構成されたユーザ係合機構を含む、実施態様7に記載の装置。
(10) 前記第1の摺動可能部材又は前記第2の摺動可能部材のうちの少なくとも一方は、前記第1の可動域から前記第2の可動域への前記第1の摺動可能部材の遠位作動に応答して、前記第1の摺動可能部材又は前記第2の摺動可能部材の他方と解放可能に連結するように構成された連結機構を含む、実施態様7に記載の装置。
【0075】
(11) 前記連結機構は、前記第2の可動域から前記第1の可動域への前記第1の摺動可能部材の近位後退に応答して、前記第1の摺動可能部材又は前記第2の摺動可能部材の他方を係合解除するように構成されている、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記連結機構はラッチ又は磁石の少なくとも一方を含む、実施態様10に記載の装置。
(13) 前記ナビゲーションセンサは電磁センサを含む、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記ガイド部材の少なくとも遠位部分は可鍛性であり、前記ガイド部材の近位部分の長手方向軸線に対して屈曲構成を取るように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記ガイド部材は第1のガイド部材を含み、前記装置は、前記ハンドルアセンブリから遠位方向に延在し、前記第1のガイド部材の少なくとも近位部分の周りに配設されて、それとの間に円筒状の間隙を画定する第2のガイド部材を更に備え、前記拡張カテーテルは、前記円筒状の間隙を通って並進するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0076】
(16) 装置であって、
(a)ハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリに対して延出及び後退するように構成された伸縮部材であって、前記伸縮部材の遠位端部が、患者の副鼻腔口を通過するようにサイズ決めされている、伸縮部材と、
(c)前記伸縮部材の前記遠位端部に固着されたナビゲーションセンサであって、前記患者内のその位置に対応する信号を発生させるように動作可能であるナビゲーションセンサと、
(d)前記伸縮部材の周りに摺動可能に配設された拡張カテーテルであって、前記副鼻腔口を拡張するように動作可能な膨張可能な部材を含む拡張カテーテルと、を備え、
前記拡張カテーテルは、前記伸縮部材とは独立して、第1の可動域にわたって並進するように構成され、そのため、前記第1の可動域にわたって前記ナビゲーションセンサによって発生された前記信号は、前記患者内の前記伸縮部材の前記遠位端部の位置に対応し、
前記拡張カテーテル及び前記伸縮部材は、前記第1の可動域に対して遠位側の第2の可動域にわたって一緒に並進するように構成され、そのため、前記第2の可動域にわたって前記ナビゲーションセンサによって発生された前記信号は、前記患者内の前記拡張カテーテルの一部分の位置に対応する、装置。
(17) 前記伸縮部材は、前記第1の可動域の遠位端部にわたる前記拡張カテーテルの遠位作動に応答して、前記拡張カテーテルと共に前記第2の可動域にわたって遠位方向に並進するように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記第2の可動域にわたって前記ナビゲーションセンサによって発生された前記信号は、前記患者内の前記拡張カテーテルの遠位端部の位置に対応する、実施態様16に記載の装置。
(19) 前記ハンドルアセンブリから遠位方向に延在するガイド部材を更に備え、前記拡張カテーテルは、前記ガイド部材の上に摺動可能に配設され、前記伸縮部材の前記遠位端部は、前記拡張カテーテルが前記第1の可動域にわたって前記ガイド部材の上を並進する間、前記ガイド部材の遠位端部において静止したままであるように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(20) 装置であって、
(a)ハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位方向に延在するガイド部材と、
(c)前記ガイド部材内に摺動可能に配設された伸縮部材であって、前記伸縮部材は、前記ガイド部材及び前記ハンドルアセンブリに対して延出及び後退するように構成され、前記伸縮部材の遠位端部は、患者の副鼻腔口を通過するようにサイズ決めされている、伸縮部材と、
(d)前記伸縮部材の前記遠位端部に固着されたナビゲーションセンサであって、前記患者内の前記伸縮部材の前記遠位端部の位置に対応する信号を発生させるように動作可能であるナビゲーションセンサと、
(e)前記ガイド部材に対して摺動可能に配設された拡張カテーテルであって、前記副鼻腔口を拡張するように動作可能な膨張可能な部材を含む拡張カテーテルと、を備える装置。