(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】抗PD1および抗CTLA4抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240318BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240318BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240318BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20240318BHJP
C12N 15/863 20060101ALI20240318BHJP
C12N 15/869 20060101ALI20240318BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240318BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240318BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240318BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240318BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240318BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20240318BHJP
A61K 35/763 20150101ALI20240318BHJP
A61K 35/768 20150101ALI20240318BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240318BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240318BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240318BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240318BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240318BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240318BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240318BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20240318BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/861 Z
C12N15/863 Z
C12N15/869 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K35/761
A61K35/763
A61K35/768
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K45/00
A61K48/00
A61P31/00
A61P35/00
A61K31/7088
C12N15/13
C12N5/071
(21)【出願番号】P 2022087695
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2019545717の分割
【原出願日】2017-11-06
【審査請求日】2022-06-28
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519155088
【氏名又は名称】クイル ピュージェット サウンド バイオセラピューティクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,チ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンファ,フー
(72)【発明者】
【氏名】ファンスロウ,ウィリアム シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ウェイ
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06682736(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/
C07K 16/
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが相補性決定領域1(CDR1)、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と軽鎖可変領域(VL)を含む、抗ヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原4(抗hCTLA4)抗体であって、
配列番号3、65、21、16、9および6
2のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR 2およびVL CDR3を含み、
hCTLA4とヒトBリンパ球活性化抗原B7-1(hB7-1)および/またはヒトBリンパ球活性化抗原B7-2(hB7-2)との相互作用を抑制する、
抗ヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原4(抗hCTLA4)抗
体。
【請求項2】
前記抗hCTLA4 VHが、配列番
号64
のアミノ酸配列に対し4つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であるアミノ酸配列を含み、および/または、前記抗hCTLA4 VLが、配列番
号67
のアミノ酸配列に対し4つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であるアミノ酸配列を
含む、請求項1に記載の抗
体。
【請求項3】
前記抗hCTLA4 VHが、配列番
号64
のアミノ酸配列に対し2つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であるアミノ酸配列を含み、前記抗hCTLA4 VLが、配列番
号67
のアミノ酸配列に対し2つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であるアミノ酸配列を
含む、請求項2に記載の抗
体。
【請求項4】
前記抗hCTLA4 VHが、配列番
号64
の配列と同一であるアミノ酸配列を含み、前記抗hCTLA4 VLが、配列番
号67
の配列と同一であるアミノ酸配列を
含む、請求項3に記載の抗
体。
【請求項5】
前記抗hCTLA4抗体のVHおよびVLがそれぞれ、2つの配列を一緒に含むアミノ酸配列を含み、前記2つの配列の内の1つが、1対の配列の内の1つの配列に対し4つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であり、前記2つの配列の内のもう一方が前記1対の配列の内のもう一方の配列に対し4つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であり、前記1対の配列が
、配列番号64(VH)および67(VL)
である、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗
体。
【請求項6】
前記抗hCTLA4抗体のVHおよびVLがそれぞれ、2つの配列を一緒に含むアミノ酸配列を含み、前記2つの配列の内の1つが、1対の配列の内の1つの配列に対し2つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であり、前記2つの配列の内のもう一方が前記1対の配列の内のもう一方の配列に対し2つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であり、前記1対の配列が
、配列番号64(VH)および67(VL)
である、請求項5に記載の抗
体。
【請求項7】
前記抗hCTLA4抗体のVHおよびVLがそれぞれ、2つの配列を一緒に含むアミノ酸配列を含み、前記2つの配列の内の1つが、1対の配列の内の1つの配列を含む配列と同一であり、前記2つの配列の内のもう一方が前記1対の配列の内のもう一方の配列を含む配列と同一であり、前記1対の配列が
、配列番号64(VH)および67(VL)
である、請求項6に記載の抗
体。
【請求項8】
前記抗hCTLA4 VHが、配列番号64のアミノ酸配列に対し4つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であるアミノ酸配列を含み、前記抗hCTLA4 VLが、配列番号67のアミノ酸配列に対し4つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であるアミノ酸配列を含
む、
請求項
7に記載の抗
体。
【請求項9】
前記抗hCTLA4 VHが、配列番号64のアミノ酸配列に対し2つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であるアミノ酸配列を含み、前記抗hCTLA4 VLが、配列番号67のアミノ酸配列に対し2つ以下のアミノ酸変化を含む配列と同一であるアミノ酸配列を含
む、
請求項
8に記載の抗
体。
【請求項10】
前記抗hCTLA4抗
体が、ヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の抗
体。
【請求項11】
前記抗CTLA4抗体
が、IgG1抗体、409Rを含むIgG1抗体、またはIgG4抗体である、請求項
10に記載の抗
体。
【請求項12】
(a)前記抗hCTLA4抗
体の重鎖(HC)および軽鎖(LC)が、44R/K(HC)および100D/E(LC);44D/E(HC)および100R/K(LC);105R/K(HC)および43D/E(LC);105D/E(HC)および43R/K(LC);147R/K(HC)および131D/E(LC);147D/E(HC)および131R/K(LC);168R/K(HC)および174D/E(LC);168D/E(HC)および174R/K(LC);181R/K(HC)および178D/E(LC);ならびに181D/E(HC)および178R/K(LC)、からなる群より選択される1つまたは複数の電荷対を含み、および/または
(b)前記抗hCTLA4抗
体のHCおよびLCが、126C(HC)および121Cまたは124C(LC);128C(HC)および118C(LC);133C(HC)および117Cまたは209C(LC);134Cまたは141C(HC)および116C(LC);168C(HC)および174C(LC);170C(HC)および162Cまたは176C(LC);173C(HC)および160C(LC);ならびに183C(HC)および176C(LC)からなる群より選択される1つまたは複数の接触システイン対を含む、
請求項1~
11のいずれか1項に記載の抗
体。
【請求項13】
(a)請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体;および
(b)それぞれがCDR1、CDR2およびCDR3を含むVHとVLを含む、抗ヒトプログラム細胞死1(抗hPD1)抗体であって、
配列番号88、89、90、93、94および95;配列番号98、89、99、102、94および95;配列番号105、89、90、93、108および95;配列番号105、111、112、115、94および95;配列番号105、111、90、120、94および95;配列番号88、89、112、102、108および95;配列番号88、89、127、130、108および131;配列番号88、89、134、137、94および131;配列番号98、89、90、142、94および131;配列番号98、111、112、130、94および131;配列番号149、150、112、130、94および131;配列番号105、111、90、142、94および131;配列番号149、89、127、115、94および95;配列番号88、89、112、93、94および95;または配列番号105、89、127、102、108および95のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR 2およびVL CDR3を含み、
hPD1とヒトプログラム細胞死1リガンド1(hPDL1)との相互作用を抑制する、
抗ヒトプログラム細胞死1(抗hPD1)抗体;
を含む抗体混合物。
【請求項14】
(a)IgG1抗体である抗hCTLA4抗体であって、(1)それぞれが配列番号3、65、21、16、9および
62のアミノ酸配列を含む、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR 2、およびVL CDR3と、(2)配列番号64のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含むVH、および配列番号67のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含むVLと、を含み、以下のアミノ酸変化:
その重鎖(HC)中の147Dおよびその軽鎖中の131K;そのHC中の位置170と173およびそのLC中の位置160と162におけるシステイン置換;そのHC中の255K;ならびにそのHC中の399Rおよび409E;
を含む、抗hCTLA4抗体;および
(b)IgG4抗体である抗PD1抗体であって、(1)それぞれが88、89、90、93、94および95を含む、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR 2、およびVL CDR3と、(2)配列番号87のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含むVH、および配列番号92のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含むVLと、を含む、抗PD1抗体;
を含む抗体混合物。
【請求項15】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の抗体また
は請求項
13もしくは14に記載の抗体混合物をコードする、1つまたは複数のポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項15に記載のポリヌクレオチドを含む、1つまたは複数のベクター。
【請求項17】
ウイルスベクターである、請求項16に記載のベクター。
【請求項18】
レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、レオウイルス、またはポックスウイルスベクターである、請求項17に記載のベクター。
【請求項19】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の抗体また
は請求項
13もしくは14に記載の抗体混合物、請求項15に記載のポリヌクレオチド、または請求項16~18のいずれか1項に記載のベクターを含む、医薬組成物。
【請求項20】
請求項15に記載のポリヌクレオチドまたは請求項16に記載のベクターが導入されている、宿主細胞。
【請求項21】
CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である請求項20に記載の宿主細胞。
【請求項22】
請求項20または21に記載の宿主細胞を培養する
ステップ、および前記抗体または混合物
を培地または細胞集団から回収するステップを含む、抗体または混合物の製造方法。
【請求項23】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の抗体また
は請求項
13もしくは14に記載の抗体混合物、請求項15に記載のポリヌクレオチド、請求項16~18のいずれか1項に記載のベクター、または請求項19に記載の医薬組成物を含む、固形腫瘍または血液悪性腫瘍の患者の(1)免疫応答を誘導または高めるおよび/または(2)その患者を治療する方法における使用のための医薬組成物。
【請求項24】
前記患者が、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌、膀胱癌、腎明細胞癌、ホジキンリンパ腫、または頭頸部扁平上皮細胞癌を有する、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
請求項23または24に記載の医薬組成物であって、前記方法が、前記医薬組成物の投与の前に、後に、および/またはそれと同時に、追加の療法剤を投与することをさらに含み、前記追加の療法剤が、免疫調節性分子、照射、化学療法剤、標的化生物製剤、標的化阻害剤、および/または腫瘍溶解性ウイルスからなる群より選択される、医薬組成物。
【請求項26】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の抗体また
は請求項
13もしくは14に記載の抗体混合物、請求項15に記載のポリヌクレオチド、請求項16~18のいずれか1項に記載のベクター、または請求項19に記載の医薬組成物を含む、感染症の患者を治療する方法における使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の組成物および方法は、組換え抗体の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫チェックポイント阻害剤は、新しいクラスの癌治療薬である。例えば、Pardoll(2012),Nat.Rev.Cancer 12:252-264を参照されたい。T細胞応答は、活性化シグナルと抑制シグナルのバランスにより調節される。免疫チェックポイント、すなわち、阻害経路は、自己寛容の維持を支援し、および/または免疫応答の持続時間および/または強さを調節し、それにより、健康な組織に対する付随的な損傷を制限することができる。癌細胞は、これらの免疫チェックポイント経路を上方制御する複数の方法を創り出して、これらの方法がなければ癌細胞死滅させたはずの宿主の免疫応答を抑制することができる。多くの癌のタイプの治療における、免疫チェックポイント阻害剤または遮断薬、例えば、抗プログラム細胞死1(PD1)、抗プログラム細胞死1リガンド1(PDL1)、および抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)抗体の成功は、癌に対するT細胞応答の調節における免疫チェックポイントの重要性の証拠である。例えば、Larkin et al.(2015),New Engl.J.Med 373(1):23-34を参照されたい。
【0003】
この手法を改良して、患者応答の改善および毒性の制限を行うことは、進行中の課題である。したがって、改善された免疫チェックポイント阻害剤およびこのような阻害剤を用いて治療するための改善された方法が当該技術分野において求められている。このような改善された免疫チェックポイント阻害剤および治療のための改善された方法が本明細書で記載される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載されるのは、抗ヒトCTLA4(hCTLA4)抗体、抗ヒトPD1(hPD1)抗体、その混合物、これらの抗体および混合物をコードする核酸、これらの核酸を含む宿主細胞、これらの抗体、混合物、および核酸を含む医薬組成物、ならびにこれらの抗体、混合物、核酸、または医薬組成物を患者に投与することを含む治療方法である。下記の番号を付した項目は、これらの配合物および方法を記載する。
【0005】
1.重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗ヒトCTLA4(hCTLA4)抗体であって、VHが、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、および69からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、4つ以下の変化を含むアミノ酸配列を含み、抗hCTLA4抗体がhCTLA4とヒトBリンパ球活性化抗原B7-1(hB7-1)および/またはヒトBリンパ球活性化抗原B7-2(hB7-2)との相互作用を抑制する抗ヒトCTLA4(hCTLA4)抗体。
【0006】
2.VHが、VH相補性決定領域1(CDR1)、VH相補性決定領域2(CDR2)、およびVH相補性決定領域3(CDR3)を含み、これらがそれぞれ、配列番号3、4、および5、配列番号3、13および5、配列番号3、20、および21、配列番号3、24、および25、配列番号3、31、および5、配列番号3、37、および5、配列番号3、43、および5、配列番号3、46、および47、配列番号3、59、および5、配列番号3、65、および21、または配列番号3、70、および21のアミノ酸配列を含む、項目1に記載の抗hCTLA4抗体。
【0007】
3.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、および69からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目1または2に記載の抗hCTLA4抗体。
【0008】
4.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、および69からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目3に記載の抗hCTLA4抗体。
【0009】
5.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、および69からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目4に記載の抗hCTLA4抗体。
【0010】
6.アミノ酸変化が置換であり、該置換が相手指向変化(partner directing alteration)である、項目1~5のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0011】
7.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、および69からなる群より選択される、項目5に記載の抗hCTLA4抗体。
【0012】
8.それぞれ、配列番号3、75、および77のアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)をさらに含む、項目1~7のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0013】
9.VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3が、それぞれ、配列番号8、9、および10、配列番号16、9および17、配列番号28、9、および17、配列番号34、9、および17、配列番号40、9、および10、配列番号50、9、および17、配列番号55、9、および56、配列番号40、9、および62、配列番号16、9、および62、または配列番号73、9、および62のアミノ酸配列を含む、項目8に記載の抗hCTLA4抗体。
【0014】
10.配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84、および85からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含む、アミノ酸配列を含むVLをさらに含む、項目1~7のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0015】
11.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84、および85からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目10に記載の抗hCTLA4抗体。
【0016】
12.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84、および85からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目11に記載の抗hCTLA4抗体。
【0017】
13.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84、および85からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目12に記載の抗hCTLA4抗体。
【0018】
14.配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84または85に対するアミノ酸変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目10~13のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0019】
15.VLが、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み、これらのそれぞれが、配列番号8、9、および10、配列番号16、9および17、配列番号28、9、および17、配列番号34、9、および17、配列番号40、9、および10、配列番号50、9、および17、配列番号55、9、および56、配列番号40、9、および62、配列番号16、9、および62、または配列番号73、9、および62のアミノ酸配列を含む、項目10~14のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0020】
16.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84、および85からなる群より選択される、項目15に記載の抗hCTLA4抗体。
【0021】
17.VLを含む抗hCTLA4抗体であって、VLが、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、および72からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含むアミノ酸配列を含み、VLが、CDR1、CDR2、およびCDR3を含み、これらのそれぞれが、配列番号8、9、および10、配列番号16、9および17、配列番号28、9、および17、配列番号34、9、および17、配列番号40、9、および10、配列番号50、9、および17、配列番号55、9、および56、配列番号40、9、および62、配列番号16、9、および62、または配列番号73、9、および62のアミノ酸配列を含み、hCTLA4とhB7-1および/またはhB7-2との相互作用を抑制する、抗hCTLA4抗体。
【0022】
18.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、および72からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目17に記載の抗hCTLA4抗体。
【0023】
19.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、および72からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目18に記載の抗hCTLA4抗体。
【0024】
20.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、および72からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目19に記載の抗hCTLA4抗体。
【0025】
21.アミノ酸変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目17~20のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0026】
22.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、および72からなる群より選択される、項目20に記載の抗hCTLA4抗体。
【0027】
23.VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み、これらのそれぞれが、配列番号79、配列番号9、および配列番号81のアミノ酸配列を含む、VHをさらに含む、項目17~22のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0028】
24.VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3が、それぞれ、配列番号3、4、および5、配列番号3、13および5、配列番号3、20、および21、配列番号3、24、および25、配列番号3、31、および5、配列番号3、37、および5、配列番号3、43、および5、配列番号3、46、および47、配列番号3、59、および5、配列番号3、65、および21、または配列番号3、70、および21のアミノ酸配列を含む、項目23に記載の抗hCTLA4抗体。
【0029】
25.VHをさらに含み、VHが、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、69、82、および83からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含む、アミノ酸配列を含む、項目17~22のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0030】
26.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、69、82、および83からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目25に記載の抗hCTLA4抗体。
【0031】
27.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、69、82、および83からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目26に記載の抗hCTLA4抗体。
【0032】
28.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、69、82、および83からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目27に記載の抗hCTLA4抗体。
【0033】
29.アミノ酸変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目25~28のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0034】
30.VHが、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み、これらのそれぞれが、配列番号3、4、および5、配列番号3、13および5、配列番号3、20、および21、配列番号3、24、および25、配列番号3、31、および5、配列番号3、37、および5、配列番号3、43、および5、配列番号3、46、および47、配列番号3、59、および5、配列番号3、65、および21、または配列番号3、70、および21のアミノ酸配列を含む、項目25~29のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0035】
31.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、69、82、および83からなる群より選択される、項目28に記載の抗hCTLA4抗体。
【0036】
32.VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み、これらのそれぞれが、アミノ酸配列:
(a)配列番号3、4、5、8、9、および10;
(b)配列番号3、13、5、16、9、および17;
(c)配列番号3、20、21、16、9、および17;
(d)配列番号3、24、25、28、9、および17;
(e)配列番号3、31、5、34、9、および17;
(f)配列番号3、37、5、40、9、および10;
(g)配列番号3、43、5、28、9、および17;
(h)配列番号3、46、47、50、9、および17;
(i)配列番号3、31、5、55、9、および56;
(j)配列番号3、59、5、40、9、および62;
(k)配列番号3、65、21、16、9、および62;または
(l)配列番号3、70、21、73、9、および62;
を含み、hCTLA4とhB7-1および/またはhB7-2との相互作用を抑制する、抗hCTLA4抗体。
【0037】
33.抗hCTLA4抗体のVHおよびVLがそれぞれ、2つの配列を一緒に含むアミノ酸配列を含み、2つの配列の内の1つが、1対の配列の内の1つの配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含み、2つの配列の内のもう一方が1対の配列の内のもう一方の配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含み、1対の配列が、配列番号2(VH)および7(VL);配列番号12(VH)および15(VL);配列番号19(VH)および15(VL);配列番号23(VH)および27(VL);配列番号30(VH)および33(VL);配列番号36(VH)および39(VL);配列番号42(VH)および27(VL);配列番号45(VH)および49(VL);配列番号52(VH)および54(VL);配列番号58(VH)および61(VL);配列番号64(VH)および67(VL);および配列番号69(VH)および72(VL)からなる群より選択される、項目32に記載の抗hCTLA4抗体。
【0038】
34.2つの配列の内の1つが、1対の配列の1つに対し、3つ以下のアミノ酸変化を含み、2つの配列の内のもう一方が、1対の配列のもう一方の配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目33に記載の抗hCTLA4抗体。
【0039】
35.2つの配列の内の1つが、1対の配列の1つに対し、2つ以下のアミノ酸変化を含み、2つの配列の内のもう一方が、1対の配列のもう一方の配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目34に記載の抗hCTLA4抗体。
【0040】
36.2つの配列の内の1つが、1対の配列の1つに対し、1つ以下のアミノ酸変化を含み、2つの配列の内のもう一方が、1対の配列のもう一方の配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目35に記載の抗hCTLA4抗体。
【0041】
37.変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目33~36のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0042】
38.2つの配列の内の1つが、1対の配列の内の1つを含み、2つの配列の内のもう一方が、1対の配列の内のもう一方の配列を含む、項目36に記載の抗hCTLA4抗体。
【0043】
39.ヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体である、項目1~38のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0044】
40.(1)IgG4抗体または(2)変化K409Rを含むIgG1抗体である、項目39に記載の抗hCTLA4抗体。
【0045】
41.IgG1抗体である、項目39に記載の抗hCTLA4抗体。
【0046】
42.重鎖(HC)または軽鎖(LC)が、HC中の位置44、105、147、168および181ならびにLC中の位置43、100、131、174、および178からなる群より選択される1つまたは複数の位置に、第1の相手指向変化を含み、第1の相手指向変化が、荷電アミノ酸が別のアミノ酸を置換する置換であり、置換された第1の相手指向変化の荷電アミノ酸が抗体内の接触アミノ酸の電荷対の一部を形成し、電荷対の接触アミノ酸が、
(a)44R/K(HC)および100D/E(LC)または44D/E(HC)および100R/K(LC);
(b)105R/K(HC)および43D/E(LC)または105D/E(HC)および43R/K(LC);
(c)147R/K(HC)および131D/E(LC)または147D/E(HC)および131R/K(LC);
(d)168R/K(HC)および174D/E(LC)または168D/E(HC)および174R/K(LC);および
(e)181R/K(HC)および178D/E(LC)または181D/E(HC)および178R/K(LC)、
からなる群より選択される、項目39~41のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0047】
43.第2の相手指向変化をさらに含み、第2の相手指向変化が、別のアミノ酸に対する荷電アミノ酸置換であり、置換された第1と第2の相手指向変化の荷電アミノ酸が接触アミノ酸の電荷対を形成する、項目42に記載の抗hCTLA4抗体。
【0048】
44.抗hCTLA4抗体がIgG1抗体であり、抗hCTLA4抗体のHCまたはLCが、HCまたはLC中のアミノ酸の位置で第3の相手指向変化を含み、第3の相手指向変化がシステイン置換であり、第3の相手指向変化の置換システインが、(1)第3の相手指向変化がLC中にある場合、HC中のシステインと接触し、または(2)第3の相手指向変化がHC中にある場合、LC中のシステインと接触し、それにより、接触システイン対を形成する、項目42または43に記載の抗hCTLA4抗体。
【0049】
45.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置121または124;
(b)HC中の位置128およびLC中の位置118;
(c)HC中の位置133およびLC中の位置117または209;
(d)HC中の位置134または141およびLC中の位置116;
(e)HC中の位置168およびLC中の位置174;
(f)HC中の位置170およびLC中の位置162または176;
(g)HC中の位置173およびLC中の位置160;および
(h)HC中の位置183およびLC中の位置176、
からなる群より選択される位置にある、項目44に記載の抗hCTLA4抗体。
【0050】
46.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置124;
(b)HC中の位置128およびLC中の位置118;
(c)HC中の位置133およびLC中の位置117または209;
(d)HC中の位置134およびLC中の位置116;
(e)HC中の位置168およびLC中の位置174;
(f)HC中の位置170およびLC中の位置162または176;および
(g)HC中の位置173およびLC中の位置160、
からなる群より選択される位置にある、項目45に記載の抗hCTLA4抗体。
【0051】
47.第3の相手指向変化がHC中にある場合、LCが第3の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第4の相手指向変化を含むか、または第3の相手指向変化がLC中にある場合、HCが第3の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第4の相手指向変化を含む、項目44~46のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0052】
48.抗hCTLA4抗体がIgG4抗体であり、抗hCTLA4抗体のHCまたはLCが、HCまたはLC中のアミノ酸の位置で第3の相手指向変化を含み、第3の相手指向変化がシステイン置換であり、第3の相手指向変化の置換システインが、(1)第3の相手指向変化がLC中にある場合、HC中のシステインと接触するか、または(2)第3の相手指向変化がHC中にある場合、LC中のシステインと接触し、それにより、接触システイン対を形成する、項目42または43に記載の抗hCTLA4抗体。
【0053】
49.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置121または124;
(b)HC中の位置127およびLC中の位置121;
(c)HC中の位置128およびLC中の位置118;
(d)HC中の位置141およびLC中の位置116;
(e)HC中の位置168およびLC中の位置174;および
(f)HC中の位置170または173およびLC中の位置162、からなる群より選択されるHCおよびLC内の位置にある、項目48に記載の抗hCTLA4抗体。
【0054】
50.第3の相手指向変化がHC中にある場合、LCが第3の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第4の相手指向変化を含むか、または第3の相手指向変化がLC中にある場合、HCが第3の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第4の相手指向変化を含む、項目48または49に記載の抗hCTLA4抗体。
【0055】
51.変化D399K/RおよびK/R409E/Dを含む、項目1~50のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0056】
52.Fc部分を含む、ヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体であり、抗体のFc部分が抗体のインビボでのクリアランスを高める1つまたは複数の変化を含む、項目1~51のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0057】
53.抗体のFc部分が、次の変化:M252A、M252L、M252S、M252R、R255KまたはH435Rの内の少なくとも1つを含む、項目52に記載の抗hCTLA4抗体。
【0058】
54.配列番号189および191または配列番号193および195のアミノ酸配列を含む、抗hCTLA4抗体。
【0059】
55.VHを含む抗ヒトPD1(hPD1)抗体であって、VHが、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、および166からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含むアミノ酸配列を含み、hPD1とヒトPDL1(hPDL1)との相互作用を抑制する、抗ヒトPD1(hPD1)抗体。
【0060】
56.VHが、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み、これらのそれぞれが、配列番号88、89、および90、配列番号98、89および99、配列番号105、89、および90、配列番号105、111、および112、配列番号105、111、および90、配列番号88、89、および112、配列番号88、89、および127、配列番号88、89、および134、配列番号98、89、および90、配列番号98、111、および112、配列番号149、150、および112、配列番号105、111、および90、配列番号149、89、および127、配列番号88、89、および112、または配列番号105、89、および127のアミノ酸配列を含む、項目55に記載の抗hPD1抗体。
【0061】
57.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、および166からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目55または56に記載の抗hPD1抗体。
【0062】
58.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、および166からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目57に記載の抗hPD1抗体。
【0063】
59.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、および166からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目58に記載の抗hPD1抗体。
【0064】
60.アミノ酸変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目55~59のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0065】
61.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、および166からなる群より選択される、項目59に記載の抗hPD1抗体。
【0066】
62.VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む、VLをさらに含み、これらのそれぞれが、配列番号176、177、および179のアミノ酸配列を含む、項目55~61のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0067】
63.VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3が、それぞれ、配列番号93、94、および95、配列番号102、94、および95、配列番号93、108、および95、配列番号115、94、および95、配列番号120、94、および95、配列番号102、108、および95、配列番号130、108、および131、配列番号137、94、および131、配列番号142、94、および131、または配列番号130、94、および131のアミノ酸配列を含む、項目62に記載の抗hPD1抗体。
【0068】
64.配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、および183からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含むアミノ酸配列を含むVLを含む、項目55~61のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0069】
65.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、および183からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目64に記載の抗hPD1抗体。
【0070】
66.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、および183からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目65に記載の抗hPD1抗体。
【0071】
67.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、および183からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目66に記載の抗hPD1抗体。
【0072】
68.配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、または183に対するアミノ酸変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目64~67のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0073】
69.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、および183からなる群より選択される、項目67に記載の抗hPD1抗体。
【0074】
70.VLが、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み、これらそれぞれが、配列番号93、94、および95、配列番号102、94、および95、配列番号93、108、および95、配列番号115、94、および95、配列番号120、94、および95、配列番号102、108、および95、配列番号130、108、および131、配列番号137、94、および131、配列番号142、94、および131、または配列番号130、94、および131のアミノ酸配列を含む、項目64~69のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0075】
71.VLを含む抗hPD1抗体であって、VLが、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、および168からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含むアミノ酸配列を含み、hPD1とhPDL1との相互作用を抑制する抗hPD1抗体。
【0076】
72.VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み、これらのそれぞれが、配列番号93、94、および95、配列番号102、94、および95、配列番号93、108、および95、配列番号115、94、および95、配列番号120、94、および95、配列番号102、108、および95、配列番号130、108、および131、配列番号137、94、および131、配列番号142、94、および131、または配列番号130、94、および131のアミノ酸配列を含む、項目71に記載の抗hPD1抗体。
【0077】
73.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、および168からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目71または72に記載の抗PD1抗体。
【0078】
74.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、および168からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目73に記載の抗PD1抗体。
【0079】
75.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、および168からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目74に記載の抗PD1抗体。
【0080】
76.アミノ酸変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目71~75のいずれか1項に記載の抗PD1抗体。
【0081】
77.VLにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、および168からなる群より選択される、項目75に記載の抗PD1抗体。
【0082】
78.VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含む、VHをさらに含み、これらのそれぞれが、配列番号170、172、および174のアミノ酸配列を含む、項目71~77のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0083】
79.VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3が、それぞれ、配列番号88、89、および90、配列番号98、89および99、配列番号105、89、および90、配列番号105、111、および112、配列番号105、111、および90、配列番号88、89、および112、配列番号88、89、および127、配列番号88、89、および134、配列番号98、89、および90、配列番号98、111、および112、配列番号149、150、および112、配列番号105、111、および90、配列番号149、89、および127、配列番号88、89、および112、または配列番号105、89、および127のアミノ酸配列を含む、項目78に記載の抗hPD1抗体。
【0084】
80.配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、166、180、および181からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含むアミノ酸配列を含むVHをさらに含む、項目71~77のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0085】
81.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、166、180、および181からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目80に記載の抗hPD1抗体。
【0086】
82.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、166、180、および181からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目81に記載の抗hPD1抗体。
【0087】
83.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、166、180、および181からなる群より選択されるアミノ酸配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目82に記載の抗hPD1抗体。
【0088】
84.アミノ酸変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目80~83のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0089】
85.VHにより含まれるアミノ酸配列が、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、166、180、および181からなる群より選択される、項目83に記載の抗hPD1抗体。
【0090】
86.VHが、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み、これらのそれぞれが、配列番号88、89、および90、配列番号98、89および99、配列番号105、89、および90、配列番号105、111、および112、配列番号105、111、および90、配列番号88、89、および112、配列番号88、89、および127、配列番号88、89、および134、配列番号98、89、および90、配列番号98、111、および112、配列番号149、150、および112、配列番号105、111、および90、配列番号149、89、および127、配列番号88、89、および112、または配列番号105、89、および127のアミノ酸配列を含む、項目80~85のいずれか1項に記載の抗PD1抗体。
【0091】
87.VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み、これらのそれぞれが、アミノ酸配列:
(a)配列番号88、89、90、93、94、および95;
(b)配列番号98、89、99、102、94、および95;
(c)配列番号105、89、90、93、108、および95;
(d)配列番号105、111、112、115、94、および95;
(e)配列番号105、111、90、120、94、および95;
(f)配列番号88、89、112、102、108、および95;
(g)配列番号88、89、127、130、108、および131;
(h)配列番号88、89、134、137、94、および131;
(i)配列番号98、89、90、142、94、および131;
(j)配列番号98、111、112、130、94、および131;
(k)配列番号149、150、112、130、94、および131;
(l)配列番号105、111、90、142、94、および131;
(m)配列番号149、89、127、115、94、および95;
(n)配列番号88、89、112、93、94、および95;または
(o)配列番号105、89、127、102、108、および95;
を含み、hPD1とhPDL1との相互作用を抑制する、抗hPD1抗体。
【0092】
88.抗hPD1抗体のVHおよびVLがそれぞれ、2つの配列を一緒に含むアミノ酸配列を含み、2つの配列の内の1つが、1対の配列の内の1つの配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含み、2つの配列の内のもう一方が1対の配列の内のもう一方の配列に対し、4つ以下のアミノ酸変化を含み、1対の配列が、配列番号87(VH)および92(VL);配列番号97(VH)および101(VL);配列番号104(VH)および107(VL);配列番号110(VH)および114(VL);配列番号117(VH)および119(VL);配列番号122(VH)および124(VL);配列番号126(VH)および129(VL);配列番号133(VH)および136(VL);配列番号139(VH)および141(VL);配列番号144(VH)および146(VL);配列番号148(VH)および152(VL);配列番号154(VH)および156(VL);配列番号158(VH)および160(VL);配列番号162(VH)および164(VL);および配列番号166(VH)および168(VL)からなる群より選択される、項目87に記載の抗hPD1抗体。
【0093】
89.2つの配列の内の1つが、1対の配列の1つに対し、3つ以下のアミノ酸変化を含み、2つの配列の内のもう一方が、1対の配列のもう一方の配列に対し、3つ以下のアミノ酸変化を含む、項目88に記載の抗hPD1抗体。
【0094】
90.2つの配列の内の1つが、1対の配列の1つに対し、2つ以下のアミノ酸変化を含み、2つの配列の内のもう一方が、1対の配列のもう一方の配列に対し、2つ以下のアミノ酸変化を含む、項目89に記載の抗hPD1抗体。
【0095】
91.2つの配列の内の1つが、1対の配列の1つに対し、1つ以下のアミノ酸変化を含み、2つの配列の内のもう一方が、1対の配列のもう一方の配列に対し、1つ以下のアミノ酸変化を含む、項目90に記載の抗hPD1抗体。
【0096】
92.変化が置換であり、該置換が相手指向変化である、項目88~91のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0097】
93.2つの配列の内の1つが、1対の配列の内の1つを含み、2つの配列の内のもう一方が、1対の配列の内のもう一方の配列を含む、項目91に記載の抗hPD1抗体。
【0098】
94.ヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体である、項目55~93のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0099】
95.(1)IgG4抗体または(2)変化K409Rを含むIgG1抗体である、項目94に記載の抗hPD1抗体。
【0100】
96.IgG1抗体である、項目94に記載の抗hPD1抗体。
【0101】
97.重鎖(HC)または軽鎖(LC)が、HC中の位置44、105、147、168および181ならびにLC中の位置43、100、131、174、および178からなる群より選択される1つまたは複数の位置に、第1の相手指向変化を含み、相手指向変化が、荷電アミノ酸が別のアミノ酸を置換する置換であり、置換された相手指向変化の荷電アミノ酸が抗体内の接触アミノ酸の電荷対の一部を形成し、電荷対の接触アミノ酸が、
(a)44R/K(HC)および100D/E(LC)または44D/E(HC)および100R/K(LC);
(b)105R/K(HC)および43D/E(LC)または105D/E(HC)および43R/K(LC);
(c)147R/K(HC)および131D/E(LC)または147D/E(HC)および131R/K(LC);
(d)168R/K(HC)および174D/E(LC)または168D/E(HC)および174R/K(LC);および
(e)181R/K(HC)および178D/E(LC)または181D/E(HC)および178R/K(LC)、からなる群より選択される項目94~96のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0102】
98.第2の相手指向変化をさらに含み、第2の相手指向変化が、別のアミノ酸に対する荷電アミノ酸置換であり、置換された第1と第2の相手指向変化の荷電アミノ酸が接触アミノ酸の電荷対を形成する、項目97に記載の抗hPD1抗体。
【0103】
99.抗hPD1抗体がIgG1抗体であり、抗hPD1抗体のHCまたはLCが、HCまたはLC中のアミノ酸の位置で第3の相手指向変化を含み、第3の相手指向変化がシステイン置換であり、第3の相手指向変化の置換システインが、(1)第3の相手指向変化がLC中にある場合、HC中のシステインと接触し、または(2)第3の相手指向変化がHC中にある場合、LC中のシステインと接触し、それにより、接触システイン対を形成する、項目97または98に記載の抗hPD1抗体。
【0104】
100.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置121または124;
(b)HC中の位置128およびLC中の位置118;
(c)HC中の位置133およびLC中の位置117または209;
(d)HC中の位置134または141およびLC中の位置116;
(e)HC中の位置168およびLC中の位置174;
(f)HC中の位置170およびLC中の位置162または176;
(g)HC中の位置173およびLC中の位置160;および
(h)HC中の位置183およびLC中の位置176、
からなる群より選択される位置にある、項目99に記載の抗hPD1抗体。
【0105】
101.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置124;
(b)HC中の位置128およびLC中の位置118;
(c)HC中の位置133およびLC中の位置117または209;
(d)HC中の位置134およびLC中の位置116;
(e)HC中の位置168およびLC中の位置174;
(f)HC中の位置170およびLC中の位置162または176;および
(g)HC中の位置173およびLC中の位置160、
からなる群より選択される1対の位置にある、項目100に記載の抗hPD1抗体。
【0106】
102.第3の相手指向変化がHC中にある場合、LCが第3の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第4の相手指向変化を含むか、または第3の相手指向変化がLC中にある場合、HCが第3の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第4の相手指向変化を含む、項目99~101のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0107】
103.抗hPD1抗体がIgG4抗体であり、抗hPD1抗体のHCまたはLCが、HCまたはLC中のアミノ酸の位置で第3の相手指向変化を含み、第3の相手指向変化がシステイン置換であり、第3の相手指向変化の置換システインが、(1)第3の相手指向変化がLC中にある場合、HC中のシステインと接触し、または(2)第2の相手指向変化がHC中にある場合、LC中のシステインと接触し、それにより、接触システイン対を形成する、項目97または98に記載の抗hPD1。
【0108】
104.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置121または124;
(b)HC中の位置127およびLC中の位置121;
(c)HC中の位置128およびLC中の位置118;
(d)HC中の位置141およびLC中の位置116;
(e)HC中の位置168およびLC中の位置174;および
(f)HC中の位置170または173およびLC中の位置162、
からなる群より選択されるHCおよびLC内の位置にある、項目103に記載の抗hPD1抗体。
【0109】
105.第3の相手指向変化がHC中にある場合、LCが第3の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第4の相手指向変化を含むか、または第3の相手指向変化がLC中にある場合、HCが第3の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第4の相手指向変化を含む、項目103または104に記載の抗hPD1抗体。
【0110】
106.変化D399K/RおよびK/R409E/Dを含む、項目55~105のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0111】
107.配列番号185および187のアミノ酸配列を含む、抗hPD1抗体。
【0112】
108.項目1~54のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体および項目55~107のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体を含む、抗体の混合物。
【0113】
109.項目8に記載の抗hCTLA4抗体および項目61に記載の抗hPD1抗体を含む、項目108に記載の抗体の混合物。
【0114】
110.混合物が単一宿主細胞株中で産生される、項目108または109に記載の抗体の混合物。
【0115】
111.3種以下の抗体主要種を含む、項目110に記載の抗体の混合物。
【0116】
112.2種以下の抗体主要種を含む、項目111に記載の抗体の混合物。
【0117】
113.項目1~54のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目55~107のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、または項目108~112のいずれか1項に記載の抗体の混合物をコードする、1つまたは複数のポリヌクレオチド。
【0118】
114.項目108~112のいずれか1項に記載の抗体の混合物をコードする、項目113に記載のポリヌクレオチド。
【0119】
115.項目113または114に記載のポリヌクレオチドを含む、1つまたは複数のベクター。
【0120】
116.ウイルスベクターである、項目115に記載のベクター。
【0121】
117.腫瘍溶解性ウイルスベクターである、項目116に記載のベクター。
【0122】
118.レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、レオウイルス、またはポックスウイルスベクターである、項目116または117に記載のベクター。
【0123】
119.項目1~54のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目55~107のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、項目108~112のいずれか1項に記載の抗体の混合物、項目113または114に記載のポリヌクレオチド、または項目115~118のいずれか1項に記載のベクターを含む、医薬組成物。
【0124】
120.項目113もしくは114に記載のポリヌクレオチドまたは項目115もしくは116に記載のベクターが導入されている宿主細胞。
【0125】
121.哺乳動物細胞である項目120に記載の宿主細胞。
【0126】
122.CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である項目121に記載の宿主細胞。
【0127】
123.項目120~122のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養し、抗体または抗体の混合物を培地または細胞集団から回収することを含む、抗体または抗体の混合物の製造方法。
【0128】
124.項目1~54のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目55~107のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、項目108~112のいずれか1項に記載の混合物、項目113または114に記載のポリヌクレオチド、項目115~118のいずれか1項に記載のベクター、または項目119に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、固形腫瘍または血液悪性腫瘍の患者を治療する方法。
【0129】
125.抗hCTLA4抗体、抗hPD1抗体、または抗体の混合物を投与することを含む、項目124に記載の方法。
【0130】
126.患者が黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌、膀胱癌、腎明細胞癌、ホジキンリンパ腫、または頭頸部扁平上皮細胞癌である、項目124または125に記載の方法。
【0131】
127.抗hCTLA4抗体、抗hPD1抗体、または抗体の混合物、ポリヌクレオチド、ベクター、または医薬組成物の前に、後に、および/またはそれと同時に、追加の療法剤を投与することをさらに含み、追加の療法剤が、免疫調節性分子、照射、化学療法剤、標的化生物製剤、標的化阻害剤、および/または腫瘍溶解性ウイルスからなる群より選択される、項目124~126のいずれか1項に記載の方法。
【0132】
128.追加の療法剤が、照射または化学療法剤である、項目127に記載の方法。
【0133】
129.追加の療法剤が、PDL1、TIGIT、CCR4、CCR8、CSFR1a、B7H3、B7H4、CD96、またはCD73のアンタゴニスト;GITR、41BB、OX40、またはCD40のアゴニスト;タリモジーン・ラハーパレプベック(IMLYGIC(商標))などの腫瘍溶解性ウイルス;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞エンゲージャー(bispecific T cell engager)(BiTE);インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤;ベバシズマブなどの抗血管新生薬;抗体-薬物複合体;およびチロシンキナーゼ阻害剤からなる群より選択される、標的化生物製剤、標的化阻害剤、および/または免疫調節性分子である、項目127に記載の方法。
【0134】
130.項目1~54のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目55~107のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、項目108~112のいずれか1項に記載の混合物、項目113または114に記載のポリヌクレオチド、項目115~118のいずれか1項に記載のベクター、または項目119に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者の免疫応答を誘導する、または免疫応答を高める方法。
【0135】
131.抗体の混合物、抗体の混合物をコードする1つまたは複数のベクター、または抗体の混合物もしくは抗体の混合物をコードするベクターを含む医薬組成物を投与することを含む、項目130に記載の方法。
【0136】
132.患者が黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌、膀胱癌、腎明細胞癌、ホジキンリンパ腫、または頭頸部扁平上皮細胞癌である、項目130または131に記載の方法。
【0137】
133.抗hCTLA4抗体、抗hPD1抗体、抗体の混合物、ポリヌクレオチド、またはベクターの前に、後に、および/またはそれと同時に、追加の療法剤を投与することをさらに含み、追加の療法剤が、免疫調節性分子、照射、化学療法剤、標的化生物製剤、標的化阻害剤、および/または腫瘍溶解性ウイルスからなる群より選択される、項目130~132のいずれか1項に記載の方法。
【0138】
134.追加の療法剤が、照射または化学療法剤である、項目133に記載の方法。
【0139】
135.追加の療法剤が、PDL1、TIGIT、CCR4、CCR8、CSFR1a、B7H3、B7H4、CD96、またはCD73のアンタゴニスト;GITR、41BB、OX40、またはCD40のアゴニスト;タリモジーン・ラハーパレプベック(IMLYGIC(商標))などの腫瘍溶解性ウイルス;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE);インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤;ベバシズマブなどの抗血管新生薬;抗体-薬物複合体;およびチロシンキナーゼ阻害剤からなる群より選択される、標的化生物製剤、標的化阻害剤、および/または免疫調節性分子である、項目133に記載の方法。
【0140】
136.項目1~54のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目55~107のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、項目108~112のいずれか1項に記載の混合物、項目113または114に記載のポリヌクレオチド、項目115~118のいずれか1項に記載のベクター、または項目119に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、感染症の患者を治療する方法。
【0141】
137.それぞれ、配列番号3、4、および5、配列番号3、13および5、配列番号3、20、および21、配列番号3、24、および25、配列番号3、31、および5、配列番号3、37、および5、配列番号3、43、および5、配列番号3、46、および47、配列番号3、59、および5、配列番号3、65、および21、または配列番号3、70、および21のアミノ酸配列を含む、VH相補性決定領域1(CDR1)、VH相補性決定領域2(CDR2)、およびVH相補性決定領域3(CDR3)を含む、重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗ヒトCTLA4(hCTLA4)抗体。
【0142】
138.VHが、配列番号82のアミノ酸配列を含む、項目137に記載の抗hCTLA4抗体。
【0143】
139.VHが、配列番号83のアミノ酸配列を含む、項目138に記載の抗hCTLA4抗体。
【0144】
140.VHが、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、および69からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目139に記載の抗hCTLA4抗体。
【0145】
141.それぞれ、配列番号8、9、および10、配列番号16、9および17、配列番号28、9、および17、配列番号34、9、および17、配列番号40、9、および10、配列番号50、9、および17、配列番号55、9、および56、配列番号40、9、および62、配列番号16、9、および62、または配列番号73、9、および62のアミノ酸配列を含む、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗hCTLA4抗体。
【0146】
142.VLが、配列番号84のアミノ酸配列を含む、項目141に記載の抗hCTLA4抗体。
【0147】
143.VLが、配列番号85のアミノ酸配列を含む、項目142に記載の抗hCTLA4抗体。
【0148】
144.VLが、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、および72からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目143に記載の抗hCTLA4抗体。
【0149】
145.それぞれ、配列番号8、9、および10、配列番号16、9および17、配列番号28、9、および17、配列番号34、9、および17、配列番号40、9、および10、配列番号50、9、および17、配列番号55、9、および56、配列番号40、9、および62、配列番号16、9、および62、または配列番号73、9、および62のアミノ酸配列を含む、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVLをさらに含む、項目137~140のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0150】
146.VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み、これらのそれぞれが、アミノ酸配列:
(a)配列番号3、4、5、8、9、および10;
(b)配列番号3、13、5、16、9、および17;
(c)配列番号3、20、21、16、9、および17;
(d)配列番号3、24、25、28、9、および17;
(e)配列番号3、31、5、34、9、および17;
(f)配列番号3、37、5、40、9、および10;
(g)配列番号3、43、5、28、9、および17;
(h)配列番号3、46、47、50、9、および17;
(i)配列番号3、31、5、55、9、および56;
(j)配列番号3、59、5、40、9、および62;
(k)配列番号3、65、21、16、9、および62;または
(l)配列番号3、70、21、73、9、および62、
を含む、項目145に記載の抗hCTLA4抗体。
【0151】
147.VLが配列番号84のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号82のアミノ酸配列を含む、項目145に記載の抗hCTLA4抗体。
【0152】
148.VLが配列番号85のアミノ酸配列を含み、VHが配列番号83のアミノ酸配列を含む、項目147に記載の抗hCTLA4抗体。
【0153】
149.VLが、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、および72からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目148に記載の抗hCTLA4抗体。
【0154】
150.VHおよびVLが、それぞれ、配列番号2および7;配列番号12および15;配列番号19および15;配列番号23および27;配列番号30および33;配列番号36および39;配列番号42および27;配列番号45および49;配列番号52および54;配列番号58および61;配列番号64および67;および配列番号69および72からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目149に記載の抗hCTLA4抗体。
【0155】
151.ヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体である、項目137~150のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0156】
152.IgG4抗体、または変化K409Rを含むIgG1抗体である、項目151に記載の抗hCTLA4抗体。
【0157】
153.IgG1抗体である、項目151に記載の抗hCTLA4抗体。
【0158】
154.重鎖(HC)および/または軽鎖(LC)が、HC中の位置44、105、147、168および181ならびにLC中の位置43、100、131、174、および178からなる群より選択される1つまたは複数の位置に、少なくとも1つの相手指向変化を含み、相手指向変化が、荷電アミノ酸が別のアミノ酸を置換する置換であり、置換された相手指向変化の荷電アミノ酸が抗体内の接触アミノ酸の電荷対の一部を形成し、電荷対を形成するアミノ酸の接触対が、
(a)44R/K(HC)および100D/E(LC)または44D/E(HC)および100R/K(LC);
(b)105R/K(HC)および43D/E(LC)または105D/E(HC)および43R/K(LC);
(c)147R/K(HC)および131D/E(LC)または147D/E(HC)および131R/K(LC);
(d)168R/K(HC)および174D/E(LC)または168D/E(HC)および174R/K(LC);および
(e)181R/K(HC)および178D/E(LC)または181D/E(HC)および178R/K(LC)、
からなる群より選択される項目151~153のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0159】
155.抗hCTLA4抗体がIgG1抗体であり、抗hCTLA4抗体のHCまたはLCが、HCまたはLC中のアミノ酸の位置に第2の相手指向変化を含み、第2の相手指向変化が、システインが別のアミノ酸を置換する置換であり、第2の相手指向変化の置換システインが、(1)第2の相手指向変化がLC中にある場合、HC中のシステインと接触し、または(2)第2の相手指向変化がHC中にある場合、LC中のシステインと接触する、項目151、152、または154に記載の抗hCTLA4抗体。
【0160】
156.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置121のアミノ酸;
(b)HC中の位置170およびLC中の位置162のアミノ酸;
(c)HC中の位置170およびLC中の位置176のアミノ酸;
(d)HC中の位置173およびLC中の位置160のアミノ酸;および
(e)HC中の位置183およびLC中の位置176のアミノ酸、
からなる群より選択されるHCおよびLC内の対の位置にある、項目155に記載の抗hCTLA4抗体。
【0161】
157.第2の相手指向変化がHC中にある場合、LCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含むか、または第2の相手指向変化がLC中にある場合、HCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含む、項目155または156に記載の抗hCTLA4抗体。
【0162】
158.抗hCTLA4抗体がIgG4抗体であり、抗hCTLA4抗体のHCまたはLCが、HCまたはLC中のアミノ酸の位置に第2の相手指向変化を含み、第2の相手指向変化が、システインが別のアミノ酸を置換する置換であり、第2の相手指向変化の置換システインが、(1)第2の相手指向変化がLC中にある場合、HC中のシステインと接触し、または(2)第2の相手指向変化がHC中にある場合、LC中のシステインと接触する、項目151、152、および154のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0163】
159.接触システイン対が、
(a)HC中の位置170およびLC中の位置162のアミノ酸;
(b)HC中の位置173およびLC中の位置162のアミノ酸;および
(c)HC中の位置183およびLC中の位置176のアミノ酸、からなる群より選択されるHCおよびLC内の対の位置にある、項目158に記載の抗hCTLA4抗体。
【0164】
160.第2の相手指向変化がHC中にある場合、LCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含むか、または第2の相手指向変化がLC中にある場合、HCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含む、項目159に記載の抗hCTLA4抗体。
【0165】
161.変化D399K/RおよびK409D/Eを含む、項目151~160のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0166】
162.抗体のFc部分が抗体のインビボでのクリアランスを高める1つまたは複数の変化を含む、項目151~161のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体。
【0167】
163.抗体のFc部分が、次の変化:M252A、M252L、M252S、M252R、R255KまたはH435Rの内の少なくとも1つを含む、項目162に記載の抗hCTLA4抗体。
【0168】
164.それぞれ、配列番号88、89、および90、配列番号98、89および99、配列番号105、89、および90、配列番号105、111、および112、配列番号105、111、および90、配列番号88、89、および112、配列番号88、89、および127、配列番号88、89、および134、配列番号98、89、および90、配列番号98、111、および112、配列番号149、150、および112、配列番号105、111、および90、配列番号149、89、および127、または配列番号105、89、および127のアミノ酸配列を含む、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVHを含む抗hPD1抗体。
【0169】
165.VHが、配列番号180のアミノ酸配列を含む、項目164に記載の抗hPD1抗体。
【0170】
166.VHが、配列番号181のアミノ酸配列を含む、項目165に記載の抗hPD1抗体。
【0171】
167.VHが、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、および166からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目166に記載の抗hPD1抗体。
【0172】
168.VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVLを含み、これらのそれぞれが、配列番号93、94、および95、配列番号102、94、および95、配列番号93、108、および95、配列番号115、94、および95、配列番号120、94、および95、配列番号102、108、および95、配列番号130、108、および131、配列番号137、94、および131、配列番号142、94、および131、または配列番号130、94、および131のアミノ酸配列を含む、抗hPD1抗体。
【0173】
169.VLが、配列番号182のアミノ酸配列を含む、項目168に記載の抗hPD1抗体。
【0174】
170.VLが、配列番号183のアミノ酸配列を含む、項目169に記載の抗hPD1抗体。
【0175】
171.VLが、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、および168からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目170に記載の抗hPD1抗体。
【0176】
172.VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むVLをさらに含み、これらのそれぞれが、配列番号93、94、および95、配列番号102、94、および95、配列番号93、108、および95、配列番号115、94、および95、配列番号120、94、および95、配列番号102、108、および95、配列番号130、108、および131、配列番号137、94、および131、配列番号142、94、および131、または配列番号130、94、および131のアミノ酸配列を含む、項目164~167のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0177】
173.VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み、これらのそれぞれが、アミノ酸配列:
(a)配列番号88、89、90、93、94、および95;
(b)配列番号98、89、99、102、94、および95;
(c)配列番号105、89、90、93、108、および95;
(d)配列番号105、111、112、115、94、および95;
(e)配列番号105、111、90、120、94、および95;
(f)配列番号88、89、112、102、108、および95;
(g)配列番号88、89、127、130、108、および131;
(h)配列番号88、89、134、137、94、および131;
(i)配列番号98、89、90、142、94、および131;
(j)配列番号98、111、112、130、94、および131;
(k)配列番号149、150、112、130、94、および131;
(l)配列番号105、111、90、142、94、および131;
(m)配列番号149、89、127、115、94、および95;
(n)配列番号88、89、112、93、94、および95;または
(o)配列番号105、89、127、102、108、および95、
を含む、項目172に記載の抗hPD1抗体。
【0178】
174.VLが、配列番号182のアミノ酸配列を含む、項目172または173に記載の抗hPD1抗体。
【0179】
175.VLが、配列番号183のアミノ酸配列を含む、項目174に記載の抗hPD1抗体。
【0180】
176.VLが、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、および168からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目175に記載の抗hPD1抗体。
【0181】
177.VHおよびVLが、それぞれ、配列番号87および92;配列番号97および101;配列番号104および107;配列番号110および114;配列番号117および119;配列番号122および124;配列番号126および129;配列番号133および136;配列番号139および141;配列番号144および146;配列番号148および152;配列番号154および156;配列番号158および160;配列番号162および164;および配列番号166および168からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目174に記載の抗hPD1抗体。
【0182】
178.ヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体である、項目164~177のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0183】
179.IgG4抗体、または変化K409Rを含むIgG1抗体である、項目178に記載の抗hPD1抗体。
【0184】
180.IgG1抗体である、項目178に記載の抗hPD1抗体。
【0185】
181.HCおよび/またはLCが、HC中の位置44、105、147、168および181ならびにLC中の位置43、100、131、174、および178からなる群より選択される1つまたは複数の位置に、少なくとも1つの相手指向変化を含み、相手指向変化が、荷電アミノ酸が別のアミノ酸を置換する置換であり、置換された相手指向変化の荷電アミノ酸が抗体内の電荷対の一部を形成し、電荷対を形成するアミノ酸の接触対が、
(a)44R/K(HC)および100D/E(LC)または44D/E(HC)および100R/K(LC);
(b)105R/K(HC)および43D/E(LC)または105D/E(HC)および43R/K(LC);
(c)147R/K(HC)および131D/E(LC)または147D/E(HC)および131R/K(LC);
(d)168R/K(HC)および174D/E(LC)または168D/E(HC)および174R/K(LC);および
(e)181R/K(HC)および178D/E(LC)または181D/E(HC)および178R/K(LC)、
からなる群より選択される、項目178~180のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0186】
182.抗hPD1抗体がIgG1抗体であり、抗hCTLA4抗体のHCまたはLCが、HCまたはLC中のアミノ酸の位置に第2の相手指向変化を含み、第2の相手指向変化が、システインが別のアミノ酸を置換する置換であり、第2の相手指向変化の置換システインが、(1)第2の相手指向変化がLC中にある場合、HC中のシステインと接触し、または(2)第2の相手指向変化がHC中にある場合、LC中のシステインと接触する、項目178、179、または181に記載の抗hPD1抗体。
【0187】
183.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置121のアミノ酸;
(b)HC中の位置170およびLC中の位置162のアミノ酸;
(c)HC中の位置170およびLC中の位置176のアミノ酸;
(d)HC中の位置173およびLC中の位置160のアミノ酸;および
(e)HC中の位置183およびLC中の位置176のアミノ酸、
からなる群より選択されるHCおよびLC内の対の位置にある、項目182に記載の抗hPD1抗体。
【0188】
184.第2の相手指向変化がHC中にある場合、LCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含むか、または第2の相手指向変化がLC中にある場合、HCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含む、項目182または183に記載の抗hPD1抗体。
【0189】
185.抗hPD1抗体がIgG4抗体であり、抗hPD1抗体のHCまたはLCが、HCまたはLC中のアミノ酸の位置に第2の相手指向変化を含み、第2の相手指向変化が、システインが別のアミノ酸を置換する置換であり、第2の相手指向変化の置換システインが、(1)第2の相手指向変化がLC中にある場合、HC中のシステインと接触し、または(2)第2の相手指向変化がHC中にある場合、LC中のシステインと接触する、項目178、179、および181のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0190】
186.接触システイン対が、
(a)HC中の位置170およびLC中の位置162のアミノ酸;
(b)HC中の位置173およびLC中の位置162のアミノ酸;および
(c)HC中の位置183およびLC中の位置176のアミノ酸、
からなる群より選択されるHCおよびLC内の対の位置にある、項目185に記載の抗hPD1抗体。
【0191】
187.第2の相手指向変化がHC中にある場合、LCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含むか、または第2の相手指向変化がLC中にある場合、HCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含む、項目186に記載の抗hPD1抗体。
【0192】
188.変化D399K/RおよびK409D/Eを含む、項目178~187のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体。
【0193】
189.項目137~163のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体および項目164~188のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体を含む、抗体の混合物。
【0194】
190.項目151に記載の抗hCTLA4抗体および項目178に記載の抗hPD1抗体を含む、項目189に記載の抗体の混合物。
【0195】
191.抗hCTLA4抗体のFc部分が、抗hCTLA4抗体のインビボでのクリアランスを高める1つまたは複数の変化を含む、項目190に記載の抗体の混合物。
【0196】
192.抗hCTLA4抗体のFc部分が、次の変化:M252A、M252L、M252S、M252R、R255KまたはH435Rの内の少なくとも1つを含む、項目191に記載の抗体の混合物。
【0197】
193.混合物が単一宿主細胞株中で産生される、項目189~192のいずれか1項に記載の抗体の混合物。
【0198】
194.3種以下の抗体主要種を含む、項目193に記載の抗体の混合物。
【0199】
195.抗hCTLA4抗体および抗hPD1抗体のいずれか1つまたは両方のHCおよび/またはLCが、HC中の位置44、105、147、168および181ならびにLC中の位置43、100、131、174、および178からなる群より選択される1つまたは複数の位置に、少なくとも1つの相手指向変化を含み、相手指向変化が、荷電アミノ酸がいずれか他のアミノ酸を置換する置換であり、置換された相手指向変化の荷電アミノ酸が、いずれかのまたは両方の同族HC/LC対内のアミノ酸の電荷対の一部を形成し、電荷対を形成するアミノ酸の接触対が、
(a)44R/K(HC)および100D/E(LC)または44D/E(HC)および100R/K(LC);
(b)105R/K(HC)および43D/E(LC)または105D/E(HC)および43R/K(LC);
(c)147R/K(HC)および131D/E(LC)または147D/E(HC)および131R/K(LC);
(d)168R/K(HC)および174D/E(LC)または168D/E(HC)および174R/K(LC);および
(e)181R/K(HC)および178D/E(LC)または181D/E(HC)および178R/K(LC)、
からなる群より選択される、項目190~194のいずれか1項に記載の抗体の混合物。
【0200】
196.抗hCTLA4抗体および抗hPD1抗体のいずれか1つまたは両方の重鎖および/または軽鎖が、HCまたはLC中に第2の相手指向変化を含み、第2の相手指向変化が起こる抗体がIgG1抗体であり、第2の相手指向変化が、システインが別のアミノ酸を置換する置換であり、第2の相手指向変化の置換システインが、(1)第2の相手指向変化が片方または両方の抗体のLC中にある場合、同族HC中のシステインと接触し、または(2)第2の相手指向変化が片方または両方の抗体のHC中にある場合、同族LC中のシステインと接触する、項目190~195のいずれか1項に記載の抗体の混合物。
【0201】
197.接触システイン対が、
(a)HC中の位置126およびLC中の位置121のアミノ酸;
(b)HC中の位置170およびLC中の位置162のアミノ酸;
(c)HC中の位置170およびLC中の位置176のアミノ酸;
(d)HC中の位置173およびLC中の位置160のアミノ酸;および
(e)HC中の位置183およびLC中の位置176のアミノ酸、からなる群より選択される、いずれかまたは両方の抗体の同族HC/LC対内の対の位置にある、項目196に記載の抗体の混合物。
【0202】
198.第2の相手指向変化が片方または両方の抗体のHC中にある場合、同族LCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含むか、または第2の相手指向変化が片方または両方の抗体のLC中にある場合、同族HCが第2の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第3の相手指向変化を含む、項目196または197に記載の抗体の混合物。
【0203】
199.抗hCTLA4抗体および抗hPD1抗体のいずれかまたは両方の重鎖および/または軽鎖が、HCまたはLC中に第4の相手指向変化を含み、第4の相手指向変化が起こる抗体(単一または複数)がIgG4抗体であり、第4の相手指向変化が、システインが別のアミノ酸を置換する置換であり、第4の相手指向変化の置換システインが、(1)第4の相手指向変化が片方または両方の抗体のLC中にある場合、同族HC中のシステインと接触し、または(2)第4の相手指向変化が片方または両方の抗体のHC中にある場合、同族LC中のシステインと接触する、項目190~195のいずれか1項に記載の抗体の混合物。
【0204】
200.接触システイン対が、(a)HC中の位置170およびLC中の位置162のアミノ酸;(b)HC中の位置173およびLC中の位置162のアミノ酸、および(c)HC中の位置183およびLC中の位置176のアミノ酸、からなる群より選択される同族HC/LC対内の対の位置にある、項目199に記載の抗体の混合物。
【0205】
201.第4の相手指向変化が片方または両方の抗体のHC中にある場合、同族LCが第4の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第5の相手指向変化を含むか、または第4の相手指向変化が片方または両方の抗体のLC中にある場合、同族HCが第4の相手指向変化のアミノ酸と接触するアミノ酸の位置でのシステイン置換である第5の相手指向変化を含む、項目200に記載の抗体の混合物。
【0206】
202.混合物が、2種以下の抗体主要種を含む、項目189~201のいずれか1項に記載の抗体の混合物。
【0207】
203.(1)抗hPD1抗体がIgG4抗体、または変化K409Rを含むIgG1抗体であり、(2)抗hCTLA4抗体が変化D399K/RおよびK409D/Eを含むIgG1抗体である、項目202に記載の抗体の混合物。
【0208】
204.項目137~163のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目164~188のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、または項目189~203のいずれか1項に記載の抗体の混合物をコードする、1つまたは複数のポリヌクレオチド。
【0209】
205.項目189~203のいずれか1項に記載の抗体の混合物をコードする、項目204に記載のポリヌクレオチド。
【0210】
206.項目204または205に記載のポリヌクレオチドを含む、1つまたは複数のベクター。
【0211】
207.ウイルスベクターである、項目206に記載のベクター。
【0212】
208.腫瘍溶解性ウイルスベクターである、項目207に記載のベクター。
【0213】
209.レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、レオウイルス、またはポックスウイルスベクターである、項目207または208に記載のベクター。
【0214】
210.項目137~163のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目164~188のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、項目189~203のいずれか1項に記載の抗体の混合物、項目204または205に記載のポリヌクレオチド、または項目206~209のいずれか1項に記載のベクターを含む、医薬組成物。
【0215】
211.項目204もしくは205に記載のポリヌクレオチドまたは項目206もしくは207に記載のベクターが導入されている宿主細胞。
【0216】
212.哺乳動物細胞である項目211に記載の宿主細胞。
【0217】
213.CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である項目212に記載の宿主細胞。
【0218】
214.項目211~213のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養し、抗体または抗体の混合物を培地または細胞集団から回収することを含む、抗体または抗体の混合物の製造方法。
【0219】
215.項目137~163のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目164~188のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、項目189~203のいずれか1項に記載の混合物、項目204または205に記載のポリヌクレオチド、項目206~209のいずれか1項に記載のベクター、または項目210に記載の医薬組成物を投与することを含む、固形腫瘍または血液悪性腫瘍の患者を治療する方法。
【0220】
216.項目146に記載の抗hCTLA4抗体、項目173に記載の抗hPD1抗体、または項目189に記載の抗体の混合物を投与することを含む、項目215に記載の方法。
【0221】
217.患者が黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌、膀胱癌、腎明細胞癌、ホジキンリンパ腫、または頭頸部扁平上皮細胞癌である、項目215または216に記載の方法。
【0222】
218.抗hCTLA4抗体、抗hPD1抗体、抗体の混合物、ポリヌクレオチド、ベクター、または医薬組成物の前に、後に、および/またはそれと同時に、追加の療法剤を投与することをさらに含み、追加の療法剤が、免疫調節性分子、照射、化学療法剤、標的化生物製剤、標的化阻害剤、および/または腫瘍溶解性ウイルスからなる群より選択される、項目216または217に記載の方法。
【0223】
219.追加の療法剤が、照射または化学療法剤である、項目218に記載の方法。
【0224】
220.追加の療法剤が、PDL1、TIGIT、CCR4、CCR8、CSFR1a、B7H3、B7H4、CD96、またはCD73のアンタゴニスト;GITR、41BB、OX40、またはCD40のアゴニスト;タリモジーン・ラハーパレプベック(IMLYGIC(商標))などの腫瘍溶解性ウイルス;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE);インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤;ベバシズマブなどの抗血管新生薬;抗体-薬物複合体;またはチロシンキナーゼ阻害剤である、項目218に記載の方法。
【0225】
221.項目137~163のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目164~188のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、項目189~203のいずれか1項に記載の混合物、項目204または205に記載のポリヌクレオチド、項目206~209のいずれか1項に記載のベクター、または項目210に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者の免疫応答を誘導する、または高める方法。
【0226】
222.項目189~203のいずれか1項に記載の抗体の混合物、または項目206に記載のポリヌクレオチドを含むベクターを投与することを含む、項目221に記載の方法。
【0227】
223.患者が黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌、膀胱癌、腎明細胞癌、ホジキンリンパ腫、または頭頸部扁平上皮細胞癌である、項目221または222に記載の方法。
【0228】
224.抗体、抗体の混合物、ポリヌクレオチド、ベクター、または医薬組成物の前に、後に、および/またはそれと同時に、追加の療法剤を投与することをさらに含み、追加の療法剤が、免疫調節性分子、照射、化学療法剤、標的化生物製剤、標的化阻害剤、および/または腫瘍溶解性ウイルスからなる群より選択される、項目221~223のいずれか1項に記載の方法。
【0229】
225.追加の療法剤が、照射または化学療法剤である、項目224に記載の方法。
【0230】
226.追加の療法剤が、PDL1、TIGIT、CCR4、CCR8、CSFR1a、B7H3、B7H4、CD96、またはCD73のアンタゴニスト;GITR、41BB、OX40、またはCD40のアゴニスト;タリモジーン・ラハーパレプベック(IMLYGIC(商標))などの腫瘍溶解性ウイルス;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE);インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤;ベバシズマブなどの抗血管新生薬;抗体-薬物複合体;またはチロシンキナーゼ阻害剤である、項目224に記載の方法。
【0231】
227.項目137~163のいずれか1項に記載の抗hCTLA4抗体、項目164~188のいずれか1項に記載の抗hPD1抗体、または項目189~203のいずれか1項に記載の混合物を患者に投与することを含む、感染症の患者を治療する方法。
【0232】
228.項目146に記載の抗hCTLA4抗体、項目173に記載の抗hPD1抗体、または項目193に記載の混合物を投与することを含む、項目227に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【
図1】抗hCTLA4抗体VH CDRのアミノ酸配列。アミノ酸は、それらの1文字表記で特定される。左端の縦列は、本明細書で参照される各抗体の名称を示す。各抗体のVHのCDRは、図に示すように、同じ行中の名称の右側に示される。抗体1E1のCDR中の同じ位置のアミノ酸と異なるアミノ酸は、太字のイタリック体で示される。12個の抗体のCDRの下にあるのは、プレーン太字体で示した各CDRのコンセンサス配列である。変えることができるコンセンサス配列の位置では、その位置で生じ得る別のアミノ酸が下に示され、最も高頻度アミノ酸(または他の全てより高い頻度の、2個の同等の高頻度のアミノ酸の内の1つ)が別のアミノ酸の上に、CDRの完全配列で示されている。
【
図2】抗hCTLA4抗体VL CDRのアミノ酸配列。抗体名、CDR配列、可変アミノ酸、およびコンセンサスCDR配列が
図1と同様に示される。
【
図3】抗hCTLA4 VHのアミノ酸配列。各抗体の名称は、各配列の行の左側に示されている。12個のCTLA4抗体のVHの成熟アミノ酸配列が示されている。CDRには下線が引いてある。Kabat et al.,SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,FIFTH EDITION,U.S.Department of Health and Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health,NIH Publication No.91-3242,1991に従ったナンバリングを配列の上に20アミノ酸間隔で示している。このナンバリングは、全ての場合に実際のアミノ酸の数に対応しない。理由は、このナンバリングシステムのカウントに入っていない、挿入アミノ酸(#で示した)が配列全体にわたりいくつかの位置で発生するためである。12個の配列中で変化するアミノ酸は、太字で示している。ヒトVHに適用した、このナンバリングシステムの例示は、国際出願第PCT/US2017/030676号(この出願は、参照により本明細書に組み込まれる)の表5、および下記表2に示されている。
【
図4】抗hCTLA4 VLのアミノ酸配列。CDRおよび可変アミノ酸が、Kabatらの前出のナンバリングシステムを用いて、
図3と同様に示されている。VLに適用した、このナンバリングシステムの例示は、国際出願第PCT/US2017/030676号(この出願は、参照により本明細書に組み込まれる)の表9、および下表6に示されている。これらの配列には挿入アミノ酸は存在しない。
【
図5】抗hPD1抗体VH CDRのアミノ酸配列。抗体名、CDR配列、可変アミノ酸、およびコンセンサス配列が
図1と同様に示される。
【
図6】抗hPD1抗体VL CDRのアミノ酸配列。抗体名、CDR配列、可変アミノ酸、およびコンセンサス配列が
図1と同様に示される。
【
図7】抗hPD1 VHのアミノ酸配列。各抗体の名称(数字)は、各配列の行の左側に示されている。全ての他の表記は、
図3で記載の通りである。
【
図8】抗hPD1 VLのアミノ酸配列。全ての表記は、
図7で記載の通りである。
【
図9】抗hCTLA4 Fabフラグメントを選択するための細胞選別。手順は、実施例1に詳細に記載されている。x軸は、提示FabのフラグメントCH1ドメイン(CH1)と細胞壁タンパク質凝集素との間でHAタグに特異的な標識抗体で検出した、酵母細胞上の提示Fabフラグメントの発現レベルを示す。y軸は、上段のグラフでは、標識ネガティブコントロールタンパク質(標識PD1-Fc融合タンパク質)の細胞に対する結合量を示し、または、下段の2つのグラフでは、標識hCTLA4:Fc融合タンパク質の細胞に対する結合量を示す。「PS」と標識した多角形は、ソーティングウインドウを示す。下段の2つのパネルは、選択手順での第1(左側)および第2(右側)の選別からのデータを示す。
【
図10】抗hPD1 Fabフラグメントを選択するための細胞選別。手順は、実施例2に詳細に記載されている。表記は、
図9で記載の通りである。図に示すように、上段右、下段左、および下段右パネルは、それぞれ、標識したhPD1タンパク質を用いて抗hPD1抗体が検出された第1、第2、および第3ラウンドの選別由来のデータを含む。上段左のパネルは、検出用のネガティブコントロールタンパク質(ビオチン化ヒトPDL1タンパク質)を用いた選別由来のデータを含む。
【
図11】抗体によるhCTLA4とhB7-1/hB7-2との間の相互作用の抑制。遺伝子改変ジャーカットT細胞を用いて、hCTLA4およびhB7-1/hB7-2の抑制をアッセイする手順は、実施例4に記載され、アッセイの数値結果は、表12で報告されている。試料を特定する記号の意味は、各パネルの上部左側コーナーに凡例により示されている。10D1抗体は、ポジティブコントロール抗CTLA4抗体である。x軸は、示した抗hCTLA4抗体の使用濃度(nM)を示し、y軸は、相対発光単位(RLU)を平均プラスまたはマイナス平均の標準誤差(±SEM)として示す。
【
図12】ブドウ状球菌エンテロトキシンB(SEB)T細胞活性化アッセイにおける抗hCTLA4抗体の効力。手順は、実施例5に記載されている。試料名は、グラフの上段左側の凡例に示されている。10D1抗体は、ポジティブコントロール抗CTLA4抗体である。x軸は、アッセイに使用した抗体の濃度(nM)を示し、y軸は、試料中で検出したインターロイキン-2(IL-2)(pg/ml)のレベルを示す。
【
図13】抗hPD1抗体によるhPD1/hPDL1相互作用の抑制。手順は、実施例7に記載されている。抗体試料名は、各パネルの上部左側コーナーの凡例により示されている。x軸は、各試料で用いた抗体濃度(nM)を示す。y軸は、平均RLU±SEMを示す。Nivo G4は、ポジティブコントロール抗hPD1抗体である。
【
図14】抗hPD1抗体によるPD1/PDL1相互作用の抑制。手順、すなわち、ALPHALISA(登録商標)アッセイは、実施例7に記載されている。抗体試料名は、グラフの上部右側コーナーの凡例により示されている。x軸は、アッセイに使用した抗体の濃度(nM)を示す。y軸は、相対蛍光単位(RFU)±SEMを示す。Nivo-G4およびPembro-G4は、ポジティブコントロールIgG4抗hPD1抗体である。
【
図15】混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおける抗hPD1抗体の活性。手順は、実施例8に記載されている。全てのパネルの抗体試料名は、上段パネルの上部左側コーナーの凡例により示されている。全てのパネルで、x軸は、各試料における試験抗体の濃度を示す。上段パネルでは、y軸は、試料中で検出されたインターフェロンガンマ(IFNγ)の濃度を示す。中段パネルおよび下段パネルのy軸は、5-エチニル-2’-デオキシ(deoy)ウリジン(EdU)で染色した、CD4
+(中段パネル)またはCD8
+(下段パネル)T細胞のパーセンテージを示す。これは、培養液中の増殖細胞のパーセンテージを表す。
【
図16】サイトメガロウイルス(CMV)リコール応答アッセイにおける抗hPD1抗体の活性。手順は、実施例9に記載されている。抗体試料名は、パネルの上部左側コーナーの凡例により示されている。x軸は、各試料における試験抗体の濃度(pM)を示す。y軸は、試料中で検出されたインターフェロンガンマ(IFNγ)の濃度を示す。
【
図17】HC/LC対形成を評価するためのチェインドロップアウト(Chain drop-out)一過性導入。実験は、実施例11に記載されている。一緒に第1の抗体(抗hPD1#1)をコードする、第1の重鎖(HC1)と第1の軽鎖(LC1)、および一緒に第2の抗体(抗hCTLA4 10D4または11F4)をコードする、第2の重鎖(HC2)と第2の軽鎖(LC2)をコードするDNAの種々の組み合わせを用いて、各セット5個の試料を遺伝子導入により得る。遺伝子導入に用いたDNAの組み合わせは、次の鎖:レーン1および6、HC1、LC1、HC2、およびLC2;レーン2および7、HC1およびLC1;レーン3および8、HC1およびLC2;レーン4および9、HC2およびLC2;およびレーン5および10、HC2およびLC1、をコードした。使用した第1と第2の抗体は、改変抗hPD1#1および改変抗hCTLA4 10D4(左パネル)または改変抗hCTLA4 11F4(右パネル)であった。
【
図18】抗体の質量分析。手順は、実施例11に記載されている。x軸は、デコンボリューションした質量を示し、y軸は、所与の質量のタンパク質の量を表す、カウントを示す。パネルAおよびBは、実施例11に記載の単一宿主細胞株中で調製した、改変抗PD1#1および改変抗CTLA4 10D4抗体の混合物由来のデータを示す。
【
図19】抗体の質量分析。手順は、実施例11に記載されている。x軸は、デコンボリューションした質量を示し、y軸は、所与の質量のタンパク質の量を表す、カウントを示す。パネルAおよびBは、実施例11に記載の単一宿主細胞株中で調製した、改変抗PD1#1および改変抗CTLA4 11F4抗体の混合物由来のデータを示す。
【
図20】改変および未改変抗hCTLA4抗体単独ならびに抗体混合物の効力。手順は、実施例12に記載されている。x軸は、各アッセイで使用した抗体の濃度を示し、y軸は、RLU±SEMを示す。抗体試料を表す記号および線は次の通り:上段と下段の両方のパネルの、中実四角とこれを繋ぐ実線、抗hCTLA4抗体10D1、ポジティブコントロール;中空ダイアモンドとこれを繋ぐ実線、抗hCTLA4抗体10D4(上段パネル)または11F4(下段パネル);中空下向き三角形とこれを繋ぐ実線、抗hCTLA4抗体10D4(上段パネル)または11F4(下段パネル)、実施例11に記載のように両方とも改変;中空上向き三角形とこれを繋ぐ点線、改変抗PD1#1および改変抗hCTLA4抗体10D4(上段パネル)または改変抗hCTLA4抗体11F4(下段パネル)の混合物、この場合、実施例11に記載のように、混合物は単一細胞株中で作製された;および各パネルの下部右コーナーのエラーバー付きの中実円(四角に見える)、数値はネガティブコントロールに対し得られた値で、これは無関係のヒトIgG1抗体であった。
【
図21】改変および未改変抗hPD1抗体単独および抗体混合物の効力。手順は、実施例12に記載されている。x軸は、各アッセイで使用した抗体の濃度を示し、y軸は、RLU±SEMを示す。抗体試料を表す記号および線は次の通り:中実四角とこれを繋ぐ実線、ニボルバムのVHとVLを有する抗hPD1抗体、ポジティブコントロール(上段と下段の両方のパネル);中実ダイアモンドとこれを繋ぐ実線、改変なしの抗hPD1抗体#1(上段と下段の両方のパネル);中空下向き三角形とこれを繋ぐ実線、実施例11に記載のように改変した抗hPD1抗体#1(上段と下段の両方のパネル);中空上向き三角形とこれを繋ぐ点線、改変抗hPD1抗体#1および改変抗hCTLA4抗体10D4(下段パネル)または改変抗hCTLA4抗体11F4(上段パネル)の混合物、この場合、実施例11に記載のように、混合物は単一細胞株中で作製された;および中実円とこれを繋ぐ実線、無関係のヒトIgG4抗体、ネガティブコントロール(上段と下段の両方のパネル)。
【
図22】抗hPD1、抗hCTLA4抗体、またはこれらの組み合わせによるIL-2発現の誘導。手順は、実施例13に記載されている。種々の試料に添加された抗体は、パネルAおよびBのそれぞれの上部左コーナーの凡例に示されている。表記「a-PD1(#1)」は、抗hPD1抗体1を示し、表記「a-CTLA4(#10D4)」および「a-CTLA4(#11F4)」は、それぞれ、抗hCTLA4抗体10D4および11F4を示す。図に示すように、x軸は、試料中のブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)のナノグラム/ミリリットル(ng/mL)単位の濃度を示し、y軸は、試料の細胞上清中で検出されたIL-2の濃度(ピコグラム/ミリリットル(pg/mL))を示す。
【発明を実施するための形態】
【0234】
配列表への参照
本出願は、2017年9月20日に作成され、185キロバイト(KB)のサイズのSB002WO_ST25.txtという名称のファイルとして電子申請された配列表を含む。この配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0235】
詳細な説明
本明細書で記載されるのは、ヒトCTLA4(hCTLA4)に結合する抗体、ヒトPD1(hPD1)に結合する抗体、これらの抗体の混合物、これらの抗体および混合物をコードするポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドを含む宿主細胞、ならびにこれらの抗体、混合物、およびポリヌクレオチドを用いて治療する方法である。本明細書でさらに記載されるのは、これらの抗hCTLA4抗体および抗hPD1抗体の混合物を産生するための単一宿主細胞株の利用による、該混合物の製造方法である。本明細書に記載の抗hCTLA4抗体は、ヒトおよびカニクイザルCTLA4の両方に結合でき、hCTLA4リガンドhB7-1および/またはhB7-2のhCTLA4への結合を抑制でき、また、1種または複数のサイトカイン、例えば、IL-2のT細胞による分泌を高めることができる。本明細書に記載の抗hPD1抗体は、hPDL1および/またはhPDL2のhPD1への結合を抑制でき、ヒトおよびカニクイザルPD1の両方に結合でき、また、同種抗原に対する1次応答および/またはサイトメガロウイルス(CMV)に対するリコール応答において、T細胞の増殖およびサイトカイン分泌を高めることができる。抗hCTLA4および抗hPD1抗体の混合は、T細胞活性化に対し、いずれかの抗体単独よりも大きな効果を示し得る。
【0236】
定義
本明細書で意図される「アゴニスト」は、特定の生物学的に活性な分子の活性を模倣または強化する分子である。例えば、細胞表面上に発現したタンパク質は、それに結合するサイトカインとの相互作用により、既知の下流の効果を媒介する可能性がある。タンパク質のアゴニストは、そのタンパク質と相互作用する場合、それはサイトカインのそのタンパク質への結合を遮断または抑制する場合も、しない場合もあるが、類似の、あるいはさらに大きい下流効果を誘発し得る。
【0237】
本明細書で意図される「変化」は、アミノ酸配列の変更である。変化は、挿入、欠失、または置換であり得る。「変化」は、単一アミノ酸の挿入、欠失、または置換である。例えば、欠失がアミノ酸配列から3個のアミノ酸を除去する場合、3つの変化(この場合、欠失)が生じた。置換である変化は、元の配列中に存在するアミノ酸、それに続く元の配列中のそのアミノ酸の位置、それに続く元のアミノ酸を置換するアミノ酸を明記することにより、参照できる。例えば、G133Mは、元の配列中の位置133のグリシンがメチオニンにより置換されることを意味する。さらに、133Mは、位置133のアミノ酸はメチオニンであることを意味するが、元のアミノ酸の素性を明記せず、このアミノ酸は、メチオニンを含む任意のアミノ酸であり得る。最後に、G133は、グリシンが元の配列中の位置133のアミノ酸であることを意味する。
【0238】
本明細書で意図される「ヘテロダイマーに適さない変化」は、第3の重鎖定常ドメイン(CH3)アミノ酸配列、場合により、ヒトまたは霊長類CH3アミノ酸配列内の単一アミノ酸の置換、挿入、または欠失であり、この置換、挿入、または欠失は、抗体の混合物においては、ヘテロダイマーの形成に適さない。抗体は、ヘテロダイマーに適さない2つ以上の変化を含み得、また、ヘテロダイマーに適さない複数の変化が、抗体の混合物中の1つまたは複数の抗体の複数の位置で生じ得る。いくつかの事例では、ヘテロダイマーに適さない変化は、単独では、ほとんどまたは全く効果がない場合があるが、1つまたは複数のその他のヘテロダイマー形成に適さない変化が同じ抗体中または抗体混合物中の異なる抗体中に存在する場合には、ヘテロダイマー形成を抑制し得る。野生型配列中に存在する、荷電または荷電でない残基の、荷電残基による置換は、変化に含まれ得る。あるいは、置換は、「突出部」の別の「突出部」に対する突き合わせ、または「孔」の別の「孔」に対する突き合わせ、などの適切な重鎖/重鎖(HC/HC)対形成を妨害する立体障害を生成し得る。突出部またはノブおよび孔は、米国特許第8,679,785号の第12欄12行~第13欄2行中に記載されている。この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0239】
1つまたは複数の変化がHC/HCヘテロダイマー形成に対し影響を与えるかどうかは、2量体化すると識別可能な大きさのダイマーを形成する2つの異なるFcフラグメントをコードするDNAを宿主細胞中に導入することにより判定できる。例えば、1つは、Fcフラグメントを含む完全長IgG HCであり得、もう一方は、Fcフラグメントのみを含むフラグメントであり得る。生成されたホモおよびヘテロダイマーの量は、ウェスタンブロッティングにより検出した、これらのタンパク質の大きさにより決定し得る。このような量は、Fc領域が変化を含むまたは含まない細胞由来の試料で比較し得る。
【0240】
ヘテロダイマーに適さない変化は、「ドメイン界面残基」で生じる。ドメイン界面残基は、米国特許第8,592,562号の表1および付随する本文で考察されている。これらは、参照により本明細書に組み込まれる。このようなドメイン界面残基は、それらが物理的に近接している、すなわち、既知の構造モデルに従って、2つのアミノ酸のアルファ炭素(Cα、すなわち、アミノ酸のアミノ部分とカルボキシル部分の間の炭素)の間が最大で12オングストローム(Å)または1つのアミノ酸の側鎖重原子(水素以外の任意の原子)と、その他のアミノ酸の任意の重原子との間が最大で5.5Åであることが予測される場合、「接触」残基といわれる、または相互に「接触している」といわれる。このような構造は、例えば、Protein Data Bank(http://www.rcsb.org/pdb/home/home.doで利用可能)から、またはINTERNATIONAL IMMUNOGENETICS INFORMATION SYSTEM(登録商標)(IMGT;http://www.imgt.orgで利用可能)から、オンラインで利用可能である。下表1には、ヒトIgG抗体中のCH3/CH3境界の接触残基の例が記載されている。
【表1】
*ナンバリングは、Edelman et al.(1969),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63:78-85による。この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0241】
ヘテロダイマーに適さない変化の例には、例えば、409Rを含む別のIgG抗体を含む抗体混合物の場合、霊長類IgG HC中のK/R409DプラスD399K/Rが挙げられる。
【0242】
本明細書で意図される「アンタゴニスト」は、特定の生物学的に活性な分子の活性を遮断または抑制する薬剤である。例えば、特定のタンパク質は、その結合相手と相互作用する場合、既知の下流効果により生物学的経路を活性化し得る。そのタンパク質のアンタゴニストまたは阻害剤は、場合により、結合タンパク質との相互作用を遮断または抑制することにより、これらの下流効果を小さくし得るまたは取り除き得る。
【0243】
本明細書で意図される「抗体」は、少なくとも1つのVHまたはVLを含むタンパク質である。抗体は多くの場合、VHとVLの両方を含む。VHおよびVLは、例えば、Kabat et al.,SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,FIFTH EDITION,U.S.Department of Health and Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health,NIH Publication No.91-3242,1991、pp.xvi-xix and pp.103-533(参照により本明細書に組み込まれる)に、十分詳細に記載されている。「抗体」は、多くの可能なフォーマットの内で、単鎖Fv抗体(VHおよびVLがリンカーで結合された、scFv)、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv:Fc抗体(Carayannopoulos and Capra,Ch.9 in FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY,3.sup.rd ed.,Paul,ed.,Raven Press,New York,1993,pp.284-286(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)に記載のような)、および以下で定義されるIgG抗体などの異なるフォーマットを有する分子を含む。
【0244】
本明細書で意図される「抗体-薬物複合体」は、化学リンカーを介して薬物または毒素に結合した上記で定義の抗体である。リンカーは、特定の状態下では不安定であり、細胞内の環境中で薬物または毒素を抗体から放出するように機能し得る。薬物または毒素は、細胞傷害性であり得、また、例えば、マイタンシノイド、ドラスタチン、オーリスタチン薬物類似体、クリプトフィシン、CC-1065類似体およびデュオカルマイシンなどのデュオカルマイシン誘導体、エスペラマイシンおよびカリチアマイシンを含むエンジイン抗生物質、ならびにピロロベノジアゼピン(pyrolobenodiazepine)を含む多岐にわたる細胞毒素の1つであり得る。抗体-薬物複合体は、癌治療薬として使用される。このような治療薬の例には、ブレンツキシマブベドチン(アドセトリス(登録商標);Seattle Genetics/Millennium Pharmaceuticals)およびアドトラスツズマブエムタンシン(カドサイラ(登録商標);Genentech/Roche)が挙げられる。
【0245】
本明細書で意図される「荷電」アミノ酸は、生理的pH近傍で電荷を有し得る酸性または塩基性アミノ酸である。これらには、生理的pHで負に帯電している酸性アミノ酸:グルタミン酸(E)およびアスパラギン酸(D)、および生理的pHで正に帯電している塩基性アミノ酸:アルギニン(R)およびリシン(K)が挙げられる。生理的pH近傍で部分的に帯電し得る弱塩基性アミノ酸のヒスチジンは、本明細書の「荷電」アミノ酸の定義内に入っていない。混乱を避けるために、本明細書で意図される正電荷は、負電荷に「正反対の電荷」と見なされる。したがって、例えば、アミノ酸残基EとRは、電荷が逆である。
【0246】
本明細書で意図される、「電荷対」は、1対の逆に帯電した、2つの異なるポリペプチド鎖のそれぞれ鎖上の1つの、「接触」アミノ酸である。したがって、電荷対は、多量体タンパク質の異なるポリペプチド鎖上の1対の逆に帯電した接触(本明細書で定義の)アミノ酸である。
【0247】
抗体のインビボでの「クリアランス」は、抗体の除去を意味し、これは、哺乳動物の血流中またはその他の組織中の抗体の除去または抗体の量の減少として検出できる。通常、クリアランス速度を測定するために、抗体が哺乳動物に投与され、その後、哺乳動物の血液または組織が定期的にサンプリングされ、抗体の存在が定量的に検査される。このような検査から、インビボ半減期(T1/2)および/または曲線下面積(AUC)値を得ることができる。T1/2またはAUCの低減は、本明細書で意図されるクリアランスの増大を示す。マウスにおける改変ヒトIgG抗体のクリアランスが、未改変抗体に比べて、増大したかまたは低減したかを決定するための例示的方法は、以下のステップを含む。未改変および改変抗体をそれぞれ、別々のマウスの皮下に、例えば、肩の上の皮膚の下に注射できる。後眼窩洞穿刺により各時点で、約0.1mLの全血試料を収集できる。血液を凝固させ、処理して血清を得ることができる。ヒトFcに特異的な抗体、例えば、Gyros U.S.,Inc.,Warren,NJ,USAから入手可能なものの内の1つなどの市販のイムノアッセイ系を用いて、血清試料中のヒト抗体の存在をアッセイできる。血液試料は、例えば、注射の0、0.5、2、8、24、72、120、168、240、312、384、および480時間後に収集できる。薬物動態学的パラメーターは、血清濃度から、例えば、Phoenix.RTM.6.3ソフトウェア(Pharsight,Sunnyvale,CA,USA)を用いて推定できる。
【0248】
「化学療法剤」は、分裂細胞を標的とし、細胞分裂に関係するプロセス、例えば、DNA複製、RNA合成、タンパク質合成、紡錘体の構築、分解、または機能、および/またはこれらのプロセスに関与するヌクレオチドまたはアミノ酸などの分子の合成または安定性を妨害する。したがって、化学療法剤は、癌細胞およびその他の分裂細胞の両方を死滅させ得る。化学療法剤は、当該技術分野で周知である。これらには、例えば、次の薬剤が挙げられる:アルキル化剤(例えば、ブスルファン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ストレプトゾトシン、メチルロムスチン、cis-ジアンミンジクロロ白金、チオテパ、およびアジリジニルベンゾキノン);無機イオン(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン);ナイトロジェンマスタード(例えば、メルファラン塩酸塩、クロラムブシル、イホスファミド、およびメクロレタミンHCl);ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU));抗新生物薬抗生物質(例えば、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ダウノマイシン、ミトラマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、およびブレオマイシン);植物誘導体(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、VP-16、およびVM-26);代謝拮抗物質(例えば、ロイコボリン含有または非含有メトトレキセート、ロイコボリン含有または非含有5-フルオロウラシル、5-フルオロデオキシウリジン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ゲムシタビン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシ尿素、デオキシコホルマイシン、およびフルダラビン);ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、イリノテカン、およびトポテカン);ならびにアクチノマイシンD、ダカルバジン(DTIC)、mAMSA、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、L-アスパラギナーゼ、およびミトキサントロン。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology,4.sup.th Edition,DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.(1993)を参照されたい。この文献の関連部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0249】
その他の化学療法剤には、上記のものと同じ一般的機序により作用するものが挙げられる。例えば、アルキル化剤およびナイトロジェンマスタードなどの作用と同様に、DNAのアルキル化により作用する試薬は、化学療法剤と見なされる。例えば、メトトレキセート、シタラビン、6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル、およびゲムシタビンと同様に、ヌクレオチド合成を妨害する試薬は、化学療法剤であると見なされる。例えば、パクリタキセルおよびビンブラスチンと同様に、紡錘体毒は、化学療法剤と見なされる。DNA複製を妨害するトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ポドフィロトキシン)は、化学療法剤と見なされる。例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシンおよびマイトマイシンにより例示される種々の機序によりDNA合成を妨害する抗生物質は、化学療法剤と見なされる。アミノ酸をカルバモイル化する試薬(例えば、ロムスチン、カルムスチン)またはアスパラギンプールを枯渇させる試薬(例えば、アスパラギナーゼ)はまた、化学療法剤と見なされる。Merck Manual of Diagnosis and Therapy,17.sup.th Edition,Section 11,Hematology and Oncology,144.Principles of Cancer Therapy,Table 144-2(1999)。上記化学療法剤により影響を受ける同じ細胞プロセスに直接影響を与える試薬は、特に、化学療法剤に含まれる。
【0250】
抗体の混合物の場合、本明細書で意図される「同族」HCは、特定のLCが対を形成して、特定の抗原に対する結合部位を形成することが分かっているHCである。例えば、既知の完全長IgG抗体Xが抗原Xに結合する場合、抗体XのHCは、抗体XのLCの同族HCであり、また、逆もまた同じである。さらに、混合物がまた、抗原Yに結合する抗体Yを含む場合、抗体YのHCは、抗体XのLCに対して「非同族」であり、逆も同じであり、および抗体YのLCは、抗体XのHCに対して「非同族」であり、逆も同じである。
【0251】
「相補性決定領域」(CDR)は、VHまたはVL内の高頻度可変領域である。各VHおよびVLは、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれる3つのCDRを含む。CDRは、抗体の表面上でループを形成し、抗体の結合特異性の決定に主に関与する。CDRは、4つのより保存されたフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4と呼ばれる)の間に、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4のように散在する。CDRの位置は、例えば、
図3および7(VHについて)および
図4および8(VLについて)に示されている。KabatらのVH CDRの位置は次の通り:CDR1は、位置31~35にあり(可能な挿入位置は35Aおよび35Bとナンバリング);CDR2は、位置50~65にあり(可能な挿入位置は52A~52Cとナンバリング);CDR3は位置95~102にある(可能な挿入位置は100A~100Kとナンバリング)。Kabatら、前出、ページ:xvii。KabatらのVL CDRの位置は次の通り:CDR1は、位置24~34にあり(可能な挿入位置は27A~27Fとナンバリング);CDR2は、位置50~56にあり;CDR3は位置89~97にある(可能な挿入位置は95A~95Fとナンバリング)。Kabatら、前出、ページ:xvii(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0252】
2つの治療/薬物が同じ小さい時間枠内に、例えば、同じ日に、または同じより長い時間枠内に投与される場合、治療または薬物は、別の治療または薬物と「同時に」投与されると見なされる。このようなより長い時間枠には、例えば、1つの治療/薬物が週1回投与され、もう一方が4日毎に投与される状況が含まれる。この2つの治療/薬物は、決してまたは希にしか同じ日には投与されないであろうが、2つの治療/薬物は、週、月、またはそれ以上の共通の期間にわたり継続的に投与される。同様に、1つの薬物は年1回投与され、もう一方が毎週投与される場合、毎週投与される薬物が、年1回投与される薬物の投与の前および/またはその後にその1年の間に投与されるなら、それらは「同時に」投与されると見なされる。したがって、本明細書で意図される2つの治療/薬物の「同時」投与には、共通の時間中に生ずる2つの異なる治療/薬物による進行中の治療が含まれる。
【0253】
本明細書で意図される「保存的」アミノ酸置換は、類似の特性、例えば、類似の極性、疎水性、または体積を有する異なるアミノ酸によるアミノ酸の置換である。保存的置換には、同じグループ内の別のアミノ酸によるアミノ酸の置換が含まれ、アミノ酸のグループには、次記が含まれる:(1)アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンを含む疎水性アミノ酸;(2)グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンを含む非荷電極性アミノ酸;(3)アルギニン、リシン、およびヒスチジンを含む塩基性アミノ酸;および(4)アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む酸性アミノ酸。保存的置換には、(1)AのV、L、またはIによる、(2)RのK、Q、またはNによる、(3)NのQ、H、K、Rによる、(4)DのEによる、(5)CのSまたはAによる、(6)QのNによる、(7)EのDによる、(8)、GのPまたはAによる、(9)HのN、Q、K、またはRによる、(10)IのL、V、M、A、またはFによる、(11)LのI、V、M、A、またはFによる、(12)KのR、Q、またはNによる、(13)MのL、F、またはIによる、(14)FのL、V、I、A、またはYによる、(15)PのAによる、(16)SのT、A、またはGによる、(17)TのSによる、(18)WのYまたはFによる、(19)YのW、F、T、またはSによる、および(20)VのI、M、L、F、またはAによる置換も含まれる。
【0254】
本明細書で意図される「システイン置換」は、システインが別のアミノ酸を置換するアミノ酸置換である。
【0255】
抗体に含まれる全てのポリペプチド鎖のアミノ酸配列が、本明細書で意図される「同じ」ではない場合、2つ以上の抗体は「異なる」ことが本明細書で意図される。
【0256】
アミノ酸配列は、それらが相互に対し1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、または挿入を有する場合、「異なる」ことが本明細書で意図されるが、但し、差異が翻訳後修飾のみに起因する場合、すなわち、アミノ配列が同じDNA配列によりコードされ得る場合には、このような「異なる」アミノ酸配列は、異なるとは見なされない。
【0257】
本明細書で意図される「Fcフラグメント」、「Fc領域」、または「Fc部分」は、ヒンジドメイン(ヒンジ)、第2の重鎖定常ドメイン(CH2)、およびHC由来のCH3から本質的になるが、IgAまたはIgMなどのいくつかのアイソタイプでは、CH3から下流の領域をさらに含み得る。
【0258】
本明細書で意図される「重鎖(HC)」は、少なくともVH、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3を含む。これらの全てのドメインを含むHCは、「完全長HC」または「IgG HC」とも呼ばれ得る。IgAまたはIgMなどのいくつかのアイソタイプは、IgM CH4ドメインなどの追加の配列を含み得る。Kabatら、前出のナンバリングシステムがVHに使用され(
図3および7を参照)、EUシステム(Edelman et al.(1969),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63:78-85;その全体が本明細書に組み込まれる)がCH1、ヒンジ、CH2、およびCH3に使用される。これらのよく知られたナンバリングシステムの使用は、本明細書で開示の配列の実際のアミノ酸位置と、KabatまたはEdelmanナンバリングシステムを用いてその位置に割り付けた番号との間で差異を生ずる場合がある。しかし、当業者なら、KabatまたはEdelmanの番号を、KabatまたはEdelmanの番号がどのように割り付けられたかを示す本明細書の下記で開示の表を参照して、開示配列中の位置を特定できる抗体配列の保存された特徴に基づき、開示抗体配列中の任意の特定の位置に割り付けできる。下表2~5は、一般化されたHC配列に対するこのナンバリングを例示する。
【表2】
表2:この表は、Kabatら(前出)のヒトVHアミノ酸配列(I-III)に基づく保存アミノ酸を示す。ナンバリングは、Kabatら(前出)による。CDR内の位置番号は、太字のイタリック体で書かれている。位置番号とその後ろの文字、例えば、100Aは、82A~82Cを除いて、CDRの可変長さの理由で、アミノ酸で満たされてもそうでなくてもよい。フレームワーク領域にある位置82A~82Cは、ヒトVHではアミノ酸により常に満たされていることが本明細書で意図されている。特定の位置での単一の太字のアミノ酸は、Kabatら(前出)により記載の、ヒトVHの全ての3つのクラス中で、「不変の」アミノ酸を示す。所定の位置のアミノ酸が最も高頻度に1つのアミノ酸または2つのアミノ酸のいずれかである当該位置のこれらのアミノ酸は、プレーン文字で示されている。下線付き太字体の位置番号は、本明細書または国際出願第PCT/US2017/030676号の実施例で改変されているとして記載されている位置を示す。アミノ酸が指定されていない位置は、上記の基準に適合しなかった。
【0259】
表2は、上に示されているように間隔を置いて配置された保存アミノ酸を有する任意のVH配列の目視によるアライメントを可能とする、保存された間隔を有する多数の保存されたアミノ酸が存在することを示す。あるいは、新規配列は、アライメントソフトウェア、例えば、International ImMunoGeneTics(IMGT)Information system(登録商標)で利用可能なアライメントソフトウェア(例えば、http://www.imgt.orgで利用可能なIMGT/DomainGapAlign)またはCLUSTAL Omega(Sievers et al.,(2011),Molecular Systems Biology 7(1):539)を用いて、既知のVH配列と位置合わせし得る。
【0260】
下表3は、CH1のコンセンサスアミノ酸配列を示す。
【表3】
表3:ナンバリングは、Edelmanら(前出)による。番号の下に太字で示す単一アミノ酸は、種々の種からのCH1のアライメントに由来するKabatら(前出)による「不変」残基である。本明細書に記載または国際出願第PCT/US2017/030676号で変化のために選択された位置(131、133、147、168、170、173、176、181、および183)は、下線太字体で示されている。これらの位置で、Kabatら(前出)で報告された63の霊長類CH1配列中の最も高頻度の1つまたは2つのアミノ酸は、プレーン文字で示されている。アミノ酸が指定されていない位置は、「不変」ではなく、変化用としては選択しなかった。
【0261】
下表4は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4アイソタイプのヒトCH1のアライメントを示す。このアライメントは、これらの密接に関係したCH1中の配列の非常に強力な保存を強調する。
【表4】
表4:ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4抗体の代表的CH1のアミノ酸配列は、IMGTウェブページから、それぞれ受入番号J00228、J00230、X03604、およびK01316で入手し、CLUSTALWソフトウェアで位置合わせした。残基は、Edelmanら(前述)、のEUシステムに従ってナンバリングした。Kabatら(前出)による「不変の」残基を太字で示している。これらの残基は高度に保存されているが、完全に不変ではない。下線を付け、太字イタリック体の残基は、置換がなされ、下記実施例または国際出願第PCT/US2017/030676号で報告されたように試験した位置である。
【0262】
下表5は、ヒトIgG Fc領域の4つのヒトIgGサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4のアライメントを示す。このアライメントは、これらのサブクラス間の差異、および高い配列保存を示す。
【表5】
【0263】
「ヒト」ヌクレオチドまたはアミノ酸配列、タンパク質、または抗体は、ヒトで天然に生じるものまたは以下で説明する少数の変化を除いて、このような配列またはタンパク質と同一のものである。多くのヒトヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、例えば、Kabatら(前出)で報告されており、当該技術分野における用語「ヒト」の使用が示されている。本明細書で意図される「ヒト」アミノ酸配列または抗体は、天然の配列に対して、1つまたは複数の挿入、欠失、または置換を含み得るが、但し、「ヒト」アミノ酸配列が、100個毎のアミノ酸あたり、10個を超える単一アミノ酸の挿入、欠失、および/または置換を含まないことが前提である。同様に、ヒトヌクレオチド配列は、300個毎のヌクレオチドあたり、30個を超える一ヌクレオチドの挿入、欠失、および/または置換を含まない。VHまたはVL配列の特定の事例では、CDRが極端に可変であると予測され、特定のVHまたはVLアミノ酸配列(またはそれをコードするヌクレオチド配列)が「ヒト」配列であるかどうかを判定する目的のために、CDR(またはそれらをコードするヌクレオチド)が配列の一部であると見なされない。
【0264】
本明細書で意図される「ヒト化」抗体は、抗体は非ヒト起源であるが、可能な限りヒトのものであるように遺伝子改変され、それにより、ヒトにおいて免疫原性を低減するが同時に抗体の安定性および結合特性を維持すると期待されている抗体である。通常、これは、ほとんどまたは全ての定常ドメインおよび可変ドメインのフレームワーク領域がヒト、またはほぼヒト配列であり、同時にCDRが異なる生物起源であることを意味する。しかし、例えば、マウス抗体からヒトフレームワークへのCDRの移植のみでは、望ましい特性を有する抗体は産生され得ず、さらに改変が必要となり得る。近年では、ヒト化を簡略化し、ヒト化の結果を改善する種々の手法が開発されている。例えば、Choi et al.(2015),mAbs 7(6):1045-1057およびこれに引用されている文献を参照されたい。
【0265】
本明細書で意図される「IgG抗体」は、(1)VH、CH1、ヒンジドメイン、CH2、およびCH3をそれぞれ含む2つのHC、および(2)VLおよびLC定常ドメイン(CL)をそれぞれ含む2つの軽鎖(LC)を含む。IgG抗体の重鎖は、IgGアイソタイプ、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖である。これらのドメインは、例えば、Kabatら、前出、ページxv~xixおよび647~699に記載されている。これらのページは、参照により本明細書に組み込まれる。Kabatら、前出のナンバリングシステムがVHおよびVLに使用され(
図3、4、7、および8を参照)、EUシステム(Edelman et al.(1969),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63:78-85;その全体が本明細書に組み込まれる)がCL、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3に使用される。
【0266】
本明細書で意図される「免疫調節性分子」は、免疫系の活性を媒介でき、それにより、免疫系の活性を調節する成分、例えば、タンパク質と相互作用する分子である。免疫系の活性は、下記実施例8で記載の混合リンパ球反応(MLR)アッセイで評価でき、免疫調節性分子は、免疫系の活性を高めるまたは低減することができる。一例として、本明細書に記載の抗hPD1抗体は、この定義による免疫調節性分子である。
【0267】
本明細書で意図される、hCTLA4と、ヒトCD80(hCD80、ヒトBリンパ球活性化抗原B7-1(hB7-1)としても知られる)および/またはヒトCD86(hCD86、ヒトBリンパ球活性化抗原B7-2(hB7-2)としても知られる)との間の相互作用の抗体による「抑制」は、実施例4に記載のように、B7-1およびB7-2を発現するラージ細胞を用いたCTLA4ルシフェラーゼレポーターアッセイを使って測定できる。抗体がこのアッセイで、抗CTLA4抗体7A4のIC50より20、15、10、または5倍以下のIC50を有する場合、抗体は、hCTLA4とhB7-1/hB7-2との相互作用を「抑制する」。
【0268】
同様に、hPD1と、hPDL1の間の相互作用の抗hPD1抗体による「抑制」は、実施例7に記載のCHO-K1細胞およびジャーカットT細胞を用いたPD1二重レポーターアッセイにより測定できる。抗体がこのアッセイで、抗hPD1抗体#9のIC50より20、15、10、または5倍以下のIC50を有する場合、抗体は、hPD1とhPDL1との間の相互作用を「抑制する」。
【0269】
本明細書で意図される「阻害剤(inhibitor)」は、「阻害剤」が小分子(タンパク質またはポリヌクレオチドとは対照的に)を意味し、一方で「アンタゴニスト」が任意の種類の分子を指すより一般的な用語であることを除いて、上記で定義の「アンタゴニスト」に類似している。例えば、「チロシンキナーゼ阻害剤」は、チロシンキナーゼをアンタゴナイズする小分子を意味する。起こり得る混乱を避けるために、用語の「阻害剤」の小分子への関連付けを、動詞の「抑制する(inhibit)」または名詞の「抑制(inhibition)」に拡張しない。例えば、抗体などの大きな分子は、例えば、PD1とPDL1の相互作用を抑制できる。さらに、相互作用の「抑制」は、小分子により媒介される「抑制」であることを必要としないことが本明細書で意図される。
【0270】
本明細書で意図される「軽鎖(LC)」は、VLおよびCLを含み、これは、カッパ(CLκ)またはラムダ(CLλ)ドメインであり得る。これらのドメインは、その例示的アミノ酸配列を含めて、例えば、Kabatら、前出、ページxiii~lix、103~309、および647~660に記載されている。これらは、参照により本明細書に組み込まれる。VLに対して本明細書で使われるナンバリングシステムは、Kabatら(前出)に記載のものであり、また、CLに対し使われるEUナンバリングシステムは、Edelmanら(前出)に記載のものである。下表6および7は、これらのシステムの種々の軽鎖配列への適用を例示する。当業者なら、このような情報を使って、KabatまたはEdelmanの番号を本明細書で開示の配列中の特定の位置に割り付けることができる。
【表6】
表6:ナンバリングは、Kabatら(前出)による。太字でイタリック体の数字は、CDRの位置を示す。位置番号とその後ろの文字、例えば、27Aは、CDRの可変長さの理由で、アミノ酸で満たされてもそうでなくてもよい。Kabatら(前出)における全てのヒト軽鎖の不変残基は、その位置で見つかったアミノ酸を示す太字文字で示されている。選択位置で、その位置で見つかった1つから3つの最も高頻度アミノ酸は、プレーン文字で示されている。さらに、多くの他のアミノ酸は、いくつかのカッパまたはラムダVLサブグループ内で不変であるかまたは高度に保存されており、これらは、特定のアミノ酸配列をVLとして分類するのに役立ち得る。下記実施例または国際出願第PCT/US2017/030676号で報告のような、本明細書での変化のために選択された位置は、下線太字体で示されている。アミノ酸が指定されていないおよび/または番号が下線太字体で示されていない位置は、上記の基準に適合しなかった。
【表7】
表7:ナンバリングは、Edelmanら(前出)による。これは、CLに関しては、Kabatら(前出)のナンバリングと同じである。番号の下に太字で示すアミノ酸は、種々の種からのカッパおよびラムダCLの両方のアライメントに由来するKabatら(前出)による「不変」残基である。選択位置(131、160、162、174、176、および178)に示すように、Kabatら(前出)で報告された10個のヒトカッパ鎖(上段)および28個のヒトラムダ鎖(下段)で保存されたアミノ酸はプレーン文字で示されている。2つの異なるアミノ酸のいずれかがこれらの位置の1つで見つかる場合には、より高頻度アミノ酸がより頻度の少ないアミノ酸の前に示される(例えば、A/M)。下線太字番号は、下記実施例または国際出願第PCT/US2017/030676号で報告のように改変された位置を示す。さらに、多くの他のアミノ酸は、いくつかのCLκまたはCLλドメインのサブグループ内で不変であるかまたは高度に保存されており、これらは、特定のアミノ酸配列をCLとして分類するのに役立ち得る。アミノ酸が指定されていないおよび/または番号が下線太字体で示されていない位置は、上記の基準に適合しなかった。
【0271】
本明細書で意図される「相手指向変化」は、VH、CH1、VL、またはCLアミノ酸配列内のHC/LC境界での単一アミノ酸の置換、挿入、または欠失で、場合により、荷電アミノ酸またはシステインによる天然アミノ酸の置換であり、HCおよびLCを、場合により、ヒトおよび/または霊長類のHCおよびLCをより強く結合させる。より具体的には、「HC相手指向変化」は、VHまたはCH1中の「接触」残基で「LC相手指向変化」が存在する場合にしか起きないこともある、HCおよびLCをより強く結合させることができる、VLまたはCL中の変化である。同様に、「LC相手指向変化」は、VLまたはCL中の「接触」残基で「HC相手指向変化」が存在する場合にしか起きないこともある、HCおよびLCをより強く結合させることができる、VHまたはCH1中の変化である。いくつかの実施形態では、HCおよびLC相手指向変化の接触対は、反対電荷を有する荷電アミノ酸の置換のものであり得る。他の実施形態では、荷電アミノ酸がHCまたはLCの接触位置の1つに既に存在し、それにより、同族HC/LC対、すなわち、電荷対中の接触位置で一対の逆に帯電した残基を生成するためには、ただ1つの鎖の変化が必要なだけである。他の実施形態では、システイン残基は、接触位置に導入でき、それにより、同族HC/LC対中にジスルフィド架橋を形成できる。さらなる実施形態では、HCおよびLC相手指向変化は、米国特許第8,679,785号に記載の接触残基でのノブと孔(または突出部と窪み部)を生成する置換または既存のアミノ酸であり得る。この特許の当該部分は、参照により本明細書に組み込まれる。HCは、IgG、IgA、IgD、IgM、またはIgEアイソタイプ、場合により、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4であり得る。HCおよびLC相手指向変化は、HC/LC境界の一部を形成する接触アミノ酸位置で起こる。CLおよびCH1中の界面残基には、米国特許第8,592,562号、表4および5ならびに第10欄および11欄中の付随する本文の説明のように、4.5Å内のものが含まれる。これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。ヒトCH1およびCL中のこれらの位置は、下表8に整理されている。
【表8】
【0272】
VHおよびVLの間の境界上の接触残基の特定の場合では、変化に好適する、1つはVH中に、1つはVL中にある残基対は、次の基準を使用して選択できる:(1)残基が埋め込まれている、または部分的に埋め込まれている、すなわち、完全長抗体の三次構造中で接近し難い残基、(2)残基が空間的に近接している、すなわち、既知の構造に従って、2つのアミノ酸のCαが約12Å内にある場合、または1つのアミノ酸の側鎖重原子(水素以外の任意の原子)と、その他のアミノ酸の任意の重原子との間が最大5.5Åの場合、(3)全体として不変である必要はないが、残基が高度に保存されている、および(4)残基がCDR内にない、またはCDRと相互作用しない。このような接触残基の例には、限定されないが、次記が含まれる:位置44(VH)と位置100(VL);位置39(VH)と位置38(VL);および位置105(VH)と位置43(VL)。
【0273】
1次近似としては、HCおよび/またはLC相手指向変化によるHC/LC結合の強度の変化は、実施例11に記載の「チェインドロップアウト」実験により測定できる。
【0274】
チェインドロップアウト実験からの結果を確認するために、またはいくつかの事例では、その結果を明確にするために、第1の抗体(Mab1)のHCおよびLCならびに第2の抗体(Mab2)のHCおよびLCをコードするDNAを含む形質移入体で生じているFabフラグメントの大きさを、本明細書の実施例11、Thompson et al.(2014),mAbs 6:1,197-203(その全体が本明細書に組み込まれる)、および米国特許仮出願第62/342,167号(参照により本明細書に組み込まれる)の
図15および実施例5に記載のように、質量分析により測定できる。ほとんどの場合、同族および非同族対は、このような技術を用いて質量により区別できる。未改変Mab1 HCおよびLCならびに未改変Mab2 HCおよびLCをコードするDNAを遺伝子導入した細胞中で非同族対が主要種であり、また、Mab1 HCおよびLCならびにMab2 HCおよびLCをコードするDNAを遺伝子導入した細胞中で非同族対が主要種でない場合で、これらの抗体の少なくとも1つが相手指向変化を含む場合、本明細書では、少なくとも1つの変化が好ましい相手指向変化であると考えられる。
【0275】
相手指向変化の例には、次のいずれかの電荷対を部分的にまたは完全に生成する変位が含まれる:44D/E(VH)および100R/K(VL);44R/K(VH)および100D/E(VL);105R/K(VH)および43D/E(VL);105D/E(VH)および43R/K(VL);147D/E(CH1)および131R/K(CL);147R/K(CH1)および131D/E(CL);168D/E(CH1)および174R/K(CL);168R/K(CH1)および174D/E(CL);181R/K(CH1)および178E/D(CL);ならびに181E/D(CH1)および178R/K(CL)。さらに、相手指向変化には、接触システイン対が抗体のHCおよびLC中に存在するように、システインが別のアミノ酸を置換する置換、例えば、いずれかの次記の対が含まれる:126C(CH1)および121C(CL);126C(CH1)および124C(CL);127C(CH1)および121C(CL);128C(CH1)および118C(CL);133C(CH1)および117C(CL);133C(CH1)および209C(CL);123C(CH1)および116C(CL);141C(CH1)および116C(CL);168C(CH1)および174C(CL);170C(CH1)および162C(CL);183C(CH1)および176C(CL);173C(CH1)および160C(CL);170C(CH1)および176C(CL);ならびに173C(CH1)および162C(CL)。
【0276】
本明細書で意図される、抗体の混合物の場合の抗体の「主要種」は、混合物中の抗体の合計量の少なくとも10%を占める特定の抗体である。どのくらいの量の主要種が抗体の混合物中に存在するかを決定するために、実施例5に記載のおよび米国特許仮出願第62/342,167号(米国特許仮出願第62/342,167号のこの部分は参照により本明細書に組み込まれる)の
図14に示す低pH CEXクロマトグラフィーを実施できる。この方法は、Chen et al.(2010),Protein Science,19:1191-1204に記載されており、この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。手短に説明すると、これは、Waters Alliance 2695高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを使って、50mmガードカラム(PROPAC(商標)WCX-10G)に続けて、Thermo PROPAC(商標)WCX-10 weak CEXカラム、4x250mmを採用している。クロマトグラフィーは、100%緩衝液A(20mM酢酸ナトリウム、pH5.2)~100%緩衝液B(250mM塩化ナトリウム含有20mM酢酸ナトリウム、pH5.2)の直線勾配を用いて30分間にわたり稼動できる。カラムは、高塩(1M塩化ナトリウム)で洗浄し、緩衝液Aの開始条件に再平衡化できる。抗体は、214nmの吸光度により、カラム流出物中で検出できる。検出ピークの相対量をEMPOWER(商標)ソフトウェア(Waters Corp.,Milford,MA,USA)を用いて決定できる。低pH CEXは、種々の完全長抗体種を区別でき、混合物中の特定の抗体種の相対量を定量するのに使用できる。
【0277】
本明細書で意図される、抗体の混合物中の「微量種」の抗体は、混合物中の抗体の合計量の10%未満を含む。これは、「主要種」の定義で記載の低pH CEXクロマトグラフィーにより決定できる。
【0278】
用語の「核酸」および「ポリヌクレオチド」は本明細書において同義に用いられる。
【0279】
「霊長類」ヌクレオチドまたはアミノ酸配列またはタンパク質は、霊長類で認められる核酸またはタンパク質の天然に生じるもの、または以下で説明する少数の変化を除いて、このような配列またはタンパク質と同一のものである。霊長類には、限定されないが、原猿類(キツネザルを含む)、新世界ザル、チンパンジー、ヒト、ゴリラ、オランウータン、テナガザル、および旧世界ザルを含む多くのファミリー由来の動物が含まれる。特定の霊長類種には、限定されないが、特に、ホモサピエンス、赤毛猿(アカゲザル)、マカクザル(カニクイザル)、およびナミチンパンジー(チンパンジー)が含まれる。多くの霊長類ヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、例えば、Kabatら(前出)に報告されているものなど、当技術分野において既知である。一般に、本明細書で意図される「霊長類」アミノ酸配列は、天然の霊長類配列に対して、1つまたは複数の挿入、欠失、または置換を含み得るが、但し、「霊長類」アミノ酸配列が、100個毎のアミノ酸あたり、10個を超える単一アミノ酸の挿入、欠失、および/または置換を含まないことが前提である。同様に、霊長類ヌクレオチド配列は、300個毎のヌクレオチドあたり、天然の霊長類配列に対して、30個を超える一ヌクレオチドの挿入、欠失、および/または置換を含まない。VHまたはVL配列の特定の事例では、CDRが極端に可変であると予測され、特定のVHまたはVLアミノ酸配列(またはそれをコードするヌクレオチド配列)が「霊長類」配列であるかどうかを判定する目的のために、CDR(またはそれらをコードするヌクレオチド)が配列の一部であると見なされない。
【0280】
2つの配列が同じDNA配列によりコードされ得る場合、2つのアミノ酸配列は「同じ」であることが本明細書で意図される。すなわち、翻訳後修飾の結果としてのみ、例えば、カルボキシル末端リシンの除去またはN末端グルタミン酸またはグルタミン残基の環化でのみ異なるアミノ酸配列は、「同じ」であることが本明細書で意図される。
【0281】
本明細書で意図される「標的化生物製剤」は、別の特定の分子(これはタンパク質であってもよい)との相互作用を介して、細胞の生物学的状態の側面に影響を与えることができるタンパク質である。例えば、「標的化生物製剤」は、生存する、増殖する、特定のサイトカインまたはタンパク質を産生するなどのための細胞の能力に影響を与え得る。一例として、本明細書に記載の抗hPD1抗体は、それらはPD1と相互作用し、T細胞中で、増殖の増大およびIFNγ産生の増大などの多くの生物学的効果を生ずるので、「標的化生物製剤」である。
【0282】
同様に、本明細書で意図される「標的化阻害剤」は、特定の細胞性分子(これはタンパク質であってもよい)との相互作用を介して、細胞の生物学的状態の側面に影響を与えることができる小分子である。例えば、「チロシンキナーゼ阻害剤」は、チロシンキナーゼとの相互作用を介してチロシンキナーゼ(これは様々な細胞機能に影響を与える)の活性に影響を与える小分子である。
【0283】
本明細書で意図される特定の疾患または状態に対する「治療」は、作用の過程を意味し、「治療」は、1つまたは複数の抗体または1つまたは複数の抗体をコードするポリヌクレオチドの投与を含むことができ、ヒト患者、疾患または状態を反映すると見なされる動物モデル系、または疾患または状態を反映すると見なされるインビトロ細胞ベースアッセイにおける1つまたは複数の症状を低減または予測される疾患または状態の進行の遅延または中断をもたらす。これは、ヒトまたは動物の症状の客観的尺度により、または細胞ベースアッセイにおける、例えば、1種または複数のサイトカイン、例えば、IFNγの産生、細胞増殖、細胞死などの種々のパラメーターの測定により、確認できる。例えば、癌「治療」に関しては、治療は、腫瘍体積の減少、ヒトまたは動物モデル系における予測腫瘍転移の非存在、生存時間の増大、または癌に罹患しているヒトまたは動物における無増悪生存期間もしくは無病生存期間の増加をもたらし得る。癌治療はまた、細胞ベースアッセイにおける免疫系の活性化、例えば、T細胞の増殖および/またはサイトカイン、例えば、IFNγおよび/またはIL-2のT細胞による産生の増大、を示す指数の上昇をもたらし得る。
【0284】
抗hCTLA4抗体の可変ドメイン
一態様では、特有であるが密接に関係したアミノ酸配列を有する抗hCTLA4抗体の可変ドメインが本明細書で提供される。これらの抗体は、ヒトおよびカニクイザルの両方のCTLA4に結合でき、hCTLA4とhB7-1および/またはhB7-2との相互作用を抑制できる。一態様では、これらの抗体は、ヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体であり得、これは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体であり得る。いくつかの実施形態では、それらは、抗体のインビボクリアランスを高める変化を含み得る。このような変化には、例えば、M252A、M252L、M252S、M252R、R255KまたはH435Rが含まれる。
【0285】
図1および2は、抗hCTLA4抗体のVHおよびVLのCDRのアライメントを示す。抗hCTLA4抗体の選択に関しては、実施例1に記載されている。
図3および4は、選択抗hCTLA4抗体のVHおよびVLのアライメントを示す。VHの全長に対し8つの位置のみが変化し、VLの全長に対し5つの位置のみが変化する。したがって、これらの選択抗体の配列は密接に関係している。これらの抗hCTLA4 VHおよびVLのコンセンサス配列は、配列番号82および83(VH)ならびに配列番号84および85(VL)に提供されている。
【0286】
一態様では、抗hCTLA4抗体のVHは、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み、これらは、配列番号3(CDR1)、配列番号74または75(CDR2)、および配列番号76または77(CDR3)のアミノ酸配列を含む。配列番号74、75、76および77は、コンセンサス配列であり(
図1参照)、いくつかのアミノ酸は限られた範囲のアミノ酸内で変化し得る。さらに、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3は、それぞれ、配列番号3、4、および5、配列番号3、13および5、配列番号3、20、および21、配列番号3、24、および25、配列番号3、31、および5、配列番号3、37、および5、配列番号3、43、および5、配列番号3、46、および47、配列番号3、59、および5、配列番号3、65、および21、または配列番号3、70、および21のアミノ酸配列を含み得る。これらのCDR配列セットのいずれか1つを含むVHを含む抗体は、hCTLA4とhB7-1/hB7-2の相互作用を抑制できる。
【0287】
さらに、VHは、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、69、82、または83の内のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得るか、またはこれらの配列のわずかに変化した種類を含み得る。例えば、VHは、1つまたは複数の相手指向変化を含み得、これは、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、69、82、および83の内のいずれか1つに対するアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号2、12、19、23、30、36、42、45、52、58、64、69、82、および83の内のいずれか1つに対し、6、5、4、3、2、または1つ以下のアミノ酸変化を含み得る。これらのアミノ酸変化は、置換であり得および/または相手指向変化であり得る。このような改変配列を含むVHは、hCTLA4とhB7-1および/またはhB7-2との相互作用を抑制できる抗体の一部であり得る。
【0288】
同様に、抗hCTLA4抗体のVLは、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含み得、これらは、配列番号78または79(CDR1)、配列番号9(CDR2)、および配列番号80または81(CDR3)のアミノ酸配列を含む。配列番号78、79、80および81(
図2参照)は、コンセンサス配列であり、これらのそれぞれは、限られた範囲のアミノ酸内の2つのアミノ酸位置で変化する。さらに、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3は、それぞれ、配列番号8、9、および10、配列番号16、9および17、配列番号28、9、および17、配列番号34、9、および17、配列番号40、9、および10、配列番号50、9、および17、配列番号55、9、および56、配列番号40、9、および62、配列番号16、9、および62、または配列番号73、9、および62のアミノ酸配列を含み得る。これらのCDR配列セットのいずれか1つを含むVLを含む抗体は、hCTLA4とhB7-1/hB7-2の相互作用を抑制できる。
【0289】
さらに、抗hCTLA4抗体のVLは、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84、および85の内のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得るか、またはこれらの配列のわずかに変化した種類を含み得る。例えば、VLは、1つまたは複数の相手指向変化を含み得、これは、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84、および85の内のいずれか1つに対するアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号7、15、27、33、39、49、54、61、67、72、84、および85の内のいずれか1つに対し、6、5、4、3、2、または1つ以下のアミノ酸変化を含み得る。これらのアミノ酸変化は、置換であり得および/または相手指向変化であり得る。このような改変配列を含むVLは、hCTLA4とhB7-1および/またはhB7-2との相互作用を抑制できる抗体の一部であり得る。
【0290】
別の態様では、抗hCTLA4抗体は、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み得、これらは、配列番号3、4、5、8、9、および10、配列番号3、13、5、16、9、および17、配列番号3、20、21、16、9、および17、配列番号3、24、25、28、9、および17、配列番号3、31、5、34、9、および17、配列番号3、37、5、40、9、および10、配列番号3、43、5、28、9、および17、配列番号3、46、47、50、9、および17、配列番号3、31、5、55、9、および56、配列番号3、59、5、40、9、および62、配列番号3、65、21、16、9、および62、または配列番号3、70、21、73、9、および62のアミノ酸配列を有する。このようなCDR配列セットを含む抗体は、hCTLA4とhB7-1/hB7-2の相互作用を抑制できる。
【0291】
さらなる態様では、VHおよびVLは、それぞれ、次の2つのアミノ酸配列群の内のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る:配列番号2(VH)および7(VL);配列番号12(VH)および15(VL);配列番号19(VH)および15(VL);配列番号23(VH)および27(VL);配列番号30(VH)および33(VL);配列番号36(VH)および39(VL);配列番号42(VH)および27(VL);配列番号45(VH)および49(VL);配列番号52(VH)および54(VL);配列番号58(VH)および61(VL);配列番号64(VH)および67(VL);配列番号69(VH)および72(VL);ならびに配列番号83(VH)および85(VL)。いくつかの実施形態では、VHおよびVLは、これらの2つの配列群の内の1つのわずかに変化した種類を含み得る。例えば、VHは、1つまたは複数の相手指向変化を含み得、これは、2つの配列群の内の1つ中の1つの配列に対するアミノ酸置換であり得、また、VLは、1つまたは複数の相手指向変化を含み得、これは、2つの配列の同じ群の内の他の配列に対するアミノ酸置換であり得る。抗体またはその一部分を形成するVHおよびVLは、2つの配列群の第1(VH)および第2(VL)アミノ酸配列に対して、それぞれ、6、5、4、3、2、または1つ以下のアミノ酸変化、場合により置換を含むアミノ酸配列を含み得る。これらの変化は、相手指向変化であり得る。このような改変配列を含むVHおよびVLは、hCTLA4とhB7-1および/またはhB7-2との相互作用を抑制できる抗体の一部であり得る。
【0292】
抗hPD1抗体の可変ドメイン
一態様では、特有であるが密接に関係したアミノ酸配列を有する抗hPD1抗体の可変ドメインが本明細書で提供される。これらの抗体は、ヒトおよびカニクイザルの両方のPD1に結合でき、hPD1とhPDL1との相互作用を抑制できる。一態様では、これらの抗体は、ヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体であり得、これは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体であり得る。
【0293】
図5および6は、抗hPD1抗体のVHおよびVLのCDRのアライメントを示す。抗hPD1抗体の選択に関しては、実施例2に記載されている。
図7および8は、選択抗hPD1抗体の、それぞれVHおよびVLのアミノ酸配列のアライメントを示す。VHおよびVLは両方とも、10個の位置で変化する。したがって、これらの選択抗体の配列は密接に関係している。これらのVHおよびVLのコンセンサス配列は、配列番号180および181(VH)ならびに配列番号182および183(VL)で提供される。
【0294】
一態様では、抗hPD1抗体のVHは、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含み、これらは、配列番号169または170(CDR1)、配列番号171または172(CDR2)、および配列番号173または174(CDR3)のアミノ酸配列を含む。これらはコンセンサス配列(
図5)であり、各CDR中の少なくとも1つのアミノ酸が、限られた範囲のアミノ酸内で変化し得る。さらに、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3は、それぞれ、配列番号88、89、および90、配列番号98、89および99、配列番号105、89、および90、配列番号105、111、および112、配列番号105、111、および90、配列番号88、89、および112、配列番号88、89、および127、配列番号88、89、および134、配列番号98、89、および90、配列番号98、111、および112、配列番号149、150、および112、配列番号105、111、および90、配列番号149、89、および127、配列番号88、89、および112、または配列番号105、89、および127のアミノ酸配列を含み得る。これらのCDR配列セットのいずれか1つを含むVHを含む抗体は、hPD1とhPDL1の相互作用を抑制できる。
【0295】
さらに、VHは、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、166、180、および181の内のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得るか、またはこれらの配列のわずかに変化した種類を含み得る。例えば、VHは、1つまたは複数の相手指向変化を含み得、これは、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、166、180、および181の内のいずれか1つに対するアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号87、97、104、110、117、122、126、133、139、144、148、154、158、162、166、180、および181の内のいずれか1つに対し、6、5、4、3、2、または1つ以下の、置換であり得るアミノ酸変化を含み得る。これらの変化は、相手指向変化であり得る。このような改変配列を含むVHは、hPD1とhPDL1との相互作用を抑制できる抗体の一部であり得る。
【0296】
同様に、抗hPD1抗体のVLは、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3を含むVLを有し得、これらは、配列番号175または176(CDR1)、配列番号177(CDR2)、および配列番号178または179(CDR3)のアミノ酸配列を含む。これらはコンセンサス配列(
図6参照)であり、各CDR中の少なくとも1つのアミノ酸が、限られた範囲のアミノ酸内で変化し得る。さらに、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3は、それぞれ、配列番号93、94、および95、配列番号102、94、および95、配列番号93、108、および95、配列番号115、94、および95、配列番号120、94、および95、配列番号102、108、および95、配列番号130、108、および131、配列番号137、94、および131、配列番号142、94、および131、配列番号130、94、および131、配列番号142、94、および131、配列番号115、94、および95、または配列番号102、108、および95のアミノ酸配列を含み得る。これらのCDR配列セットのいずれか1つを含むVLを含む抗体は、hPD1とhPDL1の相互作用を抑制できる。
【0297】
VLは、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、および183の内のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得るか、またはこれらの配列のわずかに変化した種類を含み得る。例えば、VLは、1つまたは複数の相手指向変化を含み得、これは、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、および183の内のいずれか1つに対するアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号92、101、107、114、119、124、129、136、141、146、152、156、160、164、168、182、および183の内のいずれか1つに対し、6、5、4、3、2、または1つ以下の、置換であり得るアミノ酸変化を含み得る。これらの変化は、相手指向変化であり得る。このような改変配列を含むVLは、hCTLA4とhB7-1および/またはhB7-2との相互作用を抑制できる抗体の一部であり得る。
【0298】
別の態様では、抗hPD1抗体は、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含み得、これらは、配列番号88、89、90、93、94、および95、配列番号98、89、99、102、94、および95、配列番号105、89、90、93、108、および95、配列番号105、111、112、115、94、および95、配列番号105、111、90、120、94、および95、配列番号88、89、112、102、108、および95、配列番号88、89、127、130、108、および131、配列番号88、89、134、137、94、および131、配列番号98、89、90、142、94、および131、配列番号98、111、112、130、94、および131、配列番号149、150、112、130、94、および131、配列番号105、111、90、142、94、および131、配列番号149、89、127、115、94、および95、配列番号88、89、112、93、94、および95、または配列番号105、89、127、102、108、および95のアミノ酸配列を有する。このようなCDR配列セットを含む抗体は、hPD1とhPDL1の相互作用を抑制できる。
【0299】
さらなる態様では、抗hPD1抗体のVHおよびVLは、それぞれ、次の2つのアミノ酸配列群の内のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る:配列番号87(VH)および92(VL);配列番号97(VH)および101(VL);配列番号104(VH)および107(VL);配列番号110(VH)および114(VL);配列番号117(VH)および119(VL);配列番号122(VH)および124(VL);配列番号126(VH)および129(VL);配列番号133(VH)および136(VL);配列番号139(VH)および141(VL);配列番号144(VH)および146(VL);配列番号148(VH)および152(VL);配列番号154(VH)および156(VL);配列番号158(VH)および160(VL);配列番号162(VH)および164(VL);配列番号166(VH)および168(VL);配列番号180(VH)および182(VL);ならびに配列番号181(VH)および183(VL)。いくつかの実施形態では、VHおよびVLは、これらの2つの配列群の内の1つのわずかに変化した種類を含み得る。例えば、VHは、1つまたは複数の相手指向変化を含み得、これは、2つの配列群の内の1つ中の1つの配列に対するアミノ酸置換であり得、また、VLは、1つまたは複数の相手指向変化を含み得、これは、2つの配列の同じ群の内の他の配列に対するアミノ酸置換であり得る。抗体またはその一部分を形成するVHおよびVLは、2つの配列群の第1(VH)および第2(VL)アミノ酸配列に対して、それぞれ、6、5、4、3、2、または1つ以下の、置換であり得るアミノ酸変化を含むアミノ酸配列を含み得る。これらの変化は、相手指向変化であり得る。このような改変配列を含むVHおよびVLは、hPD1とhPDL1との相互作用を抑制できる抗体の一部であり得る。
【0300】
抗hPD1および/または抗hCTLA4抗体のさらなる態様
本明細書に記載の抗hCTLA4および抗hPD1抗体は、ヒト、ヒト化、または霊長類抗体および/またはIgG抗体、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体であり得る。このようなIgG抗体は、相手指向変化、例えば、HCおよび/またはLC相手指向変化を含み得る。さらに、このようなIgG抗体は、ヘテロダイマーに適さない1つまたは複数の変化を含み得る。このような変化は、少なくとも2種の異なるIgG抗体をコードするDNAが導入されている単一宿主細胞株が2つまたは3つ以下の異なる主要種の抗体を産生することになる確率を改善し得る。
【0301】
相手指向変化は、本明細書に記載のIgG抗hCTLA4および/または抗hPD1抗体内、場合により、ヒトまたは霊長類IgG抗体内の電荷対または接触システイン対の一部を形成できる。例えば、相手指向変化は、次の電荷対の内のいずれか1つを、部分的にまたは全体的に、生ずる変化(アミノ酸置換を含む)を含む:44D/E(VH)および100R/K(VL);44R/K(VH)および100D/E(VL);105R/K(VH)および43D/E(VL);105D/E(VH)および43R/K(VL);147D/E(CH1)および131R/K(CL);147R/K(CH1)および131D/E(CL);168D/E(CH1)および174R/K(CL);168R/K(CH1)および174D/E(CL);181R/K(CH1)および178E/D(CL);ならびに181E/D(CH1)および178R/K(CL)。荷電アミノ酸がこれらの位置の1つに既に存在する場合、電荷対を形成するためには、1個のみの相手指向変化でよい。その他の状況では、電荷対を形成するためには、1つはHC中、もう1つはLC中の2つの相手指向変化が必要である。さらに、相手指向変化には、接触システイン対が生成され、ジスルフィド架橋を形成できるように、システインが別のアミノ酸を置換する置換が含まれる。ヒトIgG1抗体では、これらには、次の対が含まれ得る:126(CH1)および121(CL)、170C(CH1)および162C(CL)、170(CH1)および176(CL)、173(CH1)および160(CL)、ならびに183(CH1)および176(CL)。ヒトIgG4抗体では、これらには、次の対を含むことができる:170C(CH1)および162C(CL)、173C(CH1)および162C(CL)、ならびに183(CH1)および176(CL)。抗体の混合物中の1つの抗体の同族CH1/CL対中の接触システイン対は、混合物中の別の抗体中の位置とは異なる位置に配置でき、これにより、同族HC/LC対の形成における選択性を高めることができる。米国特許仮出願第62/342,267号の相手指向変化を記載する部分、すなわち、参照されている図を含むページ33~36ならびに実施例1~3および5は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0302】
周知の方法を用いて、相手指向変化を含むHCおよび/またはLCをコードするDNAを生成することができる。このような方法は、下記実施例1および2に記載されており、さらに、DNA配列の人工合成(例えば、数ある中でも特に、Integrated DNA Technologies,Coralville,Iowa,USAまたはGenewiz,South Plainfield,NJ,USAなどの市販品納入業者により)および、例えば、Gibson Assembly(登録商標)Master Mix Instruction Manual,New England Biolabs Inc.(NEB),Version 3.3,NEB catalog no.#E2611S/L,NEB Inc.,Ipswich,MA,USA、に記載のギブソン反応(すなわち、オーバーラップPCR)によるDNAセグメントの結合などを含む。相手指向変化の設計、作製、および試験は、米国特許仮出願第62/342,267号に詳細に記載されている。米国特許仮出願第62/342,267号の実施例1~3および5ならびに
図4~7および12~15は、参照により本明細書に組み込まれる。抗体をコードするDNAが作製されると、抗体は、例えば、下記実施例1で記載のように、遺伝子導入宿主細胞中で作製できる。
【0303】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の抗hCTLA4および/または抗hPD1抗体は、HC/HCヘテロダイマー形成に適さない1つまたは複数の変化を含み得る。米国特許仮出願第62/342,267号では、1つの抗体がIgG4抗体またはIgG1抗体で、そのHC中に置換K409Rを含み、もう1つの抗体が置換D399K/RおよびK409D/Eを含むIgG1抗体である、2つの異なるIgG抗体を遺伝子導入した細胞中で、ヘテロダイマーが容易には検出できなかったことが示されている。米国特許仮出願第62/342,267号の実施例4および
図8~11は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0304】
抗hCTLA4および抗hPD1抗体の混合物
別の態様では、抗hCTLA4および抗hPD1抗体の混合物が本明細書で記載される。いくつかの状態の治療では、CTLA4およびPD1の両方の遮断または抑制が有益であり得る。例えば、Larkin et al.(2015),New Engl.J.Med.373(1):23-34を参照されたい。抗体混合物は、本明細書に記載の特定の抗hPD1および抗hCTLA4抗体を含み得る。
【0305】
いくつかの実施形態では、抗hPD1および抗hCTLA4抗体の混合物は、両方の抗体をコードするDNAが導入されている単一宿主細胞株中で作製できる。このような方法は、米国特許仮出願第62/342,167号および国際出願第PCT/US2017/030676号に詳細に記載されている。米国特許仮出願第62/342,167号および国際出願第PCT/US2017/030676号のこのような方法を記載する部分は、参照により本明細書に組み込まれる。抗体混合物を単一宿主細胞株中で産生する方法は、2つの別々の細胞株中での産生に比べて、この方法がただ1つの商業上のプロセスを開発および稼動するのみであるため、遙かに効率的であり、費用対効果が大きい。単一宿主細胞株中で産生された混合物中の抗体は、1つまたは複数のHCおよび/またはLC相手指向変化および/またはヘテロダイマーに適さない1つまたは複数の変化を含み得る。このような変化は、2つの異なるHCおよびLCおよび/またはHC/HCヘテロダイマー形成のプロミスキャス対形成により、宿主細胞株中で形成される抗体種の数を制限できる。例えば、米国特許仮出願第62/342,167号の
図3(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。これにより、最大で3種または最大で2種の異なる抗体を含む混合物を、2つの異なるHCおよび2つの異なるLCをコードするDNAを含む単一宿主細胞株から産生するために必要な精製ステップの数を減らすことができる。
【0306】
下表9に、例示的HCおよびLC相手指向変化が記載されており、この内の1つまたは複数を、抗体混合物中の抗hCTLA4および/または抗hPD1抗体中に含めることができる。
【表9】
*抗体1および2は異なる抗体である。本表では、それらは交換可能である。
#単一の第1の抗体の重鎖および軽鎖(例えば、HC1およびLC1)に対する単一行に記載の変化は、記載のように一緒に起こり得る。しかし、混合物中の第2の抗体は、同じ行中に記載の抗体2の変化を含んでも含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、2つ以上の行に記載の変化、例えば、105R/Kおよび147R/Kを重鎖中に含むことができ、43E/Dおよび131E/Dを軽鎖中に含むことができる。
@全ての変化が全てのIgGサブタイプに好適するとは限らない。
【0307】
抗hCTLA4および抗hPD1抗体が抗体混合物の一部である場合、両方の抗体がIgG抗体であると仮定して、ヘテロダイマーに適さない変化を、抗hCTLA4および/または抗hPD1抗体中に含めることもできる。一実施形態では、1つの抗体は、IgG4抗体(409の位置に天然のアルギニンを有する)または位置409にアルギニンを有するように、すなわち、変化K409Rを有するように変化したIgG1抗体であり得、他方の抗体は、変化399K/Rおよび409D/Eを有する。
【0308】
いくつかの実施形態では、抗体混合物中の抗hCTLA4抗体は、抗体のインビボでのクリアランスを高める1つまたは複数の変化を含み得る。このような変化には、例えば、1つまたは複数の次記を含めることができる:M252A、M252L、M252S、M252R、R255K、およびH435R。このような効果を有する他の変化も同様に使用できる。抗体のIgG定常ドメイン内の特定の変化が、例えば、特定のヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体のインビボクリアランスを増大させる(本明細書の上記で定義した)効果を有する場合、それは、本明細書で、このような改変定常ドメインを含む、任意のヒト、ヒト化、または霊長類IgG抗体のインビボクリアランスを高める変化であると定義される。
【0309】
抗体および抗体の混合物の製造方法
一般に、個別の抗体は、抗体をコードするDNAを宿主細胞中に導入し、細胞による抗体の産生に好適する条件下で宿主細胞を培養して、細胞集団または細胞上清から抗体を回収することにより、製造できる。DNAは、遺伝子導入、形質転換、電気穿孔、微粒子銃、微量注入、リポフェクション、などにより導入できる。その後、抗体を精製して、目的の抗体以外の成分、例えば、宿主細胞タンパク質、培地成分、および/または望ましくない抗体種、例えば、2つの重鎖および2つの軽鎖を含まないIgG抗体種を除去できる。このような精製ステップには、例えば、選択的沈殿、カラムクロマトグラフィー、透析、などを含めることができる。
【0310】
すぐ前に記載した方法で個別に産生した抗体を混合して混合物を生成できる。あるいは、抗体の混合物は、両方の抗体をコードするDNAが宿主細胞中に同時にまたは順次に導入されること以外は、類似の方法で産生できる。2つの異なるIgG抗体、すなわち、2つの異なる重鎖および軽鎖をコードするDNAを含む宿主細胞は、可能性としては、プロミスキャスHC/HCおよびHC/LC対形成により、10個までの異なるIgG抗体種を産生できる。この種の数を制限するために、抗体は、HCおよびLC相手指向変化および/またはヘテロダイマーに適さない変化を含み得る。このような変化は、宿主細胞により産生される主要な抗体種の数を制限できる。このような混合物は、上述のように、精製できる。
【0311】
当業者なら、2つの宿主細胞株ではなく、単一宿主細胞株中での抗体の混合物の製造は、2つの商業製造プロセスの開発と稼動の場合に比べて、製造の容易さおよび効率の大きな増大を意味することを理解するであろう。いずれか1つの抗体の商業製造プロセスの開発は、例えば、発現系、宿主細胞株(発現に細胞株が用いられる場合)、細胞培養プロセス(攪拌タンク対灌流対多くの他の培養方法の使用などの物理的変数、ならびに宿主細胞株を増殖させるのに使用する培地および供給戦略)、および抗体精製および配合を含む無数の因子の最適化が必要である。さらに、プロセスが開発されると、プロセスの特性を明らかにし、確認して、現在の優良医薬品製造基準(cGMP)製造のための製造設備へ移行する必要がある。例えば、Li et al.(2010),mAbs 2(5):466-477、を参照されたい。したがって、単一プロセスでの抗体混合物の製造は、2つのプロセスでの製造に対して、コストの大きな削減に加えて、製造の容易さおよび効率の顕著な増大を意味することが明らかである。
【0312】
ポリヌクレオチドおよびベクター
本明細書に記載の抗体および抗体の混合物をコードするポリヌクレオチド、例えば、DNAまたはその他の核酸が提供される。本明細書で提供されるガイダンスを用いて、当業者なら、抗体をコードする既知または新規核酸配列を組み合わせて、既知の方法によりそれらを改変し、本明細書に記載のVHおよびVLアミノ酸配列を含む、本明細書に記載の抗体および抗体の混合物をコードするポリヌクレオチドを生成し得るであろう。このようなVHおよびVL配列は、例えば、
図3、4、7、および8で、および本明細書を通して開示される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、
図3、4、7、および8で開示のアミノ酸配列に比較して、相手指向変化などの変化を含むHCおよび/またはLCをコードできる。このような変化はアミノ酸置換であり得る。さらに、このようなポリヌクレオチドは、可変ドメインの外側に1つまたは複数の相手指向変化および/またはヘテロダイマーに適さない1つまたは複数の変化を含むHCおよび/またはLCをコードできる。本明細書に記載のVHまたはVLをコードする例示的核酸配列には、配列番号1、6、11、14、18、22、26、29、32、35、38、41、44、48、51、53、57、60、63、66、68、71、86、91、96、100、103、106、109、113、116、118、121、123、125、128、132、135、138、140、143、145、147、151、153、155、157、159、161、163、165、167、184、186、188、190、192、および194が含まれる。ヒト、哺乳動物、および霊長類免疫グロブリン定常ドメイン、例えば、CL、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3をコードする多数の核酸配列が当技術分野において既知である。例えば、Kabatら(前出)を参照されたい。場合により、本明細書に記載の可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列は、このような定常ドメインをコードするポリヌクレオチド配列と組み合わせて、種々のフォーマット、例えば、IgG、IgM、IgD、IgE、IgA、二重特異性フォーマット、scFv、scFv-Fc、Fab、BiTE(scFc-リンカー-scFv)、Fab-scFv、IgG-scFvのいずれかで抗体を生成することができる。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、相手指向変化および/またはヘテロダイマーに適さない変化を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、哺乳動物抗体、場合により、ヒト、ヒト化、または霊長類抗体であり得る。
【0313】
ポリヌクレオチドを改変する方法は、当該技術分野で周知である。おそらく、改変ポリヌクレオチドの生成のための最も直接的な方法は、目的の配列を有するポリヌクレオチドを合成することである。多くの会社、例えば、DNA 2.0(Menlo Park,Calif.,USA)、BlueHeron(Bothell,Washington)、Genewiz(South Plainfield,New Jersey)、Gen9(Cambridge,Massachusetts)、およびIntegrated DNA Technologies(Coralville,Iowa)がこのサービスを提供している。その他の変異を導入する既知の方法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた部位特異的変異誘発も、用いることができる。例えば、Zoller(1991),Curr.Opin.Biotechnol.2(4):526-531;Reikofski and Tao(1992),Biotechnol.Adv.10(4):535-547、を参照されたい。
【0314】
本明細書に記載の抗体およびそれらの混合物をコードするポリヌクレオチド、場合によりDNAを含むベクターは、選択した宿主細胞中での抗体の発現に好適ないずれのベクターでもよい。ベクターは、ベクターを含む宿主細胞の選択のために、および/または宿主細胞中のベクターの維持および/または増幅のために、選択可能マーカーを含めることができる。このようなマーカーには、例えば、(1)抗生物質またはその他の毒素、例えば、原核生物宿主細胞に対するアンピシリン、テトラサイクリン、またはカナマイシン、に対する耐性を付与する遺伝子、(2)細胞の栄養素要求性欠陥を補完する遺伝子、または(3)複合培地または限定培地からは利用できない重要な栄養素を供給する働きをする遺伝子、が含まれる。特定の選択可能マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびテトラサイクリン耐性遺伝子であり得る。ゼオシン耐性またはネオマイシン耐性遺伝子はまた、原核生物および真核生物両方の宿主細胞における選択のために使用し得る。当技術分野において知られているように、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子および/またはプロモーターのないチミジンキナーゼ遺伝子を哺乳動物細胞で用いることができる。例えば、Kingston et al.2002,AMPLIFICATION USING CHO CELL EXPRESSION VECTORS,Current Protocols in Molecular Biology,Ch.16,Unit 16.23,Wiley 2002を参照。
【0315】
さらに、ベクターは、ベクターの維持および/または本明細書に記載の抗体または抗体混合物をコードする挿入配列の発現のために必要な1つまたは複数のその他の配列要素を含み得る。このような要素には、例えば、複製起点、プロモーター、1つまたは複数のエンハンサー、転写ターミネーター、リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、外来性配列のためのポリリンカー挿入部位(例えば、本明細書に記載の抗体または抗体の混合物をコードするDNA)、および2つの挿入配列、例えば、HCおよびLCコードDNAの間の介在配列が含まれる。これらの配列要素は、ベクターの複製および/または増幅ならびにベクターに挿入された異種配列の発現を促進するように目的の宿主細胞中で機能するように選択できる。このような配列要素は当該技術分野において周知であり、多数の市販のベクターで利用可能である。
【0316】
1つまたは複数の抗体をコードするDNAは、例えば、遺伝子導入、形質導入、リポフェクション、形質転換、微粒子銃、微量注入、または電気穿孔を含む任意の適切な方法を用いて宿主細胞に導入できる。いくつかの実施形態では、2つの完全長抗体をコードするDNAを、宿主細胞中に導入できる。このような方法は、当技術分野において既知であり、例えば、Kaestner et al.(2015),Bioorg.Med.Chem.Lett.25:1171-1176に記載されている。この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0317】
いくつかの実施形態では、抗体または抗体の混合物をコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数のウイルスベクター、場合により、腫瘍溶解性ウイルスベクターに保持され得る。このようなウイルスベクターの例には、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、修正ワクシニアウイルスAnkara(MVA)、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ニューカッスル病ウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、レオウイルス、およびポックスウイルスベクターが挙げられる。このような実施形態では、これらの本明細書に記載の抗体または抗体の混合物をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターは、疾患を治療するために患者に投与できる。例えば、癌患者では、このような抗体または抗体の混合物をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターは、多くの可能性の内で特に、患者の腫瘍または癌細胞の主要部位に直接投与でき、例えば、注射、吸入投与(肺癌に対し)、局所投与(皮膚癌に対し)でき、および/または粘膜(この膜を通して核酸を吸収できる)に投与できる。あるいは、このようなウイルスベクターは、例えば、本明細書に記載のように、経口、局所、粘膜経由、または皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、または腹膜注射により全身投与できる。同様に、本明細書に記載の抗体の混合物をコードするポリヌクレオチドは、リポソーム中に包み込むことができ、疾患に罹患している患者に投与できる。
【0318】
医薬組成物および投与方法
本明細書に記載の抗体、抗体混合物、ポリヌクレオチド、およびベクターは、薬学的に許容可能な製剤として投与できる。多数の医薬製剤が当技術分野において既知である。多くのこのような製剤は、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY,21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PA,2005に記さされており、この文献の当該部分は、参照により本明細書に組み込まれる。このような薬学的に許容可能な製剤は、例えば、溶液または懸濁液などの液体、丸薬、カプセル剤、ペースト、またはゲルなどの固体であり得る。液体製剤は、例えば、1つまたは複数の次記成分を含むことができる:緩衝液、賦形剤、塩、糖、界面活性剤、およびキレート化剤。製剤は、抗体、抗体混合物、ポリヌクレオチド、またはベクターの機能を保護するように、および患者により耐容性良好であるように設計され得る。
【0319】
ポリヌクレオチドおよび抗体などのタンパク質は通常、経口ではなく、非経口的に投与される。製剤に応じて、経口投与は、タンパク質またはポリヌクレオチドを胃の酸性環境にさらす可能性があり、そのタンパク質またはポリヌクレオチドを不活化し得る。いくつかの実施形態では、特定の製剤は、タンパク質またはポリヌクレオチドが胃酸に非感受性であるか、または酸性環境から、例えば、丸薬上の特殊コーティングまたはカプセルにより、適切に保護されている場合には、特定のタンパク質またはポリヌクレオチドの経口投与が可能となり得る。製剤はまた、例えば、鼻腔内、腟、直腸、または経口投与、または吸入剤としての投与を含む、粘膜経由で投与し得る。製剤はまた、いくつかの実施形態では、局所に投与され得る。一般に、抗体およびポリヌクレオチドは、液体製剤の注射により投与される。注射は、例えば、皮下、静脈内、動脈内、病巣内(例えば、腫瘍内)、筋肉内または腹膜注射であり得る。
【0320】
抗体または抗体の混合物をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞
1つまたは複数の抗体をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、組換えタンパク質の発現に好適する種々の細胞のいずれかであり得る。これらには、例えば、グラム陰性またはグラム陽性原核生物、例えば、大腸菌、枯草菌、またはネズミチフス菌などの細菌が挙げられる。他の実施形態では、宿主細胞は、出芽酵母、分裂酵母、などの種を含む真核細胞、またはクリベロマイセス属、カンジダ属、スポドテラ(Spodotera)属の真核生物、または異種ポリペプチドを発現できる任意の細胞であり得る。さらなる実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞であり得る。異種ポリペプチドの発現に好適する多くの哺乳動物細胞株が当技術分野において既知であり、例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)を含む種々の購入業者から取得できる。好適な哺乳動物宿主細胞株には、例えば、COS-7系統(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または無血清培地中で増殖するVeggie CHOなどのそれらの誘導体および関連細胞株、(Rasmussen et al.,1998,Cytotechnology 28:31)、CHO-K1およびCHO pro-3細胞株およびジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)活性を欠く、DUKX-X11およびDG44細胞株などのこれらの誘導体、HeLa細胞、仔ハムスター腎(BHK)細胞(例えば、ATCC CRL 10)、McMahan et al.,1991,EMBO J.10:2821に記載のアフリカミドリザル腎臓細胞株CVI(ATCC CCL 70)由来のCVI/EBNA細胞株、293、293EBNAまたはMSR293などのヒト胎児腎臓(HEK)細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、HL-60細胞、U937細胞、HaK細胞、Jurkat細胞、HepG2/3B細胞、KB細胞、NIH 3T3細胞、S49細胞、およびNS0およびSp2/0細胞を含むマウス骨髄腫細胞が挙げられる。異種ポリペプチドを発現できるその他の原核生物、真核生物、または哺乳動物細胞型も使用し得る。
【0321】
治療方法
場合により、1つまたは複数のベクター、例えば、腫瘍溶解性ウイルスベクター中に収容された、本明細書に記載の抗hCTLA4抗体、抗hPD1抗体、それらの混合物、および/またはこのような抗体または混合物をコードするポリヌクレオチドを使って、免疫応答を高め、および/または、例えば、感染症、免疫不全疾患および黒色腫、非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、胃癌、膀胱癌、明細胞腎臓肉腫、およびホジキンリンパ腫などの種々の癌を含む、種々の状態を治療できる。本明細書で意図される、免疫応答が高められているかどうかは、下記実施例8に記載の混合リンパ球反応(MLR)アッセイにより評価できる。
【0322】
抗hCTLA4抗体、抗hPD1抗体、それらの混合物、および/またはこのような抗体または混合物をコードするポリヌクレオチドは、追加の療法剤と共に投与でき、これは、抗体、抗体の混合物、またはポリヌクレオチドの前に、後に、および/またはそれと同時に投与される。追加の療法剤は、免疫調節性分子、照射、化学療法剤、標的化生物製剤、標的化阻害剤、および/または腫瘍溶解性ウイルスからなる群より選択できる。
【0323】
いくつかの実施形態では、追加の療法剤は、PDL1、TIGIT、CCR4、CCR8、CSFR1a、B7H3、B7H4、CD96、またはCD73のアンタゴニスト;GITR、41BB、OX40、またはCD40のアゴニスト;タリモジーン・ラハーパレプベック(IMLYGIC(商標))などの腫瘍溶解性ウイルス;ブリナツモマブなどの二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE);インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤;ベバシズマブなどの抗血管新生薬;抗体-薬物複合体;またはチロシンキナーゼ阻害剤であり得る。
【0324】
追加の療法剤が化学療法的剤の場合、それは、例えば、ブスルファン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ストレプトゾトシン、メチルロムスチン、cis-ジアンミンジクロロ白金、チオテパ、アジリジニルベンゾキノン、シスプラチン、カルボプラチン、メルファラン塩酸塩、クロラムブシル、イホスファミド、メクロレタミンHCl、カルムスチン(BCNU)、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ダウノマイシン、ミトラマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、VP-16、VM-26、ロイコボリン含有または非含有メトトレキセート、ロイコボリン含有または非含有5-フルオロウラシル、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ゲムシタビン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシ尿素、デオキシコホルマイシン、フルダラビン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、アクチノマイシンD、ダカルバジン(DTIC)、mAMSA、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、L-アスパラギナーゼ、ミトキサントロンであり得る。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology,4.sup.th Edition,DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.(1993)を参照されたい。この文献の当該部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0325】
抗体またはこれらの混合物については、これらは、治療有効量を適切な間隔で患者に投与できる。例えば、単一抗体または抗体混合物の単回用量は、約0.01mg/kg体重(mg/kg)~約50mg/kg、約0.05mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約0.5mg/kg~約7mg/kgであり得る。単回用量は、約0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、または10mg/kgの用量であり得る。同様に、抗体または抗体混合物の単回用量は、約0.37mg/皮膚表面積m2(mg/m2)~約1850mg/m2、約0.5mg/m2~約370mg/m2、約3.7mg/m2~約370mg/m2、または約18.5mg/m2~約259mg/m2であり得る。単回用量は、約10mg/m2、20mg/m2、37mg/m2、74mg/m2、111mg/m2、148mg/m2、185mg/m2、222mg/m2、259mg/m2、296mg/m2、333、mg/m2、または370mg/m2であり得る。同様に、抗体または抗体混合物の単回用量は、約0.62mg~約3100mg、約1mg~約620mg、約6.2mg~約620mg、または約10mg~約434mgの用量で投与できる。単回用量は、約0.51、3、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100mgであり得る。
【0326】
抗体、抗体の混合物、またはそれらをコードするポリヌクレオチドの投与量は、一定の期間にわたり1回または2回または間隔をあけて投与できる。例えば、投与量は、毎日、1日おき、週2回、週1回、10日おきに1回、2週おきに1回、3週おきに1回、月1回、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月おきに1回投与できる。例えば、投与は、約1~4週間、約1~6ヶ月間、約6ヶ月~1年間、約1~2年間、または最大5年間、継続できる。いくつかの事例では、投与は中断し、再開できる。いくつかの実施形態では、抗hCTLA4および抗hPD1抗体を含む混合物は、両方の抗体が同時の投与できるように投与し得る。混合物の1回または複数回の投与の後で、抗hPD1抗体を単独で投与できる。いくつかの実施形態では、抗hPD1抗体の投与は、一定期間にわたり継続できる。いくつかの実施形態では、抗体または抗体の混合物の投与は、1回または複数回の中断および再開ができる。
【0327】
本明細書に記載の抗体または抗体の混合物をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドの場合には、投与量は、例えば、約5x109ポリヌクレオチドのコピー/kg体重(コピー/kg)~約1015コピー/kg、約1010コピー/kg~約1014コピー/kg、または約5x1010コピー/kg~約5x1013コピー/kgであり得る。あるいは、投与量は、約1010、1011、1012、1013、5x1013、1014、2x1014、3x1014、4x1014、5x1014、6x1014、7x1014、8x1014、9x1014、または1015コピーのポリヌクレオチドであり得る。投与頻度は、必要に応じ調節でき、また、上述のように、または、例えば、毎日、1日おき、週2回、週1回、10日おきに1回、2週おきに1回、3週おきに1回、月1回、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月おきに1回投与のように調節できる。
【0328】
上記で本発明を一般的用語で記載してきたが、以下の具体的実施例は、本発明を、その範囲を限定することなく、例示するために提供される。本明細書に記載の本発明の趣旨に即して、本発明に対し種々の変更および修正がなされ得ることは理解され、また、当業者には明らかであろう。このような変更および修正は、添付の特許請求の範囲におけるものを含む本明細書に記載の本発明の範囲に入る。
【0329】
実施例
実施例1:抗hCTLA4抗体の作製
選択位置でランダム化された種々の抗hCTLA4 FabフラグメントをコードするDNAライブラリーを下記のように生成した。ライブラリーは、ヒト生殖系列VH(IGHV3-33*01-IGHJ4*01)およびVL(IGKV3-20*01-IGKJ3*01)フレームワーク領域をベースにした。オーバーラッピング一本鎖オリゴヌクレオチド、69~99塩基長、を用いて、重鎖および軽鎖可変領域をコードするcDNAを構築した。合成縮重オリゴヌクレオチドを用いて、8個または5個の保存的にランダム化したコドンを、それぞれ、VHおよびVLをコードするDNA中に導入した。コドンの保存的ランダム化は、ランダム化により保存的アミノ酸置換のみが得られることが予測されるようにランダム化した。例えば、グリシンをコードするG-G-Cコドンは、グリシン、アラニン、セリンまたはトレオニンをコードするように、A/G-C/G-Cを用いて保存的にランダム化し得る。オリゴヌクレオチドを混合し、ポリヌクレオチド連鎖反応(PCR)によりVHおよびVLライブラリーに別々に組み込んだ。CLカッパ(Cκ)フラグメント、続けて、自己切断2Aペプチド(Pep2A;例えば、Kim et al.(2011),PLOS ONE,http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0018556を参照)および下流のVH用のシグナルペプチドをコードするDNAを、gBlock(登録商標)(Integrated DNA Technologies(IDT),Coralville,Iowa,USA)をPCR用のテンプレートとして用いて、増幅した。全てのオリゴヌクレオチドはIDTにより合成された。全ての増幅は、Pfu DNAポリメラーゼを用いて実施した。
【0330】
酵母においてランダム化Fabフラグメントのライブラリーを提示するために、1つの末端にシグナルペプチドSP1(この前にガラクトース誘導性プロモーターがある)をコードする配列ならびにもう一方の端部にCH1(この後ろに、凝集素をコードする配列が続く)をコードする配列を有する直鎖状化されたベクターと、(1)SP1-VL-Cκ(一部)、(2)Cκ-R6-Pep2A-SP2、および(3)SP2-VH-CH1(一部)をコードする3つの上記PCRフラグメントとを用いて出芽酵母細胞を電気穿孔処理した。この場合、VLおよびVHは選択位置で保存的にランダム化された。PCRフラグメント(1)は、ベクターのSP1末端およびPCRフラグメント2のCκ末端と重なり合う。PCRフラグメント(2)のSP2末端は、PCRフラグメント3とそのSP2末端上で重なり合い、PCRフラグメント3のCH1末端は、ベクターとそのCH1末端上で重なり合う。全てのこれらのオーバーラップは、30~60塩基対の範囲内であるので、酵母中の相同組換えにより、フラグメントを次の順の配列要素:SP1-VL-Cκ-R6-Pep2A-SP2-VH-CH1-HA-凝集素、を有するインサートを含む単一ベクター中に組み込むことが可能となる。ここで、R6は、6つの連続したアルギニン残基をコードし、HAはHAタグ、すなわち、タンパク質タグとして広く使用されているヒトインフルエンザ赤血球凝集素由来の小さいペプチドである。これらの配列の発現は、SP1の上流のガラクトース誘導性プロモーターにより推進される。デキストロースを含みウラシルを欠く酵母培地を用いて作製した選択的寒天プレート上で形質転換体を増殖した。ベクターは、宿主酵母菌株がウラシルを作製できないことを補完する遺伝子を含む。ライブラリーサイズ、すなわち、形質転換体の総数は、約2x108~3x108個の形質転換体の範囲である。ライブラリーの推定複雑度は、約107未満であり、Fabフラグメントをコードするヌクレオチド配列の約107未満の異なる組み合わせが各ライブラリー内に存在したことを意味する。これらの推定は、変動させた位置での保存的ランダム化を前提として生じ得る可能な組み合わせ数を基準にした。
【0331】
実際のライブラリーの多様性および品質を評価するために、50個のランダムに採取した酵母クローン由来のFabフラグメントをコードするDNAセグメントを調査した。これらのクローンのVHおよびVL DNAフラグメントを酵母コロニーPCRにより増幅し、Genewiz Inc.,Seattle,WAにより配列を決定した。例えば、Dudaite et al.(2015),Direct PCR from Yeast Cells,Application Note,Thermo Scientificを参照されたい。DNA配列解析により、70%の配列がインフレームVHおよびCH1ならびにインフレームVLおよびCLをコードし、VHおよびVLをコードするDNAが設計、予測した多様性を標的位置で含んでいることが明らかになった。
【0332】
ライブラリーを選別するために、ウラシルを欠き、デキストロースを含む培地中で出芽酵母細胞を増殖し、細胞を遠心沈降させ、ウラシルを欠き、ガラクトースを含む培地中に再懸濁してFab発現を誘導した。酵母細胞を、HAタグに特異的なALEXA FLUOR(登録商標)488標識抗体ならびにストレプトアビジン-アロフィコシアニン(ストレプトアビジン-APC)およびビオチン化hCTLA4:Fc融合タンパク質、すなわち、IgG1のFc領域に融合したhCTLA4の細胞外の領域の複合体で標識して、細胞により提示されたFabのレベル、および提示されたFabフラグメントにより結合されたhCTLA4のレベルを同時に検出した。ネガティブコントロールを、抗HAタグ抗体およびストレプトアビジン-APCおよび無関係のビオチン化タンパク質(ビオチン化PD1)の複合体で標識した。試料を、
図9に示すソーティングウインドウでFACSARIA(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences,San Jose,California)を用いて選別し、4,000細胞/秒のイベントレートで収集した。蛍光標識細胞分取(FACS)の第1ラウンド中に合計1x10
8個の細胞を選別し、集団の0.5%を収集した。収集細胞をデキストロースを含みウラシルを欠く酵母培地を用いて作製した寒天プレート上、30℃で増殖した。これらのプレートからの酵母細胞をデキストロースを含みウラシルを欠く液体培地中にかき集め、30℃で培養後、ガラクトースを含みウラシルを欠く液体培地中で次の選別ラウンドのために誘導した。2つのラウンドの選別を実施した。第1の選別は、標識用の500nMのストレプトアビジン-APCおよびビオチン化hCTLA4:Fcの複合体を用いて濃縮モード、すなわち、高速選別速度を用いて実施し、多くの細胞の選別を可能とし、また、第2の選別は、精製モード、すなわち、遅い選別速度を用い、標識用の0.6nMのストレプトアビジン-APCおよびビオチン化hCTLA4の複合体を使用して実施した。
図9は、ネガティブコントロールおよび第1と第2ラウンドの細胞選別のFACS分析を示す。
図9の「PS」と標識した多角形は、ゲート制御ソーティングウインドウを示す。
【0333】
真のポジティブを得る確率を高めるために、収集細胞の3回目の再選別を行い、デキストロースを含みウラシルを欠く培地で作製した寒天プレートに播種し、個別のコロニーを得た。第3の選別から得られた酵母細胞上に発現したFabフラグメントがhCTLA4に結合し得ることを確認するために、96個のこれらの酵母コロニーをランダムに採取し、誘導し、ストレプトアビジン-APCおよびビオチン化hCTLA4:Fcの複合体ならびにHAタグに特異的なALEXA FLUOR(登録商標)標識抗体を用いて、FACS分析に供した。これらの酵母クローンの内で、95%がhCTLA4:FcおよびHAタグ特異的抗体の両方に結合した。DNA塩基配列決定は、40%のこれらの酵母クローンが特有の配列を有するFabフラグメントを発現したことを明らかにした。最強のhCTLA4結合物質を特定するために、hCTLA4:Fcに対し強い結合を示し、また、特有のVH/VL配列を有するFabフラグメントを発現した32個の酵母クローンを、種々の濃度のビオチン化hCTLA4:Fcを用いて、追加のFACS分析に供し、最も低い濃度でhCTLA4:Fcに結合し得るものを特定した。
【0334】
hCTLA4:Fcに対し最強の結合を示した12個の酵母クローン由来のFabフラグメントを、単一クローン由来のVHをコードするDNAをシグナルペプチドVκ1O2/O12およびヒトIgG1 HCの残りの部分をコードする哺乳動物発現ベクターに挿入し、同じクローン由来のVLをコードするDNAをシグナルペプチドVκ1O2/O12およびCκドメインをコードする別の哺乳動物発現ベクターに挿入することにより、ヒトIgG1フォーマットに変換した。大腸菌細胞を連結した混合物で形質転換し、適切な重鎖および軽鎖配列を含む細菌クローンをDNA塩基配列決定法により特定した。適切な重鎖および軽鎖配列をコードする哺乳動物発現構築物を、EXPI293(商標)細胞(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA,USA)中に同時遺伝子導入し、得られた形質移入体を発現させる条件下で培養した。得られた細胞上清中の抗体をプロテインAカラムを用いて精製した。IgG1フォーマットに変換された12個のFabフラグメントのVHおよびVLのアミノ酸配列を
図3および4に示す。これらの図に示すように、これらの抗体は、本明細書では1E1、2F1、3G1、4H1、5B2、6E3、7A4、8B4、9C4、10D4、11F4、および12G4抗体と命名された。VHおよびVL CDRのアミノ酸配列を、それぞれ
図1および2に示す。
【0335】
実施例2:抗hPD1抗体の作製
抗hPD1抗体を選択するために、9個および7個の保存的にランダム化したコドンをVHおよびVLをそれぞれコードするDNA中に導入したことを除いて、上記で抗hCTLA4抗体のために記載した方法と実質的に同じ方法で、ライブラリーを構築し、選別し、試験した。
【0336】
FACSを使用して、2,3の例外があるが、上記で抗hCTLA4抗体に対して記載したように、hPD1に結合するFabフラグメントを発現する酵母細胞を選択した。hPD1の細胞外の領域をコードするDNAをヘキサヒスチジンタグおよびAVITAG(商標)(Avidity L.L.C.,Colorado,USA)に融合することにより、ビオチン化一価hPD1を作製した。hPD1-His6-AVITAG(商標)融合タンパク質を、BirAビオチン-タンパク質リガーゼおよびhPD1-His6-AVITAG(商標)融合タンパク質をコードするプラスミドDNAを同時遺伝子導入して、増殖培地にビオチンを加えることにより、インビボでビオチン化した。ビオチン化hPD1-His6-AVITAG(商標)融合タンパク質を、ニッケル-ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)アガロースカラムを通して精製した。このビオチン化hPD1タンパク質をビオチン化hCTLA4:Fcの代わりに用いた。第1、第2および第3ラウンドにおける標識のために、500nM、5nM、および0.05nMのビオチン化hPD1を用いて、合計3ラウンドの選別を続けて実施した。抗hCTLA4選択の場合のように、無関係のビオチン化タンパク質を用いて、ネガティブコントロールの標識を実施した。これらのFACS分析の結果を
図10に示す。最初の2つの選別は、濃縮モード、すなわち、高速選別速度で実施し、最後の選別は、精製モード、すなわち、遅い選別速度で実施した。
【0337】
第3の選別後、収集細胞を再選別し、デキストロースを含みウラシルを欠く酵母培地を用いて作製した寒天プレート上に播種した。300コロニーをランダムに採取し、デキストロースを含みウラシルを欠く培地中で培養し、ガラクトースを含みウラシルを欠く培地中で誘導し、上述のように、FACSで分析した。各個別クローンのVLおよびVHをコードするDNAをPCR反応により増幅し、配列を決定した。FACSで測定して、300コロニー中の95%がhPD1に結合するFabフラグメントを産生し、50%が特有のFabフラグメントをコードするDNAを含んでいた。
【0338】
Fabフラグメントの特性をさらに明らかにするために、特有の抗hPD1 Fabフラグメントを発現している酵母細胞をガラクトースを含みウラシルを欠く培地中で増殖させた。細胞を75℃で5分間加熱した後、ビオチン化hPD1、続けて、ストレプトアビジン-APCで染色した。その後、細胞を、FACS分析に供した。最強のhPD1結合を有するFabフラグメントを産生した100個の酵母クローンを、FACS分析の前に細胞に加えたhPD1の量を滴定することにより、特定した。低いhPD1濃度でhPD1結合の強いシグナルを生成したクローンは、強力な結合物質と見なされた。
【0339】
良好な温度安定性と強力なhPD1への結合の両方を示した15個のFabフラグメントを、ヒトIgG4フォーマットへの変換のために選択した。これらのFabフラグメントのVHおよびVLのアミノ酸配列を、
図7および8に示す。これらの図に示すように、これらの抗体は、本明細書では1~15の番号で指定される。VHおよびVL CDRのアミノ酸配列を、それぞれ
図5および6に示す。
【0340】
抗hPD1抗体は、VHをコードするDNAが、ヒトIgG1抗体ではなく、ヒトIgG4抗体のCH1、ヒンジ、CH2、およびCH3をコードするベクターに挿入されたことを除いて、基本的には、抗hCTLA4抗体に対して上記の通り産生された。
【0341】
実施例3:抗hCTLA4抗体の細胞表面発現hCTLA4への結合
次の実験は、実施例1に記載のように選択された抗hCTLA4抗体が、細胞表面に発現されたhCTLA4に結合し得るかどうかを判定するために実施された。約1x10
5個のhCTLA4を発現しているジャーカットT細胞(Promega CS186907)を、種々の濃度の選択抗hCTLA4抗体を含むマイクロタイタープレートのウエルの、FACS緩衝液(リン酸緩衝食塩水(PBS、これは、137mMのNaCl、2.7mMのKCl、10mMのNa
2HPO
4、および1.8mMのK
2HPO
4を含む)中0.1%のNaN
3および2%BSA)中、4℃で30分間インキュベートした。洗浄後、表面結合抗hCTLA4抗体を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識したポリクローナル抗hIgG(Fc特異的)抗体(抗hIgG-FITC)で検出した。抗hCTLA4抗体の結合をフローサイトメトリー分析により検出した。結果をFlowJoソフトウェア(FLOWJO,L.L.C.,Ashland,OR,USA)を用いて幾何平均蛍光強度(MFI)で報告した。これらのデータから、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,Inc.,La Jolla,CA,USA)を用いてEC
50値を計算し、下表10に示す。
【表10】
【0342】
これらのデータは、このアッセイで測定された抗体の結合強度にはバラツキがあったが、12個すべての抗体は、細胞表面発現CTLA4に結合できることを示した。
【0343】
実施例4:抗hCTLA4抗体によるhCTLA4のhB7-1/hB7-2に対する結合の抑制
hCTLA4のそのリガンドhB7-1および/またはhB7-2との相互作用の抗hCTLA4抗体による遮断または抑制を2つの異なるアッセイ系で評価した。
【0344】
第1のアッセイでは、hCTLA4のラージ細胞の表面上に発現したhB7-1およびhB7-2への結合の抑制を評価した。ヒト細胞であるラージ細胞は、高レベルのhB7-1およびhB7-2を発現する。Fcフラグメントに融合したhCTLA4の細胞外ドメインを含む可溶性型のhCTLA4(CTLA4-ECD_Fc)をマイクロタイタープレートのFACS緩衝液中で種々の濃度の選択抗hCTLA4抗体と共に室温(RT)でプレインキュベートした。30分後、1x10
5個のラージ細胞を各ウエルに加え、さらに30分間インキュベートした。ラージ細胞に結合したCTLA4-ECD_Fcを、非ブロッキング抗CTLA4抗体(PerCP-eFluor(登録商標)710で標識した抗ヒトCD152(CTLA4)(クローン14D3)、Affymetrix eBioscienceカタログ番号46-1529)で検出した。結合CTLA4-ECD_Fcのレベルをフローサイトメトリー分析により検出し、CTLA4-ECD_Fcの結合をMFIとして報告した。IC
50値を、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,Inc.,La Jolla,CA,USA)を用いて計算した。
【表11】
【0345】
第2の抑制アッセイでは、CTLA4二重細胞レポーターアッセイ(Promega CS186907)を用いて、抗CTLA4抗体のCTLA4活性に対する機能的効果を評価した。このアッセイでは、IL-2プロモーターにより促進されるルシフェラーゼレポーターを発現しているヒト細胞であるジャーカット細胞の抗CD3活性化によりルシフェラーゼ産生が誘導され、これは、同じジャーカット細胞上に発現したhCTLA4のhB7-1またはhB7-2(添加ラージ細胞由来)結合により抑制できる。hCTLA4に結合し、hB7-1またはhB7-2結合を抑制または遮断する抗CTLA4抗体が、IL-2経路を遮断する抑制シグナルを除去し、それにより、二重細胞レポーター系におけるルシフェラーゼシグナルを回復する。
【0346】
このアッセイは、以下で手短に記載のように、基本的に製造業者の説明書に従って実施された。アッセイ培地(RPMI 1640培地(例えば、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むATCC(登録商標)30-2001(商標)を参照)中のCTLA4を発現している遺伝子改変ジャーカットT細胞を、ウエルあたり15μL中の5x10
4個の細胞として、ハーフエリア96ウエルプレート(Costar、カタログ番号3688)に分配した。別々のマイクロタイタープレート中に、系列希釈のそれぞれの試験抗体を作製した。その後、ジャーカットT細胞を含む各ウエルは、2種の15μLの追加物を受け入れた。その内の1つは試験抗体希釈物を含有し、残りの1つは、5x10
4個のラージ細胞(hB7-1およびhB7-2を発現している)および抗CD3抗体を含有した。マイクロプレートを5%CO
2中、37℃で16時間インキュベートした。インキュベーション後、製造業者の説明書に従い、40μLのBio-Glo(商標)試薬(Promega、カタログ番号G7941)を各ウエルに加えた。ルシフェラーゼ活性をEnVision 2103 Multilabel Reader(PerkinElmer)を用いて検出した。データを相対発光強度(RLU)としてプロットし、GraphPad Prismソフトウェアを用いて解析し、IC
50値を決定した。
図11および下表12は、CTLA4に結合しなかったネガティブコントロール抗体(アイソタイプ適合対照)に比べて、12個全ての抗hCTLA4抗体が増大したルシフェラーゼ発現を生じさせたことを示す。これらのデータは、試験した抗hCTLA4抗体が、hCTLA4とhB7-1および/またはhB7-2との相互作用を抑制し、それにより、IL-2経路の機能的抑制を低減したことを強く示唆する。抗体10D1は、ポジティブコントロールとして使用した抗CTLA4抗体(イピリムマブ)である。
【表12】
【0347】
実施例5:抗hCTLA4抗体のT細胞活性化に与える効果
選択抗hCTLA4抗体のT細胞活性化を高める能力を、インビトロブドウ状球菌エンテロトキシンB(SEB)T細胞活性化アッセイで試験した。3人の異なるドナーからのヒト末梢血単核球(PBMC)を0.5μg/mlのOKT3(T細胞を活性化できる抗CD3抗体)を用いて、完全RPMI-1640培地(Invitrogen RPMI-1640プラス5%FBS)中で3日間プレ活性化した。PBMC(3日目には、ほぼ活性化T細胞からなる)を採取し、温かい培地で3回洗浄し、2日間静置した。その後、静置したプレ活性化PBMCを96ウエルマイクロタイタープレートのウエル中に3x104個/ウエルで分配した。その後、各ウエルに次の添加を行った:100ng/mlの最終濃度のSEB、予め自己CD3+T細胞を枯渇させた1x104個のPBMC、および種々の濃度の各試験抗体。2日後に培養上清を採取し、IL-2のレベルを酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定した。
【0348】
図12および下表13は、単一ドナー由来の二通りの試料(これは、その他のドナーで実施した実験を代表するものであった)からの結果を示す。これらの結果は、試験した抗hCTLA4抗体すべてがIL-2の産生を増大させることができることを示す。試験した抗体の中で、10D4が最も強力であった。10D1という名称の抗体は、ポジティブコントロールとして使用した抗hCTLA4ヒトIgG1カッパ抗体(イピリムマブ)である。
【表13】
【0349】
実施例6:抗hPD1抗体の細胞表面に発現したhPD1への結合
次の実験は、選択抗hPD1抗体が、活性化されたT細胞の表面上に発現した未変性のPD1に結合できるか否かを試験した。ヒトPBMCを1μg/mlの濃度のOKT3(抗CD3抗体)でプレ活性化した。3日後、この時点でほぼ活性化されたT細胞であったPBMCを、96ウエルマイクロタイタープレートに0.1x106細胞/ウエルで分配した。種々の濃度の選択抗hPD1抗体をウエルに添加し、プレートをFACS緩衝液中、4℃で30分間インキュベートした(実施例3に記載のように)。CD4+T細胞およびCD4-T細胞(主にCD8+T細胞)に結合した抗体を、抗hIgG-FITCおよびアロフィコシアニン標識抗CD4抗体(抗CD4-APC)を用いて検出した。
【0350】
フローサイトメトリー(FACScalibur、BD)により試料を分析し、結合をMFIとして報告した。GraphPad Prismソフトウェアを使って、結合に対するEC
50を計算した。データを下表14で報告する。
【表14】
【0351】
これらのデータは、このアッセイで観察されたEC50にはバラツキがあったが、全ての試験抗hPD1抗体が、T細胞上に発現したhPD1に結合し得ることを示す。
【0352】
実施例7:抗hPD1抗体によるhPD1/hPDL1相互作用の抑制
2つの異なるアッセイを使用して、抗hPD1抗体のhPD1とそのリガンドのhPDL1との相互作用を抑制する能力を評価した。二重細胞レポーターアッセイにより、選択抗hPD1抗体のhPDL1(Promegaカタログ番号J1250、以前のカタログ番号CS187106)との相互作用により媒介されるhPD1機能を抑制する能力が試験された。選択抗hPD1抗体が、hPDL1のhPD1への結合を抑制する能力を、ALPHALISA(登録商標)(PerkinElmer)を用いて測定した。
【0353】
PD1二重レポーターアッセイ系は、PDL1とT細胞上に発現したPD1との相互作用は、抗CD3抗体活性化により誘導されたT細胞中の活性化T細胞の核内転写因子(NFAT)遺伝子のプロモーターからの転写を抑制するという事実に依存している。このアッセイで使用されるT細胞は、それらの細胞表面上にhPD1を発現し、また、発現がNFATプロモーターにより促進されるルシフェラーゼ遺伝子を含む。細胞表面上のhPD1がhPDL1により結合されると、ルシフェラーゼ産生は抑制されることになる。抗hPD1抗体がhPDL1のhPD1への結合が妨げられる場合、この抑制は逆転する。
【0354】
アッセイは次のように実施した。hPDL1および抗CD3を発現しているCHO-K1細胞(例えば、ATCC(登録商標)CCL-61(商標)参照)(50μLの10%FBS含有F-12培地(例えば、ATCC(登録商標)30-2004(商標)参照)中の4x104個の細胞/ウエル)を、ハーフエリア96ウエルプレート(Costar、3688)に分配し、一晩インキュベートした。翌日、別のプレートで、それぞれの試験抗体のアッセイ培地(2%FBS含有RPMI 1640)中の68nMの濃度から出発する2倍系列希釈を二通りに作製した。その後、CHO-K1細胞を含有する各ウエルから培地を取り出し、希釈試験抗体含有プレートのウエル由来の20μLおよびhPD1を発現し、NFAT-ルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む20μLのジャーカットT細胞(4x104)で置換した。プレートを5%CO2中、37℃で6時間インキュベートした。インキュベーション後、製造業者の説明書に従い、38μLのBio-Glo(商標)試薬(Promega、カタログ番号G7941)を各ウエルに加えた。ルシフェラーゼ活性をEnVision Multilabel Reader(PerkinElmer)で読み取った。データをRLUとしてプロットし、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,Inc.,La Jolla,CA,USA)を用いて解析し、IC50値を決定した。
【0355】
データを
図13および下表15に示す。アイソタイプ対照10D1 IgG4(これは、抗CTLA4抗体である)に比較して、10個全ての試験した抗hPD1抗体がPD1/PDL1相互作用を抑制した。試験抗体は、ニボルバムの可変ドメインを有する1つのポジティブコントロール抗体、すなわち、PD1/PDL1相互作用を抑制するIgG4抗hPD1抗体のNivo G4よりも強力であった。
【表15】
【0356】
また、ALPHALISA(登録商標)アッセイ(PerkinElmer,USA)を用いて、選択抗hPD1抗体によるhPD1とそのリガンドhPDL1との相互作用の抑制も試験した。手短に説明すると、可溶性ビオチン化タイプのPD1タンパク質(これは、インビボでビオチン化し(例えば、Ashraf et al.(2004),Protein Expr.Purif.33(2):238-245を参照)、細胞外領域のみを含んでいた)含有10μLおよびALPHALISA(登録商標)イムノアッセイ緩衝液(PerkinElmer、カタログ番号AL000)中の種々の濃度の抗hPD1抗体含有10μLを96ウエルハーフエリアプレート(PerkinElmer,USA)のウエル中で混合し、室温で1時間インキュベートした。その後、可溶性のグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)タグ付きヒトPDL1(細胞外ドメインのみを含む;1nMの濃度の10μL)を加え、混合物を室温でさらに1時間インキュベートした。次に、10μLのGSTアクセプタービーズ(これはGSTタグ付きPDL1に結合できる)を16μg/mLの最終濃度で加え、プレートを室温で1時間振盪した。最後に、10μLのストレプトアビジンドナービーズ(これはビオチン化hPD1に結合できる)を加えて、ドナービーズを16μg/mLの最終濃度にし、プレートを室温下、暗所で1時間インキュベートした。hPD1とhPDL1が結合または相互作用する場合、ドナーおよびアクセプタービーズは、相互に近接し、それによりシグナルが検出されるはずである。この相互作用または結合を抑制する抗体は、その抑制抗体がドナーおよびアクセプタービーズの物理的近接を妨げるために、このシグナルを低下させるであろう。
【0357】
680nMの波長の照射および約615mMの波長の読み出し発光を用いて、プレートをEnVision 2103 Multilabel Reader(PerkinElmer)で読み取った。結果をプロットし、GraphPad Prismソフトウェアを使って、IC
50値を計算した。結果を
図14および下表16に示す。
【表16】
【0358】
これらのデータは、試験抗体が、hPDL1のhPD1に対する結合を、ポジティブコントロールとして用いた2つの抗hPD1抗体、Nivo-G4およびPembro-G4よりも強力に抑制できたことを示す。
【0359】
実施例8:混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおける抗hPD1抗体の試験
選択抗hPD1抗体のT細胞活性化を高める効力を、MLRアッセイで試験した。手短に説明すると、単球由来未成熟樹状細胞(iDC)を刺激剤として使用した。iDCを調製するために、ヒト単球単離キット(Miltenyi)を用いて単球をPBMCから単離し、800U/mLの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および500U/mLのインターロイキン-4(IL-4)を含む完全RPMI培地中で6日間培養した。その後、培養単球(現時点では主にiDC)由来の2x104個の細胞を1x105の同種CD3+T細胞を用いて、選択抗hPD1抗体の存在下、96ウエル平底プレート中、37℃で培養した。iDCがT細胞を活性化すること、およびネガティブ(negative)PD1経路が、T細胞表面上に発現した、リガンド結合hPD1を介して活性化されない場合には、その活性化はより大きくなるであろうことが予測される。したがって、抗PD1抗体がhPD1とそのリガンドとの相互作用を抑制する場合には、抗hPD1抗体はT細胞活性化を高め得ることが予測される。
【0360】
5日後に、培養上清を収集した。IFNガンマDuoSet ELISAキット(R&D Systems)を用いて、IFNγレベルを測定した。CLICK-IT(登録商標)Plus EdU Alexa Fluor(登録商標)Flow Cytometry Assayキット(Life Technologies、この会社は現在、ThermoFisher Scientificの一部である)を用いて、製造業者の説明書に従って、T細胞増殖を測定した。手短に説明すると、15μMの最終濃度のEdUを、5日目、採取の24時間前に加えた。T細胞サブセットの増殖は、CD4+またはCD4-(主にCD8+)T細胞サブセット中のEdU+細胞のパーセンテージとして示される。CD4+およびCD4-細胞を標識した抗CD4抗体で識別した。
【0361】
図15に示すように、選択抗hPD1抗体は、IFNγ産生およびCD4
+とCD8
+T細胞の増殖を促進した。これらの抗体のEC
50値を、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.,La Jolla,CA)を用いて計算し、下表17に示す。示した結果は、3つのHLA不適合ドナー対由来のMLR分析結果を代表するものである。対照IgGは、無添加で観察されたものに比べて、IFNγ産生を高めなかった(
図15参照)。
【表17】
【0362】
実施例9:抗hPD1抗体のサイトメガロウイルス(CMV)リコール応答のアッセイ
選択抗hPD1抗体の抗原特異的T細胞記憶応答に対する効果を試験するために、CMV血清陽性ドナー由来の1x105個のPBMC(Bentech,Seattle,WA)を96ウエル丸底マイクロタイタープレートの完全RPMI-1640培地中の種々の抗体濃度の存在下、37℃で1.5μg/mlのCMVライセート(Astarte Biologics)を用いて刺激した。5日後に、培養上清を収集し、IFNγレベルを測定した。EC50値を上述のように計算した。
【0363】
結果を
図16および下表18に示す。抗hPD1抗体は、CMVライセートに応答して、PMBCによる抗原特異的IFNγ産生を高めた。結果は、異なるCMV血清陽性ドナーを用いた2つの実験を代表するものである。対照IgG抗体は、同一濃度で、抗hPD1抗体ほどは、CMVライセートに対する応答によるIFNγの産生を高めなかった。すなわち、対照IgGのEC
50は10,000pM超であった。データは示していない。
【表18】
【0364】
実施例10:抗hPD1抗体の結合特性
5つの異なる抗hPD1抗体(#1、#3、#4、#7および#10)の組換えヒト(rhu)PD1(細胞外ドメインのみ)に対する結合の、結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)、および平衡解離定数(KD=kd/ka)を下記のように測定した。これらの抗hPD1抗体(#1および#7)の内の2つの、組換えカニクイザル(rcyno)PD1の細胞外ドメインに対する結合について、同じ値を測定した。
【0365】
HBS-EP緩衝液(10mMヘペス、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.005%のポリソルベート20、0.1%のウシ血清アルブミン、pH7.4)中で、CM5センサーチップを備えたBiacore 3000光学バイオセンサーを用いて、製造業者の一般プロトコルに従って、バイオセンサー分析を25℃で実施した。オートサンプラーを周囲温度で維持した。ヤギ抗ヒトIgG捕捉抗体(Jackson Laboratories;109-005-098)を標準的アミンカップリング化学を使ってセンサーチップのフローセル3および4に固定した。この抗体の約8000共鳴単位(RU)をこれらのチップに固定した。フローセル4を使って、捕捉抗hPD1抗体を分析し(フローセル4で約100~200RUを捕捉した)、一方、フローセル3を基準フローセルとして使用した。両方の分析物、すなわち、組換えヒトPD1および組換えカニクイザルPD1を、各試験抗体に対し、5種の濃度で調製した。試験した分析物濃度は、1.2~300nMの範囲であった。全ての分析物の希釈物をHPS-EP緩衝液中で調製した。結合の再現性の評価手段および注入の順番に対する系統的バイアスの軽減手段として、それぞれ5種の分析物試料濃度を二通りに、および混合順に実験した。複数のブランク(ランニングバッファー)注入も実験し、システムアーチファクトを評価し、これを差し引くのに使用した。全ての分析物濃度に対する結合領域および解離領域を、50μL/分の流速で、それぞれ、300秒および1500秒間モニターした。抗体試料間で、10mMのグリシン、pH1.5を用い、50μL/分の流速で30秒間、フローセルの表面を再生した。
【0366】
データを整列させ、二重基準とし、SCRUBBER 2(商標)ソフトウェア(BioLogic Software,Pty,Australia)を用いてカーブフィッティングを行った。SCRUBBER 2(商標)ソフトウェアは、表面プラズモン共鳴法(SPR)データ処理および非線形最小2乗回帰フィッティングプログラムである。解離速度定数(kd)は、最初の1500秒の解離領域データから決定した。その後、一次結合モデルを用いて結合速度定数(ka)および表面の分析物結合能力(Rmax)を決定するために、解離速度定数を結合領域データのグローバルフィットにおける固定パラメーターとして適用した。
【0367】
結果を下表19に示す。試験した抗体の中で、抗hPD1抗体#7は、ヒトおよびカニクイザル両方のPD1に結合するための最小のK
Dを有する。
【表19】
【0368】
実施例11:単一宿主細胞株中における1対の抗体の産生のための抗hPD1および抗hCTLA4の設計
次の実験の目的は、2つの主要な抗体種、抗hPD1抗体と抗hCTLA4抗体のみを発現する宿主細胞株を得ることであった。非同族HC/LC対形成および/またはHC/HCヘテロダイマーの形成は、おそらく、2つの異なるHCおよび2つの異なるLCをコードするDNAを遺伝子導入した細胞で、10種もの異なる抗体種の産生に繋がるであろう。我々は、抗hPD1抗体由来のHCおよび抗hCTLA4抗体由来のLCをコードするDNAを遺伝子導入した細胞(逆もまた同じ)、すなわち、非同族HC/LC対は、IgG抗体を産生できる、プロミスキャスHC/LCが生じることを示すことを観察した。データは示していない。
【0369】
次の実験では、抗体は、同族HC/LC対を強化し、非同族HC/LC対を弱め、さらにHC/HCヘテロダイマーを弱めるように改変された。米国特許仮出願第62/342,167号の実施例3(参照により本明細書に組み込まれる)には、改変タイプの抗hPD1および抗hCTLA4抗体が記載されている。変種対18Cは、改変IgG4抗PD1抗体(HC1およびLC1を含む)および改変IgG1抗hCTLA4抗体(HC2およびLC2を含む)を含む。これらのHCおよびLCは、次の変化を含む:HC1、G44D、Q105R、K147R、H168R、およびV173C;LC1、V43D、G100R、S131D、S174D、およびS162C;HC2、G44R、Q105D、V173C、K147D、H168D、D399R、およびK409E;およびLC2、A43R、P100D、Q160C、S131R、およびS174R。米国特許仮出願第62/342,167号の表18(参照により本明細書に組み込まれる)。これらの変化は、HC1/LC1中の次の電荷対を生成する:G44D/G100R、Q105R/V43D、K147R/S131D、およびH168R/S174D。次の類似の一連の電荷対がHC2/LC2中で生成される:G44R/P100D、Q105D/A43R、K147D/S131R、およびH168D/S174R。これらの変化はまた、非同族HC/LC対を弱める可能性がある。理由は、それらは、非同族HC/LC対、例えば、G44D(HC1)/P100D(LC2)中で、同じ電荷を有する接触残基を生成するためである。接触システイン対残基もまた、HC1/LC1(V173C/S162C)およびHC2/LC2(V173C/Q160C)中に生成された。さらに、抗CTLA4 HC中の変化D399RおよびK409Eは、HC/HCヘテロダイマー、すなわち、抗hCTLA4抗体のHCと対形成した抗hPD1抗体のHCの形成に敵さない。理由は、それは、ヘテロダイマー中に同じ電荷を有する接触残基、例えば、D399R(HC2)/409R(HC1)を生成するためである。抗体の18C変種対中の変化は、抗hPD1抗体#1のHCおよびLC(それぞれ、配列番号185および187;本明細書では、改変抗hPD1抗体#1と呼ばれる)および2つの異なる抗hCTLA4抗体、10D4(それぞれ、配列番号189および191;本明細書では、改変抗hCTLA4 10D4と呼ばれる)、および11F4(それぞれ、配列番号193および195;本明細書では、改変抗hCTLA4 11F4と呼ばれる)のHCおよびLC中に組み込まれた。さらに、2つの改変抗hCTLA4抗体は、それらのHC中に追加の変化R255Kを含み、これは、抗体のインビボクリアランスを高める。
【0370】
位置のナンバリングについてのいくつかの起こり得る混乱を明確にするために、出願者らは、本明細書に添付した配列表中に開示のいくつかの配列における、上記選択変化の実際の位置を以下に示す。例えば、変化G44D、Q105R、K147R、H168R、およびV173Cは、それぞれ、配列番号185中の位置44、111、149、170、および175である。同様に、変化V43D、G100R、S131D、S162C、およびS174Dは、それぞれ、配列番号187中の位置49、106、137、168、および180である。
【0371】
これらの改変抗体をコードするDNAは、米国特許仮出願第62/342,167号の実施例3で説明されている「チェインドロップアウト」実験で試験された。この特許仮出願は、参照により本明細書に組み込まれる。手短に説明すると、改変抗hPD1および抗hCTLA4抗体のそれぞれの対、すなわち、(1)改変抗hPD1#1/改変抗hCTLA4 10D4および(2)改変抗hPD1#1/改変抗hCTLA4 11F4、に対する一連の5種の遺伝子導入において、5つの異なるDNAの組み合わせを使用した。各対の抗体に対し、次のHCおよびLCをコードするDNAを、5種の別々の遺伝子導入:1)HC1、LC1、HC2、およびLC2;2)HC1およびLC1;3)HC1およびLC2;4)HC2およびLC2;ならびに5)HC2およびLC1、によりEXPI293(商標)細胞に遺伝子導入した。形質移入体を培養し、培養上清を採取して、SDS-PAGEおよびウェスタンブロッティングで分析した。抗体をHRP標識ポリクローナルヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)を用いて検出した。
【0372】
図17からわかるように、HC1、LC1、HC2、およびLC2をコードするDNAをEXPI293(商標)細胞に同時遺伝子導入した場合、上清中で約150キロダルトン(Kda)のIgG抗体が検出された(
図17、レーン1および6)。HC1およびLC1またはHC2およびLC2をコードするDNAを同時遺伝子導入した場合、約150Kda完全長抗体も検出され(
図17、レーン2、4、7、および9)、同族HC/LC対を形成し得ることを示す。しかし、非同族HC1/LC2対およびHC2/LC1対をコードするDNAを同時遺伝子導入した場合、抗体は検出されず(
図17、レーン3、5、8、および10)、非同族HC/LC対は、簡単には形成されないことを示唆する。したがって、これらのデータは、これらの抗体中の変化が、変化の非存在下で観察される非同族HC/LC対形成を低減または排除したことを示唆する。
【0373】
これらの結果を確認するために、質量分析を実施した。分析用の十分な材料を得るために、改変抗体、すなわち、改変抗hPD1#1/改変抗hCTLA4 10D4および改変抗hPD1#1/改変抗hCTLA4 11F4のHCおよびLC(HC1、LC1、HC2、およびLC2)の各対をコードするDNAを用いて、細胞に大規模に遺伝子導入した。培養上清中の抗体をプロテインA親和性クロマトグラフィーにより精製した。これらの抗体を、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源を備えたAgilent 6224精密質量飛行時間(TOF)質量分析計による質量分析に供した。
【0374】
図18のパネルAおよびBは、改変抗hPD1#1/改変抗hCTLA4 10D4対の結果を示す。パネルAは、広範囲のサイズにわたる結果を示し、パネルBは完全長IgG抗体のサイズ範囲、すなわち、150Kdaのすぐ下の領域を拡大したものである。パネルAは、完全長IgG抗体のサイズ範囲内に2つの主ピークおよび約75KdaにおそらくHCおよびLCを含むハーフ抗体と思われる微小ピークを示す。パネルBは、145,473.16ダルトンに主要ピークを示し、これは、完全長改変抗hCTLA4 10D4の予測質量(145477.80ダルトン)と100万分の32(32ppm)の誤差で一致する。147,065.89ダルトンのより短いピークは、改変抗hPD1#1の予測質量(147068.86ダルトン)と20ppmの誤差で一致する。ピーク下面積の計算により、改変抗hCTLA4 10D4および改変抗hPD1#1抗体は、
図18、パネルBに示すように、混合物中の抗体の質量の、それぞれ72.8%および27.2%を占める。
【0375】
図19のパネルAおよびBは、改変抗hPD1#1/改変抗hCTLA4 11F4対の結果を示す。パネルAは、広範囲のサイズにわたる結果を示し、パネルBは完全長IgG抗体のサイズ範囲の領域を拡大したものである。パネルAは、完全長IgG抗体のサイズ範囲内に2つの主ピークおよび約75Kdaの微小ピークを示す。パネルBは、145,430.59ダルトンに主要ピークを示し、これは、完全長改変抗hCTLA4 10D4の予測質量(145,427.68ダルトン)と20ppmの誤差で一致する。147,076.88ダルトンのより短いピークは、改変抗hPD1#1の予測質量(147,068.86ダルトン)と54.5ppmの誤差で一致する。改変抗hCTLA4 11F4および改変抗hPD1#1抗体は、
図19、パネルBに示すように、混合物中の抗体の質量の、それぞれ70.9%および29.1%を占める。
【0376】
下表20および21は、同族または非同族HC/LC対形成および/またはHCのホモまたはヘテロダイマー形成に起因し得る全ての可能なIgG種の予測質量を示す。表20および21中の、HC1およびLC1は、改変抗hPD1#1のHCおよびLCである。HC2およびLC2は、改変抗hCTLA4 10D4(表20)および11F4(表21)のHCおよびLCである。
【表20】
【表21】
【0377】
上記チェインドロップアウト実験からの結果と合わせて、質量分析データは、2つの主要な抗体種のみを含む混合物を単一宿主細胞株中で産生できることを強く示唆する。
【0378】
実施例12:改変抗体の効力を評価するためのルシフェラーゼレポーターアッセイ
次の実験は、改変(実施例11で記載のように)および未改変型の抗hCTLA4抗体10D4または11F4ならびに改変および未改変型の抗hPD1抗体#1、単独または単一宿主細胞株により産生した(上記実施例11で記載のように)改変抗PD1#1および改変CTLA4抗体(10D4または11F4)を含む混合物の、効力を試験した。
【0379】
抗hCTLA4効力に関するこのアッセイは、米国特許仮出願第62/342,167号の実施例8(参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。手短に説明すると、CTLA4およびルシフェラーゼを安定に発現しているジャーカット細胞(Promega Corporation,Madison,WI,USAから入手)をマイクロタイタープレートに播種した。1日間のインキュベーション後、hCD80(hB7-1とも呼ばれる)およびhCD86(hB7-2とも呼ばれる)を発現するラージ細胞を、抗hCTLA4抗体(改変または未改変10D4または11F4または対照抗体10D1)または改変抗hPD1#1および改変抗hCTLA4 10D4または改変抗hCTLA4 11F4を含む混合物の1種と共に、各ウエルに添加した。抗体の混合物が使用される場合、抗hCTLA4抗体の量は、混合物中の抗hCTLA4抗体のパーセンテージを基準にして決定した。実施例11を参照されたい。ラージ細胞上に発現したhCD80およびhCD86は、ジャーカット細胞上のhCTLA4と結合でき、ルシフェラーゼの発現を抑制する細胞内のシグナル伝達経路を活性化する。抗hCTLA4抗体がhCTLA4のhCD80および/またはhCD86との結合を妨げる場合、ルシフェラーゼ発現は増大する。異なるウエルが異なる濃度の抗体または抗体混合物を有するように、抗体または混合物の系列希釈を実施した。プレートを37℃でインキュベートし、その後、BIO-GLO(商標)ルシフェラーゼ試薬(Promega、カタログ番号G7941)を加えた。プレートを、ENVISION(登録商標)プレートリーダー(PerkinElmer)で読み取った。イピリムマブと同じVHおよびVLを有する、抗hCTLA4抗体10D1をポジティブコントロールとして用いた。無関係のヒトIgG1抗体(HuIgG1)をネガティブコントロールとして使用した。結果を
図20ならびに下表22および23に示す。
【表22】
【表23】
【0380】
これらの結果は、抗hCTLA4 10D4、改変抗hCTLA4 10D4、改変抗hCTLA4 10D4と改変抗hPD1#1との混合物のIC50は同等であり、また、抗hCTLA4 11F4、改変抗hCTLA4 11F4、および改変抗hCTLA4 11F4と改変抗hPD1#1との混合物のIC50も同じく同等であったことを示す。したがって、このアッセイでは、抗CTLA4抗体10D4および11F4中の変化は、それらの効力にほとんど影響を与えなかった。
【0381】
抗hPD1の効力に関するアッセイは、米国特許仮出願第62/342,167号の実施例7(参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。手短に説明すると、hPD1およびルシフェラーゼを安定に発現しているジャーカット細胞(Promega Corporation,Madison,WI,USAから入手)を96ウエルプレートに播種した(20μl中の4x10
4細胞/ウエル)。1日のインキュベーション後、hPDL1を安定に発現しているCHO細胞(20μl中の5x10
4細胞/ウエル)を、種々の希釈度の試験抗体または抗体混合物(20μl)と共に加えた。CHO細胞上に発現したhPDL1は、ジャーカット細胞上のhPD1と結合でき、ルシフェラーゼの発現を抑制する細胞内のシグナル伝達経路を活性化する。抗体がhPD1/hPDL1の結合を妨げる場合、ルシフェラーゼ発現は増大する。プレートを5%CO
2中、37℃で6時間インキュベートした。BIO-GLO(商標)ルシフェラーゼ試薬(Promega、カタログ番号G7941)を加え(40μl/ウエル)、細胞を溶解し、プレートをENVISION(登録商標)プレートリーダー(PerkinElmer)で読み取った。ニボルバム(Nivo-G4)と同じVHおよびVLを含む、IgG4抗hPD1抗体をポジティブコントロールとして用い、無関係のIgG4抗体をネガティブコントロールとして用いた。結果を
図21ならびに下表24および25に示す。
【表24】
【表25】
【0382】
これらの結果は、改変抗hPD1抗体#1中の変化は、その効力にほとんど影響を与えなかったことを示す。さらに、実施例11に記載のように、単一細胞株中で産生された改変抗hPD1#1および改変抗hCTLA 10D4または11F4を含む混合物のIC50は、改変抗PD1#1単独の値と同等であった。
【0383】
実施例13:抗hPD1もしくは抗hCTLA4抗体またはそれらの混合物のT細胞活性化に与える効果
次の実験は、IgG4抗hPD1抗体、2つの内のいずれかのIgG1抗hCTLA4抗体、または抗hPD1抗体といずれかの抗hCTLA4抗体との混合物の、T細胞活性化に与える効果を試験する。
【0384】
健康なドナー由来のヒトPBMCを96ウエルU底マイクロタイタープレート中に、3x105細胞/ウエルで分配した。抗体(または抗体を欠く対照溶液)を各ウエルに加えた。次の、6種の異なる抗体、それらの組み合わせ、または抗体を欠く対照溶液を使用した:1)2.5μg/mlのIgG4抗hPD1#1抗体;2)10μg/mlのIgG1抗hCTLA4#10D4抗体;3)10μg/mlのIgG1抗hCTLA4#11F4抗体;4)2.5μg/mlの抗hPD1#1抗体および10μg/mlの抗hCTLA4#10D4抗体の混合物;5)2.5μg/mlの抗hPD1#1抗体および10μg/mlの抗hCTLA4#11F4抗体の混合物;または6)抗体を欠く対照溶液。ブドウ状球菌エンテロトキシンB(SEB)を種々の濃度(0、0.6、6、60、または600ng/ml)で全ウエルに加えた。全ての状態を二通りに試験した。細胞を5%CO2中、37℃で4日間インキュベートした。4日目に、細胞上清を収集して、アッセイし、ELISAを用いてIL-2のレベルを測定した。IL-2の絶対濃度を、既知の量のIL-2を用いて生成した検量線と比較することにより決定した。
【0385】
抗体を加えなかった対照試料は、IL-2産生の増加を示さなかった。
図22、パネルAおよびB、「X」のマークの実線。IgG4抗hPD1#1抗体の添加は、IL-2産生をわずかに高めた。
図22、パネルAおよびB、中実円マークの実線。IgG1抗hCTLA4#10D4またはIgG1抗hCTLA4#11F4抗体の添加は、IL-2産生を顕著に増加させた。
図22、パネルAまたはB、それぞれ、中実四角または中実ダイアモンドマークの点線。抗hPD1抗体および抗hCTLA4#10D4または11F4抗体の混合物の添加は、いずれかのこれらの抗体単独の添加よりも、IL-2産生を多く増加させた。
図22、パネルAおよびB、それぞれ、中空四角または中空ダイアモンドマークの実線。
【配列表】