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特許7455912情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム
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  • 特許-情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、検査装置、検査システム、検査システムの制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/894 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
G01N21/894 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022125413
(22)【出願日】2022-08-05
(65)【公開番号】P2024022078
(43)【公開日】2024-02-16
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】阿武 純
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-135197(JP,A)
【文献】特開2021-196311(JP,A)
【文献】特開2015-94675(JP,A)
【文献】特開2022-73944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを受信する受信手段と、
前記印刷データに含まれる画像を基準画像として登録する登録手段と、
受信した前記印刷データからバーコード検査に関する情報を抽出する抽出手段と、
印刷物のスキャンにより生成されたスキャン画像を受信すると、抽出された前記バーコード検査に関する情報に基づいて前記スキャン画像内のバーコードを検査する検査手段と、
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
抽出した前記バーコード検査に関する情報を検査設定に反映する設定手段をさらに備え、
前記受信手段は、前記印刷データとは異なる第2データを更に受信し、
前記抽出手段は、受信した前記第2データから前記バーコード検査に関する情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記印刷データは、基準画像を示すRIPデータであり、前記第2データは、検品に関する情報を含むファイルデータである
ことを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記印刷データの画素ごとに格納された前記バーコード検査に関する情報を抽出し、
前記画素ごとに格納された前記バーコード検査に関する情報は、前記画素がバーコードか否かを示す情報である
ことを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記基準画像を構成する前記画素のバーコードか否かの情報に基づいて、前記基準画像のバーコードの位置を判断し、前記検査設定を設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記バーコード検査に関する情報は、前記バーコードが示す値の正解値の情報であり、前記検査手段は、前記スキャン画像内のバーコードをデコードして得られた値が、前記正解値と一致するかを検査する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検査手段は、前記受信したスキャン画像と、前記登録手段で登録した基準画像とに基づいて前記印刷物の検査を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項8】
前記バーコード検査に関する情報は、前記バーコード検査の合格品質レベルであり、前記検査手段は、前記スキャン画像内のバーコードをデコードする際の精度が前記合格品質レベルに合致するかを検査する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項9】
少なくとも情報処理装置と検査装置とが通信可能に接続された検査システムであって、
前記情報処理装置は、
第1のデータから、バーコード検査に関する検査情報を抽出する抽出手段と、
前記第1のデータを第2のデータに変換する変換手段と、
前記抽出手段で抽出した前記検査情報を、前記第2のデータに格納する格納手段と、
前記検査情報が格納された前記第2のデータを検査装置に送信する送信手段と、
を備え、
前記検査装置は、
受信した前記第2のデータから抽出した画像を基準画像として登録する登録手段と、
前記第2のデータに格納された前記検査情報に従って印刷物のバーコード検査を行う検査手段と、
を備えることを特徴とする検査システム。
【請求項10】
前記バーコード検査に関する検査情報は、バーコードの位置を示す情報である
ことを特徴とする請求項9に記載の検査システム。
【請求項11】
前記バーコード検査に関する検査情報は、前記バーコード検査における検査基準を示す情報である
ことを特徴とする請求項9に記載の検査システム。
【請求項12】
前記第1のデータは、検査対象のPDLデータであり、前記第2のデータは、変換手段でのRIP処理により変換されたRIP画像である
ことを特徴とする請求項9に記載の検査システム。
【請求項13】
前記格納手段は、前記第2のデータの画素ごとにバーコードか否かの情報を格納する
ことを特徴とする請求項9に記載の検査システム。
【請求項14】
前記格納手段は、前記第2のデータの画素のもつ像域フラグにバーコードか否かの情報を格納する
ことを特徴とする請求項9に記載の検査システム。
【請求項15】
前記検査システムは、更に印刷物を出力する印刷装置と通信可能に接続されており、前記検査手段は、前記印刷装置により印刷された印刷物をスキャンしたスキャン画像と、前記スキャン画像に対応する前記基準画像とに基づいて検査を行う
ことを特徴とする請求項9に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置における印刷物を検査する検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷装置で印刷した印刷物を読み取り、印刷品位を検査する検査装置が知られている。検査装置は、汚れや印刷抜けなどの画像欠陥、文字の誤り、バーコード品位などを検出可能である。
【0003】
これらの検査では、基準画像として登録した欠陥がない画像と印刷物とを比較する方式がとられている。そこで、はじめに検査装置に基準画像を登録しておく必要があり、この登録のための処理を基準画像登録用ジョブと呼ぶ。基準画像登録が終了すると、ユーザが検査ジョブで行う欠陥を検出する領域や閾値を基準画像に対して設定する検査設定を行う。検査設定が終了すると、検査ジョブを実行し、実際の印刷物と登録された基準画像とを比較し欠陥を検出する検品を行う。
【0004】
ここで行う検査設定は、検査装置に登録した基準画像を用いて、手動で検査する領域と合格の閾値を設定しており、手間が掛かる。特にバーコードの場合は、前記画像品質だけでなく、印刷されたバーコードをスキャンし検査装置にてデコードして得られる値が正しいかどうかを比較検査するために、正解値を検査装置で設定する必要がある。
【0005】
特許文献1は、ホストコンピュータが、バーコード検査装置を備えるプリンタに対して、検査実行を指示する際、バーコードのビットマップと一緒にバーコード検査に必要な情報をプリンタに送信することで、検査を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-134521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法では、検査実行時にバーコード検査に必要な情報を送信しているため、基準画像登録時にバーコード検査に関する設定について検査装置に伝える手段がなかった。
【0008】
本願の一つの側面は、検査装置に基準画像を登録しバーコード検査の検査設定をする際に、検査設定の手順を効率化することができる仕組みを提供することである。
【0009】
更に、検査装置に基準画像を登録する際に、バーコード検査に関する情報を受信し設定されることによりバーコード検査に要する時間を短縮することができる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の検査装置は、印刷データを受信する受信手段と、前記印刷データに含まれる画像を基準画像として登録する登録手段と、受信した前記印刷データからバーコード検査に関する情報を抽出する抽出手段と、印刷物のスキャンにより生成されたスキャン画像を受信すると、抽出された前記バーコード検査に関する情報に基づいて前記スキャン画像内のバーコードを検査する検査手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一つの側面によれば、検査装置に基準画像を登録する際に、バーコード検査の手順を効率化することができる仕組みを提供することができる。
【0012】
例えば、検査装置に基準画像を登録する際に、バーコード検査に必要な情報を情報処理装置から検査装置に送信するため、バーコード検査に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る機器構成図の一例
図2】実施形態に係るハードウェア構成図の一例
図3】(A)~(F)実施形態に係る各装置における機能ブロック図の一例
図4】(A)実施形態に係るRIP検品処理の流れの一例(B)実施形態に係るスキャン検品処理の流れの一例
図5】実施形態に係る合格品質レベルの設定画面の一例
図6】(A)実施形態に係る情報処理装置の処理フローチャートの一例(B)実施形態に係る検査装置の処理フローチャートの位置例
図7】(A)~(B)実施形態に係るデータの一例
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。なお以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
図1
図1は、本実施形態に係る検査システムの構成を説明する図である。検査システムは、印刷装置0101、検査装置0108、大容量スタッカ0107、情報処理装置0109、クライアントコンピュータ0110、検査ユニット0106により構成されている。なお、本実施形態の印刷装置は電子写真方式の印刷装置を用いて説明するが、本実施形態における印刷装置は、インクジェット方式、オフセット方式など、異なる画像形成方式の印刷装置であっても良い。本実施例では情報処理装置と印刷装置は別ハードウェアとして説明するが、一体化した所謂プリンタであっても良い。別ハードウェアとすると情報処理装置は印刷ジョブ(印刷データ)をRIPすることに特化し印刷装置は用紙に画像を作像することに特化でき、潤沢な処理用ハードウェアを備えるため全体の処理能力が向上できる。
【0016】
印刷装置0101は、ケーブル0112を介して情報処理装置0109と接続されている。情報処理装置0109は、ネットワーク0113を介してクライアントコンピュータ0110と接続されている。印刷装置0101は、UIパネル0102、給紙デッキ0103および給紙デッキ0104を備える。さらに、3段の給紙デッキからなるオプションデッキ0105が接続される。印刷装置0101は、例えば電子写真方式の印刷装置である。また、UIパネル0102は、例えば静電容量方式のタッチパネルを備えたユーザインターフェースである。印刷装置0101は、検査ユニット0106、大容量スタッカ0107、インサータ0115を備える。検査ユニットは、ケーブル0114を介して検査装置0108と接続されている。大容量スタッカ0107はメイントレイとトップトレイを備え、メイントレイには一度に数千枚の用紙を積載することができる。インサータ0115はインサータトレイを備え、印刷ジョブに挿入紙を挿入することができる。
【0017】
印刷ジョブはクライアントコンピュータ0110で生成され、ネットワーク0113を介して情報処理装置0109に送信され、情報処理装置0109で管理される。そして、印刷ジョブは情報処理装置0109からケーブル0112を通じて印刷装置0101に送信され、印刷装置0101が用紙に印字する処理を行う。なお、印刷ジョブは、情報処理装置0109において生成・管理され、ネットワーク0112を介して印刷装置0101に送信され、印刷装置0101で管理される形態をとっても良い。なお、クライアントコンピュータ0110、情報処理装置0109、検査装置0108はケーブル0112に接続されて印刷装置0101と通信できる形態をとっても良い。また、検査装置0108もネットワーク0113を介して情報処理装置0109、クライアントコンピュータ0110と接続される形態をとっても良い。即ち、本実施形態に示す印刷装置0101、情報処理装置0109、クライアントコンピュータ0110の接続形態は一例であり、本実施形態で示した他にも様々な接続形態があることは言うまでもない。また、印刷装置0101には検査ユニット0106、大容量スタッカ0107以外にもステープル可能なフィニッシャや折り機、製本機などが接続する形態であっても良い。
【0018】
図2
図2は、本実施形態の印刷装置0101、検査装置0108、大容量スタッカ0107、情報処理装置0109、クライアントコンピュータ0110、検査ユニット0106のハードウェア構成図である。印刷装置0101のハードウェア構成は以下の通りである。
【0019】
CPU(Central Processing Unit/中央演算装置)0201は、システムバス0212を介して印刷装置0101内の各部における制御や演算を司る。CPU0201は、記憶部0205に格納され、RAM(Ramdom Access Memory)0202にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0202は、CPU0201から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0201のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。
【0020】
記憶部0205は一般的にHDD(Hard Disk Drive)やFlashメモリが用いられ、印刷装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。エンジンI/F0209は、プリンタエンジン0210との通信、制御を司る。給紙デッキI/F0204は、給紙デッキ0211との通信、制御を司る。給紙デッキ0211は、給紙デッキ0103、0104、オプションデッキ0105をハード構成として総称するものである。
【0021】
UIパネル0203は、UIパネル0102のハード構成であり、印刷装置0101の操作全般を行うためのユーザインターフェースである。本実施形態では、UIパネル0203は静電容量方式のタッチパネルを備えたものとする。ネットワークインターフェース(以下、NW I/F)0207は、ケーブル0213を介して情報処理装置0109のNW I/F0238と接続され、情報処理装置0109と印刷装置0101の通信を司る。なお、この例ではシステムバス0212、0239に接続されたインターフェース同士が直接接続されている形式であるが、情報処理装置0109と印刷装置0101は例えばネットワーク等で接続されている形式でもよく、その接続形式を限定しない。ビデオI/F0206は、ビデオケーブル0241を介してビデオI/F0233と接続され、情報処理装置0109と印刷装置0101の間の画像データの通信を司る。
【0022】
なお、情報処理装置0109における印刷装置0101との接続インターフェースは、NW I/F0238とビデオI/F0233の機能を統合した形式をとっても良い。また、印刷装置0101における情報処理装置0109との接続インターフェースは、NW I/F0207とビデオI/F0206の機能を統合した形式をとっても良い。アクセサリI/F0208は、ケーブル0225を介してアクセサリI/F0214、アクセサリI/F0220と接続する。即ち、印刷装置0101はアクセサリI/F0208、0214、0220を介して検査ユニット0106、大容量スタッカ0107と互いに通信を行う。
【0023】
検査ユニット0106のハードウェア構成は以下の通りである。CPU0216は、システムバス0219を介して検査ユニット0106内の各部における制御や演算、記憶部0247に格納され、RAM0217にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0217は、CPU0216から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0216のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0247は、検査装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。検査装置I/F0215は、ケーブル0249を介して検査装置ユニットI/F0231と接続する。即ち、検査ユニット0106は、検査装置I/F0215と検査装置ユニットI/F0231とを介して検査装置0108と通信を行う。
【0024】
撮影部0218は、例えばコンダクトイメージセンサ(以下、CIS)を搭載した撮影機能を備え、検査ユニット内を通過する用紙を撮影し、撮影した画像を検査装置I/F0215を介して検査装置0108に送信する。なお、撮影部0218に対するCISはセンサの一例であり、CCDイメージセンサなど他の種類のセンサであっても良く、その撮影方式を限定しない。撮影した画像を送信する目的は二つある。一つは、検査の方式を問わず、検査対象の印刷ジョブの印刷物を撮影し、検査のために検査装置0108に送信するためである。もう一つは、検査方式がスキャン検品である場合に、検査対象の印刷ジョブの前に1部ないし複数部の印刷ジョブを基準画像の作成のために印刷、撮影し、基準画像として検査装置0108に送信するためである。
【0025】
ここで、検査方式について説明する。検査方式は、基準画像の生成方法の違いより少なくとも2種類ある。一度印刷した印刷物のスキャン画像を基準画像とする方式と、PDL言語で記述される印刷ジョブをラスターイメージに展開したRIP画像のように印刷前の画像を基準画像とする方式とがある。ここでは、スキャン画像を基準画像とする検査方式をスキャン検品、RIP画像を基準画像とする方式をRIP検品と呼ぶ。
【0026】
大容量スタッカ0107のハードウェア構成は以下の通りである。CPU0221は、システムバス0224を介して大容量スタッカ0107内の各部における制御や演算、記憶部0248に格納され、RAM0222にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0222は、CPU0221から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0221のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0248は、検査装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。排紙部0223は、メイントレイとトップトレイへの排紙動作や、メイントレイとトップトレイ各々の積載状況の監視や制御を司る。
【0027】
検査装置0108のハードウェア構成は以下の通りである。CPU0226は、システムバス0230を介して検査装置0108内の各部における制御や演算、記憶部0228に格納され、RAM0227にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0227は、CPU0226から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0226のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0228は、検査装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能し、送信された画像を基準画像として記憶部0228に格納する。PDL解析部0229は、クライアントコンピュータ0110や情報処理装置0109から受信した例えばPDF、PostScript、PCLなどのPDL言語で記述される印刷ジョブを読み込み、解釈処理を実行する。表示部0245は例えば検査装置に接続される液晶ディスプレイであり、検査装置へのユーザの入力を受け付けたり、検査装置の状態を表示したりする。NW I/F0232はNW I/F0237、NW I/F0240を介してクライアントコンピュータ0110や情報処理装置0109と通信を行う。
【0028】
情報処理装置0109のハードウェア構成は以下の通りである。CPU0234は、システムバス0239を介して情報処理装置0109内の各部における制御や演算、記憶部0236に格納され、RAM0235にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0235は、CPU0234から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0234のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0236は、情報処理装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。NW I/F0237は、ネットワークを介してNW I/F0240と接続される。
【0029】
なお、情報処理装置0109は、NW I/F0237、NW I/F0240を介してクライアントコンピュータ0110と通信を行う。また、検査装置0108がNW I/Fを持ち、情報処理装置0109が当該NW I/FとNW I/F0237を介して検査装置0108と通信を行う形態をとっても良い。例えば、検査方式として、印刷装置0101が印刷に用いるRIP画像を基準画像として用いるRIP検品の場合を考える。この場合、基準画像は検査装置I/F0215を通じて検査装置0108に送信しても良いし、NW I/F0207、NW I/F0237を通じて、検査装置0108が備えるNW I/Fから検査装置0108に送信しても良い。
【0030】
クライアントコンピュータ0110のハードウェア構成は以下の通りである。CPU0243は、システムバス0246を介してクライアントコンピュータ0110内の各部における制御や演算、記憶部0244に格納され、RAM0242にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0242は、CPU0243から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0243のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0244は、クライアントコンピュータ動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。
【0031】
図3
本実施形態に係るソフトウェアの機能ブロック構成を説明する。
【0032】
図3(A)は情報処理装置0109の機能ブロック図である。これは、記憶部0236に格納されたプログラムをCPU0234が読み出しRAM0235に展開して実行することにより実現される。
【0033】
印刷ジョブ処理部305は、クライアントコンピュータ0110から受信した印刷ジョブを処理する。例えば文字・画像データであるPDL言語を解釈し、ラスターイメージに変換する所謂RIP(Raster Image Processor)処理を行う。印刷ジョブ格納部306はクライアントコンピュータ0110から受信した印刷ジョブを保存し、RIP処理後に生成したラスターイメージを印刷処理設定に関連付けて保存する。画像I/F処理部307は印刷装置0101に対しラスターイメージを送信する。
【0034】
通信処理部302は、クライアントコンピュータ0110から印刷ジョブを受信したり、検査装置0108に対し後述する検品コンテンツなどを送信する。また、画像I/F処理部307と連携して印刷装置0101に対し両面やパンチなどの印刷処理設定を送信したりする。この送信や受信はハードウェアのNW I/F0237やNW I/F0238で実行される。通信処理部302は、TCP/IPに代表されるネットワークプロトコルに準じてどの装置との通信にどちらのハードウェアを用いるかの切り替え処理を行う。
【0035】
検品処理部308は、バーコードの位置やバーコードデータを抽出し検品に用いる情報(以後、検品コンテンツと呼ぶ)を生成する。検品処理部308による検品コンテンツの生成は、前記印刷ジョブ処理部305が印刷ジョブを処理する時に検品対象であるバーコードを記述したPDL言語コードを検出すると行われる。
【0036】
なお、本実施例におけるバーコードデータとは、バーコードに変換する数値や文字列の値である。また、バーコードデータは、印字されたバーコードオブジェクトをデコードした際に得られる値の正解値でもある。
【0037】
画面表示部303は、情報処理装置0109のハードウェアとして備わる不図示のディスプレイの画面に操作メニューや装置の状態などを表示する。入力受付部304は、不図示のキーボードやマウスでユーザが入力した指示を受け付ける。これらの処理部を統括して処理するのが統括制御部301である。
【0038】
図3(B)は印刷装置0101の機能ブロック図である。これは、記憶部0205に格納されたプログラムをCPU0201が読み出しRAM0202に展開して実行することにより実現される。
【0039】
画像I/F処理部317は、情報処理装置0109の画像I/F処理部307からラスターイメージを受信する。通信処理部312は、情報処理装置0109の通信処理部302から印刷処理設定を受信する。印刷ジョブ処理部315は、情報処理装置0109から受信したラスターイメージと印刷処理設定とを関連付けて印刷ジョブとして処理する。印刷ジョブ格納部316は、紙などの記録シートに印刷されるまでの間、印刷ジョブ処理部315が処理した印刷ジョブを一時的に保存する。
【0040】
アクセサリI/F処理部318は、印刷出力時に印刷装置0101に接続している各アクセサリ装置に対し処理の指示を行うためのインターフェースである。例えば、検品結果が不良と判断された用紙を大容量スタッカ0107のトップトレイに排紙させるような指示を行う。
【0041】
画面表示部313は、印刷装置0101のハードウェアとして備わるUIパネル0203の画面に操作メニューや装置の状態などを表示する。入力受付部314は、前記UIパネル0203においてユーザが入力した指示を受け付ける。これらの処理部を統括して処理するのが統括制御部311である。
【0042】
図3(C)は検査ユニット0106の機能ブロック図である。これは、記憶部0247に格納されたプログラムをCPU0216が読み出しRAM0217に展開して実行することにより実現される。
【0043】
印刷装置0101が用紙に印刷すると、印刷装置0101から排紙された用紙は、インサータ0115を経由して検査ユニット0106に搬送される。
【0044】
アクセサリI/F処理部328は印刷装置0101のアクセサリI/F処理部318からスキャンの指示を受信する。これは、検品処理を実行するためのスキャン指示である。指示があると、スキャン部325は搬送された用紙に印刷された画像をスキャンする。スキャン画像格納部326は、スキャンした画像を一時的に保存する。検品I/F処理部327は、保存しているスキャンした画像を検査装置0108に対して転送する。これらの処理部を統括して処理するのが統括制御部321である。
【0045】
図3(D)は検査装置0108の機能ブロック図である。これは、記憶部0228に格納されたプログラムをCPU0226が読み出しRAM0227に展開して実行することにより実現される。
【0046】
検品I/F処理部337は、検査ユニット0106の検品I/F処理部327から転送されたスキャン画像を受信する。スキャン画像格納部336は、受信したスキャンした画像を保存する。基準画像格納部335は、基準画像として受信した画像を保存する。詳細は後述するが、RIP検品の場合は情報処理装置0109で印刷ジョブをRIPして生成した画像を基準画像として受信して保存する。スキャン検品の場合は、基準画像登録時に検査ユニット0106でスキャンした画像を検品I/F処理部337で受信し、基準画像として保存する。
【0047】
検品設定格納部338は、検品実施時に欠陥を検出する領域や閾値などの検査設定を保存する。詳細は後述するが、情報処理装置0109にて印刷ジョブをRIP処理時に生成する検品コンテンツを受信して一時的に保存し、それを呼び出してユーザが編集設定して決定した検品設定を保存する。検品処理部339は、検品設定に従って基準画像とスキャン画像とを比較し検品を行う。通信処理部332は、情報処理装置0109の通信処理部302や後述するクライアントコンピュータ0110の通信処理部342と各種データの送受信を行う。画面表示部333は、情報処理装置0109のハードウェアとして備わる不図示のディスプレイの画面に操作メニューや装置の状態などを表示する。入力受付部334は、不図示のキーボードやマウスでユーザが入力した指示を受け付ける。これらの処理部を統括して処理するのが統括制御部331である。
【0048】
図3(E)はクライアントコンピュータ0110の機能ブロック図である。これは、記憶部0244に格納されたプログラムをCPU0243が読み出しRAM0242に展開して実行することにより実現される。
【0049】
印刷ジョブ処理部345は、アプリケーションでのユーザからの印刷指示を受けて印刷ジョブをPDL言語で生成する。印刷ジョブ送信部346は生成した印刷ジョブを情報処理装置0109に送信する。この時、通信処理部342が送信する。画面表示部343は、クライアントコンピュータ0110のハードウェアとして備わる不図示のディスプレイの画面に操作メニューや装置の状態などを表示する。入力受付部344は、不図示のキーボードやマウスでユーザが入力した指示を受け付ける。これらの処理部を統括して処理するのが統括制御部341である。
【0050】
図3(F)は大容量スタッカ0107の機能ブロック図である。これは、記憶部024に格納されたプログラムをCPU0221が読み出しRAM0222に展開して実行することにより実現される。
【0051】
アクセサリI/F処理部358は、印刷装置0101のアクセサリI/F処理部318から紙搬送処理に関する指示を受ける。排紙処理部355は、その指示に従って搬送されて来た用紙を大容量スタッカ0107のメイントレイかトップトレイのいずれかに排紙する。これらの処理部を統括して処理するのが統括制御部351である。
【0052】
図4
次に、本実施形態に係る検品処理の流れを説明する。
【0053】
図4(A)はRIP検品の処理の流れである。この処理には、クライアントコンピュータ0110、情報処理装置0109、印刷装置0101、検査ユニット0106、検査装置0108、大容量スタッカ0107が連携して行う。ここでは流れの概要を説明し、各装置が行う処理の詳細は後述する。
【0054】
まず、クライアントコンピュータ0110が、検査を行う印刷ジョブを生成し、情報処理装置0109に対して投入する(F401)。情報処理装置0109は、受信した印刷ジョブのPDLデータに対してRIP処理を行う(F402)。この時バーコードの画素の像域フラグにバーコードを示す値が設定される。像域フラグについては、図6で詳細を説明する。続いて、基準画像を登録するための基準画像登録ジョブとして印刷装置0101にRIP後の印刷データを送信する。(F403)。印刷装置0101は基準画像登録ジョブの印刷データを受信すると、印刷装置0101の内部で行う画像処理を行う(F404)。更に、予め定めておいた形式で基準画像を検査装置0108に送信する。検査装置0108は、受信した基準画像を検品処理に適した画像形式で基準画像として登録する(F405)。検品装置0108での基準画像の登録処理と並行して、情報処理装置0109は、F402で印刷ジョブをRIPする際に抽出したバーコードの検品に関する検品データを生成し検査装置0108に対して送信する(F406)。検品データを受信すると、検査装置0108は、検査設定を行う(F407)。ここでは、受信した検品コンテンツを用いて、バーコード検査に関する検査設定を行う。検品コンテンツは、基準画像のRIPデータにある像域フラグから算出されたバーコードの位置情報や、受信した検品データに含まれるバーコードデータや検査基準である。この時、自動的に検品設定を行ってもよいし、検査装置0108が自動で処理した検品設定をユーザに確認させたうえで確定してもよい。更にF407では、バーコード検査に関する検査設定だけでなく、画像の検査設定やその他データ検査に関する設定をユーザから受け付けるようにしてもよい。検品設定が完了するとそれを情報処理装置0109に通知する。ここまでが検品の準備である。
【0055】
検品の準備が整えば次に検品ジョブの実行である。情報処理装置0109は、検査装置0108から検品設定完了の通知を受信すると、F402でRIPしたRIPデータを、用紙に画像を印刷し検査を実行するための検査ジョブとして印刷装置0101に送信する(F408)。なお、F403の基準画像登録のために送信したRIPデータと、F408で送信されるRIPデータは、同じ画像を示すデータであるため、再びRIPデータを送信せず、F403で送信したデータを印刷するように指示をするだけでもよい。印刷装置0101は検査ジョブを受信すると、F404と同様の画像処理を行い、更にレイアウト処理を行う(F409)。レイアウト処理とは、例えば2in1(1ページに2枚の用紙を配置)や両面の短辺綴じか長辺綴じかの設定などを検出し、設定の通りに画像を配置するためのものである。更に、レイアウト処理で行ったレイアウトの形式を検査装置0108に情報として伝える。これは、検査装置0108は、後述する検査ユニット0106でスキャンした印刷用紙を受け取り、検査処理を実行するため、レイアウト形式をF405で登録した基準画像に反映させる必要があるためである。検査装置0108は、受信したレイアウト情報を、F407で設定した検品設定に反映させる(F410)。
【0056】
すなわち、印刷物のスキャンにより生成されたスキャン画像を受信する。すると、CPUは、抽出したバーコード検査に関する情報を検査設定に反映する。すると、CPUは抽出されたバーコード検査に関する情報に基づいて前記スキャン画像内のバーコードを検査する。
【0057】
印刷装置0101は、F409でレイアウト処理が完了すると、用紙などの記録シートに作像し印刷出力を行う(F411)。印刷装置0101から印字された印刷用紙が出力されると、紙搬送経路に従って搬送され検査ユニット0106に搬送される。検査ユニット0106は、搬送された印刷用紙をスキャンし、生成した画像データを検査装置0108に送信する(F412)。検査装置0108は、検査ユニット0106から受信した画像データを一旦保存し、検査を実行する。具体的には、F407及びF410で処理したバーコードの位置やバーコードデータや検査基準などを基準に、スキャン画像に対応する基準画像と比較しによる検品とバーコード検査とを実行する(F413)。ここで、バーコード検査とは、バーコードをデコードして得られる値が正しいかどうかの検査や、バーコードのデコードする際の精度が合格品質レベルに合致するかの検査である。そして検品の結果不良と判断されると、その旨を印刷装置0101に通知する(F414)。印刷装置0101は大容量スタッカ0107に対して、不良と判定された印刷用紙を通常の排紙先とは別の所に排紙する(これをパージと呼ぶ)ためのパージ指示を出す(F415)。容量スタッカ0107は、パージ指示を受信すると、トップトレイに排紙する(これをパージ実行と呼ぶ)。最後に全てのページが印刷し終わり検査が終了すれば、検品結果を検査装置0108で表示する(F417)。
【0058】
以上の流れでRIP検品の処理が行われる。なお、少なくともF411~F416は、各用紙ごとに実行され、全てのページの印刷が終了するまで繰り返される。
【0059】
本実施例では、情報処理装置0109と検査装置0108が通信可能に接続されている例で説明を行った。しかし、検査システムとして、情報処理装置0109と印刷装置0101が通信可能で、印刷装置0101と検査装置0108が通信可能であり、情報処理装置0109と検査装置0108が直接通信できない場合も想定される。その際、F406やF407では、間に印刷装置0101を介して情報を伝達するように構成してもよい。
【0060】
図4(B)はスキャン検品の処理の流れである。RIP検品と同じ処理は同じ処理名と記号で示す。以下に差異のみを説明する。
【0061】
図4(A)で説明をしたRIP検品は、RIP画像を基準画像として登録をしていた。一方、スキャン検品は印刷出力用紙をスキャンしたスキャン画像を基準画像として登録する点が差異である。よって、情報処理装置0109は、F402の後に検品ジョブを送信し(F421)、検品ジョブを受信すると、印刷装置0101は、用紙に作像し印刷出力を行う(F422)。作像された印刷用紙は検査ユニット0106でスキャンされる(F423)。その後はRIP検品と同じ処理である。
【0062】
スキャン検品は、情報処理装置0109や印刷装置0101の処理が検品を伴わない通常の印刷と変わらないので、検査ユニット0106と検査装置0108を追加装備すれば検品が行えるというメリットがある。しかし、検品したい印刷イメージを一度印刷して検査ユニット0106でスキャンする必要があり、用紙の無駄と手間が掛かる問題がある。
【0063】
本実施例は、RIP検品とスキャン検品の両方に適応可能だが、RIP検品を前提に実施例の説明を行う。
【0064】
図5及び図7
本実施形態に係る操作部の設定画面を説明する。
【0065】
図5はクライアントコンピュータ0110の画面表示部343によって表示される画面501であり、バーコードの合格品質レベルを設定する。バーコードの合格品質レベルは、例えばJISX0502の規格によると、品質レベルは高い方から4・3・2・1或いはA・B・C・Dの4段階で表示される。一番高いグレードである4或いはAは1回のスキャンだけで読み取ることが可能な品質である。合格品質レベル502は、ラジオボタンを備えた各グレードから選択できるようになっている。合格品質レベルを選択したらOKボタン509で確定する。選択をやめる場合はキャンセルボタン508を押下する。
【0066】
この画面で設定した合格品質レベルは、印刷ジョブ処理部345が生成する印刷ジョブに設定される。PDL言語で記述されるバーコードを含んだ印刷ジョブの一例を図7(A)に示す。ジョブは#PrintJobStart(701)から始まり#PrintJobEnd(711)で終わる。ジョブの中にバーコードが使用されている場合、#Barcode(702)から始まり#BarcodeEnd(710)で終わる部分で記述される。BarFontName(703)は、バーコードフォントで表示されるバーコードの種類を定義する。バーコードには、1次元コードのJANやCODE39など、2次元コードのQRコード(登録商標)やPDF417など、多様な種類がある。なお、バーコードフォントとは数値や文字列の値をバーコードに変換して表示するためのフォントであることが知られている。即ち、後で説明する値をどのバーコードの種類に変換するのかを定義するものである。
【0067】
BarFontSize(704)は、変換後のバーコードのサイズを定義する。CreateFont(705)はBarFontName(703)とBarFontSize(704)の定義値に従ってバーコードを生成することを示す。BarData(706)は、バーコードに変換する数値や文字列の値を定義する。Output(707)はCreateFont(705)で生成したバーコードにその値を出力してバーコードとして完成させることを示す。では一例として、123456789012という数値をサイズ300でJANのバーコードとして生成する。BarLoc(708)は、生成したバーコードをページ内に配置する位置を定義する。例として、描画基準点からX軸方向に+100、Y軸方向に+200移動した点からバーコードを描画する。BarLevel(709)は、図5の設定画面で設定されたバーコードの合格品質レベルを定義する。図5では4を選択したので、図7(A)の例ではBarLevel(709)は「4」となる。
【0068】
クライアントコンピュータ0110で前記説明の例のPDL言語で記述されるバーコードを含んだ印刷ジョブが生成され、情報処理装置0109に送信される。
【0069】
図6
本実施形態に係る処理フローを説明する。
【0070】
図6(A)は情報処理装置0109の処理フローである。これは、記憶部0236に格納されたプログラムをCPU0234が読み出しRAM0235に展開して実行することにより実現される。
【0071】
処理フローが開始される(601)と、統括制御部301は、通信処理部302で印刷ジョブを受信するまで602を繰り返す。印刷ジョブを受信する(602の判断でYesとなる)と、印刷ジョブ格納部306は、受信した印刷ジョブを保存し、印刷ジョブ処理部305は保存した印刷ジョブのRIP処理を開始する(603)。印刷ジョブ処理部305は、印刷ジョブにバーコード関連定義値があるか判断する(604)。これは印刷ジョブ処理部305が印刷ジョブを記述するPDL言語を解釈し、図7(A)で例示したようにBarFontName703などの定義値があるかどうかで判断する。定義値がある場合(604の判断でYesとなる)は、印刷ジョブ処理部305が通常のRIP処理でラスターイメージを生成し印刷ジョブ格納部306に保存するのと並行して、検品処理部308が以下605~608で説明するようにバーコードの検品コンテンツ生成に必要な情報を抽出する処理を行う。検品処理部308はバーコードの描画位置を抽出する(605)。これはBarLoc708を解釈することでバーコードの描画位置を抽出する。次に、検品処理部308はバーコードの合格品質レベルを抽出する(606)。これはBarLevel709を解釈することでバーコードの合格品質レベルを抽出する。最後に、検品処理部308はバーコードのデータを抽出する(607)。これはBarData706を処理することでバーコードのデータを抽出する。これらを抽出したらメモリに保存する(608)。
【0072】
抽出したバーコードの検査関連の値を検査装置0108に送信する方法を以下に具体的に説明する。まずバーコードの描画位置に関して説明する。RIP処理後のラスターイメージは画素ごとにテキスト・グラフィック・イメージなどの画素の特徴を示す像域フラグが備わることがある。像域フラグは1画素に対し複数のビットで構成され、そのビット値でテキスト・グラフィック・イメージなどを示す。バーコードの検査を行う場合、バーコードを描画する画素の像域フラグに未使用のビット値にバーコードを示す値を定義し、その値を用いてその画素がバーコードであることを示すことが可能となる。即ち、画素の像域フラグのビット値がバーコードを示す値であれば、その画素はバーコードである。バーコードはある程度の描画面積があるので、複数の画素の像域フラグがその値となる。なお、全画素の像域フラグをその値にするのではなく、バーコードの領域が分かるように境界上の画素のみをその値にしても良い。更には、バーコードは矩形なので描画開始と描画終了の2点の位置のみ示せばよい。例えば、開始点(X1、Y1)と終了点(X2、Y2)の画素のみでも良い。また、本実施例では、像域フラグの未使用のビット値にバーコードを示す値を定義することによりバーコードの位置を示す情報が格納されるという説明をしているが、これに限らない。例えば、未使用のビットに合格品質レベルを示す値を定義するようにしてもよい。また、複数画素の未使用ビットを寄せ集めて、バーコードデータを格納するように構成してもよい。
【0073】
このようにして、像域フラグにバーコードを示す値を設定する(609)。検品処理部308がバーコードを示す値を設定した像域フラグのデータを印刷ジョブ格納部306に保存する。統括制御部301は印刷ジョブ格納部306に保存されているラスターイメージと像域フラグをRIP後データとして画像I/F処理部307を介して印刷装置0101に送信する(610)。以上のステップ605から610の処理を1シートごとに実施する。シートとは、印刷ジョブの論理的ページのことであり、2in1のレイアウト処理が施されると1枚の用紙に2シートが配置される。そして、全シートを処理したか判断し(611)、終わっていないなら(No)ステップ605に戻り次のシートに対して処理を行う。終わったなら(Yes)ステップ612に遷移する。このようにして、ステップ605から610の処理をジョブ内の全シートに対して行う。
【0074】
次に、統括制御部301はステップ606と607で抽出しメモリに保存していたバーコードの合格品質レベルとバーコードのデータを検品データに記載し、検査装置0108に送信する。この検品データはファイルデータであり、図7(B)にその一例を示す。図7(B)の例は、印刷ジョブの中に複数のバーコードがある場合で、その中の最初から2つのバーコードを示している。バーコードが複数ある場合でも識別できるようにBarID(721)でユニークな値を割り振る。そのバーコードの種類をBarType(722)で示す。この図の例ではBarID(721)が001のバーコードの種類はJANである。バーコードの位置をBarLoc(723)で示す。この例ではバーコードは矩形なので描画開始と描画終了の2点の座標点で示す。なお、前記の像域フラグを用いてバーコードの位置を示す場合は、BarLoc(723)は不要である。バーコードのデータをBarData(724)で示す。バーコードの合格品質レベルをBarLevel(725)で示す。1つのバーコードに対してBarID(721)からBarLevel(725)の値を持ち、印刷ジョブの中のバーコードの数だけ記述された検品データはファイルとして作成され、統括制御部301が通信処理部302を介して検査装置0108に送信する612。なお、ファイルでは無く、統括制御部301が通信処理部302を介して検査装置0108に送信する検査設定コマンドとして送信しても良い。
【0075】
即ち、バーコードの検品コンテンツは、像域フラグと検品データとで構成される。検品データには、バーコードの位置、合格品質レベル、バーコードデータなどの情報が記載される。像域フラグには、主にバーコードの位置の情報が記載される。ここで、バーコード位置に関する情報について像域フラグを用いず検品データで記述する場合は、バーコードの検品コンテンツは検品データのみで構成される。或いは、バーコードの位置のみを通知するなら、バーコードの検品コンテンツは像域フラグのみで構成される。
【0076】
以上で、ジョブの処理が終了すれば処理フローを終了する619。なお、情報処理装置0109が起動している間はこの処理を繰り返し、次々と投入される印刷ジョブを処理する。
【0077】
図6(B)は検査装置0108の処理フローである。これは、記憶部0228に格納されたプログラムをCPU0226が読み出しRAM0227に展開して実行することにより実現される。
【0078】
処理フローが開始される(620)と、統括制御部331は、印刷装置0101から通信処理部332を介して受信したRIP後のRIPデータを基準画像として基準画像格納部335に保存する(621)。基準画像には像域フラグが付属しており、受信した基準画像を保存しながら像域フラグに対する処理を並行して行う。統括制御部331は、通信処理部332で検品コンテンツを受信するまでステップ622を繰り返す。バーコードの位置、合格品質レベル、バーコードデータを含む検品コンテンツは前記説明のように像域フラグと検品データの組合せ、或いは検品データのみから構成される。なお、本実施例における検品コンテンツは、バーコード検査に関する検査情報である。
【0079】
検品コンテンツに像域フラグが含まれる場合は、ステップ623にて、像域フラグを受信すると、像域フラグを全て受信し終わるまで、バーコードを示す値が含まれているかの確認を実施する。像域フラグにバーコードを示す値が含まれていないと(ステップ623でNo)、ステップ639に移行し終了する。バーコード関連データがあると、ステップ624に移行する。
【0080】
一方、検品コンテンツに検品データのみから構成される場合は、ステップ623で、情報処理装置0109から受信した検品データにバーコードの情報が含まれているかの確認を行う。検品データにバーコードの情報が含まれていないなら(ステップ623でNo)、ステップ639に移行し終了する。
【0081】
ステップ624では、統括制御部331が、像域フラグがバーコードである画素に基づいてバーコードの位置を検出し、検品設定格納部338に保存する。一方、検品コンテンツに像域フラグがない場合は、検品データからバーコードの位置を検出し、検品設定格納部338に保存する。よってバーコードの位置を像域フラグで示す場合は検品データにBarLoc(723)が存在しない。或いは、像域フラグにバーコードを示す値を用いない場合は検品データで位置を示す必要があり、この場合はBarLoc(723)が用いられる。
【0082】
なお、像域フラグと検品データのどちらを用いるかは既存設計への親和性や設計リソースなどを考慮して決定してよい。ステップ621~ステップ624の処理はジョブの全シートに対して繰り返し行う。ステップ634では、全シートを処理したか判断し、終わっていないなら(No)ステップ624に戻り次のシートに対して処理を行う。終わったなら(Yes)ステップ625に遷移する。このようにして、ステップ624の処理をジョブ内の全シートに対して行う。
【0083】
次に、統括制御部331は、検品データからバーコードの合格品質レベルを検出し、検品設定格納部338に保存する(625)。続いて、統括制御部331は、検品データからバーコードデータを検出し、検品設定格納部338に保存する(626)。そして、検出したバーコードの位置、合格品質レベル、バーコードデータを検品設定格納部338から取得し、画面表示部333を介して検品設定の候補設定として表示する(627)。ユーザは表示された検品設定候補を確認し、必要に応じて設定内容を修正し、設定内容を確定する。
【0084】
統括制御部331は入力受付部334を介して、ユーザから検品設定の完了を受け付けると、検査設定を検品設定格納部338に保存する(628)。
【0085】
以上の処理フローにより、情報処理装置0109が検出した検品情報を、検品コンテンツとして検査装置0108が受信し処理することで、簡単に検品設定を行うことができる。
【0086】
次に、検査装置0108の統括制御部331は、通信処理部332から情報処理装置0109に対し検品設定が完了したことを通知する(629)。すると図4の処理の流れで説明したように、情報処理装置0109は印刷を行い、印刷装置0101がレイアウト情報を検査装置0108に送信する。検査装置0108はそのレイアウト情報を受信し、ステップ621で保存した基準画像に対して検品レイアウト処理を実行し、レイアウト処理が施された基準画像を基準画像格納部335に保存する(630)。検品レイアウト処理により、印刷用紙の上に実際に印字されたページレイアウトを判断可能となり、検査ユニット0106がスキャンした画像と比較することができる。
【0087】
次に検査ユニット0106からスキャンした画像を検品I/F処理部337を介して受信するとスキャン画像格納部336に保存する(631)。統括制御部331は、基準画像格納部335に保存した基準画像とスキャン画像格納部336に保存したスキャン画像とを比較し、ステップ628で確定した検品設定に照らし合わせて、バーコードの検品を実施する(632)。統括制御部331は画面表示部333で検品の結果を表示する(633)。処理を終える(639)。
【0088】
以上の説明により、検査装置0108にて、バーコード検査に関する検品設定を簡単に行い、ユーザが確認をした上で、その設定に従った検品を行い、検品結果をユーザに示すことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7