(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】パイプ水漏れ検出装置及び漏れ検出手順
(51)【国際特許分類】
G01M 3/24 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
G01M3/24 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022184889
(22)【出願日】2022-11-18
(62)【分割の表示】P 2021079120の分割
【原出願日】2016-03-11
【審査請求日】2022-11-22
(32)【優先日】2015-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】517380455
【氏名又は名称】アガノヴァ エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス ガルシア,アグスティン
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-160019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプラインの水漏れを検出するための装置と、パイプライン(15)内への挿入のための挿入付属品と、を備えるシステムであって、前記装置は、
2つの半ケーシング(1~1’)から得られる球形のケーシングと、
前記球形のケーシング内に配置された、音響信号のエミッタと、
パイプライン(15)内の音響信号の受信機としての少なくとも1つのハイドロホン(2)であって、前記ハイドロホン(2)は、前記球形のケーシング内に配置されて信号プロセッサ(9)に接続され、前記信号プロセッサ(9)は、前記ハイドロホン(2)によって受信された前記音響信号に対応する音響情報の記憶ためのメモリカード(10)であって、少なくとも1つのバッテリ(11)によって電力を供給されるメモリカード(10)を備え、前記信号プロセッサ(9)は、前記ハイドロホン(2)によって受信された音響信号ごとの経過した航行時間を前記メモリカード(10)に記録するように構成されたクロックモジュール(12)を有する、少なくとも1つのハイドロホン(2)と、を備え、
前記挿入付属品は、アクセスバルブ(17)を介して監視されるべき前記パイプライン(15)に挿入される適切な寸法の挿入ロッド(16)と、金属スリーブ(21)と、前記挿入ロッド(16)に取り付けられた流量計と、を備える、システム。
【請求項2】
パイプラインの水漏れを検出するための装置と、前記パイプライン(15)からの取り出しのための取り出し付属品と、を備えるシステムであって、前記装置は、
2つの半ケーシング(1~1’)から得られる球形のケーシングと、
前記球形のケーシング内に配置された、音響信号のエミッタと、
パイプライン(15)内の音響信号の受信機としての少なくとも1つのハイドロホン(2)であって、前記ハイドロホン(2)は、前記球形のケーシング内に配置されて信号プロセッサ(9)に接続され、前記信号プロセッサ(9)は、前記ハイドロホン(2)によって受信された前記音響信号に対応する音響情報の記憶ためのメモリカード(10)であって、少なくとも1つのバッテリ(11)によって電力を供給されるメモリカード(10)を備え、前記信号プロセッサ(9)は、前記ハイドロホン(2)によって受信された音響信号ごとの経過した航行時間を前記メモリカード(10)に記録するように構成されたクロックモジュール(12)を有する、少なくとも1つのハイドロホン(2)と、を備え、
前記取り出し付属品は、アクセスバルブ(17)を介して前記パイプライン(15)に挿入される適切な寸法のロッド(16’)を備え、前記装置を受け止めるように意図されたネット(18)、金属スリーブ、及び、前記ネット(18)が取り付けられる可撓性プレート(22)に接続され、かつ、カメラ、前記装置の到着検出器及び流量計を含む電子機器(23)を取り付けられる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧に曝される給水中に大口径パイプの水中で変則性を引き起こす低周波音を用いて大口径の給水管内の漏れを検出するように特別に設計された装置に関する。
【0002】
本発明の目的は、前記検出を可能にすることに加えて、信頼性が高く、簡単で低コストである装置を提供することである。
【0003】
本発明の目的はまた、装置を挿入して取り出す手段と、漏れの正確な位置を検出するために使用される実際の手順と、を含む。
【背景技術】
【0004】
本発明の実際の適用の範囲に関して、現在の漏水検出装置、特に、輸送パイプラインに焦点を合わされた漏水検出装置では、漏れ検出プロセスは、漏水に近い湿度測定を一般に使用する。この測定は、湿度、温度又はその場所の湿度に応じて変化する誘導電流によって生じる電圧を測定するための様々なデバイスを使用して実行される。
【0005】
米国特許第4016748A号には、パイプ内の漏れを検出する方法及び装置が示されている。大気圧を上回る圧力でパイプを通って流れる流体で始まり、この方法は、漏れによって生じる圧力差及び速度差に敏感な浮遊式漏れセンサをパイプ内部へ取り付け、漏れセンサを流体と一緒にパイプを通して移動させ、センサが漏れを検出するとセンサは移動を止めることを想定している。
【0006】
この発明は、ダクト内の第1の漏れ検出を解決するが、それが発見されると停止し、ダクト内で発生した漏れのサイズに関連している。従って、米国特許第4016748A号に記載された装置は、パイプ内の第1の漏れを検出するために使用することができるが、その後の可能性のある漏れを検出することはできない。
【0007】
また、米国特許出願公開第20130186181A1号に記載されているものなどの漏れ検出装置もあり、この漏れ検出装置は、外部ケージ内に弾性的に支持され、パイプ網内の漏れに起因する局所的な圧力勾配によって発生する吸引力によって移動される剛性本体を特徴とする。それにもかかわらず、この方法は、パイプ内の漏水を検出するという問題を解決するが、漏れによって生じる圧力勾配に比例した漏れまでの距離を用いる。この発明は、水が輸送され分配されるパイプ網全体の解決策を提供することを目的とする。
【0008】
発明特許である米国特許出願公開第20140174186A1号に基づく他の漏れ検出方法も知られている。前記特許は、水流計及び振動検出器を使用してパイプ網内の流体の漏れを検出するシステムを提供する。この発明では、プロセッサが流量計の信号を分析する。各セクション内のパイプ網の内部を循環する流れを測定する必要がある。これらのシステムは、大きな漏れを検出するために使用されるが、これは、流量計が2地点間の流れの差を捕捉しなければならないためである。漏れが小さい場合、値はわずかである。
【0009】
さらに、発明特許である米国特許第4894539号は、ダクト又はパイプ内の、特に小口径のダクト又はパイプ内の漏れの位置を突き止めるための方法を記載するが、ダクト又はパイプ中に同軸ケーブルの短片が挿入され、短片は、短時間の放射性同位元素をダクト又はパイプラインに運び込み、パイプ全体を通して強制的に移動させられる。この発明を用いると、漏れ検出は部分的に解決されるが、小口径パイプラインに限定される。
【0010】
この問題を回避しようとしているので、発明特許である国際公開第2006/081671号は周知である。これは、磁気センサ、加速度計及びデータ収集手段を備えた、球体の一種として実現された装置を記載している。これは、ハイドロホンなどの音響センサを含むことができる。
【0011】
ハイドロホンを用いることによって、すなわち、音の発信と、装置によって受信された音の分析とによって、これらがパイプラインの内部に発信されると、漏れのないパイプと比較した応答の差異により、水漏れが非常に効果的に検出される。しかしながら、その存在を検出する必要があるだけでなく、漏れが検出された正確な位置を特定することも不可欠である。
【0012】
この意味で、発明特許である国際公開第2006/081671号に記載された装置は、複雑で高価であると共に不正確であるこの目的のための特定の手段を提供する。
【0013】
この目的のために及びより具体的には、前記装置は、それが実現される球体のために準備され、それが関与するパイプ又はパイプラインを通って回転することによって移動するようにそれを浮かせる特徴を取り付けられる。従って、その位置は、パイプラインの壁に沿ってそれが回転する回転数を制御するために加速度計を用いて計算される。これは、球体が回転するのではなく滑動する場合、一連のエラーを起こしやすい読み取り値を得ることに加えて、装置の内部構造を複雑にする。さらに、所定の事前設定された距離を移動させられた後に装置を同期させる手段がないため、分析されるパイプの長さが非常に長い場合、測定誤差の可能性が著しく増加する。
【発明の概要】
【0014】
提唱される装置は、記載された各態様において先に示された問題に完全に満足のいくやり方で対処し、はるかにより正確で、構造的に単純で、より費用対効果に優れ、信頼性の高い装置を提供する。
【0015】
これを実行するために、及び前述した従来の構造に基づいて、換言すると、ハイドロホン装置と、ハイドロホンによって受信された音を分類して対象パイプ内の漏れを一義的に識別する電子システムと、を特に備えた音響センサ装置を含むことによって、本発明の装置は一種の球体として実現される。この球体は、パイプの内面上で回転することを意図していない限り、また、前記回転を確実にする粘着性材料のコーティングを必要としない限り、浮動させる手段を必要としない。実際、この装置は、循環する水の流れと共にパイプを通って中立浮力で移動する。従って、パイプ内で漏れが検出されたとき、装置の滑動も回転もその位置の正確な突き止めに影響を与えない。
【0016】
結果として、及び上述したように、装置は、信号アダプタに接続される水中ハイドロホンと、ハイドロホンによって受信された信号を分類することができるプロセッサと、を備える。従って、大口径パイプライン内の異常(水又は空気ポケットの漏れ)を示す音は、特定の既知のサウンドスペクトルを有している。より具体的には、高圧下で大口径のパイプ内の水漏れによって引き起こされる音は、20Hz~20KHzの間の可聴音の範囲であり、差別化及び分類を容易にする。実際、大口径パイプ内の漏れによって引き起こされる音の振幅は、パイプ内の圧力が増加するにつれてその値を増加させる。
【0017】
パイプ内に乱れがなければ、パイプ内で検出された音は、大口径パイプラインの水の異常に起因する可能性が高い。この信号を捕捉するハイドロホンを取り付けることにより、パイプが水で満たされているとき、大口径パイプラインを空にしてガスで満たす必要がなくなる。これはまた、送水ダクトを空にして充填することによる水の消費を減少させる。
【0018】
ハイドロホン及びプロセッサは、バッテリに取り付けられ、中空ケーシングで覆われる。アセンブリは、パイプラインアクセスマンホールの利用可能なアクセスバルブを通して大口径パイプラインに迅速かつ容易に挿入される。
【0019】
本発明の本質によれば、マイクロプロセッサはクロックモジュールを有し、クロックモジュールは、それが受信して解釈する音響信号のそれぞれに装置を挿入してからの経過時間を割り当てるために使用される。
【0020】
この時間測定を起動させるために、装置はトリガシステムを備えており、トリガシステムを介して装置は、パイプの内部を通って移動してから経過した時間を監視し始める。これにより、水の流れが、その結果としてデバイスアセンブリが移動する速度が分かる。
【0021】
トリガ制御システムは、装置をスイッチオフモードからスイッチオンモードにするために使用される。
【0022】
装置は密閉され、装置を開けることはできない。従って、起動プロセスには追加のコネクタが必要である。それは、USBコネクタと制御回路との2つの主要部分で構成される。
【0023】
USBコネクタは、内部バッテリを充電するために、及び内部クロックモジュールと外部を物理的に接続するために使用される。
【0024】
制御回路は、デバイスをオンモードからオフモードに移行させるパルスを生成し、逆もまた同様である。これは、USBを制御回路に接続するストリップ又はケーブル、オン/オフプッシュボタンから構成され、オン/オフプッシュボタンは電流を生成し、次に電流が制御回路にデバイスを起動させる又は起動させない。それはまた、オン/オフモードのいずれであるかを知らせるステータスLEDも含む。
【0025】
同様に、デバイスは、それを開く必要なく、デバイスの内部から外部に情報を送信するために使用される通信モジュールを備えている。
【0026】
情報は、Bluetooth(登録商標)、長距離無線通信又は超音波通信の3つの方法のうちの少なくとも1つで送信される。
【0027】
Bluetooth通信は、外部へのバルクデータ転送、及びデバイスの識別のために使用される。
【0028】
超音波通信は、パイプ内の装置との通信を確立するために使用される。
【0029】
長距離無線通信は、他の通信方法のいずれもが失敗した場合に装置との通信を確立するために使用され、冗長な通信システムである。
【0030】
装置のこれらの通信手段は、装置の測定誤差の可能性を排除する場合に非常に有効である。この点で、パイプ全体に沿って一定距離ごとに外部同期システムとの連結点が作られており、それを介して装置は「再配置」可能であり、管全体に沿って遭遇する異常が計算される。
【0031】
これらの同期システムは、既知の基準点を定義する。従って、距離計算に存在し得る位置決め誤差及び不確実性は、既知の点でゼロである。これらのシステムを使用して、境界を定められた既知の移動経路の始点/終点セクションを形成することができる。それらを装置の経路に取り付けることにより、より大きな距離をカバーすることができるので、操作性は改善され、誤差マージンを一定に保ち、それらがより小さなものに分割されている場合に既知の伸長範囲内で誤差を最小限に抑えることができる。
【0032】
この目的のために、同期システムは、通信モジュールと、クロックモジュールと、電源モジュールと、から構成される。
【0033】
通信モジュールは、装置からパイプの外部にデータを送信するために使用される。その情報は、同期システム内に記憶させることも、GSM/GPRSモジュールを使用して情報を記憶する外部サーバに送信することもできる。通信は、同期システムと装置の間で、無線又は超音波通信を使用して、ビーター、音声発振器及びBluetooth又は双方向通信を使用して、同期システムから装置への一方向通信とすることができる。
【0034】
一方向通信システムは、パイプの外側から通信モジュールまでデバイスに知られているパターンを放出し、通信モジュールは、そのパターンを識別し、それに応じて動作する。このパターンは、ビーターシステム、音声発振器システム又はBluetoothモジュールによって生成されることができる。
【0035】
デバイスの目的は、パイプライン内で遭遇する異常の位置を知ることである。これを行うために、記録システムによって記録され、起動制御モジュールを通して取り出された音声が使用される。記録された音声を使用して、パイプ内の異常を検出することができ、また、装置が最初から異常に達するまでにかかった時間も検出することができる。挿入システムに取り付けられた一連の流量計のおかげで、異常に達するまでに経過した時間と水の速度とがわかったら、均一な直線運動方程式のおかげで、異常までの距離を計算することができ、この際、水の伝搬方向だけが考慮される。
【0036】
ハイドロホンのみをデータシステムとして使用すると、他の異常検出システムと比較して処理時間が短縮される。
【0037】
水の伝搬方向のみを考慮するため、時間及び速度に基づいて距離を計算するだけでよいので、処理時間が短縮される。
【0038】
この計算を実行するために、(挿入システムの、取り出しシステムの、同期システムの)位置、装置がパイプの内部を通って航行していたときの流れの速度、及び装置がパイプラインに挿入されてから異常の検出までの経過時間を知ることが必要である。
【0039】
この位置は、挿入点、同期点及び取り出し点の間の距離を知るために使用される。これらを知るために、その場所の地図が使用される。地図がない場合、GPSが使用される。同期システムの地点は、伸長範囲による計算を行うために使用され、既知の伸長範囲の誤差を減少させる。
【0040】
流速は、挿入システム又は取り出しシステムに取り付けられた流量計のおかげで分かる。この速度は、均一な直線運動方程式のおかげで、時間に基づいて距離を知るために使用される。
【0041】
誤差を最小限にするために、アルゴリズムが、白色雑音を受ける動的システムの測定不能な状態を識別するために使用される。
【0042】
さらに、ハウジングは、プラスチックなどの様々な材料又はこれらの組から作製されてもよい。それは、任意選択的に無線通信モジュールを含むことができ、無線通信モジュールは、パイプの内側からパイプの外側の受信機通信モジュールにリアルタイムの音を送信する。
【0043】
挿入及び取り出しシステムに関して、ロッド、プレート、Oリング、可撓性金属スリーブ及び流量計から構成される挿入デバイスが規定される。
【0044】
装置は、大口径パイプの入口に接続された金属スリーブの内側に取り付けられる。大口径パイプのバルブが開かれ、ロッドを使用してパイプに押し込まれ、流量計が水の速度を測定するようにする。
【0045】
その定着具と一緒に、金属スリーブは、人がアクセスする大口径パイプの内側と同じ圧力を有する領域を形成するために使用される。装置はこのスリーブに挿入される。
【0046】
ロッドは、装置のあるスリーブの上部からスリーブの下部、すなわち、パイプの内側に移動を伝えるために使用される。
【0047】
Oリングは、金属スリーブ内部の圧力が高いので必要とされる。このOリングを使用しなかった場合、接合部から水が出てしまうであろう。
【0048】
プレートは、装置がロッドで押されているときに滑らないように必要である。
【0049】
さらに、取り出しシステムは、負荷下にあるパイプの内側から外側に球体を取り出すために使用される。従って、それは、金属スリーブ、ロッド、ネット、可撓性プレート、カメラ、到着検出器、Oリング、流量計から構成される。
【0050】
この目的のために、取り出しシステムは、大口径パイプのバルブに取り付けられ、金属スリーブに結合され、パイプの端部に押し込まれ、そこでプレートは開いてネットが拡張する。
【0051】
カメラが装置を表示し、到着検出器が起動されるとき、ネットは、装置が近づくとそれを捕捉する。
【0052】
次に、ロッドが上方に引っ張られ、装置がスリーブの内側から取り出される。
【0053】
同様に、流量計は、漏れの可能性がある位置の正確な距離を決定するための重要な情報である水の速度を測定する。
【0054】
その定着具と一緒に、金属スリーブは、人がアクセスする大口径パイプの内部と同じ圧力を有する領域を形成するために使用される。
【0055】
ネットがこのスリーブに挿入され、続いて装置が収集される。
【0056】
ロッドは、取り出しシステムがあるスリーブの上部からスリーブの下部、すなわち、パイプの内部へ動きを伝えるために使用される。その後、装置が検出されると、収集システムが配置されているパイプの内側から、それが収集される金属スリーブの頂部まで動きが伝えられる。
【0057】
Oリングは、金属スリーブ内部の圧力が高いので使用される。このOリングを使用しなかった場合、水は接合部から出てきてしまうであろう。
【0058】
カメラは、収集システムの下部に、上を向いた状態で取り付けられる。これにより次の作用を実行することが可能になる。
1)収集システムをパイプの方向に対して垂直に配置する。
2)パイプの内部を循環する流れを確認し、その速度が装置を航行させるのに十分であることを確証する。
3)装置が収集システムに到達すると、それを直接見ることができる。
【0059】
カメラにはビデオ出力があり、それは、パイプの外側にある外部モニタに接続されている。
【0060】
収集システムのネットは、柔軟で装置の到着によって引き起こされる衝撃に対して耐性のある材料から作製されなければならない。
【0061】
このようにして、非常に単純で、剛性で、効果的で、耐久性があり、費用対効果の高いパイプの漏れ検出装置を実現化する。
【0062】
以下に示す説明を補完し、本発明の特徴のより深い理解を助けるために、その実用的な実施の好ましい例に従って、前記説明の一体部分として添付されたものが一組の図面である。限定ではなく一例として、それらは以下を表す。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】本発明の目的に従って実現されたパイプライン中の水漏れ検出装置の正面からの図を示す。
【
図2】前出の図中の装置の斜視的かつ仮想垂直及び直径面に従う断面としての図を示す。
【
図4】本発明の装置が挿入される大口径パイプへのアクセス部分の輪郭及び断面図を示し、挿入を簡単な方法で実行するために使用される装置を示している。
【
図5】
図4に似た図を示すが、本発明の装置のために提供される取り出し手段に関連している。
【
図6】壁に水漏れがある大口径パイプの伸長範囲の縦断面図を示す。前記漏れは、音響信号がそれに適用されたときに、パイプの残りの部分の音とは異なる音を生成することを観察することができ、それは本発明の装置によって容易に識別可能である。
【
図7】より低いレベルの装置の収集手段の斜視的な詳細図を示す。
【
図8】
図7に示される収集手段の詳細図を示し、図中、前記装置の取り出し作業を容易にするライト-カメラ組立体を見ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0064】
検討される図、特に
図1~
図3で見られるように、本発明の装置は、相互に結合可能であり、かつ、それらの間を密閉することができる2つの半ケーシング(1~1’)から得られる本質的に球形のケーシングから構成され、その内部にはハイドロホン(2)が存在し、半ケーシングには、穴(3)及び窓(4)が取り付けられ、穴(3)及び窓(4)には、水中で発生する音を捕捉するために、ハイドロホン(2)に接続された接続部が取り付けられている(7~8)。
【0065】
ハイドロホン(2)は、メモリカード(10)に情報を記憶し、バッテリ(11)によって電力供給される信号プロセッサ(9)に接続されている。この信号プロセッサ(9)には、クロックモジュール(12)又はタイマーが取り付けられており、これを介して、信号の受信は、受信された特定の時刻に関連付けられる。このようにして、水の速度又は流れから、検出された漏れの正確な位置を、その検出時点までに経過した時間に基づいて、非常に正確に突き止めることができる。
【0066】
ハウジングは、関連するガスケットが挿入される一連の周囲溝(33)によって完全にされる。それらは、詰まりが発生した場合に装置が回転することを許容する粘着性媒体を構成する。しかしながら、既に上述したように、装置の位置、従って漏れが生じているかもしれない位置を決定する手段は完全に機能し、装置が、その時点に存在する相対的な回転位置又はその他と無関係である。
【0067】
これらのジョイント部分は、水の力が装置を動かすようにドラッグ面を増加させる役割を担っている。中立の浮力を有するため、装置は、最高の水速度を有するパイプラインの領域、すなわち、パイプラインの中心を通って航行する。
【0068】
この装置は、通信モジュール(13)を取り付け可能であり、これにより、装置は、パイプ全体に沿って外側に特定距離毎に配置された一連の同期システムとリアルタイムで通信することができる。通信モジュールは、装置からパイプの外側にデータを送信するために使用される。前記データは、同期システムに記憶されてもよく、又は、GSM/GPRSモジュールによって情報を記憶する外部サーバに送信されてもよい。
【0069】
通信は、同期システムと装置との間で、無線又は超音波通信を使用して、ビーター、音声発振器及びBluetooth又は双方向通信を使用して、同期システムから装置への一方向通信とすることができる。同期システムを使用することによって、装置の位置パラメータがリセットされ、それによって、移動させられた距離の計算における誤差の蓄積が防止される。
【0070】
図4は、配水網のマンホールのアクセスシステム(14)を使用して装置がどのように大口径パイプラインに挿入されるかを示す。漏れ検出システムがパイプライン(15)に確実に入るように、ロッドがアクセスバルブ(17)を介してアクセスシステムに接続される(16)。従って、アクセスバルブは開かれ(17)、ロッド(16)を使用して漏れ検出器が押し込まれる。より具体的には、ロッドは、その下端によって金属スリーブ(21)を通して挿入され、その金属スリーブは、定着具と共に、人がアクセスする大口径パイプの内側と同じ圧力を有する領域を形成するために使用される。
【0071】
アセンブリは、金属スリーブの内部圧力が高いために使用される非言及Oリングで補完される。このOリングを使用しない場合、水は接合部から出てしまうであろう。
【0072】
漏れ検出器の適切な取り外しを確実にするために、
図5は、装置を受け止めるためにその下部にネット(18)を有するロッド(16’)を備えた装置を示している。挿入装置の場合と同様に、ロッド(16’)は、アクセス入口(14’)のアクセスバルブ(17)に通され、Oリングによって結合される。
【0073】
装置は、金属スリーブ(21’)と、ネットが取り付けられる(18)一対の可撓性プレート(22)と、カメラ、到着検出器及び流量計を含む電子機器(23)と、で補完される。
【0074】
このように、取り出しシステムは、大口径パイプバルブに取り付けられ、金属スリーブに結合され、パイプの端部に押し込まれ、そこでプレートが開き、ネットが拡張する。
【0075】
カメラが装置を表示し、到着検出器が起動されると、ネットは、装置が近づくとそれを捕捉する。
【0076】
次に、ロッドは上方に引かれ、プレートは閉じ、装置はスリーブの内側から取り出される。
【0077】
同様に、流量計は、漏れの可能性がある位置の正確な距離を決定するための重要な情報である水の速度を測定する。
【0078】
図6で見られるように、水流(19)の力によって引きずられながら、漏れ検出器システムはパイプライン(15)を通って航行を開始する。パイプ(15)の壁面で水漏れが検出されると(20)、それは、ハイドロホン(2)によって捕捉される異音(21)を発する。
【0079】
球体の寸法に関しては、これらは、異なる設計基準のせいで変化し得るとしても、一例として、球体は、50~150mmの半径及び0.8mmの厚さを有し得、気密シールを備え、好ましくはプラスチックから作製されるが、他の材料又はそれらの組み合わせから作製されてもよい。