(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240318BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240318BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240318BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240318BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20240318BHJP
H10B 41/70 20230101ALI20240318BHJP
H10B 99/00 20230101ALI20240318BHJP
【FI】
H01L29/78 616T
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L29/78 613Z
H01L29/78 618B
H10B12/00 671Z
H10B12/00 801
H10B41/70
H10B99/00 441
(21)【出願番号】P 2022190079
(22)【出願日】2022-11-29
(62)【分割の表示】P 2020075362の分割
【原出願日】2015-05-14
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2014112369
(32)【優先日】2014-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年3月19日青山学院大学において開催された公益社団法人応用物理学会第61回応用物理学会春季学術講演会で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 求
(72)【発明者】
【氏名】笹川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】方堂 涼太
(72)【発明者】
【氏名】栃林 克明
(72)【発明者】
【氏名】森若 智昭
(72)【発明者】
【氏名】西田 治朗
(72)【発明者】
【氏名】宮入 秀和
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-033906(JP,A)
【文献】特開2012-209546(JP,A)
【文献】特開2013-008936(JP,A)
【文献】特開2011-249782(JP,A)
【文献】特開2012-178553(JP,A)
【文献】特開2012-256821(JP,A)
【文献】特開2012-256814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/786
H10B 12/00
H10B 41/70
H10B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含む第1のチャネル形成領域に有する第1のトランジスタと、
酸化物半導体を含む第2のチャネル形成領域に有する第2のトランジスタと、
容量素子と、を有し、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと、前記容量素子と、に電気的に接続される半導体装置であって、
前記容量素子の一方の電極としての機能を有し、且つ、前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第1の導電層と、
前記第1の導電層の上方の第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜を介して前記第1の導電層の上方に設けられ、且つ、前記容量素子の他方の電極としての機能を有する第2の導電層と、
前記第2の導電層の上方の第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜の上方の第3の絶縁膜と、
前記第3の絶縁膜の上方の、前記第2のチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、を有し、
前記第1の導電層及び前記第2の導電層の各々は、前記第1のチャネル形成領域と重なる位置に設けられ、
前記第2の絶縁膜は、窒化シリコンを有し、
前記第3の絶縁膜は、前記酸化物半導体層の下面に接する領域を有し、且つ、酸化シリコンを有する、半導体装置。
【請求項2】
シリコンを含む第1のチャネル形成領域に有する第1のトランジスタと、
酸化物半導体を含む第2のチャネル形成領域に有する第2のトランジスタと、
容量素子と、を有し、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第1のトランジスタのゲートと、前記容量素子と、に電気的に接続される半導体装置であって、
前記容量素子の一方の電極としての機能を有し、且つ、前記第1のトランジスタのゲート電極と電気的に接続される第1の導電層と、
前記第1の導電層の上方の第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜を介して前記第1の導電層の上方に設けられ、且つ、前記容量素子の他方の電極としての機能を有する第2の導電層と、
前記第2の導電層の上方の第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜の上方の第3の絶縁膜と、
前記第3の絶縁膜の上方の、前記第2のチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の上方に設けられ、前記第2のトランジスタのゲート電極としての機能を有する第3の導電層と、
前記第3の導電層の上方の第4の絶縁膜と、
前記第4の絶縁膜の上方の第4の導電層と、
前記第4の絶縁膜の上方の第5の導電層と、を有し、
前記第1の導電層及び前記第2の導電層の各々は、前記第1のチャネル形成領域と重なる位置に設けられ、
前記第2の絶縁膜は、窒化シリコンを有し、
前記第3の絶縁膜は、前記酸化物半導体層の下面に接する領域を有し、且つ、酸化シリコンを有し、
前記第4の導電層及び前記第5の導電層の各々は、前記第4の絶縁膜の上面に接する領域を有し、
前記第4の導電層は、前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方と、前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方と、に電気的に接続され、
前記第5の導電層は、前記第1のチャネル形成領域を含む半導体膜の低抵抗層と電気的に接続される、半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記酸化物半導体層は、In、Ga及びZnを有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、電界効果トランジスタを有する半導体装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発
明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション
・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発
明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明
装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例とし
て挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる
装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶
装置は、半導体装置の一態様である。撮像装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、電
気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は、
半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0004】
半導体材料を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。該トランジスタは
集積回路(IC)や画像表示装置(単に表示装置とも表記する)のような電子デバイスに
広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体材料としてシリコン系半導体材料
が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0005】
例えば、酸化物半導体として酸化亜鉛、またはIn-Ga-Zn系酸化物半導体を用い
てトランジスタを作製する技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
また、近年では電子機器の高性能化、小型化、または軽量化に伴い、微細化されたトラ
ンジスタなどの半導体素子を高密度に集積した集積回路の要求が高まっている。例えば、
Tri-GateトランジスタとCOB(capacitor over bitlin
e)構造のMIMキャパシタが紹介されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】R.Brain et al.,”A 22nm High Performance Embedded DRAM SoC Technology Featuring Tri-gate Transistors and MIMCAP COB”,2013 SYMPOSIUM ON VLSI TECHNOLOGY 2-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、微細化・高密度化に適した半導体装置を提供することを課題の一と
する。または、半導体装置に良好な電気特性を付与することを課題の一とする。
【0010】
または書き込み速度の速い半導体装置を提供することを課題の一とする。または読み出し
速度の速い半導体装置を提供することを課題の一とする。または消費電力の小さい半導体
装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高い半導体装置を提供すること
を課題の一とする。または、新規な構成の半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第1のトランジスタ上に第1の絶縁膜
と、第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜上に第2のトランジスタと、第1の
トランジスタに電気的に接続する第1の導電膜と、第1の導電膜及び第2のトランジスタ
と電気的に接続する第2の導電膜とを有し、第1の導電膜は第1の絶縁膜を貫通し、第2
の導電膜は第2の絶縁膜と、第2のトランジスタの半導体膜及びソース電極又はドレイン
電極とを貫通し第1のトランジスタのチャネル形成領域は、単結晶半導体を有し、第2の
トランジスタのチャネル形成領域は、酸化物半導体を有し、第2の導電膜の底面の幅が5
nm以下であることを特徴とする半導体装置である。
【0013】
(2)または、本発明の一態様は、第1の導電膜は第1のトランジスタのソース領域又は
ドレイン領域に接することを特徴とする(1)に記載の半導体装置である。
【0014】
(3)または、本発明の一態様は、第1乃至第4の二等辺三角形と、正方形とで構成され
、第1乃至第4の二等辺三角形の頂角が120°以下である逆正四角錐の頂点を第1のト
ランジスタのゲート電極の上面の中心としたとき、半導体膜の底面が正方形の領域に収ま
ることを特徴とする(1)に記載の半導体装置である。
【0015】
(4)または、本発明の一態様は、第1のトランジスタのゲート電極の上面の中心と第2
のトランジスタのゲート電極の上面の中心とは互いに重なり、第1のトランジスタのゲー
ト電極の上面の中心と半導体膜の上面の中心とは互いに重なることを特徴とする(3)に
記載の半導体装置である。
【0016】
(5)または、本発明の一態様は、容量素子を有し、容量素子は、第1のトランジスタと
第2のトランジスタの間に位置することを特徴とする(1)に記載の半導体装置である。
【0017】
(6)または、本発明の一態様は、(1)に記載の半導体装置と、表示装置、マイクロフ
ォン、スピーカー、操作キー、タッチパネル、または、アンテナと、を有することを特徴
とする電子機器である。
【0018】
(7)または、本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第1のトランジスタ上に第1
の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜上に第2のトランジスタと
、第1のトランジスタに電気的に接続する第1の導電膜と、第1の導電膜及び第2のトラ
ンジスタと電気的に接続する第2の導電膜とを有し、第1の導電膜は第1の絶縁膜を貫通
し、第2の導電膜は第2の絶縁膜と、第2のトランジスタの第1の半導体膜、第2の半導
体膜、及びソース電極又はドレイン電極とを貫通し第1のトランジスタのチャネル形成領
域は、単結晶半導体を有し、第2のトランジスタのチャネル形成領域は、酸化物半導体を
有し、第2の導電膜の底面の幅が5nm以下であることを特徴とする半導体装置である。
【0019】
(8)または、本発明の一態様は、請求項7において、第1の導電膜は第1のトランジス
タのソース領域又はドレイン領域に接することを特徴とする(7)に記載の半導体装置で
ある。
【0020】
(9)または、本発明の一態様は、請求項7において、第2の半導体膜、ソース電極、及
びドレイン電極上に第3の半導体膜を有し、第2の半導体膜の電子親和力は、第1の半導
体膜の電子親和力および第3の半導体膜の電子親和力よりも大きいことを特徴とする(7
)に記載の半導体装置である。
【0021】
(10)または、本発明の一態様は、第1乃至第4の二等辺三角形と、正方形とで構成さ
れ、第1乃至第4の二等辺三角形の頂角が120°以下である逆正四角錐の頂点を第1の
トランジスタのゲート電極の上面の中心としたとき、第1の半導体膜の底面が正方形の領
域に収まることを特徴とする(7)に記載の半導体装置である。
【0022】
(11)または、本発明の一態様は、第1のトランジスタのゲート電極の上面の中心と第
2のトランジスタのゲート電極の上面の中心とは互いに重なり、第1のトランジスタのゲ
ート電極の上面の中心と第1の半導体膜の上面の中心とは互いに重なることを特徴とする
(10)に記載の半導体装置である。
【0023】
(12)または、本発明の一態様は、容量素子を有し、容量素子は、第1のトランジスタ
と第2のトランジスタの間に位置することを特徴とする(7)に記載の半導体装置である
。
【0024】
(13)または、本発明の一態様は、(7)に記載の半導体装置と、表示装置、マイクロ
フォン、スピーカー、操作キー、タッチパネル、または、アンテナと、を有することを特
徴とする電子機器である。
【0025】
(14)または、本発明の一態様は、単結晶半導体をチャネルとする第1のトランジスタ
を形成し、第1のトランジスタ上に第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜上に酸化物半導
体膜を形成し、酸化物半導体膜上に第1の導電膜を形成し、第1の導電膜上に無機膜を形
成し、無機膜上に第1のマスクを形成し、第1のマスクをマスクとして無機膜を加工し、
第2のマスクを形成し、第2のマスクをマスクとして、第1の導電膜、酸化物半導体膜、
及び第1の絶縁膜に開口を形成し、開口に第1の導電膜、酸化物半導体膜、及び第1の絶
縁膜を貫通する第2の導電膜を形成し、第1のマスクはレジストマスクであり、第1の導
電膜及び酸化物半導体膜は第2のトランジスタに含まれ、第2の導電膜は第1のトランジ
スタ及び第2のトランジスタと電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法
である。
【0026】
(15)または、本発明の一態様は、無機膜と第1のマスクとの間に有機樹脂膜を形成す
ることを特徴とする(14)に記載の半導体装置の作製方法である。
【0027】
(16)または、本発明の一態様は、第2の導電膜を研磨処理する工程を含むことを特徴
とする(14)に記載の半導体装置の作製方法である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、微細化・高密度化に適した半導体装置を提供することができ
る。
【0029】
または、半導体装置に良好な電気特性を付与することができる。または書き込み速度の
速い半導体装置を提供することができる。または読み出し速度の速い半導体装置を提供す
ることができる。または消費電力の小さい半導体装置を提供することができる。または、
信頼性の高い半導体装置を提供することができる。または、新規な構成の半導体装置等を
提供することができる。なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものでは
ない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。な
お、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるも
のであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施の形態に係る、半導体装置の上面図及び断面図。
【
図2】実施の形態に係る、半導体装置の占有面積について説明する図。
【
図5】実施の形態に係る、バンド構造を説明する図。
【
図11】実施の形態に係る、半導体装置の作製方法例を説明する図。
【
図12】実施の形態に係る、半導体装置の作製方法例を説明する図。
【
図13】実施の形態に係る、半導体装置の作製方法例を説明する図。
【
図14】実施の形態に係る、半導体装置の作製方法例を説明する図。
【
図15】実施の形態に係る、半導体装置の作製方法例を説明する図。
【
図16】実施の形態に係る、半導体装置の作製方法例を説明する図。
【
図24】実施の形態に係る、RFIDタグの構成例。
【
図27】実施の形態に係る、表示装置の上面図及び回路図。
【
図33】CAAC-OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC-OSの断面模式図。
【
図34】CAAC-OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。
【
図35】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。
【
図36】CAAC-OSの電子回折パターンを示す図。
【
図37】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
【
図38】CAAC-OSおよびnc-OSの成膜モデルを説明する模式図。
【
図39】InGaZnO
4の結晶、およびペレットを説明する図。
【
図40】CAAC-OSの成膜モデルを説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0032】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分に
は同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同
様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0033】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0034】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0035】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制
御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは
、IGFET(Insulated Gate Field Effect Trans
istor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor
)を含む。
【0036】
なお、本明細書において、「電極」を「プラグ」に置き換えて用いることも可能である
。特に上下の配線間を電気的に接続するために、開口部に導電膜を埋め込んで形成したと
ころを「プラグ」と呼ぶことが多い。
【0037】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応
じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜
」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用
語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0038】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平
行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。ま
た、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態を
いう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二
つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0039】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
。
【0040】
(実施の形態1)
図1(A)に半導体装置の上面図の一例を示す。
図1(B)は
図1(A)に示す一点鎖
線A1-A2に対応する断面図である。半導体装置は、
図1(B)に示すように第1のト
ランジスタ110、第2のトランジスタ100を有する。第2のトランジスタ100は第
1のトランジスタ110の上方に設けられ、第1のトランジスタ110と第2のトランジ
スタ100の間にはバリア膜120が設けられている。
【0041】
第1のトランジスタ110は、半導体基板111上に設けられ、半導体基板111の一
部からなる半導体膜112、ゲート絶縁膜114、ゲート電極115、及びソース領域ま
たはドレイン領域として機能する低抵抗層113a及び低抵抗層113bを有する。
【0042】
第1のトランジスタ110は、pチャネル型、nチャネル型のいずれでもよいが、pチ
ャネル型を用いるのが好ましい。または、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジス
タを用いればよい。
【0043】
半導体膜112のチャネルが形成される領域やその近傍の領域や、ソース領域またはド
レイン領域となる低抵抗層113a及び低抵抗層113b等において、シリコン系半導体
などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、G
e(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、
GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格
子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成
としてもよい。またはGaAsとAlGaAs等を用いることで、第1のトランジスタ1
10をHEMT(High Electron Mobility Transisto
r)としてもよい。
【0044】
低抵抗層113a及び低抵抗層113bは、半導体膜112に適用される半導体材料に
加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性
を付与する元素を含む。
【0045】
ゲート電極115は、n型の導電性を付与するヒ素、リンなどの元素、もしくはp型の
導電性を付与するホウ素などの元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材
料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両
立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタング
ステンを用いることが好ましい。
【0046】
ここで、第1のトランジスタ110に換えて
図4に示すようなトランジスタ160を用
いてもよい。
図4の一点鎖線より左側にトランジスタ160のチャネル長方向の断面を、
一点鎖線より右側にチャネル幅方向の断面を示す。
図4に示すトランジスタ160はチャ
ネルが形成される半導体膜112(半導体基板の一部)が凸形状を有し、その側面及び上
面に沿ってゲート絶縁膜114、ゲート電極115a及びゲート電極115bが設けられ
ている。なお、ゲート電極115aは仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このよう
なトランジスタ160は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタ
とも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する
絶縁膜を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する
場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
【0047】
第1のトランジスタ110を覆って、絶縁膜121、絶縁膜122、絶縁膜123及び
絶縁膜124が順に積層して設けられている。
【0048】
半導体膜112にシリコン系半導体材料を用いた場合、絶縁膜122は水素を含むこと
が好ましい。水素を含む絶縁膜122を第1のトランジスタ110上に設け、加熱処理を
行うことで絶縁膜122中の水素により半導体膜112中のダングリングボンドが終端さ
れ、第1のトランジスタ110の信頼性を向上させることができる。
【0049】
絶縁膜123はその下層に設けられる第1のトランジスタ110などによって生じる段
差を平坦化する平坦化膜として機能する。絶縁膜123の上面は、平坦性を高めるために
化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing
)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0050】
絶縁膜124はバリア膜としての機能を有していてもよい。絶縁膜124は不要であれ
ば設けなくてもよい。
【0051】
また、絶縁膜121、絶縁膜122、絶縁膜123、絶縁膜124には低抵抗層113
a、低抵抗層113bと電気的に接続するプラグ161、プラグ163等が埋め込まれ、
第1のトランジスタ110のゲート電極115と電気的に接続するプラグ162等が埋め
込まれている。なお、本明細書等において、電極と、電極と電気的に接続する配線とが一
体物であってもよい。すなわち、配線の一部が電極として機能する場合や、電極の一部が
配線として機能する場合もある。
【0052】
絶縁膜124の上部及びプラグ162の上部には、電極136が設けられている。電極
136はプラグ162と電気的に接続する。
【0053】
各プラグ(プラグ161乃至プラグ163)及び電極136等の材料としては、金属材
料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と
導電性を両立するタングステンやモリブデン、チタン、窒化チタンなどの高融点材料を用
いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、上記の高融点金
属から複数を用いて2層以上の積層膜として用いてもよい。例えば、窒化チタンの上部に
タングステンを用いた2層構造としても良い。
【0054】
また、電極136は、絶縁膜125に埋め込まれるように設けられ、絶縁膜125の上
面は平坦化されていることが好ましい。
【0055】
バリア膜120は、絶縁膜125の上面を覆って設けられている。
【0056】
また、バリア膜120は後述するプラグ164、及びプラグ166が埋め込まれる開口
部を有している。
【0057】
バリア膜120上に絶縁膜126が設けられている。絶縁膜126は、加熱により一部
の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。
【0058】
加熱により酸素を脱離する酸化物材料として、化学量論的組成を満たす酸素よりも多く
の酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS(Thermal Desorption Spe
ctroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018
atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸
化物絶縁膜である。なお、上記TDS分析時における基板温度としては100℃以上70
0℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
【0059】
例えばこのような材料として、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含む材料を用い
ることが好ましい。または、金属酸化物を用いることもできる。なお、本明細書中におい
て、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、
窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0060】
絶縁膜126の上部には、第2のトランジスタ100が設けられている。
【0061】
第2のトランジスタ100は、絶縁膜126の上面に接する酸化物半導体膜101aと
、酸化物半導体膜101aの上面に接する酸化物半導体膜101bと、酸化物半導体膜1
01bの上面に接し、酸化物半導体膜101bと重なる領域で離間する電極103a及び
電極103bと、酸化物半導体膜101bの上面、電極103aの上面、及び電極103
bの上面に接する酸化物半導体膜101cと、酸化物半導体膜101c上のゲート絶縁膜
104と、ゲート絶縁膜104及び酸化物半導体膜101cを介して酸化物半導体膜10
1bと重なるゲート電極105とを有する。また、第2のトランジスタ100を覆って、
絶縁膜107、絶縁膜108、及び絶縁膜127が設けられている。
【0062】
また、プラグ161及び電極103aと電気的に接続するプラグ164が絶縁膜125
、バリア膜120、絶縁膜126、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101b、
及び電極103aに埋め込まれるように設けられる。
【0063】
また、第2のトランジスタ100と同時に、酸化物半導体膜131a、酸化物半導体膜
131b及び電極103cが形成され、プラグ163及び電極103cと電気的に接続す
るプラグ166が絶縁膜125、バリア膜120、絶縁膜126、酸化物半導体膜131
a、酸化物半導体膜131b、及び電極103cに埋め込まれるように設けられる。
【0064】
なお、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくとも一部(または全部
)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜101a)などの半導体
膜の、表面、側面、上面、及び/または、下面の少なくとも一部(または全部)に設けら
れている。
【0065】
または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくとも一部(または全
部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜101a)などの半導
体膜の、表面、側面、上面、及び/または、下面の少なくとも一部(または全部)と、接
触している。または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくとも一部
(または全部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜101a)
などの半導体膜の少なくとも一部(または全部)と、接触している。
【0066】
または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくとも一部(または全
部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜101a)などの半導
体膜の、表面、側面、上面、及び/または、下面の少なくとも一部(または全部)と、電
気的に接続されている。または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少な
くとも一部(または全部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜
101a)などの半導体膜の一部(または全部)と、電気的に接続されている。
【0067】
または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくとも一部(または全
部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜101a)などの半導
体膜の、表面、側面、上面、及び/または、下面の少なくとも一部(または全部)に、近
接して配置されている。または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少な
くとも一部(または全部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜
101a)などの半導体膜の一部(または全部)に、近接して配置されている。
【0068】
または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくとも一部(または全
部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜101a)などの半導
体膜の、表面、側面、上面、及び/または、下面の少なくとも一部(または全部)の横側
に配置されている。または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくと
も一部(または全部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜10
1a)などの半導体膜の一部(または全部)の横側に配置されている。
【0069】
または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくとも一部(または全
部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜101a)などの半導
体膜の、表面、側面、上面、及び/または、下面の少なくとも一部(または全部)の斜め
上側に配置されている。または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少な
くとも一部(または全部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜
101a)などの半導体膜の一部(または全部)の斜め上側に配置されている。
【0070】
または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくとも一部(または全
部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜101a)などの半導
体膜の、表面、側面、上面、及び/または、下面の少なくとも一部(または全部)の上側
に配置されている。または、電極103a(及び/または、電極103b)の、少なくと
も一部(または全部)は、酸化物半導体膜101b(及び/または、酸化物半導体膜10
1a)などの半導体膜の一部(または全部)の上側に配置されている。
【0071】
例えば、上記酸化物半導体として、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn
)を含むことが好ましい。より好ましくは、In-M-Zn系酸化物(MはAl、Ti、
Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)で表記される酸化物を含
む。
【0072】
特に、半導体膜として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体膜の被形成面
、または半導体膜の上面に対し垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界を有さない
酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
【0073】
半導体膜としてこのような材料を用いることで、電気特性の変動が抑制され、信頼性の
高いトランジスタを実現できる。
【0074】
なお、半導体膜に適用可能な酸化物半導体の好ましい形態とその形成方法については、
後の実施の形態で詳細に説明する。
【0075】
本発明の一態様の半導体装置は、酸化物半導体膜と、該酸化物半導体膜と重なる絶縁膜
との間に、酸化物半導体膜を構成する金属元素のうち、少なくとも一の金属元素を構成元
素として含む第1の酸化物半導体膜を有することが好ましい。これにより、酸化物半導体
膜と、該酸化物半導体膜と重なる絶縁膜との界面にトラップ準位が形成されることを抑制
することができる。
【0076】
すなわち、本発明の一態様は、酸化物半導体膜の少なくともチャネル形成領域における
上面及び底面が、酸化物半導体膜の界面準位形成防止のためのバリア膜として機能する酸
化物膜に接する構成とすることが好ましい。このような構成とすることにより、酸化物半
導体膜中及び界面においてキャリアの生成要因となる酸素欠損の生成及び不純物の混入を
抑制することが可能となるため、酸化物半導体膜を高純度真性化することができる。高純
度真性化とは、酸化物半導体膜を真性または実質的に真性にすることをいう。よって、当
該酸化物半導体膜を含むトランジスタの電気特性の変動を抑制し、信頼性の高い半導体装
置を提供することが可能となる。
【0077】
なお、本明細書等において実質的に真性という場合、酸化物半導体膜のキャリア密度は
、1×1017/cm3未満、1×1015/cm3未満、または1×1013/cm3
未満である。酸化物半導体膜を高純度真性化することで、トランジスタに安定した電気特
性を付与することができる。
【0078】
酸化物半導体膜101aは、絶縁膜126と酸化物半導体膜101bとの間に設けられ
ている。
【0079】
酸化物半導体膜101cは、酸化物半導体膜101bとゲート絶縁膜104の間に設け
られている。より具体的には、酸化物半導体膜101cは、その下面が電極103a及び
電極103bの上面に接して設けられ、及びゲート絶縁膜104の下面に接して設けられ
ている。
【0080】
酸化物半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cは、それぞれ酸化物半導体膜10
1bと同一の金属元素を一種以上含む酸化物を含む。
【0081】
なお、酸化物半導体膜101bと酸化物半導体膜101aの境界、及び酸化物半導体膜
101bと酸化物半導体膜101cの境界は不明瞭である場合がある。
【0082】
例えば、酸化物半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cは、In若しくはGaを
含み、代表的には、In-Ga系酸化物、In-Zn系酸化物、In-M-Zn系酸化物
(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)であり、且つ酸化物
半導体膜101bよりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近い材料を用いる。代表
的には、酸化物半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cの伝導帯の下端のエネルギ
ーと、酸化物半導体膜101bの伝導帯の下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上
、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1e
V以下、0.5eV以下、または0.4eV以下とすることが好ましい。
【0083】
酸化物半導体膜101bを挟むように設けられる酸化物半導体膜101a及び酸化物半
導体膜101cに、酸化物半導体膜101bに比べてスタビライザとして機能するGaの
含有量の多い酸化物を用いることにより、酸化物半導体膜101bからの酸素の放出を抑
制することができる。
【0084】
酸化物半導体膜101bとして、例えばIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:4.
1、または3:1:2の原子数比のIn-Ga-Zn系酸化物を用いた場合、酸化物半導
体膜101aまたは酸化物半導体膜101cとして、例えばIn:Ga:Zn=1:3:
2、1:3:4、1:3:6、1:6:4、1:6:8、1:6:10、または1:9:
6などの原子数比のIn-Ga-Zn系酸化物を用いることができる。なお、酸化物半導
体膜101a、酸化物半導体膜101b及び酸化物半導体膜101cの原子数比はそれぞ
れ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。また、酸化物半導
体膜101aと酸化物半導体膜101cは、組成の同じ材料を用いてもよいし、異なる組
成の材料を用いてもよい。
【0085】
また、酸化物半導体膜101bとしてIn-M-Zn系酸化物を用いた場合、酸化物半
導体膜101bとなる半導体膜を成膜するために用いるターゲットは、該ターゲットが含
有する金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1としたときに、x1/y
1の値が1/3以上6以下、好ましくは1以上6以下であり、z1/y1が1/3以上6
以下、好ましくは1以上6以下の原子数比の酸化物を用いることが好ましい。なお、z1
/y1を6以下とすることで、後述するCAAC-OS膜が形成されやすくなる。ターゲ
ットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、4:2:4
.1、3:1:2などがある。
【0086】
また、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101cとしてIn-M-Zn系酸化
物を用いた場合、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101cとなる酸化物半導体
膜を成膜するために用いるターゲットは、該ターゲットが含有する金属元素の原子数比を
In:M:Zn=x2:y2:z2としたときに、x2/y2<x1/y1であり、z2
/y2の値が1/3以上6以下、好ましくは1以上6以下の原子数比の酸化物を用いるこ
とが好ましい。なお、z2/y2を6以下とすることで、後述するCAAC-OS膜が形
成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn
=1:3:4、1:3:6、1:3:8、1:2:4などがある。
【0087】
また、酸化物半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cに、酸化物半導体膜101
bに比べて伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近い材料を用いることにより、酸化物
半導体膜101bに主としてチャネルが形成され、酸化物半導体膜101bが主な電流経
路となる。このように、チャネルが形成される酸化物半導体膜101bを、同じ金属元素
を含む酸化物半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cで挟持することにより、これ
らの界面準位の生成が抑制され、トランジスタの電気特性における信頼性が向上する。
【0088】
なお、しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性及び電気特性(電界効果移動
度、しきい値電圧等)に応じて適切な原子数比のものを用いればよい。また、必要とする
トランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜10
1b及び酸化物半導体膜101cのキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸
素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0089】
ここで、酸化物半導体膜101aと酸化物半導体膜101bとの間には、酸化物半導体
膜101aと酸化物半導体膜101bとの混合領域を有する場合がある。また、酸化物半
導体膜101bと酸化物半導体膜101cとの間には、酸化物半導体膜101bと酸化物
半導体膜101cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くな
る。そのため、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101b及び酸化物半導体膜1
01cの積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続
接合ともいう。)バンド構造となる。
【0090】
ここで、バンド構造について説明する。バンド構造は、理解を容易にするため絶縁膜1
25、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101b、酸化物半導体膜101c及び
ゲート絶縁膜104の伝導帯下端のエネルギー(Ec)を示す。
【0091】
図5(A)、
図5(B)に示すように、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜10
1b、酸化物半導体膜101cにおいて、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。
これは、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101b、酸化物半導体膜101cを
構成する元素が共通することにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。し
たがって、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101b、酸化物半導体膜101c
は組成が異なる層の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもできる。
【0092】
主成分を共通として積層された酸化物半導体膜は、各層を単に積層するのではなく連続
接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸
構造)が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面にトラップ中心や再結合中心
のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に
、積層された多層膜の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失わ
れ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしまう。
【0093】
なお、
図5(A)では、酸化物半導体膜101aと酸化物半導体膜101cのEcが同
様である場合について示したが、それぞれが異なっていてもよい。例えば、酸化物半導体
膜101aよりも酸化物半導体膜101cのEcが高いエネルギーを有する場合、バンド
構造の一部は、
図5(B)のように示される。
【0094】
図5(A)、
図5(B)より、酸化物半導体膜101bがウェル(井戸)となり、第2
のトランジスタ100において、チャネルが酸化物半導体膜101bに形成されることが
わかる。なお、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101b、酸化物半導体膜10
1cは伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸(U Shap
e Well)とも呼ぶことができる。また、このような構成で形成されたチャネルを埋
め込みチャネルということもできる。
【0095】
なお、酸化物半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cと、酸化シリコン膜などの
絶縁膜との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。酸化物
半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cがあることにより、酸化物半導体膜101
bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。ただし、酸化物半導体膜101aまた
は酸化物半導体膜101cのEcと、酸化物半導体膜101bのEcとのエネルギー差が
小さい場合、酸化物半導体膜101bの電子が酸化物半導体膜101aまたは酸化物半導
体膜101cの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。トラッ
プ準位に電子が捕獲されることで、絶縁膜界面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジス
タのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
【0096】
したがって、トランジスタのしきい値電圧の変動を低減するには、酸化物半導体膜10
1a及び酸化物半導体膜101cのEcと、酸化物半導体膜101bとの間にエネルギー
差を設けることが必要となる。それぞれの当該エネルギー差は、0.1eV以上が好まし
く、0.15eV以上がより好ましい。
【0097】
なお、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101b、酸化物半導体膜101cに
は、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジ
スタに安定した電気特性を付与することができる。
【0098】
また、
図5(B)に示すようなバンド構造において、酸化物半導体膜101cを設けず
、酸化物半導体膜101bとゲート絶縁膜104の間にIn-Ga酸化物(たとえば、原
子数比でIn:Ga=7:93)を設けてもよい。
【0099】
酸化物半導体膜101bは、酸化物半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cより
も電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、酸化物半導体膜101bとして、酸化物
半導体膜101a及び酸化物半導体膜101cよりも電子親和力の0.07eV以上1.
3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV
以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端
のエネルギーとの差である。
【0100】
ここで、酸化物半導体膜101bの厚さは、少なくとも酸化物半導体膜101aよりも
厚く形成することが好ましい。酸化物半導体膜101bが厚いほど、トランジスタのオン
電流を高めることができる。また、酸化物半導体膜101aは、酸化物半導体膜101b
の界面準位の生成を抑制する効果が失われない程度の厚さであればよい。例えば、酸化物
半導体膜101bの厚さは、酸化物半導体膜101aの厚さに対して、1倍よりも大きく
、好ましくは2倍以上、より好ましくは4倍以上、より好ましくは6倍以上とすればよい
。なお、トランジスタのオン電流を高める必要のない場合にはその限りではなく、酸化物
半導体膜101aの厚さを酸化物半導体膜101bの厚さ以上としてもよい。
【0101】
また、酸化物半導体膜101cも酸化物半導体膜101aと同様に、酸化物半導体膜1
01bの界面準位の生成を抑制する効果が失われない程度の厚さであればよい。例えば、
酸化物半導体膜101aと同等またはそれ以下の厚さとすればよい。酸化物半導体膜10
1cが厚いと、ゲート電極による電界が酸化物半導体膜101bに届きにくくなる恐れが
あるため、酸化物半導体膜101cは薄く形成することが好ましい。例えば、酸化物半導
体膜101bの厚さよりも薄くすればよい。なお、これに限られず、酸化物半導体膜10
1cの厚さはゲート絶縁膜104の耐圧を考慮して、トランジスタを駆動させる電圧に応
じて適宜設定すればよい。
【0102】
ここで、例えば、酸化物半導体膜101bが、構成元素の異なる絶縁膜(例えば酸化シ
リコン膜を含む絶縁膜など)と接する場合、これらの界面に界面準位が形成され、該界面
準位はチャネルを形成することがある。このような場合、しきい値電圧の異なる第2のト
ランジスタが出現し、トランジスタの見かけ上のしきい値電圧が変動することがある。し
かしながら、本構成のトランジスタにおいては、酸化物半導体膜101bを構成する金属
元素を一種以上含んで酸化物半導体膜101aを有しているため、酸化物半導体膜101
aと酸化物半導体膜101bとの界面に界面準位を形成しにくくなる。よって酸化物半導
体膜101aを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつ
きや変動を低減することができる。
【0103】
また、ゲート絶縁膜104と酸化物半導体膜101bとの界面にチャネルが形成される
場合、該界面で界面散乱がおこり、トランジスタの電界効果移動度が低下する場合がある
。しかしながら、本構成のトランジスタにおいては、酸化物半導体膜101bを構成する
金属元素を一種以上含んで酸化物半導体膜101cを有しているため、酸化物半導体膜1
01bと酸化物半導体膜101cとの界面ではキャリアの散乱が起こりにくく、トランジ
スタの電界効果移動度を高くすることができる。
【0104】
電極103a及び電極103bは、一方がソース電極として機能し、他方がドレイン電
極として機能する。
【0105】
電極103a及び電極103bは、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イ
ットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単
体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば
、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二
層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-ア
ルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、
タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタ
ン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上に
チタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜
と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積
層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある
。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0106】
ゲート絶縁膜104は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン
、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジル
コン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)T
iO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁膜を単層または積層で用い
ることができる。またはこれらの絶縁膜に例えば酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化
ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イット
リウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁膜を窒化処理しても良
い。上記の絶縁膜に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用い
てもよい。
【0107】
また、ゲート絶縁膜104として、絶縁膜126と同様に、化学量論的組成を満たす酸
素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。
【0108】
なお、特定の材料をゲート絶縁膜に用いると、特定の条件でゲート絶縁膜に電子を捕獲
せしめて、しきい値電圧を増大させることもできる。例えば、酸化シリコンと酸化ハフニ
ウムの積層膜のように、ゲート絶縁膜の一部に酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化
タンタルのような電子捕獲準位の多い材料を用い、より高い温度(半導体装置の使用温度
あるいは保管温度よりも高い温度、あるいは、125℃以上450℃以下、代表的には1
50℃以上300℃以下)の下で、ゲート電極の電位をソース電極やドレイン電極の電位
より高い状態を、1秒以上、代表的には1分以上維持することで、半導体膜からゲート電
極に向かって、電子が移動し、そのうちのいくらかは電子捕獲準位に捕獲される。
【0109】
このように電子捕獲準位に必要な量の電子を捕獲させたトランジスタは、しきい値電圧
がプラス側にシフトする。ゲート電極の電圧の制御によって電子の捕獲する量を制御する
ことができ、それに伴ってしきい値電圧を制御することができる。また、電子を捕獲せし
める処理は、トランジスタの作製過程におこなえばよい。
【0110】
例えば、トランジスタのソース電極あるいはドレイン電極に接続する配線の形成後、あ
るいは、前工程(ウェハー処理)の終了後、あるいは、ウェハーダイシング工程後、パッ
ケージ後等、工場出荷前のいずれかの段階で行うとよい。いずれの場合にも、その後に1
25℃以上の温度に1時間以上さらされないことが好ましい。
【0111】
ゲート電極105は、例えばアルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデ
ン、タングステンから選ばれた金属、または上述した金属を成分とする合金か、上述した
金属を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウ
ムのいずれか一または複数から選択された金属を用いてもよい。また、リン等の不純物元
素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体、ニッケルシリサイド等のシリサ
イドを用いてもよい。例えば、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チ
タン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二
層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構
造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を
形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、
モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数の金属を組み合
わせた合金膜、もしくはこれらの窒化膜を用いてもよい。
【0112】
また、ゲート電極105は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム
酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸
化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添
加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また
、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属の積層構造とすることもできる。
【0113】
また、プラグ164と電気的に接続するプラグ167が絶縁膜127、絶縁膜108、
絶縁膜107に埋め込まれるように設けられる。また、ゲート電極105と電気的に接続
するプラグ168が絶縁膜127、絶縁膜108、絶縁膜107に埋め込まれるように設
けられる。また、プラグ166と電気的に接続するプラグ169が絶縁膜127、絶縁膜
108、絶縁膜107に埋め込まれるように設けられる。
【0114】
また、ゲート電極105とゲート絶縁膜104の間に、In-Ga-Zn系酸窒化物半
導体膜、In-Sn系酸窒化物半導体膜、In-Ga系酸窒化物半導体膜、In-Zn系
酸窒化物半導体膜、Sn系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(I
nN、ZnN等)等を設けてもよい。これらの膜は5eV以上、好ましくは5.5eV以
上の仕事関数を有し、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導
体を用いたトランジスタのしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリ
ーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。例えば、In-Ga-Zn系酸窒化物半導
体膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体膜101bより高い窒素濃度、具体的には7
原子%以上のIn-Ga-Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
【0115】
絶縁膜107は、バリア膜120と同様、水や水素が透過しにくい材料を用いることが
好ましい。また、特に、絶縁膜107として酸素を透過しにくい材料を用いることが好ま
しい。
【0116】
酸素を透過しにくい材料を含む絶縁膜107で酸化物半導体膜101bを覆うことで、
酸化物半導体膜101bから絶縁膜107よりも上方に酸素が放出されることを抑制する
ことができる。さらに、絶縁膜126から脱離した酸素を絶縁膜107よりも下側に閉じ
込めることができるため、酸化物半導体膜101bに供給しうる酸素の量を増大させるこ
とができる。
【0117】
また、水や水素を透過しにくい絶縁膜107により、外部から酸化物半導体にとっての
不純物である水や水素が混入することを抑制でき、第2のトランジスタ100の電気特性
の変動が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0118】
なお、絶縁膜107よりも下側に、絶縁膜126と同様の、加熱により酸素が脱離する
絶縁膜を設け、ゲート絶縁膜104を介して酸化物半導体膜101bの上側からも酸素を
供給する構成としてもよい。
【0119】
ここで、第1のトランジスタ110および第2のトランジスタ100を含む半導体装置
の占有面積について、
図2を用いて説明する。
【0120】
図2(A)は、
図1(B)の第1のトランジスタ110および第2のトランジスタ10
0を含む断面図を抽出した図である。半導体装置を微細化し、占有面積を縮小するために
は、第1のトランジスタ110および第2のトランジスタ100が積層して設けられてい
ることが好ましい。特に、第1のトランジスタ110のゲート電極115と第2のトラン
ジスタ110のゲート電極105とが互いに重なっていることが好ましい。
【0121】
なお、
図2(A)に示す点Oを第1のトランジスタ110のゲート電極115の上面の
中心、線分B1-B2に酸化物半導体膜101aの底面の長辺が収まるようにしたとき、
図2(A)で示される三角形B1-O-B2の∠B1-O-B2は、120°以下、好ま
しくは90°以下、さらに好ましくは60°であるとよい。∠B1-O-B2を小さくす
るほど半導体装置の占有面積を縮小することができる。
【0122】
また、
図2(B)に逆向きの四角錐(以降、逆四角錐という)を示す。逆四角錐は、第
1乃至第4の二等辺三角形と、正方形と、を有する。一の二等辺三角形の頂点が第1のト
ランジスタ110のゲート電極115の上面の中心、酸化物半導体膜101aの底面が正
方形の領域に収まり、かつ一の二等辺三角形の頂角が120°以下である逆四角錐に第2
のトランジスタ100が収まると好ましく、一の二等辺三角形の頂角が90°以下である
とより好ましく、一の二等辺三角形の頂角が60°以下であるとさらに好ましい。一の二
等辺三角形の頂角を小さくするほど半導体装置の占有面積を縮小することができる。
【0123】
また、
図2(C)に逆向きの直円錐(以降、逆直円錐という)を示す。逆直円錐は、円
を有する。逆直円錐の頂点と円の中心とを通る逆円錐の面は、二等辺三角形を有する。二
等辺三角形の頂点が第1のトランジスタ110のゲート電極115の上面の中心、酸化物
半導体膜101aの底面が円の領域に収まり、かつ二等辺三角形の頂角が120°以下で
ある逆直円錐に第2のトランジスタ100が収まると好ましく、二等辺三角形の頂角が9
0°以下であるとより好ましく、二等辺三角形の頂角が60°以下であるとさらに好まし
い。二等辺三角形の頂角を小さくするほど半導体装置の占有面積を縮小することができる
。
【0124】
また、第2のトランジスタ100に適用可能なトランジスタの構成例について示す。図
6(A)は以下で例示するトランジスタの上面概略図であり、
図6(B)、
図6(C)は
それぞれ、
図6(A)中の切断線A1-A2、B1-B2で切断したときの断面概略図で
ある。なお、
図6(B)はトランジスタのチャネル長方向の断面に相当し、
図6(C)は
トランジスタのチャネル幅方向の断面に相当する。
【0125】
図6(C)に示すように、トランジスタのチャネル幅方向の断面において、ゲート電極
が酸化物半導体膜101bの上面及び側面に面して設けられることで、酸化物半導体膜1
01bの上面近傍だけでなく側面近傍にまでチャネルが形成され、実効的なチャネル幅が
増大し、オン状態における電流(オン電流)を高めることができる。特に、酸化物半導体
膜101bの幅が極めて小さい(例えば50nm以下、好ましくは30nm以下、より好
ましくは20nm以下)場合には、酸化物半導体膜101bの内部にまでチャネルが形成
される領域が広がるため、微細化するほどオン電流に対する寄与が高まる。
【0126】
なお、
図7(A)、
図7(B)、
図7(C)に示すように、ゲート電極105の幅を狭
くしてもよい。その場合、例えば、電極103a及び電極103bや、ゲート電極105
などをマスクとして、酸化物半導体膜101bなどに、アルゴン、水素、リン、ホウ素な
どの不純物を導入することができる。その結果、酸化物半導体膜101bなどにおいて、
低抵抗領域109a、低抵抗領域109bを設けることができる。なお、低抵抗領域10
9a、低抵抗領域109bは、必ずしも、設けなくてもよい。なお、
図6だけでなく、他
の図面においても、ゲート電極105の幅を狭くすることができる。
【0127】
図8(A)、
図8(B)に示すトランジスタは、
図6で例示したトランジスタと比較し
て、酸化物半導体膜101cが電極103a及び電極103bの下面に接して設けられて
いる点で主に相違している。
【0128】
このような構成とすることで、酸化物半導体膜101a、酸化物半導体膜101b及び
酸化物半導体膜101cを構成するそれぞれの膜の成膜時において、大気に触れさせるこ
となく連続的に成膜することができるため、各々の界面欠陥を低減することができる。
【0129】
また、上記では、酸化物半導体膜101bに接して酸化物半導体膜101a及び酸化物
半導体膜101cを設ける構成を説明したが、酸化物半導体膜101aまたは酸化物半導
体膜101cの一方、またはその両方を設けない構成としてもよい。
【0130】
なお、
図8においても、
図6と同様に、ゲート電極105の幅を狭くすることができる
。その場合の例を、
図9(A)、
図9(B)に示す。なお、
図6、
図8だけでなく、他の
図面においても、ゲート電極105の幅を狭くすることができる。
【0131】
また、
図10(A)、
図10(B)に示すように酸化物半導体膜101bと電極103
aとの間、および酸化物半導体膜101bと電極103bとの間に層147aおよび層1
47bと接する構造とすることができる。
【0132】
層147aおよび層147bとしては、例えば、透明導電体、酸化物半導体、窒化物半
導体または酸化窒化物半導体を用いればよい。層147aおよび層147bは、例えば、
インジウム、スズおよび酸素を含む層、インジウムおよび亜鉛を含む層、インジウム、タ
ングステンおよび亜鉛を含む層、スズおよび亜鉛を含む層、亜鉛およびガリウムを含む層
、亜鉛およびアルミニウムを含む層、亜鉛およびフッ素を含む層、亜鉛およびホウ素を含
む層、スズおよびアンチモンを含む層、スズおよびフッ素を含む層またはチタンおよびニ
オブを含む層などを用いればよい。または、これらの層が水素、炭素、窒素、シリコン、
ゲルマニウムまたはアルゴンを含んでも構わない。
【0133】
層147aおよび層147bは、可視光線を透過する性質を有しても構わない。または
、層147aおよび層147bは、可視光線、紫外線、赤外線もしくはX線を、反射もし
くは吸収することで透過させない性質を有しても構わない。このような性質を有すること
で、迷光によるトランジスタの電気特性の変動を抑制できる場合がある。
【0134】
また、層147aおよび層147bは、酸化物半導体膜101bなどとの間にショット
キー障壁を形成しない層を用いると好ましい場合がある。こうすることで、トランジスタ
のオン特性を向上させることができる。
【0135】
なお、層147aおよび層147bは、電極103aおよび電極103bよりも高抵抗
の層を用いると好ましい場合がある。また、層147aおよび層147bは、トランジス
タのチャネルよりも低抵抗の層を用いると好ましい場合がある。例えば、層147aおよ
び層147bの抵抗率を、0.1Ωcm以上100Ωcm以下、0.5Ωcm以上50Ω
cm以下、または1Ωcm以上10Ωcm以下とすればよい。層147aおよび層147
bの抵抗率を上述の範囲とすることにより、チャネルとドレインとの境界部における電界
集中を緩和することができる。そのため、トランジスタの電気特性の変動を低減すること
ができる。また、ドレインから生じる電界に起因したパンチスルー電流を低減することが
できる。そのため、チャネル長の短いトランジスタにおいても、飽和特性を良好にするこ
とができる。なお、ソースとドレインとが入れ替わらない回路構成であれば、層147a
または層147bのいずれか一方のみ(例えば、ドレイン側)を配置するほうが好ましい
場合がある。
【0136】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラ
ンジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領
域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)
とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトラ
ンジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つの
トランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書で
は、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小
値または平均値とする。
【0137】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中
で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域に
おける、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトラン
ジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つの
トランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書で
は、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小
値または平均値とする。
【0138】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャ
ネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示され
るチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば
、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面
図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくな
る場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面
に形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割
合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅
よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0139】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実
測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見
積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形
状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である
。
【0140】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重な
る領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチ
ャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel
Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合
には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明
細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。
なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込み
チャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって
、値を決定することができる。
【0141】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求
める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチ
ャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0142】
以上が第2のトランジスタ100についての説明である。
【0143】
第2のトランジスタ100を覆う絶縁膜127は、その下層の凹凸形状を被覆する平坦
化膜として機能する。また、絶縁膜108は、絶縁膜127を成膜する際の保護膜として
の機能を有していてもよい。絶縁膜108は不要であれば設けなくてもよい。
【0144】
また、プラグ170は絶縁膜128に埋め込まれるように設けられ、プラグ167と電
気的に接続している。また、プラグ171は絶縁膜128に埋め込まれるように設けられ
、プラグ168と電気的に接続している。また、プラグ172は絶縁膜128に埋め込ま
れるように設けられ、プラグ169と電気的に接続している。
【0145】
また、電極173はプラグ170と電気的に接続し、電極174はプラグ171と電気
的に接続し、電極175はプラグ172と電気的に接続している。
【0146】
本発明の一態様の半導体装置は、第1のトランジスタ110と、第1のトランジスタの
上方に位置する第2のトランジスタ100とを有するため、これらを積層して設けること
により素子の占有面積を縮小することができる。さらに、第1のトランジスタ110と第
2のトランジスタ100との間に設けられたバリア膜120により、これよりも下層に存
在する水や水素等の不純物が第2のトランジスタ100側に拡散することを抑制できる。
【0147】
以上が構成例についての説明である。
【0148】
[作製方法例]
以下では、上記構成例で示した半導体装置の作製方法の一例について、
図11乃至
図1
6を用いて説明する。
【0149】
まず、半導体基板111を準備する。半導体基板111としては、例えば、単結晶シリ
コン基板(p型の半導体基板、またはn型の半導体基板を含む)、炭化シリコンや窒化ガ
リウムを材料とした化合物半導体基板などを用いることができる。また、半導体基板11
1として、SOI基板を用いてもよい。以下では、半導体基板111として単結晶シリコ
ンを用いた場合について説明する。
【0150】
続いて、半導体基板111に素子分離層(図示せず)を形成する。素子分離層はLOC
OS(Local Oxidation of Silicon)法またはSTI(Sh
allow Trench Isolation)法等を用いて形成すればよい。
【0151】
同一基板上にp型のトランジスタとn型のトランジスタを形成する場合、半導体基板1
11の一部にnウェルまたはpウェルを形成してもよい。例えば、n型の半導体基板11
1にp型の導電性を付与するホウ素などの不純物元素を添加してpウェルを形成し、同一
基板上にn型のトランジスタとp型のトランジスタを形成してもよい。
【0152】
続いて、半導体基板111上にゲート絶縁膜114となる絶縁膜を形成する。例えば、
表面窒化処理後に酸化処理を行い、シリコンと窒化シリコン界面を酸化して酸化窒化シリ
コン膜を形成してもよい。例えばNH3雰囲気中で700℃にて熱窒化シリコン膜を表面
に形成後に酸素ラジカル酸化を行うことで酸化窒化シリコン膜が得られる。
【0153】
当該絶縁膜は、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Depo
sition)法(熱CVD法、MOCVD(Metal Organic CVD)法
、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法等を含む)、MBE(Mo
lecular Beam Epitaxy)法、ALD(Atomic Layer
Deposition)法、またはPLD(Pulsed Laser Deposit
ion)法等で成膜することにより形成してもよい。
【0154】
続いて、ゲート電極115となる導電膜を形成する。導電膜としては、タンタル、タン
グステン、チタン、モリブデン、クロム、ニオブ等から選択された金属、またはこれらの
金属を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることが好ましい。また、リン等
の不純物を添加した多結晶シリコンを用いることができる。また、金属窒化物膜と上記の
金属膜の積層構造を用いてもよい。金属窒化物としては、窒化タングステン、窒化モリブ
デン、窒化チタンを用いることができる。金属窒化物膜を設けることにより、金属膜の密
着性を向上させることができ、剥離を防止することができる。また、ゲート電極115の
仕事関数を制御する金属膜を設けてもよい。
【0155】
導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法(熱CVD法、MOCVD法、PEC
VD法等を含む)などにより成膜することができる。また、プラズマによるダメージを減
らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD法が好ましい。
【0156】
続いて、当該導電膜上にリソグラフィ法等を用いてレジストマスクを形成し、当該導電
膜の不要な部分を除去する。その後、レジストマスクを除去することにより、ゲート電極
115を形成することができる。
【0157】
ここで、被加工膜の加工方法について説明する。被加工膜を微細に加工する場合には、
様々な微細加工技術を用いることができる。例えば、リソグラフィ法等で形成したレジス
トマスクに対してスリミング処理を施す方法を用いてもよい。また、リソグラフィ法等で
ダミーパターンを形成し、当該ダミーパターンにサイドウォールを形成した後にダミーパ
ターンを除去し、残存したサイドウォールをマスクとして用いて、被加工膜をエッチング
してもよい。また、被加工膜のエッチングとして、高いアスペクト比を実現するために、
異方性のドライエッチングを用いることが好ましい。また、無機膜または金属膜からなる
ハードマスクを用いてもよい。
【0158】
レジストマスクの形成に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長43
6nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる
。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。
また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外
光(EUV:Extreme Ultra-violet)やX線を用いてもよい。また
、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または
電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビーム
などのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
【0159】
また、レジストマスクとなるレジスト膜を形成する前に、被加工膜とレジスト膜との密
着性を改善する機能を有する有機樹脂膜を形成してもよい。当該有機樹脂膜は、例えばス
ピンコート法などにより、その下層の段差を被覆して表面を平坦化するように形成するこ
とができ、当該有機樹脂膜の上層に設けられるレジストマスクの厚さのばらつきを低減で
きる。また、特に微細な加工を行う場合には、当該有機樹脂膜として、露光に用いる光に
対する反射防止膜として機能する材料を用いることが好ましい。このような機能を有する
有機樹脂膜としては、例えばBARC(Bottom Anti-Reflection
Coating)膜などがある。当該有機樹脂膜は、レジストマスクの除去と同時に除
去するか、レジストマスクを除去した後に除去すればよい。
【0160】
ゲート電極115の形成後、ゲート電極115の側面を覆うサイドウォールを形成して
もよい。サイドウォールは、ゲート電極115の厚さよりも厚い絶縁膜を成膜した後に、
異方性エッチングを施し、ゲート電極115の側面部分のみ当該絶縁膜を残存させること
により形成できる。
【0161】
サイドウォールの形成時にゲート絶縁膜114となる絶縁膜も同時にエッチングされる
ことにより、ゲート電極115及びサイドウォールの下部にゲート絶縁膜114が形成さ
れる。または、ゲート電極115を形成した後にゲート電極115またはゲート電極11
5を加工するためのレジストマスクをエッチングマスクとして当該絶縁膜をエッチングす
ることによりゲート絶縁膜114を形成してもよい。または、当該絶縁膜に対してエッチ
ングによる加工を行わずに、そのままゲート絶縁膜114として用いることもできる。
【0162】
続いて、半導体基板111のゲート電極115(及びサイドウォール)が設けられてい
ない領域にリンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性を
付与する元素を添加する。この段階における断面概略図が
図11(A)に相当する。
【0163】
続いて、絶縁膜121を形成した後、上述した導電性を付与する元素の活性化のための
第1の加熱処理を行う。
【0164】
絶縁膜121は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シ
リコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミ
ニウムなどを用いればよく、積層または単層で設ける。絶縁膜121はスパッタリング法
、CVD法(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法
またはPLD法などを用いて形成することができる。特に、当該絶縁膜をCVD法、好ま
しくはプラズマCVD法によって成膜すると、被覆性を向上させることができるため好ま
しい。またプラズマによるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはA
LD法が好ましい。
【0165】
第1の加熱処理は、希ガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、または減圧雰囲気下
にて、例えば、400℃以上でかつ基板の歪み点未満で行うことができる。
【0166】
この段階で第1のトランジスタ110が形成される。
【0167】
続いて、絶縁膜122及び絶縁膜123を形成する。
【0168】
絶縁膜122は、絶縁膜121に用いることのできる材料のほか、酸素と水素を含む窒
化シリコン(SiNOH)を用いると、加熱によって脱離する水素の量を多くすることが
できるため好ましい。また、絶縁膜123は、絶縁膜121に用いることのできる材料の
ほか、TEOS(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate)若しくはシ
ラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性の良い酸化シリ
コンを用いることが好ましい。
【0169】
絶縁膜122及び絶縁膜123は、例えば、スパッタリング法、CVD法(熱CVD法
、MOCVD法、PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはPLD法などを用
いて形成することができる。特に、当該絶縁膜をCVD法、好ましくはプラズマCVD法
によって成膜すると、被覆性を向上させることができるため好ましい。また、プラズマに
よるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD法が好ましい。
【0170】
続いて絶縁膜123の上面をCMP法等を用いて平坦化する。
【0171】
その後、半導体膜112中のダングリングボンドを絶縁膜122から脱離する水素によ
って終端するための第2の加熱処理を行う。
【0172】
第2の加熱処理は、上記第1の加熱処理の説明で例示した条件で行うことができる。
【0173】
続いて、絶縁膜123上に絶縁膜124を形成する。
【0174】
続いて、絶縁膜121、絶縁膜122、絶縁膜123及び絶縁膜124に低抵抗層11
3a、低抵抗層113b及びゲート電極115等に達する開口部を形成する。その後、開
口部を埋めるように導電膜を形成し、絶縁膜124の上面が露出するように該導電膜に平
坦化処理を施すことにより、プラグ161、プラグ162、プラグ163等を形成する。
導電膜の形成は、例えばスパッタリング法、CVD法(熱CVD法、MOCVD法、PE
CVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することがで
きる。この段階における断面概略図が
図11(B)に相当する。
【0175】
絶縁膜124上に電極136を形成する(
図11(C)参照)。
【0176】
次に、電極136を覆う絶縁膜125を形成し、絶縁膜125の上面をCMP法などに
より平坦化する。絶縁膜125となる絶縁膜は、絶縁膜121等と同様の材料及び方法に
より形成することができる。
【0177】
絶縁膜125を形成した後、第3の加熱処理を行うことが好ましい。第3の加熱処理に
より、各層に含まれる水や水素を脱離させることにより、水や水素の含有量を低減するこ
とができる。後述するバリア膜120を形成する直前に第3の加熱処理を施し、バリア膜
120よりも下層に含まれる水素や水を徹底的に除去した後に、バリア膜120を形成す
ることで、後の工程でバリア膜120よりも下層側に水や水素が再度拡散・放出してしま
うことを抑制することができる。
【0178】
第3の加熱処理は、上記第1の加熱処理の説明で例示した条件で行うことができる。
【0179】
続いて、絶縁膜125上にバリア膜120を形成する(
図11(D)参照)。
【0180】
バリア膜120は、例えばスパッタリング法、CVD法(熱CVD法、MOCVD法、
PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成すること
ができる。特に、当該バリア膜をCVD法、好ましくはプラズマCVD法によって成膜す
ると、被覆性を向上させることができるため好ましい。また、プラズマによるダメージを
減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD法が好ましい。
【0181】
バリア膜120を形成した後に、バリア膜120に含まれる水や水素を低減あるいは脱
離ガスを抑制するための加熱処理を行ってもよい。
【0182】
バリア膜120上に、絶縁膜126となる絶縁膜を形成する。絶縁膜126となる絶縁
膜は、例えばスパッタリング法、CVD法(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等
を含む)、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる。特に
、当該絶縁膜をCVD法、好ましくはプラズマCVD法によって成膜すると、被覆性を向
上させることができるため好ましい。また、プラズマによるダメージを減らすには、熱C
VD法、MOCVD法あるいはALD法が好ましい。
【0183】
絶縁膜126となる絶縁膜に酸素を過剰に含有させるためには、例えば酸素雰囲気下に
て絶縁膜126となる絶縁膜の成膜を行えばよい。または、成膜後の絶縁膜126となる
絶縁膜に酸素を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成してもよく、双方の手段を組み
合わせてもよい。
【0184】
例えば、成膜後の絶縁膜126となる絶縁膜に酸素(少なくとも酸素ラジカル、酸素原
子、酸素イオンのいずれかを含む)を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成する。酸
素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオ
ン注入法、プラズマ処理などを用いることができる。
【0185】
酸素導入処理には、酸素を含むガスを用いることができる。酸素を含むガスとしては、
酸素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などを用いることができる。
また、酸素導入処理において、酸素を含むガスに希ガスを含ませてもよく、例えば、二酸
化炭素と水素とアルゴンの混合ガスを用いることができる。
【0186】
また、絶縁膜126となる絶縁膜を形成した後、その上面の平坦性を高めるためにCM
P法等を用いた平坦化処理を行って絶縁膜126を形成する(
図12(A)参照)。
【0187】
続いて、酸化物半導体膜101aとなる酸化物半導体膜102aと、酸化物半導体膜1
01bとなる酸化物半導体膜102bを順に成膜する。当該酸化物半導体膜は、大気に触
れさせることなく連続して成膜することが好ましい。
【0188】
酸化物半導体膜102bを成膜後、第4の加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は
、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下の温度で、不活性ガ
ス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、または減圧状態で行えばよい。また
、加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うため
に酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。加熱処理は、酸化物半導体膜
102bを成膜した直後に行ってもよいし、酸化物半導体膜102bを加工して島状の酸
化物半導体膜101bを形成した後に行ってもよい。加熱処理により、絶縁膜126から
酸化物半導体膜に酸素が供給され、半導体膜中の酸素欠損を低減することができる。
【0189】
次に酸化物半導体膜102b上にハードマスクとなる導電膜103と、絶縁膜106と
を順に形成する(
図12(B)参照)。導電膜103は、スパッタリング法、蒸着法、C
VD法(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)などにより成膜することが
できる。また、プラズマによるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるい
はALD法が好ましい。絶縁膜106としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化シリコン
膜、酸化窒化シリコン膜などの無機膜を用いれば良く、例えばスパッタリング法、CVD
法(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはP
LD法などを用いて形成することができる。特に、当該絶縁膜をCVD法、好ましくはプ
ラズマCVD法によって成膜すると、被覆性を向上させることができるため好ましい。ま
た、プラズマによるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD法
が好ましい。
【0190】
この絶縁膜106と、導電膜103の二層をハードマスクとして用いて、酸化物半導体膜
102b、酸化物半導体膜102a、絶縁膜126、バリア膜120及び絶縁膜125に
、プラグ161、プラグ163、及び電極136に達する、微細な開口部形成方法の一例
を次に示す。
【0191】
絶縁膜106上に上記と同様の方法を用いてレジストマスク141を形成する。絶縁膜
106とレジストマスクとの密着性を良好にするために、絶縁膜106とレジストマスク
の間に有機樹脂膜を形成しても良い。
【0192】
次に、レジストマスク141を用いて、有機樹脂膜をエッチングする(
図12(C)参
照)。続けて、絶縁膜106をエッチングし絶縁膜106aを形成する。この時、絶縁膜
のエッチング速度に対して、レジストマスクのエッチング速度を小さくすることが好まし
い。すなわち、レジストマスクのエッチング速度を小さく抑えることで絶縁膜のおける開
口部の横方向への広がりを防止することができる(
図13(A)参照)。
【0193】
次に、絶縁膜106aをマスクとして、導電膜103のドライエッチングを行い、導電
膜103a1を形成する。ここでは、絶縁膜106aのエッチング速度を小さく抑えるこ
とが好ましいことは、上記と同様の理由である。また、ドライエッチングにおいて、レジ
ストマスク141や有機樹脂膜140aもエッチングされて、後退したレジストマスク1
41aや後退した有機樹脂膜140bが形成される。
【0194】
以上の工程を行うことで、絶縁膜106aと、導電膜103との二層のハードマスクを形
成することができる(
図13(B)参照)。
【0195】
この二層のハードマスクを用いて、酸化物半導体膜102b、酸化物半導体膜102a、
絶縁膜126、バリア膜120及び絶縁膜125のドライエッチングを行うことで、プラ
グ161と、プラグ163に達する、微細な開口部を形成することができる。また、同時
に酸化物半導体膜146aおよび酸化物半導体膜146bが形成される。さらに、ドライ
エッチングにおいて、レジストマスク141aおよび有機樹脂膜140bは、エッチング
されて消失する。(
図14(A)参照)。
【0196】
二層のハードマスクのうちの絶縁膜106aは、上記、酸化物半導体膜102b、酸化物
半導体膜102a、絶縁膜126、バリア膜120及び絶縁膜125のドライエッチング
中に消失してもかまわない。ただし、上記エッチングにて、もう一つのハードマスクであ
る導電膜103が過剰にエッチングされることを防ぐために、絶縁膜106aがちょうど
エッチングされて消失する程度、または絶縁膜106aがその膜厚の10%程度多くエッ
チングされるように、エッチング時間を適宜調整して形成すると良い。(
図14(A)参
照)。または、意図的に絶縁膜106aを残してもよいが、その場合は、絶縁膜106a
の膜厚を適宜調整して形成することで可能である。絶縁膜106aを残すことで、後の工
程であるCMP工程の終点検出の際のストッパー膜として機能し、導電膜103a1の膜
厚が小さくなることを抑制することができる。または、トランジスタ100の特性におい
て、ゲート電極と、ソース電極の寄生容量と、ゲート電極と、ドレイン電極間の寄生容量
を小さくすることができる。または、ゲート電極と、ソース電極のリーク電流と、ゲート
電極と、ドレイン電極間のリーク電流を小さくすることができる。
【0197】
ここで、絶縁膜106aと、導電膜103との二層のハードマスクを作製すること、とこ
の二層のハードマスクを用いて、酸化物半導体膜102b、酸化物半導体膜102a、絶
縁膜126、バリア膜120及び絶縁膜125のドライエッチングを行い、プラグ161
と、プラグ163に達する、微細な開口部を形成する、ドライエッチング装置について、
図3に示した、エッチング装置の概略図を用いて説明する。
【0198】
図3に示したエッチング装置は、3つのエッチングチャンバーと、基板を各エッチングチ
ャンバーへ移動する際に一時的に基板を待機させることを目的としたトランスファーチャ
ンバーと、各エッチングチャンバーへエッチングガス等を供給するガス供給システムと、
図示していないが、各電源供給システム、ポンプシステム、ガス除害システム等を有する
。
【0199】
複数の膜種で成る多層膜であって、かつ、微細な開口部を形成するには、平行平板型のエ
ッチング装置を用いることが望ましい。特に、高密度プラズマ発生源などを有するエッチ
ング装置であることが好ましい。または、複数のエッチングチャンバーを有することが好
ましい。または、エッチングガスが各エッチング層のエッチングにおいて適宜最適なガス
を選択し、かつ複数のガスを組み合わせる事ができるようなガス供給システムを有するこ
とが好ましい。
【0200】
複数の膜種を有する多層膜であって、かつ、微細な開口部を、一つのエッチングチャンバ
ーで形成しても良い。この方法では、各エッチング層において最適なエッチングガスをエ
ッチングチャンバー内に導入すれば良い。エッチング装置は、複数のチャンバーを有する
エッチング装置であれば、複数の基板を同時並行的に処理することが可能であり、生産効
率を高めることができるので好ましい。
図3は、3つのエッチングチャンバーを有するエ
ッチング装置の一例である。
【0201】
一つのエッチングチャンバーで多層膜をエッチングする場合、エッチングチャンバーには
、エッチングする膜種に応じて最適なガスに切り替えて、導入してエッチングするので、
様々なエッチング生成物がエッチングチャンバー壁に付着し堆積することがある。これが
、エッチング中にエッチングチャンバー壁から剥がれ、飛散して、パーティクルとなるこ
とがあり、基板上に付着するとエッチング不良を引き起こすことがある。
【0202】
このようなパーティクルの発生を防止する方法としては、膜種毎にエッチングチャンバー
を決めて、エッチングする方法がある。一例として、ハードマスクとなる膜をチャンバー
Aでエッチングを行い、それ以外の膜をチャンバーBでエッチングする方法について以下
にて説明する。
【0203】
まず基板をエッチングチャンバーAに挿入し、有機樹脂膜と、絶縁膜106と、導電膜1
03をエッチングする。有機樹脂膜のエッチングは例えばCF4ガスを用いてもよい。絶
縁膜106のエッチングは、例えばCHF3ガスにO2ガスを加えた混合ガスを用いても
よい。導電膜103のエッチングは、例えばCF4ガスと、Cl2ガスと、O2ガスの混
合ガスを用いてもよい。次に基板を、エッチングチャンバーAから、トランスファーチャ
ンバーを介して、エッチングチャンバーBに挿入し、酸化物半導体膜102bと、酸化物
半導体膜102aと、絶縁膜126と、バリア膜120と、絶縁膜125をエッチングす
る。酸化物半導体膜102bと、酸化物半導体膜102aのエッチングガスは、例えばC
HF3ガスにArガスを加えた混合ガスを用いてもよい。絶縁膜126のエッチングガス
は、例えばC4F6ガスにArガスと、O2ガスを混合したものを用いてもよい。バリア
膜120と、絶縁膜125のエッチングガスは、例えばCHF3ガスにArガスを加えた
混合ガスを用いてもよい。次に基板を、エッチングチャンバーBから、上記と同様に、エ
ッチングチャンバーCに移動してアッシングをする。アッシングガスは例えばO2ガスを
用いてもよい。
【0204】
上記一例より、さらに多層膜となっている構成であっても、上記手順に従えば、微細な開
口部を形成することができる。
【0205】
上記の一例の場合のエッチング装置は、複数のエッチングチャンバーを有する必要がある
。ただし基板は、チャンバー間の移動時であっても、常に真空下で移動され、一切大気雰
囲気にさらされることがないので、再現性の良いエッチングができる。また、膜種毎にエ
ッチングをするので、各エッチングチャンバーでの処理時間を短くすることができるので
生産効率を高くすることができる。
【0206】
次に、導電膜103a1上、及び上記で形成した開口部内に導電膜を形成する。開口部
内には上記導電膜が埋め込まれる。該導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法(
熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)などにより成膜することができる。
また、プラズマによるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD
法が好ましい。次に、導電膜103a1上に成膜された導電膜をCMP法により導電膜1
03a1の表面が露出するまで研磨する。この時、上記絶縁膜106aを残した場合は、
絶縁膜106aは、CMPのストッパー膜として機能する。よって、プラグ164と、プ
ラグ166を形成することができる(
図14(B)参照)。
【0207】
次に上記と同様の方法によりレジストマスクを形成し、導電膜103a1の不要な部分を
エッチングし、島状導電膜103a2を形成する。その後、島状導電膜103a2をマス
クとして酸化物半導体膜の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマス
クを除去することにより、島状の酸化物半導体膜101aと島状の酸化物半導体膜101
bの積層構造を形成することができる(
図15(A)参照)。
【0208】
また、同時に電極103c、島状の酸化物半導体膜131aと島状の酸化物半導体膜1
31bの積層構造を形成することができる。
【0209】
続いて島状導電膜103a2上に上記と同様の方法によりレジストマスクを形成し、該
マスクを用いて島状導電膜103a2の不要な部分をエッチングすることで、ソース電極
またはドレイン電極として機能する電極103aおよび電極103bを形成することがで
きる(
図15(B)参照)。
【0210】
続いて、酸化物半導体膜101c、ゲート絶縁膜104及びゲート電極105を形成す
る(
図16(A)参照)。
【0211】
この段階で第2のトランジスタ100が形成される。
【0212】
続いて、絶縁膜107を形成する。絶縁膜107は、例えばスパッタリング法、CVD
法(熱CVD法、MOCVD法、PECVD法等を含む)、MBE法、ALD法またはP
LD法などを用いて形成することができる。特に、当該絶縁膜をCVD法、好ましくはプ
ラズマCVD法によって成膜すると、被覆性を向上させることができるため好ましい。ま
た、プラズマによるダメージを減らすには、熱CVD法、MOCVD法あるいはALD法
が好ましい。
【0213】
絶縁膜107の成膜後、第5の加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理により、絶縁
膜126等から酸化物半導体膜101bに対して酸素を供給し、酸化物半導体膜101b
中の酸素欠損を低減することができる。また、このとき、絶縁膜126から脱離した酸素
は、バリア膜120及び絶縁膜107によってブロックされ、バリア膜120よりも下層
及び絶縁膜107よりも上層には拡散しないため、当該酸素を効果的に閉じ込めることが
できる。そのため酸化物半導体膜101bに供給しうる酸素の量を増大させることができ
、酸化物半導体膜101b中の酸素欠損を効果的に低減することができる。
【0214】
続いて、絶縁膜108及び絶縁膜127を順に形成する(
図16(B)参照)。絶縁膜
108及び絶縁膜127は、例えばスパッタリング法、CVD法(熱CVD法、MOCV
D法、PECVD法、APCVD(Atmospheric Pressure CVD
)法等を含む)、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる
。特に、絶縁膜108をDCスパッタ法によって成膜すると、バリア性の高い膜を生産性
良く厚く成膜できるため好ましい。また、ALD法によって成膜すると、イオンダメージ
を減らし、被覆性を良好なものとすることができるため好ましい。また絶縁膜127とし
て有機樹脂などの有機絶縁材料を用いる場合には、スピンコート法などの塗布法を用いて
形成してもよい。また、絶縁膜127を形成した後にその上面に対して平坦化処理を行う
ことが好ましい。また、熱処理を行い流動化させて平坦化しても良い。また、平坦性をよ
り良好なものとするために、絶縁膜127を形成した後にCVD法を用いて絶縁膜を積層
した後にその上面に対して平坦化処理を行うことが好ましい。
【0215】
続いて、上記と同様の方法により、絶縁膜127、絶縁膜108、絶縁膜107に開口
部を形成し、プラグ164に達するプラグ167、ゲート電極105に達するプラグ16
8、プラグ166に達するプラグ169を形成する(
図16(B)参照。)
【0216】
続いて、絶縁膜128を形成する。なお、絶縁膜128は絶縁膜127の説明を援用す
ることができる。
【0217】
続いて、上記と同様の方法により、絶縁膜128に開口部を設け、プラグ167に達す
るプラグ170、プラグ168に達するプラグ171、プラグ169に達するプラグ17
2を形成する。
【0218】
続いて、プラグ170と電気的に接続する電極173と、プラグ171と電気的に接続
する電極174と、プラグ172と電気的に接続する電極175を形成する(
図1(B)
参照)。
【0219】
以上の工程により、本発明の一態様の半導体装置を作製することができる。
【0220】
<変形例1>
また、本実施の形態の変形例として、
図17に示すように、第1のトランジスタ110
と第2のトランジスタ100の間に容量素子130を設ける構成にしてもよい。容量素子
の位置を第2のトランジスタ100より上方に設けてもよい。具体的には、容量素子13
0の一方の電極136は、第2のトランジスタ100のソースまたはドレインの一方、お
よび第1のトランジスタ110のゲートと電気的に接続する。また、容量素子130の一
方の電極136上に絶縁膜137が設けられ、絶縁膜137上に容量素子130の他方の
電極138が設けられている。なお、電極138は、配線CLと電気的に接続されている
。また、電極136は、プラグ165を介して電極103bと電気的に接続している。
【0221】
以上の構成により、第1のトランジスタ110の占有面積内に第2のトランジスタ10
0及び容量素子130が設けられており、各素子の占有面積を縮小することができる。
【0222】
また、プラグ161とプラグ164との間に配線180を設けてもよいし、プラグ16
3とプラグ166との間に配線181を設けてもよい。そのほかの各プラグにおいても同
様にプラグとプラグの間に配線を設けてもよい。このような構成にすることでマスクの高
いアライメント精度を必要とせず、半導体装置の作製歩留まりの低下を抑制することがで
きる。
【0223】
<変形例2>
また、本実施の形態の変形例として、
図18に示すような構成にしてもよい。
図1との
違いは、二層のハードマスクのうちの絶縁膜106aを意図的に残している点である。絶
縁膜106aは、CMPのストッパー膜として機能し、導電膜103a1の膜厚が小さく
なることを抑制することができる。または、ゲート電極と、ソース電極の寄生容量と、ゲ
ート電極と、ドレイン電極間の寄生容量を小さくすることができる。または、ゲート電極
と、ソース電極のリーク電流と、ゲート電極と、ドレイン電極間のリーク電流を小さくす
ることができる。
【0224】
<変形例3>
また、本実施の形態の変形例として、
図19に示すように、第1のトランジスタ110
のゲート電極115の位置と第2のトランジスタ100のゲート電極105が互いに重な
らない構成としてもよい。
【0225】
<変形例4>
また、本実施の形態の変形例として、
図20(A)に示すように、絶縁膜128を形成
した後に、上記と同様の方法により、低抵抗層113aと、低抵抗層113bと、第2の
トランジスタ100のゲート電極105まで達する開口部を設け、低抵抗層113aに達
するプラグ170、第2のトランジスタ100のゲート電極105に達するプラグ171
、低抵抗層113bに達するプラグ172を形成し、続いて、プラグ170と電気的に接
続する電極173と、プラグ171と電気的に接続する電極174と、プラグ172と電
気的に接続する電極175を形成した構成としても良い。このように、異なる膜種の多層
膜に開口部を形成する場合、
図20(B)に示すように一部の膜が後退したようなくびれ
た断面形状になる事がある。これは、くびれた部分の膜のエッチング速度がくびれた部分
の上下の膜より、大きい場合にこのような形状になることがあるが、プラグの形成には影
響されない。また、くびれた部分は電気的に接触する面積が大きくなるのでトランジスタ
特性のオン特性が向上することもある。
【0226】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0227】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に含まれているトランジスタ
において、酸化物半導体膜に適用可能な一態様について説明する。
【0228】
酸化物半導体は、例えば、非単結晶酸化物半導体と単結晶酸化物半導体とに分けられる。
または、酸化物半導体は、例えば、結晶性酸化物半導体と非晶質酸化物半導体とに分けら
れる。
【0229】
なお、非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。また、結晶性酸化物半導
体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物
半導体などがある。
【0230】
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0231】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半
導体の一つである。
【0232】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OSの明視野像および回折パターンの複合解析像(高
分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数のペレットを確認することができる。
一方、高分解能TEM像によっても明確なペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレイン
バウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結
晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0233】
例えば、
図33(A)に示すように、試料面と略平行な方向から、CAAC-OSの断面
の高分解能TEM像を観察する。ここでは、球面収差補正(Spherical Abe
rration Corrector)機能を用いてTEM像を観察する。なお、球面収
差補正機能を用いた高分解能TEM像を、以下では、特にCs補正高分解能TEM像と呼
ぶ。なお、Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能
分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによって行うことができる。
【0234】
図33(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を
図33(B)に示す。
図33(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる
。金属原子の各層は、CAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上
面の凹凸を反映した形状であり、CAAC-OSの被形成面または上面と平行に配列する
。
【0235】
図33(B)において、CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。
図33(C)は、
特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。
図33(B)および
図33(C)より
、ペレット一つの大きさは1nm以上3nm以下程度であり、ペレットとペレットとの傾
きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、ペレッ
トを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。
【0236】
ここで、Cs補正高分解能TEM像から、基板5120上のCAAC-OSのペレット5
100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造となる
(
図33(D)参照。)。
図33(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾きが
生じている箇所は、
図33(D)に示す領域5161に相当する。
【0237】
また、例えば、
図34(A)に示すように、試料面と略垂直な方向から、CAAC-OS
の平面のCs補正高分解能TEM像を観察する。
図34(A)の領域(1)、領域(2)
および領域(3)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ
図34(B)、
図3
4(C)および
図34(D)に示す。
図34(B)、
図34(C)および
図34(D)よ
り、ペレットは、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確
認できる。しかしながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0238】
例えば、InGaZnO
4の結晶を有するCAAC-OSに対し、X線回折(XRD:X
-Ray Diffraction)装置を用いてout-of-plane法による構
造解析を行うと、
図35(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れ
る場合がある。このピークは、InGaZnO
4の結晶の(009)面に帰属されること
から、CAAC-OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な
方向を向いていることが確認できる。
【0239】
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC-OSのout-of-plane法に
よる構造解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現
れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性
を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OSは、2θが31°近傍にピ
ークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0240】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-plan
e法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、In
GaZnO
4の結晶の(110)面に帰属される。CAAC-OSの場合は、2θを56
°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(
φスキャン)を行っても、
図35(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対
し、InGaZnO
4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφス
キャンした場合、
図35(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピ
ークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは、
a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
【0241】
次に、CAAC-OSであるIn-Ga-Zn酸化物に対し、試料面に平行な方向からプ
ローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターン(制限視野透過電子回折
パターンともいう。)を
図36(A)に示す。
図36(A)より、例えば、InGaZn
O
4の結晶の(009)面に起因するスポットが確認される。したがって、電子回折によ
っても、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または
上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直な
方向からプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを
図36(B
)に示す。
図36(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子
回折によっても、CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さな
いことがわかる。なお、
図36(B)における第1リングは、InGaZnO
4の結晶の
(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、
図36(B)にお
ける第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
【0242】
このように、それぞれのペレット(ナノ結晶)のc軸が、被形成面または上面に略垂直な
方向を向いていることから、CAAC-OSをCANC(C-Axis Aligned
nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0243】
CAAC-OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体である。不純物は、水素、炭素、シリ
コン、遷移金属元素などの酸化物半導体の主成分以外の元素である。特に、シリコンなど
の、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体
から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子
半径)が大きいため、酸化物半導体内部に含まれると、酸化物半導体の原子配列を乱し、
結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラ
ップやキャリア発生源となる場合がある。
【0244】
また、CAAC-OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。例えば、酸化物半導
体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリ
ア発生源となることがある。
【0245】
また、CAAC-OSを用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の
変動が小さい。
【0246】
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
【0247】
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域
と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に含
まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさで
あることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶
であるナノ結晶を有する酸化物半導体を、nc-OS(nanocrystalline
Oxide Semiconductor)と呼ぶ。また、nc-OSは、例えば、高
分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、C
AAC-OSにおけるペレットと同じ起源を有する可能性がある。そのため、以下ではn
c-OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0248】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3
nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるペレ
ット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。した
がって、nc-OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合
がある。例えば、nc-OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いるXRD装置
を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を示す
ピークが検出されない。また、nc-OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例
えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと
、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OSに対し、ペレッ
トの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折
を行うと、スポットが観測される。また、nc-OSに対しナノビーム電子回折を行うと
、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc-
OSに対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測され
る場合がある。
【0249】
このように、それぞれのペレット(ナノ結晶)の結晶方位が規則性を有さないことから、
nc-OSをNANC(Non-Aligned nanocrystals)を有する
酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0250】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc-OS
は、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-OSは、CA
AC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0251】
次に、非晶質酸化物半導体について説明する。
【0252】
非晶質酸化物半導体は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物
半導体である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体が一例である。
【0253】
非晶質酸化物半導体は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0254】
非晶質酸化物半導体に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-pl
ane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導
体に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体
に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測さ
れる。
【0255】
非晶質構造については、様々な見解が示されている。例えば、原子配列に全く秩序性を有
さない構造を完全な非晶質構造(completely amorphous stru
cture)と呼ぶ場合がある。また、最近接原子間距離または第2近接原子間距離まで
秩序性を有し、かつ長距離秩序性を有さない構造を非晶質構造と呼ぶ場合もある。したが
って、最も厳格な定義によれば、僅かでも原子配列に秩序性を有する酸化物半導体を非晶
質酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、少なくとも、長距離秩序性を有する酸化物
半導体を非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。よって、結晶部を有することから、
例えば、CAAC-OSおよびnc-OSを、非晶質酸化物半導体または完全な非晶質酸
化物半導体と呼ぶことはできない。
【0256】
なお、酸化物半導体は、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の物性を示す構造を有す
る場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体を、特に非晶質ライク酸化物半導体
(a-like OS:amorphous-like Oxide Semicond
uctor)と呼ぶ。
【0257】
a-like OSは、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される
場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領
域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
【0258】
以下では、酸化物半導体の構造による電子照射の影響の違いについて説明する。
【0259】
a-like OS、nc-OSおよびCAAC-OSを準備する。いずれの試料もIn
-Ga-Zn酸化物である。
【0260】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料
は、いずれも結晶部を有することがわかる。
【0261】
さらに、各試料の結晶部の大きさを計測する。
図37は、各試料の結晶部(22箇所から
45箇所)の平均の大きさの変化を調査した例である。
図37より、a-like OS
は、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、図
37中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさ
だった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10
8e
-/nm
2におい
ては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc-OSおよびC
AAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
8e
-/nm
2に
なるまでの範囲で、電子の累積照射量によらず結晶部の大きさに変化が見られないことが
わかる。具体的には、
図37中の(2)で示すように、TEMによる観察の経過によらず
、結晶部の大きさは1.4nm程度であることがわかる。また、
図37中の(3)で示す
ように、TEMによる観察の経過によらず、結晶部の大きさは2.1nm程度であること
がわかる。
【0262】
このように、a-like OSは、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、
結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc-OS、および
CAAC-OSであれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとん
ど見られないことがわかる。
【0263】
なお、a-like OSおよびnc-OSの結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM
像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO4の結晶は層状構造を有し、In
-O層の間に、Ga-Zn-O層を2層有する。InGaZnO4の結晶の単位格子は、
In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に
重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子
面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求
められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0
.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZ
nO4の結晶のa-b面に対応する。
【0264】
また、酸化物半導体は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導体
の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより、その
酸化物半導体の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a-lik
e OSの密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶の密度に
対し、nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は92.3%以上100%未満とな
る。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自
体が困難である。
【0265】
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子
数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の
密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[
原子数比]を満たす酸化物半導体において、a-like OSの密度は5.0g/cm
3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原
子数比]を満たす酸化物半導体において、nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度
は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
【0266】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる
単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することが
できる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して
、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を
組み合わせて算出することが好ましい。
【0267】
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、微結晶酸化
物半導体、CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0268】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体は、キャリア
密度を低くすることができる。したがって、そのような酸化物半導体を、高純度真性また
は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSおよびnc-OSは、a-
like OSおよび非晶質酸化物半導体よりも不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い
。即ち、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体となりやすい。したがって
、CAAC-OSまたはnc-OSを用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスと
なる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性また
は実質的に高純度真性な酸化物半導体は、キャリアトラップが少ない。そのため、CAA
C-OSまたはnc-OSを用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の
高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲された電荷は、
放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。その
ため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体を用いたトランジスタは、電
気特性が不安定となる場合がある。
【0269】
<成膜モデル>
以下では、CAAC-OSおよびnc-OSの成膜モデルの一例について説明する。
【0270】
図38(A)は、スパッタリング法によりCAAC-OSが成膜される様子を示した成膜
室内の模式図である。
【0271】
ターゲット5130は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介
してターゲット5130と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。該複数
のマグネットによって磁場が生じている。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高める
スパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
【0272】
ターゲット5130は、多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。
【0273】
一例として、In-Ga-Zn酸化物を有するターゲット5130の劈開面について説明
する。
図39(A)に、ターゲット5130に含まれるInGaZnO
4の結晶の構造を
示す。なお、
図39(A)は、c軸を上向きとし、b軸に平行な方向からInGaZnO
4の結晶を観察した場合の構造である。
【0274】
図39(A)より、近接する二つのGa-Zn-O層において、それぞれの層における酸
素原子同士が近距離に配置されていることがわかる。そして、酸素原子が負の電荷を有す
ることにより、近接する二つのGa-Zn-O層は互いに反発する。その結果、InGa
ZnO
4の結晶は、近接する二つのGa-Zn-O層の間に劈開面を有する。
【0275】
基板5120は、ターゲット5130と向かい合うように配置しており、その距離d(タ
ーゲット-基板間距離(T-S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好まし
くは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸
素、アルゴン、または酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01
Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで
、ターゲット5130に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマが確
認される。なお、ターゲット5130の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形
成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン5101が
生じる。イオン5101は、例えば、酸素の陽イオン(O+)やアルゴンの陽イオン(A
r+)などである。
【0276】
イオン5101は、電界によってターゲット5130側に加速され、やがてターゲット5
130と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペレット状のスパッタ粒子である
ペレット5100aおよびペレット5100bが剥離し、叩き出される。なお、ペレット
5100aおよびペレット5100bは、イオン5101の衝突の衝撃によって、構造に
歪みが生じる場合がある。
【0277】
ペレット5100aは、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット状
のスパッタ粒子である。また、ペレット5100bは、六角形、例えば正六角形の平面を
有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。なお、ペレット5100aおよび
ペレット5100bなどの平板状またはペレット状のスパッタ粒子を総称してペレット5
100と呼ぶ。ペレット5100の平面の形状は、三角形、六角形に限定されない、例え
ば、三角形が複数個合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(例えば、正三角
形)が2個合わさった四角形(例えば、ひし形)となる場合もある。
【0278】
ペレット5100は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。理由は後述するが、
ペレット5100の厚さは、均一にすることが好ましい。また、スパッタ粒子は厚みのな
いペレット状である方が、厚みのあるサイコロ状であるよりも好ましい。例えば、ペレッ
ト5100は、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm
以下とする。また、例えば、ペレット5100は、幅を1nm以上3nm以下、好ましく
は1.2nm以上2.5nm以下とする。ペレット5100は、上述の
図37中の(1)
で説明した初期核に相当する。例えば、In-Ga-Zn酸化物を有するターゲット51
30にイオン5101を衝突させる場合、
図39(B)に示すように、Ga-Zn-O層
、In-O層およびGa-Zn-O層の3層を有するペレット5100が飛び出してくる
。なお、
図39(C)は、ペレット5100をc軸に平行な方向から観察した場合の構造
である。したがって、ペレット5100は、二つのGa-Zn-O層(パン)と、In-
O層(具)と、を有するナノサイズのサンドイッチ構造と呼ぶこともできる。
【0279】
ペレット5100は、プラズマを通過する際に電荷を受け取ることで、側面が負または正
に帯電する場合がある。ペレット5100は、側面に酸素原子を有し、当該酸素原子が負
に帯電する可能性がある。このように、側面が同じ極性の電荷を帯びることにより、電荷
同士の反発が起こり、平板状の形状を維持することが可能となる。なお、CAAC-OS
が、In-Ga-Zn酸化物である場合、インジウム原子と結合した酸素原子が負に帯電
する可能性がある。または、インジウム原子、ガリウム原子または亜鉛原子と結合した酸
素原子が負に帯電する可能性がある。また、ペレット5100は、プラズマを通過する際
にインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子および酸素原子などと結合することで成長す
る場合がある。上述の
図37中の(2)と(1)の大きさの違いがプラズマ中での成長分
に相当する。ここで、基板5120が室温程度である場合、ペレット5100がこれ以上
成長しないためnc-OSとなる(
図38(B)参照。)。成膜可能な温度が室温程度で
あることから、基板5120が大面積である場合でもnc-OSの成膜は可能である。な
お、ペレット5100をプラズマ中で成長させるためには、スパッタリング法における成
膜電力を高くすることが有効である。成膜電力を高くすることで、ペレット5100の構
造を安定にすることができる。
【0280】
図38(A)および
図38(B)に示すように、例えば、ペレット5100は、プラズマ
中を凧のように飛翔し、ひらひらと基板5120上まで舞い上がっていく。ペレット51
00は電荷を帯びているため、ほかのペレット5100が既に堆積している領域が近づく
と、斥力が生じる。ここで、基板5120の上面では、基板5120の上面に平行な向き
の磁場(水平磁場ともいう。)が生じている。また、基板5120およびターゲット51
30間には、電位差が与えられているため、基板5120からターゲット5130に向け
て電流が流れている。したがって、ペレット5100は、基板5120の上面において、
磁場および電流の作用によって、力(ローレンツ力)を受ける。このことは、フレミング
の左手の法則によって理解できる。
【0281】
ペレット5100は、原子一つと比べると質量が大きい。そのため、基板5120の上面
を移動するためには何らかの力を外部から印加することが重要となる。その力の一つが磁
場および電流の作用で生じる力である可能性がある。なお、ペレット5100に与える力
を大きくするためには、基板5120の上面において、基板5120の上面に平行な向き
の磁場が10G以上、好ましくは20G以上、さらに好ましくは30G以上、より好まし
くは50G以上となる領域を設けるとよい。または、基板5120の上面において、基板
5120の上面に平行な向きの磁場が、基板5120の上面に垂直な向きの磁場の1.5
倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上とな
る領域を設けるとよい。
【0282】
このとき、マグネットと基板5120とが相対的に移動すること、または回転することに
よって、基板5120の上面における水平磁場の向きは変化し続ける。したがって、基板
5120の上面において、ペレット5100は、様々な方向への力を受け、様々な方向へ
移動することができる。
【0283】
また、
図38(A)に示すように基板5120が加熱されている場合、ペレット5100
と基板5120との間で摩擦などによる抵抗が小さい状態となっている。その結果、ペレ
ット5100は、基板5120の上面を滑空するように移動する。ペレット5100の移
動は、平板面を基板5120に向けた状態で起こる。その後、既に堆積しているほかのペ
レット5100の側面まで到達すると、側面同士が結合する。このとき、ペレット510
0の側面にある酸素原子が脱離する。脱離した酸素原子によって、CAAC-OS中の酸
素欠損が埋まる場合があるため、欠陥準位密度の低いCAAC-OSとなる。なお、基板
5120の上面の温度は、例えば、100℃以上500℃未満、150℃以上450℃未
満、または170℃以上400℃未満とすればよい。即ち、基板5120が大面積である
場合でもCAAC-OSの成膜は可能である。
【0284】
また、ペレット5100が基板5120上で加熱されることにより、原子が再配列し、イ
オン5101の衝突で生じた構造の歪みが緩和される。歪みの緩和されたペレット510
0は、ほぼ単結晶となる。ペレット5100がほぼ単結晶となることにより、ペレット5
100同士が結合した後に加熱されたとしても、ペレット5100自体の伸縮はほとんど
起こり得ない。したがって、ペレット5100間の隙間が広がることで結晶粒界などの欠
陥を形成し、クレバス化することがない。
【0285】
また、CAAC-OSは、単結晶酸化物半導体が一枚板のようになっているのではなく、
ペレット5100(ナノ結晶)の集合体がレンガまたはブロックが積み重なったような配
列をしている。また、その間には結晶粒界を有さない。そのため、成膜時の加熱、成膜後
の加熱または曲げなどで、CAAC-OSに縮みなどの変形が生じた場合でも、局部応力
を緩和する、または歪みを逃がすことが可能である。したがって、可とう性を有する半導
体装置に適した構造である。なお、nc-OSは、ペレット5100(ナノ結晶)が無秩
序に積み重なったような配列となる。
【0286】
ターゲットをイオンでスパッタした際に、ペレットだけでなく、酸化亜鉛などが飛び出す
場合がある。酸化亜鉛はペレットよりも軽量であるため、先に基板5120の上面に到達
する。そして、0.1nm以上10nm以下、0.2nm以上5nm以下、または0.5
nm以上2nm以下の酸化亜鉛層5102を形成する。
図40に断面模式図を示す。
【0287】
図40(A)に示すように、酸化亜鉛層5102上にはペレット5105aと、ペレット
5105bと、が堆積する。ここで、ペレット5105aとペレット5105bとは、互
いに側面が接するように配置している。また、ペレット5105cは、ペレット5105
b上に堆積した後、ペレット5105b上を滑るように移動する。また、ペレット510
5aの別の側面において、酸化亜鉛とともにターゲットから飛び出した複数の粒子510
3が基板5120の加熱により結晶化し、領域5105a1を形成する。なお、複数の粒
子5103は、酸素、亜鉛、インジウムおよびガリウムなどを含む可能性がある。
【0288】
そして、
図40(B)に示すように、領域5105a1は、ペレット5105aと同化し
、ペレット5105a2となる。また、ペレット5105cは、その側面がペレット51
05bの別の側面と接するように配置する。
【0289】
次に、
図40(C)に示すように、さらにペレット5105dがペレット5105a2上
およびペレット5105b上に堆積した後、ペレット5105a2上およびペレット51
05b上を滑るように移動する。また、ペレット5105cの別の側面に向けて、さらに
ペレット5105eが酸化亜鉛層5102上を滑るように移動する。
【0290】
そして、
図40(D)に示すように、ペレット5105dは、その側面がペレット510
5a2の側面と接するように配置する。また、ペレット5105eは、その側面がペレッ
ト5105cの別の側面と接するように配置する。また、ペレット5105dの別の側面
において、酸化亜鉛とともにターゲットから飛び出した複数の粒子5103が基板512
0の加熱により結晶化し、領域5105d1を形成する。
【0291】
以上のように、堆積したペレット同士が接するように配置し、ペレットの側面において結
晶成長が起こることで、基板5120上にCAAC-OSが形成される。したがって、C
AAC-OSは、nc-OSよりも一つ一つのペレットが大きくなる。これは、上述の図
37中の(3)と(2)の大きさの違いに相当する。
【0292】
また、ペレット5100の隙間が極めて小さくなることで、一つの大きなペレットが形成
される場合がある。大きなペレットは、単結晶構造を有する。例えば、大きなペレットの
大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、ま
たは20nm以上50nm以下となる場合がある。したがって、トランジスタのチャネル
形成領域が、大きなペレットよりも小さい場合、チャネル形成領域として単結晶構造を有
する領域を用いることができる。また、ペレットが大きくなることで、トランジスタのチ
ャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域として単結晶構造を有する領域を用いる
ことができる場合がある。
【0293】
このように、トランジスタのチャネル形成領域などが、単結晶構造を有する領域に形成さ
れることによって、トランジスタの周波数特性を高くすることができる場合がある。
【0294】
以上のようなモデルにより、ペレット5100が基板5120上に堆積していくと考えら
れる。したがって、エピタキシャル成長とは異なり、被形成面が結晶構造を有さない場合
においても、CAAC-OSの成膜が可能であることがわかる。例えば、基板5120の
上面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば非晶質酸化シリコン)であっても、CAA
C-OSを成膜することは可能である。
【0295】
また、CAAC-OSは、被形成面である基板5120の上面に凹凸がある場合でも、そ
の形状に沿ってペレット5100が配列することがわかる。例えば、基板5120の上面
が原子レベルで平坦な場合、ペレット5100はab面と平行な平面である平板面を下に
向けて並置する。ペレット5100の厚さが均一である場合、厚さが均一で平坦、かつ高
い結晶性を有する層が形成される。そして、当該層がn段(nは自然数。)積み重なるこ
とで、CAAC-OSを得ることができる。
【0296】
一方、基板5120の上面が凹凸を有する場合でも、CAAC-OSは、ペレット510
0が凹凸に沿って並置した層がn段(nは自然数。)積み重なった構造となる。基板51
20が凹凸を有するため、CAAC-OSは、ペレット5100間に隙間が生じやすい場
合がある。ただし、ペレット5100間で分子間力が働き、凹凸があってもペレット間の
隙間はなるべく小さくなるように配列する。したがって、凹凸があっても高い結晶性を有
するCAAC-OSとすることができる。
【0297】
したがって、CAAC-OSは、レーザ結晶化が不要であり、大面積のガラス基板などで
あっても均一な成膜が可能である。
【0298】
このようなモデルによってCAAC-OSが成膜されるため、スパッタ粒子が厚みのない
ペレット状である方が好ましい。なお、スパッタ粒子が厚みのあるサイコロ状である場合
、基板5120上に向ける面が一定とならず、厚さや結晶の配向を均一にできない場合が
ある。
【0299】
以上に示した成膜モデルにより、非晶質構造を有する被形成面上であっても、高い結晶性
を有するCAAC-OSを得ることができる。
【0300】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した回路の一例について図面
を参照して説明する。
【0301】
[回路構成例]
実施の形態1に示した構成において、トランジスタや配線、電極の接続構成を異ならせ
ることにより、様々な回路を構成することができる。以下では、本発明の一態様の半導体
装置を用いることにより実現できる回路構成の例を説明する。
【0302】
〔CMOS回路〕
図21(A)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型の
トランジスタ2100を直列に接続し、且つそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCM
OS回路の構成を示している。なお、図中、第2の半導体材料が適用されたトランジスタ
には「OS」の記号を付して示している。
【0303】
〔アナログスイッチ〕
また
図21(B)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそ
れぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、
いわゆるアナログスイッチとして機能させることができる。
【0304】
〔記憶装置の例〕
本発明の一態様であるトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の
保持が可能で、且つ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を
図2
1(C)に示す。
【0305】
図21(C)に示す半導体装置は、第1の半導体材料を用いたトランジスタ3200と
第2の半導体材料を用いたトランジスタ3300、及び容量素子3400を有している。
なお、トランジスタ3300としては、上記実施の形態で例示したトランジスタを用いる
ことができる。
【0306】
トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半導体膜にチャネルが形成されるトラ
ンジスタである。トランジスタ3300は、オフ電流が小さいため、これを用いることに
より長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必
要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすること
が可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
【0307】
図21(C)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソース電極と電
気的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレイン電極と電気的に
接続されている。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース電極または
ドレイン電極の一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300の
ゲート電極と電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート電極、及
びトランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方は、容量素子3400の
電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と
電気的に接続されている。
【0308】
図21(C)に示す半導体装置では、トランジスタ3200のゲート電極の電位が保持
可能という特徴を活かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能で
ある。
【0309】
情報の書き込み及び保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トラ
ンジスタ3300がオン状態となる電位にして、トランジスタ3300をオン状態とする
。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート電極、及び
容量素子3400に与えられる。すなわち、トランジスタ3200のゲート電極には、所
定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(
以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする
。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオフ状態となる電位に
して、トランジスタ3300をオフ状態とすることにより、トランジスタ3200のゲー
ト電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
【0310】
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ3200のゲート
電極の電荷は長時間にわたって保持される。
【0311】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を
与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジ
スタ3200のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線3002は異なる電
位をとる。一般に、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ320
0のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_
Hは、トランジスタ3200のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見
かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは
、トランジスタ3200を「オン状態」とするために必要な第5の配線3005の電位を
いうものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間
の電位V0とすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷を判
別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、
第5の配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「
オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の
電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「オフ状態」のままで
ある。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、保持されている情報を読
み出すことができる。
【0312】
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読
み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲート電極の状態
にかかわらずトランジスタ3200が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_
Hより小さい電位を第5の配線3005に与えればよい。または、ゲート電極の状態にか
かわらずトランジスタ3200が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lよ
り大きい電位を第5の配線3005に与えればよい。
【0313】
なお、ここでは
図21(A)の回路図の断面模式図及び、
図21(C)の配線3001
と配線3003が共通化されている構成の断面模式図を
図22に示す。なお、点線より右
側に
図21(A)の断面模式図を、点線より左側に
図21(C)の回路図の断面模式図を
示す。
【0314】
図よりトランジスタ3200と、トランジスタ3200の上方に位置するトランジスタ
3300とを有するため、これらを積層して設けることにより素子の占有面積を縮小する
ことができる。さらに容量素子3400は、トランジスタ3300の下方に位置するため
、これらを積層して設けることにより素子の占有面積を縮小することができる。また、配
線3005が、トランジスタ3300のゲート電極と互いに重なる領域を有するため、さ
らに素子の占有面積を縮小することができる。
【0315】
また、
図23のようにトランジスタ3300とトランジスタ2100を別工程で作製す
る構成にしてもよい。
【0316】
図21(D)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を設けていない点で主に
図2
1(C)と相違している。この場合も上記と同様の動作により情報の書き込み及び保持動
作が可能である。
【0317】
次に、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ3300がオン状態となると、
浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3400とが導通し、第3の配線3003
と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結果、第3の配線3003の電位が
変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量素子3400の電極の一方の電位
(あるいは容量素子3400に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
【0318】
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第
3の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003
の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB
×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量
素子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2状態をとるとすると、
電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V1
)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(
CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
【0319】
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこ
とができる。
【0320】
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体材料が適用され
たトランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体材料が適用されたトラ
ンジスタを駆動回路上に積層して設ける構成とすればよい。
【0321】
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電
流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持す
ることが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ
動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することがで
きる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)で
あっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0322】
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、
素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲー
トへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため
、ゲート絶縁層の劣化といった問題が生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装
置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼
性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書
き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
【0323】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0324】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で例示したトランジスタ、または記憶装置を含むR
FIDタグについて、
図24を用いて説明する。
【0325】
本実施の形態におけるRFIDタグは、内部に記憶回路を有し、記憶回路に必要な情報
を記憶し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報の授受を行うものである。こ
のような特徴から、RFIDタグは、物品などの個体情報を読み取ることにより物品の識
別を行う個体認証システムなどに用いることが可能である。なお、これらの用途に用いる
ためには極めて高い信頼性が要求される。
【0326】
RFIDタグの構成について
図24を用いて説明する。
図24は、RFIDタグの構成
例を示すブロック図である。
【0327】
図24に示すようにRFIDタグ800は、通信器801(質問器、リーダ/ライタな
どともいう)に接続されたアンテナ802から送信される無線信号803を受信するアン
テナ804を有する。また、RFIDタグ800は、整流回路805、定電圧回路806
、復調回路807、変調回路808、論理回路809、記憶回路810、ROM811を
有している。なお、復調回路807に含まれる整流作用を示すトランジスタに逆方向電流
を十分に抑制することが可能な材料、例えば、酸化物半導体が用いられた構成としてもよ
い。これにより、逆方向電流に起因する整流作用の低下を抑制し、復調回路の出力が飽和
することを防止できる。つまり、復調回路の入力に対する復調回路の出力を線形に近づけ
ることができる。なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によ
って交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用し
て交信する電波方式の3つに大別される。本実施の形態に示すRFIDタグ800は、そ
のいずれの方式に用いることも可能である。
【0328】
次に各回路の構成について説明する。アンテナ804は、通信器801に接続されたア
ンテナ802との間で無線信号803の送受信を行うためのものである。また、整流回路
805は、アンテナ804で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整
流、例えば、半波2倍圧整流し、後段に設けられた容量素子により、整流された信号を平
滑化することで入力電位を生成するための回路である。なお、整流回路805の入力側ま
たは出力側には、リミッタ回路を設けてもよい。リミッタ回路とは、入力交流信号の振幅
が大きく、内部生成電圧が大きい場合に、ある電力以上の電力を後段の回路に入力しない
ように制御するための回路である。
【0329】
定電圧回路806は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各回路に供給するため
の回路である。なお、定電圧回路806は、内部にリセット信号生成回路を有していても
よい。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路8
09のリセット信号を生成するための回路である。
【0330】
復調回路807は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成
するための回路である。また、変調回路808は、アンテナ804より出力するデータに
応じて変調をおこなうための回路である。
【0331】
論理回路809は復調信号を解析し、処理を行うための回路である。記憶回路810は
、入力された情報を保持する回路であり、ロウデコーダ、カラムデコーダ、記憶領域など
を有する。また、ROM811は、固有番号(ID)などを格納し、処理に応じて出力を
行うための回路である。
【0332】
なお、上述の各回路は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
【0333】
ここで、先の実施の形態で説明した記憶装置を、記憶回路810に用いることができる
。本発明の一態様の記憶回路は、電源が遮断された状態であっても情報を保持できるため
、RFIDタグに好適に用いることができる。さらに本発明の一態様の記憶回路は、デー
タの書き込みに必要な電力(電圧)が従来の不揮発性メモリに比べて著しく小さいため、
データの読み出し時と書込み時の最大通信距離の差を生じさせないことも可能である。さ
らに、データの書き込み時に電力が不足し、誤動作または誤書込みが生じることを抑制す
ることができる。
【0334】
また、本発明の一態様の記憶回路は、不揮発性のメモリとして用いることが可能である
ため、ROM811に適用することもできる。その場合には、生産者がROM811にデ
ータを書き込むためのコマンドを別途用意し、ユーザーが自由に書き換えできないように
しておくことが好ましい。生産者が出荷前に固有番号を書込んだのちに製品を出荷するこ
とで、作製したRFIDタグすべてについて固有番号を付与するのではなく、出荷する良
品にのみ固有番号を割り当てることが可能となり、出荷後の製品の固有番号が不連続にな
ることがなく出荷後の製品に対応した顧客管理が容易となる。
【0335】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0336】
(実施の形態5)
本実施の形態では、少なくとも実施の形態で説明したトランジスタを用いることができ
、先の実施の形態で説明した記憶装置を含むCPUについて説明する。
【0337】
図25は、先の実施の形態で説明したトランジスタを少なくとも一部に用いたCPUの
一例の構成を示すブロック図である。
【0338】
図25に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithme
tic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラ
クションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントロー
ラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース
1198(Bus I/F)、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェ
ース1189(ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基
板、ガラス基板などを用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、
別チップに設けてもよい。もちろん、
図25に示すCPUは、その構成を簡略化して示し
た一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば
、
図25に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み
、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回
路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビ
ットなどとすることができる。
【0339】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクショ
ンデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、イン
タラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントロー
ラ1195に入力される。
【0340】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロ
ーラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種
制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御す
るための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログ
ラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマス
ク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のア
ドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう
。
【0341】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ11
92、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及び
レジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタ
イミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号
CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記
各種回路に供給する。
【0342】
図25に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジス
タ1196のメモリセルとして、先の実施の形態に示したトランジスタを用いることがで
きる。
【0343】
図25に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191から
の指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1
196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容
量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持
が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われ
る。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換
えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができ
る。
【0344】
図26は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子の回路図の一例である
。記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮断で記
憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と、論理
素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有する。回
路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ1210と
、を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダ
クタなどのその他の素子をさらに有していても良い。
【0345】
ここで、回路1202には、先の実施の形態で説明した記憶装置を用いることができる
。記憶素子1200への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ12
09のゲートには接地電位(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力
され続ける構成とする。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して
接地される構成とする。
【0346】
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用
いて構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)
のトランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の
端子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第
2の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203
はトランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2
の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213のオン状態またはオフ状
態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースとド
レインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソース
とドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力さ
れる制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、
トランジスタ1214のオン状態またはオフ状態)が選択される。
【0347】
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極の
うちの一方、及びトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部
分をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電位
を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ
1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に接
続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの
他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一
方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214のソ
ースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続さ
れる。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方
)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方
)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、
は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対
の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電
源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる
。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配
線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他
方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等
)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子120
8の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND
線)と電気的に接続される。
【0348】
なお、容量素子1207及び容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を
積極的に利用することによって省略することも可能である。
【0349】
トランジスタ1209の第1ゲート(第1のゲート電極)には、制御信号WEが入力さ
れる。スイッチ1203及びスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RD
によって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のス
イッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第
2の端子の間は非導通状態となる。
【0350】
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデー
タに対応する信号が入力される。
図26では、回路1201から出力された信号が、トラ
ンジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203
の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は
、論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介
して回路1201に入力される。
【0351】
なお、
図26では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースと
ドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206及び回路1220を介して回
路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端子
(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反
転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に、
入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合
に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)
から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
【0352】
また、
図26において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジ
スタ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板11
90にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン層また
はシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素
子1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体膜で形成されるト
ランジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以
外にも、チャネルが酸化物半導体膜で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残り
のトランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形
成されるトランジスタとすることもできる。
【0353】
図26における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる
。また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用い
ることができる。
【0354】
本発明の一態様における半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない
間は、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子12
08によって保持することができる。
【0355】
また、酸化物半導体膜にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい
。例えば、酸化物半導体膜にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を
有するシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そ
のため、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子
1200に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわ
たり保たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(
データ)を保持することが可能である。
【0356】
また、スイッチ1203及びスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動
作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が
元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
【0357】
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジス
タ1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再
開された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態
(オン状態、またはオフ状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。そ
れ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信
号を正確に読み出すことが可能である。
【0358】
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなど
の記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐ
ことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復
帰することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、ま
たは複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力
を抑えることができる。
【0359】
本実施の形態では、記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子
1200は、DSP(Digital Signal Processor)、カスタム
LSI、PLD(Programmable Logic Device)等のLSI、
RF-ID(Radio Frequency Identification)にも応
用可能である。
【0360】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0361】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネルの構成例について説明する。
【0362】
[構成例]
図27(A)は、本発明の一態様の表示パネルの上面図であり、
図27(B)は、本発
明の一態様の表示パネルの画素に液晶素子を適用する場合に用いることができる画素回路
を説明するための回路図である。また、
図27(C)は、本発明の一態様の表示パネルの
画素に有機EL素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明するための回路
図である。
【0363】
画素部に配置するトランジスタは、上記実施の形態に従って形成することができる。ま
た、当該トランジスタはnチャネル型とすることが容易なので、駆動回路のうち、nチャ
ネル型トランジスタで構成することができる駆動回路の一部を画素部のトランジスタと同
一基板上に形成する。このように、画素部や駆動回路に上記実施の形態に示すトランジス
タを用いることにより、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0364】
アクティブマトリクス型表示装置のブロック図の一例を
図27(A)に示す。表示装置
の基板700上には、画素部701、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回
路703、信号線駆動回路704を有する。画素部701には、複数の信号線が信号線駆
動回路704から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路702、及び
第2の走査線駆動回路703から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差
領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に設けられている。また、表示装
置の基板700はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接
続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に接続されてい
る。
【0365】
図27(A)では、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回路703、信号
線駆動回路704は、画素部701と同じ基板700上に形成される。そのため、外部に
設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板
700外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増
える。同じ基板700上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことがで
き、信頼性の向上、または歩留まりの向上を図ることができる。
【0366】
〔液晶パネル〕
また、画素の回路構成の一例を
図27(B)に示す。ここでは、VA型液晶表示パネル
の画素に適用することができる画素回路を示す。
【0367】
この画素回路は、一つの画素に複数の画素電極を有する構成に適用できる。それぞれの
画素電極は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動で
きるように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素電
極に印加する信号を、独立して制御できる。
【0368】
トランジスタ716のゲート配線712と、トランジスタ717のゲート配線713に
は、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線とし
て機能するソース電極またはドレイン電極714は、トランジスタ716とトランジスタ
717で共通に用いられている。トランジスタ716とトランジスタ717は上記実施の
形態で説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い液晶
表示パネルを提供することができる。
【0369】
トランジスタ716と電気的に接続する第1の画素電極と、トランジスタ717と電気
的に接続する第2の画素電極形状について説明する。第1の画素電極と第2の画素電極の
形状は、スリットによって分離されている。第1の画素電極はV字型に広がる形状を有し
、第2の画素電極は第1の画素電極の外側を囲むように形成される。
【0370】
トランジスタ716のゲート電極はゲート配線712と接続され、トランジスタ717
のゲート電極はゲート配線713と接続されている。ゲート配線712とゲート配線71
3に異なるゲート信号を与えてトランジスタ716とトランジスタ717の動作タイミン
グを異ならせ、液晶の配向を制御できる。
【0371】
また、容量配線710と、誘電体として機能するゲート絶縁膜と、第1の画素電極また
は第2の画素電極と電気的に接続する容量電極とで保持容量を形成してもよい。
【0372】
マルチドメイン構造は、一画素に第1の液晶素子718と第2の液晶素子719を備え
る。第1の液晶素子718は第1の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成され、
第2の液晶素子719は第2の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成される。
【0373】
なお、
図27(B)に示す画素回路は、これに限定されない。例えば、
図27(B)に
示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサ、または論理回
路などを追加してもよい。
【0374】
〔有機ELパネル〕
画素の回路構成の他の一例を
図27(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表
示パネルの画素構造を示す。
【0375】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極の一方から電子が
、他方から正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そし
て、電子及び正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、そ
の励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光
素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0376】
図27(C)は、適用可能な画素回路の一例を示す図である。ここではnチャネル型の
トランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。なお、本発明の一態様の金属酸化物膜
は、nチャネル型のトランジスタのチャネル形成領域に用いることができる。また、当該
画素回路は、デジタル時間階調駆動を適用することができる。
【0377】
適用可能な画素回路の構成及びデジタル時間階調駆動を適用した場合の画素の動作につ
いて説明する。
【0378】
画素720は、スイッチング用トランジスタ721、駆動用トランジスタ722、発光
素子724及び容量素子723を有している。スイッチング用トランジスタ721は、ゲ
ート電極が走査線726に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)が
信号線725に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆動用トラ
ンジスタ722のゲート電極に接続されている。駆動用トランジスタ722は、ゲート電
極が容量素子723を介して電源線727に接続され、第1電極が電源線727に接続さ
れ、第2電極が発光素子724の第1電極(画素電極)に接続されている。発光素子72
4の第2電極は共通電極728に相当する。共通電極728は、同一基板上に形成される
共通電位線と電気的に接続される。
【0379】
スイッチング用トランジスタ721及び駆動用トランジスタ722は上記実施の形態で
説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い有機EL表
示パネルを提供することができる。
【0380】
発光素子724の第2電極(共通電極728)の電位は低電源電位に設定する。なお、
低電源電位とは、電源線727に設定される高電源電位より低い電位であり、例えばGN
D、0Vなどを低電源電位として設定することができる。発光素子724の順方向のしき
い値電圧以上となるように高電源電位と低電源電位を設定し、その電位差を発光素子72
4に印加することにより、発光素子724に電流を流して発光させる。なお、発光素子7
24の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向し
きい値電圧を含む。
【0381】
なお、容量素子723は駆動用トランジスタ722のゲート容量を代用することにより
省略できる。駆動用トランジスタ722のゲート容量については、チャネル形成領域とゲ
ート電極との間で容量が形成されていてもよい。
【0382】
次に、駆動用トランジスタ722に入力する信号について説明する。電圧入力電圧駆動
方式の場合、駆動用トランジスタ722が十分にオンするか、オフするかの二つの状態と
なるようなビデオ信号を、駆動用トランジスタ722に入力する。なお、駆動用トランジ
スタ722を線形領域で動作させるために、電源線727の電圧よりも高い電圧を駆動用
トランジスタ722のゲート電極にかける。また、信号線725には、電源線電圧に駆動
用トランジスタ722の閾値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。
【0383】
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ722のゲート電極に発光素子72
4の順方向電圧に駆動用トランジスタ722の閾値電圧Vthを加えた値以上の電圧をか
ける。なお、駆動用トランジスタ722が飽和領域で動作するようにビデオ信号を入力し
、発光素子724に電流を流す。また、駆動用トランジスタ722を飽和領域で動作させ
るために、電源線727の電位を、駆動用トランジスタ722のゲート電位より高くする
。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子724にビデオ信号に応じた電流を流し
、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0384】
なお、画素回路の構成は、
図27(C)に示す画素構成に限定されない。例えば、
図2
7(C)に示す画素回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサ、トランジスタまたは
論理回路などを追加してもよい。
【0385】
図27で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電
位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電
気的に接続される構成とする。さらに、制御回路等により第1のゲート電極の電位を制御
し、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位
など、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
【0386】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0387】
(実施の形態7)
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を
備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Dis
c等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いるこ
とができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器
として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍、ビデオカメラ、
デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレ
イ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプ
レイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払
い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図28に示す
。
【0388】
図28(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示
部904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス90
8等を有する。なお、
図28(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表
示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されな
い。
【0389】
図28(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部
913、第2表示部914、接続部915、操作キー916等を有する。第1表示部91
3は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられて
いる。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されてお
り、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能であ
る。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体
912との間の角度に従って、切り替える構成としても良い。また、第1表示部913及
び第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装
置を用いるようにしても良い。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパ
ネルを設けることで付加することができる。或いは、位置入力装置としての機能は、フォ
トセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加すること
ができる。
【0390】
図28(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、
キーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
【0391】
図28(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉9
33等を有する。
【0392】
図28(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943
、操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944及びレンズ
945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられて
いる。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されてお
り、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能であ
る。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体94
2との間の角度に従って切り替える構成としても良い。
【0393】
図28(F)は普通自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、
ライト954等を有する。
【0394】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0395】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様に係るRFIDの使用例について
図29を用いなが
ら説明する。RFIDの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記
名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、
図29(A)参照)、記録媒体(DVDやビ
デオテープ等、
図29(B)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、
図29(C)参
照)、乗り物類(自転車等、
図29(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、
植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、薬品や薬剤を含む医療品、または電子機器(
液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話)等の物品、若しくは
各物品に取り付ける荷札(
図29(E)、
図29(F)参照)等に設けて使用することが
できる。
【0396】
本発明の一態様に係るRFID4000は、表面に貼る、または埋め込むことにより、
物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであ
れば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFI
D4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデ
ザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証
書類等に本発明の一態様に係るRFID4000を設けることにより、認証機能を設ける
ことができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容
器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に本発明の
一態様に係るRFIDを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図
ることができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFIDを取り付け
ることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
【0397】
以上のように、本発明の一態様に係わるRFIDを本実施の形態に挙げた各用途に用い
ることにより、情報の書込みや読み出しを含む動作電力を低減できるため、最大通信距離
を長くとることが可能となる。また、電力が遮断された状態であっても情報を極めて長い
期間保持可能であるため、書き込みや読み出しの頻度が低い用途にも好適に用いることが
できる。
【0398】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【実施例1】
【0399】
本実施例では、絶縁膜および酸化物半導体膜に設けた開口部について断面観察を行った
。
【0400】
はじめに、断面観察を行った試料Aの作製方法について以下に示す。
【0401】
まず、シリコンウェハを熱酸化し、シリコンウェハ表面に100nmの熱酸化膜200
を形成した。熱酸化の条件は950℃で4時間であり、熱酸化の雰囲気は、HClが酸素
に対して3体積%の割合で含まれるものとした。
【0402】
次に、熱酸化膜200を100nmエッチングした。
【0403】
次に、タングステンターゲットを用い、成膜ガスとして流量80sccmのアルゴン(
Ar)ガス雰囲気下において、圧力0.8Pa、基板温度を230℃、ターゲットと基板
の間の距離を60mm、電源電力(DC)1.0kW印加する条件を用いたスパッタ法に
より、タングステン膜201を50nm成膜した。
【0404】
次に、流量15sccmのテトラエトキシシラン(TEOS)および流量750scc
mの酸素(O2)を原料ガスとし、基板温度を300℃、27MHzの高周波電源を用い
て300Wの高周波電力を平行平板電極に供給したCVD法により、酸化シリコン膜を1
00nm成膜した。
【0405】
次に、酸化アルミニウムターゲットを用い、成膜ガスとして流量25sccmのアルゴ
ン(Ar)ガス及び流量25sccmの酸素(O2)ガスを用いて、圧力を0.4Pa、
基板温度を250℃、ターゲットと基板の間の距離を60mm、RF電力を2.5kW印
加する条件を用いたスパッタ法により、酸化アルミニウム膜を20nm成膜した。
【0406】
次に、流量1sccmのシラン(SiH4)及び流量800sccmの一酸化二窒素(
N2O)を原料ガスとし、反応室の圧力を200Pa、基板温度を350℃、60MHz
の高周波電源を用いて150Wの高周波電力を平行平板電極に供給したCVD法により、
酸化窒化シリコン膜を50nm成膜した。
【0407】
次に、スパッタ法によって20nmの第1の酸化物半導体膜と15nmの第2の酸化物
半導体膜を積層して成膜した。成膜条件は、第1の酸化物半導体膜はIn:Ga:Zn=
1:3:4[原子数比]のターゲットを用い、流量40sccmのアルゴン(Ar)およ
び流量5sccmの酸素(O2)の混合雰囲気下において、圧力0.7Pa、電源電力(
DC)0.5kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度200℃
として成膜し、第2の酸化物半導体膜はIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]
のターゲットを用い、流量30sccmのアルゴン(Ar)および流量15sccmの酸
素(O2)の混合雰囲気下において、圧力0.7Pa、電源電力(DC)0.5kWを印
加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度200℃として成膜した。
【0408】
次に、タングステンターゲットを用い、成膜ガスとして流量80sccmのアルゴン(
Ar)ガス雰囲気下において、圧力0.8Pa、基板温度を230℃、ターゲットと基板
の間の距離を60mm、電源電力(DC)1.0kW印加する条件を用いたスパッタ法に
より、タングステン膜を30nm成膜した。このタングステン膜は、第1の酸化物半導体
膜及び第2の酸化物半導体膜をエッチングする際のハードマスクとして機能する。
【0409】
次に、CVD法により、窒化シリコン膜を100nm成膜した。
【0410】
次に、有機樹脂膜であるSWK-T7(東京応化製)を20nm塗布した。当該SWK
-T7を塗布する前に200℃で120秒加熱して水分を除去し、その後、さらに1,1
,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS:hexamethyldisi
lazane)を塗布後、110℃で60秒加熱して水分を除去した。その後、200℃
で200秒加熱して溶媒と水分を除去した。
【0411】
次に、レジストマスクを形成し、有機樹脂膜の一部をエッチングした。エッチングガス
は、塩素(Cl2)ガスを使用した。
【0412】
次に、レジストマスクおよび有機樹脂膜をマスクとして、窒化シリコン膜の一部をエッ
チングした。エッチングガスはトリフルオロメタン(CHF3)ガスとヘリウム(He)
ガスの混合雰囲気下で、窒化シリコン膜を加工した。
【0413】
次に、レジストマスク、有機樹脂膜および窒化シリコン膜をマスクとして、タングステ
ン膜の一部をエッチングした。エッチングガスは、塩素(Cl2)ガス、四フッ化炭素(
CF4)ガス、酸素(O2)ガスの混合雰囲気下で、タングステン膜を加工し、タングス
テン膜207aおよびタングステン膜207bを形成した。なお、上記エッチング処理に
おいて、レジストマスクや有機樹脂膜もエッチングされて後退する。
【0414】
次に、タングステン膜207aおよびタングステン膜207bをマスクとして、第2の
酸化物半導体膜、第1の酸化物半導体膜、酸化窒化シリコン膜および酸化アルミニウム膜
の一部をエッチングして、酸化アルミニウム膜203、酸化窒化シリコン膜204、第1
の酸化物半導体膜205および第2の酸化物半導体膜206を形成した。エッチングガス
は、トリフルオロメタン(CHF3)ガス、およびヘリウム(He)ガスの混合雰囲気、
または、ヘキサフルオロ1,3ブタジエン(C4F6)ガス、およびアルゴン(Ar)ガ
ス混合雰囲気を用いた。
【0415】
次に、タングステン膜207aおよびタングステン膜207bをマスクとして、酸化シ
リコン膜の一部をエッチングして、タングステン膜201に達する開口部を設け、酸化シ
リコン膜202を形成した。エッチングガスは、ヘキサフルオロ1,3ブタジエン(C4
F6)ガス、およびアルゴン(Ar)ガス混合雰囲気を用いた。
【0416】
次に、CVD法により窒化チタン膜208aを5nm成膜した。
【0417】
次に、CVD法によりタングステン膜208bを200nm成膜した。
【0418】
以上の工程により、試料Aを作製した。
【0419】
また、試料Bを作製した。以下に試料Bの作製方法について説明する。
【0420】
まず、シリコンウェハを熱酸化し、シリコンウェハ表面に100nmの熱酸化膜を形成
した。熱酸化の条件は950℃で4時間であり、熱酸化の雰囲気は、HClが酸素に対し
て3体積%の割合で含まれるものとした。
【0421】
次に、熱酸化膜を100nmエッチングした。
【0422】
次に、タングステンターゲットを用い、成膜ガスとして流量80sccmのアルゴン(
Ar)ガス雰囲気下において、圧力0.8Pa、基板温度を230℃、ターゲットと基板
の間の距離を60mm、電源電力(DC)1.0kW印加する条件を用いたスパッタ法に
より、タングステン膜211を150nm成膜した。
【0423】
次に、流量15sccmのテトラエトキシシラン(TEOS)および流量750scc
mの酸素(O2)を原料ガスとし、基板温度を300℃、27MHzの高周波電源を用い
て300Wの高周波電力を平行平板電極に供給したCVD法により、酸化シリコン膜を1
00nm成膜した。
【0424】
次に、酸化アルミニウムターゲットを用い、成膜ガスとして流量25sccmのアルゴ
ン(Ar)ガス及び流量25sccmの酸素(O2)ガスを用いて、圧力を0.4Pa、
基板温度を250℃、ターゲットと基板の間の距離を60mm、RF電力を2.5kW印
加する条件を用いたスパッタ法により、酸化アルミニウム膜を20nm成膜した。
【0425】
次に、流量1sccmのシラン(SiH4)及び流量800sccmの一酸化二窒素(
N2O)を原料ガスとし、反応室の圧力を200Pa、基板温度を350℃、60MHz
の高周波電源を用いて150Wの高周波電力を平行平板電極に供給したCVD法により、
酸化窒化シリコン膜を50nm成膜した。
【0426】
次に、スパッタ法によって10nmの第1の酸化物半導体膜と40nmの第2の酸化物
半導体膜を積層して成膜した。成膜条件は、第1の酸化物半導体膜はIn:Ga:Zn=
1:3:4[原子数比]のターゲットを用い、流量40sccmのアルゴン(Ar)およ
び流量5sccmの酸素(O2)の混合雰囲気下において、圧力0.4Pa、電源電力(
DC)0.5kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度200℃
として成膜し、第2の酸化物半導体膜はIn:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]のタ
ーゲットを用い、流量30sccmのアルゴン(Ar)および流量15sccmの酸素(
O2)の混合雰囲気下において、圧力0.4Pa、電源電力(DC)0.5kWを印加し
、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度300℃として成膜した。
【0427】
次に、タングステンターゲットを用い、成膜ガスとして流量80sccmのアルゴン(
Ar)ガス雰囲気下において、圧力0.8Pa、基板温度を230℃、ターゲットと基板
の間の距離を60mm、電源電力(DC)1.0kW印加する条件を用いたスパッタ法に
より、タングステン膜を30nm成膜した。このタングステン膜は、第1の酸化物半導体
膜及び第2の酸化物半導体膜をエッチングする際のハードマスクとして機能する。
【0428】
次に、有機樹脂膜であるSWK-T7を20nm塗布した。当該SWK-T7を塗布す
る前に200℃で120秒加熱して水分を除去し、その後、さらに1,1,1,3,3,
3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS:hexamethyldisilazane)
を塗布後、110℃で60秒加熱して水分を除去した。その後、200℃で200秒加熱
して溶媒と水分を除去した。
【0429】
次に、レジストマスクを形成し、有機樹脂膜の一部をエッチングした。エッチングガス
は、塩素(Cl2)ガスを使用した。
【0430】
次に、レジストマスクおよび有機樹脂膜をマスクとして、タングステン膜の一部をエッ
チングした。エッチングガスは、塩素(Cl2)ガス、四フッ化炭素(CF4)ガス、酸
素(O2)ガスの混合雰囲気下で、タングステン膜を加工し、タングステン膜217aお
よびタングステン膜217bを形成した。なお、上記エッチング処理において、レジスト
マスクや有機樹脂膜もエッチングされて後退する。
【0431】
次に、タングステン膜217aおよびタングステン膜217bをマスクとして、第2の
酸化物半導体膜、第1の酸化物半導体膜、酸化窒化シリコン膜および酸化アルミニウム膜
の一部をエッチングして、酸化アルミニウム膜213、酸化窒化シリコン膜214、第1
の酸化物半導体膜215および第2の酸化物半導体膜216を形成した。エッチングガス
は、トリフルオロメタン(CHF3)ガス、およびヘリウム(He)ガスの混合雰囲気、
または、ヘキサフルオロ1,3ブタジエン(C4F6)ガス、およびアルゴン(Ar)ガ
ス混合雰囲気を用いた。
【0432】
次に、タングステン膜217aおよびタングステン膜217bをマスクとして、酸化シ
リコン膜の一部をエッチングして、タングステン膜211に達する開口部を設け、酸化シ
リコン膜212を形成した。エッチングガスは、ヘキサフルオロ1,3ブタジエン(C4
F6)ガス、およびアルゴン(Ar)ガス混合雰囲気を用いた。
【0433】
次に、CVD法により窒化チタン膜218aを10nm成膜した。
【0434】
次に、CVD法によりタングステン膜218bを200nm成膜した。
【0435】
以上の工程により、試料Bを作製した。
【0436】
作製した試料Aの断面STEM写真を
図30に示し、作製した試料Bの断面STEM写
真を
図31に示す。
【0437】
図30より、試料Aの開口部の底面の幅は51.5nmであった。また。
図31より、
試料Bの開口部の底面の幅は99.2nmであった。
【0438】
上記より、有機樹脂膜とハードマスクとして機能するタングステン膜との間に窒化シリ
コン膜を接して設け、レジストマスクに対する窒化シリコン膜の選択比が大きい条件でエ
ッチングを行い、窒化シリコン膜の後退を小さくし、該窒化シリコン膜をマスクに開口部
を形成することで、レジストマスクのパターンの長さの増大を抑制し、開口部の底面の幅
を(開口部の広がり)を小さくすることができる。
【実施例2】
【0439】
本実施例では、単結晶シリコンを半導体膜に用いた第1のトランジスタ(Si-FET
とも表記する)および酸化物半導体を半導体膜に用いた第2のトランジスタ(OS-FE
Tとも表記する)を有する半導体装置の断面観察を行った。なお、Si-FETおよびO
S-FETは実施の形態1で説明した方法で作製している。
【0440】
【0441】
図32より、Si-FETと直接接しているプラグよりOS-FETの作製工程におい
て説明した二層のハードマスクを用いて作製したプラグの方が底面が狭くなっている。言
い換えると、Si-FETと直接接しているプラグが埋め込まれている開口部より二層の
ハードマスクを用いて作製したプラグの開口部の方が開口部の広がりが抑制されているこ
とが確認できた。
【0442】
また、
図32に示すSi-FETのゲート電極の上面の中心O、及びOS-FETの酸
化物半導体膜の底面の長辺が収まる線分C1-C2から、
図32で示される角度θは11
8.36°であった。
【符号の説明】
【0443】
100 トランジスタ
101a 酸化物半導体膜
101b 酸化物半導体膜
101c 酸化物半導体膜
102a 酸化物半導体膜
102b 酸化物半導体膜
103 導電膜
103a 電極
103a1 導電膜
103a2 島状導電膜
103b 電極
103c 電極
104 ゲート絶縁膜
105 ゲート電極
106 絶縁膜
106a 絶縁膜
107 絶縁膜
108 絶縁膜
109a 低抵抗領域
109b 低抵抗領域
110 トランジスタ
111 半導体基板
112 半導体膜
113a 低抵抗層
113b 低抵抗層
114 ゲート絶縁膜
115 ゲート電極
115a ゲート電極
115b ゲート電極
120 バリア膜
121 絶縁膜
122 絶縁膜
123 絶縁膜
124 絶縁膜
125 絶縁膜
126 絶縁膜
127 絶縁膜
128 絶縁膜
130 容量素子
131a 酸化物半導体膜
131b 酸化物半導体膜
136 電極
137 絶縁膜
138 電極
140a 有機樹脂膜
140b 有機樹脂膜
141 レジストマスク
141a レジストマスク
146a 酸化物半導体膜
146b 酸化物半導体膜
147a 層
147b 層
160 トランジスタ
161 プラグ
162 プラグ
163 プラグ
164 プラグ
165 プラグ
166 プラグ
167 プラグ
168 プラグ
169 プラグ
170 プラグ
171 プラグ
172 プラグ
173 電極
174 電極
175 電極
180 配線
181 配線
201 タングステン膜
202 酸化シリコン膜
203 酸化アルミニウム膜
204 酸化窒化シリコン膜
205 酸化物半導体膜
206 酸化物半導体膜
207a タングステン膜
207b タングステン膜
208a 窒化チタン膜
208b タングステン膜
211 タングステン膜
212 酸化シリコン膜
213 酸化アルミニウム膜
214 酸化窒化シリコン膜
215 酸化物半導体膜
216 酸化物半導体膜
217a タングステン膜
217b タングステン膜
218a 窒化チタン膜
218b タングステン膜
700 基板
701 画素部
702 走査線駆動回路
703 走査線駆動回路
704 信号線駆動回路
710 容量配線
712 ゲート配線
713 ゲート配線
714 ドレイン電極
716 トランジスタ
717 トランジスタ
718 液晶素子
719 液晶素子
720 画素
721 スイッチング用トランジスタ
722 駆動用トランジスタ
723 容量素子
724 発光素子
725 信号線
726 走査線
727 電源線
728 共通電極
800 RFIDタグ
801 通信器
802 アンテナ
803 無線信号
804 アンテナ
805 整流回路
806 定電圧回路
807 復調回路
808 変調回路
809 論理回路
810 記憶回路
811 ROM
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 接続部
916 操作キー
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
4000 RFID
5100 ペレット
5100a ペレット
5100b ペレット
5101 イオン
5102 酸化亜鉛層
5103 粒子
5105a ペレット
5105a1 領域
5105a2 ペレット
5105b ペレット
5105c ペレット
5105d ペレット
5105d1 領域
5105e ペレット
5120 基板
5130 ターゲット
5161 領域