(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240318BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20240318BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
H05K1/02 Q
H05K3/36 B
H05K1/14 G
(21)【出願番号】P 2022201306
(22)【出願日】2022-12-16
(62)【分割の表示】P 2019051542の分割
【原出願日】2019-03-19
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 孝太
(72)【発明者】
【氏名】山本 展大
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-065683(JP,A)
【文献】特開2018-163714(JP,A)
【文献】特開昭61-256792(JP,A)
【文献】米国特許第4515304(US,A)
【文献】特開2005-166780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/36
H05K 1/14
G11B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、前記絶縁層の一面側に第1方向に複数の列に並び、前記第1方向と交差する第2方向に並んで設けられた複数の接続パッドと、前記絶縁層の他面側に設けられ伝熱性を有するパッドと、を備え、前記パッドは、前記複数の列のうち第1の複数の接続パッドの端部に位置する1つ以上の前記接続パッドに対して前記絶縁層を介して重なって配置され、前記第1の複数の接続パッドに前記第1方向に隣接する第2の複数の接続パッドの端部に位置する1つ以上の前記接続パッドに対して前記絶縁層を介して重なって配置され、前記第1の複数の接続パッドに重なる前記パッドと前記第2の複数の接続パッドに重なる前記パッドの前記第2方向の長さが異なる、フレキシブルプリント配線基板と、
前記接続パッドにハンダを介して接続される複数の接続端子を有する接続部材と、を備える電子機器。
【請求項2】
前記第2の複数の接続パッドは、前記複数の接続パッドのうち前記第1の複数の接続パッドよりも外縁側に配置され、前記第2の複数の接続パッドに重なる前記パッドの前記第2方向の長さは、前記第1の複数の接続パッドに重なる前記パッドの前記第2方向の長さよりも長い、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記パッドは少なくとも2つ以上であり、
前記第1の複数の接続パッドに重なる第1パッドと、前記第2の複数の接続パッドに重なる第2パッドと、有する請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の複数の接続パッドに重なる前記パッドと前記第2の複数の接続パッドに重なる前記パッドは一体に形成される請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記パッドは少なくとも2つ以上であり、
前記第2の複数の接続パッドは、前記複数の接続パッドのうち前記第1の複数の接続パッドよりも外縁側に配置され、前記第1の複数の接続パッドに重なる第1パッドと、前記第2の複数の接続パッドに重なり、前記第1パッドよりも面積が大きい第2パッドと、有する請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
絶縁層と、前記絶縁層の一面側に第1方向に複数の列に並び、前記第1方向と交差する第2方向に並んで設けられた複数の接続パッドと、前記絶縁層の他面側に設けられ伝熱性を有するパッドと、を備え、前記パッドは、前記複数の列のうち第1の複数の接続パッドの端部に位置する1つ以上の前記接続パッドに対して前記第1方向及び前記第2方向な垂直な第3方向に前記絶縁層を介して配置され、前記第1の複数の接続パッドに前記第1方向に隣接する第2の複数の接続パッドの端部に位置する1つ以上の前記接続パッドに対して前記第3方向に前記絶縁層を介して配置され、前記第1の複数の接続パッドに対して前記第3方向に配置される前記パッドと前記第2の複数の接続パッドに前記第3方向に配置される前記パッドの前記第2方向の長さが異なる、フレキシブルプリント配線基板と、
前記接続パッドにハンダを介して接続される複数の接続端子を有する接続部材と、を備える電子機器。
【請求項7】
前記第2の複数の接続パッドは、複数の接続パッドのうち前記第1の複数の接続パッドよりも外縁側に配置され、前記第2の複数の接続パッドに対し前記第3方向に配置される前記パッドの前記第2方向の長さは、前記第1の複数の接続パッドに対し前記第3方向に配置される前記パッドの前記第2方向の長さよりも長い、請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記パッドは少なくとも2つ以上であり、
前記第1の複数の接続パッドに対し前記第3方向に配置される第1パッドと、前記第2の複数の接続パッドに対し前記第3方向に配置される第2パッドと、有する請求項6又は7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1の複数の接続パッドに対し前記第3方向に配置される前記パッドと前記第2の複数の接続パッドに対し前記第3方向に配置される前記パッドは一体に形成される請求項6又は7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記パッドは少なくとも2つ以上であり、
前記第2の複数の接続パッドは、前記複数の接続パッドのうち前記第1の複数の接続パッドよりも外縁側に配置され、前記第1の複数の接続パッドに対し前記第3方向に配置される第1パッドと、前記第2の複数の接続パッドに対し前記第3方向に配置され、前記第1パッドよりも面積が大きい第2パッドと、有する請求項6に記載の電子機器。
【請求項11】
前記パッドは、外縁に位置する前記接続パッドの外側に延出した部分を含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記フレキシブルプリント配線基板は、前記絶縁層の一面側に設けられた複数の第2接続パッドと、ハンダにより前記第2接続パッドに接合された半導体素子と、を有し、
前記半導体素子を接合するハンダは、前記接続パッドに接合されるハンダよりも融点の高いハンダである請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フレキシブルプリント配線基板と、接続端子が設けられた接続端部(接続部材)を、例えば加熱して溶融させたハンダによって接続する構成が知られている。
【0003】
ここで、フレキシブルプリント配線基板と接続部材との接続領域が相対的に大きい場合、その接続領域は、均等に加熱したとしても、中央部分よりも外縁部分の方が相対的に放熱し易いことから、低温になり易い。すなわち、接続領域が相対的に大きい場合、その接続領域に温度むらが発生して、均等に接続することが難しい場合がある。接続装置を改良して、接続領域を均等に加熱することもできるが、コストが掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の実施形態の課題は、フレキシブルプリント配線基板と接続部材とを十分に接続することが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電子機器は、フレキシブルプリント配線基板と、接続部材と、を備えている。前記フレキシブルプリント配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層の一面側に第1方向に複数の列に並び、前記第1方向と交差する第2方向に並んで設けられた複数の接続パッドと、前記絶縁層の他面側に設けられ伝熱性を有するパッドと、を備え、前記パッドは、前記複数の列のうち第1の複数の接続パッドの端部に位置する1つ以上の前記接続パッドに対して前記絶縁層を介して重なって配置され、前記第1の複数の接続パッドに前記第1方向に隣接する第2の複数の接続パッドの端部に位置する1つ以上の前記接続パッドに対して前記絶縁層を介して重なって配置され、前記第1の複数の接続パッドに重なる前記パッドと前記第2の複数の接続パッドに重なる前記パッドの前記第2方向の長さが異なる。前記接続部材は、前記接続パッドにハンダを介して接続される複数の接続端子を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電子機器を備えたハードディスクドライブ(HDD)の分解斜視図。
【
図2】
図2は、前記HDDのアクチュエータアッセンブリおよび基板ユニット(FPCユニット)を示す斜視図。
【
図3】
図3は、前記アクチュエータアッセンブリのアクチュエータブロック、前記FPCユニットの接合部(FPC接合部)、およびフレクシャの接続端部を示す側面図。
【
図4】
図4は、前記アクチュエータアッセンブリにおけるサスペンションアッセンブリを示す斜視図。
【
図5】
図5は、前記FPCユニットの接合部を示す平面図。
【
図6】
図6は、
図5の線A-Aに沿ったFPC接合部の断面図。
【
図7】
図7は、前記接続端部が接合されたFPCユニットの接合部を示す平面図。
【
図8】
図8は、
図7の線B-Bに沿った接続端部とFPC接合部の断面図。
【
図9】
図9は、前記接続端部とFPCユニットの要部を模式的に示す斜視図。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係るFPCユニットの接合部を示す平面図。
【
図11】
図11は、第3の実施形態に係るFPCユニットの接合部を示す平面図。
【
図12】
図12は、第4の実施形態に係る電子機器を備えたソリッドステートドライブ(SSD)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照しながら、実施形態に係る電子機器ついて説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1の実施形態)
電子機器として、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る電子機器を備えたHDDの分解斜視図である。
HDDは、偏平なほぼ矩形状の筐体10を備えている。筐体10は、上面の開口した矩形箱状のベース11と、トップカバー12と、を有している。ベース11は、トップカバー12と隙間を置いて対向する矩形状の底壁11aと、底壁11aの周縁に沿って立設さ
れた複数の側壁11bとを有し、例えば、アルミニウムにより一体に成形されている。トップカバー12は、例えば、ステンレスにより矩形板状に形成されている。トップカバー12は、複数のねじ13によりベース11の側壁11b上にねじ止めされ、ベース11の上部開口を閉塞する。
【0010】
筐体10内に、記録媒体としての複数の磁気ディスク21、および磁気ディスク21を支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ22が設けられている。スピンドルモータ22は、底壁11a上に配設されている。各磁気ディスク21は、例えば、3.5インチで、その上面および/または下面に磁気記録層を有している。各磁気ディスク21は、スピンドルモータ22の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね23によりクランプされ、ハブに固定されている。各磁気ディスク21は、ベース11の底壁11aと平行に位置した状態に支持されている。複数枚の磁気ディスク21は、スピンドルモータ22により所定の回転数で回転される。なお、本実施形態では、例えば7枚の磁気ディスク21が筐体10内に収容されているが、磁気ディスク21の枚数はこれに限られない。
【0011】
筐体10内に、磁気ディスク21に対して情報の記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド31、これらの磁気ヘッド31を磁気ディスク21に対して移動自在に支持したアクチュエータアッセンブリ(キャリッジアッセンブリ)32が設けられている。また、筐体10内に、アクチュエータアッセンブリ32を回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)33と、VCM33をベース11の底壁11aにねじ止めする複数のねじ34が設けられている。また、筐体10内に、磁気ヘッド31が磁気ディスク21の最外周に移動した際、磁気ヘッド31を磁気ディスク21から離間したアンロード位置に保持するランプロード機構35が設けられている。
アクチュエータアッセンブリ32は、軸受ユニット32bを介して支持シャフト36の回りで回動自在に支持されたアクチュエータブロック32aと、回転自在な軸受ユニット32bと、アクチュエータブロック32aから延出する複数のアーム32cと、各アーム32cから延出したサスペンションアッセンブリ32dと、を有し、各サスペンションアッセンブリ32dの先端部に磁気ヘッド31が支持されている。支持シャフト36は、底壁11aに立設されている。
【0012】
ベース11の底壁11aの外面には、図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。プリント回路基板は制御部を構成し、この制御部は、スピンドルモータ22の動作を制御するとともに、FPCユニット50を介してVCM33および磁気ヘッド31の動作を制御する。
【0013】
図2は、アクチュエータアッセンブリ32およびFPCユニット50を示す斜視図である。
図3は、アクチュエータブロック32aに取付けられた接合部53および複数の接続端部42を示す側面図である。
アクチュエータアッセンブリ32は、透孔32eを有するアクチュエータブロック32aと、透孔32e内に設けられた軸受ユニット(ユニット軸受)32bと、アクチュエータブロック32aから延出する複数、例えば、8本のアーム32cと、各アーム32cに取付けられた14本のサスペンションアッセンブリ32dを備えている。アクチュエータブロック32aは、軸受ユニット32bにより、底壁11aに立設された支持シャフト(枢軸)36の周りで、回動自在に支持されている。
【0014】
本実施形態において、アクチュエータブロック32aおよび8本のアーム32cはアルミニウム等により一体に成形され、いわゆるEブロックを構成している。アーム32cは、例えば、細長い平板状に形成され、支持シャフト36と直交する方向に、アクチュエータブロック32aから延出している。8本のアーム32cは、互いに隙間を置いて、平行に設けられている。
アクチュエータアッセンブリ32は、アクチュエータブロック32aからアーム32cと反対の方向へ延出する支持フレーム32fを有し、この支持フレーム32fにより、VCM33の一部を構成するボイスコイル33bが支持されている。
図1に示すように、ボイスコイル33bは、ベース11上にその1つが固定された一対のヨーク33a間に位置し、これらのヨーク33a、および何れかのヨークに固定された磁石とともにVCM33を構成している。
【0015】
アクチュエータアッセンブリ32は、それぞれ磁気ヘッド31を支持した14個のサスペンションアッセンブリ32dを備え、これらのサスペンションアッセンブリ32dは各アーム32cの先端部にそれぞれ取付けられている。14個のサスペンションアッセンブリ32dは、磁気ヘッド31を上向きに支持する7つのアップヘッドサスペンションアッセンブリと、磁気ヘッド31を下向きに支持する7つのダウンヘッドサスペンションアッセンブリと、を含んでいる。これらのアップヘッドサスペンションアッセンブリおよびダウンヘッドサスペンションアッセンブリは、同一構造のサスペンションアッセンブリ32dを上下向きを変えて配置することにより構成される。
各組のダウンヘッドサスペンションアッセンブリ32dとアップヘッドサスペンションアッセンブリ32dとは、所定の間隔を置いて互いに平行に位置し、磁気ヘッド31は、互いに向かい合って位置している。これらの磁気ヘッド31は、対応する磁気ディスク21の両面に対向して位置する。
本実施形態では、
図2および
図3において、最上部のアーム32cにダウンヘッドサスペンションアッセンブリ32dが取付けられ、最下部のアーム32cにアップヘッドサスペンションアッセンブリ32dが取り付けられている。中間の6本のアーム32cの各々には、アップヘッドサスペンションアッセンブリ32dおよびダウンヘッドサスペンションアッセンブリ32dが取り付けられている。
【0016】
図4は、サスペンションアッセンブリ32dを示す斜視図である。
サスペンションアッセンブリ32dは、細長い帯状のフレクシャ(配線部材)41を有している。フレクシャ41は、ベースとなるステンレス等の金属板(裏打ち層)と、この金属板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された複数の配線(配線パターン)を構成する導電層と、導電層を覆うカバー層(保護層、絶縁層)と、を有し、細長い帯状の積層板をなしている。フレクシャ41の配線は、磁気ヘッド31のリード素子、ライト素子、ヒータ、その他の部材に電気的に接続されている。
フレクシャ41には、接続端部(テール接続端子部)42が設けられている。接続端部42は、水平方向に延びた細長い矩形状に形成されている。接続端部42は、上下方向に沿って、例えば14本設けられている。
接続端部42には、複数の接続端子(接続パッド)43が設けられている。これらの接続端子43は、フレクシャ41の配線にそれぞれ接続されている。すなわち、フレクシャ41の複数の配線は、フレクシャ41のほぼ全長に亘って延び、一端は磁気ヘッド31に電気的に接続され、他端は、接続端部42の接続端子(接続パッド)43に接続されている。接続端子43には、ハンダ44が形成されている。ここで、ハンダ44を後述するハンダ45よりも低融点のハンダで構成することができる。具体的には、ヘッドIC57のバンプの仕様を例えばSn(スズ)-3.0Ag(銀)-0.5Cu(銅)とし、ハンダ44の仕様を例えばSn-57Bi(ビスマス)-1Agとすることができる。このような構成の場合、接続パッド61とヘッドIC57を、低融点ハンダに相当するハンダ44を用いて、204℃から217℃ではんだ付けすることができる。接続端子43が設けられた接続端部42(接続部材)は、接続パッド61と電気的に接続される。
【0017】
図2に示すように、FPCユニット50は、ほぼ矩形状のベース部51、ベース部51の一側縁から延出した細長い帯状の中継部52、中継部52の先端部に連続して設けられたほぼ矩形状の接合部(FPC接合部)53を一体に有している。これらベース部51、中継部52、接合部53は、フレキシブルプリント配線基板(FPC)により形成されている。フレキシブルプリント配線基板(FPC)は、2層の導電層を有する多層回路基板として構成されている。FPCユニット50の詳細な構成については後述する。
ベース部51の一方の表面(外面)上に、図示しない変換コネクタ、複数のコンデンサ等の電子部品が実装され、図示しない配線に電気的に接続されている。ベース部51の他方の表面(内面)に、補強板54が貼付されている。ベース部51は、異なる方向に複数折り曲げられた補強板54に沿って折曲げられている。ベース部51は、筐体10の底壁11a上に配置され、複数のねじ55により補強板54を介して底壁11aにねじ止めされる。ベース部51上の変換コネクタは、筐体10の底面側に設けられる制御回路基板に接続される。
【0018】
中継部52は、ベース部51からアクチュエータアッセンブリ32に向かって延びている。中継部52の延出端に設けられた接合部53は、アクチュエータブロック32aの側面(設置面)とほぼ等しい高さおよび幅の矩形状に形成されている。接合部53は、アルミニウム等で形成された裏打ち板を介して、アクチュエータブロック32aの設置面に貼付され、更に、固定ねじ56により設置面にねじ止め固定されている。
【0019】
接合部53は、その配線が上下に14本設けられたフレクシャ41の接続端部42と電気的に接続されている。接合部53上にヘッドIC57(半導体素子)が実装され、このヘッドIC57はFPCの配線を介して接続端部42およびベース部51に接続されている。ヘッドIC57を接合するハンダ45は、接続パッド61に接合されるハンダ44よりも融点の高いハンダである。具体的には、ヘッドIC57のバンプの仕様を例えばSn-0.75Cuとし、ハンダ45の仕様を例えばSn-3.0Ag-0.5Cuとすることができる。このような構成の場合、接続端部42およびベース部51とヘッドIC57を、高融点ハンダに相当するハンダ45を用いて、225℃以下ではんだ付けすることができる。更に、接合部53は、一対の接続パッドを有し、これらの接続パッドにボイスコイル33bが接続されている。
アクチュエータアッセンブリ32の14個の磁気ヘッド31は、それぞれフレクシャ41の配線、接続端部42、FPCユニット50の接合部53、中継部52を通して、ベース部51に電気的に接続される。更に、ベース部51は、変換コネクタを介して、筐体10の底面側のプリント回路基板に電気的に接続される。
【0020】
FPCユニット50の接合部53と接続端部42の配線構造および均熱構造について説明する。
図5は、FPCユニット50の接合部53を示す平面図である。
図6は、
図5の線A-Aに沿ったFPC接合部の断面図である。
図7は、接続端部42が接合されたFPCユニット50の接合部53を示す平面図である。
図8は、
図7の線B-Bに沿った接続端部42とFPC接合部の断面図である。
図9は、接続端部42とFPCユニット50の要部を模式的に示す斜視図である。
【0021】
図3および
図5に示すように、FPCの接合部53は、サスペンションアッセンブリ32dの接続端部42に対応する14個の接続パッド群を有している。各接続パッド群は、1列に並んで設けられた複数の接続パッド61を有し、各接続パッド61は、配線を介してヘッドIC57に電気的に接続されている。各接続パッド群の複数の接続パッド61は、アーム32cとほぼ平行な方向に互いに所定の間隔を置いて一列に並んでいる。また、14個の接続パッド群は、支持シャフト36と平行な方向、すなわち、アクチュエータブロック32aの高さ方向に、互いに所定の間隔を置いて、かつ、互いにほぼ平行に並んでいる。これらの接続パッド61は、それぞれ後述するFPCの第1カバー絶縁層63に形成された矩形状の開口63aを介して外部に露出している。
【0022】
図5および
図6に示すように、接合部53を構成しているフレキシブルプリント配線基板は、例えばポリイミド等で形成された絶縁層62と、接着剤層64により絶縁層62の一面側に貼付され例えば銅箔からなる導電層と、導電層および絶縁層62に重ねて積層された第1カバー絶縁層63と、を有している。導電層は、パターニングされ、複数の接続パッド61および複数の配線を構成している。第1カバー絶縁層63には、それぞれ接続パッド61と対向する複数の開口63aが設けられている。接続パッド61は、それぞれ開口63aを介して外部に露出している。
フレキシブルプリント配線基板は、接着剤層68により絶縁層62の他面側に貼付され例えば銅箔からなる第2導電層と、第2導電層および絶縁層62に重ねて接着剤層68により貼付された第2カバー絶縁層67と、を更に有している。第2導電層は、パターニングされ、複数のパッド65、66と、複数の配線、グラウンドパッド71等を構成している。
【0023】
図5および
図6に示すように、一対のパッド65は、複数の接続パッド61から構成され電気的に一群からなる接続パッド群60のうち、上下方向で対向する図中右側の2つの角部において、外縁に位置する例えば3つの接続パッド61と、絶縁層62を介して重なっている。パッド65は、3つの接続パッド61に対して絶縁層62に沿った外側に突出した部分を含んでいる。一対のパッド66は、接続パッド群60のうち、上下方向で対向する図中左側の2つの角部において、外縁に位置する例えば3つの接続パッド61と、絶縁層62を介して重なっている。パッド66は、3つの接続パッド61に対して絶縁層62に沿った外側に突出した部分を含んでいる。
図5に示すように、一対のパッド66は、接合部53に設けられたグラウンドパッド71と、アースパターン71aを介して電気的に接続されている。
【0024】
図7および
図8に示すように、ハンダ44の付された接続端部42が接続パッド61上に載置された状態において、所定の領域にレーザ光が照射されてハンダ44が溶融する。これにより、各々の接続端子43は、対応する接続パッド61に対して、ハンダ44を介して接合される。それに先立ち、ヘッドIC57が第2接続パッド72の端子に、ハンダ44よりも高融点のハンダ45により接続されている。
【0025】
以上のように構成された第1実施形態の電子機器によれば、パッド65は、一群の接続パッド61のうち外縁に位置する1つ以上の接続パッド61に対して絶縁層62を介して重なり、かつ、外縁に位置する当該接続パッド61に対して絶縁層62に沿った外側に突出した部分を含んでいる。これにより、接合のためにレーザ光等を用いて一群の接続パッド61を加熱したときに、パッド65の接続パッド61からはみ出した外側部分がレーザ光によって加熱され、その熱がパッド65全体に伝搬しパッド65全体が加熱される。これにより、相対的に低温になり易い一群の接続パッド61の外縁に位置する1つ以上の接続パッド61を、パッド65を用いて均等に加熱することができる。すなわち、接続パッド61は、パッド65と重なっている領域に加えて、接続パッド61が存在していない領域からも加熱されることになる。これにより、接合領域の全域に亘ってハンダを均一に溶融させることができ、接合部の全ての接続パッド61と接続端部42の接続端子43とを確実に電気的、かつ、機械的に接続することが可能となる。
以上のことから、FPCユニット50(フレキシブルプリント配線基板)と、接続端子43が設けられた接続端部42(接続部材)とを十分に接続することが可能な電子機器が得らえる。
【0026】
また、第1実施形態の電子機器によれば、パッド65およびパッド66は、一群の接続パッド61のうち外縁に位置する1つ以上の接続パッド61の全領域に対して、絶縁層62を介して重なっている。これにより、接続パッド61を、パッド65およびパッド66を用いて均等に加熱することができる。
【0027】
また、第1実施形態の電子機器によれば、パッド65およびパッド66は、グラウンドパッド71とアースパターン71aを介して接続されている。これにより、パッド65およびパッド66に起因する電気ノイズを抑制することができる。また、パッド65およびパッド66を、グラウンドパッド71と同一の導電層によって廉価に構成することができる。すなわち、パッド65およびパッド66を形成するために、新たな層を設ける必要がない。
【0028】
また、第1実施形態の電子機器によれば、FPCユニット50は、絶縁層62の一面側に複数列に並んで設けられた複数群の接続パッド61を有している。パッドは、それぞれ各群の端部に位置する1つ以上の接続パッド61に重なって配置された複数のパッド65および66を含んでいる。このように、FPCユニット50は、伝熱性や蓄熱性に応じて、様々な仕様によって構成することができる。
【0029】
また、第1実施形態の電子機器によれば、複数のパッドは、面積の異なる複数のパッド65および66を含んでいる。これにより、温度分布(温度むら)に応じて、パッドの仕様を異ならせて構成することができる。
【0030】
また、第1実施形態の電子機器によれば、FPCユニット50は、絶縁層62の一面側に設けられた複数の第2接続パッド72と、ハンダ45により第2接続パッド72に接合されたヘッドIC57(半導体素子)と、を有している。ヘッドIC57を接合するハンダ45は、接続パッド61に接合されるハンダ44よりも融点の高いハンダである。これにより、第2接続パッド72にハンダ45を用いてヘッドIC57を実装した後に、接続パッド61と接続端部42に設けられた接続端子43とを、ハンダ45よりも低温で溶融するハンダ44によって十分にハンダ付けすることができる。
【0031】
また、第1実施形態の電子機器によれば、ディスク装置のアクチュエータアッセンブリに適用できる。これにより、ディスク装置の大容量化に伴い、磁気ディスク21の設置枚数が増加する傾向にあり、その分、磁気ヘッド31の数が増加し、一群の接続パッド61を構成する接続パッド群60の面積が増大し、中央部分と外縁部分との加熱温度に差が発生し易い場合においても、FPCユニット50と接続端部42とを十分に接続することが可能である。
【0032】
また、第1実施形態の電子機器によれば、FPCユニット50を保持する補強プレートの反り返りに起因して、アクチュエータブロック32aと補強プレートとの間に空気層が発生して、熱ばらつきが大きくなったとしても、第1の実施形態の構成によって均等に接続されていることから、均等に通電させることができる。
【0033】
次に、他の実施形態に係る電子機器について説明する。以下に述べる他の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0034】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係るFPCユニットの接合部を示す平面図である。
図10に示すように、パッド81は、接続パッド群60のうち、上下方向で対向する図中左側の2つの角部において、外縁に位置する例えば6つの接続パッド61と、絶縁層62を介して重なっている。パッド66は、6つの接続パッド61に対して絶縁層62に沿った外側に突出した部分を含んでいる。一対のパッド81は、接合部53に設けられたグラウンドパッド71と、アースパターン71aを介して電気的に接続されている。
【0035】
以上のように構成された第2実施形態の電子機器によれば、接続パッド群60に温度勾配が発生する場合に、相対的に低温となる基端部分に対して効率よくパッド81を設けることができる。
【0036】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係るFPCユニットの接合部を示す平面図である。
図11に示すように、パッド82、パッド83およびパッド84は、接続パッド群60のうち、上下方向で対向する図中左側の2つの角部において、外縁に位置する接続パッド61と、絶縁層62を介して重なっている。パッド82は、接続パッド群60のうち最も外側に位置し、例えば左右に隣り合う3つの接続パッド61に対して絶縁層62を介して重なっている。パッド83は、接続パッド群60においてパッド82の内側に位置し、例えば左右に隣り合う2つの接続パッド61に対して絶縁層62を介して重なっている。パッド84は、接続パッド群60においてパッド83の内側に位置し、例えば1つの接続パッド61に対して絶縁層62を介して重なっている。パッド82、パッド83およびパッド84は、接続パッド61に対して絶縁層62に沿った外側に突出した部分を含んでいる。パッド82、パッド83およびパッド84は、接合部53に設けられたグラウンドパッド71と、アースパターン71aを介して電気的に接続されている。
【0037】
以上のように構成された第3実施形態の電子機器によれば、第2実施形態の電子機器と同様に、接続パッド群60に温度勾配が発生する場合に、相対的に低温となる基端部分に対して効率よくパッド82、パッド83およびパッド84設けることができる。
【0038】
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態に係る電子機器を備えたソリッドステートドライブ(SSD)の斜視図である。
図13は、
図12の要部の第1例を示す断面図である。
図14は、
図12の要部の第2例を示す断面図である。
図12に示すように、複数のメモリ102が実装されたソリッド基板101の間を、FPCユニット103(フレキシブルプリント配線基板)と接続部材104を介して電気的に連結して、相対的に記録容量が大きいSSDを構成している。
図13に示すように、第1例として、各々の接続パッド61と、ソリッド基板101に形成されたパッド65は、各々の接続パッド61に形成された開口61aと、開口61aからパッド65側に押し出しつつ湾曲させた突起部61bを介して、ハンダ44によってハンダ付けすることができる。
図14に示すように、第2例として、各々の接続パッド61と、ソリッド基板101に形成されたパッド65は、各々の接続パッド61に形成された開口61aを介して、ハンダ44によってハンダ付けされている。
【0039】
以上のように構成された第4実施形態の電子機器によれば、HHDに限定されることなく、SSDに適用することができる。
【0040】
本発明は上記実施形態あるいは変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…筐体、11…ベース、11a…底壁、11b…側壁、12…トップカバー、
13…ねじ、21…磁気ディスク、22…スピンドルモータ、23…クランプばね、
31…磁気ヘッド、32…アクチュエータアッセンブリ、
32…アクチュエータアッセンブリ、32a…アクチュエータブロック、
32b…軸受ユニット、32c…アーム、
32d…サスペンションアッセンブリ,ダウンヘッドサスペンションアッセンブリ,アッ
プヘッドサスペンションアッセンブリ、32e…透孔、32f…支持フレーム、
33…VCM、33a…ヨーク、33b…ボイスコイル、34…ねじ、
35…ランプロード機構、36…支持シャフト、41…フレクシャ、42…接続端部、
43…接続端子(接続パッド)、44,45…ハンダ、50…FPCユニット、
51…ベース部、52…中継部、53…接合部(FPC接合部)、54…補強板、
55…ねじ、56…ねじ、57…ヘッドIC、60…接続パッド群、61…接続パッド、
62…絶縁層、63…第1カバー絶縁層、63a…開口、64…接着剤層、
65,66…パッド、67…第2カバー絶縁層、68…接着剤層、
71…グラウンドパッド、71a…アースパターン、72…第2接続パッド、
81,82,83,84…パッド、101…ソリッド基板、102…メモリ、
103…FPCユニット、104…接続部材