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特許7455956シングルエンド型の防振紫外線ランプ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】シングルエンド型の防振紫外線ランプ装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20230101AFI20240318BHJP
   H01J 61/02 20060101ALI20240318BHJP
   H01J 61/88 20060101ALI20240318BHJP
   H01J 5/50 20060101ALI20240318BHJP
   H01J 5/38 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
C02F1/32
H01J61/02 C
H01J61/88 C
H01J5/50
H01J5/38
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022505241
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 GB2020051852
(87)【国際公開番号】W WO2021019256
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】62/881,673
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522032707
【氏名又は名称】エイティージー ユーブイ テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【弁理士】
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ フォスター
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジョシ
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/029632(WO,A2)
【文献】特開平10-134778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0098179(US,A1)
【文献】特開2004-181273(JP,A)
【文献】特開2011-110492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/20-1/26、1/30-1/38
H01J61/30-61/48
H01J61/50-65/08
B01J10/00-12/02、14/00-19/32
A61L2/00-2/28、11/00-12/14
C02F1/70-1/78
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理システムであって、
化学線反応器と、
前記化学線反応器内の石英チューブ内に配置された少なくとも1つの紫外線(UV)ランプであって、
電気励起に応答して紫外線を出射する気体を含むランプチューブと、
前記ランプチューブの第1の端部から延在する第1のピンチおよび前記ランプチューブの第2の端部から延在する第2のピンチと、
前記第1のピンチに結合された第1のエンドキャップおよび前記第2のピンチに結合された第2のエンドキャップであって、前記ランプチューブを前記石英チューブ内で同軸に中心に置くように寸法が決められた、第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップと、
前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップのそれぞれについて各々の外周面に配置された熱伝導性バイアス要素であって、前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップがそれぞれ、前記各々の外周面から内向きに延在するスロットを含む、熱伝導性バイアス要素と、
前記スロット内に配置され、前記ランプチューブに電力を供給するように構成された電気伝導体と、を含む紫外線(UV)ランプと、
を備える水処理システム。
【請求項2】
前記熱伝導性バイアス要素が金属ばねを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記熱伝導性バイアス要素が、前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップの前記外周面内および前記外周面に外接するように画定された溝内に配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップの前記外周面の一部が、前記石英チューブの内面に一致するように輪郭が形成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記スロットが前記溝に対して垂直である、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記金属ばねが、前記スロット内に前記電気伝導体を保持する、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記熱伝導性バイアス要素が、前記石英チューブの内面に接触し、該石英チューブ内で前記ランプチューブを支持し、かつ、該石英チューブから前記第1および第2のエンドキャップに伝わる振動を減衰させる、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
水を処理する方法であって、
化学線反応器内の石英チューブ内に配置された少なくとも1つの紫外線(UV)ランプを含む該化学線反応器の注入口に水を導入することであって、
前記少なくとも1つのUVランプが、
電気励起に応答して紫外線を出射する気体を含むランプチューブと、
前記ランプチューブの第1の端部から延在する第1のピンチおよび前記ランプチューブの第2の端部から延在する第2のピンチと、
前記第1のピンチに結合された第1のエンドキャップおよび前記第2のピンチに結合された第2のエンドキャップであって、前記ランプチューブを前記石英チューブ内で同軸に中心に置くように寸法が決められた第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップと、
前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップのそれぞれについて各々の外周面に配置された熱伝導性バイアス要素であって、前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップがそれぞれ、前記各々の外周面から内向きに延在するスロットを含む、熱伝導性バイアス要素と、
前記スロット内に配置され、前記ランプチューブに電力を供給するように構成された電気伝導体と、を備える、導入することと、
前記化学線反応器内の前記水に前記少なくとも1つのUVランプからのUV光を照射して処理水を生成することと、
前記処理水を前記化学線反応器から取り出すことと、を含む方法。
【請求項9】
化学線反応器内の石英チューブ内に配置されるように構成された紫外線(UV)ランプであって、
電気励起に応答して紫外線を出射する気体を含むランプチューブと、
前記ランプチューブの第1の端部から延在する第1のピンチおよび前記ランプチューブの第2の端部から延在する第2のピンチと、
前記第1のピンチに結合された第1のエンドキャップおよび前記第2のピンチに結合された第2のエンドキャップであって、前記ランプチューブを前記石英チューブ内で同軸に中心に置くように寸法が決められた第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップと、
前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップのそれぞれについて各々の外周面に配置された前記石英チューブから前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップの少なくとも1つを振動的に分離するための手段であって、熱伝導性要素を含み、前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップがそれぞれ、前記各々の外周面から内向きに延在するスロットを含む、手段と、
前記スロット内に配置され、前記ランプチューブに電力を供給するように構成された電気伝導体と、を備えるUVランプ。
【請求項10】
前記熱伝導性要素が金属ばねを含む、請求項に記載のUVランプ。
【請求項11】
前記金属ばねが、前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップの前記外周面内および前記外周面に外接するように画定された溝内に配置される、請求項10に記載のUVランプ。
【請求項12】
前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップの前記外周面の一部が、前記石英チューブの内面に一致するように輪郭が形成されている、請求項11に記載のUVランプ。
【請求項13】
前記スロットが前記溝に対して垂直である、請求項11に記載のUVランプ。
【請求項14】
前記金属ばねが、前記スロット内に前記電気伝導体を保持する、請求項10に記載のUVランプ。
【請求項15】
化学線反応器を改造する方法であって、
化学線反応器内の少なくとも1つの紫外線(UV)ランプを交換用ランプと交換することであって、
前記交換用ランプが、
電気励起に応答して紫外線を出射する気体を含むランプチューブと、
前記ランプチューブの第1の端部から延在する第1のピンチおよび前記ランプチューブの第2の端部から延在する第2のピンチと、
前記第1のピンチに結合された第1のエンドキャップおよび前記第2のピンチに結合された第2のエンドキャップであって、前記ランプチューブを前記化学線反応器内の石英チューブ内で同軸に中心に置くように寸法が決められた第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップと、
前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップのそれぞれについて各々の外周面に配置された前記石英チューブから前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップの少なくとも1つを振動的に分離するための手段であって、熱伝導性要素を含み、前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップがそれぞれ、前記各々の外周面から内向きに延在するスロットを含む、手段と、
前記スロット内に配置され、前記ランプチューブに電力を供給するように構成された電気伝導体と、を備える、交換すること、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される態様および実施形態は、一般に、紫外線ランプを対象とし、いくつかの特定の実施形態においては、高度な酸化システムでの使用に適した紫外線ランプ、およびそれを操作または構成する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
紫外線(UV)装置は、水質浄化に広く応用されている。UVを使用して、飲料水や水上(水中)競技といった用途における有害なバクテリアを破壊し、水を消毒することができる。消毒にUVを使用する場合、用いられる一般的な波長は254nmである。UVを使用して、水溶液中の有機化合物を破壊するために用いられ得るフリーラジカルを生成することもできる。有機化合物を破壊するために用いられる場合、通常、185nmの波長が用いられる。
【0003】
UV装置は通常、ハウジング、石英チューブ、および石英チューブの内側にフィットするUVランプを備える。石英チューブは、処理されるべき液体をUVランプから分離する。UVランプは、電源に接続される電気接続部を有する。液体がハウジングを通過すると、UV光が照射され、バクテリアおよび/または有機化合物を光化学的に破壊する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、水処理システムが提供される。水処理システムは、化学線反応器と、化学線反応器内の石英チューブ内に配置された少なくとも1つの紫外線(UV)ランプと、を備える。少なくとも1つのUVランプは、電気励起に応答して紫外線を出射する気体を含むランプチューブと、ランプチューブの第1の端部から延在する第1のピンチおよびランプチューブの第2の端部から延在する第2のピンチと、第1のピンチに結合された第1のエンドキャップおよび第2のピンチに結合された第2のエンドキャップと、を備える。第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップは、ランプチューブを石英チューブ内で同軸に中心に置くように寸法が決められる。
【0005】
いくつかの実施形態において、UVランプは、第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップのそれぞれについて各々の周辺部に配置された熱伝導性バイアス要素をさらに含む。熱伝導性バイアス要素は、金属ばねを含み得る。熱伝導性バイアス要素は、第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップの外周面内および外周面に外接するように画定された溝内に配置され得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップの外周面の一部は、石英チューブの内面に一致するように輪郭が形成されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1および第2のエンドキャップは、外周面から内向きに延在するスロットを含む。スロットは溝に対して垂直であり得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、システムは、スロット内に配置されたランプチューブに電力を供給するように構成された電気伝導体をさらに含む。金属ばねは、スロット内に前記伝導体を保持し得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、熱伝導性バイアス要素は、石英チューブの内面に接触し、石英チューブ内でランプチューブを支持し、かつ、石英チューブから第1および第2のエンドキャップに伝わる振動を減衰させる。
【0010】
いくつかの実施形態において、動作中、ランプチューブは、第1のピンチから第2のピンチまで対称的な温度プロファイルを示す。
【0011】
いくつかの実施形態において、化学線反応器は、紫外線で進行する酸化プロセス反応器である。
【0012】
別の態様によれば、水を処理する方法が提供される。該方法は、化学線反応器内の石英チューブ内に配置された少なくとも1つの紫外線(UV)ランプを含む該化学線反応器の注入口に水を導入することを含む。少なくとも1つのUVランプは、電気励起に応答して紫外線を出射する気体を含むランプチューブと、ランプチューブの第1の端部から延在する第1のピンチおよびランプチューブの第2の端部から延在する第2のピンチと、第1のピンチに結合された第1のエンドキャップおよび第2のピンチに結合された第2のエンドキャップであって、ランプチューブを石英チューブ内で同軸に中心に置くように寸法が決められた第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップと、を備える。該方法はさらに、化学線反応器内の水に少なくとも1つのUVランプからのUV光を照射して処理水を生成し、処理水を化学線反応器から取り出すことを含む。
【0013】
別の態様によれば、化学線反応器内の石英チューブ内に配置されるように構成された紫外線(UV)ランプが提供される。UVランプは、電気励起に応答して紫外線を出射する気体を含むランプチューブと、ランプチューブの第1の端部から延在する第1のピンチおよびランプチューブの第2の端部から延在する第2のピンチと、第1のピンチに結合された第1のエンドキャップおよび第2のピンチに結合された第2のエンドキャップであって、ランプチューブを石英チューブ内で同軸に中心に置くように寸法が決められた第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップと、第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップのそれぞれについて各々の周辺部に配置された石英チューブから第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップの少なくとも1つを振動的に分離するための手段と、を備える。
【0014】
いくつかの実施形態において、振動減衰のための手段は、熱伝導性要素を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、熱伝導性要素は金属ばねを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、金属ばねは、第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップの外周面内および外周面に外接するように画定された溝内に配置される。
【0017】
いくつかの実施形態において、第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップの外周面の一部は、石英チューブの内面に一致するように輪郭が形成されている。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1および第2のエンドキャップは、外周面から内向きに延在するスロットを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、スロットは溝に対して垂直である。
【0020】
いくつかの実施形態において、UVランプは、スロット内に配置されたランプチューブに電力を供給するように構成された電気伝導体をさらに備える。
【0021】
いくつかの実施形態において、金属ばねは、スロット内に電気伝導体を保持する。
【0022】
いくつかの実施形態において、熱伝導性要素は、石英チューブの内面に接触し、石英チューブ内でランプチューブを支持し、石英チューブから第1および第2のエンドキャップに伝わる振動を減衰させる。
【0023】
いくつかの実施形態において、動作中、ランプチューブは、第1のピンチから第2のピンチまで対称的な温度プロファイルを示す。
【0024】
別の態様によれば、化学線反応器を改造する方法が提供される。該方法は、化学線反応器内の少なくとも1つの紫外線(UV)ランプを交換用ランプと交換することを含む。交換用ランプは、電気励起に応答して紫外線を出射する気体を含むランプチューブと、ランプチューブの第1の端部から延在する第1のピンチおよびランプチューブの第2の端部から延在する第2のピンチと、第1のピンチに結合された第1のエンドキャップおよび第2のピンチに結合された第2のエンドキャップであって、ランプチューブを化学線反応器内の石英チューブ内で同軸に中心に置くように寸法が決められた第1のエンドキャップおよび第2のエンドキャップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面は、原寸に比例して描かれることを意図したものではない。図面では、さまざまな図に示されている同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素にすべての図面でラベルが付けられているわけではない。それでは以下に図を示す:
【0026】
図1】1つ以上の実施形態による化学線反応容器を示す概略図である。
図2A】1つ以上の実施形態による図1の容器内部の一部を示す概略図である。
図2B】1つ以上の実施形態による図1の容器内部の別の部分を示す概略図である。
図3】化学線反応容器、および化学線反応容器の上流で処理される水源と連絡しているフリーラジカルの前駆体源を含むシステムの実施形態を示す。
図4】本明細書に開示された水処理システムの実施形態に利用され得る制御システムを示す。
図5図4の制御システム用のメモリシステムを示す。
図6】紫外線(UV)ランプアセンブリの例を示す。
図7】石英チューブ内に配置された図6の紫外線ランプアセンブリを示す。
図8】UVランプの振動試験のための実験の設定を示す。
図9図9A図9Cは、標準的なUVランプの振動試験の結果を示す。
図10図10図10Cは、図6に示されるようなUVランプの振動試験の結果を示す。
図11A】石英チューブ内の標準的なUVランプの取り付け構成を示す。
図11B図11Aに示されるように取り付けられた標準UVランプのピンチ部分の動作温度を示す。
図12A】石英チューブ内の標準的なUVランプの別の取り付け構成を示す。
図12B図12Aに示されるように取り付けられた標準UVランプのピンチ部分の動作温度を示す。
図13図7に示されるように取り付けられたUVランプのピンチ部分の動作温度を示す。
図14A】標準的なUVランプ内の温度および応力分布の有限要素分析の結果を示す。
図14B図6に示されるようなUVランプ内の温度および応力分布の有限要素分析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書に開示される態様および実施形態は、以下の説明に記載されるか、または図面に示された構成要素の構成および配置に限定されない。本明細書に開示される態様および実施形態は、様々な方法で実践または実行することができる。また、本書で使用されている表現法および用語は、説明を目的としたものであり、限定するものと見なされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「備える、含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「包含する(involving)」、およびそれらの変形の使用は、その後に記載される項目およびその同等物ならびに追加の項目を包含する(encompass)ことを意味する。
【0028】
本明細書に開示される態様および実施形態は、一般に、紫外線(UV)ランプシステム、および、UVランプシステムの寿命を延ばし、かつUVランプシステムの早期故障を防止するように設計された改良に関する。
【0029】
従来のUVランプシステムは、感電、火傷、およびそのようなシステムの設計に内在する、UV-C放射への曝露といった許容できない高リスクを原因とする問題を孕んでいる。通電中にUVランプを取り外すと、オペレーターはUV光放射、極度の熱、および感電の可能性にさらされる。
【0030】
上記問題に対する従来の解決策は、上記内在リスクを完全に排除するものではない。1つのかかるシステムは、アクセスポートを備えた巨大な電気エンクロージャーを利用する。アクセスポートが不注意に開いたままになる可能性があるため、このシステムがリスクを完全に軽減するわけではない。別のシステムは、機械的なトリップスイッチを利用して、取り外し時にランプの電源を切る。このシステムもまた、スイッチし損なう可能性があるため、リスクを完全に軽減することができない。
【0031】
本明細書に開示されるUVランプまたはUVランプシステムの態様および実施形態は、既知のUVランプまたはUVランプシステムと比較して、UVランプまたはUVランプシステムの信頼性および寿命を増大させる1つ以上の特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、UVランプから外部環境への熱流は、以前に知られているUVランプと比較して改善(増大)され得る。本明細書に開示されるUVランプの実施形態の動作温度は、以前に知られているUVランプよりもランプ全体でより低くおよび/またはより均一かつ対称であり得る。本明細書に開示されるUVランプの実施形態は、以前に知られているUVランプよりも振動による損傷に対してより耐性を有し得る。
【0032】
本明細書に開示される態様および実施形態は、汚染された廃水を処理するためのシステムを対象とし得る。本明細書に開示される態様および実施形態は、紫外線放射処理を利用して、処理される水の全有機炭素(TOC)含有量を低減するシステムを対象とし得る。本明細書に開示される態様および実施形態は、飲料水、灌漑用水として、または実験室または半導体製造プラントでの脱イオン水としての使用に適する程度まで水を精製するためのシステムを対象とし得る。本明細書に開示されるシステムの態様および実施形態において処理される水とは、工業廃水もしくは都市廃水、地下水、または実験室洗浄操作もしくは半導体製造操作からの環水(return water)のいずれか1つ以上であり得る。
【0033】
本明細書に開示される1つ以上の態様は、汚染された廃水を処理するためのシステムに関する。いくつかの実施形態において、該システムは、難分解性有機汚染物質の初期濃度を有する汚染された廃水の供給源と、該汚染された廃水と流体連通しているTOC濃度センサーと、該汚染された廃水の供給源に流体的に接続され、かつ、該汚染された廃水に1つ以上のフリーラジカル種の前駆物質を導入するように構成された、該前駆物質の供給源と、該汚染された廃水の供給源に流体的に接続され、かつ、該汚染された廃水を照射するように構成された、本明細書に開示されるUVランプを含むUV反応器と、該TOC濃度センサーと通信し、かつ、該TOC濃度センサーからの出力信号に基づいて、前駆体が汚染された廃水に導入される速度およびUVランプによって印加される照射線の量の少なくとも1つを制御するように構成されたコントローラと、を備える。前駆体は、例えば、過酸化水素もしくは過硫酸塩種であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0034】
別の態様によれば、コントローラは、反応器内の汚染された廃水の滞留時間を制御することによって照射線量を制御するように構成される。さらに別の態様によれば、コントローラは、汚染された廃水の流量を制御することによって照射線量を制御するように構成される。
【0035】
さらなる態様によれば、UV反応器は、前駆体の供給源から下流に位置付けられる。少なくとも1つの態様によれば、TOC濃度センサーは、前駆体の供給源から上流に位置付けられる。別の態様によれば、該TOC濃度センサーは、第1のTOC濃度センサーであり、システムは、コントローラと通信し、UV反応器から下流に位置付けられた第2のTOC濃度センサーをさらに備える。ある態様によれば、コントローラは、第2のTOC濃度センサーからの出力信号に基づいて、前駆体が汚染された廃水に導入される速度およびUVランプによって印加される照射線の量の少なくとも1つを制御するように構成される。
【0036】
1つ以上の態様は、廃水処理システムおよび技術を対象とし得る。該システムおよび技術は、紫外線(UV)光源と組み合わせて1つ以上のフリーラジカルの前駆体を利用して、難分解性有機汚染物質で汚染された廃水を処理し得る。いくつかの実施形態によれば、廃水は、難分解性有機汚染物質の濃度が、廃水を地面にポンプで戻してもよいようなレベル、すなわち、難分解性有機汚染物質が管理当局によって設定された1つ以上の基準を下回るようなレベルに減少するように処理される。さらなる態様によれば、処理された廃水が飲用水と見なされ得るように、難分解性有機汚染物質の濃度が低減される。例えば、いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される方法およびシステムは、汚染された廃水を処理して飲用水を生成し得る。飲用水は、自治体によって設定された基準に準拠し得る。本明細書で使用される場合、汚染物質に関して使用される場合の「難分解性有機物」という用語は、微生物分解耐性があるか、または容易に生分解されない有機化合物を指す。ある例では、難分解性有機汚染物質が生物学的に分解され得ず、浄化方法では、環境規制を満足させるのに十分な量の物質を除去できないことがある。難分解性有機汚染物質の非限定的な例としては、1,4-ジオキサン、トリクロロエチレン(TCE)、パークロロエチレン(PCE)、尿素、イソプロパノール、クロロホルム、アトラジン、トリプトファン、およびギ酸が挙げられる。
【0037】
少なくとも1つの態様によれば、いくつかの実施形態は、汚染された廃水を処理するための方法を包含する。さらに、そのプロセスは、汚染された地下水を浄化するために使用され得る。本明細書で使用される場合、「地下水」という用語は、地下水源から回収可能な水、ならびに小川、池、沼地、および他の同様の水域などの表面水域から回収される水を指し得る。上記のように、廃水または地下水は、難分解性有機汚染物質で汚染され得る。廃水は、工業プロセス、農薬や除草剤の使用などの農業プロセス、またはトリハロメタンなどの望ましくない副産物を生成する消毒プロセスなどの他のプロセスなど、さまざまな発生源のいずれかから汚染されてきた可能性がある。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、本明細書に開示される方法およびシステムは、難分解性有機汚染物質の初期濃度を有する汚染された廃水を提供することを含み得る。いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される方法およびシステムは、汚染された廃水を抽出するか、さもなければ除去することを含み得る。例えば、汚染された廃水は、浄化作業の一環として、1つ以上のポンプまたは他の抽出デバイスを用いて、地面または他の水源から汲み上げられ得る。処理されると、廃水は次いで排出されるか、さらなる処理のために送られる。いくつかの実施形態によれば、汚染された廃水は、本明細書で論じられるプロセスおよび方法に従って処理され得る勾配レベル(surface grade level)まで汲み上げられるか、さもなければ除去され得る。例えば、いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示される方法およびシステムは、浄化サイトから汚染された廃水を抽出することを含み得る。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上の抽出ウェルおよびポンプなどの抽出器機を使用して、汚染された廃水を処理される水面にポンプで送り得る。処理されると、ポンプまたは他の分配システムを使用して、処理された廃水または地下水を地面に再注入するか、さもなければ処理された廃水を環境に再導入し得る。特定の例では、汚染された廃水は、処理前に貯蔵タンクまたは容器に格納され得、場合によっては、本明細書に開示されるプロセスによって生成された処理水は、汚染された廃水に添加、さもなければ混合され得る。
【0039】
1つ以上の態様によれば、汚染された廃水は、約100mg/L~約5000mg/Lの範囲の総溶解固形物(TDS)のレベルを有し得、場合によっては、約200mg/L~約2000mg/Lであるが、これらの値は地理的な場所やその他の要因によって変化し得る。比較の一情報源として、TDSレベルが1000~1500mg/Lの水は飲用可能と見なされ、ある基準では家庭用水供給に500mg/L TDSの制限がある。
【0040】
別の態様によれば、本明細書に開示される方法およびシステムは、汚染された廃水源と接続されるか、さもなければ流体連通し得る。例えば、汚染された廃水は、ポンプで汲み上げられるか、さもなければ、処理のために開示されたシステムに送達され得る。
【0041】
様々な態様によれば、廃水中の難分解性有機汚染物質の濃度は、政府機関によって確立された制限を十分に超える高さである。いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、難分解性有機汚染物質の濃度レベルが低減するように廃水を処理する。場合によっては、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、難分解性有機汚染物質の濃度を、政府の基準またはガイドラインに準拠するレベルまで低減する。一実施形態によれば、難分解性有機汚染物質の濃度は、処理された廃水が環境に再導入され得るレベルまで低減される。例えば、飲料水中の1,4-ジオキサンの濃度に関するEPAの基準は、1μg/L(1ppb)である。本明細書に開示される方法およびシステムは、廃水中に存在し得る実質的にすべての濃度の難分解性有機汚染物質を処理するようにスケーリングし得る。例えば、いくつかの実施形態によれば、廃水中のジオキサンなどの難分解性有機汚染物質の初期濃度は、約5ppb~約800ppbの範囲であり得る。
【0042】
促進酸化処理(AOP)は、廃水から有機物を除去するために使用される一連の処理手順である。数多くの用途の中で、これらのプロセスは、具体的には以下のようなUV光および過酸化水素の使用を含む:
H2O2+ UV → 2・OH
(H2O2のO-O結合のホモリティック結合開裂により、2・OHラジカルの形成に至る)
【0043】
本明細書に開示されるシステムは、化学線反応器、例えばUV反応器を含み得、該UV反応器は、1つ以上の酸化剤(例えば、H2O2、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、または他の過硫酸塩種)を受け取り、該化学線反応器内で処理されている水中の1つ以上の汚染物質の破壊、例えば酸化を促進する。化学線反応器は、容器、および容器内のチューブの第1のアレイを備えることができる。チューブの第1のアレイは、パラレルチューブの第1のセット、およびパラレルチューブの第2のセットを備えることができる。各チューブは、少なくとも1つの紫外線ランプを備えることができ、第1のセットのパラレルチューブはそれぞれ、その長手方向軸が第2のセットのチューブの長手方向軸に対して直交するように位置付けられる。
【0044】
本明細書に開示されるシステムで利用される化学線反応器の例において、処理下における水中の有機化合物は、1つ以上のフリーラジカル種によって二酸化炭素に酸化され得、この二酸化炭素は、1つ以上の川下の単位操作で除去され得る。化学線反応器は、1つ以上の前駆体化合物を1つ以上のフリーラジカル捕捉種、例えば、ヒドロキシルラジカルOHまたは硫酸ラジカルSO 2-に変換する少なくとも1つのフリーラジカル活性化デバイスを備えることができる。化学線反応器は、1つ以上の反応チャンバー内に1つ以上のランプを備えることができ、水に化学線を照射するか、さもなければ提供し、前駆体化合物を1つ以上のフリーラジカル種に分割する。
【0045】
反応器は、チャンバー間の1つ以上のバッフルによって2つのチャンバーに分割することができる。バッフルを使用して、反応器に混合または乱流を提供するか、あるいは混合を防止するか、またはチャンバー内などの反応器の内部を通る層状の平行な流路を促進することができる。ある実施形態において、反応器注入口は第1のチャンバーと流体連通しており、反応器放水口は第2のチャンバーと流体連通している。
【0046】
いくつかの実施形態において、少なくとも3つの反応器チャンバーは、それぞれが約185nm、220nm、および/もしくは254nm、または約185nm~254nmの範囲の光によって、さまざまな電力レベルで各々のチャンバー内の水を照射するように配置された少なくとも1つの紫外線(UV)ランプを有しており、反応器内に直列に配置される。185nmまたは220nmのより短い波長のUV光は、溶解した有機汚染物質を酸化するプロセスで利用されるフリーラジカル前駆体からフリーラジカルを生成するのに十分な光子エネルギーを有するため、これらの波長がAOPプロセスにおいて好ましい場合があることを理解されたい。対照的に、紫外線を利用して微生物を殺すか無能化し得る消毒プロセスは、低圧ランプによって生成される波長254nmの紫外線で効率的に動作し得る。消毒システムであれば、通常、より短い185nmまたは220nmの波長でかなりのUV強度を提供可能な中圧または高圧のより高価なUVランプを利用しないであろう。
【0047】
1つ以上のランプは、反応器内の1つ以上のスリーブまたはチューブ内に置かれることによって、1つ以上の化学線反応器内に位置付けられ得る。チューブは、ランプを所定の位置に保持することができ、反応器内の水からランプを保護する。チューブは、放射(線)が材料を通過することを可能にしつつも、化学線および反応器内の水または水の成分によって実質的に分解されない任意の材料で作成することができる。チューブは、円形の断面積を有し得る。ある実施形態において、チューブは円筒形であり得、その構成材料は石英であり得る。各チューブは、1つ以上の他のチューブと同じまたは異なる形状またはサイズにすることができる。チューブは、様々な構成で反応器内に配置することができ、例えば、スリーブは、反応器の長さまたは幅の一部または全体にわたって延在し得る。チューブはまた、反応器の内部体積の至るところに延在することもできる。
【0048】
市販の石英スリーブは、Enterprise Q(マンチェスター、英国)、Multi-Lab(ニューカッスル・アポン・タイン、英国)、またはGlass Automated Products, Inc.(ハンティントン・ビーチ、カリフォルニア)から入手し得る。選択される石英材料は、特定の波長、またはプロセスで使用されるであろう波長に少なくとも部分的に基づくことができる。石英材料は、1つ以上の波長での紫外線ランプのエネルギー要件を最小化するように選択し得る。石英の組成は、反応器内の水への紫外線の所望のまたは適切な透過率を提供するように、および/または水への紫外線の所望のまたは適切なレベルの透過率を維持するように選択することができる。ある実施形態において、透過率は、所定の期間にわたって少なくとも約50%であり得る。例えば、透過率は、所定の期間にわたって約80%以上になり得る。ある実施形態において、透過率は、約6ヶ月~約1年の間、約80%~90%の範囲であり得る。ある実施形態において、透過率は、最大約2年間、約80%~90%の範囲であり得る。
【0049】
反応器の内容物がスリーブまたはチューブに入らないように、チューブの両端を密封することができる。チューブは、反応器の使用の間中、所定の位置に留まるように、反応器内に固定することができる。ある実施形態において、チューブは反応器の壁に固定されている。チューブは、適切な機械的技術、または物体を互いに固定するための他の従来技術を用いることによって、壁に固定することができる。チューブの固定に用いられる材料は、好ましくは不活性であり、反応器の操作を妨害したり、水の純度に悪影響を及ぼしたり、または汚染物質を水中に放出したりしない。
【0050】
ランプは、それらが互いに平行になるように反応器内に配置することができる。ランプは、反応器内で互いに様々な角度で配置することもできる。例えば、ある実施形態において、ランプは、それらが互いにほぼ直交または垂直になるように、約90度の角度を形成する経路または被覆領域を照明するように配置することができる。ランプは、垂直軸もしくは水平軸、またはそれらの間の任意の軸上で約90度の角度を形成するように、上記の方法で配置することができる。
【0051】
ある実施形態において、反応器は、パラレルチューブの第1のセットおよびパラレルチューブの第2のセットを含む反応器または容器内に、チューブのアレイを備え得る。各チューブは、少なくとも1つの紫外線ランプを含み得、第1のセットのパラレルチューブはそれぞれ、パラレルチューブの第2のセットに対して所望の角度になるように配置することができる。ある実施形態において、上記角度は約90度であり得る。第1のアレイおよび第2のアレイのいずれか一方または両方のチューブは、反応器の内部体積の至るところに延在し得る。第1のセットおよび第2のセットのチューブは、反応器内でほぼ同じ高さに配置することができる。
【0052】
さらなる構成では、反応器内の各々の占有領域または被覆領域で均一なレベルの強度を提供するように配置されるチューブおよび/またはランプを包含することができる。さらなる構成では、その中に1つ以上のランプを備えた等空間的に配置されたチューブを包含することができる。
【0053】
反応器は、反応器または容器内に配置されたチューブの1つ以上のアレイを含有し得る。チューブの第2のアレイは、パラレルチューブの第3のセット、およびパラレルチューブの第3のセットに直交するパラレルチューブの第4のセットを備えることができ、各チューブは、少なくとも1つの紫外線ランプを備えている。パラレルチューブの第4のセットはまた、パラレルチューブの第2のセットおよびパラレルチューブの第1のセットのうちの少なくとも1つに直交することができる。
【0054】
ある実施形態において、反応器または容器内の各アレイは、反応器内において別のアレイから所定の距離または高さに位置付けることができる。2つのアレイのセット間の所定の距離は、同じであっても異なっていてもよい。
【0055】
反応器のサイズは、不純物の少なくとも1つ、通常は有機炭素ベースの不純物を、排出、分解、さもなければ、不活性、イオン化もしくはその他の方法で除去可能な化合物、水から除去し得る1つ以上の化合物、または上記少なくとも1つの不純物と比較してより容易に除去することができる少なくとも1つのものへ変換するために必要な紫外線ランプの数に基づいて決定できる。必要なランプの数は、ランプの強度およびランプによって出射される紫外線のスペクトル波長を含むランプの性能特性に、少なくとも部分的に基づくことができる。必要なランプの数は、注入口の水流中における予想されるTOC濃度または量、および供給流または反応器に添加される酸化剤の量の少なくとも1つに対して、少なくとも部分的に基づくことができる。
【0056】
直列に配置された反応器のセットは、並列に配置することができる。例えば、直列の第1のセットの反応器は、直列の第2のセットの反応器と並列に置かれ得、各セットが3つの反応器を備え、合計6つの反応器となる。各セットの任意の1つ以上の反応器はいつでも稼働し得る。ある実施形態において、すべての反応器が稼働中であり得、他の実施形態においては、1セットの反応器のみが稼働中となる。
【0057】
本明細書に開示される態様および実施形態において利用され得る化学線反応容器の1つの非限定的な例は、図1に、概して100で示されている。反応容器100は、典型的には、注入口110、放水口120、および反応容器100を上部チャンバー125および下部チャンバー130に分割するバッフル115を備える。反応容器100はまた、注入口110を通って導入された水を容器全体に分配するように構成され得るマニホルド105を備えることもできる。ある実施形態において、マニホルド105は、容器全体に水を均一に分配するように構成され得る。例えば、マニホルド105は、該反応器がプラグフロー反応器として作動するように、容器全体に水を均一に分配するように構成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、反応容器は、反応容器を2つ以上のチャンバーに分割するために2つ以上のバッフル115を備え得る。バッフル115を使用して、反応器に混合または乱流を提供することができる。ある実施形態において、図1に示されるように、反応器注入口110は下部チャンバー130と流体連通しており、反応器放水口120は上部チャンバー125と流体連通している。
【0059】
少なくとも3つの反応器チャンバーは、それぞれが約185nm~254nmの範囲の光、または220nmおよび/もしくは254nmの光によって、所望のまたは様々な電力レベルで各々のチャンバー内の水を照射するように配置された少なくとも1つの紫外線(UV)ランプを有しており、リアクター120内に直列に配置される。
【0060】
反応容器はまた、チューブ、例えば、チューブ135a-cおよび140a-c内に位置付けられた複数の紫外線ランプを備えることもできる。一実施形態において、図1に示されるように、反応容器100は、第1のセットのパラレルチューブ、チューブ135a-c、および第2のセットのパラレルチューブ(図示せず)を備える。第1のセットのパラレルチューブの各セットは、第2のセットにほぼ直交して、第1のアレイ145を形成する。チューブ135a-c、および第2のセットのパラレルチューブは、反応容器100において、互いにほぼ同じ高さにある。
【0061】
さらに、反応容器は、第3のセットのパラレルチューブおよび第4のセットのパラレルチューブを備えることができる。第1のセットのパラレルチューブの各セットは、例えば、第2のセットにほぼ直交して、第2のアレイ150を形成する。例示的に示されるように、チューブ140a-c、および第2のセットのパラレルチューブは、反応容器100において、互いにほぼ同じ高さにある。図1に示されるように、第1のアレイ145は、第2のアレイ150から所定の距離に位置付けることができる。容器100は、第3のアレイ155および第4のアレイ160をさらに備えることができ、それぞれは任意で、第1のアレイ140および第2のアレイ145と同様の構成を有する。
【0062】
別の実施形態において、第1のチューブ135bは、第2のチューブ140bに直交して配置され、第1のアレイを形成することができる。さらに、チューブのセット、チューブ165aおよびチューブ165bは、別のセットのチューブ、チューブ170aおよびチューブ170bに直交して配置され、第2のアレイを形成することができる。第2のアレイのランプの位置は、ランプ214、220、222、および224を含めて、図2Aに示されている。第1のアレイおよび第2のアレイのランプの位置は、第1のアレイのランプ226および228、ならびに第2のアレイのランプ214、220、222、および224を含めて、図2Bに示されている。
【0063】
ランプは、寸法、強度、およびランプに送達された電力を含めた、ランプのさまざまな特性に応じてパターンを生成できる。ランプによって生成する光のパターンは、ランプが光を出射する空間の普遍的な体積部(general volume)である。ある実施形態において、光パターンすなわち、照明体積(illumination volume)とは、ランプが化学線を照射するか、さもなければ化学線を提供し、前駆体化合物の1つ以上のフリーラジカル種への分割または変換を可能にする空間の面積または体積として定義される。
【0064】
反応器100の例示的な断面図を示す図2Aおよび図2Bに示されるように、第1のセットのチューブ210a-cは互いに平行に配置され、第2のセットのチューブ212a-cは互いに平行に配置される。示されるように、第1のセットのチューブ210a-cは、第2のセットのチューブ212a-cに対して直交に配置される。ランプ214などのランプは、チューブ210a-cおよび212a-c内に分散配置されており、照射されると、光パターン216を生成することができる。
【0065】
1つ以上の紫外線ランプ、すなわちランプのセットは、照明ベクトル(illumination vector)に平行に投射する化学線として特性付けることができる。照明ベクトルは、1つ以上のランプが化学線を放射する方向として定義され得る。例示的な実施形態において、図2Aに示されるように、ランプ220および222を含む第1のランプのセットは、照明ベクトル218に平行に化学線を投射するように配置される。
【0066】
第1のセットの紫外線ランプは、それぞれが第1の照明ベクトルに平行に化学線を投射するように配置されており、通電され得る。第2のセットの紫外線ランプもまた、それぞれが第2の照明ベクトルに平行に化学線を投射するように配置されており、通電され得る。照明うちの少なくとも1つの方向が、ならびに第1のセットの紫外線ランプおよび第2のセットの紫外線ランプのうちの少なくとも1つのセットの強度が調整され得る。紫外線ランプの各セットは、1つ以上の紫外線ランプを備えることができる。
【0067】
使用または通電されるランプの数、および使用中のランプの構成は、システムの特定の動作条件または要件に基づいて選択できる。例えば、特定のプロセスに使用されるランプの数は、システムの特性または、システムの測定もしくは計算されたパラメータに基づいて選択および制御できる。例えば、注入水または処理水の測定パラメータは、TOC濃度、温度または流量のいずれか1つ以上を含み得る。通電ランプの数は、酸化剤、例えばシステムに追加された過酸化水素の濃度または量に基づいて選択および制御することもできる。例えば、特定の構成における12個のランプは、処理される水の流量が特定のしきい値以下である場合、例としては、公称流量または設計流量(1300gpmなど)の場合に使用でき、一方、処理される水の流量がしきい値を超えた場合は、より多くのランプを使用できる。例えば、流量が1300gpmから、選択されたさらに高いしきい値に増大した場合に、追加のランプが通電され得る。例えば、処理される水の流量が1900gpmに達する場合、24個のランプを使用し得る。したがって、水の流量が、各反応器内においてどのランプにするか、および/または通電されたランプの数についての部分的な決定因子となり得る。
【0068】
ある実施形態において、紫外線ランプは、1つ以上の照明強度レベルで動作させることができる。例えば、複数の照明モード、例えば、薄暗い、定格およびブーストモードといった、低、中または高モードのいずれかで動作するように調整することができる1つ以上のランプを使用することができる。1つ以上のランプの照明強度は、TOC濃度、温度および/または流量を含む、注入水または処理水の測定パラメータなどのシステムの特性または測定もしくは計算されたパラメータに基づいて調整および制御することができる。1つ以上のランプの照明強度は、システムに追加された過酸化水素の濃度または量に基づいて調整および制御することもできる。例えば、1つ以上のランプは、第1のTOC濃度など、システムの測定されたパラメータの所定のしきい値まで、薄暗いモードで使用することができる。1つ以上のランプは、測定または計算されたTOC濃度が、しきい値を超え得る第2のTOC濃度に達するかまたはそれを超える場合、定格モードに調整できる。1つ以上のランプは、測定または計算されたTOC濃度が第2のしきい値に達するかまたはそれを超える場合、ブーストモードに調整することができる。
【0069】
本明細書に開示されるシステムで利用され得る化学線反応器は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、出願人自身のPCT出願番号PCT/US2016/030708にさらに詳細に記載されている。
【0070】
水処理システムの実施形態は、図3に概略的に示され、概して300で示されている。処理される水、例えば、廃水、地下水、高純度水などは、供給源305から導管310に供給される。1つ以上のフリーラジカルに対する1つ以上の前駆体(例えば、水酸化物ラジカルの前駆体であるH、または硫酸ラジカルの前駆体である過硫酸塩)が、フリーラジカル前駆体の供給源320から導管325を介して提供され、供給源305から処理されるべき水と混合される。水/前駆体混合物は、導管330を通ってUV AOP反応器335の注入口に向けられる。処理される水中の汚染物質は、UV AOP反応器335内のUV放射への曝露によって酸化および破壊される。UV AOP反応器335は、使用点345へと向かう精製された流出物または生成水340を出力する。流出物340は、所望の純度を満たすか、または超え得る。本明細書で使用される用語として、化学線反応器を出る流出物または生成水の純度とは、流出物または生成水中の1つ以上の汚染物質の濃度を指す。いくつかの実施形態において、使用点345は、例えば、システムがスイミングプール、ボイラー、または他の水源からの水を処理し、処理された水を同じ水源に戻すために使用される場合は、供給源305となり得る。使用点345は、船上システム、掘削プラットフォームシステム、水生システム(例えば、スイミングプールもしくは噴水)、飲料水システム、または石油掘削システムのダウンホールを含み得る。使用点345は、船もしくは海上プラットフォームの冷却水システム、または船のバラストタンクを含み得る。
【0071】
1つ以上のセンサー315は、1つ以上のパラメータ、例えば、処理される水のいずれか、水/前駆体混合物、および/または精製された流出物340の温度、流量、汚染物質濃度、pH、酸化還元電位(ORP)、全有機炭素(TOC)、溶存酸素および/または水素濃度、純度などを測定し得る。以下でさらに説明するシステムのコントローラは、1つ以上のセンサー315から読み取り値を受け取り、システムの1つ以上の動作パラメータを調整して、所望のレベルのパラメータまたは1つ以上のセンサー315によって読み取られたパラメータを取得し得る。システムの動作パラメータは、例えば、UV AOP反応器で生成されるUV光の強度、UV AOP反応器で処理される水に印加されるUV放射の投与量、処理される水の流量、処理される水へのフリーラジカル前駆体の添加する速度もしくは量、またはシステムの他の動作パラメータを含み得る。
【0072】
様々な追加のポンプまたはバルブをシステム300に含ませ、関与する様々な水溶液の流れを制御し得るが、明確にするために図示されていない。
【0073】
1つ以上の態様に関連し得る1つ以上の実施形態において、本明細書に開示されるシステムおよび技術は、システムの少なくとも1つの単位操作もしくは構成要素またはプロセスストリームの1つ以上の特性もしくは物理的性質の少なくとも1つの動作パラメータ、状態または状況を、調整もしくは調節するか、または、調整もしくは調節を少なくとも容易にする1つ以上のサブシステムを利用し得る。そのような調整および調節する特徴を容易にするために、1つ以上の実施形態は、1つ以上の構成要素またはプロセスのステータス、状態または状況を提供するコントローラおよび指示装置を利用し得る。例えば、少なくとも1つのセンサーを利用して、例えば、供給源305からの水、または電気化学セルもしくはUV AOP反応容器に出入りする水、または1つ以上のその他のダウンストリームプロセスの示強性もしくは示量性の表示を提供し得る。したがって、特に有利な実施形態によれば、システムおよび技術は、例えば、システムの単位操作のいずれかに出入りする水の状態、状況、特性、または品質の表示を提供する、1つ以上のセンサーまたは組成分析器もしくは導電率セルといった他の指示装置を含み得る。
【0074】
本明細書に開示されるシステム300の様々な動作パラメータは、システムの異なる部分に配置された様々なセンサーによって測定された様々なパラメータに基づいて、関連する制御システムまたはコントローラによって制御または調整され得る。コントローラは、処理される水の流量、または処理される水中における1つ以上の汚染物質のレベルのうちの少なくとも1つ以上に基づいて、AOP反応器の上流で処理される水へのフリーラジカル前駆体の導入を調節するようにプログラムまたは構成され得る。
【0075】
コントローラは、AOP反応器に入ってくる処理される水の流量もしくは汚染物質濃度、または、AOP反応器に入ってくる処理される水の温度もしくはpHのいずれか1つ以上に基づいて、AOP反応器の1つ以上の動作パラメータを調節するようにプログラムまたは構成され得る。
【0076】
本明細書に開示されるシステムの様々な要素の動作をモニタリングおよび制御するために使用されるコントローラは、コンピュータ化された制御システムを含み得る。コントローラの様々な態様は、図4に示されるような汎用コンピュータシステム400で実行される特殊なソフトウェアとして実装され得る。コンピュータシステム400は、ディスクドライブ、ソリッドステートメモリ、またはデータを格納するための他のデバイスなどの1つ以上のメモリデバイス404に接続されたプロセッサ402を含み得る。メモリ404は、通常、コンピュータシステム400の動作中にプログラムおよびデータを格納するために用いられる。コンピュータシステム400の構成要素は、相互接続機構406によって結合され得、この相互接続機構は、1つ以上のバス(例えば、同じ機械内に統合された構成要素間)および/またはネットワーク(例えば、個別分離した機械に存在する構成要素間)を含み得る。相互接続機構406によって、通信(例えば、データ、命令)がシステム400のシステム構成要素間で交換可能となる。コンピュータシステム400はまた、1つ以上の入力デバイス408、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、マイクロフォン、タッチスクリーン、および1つ以上の出力デバイス410、例えば、印刷デバイス、ディスプレイスクリーン、および/またはスピーカーも含む。
【0077】
出力デバイス410はまた、フリーラジカル前駆体320の供給源から処理される水の中へフリーラジカル種の前駆体を導入するために、および/または本明細書に開示されるシステムのポンプの速度もしくはバルブの状態(開放もしくは閉鎖)を制御するために利用され得るバルブ、ポンプ、またはスイッチも備え得る。1つ以上のセンサー414もまた、コンピュータシステム400への入力を提供し得る。これらのセンサーは、例えば、圧力センサー、化学濃度センサー、温度センサー、または本明細書に開示されるシステムに関心のある他の任意のパラメータに対するセンサーとなり得る、センサー315を含み得る。これらのセンサーは、例えば、使用点345もしくはAOP反応器335の上流、または供給源305との流体連通において、該センサーが有用となるだろうシステムの任意の部分に配置され得る。さらに、コンピュータシステム400は、相互接続機構406に加えて、またはその代替として、コンピュータシステム400を通信ネットワークに接続する1つ以上のインターフェース(図示せず)を含み得る。
【0078】
図5においてより詳細に示される格納システム412は、典型的には、プロセッサ402によって実行されるプログラムまたは該プログラムによって処理される情報を定義する信号が格納される、コンピュータ可読および書き込み可能な不揮発性記録媒体502を含む。上記媒体は、例えば、ディスクまたはフラッシュメモリを含み得る。典型的には、動作中、プロセッサは、データを不揮発性記録媒体502から別のメモリ504に読み取らせ、媒体502が行うよりもプロセッサによる情報へのより高速なアクセスを可能にする。このメモリ504は、通常、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)などの揮発性のランダムアクセスメモリである。メモリ504は、示されるように、格納システム412、またはメモリシステム404に配置され得る。プロセッサ402は、一般に、集積回路メモリ504内のデータを操作し、次いで、処理が完了した後にデータを媒体502にコピーする。媒体502と集積回路メモリ要素504との間のデータ移動を管理するための様々なメカニズムが知られており、本明細書に開示される態様および実施形態はそれに限定されない。本明細書に開示される態様および実施形態は、特定のメモリシステム404または格納システム412に限定されない。
【0079】
コンピュータシステムは、特別にプログラムされた特別な目的のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。本明細書に開示される態様および実施形態は、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェア、あるいはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。さらに、そのような方法、行為、システム、システム要素、およびそれらの構成要素は、上記のコンピュータシステムの一部として、または独立した構成要素として実装され得る。
【0080】
コンピュータシステム400は、例として、本明細書に開示される様々な態様および実施形態が実践され得るコンピュータシステムの1つのタイプとして示されているが、本明細書に開示される態様および実施形態は、図4に示されるようなコンピュータシステムに実装されることに限定されないことを理解されたい。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、図4に示されるものとは異なるアーキテクチャーまたは構成要素を有する1つ以上のコンピュータ上で実践され得る。
【0081】
コンピュータシステム400は、ハイレベルなコンピュータプログラミング言語を用いてプログラム可能な汎用コンピュータシステムであり得る。コンピュータシステム400はまた、特別にプログラムされた特別な目的のハードウェアをも使用して実装され得る。コンピュータシステム400において、プロセッサ402とは、通常、Intel Corporationから入手可能な周知のPentium(登録商標)またはCore(登録商標)クラスのプロセッサなどの市販のプロセッサである。プログラマブルロジックコントローラを含む他の多くのプロセッサが利用可能である。このようなプロセッサは通常、例えば、Microsoft Corporationから入手可能なWindows7、Windows8、もしくはWindows10オペレーティングシステム、Apple Computerから入手可能なMAC OS システムX、Sun Microsystemsから入手可能なSolarisオペレーティングシステム、またはさまざまなソースから入手可能なUNIXといったオペレーティングシステムを実行する。他の多くのオペレーティングシステムが使用され得る。
【0082】
プロセッサおよびオペレーティングシステムは共に、ハイレベルプログラミング言語のアプリケーションプログラムが書かれるコンピュータプラットフォームを規定する。本発明は、特定のコンピュータシステムプラットフォーム、プロセッサ、オペレーティングシステム、またはネットワークに限定されないことを理解されたい。また、本明細書に開示される態様および実施形態は、特定のプログラミング言語またはコンピュータシステムに限定されないことは、当業者には明らかであるに違いない。さらに、他の適切なプログラミング言語および他の適切なコンピュータシステムも使用できることを理解されたい。
【0083】
コンピュータシステムの1つ以上の部分は、通信ネットワークに結合された1つ以上のコンピュータシステム(図示せず)に分散され得る。これらのコンピュータシステムは、汎用コンピュータシステムでもあり得る。例えば、本発明の様々な態様は、1つ以上のクライアントコンピュータにサービス(例えば、サーバ)を提供するように、または分散システムの一部として全体的なタスクを実行するように構成された1つ以上のコンピュータシステムに分散され得る。例えば、本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、本明細書に開示される様々な態様および実施形態に係る様々な機能を実施する1つ以上のサーバシステム間に分散された構成要素を含むクライアントサーバシステムで実施され得る。これらの構成要素は、通信プロトコル(TCP/IPなど)を用いて通信ネットワーク(インターネットなど)を介して通信する実行可能、中間(ILなど)、または解釈済み(Javaなど)コードであり得る。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム400の1つ以上の構成要素は、例えば、携帯電話ネットワークを含む無線ネットワークを介して、1つ以上の他の構成要素と通信し得る。
【0084】
本明細書に開示される態様および実施形態は、任意の特定のシステムまたはシステムのグループ上で実行することに限定されないことを理解されたい。また、本明細書に開示される態様および実施形態は、任意の特定の分散アーキテクチャー、ネットワーク、または通信プロトコルに限定されないことを理解されたい。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、smallTalk、Java、C++、Ada、またはC#(C-Sharp)などのオブジェクト指向プログラミング言語を使用してプログラムされ得る。他のオブジェクト指向プログラミング言語も使用され得る。あるいは、機能的、スクリプト化、および/または論理プログラミング言語、例えば、ラダーロジックが使用され得る。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、非プログラム環境(例えば、ブラウザプログラムのウィンドウで見たときにグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の態様をレンダリングする、または他の機能を実施するHTML、XMLまたは他のフォーマットで作成された文書)において実装され得る。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、プログラムされた要素もしくはプログラムされていない要素、またはそれらの任意の組み合わせとして実装され得る。
【0085】
本明細書に開示されるようなUV AOP反応器で利用され得るUVランプの例は、図6に、概して600で示されている。UVランプ600は、密封されたランプチューブ605を有する気体放電ランプである。ランプチューブ605は、UV放射に対して透明であるか、または少なくとも部分的に透明である材料、例えば、石英で形成されている。ランプチューブ605は、該ランプチューブ605内の両端に配置された電極(図示せず)によって提供される電流によって励起されると紫外線を出射する気体を含有する。気体は、ネオン、アルゴンおよび/またはキセノンのうちの1つ以上と混合され得る水銀蒸気を含み得る。市販のUVランプは、Alphacure(Northamptonshire、イギリス)、Signify(Philips Lighting、オランダ)、Heraeus Noblelight GmbH(Hanau、ドイツ)、またはLight Sources(LSI、Orange、CT)から入手し得る。
【0086】
ランプチューブ605の両端から延在しているのは、一般に長方形またはI字形の断面を有する石英の部分610である。これら石英の部分610は、ピンチ610と呼ばれる。ピンチ610は、外部電気接続からランプチューブ605内の電極に電流をもたらすための電気伝導体を含む。
【0087】
ピンチ610は、ランプチューブ605に接触するピンチ610の近位端の反対側に位置するピンチ610の遠位端で、ランプチューブ605の向かい側に配置されたエンドキャップ615の中央部分内に取り付けられ、接着剤またはセメント、例えば、セラミック接着剤ペースト(Fortafix、Hartlepolo、UKから入手可能)により固定される。エンドキャップ615は、セラミック材料、例えば、アルミナ(Al)、または主にアルミナおよび1つ以上の他のセラミック材料、例えば、95% Al、CaO(1%)、SiO(2%)、およびMgO(2%)の混合物から形成される。エンドキャップ615は、図6に示されるように、実質的に三角形の断面を有し得、三角形の断面の頂点(端部)が切り取られ、弓状の先端部分615Aによって置き換えられる。弓状の先端部分615Aは、円の部分を画定する外面を有し得る。エンドキャップ615はまた、エンドキャップ615の中央領域から外向きに延在し、弓状の先端部分615Aで終端する3つのローブを含むと考えられ得る。エンドキャップ615の三角形の形状は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,876,359号に開示されるように、UVランプ600を当技術分野で知られている電気コネクタに対して電気的に接続することを容易にし得る。他の実施形態において、エンドキャップ615は、円形または、エンドキャップ615が所望の形状を有する石英チューブ内にフィットするようにする任意の他の形状であり得る。弓状の先端部分615Aの外面は、ランプチューブ605が配置されるべき石英チューブの内壁の曲率に調和するように、カーブされ得る。つまり、エンドキャップ615は、石英チューブの内面に一致するように輪郭が形成された外周面の部分を有するものと考えてよい。
【0088】
エンドキャップ615は、それらの周囲に外接する熱伝導性バイアス要素、例えば、ばね620(iConn Engineering、カリフォルニア州ハンティントン・ビーチから市販されている)を含み得る。本明細書で使用される用語として、「バイアス(する)」とは、石英チューブ内のエンドキャップおよびランプチューブ605の支持(する)/位置付け(する)を指す。熱伝導性バイアス要素はまた、エンドキャップ615から石英チューブへ伝導熱を提供し得、および石英チューブ内のランプチューブ605に対して振動減衰を提供し得る。いくつかの実施形態において、ばね620は、エンドキャップ615の周辺部分の表面に画定された窪み625内に配置され得る。ばね620は、エンドキャップ615の周辺部分の表面に対して例えば約70°の角度で傾斜したコイルで形成され、ラジアル荷重下での圧縮を可能にし、設置を支援、および振動を低減させ得る。ばね620は、金属、例えば、ステンレス鋼で形成され得る。ばね620は、ランプと、ランプが設置され得る石英チューブとの間の良好な接触を提供し得、ランプチューブ605からピンチ610およびエンドキャップ615を通って石英チューブへ熱伝達するための高い熱伝導経路を提供する。エンドキャップの材料は、約15~25W/m・Kの熱伝導率であり得、一方、セラミック接着剤の熱伝導率は約1.5W/m・Kで、ばねの熱伝導率は約15W/m・Kであり得る。図7は、断面図および端面図の両方で、UVランプが石英チューブ700内にどのように位置付けられ得るのかを示しており、ランプチューブ605が石英チューブ700内において同軸に中心に置かれ、石英チューブ700の中心軸と平行または重なっている中心軸を有している。石英チューブ700は、使用中、UV反応器で処理中の水に沈められてもよく、ランプアセンブリのヒートシンクとして機能したり、ランプアセンブリを冷却するのを助けたりする処理中の水に熱を伝達し得る。
【0089】
スロット630は、エンドキャップ615の外面、例えば、図6に示されるように、エンドキャップ615の一方または両方の弓状の先端部分615Aの1つに画定され得る。電気伝導体635、例えば、ランプ600の一端に電流を供給するために使用される金属棒は、スロット630内に配置された部分を有し得る。該伝導体635の一部は、ばね620によってスロット630に保持され得る。スロット630は、例えば、温度の変化により、伝導体635が膨張し、わずかに移動することを提供し得、それにより、伝導体635が代わりにエンドキャップ615に固定された場合、エンドキャップ615に印加される可能性のある応力を低減する。ランプチューブ605への電気接続は、明確にするために、本明細書に提示された図からは省略されていることを理解されたい。
【0090】
いくつかの実施形態において、既存のUV AOPシステムは、例えば、図6および図7に示されるように、本明細書に開示されるようなUVランプを含むように修正またはアップグレードされ得る。システムの信頼性を高めるためにUV AOPシステムセルを改造する方法は、本明細書で開示されているような1つ以上のUVランプをUV AOPに設置することを含み得る。
【実施例
【0091】
[振動試験]
本明細書に開示されるように構成されたランプ(例えば、図6および7に示されるように)が、円形のエンドキャップを有し、エンドキャップに外接するばねを含まない標準的なランプと比較して、印加された振動にどのように応答するかを評価するための試験を実施した。試験の設定を図8に示す。各ランプは、振動テーブルにボルトで固定されたUV反応器のハウジングに取り付けられ、6回試験された、すなわち、3つの方向(x、y、およびz軸)に対して、2時間の低レベルの振動の後に繰り返された。図9A図9Cは、各々、X、YおよびZ軸における標準ランプの振動試験の結果を示している。図9A図9Cのチャートにおいて、Y軸は記録されたg力を表し、X軸は印加された振動周波数を表す。最初の掃引と2時間の掃引との間でほとんど変化はなく、このことは、設置後にランプが動かない、または、「沈まない(not settle)」ことを示している。振動周波数の大きい領域でのコントロールの外側にランプ共振の有意なピークがある、そこで、ランプに対するほとんどの損傷が加えられていると予想される。
【0092】
図10A図10Cは、各々、X、YおよびZ軸において本明細書に開示されるように構成された、改良されたランプの振動試験の結果を示す。最初の掃引と2時間の掃引の間でほとんど変化はなく、このことは、設置後にランプが動かない、または、「沈まない」ことを示している。共振のピークは未だ存在するが、そのピークはより低い領域であり、一般に、ランプの振動はコントロールと極めて厳密に調和する。本明細書に開示されるように構成されたランプは、コントロールに対してより厳密に調和する低減された共振の度合いおよび周波数掃引応答によって示されるように、標準的なランプと比較して、外部ソースからの振動の印加に応答してより低いレベルの振動を示すことが見出された。
【0093】
図9A図10Cのグラフは、印加された振動に対する試験設定の様々な点の応答を示している。コントロールを表す線は、振動床(vibration bed)の固定点からのものであるため、本質的に、適用されている周波数掃引を示している。チャンバーの振動を表す線は、Z(垂直)方向では床に対して類似の応答を示すが、XまたはY方向の場合は独自の応答を示す。チャンバー内に収容されたランプから直接測定された振動を表す線は、ランプ共振のピークを示している。ランプはより低い周波数の振動に対してより耐性があり、新しいランプで見られた共振ピークは、一般的に低いg力レベルであった。
【0094】
[ピンチ温度試験]
標準ランプで観察された1つの故障様式は、ピンチの破損であった。この故障様式は、ピンチの熱サイクルおよびそれに関連する誘発応力によるものであると理論付けられた。UVランプは1000℃の高温でも動作し得るため、オンまたはオフ時にピンチに大きな熱誘導応力を引き起こし得る。本明細書に開示されるように構成されたUVランプ(例えば、図6および図7に示される)が、標準のUVランプと比較して、ピンチで観察される温度の変動を低減するのに有用であるかどうかを決定するための試験を実施した。
【0095】
図11Aは、以前に利用された、石英チューブ内の標準的なUVランプの取り付け構成の一例を示している。この取り付け構成では、電気入力に最も近いエンドキャップが石英チューブ内に吊り下げられ、石英チューブに接触していなかった。電気入力の反対側のエンドキャップは、石英チューブの片側に接触していた。図11Bは、電気入力に最も近いエンドキャップに取り付けられた「近いピンチ」および電気入力の反対側のエンドキャップに取り付けられた「遠いピンチ」について、石英チューブが約12℃の温度を有する水中に沈められたときの、ランプをオンにした後の30分間にわたる温度の変化を示している。これらの結果は、近いピンチと遠いピンチとの間におよそ50℃の温度差があり、近いピンチは340℃で動作し、遠いピンチはランプがオンになった後に温度が安定した後290℃で動作することを示した。特定の理論に拘束されることなく、これは、図11Aに示されるように、近端が空気中に浮遊しているのに対し、遠端はより低温の石英スリーブと直接接触しているためであると考えられる。
【0096】
標準のUVランプの代替の取り付け構成が、図12Aに示されている。この構成では、電気入力に最も近いエンドキャップおよび電気入力の反対側のエンドキャップ(それぞれ「近いピンチ」および「遠いピンチ」を含む)の両方が石英チューブの片側に接触していた。明確にするために、ランプチューブへの電気接続はこの図から省略されている。図12Bは、図12Aの取り付け構成における「近いピンチ」および「遠いピンチ」について、石英チューブが約12℃の温度を有する水中に沈められたときの、ランプをオンにした後の30分間にわたる温度の変化を示している。このデータは、両端がスリーブに接触している場合、前のテストと比較して、観察される全体的な温度が低下しており(近端で270℃、遠端で240℃)、近端で約75℃低下、および遠端で約25℃低下していることを示している。また、近端と遠端との差も少なくなる(50℃ではなく20℃)。
【0097】
さらなる試験において、本明細書に開示されるように構成されたランプは、上記の図7に示されるように石英チューブ内に取り付けられた。図13は、図7の取り付け構成における「近いピンチ」および「遠いピンチ」について、石英チューブが約12℃の温度を有する水中に沈められたときの、ランプをオンにした後の30分間にわたる温度の変化を示している。図13のグラフの最初のバンプは、ランプが誤って停止および再起動されたためである。図13は、本明細書に開示されるように構成されたランプを用いて、ランプチューブの両端のピンチが作動温度に関して非常に類似した結果を示し、両方とも上限約255℃で動作し、試験された取り付け構成のいずれかにおいて標準ランプよりも有意に低温で均一であった。
【0098】
[温度および応力プロファイルの有限要素解析]
本明細書に開示されているように構成されたランプ(例えば、図6および図7に示されている)で行われた設計変更が、標準のUVランプと比較して温度および応力プロファイルで改善されたことを実証するために、有限要素解析(FEA)を使用して標準ランプおよび本明細書に開示されるように構成されたランプの温度および応力モデルを作成した。FEAは、モデルが実際の結果の代表的なものであることを確実にするために、インハウスのピンチ温度試験によって情報を与えられた。
【0099】
図14Aは、標準ランプに対するFEAの温度および応力解析の結果を示している。図14Bは、本明細書に開示されるように構成されたランプに対するFEAの温度および応力解析の結果を示している。温度解析は実際のデータと非常によく一致しており、モデルが正確であることを示している。温度解析の結果は、本明細書に開示されているように構成されたランプのピンチでの良好な温度低下を示しており、これもまた実際のデータと一致している。応力解析では、標準ランプのピンチ(特に故障の大部分が見られる近い側)で高レベルの応力を示した。特定の理論に縛られることなく、これはピンチを引っ張るセラミックの膨張によって引き起こされると考えられる。確認されたその応力は、ピンチの石英の引張降伏応力を大幅に上回っている。本明細書に開示されるように構成されたランプにおいて、応力は大幅に低減され、ピンチの引張降伏応力を超えない。本明細書に開示されるように構成されたランプの温度および応力分布は、ランプの一端から他端まで実質的に対称であり、一方、標準UVランプは、他端と比較して、一端で実質的により高い温度および応力を示す。
【0100】
[点灯(strike)サイクル試験]
最悪事例/加速寿命試験を実施するために、図6および図7に示されるような2つのランプを、20分間オン、10分間オフ、と100時間動作させた。これは、およそ1年間の運転(1日1回の点灯)に相当する。
【0101】
試験を開始する前に、各ランプの起動電流、動作電流、および動作電圧を検出した。発生したどのような変更をも理解するために、上記を試験の最後に繰り返した。試験中、起動電流をモニタリングした。試験の終わりで、ランプパラメータはまだ特性許容範囲内にあり、両方のランプはまだ正常に動作していた。
【0102】
試験後、ランプに摩耗/損傷の兆候がないか目視検査を行った。両方のランプは、おそらく電極のスパッタリングが原因で、黒色の端部の兆候を示した(電極のタングステンコーティングが失われ、石英スリーブに凝縮)。これは、寿命が尽きたランプではごく普通のことであり、頻繁な点灯によって悪化する。これが、本試験の実行方法である。それ以外の点では、ランプは良好な状態に見え、以前の故障様式(ピンチ破損など)は特定できなかった。
【0103】
本試験により、開示されたランプ設計は高レベルの信頼性を示すことが示唆された。
【0104】
本明細書で使用されている表現法および用語は、説明を目的としたものであり、限定的なものと見なされるべきではない。本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2つ以上の項目または構成要素を指す。「含む、備える(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、および「包含する(involving)」という用語は、書面による説明またはクレームなどのいずれにおいても、自由形式の用語であり、すなわち、「含むがこれらに限定されない」の意である。したがって、そのような用語の使用は、その後にリストされた項目、およびその同等物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。クレームに関して、「からなる(consisting of)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」という移行フレーズのみが、各々、閉じられたまたは半分閉じられた移行フレーズである。クレーム要素を修飾するためのクレームにおける「第1」、「第2」、「第3」などの序数用語の使用は、それ自体では、あるクレーム要素の別の要素に対する優先順位、有意性、順序、またはある方法の行為が実施される時間的な順序を意味するものではなく、クレーム要素を区別する目的で、特定の名前を有する1つのクレーム要素を、同じ名前を有する別の要素から区別するための単なるラベルとしてのみ使用される(ただし、序数用語の使用に対して)。
【0105】
以上のように少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明したことから、様々な変更、修正および改善が当業者に容易に生じることが理解されるべきである。任意の実施形態で説明される任意の特徴は、任意の他の実施形態の任意の特徴に含まれるか、またはそれらの代替になり得る。そのような変更、修正および改善は、本開示の一部であることが意図されており、本発明の範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の説明および図面は、単なる例にすぎない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B