(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】シリンジのための投薬クリップ組立体
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240318BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
A61F9/007 130E
A61M5/315 500
(21)【出願番号】P 2022521428
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 IB2020000836
(87)【国際公開番号】W WO2021069968
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-09-29
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520404610
【氏名又は名称】ジャイロスコープ・セラピューティクス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・トーマス・イー
(72)【発明者】
【氏名】シーベル・トニー・シー
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト・ジェイコブ・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ハッチェンズ・ダニエル・シー
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527406(JP,A)
【文献】国際公開第2018/085768(WO,A2)
【文献】特開2009-279272(JP,A)
【文献】国際公開第2009/119787(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)シリンジバレルの一部を受容するように構成された第1の部材であって、前記第1の部材は、プランジャの一部に係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの長手方向移動を阻止するように構成された第1の停止面を含む、第1の部材と、
(b)前記第1の部材と連結された第2の部材であって、前記第2の部材は、前記プランジャの前記一部に係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの長手方向移動を阻止するように構成された第2の停止面を含み、前記第2の停止面は、前記第1の停止面から離間している、第2の部材と、
を含み、
前記第2の部材は、第1の位置から第2の位置まで前記第1の部材に対して移動するように動作可能であり、前記第2の部材は、前記第1の位置および前記第2の位置のどちらにある間も、前記第1の部材と連結されたままであるように構成され、
前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記プランジャの前記一部に係合するように位置付けられ、前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記プランジャの前記一部が前記第1の停止面に到達するのを妨げるようにさらに構成され、
前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第2の位置にあるときに前記プランジャの前記一部が前記第1の停止面に到達するのを妨げないように位置付けられ、
前記第2の部材は、キャッチをさらに含み、前記第2の部材は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、前記キャッチと前記第2の停止面との間に前記プランジャの前記一部を捕捉するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第1の部材は、
(i)細長い本体部分と、
(ii)前記細長い本体部分に対して横断方向に延びる柄部分と、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記細長い本体部分は、前記シリンジバレルを受容するように構成された凹部を画定する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記細長い本体部分は、前記シリンジバレルとのスナップ嵌めを提供するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記柄部分は、前記シリンジバレルのフィンガーフランジを受容するように構成されたスロットを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記柄部分は、前記柄部分から上方に延びるプランジャ停止部分を含み、前記細長い本体部分は、前記柄部分から下方に延び、前記プランジャ停止部分は、前記第1の停止面を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の停止面は、前記シリンジバレルに対する前記プランジャの遠位長手方向移動を阻止するように構成され、前記第2の停止面は、前記シリンジバレルに対する前記プランジャの遠位長手方向移動を阻止するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の部材は、前記第1の部材と枢動可能に連結され、前記第2の部材は、前記第1の位置から前記第2の位置まで前記第1の部材に対して枢動するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
ピンをさらに含み、前記ピンは、前記第2の部材を前記第1の部材と枢動可能に連結する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の部材は、前記シリンジバレルの前記一部を長手方向軸に沿って方向付けるように構成され、前記第2の部材は、前記第1の位置から前記第2の位置まで枢動軸を中心として前記第1の部材に対して枢動するように動作可能であり、前記枢動軸は、前記長手方向軸に平行である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の停止面および前記第2の停止面は、前記プランジャのサムフランジに係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの長手方向移動を阻止するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、前記第1の停止面に対して近位に位置付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、約1mm~約7mmの距離だけ、前記第1の停止面に対して近位に位置付けられている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第
2の位置にあるときに、前記第1の停止面に対して横方向に位置付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記キャッチは、下面を含み、前記下面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記プランジャのフィンガーフランジの上面に当接するように構成され、前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記フィンガーフランジの下面に当接するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
シリンジをさらに含み、前記シリンジは、
(i)前記第1の部材と連結されたバレルと、
(ii)前記バレル内にスライド可能に配されたプランジャと、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
送達器具をさらに含み、前記送達器具は、
(i)患者の眼の脈絡膜と強膜との間に適合するように構成された可撓性カニューレと、
(ii)前記カニューレ内にスライド可能に配され、前記シリンジの前記バレルと流体連通する内腔を画定する針と、
を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記キャッチは、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、前記シリンジバレルに対する前記プランジャの近位長手方向移動を妨げるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔背景〕
人間の眼はいくつかの層を含む。外側の白い層は強膜で、脈絡膜層を取り囲んでいる。網膜は、脈絡膜層の内部にある。強膜は、コラーゲンおよび弾性線維を含み、脈絡膜および網膜に保護をもたらす。脈絡膜層は、網膜に酸素および栄養を供給する脈管構造を含む。網膜は、桿体および錐体を含む感光性組織を含む。黄斑は、眼の後ろで網膜の中心に位置し、一般に眼の水晶体と角膜の中心を通る軸(すなわち、視軸)上に中心がある。黄斑は、特に錐体細胞を通じて、中心視を提供する。
【0002】
黄斑変性は、黄斑に影響を及ぼす健康状態であり、黄斑変性に罹患している人々は、ある程度の周辺視を維持しながら、中心視の喪失または低下を経験することがある。黄斑変性は、加齢(「AMD」としても知られる)および遺伝などの様々な要因によって引き起こされる可能性がある。黄斑変性は、ドルーゼンとして知られる細胞残屑が網膜と脈絡膜との間に蓄積し、地図状萎縮のエリアをもたらす、「ドライ型」(非滲出型)の形態で発症する場合がある。黄斑変性は、網膜の裏側の脈絡膜から血管が増殖する「ウェット型」(滲出型)の形態で発症する場合もある。黄斑変性がある人は、ある程度の周辺視を維持しているかもしれないが、中心視の喪失は、生活の質に著しい悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、残りの周辺視の質が低下することがあり、場合によっては同様に消失し得る。したがって、黄斑変性によって引き起こされる視力喪失を予防または回復させるために、黄斑変性の治療を提供することが望ましい場合がある。場合によっては、黄斑付近の地図状萎縮のエリアに直接隣接する網膜下層(網膜の感覚神経層の下、かつ網膜色素上皮の上)に治療物質を送達することなどによって、高度に局在化した様式でこのような治療を提供することが望ましいことがある。しかし、黄斑は、眼の後ろかつ網膜の繊細な層の下にあるので、黄斑に実際的な様式でアクセスするのは難しい場合がある。
【0003】
様々な外科的方法および器具が、眼を治療するために作られ、使用されてきたが、本発明者らより前に、添付の特許請求の範囲に記載された発明を製造または使用した者はいないと考えられる。
【0004】
本明細書は、このテクノロジーを具体的に指摘し明確に主張する特許請求の範囲で締めくくられるが、このテクノロジーは、添付の図面に関連して理解される特定の実施例の以下の説明からよりよく理解されると考えられる。添付の図面では、同様の参照符号は、同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】脈絡膜上アプローチからの治療薬の網膜下投与のための器具の一例の斜視図を描いたものである。
【
図2A】
図1の器具のカニューレの遠位端部の斜視図を描いたものであり、針がカニューレ内に後退されている。
【
図2B】
図2Aのカニューレの遠位端部の斜視図を描いたものであり、針がカニューレから延びている。
【
図3】他の設備と組み合わせて、患者の近くに装着された、
図1の器具の斜視図を描いたものである。
【
図4A】患者の眼の断面側面図を描いたものである。
【
図4B】
図4Aの眼の断面側面図を描いたものであり、縫合糸ループが眼に取り付けられ、強膜切開術が実施されている。
【
図4C】
図4Aの眼の断面側面図を描いたものであり、
図2Aのカニューレが、強膜切開開口部を通して、眼の強膜と脈絡膜との間に挿入されている。
【
図4D】
図4Aの眼の断面側面図を描いたものであり、カニューレの遠位端部が標的場所に隣接して位置付けられている。
【
図4E】
図4Aの眼の断面側面図を描いたものであり、
図2Bの針が、標的場所で網膜下腔にアクセスするために脈絡膜を通って前進している。
【
図4F】
図4Aの眼の断面側面図を描いたものであり、
図2Bの針が、標的場所で網膜の領域と脈絡膜との間の分離を提供するために、第1の体積の先頭のブレブ流体を分配している。
【
図4G】
図4Aの眼の断面側面図を描いたものであり、
図2Bの針が、標的場所で網膜の領域と脈絡膜との間に治療薬を分配している。
【
図5】シリンジと共に使用するための投薬クリップ組立体の一例の斜視図を描いたものである。
【
図6】
図5の投薬クリップ組立体の別の斜視図を描いたものである。
【
図7】
図5の投薬クリップ組立体の分解組立斜視図を描いたものである。
【
図8】
図5の投薬クリップ組立体の下方部材の斜視図を描いたものである。
【
図9】
図8の下方部材の別の斜視図を描いたものである。
【
図10】
図5の投薬クリップ組立体の上方部材の斜視図を描いたものである。
【
図12A】
図5の投薬クリップ組立体の平面図を描いたものであり、上方部材が、下方部材に対して第1の枢動位置にある。
【
図12B】
図5の投薬クリップ組立体の平面図を描いたものであり、上方部材が、下方部材に対して第2の枢動位置にある。
【
図13】
図5の線13-13に沿った、
図5の投薬クリップ組立体の断面図を描いたものである。
【
図14A】
図5の投薬クリップ組立体、およびシリンジの斜視図を描いたものであり、シリンジが投薬クリップ組立体から分離され、シリンジが流体源と連結されている。
【
図14B】
図5の投薬クリップ組立体および
図14Aのシリンジの斜視図を描いたものであり、シリンジが投薬クリップ組立体から分離され、シリンジが流体源から流体を引き出している。
【
図14C】
図5の投薬クリップ組立体および
図14Aのシリンジの斜視図を描いたものであり、シリンジが、
図14Bの引き出された流体を保持しながら投薬クリップ組立体と連結され、投薬クリップ組立体の上方部材が、投薬クリップ組立体の下方部材に対して第2の枢動位置にある。
【
図14D】
図5の投薬クリップ組立体および
図14Aのシリンジの斜視図を描いたものであり、シリンジが、
図14Bの引き出された流体を保持しながら投薬クリップ組立体と連結され、投薬クリップ組立体の上方部材が、投薬クリップ組立体の下方部材に対して第1の枢動位置にあり、シリンジが
図1の器具と連結されている。
【
図14E】
図5の投薬クリップ組立体および
図14Aのシリンジの斜視図を描いたものであり、シリンジが投薬クリップ組立体と連結され、投薬クリップ組立体の上方部材が、投薬クリップ組立体の下方部材に対して第1の枢動位置にあり、シリンジが
図1の器具と連結され、シリンジのプランジャがシリンジのバレルに対して第1の長手方向位置に前進している。
【
図14F】
図5の投薬クリップ組立体および
図14Aのシリンジの斜視図を描いたものであり、シリンジが投薬クリップ組立体と連結され、投薬クリップ組立体の上方部材が、投薬クリップ組立体の下方部材に対して第2の枢動位置にあり、シリンジが
図1の器具と連結され、シリンジのプランジャがシリンジのバレルに対して第1の長手方向位置に残っている。
【
図14G】
図5の投薬クリップ組立体および
図14Aのシリンジの斜視図を描いたものであり、シリンジが投薬クリップ組立体と連結され、投薬クリップ組立体の上方部材が、投薬クリップ組立体の下方部材に対して第2の枢動位置にあり、シリンジが
図1の器具と連結され、シリンジのプランジャがシリンジのバレルに対して第2の長手方向位置に残っている。
【0006】
図面は、いかなる方法によっても限定することを意図したものではなく、このテクノロジーの様々な実施形態は、図面に必ずしも描かれていないものを含めて、様々な他の方法で実施され得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本テクノロジーのいくつかの態様を図示し、説明と共に、テクノロジーの原理を説明する役割を果たす。しかしながら、このテクノロジーは、示された正確な構造に限定されないことが理解される。
【0007】
〔詳細な説明〕
本テクノロジーの特定の実施例に関する以下の説明は、その範囲を限定するために使用すべきではない。本テクノロジーの他の実施例、特徴、態様、実施形態、および利点は、実例として本テクノロジーを実施するために企図される最良の態様の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本明細書に記載されるテクノロジーは、本テクノロジーから逸脱することなく、他の異なる明白な態様が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0008】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上は、本明細書に記載される、その他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上と組み合わせられ得ることが、さらに理解される。したがって、以下に記載する教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して分離して見るべきではない。本明細書の教示が組み合わせられ得る様々な適切な方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には容易に明らかであろう。そのような改変および変形は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0009】
開示を明確にするために、用語「近位」および「遠位」は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を把持する外科医または他のオペレータに関して本明細書で定義される。用語「近位」は、外科医または他のオペレータにより近い要素の位置を指し、用語「遠位」は、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、外科医または他のオペレータからさらに離れた要素の位置を指す。
【0010】
I.治療薬の網膜下投与のための器具
図1は、脈絡膜上アプローチから患者の眼に治療薬を網膜下投与するための処置において使用されるように構成された器具(100)の実施例を示す。器具(100)は、本体(110)と、本体(110)から遠位に延びる可撓性カニューレ(130)と、を含む。本実施例のカニューレ(130)は、概ね矩形の断面を有するが、任意の他の適切な断面外形(例えば、楕円形など)を使用することができる。カニューレ(130)の断面外形は、以下でさらに詳細に説明するように、カニューレ(130)が上脈絡膜腔に沿って非外傷的に進むことを可能にするように構成される。カニューレ(130)は、一般に、以下でさらに詳細に説明するように、カニューレ(130)内でスライド可能な針(150)を支持するように構成される。
【0011】
本実施例では、カニューレ(130)は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)などの可撓性材料を含む。もちろん、任意の他の適切な材料または材料の組み合わせを使用することができる。また、本実施例では、カニューレ(130)は、約1.6mm(幅)×約0.6mm(高さ)の断面外形寸法を有し、長さが約80mmである。代替的に、任意の他の適切な寸法を使用することができる。本実施例のカニューレ(130)は、患者の眼の特定の構造および輪郭に適合するのに十分に可撓性であるが、カニューレ(130)は、患者の眼の強膜と脈絡膜との間でカニューレ(130)を座屈させることなく前進させるのに十分な柱強度を有する。
図2A~
図2Bで最もよく分かるように、カニューレ(130)は、カニューレ(130)の遠位端部(132)に、横断方向に向けられた開口部(134)を含む。遠位端部(132)は、以下でさらに詳細に説明するように、遠位端部(132)が強膜層と脈絡膜層との間に分離を提供するように構成されるように非外傷性であり、それによって、強膜層または脈絡膜層に外傷を与えずに、カニューレ(130)をそのような層の間で前進させることを可能にする。
【0012】
ほんの一例として、カニューレ(130)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月13日に公開され、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願公開第2015/0223977号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月21日に公開され、「Apparatus and Method to From Entry Bleb for Subretinal Delivery of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願公開第2017/0360607号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月21日に公開され、「Injection Device for Subretinal Delivery of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願公開第2017/0360606号、の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。
【0013】
図2Bに示すように、針(150)は、開口部(134)から突出するように遠位に前進され得る。本実施例の針(150)は、鋭い遠位先端部(152)を有し、内腔(不図示)を画定する。本実施例の遠位先端部(152)はランセット構成を有する。いくつかの他のバージョンでは、遠位先端部(152)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月13日に公開され、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願公開第2015/0223977号に記載されているような、トリベベル構成(tri-bevel configuration)または任意の他の構成を有する。遠位先端部(152)がとり得る、さらに他の適切な形態は、本明細書の教示を考慮すると当業者には明らかであろう。
【0014】
本実施例の針(150)は、以下でさらに詳細に説明するように、流体を送達し吸引するようなサイズであると共に、針(150)が患者の眼の組織構造を貫通するときに偶発的な外傷を最小限にするのに十分に小さい、ステンレス鋼皮下針を含む。本実施例ではステンレス鋼が使用されているが、ニチノールなどを含むがこれらに限定されない任意の他の適切な材料を使用することができる。
【0015】
ほんの一例として、針(150)は、内径100μmの35ゲージであってよいが、他の適切なサイズを使用してもよい。例えば、針(150)の外径は、27ゲージ~45ゲージの範囲内;または、さらに具体的には、30ゲージ~42ゲージの範囲内;または、さらに具体的には、32ゲージ~39ゲージの範囲内であってよい。別の単に例示的な実施例として、針(150)の内径は、約50μm~約200μmの範囲内;または、さらに具体的には、約50μm~約150μmの範囲内;または、さらに具体的には、約75μm~約125μmの範囲内であってよい。
【0016】
いくつかのバージョンでは、針ガイド(不図示)がカニューレ(130)内に配されて、針(150)が開口部(134)を通って出るときに針(150)を所定の角度に沿ってガイドする。ほんの一例として、針(150)の出口角は、カニューレ(130)の長手方向軸に対して約5°~約30°の範囲内;または、より具体的には、カニューレ(130)の長手方向軸に対して約5°~約20°の範囲内;または、より具体的には、カニューレ(130)の長手方向軸に対して約5°~約10°の範囲内;または、より具体的には、カニューレ(130)の長手方向軸に対して約7°および約9°の範囲内であってよい。カニューレ(130)内に針ガイドを提供することに加えて、またはその代わりに、針(150)は、曲がった構成をとるように弾性的に付勢され、それによって、針(130)がカニューレ(130)に対して遠位に前進する程度に基づいて変化する出口角を提供することができる。ほんの一例として、針(150)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月14日に公開され、「Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent via a Curved Needle」と題された米国特許出願公開第2017/0258988号の教示の少なくとも一部に従って予め形成された湾曲部を含むことができる。
【0017】
本実施例では、カニューレ(130)のほぼ矩形、ほぼ楕円形、または別様にほぼ平坦な断面外形は、以下でさらに詳細に説明するように、カニューレ(130)が上脈絡膜腔に配されるときにカニューレ(130)がカニューレ(130)の長手方向軸を中心として回転することを防止する。これは、開口部(134)の一貫した予測可能な向きを提供し、それによって、以下でさらに詳細に説明するように、針(150)がカニューレ(130)に対して遠位に前進するときに、針(150)のための一貫した予測可能な出口経路を提供する。
【0018】
図1に示すように、本実施例の器具(100)は、本体(110)の上部(114)に位置する作動ノブ(120)をさらに含む。作動ノブ(120)は、本体(110)に対して回転可能であり、それによって針(150)をカニューレ(130)に対して長手方向に選択的に並進運動させる。特に、作動ノブ(120)は、カニューレ(130)に対して遠位に針(150)を駆動するために第1の角度方向に回転可能であり;カニューレ(130)に対して近位に針(150)を駆動するために第2の角度方向に回転可能である。ほんの一例として、器具(100)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0360606号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0360607号の教示の少なくとも一部に従って、ノブ(120)を通してそのような機能性を提供することができる。ノブ(120)の回転運動が針(150)の線形並進運動に変換され得る他の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると当業者には明らかであろう。同様に、針(150)がカニューレ(130)に対して長手方向に作動され得る(150)他の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると当業者には明らかであろう。
【0019】
やはり
図1に示すように、導管組立体(140)が、本体(110)から近位に延びる。導管組立体(140)は、針(150)と流体連通している1つ以上の流体導管(不図示)を収容するように構成されている。このような流体導管は、1つ以上の可撓性チューブなどを含むことができる。いくつかのバージョンでは、導管組立体(140)は1つ以上のワイヤも収容する。ほんの一例として、このようなワイヤは、本体(110)内の1つ以上のセンサから、器具(100)から離れたプロセッサへの、データ信号の通信を提供することができる。このような構成および操作性は、開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0360606号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0360607号の教示の少なくとも一部に従って実施することができる。さらにほんの一例として、このようなワイヤは、本体(110)内の1つ以上の電動構成要素に電力の通信を提供することができる。電力および/または信号が、導管組立体(140)内の1つ以上のワイヤおよび本体(110)内の1つ以上の電気的に関連付けられた構成要素を通じて実装され得る、様々な適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると、当業者には明らかであろう。代替的に、導管組立体(140)のいくつかのバージョンは、ワイヤを全く欠いていてもよく;本体(110)は、センサ、電動構成要素などを欠いていてもよい。
【0020】
器具(100)の特徴および操作性は、多くの方法で変化させることができる。加えて、器具(100)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月13日に公開され、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願公開第2015/0223977号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年12月10日に公開され、「Therapeutic Agent Delivery Device with Convergent Lumen」と題された米国特許出願公開第2015/0351958号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年12月10日に公開され、「Sub-Retinal Tangential Needle Catheter Guide and Introducer」と題された米国特許出願公開第2015/0351959号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月17日に公開され、「Method and Apparatus for Sensing Position Between Layers of an Eye」と題された米国特許出願公開第2016/0074212号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月17日に公開され、「Motorized Suprachoroidal Injection of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願公開第2016/0074217号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月17日に公開され、「Therapeutic Agent Delivery Device with Advanceable Cannula and Needle」と題された米国特許出願公開第2016/0074211号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月24日に公開され、「Therapeutic Agent Delivery Device」と題された米国特許出願公開第2016/0081849号、の教示の少なくとも一部に従って改変され得る。他の適切な改変は、本明細書の教示を考慮すると当業者には明らかであろう。
【0021】
II.脈絡膜上アプローチから網膜下腔に治療薬を送達するための処置
図3は、器具(100)が患者に対して位置付けられるシナリオを示す。この実施例では、ドレープ(12)が患者の上に配され、開口部(18)が患者の眼(301)の近くでドレープ(12)に形成されている。検鏡(16)が、眼(301)を開いた状態に保つために使用される。固定具(14)が、眼(301)に隣接して位置付けられる。固定具(14)を使用して、観察スコープなどの器具類を患者に対して固定することができる。磁気パッド(30)が、眼(301)に隣接する開口部(18)近傍のドレープ(12)に接着される。器具(100)は、磁気パッド(30)上に配置され、磁気引力によって磁気パッド(30)に取り外し可能に固定される。本実施例では、1つ以上の永久磁石(不図示)が、本体(110)内の底部(112)の近くに位置付けられ;これらの磁石は、磁気パッド(30)内に含有される1つ以上の鉄要素(不図示)に磁気的に引き付けられる。ほんの一例として、これらの磁石および磁気パッド(30)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0360606号の教示の少なくとも一部に従って構成することができる。器具(100)は、器具(100)の可撓性カニューレ(130)を眼(301)に挿入できるように方向付けられている。眼(301)にカニューレ(130)を挿入して位置付けるプロセスの一例を、
図4A~
図4Fを参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0022】
また、
図3に示されるように、導管組立体(140)は、従来のシリンジ(50)などの流体源と連結され得る。この実施例のシリンジ(50)は、バレル(52)およびプランジャ(54)を含む。バレル(52)は、導管組立体(140)を介して針(150)と流体連通している。この実施例では1つのシリンジ(50)のみが導管組立体(140)と連結されているが、他のシナリオでは、2つ以上のシリンジ(50)が導管組立体(140)と連結され得る。2つ以上のシリンジ(50)は、1つ以上の「Y」継手、マニホールド、または本明細書の教示を考慮すれば当業者に明らかであるような任意の他の構造を介して、導管組立体(140)と連結され得る。
【0023】
図4A~
図4Gは、治療薬を脈絡膜上アプローチから眼(301)の網膜下腔に送達するために、前述した設備を用いて実施され得る処置の一例を示す。ほんの一例として、本明細書に記載された方法は、黄斑変性および/または他の眼の状態を治療するために使用され得る。本明細書に記載される処置は、加齢黄斑変性の治療との関連で議論されるが、そのような制限は意図されても暗示されてもいない。例えば、いくつかの代替的な処置において、本明細書に記載した同じ技術を用いて、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、および/または他の眼の状態を治療することができる。加えて、本明細書に記載される処置は、いくつかある状態の中でも特に、ドライ型またはウェット型加齢黄斑変性のいずれかを治療するために使用され得る。
【0024】
本実施例では、処置は、オペレータが、検鏡(16)などの器具、および/または固定に適した任意の他の器具を用いて、患者の眼(301)を取り囲む組織(例えば眼瞼)を固定することによって開始される。眼(301)を取り囲む組織に関連して本明細書に記載される固定では、眼(301)自体は自由に動くことができるままとすることができる。眼(301)を取り囲む組織が固定されると、
図4Aに示すように、眼シャンデリアポート(314)が眼(301)に挿入されて、眼(301)の内部が瞳孔を通して見られる際に眼内照明を提供する。本実施例では、眼シャンデリアポート(314)は、上耳側象限強膜切開術(superior temporal quadrant sclerotomy)が実施され得るように、下内側象限内に位置付けられる。眼シャンデリアポート(314)は、光を眼(301)の内部に向けて網膜(308)の少なくとも一部分(例えば、黄斑の少なくとも一部を含む)を照らすように位置付けられる。理解されるように、このような照明は、治療薬の送達の標的とされている眼(301)のエリアに対応する。
【0025】
本実施例では、
図4Aに示す段階では、光ファイバ(315)をポート(314)にまだ挿入せずに、シャンデリアポート(314)のみを挿入する。他のいくつかのバージョンでは、この段階で光ファイバ(315)をシャンデリアポート(314)に挿入することができる。いずれの場合にも、顕微鏡をオプションとして利用して眼を視覚的に検査し、標的部位に対する眼シャンデリアポート(314)の適切な位置付けを確認し得る。
図4Aは、眼シャンデリアポート(314)の特定の位置付けを示しているが、眼シャンデリアポート(314)は、本明細書の教示を考慮すれば当業者に明らかであるように、任意の他の適切な位置付けを有することができる。
【0026】
眼シャンデリアポート(314)が位置付けられると、結膜の弁を切開し、弁を後方に引っ張ることによって、結膜を切開することで、強膜(304)にアクセスすることができる。このような切開が完了した後、強膜(304)の露出表面(305)は、オプションとして焼灼ツールを使用してブランチングされて、出血を最小限にすることができる。いったん結膜切開が完了すると、強膜(304)の露出表面(305)は、オプションとして、WECK-CELまたは他の適切な吸収デバイスを用いて乾燥され得る。
【0027】
次いで、開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0223977号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月21日に公開され、「Guide Apparatus for Tangential Entry into Suprachoroidal Space」と題された米国特許出願公開第2017/0360605号、に記載されているように、テンプレートを用いて眼(20)にマーキングすることができる。次いで、オペレータは、テンプレートを使用して作成された視覚ガイドを使用して、
図4Bに示すように、縫合糸ループ組立体(332)を取り付け、従来のメス(313)または他の適切な切断器具を使用して、強膜切開術を実施することができる。ほんの一例として、縫合糸ループ組立体(70)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0223977号の教示の少なくとも一部に従って形成され得る。あるいは、縫合糸ループ組立体(70)の代わりに、オペレータは、開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0360605号の教示の少なくとも一部に従ってガイドタックを設置することができる。
【0028】
強膜切開処置は、眼(301)の強膜(304)を貫通する小切開部を形成する。強膜切開術は脈絡膜(306)の貫通を避けるように特に注意して行われる。したがって、強膜切開処置は、強膜(304)と脈絡膜(306)との間の空間へのアクセスを提供する。切開が眼(301)で行われると、鈍的切開が、オプションとして行われて、脈絡膜(306)から強膜(304)を局所的に分離することができる。このような切開は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかなように、小型で鈍い細長い器具を用いて実施することができる。
【0029】
強膜切開処置が実施されると、オペレータは、切開部(316)を通して、強膜(304)と脈絡膜(306)との間の空間に器具(100)のカニューレ(130)を挿入することができる。
図4Cで分かるように、カニューレ(130)は、縫合糸ループ組立体(332)を通じて切開部内に導かれる。縫合糸ループ組立体(332)は、挿入中にカニューレ(130)を安定させることができる。さらに、縫合糸ループ組立体(332)は、カニューレ(130)を切開部に対してほぼ接線の向きに維持する。そのような接線の向きは、カニューレ(130)が切開部を通ってガイドされるときの外傷を減少させ得る。カニューレ(130)が縫合糸ループ組立体(332)を通じて切開部に挿入されるとき、オペレータは、鉗子または他の器具を使用して、カニューレ(130)を非外傷性経路に沿ってさらにガイドすることができる。もちろん、鉗子または他の器具の使用は、単にオプションであり、いくつかの実施例では省略され得る。上述のように、ガイドタック(または他のデバイス)を縫合糸ループ組立体(332)の代わりに使用することができる。カニューレ(130)は、遠位端部(132)が脈絡膜(306)の反対側で網膜下腔の標的領域の近くに位置付けられるまで前進される。遠位端部(132)を可視化し、それによって遠位端部(132)の適切な位置付けを観察する様々な適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると当業者には明らかであろう。
【0030】
図示していないが、いくつかの実施例では、カニューレ(130)は、様々な挿入深さを示すために、カニューレ(130)の表面上に1つ以上のマーカーを含んでもよい。単にオプションではあるが、そのようなマーカーは、カニューレ(130)が非外傷性経路に沿ってガイドされるときに適切な挿入深さを識別する際にオペレータを補助するのに望ましいものとなり得る。例えば、オペレータは、カニューレ(130)が眼(301)に挿入される深さの指標として、縫合糸ループ組立体(332)に関連し、かつ/または強膜(304)の切開部に関連して、そのようなマーカーの位置を視覚的に観察することができる。ほんの一例として、このような1つのマーカーは、カニューレ(130)の約6mmの挿入深さに対応し得る。
【0031】
図4Dに示すように、カニューレ(130)が眼(301)に少なくとも部分的に挿入されると、この段階で光ファイバ(315)がまだ挿入されていない場合、オペレータは光ファイバ(315)を眼シャンデリアポート(314)に挿入することができる。眼シャンデリアポート(314)が所定の位置にあり、光ファイバ(315)と共に組み立てられている状態で、オペレータは、光ファイバ(315)を通して光を導くことによって眼シャンデリアポート(314)を起動して、眼(301)の照明を提供し、それによって眼(301)の内部を可視化することができる。網膜(308)の地図状萎縮のエリアに対する適切な位置付けを確実にするために、カニューレ(130)の位置付けに対するさらなる調節をこの時点でオプションとして行ってもよい。場合によっては、オペレータは、瞳孔を介した眼(301)の内部の可視化を最適化するために、例えば縫合糸ループ組立体(332)を引っ張ることによって、眼(301)を回転させて、眼(301)の瞳孔をオペレータの方へ向けることを望むかもしれない。
【0032】
図4C~
図4Dは、治療薬の送達部位にカニューレ(130)の遠位端部(132)を位置付けるために強膜(304)と脈絡膜(306)との間でガイドされる際のカニューレ(130)を示す。本実施例では、送達部位は、網膜(308)の地図状萎縮のエリアに隣接する眼(301)の概ね後方の領域に対応する。特に、本実施例の送達部位は、網膜神経感覚上皮と網膜色素上皮層との間の潜在的空間において、黄斑よりも上にある。ほんの一例として、オペレータは、照明がファイバ(315)およびポート(314)を通じて提供されている状態で、カニューレ(130)が
図4C~
図4Dに示される運動範囲にわたって前進しているときに、眼(301)の瞳孔を通して向けられた顕微鏡を通じた直接可視化に依存し得る。カニューレ(130)は、眼(301)の網膜(308)および脈絡膜(306)を通して少なくとも部分的に視認可能であり得る。カニューレ(130)の遠位端部を通して可視光を放射するために光ファイバが使用されるバージョンでは、視覚追跡を強化することができる。
【0033】
カニューレ(130)が
図4Dに示されるように送達部位に前進されると、オペレータは、ノブ(120)を作動させることによって、上述のように器具(100)の針(150)を前進させることができる。
図4Eで分かるように、針(150)は、針(150)が網膜(308)を貫くことなく脈絡膜(306)を貫通するように、カニューレ(130)に対して前進する。脈絡膜(306)を貫く直前に、針(150)は、直接可視化の下では、脈絡膜(306)の表面を「テンティングする(tenting)」ように見え得る。換言すれば、針(150)は、脈絡膜(306)を上方に押すことによって脈絡膜(306)を変形させることができ、テントの屋根を変形させるテントポールのような外観を提供する。このような視覚現象は、脈絡膜(306)が貫通されようとしているかどうか、および任意の最終的な貫通の場所を識別するために、オペレータによって使用され得る。脈絡膜(306)の「テンティング」およびその後の貫通を開始するのに十分な針(150)の特定の前進量は、全体的な患者の解剖学的構造、局所的な患者の解剖学的構造、オペレータの好み、および/または他の要因などであるがこれらに限定されない、いくつかの要因によって決定され得るような、任意の適切な量であり得る。上述のように、針(150)の前進範囲の一例は、約0.25mm~約10mm;または、さらに具体的には、約2mm~約6mmであり得る。
【0034】
本実施例では、上述のテンティング効果を可視化することによって針(150)が適切に前進されたことをオペレータが確認した後、針(150)がカニューレ(130)に対して前進されるとき、オペレータは平衡塩類溶液(BSS)または他の類似の溶液を注入する。このようなBSSは、針(150)が脈絡膜(306)を通って前進するとき、針(150)の前に先頭のブレブ(leading bleb)(340)を形成することができる。先頭のブレブ(340)は、2つの理由から望ましくなり得る。第一に、
図4Fに示すように、先頭のブレブ(340)は、針(150)がいつ送達部位に適切に位置付けられるかを示すさらなる視覚的インジケータをオペレータに提供することができる。第二に、先頭のブレブ(340)は、いったん針(150)が脈絡膜(306)を貫くと、針(150)と網膜(308)との間にバリアを提供し得る。そのようなバリアは、網膜壁を外側に押し、それによって、針(150)が送達部位まで前進するときの網膜穿孔のリスクを最小限にすることができる。いくつかのバージョンでは、フットペダルが作動されて、針(150)から先頭のブレブ(340)を駆動する。あるいは、針(150)から先頭のブレブ(340)を駆動するために使用され得る他の適切な特徴は、本明細書の教示を考慮すると当業者には明らかであろう。
【0035】
オペレータが先頭のブレブ(340)を可視化すると、オペレータは、BSSの注入を中止し、
図4Fで分かるように流体のポケットを残すことができる。次に、治療薬(342)が、シリンジ(50)または本明細書に引用される様々な参考文献に記載されるような何らかの他の流体送達デバイスを作動させることによって注入され得る。送達される治療薬(342)は、眼の状態を治療するように構成された任意の適切な治療薬であり得る。適切な治療薬のいくつかの単に例示的な例は、より小さいかもしくは大きな分子を有する薬剤、治療用細胞溶液、特定の遺伝子治療溶液、組織プラスミノーゲンアクチベーター、および/または、本明細書の教示を考慮すれば当業者に明らかとなるような任意の他の適切な治療薬を含み得るが、必ずしもこれらに限定されない。ほんの一例として、治療薬(342)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年8月19日に発行され、「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」と題された米国特許第7,413,734号の教示の少なくとも一部に従って提供することができる。治療薬(342)を送達するために使用されることに加えて、またはそれに代わるものとして、器具(100)およびその変形は、ドレナージを提供するため、および/または他の動作を実行するために使用され得る。
【0036】
本実施例では、送達部位に最終的に送達される治療薬(342)の量は、約50μLであるが、任意の他の適切な量を送達することができる。いくつかのバージョンでは、フットペダルが作動されて、針(150)から薬(342)を駆動する。あるいは、薬(342)を針(150)から駆動するために用いることができる他の適切な特徴は、本明細書の教示を考慮すると当業者には明らかであろう。治療薬(342)の送達は、
図4Gで分かるように、流体のポケットの拡張によって可視化することができる。図示のように、治療薬(342)は、治療薬(342)が網膜下腔に注入されるとき、本質的に、先頭のブレブ(340)の流体と混合する。
【0037】
送達が完了すると、針(150)は、針(150)を前進させるために使用される方向とは反対の方向にノブ(120)を回転させることによって後退され得;次いで、カニューレ(130)が、眼(301)から引き抜かれ得る。針(150)のサイズにより、針(150)が脈絡膜(306)を貫いた部位は、自動的にふさがり、そのため、脈絡膜(306)を通る送達部位を密封するためにそれ以上のステップをとる必要はない。縫合糸ループ組立体(332)およびシャンデリア(314)は、除去され得、強膜(304)の切開部は、任意の適切な従来の技術を用いて閉鎖され得る。
【0038】
上述したように、上記の処置は、黄斑変性を有する患者を治療するために実施することができる。いくつかのそのような場合において、針(150)によって送達される治療薬(342)は、分娩後の臍および胎盤に由来する細胞を含み得る。上述したように、ほんの一例として、治療薬(342)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年8月19日に発行され、「Treatment of Retinitis Pigmentosa with Human Umbilical Cord Cells」と題された米国特許第7,413,734号の教示の少なくとも一部に従って提供することができる。あるいは、針(150)を使用して、米国特許第7,413,734号および/または本明細書の他の箇所に記載されているものに加えて、またはその代わりに、任意の他の適切な1つまたは複数の物質を送達してもよい。ほんの一例として、治療薬(342)は、小分子、大分子、細胞、および/または遺伝子治療を含むがこれらに限定されない、様々な種類の薬剤を含み得る。また、黄斑変性は、本明細書に記載された処置を通じて治療され得る状態の単に例示的な一例であることも理解されるべきである。本明細書に記載される器具および処置を用いて対処され得る他の生物学的状態は、当業者には明らかであろう。
【0039】
上記の処置は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月13日に公開され、「Method and Apparatus for Subretinal Administration of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願公開第2015/0223977号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年12月10日に公開され、「Therapeutic Agent Delivery Device with Convergent Lumen」と題された米国特許出願公開第2015/0351958号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2015年12月10日に公開され、「Sub-Retinal Tangential Needle Catheter Guide and Introducer」と題された米国特許出願公開第2015/0351959号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月17日に公開され、「Method and Apparatus for Sensing Position Between Layers of an Eye」と題された米国特許出願公開第2016/0074212号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月17日に公開され、「Motorized Suprachoroidal Injection of Therapeutic Agent」と題された米国特許出願公開第2016/0074217号;開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月17日に公開され、「Therapeutic Agent Delivery Device with Advanceable Cannula and Needle」と題された米国特許出願公開第2016/0074211号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月24日に公開され、「Therapeutic Agent Delivery Device」と題された米国特許出願公開第2016/0081849号、の教示のいずれかに従って実行することができる。
【0040】
III.網膜下腔に流体を送達するシリンジのための投薬クリップの実施例
当業者は、特に網膜下腔の解剖学的制約を考慮すれば、適切な量の流体が眼(301)の網膜下腔に送達されることを確実にすることが重要であり得ることを認識するであろう。先頭のブレブ(340)および治療薬(342)に関しては、過剰な流体を送達すると、脈絡膜(306)からの網膜(308)の望ましくない程度の剥離;おそらくは網膜(308)が破裂する点までの、剥離を生じ得る。先頭のブレブ(340)に関しては、送達する流体が少なすぎると、脈絡膜(306)からの網膜(308)の分離が不十分になり、その後で送達される治療薬(342)の効果が不十分になることがある。同様に、送達する治療薬(342)が少なすぎると、所望の治療効果をもたらすことができない場合がある。
【0041】
多くの外科医およびその助手は、流体を送達するためにシリンジ(50)を使用する前に、適切な量の流体がシリンジ(50)に充填されることを確実にする実質的なスキルを有し得るが、流体を送達するためにシリンジ(50)を使用する前に適切な量の流体がシリンジ(50)に充填されることを確実にかつ一貫して保証するデバイスを提供することが望ましくなり得、したがって、患者は、シリンジ(50)に適切な量の流体を充填するだけのために、外科医などの個人的なスキルにそれほど頼る必要はない。以下に、投薬クリップ組立体(400)の実施例を記載するが、これは、シリンジ(50)などの従来のシリンジと共に使用されて、シリンジ内に充填される流体の量の精度および精密度を一貫して提供し;これにより、
図3~
図4Gを参照して上述した処置の一環として、網膜下腔に送達される流体の量の精度および精密度を一貫して提供することができる。
【0042】
図5~
図7に示すように、本実施例の投薬クリップ組立体(400)は、下方部材(500)と、上方部材(600)と、を含む。下方部材および上方部材(500、600)は、ピン(590)を介して互いに枢動可能に連結されている。
図5~
図9に示すように、下方部材(500)は、柄部分(510)と、バレル部分(520)と、を含む。柄部分(510)は、バレル部分(520)に対して垂直に配向される。柄部分(510)は、一対の外方に突出するフィンガーフランジ(512)を含み、スロット(514)を画定する。ボス(516)が、フィンガーフランジ(512)の一方から上方にかつ一体的に延びている。バレル部分(520)は、横方向に向けられた凹部(524)を画定する細長い円筒状本体(522)を含む。以下でさらに詳細に説明するように、凹部(524)は、シリンジ(700)のバレル(710)を受容するように構成され;一方、スロット(514)は、シリンジ(700)のフィンガーフランジ(712)を受容するように構成されている。
【0043】
プランジャ停止部分(530)が、柄部分(510)から上方に突出している。
図8~
図9で最もよく分かるように、プランジャ停止部分(530)は、上方に向けられたプランジャ停止面(532)と、ラッチ縁部(552)を有するラッチ受容ノッチ(550)と、ピン受容構造体(570)と、を含む。以下でさらに詳細に説明するように、プランジャ停止面(532)は、シリンジ(700)のプランジャ(720)のサムフランジ(722)の前進を阻止するように構成される。やはり以下でさらに詳細に説明するように、ラッチ受容ノッチ(550)は、上方部材(600)のラッチアーム(640)を受容するように構成され、ラッチ縁部(522)は、ラッチアーム(640)との係合を提供することによって、下方部材(500)に対する上方部材(600)の枢動位置を維持する。
【0044】
本実施例では、下方部材(500)はプラスチックで形成され、凹部(524)および/またはスロット(514)の一部は、変形してシリンジ(700)のバレル(710)を摩擦保持し得る。あるいは、下方部材(500)は、任意の他の適切な材料または材料の組み合わせで形成されてもよい。
【0045】
図5~
図7および
図10~
図11に示すように、本実施例の上方部材(600)は、タブ(610)と、プランジャキャッチ(620)と、プランジャ停止部分(630)と、ラッチアーム(640)と、ピン受容構造体(650)と、を含む。タブ(610)は、下方部材(500)のバレル部分(520)によって画定される長手方向軸に対して横方向に延びる。プランジャキャッチ(620)は、傾斜面(622)および下面(624)を含む。プランジャ停止部分(630)は、上方に向けられたプランジャ停止面(632)を含む。以下でさらに詳細に説明するように、プランジャ停止面(632)は、シリンジ(700)のプランジャ(720)のサムフランジ(722)の前進を阻止するように構成される。やはり以下でさらに詳細に説明するように、プランジャキャッチ(620)の下面(624)は、(例えば、別の状況では、バレル(710)内に収容された流体の背圧によって引き起こされ得るような)バレル(710)に対するプランジャ(720)の近位後退を防止するように構成される。上述したように、ラッチアーム(640)は、下方部材(500)のラッチ受容ノッチ(550)のラッチ縁部(522)に係合し、それによって、下方部材(500)に対する上方部材(600)の枢動位置を維持するように構成される。
【0046】
本実施例では、上方部材(600)はプラスチックで形成され、上方部材(600)の少なくとも一部は、変形して、プランジャキャッチ(620)の下面(624)とプランジャ停止部分(630)のプランジャ停止面(632)との間にサムフランジ(722)の一部を収容することができる。あるいは、上方部材(600)は、任意の他の適切な材料または材料の組み合わせで形成されてもよい。
【0047】
上述したように、下方部材および上方部材(500、600)は、ピン(590)によって互いに枢動可能に連結され、ピンは、下方部材および上方部材(500、600)のピン受容構造体(570、650)に配される。この連結により、上方部材(600)は、第1の枢動位置(
図12A)と第2の枢動位置(
図12B)との間で下方部材(500)に対して枢動することができる。上方部材(600)が下方部材(500)に対して第1の枢動位置にあるとき、上方部材(600)のプランジャ停止部分(630)は、下方部材(500)のプランジャ停止部分(530)の上に位置付けられ、プランジャ停止部分(630)は、サムフランジ(722)がプランジャ停止部分(530)に向かってさらに前進するのを防止する。上方部材(600)が下方部材(500)に対して第2の枢動位置にあるとき、上方部材(600)のプランジャ停止部分(630)は、下方部材(500)のプランジャ停止部分(530)から離れて位置付けられ、プランジャ停止部分(630)は、もはやサムフランジ(722)がプランジャ停止部分(530)に向かってさらに前進するのを妨げなくなる。換言すれば、オペレータは、上方部材(500)が下方部材(600)に対して第2の枢動位置にあるときに、サムフランジ(722)がプランジャ停止面(532)に到達するまで、プランジャ(720)をバレル(710)に対して自由に前進させることができる。
【0048】
図12Bで最もよく分かるように、下方部材(500)の柄部分(510)上のボス(516)は、上方部材(600)が下方部材(500)に対して第2の枢動位置に到達すると、タブ(610)に係合し、それによって上方部材(600)の枢動運動を阻止するように構成される。ボス(516)は、この実施例では柄部分(510)のフィンガーフランジ(512)の一方と一体のペグの形態である。あるいは、本明細書の教示を考慮すると当業者に明らかなように、任意の他の適切な種類の構造体を使用して、下方部材(500)に対する上方部材(600)の枢動運動を阻止してもよい。ボス(516)は単にオプションである。
【0049】
やはり上述したように、また、
図13で最もよく分かるように、ラッチアーム(640)は、上方部材(600)が下方部材(500)に対して第1の枢動位置にあるときにラッチ縁部(522)に係合するように構成されている。ラッチアーム(640)とラッチ縁部(522)との間のこの係合は、下方部材(500)に対する上方部材(600)の枢動位置を実質的に維持し、それによって、下方部材(500)に対する上方部材(600)の不用意な枢動運動を実質的に防止する。しかしながら、オペレータが上方部材(600)を第1の枢動位置(
図12A)から第2の枢動位置(
図12B)へ枢動させたいときには、ラッチアーム(640)は、ラッチアーム(640)がラッチ縁部(552)を通り越すことを可能にするように十分に変形し、それによって上方部材(600)が第2の枢動位置へ枢動することを可能にする。いくつかのバージョンでは、ラッチアーム(640)の少なくとも一部は弾性材料で形成され、ラッチアーム(640)は、上方部材(600)が第1の枢動位置と第2の枢動位置との間で繰り返し枢動されるときにラッチ状態とラッチ解除状態との間を繰り返し移行することができる。いくつかの他のバージョンでは、ラッチアーム(640)の少なくとも一部(またはラッチ縁部(552)の一部)は、脆弱な材料で形成され、ラッチアーム(640)およびラッチ縁部(552)は、上方部材(600)が第1の枢動位置から第2の枢動位置に枢動された後、もはやラッチ関係を達成できない。
【0050】
図14A~
図14Gは、シリンジ(700)と共に使用されている投薬クリップ組立体(400)の実施例を示す。この実施例のシリンジ(700)は、バレル(710)およびプランジャ(720)を含む。バレル(710)は、フィンガーフランジ(712)を含む。プランジャ(720)は、シャフト(724)の一端部にサムフランジ(722)を含み、シャフト(724)の他端部にピストン(726)を含む。ピストン(726)は、バレル(710)内に密封式に配され、バレル(710)内のピストン(726)の長手方向位置は、バレル(710)の有効内部容量を選択的に変化させるように変化され得、このことは、バレル(710)内に収容される流体の体積に影響を及ぼす。
【0051】
図14Aに示すように、バレル(710)は、まず、導管(802)を介して流体源(800)と連結される。いくつかの例において、流体源(800)は、先頭のブレブ(340)流体を収容する。いくつかの他の例において、流体源(800)は、治療薬(342)流体を収容する。バレル(710)が最初に流体源(800)と連結されるとき、プランジャ(720)はバレル(710)に対して遠位位置にある。また、バレル(710)が最初に流体源(800)と連結されるとき、シリンジ(700)は、この実施例では投薬クリップ組立体(400)から完全に分離されている。
【0052】
バレル(710)が流体源(800)と十分に連結された状態で、オペレータは、
図14Bに示す位置まで、バレル(710)に対して近位にプランジャ(720)を後退させる。プランジャ(720)のこのような近位後退の間、シリンジ(700)は、流体源(800)からバレル(710)内に、ある体積の流体を引き込む。この体積は、最終的に眼(301)の網膜下腔に送達される流体の体積よりも大きい。
【0053】
ある体積の流体が流体源(800)からバレル(710)内に引き込まれると、シリンジ(700)は、流体源(800)から分離され、投薬クリップ組立体(400)と連結される。特に、
図14Cに示されるように、バレル(710)は、本体(522)の凹部(524)に挿入され;フィンガーフランジ(712)は、スロット(514)に挿入される。いくつかのバージョンでは、凹部(524)は、バレル(710)とのスナップ嵌めを提供し、それによって、バレル(710)を凹部(524)内に実質的に保持するように構成される。加えて、または代替的に、凹部(524)は、バレル(710)を把持するかまたは別様に保持するように構成された1つ以上のエラストマー特徴部および/または他の特徴部を含むことができる。加えて、または代わりに、スロット(514)は、フィンガーフランジ(712)を把持するかまたは別様に保持するように構成された特徴部を含んでもよい。本実施例では、
図14Cに示される段階において、プランジャ(720)は、バレル(710)に対して依然として近位位置にあり;上方部分(600)は下方部分(500)に対して第2の枢動位置にある。あるいは、上方部分(600)は、この段階で下方部分(500)に対して既に第1の枢動位置にあってもよい。
【0054】
次に、
図14Dに示されるように、バレル(710)は、導管組立体(140)を介して器具(100)と連結され、これらの両方は上述されている。上方部分(600)がこの段階で下方部分(500)に対して既に第1の枢動位置にない限り;上方部分(600)は、この段階で、下方部分(500)に対して第1の枢動位置に移動され得る。
【0055】
図14Dに示す状態に到達した後、オペレータは、
図14Eに示す段階に到達するまで、プランジャ(720)をバレル(710)に対して遠位に前進させることができる。この段階は、段階15Aにも示されている。この段階で、サムフランジ(722)は、プランジャキャッチ(620)の下面(624)とプランジャ停止部分(630)のプランジャ停止面(632)との間に捕捉される。プランジャ(720)が
図14Dに示された位置から
図14Eに示された位置まで遠位に移行すると、サムフランジ(722)は最終的にプランジャキャッチ(620)の傾斜面(622)に係合する。サムフランジ(722)と傾斜面(622)との間のこの係合は、サムフランジ(722)が傾斜面(622)を横切るときにプランジャキャッチ(620)をサムフランジ(722)から離してわずかに偏向させるカム効果を提供することができる。サムフランジ(722)が傾斜面(622)を通り越すと、プランジャキャッチ(620)は、所定の位置に跳ね返ることができ、プランジャキャッチ(650)の下面(624)は、サムフランジ(722)の対応する領域上に位置付けられる。本実施例では、ラッチアーム(640)とラッチ縁部(522)との係合は、サムフランジ(722)が傾斜面(622)を横切るときに上方部材(600)が下方部材(500)に対して第1の枢動位置から枢動するのを防止するのに十分強い。
【0056】
また、
図14Dに示す状態から
図14Eに示す状態への移行中に、プランジャ(720)は、バレル(710)から流体の一部を駆動する。これは、次に、導管組立体(140)および器具(100)のプライミングを提供し、バレル(710)と針(150)の遠位端部との間の流体通路から空気をパージすることができる。したがって、
図14Dに示される状態から
図14Eに示される状態への移行の間、カニューレ(130)はまだ患者の眼(301)に挿入されていない。
【0057】
図14Eおよび
図15Aに示されるように、サムフランジ(722)がプランジャキャッチ(620)の下面(624)とプランジャ停止部分(630)のプランジャ停止面(632)との間に捕捉された状態で、プランジャ(720)は、バレル(710)に対して遠位に前進することも、バレル(710)に対して近位に後退することもできない。したがって、プランジャ停止部分(530、630)は、投薬クリップ組立体(400)およびシリンジ(700)が
図14Eおよび
図15Aに示される状態にあるときにプランジャ(720)がバレル(710)に対して長手方向に並進運動するのを防止するように、協働する。プランジャ(720)がバレル(710)に対して遠位に並進運動するのを防止することによって、プランジャ停止部分(530、630)は、バレル(710)からの流体の不用意な排出を防止し;これにより、針(150)からの流体の不用意な排出を防止する。プランジャ(720)がバレル(710)に対して近位に並進運動するのを防止することによって、プランジャ停止部分(530、630)は、針(150)の遠位端部とバレル(710)との間の流体ラインに背圧が不注意に誘発されたときに発生する可能性のある、針(150)を通した空気または他の流体の不用意な吸い込みを防止する。したがって、バレル(710)に対するプランジャ(720)の長手方向移動を防止することによって、プランジャ停止部分(530、630)は協働して、バレル(710)、およびバレル(710)と針(150)の遠位端部との間の流体経路全体において、所定の体積の流体を維持する。
【0058】
図14Eおよび
図15Aに示される状態を達成した後、オペレータは、
図4A~
図4Eに示され、上述されたステップを完了することができる。この実施例では、バレル(710)は、流体を収容して先頭のブレブ(340)を形成する。先頭のブレブ(340)の送達のために投薬クリップ組立体(400)の準備をするために、オペレータは、
図14Fに示すような第2の位置まで上方部材(600)を下方部材(500)に対して枢動させることができる。これは、バレル部分(520)の本体(522)を把持している同じ手の親指で、タブ(610)に係合することによって行うことができる。したがって、オペレータは、片手のみを使用して、投薬クリップ組立体(400)を
図14Eに示された状態から
図14Fに示された状態に容易に移行させることができる。
図14Eに示された状態から
図14Fに示された状態への移行の間に、ラッチアーム(640)は、ラッチ縁部(522)を係合解除するように弾性的に変形し得る。また、
図14Eに示される状態から
図14Fに示される状態への移行の間に、プランジャ停止面(632)は、もはやプランジャ(720)のサムフランジ(722)の下に位置しない。したがって、投薬クリップ組立体(400)が
図14Fに示される状態にあるとき、プランジャ(720)は、
図14Fに示される長手方向位置からバレル(710)に対して遠位に自由に前進する。場合によっては、オペレータは、
図4Eに示す処置の段階に到達するまで、上方部材(600)を
図14Eに示す第1の位置から
図14Fに示す第2の位置に枢動させるのを控える。
【0059】
針(150)が脈絡膜(306)を横断し、
図4Eに示すように網膜下腔に流体を送達するように位置付けられ、上方部材(600)が
図14Fに示すような第2の位置に枢動されると、オペレータは、サムフランジ(722)が下方部材(500)のプランジャ停止部分(530)のプランジャ停止面(532)に係合するまで、バレル(710)に対して遠位にプランジャ(720)を前進させることができる。この状態を
図14Gおよび
図15Bに示す。プランジャ(720)が
図14Fに示された長手方向位置から
図14Gおよび
図15Bに示された長手方向位置に移動すると、プランジャ(720)はバレル(710)から所定の体積の流体を駆動する。これは、導管組立体(140)および器具(100)の関連構成要素を通じた流体の連通を提供し、最終的に、
図4Fに示されるような先頭のブレブ(340)の送達をもたらす。先頭のブレブ(340)を形成する流体の体積は、プランジャ停止部分(630)のプランジャ停止面(632)とプランジャ停止部分(530)のプランジャ停止面(532)との間の垂直距離によって決まる。面(632、532)間のこの垂直距離は一定で予め決められているので、投薬クリップ組立体(400)は、シリンジ(700)が、一貫して、先頭のブレブ(340)のための正確な予め決められた体積の流体を予想通りに送達する(delvers)ことを確実にする。ほんの一例として、流体の予め決められた体積は、約50マイクロリットル~約300マイクロリットルの範囲であってよい。いくつかのバージョンでは、流体の予め決められた体積は100マイクロリットルである。
【0060】
いくつかの例では、第2の投薬クリップ組立体(400)と第2のシリンジ(700)との組み合わせも、導管組立体(140)と流体連通しており、第2のシリンジは治療薬(342)を収容する。上述したように、両方のシリンジ(700)は、「Y」継手、または本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであるような任意の他の適切な構成要素を介して、導管組立体(140)と連結され得る。そのようなシナリオでは、第2の投薬クリップ組立体(400)と第2のシリンジ(700)との組み合わせは、
図14A~
図14Gを参照して上述した同じステップを受けることができる。しかし、第2のシリンジ(700)のプランジャ(720)は、第1のシリンジ(700)のプランジャ(720)が
図14Fに示す位置から
図14Gに示す位置まで前進し、それによって先頭のブレブ(340)を送達するまでは、
図14Fに示す位置から
図14Gに示す位置に前進しない。換言すれば、第2のシリンジ(700)のプランジャ(720)は、
図4Fに示すように先頭のブレブ(340)が送達されるまでは、
図4Gに示すように治療薬(342)を網膜下腔に送達するために
図14Fに示される位置から
図14Gに示される位置に前進しない。
【0061】
投薬クリップ組立体(400)とシリンジ(700)との2つの別個の組み合わせが使用され、一方が先頭のブレブ(340)流体のためのもので、他方が治療薬(342)流体のためのものである場合、対応する投薬クリップ組立体(400)は、異なる所定の体積の送達流体を提供するために、わずかに異なる上方部材(600)を有し得る。例えば、先頭のブレブ(340)のための流体を収容するシリンジ(700)と共に使用される上方部材(600)は、第1の所定の体積の流体の送達を提供するように構成され得;一方、治療薬(342)を収容するシリンジ(700)と共に使用される上方部材(600)は、第2の所定の体積の流体の送達を提供するように構成され得る。これらの異なる上方部材(600)は、それらの対応するプランジャ停止面(632)の垂直位置に基づいて変化してもよい。換言すれば、異なる投薬クリップ組立体(400)は、プランジャ停止面(532、632)間の垂直距離に基づいて変化し得る。異なる構成の上方部材(600)を提供することによってこの垂直距離間の変化を提供することに加えて、またはその代わりに、下方部材(500)を改変して、プランジャ停止面(532、632)間に異なる垂直距離を提供してもよい。
【0062】
上述のように、投薬クリップ組立体(400)は、片手での使用を促進するように構成される。例えば、投薬クリップ組立体(400)とシリンジ(700)との組み合わせは、
図14C~
図14Gに示される全ての段階を通して、オペレータが、投薬クリップ組立体(400)とシリンジ(700)との組み合わせを把持する片手のみを用いて操作され得る。これにより、オペレータのもう一方の手は、作動ノブ(120)もしくは器具(100)の他の構成要素を自由に操作することができ;または他のタスクを実行することができる。さらに、上方部材(600)が
図14Eに示す第1の位置から
図14Fに示す第2の位置に枢動された後、上方部材(600)は下方部材(500)に固定されたままであるので、オペレータは、投薬クリップ組立体(400)を
図14Eに示す状態から
図14Fに示す状態に移行させた後、上方部材(600)を処分するために第2の手を使用する必要がない。これは、医療処置が完了した後の投薬クリップ組立体(400)の処分をさらに単純化することができ、その結果、投薬クリップ組立体(400)は、別個の部品であるのではなく、単に単一のユニットとして処分され得る。
【0063】
前述の実施例では、眼の処置における投薬クリップ組立体(400)とシリンジ(700)との組み合わせの使用を提供したが、投薬クリップ組立体(400)とシリンジ(700)との組み合わせは、眼(301)以外の患者の解剖学的構造の他の領域を含む様々な他の種類の医療処置において使用され得る。したがって、本発明は、
図4A~
図4Gに示され、上述された眼の処置における使用に必ずしも限定されないことが企図される。投薬クリップ組立体(400)が使用され得る様々な他の適切なシナリオは、本明細書の教示を考慮すると、当業者には明らかであろう。
【0064】
IV.組み合わせの実施例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるかまたは適用することができる種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願または本出願のその後の出願においていつでも提示され得る任意の請求項の適用範囲を制限することを意図するものではない。ディスクレーマーは意図していない。以下の実施例は、単に例示目的で提供されているにすぎない。本明細書の種々の教示は、多数の他の方法で構成し、適用することができると考えられる。また、いくつかの変形は、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略することができると考えられる。したがって、以下に言及する態様または特徴のいずれも、発明者または発明者の利益の承継人によって後日明示的に示されない限り、不可欠であるとみなされるべきではない。本出願または本出願に関連するその後の出願において、以下で言及されるもの以外の追加の特徴を含む任意の請求項が提出された場合は、それらの追加の特徴は、特許性に関する理由で追加されたものとはみなされない。
【0065】
実施例1
装置であって、(a)シリンジバレルの一部を受容するように構成された第1の部材であって、第1の部材は、プランジャの一部に係合し、それによってシリンジバレルに対するプランジャの長手方向移動を阻止するように構成された第1の停止面を含む、第1の部材と;(b)第1の部材と連結された第2の部材であって、第2の部材は、プランジャの一部に係合し、それによってシリンジバレルに対するプランジャの長手方向移動を阻止するように構成された第2の停止面を含み、第2の停止面は、第1の停止面から離間している、第2の部材と、を含み;第2の部材は、第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して移動するように動作可能であり、第2の部材は、第1の位置および第2の位置のどちらにある間も、第1の部材と連結されたままであるように構成され;第2の停止面は、第2の部材が第1の位置にあるときにプランジャの一部に係合するように位置付けられ、第2の停止面は、第2の部材が第1の位置にあるときにプランジャの一部が第1の停止面に到達するのを妨げるようにさらに構成され;第2の停止面は、第2の部材が第2の位置にあるときにプランジャの一部が第1の停止面に到達するのを妨げないように位置付けられている、装置。
【0066】
実施例2
第1の部材は、(i)細長い本体部分と、(ii)本体部分に対して横断方向に延びる柄部分と、を含む、実施例1に記載の装置。
【0067】
実施例3
本体部分は、シリンジバレルを受容するように構成された凹部を画定する、実施例2に記載の装置。
【0068】
実施例4
本体部分は、シリンジバレルとのスナップ嵌めを提供するように構成されている、実施例3に記載の装置。
【0069】
実施例5
柄部分は、シリンジバレルのフィンガーフランジを受容するように構成されたスロットを含む、実施例2~4のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0070】
実施例6
柄部分は、柄部分から上方に延びるプランジャ停止部分を含み、本体部分は、柄部分から下方に延び、プランジャ停止部分は、第1の停止面を含む、実施例2~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0071】
実施例7
第1の停止面は、シリンジバレルに対するプランジャの遠位長手方向移動を阻止するように構成され、第2の停止面は、シリンジバレルに対するプランジャの遠位長手方向移動を阻止するように構成されている、実施例1~6のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0072】
実施例8
第2の部材は、第1の部材と枢動可能に連結され、第2の部材は、第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して枢動するように動作可能である、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0073】
実施例9
ピンをさらに含み、ピンは、第2の部材を第1の部材と枢動可能に連結する、実施例8に記載の装置。
【0074】
実施例10
第1の停止面および第2の停止面は、プランジャのサムフランジに係合し、それによってシリンジバレルに対するプランジャの長手方向移動を阻止するように構成されている、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0075】
実施例11
第2の停止面は、第2の部材が第1の位置にあるときに、第1の停止面に対して近位に位置付けられている、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0076】
実施例12
第2の停止面は、第2の部材が第1の位置にあるときに、第1の停止面に対して近位に位置付けられている、実施例1~11のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0077】
実施例13
第2の停止面は、第2の部材が第1の位置にあるときに、約1mm~約7mmの距離だけ、第1の停止面に対して近位に位置付けられている、実施例12に記載の装置。
【0078】
実施例14
第2の停止面は、第2の部材が第1の位置にあるときに、第1の停止面に対して横方向に位置付けられている、実施例1~13のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0079】
実施例15
第2の部材はキャッチをさらに含み、第2の部材は、第2の部材が第1の位置にあるときに、キャッチと第2の停止面との間にプランジャの一部を捕捉するように構成されている、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0080】
実施例16
キャッチは、下面を含み、下面は、第2の部材が第1の位置にあるときにプランジャのフィンガーフランジの上面に当接するように構成され、第2の停止面は、第2の部材が第1の位置にあるときにフィンガーフランジの下面に当接するように構成されている、実施例15に記載の装置。
【0081】
実施例17
シリンジをさらに含み、シリンジは、(i)第1の部材と連結されたバレルと、(ii)バレル内にスライド可能に配されたプランジャと、を含む、実施例1~16のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0082】
実施例18
送達器具をさらに含み、送達器具は、(i)患者の眼の脈絡膜と強膜との間に適合するように構成された可撓性カニューレと、(ii)カニューレ内にスライド可能に配され、シリンジのバレルと流体連通する内腔を画定する針と、を含む、実施例17に記載の装置。
【0083】
実施例19
器具は、カニューレに対して長手方向に針を駆動するように動作可能なアクチュエータをさらに含み、針は、脈絡膜を横断し、それによって、シリンジバレルから患者の眼の網膜下腔へ流体を送達するように構成されている、実施例18に記載の装置。
【0084】
実施例20
装置であって、(a)シリンジバレルの一部を受容するように構成された第1の部材であって、第1の部材は、プランジャの一部に係合し、それによってシリンジバレルに対するプランジャの遠位長手方向移動を阻止するように構成された第1の停止面を含む、第1の部材と;(b)第1の部材と連結された第2の部材であって、第2の部材は、(i)プランジャの一部に係合し、それによってシリンジバレルに対するプランジャの遠位長手方向移動を妨げるように構成された第2の停止面と、(ii)プランジャの一部に係合し、それによってシリンジバレルに対するプランジャの近位長手方向移動を妨げるように構成された第3の停止面と、を含む、第2の部材と;を含み、第2の部材は、第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して移動するように動作可能であり、第2の停止面および第3の停止面は、第2の部材が第1の位置にあるときにプランジャの一部に係合するように位置付けられ;第2の停止面は、第2の部材が第2の位置にあるときにプランジャの一部が第1の停止面に到達するのを可能にするように位置付けられている、装置。
【0085】
実施例21
第2の部材は、第1の位置および第2の位置のどちらにある間も、第1の部材と連結されたままであるように構成されている、実施例20に記載の装置。
【0086】
実施例22
方法であって、(a)組立体を把持することであって、組立体は、(i)投薬クリップ組立体であって、(1)第1の部材と、(2)第1の部材と連結された第2の部材と、を含む、投薬クリップ組立体と、(ii)シリンジであって、(1)配されたバレルと、(2)プランジャと、を含み、プランジャは、バレル内にスライド可能に配されている、シリンジと、を含む、ことと;(b)プランジャをバレルに対して近位に後退させ、それによって流体源からバレル内に流体を引き込むことであって、プランジャは、第1の長手方向位置まで後退される、ことと;(c)シリンジのバレルを投薬クリップ組立体の第1の部材に挿入することと;(d)流体源をバレルから分離することと;(e)シリンジのバレルが投薬クリップ組立体の第1の部材内に配され、第2の部材が第1の部材に対して第1の位置にある状態で、プランジャを第2の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させることであって、プランジャは、第2の長手方向位置において第2の部材に係合し、第1の位置にある第2の部材は、プランジャがバレルに対してさらに遠位に前進するのを妨げる、ことと;(f)第2の部材を第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して移動させることであって、第2の位置にある第2の部材は、プランジャがバレルに対してさらに遠位に前進するのをもはや妨げない、ことと;(g)第2の部材が第2の位置にある状態で、プランジャを第2の長手方向位置から第3の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させることと、を含む、方法。
【0087】
実施例23
第2の部材は、シリンジのバレルを投薬クリップ組立体の第1の部材に挿入する動作の間、第2の位置にある、実施例22に記載の方法。
【0088】
実施例24
バレルを流体送達器具と連結することをさらに含む、実施例22~23のいずれか1つ
以上に記載の方法。
【0089】
実施例25
バレルを流体送達器具と連結する動作は、流体源をバレルから分離する動作の後で、かつ、プランジャを第2の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させる動作の前に行われる、実施例24に記載の方法。
【0090】
実施例26
プランジャを第2の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させる動作は、バレルから流体送達器具の流体送達部分までの流体経路のプライミングを提供する、実施例25に記載の方法。
【0091】
実施例27
プランジャを第2の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させる動作の後、第2の部材は、プランジャがバレルに対して近位に後退するのをさらに妨げる、実施例22~26のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0092】
実施例28
第2の部材は、キャッチを含み、キャッチは、プランジャがバレルに対して近位に後退するのを妨げる、実施例27に記載の方法。
【0093】
実施例29
プランジャを第2の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させる動作は、プランジャの一部でキャッチのカム面を横断することを含む、実施例28に記載の方法。
【0094】
実施例30
第2の部材を第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して移動させる動作は、第1の部材に対して第2の部材を枢動させることを含む、実施例22~29のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0095】
実施例31
第2の部材は、第2の部材を第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して移動させる動作の後で、第1の部材と枢動可能に連結されたままである、実施例30に記載の方法。
【0096】
実施例32
第1の部材はボスを含み、ボスは、第1の部材に対する第2の部材の枢動運動を制限するように構成され、ボスは、第2の部材が第2の位置に到達したときに第2の部材の枢動運動を阻止する、実施例30~31のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0097】
実施例33
プランジャを第2の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させる動作を行う前に、第2の部材を第2の位置から第1の位置まで移動させることをさらに含む、実施例22~32のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0098】
実施例34
第1の部材は、プランジャが第3の長手方向位置に到達したときにプランジャの遠位移動を阻止し、第1の部材は、プランジャがバレルに対してさらに遠位に前進するのを妨げる、実施例22~33のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0099】
実施例35
プランジャをバレルに対して近位に後退させ、それによって流体源からバレル内に流体を引き込む動作は、プランジャを第4の長手方向位置から第1の長手方向位置まで後退させることをさらに含む、実施例22~33のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0100】
実施例36
第4の長手方向位置は、第3の長手方向位置よりも遠位である、実施例36に記載の方法。
【0101】
実施例37
流体源をバレルから分離する動作は、シリンジのバレルを投薬クリップ組立体の第1の部材に挿入する動作の前に実施される、実施例22~36のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0102】
実施例38
第2の部材を第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して移動させる動作、および、プランジャを第2の長手方向位置から第3の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させる動作は、片手のみを用いて行われる、実施例22~37のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0103】
実施例39
片手の指は、第2の部材を第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して移動させる動作、およびプランジャを第2の長手方向位置から第3の長手方向位置までバレルに対して遠位に前進させる動作の間、第1の部材を把持するために使用され、片手の親指は、第2の部材を第1の位置から第2の位置まで第1の部材に対して移動させるために使用される、実施例38に記載の方法。
【0104】
実施例40
流体源は、先頭のブレブ流体および治療薬からなる群から選択される流体を含む、実施例22~39のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0105】
V.その他
本明細書に記載する器具のバージョンのいずれも、上述の特徴に加えて、またはその代わりに、様々な他の特徴を含むことができる。ほんの一例として、本明細書中のデバイスのいずれも、参照により本明細書に組み込まれる種々の参考文献のいずれかに開示された種々の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0106】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上は、本明細書に記載されるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上と組み合わせることができる。したがって、上述の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに分離して見るべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すれば、当業者には容易に明らかであろう。そのような改変および変形は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0107】
参照により本明細書に組み込まれると言われている任意の特許、刊行物、または他の開示資料の全部または一部は、組み込まれる資料が本開示に記載されている既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない範囲に限り、本明細書に組み込まれることを理解されたい。したがって、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載された開示は、参照により本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する資料にも取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載される既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾する任意の資料またはその一部は、その組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。
【0108】
前述したバージョンは、1回の使用後に処分されるように設計することもできるし、複数回使用されるように設計することもできる。バージョンは、いずれかの場合または両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解ステップ、続いて特定の部品の洗浄または交換ステップ、およびその後の再組み立てステップの任意の組み合わせを含むことができる。特に、デバイスのいくつかのバージョンを分解することができ、デバイスの任意の数の特定の部品または部分を任意の組み合わせで選択的に交換または除去することができる。特定の部分の洗浄および/または交換の際に、デバイスのいくつかのバージョンは、再調整施設で、または処置の直前にオペレータによって、その後の使用のために再組み立てされ得る。当業者は、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、および再組み立てのための様々な技術を利用し得ることを理解するであろう。このような技術の使用、および結果として生じる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0109】
ほんの一例として、本明細書に記載するバージョンは、処置の前および/または後に滅菌することができる。1つの滅菌技術では、デバイスは、プラスチックまたはTYVEKバッグのような閉鎖され密閉された容器に入れられる。次いで、容器およびデバイスは、ガンマ線、X線、または高エネルギー電子など、容器を貫通し得る放射線場に配置され得る。放射線は、デバイス上および容器内の細菌を死滅させ得る。その後、滅菌されたデバイスは、後で使用するために滅菌容器内で保存され得る。デバイスはまた、ベータもしくはガンマ線、エチレンオキシド、または蒸気を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌され得る。
【0110】
本発明の種々の実施形態を示し、説明したが、本明細書に記載した方法およびシステムのさらなる改作は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変によって達成され得る。そのような可能性のある改変のいくつかが言及されており、他のものは当業者には明らかであろう。例えば、上述の実施例、実施形態、幾何学的特徴、材料、寸法、比、ステップなどは例示的であり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の点から検討されるべきであり、明細書および図面に示され説明される構造および動作の詳細に限定されないことが理解される。
【0111】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)シリンジバレルの一部を受容するように構成された第1の部材であって、前記第1の部材は、プランジャの一部に係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの長手方向移動を阻止するように構成された第1の停止面を含む、第1の部材と、
(b)前記第1の部材と連結された第2の部材であって、前記第2の部材は、プランジャの前記一部に係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの長手方向移動を阻止するように構成された第2の停止面を含み、前記第2の停止面は、前記第1の停止面から離間している、第2の部材と、
を含み、
前記第2の部材は、第1の位置から第2の位置まで前記第1の部材に対して移動するように動作可能であり、前記第2の部材は、前記第1の位置および前記第2の位置のどちらにある間も、前記第1の部材と連結されたままであるように構成され、
前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記プランジャの前記一部に係合するように位置付けられ、前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記プランジャの前記一部が前記第1の停止面に到達するのを妨げるようにさらに構成され、
前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第2の位置にあるときに前記プランジャの前記一部が前記第1の停止面に到達するのを妨げないように位置付けられている、装置。
(2) 前記第1の部材は、
(i)細長い本体部分と、
(ii)前記本体部分に対して横断方向に延びる柄部分と、
を含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記本体部分は、前記シリンジバレルを受容するように構成された凹部を画定する、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記本体部分は、前記シリンジバレルとのスナップ嵌めを提供するように構成されている、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記柄部分は、前記シリンジバレルのフィンガーフランジを受容するように構成されたスロットを含む、実施態様2~4のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0112】
(6) 前記柄部分は、前記柄部分から上方に延びるプランジャ停止部分を含み、前記本体部分は、前記柄部分から下方に延び、前記プランジャ停止部分は、前記第1の停止面を含む、実施態様2~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
(7) 前記第1の停止面は、前記シリンジバレルに対する前記プランジャの遠位長手方向移動を阻止するように構成され、前記第2の停止面は、前記シリンジバレルに対する前記プランジャの遠位長手方向移動を阻止するように構成されている、実施態様1~6のいずれか1つ以上に記載の装置。
(8) 前記第2の部材は、前記第1の部材と枢動可能に連結され、前記第2の部材は、前記第1の位置から前記第2の位置まで前記第1の部材に対して枢動するように動作可能である、実施態様1~7のいずれか1つ以上に記載の装置。
(9) ピンをさらに含み、前記ピンは、前記第2の部材を前記第1の部材と枢動可能に連結する、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記第1の停止面および前記第2の停止面は、前記プランジャのサムフランジに係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの長手方向移動を阻止するように構成されている、実施態様1~9のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0113】
(11) 前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、前記第1の停止面に対して近位に位置付けられている、実施態様1~10のいずれか1つ以上に記載の装置。
(12) 前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、前記第1の停止面に対して近位に位置付けられている、実施態様1~11のいずれか1つ以上に記載の装置。
(13) 前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、約1mm~約7mmの距離だけ、前記第1の停止面に対して近位に位置付けられている、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、前記第1の停止面に対して横方向に位置付けられている、実施態様1~13のいずれか1つ以上に記載の装置。
(15) 前記第2の部材は、キャッチをさらに含み、前記第2の部材は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに、前記キャッチと前記第2の停止面との間に前記プランジャの前記一部を捕捉するように構成されている、実施態様1~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0114】
(16) 前記キャッチは、下面を含み、前記下面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記プランジャのフィンガーフランジの上面に当接するように構成され、前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記フィンガーフランジの下面に当接するように構成されている、実施態様15に記載の装置。
(17) シリンジをさらに含み、前記シリンジは、
(i)前記第1の部材と連結されたバレルと、
(ii)前記バレル内にスライド可能に配されたプランジャと、
を含む、実施態様1~16のいずれか1つ以上に記載の装置。
(18) 送達器具をさらに含み、前記送達器具は、
(i)患者の眼の脈絡膜と強膜との間に適合するように構成された可撓性カニューレと、
(ii)前記カニューレ内にスライド可能に配され、前記シリンジの前記バレルと流体連通する内腔を画定する針と、
を含む、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記器具は、前記カニューレに対して長手方向に前記針を駆動するように動作可能なアクチュエータをさらに含み、針は、前記脈絡膜を横断し、それによって、前記シリンジバレルから前記患者の眼の網膜下腔へ流体を送達するように構成されている、実施態様18に記載の装置。
(20) 装置であって、
(a)シリンジバレルの一部を受容するように構成された第1の部材であって、前記第1の部材は、プランジャの一部に係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの遠位長手方向移動を阻止するように構成された第1の停止面を含む、第1の部材と、
(b)前記第1の部材と連結された第2の部材であって、前記第2の部材は、
(i)プランジャの前記一部に係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの遠位長手方向移動を妨げるように構成された第2の停止面と、
(ii)プランジャの前記一部に係合し、それによって前記シリンジバレルに対する前記プランジャの近位長手方向移動を妨げるように構成された第3の停止面と、
を含む、第2の部材と、
を含み、
前記第2の部材は、第1の位置から第2の位置まで前記第1の部材に対して移動するように動作可能であり、
前記第2の停止面および前記第3の停止面は、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記プランジャの前記一部に係合するように位置付けられ、
前記第2の停止面は、前記第2の部材が前記第2の位置にあるときに前記プランジャの前記一部が前記第1の停止面に到達するのを可能にするように位置付けられている、装置。
【0115】
(21) 前記第2の部材は、前記第1の位置および前記第2の位置のどちらにある間も、前記第1の部材と連結されたままであるように構成されている、実施態様20に記載の装置。
(22) 方法であって、
(a)組立体を把持することであって、前記組立体は、
(i)投薬クリップ組立体であって、
(1)第1の部材と、
(2)前記第1の部材と連結された第2の部材と、
を含む、投薬クリップ組立体と、
(ii)シリンジであって、
(1)配されたバレルと、
(2)プランジャと、
を含み、前記プランジャは、前記バレル内にスライド可能に配されている、シリンジと、
を含む、ことと、
(b)前記プランジャを前記バレルに対して近位に後退させ、それによって流体源から前記バレル内に流体を引き込むことであって、前記プランジャは、第1の長手方向位置まで後退される、ことと、
(c)前記シリンジの前記バレルを前記投薬クリップ組立体の前記第1の部材に挿入することと、
(d)前記流体源を前記バレルから分離することと、
(e)前記シリンジの前記バレルが前記投薬クリップ組立体の前記第1の部材内に配され、前記第2の部材が前記第1の部材に対して第1の位置にある状態で、前記プランジャを第2の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させることであって、前記プランジャは、前記第2の長手方向位置において前記第2の部材に係合し、前記第1の位置にある前記第2の部材は、前記プランジャが前記バレルに対してさらに遠位に前進するのを妨げる、ことと、
(f)前記第2の部材を前記第1の位置から第2の位置まで前記第1の部材に対して移動させることであって、前記第2の位置にある前記第2の部材は、前記プランジャが前記バレルに対してさらに遠位に前進するのをもはや妨げない、ことと、
(g)前記第2の部材が前記第2の位置にある状態で、前記プランジャを前記第2の長手方向位置から第3の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させることと、
を含む、方法。
(23) 前記第2の部材は、前記シリンジの前記バレルを前記投薬クリップ組立体の前記第1の部材に挿入する動作の間、前記第2の位置にある、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記バレルを流体送達器具と連結することをさらに含む、実施態様22~23のいずれか1つ以上に記載の方法。
(25) 前記バレルを流体送達器具と連結する動作は、前記流体源を前記バレルから分離する動作の後で、かつ、前記プランジャを前記第2の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させる動作の前に行われる、実施態様24に記載の方法。
【0116】
(26) 前記プランジャを前記第2の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させる動作は、前記バレルから前記流体送達器具の流体送達部分までの流体経路のプライミングを提供する、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記プランジャを前記第2の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させる動作の後、前記第2の部材は、前記プランジャが前記バレルに対して近位に後退するのをさらに妨げる、実施態様22~26のいずれか1つ以上に記載の方法。
(28) 前記第2の部材は、キャッチを含み、前記キャッチは、前記プランジャが前記バレルに対して近位に後退するのを妨げる、実施態様27に記載の方法。
(29) 前記プランジャを前記第2の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させる動作は、前記プランジャの一部で前記キャッチのカム面を横断することを含む、実施態様28に記載の方法。
(30) 前記第2の部材を前記第1の位置から前記第2の位置まで前記第1の部材に対して移動させる動作は、前記第1の部材に対して前記第2の部材を枢動させることを含む、実施態様22~29のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0117】
(31) 前記第2の部材は、前記第2の部材を前記第1の位置から前記第2の位置まで前記第1の部材に対して移動させる動作の後で、前記第1の部材と枢動可能に連結されたままである、実施態様30に記載の方法。
(32) 前記第1の部材はボスを含み、前記ボスは、前記第1の部材に対する前記第2の部材の枢動運動を制限するように構成され、前記ボスは、前記第2の部材が前記第2の位置に到達したときに前記第2の部材の枢動運動を阻止する、実施態様30~31のいずれか1つ以上に記載の方法。
(33) 前記プランジャを前記第2の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させる動作を行う前に、前記第2の部材を前記第2の位置から前記第1の位置まで移動させることをさらに含む、実施態様22~32のいずれか1つ以上に記載の方法。
(34) 前記第1の部材は、前記プランジャが前記第3の長手方向位置に到達したときに前記プランジャの遠位移動を阻止し、前記第1の部材は、前記プランジャが前記バレルに対してさらに遠位に前進するのを妨げる、実施態様22~33のいずれか1つ以上に記載の方法。
(35) 前記プランジャを前記バレルに対して近位に後退させ、それによって前記流体源から前記バレル内に流体を引き込む動作は、前記プランジャを第4の長手方向位置から前記第1の長手方向位置まで後退させることをさらに含む、実施態様22~33のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0118】
(36) 前記第4の長手方向位置は、前記第3の長手方向位置よりも遠位である、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記流体源を前記バレルから分離する動作は、前記シリンジの前記バレルを前記投薬クリップ組立体の前記第1の部材に挿入する動作の前に実施される、実施態様22~36のいずれか1つ以上に記載の方法。
(38) 前記第2の部材を前記第1の位置から前記第2の位置まで前記第1の部材に対して移動させる動作、および、前記プランジャを前記第2の長手方向位置から前記第3の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させる動作は、片手のみを用いて行われる、実施態様22~37のいずれか1つ以上に記載の方法。
(39) 前記片手の指は、前記第2の部材を前記第1の位置から前記第2の位置まで前記第1の部材に対して移動させる動作、および前記プランジャを前記第2の長手方向位置から前記第3の長手方向位置まで前記バレルに対して遠位に前進させる動作の間、前記第1の部材を把持するために使用され、前記片手の親指は、前記第2の部材を前記第1の位置から前記第2の位置まで前記第1の部材に対して移動させるために使用される、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記流体源は、先頭のブレブ流体および治療薬からなる群から選択される流体を含む、実施態様22~39のいずれか1つ以上に記載の方法。