(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】超音波スキャニングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2022522580
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 US2020055886
(87)【国際公開番号】W WO2021076833
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-09
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503129763
【氏名又は名称】ベラソン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Verathon Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パドワル、モナーリ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】セイバー、ナッサール
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フーシン
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533385(JP,A)
【文献】特開2011-056291(JP,A)
【文献】特開2004-329608(JP,A)
【文献】国際公開第2018/065720(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/054969(WO,A1)
【文献】特表2013-539715(JP,A)
【文献】特開2011-110432(JP,A)
【文献】国際公開第2007/087522(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体上に置かれるハウジング内に、又は前記身体上に置かれる柔軟なストリップ上に配置された複数のトランスデューサであって、
ターゲットの血管に方向付けられた超音波信号を送信し、また
送信された前記超音波信号に関連するエコー情報を受信する
ように構成された複数のトランスデューサと、
少なくとも1つの処理デバイスであって、
前記エコー情報を処理して、前記ターゲットの血管の複数の超音波画像を生成し、
前記複数の超音波画像に基づいて、複数の箇所での前記ターゲットの血管の推定直径を生成し、
前記複数の超音波画像に基づいて、前記ターゲットの血管に関連する画像情報を出力し、また
前記画像情報に基づいて、前記ターゲットの血管の最大推定直径又は前記複数の箇所での前記推定直径のうちの少なくとも1つを出力する
ように構成された少なくとも1つの処理デバイスと、
複数のポジション・センサ又はエンコーダであって、前記複数のトランスデューサのそれぞれが、前記複数のポジション・センサ又はエンコーダのうちの1つに隣接して配置される、複数のポジション・センサ又はエンコーダと
を有し、
前
記ターゲットの血管に関連する画像情報を出力するとき、前記少なくとも1つの処理デバイスはさらに、
前記複数のポジション・センサ又はエンコーダからのデータに基づいて前記複数の超音波画像のそれぞれに関連する相対位置を判断し、また
前記複数の超音波画像のそれぞれに関連して判断された前記相対位置に基づいて、前記ターゲットの血管の画像を生成するように前記複数の超音波画像のうちの少なくとも幾つかを組み合わせ且つ回転させる
ように構成されている、システム。
【請求項2】
前記ターゲットの血管が腹部大動脈であり、前記少なくとも1つの処理デバイスはさらに、前記最大推定直径に基づいて腹部大動脈瘤の可能性を判断するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のトランスデューサが、複数の容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)又は複数の圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)を有し、前記システムは、前記複数のCMUT又はPMUTを収容するように構成された、剛性、半剛性又は柔軟なハウジングをさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハウジングが複数の部分を有し、前記部分のうちの少なくとも幾つかは、前記部分のうちの隣接する1つに対して角度的にオフセットするように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの処理デバイスは、前記ハウジングに対して外部に配置され、前記ハウジングは、エコー情報及び位置情報を前記少なくとも1つの処理デバイスへ送るように構成された送信デバイスを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、ディスプレイをさらに有し、前記ディスプレイは、
前記ターゲットの血管を示す画像情報を表示し、また
前記ターゲットの血管の前記推定最大直径を示す情報を表示する
ように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のトランスデューサは、複数の柔軟なストリップ上に配置され、前記柔軟なストリップのそれぞれが、前記身体の表面上の異なる箇所に配置されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
身体上に置かれるハウジング内に、又は前記身体上に置かれる柔軟なストリップ上に配置された複数の超音波トランスデューサによって、ターゲットの血管に方向付けられた超音波信号を送信することと、
送信された前記超音波信号に関連するエコー情報を受信することと、
前記エコー情報を処理して、前記ターゲットの血管の複数の超音波画像を生成することと、
複数のポジション・センサであって、前記複数の超音波トランスデューサのそれぞれが前記複数のポジション・センサのうちの1つに隣接して配置される、複数のポジション・センサを用いて、前記複数の超音波画像のそれぞれに関連する相対位置情報を判断することと、
前相対位置情報基づいて前記複数の画像のうちの少なくとも幾つかを組み合わせ且つ回転させることと、
前記複数の超音波画像に基づいて、複数の箇所での前記ターゲットの血管の推定直径を生成することと、
前記ターゲットの血管に関連する画像情報を出力することと、
前記画像情報に基づいて、前記ターゲットの血管の最大推定直径又は前記複数の箇所での前記推定直径のうちの少なくとも1つを出力することと
を含む、方法。
【請求項9】
前記ターゲットの血管が腹部大動脈である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の超音波トランスデューサが、複数の容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)、複数の圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、又は複数のトランスデューサの曲線アレイのうちの少なくとも1つを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ターゲットの血管を示す前記画像情報を表示することと、
前記ターゲットの血管の前記推定最大直径を示す情報を表示することと
をさらに含み、
前記ターゲットの血管が、腕又は脚における血管である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
命令のシーケンスが記憶された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令のシーケンスは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、
身体上に置かれるハウジング内に、又は前記身体上に置かれる柔軟なストリップ上に配置された複数の超音波トランスデューサによって、血管又は身体部分を含むターゲットに方向付けられた超音波信号を送信させ、
送信された前記超音波信号に関連するエコー情報を受信させ、
前記エコー情報を処理させて、前記ターゲットの複数の超音波画像を生成させ、
複数のポジション・センサであって、前記複数の超音波トランスデューサのそれぞれが前記複数のポジション・センサのうちの1つに隣接して配置される、複数のポジション・センサを用いて、前記複数の超音波画像のそれぞれに関連する相対位置情報を判断させ、
前記相対位置情報に基づいて前記複数の画像のうちの少なくとも幾つかを組み合わさせ、
前記複数の超音波画像に基づいて、複数の箇所でのターゲットに関連する推定パラメータを生成させ、
前記ターゲットに関連する画像情報を出力させ、また
前記ターゲットにおける潜在的な欠陥に関連する情報を出力させる、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記ターゲットは、腹部大動脈、四肢における血管又は脊柱を含む、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記複数のトランスデューサは、前記複数の超音波画像を生成するためにパルス波ドップラ又はカラー・ドップラのうちの少なくとも1つを使用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の超音波トランスデューサは、前記複数の超音波画像を生成するためにパルス波ドップラ又はカラー・ドップラのうちの少なくとも1つを使用する、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
腹部大動脈瘤(AAA)とは、通常横隔膜と大動脈分岐との間に位置する大動脈の膨張を指す。AAAのための腹部大動脈のモニタリングは、一般にコンピュータ断層撮影(CT)スキャン又は磁気共鳴映像法(MRI)によって達成される。しかし、放射線を使用するCTスキャンやMRIなどの画像診断法は通常、施行するのにコストがかかり、また時間のかかる手段である。
【0002】
その他の状況において、腹部大動脈に関連する特徴(feature)を測定するために超音波スキャナが使用され得る。しかし、超音波を介した腹部大動脈の特徴のモニタリングは、特に超音波イメージングに関連する低い画質により困難である。加えてAAAの現在の超音波検査は、1つの二次元画像から得られる前後方向測定を行うことを必要とする。このような超音波画像を分析する医療従事者は、しばしば、画像平面の誤った配向に基づいてAAAを測定することに関連する誤りを生じ、その結果、AAAの不正確な測定を生じる。さらに、従来の超音波スキャナを使用する場合、オペレータが十分に熟練していないと、オペレータが分析のために腹部大動脈全体の画像を捉えることが困難である。その結果、腹部大動脈の分析はしばしば不完全となる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1A】例示的実装による超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図1B】別の例示的実装による別の超音波トランスデューサ・システムの側面図である。
【
図1C】別の例示的実装による別の超音波トランスデューサ・システムの側面図である。
【
図1D】トランスデューサに関連する視野を示す、
図1Cのトランスデューサ・システムの側面図である。
【
図2】別の例示的実装による別の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図3】別の例示的実装による曲線超音波プローブを示す図である。
【
図4】
図1A~1C、
図2及び/又は
図3の超音波トランスデューサ・システムに含まれた論理素子の例示的構成を示す図である。
【
図5】例示的実装によるベース・ユニット又はコントローラに含まれた論理素子の例示的構成を示す図である。
【
図6】
図1A~5の素子のうちの1つ又は複数に含まれた構成要素の例示的構成を示す図である。
【
図7】例示的実装による腹部大動脈をスキャンすることに関連する流れ図である。
【
図8】例示的実装による患者への
図1Aの超音波トランスデューサ・システムの例示的配置を示す図である。
【
図9A】例示的実装により生成された超音波画像である。
【
図9B】例示的実装により生成された超音波画像である。
【
図10】例示的実装による
図7の処理に関連する例示的ディスプレイを示す図である。
【
図11A】別の例示的実装により生成された超音波画像である。
【
図11B】別の例示的実装により生成された超音波画像である。
【
図12】別の例示的実装による患者における別の超音波プローブの使用を示す図である。
【
図13A】その他の例示的実装による線形パターンに構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図13B】その他の例示的実装による線形パターンに構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図13C】その他の例示的実装による線形パターンに構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図13D】その他の例示的実装による線形パターンに構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図14A】その他の例示的実装によるその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図14B】その他の例示的実装によるその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図14C】その他の例示的実装によるその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図15A】その他の例示的実装による放射状パターンで構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図15B】その他の例示的実装による放射状パターンで構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図15C】その他の例示的実装による放射状パターンで構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図16A】その他の例示的実装による多次元パターンで構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図16B】その他の例示的実装による多次元パターンで構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図16C】その他の例示的実装による多次元パターンで構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図16D】その他の例示的実装による多次元パターンで構成されたその他の超音波トランスデューサ・システムの平面図である。
【
図17A】例示的実装による腸ガス又はその他の障害物の影響を緩和するために使用される別の例示的な超音波トランスデューサ・システムの図である。
【
図17B】例示的実装による腸ガス又はその他の障害物の影響を緩和するために使用される別の例示的な超音波トランスデューサ・システムの図である。
【
図18】別の例示的実装による超音波トランスデューサ・システムの別の使用法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を識別し得る。また、以下の詳細な説明は、本発明を限定しない。
【0005】
本明細書に説明されている実装は、腹部大動脈及び腹部大動脈瘤(AAA)の可能な存在を識別するために超音波イメージングを使用することに関する。1つの例示的実装によれば、腹部大動脈の超音波イメージングは、腹部大動脈の画像を提供する静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)のアレイを使用して行われ得る。別の実装では、超音波イメージングは、圧電トランスデューサ素子の曲線アレイ又は圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)のアレイを使用して行われ得る。それぞれの場合において、超音波イメージングは、腹部大動脈全体の画像を提供し、存在する場合にはAAAを識別し得る。本明細書に説明されている実装は、腹部大動脈の直径及び/又はその他のパラメータを自動的に測定する場合もあり、これは、AAAが存在するかどうかを示す情報を提供し得る。
【0006】
幾つかの実装では、超音波トランスデューサ(例えば、CMUTトランスデューサ)に関連するポジション・センサ又はエンコーダが、個々のCMUTトランスデューサによって生成された様々な二次元画像を組み合わせることを助けるために使用され得る。ポジション・センサ及びエンコーダは、腹部大動脈全体のより正確な表示及び腹部大動脈に関連するより正確な測定を提供することを助けることができる。さらに、ニューラル・ネットワーク及びディープラーニングを使用することを含む機械学習も、超音波スキャンを介して得られた情報に基づいて患者における腹部大動脈、若しくは関心のあるその他の血管、器官又は構造を識別及び/又は測定することを助けるために使用され得る。
【0007】
図1Aは、例示的実装によりAAAを識別及び測定するために使用され得る例示的なCMUTストリップ・トランスデューサ・システム100(本明細書ではCMUTシステム100とも呼ばれる)の平面図である。
図1Aを参照すると、CMUTシステム100は、ハウジング110と、CMUT122-1~122-5(個々にCMUT122、122-X又はトランスデューサ122、若しくは集合的にCMUT122又はトランスデューサ122と呼ばれる)と、ケーブル/コネクタ130とを含む。CMUTシステム100は、トランスデューサ122に電力を提供する又はトランスデューサ122を作動させるなど、CMUTシステム100を制御するのを助ける制御関連エレクトロニクス(図示せず)などの追加的な要素も含み得る。
【0008】
1つの実装では、ハウジング110は、トランスデューサ122の作動を制御することに関連するエレクトロニクス/回路(図示せず)と共にCMUT122を支持/収容する剛性又は半剛性のハウジングであり得る。その他の実装では、ハウジング110は、CMUT122及びエレクトロニクスを支持する柔軟なベルト又はストリップであり得る。ハウジング110は、患者の腹部領域に配置され、選択的に、ハウジング110がハウジング110の全長に沿って患者の腹部に接触することを保証するために患者の腹部にテープ止めされ得る。CMUT122は、以下でより詳細に説明するように、超音波画像を生成するために電力を供給され得る。例示的実装では、ハウジング110は、CMUT122からの画像を組み合わせることを助けるポジション・センサ(
図1Aには示されていない)も含み得る。
【0009】
各CMUT122は、並列に接続され得る小さなコンデンサ・セルのアレイなどの、1つ又は複数のセルを含み得る。例えば、CMUT122の各セルは、柔軟であり得る上部電極と、固定された下部電極とを含み得る。上部電極と下部電極との間には小さなギャップが形成されており、コンデンサを形成している。動作中、上部電極に電圧が印加されて、CMUT122が超音波信号を生成することができ、この超音波信号は、以下でより詳細に説明するように、腹部大動脈などの関心のあるターゲットのためのイメージング情報を生成するために使用され得る。
【0010】
CMUTシステム100において、CMUT122は、一次元パターンで構成されており、各CMUT122は、隣接するCMUT122に対して平行に向けられ且つ隣接するCMUT122から分離されている。この形式において、CMUT122はまとまって、腹部大動脈全体を捉える視野を獲得する。すなわち、関心のあるターゲット(例えば、この場合は腹部大動脈)の長さに基づいて、CMUT122の数及び隣接するCMUT122の間の分離は、CMUT122によって生成される超音波信号が腹部大動脈の全長に到達するように送信されるように設計されている。その結果、ハウジング110の全長及びCMUT122の数は、患者の身長に基づき得る。例えば、成人のスキャンのためには、CMUTシステム100は、子供のために使用されるCMUTシステム100よりも多くのCMUT122を含む、より長いハウジング110を含み得る。加えて、1つのCMUT122の視野は、隣接するCMUT122の視野と重なり合う場合がある。次いで、以下でより詳細に説明するように、CMUT122からの画像は、腹部大動脈などの関心のあるターゲットの完全な表示を提供するために組み合わされ得る。
【0011】
コネクタ/ケーブル130は、一方の端部において、CMUTシステム100を使用した超音波スキャンを開始するために医療従事者によって使用されるベース・ユニット/コントローラに結合され、他方の端部において、CMUTシステム100に結合され得る。1つの実装では、ベース・ユニット/コントローラは、CMUT122を作動させるために制御信号及び電力の両方を提供する。以下で詳細に説明するように、例えば、超音波スキャンの開始に応答して、電圧がコントローラからケーブル130を介してCMUT122に供給され得る。
【0012】
図1Bは、CMUT122を含む別の例示的なCMUTストリップ・トランスデューサ・システム140の側面図を示す。この実装では、CMUTストリップ・トランスデューサ・システム140(CMUTシステム140とも呼ばれる)は、半剛性又は柔軟なハウジング150を含む。ハウジング150は、
図1Bの例では円形の断面形状を有する要素/構造154を介して互いに接続された幾つかのセクション又は部分152から構成され得る。要素154は、ハウジング150の幅だけ延びており、各セクション152が、隣接するセクション152に対して角度方向で(角度的に)オフセットすることを可能にし得る。要素154は、ハウジング150が腹部の輪郭などの人体の輪郭に付着することを可能にするための回転軸又はヒンジとして作用し得る。すなわち、CMUTシステム140の各セクション152は、CMUTシステム140が患者の腹部/中間セクションの輪郭に従うように、患者の腹部の部分と接触し得る。これは、トランスデューサ122が、患者の皮膚との接触を維持し、腹部大動脈などの関心のあるターゲットの全長に沿って高品質な画像を取得することを可能にし得る。幾つかの実装では、CMUT122のそれぞれは、腸ガスの影などの、超音波イメージングにおけるアーチファクトを低減するために、湾曲した皮膚表面との良好な接触を保証するように個々に調整され得る。
【0013】
CMUTシステム140は、ポジション・センサ160を含む場合もある。ポジション・センサ160は、トランスデューサ122からのポジション・センサ160からの位置情報に基づいて(例えば、それぞれのトランスデューサ122の位置に基づいて)、ベース・ユニット/コントローラが、トランスデューサ122からの画像を回転させることによって画像を「位置合わせ(位置決め)」することを可能にし得る。例えば、CMUT122は、重なり合った視野又は重なり合わない視野を持つイメージング平面を生成し得る。各ポジション・センサ160は、ハウジング150の端部又は側部、隣接するトランスデューサ122、隣接するポジション・エンコーダ160などの基準点に関してロケーション又は位置(position)情報を生成し得る。例示的実装では、ポジション・センサ160は、互いに角度方向でオフセットし得る、トランスデューサ122によって生成された画像に関する角度情報を含む位置情報を提供するジャイロスコープ及び/又は加速度計などの微小電気機械(MEMS)ポジション・センサであり得る。位置情報に基づいて、ベース・ユニット/コントローラは、以下でより詳細に説明するように、CMUT122によって生成されたBモード画像などの画像を位置合わせし、次いで、組み合わせ、関心のあるターゲット全体の正確な画像を生成し得る。例えば、ベース・ユニット/コントローラは、位置情報に基づいて画像を適切に回転させることによって複数のB-モード画像を位置合わせすることができる。異なるCMUTに関連する複数のBモード画像が互いに重なり合う幾つかの構成では、以下でより詳細に説明するように、重なり合った画像は、位置合わせ後に共にスティッチング(縫合)され、又は組み合わされ得る。画像が重なり合わない状況では、以下で詳細に説明するように、画像は、腹部大動脈全体の表示を生成するために使用される場合もある。
【0014】
図1Cは、CMUT122を含む別の例示的なCMUTストリップ・トランスデューサ・システム170の側面図を示す。この実装では、CMUTストリップ・トランスデューサ・システム170(本明細書ではCMUTシステム170とも呼ばれる)は、
図1Bに関連して上記で説明したハウジング150と同様の半剛性又は柔軟なハウジング180を含む。すなわち、ハウジング180は、円形の断面形状を有し且つハウジング180の幅だけ延びる要素190を介して互いに接続された幾つかのセクション又は部分182から構成され得る。要素190は、各セクション182が、隣接するセクション182に対して角度方向でオフセットすることを可能にし、各セクション182が、患者の腹部の部分と接触することを可能にし得る。
【0015】
この実装では、要素190は、ポジション・エンコーダも含み得る。ポジション・エンコーダは、トランスデューサ122からの画像に関連する位置情報を提供して、ポジション・エンコーダ190によって提供されたそれぞれのトランスデューサ122の位置に基づいてトランスデューサ122からの様々な画像を位置合わせし且つ/又は組み合わせることを可能にする。例えば、1つの実装では、CMUT122は、
図1Dに示したように、重なり合った視野を持つイメージング平面を生成し得る。
図1Dを参照すると、CMUT122-1~122-5は、それぞれ隣接する視野と重なり合った視野128-1~128-5を持つ超音波信号を提供し得る。以下でより詳細に説明するように、ポジション・エンコーダ190からの情報に基づいて、ベース・ユニット/コントローラは、重なり合った視野128-1~128-5を含む超音波画像(例えば、Bモード画像)を組み合わせ、関心のあるターゲット(例えば、腹部大動脈)の全長に沿って、関心のあるターゲットの正確な画像を生成し得る。その他の実装では、CMUT122に関連する視野は、互いに重なり合っていない場合がある。
【0016】
図2は、例示的実装による、腹部大動脈を撮像及び測定するために使用され得る別の例示的なCMUTストリップ・トランスデューサ・システム200の平面図である。
図2を参照すると、ハウジング210と、CMUT222-1~222-4(個々にCMUT222、222-X又はトランスデューサ222、若しくは集合的にCMUT222又はトランスデューサ222と呼ばれる)と、CMUT224-1~224-4(個々にCMUT224、224-X又はトランスデューサ224、若しくは集合的にCMUT224又はトランスデューサ224と呼ばれる)とを含む。この実装では、CMUT222及び224は対を成して配置される場合があり、その際、各CMUT222は第1の方向に向けられ、各CMUT224は、隣接するCMUT222に対して垂直に向けられている。この実装では、CMUT222及び224は、二平面イメージングを提供する場合があり、この場合、矢状方向及び横方向の両表示は、CMUTシステム200の各ロケーションにおける各CMUT対222及び224によって提供され得る。加えて、トランスデューサ222に対して垂直なトランスデューサ224の向きは、
図1Dに示された視野に対して直交方向に延びる視野を提供する。この実装では、比較的経験の少ない医療従事者が、特にCMUTシステム200によって提供される矢状方向及び横方向の視野により、腹部大動脈を完全に捉えるためにCMUTシステム200を使用することができる場合がある。
【0017】
1つの実装では、ハウジング210は、トランスデューサ222及び224の作動を制御することに関連するエレクトロニクス/回路(図示せず)と共にCMUT222及び224を支持/収容する剛性、半剛性又は柔軟なハウジングであり得る。ハウジング210は、患者の腹部領域に配置され、選択的に、患者の腹部領域にテープ止め又はその他の方法で付着させられ得る。以下でより詳細に説明するように、CMUT222及び224は、超音波画像を生成するために電力を供給され得る。例示的実装では、ハウジング110は、
図1B及び
図1Cに関連して上記で説明したもの(例えば、ポジション・センサ/エンコーダ160及び190)と類似のポジション・センサ(
図2には示されていない)も含む場合があり、このポジション・センサは、位置情報に基づいて画像を位置合わせし且つ回転させ且つ/又はCMUT222及び224からの画像を組み合わせることを助ける。加えて、CMUTシステム200は、患者の身体の輪郭に合致するように、
図1B及び
図1Cに関連して上記で説明したものと類似の、互いに対して角度方向でオフセットした部分を含み得る。
【0018】
各CMUT222及び224は、上記で説明したCMUT122と類似であり得る。すなわち、各CMUT222及び224は、1つ又は複数のセルを含む場合があり、各セルは、コンデンサを形成するようにギャップによって分離された上部及び下部電極を含む。動作中、電圧が上部電極に印加される場合があり、トランスデューサ222及び224は超音波信号を生成し、この超音波信号は、以下でより詳細に説明するように、腹部大動脈などの関心のあるターゲットのイメージング情報を生成するために使用され得る。
【0019】
コネクタ/ケーブル230は、上記で説明したケーブル130と類似であり得る。例えば、トランスデューサ222及び224を作動させ、超音波信号を生成するために、電圧及び制御信号が、ベース・ユニット/コントローラからトランスデューサ222及び224にケーブル230を介して供給され得る。
【0020】
図3は、本明細書に説明された別の例示的実装により使用され得る、超音波プローブ300の図である。例えば、超音波プローブ300は、腹部大動脈などの関心のあるターゲットをスキャンするために使用され得る。
図3を参照すると、超音波プローブ300は、回転モータに結合された、トランスデューサ要素の一次元(1D)アレイを含み得る。この実装では、超音波プローブ300は、ドーム315に接続されたベース310と、シータ・モータ320(回転モータ320とも呼ばれる)と、スピンドル330と、1Dトランスデューサ・アレイ375を有するトランスデューサ・バケット370とを含み得る。シータ・モータ320及び/又は1Dトランスデューサ・アレイ375は、シータ・モータ320及び/又は1Dトランスデューサ・アレイ375をベース・ユニット/コントローラ・ユニット(
図3には示されていない)に電気的に接続する、有線又は無線電気接続を含み得る。
【0021】
ベース310は、シータ・モータ320を収容し、超音波プローブ300に構造的支持を提供し得る。ベース310は、ドーム315に接続される場合があり、超音波プローブ300の構成要素を外部環境から保護するためにドーム315とシールを形成し得る。シータ・モータ320は、シータ回転平面325で回転することによって、スピンドル330をベース310に対して、1Dトランスデューサ・アレイ375に対して長手方向に回転させることができる。スピンドル330は、トランスデューサ・バケット370において終わっている場合がある。1Dトランスデューサ・アレイ375は、トランスデューサ・バケット370に取り付けられている場合がある。1Dトランスデューサ・アレイ375は、圧電トランスデューサ、容量型トランスデューサ及び/又はその他のタイプの超音波トランスデューサの湾曲した1Dアレイを含み得る。代わりに、1Dトランスデューサ・アレイ375は、圧電トランスデューサの線形アレイ又は位相付けされたアレイを含み得る。1Dトランスデューサ・アレイ375は、電気信号を、特定の超音波周波数又は超音波周波数の範囲の超音波信号に変換することができ、反射された超音波信号(例えば、エコーなど)を受信することができ、受信した超音波信号を電気信号に変換することができる。例示的実装では、プローブ300は、約2メガヘルツ(MHz)~約10MHz以上(例えば、18MHz)にわたる範囲の超音波信号を送信する。1Dトランスデューサ・アレイ375の各要素は、
図3に376として示された1セットの方向のうちの特定の方向において超音波信号を送信及び受信し得る。したがって、まとまって、1Dトランスデューサ・アレイ375の要素は、特定の平面のための超音波画像データを生成し得る。三次元(3D)スキャン・モードでは、シータ・モータ320は、1セットの平面を1回又は複数回循環して、関心のある領域の完全な3Dスキャンを取得し得る。1セットの平面のうちのそれぞれの特定の平面において、1Dトランスデューサ・アレイ375は、特定の平面のための超音波画像データを取得し得る。
【0022】
幾つかの実装では、超音波プローブ300は、ベース310、シータ・モータ320及び/又はドーム315を含まない場合がある。例えば、超音波プローブ300は、以下で詳細に説明するように、腹部大動脈の画像を取得するために、患者の腹部上の位置などの異なる位置へユーザによって手動で移動させられる手持ち式プローブに対応し得る。
【0023】
図4は、例示的実装による、CMUTストリップ・トランスデューサ・システム100、140、170及び/又は200及び/又はプローブ300において実装される関数論理構成要素400のブロック図である。例えば、CMUTシステム100、140、170及び/又は200の場合、構成要素400は、それぞれハウジング110、150、180及び210内に実装され得る。プローブ300の場合、構成要素400は、トランスデューサ・バケット370内、ドーム315内又はプローブ300の別の部分において実装され得る。
図4を参照すると、構成要素400は、コントローラ440に結合された、アナログ・フロント・エンド410と、ビームフォーマ420と、データ収集ユニット430とを含む。
【0024】
AFE410は、それぞれのトランスデューサ122、222、224及び/又は375を動作させるために、送信及び受信信号制御論理を含み得る。例示的実装では、AFE410は、コントローラ440から制御信号を受信し得る。コントローラ440は、CMUTシステム100/140/170/200及び/又はプローブ300に対して外部に配置されたベース・ユニット内に含まれる場合があり、以下でより詳細に説明するように、腹部大動脈などの関心のあるターゲットのスキャンを開始するために医療従事者によって動作させられ得る。
【0025】
AFE410は、超音波スキャンを開始するために、ケーブル130/230を介してコントローラ440から入力を受信し、ビームフォーマ420に信号を送る制御論理も含み得る。例えば、コントローラ440は、医療従事者が腹部大動脈スキャンなどのスキャンを開始することを可能にするために、1つ又は複数の入力ボタン、入力を有するグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)などを含み得る。コントローラ440は、ケーブル130/230を介してAFE410及び/又はビームフォーマ420に電力を提供する場合もある。AFE410は、スキャンを開始するための入力を受信し、ビームフォーマ420に信号を送って、CMUT122、222及び/又は224に電力を供給し、超音波信号を生成する。
【0026】
例えば、AFE410は、順次に又は同時に、
図1A~
図1Cに関連して上記で説明したCMUT122-1~122-5に電力を提供し、順次に又は同時に、
図2に関連して上記で説明したCMUT222-1~222-4及びCMUT224-1~224-4に電力を提供し得る。応答して、トランスデューサ122、222及び/又は224を含むビームフォーマ420は超音波信号を生成し、この超音波信号は腹部大動脈へ送信される。送信された超音波信号は、腹部大動脈から反射される。例示的実装では、ビームフォーマ420(例えば、CMUT122、222及び224)によって生成された超音波信号は、3.0メガヘルツ(MHz)を中心とする周波数帯を有し得る。しかしながら、ビームフォーマ420は、特定の用途に基づいてその他の周波数/周波数帯を有する超音波信号を生成し得ることを理解すべきである。
【0027】
データ収集ユニット430は、エコー信号を受信し、エコー信号を処理して、腹部大動脈のBモード画像などの画像データを生成し得る。代わりに、データ収集ユニット430は、コントローラ440による処理のために、受信したエコー信号を送信又は転送するための送信機を含む場合があり、コントローラは、以下でより詳細に説明するように、腹部大動脈の超音波画像を生成する。例示的実装により、データ収集ユニット430及び/又はコントローラ440によって行われるイメージングは、送信された超音波信号の基本的周波数に関連するエコー信号及び/又は基本周波数の高調波に関連するエコー信号を使用し得る。加えて、CMUTシステム100、140、170及び/又は200は、超音波画像を生成するために例示的実装においてパルス波ドップラ及び/又はカラー・ドップラを使用し得る。それぞれの場合、トランスデューサ122、222、224及び/又は375からのエコー信号は、腹部大動脈全体の画像を生成するために使用され得る。
【0028】
図4に示された例示的構成は、簡略化して提供されている。構成要素400は、
図4に示されたよりも多い又は少ない論理ユニット/デバイスを含み得る。例えば、構成要素400は、関心のある領域においてターゲットを識別するために超音波信号を分析するのを助けるために、外部ネットワークを介して情報を送信及び受信する通信インターフェース(例えば、無線周波数トランシーバ)などの追加の要素を含み得る。
【0029】
図5は、例示的実装による、コントローラ440において実装された関数論理構成要素のブロック図である。
図5を参照すると、コントローラ440は、スキャン開始論理510、血管/器官識別論理520、画像位置合わせ及びスティッチング論理530、後処理論理540及びディスプレイ550を含む。上述のように、例示的実装では、コントローラ440は、CMUTシステム110、140、170及び200及び/又は超音波信号を生成するために使用されるプローブ300に対して外部に配置され得る。幾つかの実装では、コントローラ440は、インターネット又は病院内、医師のオフィス内などのローカル・エリア・ネットワークへの無線接続を介して、CMUTシステム100/140/170/200及び/又はプローブ300に結合され得る。例えば、CMUTシステム100/140/170/200は、例えば、無線接続(例えば、WiFi又はその他の無線プロトコル/技術)を介してエコー・データ及び/又は画像データをコントローラ440に送信し得る。
【0030】
上記で説明したように、CMUTシステム100、140、170及び200は、超音波信号を生成する1つ又は複数のCMUTを含む場合があり、データ収集ユニット430は、送信された信号からのエコーを受信する1つ又は複数の受信機を含み得る。例示的実装では、データ収集ユニット430は、腹部大動脈を含む領域など、患者における関心のある領域に対応する複数のスキャン平面に関連するエコー・データ(例えば、基本周波数及び/又は基本周波数の高調波における)を取得する。データ収集ユニット430は、エコー・データを受信し、エコー・データをコントローラ400へ送信し得る。コントローラ440は、エコー・データを使用して、二次元(2D)Bモード画像データを生成し、腹部大動脈及び/又は腹部大動脈に位置するAAAのサイズを識別し得る。その他の実装では、データ収集ユニット430は、エコー・データを受信し、エコー・データは、三次元(3D)画像データを生成するように処理され、三次元(3D)データは、腹部大動脈内のAAAのサイズを判断するために使用することができる。
【0031】
スキャン開始論理510は、腹部大動脈スキャンなどの様々なタイプのスキャンを開始するための選択を備える、1つ又は複数の入力ボタン、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)などを含み得る。スキャン開始論理510は、ユーザ(例えば、医療従事者)からのスキャン入力選択を受信し、入力を識別し、且つスキャンを開始するための論理も含み得る。
【0032】
血管/器官識別論理520は、送信された超音波信号に応答して受信されたエコー・データを処理し、スキャンに関連する画像を生成し得る。例えば、血管/器官識別論理520は、例えば、画素強度の区別(例えば、データ収集ユニット430によって受信されたエコー・データ)に基づいて大動脈を検出し得る。血管識別の実例として、2D画像において、血液を輸送する血管は、より明るい影の画素の領域内の暗い領域として識別される場合があり、この場合、より明るい影の画素は、通常、体組織を表す。幾つかの実装では、血管/器官識別論理520は、データ収集ユニット430から受信した生のBモード画像データのノイズ・リダクションを適用する場合もある。
【0033】
画像位置合わせ及びスティッチング論理530は、データ収集ユニット430及び/又は血管/器官識別論理520からデータを受信し、ポジション・センサ160及び/又はポジション・エンコーダ190によって取得された位置情報に基づいて画像を回転させることによってBモード画像を位置合わせするための論理を含み得る。画像位置合わせ及びスティッチング論理530は、それぞれのトランスデューサからの視野が重なり合う場合など、トランスデューサ122、222及び/又は224に関連する様々な画像を組み合わせる場合もある。例えば、ハウジング140及び170内の特定のトランスデューサ122のロケーションに基づいて、超音波信号を生成するトランスデューサ122に関連する対応する位置又はロケーション情報を使用することによって、受信されたエコー情報が組み合わされ得る。すなわち、胸部領域の近くの腹部大動脈の上部からの画像が、上部腹部領域からの画像と組み合わされ、腹部大動脈全体の画像を共にスティッチングするか又は作り出すことができる。例えば、画像位置合わせ及びスティッチング論理530は、腹部大動脈に関連する全てのセグメントを組み合わせることによって腹部大動脈全体の画像を生成するための再構成機能を提供し得る。
【0034】
後処理論理540は、腹部大動脈の壁などの血管壁、AAAの存在などを識別するための論理を含み得る。後処理論理540は、血管の壁、AAAなどを規定するために「スムージング」機能も提供し得る。次いで、後処理論理540は、腹部大動脈及び存在するならばAAAのサイズを正確に識別し得る。例えば、後処理論理540は、AAAに対応し得る腹部大動脈の最大直径を判断し、且つ長さ、断面積などのその他のパラメータを識別し得る。この形式において、腹部大動脈及び可能なAAAの測定は、従来の2Dイメージングを使用することと比較してより正確となる。
【0035】
曲がりくねった3D管状構造を撮像する場合などの幾つかの実装では、断面図を使用してターゲット器官/血管の実際の直径を判断することは、正確でない場合がある。このような場合、後処理論理540は、2D断面画像ではなく、3D構造に基づいて直径を判断し得る。例えば、画像位置合わせ及びスティッチング論理530及び/又は後処理論理540は、ポジション・センサ/エンコーダ(例えば、ポジション・センサ160及び/又はエンコーダ190)からの情報を使用して3D空間において複数の断面画像を位置合わせし且つ/又は組み合わせる場合がある。画像が重なり合う場合などのその他の実例では、後処理論理540は、ポジション・センサ/エンコーダからの情報に頼ることなく、3D画像情報を生成するために相互相関などの画像ベースのアプローチを使用し得る。さらに他の実例では、画像位置合わせ及びスティッチング論理及び/又は後処理論理540は、複数の3D表示を位置合わせし且つ共にスティッチングし得る。例えば、3Dボリューム画像を生成するために、2つの直交するアレイ(例えば、トランスデューサ222-1及び224-1)を使用することができる。この場合、画像位置合わせ及びスティッチング論理530は、複数の3Dボリューム画像を共にスティッチングし得る。3Dイメージングを使用するこれらの実装のそれぞれにおいて、後処理論理540は、腹部大動脈の生成された3D画像情報に基づいて直径を判断し得る。
【0036】
幾つかの実装では、後処理論理540は、腹部大動脈を識別することを助けるための機械学習/人工知能論理を含み得る。例えば、畳み込みニューラル・ネットワークなどの機械学習論理は、腹部大動脈を識別し且つあらゆる覆っている腸ガスを識別するために使用され得る。機械学習論理は、複数の断面ロケーションにおいて腹部大動脈直径を測定することを助ける場合もある。
【0037】
ディスプレイ550は、腹部大動脈及び存在するならばAAAの画像を表示する、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ベース・ディスプレイなどの、出力デバイスを含み得る。1つの実装では、ディスプレイ550は、腹部大動脈の直径などの、腹部大動脈に関連するサイズ情報を表示する場合もある。
【0038】
図5に示された例示的構成は、簡略化して提供されている。コントローラ440は、
図5に示されているよりも多い又は少ない論理ユニット/デバイスを含み得る。例えば、コントローラ440は、関心のある領域におけるターゲットを識別するために超音波信号を分析することを助けるために外部ネットワークを介して情報を送信及び受信する通信インターフェース(例えば、無線周波数トランシーバ)などの追加的な要素を含み得る。
【0039】
図6は、例示的実装により使用され得るデバイス600の例示的構成を示す。例えば、デバイス600は、CMUTシステム100、140、170及び/又は200の1つ又は複数の構成要素、プローブ300の1つ又は複数の構成要素及び/又はコントローラ440の1つ又は複数の構成要素に対応し得る。実例として、
図4における構成要素400及び/又は
図5に示されたコントローラ440の構成要素は、デバイス600によって実装され得る。
図6を参照すると、デバイス600は、バス610と、プロセッサ620と、メモリ630と、入力デバイス640と、出力デバイス650と、通信インターフェース660とを含み得る。バス610は、デバイス600の要素間の通信を可能にするパスを含み得る。
【0040】
プロセッサ620は、命令を解釈及び実行し得る1つ又は複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ又は処理論理を含み得る。メモリ630は、プロセッサ620による実行のために情報及び命令を記憶し得るランダム・アクセス・メモリ(RAM)又は別のタイプのダイナミック・ストレージ・デバイスを含み得る。メモリ630は、プロセッサ620による使用のために静的情報及び命令を記憶し得る読み取り専用メモリ(ROM)デバイス又は別のタイプの静的ストレージ・デバイスを含む場合もある。メモリ630は、ソリッド・ステート・ドライブ(SDD)をさらに含み得る。メモリ630は、磁気及び/又は光学記録媒体(例えば、ハード・ディスク)及びその対応するドライブを含む場合もある。
【0041】
入力デバイス640は、キーボード、キーパッド、マウス、ペン、マイクロフォン、タッチ・スクリーン、音声認識及び/又は生体認証機構などの、ユーザが情報をデバイス600に入力することを可能にする機構を含み得る。出力デバイス650は、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))、プリンタ、スピーカなどを含む、情報をユーザに出力する機構を含み得る。幾つかの実装では、入力デバイス及び出力デバイスの両方としてタッチ・スクリーン・ディスプレイが作用し得る。
【0042】
通信インターフェース660は、有線、無線又は光学機構を介して他のデバイスと通信するためにデバイス600が使用する1つ又は複数のトランシーバを含み得る。例えば、通信インターフェース660は、1つ又は複数の無線周波数(RF)送信機、受信機及び/又はトランシーバ並びにネットワークを介してRFデータを送信及び受信するための1つ又は複数のアンテナを含み得る。通信インターフェース660は、モデム又はLANへのイーサネット(登録商標)・インターフェース又はネットワークにおける要素と通信するためのその他の機構を含む場合もある。
【0043】
図6に示された例示的構成は、簡略化して提供されている。デバイス600は、
図6に示されたよりも多い又は少ないデバイスを含み得ることを理解すべきである。例示的実装では、デバイス600は、メモリ630などのコンピュータ可読媒体に収容された命令のシーケンスを実行するプロセッサ620に応答して、動作を行う。コンピュータ可読媒体は、物理的又は論理メモリ・デバイスとして定義され得る。ソフトウェア命令が、別のコンピュータ可読媒体(例えば、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、SSDなど)から、又は通信インターフェース660を介して別のデバイスからメモリ630に読み込まれ得る。代替的に、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などの配線回路が、本明細書に説明された実装と一貫するプロセスを実装するためにソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせて使用され得る。したがって、本明細書に説明された実装は、ハードウェア回路及びソフトウェアのいかなる特定の組合せにも限定されない。
【0044】
図7は、腹部大動脈スキャンを行い、AAAを識別及び測定するなど、腹部大動脈に関連するパラメータを識別することに関連する例示的な処理700を示す流れ図である。この実例では、超音波スキャンのターゲットは、腹部大動脈である。しかしながら、本明細書に説明された特徴は、体内のその他の血管、器官又は構造を識別するために使用され得ることを理解すべきである。処理は、ユーザがCMUTシステム(例えば、CMUTシステム100、140、170又は200)を患者に配置することから始まる場合がある(ブロック710)。例えば、
図8を参照すると、医療従事者は、患者800の腹部大動脈を覆う腹部又は腹壁上にCMUTシステム100を配置し得る。幾つかの実装では、医療従事者は、スキャニング中にCMUTシステム100が動かない又は外れないことを保証するためにCMUTシステム100を患者800にテープ止めするか又はその他の方法で付着させる場合がある。
【0045】
CMUTシステム100は、ケーブル130を介してコントローラ440に結合され得る。
図8では、コントローラ440(ベース・ユニット440とも呼ばれる)は、ラップトップ又はタブレット・コンピュータと同様のサイズのモバイル・コンピュータ・デバイスである。その他の実装では、コントローラ440は、超音波画像を表示することができるスクリーンを備えたあらゆる比較的小さなコンピュータ・デバイス(例えば、スマート・フォンと同様のサイズ)を介して実装され得る。
【0046】
例示的実装では、ユーザは、例えば、ディスプレイ442上の1つ若しくは複数の入力又は領域444における1つ若しくは複数のボタンを選択することによって、超音波スキャンを開始するためにコントローラ440と相互作用し得る(ブロック720)。例えば、コントローラ440は、ディスプレイ442上のグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)に触れることによって作動させられ得る異なるボタン/選択を含み得るか、又は大動脈スキャン、四肢/静脈スキャン、脊柱スキャンなどの異なるタイプの超音波スキャンに関連する領域444における1つ又は複数の物理的ボタンを含み得る。この実例では、医療従事者が腹部大動脈スキャンを選択すると仮定する。
【0047】
腹部大動脈スキャンを開始するための選択を受信するのに応答して、コントローラ440は、CMUTシステム100に電力/電圧を提供し得る。例えば、コントローラ440は、ケーブル130を介してCMUTシステム100に電圧を提供し得る。次いで、CMUTシステム100のAFE410は、CMUTシステム100のトランスデューサ122に電圧/電力を提供し得る。例えば、AFE410における制御論理は、
図1A~
図1Cに示されたCMUTトランスデューサ122-1~122-5のそれぞれに順次に電圧を提供し得る。印加された電圧に応答して、各トランスデューサ122は、超音波信号を生成し得る(ブロック720)。超音波信号は、患者800の腹壁を通って送信され、関心のあるターゲット(例えば、腹部大動脈)に到達し得る。超音波信号は、腹部大動脈及び体組織からCMUTシステム100へ反射し得る。データ収集ユニット430は、エコー信号を受信し、エコー信号をコントローラ440へ転送し得る(ブロック730)。
【0048】
次いで、コントローラ440は、受信したエコー信号に基づいて腹部大動脈の画像を生成し得る(ブロック730)。例示的実装では、コントローラ440は、受信したエコー・データと共に位置情報も受信し得る。例えば、上記で説明したように、CMUTシステム100、140、170及び/又は200は、送信された超音波信号に関連する位置情報を提供するポジション・センサ160及び/又はポジション・エンコーダ190を含み得る。例えば、CMUT122-1に電力が提供された場合、CMUT122-1に関連するポジション・センサ160は、CMUT122-1に関連する相対位置情報を提供し得る。すなわち、CMUT122-1からの画像などの、胸部領域の近くの腹部大動脈の上部からの画像は、位置情報に基づいて回転させられ且つ/又は上部腹部領域(例えば、CMUT122-2及び122-3)及び下部腹部領域(例えば、CMUT122-4及び122-5)からの画像と組み合わされる場合があり、これにより、腹部大動脈全体に広がる画像を作り出すか又は共にスティッチングする。この形式では、CMUT122からエコー信号が受信されると、超音波画像を患者800の特定のロケーション(位置、箇所)に相関させるために位置情報が使用され得る。
【0049】
それぞれの場合において、コントローラ440は、エコー・データ及び位置情報を受信し、画像データを回転させ且つ/又は組み合わせ、腹部大動脈の超音波画像を生成し得る。例示的実装では、コントローラ440は、ディスクプレイ442などにおける表示のために画像を出力し得る(ブロック740)。例えば、
図9Aは、それぞれCMUT122-1~122-5に関連する各ロケーションにおける腹部大動脈の例示的画像910~950を示している。示したように、腹部大動脈は、それぞれ912、922、932、942及び952の符号で示されている。すなわち、血管/器官識別ユニット520は、大動脈又は大動脈の内腔に対応するものとして暗い画素の領域を識別し得る。
【0050】
画像位置合わせ及びスティッチング論理530は、
図9Bに示したように、腹部大動脈の長さを表示するために複数の画像を位置合わせし且つ/又は複数の画像をスティッチングする若しくは組み合わせる場合もある。
図9Bを参照すると、各画像960~990は、それぞれ962、972、982及び992の符号で示された大動脈の直交する表示を示している。
【0051】
次いで、コントローラ440は、腹部大動脈の直径を測定し得る(ブロック750)。例えば、後処理論理540は、各画像910~950における腹部大動脈の直径を測定し、最大値を判断し得る。AAAは腹部大動脈のあらゆるところに発生し得るので、腹部大動脈の最大直径は、AAAが最も起こりやすいロケーションを表し得る。後処理論理540は、直径測定値をディスプレイ550に出力し得る(ブロック760)。
【0052】
例えば、
図10を参照すると、コントローラ440は、腹部大動脈の画像1010を表示し、領域1020において「2.0センチメートル」という文字を表示し得る。次いで、医療従事者は、単にコントローラ440を見て、腹部大動脈の最大直径がAAAの典型的な値(例えば、3.0センチメートル)より小さいと判断し得る。幾つかの実装では、コントローラ440は、AAAの可能性を自動的に判断し、選択的に、可能性に関してコントローラ440に情報を表示する場合もある。例えば、最大直径が3.0センチメートルよりも大きい(例えば、5.0センチメートル)である場合、コントローラ440は、AAAが存在し得ることを示す文字又はグラフィックを出力し得る。幾つかの実装では、後処理論理540は、画像910~960において識別された各ロケーションにおける腹部大動脈に関連する直径情報を出力する場合もある。
【0053】
上記で説明したように、幾つかの実装では、画像位置合わせ及びスティッチング論理530及び/又は後処理論理540は、腹部大動脈の3D画像を生成するために複数の2D画像を組み合わせる場合がある。このような実装では、後処理論理540は、3D画像を使用して最大直径を判断し、領域1020に直径情報を出力し得る。
【0054】
再び
図2を参照すると、上記で説明したCMUTシステム200は、対になるように構成されたトランスデューサ222及び224を含み得る。CMUTシステム200が使用されていると仮定すると、コントローラ400は、
図11Aに示された4つの画像1110~1140を生成し得る。すなわち、画像1110は、CMUT222-1及び224-1に関連するエコー・データに対応し、画像1120は、CMUT222-2及び224-2に関連するエコー・データに対応する、などである。示したように、腹部大動脈は、それぞれ1112、1122、1132及び1142の符号で示されている。すなわち、血管/器官識別ユニット520は、腹部大動脈又は腹部大動脈の内腔に対応するものとして暗い画素の領域を識別し得る。
【0055】
次いで、画像位置合わせ及びスティッチング論理530は、
図11Bに示したように、腹部大動脈の長さを表示するために、複数の画像を位置合わせし且つ/又は複数の画像をスティッチングする若しくは組み合わせる場合がある。
図11Bを参照すると、画像1160~1190は、それぞれ1162、1172、1182及び1092の符号で示された腹部大動脈の直交する表示を示している。
図7及び
図10に関する上記の説明と同様に、コントローラ440は、腹部大動脈の画像をディスプレイ1010に出力し、最大直径又は腹部大動脈の各ロケーションにおける直径を領域1020に出力し得る。この形式では、医療従事者は、腹部大動脈の最大直径を容易に判断することができる場合がある。
【0056】
上記でも説明したように、幾つかの実装では、画像位置合わせ及びスティッチング論理530及び/又は後処理論理540は、腹部大動脈の3D画像を生成するために、CMUTシステム200によって生成された複数の2D画像を組み合わせる場合がある。このような実装では、後処理論理540は、3D画像を使用して最大直径を判断し、直径情報を領域1020に出力し得る。
【0057】
上記で説明したように、CMUTシステム100、140、170及び/又は200は、超音波信号を生成し且つ超音波信号からエコー信号を受信するために使用され得る。上記でも説明したように、別の実装では、腹部大動脈を撮像するための超音波信号を生成するために、プローブ300が使用され得る。この実装では、プローブ300は、
図12に示したように、ベース310、シータ・モータ320及びドーム315を含まない場合がある。ユーザ(例えば、医療技術者、看護師、医師など)は、腹部大動脈の画像を取得するために、プローブ300を患者800の下部胸部領域に沿って腹部へ(例えば、剣状突起の上方の領域から臍孔まで)移動させることができる。この実装では、コントローラ440は、腹部大動脈の画像を生成し、ディスプレイ1210に表示し、また、直径などの腹部大動脈の測定値を生成し得る。腹部大動脈の最大直径は、領域1220に表示され得る。この実装では、医療従事者は、プローブ300を移動させる場合があり、プローブ300は、プローブ300が患者800の腹部に沿って移動させられるときに腹部大動脈全体を容易に捉える広い視野を提供する。
【0058】
上記で説明したように、CMUTシステム100、140、170及び200は、腹部大動脈の画像などの撮像情報を生成するために使用され得る。例えば、
図1Aに関して、CMUT122の一次元線形領域は、腹部大動脈などの長く、細長い構造を撮像するために使用され得る。その他の実装では、2Dアレイ、放射状アレイなどを含むCMUTのその他の構成が、例えば、体内の大きな三次元体積を撮像するために使用され得る。さらに、幾つかの実装では、CMUTの「まばらな」アレイが、以下で詳細に説明するように、大きな3D体積を効率的に撮像するために使用され得る。
【0059】
図13A~
図13Dは、例示的実装により使用され得るその他のCMUTシステムの平面図を示す。
図13Aを参照すると、CMUTシステム1310は、CMUT100と類似のCMUT1312のアレイ(簡略化のために1つのCMUTのみが符号で示されている)を含む。この実装では、CMUTシステム1310は、10個のCMUTのアレイを含む。CMUT1312のこのような構成は、首から鼠径部領域までなど、体腔全体を撮像するために使用され得る。
【0060】
図13Bを参照すると、CMUTシステム1320は、CMUT1312に対して垂直に向けられたCMUT1322の1D又は1.5Dアレイも含む。CMUTシステム1320は、体腔の大きな部分に含まれる画像を生成するために使用される場合もある。
図13Cを参照すると、CMUT1330は、互いにわずかにずれたCMUT1332のアレイを含み得る。CMUT1332のこの構成は、CMUTシステム1310又は1320よりも、体腔内のより広い領域を撮像する際に有用であり得る。
図13Dを参照すると、CMUT1340は、2つの列で構成されたCMUT1342の二次元(2D)アレイを含み得る。CMUTシステム1330と同様に、CMUTシステム1340は、体腔内の広い領域を撮像する場合に有用であり得る。
【0061】
図14A~
図14Cは、さらに他のCMUTシステム1410~1430の平面図を示す。
図14Aを参照すると、CMUTシステム1410は、2つの列で配置されたCMUT1412(簡略化のために1つのCMUTのみが符号で示されている)のアレイを含み、各列におけるCMUT1412は、隣接する列におけるCMUT1412に対して垂直に構成されている。CMUT1412のこのような構成は、体腔全体を撮像するために使用され得る。
【0062】
図14Bを参照すると、CMUTシステム1420も、CMUT1422の1Dアレイを含む。この構成では、1つおきの行が、1つのCMUT1422を含み、交互の行が、2つのCMUT1422を含み、各行は、隣接する行におけるCMUTに対して垂直に向けられたCMUT1422を含む。CMUTシステム1420も、体腔の大きな部分の画像を生成するために使用され得る。
図14Cを参照すると、CMUTシステム1430は、4つのCMUT1432を備える行にグループ化されたCMUT1432のアレイを含み得る。この構成では、4つのCMUT1432の中央に配置された2つのCMUT1432は、4つのCMUT1432の外側に配置された2つのCMUTに対して垂直に向けられている。CMUT1432のこの構成は、CMUTシステム1410又は1420よりも、体腔内のより広い領域を撮像する際に有用であり得る。
【0063】
図15A~
図15Cは、例示的実装により使用され得るさらに他のCMUTシステム1510~1530の平面図を示す。
図15Aを参照すると、CMUTシステム1510は、中央位置から外向きに延びるCMUT1512の放射状又は十字型パターンを含む。CMUT1512のこのような構成は、身体の広い領域を撮像するために使用され得る。
【0064】
図15Bを参照すると、CMUTシステム1520も、中央領域から放射状に延びるCMUT1522の8つのラインを備えるCMUT1512の放射状パターンを含む。やはり、CMUT1522のこの構成は、身体の広い領域を撮像するために使用され得る。
図15Cを参照すると、CMUTシステム1530は、中央領域から放射状に延びるCMUT1522の16本のラインを備える放射状パターンのCMUT1532のアレイを含む場合があり、中央領域もCMUT1532を含む。CMUT1532のこの構成も、体腔内の広い領域を撮像する際に有用であり得る。
【0065】
図16A~
図16Dは、例示的実装により使用され得るさらに他のCMUTシステム1610~1640の平面図を示す。
図16Aを参照すると、CMUTシステム1610は、CMUT1612の7つの行及び5つの列を含む、CMUT1612の2Dアレイを含む。CMUT1612のこのような構成は、身体の極めて広い領域を撮像するために使用され得る。
【0066】
図16Bを参照すると、CMUTシステム1620も、CMUT1620の幾つかの行及び列を含むCMUT1622の2Dアレイを含む(例えば、この実例では6つの行及び5つの列であるが、CMUT1620のその他の数の行及び列が使用され得る)。各列におけるCMUT1622は、隣接するCMUTに対して垂直に且つ隣接する列におけるCMUT1622に対して垂直に向けられている。このような構成は、CMUTシステム1620がCMUTシステム1610よりも広い視野を取得することを可能にし得る。やはり、CMUT1622のこの構成は、身体の極めて広い領域を撮像するために使用され得る。
図16Cを参照すると、CMUTシステム1630は、6つの行及び5つの列に配置されたCMUT1632の「まばらな」アレイを含む。この構成では、様々な行及び列は、CMUT1632で満たされておらず、これにより、CMUTシステム1630におけるCMUT1632の総数を減じる。このような構成は、CMUT1632によって生成された超音波信号に基づいて画像を生成することに関連するコスト及び/又は処理時間を減じることができる。この構成も、体腔の大きな領域を撮像する際に有用であり得る。
図16Dを参照すると、CMUTシステム1640は、特定の/規則的なパターンではない、CMUT1640の「ランダムな」アレイを含む。CMUT1642のこの構成も、体腔内の広い領域を撮像する際に有用であり得る。
【0067】
上記で説明した実装は、腹部大動脈を撮像することを提供する。幾つかの実例では、腸ガスが、腹部大動脈撮像に関連する問題を生じる場合がある。例えば、腸ガスが腹部大動脈とトランスデューサとの間に存在する場合、腸ガスによって生じた影が、超音波信号が腹部大動脈に到達すること及び/又は腹部大動脈から反射することをブロックする可能性がある。幾つかの実例では、オペレータは、腸ガスを現在の音響窓から追い出すために被験者の腹部に圧力を提供し得る。しかしながら、圧力を提供することは、患者/被験者にとって不快であり得る。加えて、このようにして腸ガスを移動させようとすることは、無効であり得る。
【0068】
1つの例示的実装によると、腸ガスに関連する問題を軽減するために、複数のトランスデューサ・ストリップが異なる位置において使用され得る。例えば、
図17Aは、CMUTストリップ1710、1720及び1730を含むトランスデューサ・システム1700を示し、
図17Bは、CMUTストリップ1710、1720及び1730に関連する視野を示す。
図17Aに示したように、CMUTストリップ1710、1720及び1730はそれぞれ、上記で説明し且つ
図1A~
図1Cに示したCMUTシステム100、140及び170と類似のCMUTトランスデューサの線形アレイを含み得る。CMUTシステム1700では、CMUTストリップ1710はCMUTストリップ1720の左側に配置される場合があり、CMUTストリップ1730はCMUTストリップ1720の右側に配置される場合がある。
【0069】
図17Bに示したように、要素1750として表された腹部大動脈に到達するCMUTストリップ1720からの超音波信号(線1722によって表されている)に関連する視野は、要素1740として示された腸ガスによってブロックされ得る。しかしながら、この実装では、CMUTストリップ1710は、腸ガス1740と干渉しない又は腸ガス1740によってブロックされない視野(線1712によって表されている)を有し得る。同様に、CMUTストリップ1730は、腸ガス1740と干渉しない又は腸ガス1740によってブロックされない視野(線1732によって表されている)を有し得る。この形式では、CMUTシステム1700は、腸ガス1740に関連する影によってブロックされない腹部大動脈1750全体から画像を捉えることができる。
【0070】
例えば、ポジション・センサ160及び/又はエンコーダ190に関する上記の説明と同様に、各CMUTストリップ1710~1730は、類似のポジション・センサ/エンコーダを含み得る。次いで、画像位置合わせ及びスティッチング論理530は、CMUTストリップ1710~1730によって取得された様々なBモード画像を位置合わせし/回転させ、且つ/又は腸ガス1740又はその他の望ましくないアーチファクトによって妨害されない大動脈全体の画像を取得するために画像を共にスティッチングし得る。
【0071】
加えて、この実装では、CMUTストリップ1710~1730は、固定されておらず、移動させられ得る。すなわち、ストリップ1710~1730は、複数の音響窓を通じて同時に大動脈の画像を捉えるように移動させられ得る。CMUTストリップ1710~1730の重なり合う又は余剰の構成を使用し、患者の腹部の表面上でCMUTストリップ1710~1730を物理的に移動/再配置することができることにより、腸ガス1740などの望ましくない画像アーチファクトが存在するとしても腹部大動脈全体のために良好な品質の画像が取得される可能性が高まる。
【0072】
上記で説明したように、本明細書において説明されたシステム及び方法は、超音波イメージングを行うためにCMUTアレイ及び/又はトランスデューサの曲線アレイを使用し得る。その他の実装では、上記で説明したCMUTアレイと類似の形式で超音波画像を生成するために、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)のアレイが使用され得る。
【0073】
加えて、腹部大動脈を撮像することに関して特徴が上記に説明されている。その他の実装では、本明細書に説明されたシステム及び方法は、その他の血管、器官、身体部分を撮像するために使用され得る。例えば、別の実装では、CMUTアレイ(又はPMUTアレイ)は、腕又は脚などの周囲四肢における動脈及び静脈などの血管を撮像するために使用され得る。
【0074】
例えば、
図18は、CMUTシステム1810が患者1800の脚の静脈を撮像するために使用される実装を示している。この実装では、CMUTシステム1810は、上記で説明したあらゆる構成のCMUTのアレイを含み得る。例えば、1つの実装では、CMUTシステム1810は、上記で説明したCMUTシステム140及び/又は170と同様に構成され得る。この実装では、CMUTシステム1810は、下腿の静脈又は動脈の超音波画像を生成し得る。類似の撮像は、患者の腕の静脈/動脈を撮像するためにCMUTアレイを使用して行われ得る。
【0075】
さらに、CMUTアレイ、PMUTアレイ又はトランスデューサの曲線アレイは、神経管欠陥又はその他の異常について新生児脊柱を撮像するために使用され得る。それぞれの場合において、アレイにおけるトランスデューサのサイズ及び構成は、特定の用途に基づく場合がある。例えば、新生児脊柱を撮像するために、CMUTの比較的小さな線形アレイが使用され得る。
【0076】
本明細書に説明された実装は、CMUTを支持する剛性又は半剛性のハウジングを使用するものとしても説明されている。その他の実装では、ハウジングは、CMUT(又はPMUT)を収容するための連続的な柔軟なハウジングであり得る。柔軟なハウジングを使用することは、CMUTシステムが患者の皮膚に付着することを保証することを助けることができる。
【0077】
加えて、特徴は、位置又はロケーション情報を識別するために様々なタイプのポジション・センサを使用するものとして上記で説明されている。その他の実装では、その他のタイプのポジション・センサが使用され得る。例えば、電磁ポジション・センサが使用され得る。この実装では、電磁場を生成するために電磁場発生器が使用され得る。電磁場の強度に基づいて、ハウジングの長さに配置された電磁ポジション・センサ(ポジションセンサ160と類似)は、それらの相対位置を判断し得る。次いで、電磁ポジション・センサは、超音波画像を組み合わせることを助けるために位置又はロケーション情報を提供し得る。
【0078】
さらに別の実装では、位置情報を生成するために光学マーカが使用され得る。この実装では、カメラベースの光学トラッカが患者の上に配置される場合があり、カメラは、相対位置情報を提供するために光学マーカを検出し得る。光学マーカは、(ポジション・センサ160と同様に)ハウジングの長さに配置される場合があり、受動的又は能動的なセンサであり得る。それぞれの場合において、光学マーカ及び/又はカメラベースの光学トラッカは、超音波画像を組み合わせることを助けるために位置又はロケーション情報を提供し得る。
【0079】
例示的実装の前述の説明は、例示及び説明を提供しているが、排他的であること又は開示された正確な態様に実施例を限定することは意図されていない。改良及び変更は、上記の教示に照らして可能であるか又は実施例の実用から取得され得る。
【0080】
例えば、特徴は、患者の腹部大動脈及びAAA、四肢における静脈又は動脈などのその他の血管、及び新生児脊柱などの、関心のあるターゲットを識別することに関して上記で説明されている。その他の実装では、その他の血管、器官又は構造が識別される場合があり、血管、器官又は構造に関連するサイズ又はその他のパラメータが推定される場合がある。例えば、本明細書に説明された処理は、出生前超音波イメージング、全腹部イメージング、全胸部イメージング、前立腺イメージング、甲状腺イメージング、腎臓イメージング、子宮イメージング、卵巣イメージング、心臓イメージングなどを行うために使用され得る。
【0081】
さらに、行為の連続が、
図7に関して説明されているが、行為の順序は、その他の実装では異なる場合がある。さらに、依存しない行為は、並行して実装され得る。
【0082】
上記で説明した様々な特徴は、図面に示された実装において多くの異なる形式のソフトウェア、ファームウェア及びハードウェアにおいて実装され得ることが明らかとなろう。様々な特徴を実装するために使用される実際のソフトウェア・コード又は特別な制御ハードウェアは、限定的ではない。したがって、特徴の動作及び挙動は、特定のソフトウェア・コードを参照することなく説明された。当業者が、本明細書における説明に基づいて様々な特徴を実装するためにソフトウェア及び制御ハードウェアを設計することができることが理解される。
【0083】
さらに、本発明のある部分は、1つ又は複数の機能を行う「論理」として実装され得る。この論理は、1つ又は複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ又はその他の処理論理などのハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組合せを含み得る。
【0084】
前述の明細書において、様々な好ましい実施例が添付の図面を参照して説明されている。しかしながら、それに対して様々な改良及び変化が加えられる場合があり、追加的な実施例は、以下の特許請求の範囲に示された本発明のより広い範囲から逸脱することなく実装され得る。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。
【0085】
本願の説明において使用された要素、行為又は指示は、そうであることが明示的に説明されていない限り、本発明にとって決定的又は必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書において使用される場合、冠詞「a」は、1つ又は複数のアイテムを含むことが意図されている。さらに、「~に基づく」という語句は、そうでないことが明示的に述べられていない限り、「~に少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図されている。