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特許7455970油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム、油圧カップリングデバイスおよび自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム、油圧カップリングデバイスおよび自動車
(51)【国際特許分類】
   F16H 41/24 20060101AFI20240318BHJP
   F16F 15/14 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
F16H41/24 B
F16F15/14 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022526263
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2020126703
(87)【国際公開番号】W WO2021088916
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】201911069475.5
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522048982
【氏名又は名称】ヴァレオ、カペック、トルク、コンバーターズ、(ナンジン)、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VALEO KAPEC TORQUE CONVERTERS(NANJING) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】モン、トン
(72)【発明者】
【氏名】リー、マオホイ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ルー
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ションチャン
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102009000068(DE,A1)
【文献】特開2016-223629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0231098(US,A1)
【文献】国際公開第2016/103890(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0131220(US,A1)
【文献】国際公開第2015/151654(WO,A1)
【文献】特開2017-166666(JP,A)
【文献】特開平9-264399(JP,A)
【文献】特開2018-25298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 41/24
F16F 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムであって:
中心軸(X)、および前記中心軸(X)周囲のトーラス(102,202)を有する出力ハブ(101,201)、第1トラックは前記トーラス(102,202)に配置され、
前記中心軸(X)の周囲に均一に分布する複数のタービン質量アセンブリ(104,204)、それぞれのタービン質量アセンブリ(104,204)はタービンセクション(105,205)を含み、それぞれのタービンセクション(105,205)は複数のブレードおよび前記第1トラックに対応する第2トラックを備え、
前記タービン質量アセンブリ(104,204)が前記出力ハブ(101,201)に対して移動することができ、前記出力ハブ(101,201)にトルクを加えることができるように前記第1トラックおよび対応する第2トラックによって定義されるローラトラックに沿ってローリングできるローラ(107,207)、
を含み、
前記それぞれのタービン質量アセンブリ(104,204)はタービンセクション(105,205)に固定して連結される質量プレート(108,208)をさらに含み、前記出力ハブ(101,201)は前記質量プレート(108,208)および前記タービンセクション(105,205)の間に配置される、油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項2】
前記質量プレート(108,208)は前記タービンセクション(105,205)と同じ重量を有する、請求項1に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項3】
前記出力ハブ(101,201)に備えられる第1停止部材;および
前記アセンブリ(104,204)に備えられる第2停止部材をさらに含み、
前記第1停止部材および前記第2停止部材は前記出力ハブ(101,201)に対する前記タービン質量アセンブリ(104,204)の変位ストロークを制限するように協力できる、請求項1に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項4】
前記第1停止部材は前記出力ハブに備えられる第1ノッチ(110,210)であり、前記第2停止部材は前記質量プレート(108,208)に備えられる第1タブ(111,211)である、請求項3に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項5】
第1停止部材は前記出力ハブに備えられる第1ノッチ(110,210)であり、前記第2停止部材は前記タービンセクションに備えられる第2タブ(112)である、請求項3に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項6】
前記第1停止部材は前記出力ハブに配置される第3タブ(113)であり、前記第2停止部材は前記タービンセクションに配置される第2ノッチ(114)である、請求項3に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項7】
前記第1停止部材は前記出力ハブに配置される第3タブ(113)であり、前記第2停止部材は前記質量プレート(108,208)に配置される第3ノッチである、請求項3に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項8】
前記第1トラックは前記トーラスに備えられる第1ローラガイド溝によって形成され、
前記第2トラックは前記タービンセクションに備えられる第2ローラガイド溝によって形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項9】
前記質量プレートは前記第2ローラガイド溝と同じ第3ローラガイド溝(109)を備え、
前記ローラはまた、前記第3ローラガイド溝(109)内に軸方向に挿入される、請求項8に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項10】
第4ローラガイド溝(203)は前記トーラスに備えられ、
それぞれのタービン質量アセンブリは前記第4ローラガイド溝(203)を通過し、軸方向の端部を介して前記タービンセクションと前記質量プレート内にそれぞれ挿入されるトラックインサート(206)をさらに含み、
前記第1トラックは前記第4ローラガイド溝(203)により形成され、前記第2トラックは前記トラックインサート(206)により形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項11】
前記タービンセクションに第1凹部(221)が備えられ、対応する第2凹部(222)が前記質量プレートに備えられ、前記トラックインサート(206)の軸方向の端部は締り嵌めを形成するために前記第1凹部(221)と前記第2凹部(222)内にそれぞれ挿入される、請求項10に記載の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載によるダンピングシステムを含む、油圧カップリングデバイス。
【請求項13】
請求項12による油圧カップリングデバイスを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム、前記ダンピングシステムを含む油圧カップリングデバイス、および前記油圧カップリングデバイスを含む自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用変速機システムにおいて、油圧カップリングデバイスは内燃エンジンと変速機の間に配置され、流体を作動媒体として使用してエンジンから変速機の入力シャフトにトルクを伝送してトルク伝達、トルク変換およびクラッチの役割をする。一般に、油圧カップリングデバイスは内燃エンジンの出力での固有なトルク変動を除去するためのダンピングシステムを含むことができる。
【0003】
油圧カップリングデバイスの構造を改善してねじり振動を減少させる要求が常に必要である。
【0004】
しかし、従来技術におけるダンピングデバイスはほとんどのタービンと油圧カップリングデバイスの他の構成要素から分離された別途のデバイスであり、このような従来技術において、タービンは通常出力ハブに完全に固定連結される。一方、このような種類のダンピングデバイスは通常複雑な構造と多数の部品を有して、油圧カップリングデバイスにこのようなダンピングデバイスの設置は多数の追加的な部品と複雑な工程が必要である。一方、このようなダンピングデバイスは通常大きな軸方向の延長を有し、これによって、油圧カップリングデバイスの大きな軸方向空間を占めるので、コンパクトな油圧カップリングデバイスを形成するのに役に立たない。
【0005】
独国特許出願DE102009000068に開示されているように、ダンピングデバイスを形成するためのタービンハウジング自体の構造を使用する技術的解決手段が知られている。このような従来技術の技術的解決手段において、タービンディスクを構成するそれぞれのサブ-部分はローラにより出力部材と連結され、出力部材に対して回転することができ、トルク変動の場合に、タービンディスクのサブ-部分はトルク変動を減衰させるための振り子質量として使用することができる。しかし、このような従来技術の技術的解決手段では、軸方向に沿ってローラの両側面に振り子質量が不均一に分布することによって、特に、回転する間明らかに、ローラの不均衡かつ不安定な動きおよびさらには発作が発生し、トルク変動を効果的に減衰させることができない。また、このような従来技術の技術的解決手段では、タービンディスクと出力ハブの間の変位ストロークを効果的に制限できる簡単な構造、容易な実現、および統合を有する停止部材がない。
【0006】
したがって、ローラのスムーズな動きを保障し、タービンディスクと出力ハブの間の変位ストロークを制限し、かつトルク変動を減衰するためにタービンハウジング自体を使用できるダンピングシステムを提供することが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の一態様によれば、油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムが提案され、前記油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムは、
【0008】
中心軸、および前記中心軸を囲むトーラスを有する出力ハブ、第1トラックは前記トーラスに配置され、
【0009】
前記中心軸の周囲に均一に分布する複数のタービン質量アセンブリ、それぞれのタービン質量アセンブリはタービンセクションを含み、それぞれのタービンセクションは複数のブレードおよび前記第1トラックに対応する第2トラックを備え、
【0010】
前記タービン質量アセンブリが前記出力ハブに対して移動することができ、前記出力ハブにトルクを加えることができるように前記第1トラックおよび対応する第2トラックによって定義されるローラトラックに沿ってローリングできるローラ、を含み、
【0011】
前記それぞれのタービン質量アセンブリはタービンセクションに固定して連結される質量プレートをさらに含み、前記出力ハブは前記質量プレートおよび前記タービンセクションの間に配置される。
【0012】
すなわち、本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムで、複数のブレードを備える前記タービンセクションを含む前記タービン質量アセンブリ自体は前記ダンピングシステムの少なくとも一部を構成する。具体的には、トルク変動がある時、慣性下で、トルク変動を減衰させる効果は前記出力ハブの前記トーラスの第1トラック、および前記対応するタービンセクションの第2トラックによって定義されるローラトラックに沿ってローリングするローラによるトルク変動と反対になるトルクを提供することによって達成される。すなわち、本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムは、タービンセクション自体によるダンピング効果を実現するだけでなく、従来技術のタービンセクションから通常分離される別途の複雑なダンピングシステムを必要とせず構成要素自体の構造によって出力ハブに対するタービンセクションの停止を単純に実現することによって、前記油圧カップリングデバイスの構造を単純化し、構成要素の個数を大きく節減して、製造および設置工程を単純化し、より高い費用効率性を達成する。
【0013】
また、本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムで、互いに固定して連結される前記タービンセクションおよび前記質量プレートは、減衰の役割をするタービン質量アセンブリを形成し、前記出力ハブの軸方向の反対側にそれぞれ配置される前記質量プレートおよび対応するタービンセクションが前記タービンセクションと共にトルク変動を減衰させる役割をすることによって、向上したダンピング効果を達成する。また、このような構成は前記出力ハブに対して移動するように前記タービン質量アセンブリをガイドする前記ローラの軸方向の両側でより均一な振り子質量分布を有することを可能にすることによって、前記ローラの相対的にスムーズな動きを保障し、より効果的な振動減衰効果を達成することができる。また、このような構成は前記タービンセクションと前記質量プレートのアセンブリの組み立てにより役に立ち、より安定したダンピングシステムを実現することができる。
【0014】
本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムのより具体的な実施形態で、前記質量プレートは前記タービンセクションと同じ重量を有する。したがって、前記ローラに対して軸方向により均一な振り子質量分布を確保することを可能にすることによって、前記ローラのより安定した移動を保障し、最適な振動減衰効果を保障することができる。
【0015】
また、本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムは、前記出力ハブに配置される第1停止部材および、前記タービン質量アセンブリに配置される第2停止部材をさらに含み、前記第1停止部材および前記第2停止部材は前記出力ハブに対する前記タービン質量アセンブリの変位ストロークを制限するように協力することができる。
【0016】
すなわち、本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムで、前記出力ハブの前記第1停止部材と前記タービン質量アセンブリの前記第2停止部材の配置は簡単でかつコンパクトな構造で前記出力ハブに対する前記タービン質量アセンブリの変位ストロークを制限することができ、これにより、ダンピング効果に影響を及ぼしたりまたはさらにはダンピングシステムを非効率的にするトルク変動の場合にローラの損傷(例えば、破損)を防止することができる。
【0017】
選択事項として、前記第1停止部材は前記出力ハブに備えられる第1ノッチであり、前記第2停止部材は前記質量プレートに備えられる第1タブである。
【0018】
好ましくは、前記第1ノッチは前記出力ハブと一体に製作され、前記第1タブは前記質量プレートと一体に製作される。
【0019】
選択事項として、前記第1停止部材は前記出力ハブに備えられる第1ノッチであり、前記第2停止部材は前記タービンセクションに備えられる第2タブである。
【0020】
好ましくは、前記第1ノッチは前記出力ハブと一体に製作され、前記第2タブは前記タービンセクションと一体に製作される。
【0021】
選択事項として、前記第1停止部材は前記出力ハブに備えられる第3タブであり、前記第2停止部材は前記タービンセクションに備えられる第2ノッチである。
【0022】
好ましくは、前記第3タブは前記出力ハブと一体に製作され、前記第2ノッチは前記タービンセクションと一体に製作される。
【0023】
選択事項として、前記第1停止部材は前記出力ハブに配置される第3タブであり、前記第2停止部材は前記質量プレートに配置される第3ノッチである。
【0024】
好ましくは、前記第3タブは前記出力ハブと一体に製作され、前記第3ノッチは前記質量プレートと一体に製作される。
【0025】
すなわち、前述した簡単な構造で前記第1停止部材と前記第2停止部材を配置することによって、加工を容易にし、材料を節減して、より高い費用効率性を達成することができる。
【0026】
本発明の油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの一実施形態によれば、前記第1トラックは前記トーラスに備えられる第1ローラガイド溝によって形成され、前記第2トラックは前記タービンセクションに備えられる第2ローラガイド溝によって形成される。
【0027】
本実施形態によるより具体的な実施形態で、前記質量プレートは前記第2ローラガイド溝と同じ第3ローラガイド溝が備えられ、前記ローラはまた、前記第3ローラガイド溝内に軸方向に挿入される。
【0028】
すなわち、前記ローラが軸方向に前記第1ローラガイド溝、前記第2ローラガイド溝および前記第3ローラガイド溝を同時に通過することによって、トルク変動の条件下で前記タービンセクションと前記質量プレートの同期化された動きに有利である。
【0029】
本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの他の実施形態で、第4ローラガイド溝が前記トーラスに備えられ、それぞれのタービン質量アセンブリは前記第4ローラガイド溝を通過し、軸方向の端部を介して前記タービンセクションと前記質量プレート内にそれぞれ挿入されるトラックインサートをさらに含み、前記第1トラックは前記第4ローラガイド溝によって形成され、前記第2トラックは前記トラックインサートによって形成される。
【0030】
すなわち、このような他の実施形態で、前記トラックインサートは前記タービンセクションと前記質量プレートに固定され、前記タービンセクションと前記質量プレートの間の固定された連結が前記トラックインサートによって実現されることによって、前記ダンピングシステムの部品個数をより減少させることができ、組み立てを単純化し、前記タービンセクション、前記出力ハブおよび前記質量プレートの間の軸方向のメンテナンスを容易にする。
【0031】
本発明のこのような他の実施形態によるより具体的な実施形態で、第1凹部が前記タービンセクションに備えられ、対応する第2凹部が前記質量プレートに備えられ、前記トラックインサートの軸方向の端部は締り嵌めを形成するために前記第1凹部および前記第2凹部内にそれぞれ挿入される。すなわち、前記タービンセクション、前記トラックインサートおよび前記質量プレートの間の固定的な連結は追加的な部品なしで実現することができる。
【0032】
本発明の他の様態によれば、本発明はまた、前述したようなダンピングシステムを含む油圧カップリングデバイスに関するものである。
【0033】
本発明の他の様態によれば、本発明はまた、前述した油圧カップリングデバイスを含む自動車に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の実施形態の技術的解決手段をより明確に説明するために、本発明の実施形態の図面を簡略に説明する。図面は本発明の一部の実施形態を示すためのものであり、本発明の実施形態を制限するものではない。図面で:
図1】本発明による油圧カップリングデバイスの概略的な断面図である;
図2】本発明による油圧カップリングデバイスの概略図である;
図3】本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの第1実施形態をタービンセクション側から見た斜視図である;
図4】本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの第1実施形態の分解斜視図を図示する;
図5】マスプレートが除去された図4に示す油圧カップリングデバイスのダンピングシステムを概略的な斜視図として部分的に図示する;
図6】タービンセクションが除去された図4に示す油圧カップリングデバイスのダンピングシステムを概略的な斜視図として部分的に図示する;
図7】本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの第1実施形態の第1変形を概略的な斜視図として図示する;
図8図7に示す変形でタービンセクションを概略的な斜視図として図示する;
図9】本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの第1実施形態の第2変形を概略的な斜視図として図示する;
図10】タービンセクション側から見た図9に示す第2変形の斜視図である;
図11図9に示す第2変形で出力ハブを概略的な斜視図として図示する;
図12図9に示す第2変形でタービンセクションを概略的な斜視図として図示する;
図13】本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの第2実施形態を概略的な分解斜視図として図示する;
図14図13に示す第2実施形態の組み立てられたダンピングシステムを概略的な斜視図として図示する;
図15】マスプレートが除去された図13に示す第2実施形態を他の概略斜視図として図示する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の実施形態の目的、技術的な解決手段、および利点をより明確にするために、本開示の実施形態の技術的な解決手段は本開示の実施形態の添付する図面と共に明確でかつ完全に記述される。図面で、同じ図面符号は同じ構成要素を指す。明白に、記述された実施形態はすべての実施形態ではなく本開示の実施形態の一部だけである。本開示の記述された実施形態に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる異なるすべての実施形態は本開示の保護範囲内にある。
【0036】
本明細書で使用される技術用語または科学用語は別に定義されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって理解される通常の意味を有する。本明細書で使用される「第1」、「第2」およびこれと類似の単語は順序、数量または重要度を示すものではなく、単に互いに異なる構成要素を区別するために使用される。これと同様に、「一つ」または「前記」のような単語は必ずしも定量的な制限を意味しない。「含む」または「構成する」および他の類似の単語は、単語の前に示される要素または対象が他の要素または対象を排除せず単語の上に羅列される要素または対象およびそれに相応するものを含むことを意味する。「連結される」または「合流する」のような単語は物理的または機械的連結に限定されず、直接的または間接的な電気的連結を含むことができる。本文で言及される「上側」、「下側」、「左側」、「右側」、「上」、「底」、「時計回り」、「反時計回り」のような方向用語は図面で相対位置関係を説明する場合にのみ使用され、説明された対象の絶対位置が変更されると、相対位置関係はそれに応じて変更され得る。
【0037】
本発明で「軸方向」の意味は、油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの中心軸Xに沿う方向を意味し、「半径方向」はこのような中心軸Xに直交し、交差する方向を意味し、「半径方向外側」は前記中心軸Xから半径方向に遠く離れた位置を意味し、「半径方向内側」は前記中心軸Xから半径方向に近い位置を意味し、「円周方向に」は前記中心軸Xの周囲を意味する。
【0038】
図1は油圧カップリングデバイスの構造を例示するための本開示による中心軸Xを有する油圧カップリングデバイス10の概略的な断面図である。油圧カップリングデバイス10は自動車に使用できる。図1に示す断面は中心軸Xに沿った断面であり、すなわち、中心軸Xはその断面に位置し、図1は中心軸Xの一側に位置した油圧カップリングデバイス10の一部分のみを断面図として図示する。
【0039】
図2はトルク伝達経路を概略的に示すための本開示による油圧カップリングデバイス10の概略図である。
【0040】
図1および図2を参照すると、油圧カップリングデバイス10はケーシング6を含み、ケーシング6は例えば、半径方向の外部に固定して配置されるラグ61を介してエンジンからトルクを受信してケーシング6が中心軸Xを中心に回転することができる。油圧カップリングデバイス10はポンプインペラ1、タービン2、およびポンプインペラ1とタービン2の間に中心軸X方向に配置されるステータ3をさらに含むことができる。ポンプインペラ1は例えば、溶接によってケーシング6に固定して連結されることができ、ケーシング6が回転する時ポンプインペラ1も共に回転する。
【0041】
油圧カップリングデバイス10はスプリングダンパ4およびタービン2とケーシング6の間に中心軸X方向に配置されるロックアップクラッチ5をさらに含むことができる。ロックアップクラッチ5は中心軸X方向にケーシング6と結合したりケーシング6から分離されることができる。例えば、ロックアップクラッチ5はケーシング6に向かう半径方向外側部分51によりケーシング6に結合されることができ、これによりケーシング6からトルクを受信する。スプリングダンパ4の駆動ディスク41はロックアップクラッチ5に固定して連結されることができ、その出力ディスク42は出力ハブ101に固定されることができる。出力ハブ101はタービン2に取り付けられ、これは次の実施形態で詳細に説明する。
【0042】
ロックアップクラッチ5がケーシング6から分離されると、ケーシング6とスプリングダンパ4の間にトルクの伝達がなく、ケーシング6の回転はこれに固定連結されたポンプインペラ1を回転するように駆動させ、その後、ポンプインペラ1は流体によりタービン2が回転するように駆動させ、その後、トルクはタービンインペラ2に取り付けられた出力ハブ101を介して変速機(図示せず)の入力シャフトに伝達される。これは車両の始動に有利であり、トルクを効果的に増加させることができる。
【0043】
ロックアップクラッチ5がケーシング6に結合されると、トルクは順次にケーシング6、ロックアップクラッチ5、スプリングダンパ4および出力ハブ101を介して変速機の入力シャフトに伝達される。この場合、内燃エンジンのトルク変動は下流の変速機に伝達され、スプリングダンパ4がトルク変動を部分的に吸収できるが、振動、騒音および燃料消費において依然として一部問題がある。
【0044】
したがって、本発明は新しい油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムを提案する。
【0045】
図3は本発明によるダンピングシステムの第1実施形態をタービン内部から見た斜視図である。具体的には、図3に示すように、タービン2は一般的に扇形(sector)形状であり、円周方向に分布する複数のタービンセクション105を含み、それぞれのタービンセクション105は出力ハブ101に取り付けられ、出力ハブ101に対して円周方向および半径方向に相手変位を生成することができる。すなわち、トルクがロックアップクラッチ5とスプリングダンピングシステムにより伝達される時、タービンセクション自体は油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの一部を構成する。したがって、ロックアップクラッチ5が結合されると、スプリングダンパ4による振動減少に基づいてタービンセクション自体で振動がさらに減少し得るので、トルク変動をさらに減衰し、騒音を減少させて、車両全体の安楽さを向上させることができる。
【0046】
本開示の第1実施形態によるダンピングシステム100は図1ないし図12を参照して詳細に説明される。
【0047】
図4ないし図6に示すように、ダンピングシステム100はまた、上記で言及した中心軸Xを有する出力ハブ101、および中心軸X周囲のトーラス102を含むことができる。
【0048】
ダンピングシステム100は中心軸Xの周囲に均一に分布する複数のタービン質量アセンブリ104を含むことができる。この実施形態で、それぞれのタービン質量アセンブリ104はタービンセクション105を含む。明確にするために、タービンセクション105のうちただ一つのみを図4ないし図5に示す。それぞれのタービンセクション105は複数のブレード(図示せず)を支持することができる。
【0049】
ダンピングシステム100はローラ107をさらに含み得、そのうちの二つが図4ないし図6に示され、これらは概ね円筒形状を有する。ローラ107はローラトラックに沿ってローリングできるので、タービン質量アセンブリ104は出力ハブ101に対して移動することができ、出力ハブ101にトルクを加えることができる。具体的には、図4ないし図6に示すように、第1トラックは出力ハブ101のトーラス102に備えられる。例えば、第1トラックは第1ローラガイド溝103により形成される。二つの第1ローラガイド溝103が図示される。タービンセクション105には第1トラックに対応する第2トラックが備えられる。例えば、第2トラックは第1ローラガイド溝103に対応する第2ローラガイド溝106により形成され、中心軸Xに近いタービンセクション105の環状部分に備えられる。ローラトラックは第1トラックおよび第2トラックによって定義される。
【0050】
より具体的な実施形態として、図面に示すように、第1ローラガイド溝103と第2ローラガイド溝106は例えば、延びた形状を有し得る腰-形状孔(waist-shaped hole)の形態で備えられる。第1ローラガイド溝103を形成する腰-形状孔(waist-shaped hole)の膨らんだ方向は第2ローラガイド溝106を形成する腰-形状孔(waist-shaped hole)の膨らんだ方向と直径方向に反対であり、例えば、図面に示すように、第1ローラガイド溝103を形成する腰-形状孔(waist-shaped hole)は半径方向外側に膨らんでおり、第2ローラガイド溝106を形成する腰-形状孔(waist-shaped hole)は半径方向内側に膨らんでいる。ローラ107は第1ローラガイド溝103を形成する腰-形状孔と第2ローラガイド溝106を形成する腰-形状孔に軸方向に挿入される。
【0051】
第1ローラガイド溝103と第2ローラガイド溝106の形状と配置は単に例としてここで記述される。本発明の保護の範囲内で他の形状も可能であり、例えば、これらは波形の孔の形態で提供されることができる。
【0052】
図4ないし図6を参照すると、本開示によるダンピングシステム100によれば、それぞれのタービン質量アセンブリ104は二つのリベット120によりタービンセクション105に固定して連結される質量プレート108、および質量プレート108とタービンセクション105の間に軸方向に配置される出力ハブ101をさらに含み得る。このような配置はタービン質量アセンブリ104が出力ハブ101に対して移動するようにガイドするローラ107に対して軸方向に相対的に均一な振り子質量分布を有することができるようにし、これによって、ローラ107の相対的に安定した移動を保障し、より効果的な振動減衰効果を保障する。また、図面に示すように、質量プレート108は一般的に環状扇形形状を有することができる。質量プレート108および中心軸Xに近いタービンセクション105の環状部分は出力ハブのトーラス102の両側にそれぞれ位置する。また図4ないし図6に示すように、出力ハブ101のトーラス102は質量プレート108をタービンセクション105に固定連結して通過させるファスナー(リベット120)に使用される一つ以上のウィンドウ130が備えられ、二つのウィンドウ130が図面に示されており、タービン質量アセンブリ104が全体的に出力ハブ101に対して移動する時、ファスナー(リベット120)は相対移動を干渉しない。
【0053】
質量プレート108は対応するタービンセクション105と同じ重量を有することができる。したがって、質量プレート108および対応するタービンセクション105は軸方向にローラの両側に均一な質量分布を提供して、ローラのバランスのとれた安定した動きを実現する。また、質量プレート108はタービンセクション105の第2ローラガイド溝106と同じ第3ローラガイド溝109をさらに備えることができ、ローラ107はまた、第3ローラガイド溝109内に軸方向に挿入されることができる。すなわち、ローラ107は第1ローラガイド溝103、第2ローラガイド溝106および第3ローラガイド溝109を同時に軸方向に通過する。このような配置はタービンセクション105と質量ブロック108の同期化動きを容易にする。
【0054】
より具体的な実施形態で、第1停止部材は出力ハブ101に備えられ、第2停止部材はタービン質量アセンブリ104に備えられる。第1停止部材および第2停止部材は協力して出力ハブ101に対するタービン質量アセンブリ104の変位ストロークを制限することができる。
【0055】
第1実施形態で、第1停止部材は出力ハブ101に備えられる第1ノッチ110である。第1ノッチ110は出力ハブ101の半径方向外側部分に備えられ、半径方向外側に開放される円周型ノッチであり得る。第2停止部材はタービン質量アセンブリ104に備えられる。具体的には、第2停止部材は質量プレート108に備えられる第1タブ111である。第1タブ111は質量プレート108と一体に形成される。第1タブ111は質量プレート108の半径方向外側のエッジから出力ハブ101の第1ノッチ110に向かって突出し得、例えば、第1ノッチ110内に突出し得る。したがって、出力ハブ101に対するタービン質量アセンブリ104の変位ストロークを制限するために第1タブ111の円周方向のエッジは第1ノッチ110の円周方向のエッジ(edge)と協力して停止を形成することができる。この変位ストロークはローラトラックでローラ107のストロークより小さい。
【0056】
また、タービン質量アセンブリ104が出力ハブ101に対して半径方向または円周方向に動くかどうかとは関係なく、第1タブ111は第1ノッチ110内に突出し得る。
【0057】
本開示による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム100において、タービン2は一般に扇形-形状(sector-shaped)の複数のタービンセクション105、例えば、3個ないし6個のタービンセクション105、好ましくは4個のタービンセクション105に分割される。トルクがロックアップクラッチを含む経路を介して伝達される時、タービンセクション105自体はトルク変動を減衰させるダンピングシステム100の構成要素を構成する。具体的には、トルク変動がある時、慣性下で、出力ハブ101により提供される第1トラックおよびタービン質量アセンブリ104により提供される第2トラックによって定義されるローラトラックに沿ってローリングするローラ107はトルク変動と反対のトルクを提供することによって、トルク変動を減衰させる効果を実現することができる。そして、出力ハブによって提供される第1停止パートはタービン質量アセンブリによって提供される第2停止パートと一致するので、これらの間の相対的な変位ストロークが制限される。したがって、第1停止部材および第2停止部材が互いに協力して停止機能を実現すると、トルク伝達が実現され、ローリングトラックの両端との衝突によってローラが強い衝撃を受けることが防止され、このような強い衝撃はローラを損傷し得(例えば、破損し得)、そのため、ダンピングシステムの減衰効果に影響を及ぼしたりまたはダンピングシステムの効果をなくし得る。
【0058】
一方、本開示による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムで、出力ハブ101の第1停止部材およびタービン質量アセンブリ104の第2停止部材の配置はすべて自体構造を使用して実現され、製造が単純で、独創的であり、かつコンパクトであるため、構成要素の個数と製造費用を節減させる。
【0059】
また、本実施形態で、質量プレート108はタービンセクション105に固定して連結されるだけでなく、タービンセクション105と共にトルク変動を減衰させる役割をして、より良いダンピング効果を達成する。
【0060】
したがって、本発明による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムで、構造が簡単で、工程が簡便で、かつ材料を節減できる第1停止部材および第2停止部材を実現することによって、より高い費用効率を達成することができ、ダンピングシステムの効果的な作動を確保することができる。
【0061】
第1実施形態によるダンピングシステムの変形例が図7ないし図12を参照して以下に説明される。
【0062】
図7および図8は本開示の第1実施形態によるダンピングシステム100の第1変形例を示す。具体的には、図7は組み立て後の第1変形例によるダンピングシステムの概略的な斜視図であり、図8は第2停止部材を明確に示すためにタービンセクションの斜視図のみを図示する。
具体的には、図7ないし図8に示すように、第1停止部材は依然として出力ハブ101に備えられる第1ノッチ110であり得、第2停止部材はタービンセクション105に備えられる第2タブ112である。第2タブ112は第1ノッチ110内に突出する。好ましくは第2タブ112は、例えば、スタンピングによってタービンセクション105と一体に形成されることができる。
【0063】
図9ないし図12は本開示の第1実施形態のダンピングシステム100の第2変形例を示す。図9および図10は第2変形例による組み立てられたダンピングシステム100を示し、これらはそれぞれ質量プレート108の側面およびタービンセクション105の側面からの斜視図である。図11は単に出力ハブ側の停止部材を明確に示すために単にこのような第2変形例で出力ハブ101の斜視図を概略的に図示する。図12は単に出力ハブ側の停止部材と協力するタービンセクションの停止部材を明確に示すためにこのような第2変形例でタービンセクション105の一つを概略的に図示する。
【0064】
図9ないし図12に示すように、第2変形例と第1変形例の差異点は互いに協力する第1停止部材と第2停止部材の配置にある。このような第2実施形態で、第1停止部材は出力ハブ101に備えられる第3タブ113であり、第2停止部材はタービンセクション105に備えられる第2ノッチ114である。
【0065】
第3タブ113は出力ハブ101のトーラス102の半径方向外部に配置され、タービンセクション105の第2ノッチ114内に突出し得る。第3タブ113はトーラス102の半径方向外側部分をタービンセクション105の方向にベンディングして形成されることによって、出力ハブ101自体の材料を用いることができる。第2ノッチ114はタービンセクション105の一部をカットして形成されることによって、また、タービンセクション自体を用いることができる。したがって、これら二つの部品の間の相手変位ストロークは追加的な新しい部品を有することなく実現される。そして、出力ハブ101とタービンセクション105は両方とも停止部材を製造する追加的な工程を有することなくスタンピングによって一体に形成されることができる。
【0066】
本発明の第1実施形態による第3変形例(図示せず)で、第1ストッパは依然として出力ハブ101に備えられる第3タブ113であり、第2ストッパは質量プレート108に備えられる第3ノッチ(図示せず)であり、第3タブ113は第3ノッチ内に突出する。
【0067】
図13ないし図15を参照して本開示の第2実施形態による油圧カップリングデバイス用ダンピングシステム200が以下に記述される。ダンピングシステム200と第1実施形態の間の主な差異点はタービンセクションと質量プレートの間の連結モードとローラトラックを形成する方式が相異なることである。これらの差異点は以下で強調される。
【0068】
ダンピングシステム200の分解斜視図である図13を参照する。図14は組み立てられた後のダンピングシステム200の概略的な斜視図である。図15はローラトラックの形態を明確に示すために質量プレート208が除去されたダンピングシステム200の概略的な斜視図である。
【0069】
第2実施形態によるダンピングシステム200で、第4ローラガイド溝203は出力ハブ101のトーラス202に備えられる。図13に示すように、第4ローラガイド溝203の半径方向外側部分は半径方向外側に湾曲した形状(curved shape)を有することができ、半径方向内側部分は直線形状(straight shape)を有することができる。
【0070】
それぞれのタービン質量アセンブリ204は質量プレート208をさらに含み得、出力ハブ201はタービンセクション205と質量プレート208の間に軸方向に配置される。タービン質量アセンブリ204はまた、第4ローラガイド溝203を通過するトラックインサート206を含む。トラックインサート206は半径方向外側に向かう凹んだ表面2061を有することができ、第2トラックを形成して、出力ハブ201のトーラス202に備えられる第4ローラガイド溝203の半径方向外側部分によって形成される第1トラックと共にローラトラックを形成する。
【0071】
また、タービンセクション205は第1凹部221を備え、質量プレート208は対応する第2凹部222を備える。トラックインサート206は軸方向の端部を介して第1凹部221と第2凹部222にそれぞれ挿入され、締り嵌めを形成する。
【0072】
したがって、第1トラックは第4ローラガイド溝203により形成され、第2トラックはトラックインサート206により形成され、これらは共にローラトラックを定義する。ローラ207はこのようなローラトラック上で移動することができ、トルク変動が発生するとローラトラックに沿ってローリングするローラ207はトルク変動と反対のトルクを提供することによって、トルク変動を減衰させる効果を達成する。
【0073】
また、このような第2実施形態で、トラックインサート206は任意の他の固定部材なしで締り嵌めによって対応するタービンセクション205と質量プレート208に固定されることによって、ダンピングシステムの構成要素の箇所を節減させることができ、アセンブリを単純化することができる。
【0074】
また、このような第2実施形態で、第1停止部材は出力ハブ201に備えられる第1ノッチ210であり、第2停止部材質量プレート208に備えられて第1ノッチ210内に突出する第1タブ211である。第1タブ211は例えば、スタンピングによって質量プレート208と一体に形成されることができる。
【0075】
第2実施形態はまた相異なる変形例を有することができる。具体的には、図13ないし図15に示すように第1実施形態による第1ないし第3変形例での第1停止部材および第2停止部材の配置は第2実施形態に適用することができる。
【0076】
具体的には、第2実施形態の第1変形例(図示せず)で、第1停止部材は出力ハブ201に備えられる第1ノッチであり得、第2停止部材はタービンセクション205に備えられる第2タブであり得る。
【0077】
第2実施形態の第2変形例(図示せず)で、第1停止部材は出力ハブ201に備えられる第3タブであり、第2停止部材はタービンセクション205に備えられる第2ノッチである。
【0078】
第2実施形態の第3変形例(図示せず)で、第1ストッパは出力ハブ201に備えられる第3タブであり、第2ストッパは質量プレート208に備えられる第3ノッチである。
【0079】
以上、本発明が提案する油圧カップリングデバイス用ダンピングシステムの例示的な実施形態を、好ましい実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば本発明の概念を外れることなく、多様な修正および変形が前記特定の実現に対して行われることができ、本発明が提案する多様な技術的特徴および構造は本発明の保護範囲を超えない範囲で多様な方式で組合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15