IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハスコ ビジョン テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7456000前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両
<>
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図1
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図2
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図3
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図4
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図5
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図6
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図7
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図8
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図9
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図10
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図11
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図12
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図13
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図14
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図15
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図16
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図17
  • 特許-前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】前照灯光学部品、照明装置、前照灯および車両
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/29 20180101AFI20240318BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240318BHJP
   F21S 45/48 20180101ALI20240318BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240318BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20240318BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240318BHJP
【FI】
F21S41/29
F21V17/00 200
F21S45/48
F21V29/503
F21V29/76
F21W102:13
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022564723
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2021083316
(87)【国際公開番号】W WO2021248981
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】202010519122.7
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518211749
【氏名又は名称】ハスコ ビジョン テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仇智平
(72)【発明者】
【氏名】朱柯仰
(72)【発明者】
【氏名】祝賀
(72)【発明者】
【氏名】桑文慧
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0072428(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108626677(CN,A)
【文献】中国実用新案第210141549(CN,U)
【文献】特表2015-526868(JP,A)
【文献】国際公開第2019/110476(WO,A1)
【文献】特開平06-176607(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110397889(CN,A)
【文献】特開2013-161536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 17/00-17/20
F21V 23/00-99/00
F21W 102/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光素子(1)とレンズホルダー(2)とを備え、
前記レンズホルダー(2)に、前記集光素子(1)を収容するためのキャビティが形成され、このキャビティ内および前記集光素子(1)に、互いに嵌合するための嵌合構造が形成され、前記集光素子(1)が、前記嵌合構造によって前記キャビティ内に嵌合さ
前記嵌合構造は、前記キャビティの内周壁に設けられた嵌入部(201)および前記集光素子(1)の先端部に設けられた嵌合溝(1014)を含む
ことを特徴とする前照灯光学部品
【請求項2】
記集光素子(1)と前記レンズホルダー(2)とは一体成形品として形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の前照灯光学部品
【請求項3】
記嵌入部(201)は、前記キャビティの内周壁に沿って全周にわたって形成され、前記嵌入部(201)に、前記嵌入部(201)を貫通する複数の貫通孔(2011)が形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の前照灯光学部品
【請求項4】
記嵌合溝(1014)は、前記嵌入部(201)を嵌め込ませる溝であり、この嵌合溝(1014)の内部に、一対一で前記貫通孔(2011)に嵌め込むことができる柱体(1015)が一体形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の前照灯光学部品
【請求項5】
記嵌合溝(1014)は、前記集光素子(1)の出光部の四周に一体形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の前照灯光学部品
【請求項6】
記集光素子(1)は、複数のコリメートユニット(101)を含み、各前記コリメートユニット(101)が、それぞれ入光部(1011)と、導光部(1012)と、出光部(1013)とを含み、各前記出光部(1013)が合わせて前記集光素子(1)の出光部として一体形成され、各前記導光部(1012)の間に、開口が出光方向に沿って漸次に小さくなるくさび状隙間(102)が形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の前照灯光学部品
【請求項7】
前記導光部(1012)は、縦方向断面積が前から後ろへ漸次に小さくなるように構成される
ことを特徴とする請求項に記載の前照灯光学部品
【請求項8】
記レンズホルダー(2)は、縦方向断面積が前から後ろへ小さくなってから大きくなるように構成され、前記嵌入部(201)が、該縦方向断面積が最小の箇所に設けられる
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の前照灯光学部品
【請求項9】
記レンズホルダー(2)に取付部(202)が設けられ、該取付部(202)が前記レンズホルダー(2)の中部領域に設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の前照灯光学部品
【請求項10】
記レンズホルダー(2)の上部に、少なくとも1つの前記取付部(202)が設けられ、前記レンズホルダー(2)の下部に、少なくとも2つの前記取付部(202)が設けられる
ことを特徴とする請求項9に記載の前照灯光学部品
【請求項11】
記取付部(202)は、前方に開口した凹溝構造として形成され、該凹溝構造の内部に、後方に開口した取付貫通孔または止まり孔が形成された円柱または円形台が設けられ、前記円柱または円形台が前記凹溝構造を貫通するように構成される
ことを特徴とする請求項9に記載の前照灯光学部品
【請求項12】
から後ろへ順に、2次光学素子(3)と、請求項1~11のいずれか1項に記載の前照灯光学部品と、前記前照灯光学部品の後端部を位置決めするための位置決め部材(4)と、光源(5)と、前記光源(5)と電気的に接続する回路基板(6)と、放熱装置(7)とを備え、
前記2次光学素子(3)が前記前照灯光学部品の先端部と接続され、前記前照灯光学部品、前記位置決め部材(4)および前記回路基板(6)が前記放熱装置(7)に固定接続される
ことを特徴とする照明装置
【請求項13】
記位置決め部材(4)に、複数の離隔リブ(402)が設けられており、隣接する2つの前記離隔リブ(402)の間に、前記光源()と一対一で対応する位置決め口(401)が形成されている
ことを特徴とする請求項12に記載の照明装置
【請求項14】
記離隔リブ(402)は、矩形または円形の断面形状を有するものである
ことを特徴とする請求項13に記載の照明装置
【請求項15】
記取付部(202)の後端面と前記放熱装置(7)との間に隙間が設けられている
ことを特徴とする請求項9~11のいずれか1項を引用する、請求項12~14のいずれか1項に記載の照明装置
【請求項16】
記レンズホルダー(2)の後端部にフランジ(203)が形成され、該フランジ(203)の後側面が前記回路基板(6)に密着できるように構成され、または、
前記レンズホルダー(2)の後端部にフランジ(203)が形成され、該フランジ(203)の後側面にボスが形成され、該ボスの端面が前記回路基板(6)に密着できるように構成される
ことを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載の照明装置
【請求項17】
求項12~16のいずれか1項に記載の照明装置を備える前照灯
【請求項18】
求項17に記載の前照灯を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ランプに関し、具体的には、前照灯光学部品に関する。さらに、本発明は、前照灯光学部品を備える照明装置、前照灯および車両に関する。
【0002】
(関係出願の相互参照)
本出願は、2020年06月09日に出願された中国特許出願202010519122.7に基づいて優先権を主張し、その内容は本明細書に、参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
車両用前照灯の照明装置において、マトリクス(Matrix)型前照灯の照明装置は、ハイビーム照明領域を複数の照明領域に細分化することで、アダプティブハイビームの機能を実現し、車両前方の対象に対して遮蔽を行うことによって、他の道路利用者を眩惑させることを避け、したがって運転安全を向上させる。
【0004】
マトリクス(Matrix)型前照灯の照明装置における1次光学素子(例えば、リフレクタ、集光素子)は、マトリクス(Matrix)型前照灯の照明装置のコア部品である。この1次光学素子により光源からの出射光を精確にガイドし、中間的光の分布を形成し、そして2次光学素子(例えばレンズ)によってさらに調整し、所望の配光パターンを得る。そのため、1次光学素子および2次光学素子の製造精度および組み立て精度に対する要求が非常に高い。従来のマトリクス(Matrix)型前照灯の照明装置における各部品が下記のように取付、接続される。支持板がねじによって、回路基板が設置された放熱装置に固着され、1次光学素子が支持板に固定され、1次光学素子を位置制限するために押さえ板が、1次光学素子の上方に覆うように設置されるとともに支持板にねじによって固着され、2次光学素子がレンズホルダーの先端部に取り付けられ、レンズホルダーの後端部が放熱装置に固着される。部品数が多いため、1次光学素子と、2次光学素子と、レンズホルダーとの相対位置の精度は、支持板と押さえ板との間、支持板と放熱装置との間およびレンズホルダーと放熱装置との間の複数回の位置合わせ、取り付け、接続による影響を受けており、つまり、三者間の複数回の組み立てによる誤差で、各光学素子間の相対位置の精度が十分高くない。
【0005】
上記の理由で、従来技術では、各光学素子間の相対位置の高精度を効果的に確保することが困難であった。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の局面は、構造が簡単で、各部品間の相対位置の精度が高い前照灯光学部品を提供することを課題とする。
【0007】
本発明の第2の局面は、構造が簡単で、内部の各部品間の相対位置の精度が高い照明装置を提供することを課題とする。
【0008】
本発明の第3の局面は、構造が簡単で、内部の各部品間の相対位置の精度が高い前照灯を提供することを課題とする。
【0009】
本発明の第4の局面は、構造が簡単で、内部の各部品間の相対位置の精度が高い前照灯を備える車両を提供することを課題とする。
【0010】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の第1の局面は、前照灯光学部品を提供する。該前照灯光学部品は、集光素子とレンズホルダーとを備え、前記レンズホルダーに、前記集光素子を収容するためのキャビティが形成され、このキャビティ内および前記集光素子に、互いに嵌合するための嵌合構造が形成され、前記集光素子が、前記嵌合構造によって前記キャビティ内に嵌合される。
【0011】
好ましい一実施形態として、前記嵌合構造は、前記キャビティの内周壁に設けられた嵌入部および前記集光素子の先端部に設けられた嵌合溝を含む。
【0012】
好ましくは、前記集光素子と前記レンズホルダーとは一体成形品として形成されている。
【0013】
好ましくは、前記嵌入部は、前記キャビティの内周壁に沿って全周にわたって形成され、前記嵌入部に、前記嵌入部を貫通する複数の貫通孔が形成されている。
【0014】
より好ましくは、前記嵌合溝は、前記嵌入部を嵌め込ませる溝であり、この嵌合溝の内部に、一対一で前記貫通孔に嵌め込むことができる柱体が一体形成されている。
【0015】
さらに好ましくは、前記嵌合溝は、前記集光素子の出光部の四周に一体形成されている。
【0016】
他の好ましい実施形態として、前記集光素子は、複数のコリメートユニットを含み、各前記コリメートユニットが、それぞれ入光部と、導光部と、出光部とを備え、各前記出光部が合わせて前記集光素子の出光部として一体形成され、各前記導光部の間に、開口が出光方向に沿って漸次に小さくなるくさび状隙間が形成されている。
【0017】
より好ましくは、各前記導光部は、縦方向断面積が前から後ろへ漸次に小さくなるように構成される。
【0018】
他の好ましい実施形態として、前記レンズホルダーは、縦方向断面積が前から後ろへ小さくなってから大きくなるように構成され、前記嵌入部が、該縦方向断面積が最小の箇所に設けられる。
【0019】
典型的に、前記レンズホルダーに取付部が設けられ、該取付部が前記レンズホルダーの中部領域に設けられる。
【0020】
具体的な一態様として、前記レンズホルダーの上部に、少なくとも1つの前記取付部が設けられ、前記レンズホルダーの下部に、少なくとも2つの前記取付部が設けられる。
【0021】
他の具体的な態様として、前記取付部は、前方に開口した凹溝構造として形成され、該凹溝構造の内部に、後方に開口した取付貫通孔または止まり孔が形成された円柱または円形台が設けられ、前記円柱または円形台が前記凹溝構造を貫通するように構成される。
【0022】
また、本発明の第2の局面は、照明装置を提供する。該照明装置は、前から後ろへ順に、2次光学素子と、第1の局面の技術案のいずれか1種による前照灯光学部品と、前記前照灯光学部品の後端部を位置決めするための位置決め部材と、光源と、前記光源と電気的に接続する回路基板と、放熱装置とを備え、前記2次光学素子が前記前照灯光学部品の先端部と接続され、前記前照灯光学部品、前記位置決め部材および前記回路基板が、前記放熱装置に固定接続される。
【0023】
具体的な一実施形態として、前記位置決め部材に、複数の離隔リブが設けられており、隣接する2つの前記離隔リブの間に、前記光源と一対一で対応する位置決め口が形成されている。
【0024】
より具体的に、前記離隔リブは、矩形または円形の断面形状を有するものである。
【0025】
他の具体的な実施形態として、前記取付部の後端面と前記放熱装置との間に隙間が設けられている。
【0026】
さらに具体的に、前記レンズホルダーの後端部にフランジが形成され、該フランジの後側面が前記回路基板に密着できるように構成され、または、前記レンズホルダーの後端部にフランジが形成され、該フランジの後側面にボスが形成され、該ボスの端面が前記回路基板に密着できるように構成される。
【0027】
なお、本発明の第3の局面は、第2の局面の技術案のいずれか1種による照明装置を備える前照灯を提供する。
【0028】
さらに、本発明の第4の局面は、第3の局面による前照灯を備える車両を提供する。
【0029】
上記の技術案により、本発明に係る前照灯光学部品は、集光素子とレンズホルダーとを備え、前記レンズホルダーに、前記集光素子を収容するためのキャビティが形成され、このキャビティ内および前記集光素子に、互いに嵌合するための嵌合構造が形成され、前記集光素子が、前記嵌合構造によって前記キャビティ内に嵌合される。本発明に係る前照灯光学部品は、集光素子およびレンズホルダーに、互いに嵌合可能な嵌合構造を設けることによって、両者間の取付精度を確保し、光学効率を向上させることができる。
【0030】
本発明の他の利点および好ましい実施形態の技術的効果について、後記の発明を実施するための形態においてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る前照灯光学部品の具体的な一実施例の模式的構成図のその1である。
図2】本発明に係る前照灯光学部品の具体的な一実施例の模式的構成図のその2である。
図3】本発明に係る前照灯光学部品の具体的な一実施例の平面図である。
図4図3のA-A線に沿う断面図である。
図5】本発明に係る前照灯光学部品の具体的な一実施例の側面図である。
図6図5のB-B線に沿う断面図である。
図7】本発明に係るレンズホルダーの具体的な一実施例の模式的構成図である。
図8】本発明に係る集光素子の具体的な一実施例の模式的構成図である。
図9】本発明に係る照明装置の具体的な一実施例の模式的構成図のその1である。
図10】本発明に係る照明装置の具体的な一実施例の側面図である。
図11図10のC-C線に沿う断面図である。
図12図11のDの箇所の模式的部分拡大図である。
図13】本発明に係る取り付けられた位置決め部材、光源および回路基板の模式的構成図のその1である。
図14】本発明に係る取り付けられた位置決め部材、光源および回路基板の模式的構成図のその2である。
図15】本発明に係る位置決め部材の具体的な一実施例の模式的構成図である。
図16】本発明に係る照明装置の具体的な一実施例の模式的構成図のその2である。
図17】本発明に係る照明装置の具体的な一実施例の模式的構成図のその3である。
図18】本発明に係る照明装置の具体的な一実施例の模式的構成図のその4である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。説明される具体的な実施形態は、本発明を説明、解釈するためのものにすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0033】
本発明の説明において、「前」、「後」等の用語で表された方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、本発明を便宜および簡略に説明するためのものにすぎず、本発明において、前、後とは、光線が集光素子1を介して集光された後の主な進行方向を示す光路に対するものであり、光線が入射する端を後端とし、光線が出射する端を先端とする。すなわち、光源5が位置する端を後端とし、2次光学素子3が位置する端を先端とする。
【0034】
本発明の説明において、明確な定義と限定がない限り、用語の「取付」、「接続」を広義に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、直接に接続してもよいし、中間物を介して間接に接続してもよい。また、2つの要素の内部が連通してもよいし、2つの要素が相互に作用してもよい。当業者は、本発明における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することが可能である。
【0035】
図1図6に示すように、本発明に係る前照灯光学部品は、集光素子1とレンズホルダー2とを備え、前記レンズホルダー2に、前記集光素子1を収容するためのキャビティが形成され、このキャビティ内および前記集光素子1に、互いに嵌合するための嵌合構造が形成され、前記集光素子1が、前記嵌合構造によって前記キャビティ内に嵌合される。
【0036】
従来の前照灯光学部品において、集光素子1とレンズホルダー2は、前照灯光学部品を構成するための重要な構造であり、両者間が間接に位置合わさるため、複数回の位置合わせによる取付誤差が生じてしまう。そして、集光素子1とレンズホルダー2との間の取付精度が、前照灯の投光効果に直接影響を及ぼし、これに対して、本発明に係る集光素子1およびレンズホルダー2に、互いに嵌合するための嵌合構造が形成されることで、集光素子1とレンズホルダー2が直接接続して位置合わさる。したがって、位置合わせによる取付誤差が減少し、両者間の取付精度が向上する。
【0037】
本発明に係る集光素子1とレンズホルダー2との嵌合について、2種の構成を挙げる。その1種の態様として、集光素子1とレンズホルダー2とが一体成形品として形成されることが好ましい。このような嵌合構造により、集光素子1とレンズホルダー2との位置合わせの精度がより高い。
【0038】
なお、集光素子1とレンズホルダー2は一体成形品であるため、集光素子1とレンズホルダー2は、互いに同種の材料からなってもよく、互いに異種の材料からなってもよい。好ましくは、集光素子1とレンズホルダー2は、互いに異種の材料からなる。集光素子1は、耐熱性、光学的性能に比較的優れた材料(例えば、シリコンゴム)を用いて成形してもよい。レンズホルダー2は、集光素子1をより良好に支持し、その安定性を高めるように、剛性に比較的優れた材料(例えば、PC、PMMAなどまたはこれらの混合物)を用いて成形してもよい。
【0039】
そして、レンズホルダー2と集光素子1をインサート成形により一体成形し、その成形プロセスは、図4図6に示すように、まず、レンズホルダー2を射出成形する。次いで、レンズホルダー2を、集光素子1を射出するための金型内に配置する。次いで、材料を注入することでレンズホルダー2と集光素子1との一体成形品を得ることができる。もちろん、レンズホルダー2と集光素子1との一体構造を実現できる他の成形のプロセスや方法を採用してもよく、例えば、二色射出成形を採用してもよい。
【0040】
図7図8に示すように、本発明の好ましい一実施形態として、前記嵌合構造は、前記キャビティの内周壁に設けられた嵌入部201および前記集光素子1の先端部に設けられた嵌合溝1014を含む。そして、該嵌合溝1014は、前記集光素子1の出光部の四周に一体形成されている。したがって、嵌合構造を集光素子1の先端部に構成することにより、出光部1013の剛性を効果的に向上させることができる。
【0041】
図7に示すように、レンズホルダー2には、集光素子1を収容するためのキャビティが形成されている。該キャビティは、前後に貫通しており、その四周の内周壁に嵌入部201が形成されている。嵌入部201は、四周から中心へ延在しており、前記キャビティの内周壁に沿って全周にわたって形成された薄板状のものである。前記嵌入部201には、前記嵌入部201を貫通する複数の貫通孔2011が形成されている。
【0042】
図8に示すように、前記嵌合溝1014は、前記嵌入部201を嵌め込ませる溝であり、この嵌合溝1014の内部に、一対一で前記貫通孔2011に嵌め込むことができる柱体1015が一体形成されている。
【0043】
そして、前記嵌合溝1014は、前記集光素子1の出光部の四周に一体形成されている。
【0044】
したがって、本発明に係る嵌合構造は、嵌入部201を嵌合溝1014内に嵌合させるとともに、嵌合構造をより強固にし嵌合強度を高めるために、柱体1015を貫通孔2011に嵌合させることで、集光素子1とレンズホルダー2とを一体に強固に嵌合させることができる。また、集光素子1とレンズホルダー2とが一体に強固に嵌合すると、両者は分離不能になり、図7および図8で二つの部品を別々で示すことは、両者の具体的な構造を示すためである。
【0045】
集光素子1とレンズホルダー2との嵌合の他の構成として、レンズホルダー2は、別体構造(互いに別体の部材により構成される構造)であり、上下で分割されたものであってもよく、左右で分割されたものであってもよい。この場合、嵌入部201における貫通孔2011の代わりに、開口を有する係合溝が設けられており、該係合溝が柱体1015に係合可能である。該構造によれば、集光素子1とレンズホルダー2との取り付け精度を確保するとともに、取付を容易にすることができる。取り付けるとき、レンズホルダー2の互いに別体の部材を組み立てることにより係合孔と柱体1015とを係合させて集光素子1をレンズホルダー2に嵌合させる。取り外すとき、別体構造のレンズホルダー2を分離させれば、集光素子1をレンズホルダー2から分離させることができる。
【0046】
図8に示すように、本発明の他の好ましい一実施形態として、前記集光素子1は、複数のコリメートユニット101を含む。各前記コリメートユニット101は、それぞれ入光部1011と、導光部1012と、出光部1013とを含む。各前記出光部1013は合わせて前記集光素子1の出光部として一体形成され、各前記導光部1012の間に、開口が出光方向に沿って漸次に小さくなるくさび状隙間102が形成されている。なお、各前記導光部1012の縦方向断面積は、前から後ろへ漸次に小さくなる。
【0047】
コリメートユニット101は、入射光線を集光してコリメートするものである。各コリメートユニット101は、それぞれ入光部1011と、導光部1012と、出光部1013とを備え、入光部1011と導光部1012とが一対一で対応しており、かつ、すべての出光部1013が互いに接続されて集光素子1の出光部を構成する。つまり、集光素子1は、複数の入光部1011と複数の導光部1012を有するが、これらの入光部1011および導光部1012が同一の出光部を共用する。そして、該集光素子1の出光部は、レンズホルダー2のキャビティ内に一体成形される。該集光素子1の出光部とレンズホルダー2とを一体成形することにより、出光部の位置の安定性を確保できる。これは、該集光素子1の出光部が、配光パターンに影響を与える重要な光学面であり、取り付けるときや使用中に、熱や力によって変形して配光パターンに影響を及ぼすおそれがあるため、レンズホルダー2と一体成形することにより、集光素子1の出光部の変形を抑えまたは避けることができ、光の出射がより安定であるからである。
【0048】
より好ましくは、前記レンズホルダー2は、縦方向断面積が前から後ろへ小さくなってから大きくなるように構成され、前記嵌入部201が、該縦方向断面積が最小の箇所に設けられる。
【0049】
レンズホルダー2の縦方向断面積を、前から後ろへ小さくなってから大きくなる形状にし、集光素子1の出光部を断面積が最小の箇所に位置させることで、レンズホルダー2の占めるスペースを小さくし、したがって放熱装置7を設置するスペースをより大きく用意することができる。従来技術の、断面積が先端から後端へ漸次に大きくなるレンズホルダー2に対して、本発明に係るレンズホルダー2によれば、関連部品を接続してなした構造をよりコンパクトにすることができる。
【0050】
本発明の他の好ましい一実施形態として、前記レンズホルダー2に取付部202が設けられ、該取付部202が前記レンズホルダー2の中部領域に設けられる。
【0051】
さらに好ましくは、前記レンズホルダー2の上部に、少なくとも1つの前記取付部202が設けられ、前記レンズホルダー2の下部に、少なくとも2つの前記取付部202が設けられる。このようにして、3つの取付部202により一平面において三角形の取付構造を形成することができるため、レンズホルダー2と放熱装置7との取り付けがより強固である。
【0052】
なお、図17に示すように、レンズホルダー2の中部に放熱装置7と固定接続される取付部202が設置されることにより、取付部202が前照灯光学部品とレンズとからなる構造の重心位置により近いため、照明装置の振動安定性が大幅に向上する。該中部は、レンズホルダー2の前後長さの中部領域に位置し、すなわち、レンズホルダー2の、中点から前に1/4長さの位置から、中点から後に1/4長さの位置までの領域内に位置する。
【0053】
さらに、前記取付部202は、前方に開口した凹溝構造として形成され、該凹溝構造の内部に、後方に開口した取付用貫通孔または止まり孔が形成された円柱または円形台が設けられ、前記円柱または円形台が前記凹溝構造を貫通するように構成される。凹溝構造によれば、取付部202の厚みをなるべく増やさずに強度を効果的に高めることができる。そして、凹溝構造の内部に円柱または円形台が設けられることで、レンズホルダー2と放熱装置7との取り付け強度を向上させることができるとともに、取付部202と放熱装置7との間の隙間が許容差はずれであっても、加工により調整することができ、円柱または円形台の後端面を調整すればよく、調整量が少ない。もちろん、凹溝構造の内部の設計については、円柱または円形台に限らず、直方体などの他の構造であってもよく、他の構造であっても、放熱装置7の取付部202への取り付けに影響を及ぼすことがない。
【0054】
また、本発明の第2の局面は照明装置をさらに提供する。該照明装置は、前から後ろへ順に、2次光学素子3と、上記の技術案のいずれか1種による前照灯光学部品と、前記前照灯光学部品の後端部を位置決めするための位置決め部材4と、光源5と、前記光源5と電気的に接続する回路基板6と、放熱装置7とを備え、前記2次光学素子3が前記前照灯光学部品の先端部と接続され、前記前照灯光学部品、前記位置決め部材4および前記回路基板6が放熱装置7に固定接続される。
【0055】
ここで、本発明に係る2次光学素子3は、レンズであることが好ましい。該レンズは、レンズホルダー2の先端部に接続され、その接続方式が、レーザ溶接、接着または係合などを採用してもよく、他の適宜な接続方式を採用してもよい。
【0056】
図15に示すように、本発明の具体的な一態様として、前記位置決め部材4に、複数の離隔リブ402が設けられている。隣接する2つの前記離隔リブ402の間に、前記光源5と一対一で対応する位置決め口401が形成されている。
【0057】
上記の技術案において、集光素子1の複数のコリメートユニット101の間に、くさび状隙間102が形成されている。複数のコリメートユニット101の入光部1011と回路基板6に配置される光源5との相対位置の精度を確保するために、本発明に係る照明装置において、各入光部1011を位置決めするための位置決め部材4が設置される。該位置決め部材4内に、いくつかの離隔リブ402が設けられており、隣接する2つの離隔リブ402の間に、コリメートユニット101を通すとともに位置決めする位置決め口401が形成されている。位置決め口401は、回路基板6に設置される光源5と一対一で対応する。複数のコリメートユニット101は、1列に配置されてもよく、複数列に配置されてもよく、これに対応して、位置決め口401も1列または複数列に配置される。各コリメートユニット101の入光部1011は、対応する位置決め口401に挿入されることで位置決めされる。これによって、集光素子1の出光部1013および入光部1011がともに位置決めされる。集光素子1は、先端が2次光学素子3に対して直接位置決めされ、後端が位置決め部材4によって光源5に対して位置決めされるため、集光素子1の位置決めの精度を効果的に向上させ、出光効果を改善することができる。
【0058】
具体的に、図9図12に示すように、離隔リブ402が離隔板状であり、位置決め口401の横断面の幅が前から後ろへ漸次に狭くなり、コリメートユニット101の横断面の幅も前から後ろへ漸次に狭くなり、但し、位置決め口401の狭くなる変化度合いがコリメートユニット101の狭くなる変化度合いよりも大きく、このようにすれば、コリメートユニット101と離隔リブ402との接触面積をなるべく小さくすることができる。一方、挿入時の案内に寄与でき、他方、接触面積が小さければ位置決めの精度を確保することができる。したがって、さらに具体的に、コリメートユニット101と離隔リブ402との接触は線接触である。同じ理由で、離隔リブ402は円柱体であってもよい。すなわち、離隔リブ402は、矩形または円形の断面形状を有するものであり、コリメートユニット101と線接触する。
【0059】
図13図14に示すように、位置決め部材4の取付構造は、2つのねじ8によって回路基板6とともに放熱装置7に固定接続される。
【0060】
本発明の他の具体的な態様として、前記取付部202の後端面と前記放熱装置7との間に隙間が設けられている。
【0061】
図18に示すように、取付部202と放熱装置7とが締付部品(例えばねじ、ボルトなど)によって固定接続される。該締付部品が締め付けられると、レンズホルダー2の後端面が回路基板6に密着するようにレンズホルダー2が付勢され、集光素子1と光源5との相対位置の確実性を確保することができる。そして、レンズホルダー2と放熱装置7との前後方向のオーバーポジショニングを防止するために、取付部202と放熱装置7との間に隙間が設けられ、これによって、製造誤差に起因するレンズホルダー2と放熱装置7の取付の不具合を避ける。
【0062】
本発明の他の具体的な態様として、前記レンズホルダー2の後端部にフランジ203が形成され、該フランジ203の後側面が前記回路基板6に密着できるように構成される。
【0063】
前記具体的な態様の好ましい態様として、前記レンズホルダー2の後端部にフランジ203が形成され、該フランジ203の後側面にボスが形成され、該ボスの端面が前記回路基板6に密着できるように構成される。
【0064】
さらに、本発明の第3の局面は、上記の技術案のいずれか1種による照明装置を備える前照灯を提供する。
【0065】
さらに、本発明の第4の局面は、上記の技術案による前照灯を備える車両を提供する。
【0066】
以上の説明から分かるように、本発明に係る前照灯光学部品は、集光素子1とレンズホルダー2とを備え、前記レンズホルダー2に、前記集光素子1を収容するためのキャビティが形成され、このキャビティ内および前記集光素子1に、互いに嵌合するための嵌合構造が形成され、前記集光素子1が、前記嵌合構造によって前記キャビティ内に嵌合される。本発明に係る前照灯光学部品は、集光素子1およびレンズホルダー2に、互いに嵌合可能な嵌合構造を設けることにより、集光素子1とレンズホルダー2との位置合わせの精度を効果的に向上させることができる。したがって、良好な配光性能を確保し、光学効率を向上させ、所望の配光パターンを得ることができる。
【0067】
また、好ましくは、集光素子1とレンズホルダー2は一体成形品である。両者に設けられた嵌合構造が互いに嵌合することによって、両者間の取付誤差を減少させることができ、したがって、両者間の取付精度を向上させ、出光効果を確保することができる。
【0068】
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態の詳細に限定されない。本発明の技術的思想の範囲内で、本発明の技術案に対して、多種の簡単な変形を行うことができる。これらの簡単な変形も本発明の保護範囲に含まれる。
【0069】
また、矛盾がない限り、上記の具体的な実施形態における個々の具体的な技術的特徴は、任意の適切な方式で組み合わせることができる。必要以上の重複を避けるため、本発明の各種の組み合せ可能な態様の説明を省略する。
【0070】
なお、本発明の個々の実施形態も、任意に組み合わせることができる。本発明の思想を逸脱しない限り、本発明により開示されたものとみなすべきである。
【符号の説明】
【0071】
1 集光素子
101 コリメートユニット
1011 入光部
1012 導光部
1013 出光部
1014 嵌合溝
1015 柱体
102 くさび状隙間
2 レンズホルダー
201 嵌入部
2011 貫通孔
202 取付部
203 フランジ
3 2次光学素子
4 位置決め部材
401 位置決め口
402 離隔リブ
403 取付穴
5 光源
6 回路基板
7 放熱装置
8 ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18