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特許7456001船舶の温室効果ガス排出低減装置及びそれを具備した船舶
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】船舶の温室効果ガス排出低減装置及びそれを具備した船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/32 20060101AFI20240318BHJP
   B01D 53/56 20060101ALI20240318BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20240318BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240318BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240318BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240318BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240318BHJP
   F01N 3/04 20060101ALI20240318BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
B63H21/32 Z
B01D53/56 200
B01D53/50 270
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/96
B01D53/14 210
B01D53/14 220
F01N3/04 A
F01N3/08 B
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022565847
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 KR2020018600
(87)【国際公開番号】W WO2021261691
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0077213
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0132184
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522213971
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】3370,Geoje-daero,Geoje-si,Gyeongsangnam-do 53302,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ビョン タク
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0113486(KR,A)
【文献】特開昭62-170469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0178276(US,A1)
【文献】特開2013-189937(JP,A)
【文献】特表2016-514038(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0010192(KR,A)
【文献】特表2011-524800(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0075663(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0078308(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/32
B01D 53/14-53/18,53/34-53/73,
53/74-53/85,53/92,53/96
F01N 3/04,3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水を供給する海水供給部と、
清水とNHを反応させてアンモニア水を製造して供給するアンモニア水製造部と、
船舶エンジンから排出される排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記アンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去するCO除去部が形成された、吸収タワーと、
前記吸収タワーから排出されたNHHCO(aq)をCa(OH)又はMg(OH)と反応させてNHを再生して前記アンモニア水製造部に回帰させて供給する、アンモニア再生部と、を含み、
前記アンモニア水製造部は、
清水を貯蔵する清水タンク;
前記清水タンクから清水をポンピングして供給する清水ポンプ;
タワータンクと、前記タワータンク下段に形成されてNH を上向きに噴射するNH 噴射ノズルと、前記タワータンク上段に形成されて前記清水ポンプからの清水を下向きに噴射する清水噴射ノズルと、前記NH 噴射ノズルと前記清水噴射ノズルの間に形成されて清水とNH を接触させてNH を溶解してアンモニア水を生成する第1充填材と、溶解反応による前記タワータンクの発熱を冷却するクーリングジャケットと、で構成されるアンモニア水製造タワー;及び、
前記アンモニア水製造タワーの下段に排液されたアンモニア水を貯蔵するアンモニア水貯蔵タンクから前記CO 除去部の上段にアンモニア水を供給するアンモニア水ポンプ;を含む
ことを特徴とする船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項2】
前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部をさらに含み、
前記CO除去部は、前記NOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記アンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去し、
前記アンモニア再生部はNHを再生して前記アンモニア水製造部及び前記NO吸収部に回帰させて供給する
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項3】
前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部をさらに含み、
前記CO除去部は、前記SOが除去された排気ガスと前記アンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去する
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項4】
前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部と、前記NOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部と、前記SOが除去された排気ガスと前記アンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去する前記CO除去部と、が積層形成され、
前記アンモニア再生部はNHを再生して前記アンモニア水製造部及び前記NO吸収部に回帰させて供給する
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項5】
前記海水供給部は、
船外からシーチェストを介して海水を供給されて前記SO吸収部にポンピングする海水ポンプと、
排気ガスの量に応じて前記海水ポンプから供給される海水の流量を調節する調節弁と、を含むことを特徴とする
請求項3または4に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項6】
前記アンモニア水製造タワーは、
前記タワータンクの上部に屈曲する多板形で形成されて清水から飛散されるミストを前記第1充填材方向に回帰させるミスト除去板をさらに含む
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項7】
前記アンモニア水製造タワーの上段から排気されるNHを前記CO除去部の下段に供給するNH供給パイプをさらに含む
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項8】
前記第1充填材は、
単位体積あたり接触面的が大きく設計された、蒸留カラムパッキングが多段で構成される
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項9】
多段で構成された前記蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器がさらに形成される
請求項8に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項10】
前記タワータンクの直径及び高さは、
清水の流速及びNHの流速がフラッディング速度の1/2になるように設計される
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項11】
前記アンモニア再生部からNHを前記アンモニア水製造部のNH噴射ノズルを通して供給するか、又はNHの損失及び不足時には別途のNH貯蔵タンクからNHを供給して損失及び不足分を補償させる
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項12】
前記NO吸収部は、
前記アンモニア再生部からブロア又は圧縮機を通してNHを直接供給されて第1NH噴射ノズルに噴射するか、又はNHの不足時には尿素水貯蔵タンクの尿素水を尿素水供給ポンプを通して供給されて第2NH噴射ノズルに噴射してNHの不足分を補償させる
請求項2または4に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項13】
前記SO吸収部は、
前記調節弁と連結されて海水を下向きに噴射する多段の海水噴射ノズルを含む
請求項5に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項14】
前記海水噴射ノズル下部に、排気ガスが通過する流路が形成された多孔性上板が多段でそれぞれ形成されて、海水と排気ガスを接触させる
請求項13に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項15】
前記海水噴射ノズル下部に、海水と排気ガスを接触させる第3充填材が詰められた吸収塔がそれぞれ形成されて、海水がSOを溶解させるようにする
請求項14に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項16】
前記SO吸収部は、
洗浄水が逆流しないように排気ガス流入管をカバーする傘形状の隔壁を含む
請求項13に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項17】
前記CO除去部は、
前記アンモニア水ポンプと連結されてアンモニア水を下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズルと、
COとアンモニア水を接触させてCOをNHHCO(aq)に転換させる第2充填材と、
前記第2充填材が詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO除去反応による発熱を冷却するクーリングジャケットと、
COと反応せず外部に排出されるNHを捕集するウォータースプレーと、
屈曲する多板形で形成されてアンモニア水を前記第2充填材方向に回帰させるミスト除去板と、
アンモニア水が逆流しないように形成された隔壁と、
前記隔壁の排気ガス流入孔をカバーする傘形状の遮断板と、を含む
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項18】
前記吸収タワーは、
前記NO吸収部と前記SO吸収部の間に形成されて前記船舶エンジンの廃熱とボイラ水を熱交換させるEGEをさらに含む
請求項4に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項19】
熱交換された蒸気と飽和水形態の混合水を供給されて蒸気を分離して蒸気消耗先に供給する補助ボイラと、前記補助ボイラから前記EGEにボイラ水を循環供給するボイラ水循環水ポンプと、前記蒸気消耗先から凝縮された凝縮水を回収するカスケードタンクと、前記カスケードタンクから前記補助ボイラにボイラ水の量を調節して供給する供給ポンプ及び調節弁と、を含む、蒸気生成部をさらに含む
請求項18に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項20】
前記アンモニア再生部は、
Ca(OH)を貯蔵するCa(OH)貯蔵タンクと、
前記吸収タワーから排出されたNHHCO(aq)とCa(OH)を攪拌機によって攪拌してCaCO(s)とHOを生成しNH(g)を再生する混合タンクと、
前記混合タンクから溶液及び沈殿物を吸入してCaCO(s)を分離するフィルタと、
前記溶液及び沈殿物を前記フィルタに高圧で移送する高圧ポンプと、
スラリー又は固体状態のCaCO(s)を貯蔵するCaCO(s)貯蔵タンクと、を含む
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項21】
前記アンモニア再生部は、
Mg(OH)を貯蔵するMg(OH)貯蔵タンクと、
前記吸収タワーから排出されたNHHCO(aq)とMg(OH)を攪拌機によって攪拌してMgCO(s)とHOを生成しNH(g)を再生する混合タンクと、
前記混合タンクから溶液及び沈殿物を吸入してMgCO(s)を分離するフィルタと、
前記溶液及び沈殿物を前記フィルタに高圧で移送する高圧ポンプと、
スラリー又は固体状態のMgCO(s)を貯蔵するMgCO(s)貯蔵タンクと、を含む
請求項1に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項22】
前記フィルタによって分離されたアンモニア水若しくは清水を前記アンモニア水製造部に供給するか、又は総循環清水に対して前記混合タンクによって追加的に生成された余剰のアンモニア水又は余剰の清水を前記清水タンクに貯蔵する
請求項20または21に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項23】
前記Ca(OH)貯蔵タンクで、前記清水タンクから供給される清水とCaOを反応させてCa(OH)を生成する
請求項22に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項24】
前記Mg(OH)貯蔵タンクで、前記清水タンクから供給される清水とMgOを反応させてMg(OH)を生成する
請求項22に記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項25】
前記吸収タワーから排出される洗浄水を貯蔵する洗浄水タンク、前記洗浄水タンクに移送ポンプによって移送された洗浄水の船外排出条件を充足するように濁度を調節するフィルタリングユニットとpH調節のための中和剤注入ユニットを具備する水処理装置、及び固形の排出物を分離貯蔵するスラッジ貯蔵タンクで構成される、排出部をさらに含む
請求項1ないし4のいずれかに記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置。
【請求項26】
請求項1ないし4のいずれかに記載の船舶の温室効果ガス排出低減装置を具備した
ことを特徴とする船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶エンジンから排気される排気ガスからNOとSOとCOを分離排出してIMO温室効果ガス排出規制を充足し、SOを除去した後にCOを除去することで、CO溶解度とCO除去効率性を上げることができる、船舶の温室効果ガス排出低減装置及びそれを具備した船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無分別な化石燃料使用による温室効果ガス排出の影響で地球温暖化現象とそれに関連する環境災害が発生している。
【0003】
これによって、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素を放出せず捕集して貯蔵することに関連する一連の技術がCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術と呼ばれ最近非常に大きな注目を浴びているが、CCS技術のうち化学吸収法(chemical absorption)は大規模処理が可能という面からその中でも最も多く商用化された技術である。
【0004】
また、二酸化炭素排出規制はIMOのEEDIによって規制するが、2050年には2008年の排出量の50%以上の低減を目標とし、2030年にも2008年の排出量の40%を低減しなければならず、COを排出しない、又は排出されたCOを捕集する技術が注目を浴びている。
【0005】
ちなみに、二酸化炭素を直接的に捕集及び貯蔵するCCS技術のうち、CO捕集技術は対象工程のCO発生条件に応じて多様なアプローチができるが、現在、代表的な技術は吸収法、吸着法、膜分離法があって、そのうち湿式吸収法は陸上プラントにおいて技術成熟度レベルが高く、CO2の大量処理が容易でCCS技術の商用化に最も近接した捕集技術とされ吸収剤としてはアミン系とアンモニアを主に使用する。
【0006】
一方、前述した二酸化炭素の排出を低減、又は生成された二酸化炭素を捕集する技術は、船舶では商用化された事例がないというのが現状であり、水素やアンモニアを燃料として使用する方法も現在開発中で商業化の段階には至っていないのが現状である。
【0007】
特に、高硫黄油を使用するためにスクラバ(scrubber)を具備した船舶では、SOの溶解度が大きいため、NaSOの化合物に先に変化することにより、SOの溶解がすべて行われるまではCOの除去が難しい短所がある。
【0008】
よって、化石燃料を使用する船舶に対して船舶のエンジンから排出される排出ガスの中のCOを環境に影響を与えない物質に転換して排出したり、有用な物質に転換して貯蔵するための技術を船舶に適用する必要性が提起される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】大韓民国登録特許公報第2031210号(船舶用排気ガス低減装置及び汚染物質除去方法、2019.10.11)
【文献】大韓民国登録特許公報第1201426号(船舶用温室効果ガス低減装置、2012.11.14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の思想が成し遂げようとする技術的課題は、排気ガスからNOとSOとCOを分離排出してIMO温室効果ガス排出規制を充足し、SOを除去した後にCOを除去することで、CO溶解度とCO除去効率性を上げ、Ca(OH)又はMg(OH)を使用してNH再生費用を節減し、フィルタ後段部の容量の大きさを減らし、COの除去時、NHと、Ca(OH)又はMg(OH)のみを消耗して除去費用を節減させる、船舶の温室効果ガス排出低減装置及びそれを具備した船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために、本発明は、海水を供給する海水供給部と、清水とNHを反応させてアンモニア水を製造して供給するアンモニア水製造部と、船舶エンジンから排出される排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記アンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去するCO除去部が形成された、吸収タワーと、前記吸収タワーから排出されたNHHCO(aq)をCa(OH)又はMg(OH)と反応させてNHを再生して前記アンモニア水製造部に回帰させて供給する、アンモニア再生部と、を含む。
【0012】
また、前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部をさらに含み、前記CO除去部は、前記NOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、前記冷却された排気ガスと前記アンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去し、前記アンモニア再生部はNHを再生して前記アンモニア水製造部及び前記NO吸収部に回帰させて供給できる。
【0013】
また、前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部をさらに含み、前記CO除去部は、前記SOが除去された排気ガスと前記アンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去できる。
【0014】
また、前記吸収タワーは、前記船舶エンジンから排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部と、前記NOが除去された排気ガスを前記海水供給部から供給された海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部と、前記SOが除去された排気ガスと前記アンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去する前記CO除去部と、が積層形成され、前記アンモニア再生部はNHを再生して前記アンモニア水製造部及び前記NO吸収部に回帰させて供給できる。
【0015】
また、前記海水供給部は、船外からシーチェストを介して海水を供給されて前記SO吸収部にポンピングする海水ポンプと、排気ガスの量に応じて前記海水ポンプから供給される海水の流量を調節する調節弁と、を含むことができる。
【0016】
また、前記アンモニア水製造部は、清水を貯蔵する清水タンク;前記清水タンクから清水をポンピングして供給する清水ポンプ;タワータンクと、前記タワータンク下段に形成されてNHを上向きに噴射するNH噴射ノズルと、前記タワータンク上段に形成されて前記清水ポンプからの清水を下向きに噴射する清水噴射ノズルと、前記NH噴射ノズルと前記清水噴射ノズルの間に形成されて清水とNHを接触させてNHを溶解してアンモニア水を生成する第1充填材と、溶解反応による前記タワータンクの発熱を冷却するクーリングジャケットと、で構成されるアンモニア水製造タワー;及び前記アンモニア水製造タワーの下段に排液されたアンモニア水を貯蔵するアンモニア水貯蔵タンクから前記CO除去部の上段にアンモニア水を供給するアンモニア水ポンプ;を含むことができる。
【0017】
また、前記アンモニア水製造タワーは、前記タワータンクの上部に屈曲する多板形で形成されて清水から飛散されるミストを前記第1充填材方向に回帰させるミスト除去板をさらに含むことができる。
【0018】
また、前記アンモニア水製造タワーの上段から排気されるNHを前記CO除去部の下段に供給するNH供給パイプをさらに含むことができる。
【0019】
また、前記第1充填材は、単位体積あたり接触面的が大きく設計された、蒸留カラムパッキングが多段で構成されることができる。
【0020】
また、多段で構成された前記蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器がさらに形成され得る。
【0021】
また、前記タワータンクの直径及び高さは、清水の流速及びNHの流速がフラッディング速度の1/2になるように設計されることができる。
【0022】
また、前記アンモニア再生部からNHを前記アンモニア水製造部のNH噴射ノズルを通して供給するか、又はNHの損失及び不足時には別途のNH貯蔵タンクからNHを供給して損失及び不足分を補償できる。
【0023】
また、前記NO吸収部は、前記アンモニア再生部からブロア又は圧縮機を通して第1NH噴射ノズルにNHを直接供給されるか、又はNHの不足時には尿素水貯蔵タンクの尿素水を尿素水供給ポンプを通して第2NH噴射ノズルに供給されて不足分を補償できる。
【0024】
また、前記SO吸収部は、前記調節弁と連結されて海水を下向きに噴射する多段の海水噴射ノズルを含むことができる。
【0025】
また、前記海水噴射ノズル下部に、排気ガスが通過する流路が形成された多孔性上板が多段でそれぞれ形成されて、海水と排気ガスが接触できる。
【0026】
また、前記海水噴射ノズル下部に、海水と排気ガスを接触させる第3充填材が詰められた吸収塔がそれぞれ形成されて、海水がSOを溶解させることができる。
【0027】
また、前記SO吸収部は、洗浄水が逆流しないように排気ガス流入管をカバーする傘形状の隔壁を含むことができる。
【0028】
また、前記CO除去部は、前記アンモニア水ポンプと連結されてアンモニア水を下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズルと、COとアンモニア水を接触させてCOをNHHCO(aq)に転換させる第2充填材と、前記第2充填材が詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO除去反応による発熱を冷却するクーリングジャケットと、COと反応せず外部に排出されるNHを捕集するウォータースプレーと、屈曲する多板形で形成されてアンモニア水を前記第2充填材方向に回帰させるミスト除去板と、アンモニア水が逆流しないように形成された隔壁と、前記隔壁の排気ガス流入孔をカバーする傘形状の遮断板と、を含むことができる。
【0029】
また、前記吸収タワーは、前記NO吸収部と前記SO吸収部の間に形成されて前記船舶エンジンの廃熱とボイラ水を熱交換させるEGEをさらに含むことができる。
【0030】
また、熱交換された蒸気と飽和水形態の混合水を供給されて蒸気を分離して蒸気消耗先に供給する補助ボイラと、前記補助ボイラから前記EGEにボイラ水を循環供給するボイラ水循環水ポンプと、前記蒸気消耗先から凝縮された凝縮水を回収するカスケードタンクと、前記カスケードタンクから前記補助ボイラにボイラ水の量を調節して供給する供給ポンプ及び調節弁と、を含む、蒸気生成部をさらに含むことができる。
【0031】
また、前記アンモニア再生部は、Ca(OH)を貯蔵するCa(OH)貯蔵タンクと、前記吸収タワーから排出されたNHHCO(aq)とCa(OH)を攪拌機によって攪拌してCaCO(s)とHOを生成しNH(g)を再生する混合タンクと、前記混合タンクから溶液及び沈殿物を吸入してCaCO(s)を分離するフィルタと、前記溶液及び沈殿物を前記フィルタに高圧で移送する高圧ポンプと、スラリー又は固体状態のCaCO(s)を貯蔵するCaCO(s)貯蔵タンクと、を含むことができる。
【0032】
また、前記アンモニア再生部は、Mg(OH)を貯蔵するMg(OH)貯蔵タンクと、前記吸収タワーから排出されたNHHCO(aq)とMg(OH)を攪拌機によって攪拌してMgCO(s)とHOを生成しNH(g)を再生する混合タンクと、前記混合タンクから溶液及び沈殿物を吸入してMgCO(s)を分離するフィルタと、前記溶液及び沈殿物を前記フィルタに高圧で移送する高圧ポンプと、スラリー又は固体状態のMgCO(s)を貯蔵するMgCO(s)貯蔵タンクと、を含むことができる。
【0033】
また、前記フィルタによって分離されたアンモニア水若しくは清水を前記アンモニア水製造部に供給するか、又は総循環清水に対して前記混合タンクによって追加的に生成された余剰のアンモニア水又は余剰の清水を前記清水タンクに貯蔵することができる。
【0034】
また、前記Ca(OH)貯蔵タンクで、前記清水タンクから供給される清水とCaOを反応させてCa(OH)を生成できる。
【0035】
また、前記Mg(OH)貯蔵タンクで、前記清水タンクから供給される清水とMgOを反応させてMg(OH)を生成できる。
【0036】
また、前記吸収タワーから排出される洗浄水を貯蔵する洗浄水タンク、前記洗浄水タンクに移送ポンプによって移送された洗浄水の船外排出条件を充足するように濁度を調節するフィルタリングユニットとpH調節のための中和剤注入ユニットを具備する水処理装置、及び固形の排出物を分離貯蔵するスラッジ貯蔵タンクで構成される、排出部をさらに含むことができる。
【0037】
一方、本発明は、以上で述べた温室効果ガス排出低減装置を具備した船舶を提供できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、船舶エンジンから排気される排気ガスからNOとSOとCOをIMO温室効果ガス排出規制を充足させるように環境に影響を与えない物質に転換して分離排出するか、又は有用な物質に転換して貯蔵し、SOを除去した後にCOを除去することで、CO溶解反応速度とCO溶解度とCO除去効率性を上げ、Ca(OH)又はMg(OH)を使用してNH再生費用を節減でき、フィルタ後段部の容量の大きさを減らすことができ、COの除去時、比較的安価のNH損失分と、Ca(OH)又はMg(OH)(CaO又はMgO)のみを消耗して除去費用を節減でき、NHの再生時、残存するSOによる副反応を除去してNHの損失を最小化し、アンモニア回収時に不純物が含まれないようにすることができ、Ca(OH)又はMg(OH)(CaO又はMgO)のみを投入してアンモニア水の濃度変化がなく、フィルタの容量の大きさを減らすことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置の概略的な構成を示す図である。
図2図1の船舶の温室効果ガス排出低減装置を具現したシステム回路図を示す図である。
図3図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置の海水供給部を分離して示した図である。
図4図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置のアンモニア水製造部を分離して示した図である。
図5図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置の吸収タワーを分離して示した図である。
図6図5の吸収タワーのSO吸収部を分離して示した図である。
図7図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置の蒸気生成部を分離して示した図である。
図8図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置のアンモニア再生部及びアンモニア水製造部を分離して示した図である。
図9図2の船舶の温室効果ガス排出低減装置に適用される多様な充填材を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0041】
本発明の一実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置は、海水を供給する海水供給部と、清水とNHを反応させてアンモニア水を製造して供給するアンモニア水製造部と、船舶エンジンから排出される排気ガスを海水供給部から供給された海水と反応させて冷却し、冷却された排気ガスとアンモニア水製造部からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去するCO除去部が形成された、吸収タワーと、吸収タワーから排出されたNHHCO(aq)をMg(OH)と反応させてNHを再生してアンモニア水製造部に回帰させて供給する、アンモニア再生部と、を含む。
【0042】
この時、エンジンの種類及び仕様(低圧エンジン又は高圧エンジン)、エンジンに供給される燃料の種類(HFO、MDO、MGO、LNG、アンモニア等)によって吸収タワーはNO吸収部又はSO吸収部を選択的に含むか、又はすべてを含むように構成できる。
【0043】
特に、SO吸収部に関しては後述のように、海水と反応させてSOを溶解できるので、排気ガスの冷却とSO吸収を一度に行うことができる。
【0044】
一方、本発明の他の実施例による船舶は、上記の船舶の温室効果ガス排出低減装置を具備した船舶を提供できる。
【0045】
以下、吸収タワーにNO吸収部、SO吸収部、CO除去部が積層形成された実施例を記述するが、これに限定されず、前述のようにNO吸収部及び/又はSO吸収部はエンジンと燃料の種類によって具備するか否かを決定できる。
【0046】
本発明の実施例による船舶の温室効果ガス排出低減装置は、全体として、海水を供給する海水供給部110と、清水とNHを反応させてアンモニア水を製造して供給するアンモニア水製造部120と、船舶エンジン10から排出される排気ガスを海水供給部110から供給された海水と反応させて冷却し、冷却された排気ガスとアンモニア水製造部120からのアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去するCO除去部133が形成された、吸収タワー130と、吸収タワー130から排出されたNHHCO(aq)をCa(OH)(aq)又はMg(OH)(aq)と反応させてNH(g)を再生してアンモニア水製造部120に回帰させて供給する、アンモニア再生部140と、を含むことで、排気ガスからNOとSOとCOを分離排出してIMO温室効果ガス排出規制を充足し、SOを除去した後にCOを除去することで、CO除去効率性を上げ、NHの再生時、残存するSOによる副反応を除去してアンモニア回収時に不純物が含まれないようにすることを要旨とする。
【0047】
以下、図1乃至図9を参照して、前述した船舶の温室効果ガス排出低減装置の構成を具体的に詳述すると次のとおりである。
【0048】
まず、海水供給部110は海水を吸収タワー130のSO吸収部132に供給するが、具体的には、図2及び図3に示すように、船外からシーチェスト(sea chest)(図示せず)を介して海水を吸入して供給されてSO吸収部132にポンピングする海水ポンプ111a,bと、排気ガスの量に応じて海水ポンプ111a,bから供給される海水の流量を調節する調節弁112と、で構成されることができる。ここで、海水ポンプ111a,bは船外から海水を吸入する吸引ポンプ(suction pump)111aと海水をSO吸収部132にポンピングして移送する海水移送ポンプ111bで構成されることができる。
【0049】
ちなみに、船舶の接岸時又は航海時によって、水深に応じて上部の海水を吸入するハイシーチェスト又は下部の海水を吸入するローシーチェストから海水ポンプ111a,bに選択的に供給できる。すなわち、船舶の接岸時には下部の海水に比べて上部の海水の方が清潔なのでハイシーチェストを使用し、船舶の航海時には上部の海水に比べて下部の海水の方が清潔なのでローシーチェストを使用することができる。
【0050】
ここで、調節弁112は海水の流量を調節する手動操作型ダイヤフラム弁又はソレノイド型弁であり得るが、これに限定されず、排気ガスの量に応じて海水噴射ノズル132aを通して海水噴射量を調節できるものであれば、いかなる形態の弁でも適用可能である。
【0051】
次に、アンモニア水製造部120は清水と、再生又は不足時に補充されたNHを反応させてアンモニア水(NHOH(aq))を製造して供給する。
【0052】
具体的には、図2及び図4に示すように、アンモニア水製造部120は、清水(fresh water)を貯蔵する清水タンク121、清水タンク121から清水をポンピングして供給する清水ポンプ122、タワータンク123aと、タワータンク123a下段に形成されてNHを上向きに噴射するNH噴射ノズル123bと、タワータンク123a上段に形成されて清水ポンプ122からの清水を下向きに噴射する清水噴射ノズル123cと、NH噴射ノズル123bと清水噴射ノズル123cの間に形成されて清水とNHを接触させてNHを溶解してアンモニア水を生成する充填材123dと、下記の化学式1による溶解反応によるタワータンク123aの発熱を冷却するクーリングジャケット(cooling jacket)123eと、で構成されるアンモニア水製造タワー123、及びアンモニア水製造タワー123の下段に排液された(drain)アンモニア水を貯蔵するアンモニア水貯蔵タンク124aからCO除去部133の上段に形成されたアンモニア水噴射ノズル133aにアンモニア水を供給するアンモニア水ポンプ124からなることができる。
【0053】
【化1】
【0054】
ここで、清水タンク121は船内で生産された蒸溜水(distilled water)又はフィルタ144によるCaCO又はMgCOの分離時に分離されてアンモニア水製造タワー123へ移送される清水(又はアンモニア水)、すなわちアンモニア水生成及びNH再生に要する総循環清水に対して混合タンク143及びフィルタ144を通過して追加的に生成される余剰の清水を貯蔵することもできる(図8を参照)。
【0055】
一方、アンモニア水製造タワー123は、図4を参照すると、タワータンク123aの上部清水噴射ノズル123c上段に屈曲する多板形で形成されて清水から飛散されるミスト(mist)を充填材123d方向に回帰させるミスト除去板123fをさらに含み、清水が排気ガスを介して外部に排出され得るのでミストが屈曲に衝突して液滴(droplet)が大きくなり下部の充填材123d方向に排液されるようにすることができる。
【0056】
また、アンモニア水製造タワー123の上段に排気されるNH(g)をCO除去部133の下段に供給するNH供給パイプ123gをさらに含み、溶解されず排気された余剰のNH(g)をCO除去部133を通過して流れるアンモニア水に吸収されるようにしてNHの損失を最小化させることもできる。
【0057】
一方、アンモニア水再生部140によって再生されたNHがアンモニア水製造タワー123によってアンモニア水を生成したり、NO吸収部131の第1NH噴射ノズル131bに供給したりするには量が足りず、NH不足分が発生するか、又はNH自体の損失分が発生した場合は、別途のNH貯蔵タンク123hを具備してNHを供給して損失及び不足分を補償させることもできる。すなわち、アンモニア再生部140からアンモニア水製造部120のNH噴射ノズル123b、又はブロア(blower)131a又は圧縮機を通してNO吸収部131の第1NH噴射ノズル131bにNHを直接供給するか、又はNHの損失又は不足時にはNH貯蔵タンク123hからNHを供給されて損失分又は不足分を代替するようにすることができる。
【0058】
また、タワータンク123aの直径及び高さは、清水の流速及びNHの流速がフラッディング速度(flooding velocity)の1/2になるように設計されることが好ましいが、これにより、NH噴射ノズル123bを通してNHは常圧より若干高い圧力で噴射される状態で、タワータンク123aの濡れた状態での圧力降下を相殺させることができる。
【0059】
また、充填材123dは、単位体積あたり接触面的が大きく設計された、蒸留カラムパッキング(distilling column packing)が多段で構成されることができ、単位面積あたり接触面積と気体の圧力降下とフラッディング速度とを考慮して図9に例示したような工程に適した蒸留カラムパッキングを選定できる。
【0060】
一方、多段で構成された蒸留カラムパッキングの間に溶液再分配器(図示せず)が形成されて、清水のチャネリング(channeling)現象を防止させることができる。
【0061】
また、アンモニア水ポンプ124は遠心ポンプ(centrifugal pump)で構成され、アンモニア水製造タワー123からCO除去部133に大量のアンモニア水をポンピングして有効に供給できる。
【0062】
また、クーリングジャケット123eはNHの溶解度を考慮して溶解反応の反応温度が30℃乃至50℃に維持されるように冷却できる。
【0063】
次に、吸収タワー130は、図2及び図5に示すように、主エンジン又は発電用エンジンの船舶エンジン10から排出される排気ガスのNOを吸収して除去するNO吸収部131と、NOが除去された排気ガスを海水と反応させて冷却しながらSOを溶解させて除去するSO吸収部132と、SOが除去された排気ガスとアンモニア水製造部120から供給されたアンモニア水を反応させてCOをNHHCO(aq)に転換してCOを除去するCO除去部133と、が垂直方向に積層形成され、NOとSOとCOを順に吸収して除去する。
【0064】
ここで、吸収タワー130は、NO吸収部131とSO吸収部132とCO除去部133と後述するEGE134を含んで構成されることができ、それぞれ個別モジュールとして構成されてモジュール化して結合して構成されることもでき、単一のタワーの形態に統合して構成されることもでき、吸収タワー130自体は単一タワー又は複数のタワーで構成されることもできる。
【0065】
具体的には、NO吸収部131は、SCR(Selective Catalyst Reactor)であって、アンモニア再生部140からブロア131a又は圧縮機を通してNHを直接供給されてNHを第1NH噴射ノズル131bで噴射するか、又はNHの不足時には尿素水貯蔵タンク131cの尿素水(UREA)を尿素水供給ポンプ131dを通して供給されて尿素水を第2NH噴射ノズル131eで噴射してNHの不足分を補償できる。
【0066】
ここで、尿素水を分解するとNHとCOが発生するので、NHを直接供給してCO発生量を減らすことが好ましく、NO吸収部131の上段にはNO濃度を感知するNOセンサ131f(図5参照)が形成され得る。
【0067】
また、SO吸収部132は海水と一次的に接触するセクションであって、調節弁112と連結されて海水を下向きに噴射する多段の海水噴射ノズル132aで構成されてSOを溶解させてスート(soot)の粉塵を除去しながら、海水噴射ノズル132a又は別途のクーリングジャケット(図示せず)によって排気ガスの温度をCO除去部133で要求される27℃乃至33℃、好ましくは、30℃前後に冷却できる。
【0068】
一方、図6の(a)に示すように、海水噴射ノズル132a下部に、排気ガスが通過する流路が形成された多孔性上板132bが多段でそれぞれ形成されて、海水と排気ガスを円滑に接触させるか、又は図6の(b)に示すように、海水噴射ノズル132a下部に、海水と排気ガスを接触させる充填材が詰められた吸収塔132cがそれぞれ形成されて、海水がSOを溶解させるようにすることもできる。
【0069】
一方、SOの溶解度をさらに上げるためにアルカリイオンを形成する化合物、例えば、NaOH又はMgOの塩基性薬品を投入する閉ループ系(closed loop system)で構成できる。
【0070】
ちなみに、閉ループ系は追加的な塩基性薬品消耗を伴うが循環する海水の量が少ない長所があり、海水のみを噴射して溶解されたSOを船外に排出する開ループ系(open loop system)は追加的な塩基性薬品の消耗がなく簡素な長所があり、かかる長所を最大化するために開ループ及び閉ループを結合したハイブリッドシステムで構成することもできる。
【0071】
よって、SO吸収部132によってSOを先に除去した後に続いてCO除去部133によってCOを除去させることで、SOの溶解度が大きいため、NaSOなどの化合物に先に変化することにより、SOの溶解がすべて行われるまではCOの除去が難しい問題点を解決してCOの溶解度及びCOの除去効率性を向上させることができる。
【0072】
ここで、SO吸収部132によって排出部160に排液される洗浄水にはSO 、SO 2-、スート、NaSO、NaSO、MgCO、MgSO及びその他のイオン化合物が共に含まれており、SO吸収部132は、洗浄水がNO吸収部131又はEGE134に逆流して流れ込まないように排気ガス流入管132dをカバーする傘形状の隔壁132eを含むことができる。
【0073】
また、CO除去部133は、図4及び図5に示すように、アンモニア水ポンプ124と連結されてアンモニア水を下向きに噴射するアンモニア水噴射ノズル133aと、COとアンモニア水を接触させて下記の化学式2によってCOをNHHCO(aq)に転換させる充填材133bと、充填材133bが詰められた吸収塔の区間ごとに多段で形成されてCO除去反応による発熱を冷却して30℃乃至50℃に維持させるクーリングジャケット(図示せず)と、COと反応せず外部に排出されるNHを捕集するウォータースプレー133cと、屈曲する多板形で形成されてアンモニア水を充填材133b方向に回帰させるミスト除去板133dと、アンモニア水がSO吸収部132に逆流して流れ込まないように形成された隔壁133eと、隔壁133eの排気ガス流入孔133e-1をカバーする傘形状の遮断板133fと、で構成されることができる。
【0074】
【化2】
【0075】
ここで、CO除去部133は前もってNOとSOが除去された排気ガスとアンモニア水を反応させて除去することで、CO除去工程中にNOとSOによる副反応が発生しないので不純物の発生を最小化することができ、後続の工程で不純物の少ないNHHCOを得ることができる。
【0076】
また、充填材133bは、単位体積あたり接触面的が大きく設計された、蒸留カラムパッキングが多段で構成されることができ、単位面積あたり接触面積と気体の圧力降下とフラッディング速度とを考慮して図9に例示したような工程に適した蒸留カラムパッキングを選定できる。
【0077】
一方、吸収タワー130は、NO吸収部131とSO吸収部132の間に形成されて船舶エンジン10の廃熱とボイラ水を熱交換させるEGE(Exhaust Gas Economizer)134をさらに含むことができる。
【0078】
次に、アンモニア再生部140は吸収タワー130から排出されたNHHCO(aq)をCa(OH)又はMg(OH)と反応させてNHを再生してアンモニア水製造部120及びNO吸収部131に回帰させて供給して再使用させ、COをCaCO(s)又はMgCO(s)形態で貯蔵又は排出させる。
【0079】
具体的には、図2及び図8に示すように、アンモニア再生部140は、Ca(OH)又はMg(OH)を貯蔵するCa(OH)貯蔵タンク141又はMg(OH)貯蔵タンク141、吸収タワー130のCO除去部133から排出されたNHHCO(aq)と、Ca(OH)又はMg(OH)を攪拌機142によって攪拌して下記の化学式3又は化学式4によってCaCO(s)又はMgCO(s)と、HOを生成しNH(g)を再生する混合タンク143、混合タンク143から溶液及び沈殿物を吸入してCaCO(s)又はMgCO(s)を分離するフィルタ144、溶液及び沈殿物をフィルタ144に高圧で移送する高圧ポンプ145、及びスラリー又は乾燥機(dryer)(図示せず)に移送されて固形化した固体状態のCaCO(s)又はMgCO(s)を貯蔵するCaCO(s)貯蔵タンク(図示せず)又はMgCO(s)貯蔵タンク(図示せず)を含むことができる。
【0080】
【化3】
【0081】
【化4】
【0082】
ここで、混合タンク143内に設置された攪拌機142によってNHHCO(aq)とCa(OH)又はMg(OH)を連続的に反応させるが、反応が円滑に行われるように一定の温度を維持させる。
【0083】
一方、フィルタ144によって分離された清水(又はアンモニア水)をアンモニア水製造部120の清水噴射ノズル123cに供給するか、又はアンモニア水生成及びNH再生に要する総循環清水に対して混合タンク143によって追加的に生成された余剰の清水(又は余剰のアンモニア水)を清水タンク121に貯蔵して清水の浪費をなくすことができる。
【0084】
また、Ca(OH)貯蔵タンク141又はMg(OH)貯蔵タンク141では清水タンク121から供給される清水と、CaO又はMgOを反応させてCa(OH)又はMg(OH))を生成して貯蔵し混合タンク143に供給する役割を担う。ここで、CaO又はMgOの溶解度が低いので必要時に清水にCaO又はMgOを投入してCa(OH)(aq)又はMg(OH)(aq)を製造する方式を適用することが有効であり、CaO又はMgOの投入時に加熱及び攪拌を伴う必要がある。
【0085】
これにより、アンモニア水の濃度減少がなく、フィルタ144の容量の大きさを減らすことができ、NH再生費用を減らすことができる。すなわち、理論的にはMgOのみを消耗し、NHと清水を再使用させ、CO除去費用を相当低減できる。
【0086】
また、フィルタ144は混合タンク143から溶液と沈殿物を吸入してNaHCOとその他副産物の沈殿物を高圧ポンプ145によって高圧で移送してCaCO又はMgCOを分離して固体状態で貯蔵するか、又は船外に排出する。ここで、フィルタの一例として高圧流体移送による沈殿物分離に適したメンブレンフィルタが適用され得る。
【0087】
また、混合タンク143によって再生されたNHをアンモニア水製造部120のNH噴射ノズル123bとNO吸収部131の第1NH噴射ノズル131bに供給してアンモニア水製造とNO除去に再使用させ、比較的高価のNHの消耗を最小化して費用を節約できる。
【0088】
次に、蒸気生成部150は、図7に示すように、EGE134を通過して熱交換された蒸気(steam)と飽和水形態の混合水を供給されてスチームドラム(steam drum)(図示せず)によって蒸気を分離して蒸気消耗先に供給する補助ボイラ151と、補助ボイラ151からEGE134にボイラ水を循環供給するボイラ水循環水ポンプ152と、蒸気消耗先から消耗された後、凝縮されて相が変化した凝縮水を回収するカスケードタンク(cascade tank)153と、カスケードタンク153から補助ボイラ151にボイラ水の量を調節して供給する供給ポンプ154及び調節弁155と、で構成され、船内の加熱装備に必要な蒸気を生成して供給する。
【0089】
ここで、船舶エンジン10の負荷が大きい場合は排気ガスから提供され得る熱量が高いので船内に必要な蒸気の量をEGE134によって十分に生産できるが、そうでない場合は補助ボイラ151自体に燃料を燃焼させて必要な蒸気を生産することもできる。
【0090】
次に、排出部160は、図2に示すように、吸収タワー130から排出される洗浄水を貯蔵する洗浄水タンク161、洗浄水タンク161に移送ポンプ162によって移送された洗浄水の船外排出条件を充足するように濁度を調節するフィルタリングユニットとpH調節のための中和剤注入ユニットを具備する水処理装置163、及びスートなどの固形の排出物を分離貯蔵するスラッジ貯蔵タンク164で構成され、水処理装置163を通過して船外排出条件を充足する洗浄水は船外排出し、船外排出条件を充足できないスートなどの固形の排出物は別途にスラッジ貯蔵タンク164に貯蔵保管できる。
【0091】
一方、船外排出条件を充足するための中和剤としてNaOHを例として上げられるが、吸収タワー130から排出される物質が酸性又は塩基性である場合をすべて想定して必要に応じてこれらの酸性又は塩基性をそれぞれ中和させることができる中和剤が選択されて用いられ得る。
【0092】
したがって、前述のような船舶の温室効果ガス排出低減装置の構成によれば、船舶エンジンから排気される排気ガスからNOとSOとCOをIMO温室効果ガス排出規制を充足させるように環境に影響を与えない物質に転換して分離排出するか、又は有用な物質に転換して貯蔵し、SOを除去した後にCOを除去することで、CO溶解反応速度とCO溶解度とCO除去効率性を上げ、Ca(OH)又はMg(OH)を使用してNH再生費用を節減でき、フィルタ後段部の容量の大きさを減らすことができ、COの除去時、比較的安価のNH損失分とCa(OH)又はMg(OH)(CaO又はMgO)のみを消耗して除去費用を節減でき、自然状態で存在するCaCO(s)又はMgCO(s)形態でCOを貯蔵することができ、CaCO(s)又はMgCO(s)の海上排出が可能で、NH再生時に残存するSOによる副反応を除去してNHの損失を最小化し、アンモニア回収時に不純物が含まれないようにすることができ、Ca(OH)又はMg(OH)のみを投入してアンモニア水の濃度変化がなく、フィルタの容量の大きさを減らすことができる。
【0093】
以上、本発明を図面に示す実施例を参照して説明した。しかし、本発明はこれに限定されず本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明と均等な範囲に属する多様な変形例又は他の実施例が可能である。したがって、本発明の真正な保護範囲は下記の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0094】
110 海水供給部
111a,b 海水ポンプ
112 調節弁
120 アンモニア水製造部
121 清水タンク
122 清水ポンプ
123 アンモニア水製造タワー
124 アンモニア水ポンプ
125 ブロア
126 圧力計弁
130 吸収タワー
131 NO吸収部
132 SO吸収部
133 CO除去部
134 EGE
140 アンモニア再生部
141 Ca(OH)又はMg(OH)貯蔵タンク
142 撹拌機
143 混合タンク
144 フィルタ
145 高圧ポンプ
150 蒸気生成部
151 補助ボイラ
152 ボイラ水循環水ポンプ
153 カスケードタンク
154 供給ポンプ
155 調節弁
160 排出部
161 洗浄水タンク
162 移送ポンプ
163 水処理装置
164 スラッジ貯蔵タンク
10 船舶エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9