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特許7456027現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法及びその装置
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  • 特許-現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法及びその装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20230101AFI20240318BHJP
   B01J 49/53 20170101ALN20240318BHJP
【FI】
C02F1/42 D
B01J49/53
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023006133
(22)【出願日】2023-01-18
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】597033177
【氏名又は名称】三福化工股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】蕭 淑娟
(72)【発明者】
【氏名】張 景棠
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 誌銘
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-174979(JP,A)
【文献】特開2015-134344(JP,A)
【文献】特開2012-30208(JP,A)
【文献】特開平6-142649(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208509(WO,A1)
【文献】特公昭45-2287(JP,B2)
【文献】特開昭53-136355(JP,A)
【文献】特開平6-226252(JP,A)
【文献】特開2007-260632(JP,A)
【文献】特開2001-205261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/42
B01J 47/15、49/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法であって、
容器内の現像廃液を第1流速で第1イオン樹脂に注入し、前記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を前記第1イオン樹脂で吸着し、第1濾液を流出させる第1吸着ステップと、
前記第1濾液のpHが第1pH設定値以上である場合、前記現像廃液を前記第1イオン樹脂に注入する流速を第2流速に上昇し、前記第1イオン樹脂中の含窒素化合物を脱着させる第1制御ステップと、
前記現像廃液の電気伝導率が前記第1濾液の電気伝導率に近い場合、前記第1イオン樹脂への前記現像廃液の注入を停止する第2制御ステップと、
前記第1イオン樹脂に酸性溶液を適用して、前記第1イオン樹脂中の水酸化テトラメチルアンモニウムを脱着させ、テトラメチルアンモニウム塩溶液を取得する第3制御ステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記第1吸着ステップでは、前記第1流速は2BV/hrであり、前記第1制御ステップでは、前記第2流速は4BV/hr以上である請求項1に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法。
【請求項3】
前記第1制御ステップでは、前記第1pH設定値は7である請求項1に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法。
【請求項4】
前記第1吸着ステップの後に第2吸着ステップをさらに含み、
前記第2吸着ステップでは、前記現像廃液の電気伝導率が前記第1濾液の電気伝導率と異なる場合、前記第1濾液を第2イオン樹脂に注入して、前記第1濾液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を吸着し、第2濾液を流出させる請求項1に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法。
【請求項5】
前記第2吸着ステップの後のイオン交換ステップと、前記イオン交換ステップの後の樹脂再生ステップとをさらに含み、
前記イオン交換ステップでは、前記第2濾液のpHが第2pH設定値以上である場合、前記第2イオン樹脂への前記第1濾液の注入を停止して、前記第2イオン樹脂にアルカリ性溶液を適用し、
前記樹脂再生ステップでは、前記第2イオン樹脂へのアルカリ性溶液の注入を停止して、前記第2イオン樹脂に酸性溶液を適用する請求項4に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法。
【請求項6】
前記イオン交換ステップでは、前記第2pH設定値は7であり、前記アルカリ性溶液の濃度は0.1%~2%である請求項5に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法。
【請求項7】
前記イオン交換ステップの後の廃液排出ステップと、前記廃液排出ステップと前記樹脂再生ステップとの間の廃液回収ステップとをさらに含み、
前記廃液排出ステップでは、前記第2イオン樹脂から流出したアルカリ性溶液の電気伝導率が電気伝導率設定値未満である場合、前記第2濾液を外部へ排出し、
前記廃液回収ステップでは、前記第2イオン樹脂から流出したアルカリ性溶液の電気伝導率が前記電気伝導率設定値以上である場合、前記第2イオン樹脂から流出したアルカリ性溶液を前記容器に戻す請求項5に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法。
【請求項8】
前記廃液排出ステップ及び前記廃液回収ステップでは、前記電気伝導率設定値は400us/cmである請求項7に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法。
【請求項9】
現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する装置であって、
請求項1~3に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法に適用され、
現像廃液を収容する容器と、前記容器に接続された水ポンプモジュールと、を含む循環ユニットと、
前記容器に接続された第1イオン樹脂と、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第1pH検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の入口に設けられた第1電気伝導率検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第2電気伝導率検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の入口に設けられた第1再生モジュールと、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第1バルブモジュールと、を含み、前記水ポンプモジュールが前記現像廃液を前記第1イオン樹脂に注入し、前記第1再生モジュールが前記第1イオン樹脂に酸性溶液を注入し、前記第1バルブモジュールが前記第1イオン樹脂から吐出された液体が外部へ排出されるか又は前記容器に戻るように制御を行う第1吸着ユニットと、を含む装置。
【請求項10】
現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する装置であって、請求項1~8に記載の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法に適用され、
現像廃液を収容する容器と、前記容器に接続された水ポンプモジュールと、を含む循環ユニットと、
前記容器の出口に設けられた第1イオン樹脂と、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第1pH検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の入口に設けられた第1電気伝導率検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第2電気伝導率検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の入口に設けられた第1再生モジュールと、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第1バルブモジュールと、を含み、前記水ポンプモジュールが前記現像廃液を前記第1イオン樹脂に注入し、前記第1再生モジュールが前記第1イオン樹脂に酸性溶液を注入する第1吸着ユニットと、
前記第1イオン樹脂の出口と前記容器の入口との間に設けられた第2イオン樹脂と、前記第2イオン樹脂の出口に設けられた第2pH検出モジュールと、前記第2イオン樹脂の出口に設けられた第3電気伝導率検出モジュールと、前記第2イオン樹脂の入口に設けられたアルカリ液供給モジュールと、前記第2イオン樹脂の入口に設けられた第2再生モジュールと、前記第2イオン樹脂の出口に設けられた第2バルブモジュールと、を含み、前記アルカリ液供給モジュールが前記第2イオン樹脂にアルカリ性溶液を注入し、前記第2再生モジュールが前記第2イオン樹脂に酸性溶液を注入し、前記第1バルブモジュールが前記第1イオン樹脂から吐出された液体が外部へ排出されるか、又は前記第2イオン樹脂に注入されるように制御を行い、前記第2バルブモジュールが前記第2イオン樹脂から吐出された液体が外部へ排出されるか又は前記容器に戻るように制御を行う第2吸着ユニットと、を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像廃液の回収方法に関し、特に現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ性現像液の成分は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:tetra-methyl-ammonia hydroxide、以下、TMAH又は水酸化テトラメチルアンモニウムと略称)であり、メーカーは資源を節約するために、使用済みのアルカリ性現像液について回収システムを用いて水酸化テトラメチルアンモニウムを回収し、環境問題を解決する一方で、資源消費を低減し、コストを節約することができる。
【0003】
初期に使用された現像廃液は、本来の現像剤成分反応により生成されるテトラメチルアンモニウムイオン(TMA+)の他に、ネガティフォトレジスト、単/多価金属イオン(例えば、ナトリウム、鉄及びアルミニウムイオンなど)、無機アニオン、有機アニオン、界面活性物質及び懸濁粒子などがある。
【0004】
台湾特許第I366076号及び第I462770号において、本発明者らは、現像廃液から水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を高効率で回収する新規な方法を提案しており、主に「脱フォトレジスト」、「脱イオン」、「再生」、「精製」、「電解透析」及び「濃度調整」などのステップを含み、このうち、「脱フォトレジスト」は、現像廃液中のフォトレジスト成分の含有量のに応じて実施するか否かを判断することができ、例えば集積回路製造産業に応用される現像廃液中のフォトレジスト成分は少ない場合、省略してもよい。
【0005】
「脱イオン」ステップでは、現像廃液中のテトラメチルアンモニウムイオンをイオン交換樹脂方式で抽出し、段階的再生方法及び装置によって、現像廃液を吸着しながら樹脂塔再生を行い、テトラメチルアンモニウムイオンをイオン交換樹脂から分離することができ、ここでで得られたテトラメチルアンモニウムイオン溶液は現像廃液中の他の不純物の大部分に含まれず、その後の精製と電解透析の悪影響を低減することができる。
【0006】
しかし、消費者のニーズに対応して集積回路のプロセスがますます小型化するにつれて、これらの電子装置の各コンポーネントのサイズも必然的に小さくなり、マイクロ影プロセス分野の進歩は装置を小型化するために必要であり、そのため、プロセスに必要な化学物質は例えば他の含窒素化合物を添加して効率を上げるなど、絶えず改良したり調整したりする必要があり、しかし、よく知られている現像廃液回収のステップ、例えば、「脱フォトレジスト」、「脱イオン」、「再生」、「精製」及び「電解透析」のいずれも他の含窒素化合物を効果的に除去することができず、その結果、回収された水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)には、他の含窒素化合物などの不純物も含まれており、また、このような不純物はその後の電解透析の品質を阻害することもある。
【0007】
このような問題点に鑑み、、バックエンド精製と電解透析の操作コストを低減し、より純度のより高い水酸化テトラメチルアンモニウムを製造する、回収したテトラメチルアンモニウムイオンに他の含窒素化合物を含まないようにする操作方法及び装置の開発が期待されており、技術者の努力の目標である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、本発明の1つの目的は、第1吸着ステップと、第1制御ステップと、第2制御ステップと、第3制御ステップと、を含む、現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法を提供することである。
【0009】
前記第1吸着ステップでは、容器内の現像廃液を第1流速で第1イオン樹脂に注入し、前記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を前記第1イオン樹脂で吸着し、第1濾液を流出させる。
【0010】
前記第1制御ステップでは、前記第1濾液のpHが第1pH設定値以上である場合、前記現像廃液を前記第1イオン樹脂に注入する流速で第2流速に上昇し、前記第1イオン樹脂中の含窒素化合物を脱着させる。
【0011】
前記第2制御ステップでは、前記現像廃液の電気伝導率が前記第1濾液の電気伝導率に近い場合、前記第1イオン樹脂への前記現像廃液の注入を停止する。
【0012】
前記第3制御ステップでは、前記第1イオン樹脂に酸性溶液を適用して、前記第1イオン樹脂中の水酸化テトラメチルアンモニウムを脱着させ、テトラメチルアンモニウム塩溶液を取得する。
【0013】
本発明の別の技術手段として、前記第1吸着ステップでは、前記第1流速は2BV/hrであり、前記第1制御ステップでは、前記第2流速は4BV/hr以上である。
【0014】
本発明のさらに別の技術手段として、前記第1制御ステップでは、前記第1pH設定値は7である。
【0015】
本発明の更なる技術手段として、前記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法は、前記第1吸着ステップの後に第2吸着ステップをさらに含み、前記第2吸着ステップでは、前記現像廃液の電気伝導率が前記第1濾液の電気伝導率と異なる場合、前記第1濾液を第2イオン樹脂に注入して、前記第1濾液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を吸着し、第2濾液を流出させる。
【0016】
本発明の別の技術手段として、前記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法は、前記第2吸着ステップの後のイオン交換ステップと、前記イオン交換ステップの後の樹脂再生ステップと、をさらに含み、前記イオン交換ステップでは、前記第2濾液のpHが第2pH設定値以上である場合、前記第2イオン樹脂への前記第1濾液の注入を停止して、前記第2イオン樹脂にアルカリ性溶液を適用し、前記樹脂再生ステップでは、前記第2イオン樹脂へのアルカリ性溶液の注入を停止して、記第2イオン樹脂に酸性溶液を適用する。
【0017】
本発明のさらに別の技術手段として、前記イオン交換ステップでは、前記第2pH設定値は7であり、前記アルカリ性溶液の濃度は0.1%~2%である。
【0018】
本発明の更なる技術手段として、前記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法は、前記イオン交換ステップの後の廃液排出ステップと、前記廃液排出ステップと前記樹脂再生ステップとの間の廃液回収ステップをさらに含み、前記廃液排出ステップでは、前記第2イオン樹脂から流出したアルカリ性溶液の電気伝導率が電気伝導率設定値未満である場合、前記第2濾液を外部へ排出し、前記廃液回収ステップでは、前記第2イオン樹脂から流出したアルカリ性溶液の電気伝導率が前記電気伝導率設定値以上である場合、前記第2イオン樹脂から流出したアルカリ性溶液を前記容器に戻す。
【0019】
本発明の別の技術手段として、前記廃液排出ステップ及び前記廃液回収ステップでは、前記電気伝導率設定値は400us/cmである。
【0020】
本発明の別の目的は、上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法に適用され、循環ユニットと、第1吸着ユニットと、を含む現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する装置を提供する。
【0021】
前記循環ユニットは、現像廃液を収容する容器と、前記容器に接続された水ポンプモジュールと、を含む。
【0022】
前記第1吸着ユニットは、前記容器に接続された第1イオン樹脂と、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第1pH検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の入口に設けられた第1電気伝導率検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第2電気伝導率検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の入口に設けられた第1再生モジュールと、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第1バルブモジュールと、を含む。
【0023】
前記水ポンプモジュールは前記現像廃液を前記第1イオン樹脂に注入し、前記第1再生モジュールは前記第1イオン樹脂に酸性溶液を注入し、前記第1バルブモジュールは前記第1イオン樹脂から吐出された液体が外部へ排出されるか、又は前記容器に戻るように制御を行う。
【0024】
本発明の別の目的は、上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法に適用され、循環ユニットと、第1吸着ユニットと、第2吸着ユニットと、を含む現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する別の装置を提供する。
【0025】
前記循環ユニットは、現像廃液を収容する容器と、前記容器に接続された水ポンプモジュールと、を含む。
【0026】
前記第1吸着ユニットは、前記容器の出口に設けられた第1イオン樹脂と、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第1pH検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の入口に設けられた第1電気伝導率検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第2電気伝導率検出モジュールと、前記第1イオン樹脂の入口に設けられた第1再生モジュールと、前記第1イオン樹脂の出口に設けられた第1バルブモジュールと、を含み、前記水ポンプモジュールが前記現像廃液を前記第1イオン樹脂に注入し、前記第1再生モジュールが前記第1イオン樹脂に酸性溶液を注入する。
【0027】
前記第2吸着ユニットは、前記第1イオン樹脂の出口と前記容器の入口との間に設けられた第2イオン樹脂と、前記第2イオン樹脂の出口に設けられた第2pH検出モジュールと、前記第2イオン樹脂の出口に設けられた第3電気伝導率検出モジュールと、前記第2イオン樹脂の入口に設けられたアルカリ液供給モジュールと、前記第2イオン樹脂の入口に設けられた第2再生モジュールと、前記第2イオン樹脂の出口に設けられた第2バルブモジュールと、を含む。
【0028】
前記アルカリ液供給モジュールは前記第2イオン樹脂にアルカリ性溶液を注入し、前記第2再生モジュールは前記第2イオン樹脂に酸性溶液を注入し、前記第1バルブモジュールは前記第1イオン樹脂から吐出された液体が外部へ排出されるか又は前記第2イオン樹脂を注入するように制御を行い、前記第2バルブモジュールは前記第2イオン樹脂から吐出された液体が外部へ排出されるか又は前記容器に戻るように制御を行う。
【発明の効果】
【0029】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。前記第1吸着ステップでは、前記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物が前記第1イオン樹脂に吸着されるにつれて、前記第1濾液は前記第1イオン樹脂の飽和度向上によりpHが上昇したり、含窒素化合物の解離定数が水酸化テトラメチルアンモニウムのそれよりも遥かに小さいため、前記第1濾液のpHが前記第1pH設定値以上である場合、前記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムは前記第1イオン樹脂中の含窒素化合物とイオン交換を行ることで、前記第1イオン樹脂中の含窒素化合物が分離され、これにより、前記第1イオン樹脂中の含窒素化合物を減少し、前記第1イオン樹脂中の水酸化テトラメチルアンモニウム含量を向上させる目的を達成させ、前記第3制御ステップで排出されて収集されたテトラメチルアンモニウム塩溶液中の含窒素化合物を確実に減少し、酸性溶液による前記第1イオン樹脂の再生時に排出されて収集されたテトラメチルアンモニウム塩溶液中の水酸化テトラメチルアンモニウムの全量に影響することなく、後続プロセスの負担をさらに低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する装置の第1好適実施例の概略図である。
図2】上記第1好適実施例における方法の流れを示すフローチャートである。
図3】本発明の第2好適実施例における装置の示意図である。
図4】上記第2好適実施例における方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の関連する出願特許の特徴及び技術内容は、以下では、図面を参照した好適実施例の詳細な説明において、明らかになる。なお、詳細に説明するに先立って、類似の部品は同じ符号で表されることを了解すべきである。
【0032】
図1は、本発明に係る現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する装置の第1好適実施例であり、上記水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する装置は循環ユニット31と、第1吸着ユニット32と、を含む。
【0033】
上記循環ユニット31は、容器311と、上記容器311に接続された循環配管312と、上記容器311に接続された水ポンプモジュール313と、を含み、上記容器311は現像廃液を収容するものであり、上記水ポンプモジュール313は上記現像廃液を駆動して上記循環配管312内を流動させ、また、上記水ポンプモジュール313は、上記現像廃液の上記第1吸着ユニット32内のイオン樹脂での流速を制御することができ、配管中の液体の流速に対する制御は公知の技術であるため、ここでは詳しく説明されない。
【0034】
上記第1吸着ユニット32は、上記容器311に接続され、1つの入口(未図示)と1つの出口(未図示)を有する第1イオン樹脂321と、上記第1イオン樹脂321の出口に設けられた第1pH検出モジュール322と、上記第1イオン樹脂321の入口に設けられた第1電気伝導率検出モジュール323と、上記第1イオン樹脂321の出口に設けられた第2電気伝導率検出モジュール324と、上記第1イオン樹脂321の入口に設けられた第1再生モジュール325と、上記第1イオン樹脂321の出口に設けられた第1バルブモジュール326と、を含む。
【0035】
上記水ポンプモジュール313は上記現像廃液を上記第1イオン樹脂321に注入し、上記第1pH検出モジュール322は上記第1濾液のpH値を検知し、上記第1電気伝導率検出モジュール323は上記現像廃液の導電率を検知し、上記第2電気伝導率検出モジュール324は上記第1濾液の導電率を検知し、上記第1再生モジュール325は上記第1イオン樹脂321に酸性溶液を注入し、上記第1バルブモジュール326は上記第1イオン樹脂321から吐出された液体が外部へ排出される又は上記容器311に戻るように制御を行う。
【0036】
上記第1好適実施例では、上記循環配管312は上記容器311から、上記水ポンプモジュール313、上記第1pH検出モジュール322、上記第1イオン樹脂321、上記第1電気伝導率検出モジュール323、上記第2電気伝導率検出モジュール324、上記第1バルブモジュール326を順次通過してから、上記容器311に戻り、このように、上記現像廃液を循環させることができる循環配管312が形成され、実際に実施するときには、以上に限定されるものではないが、パイプラインの配置は実際の現場に応じて行われてもよい。
【0037】
上記第1イオン樹脂321は複数の陽性イオン交換樹脂塔を採用しており、上記第1好適実施例では、上記第1イオン樹脂321は3つの樹脂塔を採用しており、上記第1イオン樹脂321の樹脂塔は直列配置されてもよいし、並列配置されてもよく、樹脂塔の設置及び接続される配管は公知の技術、ここでは詳しく説明されない。実際に実施するときには、上記第1イオン樹脂321は複数組設けられてもよく、このうち、1組の第1イオン樹脂321はイオン交換中であり、別の1組の第1イオン樹脂321は再生工程を行い、さらに別の1組の第1イオン樹脂321は再生が完了しておく。本好適実施例の例に限定されるものではない。上記第1バルブモジュール326は、上記水ポンプモジュール313、上記第1pH検出モジュール322、第1電気伝導率検出モジュール323、上記第2電気伝導率検出モジュール324、及び上記第1再生モジュール325にそれぞれ電気的に接続され、これらのうち、上記第1バルブモジュール326は制御回路及び水弁部品を有するモジュール設備である。
【0038】
図2を参照して、上記第1好適実施例の方法の流れを説明し、この方法は、第1吸着ステップ901と、第1制御ステップ902と、第2制御ステップ903と、第3制御ステップ904と、を含む。
【0039】
上記第1吸着ステップ901では、上記容器311中の現像廃液を第1流速で上記第1イオン樹脂321に注入し、上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を上記第1イオン樹脂321で吸着し、第1濾液を流出させる。上記第1pH検出モジュール322によって上記第1濾液のpH値を検出し、吸着力が高い第1イオン樹脂321がイオンを吸着する場合、上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を多く吸着することができ、このとき、上記第1pH検出モジュール322によって測定されたpHが低いが、上記第1イオン樹脂321の吸着能力が低下するにつれて、上記第1濾液のpH(pH値)が徐々に上昇し、上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液のpH値が第1pH設定値未満である場合、上記第1濾液が排出基準を満たし、廃水処理システムに直接排出できると判断し、上記第1バルブモジュール326によって上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液が上記廃水処理システムに流れるように制御を行い、このとき、上記水ポンプモジュール313によって上記現像廃液が第1流速で上記第1イオン樹脂321に流れるように制御を行い、好ましくは、上記水ポンプモジュール313によって上記第1イオン樹脂321における第1流速を2BV/hrに制御する。
【0040】
上記第1制御ステップ902では、上記第1濾液のpHが上記第1pH設定値以上である場合、上記現像廃液を上記第1イオン樹脂321に注入する流速を第2流速に上昇し、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を脱着させ、上記第1バルブモジュール326によって上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液が上記容器311に戻るように制御を行うとともに、上記現像廃液を上記第1イオン樹脂321に注入する流速を第2流速に上昇させる。ここでは、上記第1濾液のpHが上記第1pH設定値に上昇されるので、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を脱着させることができ、好ましくは、上記水ポンプモジュール313によって上記第1イオン樹脂321における第2流速を4BV/hr以上に制御する。
【0041】
上記第1好適実施例では、上記第1pH設定値は7であり、実際に実施するときには、上記第1イオン樹脂321における第1流速と第2流速、及び上記第1pH設定値の設定された値はこれに限定されるものではなく、ここで、含窒素化合物の解離定数が水酸化テトラメチルアンモニウムのそれよりもはるかに小さいため、上記第1濾液のpHが上記第1pH設定値に上昇し、また、流速が第2流速に上昇した場合、上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムは上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物と交換し、これによって、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物が減少する。
【0042】
上記第2制御ステップ903では、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物の脱着が開始するときに、上記第1濾液には多くの含窒素化合物が含まれ、これによって、上記現像廃液の電気伝導率と上記第1濾液の電気伝導率との差が大きくなり、含窒素化合物の電気伝導率が水酸化テトラメチルアンモニウムのそれよりも低いため、上記第1濾液の電気伝導率は上記現像廃液の電気伝導率よりも低い。一方、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物が既に減少している場合、上記第1濾液には含窒素化合物が含有されておらず、又は少量しか含有されておらず、上記現像廃液の電気伝導率と上記第1濾液の電気伝導率とが非常に近くなり、このため、上記現像廃液の電気伝導率が上記第1濾液の電気伝導率に近い(実質的に同じ)場合、上記第1イオン樹脂321への上記現像廃液の注入を停止する。ここでは、上記現像廃液の電気伝導率が一定の値ではなく、上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液の電気伝導率が上記第1イオン樹脂321の吸着能力の低下につれて徐々に上昇するので、上記第1濾液の電気伝導率が上記現像廃液の電気伝導率に近い(実質的に同じ)場合、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物が放出されることが示される。次に、上記第1イオン樹脂321への上記現像廃液の注入を停止して、上記第3制御ステップ904に入り、実際に実施するときには、以上に限定されるものではないが、上記水ポンプモジュール313は上記現像廃液を別の1組の再生中の第1イオン樹脂321に送ってもよい。
【0043】
上記第3制御ステップ904では、上記第1再生モジュール325が上記第1イオン樹脂321に酸性溶液を適用するように制御を行い、上記第1イオン樹脂321中の水酸化テトラメチルアンモニウムを脱着させ、テトラメチルアンモニウム塩溶液を排出して収集する。上記第1再生モジュール325が上記第1イオン樹脂321を再生する際には、上記第1バルブモジュール326は上記テトラメチルアンモニウム塩溶液が回収システムに入るように制御を行い、上記回収システムは上記テトラメチルアンモニウム塩溶液中の水酸化テトラメチルアンモニウムをさらに分離することができ、上記テトラメチルアンモニウム塩溶液には含窒素化合物が含有れておらず、又は大幅に減少するので、後続の再生プロセスのコストを削減させることができ、上記第1イオン樹脂321が再生を完了しておく場合、再生済みの第1イオン樹脂321は上記第1吸着ステップ901において上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を吸着することができ、このように、上記第1吸着ステップ901、上記第1制御ステップ902、上記第2制御ステップ903及び上記第3制御ステップ904が順次行われる。
【0044】
図3は本発明の第2好適実施例であり、上記第2好適実施例は上記第1好適実施例と実質的に同じであり、同一の部分については詳しく説明せず、相違点は第2吸着ユニット33をさらに含むことにある。
【0045】
上記第2吸着ユニット33は、上記第1イオン樹脂321の出口と上記容器311の入口との間に設けられ、1つの入口(未図示)と1つの出口(未図示)を有する第2イオン樹脂331と、上記第2イオン樹脂331の出口に設けられた第2pH検出モジュール332と、上記第2イオン樹脂331の出口に設けられた第3電気伝導率検出モジュール333と、上記第2イオン樹脂331の入口に設けられたアルカリ液供給モジュール334と、上記第2イオン樹脂331の入口に設けられた第2再生モジュール335と、上記第2イオン樹脂331の出口に設けられた第2バルブモジュール336と、を含む。
【0046】
上記水ポンプモジュール313は上記現像廃液を上記第1イオン樹脂321に注入し、上記第1pH検出モジュール322は上記第1濾液のpH値を検知し、上記第1電気伝導率検出モジュール323は上記現像廃液の導電率を検知し、上記第2電気伝導率検出モジュール324は上記第1濾液の導電率を検知し、上記第1再生モジュール325は上記第1イオン樹脂321に酸性溶液を注入し、上記第1バルブモジュール326は上記第1イオン樹脂321から吐出された液体が外部へ排出されるか又は上記第2イオン樹脂331に注入されるように制御を行い、上記第2pH検出モジュール332は上記第2濾液のpH値を検知し、上記第3電気伝導率検出モジュール333は上記第2濾液の導電率を検知し、上記アルカリ液供給モジュール334は上記第2イオン樹脂331にアルカリ性溶液を注入し、上記第2再生モジュール335は上記第2イオン樹脂331に酸性溶液を注入し、上記第2バルブモジュール336は上記第2イオン樹脂331から吐出された液体が外部へ排出されるか、又は上記容器311に戻るように制御を行う。
【0047】
上記循環配管312は、上記容器311から、上記第1イオン樹脂321及び上記第2イオン樹脂331を順次通過してから、上記容器311に戻り、上記水ポンプモジュール313は上記循環配管312内を循環流動するように現像廃液を駆動し、これに加えて、上記水ポンプモジュール313は上記現像廃液の上記循環配管312での流速を制御することもでき、上記第2好適実施例では、上記水ポンプモジュール313は複数の加圧水ポンプを備え、これらの加圧水ポンプはそれぞれ上記水ポンプと上記第1イオン樹脂321との間、上記第1イオン樹脂321と上記第2イオン樹脂331との間、及び上記第2イオン樹脂331と上記容器311との間に設けられ、実際に実施するときには、これに限定されるものではないが、上記水ポンプモジュール313は主に実際の配管に配置される。
【0048】
上記第1イオン樹脂321及び上記第2イオン樹脂331は複数の陽性イオン交換樹脂塔を採用しており、好ましくは、上記第1イオン樹脂321は2つの樹脂塔を採用しており、上記第2イオン樹脂331は2つの樹脂塔を採用しており、上記第1イオン樹脂321の樹脂塔は直列又は並列配置されてもよく、上記第2イオン樹脂331の樹脂塔は直列又は並列配置されてもよく、樹脂塔の配置は公知の配置であるので、ここでは詳しく説明されない。実際に実施するときには、上記第1イオン樹脂321及び上記第2イオン樹脂331は複数組の樹脂塔が設けられてもよく、1組の樹脂塔は含窒素化合物のイオン交換中であり、別の1組の樹脂塔は再生工程を行い、さらに別の1組の樹脂塔は再生工程後が完了しておき、ただし、本好適実施例の例は限定的なものではない。
【0049】
上記第1バルブモジュール326は上記水ポンプモジュール313、上記第1pH検出モジュール322、第1電気伝導率検出モジュール323、上記第2電気伝導率検出モジュール324、及び上記第1再生モジュール325にそれぞれ電気的に接続され、上記第2バルブモジュール336は上記水ポンプモジュール313、上記第2pH検出モジュール332、上記第3電気伝導率検出モジュール333、上記アルカリ液供給モジュール334、及び上記第2再生モジュール335にそれぞれ電気的に接続され、これらのうち、上記第1バルブモジュール326及び上記第2バルブモジュール336は制御回路及び水弁部品を有する。
【0050】
上記第1バルブモジュール326は上記循環配管312に設けられ、かつ上記第1イオン樹脂321と上記第2イオン樹脂331との間に位置し、上記第1バルブモジュール326はさらに、廃水処理システム(未図示)及び回収システム(未図示)を接続するために、外部配管に接続され、上記第2バルブモジュール336は上記循環配管312に設けられ、かつ上記第2イオン樹脂331と上記容器311との間に位置し、上記第2バルブモジュール336はさらに、上記廃水処理システムを接続するために、外部配管に接続され、ここでは、上記廃水処理システム及び上記回収システムは同一処理システムであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
図4を参照して、上記装置に対応する方法の流れを説明する。上記方法は、第1吸着ステップ901、第1制御ステップ902、第2制御ステップ903、第3制御ステップ904、第2吸着ステップ905、イオン交換ステップ906、廃液排出ステップ907、廃液回収ステップ908、及び樹脂再生ステップ909を含む。
【0052】
上記第1吸着ステップ901では、上記水ポンプモジュール313を制御して上記容器311中の現像廃液を上記第1イオン樹脂321に注入し、上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を上記第1イオン樹脂321で吸着し、上記第1イオン樹脂321から第1濾液を流出させる。上記第1濾液のpH(pH値)は上記第1イオン樹脂321の吸着能力の低下につれて徐々に向上し、ここで、上記第1pH検出モジュール322は上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液のpH値を検出し、上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液のpH値が上記第1pH設定値未満である場合、上記第1濾液は排出基準を満たし、上記廃水処理システムに直接排出することができる。上記第1バルブモジュール326によって上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液が上記廃水処理システムに流れるように制御を行い、このとき、上記水ポンプモジュール313によって上記現像廃液が第1流速で上記第1イオン樹脂321に流れるように制御を行い、好ましくは、上記水ポンプモジュール313によって上記第1イオン樹脂321での第1流速を2BV/hrに制御する。
【0053】
上記第1制御ステップ902では、上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液のpH値が上記第1pH設定値以上である場合、上記第1バルブモジュール326によって上記第1イオン樹脂321から流出した第1濾液が上記第2イオン樹脂331に流れるように制御を行い、上記現像廃液を上記第1イオン樹脂321に注入する流速を第2流速に上昇し、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を脱着させ、好ましくは、上記水ポンプモジュール313によって上記第1イオン樹脂321における第2流速を4BV/hr以上に制御する。また、上記第1pH設定値は7であり、実際に実施するときには、上記第1イオン樹脂321における第1流速と第2流速、及び上記第1pH設定値の設定された値はこれに限定されるものではなく、実際の状況に応じて設定され、上記第1電気伝導率検出モジュール323は上記現像廃液の電気伝導率を検出し、上記第2電気伝導率検出モジュール324は上記第1濾液の電気伝導率を検出し、上記第1濾液の電気伝導率と上記現像廃液の電気伝導率との差が大きい場合、上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムは上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物と交換し、上記第1濾液は含窒素化合物を多く含むことから電気伝導率が上記現像廃液よりも低いことを示す。
【0054】
上記第2制御ステップ903では、上記第1イオン樹脂321が含窒素化合物を放出できなくなると、上記第1濾液の電気伝導率は上記現像廃液の電気伝導率に近く又は実質的に同じであり(上記第1濾液の電気伝導率と上記現像廃液の電気伝導率との差が±2ms/cmの間であることは、電気伝導率が近く又は実質的に同じであると定義される)、このとき、上記第1イオン樹脂321への上記現像廃液の注入を停止する。ここでは、上記現像廃液の電気伝導率が一定の値ではないので、上記第1濾液の電気伝導率が上記現像廃液の電気伝導率に近い(又は実質的に同じ)である場合、含窒素化合物が上記第1イオン樹脂321から離脱できなくなったことが示され、このため、上記第1イオン樹脂321への上記現像廃液の注入を停止し、上記第3制御ステップ904に入り、実際に実施するときには、これに限定されるものではないが、上記水ポンプモジュール313は上記現像廃液を別の1組の再生済みの第1イオン樹脂321に導入してもよい。
【0055】
上記第3制御ステップ904では、上記第1再生モジュール325を制御して上記第1イオン樹脂321に酸性溶液を適用し、上記第1イオン樹脂321中の水酸化テトラメチルアンモニウムを脱着させ、テトラメチルアンモニウム塩溶液を取得する。上記第1再生モジュール325が上記第1イオン樹脂321を再生するときに、上記第1バルブモジュール326は上記テトラメチルアンモニウム塩溶液が上記回収システムに入るように制御を行い、上記回収システムは上記テトラメチルアンモニウム塩溶液から窒素化合物を含まない水酸化テトラメチルアンモニウムを分離することができ、上記第1イオン樹脂321が再生を完了しておくと、上記第1吸着ステップ901、第2吸着ステップ902、上記第2制御ステップ903、第3制御ステップ904を行い、再生済みの第1イオン樹脂321は上記第1吸着ステップ901において上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を吸着することができる。
【0056】
上記第2好適実施例では、上記第1制御ステップ902を実行する際に、上記第1濾液のpHが上記第1pH設定値以上である場合、上記現像廃液を上記第1イオン樹脂321に注入する流速を第2流速に上昇し、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を脱着させるとともに、上記第2吸着ステップ905を実行する。
【0057】
上記第2吸着ステップ905では、上記第1濾液のpHが上記第1pH設定値以上になっており、上記第1イオン樹脂321での流速が第2流速に上昇し、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物が放出されるため、上記第1バルブモジュール326は上記第1濾液が上記第2イオン樹脂331に流れるように制御を行い、上記第2イオン樹脂331は上記第1濾液中のテトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を吸着し、上記第2イオン樹脂331は第2濾液を排出し、上記第2イオン樹脂331が未飽和(上記第2濾液のpHが第2pH設定値未満)である場合、上記第1濾液中の含窒素化合物を効果的に吸着でき、このため、上記第2濾液が排出基準を満たし、上記第2バルブモジュール336は上記第2濾液が上記廃水処理システムに排出されるように制御を行い、上記第1イオン樹脂321が上記第1吸着ステップ901、第2吸着ステップ902、上記第2制御ステップ903、第3制御ステップ904を繰り返して実行しても、上記第2バルブモジュール336は上記第2濾液が上記廃水処理システムに排出されるように制御を行う。上記第2イオン樹脂331が飽和である場合、上記第2イオン樹脂331への上記第1濾液の注入を直ちに停止し、実際に実施するときには、これに限定されるものではないが、上記第1濾液は別の1組の再生済みの第2イオン樹脂331に吐出されてもよい。
【0058】
上記第2濾液のpHが上記第2pH設定値以上である場合、上記第2イオン樹脂331が飽和であることが示され、このため、上記イオン交換ステップ906、上記廃液排出ステップ907、上記廃液回収ステップ908及び上記樹脂再生ステップ909を順次実行し、好ましくは、上記第2pH設定値は7であるが、実際に実施するときには、これに限定されるものではない。
【0059】
上記イオン交換ステップ906では、上記第2濾液のpHが第2pH設定値以上である場合、上記第2イオン樹脂331への上記第1濾液の注入を停止して、上記第2イオン樹脂331にアルカリ性溶液(水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)を適用する。アルカリ性溶液に含まれるイオン(例えばナトリウムイオン又はカリウムイオン)が上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物又はテトラメチルアンモニウムイオンとイオン交換を行うことができ、ここでは、このイオン交換は前再生過程として定義され、上記第2イオン樹脂331から排出されたアルカリ性溶液からは含窒素化合物が排出されてから、テトラメチルアンモニウムイオンが排出されるようにしてもよい。なお、前再生過程に使用されるアルカリ性溶液の濃度がイオン交換の程度を変えることができるので、上記アルカリ性溶液の濃度が適切な範囲である場合、上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物とテトラメチルアンモニウムイオンの分離は効果的に行うことができ、好ましくは、使用されるアルカリ性溶液は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであってもよいが、実際に実施するときには、他のアルカリ性溶液や水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含有する他のアルカリ性溶液であってもよい。
【0060】
本発明者らが測定した結果、上記アルカリ性溶液の濃度が高すぎたり低すぎたりすると、上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物又はテトラメチルアンモニウムイオンを効果的に放出することができず、上記第2好適実施例では、上記アルカリ性溶液の濃度は0.1%~2重量%であり、前再生過程に使用されるアルカリ性溶液の濃度がイオン交換の程度を変えることから、この濃度の範囲(0.1wt%~2wt%)である場合、上記アルカリ性溶液中のナトリウムイオン又はカリウムイオンは上記第2イオン樹脂331の含窒素化合物とイオン交換を行うことができ、これによって、上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物とテトラメチルアンモニウムイオンが効果的に分離され、実際に実施するときには、上記アルカリ性溶液の濃度は、含窒素化合物が排出され、水酸化テトラメチルアンモニウムの回収効果が最良であることを考慮して、実際の状況に応じて調整されてもよく、上記アルカリ性溶液から上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物が効果的に放出されたときに、上記廃液排出ステップ907が実行される。
【0061】
上記廃液排出ステップ907では、上記第2イオン樹脂331が飽和になっており、上記第2イオン樹脂331にアルカリ性溶液が適用されるため、上記ステップでは、「含窒素化合物の解離定数が水酸化テトラメチルアンモニウムのそれよりも遥かに小さい」という特性を利用して、アルカリ性溶液中のイオンは、テトラメチルアンモニウムイオンではなく、上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物と優先的に交換し、含窒素化合物の電気伝導率が水酸化テトラメチルアンモニウムのそれよりも低いため、上記第2イオン樹脂331から流出したアルカリ性溶液の電気伝導率が電気伝導率設定値未満である場合、上記第2イオン樹脂331に入ったアルカリ性溶液と上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物とがイオン交換を確実に実行中であり、また、上記第2イオン樹脂331から排出された溶液には大量の含窒素化合物が含有されており、かつ水酸化テトラメチルアンモニウムが含まれておらず、排出液は排出基準を満たすことが示され、上記第2バルブモジュール336は上記第2イオン樹脂331から排出されたアルカリ性溶液を上記廃水処理システムに排出する。
【0062】
上記廃液回収ステップ908では、上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物がアルカリ性溶液から徐々に放出され切ると、上記第2イオン樹脂331にはテトラメチルアンモニウムイオンしか残っておらず、次に、アルカリ性溶液に含まれるイオン(例えばナトリウムイオン又はカリウムイオン)は上記第2イオン樹脂331中のテトラメチルアンモニウムイオンとイオン交換を行い、これによって、アルカリ性溶液(水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)は水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する溶液になり、水酸化テトラメチルアンモニウムが高い電気伝導率を有するため、上記第2イオン樹脂331から排出された液体の電気伝導率が向上し、よって、上記第2イオン樹脂331から流出したアルカリ性溶液の電気伝導率が上記電気伝導率設定値以上である場合、上記第2イオン樹脂331が水酸化テトラメチルアンモニウムを放出中であることが示され、このとき、上記第2バルブモジュール336は上記第2イオン樹脂331から流出させて水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する溶液を上記容器311に戻し、これによって、水酸化テトラメチルアンモニウムが回収され、所定量のアルカリ性溶液が終了した後、上記アルカリ液供給モジュール334は上記第2イオン樹脂331へのアルカリ性溶液の注入を停止し、ここで、上記電気伝導率設定値は400us/cmであり、上記アルカリ性溶液は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであり、上記酸性溶液は塩酸であり、実際に実施するときには、上記第1pH設定値、第2pH設定値、上記電気伝導率設定値、上記アルカリ性溶液の成分、及び上記酸性溶液の成分は以上に限定されるものではない。
【0063】
上記樹脂再生ステップ909では、上記アルカリ液供給モジュール334は上記第2イオン樹脂331へのアルカリ性溶液の注入を停止し、上記第2イオン樹脂331はアルカリ性溶液によるイオンで満たされ、次に、上記第2再生モジュール335は上記第2イオン樹脂331に酸性溶液を適用するように制御され、酸性溶液は上記第2イオン樹脂331中のアルカリ性溶液によるイオン(例えばナトリウムイオン又はカリウムイオン)を脱着させ、上記第2イオン樹脂331を再生することができ、これは後再生過程として定義され、酸性溶液で樹脂を再生する技術は公知のことであるので、ここでは詳しく説明されず、再生済みの第2イオン樹脂331は次の上記第2吸着ステップ905用として準備される。
【0064】
上記方法は、主として「含窒素化合物の解離定数が水酸化テトラメチルアンモニウムよりもはるかに小さい」を利用しており、このため、本発明では、高いpH(高pH)の条件で含窒素化合物が陽イオンになりにくいことを利用して、現像廃液中のテトラメチルアンモニウムイオンを第1イオン樹脂321中の含窒素化合物と交換し、大部分の含窒素化合物を除去し、次に、上記第2イオン樹脂331でこのような高pHの溶液を吸着することによって、強アルカリや高窒素性の廃水を排出できないという問題を回避する。
【0065】
さらに、上記第2イオン樹脂331が飽和になった後、高pHの条件によって、含窒素化合物はアルカリ性溶液中の陽イオンと交換しやすく、これにより、含窒素化合物はテトラメチルアンモニウムイオンと分離して脱着し、このようにして、テトラメチルアンモニウムイオンが効果的に回収され、これにより、含窒素化合物を効果的に除去してテトラメチルアンモニウムイオンを回収する目的が達成される。最後に、酸性溶液を利用して上記第2イオン樹脂331を再生する。
【0066】
実験
【0067】
第1実験では、テトラメチルアンモニウムイオンが低濃度の現像廃液を使用し、上記現像廃液を上記第1イオン樹脂321で吸着し、上記現像廃液及び上記テトラメチルアンモニウム塩溶液中の各化合物の濃度を表1に示す。上記第1イオン樹脂321の出口端のpH値を測定した結果が7よりも大きく、流速が4BV/hrに上昇し、上記第1バルブモジュール326を制御してバルブを上記第2イオン樹脂331に切り替え、上記第1イオン樹脂321の出口端の電気伝導率が入口端の電気伝導率に等しくなると、流速を低下させて、上記第1イオン樹脂321の予備塔を使用して、上記現像廃液に対する吸着を持続する。上記第1イオン樹脂321の吸脱着を計算した結果除去率は少なくとも80%よりも大きく、上記第1イオン樹脂321を酸性溶液で再生することにより得られたテトラメチルアンモニウム塩溶液、得られたアンモニウムイオン(NH4+)及びモノエタノールアミン(MEA)はそれぞれ10ppm及び25ppmよりも小さくなっており、このため、上記現像廃液のpH値を向上させ、上記第1イオン樹脂321に注入する流速を上昇すると、上記第1イオン樹脂321によって吸着された含窒素化合物(アンモニウムイオン(NH4+)及びモノエタノールアミン(MEA))を除去し、上記第1濾液について、上記テトラメチルアンモニウム塩(TMA+)の濃度を上昇させるとともに、上記含窒素化合物の濃度を向上させることができ、詳細なデータを表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
第2実験では、上記現像廃液中のテトラメチルアンモニウムイオンの濃度を向上させた(TMA+は1359ppmから3540ppmに向上)以外、上記第2実験の実験条件は上記第1実験とほぼ同じであり、詳細なデータは表2に示される。
【0070】
【表2】
【0071】
第3実験では、上記現像廃液中のモノエタノールアミン濃度をさらに向上させた(MEAは50ppmから123ppmに向上)以外、上記第3実験の実験条件は上記第2実験とほぼ同じであり、詳細なデータは表3に示される。
【0072】
【表3】
【0073】
次に、対照実験である第4実験を行い、上記第4実験では、上記現像廃液の流速を向上させず、上記現像廃液を上記第1イオン樹脂321で吸着し、上記現像廃液及び上記テトラメチルアンモニウム塩溶液中の各化合物の濃度を表4に示し、上記第1イオン樹脂321の出口端のpH値を測定した結果が7よりも大きい場合、吸着を停止する。次に、上記第1イオン樹脂321を酸液で再生し、得られた再生回収液(テトラメチルアンモニウム塩溶液)では、アンモニウムイオン(NH4+)及びモノエタノールアミン(MEA)が検知された。詳細なデータを表4に示し、上記第4実験を上記第1実験~第3実験と比較した結果、流速を上昇させない条件では、上記第1イオン樹脂321のアンモニウムイオン(NH4+)及びモノエタノールアミン(MEA)の除去率は50%よりも低くなり、酸性溶液による再生により得られた再生回収液(テトラメチルアンモニウム塩溶液)では、アンモニウムイオン(NH4+)及びモノエタノールアミン(MEA)が測定されており、上記テトラメチルアンモニウム塩溶液中の含窒素化合物は確実に分離されていないことが分かった。
【0074】
【表4】
【0075】
第1~第3実験のデータから分かるように、上記現像廃液中のテトラメチルアンモニウムイオンの濃度に関わらず、高pHと高流速の組み合わせにより、アンモニウムイオン及びモノエタノールアミンを効果的に除去することができ、また、上記第4実験と比較した結果、操作のpH及び流速の両方を上昇させることにより、上記再生回収液中のアンモニウムイオン及びモノエタノールアミンを効果的に除去し、酸性溶液による再生により得られた再生回収液(回収されたテトラメチルアンモニウム塩溶液)の全量に影響することなく、後続プロセスの負担を低減させることができる。
【0076】
これに加えて、上記第1イオン樹脂321が飽和になっている場合、上記現像廃液中のテトラメチルアンモニウムイオンが上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物と交換できる高pH(pH)の現像廃液を使用している。上記第1イオン樹脂321から排出された第1濾液にはテトラメチルアンモニウムイオンが高濃度で含有され、上記第1濾液を吸着しないと廃水の排出が課題となるので、本発明では、上記第1吸着ユニット32の後に上記第2吸着ユニット33を設置して第2次吸着を行い、すなわち、1%濃度の水酸化ナトリウムで前再生(濃度の範囲は0.1wt%~2wt%であってもよい)を行うことで廃水処理の目的及びテトラメチルアンモニウムイオンの有効な回収を実現する。
【0077】
上記第2イオン樹脂331は上記第1イオン樹脂321から排出された高窒素含有量のアルカリ性第1濾液を受け、この第1濾液の各化合物の濃度を以下の表5に示し、上記第2イオン樹脂331の出口でのpH>7になる場合、バルブを上記第2イオン樹脂331の予備塔に切り替えて吸着を持続し、次に、飽和になった第2イオン樹脂331を1%水酸化ナトリウムで前再生する。前再生では、上記第2イオン樹脂331の出口の電気伝導率が400us/cm未満である場合、上記含窒素化合物を含有する廃液を廃水処理場に排出して廃棄し、一方、上記第2イオン樹脂331の出口の電気伝導率が400us/cm以上である場合、出口を上記容器311に切り替え、アルカリ性溶液中のナトリウムイオンを上記第2イオン樹脂331中のテトラメチルアンモニウムイオンと交換して、水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する溶液とし、上記第2イオン樹脂331に所定量の1%水酸化ナトリウム(NaOH)が送られた直後、前再生を停止し、最後に、上記第2イオン樹脂331を酸性溶液でナトリウムイオン脱着を行って、使用に備える。
【0078】
第5実験では、上記第2イオン樹脂331によって吸着された化合物は上記第1イオン樹脂321へ排出されるテトラメチルアンモニウムイオンが高濃度の廃液であり、上記第2イオン樹脂331の出口でのpH>7になる場合、吸着を停止し、1%水酸化ナトリウムを用いて1BV/hr流速で前再生を行って廃棄液を排出し、サンプリングしてアンモニウムイオン、モノエタノールアミン及びテトラメチルアンモニウムイオンの濃度を分析により取得し、また、電気伝導率を測定し、出口での廃水排出方式(合格廃棄液又は回収廃棄液)を判断し、分析データを表5に示し、ここで、供給濃度は上記第2イオン樹脂331に入る第1濾液の成分、上記合格廃棄液は上記第2イオン樹脂331の出口での電気伝導率が400us/cmであるときの排出液の成分、上記回収廃棄液は上記第2イオン樹脂331の出口での電気伝導率が400us/cm以上であるときの排出液の成分である。以下の表5から分かるように、上記第2イオン樹脂331の出口での電気伝導率が400us/cm未満である場合、アルカリ性溶液中のナトリウムイオンは含窒素化合物のみとイオン交換を行い、テトラメチルアンモニウムとはイオン交換を行うことはなく、このため、合格廃棄液では、含窒素化合物(NH4+及びMEA)成分が多く、テトラメチルアンモニウム(TMA+)成分が少なく、よって、合格廃棄液は外部へ直接排出することができ、第2イオン樹脂331の出口での電気伝導率が400us/cm以上である場合、上記第2イオン樹脂331では、少量の含窒素化合物しかないため、アルカリ性溶液は第2イオン樹脂331中のテトラメチルアンモニウムとイオン交換を行うことができ、その結果、回収廃棄液では、含窒素化合物(NH4+及びMEA)成分が少なく、テトラメチルアンモニウム(TMA+)成分が多く、このように、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を回収する目的が達成される。
【0079】
【表5】
【0080】
第6実験では、第2イオン樹脂331への供給におけるテトラメチルアンモニウムイオンの濃度を変えた以外、第6実験の実験条件は第5実験とほぼ同じであり、詳細なデータを表6に示す。
【0081】
【表6】
【0082】
表5及び表6の実験データから分かるように、上記第1イオン樹脂321から排出されたテトラメチルアンモニウムイオン廃液について、さらに上記第2イオン樹脂331を利用して吸着することができ、これによって、解决上記第1イオン樹脂321が他の含窒素化合物を除去するために排出された高窒素含有量の強アルカリ廃水の問題を解決する。上記第2イオン樹脂331が飽和になった場合にも、アルカリ液を利用して再生し、約96%のテトラメチルアンモニウムイオンを回収することができる。
【0083】
上記の説明から分かるように、本発明に係る現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法は以下のような効果を有するがことが明らかになる。
【0084】
一、含窒素化合物を除去すること
本発明では、「含窒素化合物の解離定数が水酸化テトラメチルアンモニウムよりもはるかに小さい」という特徴を利用して、上記第1イオン樹脂321が飽和になったときに、高pHの現像廃液を使用し、現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物と交換することによって、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を減少させ、上記第1イオン樹脂321中の水酸化テトラメチルアンモニウムを増加させる。
【0085】
二、回収コストを削減させること
上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を除去した後、上記第1イオン樹脂321中に吸着されたイオンが高純度の水酸化テトラメチルアンモニウムになり、酸性溶液で上記第1イオン樹脂321を再生すると、上記第1イオン樹脂321中の水酸化テトラメチルアンモニウムを離脱させて上記テトラメチルアンモニウム塩溶液を取得することができ、含窒素化合物を含有していないテトラメチルアンモニウム塩溶液にすることによって、後続の再生回収工程を減少させ、精製や電解透析による悪影響を解消し、回収コストを削減させることができる。
【0086】
三、樹脂を回復させて、廃液排出基準を満たすこと
上記第1吸着ユニット32の後の上記第2吸着ユニット33は廃水を吸着した後、1%濃度の水酸化ナトリウムで前再生を受けることができ、このように、廃水処理の目的及びテトラメチルアンモニウムイオンの効果的な回収が実現され、アルカリ性溶液はイオン交換を行って含窒素化合物を離脱させることができ、排出されたアルカリ性溶液の電気伝導率が400us/cm未満である場合、排出基準を満たし、廃水処理システムに排出することができ、後再生に使用される酸性溶液は上記第2イオン樹脂331中の水酸化テトラメチルアンモニウムを脱着させ、上記第2イオン樹脂331を再生して回復することができる。
【0087】
四、含窒素化合物の2回放出
本発明では、飽和になった第1イオン樹脂321を利用して上記第1濾液のpHを上記第1pH設定値に上昇し、上記第1イオン樹脂321における第2流速を4BV/hr以上に制御することによって、上記現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムは上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を置換し、これによって、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を放出し、つまり、1回目の含窒素化合物放出を行い、また、アルカリ性溶液中の水酸化ナトリウムを利用すると、上記第2イオン樹脂331中の含窒素化合物を放出してから、上記第2イオン樹脂331中のテトラメチルアンモニウムイオンを放出し、つまり、2回目の含窒素化合物放出を行い、上記第2イオン樹脂331から排出されたアルカリ性溶液を排出基準を満たすものとし、廃水中の水酸化テトラメチルアンモニウムの回収率を向上させることができる。
【0088】
以上の通り、本発明では、上記現像廃液のpH値を高めて上記現像廃液の流速を上昇した後、上記第1イオン樹脂321中の含窒素化合物を放出し、含窒素化合物を含まないテトラメチルアンモニウム塩溶液を取得することができる。上記第2イオン樹脂331は上記第1濾液中の含窒素化合物及びテトラメチルアンモニウムイオンを吸着し、また、アルカリ性溶液による前再生を受けて、上記第2イオン樹脂331中の窒素化合物を放出してから、第2イオン樹脂331中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収することができ、しかも、上記第2イオン樹脂331から排出された窒素化合物は廃液の排出基準を満たし、よって、本発明の目的を達成させることができる。
【0089】
以上は本発明の2つの好適実施例に過ぎず、これらは本発明の実施範囲を制限するものではなく、本発明の内容に基づいて行われる簡単な等価変化や修飾であれば、本発明の特許の範囲に属する。
【符号の説明】
【0090】
31 循環ユニット
311 容器
312 循環配管
313 水ポンプモジュール
32 第1吸着ユニット
321 第1イオン樹脂
322 第1pH検出モジュール
323 第1電気伝導率検出モジュール
324 第2電気伝導率検出モジュール
325 第1再生モジュール
326 第1バルブモジュール
33 第2吸着ユニット
331 第2イオン樹脂
332 第2pH検出モジュール
333 第3電気伝導率検出モジュール
334 アルカリ液供給モジュール
335 第2再生モジュール
336 第2バルブモジュール
901 第1吸着ステップ
902 第1制御ステップ
903 第2制御ステップ
904 第3制御ステップ
905 第2吸着ステップ
906 イオン交換ステップ
907 廃液排出ステップ
908 廃液回収ステップ
909 樹脂再生ステップ
【要約】      (修正有)
【課題】バックエンド精製と電解透析の操作コストを低減し、より純度のより高い水酸化テトラメチルアンモニウムを製造する、回収したテトラメチルアンモニウムイオンに他の含窒素化合物を含まないようにする操作方法及び装置を提供する。
【解決手段】現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウム及び含窒素化合物を第1イオン樹脂321で吸着する第1吸着ステップと、現像廃液が高pH値及び高流速で第1イオン樹脂に流れるように制御し、第1イオン樹脂中の含窒素化合物を脱着させる第1制御ステップと、第1イオン樹脂中の含窒素化合物を脱着させた後、現像廃液の流動を停止する第2制御ステップと、第1イオン樹脂を再生して、テトラメチルアンモニウム塩溶液を取得する第3制御ステップと、を含む現像廃液中の水酸化テトラメチルアンモニウムを回収して含窒素化合物を除去する方法を提供する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4