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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】放射線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20240318BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240318BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/42 500S
A61B6/42 500W
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023018416
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2019060757の分割
【原出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2023054058
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正隆
(72)【発明者】
【氏名】竹内 敦史
(72)【発明者】
【氏名】江川 陸
(72)【発明者】
【氏名】須和 英智
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 七平
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159920(JP,A)
【文献】特開2017-067564(JP,A)
【文献】特開2017-086768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/167-7/12
A61B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出するための放射線検出センサと、
前記放射線検出センサを内包する筐体であって、前記放射線検出センサに放射線を入射させるための入射面部と前記入射面部の反対側に位置する背面部と前記入射面部と前記背面部をつなぐ側部とを有する形状の筐体と、を有し、
前記筐体は、前記側部のうちの一方の側部の側から指が届く領域において前記背面部に設けられた凹形状の第1の指かけ部と、前記第1の指かけ部との間で前記筐体を把持するための第2の指かけ部であって前記一方の側部に設けられた第2の指かけ部と、を備え、
前記第2の指かけ部は、凹形状であることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記筐体は、
前記側部を構成する枠体と、
前記入射面部を構成し、前記枠体と接合された放射線透過板と、
前記背面部を構成し、前記枠体と接合された背面筐体と、
を含み構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記側部のうちの前記一方の側部と対向する他方の側部には、前記背面部の側に傾斜した傾斜領域が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記他方の側部の内側面には、前記放射線検出センサとの間に、前記放射線検出センサに接続された配線が配置されている側部であることを特徴とする請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記第2の指かけ部は、複数の前記側部のうちの全ての側部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記第2の指かけ部は、前記一方の側部の長手方向の中心位置を通るように前記凹形状が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記第2の指かけ部には、前記放射線検出センサの有効画素領域における中心位置を示すための構造物が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記構造物は、凹形状を有する凹形状構造物であることを特徴とする請求項7に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記構造物は、凸形状を有する凸形状構造物であることを特徴とする請求項7に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記構造物は、手指をかけるための構造物であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記第2の指かけ部は、1mm以上の深さの凹部であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
前記第2の指かけ部の表面性状は、その周囲の表面性状とは異なることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野等で用いられる可搬型の放射線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、半導体センサを使用して放射線画像を撮影する放射線撮影装置(Digital Radiography)が普及してきている。この放射線撮影装置は、病院の内外を問わずあらゆる場合での使用を期待され、可搬性、操作性の良さを求められることで、小型化、薄型化、軽量化が進められている。そのため、昨今では、ワイヤレスタイプの放射線撮影装置が多く普及してきている。
【0003】
最近では、可搬性に対する要求がこれまで以上に増加傾向にあり、軽さだけではなく、安定的な持ちやすさ等を考慮することも重要となってきた。特許文献1では、可搬性を考慮して筐体の一部に凹形状を設ける技術が記載されており、特許文献2では、可搬性を考慮して放射線撮影装置の筐体を構成する2つの筐体部品の接合部に窪みを設ける技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6080900号公報
【文献】特許第5979839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可搬型の放射線撮影装置では、持ちやすさのみならず、持ち上げやすさも考慮することが重要である。昨今、ワイヤレスタイプの放射線撮影装置が普及し、交換式バッテリを搭載するモデルでは、バッテリ着脱の際に、放射線が入射する放射線入射面(或いは、放射線入射面と対向する背面)を下面して机や台等の平面上に平置きする場合、放射線撮影装置の持ち上げ難さが課題となっている。例えば、特許文献1や特許文献2に記載の技術は、放射線撮影装置の持ちやすさについては考慮されているが、放射線撮影装置を持ち上げやすくするという観点では不十分である。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、放射線撮影装置を平面上に置いた状態から放射線撮影装置を持ち上げる際に、その持ち上げ動作を容易にする仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の放射線撮影装置は、放射線を検出するための放射線検出センサと、前記放射線検出センサを内包する筐体であって、前記放射線検出センサに放射線を入射させるための入射面部と前記入射面部の反対側に位置する背面部と前記入射面部と前記背面部をつなぐ側部とを有する形状の筐体と、を有し、前記筐体は、前記側部のうちの一方の側部の側から指が届く領域において前記背面部に設けられた凹形状の第1の指かけ部と、前記第1の指かけ部との間で前記筐体を把持するための第2の指かけ部であって前記一方の側部に設けられた第2の指かけ部と、を備え、前記第2の指かけ部は、凹形状である
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放射線撮影装置を平面上に置いた状態から放射線撮影装置を持ち上げる際に、その持ち上げ動作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一般的な放射線撮影装置の外観の一例を示す図である。
図2図1(b)に示す放射線撮影装置のI-I断面における概略構成の一例を示す図である。
図3図1(b)に示す放射線撮影装置から背面筐体を取り除き、放射線撮影装置の背面側から内部を見た概略構成の一例を示す図である。
図4図3に示す電源の取付け構造の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置の外観の一例を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る放射線撮影装置の概略構成の一例を示す図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る放射線撮影装置の外観の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0012】
本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置の説明を行う前に、まず、一般的な放射線撮影装置の説明を行う。図1は、一般的な放射線撮影装置100の外観の一例を示す図である。
【0013】
具体的に、図1(a)は、放射線撮影装置100を、放射線Rが入射する放射線入射面の側から見た図である。この図1(a)に示すように、一般的な放射線撮影装置100は、放射線検出部5を内包する外装部101を備えている。この外装部101は、複数の側面を構成する枠体110、放射線Rが入射する放射線入射面を構成し、枠体110と接合された放射線透過板120、及び、放射線入射面と対向する背面を構成し、枠体110と接合された背面筐体130を備えている。また、図1(a)では、外装部101に内包される放射線検出部5の有効画素領域51を矩形の点線で示している。また、図1(a)では、放射線Rの入射方向をZ軸とし、このZ軸と直交する2軸であって放射線透過板120の放射線入射面を定める相互に直交する2軸をX軸及びY軸とした、XYZ座標系を図示している。ここでは、X軸及びY軸は、放射線透過板120の放射線入射面を定める直交する2軸として説明を行ったが、例えば、背面筐体130の上述した背面を定める直交する2軸として定義してもよい。
【0014】
図1(b)は、放射線撮影装置100を、放射線Rが入射する放射線入射面と対向する背面の側から見た図である。この図1(b)では、図1(a)に示したXYZ座標系に対応させたXYZ座標系を図示している。この図1(b)では、枠体110の1つの側面と背面筐体130の所定位置に、それぞれ、無線通信を可能とするための無線用電波透過窓111及び無線用電波透過窓131を設けている。また、図1(b)では、外装部101に内包される電源カバー14を図示している。
【0015】
図2は、図1(b)に示す放射線撮影装置100のI-I断面における概略構成の一例を示す図である。この図2において、図1に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図2では、図1(b)に示したXYZ座標系に対応させたXYZ座標系を図示している。
【0016】
放射線撮影装置100の外装部101の内部には、被写体(被検体)を透過した放射線Rを光へ変換する蛍光体層4が積層されており、蛍光体層4で発生した光を電気信号(画像信号)に変換する放射線検出部(「センサ」と称してもよい)5が設けられている。この放射線検出部5、放射線遮蔽部材6を介してセンサ保持板7に取り付けられている。ここで、蛍光体層4の材料としては、一般的に、GOS(Gd2O2S)もしくはCsIが多く用いられる。放射線検出部5は、一般的に、ガラス基板を用いて形成されているため、強い衝撃や荷重、変位を受けると、割れが発生する。そのため、放射線撮影装置100内の放射線検出部5における放射線入射面の側には、衝撃を吸収するための衝撃吸収部材8を配置している。衝撃吸収部材8は、被写体を透過した放射線Rをできる限り減衰させないように蛍光体層4へ導くため、放射線透過率の高い材質を選定する必要がある。放射線遮蔽部材6は、被写体及び放射線検出部5を透過した放射線Rから電気基板10b及び10c等を保護する機能を有する。加えて、放射線遮蔽部材6は、放射線撮影装置100を透過しその背後にある壁等で散乱した放射線Rが跳ね返り、蛍光体層4や放射線検出部5へ再入射することを防ぐ機能を有する。そのため、放射線遮蔽部材6は、材料としては、Mo,W,Pb,Al,Cu,SUSや硫酸Ba等の材料が採用されることが多い。
【0017】
センサ保持板7における背面筐体130の側の面には、放射線検出部5で変換された電気信号を配線(「フレキ」と称してもよい)9を介して読み出すための電気基板10a(図3に記載)及び電気基板10b、電気信号を読み出した後に放射線画像の画像データを生成する電気基板10c、通信モジュール基板10d、並びに、無線通信用のアンテナ11が設置されている。例えば、電気基板10cで生成された放射線画像の画像データは、通信モジュール基板10d及びアンテナ11を通じて、表示システム(不図示)に送信されて表示される。ここでは、無線通信接続を行う例を説明したが、有線通信接続を行うようにしてもよく、また、無線通信接続を行う場合には、例えば2.4GHz帯や5GHz帯を主として使用することが好適である。このような通信方法により、例えばPCやタブレット等に撮影した放射線画像の画像データが転送されて操作者に確認される。
【0018】
無線通信接続を行う場合に、外装部101が金属系材料で作製される場合、無線の電波は遮蔽されてしまうため、外装部101には、図2に示すように、無線用電波透過窓111及び無線用電波透過窓131を設けている。そして、アンテナ11は、これらの無線用電波透過窓111及び無線用電波透過窓131に近い位置に、無線放射特性を考慮して配置される。また、無線用電波透過窓111及び無線用電波透過窓131は、外装部101の隣接する側面を跨ぎ、一体化されていてもよい。
【0019】
図3は、図1(b)に示す放射線撮影装置100から背面筐体130を取り除き、放射線撮影装置100の背面側から内部を見た概略構成の一例を示す図である。この図3において、図1及び図2に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図3では、図1(b)及び図2に示したXYZ座標系に対応させたXYZ座標系を図示している。
【0020】
放射線撮影装置100は、ワイヤレスタイプであるため、図3に示すように、装置を駆動させるための電源12を搭載している。電源12は、充電が可能であることから一般的にリチウムイオンバッテリやリチウムイオンキャパシタ等の2次電池が採用されることが多いが、これに限定されるものではない。図3では、電源12は、容易に着脱をすることを考慮した場合の構造を示しており、具体的に、例えば背面筐体130を取り外すことなく電源12に直接アクセスできる構造とすることが好適である。また、図3には、電源スイッチ等のインターフェース17、及び、外部ユニットとの通信や電力供給のための外部インターフェース18も図示している。
【0021】
図4は、図3に示す電源12の取付け構造の一例を示す図である。この図4において、図1図3に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図4では、図1図3に示したXYZ座標系に対応させたXYZ座標系を図示している。
【0022】
図4に示すように、電源12は、電源ホルダ13に嵌め込まれ、この電源ホルダ13に電源カバー14を取り付けることによって保持される構造となっている。
【0023】
次に、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置の説明を行う。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置200の外観の一例を示す図である。
【0024】
具体的に、図5(a)は、放射線撮影装置200を、放射線Rが入射する放射線入射面の側から見た図である。この図5(a)に示すように、第1の実施形態に係る放射線撮影装置200は、被写体を透過した放射線Rを電気信号に変換する放射線検出部5を内包する外装部201を備えている。また、図5(a)では、外装部201に内包される放射線検出部5の有効画素領域51を矩形の点線で示している。この外装部201は、複数の側面を構成する枠体210、放射線Rが入射する放射線入射面を構成し、枠体210と接合された放射線透過板220、及び、放射線入射面と対向する背面を構成し、枠体210と接合された背面筐体230を備えている。具体的に、外装部201は、放射線入射面を構成する放射線透過板220、背面を構成する背面筐体230、及び、放射線入射面とその背面との間に位置する複数の側面211~214を構成する枠体210を有する直方体形状で形成されている。また、図5(a)では、放射線Rの入射方向をZ軸とし、このZ軸と直交する2軸であって放射線透過板220の放射線入射面を定める相互に直交する2軸をX軸及びY軸とした、XYZ座標系を図示している。ここでは、X軸及びY軸は、放射線透過板220の放射線入射面を定める直交する2軸として説明を行ったが、例えば、背面筐体230の上述した背面を定める直交する2軸として定義してもよい。
【0025】
放射線撮影装置200の外装部201は、軽量で且つ強度の大きい材料が求められるため、例えば、CFRP、アルミニウム合金、マグネシウム合金等を採用し得る。また、放射線透過板220には、入射する放射線Rの透過率が良好な材質を選定する必要がある。このため、外装部201の材料として、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金等の金属材料を採用する場合には、放射線透過板220は、CFRP等の高剛性で且つ高い放射線透過率を有する材料を採用することが好適である。
【0026】
図5(a)に示す例では、枠体210を構成する複数の側面211~214のうちの1つの側面211に、第1の凹部15が設けられている例を示している。具体的に、第1の凹部15は、図5(a)に示すように、放射線Rの入射方向から見た平面視において、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を通り、放射線透過板220の放射線入射面を定める相互に直交する2軸であるX軸及びY軸のうちのY軸に沿った線上の位置(線52-1上の位置)を含む領域に設けられている。
【0027】
なお、第1の実施形態に係る放射線撮影装置200は、上述した図2図4に示す各構成部を有して構成されているものとする。
【0028】
図5(b)は、放射線撮影装置200を、放射線Rが入射する放射線入射面と対向する背面の側から見た図である。この図5(b)では、図5(a)に示したXYZ座標系に対応させたXYZ座標系を図示している。この図5(b)では、枠体210の1つの側面と背面筐体230の所定位置に、それぞれ、図1(b)の無線用電波透過窓111及び無線用電波透過窓131に相当する、無線用電波透過窓(不図示)及び無線用電波透過窓231を設けている。また、図5(b)では、外装部201に内包される電源カバー14を図示している。
【0029】
また、第1の実施形態においては、図5(b)に示すように、背面を構成する背面筐体230には、その中央領域ではない周辺領域であって、第1の凹部15に対して、外装部201において第1の凹部15が設けられている側面211と当該背面との境界240を間に挟む領域に、第2の凹部16が設けられている。具体的に、第2の凹部16及び第1の凹部15は、図5(b)に示すように、放射線Rの入射方向から見た平面視において、放射線撮影装置200の重心位置241を通り、放射線透過板220の放射線入射面を定める相互に直交する2軸であるX軸及びY軸のうちのY軸に沿った線上の位置(線242-1上の位置)を含む領域に設けられている。ここで、図5(b)に示す例では、放射線撮影装置200の重心位置241が、図5(a)に示す放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50と略同じ位置となっているが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではない。本実施形態においては、図5(b)に示す放射線撮影装置200の重心位置241が、図5(a)に示す放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50と異なる位置である態様も、本実施形態に適用可能である。
【0030】
第1の凹部15は、例えば、放射線撮影装置200が平面上に平置きされている状態(例えば、放射線透過板220が平面上に平置きされている状態や背面筐体230が平面上に平置きされている状態)から、操作者等が手指をかけて放射線撮影装置200を持ち上げやすいように形成されている。また、第2の凹部16は、例えば、放射線撮影装置200を持ち運ぶ際の把持部(手指かけ部)として機能する構造であり、十分に手指が掛かる深さを確保することで安定した可搬性を確保することが可能となる。
【0031】
放射線撮影装置200では、第1の凹部15及び第2の凹部16を手指で掴むことを考慮して、図5(b)に示すように、枠体210の側面211と背面筐体230との境界240を挟んで、第1の凹部15及び第2の凹部16を近接する位置に設けている。このように、第1の凹部15及び第2の凹部16を近接する位置に設けることで、例えば背面筐体230が平面上に平置きされている状態であったとしても、第1の凹部15を使用して放射線撮影装置200の少なくとも1辺を持ち上げると、第1の凹部15にかけていた手を広げるとすぐに背面にある第2の凹部16に手が届き、放射線撮影装置200を把持することが可能となる。そして、第2の凹部16を1か所でも手指で把持できれば、放射線撮影装置200を安定的に持ち上げて且つ持ち運ぶことができるため、平面上に置かれた放射線撮影装置200を持ち上げから持ち運びまでの動作をスムーズに行うことが可能となる。
【0032】
そして、放射線撮影装置200を安定的に持ち運ぶことを考慮すると、図5(b)を用いて説明したように、第2の凹部16及び第1の凹部15は、放射線Rの入射方向から見た平面視において、放射線撮影装置200の重心位置241を通り、X軸及びY軸のうちの少なくとも1軸に沿った線上の位置(図5(b)に示す例では、線242-1上の位置)を含む領域に設けられていることが好適である。
【0033】
また、図5では、第1の凹部15を、枠体210を構成する複数の側面211~214のうちの一部の側面211に設ける例を示したが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではない。第1の凹部15を、第2の凹部16に対応させて側面212に更に設ける態様も、本実施形態に適用可能である。
【0034】
さらに、第1の凹部15を、枠体210を構成する複数の側面211~214のうちの全ての側面に設ける態様も、本実施形態に適用可能である。この全ての側面211~214に第1の凹部15を設ける態様の場合、放射線Rの入射方向から見た平面視において、図5(a)に示す、Y軸及びX軸に沿った線52-1上の位置及び線52-2上の位置を含む領域に第1の凹部15を設ける形態を採る。また、この全ての側面211~214に第1の凹部15を設ける態様の場合、放射線Rの入射方向から見た平面視において、図5(b)に示す、Y軸及びX軸に沿った線242-1上の位置及び線242-2上の位置を含む領域に第1の凹部15を設ける形態を採る。
【0035】
さらに、枠体210を構成する複数の側面211~214のうちの全ての側面に第1の凹部15を設ける場合に、第2の凹部16を、それぞれの第1の凹部15に対応させて、背面筐体230の周辺領域に4つ設ける態様も、本実施形態に適用可能である。この全ての側面211~214に設けた第1の凹部15に対応させて第2の凹部16を設ける態様の場合、放射線Rの入射方向から見た平面視において、図5(a)に示す、Y軸及びX軸に沿った線52-1上の位置及び線52-2上の位置を含む領域に第2の凹部16を設ける形態を採る。また、この全ての側面211~214に設けた第1の凹部15に対応させて第2の凹部16を設ける態様の場合、放射線Rの入射方向から見た平面視において、図5(b)に示す、Y軸及びX軸に沿った線242-1上の位置及び線242-2上の位置を含む領域に第2の凹部16を設ける形態を採る。
【0036】
また、本実施形態においては、第1の凹部15は、手指の指先をかけて持ち上げることを考慮すると、1mm以上の深さの凹部であることが好適であり、この場合、手指をかけた時に痛み等を感じにくくスムーズに持ち上げ動作を行うことも可能となる。ただし、第1の凹部15の深さを浅くせざるを得ない場合には、その凹部のエッジ形状や表面性状に変化を与えて改善を図ることも可能であり、本発明においてはこの深さに限定されるものではない。
【0037】
上述したように、本実施形態の放射線撮影装置200では、外装部201は、複数の側面211~214を構成する枠体210と、放射線Rが入射する放射線入射面を構成し、枠体210と接合された放射線透過板220と、放射線入射面と対向する背面を構成し、枠体210と接合された背面筐体230とを含み構成されている。そして、枠体210を構成する複数の側面のうちの少なくとも1つの側面211には、第1の凹部15が設けられている。さらに、背面筐体230の背面には、その周辺領域であって、第1の凹部15に対して、外装部201において第1の凹部15が設けられている側面211と当該背面との境界240を間に挟む領域に、第2の凹部16が設けられている。
かかる構成によれば、放射線撮影装置(例えば、放射線入射面或いは背面)を平面上に置いた状態から放射線撮影装置を持ち上げる際に、その持ち上げ動作を容易にすることができる。これにより、すぐに安定した状態で放射線撮影装置を持ち運ぶことができる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0039】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る放射線撮影装置300の概略構成の一例を示す図である。この図6において、図1図5に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、図6では、図1図5に示したXYZ座標系に対応させたXYZ座標系を図示している。
【0040】
第2の実施形態に係る放射線撮影装置300は、図6に示すように、被写体を透過した放射線Rを電気信号に変換する放射線検出部5を内包する外装部301を備えている。この外装部301は、複数の側面を構成する枠体310、放射線Rが入射する放射線入射面を構成し、枠体310と接合された放射線透過板320、及び、放射線入射面と対向する背面を構成し、枠体310と接合された背面筐体330を備えている。具体的に、外装部301は、放射線入射面を構成する放射線透過板320、背面を構成する背面筐体330、及び、放射線入射面とその背面との間に位置する複数の側面(図6では、側面311及び側面312のみ記載)を構成する枠体310を有する直方体形状で形成されている。また、図6では、放射線Rの入射方向をZ軸とし、このZ軸と直交する2軸であって放射線透過板320の放射線入射面を定める相互に直交する2軸をX軸及びY軸とした、XYZ座標系を図示している。ここでは、X軸及びY軸は、放射線透過板320の放射線入射面を定める直交する2軸として説明を行ったが、例えば、背面筐体330の上述した背面を定める直交する2軸として定義してもよい。
【0041】
放射線撮影装置300の外装部301の内部には、図6に示すように、図2を用いて上述した蛍光体層4、放射線検出部5、放射線遮蔽部材6、センサ保持板7、衝撃吸収部材8、配線9、電気基板10b及び10c、通信モジュール基板10d、無線通信用のアンテナ11、及び、図3を用いて上述した電源スイッチ等のインターフェース17が設けられている。さらに、第2の実施形態に係る放射線撮影装置300には、上述した図3図4に示す各構成部を有して構成されているものとする。
【0042】
図6に示す例では、枠体310を構成する複数の側面のうちの一部の側面311に、第1の凹部15が設けられている。そして、図6に示す例では、第1の凹部15が設けられている側面311と対向する側面312には、背面筐体330の側に傾斜した傾斜領域3121が形成されている。上述した第1の実施形態では、例えば背面筐体330が平面上に平置きされている状態であった場合に、1か所に設けられた第1の凹部15に手指をかけて持ち上げる動作の例を説明したが、この動作を行う場合、図6に示す傾斜領域3121に相当する部分の稜線を軸として回転動作が行われる。この回転動作を行うのにあたり、放射線撮影装置300の重量が重い場合には、図6に示すように、第1の凹部15に対向する側面312に傾斜領域3121を形成ることで放射線撮影装置300の全体を傾けやすくなる。これにより、放射線撮影装置300を持ち上げから持ち運びまでの動作をよりスムーズに行うことが可能となる。
【0043】
また、枠体310に傾斜領域3121を形成するためには、内蔵されている放射線検出部5とのクリアランスが重要となってくる。放射線検出部5には、配線9が実装されており、放射線検出部5は、概ね矩形であることから、読み出し信号用のフレキ実装辺、駆動信号用のフレキ実装辺とに分けられることが多く、少なくとも2辺に配線9が実装されている。放射線検出部5において配線9が実装されていない辺には、放射線撮影装置300の状態を表す表示系や、電源スイッチ等のインターフェース17、外部ユニットとの通信や電力供給のための外部インターフェース18が配置される。そのため、放射線検出部5のフレキ実装辺の方が、放射線撮影装置300の内部構造としては厚み方向に空間が生まれやすく、傾斜領域3121を形成することが好適である。また、操作者は、インターフェースの部分を持ち上げて操作を行うことが多いため、放射線検出部5に接続された配線9の実装されている側に傾斜領域3121を設けるとよい。即ち、本実施形態においては、第1の凹部15が設けられている側面311と対向する側面312は、放射線検出部5との間に、放射線検出部5に接続された配線9が配置されている側面であることが望ましい。
【0044】
また、本実施形態においても、図6に示すように、背面を構成する背面筐体330には、第1の凹部15に対して、外装部301において第1の凹部15が設けられている側面311と当該背面との境界340を間に挟む領域に、第2の凹部16が設けられている。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第3の実施形態の説明では、上述した第1及び第2の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1及び第2の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0046】
第1の実施形態で説明したように、枠体210に第1の凹部15を設ける際には、放射線Rの入射方向から見た平面視において、側面211の領域のうち、放射線撮影装置200の重心位置241を通り、X軸及びY軸のうちの少なくとも1軸に沿った線上の位置(図5(b)に示す例では、線242-1上の位置)を含む領域に設けることが好適である。
【0047】
また、第1の実施形態で説明したように、放射線撮影装置は、内部に放射線検出部5を有しており、放射線検出部5は、放射線画像を作成するための有効画素領域51を有している。有効画素領域51は、操作者に明確にわかるように、例えば図5(a)に示すように、放射線透過板220の放射線入射面に矩形の点線等で明示する必要がある。さらに、有効画素領域51の中心位置50がわかると、放射線撮影の際に放射線源(不図示)との位置合わせを行いやすいため、有効画素領域51の外形だけではなく、Y軸及びX軸の方向において中心位置50を通る線52-1及び線52-2も明示することが好適である。ワイヤレスタイプの放射線撮影装置は、一般放射線撮影室内だけではなく、回診や救急の現場でも頻繁に使用され、そのような場面では、被写体の下に放射線撮影装置を滑り込ませて放射線源(不図示)との位置合わせを行うことも多い。そして、被写体の下に放射線撮影装置を滑り込ませた状態では、有効画素領域51の中心位置50を視覚では判断できないため、手指で放射線撮影装置の外形を触れただけで中心位置50が判断できると、放射線撮影をスムーズに行える。そこで、本実施形態では、この点を考慮した放射線撮影装置を提供する。
【0048】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮影装置400の外観の一例を示す図である。この際、図7では、第3の実施形態に係る放射線撮影装置400の外観の一部のみを図示している。
【0049】
具体的に、図7は、放射線撮影装置400を、放射線Rが入射する放射線入射面の側から見た図である。なお、第3の実施形態に係る放射線撮影装置400は、第1の実施形態に係る放射線撮影装置200と同様に、上述した図2図4に示す各構成部を有して構成されているものとする。このため、第3の実施形態に係る放射線撮影装置400は、被写体を透過した放射線Rを電気信号に変換する放射線検出部5を内包する外装部401を備えている。この外装部401は、複数の側面(図7では、側面411のみ記載)を構成する枠体410、放射線Rが入射する放射線入射面を構成し、枠体410と接合された放射線透過板420、及び、放射線入射面と対向する背面を構成し、枠体410と接合された背面筐体430を備えている。具体的に、外装部401は、放射線入射面を構成する放射線透過板420、背面を構成する背面筐体430、及び、放射線入射面とその背面との間に位置する複数の側面を構成する枠体410を有する直方体形状で形成されている。また、図7では、放射線Rの入射方向をZ軸とし、このZ軸と直交する2軸であって放射線透過板420の放射線入射面を定める相互に直交する2軸をX軸及びY軸とした、XYZ座標系を図示している。ここでは、X軸及びY軸は、放射線透過板420の放射線入射面を定める直交する2軸として説明を行ったが、例えば、背面筐体430の上述した背面を定める直交する2軸として定義してもよい。また、図7では、外装部401に内包される放射線検出部5の有効画素領域51、並びに、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を通り、Y軸及びX軸に沿った線52-1及び線52-2を図示している。
【0050】
図7に示す例では、枠体210の側面411に、第1の凹部15と、無線用電波透過窓111が設けられている。この際、第1の凹部15は、第1の実施形態と同様に、放射線Rの入射方向から見た平面視において、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を通り、Y軸に沿った線52-1上の位置を含む領域に設けられている。
【0051】
さらに、図7に示す例では、この第1の凹部15の内部には、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を示すための凹形状を有する凹形状構造物151が、第1の凹部15の外側に向けて形成されている。具体的に、凹形状構造物151は、放射線Rの入射方向から見た平面視において、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を通り、Y軸に沿った線52-1上の位置に形成されている。そして、操作者が第1の凹部15に手指を入れて且つ凹形状構造物151に手指をかけることにより、操作者は、放射線検出部5の有効画素領域51におけるX軸方向の中心位置50を把握することができる。
【0052】
なお、上述した説明では、凹形状構造物151を設けることによって、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を把握する例を記載したが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではない。図7において点線で示すように、第1の凹部15の内部に、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を示すための凸形状を有する凸形状構造物152を、第1の凹部15の内側に向けて形成する態様も、本実施形態に適用可能である。そして、操作者が第1の凹部15に手指を入れて且つ凸形状構造物152に手指をかけることにより、操作者は、放射線検出部5の有効画素領域51におけるX軸方向の中心位置50を把握することができる。
【0053】
なお、本実施形態においては、放射線Rの入射方向から見た平面視において、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を通り、Y軸に沿った線52-1上の位置を含む領域に第1の凹部15を設け、その第1の凹部15の内部に凹形状構造物151または凸形状構造物152を形成する例について説明を行ったが、本発明においてはこの形態に限定されるものではない。例えば、放射線Rの入射方向から見た平面視において、放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を通り、X軸に沿った線52-2上の位置を含む領域に第1の凹部15を設け、その第1の凹部15の内部に凹形状構造物151または凸形状構造物152を形成する形態も、本発明に適用可能である。この形態を採る場合、操作者が第1の凹部15に手指を入れて且つ凹形状構造物151または凸形状構造物152に手指をかけることにより、操作者は、放射線検出部5の有効画素領域51におけるY軸方向の中心位置50を把握することができる。また、本実施形態では、第1の凹部15の内部に凹形状構造物151または凸形状構造物152を形成するため、放射線撮影装置400のサイズを大きくすることなく、操作者に放射線検出部5の有効画素領域51における中心位置50を把握させることができる。
【0054】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
15:第1の凹部、16:第2の凹部、200:放射線撮影装置、201:外装部、210:枠体、211~214:側面、220:放射線透過板、230:背面筐体、240:境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7