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特許7456038感光性組成物およびこれにより作製されるフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】感光性組成物およびこれにより作製されるフィルム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/037 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
G03F7/037 501
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023046615
(22)【出願日】2023-03-23
(65)【公開番号】P2023143861
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】111111400
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】蘇育央
(72)【発明者】
【氏名】楊智仁
(72)【発明者】
【氏名】曾永隆
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-162834(JP,A)
【文献】特開2021-192086(JP,A)
【文献】特開2017-019986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/87319(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0169434(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113500834(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112457492(CN,A)
【文献】国際公開第2022/202098(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004 - 7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性組成物であって、
ポリイミド100重量部、
開始剤0.25~50重量部、および
架橋剤0.25~100重量部を含み、
前記ポリイミドは反応物質(a)と反応物質(b)との反応生成物であり、前記反応物質(a)は第1のジアンヒドリドおよび第2のジアンヒドリドからなり、前記第1のジアンヒドリドと前記第2のジアンヒドリドのモル比は3:7から8:2であり、前記第1のジアンヒドリドは式(I)で示される構造を有し、前記第2のジアンヒドリドは式(II)で示される構造を有し、
【化1】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。Arは下記のいずれかである。
【化2】
前記反応物質(b)は第1のジアミンを含み、前記第1のジアミンは下記のいずれかである、感光性組成物。
【化3】
(式中、R、R、R、またはRはそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。)
【請求項2】
前記反応物質(b)は第2のジアミンをさらに含み、前記第2のジアミンは下記のいずれかであり、
【化4】
(式中、R、R、R、R10、R11、またはR12はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。)
かつ前記第1のジアミンと前記第2のジアミンとは同じではない、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記第1のジアミンと前記第2のジアミンとのモル数の比が1:9から9:1である、請求項2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記反応物質(b)は第3のジアミンをさらに含み、前記第3のジアミンは下記のいずれかである、請求項2に記載の感光性組成物。
【化5】
【請求項5】
前記第3のジアミンのモル数と前記第1のジアミンおよび前記第2のジアミンのモル数の合計との比は約1:99から1:9である、請求項4に記載の感光性組成物。
【請求項6】
フィルムであって、前記フィルムが、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性組成物の硬化物である、フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は感光性組成物およびこれにより作製されるフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドの熱安定性および絶縁性は優れているため、絶縁材料および特種エンジニアリングプラスチックの他、現在、フレキシブルプリント回路板(Flexible Printed Circuit Board,FPC)に最も広く用いられている。近年、情報通信のモバイル化およびパーソナル化のさらなる発展に伴って、軽量薄型のフレキシブルプリント回路板(フレキシブル基板-FPC)の市場とニーズは急激に拡大しており、端末応用製品(IOTおよびウェアラブルデバイス)の機能の統合が進むにつれて、解像度への要求がより高く、反応速度はより高速に、ストレージはより大きくという全体的なニーズの下、フレキシブル基板技術もこれらに合わせていく必要がある。よって、フレキシブル基板の高周波・高速化、機能化の傾向はより顕著となり、高周波フレキシブル基板はすでにフレキシブル基板のトレンドの1つとなっている。主にモバイル通信電子製品の機能の強化および統合に向けて、低誘電率および低伝送損失の基板材料は、将来の高周波数化の主要な訴求のポイントとなるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第10711105B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の感光型ポリイミド材料は一般的に、ポリアミド酸重合体に感光剤および開始剤を組み合わせたものである。従来の感光型ポリイミド材料は、基材に塗布して露光・現像を行った後に、高温処理(プロセス温度約250℃から350℃)を行ってポリアミド酸を閉環させ成膜する必要がある。しかしながら、このように高いプロセス温度は、ポリイミドと基材とで熱膨張係数の差が大きすぎるために応力が生じ易くなり、基材の湾曲、変形または亀裂、ひいては層間剥離現象を生じさせてしまい、素子がダメージを受けてしまう。
【0005】
よって、業界は、上記問題を解決するための高周波誘電特性、感光性および低成膜温度を有するポリイミド組成物を求めている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は感光性組成物を提供し、前記感光性組成物はポリイミド100重量部、開始剤0.25~50重量部、および架橋剤0.25~100重量部を含む。本開示の実施形態によれば、本開示に係るポリイミドは反応物質(a)と反応物質(b)との反応生成物であり、前記反応物質(a)は第1のジアンヒドリドおよび第2のジアンヒドリドであり、前記第1のジアンヒドリドと前記第2のジアンヒドリドのモル数の比は3:7から8:2であり、前記第1のジアンヒドリドは式(I)で示される構造を有し、前記第2のジアンヒドリドは式(II)で示される構造を有する。
【0007】
【化1】
【0008】
式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。Arは下記のいずれかである。
【0009】
【化2】
【0010】
反応物質(b)は第1のジアミンを含み、前記第1のジアミンは下記のいずれかである。
【0011】
【化3】
【0012】
、R、R、またはRはそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。
【0013】
本開示の実施形態によれば、前記感光性組成物は溶媒をさらに含んでいてよく、かつ前記感光性組成物の固形分は20wt%から40wt%であってよい。
【0014】
本開示の実施形態によれば、本開示はフィルムも提供する。前記フィルムは上記感光性組成物の硬化物を含み得る。
【発明の効果】
【0015】
本開示は、感光性組成物、および前記感光性組成物を用いて形成されるフィルムを提供する。本開示の実施形態によれば、特定の構造を有するポリイミドを用い、特定の比率の光開始剤および架橋剤をさらに組み合わせることで、パターン化可能な、かつ高解像度の感光性組成物が得られる。本開示において、前記特定の構造を有するポリイミドは、2つの特定のジアンヒドリド(例えば、アリール基を有するジアンヒドリド(aryl-moiety-containing dianhydride))を特定のモル数の比率で特定のジアミン(例えば、アリール基を有するジアミン(aryl-moiety-containing diamine))と反応させて得られる。こうすることにより、前記特定の成分および特定の組成比率によって、本開示に係る感光性組成物を銅箔に直接塗布できるようになるとともに、比較的低い温度で光反応硬化を進行することができる(つまり、比較的低い成膜温度を有する)ようになって、感光性組成物の加工性が大幅に高まる。また、本開示に係る感光性組成物の硬化物は、高周波(10GHz以上の帯域)において低誘電率(Dk)および低誘電損失(Df)も有しており、電子素子の絶縁材料または半導体デバイス中に広く用いられ、パッシベーション膜、バッファー膜、層間絶縁膜、またはα線遮蔽膜となり得る。
【0016】
以下の実施形態において詳細な説明を行う。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の感光性組成物、および前記感光性組成物を用いて形成されるフィルムについて詳細に説明する。以下の記述は、本開示の異なる態様を実施するための多くの異なる実施形態または例を提供するものである、という点が理解されなければならない。以下に記載される特定の構成要素および配置方式は、本開示をシンプルに説明するためのものに過ぎない。当然に、これらは単に例示に用いられるのみで、本開示を限定するものではない。本開示において、約という用語は、所定の量が、当業者が通常かつ合理的と認める大きさの量だけ増加または減少し得ることを指す。
【0018】
さらに、明細書および請求項中で用いられる序数、例えば「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、請求項の構成要素を修飾するものであって、それ自身はその請求に係る構成要素が前の序数を有することを意味するおよび表すことはなく、またある請求に係る構成要素と別の請求に係る構成要素との順序、または製造方法における順序を表すこともない。これら序数は、ある名称を有する請求に係る構成要素を、他の同じ名称を有する請求に係る構成要素と明確に区別するために用いられるに過ぎない。
【0019】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る感光性組成物は、ポリイミド、開始剤(例えば光開始剤)、および架橋剤を含み得る。前記感光性組成物中、ポリイミドの量は100重量部とすることができる。また、開始剤の量は0.25重量部から50重量部(例えば0.5重量部、1重量部、2重量部、3重量部、5重量部、8重量部、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、または45重量部)とすることができ、前記架橋剤の量は0.25重量部から100重量部(例えば0.5重量部、1重量部、2重量部、3重量部、5重量部、8重量部、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部、または95重量部)とすることができる。
【0020】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るポリイミドは、反応物質(a)と反応物質(b)とを反応(例えば重合反応)させた生成物であってよい。前記反応物質(a)は、少なくとも1つのジアンヒドリド(例えばアリール基を有するジアンヒドリド(aryl-moiety-containing dianhydride))であり得る。本開示の実施形態によれば、前記反応物質(a)は、第1のジアンヒドリドおよび第2のジアンヒドリドからなっていてよい。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアンヒドリドは式(I)で示される構造を有していてよく、前記第2のジアンヒドリドは式(II)で示される構造を有していてよい。
【0021】
【化4】
【0022】
式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。Arは下記のいずれかである。
【0023】
【化5】
【0024】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るフルオロメチル基はモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、またはパーフルオロメチル基であってよい。フルオロエチル基はモノフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、またはパーフルオロエチル基であってよい。フルオロプロピル基はモノフルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、またはパーフルオロプロピル基であってよい。本開示の実施形態によれば、本開示に係るプロピル基は、n-プロピル基またはイソプロピル基であってよく、フルオロプロピル基はフルオロ-n-プロピル基、フルオロイソプロピル基であってよい。
【0025】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアンヒドリドは下記のいずれかであってよい。
【0026】
【化6】
【0027】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアンヒドリドは2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)であり得る。
【0028】
本開示の実施形態によれば、前記第2のジアンヒドリドは下記のいずれかであってよい。
【0029】
【化7】
【0030】
本開示の実施形態によれば、前記第2のジアンヒドリドは、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(p-phenylenebis (trimellitate anhydride),TAHQ)、または2,6-ジヒドロキシナフタレンビス(トリメリテート無水物)(2,6-dihydroxynaphthalene bis(trimellitate anhydride),2,6-TANA)であり得る。
【0031】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアンヒドリドと前記第2のジアンヒドリドのモル数の比は3:7から8:2、例えば約4:6、5:5、6:4、7:3、または7.5:2.5であってよい。第1のジアンヒドリドと前記第2のジアンヒドリドのモル数の比が高すぎるまたは低すぎると、前記ポリイミドを含むフィルム組成物で作製されたフィルムに方向性のある亀裂が生じ易くなるか、または作製されたフィルム(硬化物)の誘電損失特性が劣り(>0.005(@10 GHZ))、比較的高い吸湿性を備える(>1.0%)こととなってしまう。
【0032】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は、少なくとも1つのジアミン(例えば、アリール基を有するジアミン(aryl-moiety-containing diamine))であってよい。本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は第1のジアミンを含む。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンは下記のいずれかであってよい。
【0033】
【化8】
【0034】
式中R、R、R、またはRはそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。
【0035】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は前記第1のジアミンである。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンは下記のいずれかであってよい。
【0036】
【化9】
【0037】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンは、4,4’-オキシビス[3-(トリフルオロメチル)アニリン](4,4'-Oxybis[3-(trifluoroMethyl)aniline] ,TMDA)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline,ODA)、または1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(3-aminophenoxy) benzene,APB-N)であってよい。
【0038】
本開示の実施形態によれば、前記反応(例えば重合反応)に参与してポリイミドを形成する前記反応物質(a)と前記反応物質(b)のモル数の比は実質的に、約0.95:1.05から1.05:0.95の範囲内にあってよい、例えば約1:1に近いものであってよい。
【0039】
本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンの他に、前記反応物質(b)は第2のジアミンをさらに含んでいてよく、前記第2のジアミンは下記のいずれかである。
【0040】
【化10】
【0041】
式中、R、R、R、R10、R11、またはR12はそれぞれ独立に水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、またはフルオロプロピル基である。また、前記第1のジアミンと前記第2のジアミンとは同じではない。
【0042】
本開示の実施形態によれば、前記第2のジアミンは下記のいずれかであってよい。
【0043】
【化11】
【0044】
本開示の実施形態によれば、前記第2のジアミンは、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis [4-(4-aminophenoxy)phenyl] propane,BAPP)、4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)、または2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)であってよい。本開示の実施形態によれば、第1のジアミンが4,4’-オキシジアニリン(4,4’-oxydianiline,ODA)であるとき、前記第2のジアミンは2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis [4-(4-aminophenoxy)phenyl] propane,BAPP)、または2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane,HFBAPP)である。
【0045】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は、前記第1のジアミンおよび前記第2のジアミンからなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンおよび前記第2のジアミンのモル数の比は1:9から9:1、例えば2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、または8:2であり得る。
【0046】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は第3のジアミンをさらに含み、前記第3のジアミンは下記のいずれかであってよい。
【0047】
【化12】
【0048】
本開示の実施形態によれば、前記第3のジアミンはビス(4-アミノフェニル)テレフタレート(bis(4-aminophenyl) terephthalate,BPTP)であってよい。
【0049】
本開示の実施形態によれば、前記反応物質(b)は、前記第1のジアミン、前記第2のジアミン、および前記第3のジアミンからなるものであってよい。本開示の実施形態によれば、前記第1のジアミンと前記第2のジアミンとのモル数の比は1:9から9:1(例えば:2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、または8:2)であってよく、かつ前記第3のジアミンのモル数と前記第1のジアミンおよび前記第2のジアミンのモル数の合計との比は約1:99から1:9(例えば:約2:98、3:97、4:96、5:95、6:94、7:93、8:92、または9:91)である。
【0050】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、約5,000g/molから3,000,000g/mol、例えば約8,000g/molから2,500,000g/mol、10,000g/molから2,300,000g/mol、15,000g/molから2,000,000g/mol、10,000g/molから1,000,000g/mol、10,000g/molから500,000g/mol、または10,000g/molから300,000g/molであってよい。本開示に係るポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(ポリスチレンを標準品として検量線を作成)。
【0051】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る開始剤は光開始剤であってよい。本開示の実施形態によれば、前記開始剤は、安息香系(benzoin-based)化合物、アセトフェノン系(acetophenone-based)化合物、チオキサントン系 (thioxanthone-based)化合物、ケタール(ketal)化合物、ベンゾフェノン系(benzophenone-based)化合物、α-アミノアセトフェノン(α-aminoacetophenone)化合物、アシルホスフィンオキシド(acylphosphineoxide)化合物、ビイミダゾール系(biimidazole-based)化合物、トリアジン系(triazine-based)化合物またはこれらの組み合わせであり得る。安息香系化合物は、例えばベンゾイン(benzoin)、ベンゾインメチルエーテル(benzoin methyl ether)、またはベンゾインジメチルエーテル(benzyl dimethyl ether)である。アセトフェノン系化合物は、例えばp-ジメチルアミノ-アセトフェノン(p-dimethylamino-acetophenone)、α、α’-ジメトキシアゾキシアセトフェノン(α,α’-dimethoxyazoxy-acetophenone)、2,2’-ジメチル-2-フェニルアセトフェノン(2,2’-dimethyl-2-phenyl-acetophenone)、p-メトキシ-アセトフェノン(p-methoxy-acetophenone)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノ-1-プロパン(2-methyl-1-(4-methylthiophenyl)-2-morpholino-1-propanone)、2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン(2-benzyl-2-N,N-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-1-butanone)である。ベンゾフェノン系化合物は、例えばジベンゾフェノン(benzophenone)、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ジベンゾフェノン(4,4-bis(dimethylamino)benzophenone)、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ジベンゾフェノン(4,4-bis(diethylamino)benzophenone)、2,4,6-トリメチルアミノジベンゾフェノン(2,4,6-trimethylaminobenzophenone)、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート(methyl-o-benzoyl benzoate)、3,3-ジメチル-4-メトキシジベンゾフェノン(3,3-dimethyl-4-methoxybenzophenone)、および3,3,4,4-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ジベンゾフェノン(3,3,4,4-tetra(t-butylperoxycarbonyl)benzophenone)である。チオキサントン系化合物は、例えばチオキサントン(thioxanthone)、2,4-ジエチルチオキサントン(2,4-diethyl-thioxanthanone)、チオキサントン-4-スルホン(thioxanthone-4-sulfone)である。ビイミダゾール系化合物は、例えば2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(o-フルオロフェニル)-4,4,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-fluorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(o-メチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-methylphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(o-メトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-methoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(o-エチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(o-ethylphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(p-メトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(p-methoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(2,2’,4,4’-テトラメトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(2,2’,4,4’-tetramethoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(2-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール[2,2’-bis(2,4-dichlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole]である。アシルホスフィンオキシド系化合物は、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethylbenzoyl diphenylphosphine oxide)およびビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(bis(2,6-dimethoxybenzoyl)-2,4,4-trimethylpentylphosphine oxide)である。トリアジン系化合物は、例えば3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸(3-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}propionic acid)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート(1,1,1,3,3,3-hexafluoroisopropyl-3-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}propionate)、2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}酢酸エチル(ethyl-2-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}acetate)、2-エポキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}酢酸メチル(methyl-2-epoxyethyl-2-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}acetate)、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}酢酸メチル(methyl-cyclohexyl-2-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}acetate)、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}酢酸メチル(methyl-benzyl-2-{4 -[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}acetate)、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸(3-{chloro-4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}propionic acid)、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド(3-{4-[2,4-bis(trichloromethyl)-s-triazine-6-yl]phenylthio}propionamide)、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-S-トリアジン(2,4-bis(trichloromethyl)-6-p-methoxystyryl-s-triazine)、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル-s-トリアジン(2,4-bis(trichloromethyl)-6-(1-p-dimethylaminophenyl)-1,3,-butadienyl-s-triazine)、または2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン(2-trichloromethyl-4-amino-6-p-methoxystyryl-s-triazine)である。
【0052】
本開示の実施形態によれば、アセトフェノン系化合物は、Ciba Geigy社製の、商品コードIrgacure 2959、Irgacure 184、Irgacure 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Irgacure 379、Irgacure 907、またはDarocur 1173の光開始剤であり得る。
【0053】
本開示の実施形態によれば、アシルホスフィンオキシド系化合物は、Ciba Geigy社製の、商品コードIrgacure 819、またはIrgacure 1800の光開始剤、およびBASF社製の、商品コードLucirin TPOまたはLucirin TPO-Lの光開始剤であり得る。
【0054】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る開始剤は、LAMBSON社製の、商品コードEsacure 1001M、Esacure KIP150、Speedcure BEM、Speedcure EHA、Speedcure BMS、Speedcure MBP、Speedcure PBZ、Speedcure ITX、Speedcure DETX、Speedcure EBD、Speedcure MBB、Speedcure BPの光開始剤、またはCiba Geigy製の、商品コードIrgacure 2100、Irgacure 250、またはIrgacure 784の光開始剤であり得る。
【0055】
本開示の実施形態によれば、前記開始剤は、アゾ(azo)化合物、シアノ吉草酸系(cyanovaleric-acid-based)化合物、過酸化物(peroxide)または上述の組み合わせであってよい。前記アゾ化合物は、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(2,2’-azobis(2,4-dimethyl valeronitrile))、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(dimethyl 2,2’-azobis(2-methylpropionate))、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-azobisisobutyronitrile,以下AIBNと略称する)、2,2-アゾビス(2-メチルイソブチロニトリル)(2,2-azobis(2-methylisobutyronitrile))、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)1,1’-azobis(cyclohexane-1-carbonitrile))、2,2’-アゾビス[N-2-プロぺニル-2-メチルプロピオンアミド](2,2’-azobis[N-(2-propenyl)-2-methylpropionamide])、1-[(シアノ-1-メチルエチル)-アゾ]ホルムアミド(1-[(cyano-1-methylethyl)azo]formamide)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)(2,2’-azobis(N-butyl-2-methylpropionamide))、または2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)(2,2’-azobis(N-cyclohexyl-2-methylpropionamide))であってよい。前記過酸化物は、過酸化ベンゾイル(benzoyl peroxide)、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(1,1-bis(tert-butylperoxy)cyclohexane)、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルシクロヘキサン(2,5-bis(tert-butylperoxy)-2,5-dimethylcyclohexane)、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-シクロヘキシン(2,5-bis(tert-butylperoxy)-2,5-dimethyl-3-cyclohexyne)、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン(bis(1-(tert-butylpeorxy)-1-methy-ethyl)benzene)、tert-ブチルヒドロペルオキシド(tert-butyl hydroperoxide)、tert-ブチルペルオキシド(tert-butyl peroxide)、tert-ブチルペルオキシベンゾエート(tert-butyl peroxybenzoate)、クメンヒドロペルオキシド(cumene hydroperoxide)、シクロヘキサノンペルオキシド(cyclohexanone peroxide)、ジクミルペルオキシド(dicumyl peroxide)、またはラウロイルペルオキシド(lauroyl peroxide)であってよい。
【0056】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る光開始剤の主要吸収波長は約300nmから410nmであってよい。本開示の実施形態によれば、本開示に係る光開始剤に、主要吸収波長が約300nm未満の光開始剤を組み合わせることで、現行の商用I-lineおよびH-lineのUV露光の要求を満たすこともできる。
【0057】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る架橋剤は、2個以上の架橋可能官能基を有する化合物(例えば、2個の架橋可能官能基を有する化合物、3個の架橋可能官能基を有する化合物、4個の架橋可能官能基を有する化合物、または5個の架橋可能官能基を有する化合物)であってよく、前記架橋可能官能基は、C2-5アルケニル基(alkenyl group)(例えばビニル基(vinyl group)、アリル基(allyl group)、ブテニル基(butenyl group)、1,3-ブタンジエニル基(1,3-butanedienyl group)、1-メチルビニル基(1-methyl vinyl group)、1-メチルアリル基(1-methyl allyl group)、1,1-ジメチルアリル基(1,1-dimethyl allyl group)、2-メチルアリル基(2-methyl allyl group)、1,2-ジメチルアリル基(1,2-dimethyl allyl group)、メタクリレート基(methacrylate group)、アクリレート基(acrylate group)、アクリロイル基(acryloyl group)、エポキシ基(epoxy group)、カルボキシル基(carboxyl group)、または上述の組み合わせであってよい。
【0058】
本開示の実施形態によれば、前記架橋剤の数平均分子量(number average molecular weight,Mn)は10,000以下,例えば約50から8,000、約60から8,000、約70から6,000、約80から5,000、または約90から3,000であり得る。
【0059】
本開示の実施形態によれば、前記架橋剤には、メタクリレート型(methacrylate-type)試薬、例えば、トリエチレングリコールジメタクリレート(triethylene glycol dimethacrylate,TiEGDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate,EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(tetraethylene glycol dimethacrylate,TTEGDMA)、ポリエチレングリコール(200)ジメタクリレート((polyethylene glycol (200) dimethacrylate,PEG200DMA)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-butanediol dimethacrylate,BDDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate,DEGDMA)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(1,6-hexanediol dimethacrylate,HDDMA)、ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート(polyethylene glycol (600) dimethacrylate,PEG600DMA)、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(1,12-dodecanediol dimethacrylate,DDDDMA)、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート(1,3-butylene glycol dimethacrylate,BGDMA)、エトキシ化(3)ビスフェノールAジメタクリレート(ethoxylated (3) bisphenol A dimethacrylate,BPA3EODMA)、エトキシ化(2)ビスフェノールAジメタクリレート(ethoxylated (2) bisphenol A dimethacrylate,BPA2EODMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(trimethylolpropane trimethacrylate,TMPTMA)、エトキシ化(10)ビスフェノールAジメタクリレート(ethoxylated (10) bisphenol A dimethacrylate,BPA10EODMA)、エトキシ化(4)ビスフェノールAジメタクリレート(ethoxylated (4) bisphenol A dimethacrylate,BPA4EODMA)、アルコキシル化ペンタエルスリトールテトラメタクリレート(alkoxylated pentaerythritol tetramethacrylate,PETTMA)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(polypropylene glycol monomethacrylate,PPGMA)、またはトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(tricyclodecanedimethanol dimethacrylate,TCDDMDMA)が含まれ得る。
【0060】
本開示の実施形態によれば、前記架橋剤には、アクリレート型(acrylate-type)試薬、例えば、ジペンタエルスリトールヘキサアクリレート(dipentaerythritol hexaacrylate,DPHA)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate,HDDA)、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート(polyethylene glycol (200) diacrylate,PEG200DA)、テトラエチレングリコールジアクリレート(tetraethylene glycol diacrylate,TTEGDA)、トリエチレングリコールジアクリレート(triethylene glycol diacrylate,TIEGDA)、ペンタエルスリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate,PETTA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(tripropylene glycol diacrylate,TPGDA)、ポリブタジエンジアクリレート(polybutadiene diacrylate,PBDDA)、3-メチル1,5-ペンタンジオールジアクリレート(3-methyl 1,5-pentanediol diacrylate,MPDA)、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート(polyethylene glycol (400) diacrylate,PEG400DA)、エトキシ化3ビスフェノールAジアクリレート(ethoxylated 3 bisphenol A diacrylate,BPA3EODA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate,TMPTA)、ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート(di-trimethylolpropane tetraacrylate,Di-TMPTTA)、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート((tris (2-hydroxyethyl) isocyanurate triacrylate,THEICTA)、ジペンタエルスリトールペンタアクリレート(dipentaerythritol pentaacrylate,DPPA)、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート(ethoxylated (20) trimethylolpropane triacrylate,TMP20EOTA) 、ペンタエルスリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate,PETIA)、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(ethoxylated (3) trimethylolpropane triacrylate,TMP3EOTA)、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(propoxylated (3) trimethylolpropane triacrylate,TMP3POTA)、エトキシ化(4)ペンタエルスリトールテトラアクリレート(ethoxylated pentaerythritol tetraacrylate)、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート(ethoxylated 6 trimethylolpropane triacrylate,TMP6EOTA)、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート(ethoxylated (9) trimethylolpropane triacrylate,TMP9EOTA 、ジプロピレングリコールジアクリレート(dipropylene glycol diacrylate,DPGDA)、1,10デカンジオールジアクリレート(1,10 decanediol diacrylate,DDDA)、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート((ethoxylated (4) bisphenol A diacrylate,BPA4EODA)、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(ethoxylated (10) bisphenol A diacrylate,BPA10E0DA)、エステルジオールジアクリレート(esterdiol diacrylate,EDDA)、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(polyethylene glycol (600) diacrylate,PEG600DA)、アルコキシル化ジアクリレート(alkoxylated diacrylate)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(tricyclodecanedimethanol diacrylate,TCDDMDA)、プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(propoxylated (2) neopentyl glycol diacrylate,PONPGDA)、プロポキシル化(3)グリセリルトリアクリレート(propoxylated (3) glyceryl triacrylate,GPTA)、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート(ethoxylated (15) trimethylolpropane triacrylate,TMP15EOTA)、またはエトキシ化(12)グリセリルトリアクリレート(ethoxylated (12) glyceryl triacrylate,G12EOTA)が含まれ得る。
【0061】
本開示の実施形態によれば、前記架橋剤には、アリル型(allylic type)試薬、例えばトリアリルシアヌレート(triallyl cyanurate,TAC)、トリアリルイソシアヌレート(triallyl isocyanurate,TAIC)、トリアリルホスフェート(triallylphosphate,TAP)、トリアリルボレート(triallyl borate,TAB)、トリメタアリルイソシアヌレート(trimethallyl isocyanurate,TMAIC)、ジアリルテレフタレート(diallylterephthalate,DATP)、ジアリルカルボネート(diallyl carbonate)、ジアリルマレエート(diallyl maleate)、ジアリルフマレート(diallyl fumarate)、ジアリルホスファイト(diallyl phosphite)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル(trimethylolpropane diallyl ether)、またはテトラアリルオキシエタン(1,1,2,2-tetraallyloxyethane)が含まれ得る。
【0062】
本開示の実施形態によれば、前記架橋剤には、ビニル型(vinylic type)試薬、例えば、ビス(ビニルフェニル)エタン(bis(vinylphenyl)ethane,BVPE)、ビス(4-ビニルフェニル)メタン(Bis (4-vinylphenyl) methane)、1,4-ブタジエン(1,4-butadiene)、ジビニルアセチレン(divinylacetylene)、ジビニルベンゼン(divinylbenzene,DVB)、ジビニルエーテル(divinyl ether)、ジビニルスルフィド(divinyl sulfide)、ジビニルスルホン(divinyl sulfone)、ジビニルスルホキシド(divinyl sulfoxide)、1,3-ジビニルシクロヘキサン(l,3-divinylcyclohexane)、1,3-ジビニルシクロペンタン(1,3-divinylcyclopentane)、1,5-ヘキサジエン(1,5-hexadiene)、イソプレン(isoprene)、または1,2,4-トリビニルシクロヘキサン(1,2,4-trivinyl cyclohexane,TVCH)が含まれ得る。
【0063】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る架橋剤は市販品、例えばDianal NRシリーズの架橋剤(Mitsubishi Rayon Co.,Ltd.製)、商品コードPhotomer 6173の架橋剤(Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、商品コードViscoat R-264の架橋剤(Osaka Organic Chemical Industry Ltd.製)、商品コードKS Resist 106の架橋剤(Osaka Organic Chemical Industry Ltd.製)、CYCLOMER Pシリーズの架橋剤(Daicel Corporation製)、PLACCEL CF200シリーズの架橋剤(Daicel Corporation製)、Ebecrylシリーズの架橋剤(Daicel UCB Co.,Ltd.製)、商品コードAcrycure RD-F8(Nippon Shokubai Co.,Ltd.製)、VISIOMERシリーズの架橋剤(Evonik Performance Materials GmbH製)、BECKOPOXシリーズの架橋剤(Cytec Industries製)、CRYLCOATシリーズの架橋剤(Cytec Industries Inc製)、SETALシリーズの架橋剤(Nuplex resins製)、ANCAMIDEシリーズの架橋剤(Air Products,Inc.製)、または上述の組み合わせであってよい。
【0064】
本開示の実施形態によれば、前記感光性組成物はさらに溶媒含み、前記感光性組成物の全ての成分が前記溶媒中に均一に分散されるようにしてもよい。本開示の実施形態によれば、前記溶媒は、ベンゼン(benzene)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、エチルベンゼン(ethylbenzene)、ジビニルベンゼン(diethylbenzene)、トリメチルベンゼン(trimethylbenzene)、トリエチルベンゼン(triethylbenzene)、シクロヘキサン(cyclohexane)、シクロヘキセン(cyclohexene)、デカヒドロナフタレン(decahydronaphthalene)、ジペンテン(dipentene)、ペンタン(pentane)、ヘキサン(hexane)、ヘプタン(heptane)、オクタン(octane)、ノナン(nonane)、デカン(decane)、エチルシクロヘキサン(ethyl cyclohexane)、メチルシクロヘキサン(methyl cyclohexane)、p-メンタン(p-menthane)、ジプロピルエーテル(dipropyl ether)、ジブチルエーテル(dibutyl ether)、アニソール(anisole)、酢酸ブチル(butyl acetate)、酢酸ペンチル(pentyl acetate)、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)、シクロヘキシルベンゼン(cyclohexylbenzene)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、シクロペンタノン(cyclopentanone、CPN)、トリグライム(triglyme)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(1,3-dimethyl-2-imidazolidinone、DMI)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、ブタノン(メチルエチルケトン)(methyl ethyl ketone、MEK)、N,N-ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide、DMAc)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone、GBL)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide、DMF)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methyl ether acetate、PGMEA)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、または上述の組み合わせであってよい。本開示の実施形態によれば、前記感光性組成物の固形分は、20wt%から40wt%(例えば約21wt%、22wt%、25wt%、27wt%、29wt%、30wt%、32wt%、34wt%、35wt%、または38wt%)であってよい。ここで、前記固形分は、前記感光性組成物の総重量に対する、溶媒を除いたすべての成分の重量百分率のことを指す。本開示の実施形態によれば、前記感光性組成物から作製されるフィルムの厚さは、前記感光性組成物の固形分と比例する。換言すると、前記感光性組成物から作製されるフィルムの厚さは、前記感光性組成物の固形分によって調整することができる。
【0065】
本開示の実施形態によれば、本開示に係る感光性組成物は、実質的に、本開示に係るポリイミド、開始剤、架橋剤および溶媒からなる。換言すると、ポリイミド、開始剤、架橋剤および溶媒は前記感光性組成物の主成分である。前記感光性組成物は他の成分をさらに含み得る。本開示の実施形態によれば、前記他の成分は、ポリイミドを作製するのに用いる触媒、ポリイミドを作製するのに用いるが完全に反応していない反応物質(a)および/もしくは反応物質(b)、添加剤、または上述の組み合わせであり得る。前記感光性組成物が他の成分を含む場合、前記他の成分の含量は0.01重量部から20重量部であってよい。本開示の実施形態によれば、前記添加剤は、当該分野で周知の添加剤、例えばフィラー、難燃剤(flame retardant)、粘度調節剤、チキソトロープ剤(thixotropic agent)、消泡剤(defoamer)、着色剤(colorant)、レベリング剤(leveling agent)、平滑剤(leveling agent)、表面処理剤、安定剤、抗酸化剤、または上述の組み合わせであってよい。本開示の他の実施形態によれば、本開示に係る感光性組成物は、上記主成分および他の成分からなっていてよい。本開示の別の実施形態によれば、本開示に係る感光性組成物は、本開示に係る反応物質(a)と反応物質(b)とが反応することで得られるポリイミド以外に、他のポリイミドを含んでいてもよく、かつ他のポリイミドの量は80重量部以下とすることができる。本開示の別の実施形態によれば、本開示に係る感光性組成物は、本開示に係る反応物質(a)と反応物質(b)とが反応することで得られるポリイミド以外には、感光性組成物の成膜温度を低く保つとともに、感光性組成物の硬化物が高周波(10GHz以上の帯域)で低誘電率(Dk)および低誘電損失(Df)を有することとなるように、他のポリイミドは含まない。
【0066】
本開示の実施形態によれば、本開示はフィルムも提供し、前記フィルムは、本開示に係る感光性組成物にフォトリソグラフィプロセスおよびベーキングプロセスを行って得られる硬化物である。
【0067】
本開示の実施形態によれば、本開示に係るフィルムは、下記のステップによって作製することができる。先ず、本開示に係る感光性組成物で、塗布プロセスにより基材にコーティング層を形成する。本開示の実施形態によれば、前記塗布プロセスは、スクリーン印刷、スピンコーティング(spin coating)、バーコーティング(bar coating)、ブレードコーティング(blade coating)、ローラーコーティング(roller coating)、ディップコーティング(dip coating)、スプレーコーティング(spray coating)、またはブラシコーティング(brush coating)であってよい。本開示の実施形態によれば、前記基材は、金属薄片(例えば銅箔)、シリコン基材、ガラスであってよく、かつ前記基材に任意の必要な膜層がすでに形成されていてもよい。次いで、前記塗布層に対し、ブレベーク(pre-bake)プロセスを行う(プロセス温度は約60℃から120℃とすることができ、ベーク時間は状況に応じて調整可能で、例えば数秒から数分とすることができる)。次いで、上述の塗布がなされた基材を、フォトマスクを介して活性光線により露光するが、上述の活性光線は、例えばX線、電子ビーム、紫外線、可視光線または他の活性光線となり得る光源等である。次いで、露光後、上述の塗布がなされた基材を現像液で現像して、前記フィルムの被露光部分を除去し、パターン化された膜層を得る。最後に、前記パターン化された膜層に対しベーキングプロセスを行う(プロセス温度は約120℃から200℃とすることができる。ベーク時間は状況に応じて調整可能であり、例えば数秒から数時間とすることができる)。現像は、浸漬、噴霧もしくはパドル、または他の既知の現像方法によって実行することができる。次いで、上述の現像後のフォトレジストパターンを、脱イオン水で洗浄する。本開示の実施形態によれば、前記現像液は、アルカリ性水性現象液、例えば無機塩基(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、もしくは炭酸ナトリウム)、一級アミン(例えば、エチルアミン)、二級アミン(例えば、ジビニルアミン)、三級アミン(例えば、トリエチルアミン)、または四級アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide))の水溶液であり得る。
【0068】
本開示に係る感光性組成物は、本発明に係る特定のポリイミドを有するため、前記感光性組成物を比較的低い温度でベークして(即ち、前記感光性組成物は比較的低い成膜温度を有する(約160℃から200℃))、前記フィルムを得ることができる。また、フォトリソグラフィプロセスを行って得られるフィルム(即ち、感光性組成物の硬化物)は、優れた解像度、電気特性、耐化学性および耐熱性を有する他、高周波(10GHz以上の帯域)で低誘電率(Dk)(例えば2.81以下)および低誘電損失(Df)(例えば0.0097以下)を有し、将来の5G高周波パターン化絶縁材の要求を満たしている。
【0069】
以下に、当該分野において通常の知識を有する者が容易に理解できるよう添付の図面を参照にしながら、例示的な実施形態を詳細に説明する。本発明概念は、ここに示される例示的な実施形態に限定されることなく、様々な形式で具体化され得る。明確とするため、周知の部分の説明は省き、全体を通し、類似する参照数字は類似する構成要素を示すものとする。
【実施例
【0070】
表1には本開示の実施例および比較例に係る試薬が挙げられている。
【0071】
【表1-1】
【表1-2】
【0072】
ポリイミドの作製
【0073】
作製例1
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)(75モル部)、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(p-phenylenebis (trimellitate anhydride),TAHQ)(25モル部)、4,4’-オキシビス[3-(トリフルオロメチル)アニリン](4,4’-Oxybis[3-(trifluoroMethyl)aniline],TMDA)(32モル部)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis [4-(4-aminophenoxy)phenyl] propane,BAPP)(40モル部)、およびビス(4-アミノフェニル)テレフタレート(bis(4-aminophenyl) terephthalate),BPTP)(8モル部)を反応瓶中に入れ、γ-ブチロラクトン(gamma-butyrolactone,GBL)で溶解して、溶液を得た(固形分約35wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒として用い、BPADA、TAHQ、TMDA、BAPPおよびBPTPの総重量に対し、量は約0.3wt%とした)を反応瓶に入れた。得られたものを180℃で6時間反応させた後、4,4’-オキシビス[3-(トリフルオロメチル)アニリン](4,4’-Oxybis[3-(trifluoroMethyl)aniline],TMDA)(8モル部)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis [4-(4-aminophenoxy)phenyl] propane,BAPP)(10モル部)、およびビス(4-アミノフェニル)テレフタレート(bis(4-aminophenyl) terephthalate),BPTP)(2モル部)を加えた。得られたものを90℃で3時間反応させた後、キシレン(xylene)を加え、ポリイミドを有する溶液(1)を得た(固形分約30wt%)。
【0074】
作製例2
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を75モル部から80モル部に増やし、かつp-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(p-phenylenebis (trimellitate anhydride),TAHQ)を25モル部から20モル部に減らしたこと以外は、作製例2を作製例1で記載した方式で行って、ポリイミドを有する溶液(2)を得た。
【0075】
作製例3
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を75モル部から70モル部に減らし、かつp-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(p-phenylenebis (trimellitate anhydride),TAHQ)を25モル部から30モル部に増やしたこと以外は、作製例3を作製例1で記載した方式で行って、ポリイミドを有する溶液(2)を得た。
【0076】
比較作製例1
2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(2,2-bis[4-(3,4-dicarboxyphenoxy)phenyl]propanedianhydride,BPADA)を75モル部から90モル部に増やし、かつp-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(p-phenylenebis (trimellitate anhydride),TAHQ)を25モル部から10モル部に減らしたこと以外は、比較作製例1を作製例1で記載した方式で行って、ポリイミドを有する溶液(4)を得た。
【0077】
比較作製例2
3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3,4,4-biphenyl tetracarboylic dianhydride,BPDA)(100モル部)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis [4-(4-aminophenoxy)phenyl] propane,BAPP)(48モル部)、および2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis(3-amino-4-hydroxyphenyl)hexafluoropropane,BAHF)(32モル部)を反応瓶中に入れ、γ-ブチロラクトン(gamma-butyrolactone,GBL)で溶解して、溶液を得た(固形分約35wt%)。次いで、イソキノリン(isoquinoline)(触媒として用い、BPDA、BAPPおよびBAHFの総重量に対し、量は約0.3wt%とした)を反応瓶に入れた。得られたものを180℃で6時間反応させた後、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis [4-(4-aminophenoxy)phenyl] propane,BAPP)(12モル部)、および2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(2,2-bis(3-amino-4-hydroxyphenyl)hexafluoropropane,BAHF)(8モル部)を加えた。得られたものを90℃で3時間反応させた後、キシレン(xylene)を加え、ポリイミドを有する溶液(5)を得た(固形分約30wt%)。
【0078】
作製例1から3および比較作製例1から2で使用したジアンヒドリドおよびジアミンおよびその量は表2に示されるとおりである。
【0079】
【表2】
【0080】
感光性組成物の作製
【0081】
実施例1
光開始剤(商品コードIrgacure 907,Ciba Geigy製)19.6重量部、光開始剤(商品コードIrgacure 184,Ciba Geigy製)17.65重量部、および架橋剤(ジペンタエルスリトールヘキサアクリレート,DPHA)58.8重量部を、作製例1で得られたポリイミドを有する溶液(1)(その固形分は100重量部)に溶解し、感光性組成物(1)を得た。
【0082】
実施例2
作製例1で得られたポリイミドを有する溶液(1)を、作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(2)に変えたこと以外は、実施例2を実施例1で記載した方式で行って、感光性組成物(2)を得た。
【0083】
実施例3
作製例1で得られたポリイミドを有する溶液(1)を、作製例3で得られたポリイミドを有する溶液(3)に変えたこと以外は、実施例3を実施例1で記載した方式で行って、感光性組成物(3)を得た。
【0084】
比較例1
作製例1で得られたポリイミドを有する溶液(1)を、比較作製例1で得られたポリイミドを有する溶液(4)に変えたこと以外は、比較例1を実施例1で記載した方式で行って、感光性組成物(4)を得た。
【0085】
実施例4
光開始剤(商品コードIrgacure 907,Ciba Geigy製)0.37重量部、光開始剤(商品コードIrgacure 184,Ciba Geigy製)0.61重量部、および架橋剤(ジペンタエルスリトールヘキサアクリレート,DPHA)21.12重量部を、作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(2)(その固形分は100重量部)に溶解し、感光性組成物(5)を得た。
【0086】
実施例5
光開始剤(商品コードIrgacure 907,Ciba Geigy製)0.25重量部、光開始剤(商品コードIrgacure 184,Ciba Geigy製)0.99重量部、および架橋剤(ジペンタエルスリトールヘキサアクリレート,DPHA)22.37重量部を、作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(2)(その固形分は100重量部)に溶解し、感光性組成物(6)を得た。
【0087】
比較例2
作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(2)を、比較作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(5)に変えたこと以外は、比較例2を実施例4で記載した方式で行って、感光性組成物(7)を得た。
【0088】
比較例3
作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(2)を、比較作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(5)に変えたこと以外は、比較例3を実施例5で記載した方式で行って、感光性組成物(8)を得た。
【0089】
実施例6
光開始剤(商品コードIrgacure 907,Ciba Geigy製)0.37重量部、光開始剤(商品コードIrgacure 184,Ciba Geigy製)0.74重量部、および架橋剤(ジペンタエルスリトールヘキサアクリレート,DPHA)21.9重量部を、作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(2)(その固形分は100重量部)に溶解し、感光性組成物(9)を得た。
【0090】
実施例7
光開始剤(商品コードIrgacure 907,Ciba Geigy製)0.89重量部、光開始剤(商品コードIrgacure 184,Ciba Geigy製)0.38重量部、および架橋剤(ジペンタエルスリトールヘキサアクリレート,DPHA)25.6重量部を、作製例2で得られたポリイミドを有する溶液(2)(その固形分は100重量部)に溶解し、感光性組成物(10)を得た。
【0091】
感光性組成物の性質試験
【0092】
得られた感光性組成物(1)~(4)にフォトリソグラフィプロセスを行った。フォトリソグラフィプロセスは以下のステップを含む。上述の感光性組成物(1)~(4)をそれぞれ基板に塗布し、110℃で2分プレベーク工程(pre-bake)を行ってフィルムを得た。次いで、デジタルリソグラフィ技術(digital lithography technology, DLT)(波長405nm、露光量800mj/cm2)により前記フィルムを照射した。次いで、Microposit MF-319現像システム(Rohm and Hass Electronic Materials LLC製)を用いて現像し(現像時間60秒)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(Propylene Glycol Methyl Ether Acetate ,PGMEA)で30秒湿らせて洗浄し、フォトリソグラフィで作製した硬化層が現像できるか否かを観察し、パターン化可能であれば〇と記録し、パターン化不可能であれば×と記録した。次いで、160℃でベーキングし、硬化物を得た。次いで、得られた感光性組成物(1)~(4)の硬化物の誘電率(dielectric coefficient、Dk)および誘電損失因子(dielectric loss factor、Df)、厚さ、光透過率、およびb値を測定した。結果は表3に示される通りである。誘電率(dielectric coefficient、Dk)および誘電損失因子(dielectric loss factor、Df)は、誘電率測定装置(microwave dielectrometer,AET社より購入)を用い、10GHzの周波数で測定した。厚さの測定は、光学顕微鏡(optical microscopy,OM)を用いて行った。光透過率は波長550nmの可視光で測定した。b値はJIS Z 8730:2009に定められた方法で測定した。
【0093】
【表3】
【0094】
表3に示されるように、比較例1で用いたポリイミドのBPADA(第1のジアンヒドリド)およびTAHQ(第2のジアンヒドリド)のモル比は1:9であるため、比較例1に係る感光性組成物(4)は成膜されなかった。また、実施例1から3に係る感光性組成物(1)~(3)は、比較的低い温度(約160℃)でベークを行うことができ、このことは本開示に係る感光性組成物が、比較的低い成膜温度を確実に備えることを示している。また、実施例1から3に係る感光性組成物(1)~(3)のフォトリソグラフィプロセスを行った後に得られたフィルムは、高周波(10GHz以上の帯域)で、低誘電率(Dk)(2.65未満)および低誘電損失(Df)(0.0092以下)を有していた。
【0095】
次いで、得られた感光性組成物(5)~(8)にフォトリソグラフィプロセスを行うとともに、成膜温度の評価および解像度の測定を行った。フォトリソグラフィプロセスは以下のステップを含む。上述の感光性組成物(5)~(8)を基板にそれぞれ塗布し、110℃で2分プレベーク(pre-bake)を行ってフィルムを得た。次いで、広帯域紫外線(broadband UV)照明源(波長は250~405nm、露光量は500mj/cm2)を用いて前記フィルムを照射した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide;TMAH)水溶液(重量百分率は2.38wt%)現像液で現像し(現像時間は60秒)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(Propylene Glycol Methyl Ether Acetate ,PGMEA)で30秒湿らせて洗浄した。次いで、ベーキングを行い(温度範囲は必要に応じて160℃から250℃で調節)ながら、最低成膜温度を記録し、硬化物を得た。解像度テストは、フォトレジストにより明瞭に解像できる現像後の乾燥フィルムのパターンの最小線幅で表した。結果は表4に示されている。次いで、得られた感光性組成物(5)~(8)の硬化物の誘電率(dielectric coefficient、Dk)および誘電損失因子(dielectric loss factor、Df)を測定した。結果は表4に示されている。
【0096】
【表4】
【0097】
表4に示されるように、比較例2および3で使用したポリイミドを作製するのに用いたジアンヒドリドおよびジアミンは、本開示に係る特定のジアンヒドリドおよびジアミンではないため、得られた感光性組成物(7)および(8)は比較的高い成膜温度(200℃より高い)を有しており、かつ感光性組成物(7)および(8)のフォトリソグラフィプロセスを行った後に得られたフィルムは、高周波(10GHz以上の帯域)で高い誘電損失(Df)(0.015より高い)を有していた。また、実施例4から5に係る感光性組成物(5)および(6)は比較的低い温度(約160℃)でベーキングを行うことができ、このことは、本開示に係る感光性組成物が比較的低い成膜温度を確実に有することを示している。さらに、実施例4から5に係る感光性組成物(5)および(6)のフォトリソグラフィプロセスを行った後に得られたフィルムは、高周波(10GHz以上の帯域)で低い誘電率(Dk)(2.55未満)および低誘電損失(Df)(0.0093以下)を有している。
【0098】
次いで、得られた感光性組成物(9)および(10)にフォトリソグラフィプロセスを行うとともに、成膜温度の評価および解像度の測定を行った。フォトリソグラフィプロセスは以下のステップを含む。上述の感光性組成物(9)および(10)を基板にそれぞれ塗布し、110℃で2分プレベーク(pre-bake)を行ってフィルムを得た。次いで、デジタルリソグラフィ技術(digital lithography technology, DLT)(波長405nm、露光量800mj/cm2)により前記フィルムを照射した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide;TMAH)水溶液(重量百分率は2.38wt%)現像液で現像し(現像時間は60秒)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(Propylene Glycol Methyl Ether Acetate ,PGMEA)で30秒湿らせて洗浄した。次いで、160℃でベーキングを行って硬化物を得た。解像度テストは、フォトレジストにより明瞭に解像できる現像後の乾燥フィルムパターンの最小線幅で表した。結果は表5に示されている。次いで、得られた感光性組成物(9)および(10)の硬化物の誘電率(dielectric coefficient、Dk)および誘電損失因子(dielectric loss factor、Df)を測定した。結果は表5に示されている。
【0099】
【表5】
【0100】
表5に示されるように、実施例6および7に係る感光性組成物(9)および(10)は、比較的低い温度(約160℃)でベーキングを行うことができ、このことは、本開示に係る感光性組成物が比較的低い成膜温度を確実に有することを示している。さらに、実施例6および7に係る感光性組成物(9)および(10)のフォトリソグラフィプロセスを行った後に得られたフィルムは、高周波(10GHz以上の帯域)で低い誘電率(Dk)(2.81以下)および低誘電損失(Df)(0.0097以下)を有する。
【0101】
開示された方法および材料に各種の修飾および変更を加え得ることは、明らかであろう。明細書および例は単に例示としてみなされることが意図されており、本開示の真の範囲は、以下のクレームおよびそれらの均等物によって示される。