(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】二重蛍光体ホイール投影システム
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240318BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240318BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240318BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240318BHJP
【FI】
G03B21/14 A
F21S2/00 311
G03B21/00 D
H04N5/74 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196868
(22)【出願日】2023-11-20
【審査請求日】2024-01-15
(32)【優先日】2022-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508145241
【氏名又は名称】クリスティー デジタル システムズ ユーエスエー インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】Christie Digital Systems USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】10550 Camden Dr. Cypress, CA 90630 , USA
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル パーキンス
(72)【発明者】
【氏名】マン リー
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥル ワヒード サリミ
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-14855(JP,A)
【文献】特開2022-90609(JP,A)
【文献】国際公開第2018/042560(WO,A1)
【文献】特開2016-31402(JP,A)
【文献】国際公開第2016/166885(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210626854(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0226306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
F21S 2/00
G03B 21/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の青色光を生成する第1のレーザと、
第2の青色光を生成するための第2のレーザと、
第3の青色光を生成するための第3のレーザと、
第1の赤色光を生成するための第4のレーザと、
第1の蛍光体ホイール上に配置された第1の蛍光体と、
第2の蛍光体ホイール上に配置された第2の蛍光体と、
第1のダイクロイックミラーと、
第2のダイクロイックミラーと、
第3のダイクロイックミラーと、
少なくとも1つの光インテグレータと、を含み、
前記第1のダイクロイックミラーが前記第1の青色光を前記第1のレーザから前記第2のダイクロイックミラーに導くように構成され、前記第2のダイクロイックミラーが前記第1のダイクロイックミラーからの前記第1の青色光を前記少なくとも1つの光インテグレータに導くように構成され、
前記第1のダイクロイックミラーが前記第2の青色光を前記第2のレーザから前記第1の蛍光体ホイール上に配置された前記第1の蛍光体に導くようにさらに構成され、前記第1の蛍光体が前記第2の青色光を第2の赤色光を含むより長い波長に変換するように構成され、前記第2のダイクロイックミラーが前記第2の赤色光を前記少なくとも1つの光インテグレータに導き、より長い波長の他の光を透過させるようにさらに構成され、前記少なくとも1つの光インテグレータが前記第1の赤色光と前記第2の赤色光とを合成し、
前記第3のダイクロイックミラーが前記第1の赤色光を前記第4のレーザから前記少なくとも1つの光インテグレータに導き、前記第3の青色光を前記第3のレーザから前記第2の蛍光体ホイール上に配置された前記第2の蛍光体に導くように構成され、
前記第2の蛍光体が前記第3の青色光を、緑色光を含むそれぞれより長い波長に変換するように構成され、前記第3のダイクロイックミラーが前記緑色光を前記少なくとも1つの光インテグレータに伝達するようにさらに構成される、二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項2】
第4のダイクロイックミラーをさらに備え、
前記第3のダイクロイックミラーは前記第4のレーザからの前記第1の赤色光を前記第4のダイクロイックミラーを介して前記少なくとも1つの光インテグレータに向けるように構成され、前記第4のダイクロイックミラーは前記第3のダイクロイックミラーからの前記第1の赤色光を前記少なくとも1つの光インテグレータに向けるように構成され、
前記第3のダイクロイックミラーが前記第4のダイクロイックミラーを介して前記少なくとも1つの光インテグレータに前記緑色光を伝達し、前記第4のダイクロイックミラーがさらに、前記緑色光を前記少なくとも1つの光インテグレータに向け、それぞれのより長い波長の他の光を伝達するようにさらに構成される、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項3】
前記第3のダイクロイックミラー及び前記第4のダイクロイックミラーのうちの1つまたは複数が、前記緑色光を精製してそのピーク波長をシフトさせるようにさらに構成される、請求項2に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項4】
前記第2のダイクロイックミラー及び前記第4のダイクロイックミラーのうちの1つまたは複数からの熱及び廃光のうちの1つまたは複数を吸収するように構成された1つまたは複数のヒートシンクをさらに備える、請求項2に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光インテグレータが、
前記第2のダイクロイックミラーから前記第1の青色光及び前記第2の赤色光を受光するように構成された第1の光インテグレータと、
前記第3のダイクロイックミラーからの前記緑色光及び前記第1の赤色光を受光するように構成された第2の光インテグレータと、
前記第1の光インテグレータ及び前記第2の光インテグレータからのそれぞれの光を合成する第3の光インテグレータと、を備える、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項6】
前記第1の赤色光と前記第2の赤色光とが互いに補足する、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項7】
青色時間周期中に、前記第1の青色光を放出するように前記第1のレーザを制御し、
赤色時間周期中に、前記第2の青色光を放出するように前記第2のレーザを制御し、前記第1の赤色光を放出するように前記第4のレーザを制御し、
緑色時間周期中に、前記第3の青色光を放出するように前記第3のレーザを制御するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載の二重蛍光ホイール投影システム。
【請求項8】
前記第1のダイクロイックミラー、前記第2のダイクロイックミラー、及び前記第3のダイクロイックミラーのうちの1つまたは複数からの熱及び廃光のうちの1つまたは複数を吸収するように構成された1つまたは複数のヒートシンクをさらに備える、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項9】
前記第1のダイクロイックミラー及び前記第2のダイクロイックミラーのうちの1つまたは複数が、前記第2の赤色光を精製してそのピーク波長をシフトさせるようにさらに構成される、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項10】
前記第2のレーザが、前記第1の蛍光体の消光限界未満の出力で動作し、前記第3のレーザが、前記第2の蛍光体の消光限界未満の出力で動作する、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項11】
前記第1の蛍光体が、黄色~赤色の波長の範囲の光を放射するように構成される、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項12】
前記第2の蛍光体が、緑色~黄色の波長の範囲の光を放射するように構成される、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの光インテグレータが、前記少なくとも1つの光インテグレータで受光された光を空間光変調器に供給するように構成される、請求項1に記載の二重蛍光体ホイール投影システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
レーザ蛍光体(LaPh)投影システムは、青色レーザ光を赤色光及び緑色光に変換するために単一の蛍光体ホイールに依存することが多い。蛍光体生成光は、彩度が低くなる傾向があるので、これらのシステムはビデオ投影システムで使用するための許容可能な測色を達成するために、蛍光体ホイールと直列に配置されるカラーホイールを必要とする場合がある。カラーホイールは機械的に回転し、これは、異なる原色をいかに迅速に切り替えることができるかに制限を課す。その結果、スポーク時間(例えば、色間の遷移時間など)による明るさの低減、及び色の循環速度の制限による視覚的アーティファクトにつながる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本明細書に記載される様々な実施例をよりよく理解し、それらがどのように実施され得るかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面を参照する。
【0003】
【
図1】非限定的な実施例による、二重蛍光体ホイール投影システムを示す図である。
【
図2】さらなる非限定的な実施例による、二重蛍光体ホイール投影システムを示す図である。
【
図3】非限定的な実施例による、青色モードにおける
図1の二重蛍光体ホイール投影システムを示す図である。
【
図4】非限定的な実施例による、赤色モードにおける
図1の二重蛍光体ホイール投影システムを示す図である。
【
図5】非限定的な実施例による、緑色モードにおける
図1の二重蛍光体ホイール投影システムを示す図である。
【
図6】非限定的な実施例による、青色モード、赤色モード、及び緑色モードを示す
図1の二重蛍光体ホイール投影システムを同時に示す図である。
【
図7】非限定的な実施例による、
図1または
図2の投影システムにおいて使用され得る蛍光体ホイールを示す図である。
【
図8】非限定的な実施例による、例示的な蛍光体スペクトル800を示す図である。
【
図9A】非限定的な実施例による、
図1または
図2のシステムの第1のダイクロイックミラーの透過曲線を示す図である。
【
図9B】非限定的な実施例による、
図1または
図2のシステムの第2のダイクロイックミラーの透過曲線を示す図である。
【
図10A】非限定的な実施例による、
図1または
図2のシステムの第3のダイクロイックミラーの透過曲線を示す図である。
【
図10B】非限定的な実施例による、
図2のシステムの第4のダイクロイックミラーの透過曲線を示す図である。
【
図11】非限定的な実施例による、
図1または
図2のシステムにおいて使用され得る2つの異なる候補蛍光体の消光曲線を示す図である。
【
図12】非限定的な実施例による、
図1または
図2のシステムを制御する方法の流れ図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
ビデオ投影システムは一般に、光源を使用し、多くの異なるタイプの光源がある。色の人間の知覚は、錐体と呼ばれる網膜内の受容体に依存する。これらの錐体は、L、M、及びS(Long、Medium、及びShort)と称される3つの種類がある。この用語は、各錐体タイプが最も感度の高い光の波長を指す。カラーモデルは、個々の錐体が赤色、緑色、または青色光に対して感度が高いということを示すために簡略化することができる。このことは、ビデオ投影システムのための光源が赤色、緑色、及び青色(RGB)光の光源を含むべきであることを意味する。
【0005】
歴史的に、白色ランプが光源として使用されてきた。次いで、これらのランプは、個々の赤色、緑色、及び青色の成分を生成するためにフィルタリングされる。いくつかのビデオ投影システムは、画像を形成するために3つの独立した空間光変調器(SLMs:Spatial Light Modulators)を使用する。これらのシステムでは、3つの色成分が空間的に分離され、個々のSLMデバイスに向けられ、次いで再結合される。他のシステム(例えば、1つのSLMを使用する1チップシステム)では、分離は一時的に起こる。これらのシステムにおける一般的なアプローチは、ホイールの周囲に一組のダイクロイックフィルタを配置し、白色光源とSLMとの間にホイールを配置し、次いでホイールを高速で回転させることである。単一のSLMシステム(例えば、1チップシステム)ではSLMが次いで、回転ホイールを介して放射される色に同期されて、赤色、緑色、及び青色のサブ画像の交互のシーケンスを生成し、これらのサブ画像は視聴者によって知覚される単一の画像を作るために組み合わされる。
【0006】
このアプローチの主な欠点は白色光を提供するランプの寿命が限られていることであり、これは、このようなランプの頻繁な交換をもたらす。代替的なアプローチは、いくつかの種類の固体照明(SSI、Solid State Illumination)を使用することである。これらには、発光ダイオード(LEDs、Light Emitting Diodes)及び直接レーザ照明が含まれる。LEDは低輝度用途において有効であり得るが、LED光源の大きなエタンデュは、SLM上に結合され得る光の量を本質的に制限する。直接レーザ(例えば、RGBレーザ及び/または赤色レーザ、緑色レーザ及び青色レーザの使用)は、個々のレーザビームが持つ非常に小さなエタンデュを利用する。単一のSLM上に複数のレーザを容易に組み合わせることができ、非常に高い輝度を達成することができる。主な欠点はコストであり、特に、ビデオ投影システムで使用するのに十分な光を生成する緑色及び赤色レーザは、非常に高価である傾向がある。第2の欠点はスペックルであり、これは、コヒーレント光の使用によって引き起こされる画像アーティファクトであり、一般に、視覚的に注意が散漫すると考えられる。
【0007】
本明細書は、比較的低コストの青色レーザを含むレーザ-蛍光体(LaPh、Laser-Phosphor)ハイブリッド手法を利用する。例えば、本明細書に記載されるように、青色レーザは例えばSLMを照明するために、青色光の光源として使用される。このような青色レーザはまた、リン材料(例えば、蛍光体)を照射するために使用され、リン材料は次いで、レーザの青色光よりも長い波長でより広い帯域光を放射し、赤色光及び/または緑色光を生成するために(例えば、ダイクロイックミラーを使用して)フィルタリングされる。
【0008】
いくつかのLaPhシステムでは、単一の蛍光体ホイールがカラーホイールと併せて使用される。例えば、青色レーザは、2つの回転ホイール、セグメント化された蛍光体ホイール及びセグメント化されたカラーホイールと組み合わせることができる。セグメント化された蛍光体ホイールは2つのセグメント、すなわち、透明セグメントと、青色光によって照明されたときに黄色光(例えば、赤色光と緑色光との組み合わせ)を発する蛍光体でコーティングされた蛍光体セグメントとを有することができる。セグメント化されたカラーホイールは第2に、透明セグメント、赤色ダイクロイックフィルタセグメント、及び緑色ダイクロイックフィルタセグメントからなる。ホイールは同期して回転され、青色レーザは連続的に動作する。「赤色」時間中、青色レーザは、黄色光を発する蛍光体に直接照射される。黄色光は、カラーホイール上の赤色フィルタに向かい、SLMに向かう赤色光となる。「緑色」時間中、青色レーザは、黄色光を発する蛍光体に照射され続ける。黄色光は、カラーホイール上の緑色フィルタに向かい、SLMに向かう緑色光となる。「青色」時間中、青色レーザは、セグメント化された蛍光体ホイール及びセグメント化されたカラーホイールの透明セグメントを通過し、例えば折り畳みミラーを使用して、SLMに向けて光を中継するダイクロイックコンバイナに導かれることにより、SLMに向けられる。
【0009】
LaPh系はいくつかの欠点を有する。
【0010】
LaPh系の第1の問題は「消光」と呼ばれ、これは蛍光体材料の周知の限界である。青色光を黄色光に変換するプロセスは、100%効率的ではない。蛍光体ホイール設計では、変換プロセスが理想的な条件下で約50%の効率を有する。損失の大部分は、蛍光体材料によって吸収され、蛍光体材料を加熱させる。熱が上昇することにつれて、効率は低下し、さらに多くの加熱を引き起こす。これは、潜在的に熱暴走状況をもたらし、生成され得る光の総量に制限を課す。したがって、蛍光体材料は「消光限界」を有することがあり、これは、加熱によって効率が劣化(例えば、低下)し始める前に蛍光体材料に入力される励起電力の最大量であり得る。消光の問題は、LaPhシステムで使用される多くの蛍光体が赤色光を効率的に生成する傾向がないので、赤色光を生成するときに特に問題となり得る。
【0011】
LaPhシステムの第2の問題は、「より深い」赤色を達成することである。例えば、「赤色」光を発する蛍光体材料は黄色~橙色の範囲の波長の光を発する傾向があり、橙色光の尾部は、いくらかの赤色光を含む。このような蛍光体材料は、「赤欠乏」と呼ばれる。赤色に割り当てられる相対的な表示時間の割合を増加させることはこの問題を部分的に軽減し得るが、一般に、このようなアプローチは色の循環時間に影響を及ぼし得る。より多くの青色レーザを追加すること、例えば、2つ以上のレーザで黄色-橙色蛍光体を照明することは問題を軽減することもできるが、このようなアプローチは蛍光体のアプローチを引き起こすか、または消光限界を超えることがある。
【0012】
LaPhシステムの第3の問題は、「スポーク時間」と呼ばれる。蛍光体ホイールに、そして次にカラーホイールに当たる光は、物理的なスポットサイズを有する。電力の総量が増加することにつれて、スポットサイズは増加する傾向がある。カラーホイールが回転すると、カラー間で瞬時に遷移することはない。むしろ、色が開始色と終了色の何らかの組み合わせである中間期間がある。この遷移期間または「スポーク」ライトは、原色として使用することはできない。スポークライトを再捕捉し、それを白色光として使用する技術が存在するが、一般に、システム効率はこのスポークによって悪影響を受ける。
【0013】
LaPhシステムの第4の問題は、ビデオフレーム当たりの限られた数の色サイクルである。人間の目は一般に、画像の変化を検出することができる。これは、眼が動いている場合に特に当てはまる。連続する一連の純粋なRGBサブ画像からフルカラー画像を生成するとき、サブ画像の頻度は、検出を回避するために非常に高くなければならない。60Hzビデオの場合、検出を回避するために、12x(720Hz)以上が必要な場合がある。しかしながら、各色サイクルはスポーク時間(例えば、色間の遷移時間)を導入する。色サイクルが多いほどスポークが多くなる。これにより、純粋な色に利用可能な時間が短縮され、カラーホイールシステムでは約6x(360Hz)の実用的な制限が課される。
【0014】
したがって、本明細書では、3つの青色レーザ、1つの赤色レーザ、及び独立した、セグメント化されていない蛍光体ホイールを使用して、上記の様々な問題を概して軽減するプロジェクタのための二重カラーホイールシステムが提供される。第1の蛍光体ホイールは比較的少量の赤色波長を含み、黄色~橙色の波長の範囲(例えば、
図8参照)で発光する蛍光体を含む。第2の蛍光体ホイールは緑色~黄色の波長の範囲で発光する蛍光体を含む(例えば、
図8参照)。
【0015】
第1の青色レーザは、蛍光体ホイールを利用しない青色光の光源である。第1の青色レーザからのスペックル効果は、投影光学系におけるインテグレータ及び/またはディフューザなどを使用して緩和され得る。さらに、第1の青色レーザの波長は、システムのための所与の青色点を達成するように選択され得る。
【0016】
第2の青色レーザからの青色光は第1の蛍光体ホイールの第1の蛍光体に衝突して黄色~赤色の波長の範囲の光を放射し、ダイクロイックミラーを使用してフィルタリングされて赤色光を出力し、(例えば、蛍光体ホイールを利用しない)赤色レーザからの赤色光と組み合わせられる。言い換えると、赤色レーザは第1の蛍光体ホイールの第1の蛍光体によって出力される赤色光を補足し、及び/またはその逆であり、第1のレーザが消光限界未満で動作することを可能にしつつ、より高い出力の赤色レーザがシステム内の赤色光の唯一の源である場合に必要とされるよりも低い出力の赤色レーザを利用し、このようなより低い出力の赤色レーザは、前述したより高い出力のレーザと比較してより低いコストを有する傾向がある。したがって、青色レーザ/蛍光体の組み合わせによる赤色光の低出力は赤色レーザによって補足され、またはその逆であり、赤色レーザの波長はシステムのための所与の赤色点を達成するように選択され得、同様に、蛍光体によって放出される赤色光の色点は本明細書で説明されるように、システムのための所与の赤色点を達成することをアシストするために、ダイクロイックミラーを使用して「調整」され得る。
【0017】
第3の青色レーザからの青色光は第2の蛍光体ホイールの第2の蛍光体に衝突して緑色~黄色の波長の範囲の光を放射し、ダイクロイックミラーを使用してフィルタリングされて緑色光を出力する。緑色光の色点は本明細書に記載されるように、ダイクロイックミラーを使用して「調整」され得る。
【0018】
二重カラーホイールシステムは、赤色光、緑色光、及び青色光を、1つまたは複数の光インテグレータに透過及び/または反射する(本明細書で説明するように)ダイクロイックミラーの任意の適切な配置など、空間光変調器に光を提供することができる他の構成要素を含むことができる。ダイクロイックミラーは、蛍光体によって放射される緑色光及び赤色光を調整またはフィルタリングするようにさらに構成され得る。
【0019】
いくつかの実施例では、4つのダイクロイックミラーが使用され得るが、他の例では3つのダイクロイックミラーが使用され得る。そのようなダイクロイックミラーは一般に、いくつかの波長の光を反射または指向し、他の波長の光を透過すると理解され、所与のダイクロイックミラーによって反射または透過される光の波長は例えば、本明細書で提供されるシステムによって生成される赤色光及び緑色光(及び任意選択で青色光)を「調整する」ために、第1の蛍光体及び第2の蛍光体によって放出される光の波長に基づいて選択され得る。
【0020】
レーザは、例えば、赤色光、青色光、及び緑色光を(任意の適切な順序の)シーケンスで生成するために、例えば、コントローラ(例えば、プロセッサなど)によって、シーケンスで動作させることができ、レーザは、例えば、コントローラによってシーケンスで動作させることができる1つのSLMに向けられ、対応する赤色画像、緑色画像、及び青色画像を生成し、RGB画像を形成するために順次投影することができる。
【0021】
一般に、提供されるシステムは、LaPhシステムに関する上述の問題を少なくとも部分的に軽減することができる。例えば、消光限界/より深い赤色問題は一般に、第1の蛍光体によって放射される赤色光を赤色レーザによって放射される赤色光で補うことによって緩和される。スポーク時間は一般に、例えば、カラーホイール及びセグメント化された蛍光体ホイールが使用される場合と比較して、本明細書で使用される蛍光体ホイールがセグメント化されていないために短縮され、したがって、色間の遷移は、主にレーザをオン及びオフにすることによって生じる。さらに、スポーク時間の短縮は一般に、(例えば、カラーホイール及びセグメント化された蛍光体ホイールが使用されるときと比較して)ビデオフレームごとに発生し得る色サイクルの数を増加させる。さらに、システム内に赤色光の2つの光源があるので、第1の蛍光体によって放射される赤色光及び赤色レーザによって放射される赤色光は、低出力/低コストの赤色レーザを使用することができる。さらに、提供されるシステムには2つの赤色光源、1つのコヒーレントである赤色光源(例えば、赤色レーザによって放出される赤色光)及び1つのコヒーレントではない赤色光源(例えば、第1の蛍光体によって放出される赤色光)、があるので、赤色光を提供するために1つのコヒーレントである赤色光源(例えば、赤色レーザ)のみが使用されたときと比較して、スペックルが低減される。
【0022】
本明細書の一態様は第1の青色光を生成するための第1のレーザと、第2の青色光を生成するための第2のレーザと、第3の青色光を生成するための第3のレーザと、第1の赤色光を生成するための第4のレーザと、第1の蛍光体ホイール上に配置された第1の蛍光体と、第2の蛍光体ホイール上に配置された第2の蛍光体と、第1のダイクロイックミラーと、第2のダイクロイックミラーと、第3のダイクロイックミラーと、少なくとも1つの光インテグレータとを備え、第1のダイクロイックミラーは第1の青色光を第1のレーザから第2のダイクロイックミラーに導くように構成され、第2のダイクロイックミラーは第1の青色光を第1のダイクロイックミラーから少なくとも1つの光インテグレータに導くように構成され、第1のダイクロイックミラーが第2の青色光を第2のレーザから第1の蛍光体ホイール上に配置された第1の蛍光体に導くようにさらに構成され、第1の蛍光体が第2の青色光を第2の赤色光を含むより長い波長に変換するように構成され、第2のダイクロイックミラーが第2の赤色光を少なくとも1つの光インテグレータに導き、より長い波長の他の光を透過させるようにさらに構成され、少なくとも1つの光インテグレータが第1の赤色光と第2の赤色光とを合成し、第3のダイクロイックミラーは、第1の赤色光を第4のレーザから少なくとも1つの光インテグレータに導き、第3の青色光を、第3のレーザから第2の蛍光体ホイール上に配置された第2の蛍光体に導き、第2の蛍光体は、第3の青色光を、緑色光を含むそれぞれより長い波長に変換するように構成され、第3のダイクロイックミラーは、緑色光を少なくとも1つの光インテグレータに透過させるようにさらに構成される。
【0023】
次に、
図1に注目すると、以降、システム100と互換可能に参照される二重蛍光体ホイールシステム100を示す。システム100は複数のレーザ104-1、104-2、104-3、104-4を含み、以降、これらはまとめてレーザ104と互換可能に参照され、一般的に、レーザ104と称する。この慣例は、本明細書の他の箇所で使用される。
【0024】
レーザ104は、第1の青色光を生成する第1のレーザ104-1と、第2の青色光を生成する第2のレーザ104-2と、第3の青色光を生成する第3のレーザ104-2と、第1の赤色光を生成する第4のレーザ104-4とを含む。したがって、第1のレーザ104-1、第2のレーザ104-2、及び第3のレーザ104-3は本明細書ではそれぞれ、第1の青色レーザ104-1、第2の青色レーザ104-2、及び第3の青色レーザ104-3と呼ばれ得、同様に、第4のレーザ104-4は本明細書では赤色レーザ104-4と呼ばれ得、レーザ104の動作は
図3、
図4、及び
図5に関してより詳細に説明される。
【0025】
システム100は第1の蛍光体ホイール106-1及び第2の蛍光体ホイール106-2(例えば、蛍光体ホイール106)をさらに備える。特に、システム100は、第1の蛍光体ホイール106-1上に配置された第1の蛍光体108と、第2の蛍光体ホイール106-2上に配置された第2の蛍光体110とを備える。システム100が動作している間、蛍光体ホイール106は例えば、所与の蛍光体108、110がレーザ104-2、104-3からの光によって損傷することを防止するように選択され、かつ/または消光限界に達する可能性を低減する方式で熱が蛍光体ホイール106内に確実に分配されるように選択されるそれぞれの速度で、回転及び/または連続的に回転することが理解される(例えば、以下でより詳細に説明される
図11参照)。いくつかの実施例では、蛍光体ホイール106がそれぞれの円周の周りにいくつかの(例えば、わずかな)不均一性を有してもよく、これらの例では蛍光体ホイール106の回転が色サイクル速度(例えば、システム100が赤色、緑色、及び青色を循環する速度)を同期させて、それらの不均一性が色サイクルにおいて同じ及び/または同様の時間に生じることを確実にし、その結果、不均一性に起因する色の任意の変動が(例えば、システム100において生成される画像のそれぞれの輝度及び/またはRGB比を変化させることによって)較正及び/または補正され得る。
【0026】
図7に簡単に注目すると、
図7は蛍光体ホイール106を一般的に示しており、プレート704などを備えていると理解されており、図示のように、円形であってもよいが、任意の適切な形状であってもよい。プレート704は例えばモータ(図示せず)を介して、矢印710によって表されるように、ハブ708の周りを回転し、セグメント化されていない蛍光体108、110がプレート704の周りに環状に配置される(例えば、蛍光体108、110はそれぞれのプレート704上にそれぞれの環を形成し、それぞれのプレート704上に連続している/セグメント化されていない)。システム100の構成要素の配置、ならびにプレート704及び第1の蛍光体108または第2の蛍光体110によって形成される環の寸法はレーザ104、特に青色レーザ104-2、104-3からの光が、プレート704が回転すると蛍光体108、110に衝突し、蛍光体108、110を励起し、蛍光体108、110がより長い波長の光を放出するように選択される。したがって、青色レーザ104-2、104-3は、青色レーザ104-2、104-3が蛍光体108、110を「ポンプ(pump)」及び/または励起するために使用されるので、「ポンプ」レーザであると理解される。蛍光体108、110によって放射される光の波長は、蛍光体108、110の種類及び/または材料に依存すると理解される。さらに、プレート704の回転は蛍光体108、110の消光限界に達する可能性を低減するために、ある領域にわたって青色レーザ104-2、104-3からの出力及び熱を分配することが理解される(例えば、以下でより詳細に説明する
図11参照)。
【0027】
さらに、
図4及び
図5に関してより詳細に説明されるように、蛍光体108、110を励起するために使用される青色レーザ104-2、104-3は約455nmであり得るが、蛍光体108、110のタイプ及び/または材料にも依存し得る。
【0028】
次に、蛍光体108の4つの例の例示的な蛍光体スペクトル800と、蛍光体110の2つの例とを示す
図8に簡単に注目する。特に、蛍光体スペクトル800の各々は、波長455nmの青色レーザ104-2、104-3によって励起されたときに蛍光体108、110によって出力される光の波長の相対強度を示す。
【0029】
蛍光体108は約500nm~約700nmの範囲の波長、または緑色~橙色/赤色の範囲の波長を放出すると理解されるが、主(例えば、最も強い)波長は赤色波長光(例えば、620nm以上)のテールを有する黄色~橙色/赤色の範囲(例えば、520nm~620nm)にある。言い換えると、第1の蛍光体108は、黄色~赤色(または緑色~赤色)の波長の範囲の光を放射するように構成され得る。一般に、蛍光体108は(例えば、赤色レーザ104-4に加えて)システム100内の赤色光の1つの光源として使用される。
【0030】
蛍光体110は約475nm~約650nmの範囲の波長、または緑色~黄色/橙色の範囲の波長を放出すると理解されるが、主(例えば、最も強い)波長は緑色~黄色の範囲(例えば、500nm~560nm)にあり、長いテールは比較的少量の赤色波長光(例えば、620nm以上)を含む。言い換えると、第2の蛍光体110は、緑色~黄色の波長の範囲の光を放射するように構成され得る。一般に、蛍光体110は、システム100における緑色光の光源として使用される。
【0031】
さらに、蛍光体スペクトル800から理解されるように、いくつかの蛍光体(例えば、蛍光体108)は比較的「より短い」波長(例えば、緑色)が「より豊富」であり、他の蛍光体(例えば、蛍光体110)は比較的「より長い」波長(例えば、赤色)が「より豊富」である。特に、「緑色」蛍光体110は緑色光がより豊富であり、赤色光が不足している。単一の蛍光体ホイール型システムでは、緑色蛍光体110を使用すると、投影システムのRGB要件(例えば、所与の色点)を満たすのに十分な赤色光が生成されないため、緑色蛍光体110は望ましくない選択となる。しかしながら、本明細書では「緑色」蛍光体110が緑色光を生成するためにのみ使用され、このような「緑色」蛍光体110の赤色不足は、緑色に対応する波長以外の波長をフィルタリングするために使用されるダイクロイックミラー(以下に説明する)が、所与の色点を達成するためにより少ない光を拒否及び/またはフィルタリングするように設計できるため、利点となる。同様に、「赤色-黄色」蛍光体108は赤色光が豊富であり、緑色光が不足しているため、赤色光を生成するために、純粋な黄色蛍光体の上に「赤色-黄色」蛍光体108を使用することはより深い赤色を生成するための効率の改善を提供することができる。したがって、説明した二重蛍光体ホイールシステム100は、システム100が赤色性能を損なうことなく、非常に純粋な緑色光を出力し、緑色性能を損なうことなく、より深い赤色を有することを可能にし得る。
【0032】
したがって、蛍光体108、110は
図8に示される蛍光体スペクトル800または同様のものを有する任意の適切なそれぞれの蛍光体材料であってもよく、及び/または蛍光体108、110は任意の適切なそれぞれの蛍光体材料であってもよい。言い換えると、蛍光体108は赤色光を含む任意の適切な蛍光体スペクトル(例えば、約620nm~約750nmの範囲)を有する任意の適切な材料であってもよく、蛍光体110は緑色光を含む任意の適切な蛍光体スペクトル(例えば、約495nm~約750nmの範囲)を有する任意の適切な材料であってもよい。
【0033】
図1に戻ると、システム100は第1のダイクロイックミラー120-1、第2のダイクロイックミラー120-2、第3のダイクロイックミラー120-3、及び第4のダイクロイックミラー120-4(例えば、ダイクロイックミラー120)をさらに備える。しかしながら、
図2及び
図5を参照して説明するように、第4のダイクロイックミラー120-4は任意であってもよい。
【0034】
さらに、図示のように、システム100は任意選択で、例えば、それぞれのレーザ104からの熱、及び/またはダイクロイックミラー120と相互作用する光を吸収し、及び/またはダイクロイックミラー120によって廃棄される光を吸収するために、それぞれのダイクロイックミラー120と一体化された、及び/またはその背後にあるヒートシンク122-1、122-2、122-3、122-4(例えば、ヒートシンク122)を備える。しかしながら、すべてのダイクロイックミラー120がヒートシンク122に関連付けられるわけではなく、むしろ、レーザ104から直接光を受け取るダイクロイックミラー120のみがヒートシンク122に関連付けられてもよい。例えば、明らかになるように、ダイクロイックミラー120-1、120-3はレーザ104と直接相互作用し、したがって、システム100はダイクロイックミラー120-1、120-3によって廃棄された光を吸収する(例えば、蛍光体108、110に向けられず、かつ/または別のダイクロイックミラー120に向けられない)ダイクロイックミラー120-1、120-3においてのみ、ヒートシンク122-1、122-3を含み得る。ヒートシンク122は、その任意性を示すために破線で示されている。
【0035】
さらに、図示のように、システム100は少なくとも1つの光インテグレータ124-1、124-2、124-3(例えば、光インテグレータ124、ただし、光インテグレータ124は、本明細書ではインテグレータ124と交換可能に呼ばれる)をさらに備える。
【0036】
特に、ダイクロイックミラー120は以下でより詳細に説明されるように、例えば、蛍光体ホイール106に向かって、別のダイクロイックミラー120に向かって、及び/または光インテグレータ124に向かって、光の波長の特定のそれぞれの範囲を透過または反射すると理解される。
【0037】
明らかになるように、システム100ではインテグレータ124-1がダイクロイックミラー120-2からの光を受け取ることができ、インテグレータ124-2はダイクロイックミラー120-4からの光を受け取ることができる。さらに、インテグレータ124-1、124-2は、システム100が構成要素であるプロジェクタの空間光変調器(SLM)130と同様及び/または同じアスペクト比を有する出力端を有することができるインテグレータ124-3に光を向けることができる。
【0038】
特に、インテグレータ124は、その中に受け取られた光を均一な分布に混合する積分ロッドを備えてもよい。図示のように、インテグレータ124-1、124-2は両方とも、例えば、それぞれのダイクロイックミラー120-2、122-4からの光が衝突し(例えば、
図3、
図4及び
図5を参照されたい)、インテグレータ124-3に向かって反射され得、その入力端がインテグレータ124-1、124-2の出力端に位置する、内部折り返しミラーとして作用する45度のセクションを含み得る。したがって、ダイクロイックミラー120-2からの光はインテグレータ124-1を通る第1の通過光積分を受け取り、ダイクロイックミラー120-4からの光はインテグレータ124-2を通る第1の通過光積分を受け取り、インテグレータ124-1、124-2のいずれかまたは両方からの光は、例えば、システム100、またはシステム100からの光を受け取るシステム100の外部の投影デバイスの構成要素であり得るSLM130に向けられる前に、インテグレータ124?3によって第2の通過光積分を受け取ることになる。インテグレータ124はレーザ104-1、104-4によるスペックルを低減及び/または除去するように(例えば、それぞれの長さで)さらに構成され得、及び/または、システム100がそのようなスペックルを低減及び/または除去するために1つまたは複数のディフューザ(図示せず)を備え得る。
【0039】
SLM130は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD、Digital Micromirror Device)、液晶オンシリコン(LCOS、Liquid Crystal On Silicon)デバイスなどの任意の適切な空間光変調器を含み得る。
【0040】
図示のように、システム100はプロセッサ及び/または複数のプロセッサなどのコントローラ132をさらに備え、これらのプロセッサは、1つまたは複数の中央プロセッサ(CPU、Central Processor Unit)及び/または1つまたは複数のグラフィックス処理ユニット(GPU、Graphics Processing Units)及び/または1つまたは複数の処理ユニットを含むが、これに限定されず、いずれにせよ、コントローラ132はハードウェア要素及び/またはハードウェアプロセッサを備える。いくつかの実装形態では、コントローラ132がレーザ104を制御し、例えば、システム100によって生成された光の色をSLM130によって形成された画像と協調させるために、SLM130を制御する構成要素と通信するように具体的に構成されたASIC(特定用途向け集積回路、Application-Specific Integrated Circuit)及び/またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ、Field-Programmable Gate Array)を備えることができる。図示されていないが、システム100、及び/またはシステム100からの光を受け取るシステム100の外部の投影デバイスをさらに備えることができ、SLM130が形成すべき画像のソース、例えばビデオファイルなどをさらに備えることができ、これらはメモリ(図示せず)に保存されてもよく、及び/または通信インターフェース(図示せず)などを介して受信されてもよい。
【0041】
さらに、システム100またはシステム100から光を受け取るシステム100の外部の投影デバイスは、インテグレータ124-3の出力端とSLM130などとの間の投影光学系、コンテンツプレーヤ及び/または生成器及び/またはレンダリングデバイス(例えば、ビデオファイルを「再生」するためなど)、ならびに/あるいは画像を再生及び/または投影するために使用される任意の他の適切な構成要素をさらに備えてもよい。
【0042】
前述のように、ダイクロイックミラー120-4は任意であってもよいが、この例では、システムの他の構成要素の一部が、インテグレータ124-1、124-2に対して再配置される。例えば、
図2に注目すると、同様の番号を有する同様の構成要素とともに、システム100と実質的に同様のシステム200が示されている。しかしながら、システム100、200を比較すると、ダイクロイックミラー120-4がシステム200から省略され、さらに、レーザ104-3、104-4、第2の蛍光体ホイール106-2、及びダイクロイックミラー120-3が、インテグレータ124-2に対して90度回転されることが明らかである。特に、以下に説明するように、システム100内のダイクロイックミラー120-4は、ダイクロイックミラー120-3からインテグレータ124-2への光の90度方向転換/反射を引き起こす。さらに、以下にも説明するように、ダイクロイックミラー120-4はダイクロイックミラー120-3からの光のいくつかのさらなるフィルタリングを提供することができるが、そのようなフィルタリングは任意であってもよい。
【0043】
次に、
図3、
図4、及び
図5に注目すると、これらは
図1と実質的に同様であり、同様の構成要素は同様の番号を有する。ヒートシンク122は簡略化のために図示されていないが、ヒートシンク122のうちの1つまたは複数が存在してもよい。
【0044】
特に、
図3、
図4、及び
図5は、青色モード及び/または青色時間周期、赤色モード及び/または赤色時間周期、ならびに緑色モード及び/または緑色時間周期でそれぞれ動作しているシステム100を示す。コントローラ132はモード及び/または時間周期に応じてレーザ104をオンまたはオフに制御することができ、さらに、コントローラ132は、青色モード及び/または青色時間周期、赤色モード及び/または赤色時間周期、ならびに緑色モード及び/または緑色時間周期において、それぞれの青色、赤色または緑色画像を形成するようにSLM130を制御することができることが理解される。したがって、図示されていないが、コントローラ132はレーザ104をオン及びオフにするための構成要素と通信しており、さらに、コントローラ132はSLM130を制御するための構成要素と通信していることが理解される。代替的に、SLM130の画像を制御する構成要素はシステム100が動作すべきモード及び/または時間周期を示すためにコントローラ132と通信することができ、コントローラ132は、それに応じてレーザ104を制御する。さらに、様々なモードは青色、赤色、緑色の順序で説明されているが、モードは任意の適切な順序で発生し得る。
【0045】
さらに、以下の説明では、システム100の構成要素の相対角度が説明される。しかしながら、そのような相対角度は単なる例であると理解され、任意の他の適切な相対角度は本明細書の範囲内である。
【0046】
図3を参照すると、青色モードでは第1のレーザ104-1がオンであり、他のレーザ104がオフであり、第1のレーザ104-1は第1の青色光301(「B」と表示されている)を生成し、第1の青色レーザ104-1の第1の青色光301の波長はシステム100の所与の色点を満たすように選択することができ、特に、第1のレーザ104-1はシステム100内の青色光の主な源であるため、システム100が満たすべき色仕様を満たすように第1の青色レーザ104-1の波長を選択することができる。特定の例では、第1の青色レーザ104-1の第1の青色光301の波長が約465nmであり得、これは455nmの青色レーザ104-2、104-3の波長とは異なり得、蛍光体108、110を励起するように選択される。しかしながら、第1の青色レーザ104-1の第1の青色光301は青色光に対応する任意の好適な波長(例えば、約380nm~約500nm)のものであり得る。
【0047】
図示のように、第1の青色光301は、第1のダイクロイックミラー120-1の側に向かって放射され、第1のレーザ104-1に対して45度であると理解され、第2のダイクロイックミラー120-2に向かって角度付けられる。
【0048】
第1のダイクロイックミラー120-1の透過曲線902を示す
図9Aを簡単に参照すると、第1のダイクロイックミラー120-1は約520nmを超える光を透過し、約475nm未満の光を反射し、約525nmと約475nmとの間で、第1のダイクロイックミラー120-1は「遷移領域」と呼ばれ得る領域内の光を部分的に透過し、部分的に反射することが理解される。さらに、透過波長カットオフが示される(例えば、透過及び反射がそれぞれ約50%である遷移領域における約500nmの波長)。第1のダイクロイックミラー120-1は波長カットオフより上の光を一般に透過し、波長カットオフより下の光を反射するバンドパスフィルタを備えると理解される。
【0049】
同様に、第2のダイクロイックミラー120-2の透過曲線904を示す
図9Bを簡単に参照すると、第2のダイクロイックミラー120-2は約525nm~約575nmの光を透過し、約475nm未満の光を反射し、約620nmを超える光も反射することが理解され、約475nm~約525nm、及び約575nm~約620nmの領域では、第2のダイクロイックミラー120-2が遷移領域とも呼ばれ得る光を部分的に透過し、部分的に反射する。さらに、透過短波長カットオフ及び透過長波長カットオフが示されている(例えば、透過及び反射がそれぞれ約50%である低波長遷移領域において約500nmの波長、及び透過及び反射がそれぞれ約50%である高波長遷移領域において約585nmの波長)。第2のダイクロイックミラー120-2は短波長カットオフと長波長カットオフとの間の光を一般に透過し、短波長カットオフと長波長カットオフとのそれぞれの上下の光を反射するバンドパスフィルタを備えると理解される。
【0050】
図3に戻ると、第1の青色光301の波長が465nm(例えば、
図9A及び
図9Bにも示されているように、465nmダイクロイックミラー120-1、120-2の両方の反射範囲内)であるとき、第1のダイクロイックミラー120-1は第1の青色光301を、第1のダイクロイックミラー120-1に対して45度であり、第1のインテグレータ124-1の折り返しミラーに対してほぼ平行である第2のダイクロイックミラー120-2に向かって反射する。したがって、第1の青色光301は第2のダイクロイックミラー120-2から、第1の青色光301を第1のインテグレータ124-1の本体内に反射する第1のインテグレータ124-1の折り返しミラーに向けられ、かつ/または反射される。
図3は第1のインテグレータ124-1の折り返しミラーが第1の青色光301を第1のインテグレータ124-1の本体内に反射するように配置されることをさらに示す(例えば、第1のインテグレータ124-1の折り返しミラーは第1のインテグレータ124-1の出力面に対して約45度である)。したがって、第1の青色光301は第1のインテグレータ124-1によって統合され、さらに、第3のインテグレータ124-3によって統合され、SLM130に提供されて、(例えば、RGB画像の)青色画像及び/または青色サブ画像を形成する。
【0051】
言い換えると、第1のダイクロイックミラー124-1は第1の青色光301を第1のレーザ104-1から第2のダイクロイックミラー124-2に向けるように構成され、第2のダイクロイックミラー124-2は第1の青色光301を第1のダイクロイックミラー124-1から少なくとも1つの光インテグレータ124に向けるように構成される。
【0052】
図4に注目すると、赤色モードでは、第2のレーザ104-2及び第4のレーザ104-4の両方がオンである。第4のレーザ104-4は第1の赤色光401-1(R-1ともラベル付けされている)を生成し、赤色レーザ104-4の第1の赤色光401-1の波長はシステム100の所与の色点に適合するように選択されてもよく、特に、第4のレーザ104-4はシステム100内の赤色光の2つの光源のうちの1つであり、同時に動作するため、システム100が第2の赤色光401-2と組み合わせて満たすことになる所与の色仕様に適合するように、赤色レーザ104-4の第1の赤色光401-1の波長が選択されてもよい。特定の例では、赤色レーザ104-4の第1の赤色光401-1の波長が約638nmであってもよい。しかしながら、赤色レーザ104-4の第1の赤色光401-1は赤色光に対応する任意の適切な波長(例えば、約620nm~約750nm)であってもよい。
【0053】
図示のように、第1の赤色光401-1は、第4のダイクロイックミラー120-4に向かって角度付けられ、第4のレーザ104-4に対して45度であると理解される第3のダイクロイックミラー120-3の側面に向かって放出される。
【0054】
第3のダイクロイックミラー120-3の透過曲線1002を示す
図10Aを簡単に参照すると、第3のダイクロイックミラー120-3は約500nm~約590nmの光を透過し、約475nm未満の光を反射し、約620nmを超える光も反射することが理解され、約475nm~約500nm、及び約590nm~約620nmの領域では、第3のダイクロイックミラー120-3が光(例えば、遷移領域)を部分的に透過し、部分的に反射する。さらに、透過短波長カットオフ及び透過長波長カットオフが示されている(例えば、透過及び反射がそれぞれ約50%である低波長遷移領域において約485nmの波長、及び透過及び反射がそれぞれ約50%である高波長遷移領域において約610nmの波長)。第3のダイクロイックミラー120-3は短波長カットオフと長波長カットオフとの間の光を一般に透過し、短波長カットオフと長波長カットオフとのそれぞれの上下の光を反射するバンドパスフィルタを備えると理解される。
【0055】
同様に、第4のダイクロイックミラー120-4の透過曲線1004を示す
図10Bを簡単に参照すると、第4のダイクロイックミラー120-4は約590nm~約610nmの光を透過し、約560nm未満の光を反射し、約635nmを超える光も反射することが理解され、約560nm~約590nm、及び約610nm~約635nmの領域では、第4のダイクロイックミラー120-4が光(例えば、遷移領域)を部分的に透過し、部分的に反射する。さらに、透過短波長カットオフ及び透過長波長カットオフが示されている(例えば、透過及び反射がそれぞれ約50%である低波長遷移領域において約580nmの波長、及び透過及び反射がそれぞれ約50%である高波長遷移領域において約615nmの波長)。第4のダイクロイックミラー120-3は、一般に短波長カットオフと長波長カットオフとの間で黄色光を透過し、短波長カットオフと長波長カットオフとのそれぞれの上下の光を反射する黄色ノッチフィルタ(例えば、バンドパスフィルタのタイプ)を備えると理解される。
【0056】
ダイクロイックミラー120の特定の透過曲線が本明細書で説明されるが、ダイクロイックミラー120の透過曲線は第1の青色レーザ104-1、赤色レーザ104-1、または蛍光体108、110によって放出される光の波長に従って適合され得ることが理解される。
【0057】
図4に戻ると、第1の赤色光401-1の波長が638nm(例えば、
図10A及び
図10Bにも示されるように、ダイクロイックミラー120-3、120-4の両方の反射範囲内)であるとき、第3のダイクロイックミラー120-3は第1の赤色光401-1を、第3のダイクロイックミラー120-3に対して45度であり、第2のインテグレータ124-2の折り返しミラーに対してほぼ平行である第4のダイクロイックミラー120-4の側に向かって反射する(例えば、第2のインテグレータ124-2の折り返しミラーは、第2のインテグレータ124-2の出力面に対して約45度である)。
【0058】
したがって、第1の赤色光401-1は、第4のダイクロイックミラー120-4から第2のインテグレータ124-2の折り返しミラーに向けられ、かつ/または反射され、第1の赤色光401-1を第2のインテグレータ124-2の本体に反射する。
図4は、第2のインテグレータ124-2の折り返しミラーが第1の赤色光401-1を第2のインテグレータ124-2の本体内に反射するように配置されることをさらに示す。したがって、第1の赤色光401-1は第2のインテグレータ124-2によって統合され、第3のインテグレータ124-3によってさらに統合され、SLM130に提供されて、赤色画像及び/または赤色サブ画像(例えば、RGB画像の)を形成する。
【0059】
しかしながら、
図4にさらに注目すると、赤色モードでは、第2のレーザ104-2もオンであり、第2の青色光402(例えば、「R-2」ともラベル付けされる)を生成し、第2の青色レーザ104-2の第2の青色光402の波長は前述のように、蛍光体108を励起するように選択され得る。例えば、第2の青色レーザ104-2の第2の青色光402の波長は455nmであってもよい。
【0060】
図示のように、第2の青色光402は、第1のダイクロイックミラー120-2の側面に向かって放射され、第2のレーザ104-2に対して45度であると理解され、第1の蛍光体ホイール106-1に向かって角度を成す。したがって、レーザ104-1、104-2は第1のダイクロイックミラー120-1の両側にあり、したがって、レーザ104-1、104-2からのそれぞれの青色光301、402は、反対方向に向けられる/反射されることが理解される。
【0061】
第2の青色光402の波長が455nm(例えば、
図9Aにも示されるように、第1のダイクロイックミラー120-1の反射範囲内)であるとき、第1のダイクロイックミラー120-1は第2の青色光402を第1の蛍光体ホイール106-1、具体的には、(例えば、
図8に示されるように)第2の赤色光401-2ならびにそれぞれの蛍光体スペクトル800内の他の色を励起及び放出する蛍光体108に向かって反射する。
【0062】
第2の赤色光401-2及び他の色は、第1のダイクロイックミラー120-1に向かって放射される。
図8の蛍光体108の蛍光体スペクトル800と、
図9Aの第1のダイクロイックミラー120-1の透過曲線902とを比較すると、約525nmを超える蛍光体110によって放出された光の波長(例えば、緑色~赤色)は第1のダイクロイックミラー120-1を透過して第2のダイクロイックミラー120-2に向かい、一方、他の波長(例えば、青色)は反射または部分的に反射されることが理解される。
【0063】
図8の蛍光体108の蛍光体スペクトル800と、
図9Bの第2のダイクロイックミラー120-2の透過曲線904とを比較すると、第1のダイクロイックミラー120-1を透過して第2のダイクロイックミラー120-2に向かう約620nmを超える光の波長(例えば、第2の赤色光401-2)は、第1のインテグレータ124-1の折り返しミラーに向かって反射され、約620nm未満の光は(例えば、緑色~橙色の)第2のダイクロイックミラー120-2を透過する(または部分的に透過する)ことが理解される。
【0064】
実際、蛍光体108の蛍光体スペクトル800と、第1のダイクロイックミラー120-1の透過曲線と、第2のダイクロイックミラー120-2の反射率曲線(例えば、1から
図9Bの透過曲線904を引いたもの)との乗算は一般に、第1のインテグレータ124-1に入射する第2の赤色光401-2のスペクトルをもたらすことが理解される。したがって、ダイクロイックミラー120-1、120-2、より具体的には第2のダイクロイックミラー120-2は一般に、第1の蛍光体108によって放射される光の他の色から第2の赤色光401-2を選択及び/またはフィルタリングするためのフィルタとして機能する。言い換えると、第1のダイクロイックミラー120-1及び第2のダイクロイックミラー120-2のうちの1つまたは複数は第2の赤色光401-2を精製して、そのピーク波長(例えば、フィルタリングから生じる主波長)をシフトするようにさらに構成され得る。
【0065】
第1の青色光301と同様に、第2の赤色光401-2は、第2のダイクロイックミラー120-2から第1のインテグレータ124-1の折り返しミラーに向けられ、かつ/または反射され、第2の赤色光401-2を第1のインテグレータ124-2の本体内に反射する。したがって、第2のダイクロイックミラー120-2は、第2の赤色光401-2を第1のインテグレータ124-1に導くとともに、第2の赤色光401-2をフィルタリングする。さらに、第2の赤色光401-2は第1のインテグレータ124-1及び第3のインテグレータ124-3によって統合され、第3のインテグレータ124-3は第1の赤色光401-1及び第2の赤色光401-2をさらに合成して統合し、合成された赤色光401をSLM130に提供して、(例えば、RGB画像の)赤色画像及び/または赤色サブ画像を形成する。
【0066】
実際、再び
図9Bを参照すると、575nmと620nmとの間の第2のダイクロイックミラー120-2の遷移領域の尖鋭度及び/または位置は第2の赤色光401-2をより正確に選択及び/またはフィルタリングするように、例えば、第1の赤色光401-1の638nm付近になるように選択され得る。第2のダイクロイックミラー120-2の遷移領域を「よりシャープ」にすることによって、例えば、遷移領域を約615nmから約620nmに狭めることなどによって、より多くの緑色、黄色、及び橙色光を第2の赤色光401-2からフィルタリングして、第2の赤色光401-2の色点を638nmにシフトさせることができるが、これはまた、第2の赤色光401-2の輝度を減少させる効果を有する可能性がある。これに代えて、及び/または加えて、遷移領域を(例えば、同じ幅であるが、波長が高い)575nm及び620nmから580nm~625nmにシフトさせることによって、より多くの緑色、黄色、及び橙色光を第2の赤色光401-2からフィルタリングして、第2の赤色光401-2の色点を638nmへシフトさせることができるが、これはまた、第2の赤色光401-2の輝度を低下させる効果を有する可能性がある。第2のダイクロイックミラー120-2(またはダイクロイックミラー120のいずれか)の遷移領域のそのような尖鋭化及び/またはシフトは、第2のダイクロイックミラー120-2の製造中(またはダイクロイックミラー120のいずれかの製造中)に生じることが理解される。
【0067】
それにもかかわらず、第1の赤色光401-1と第2の赤色光401-2とが組み合わされるとき、レーザ104-2、104-4の両方は、システム100において赤色光を生成するために104-2、104-4のうちの1つのみが使用されたときよりも低い電力要件を有し得ることが理解される。さらに、レーザ104-2、104-4の両方を使用することにより、第2のレーザ104-2を、第1の蛍光体108の消光限界未満の出力で動作させることができる。
【0068】
第3のインテグレータ124-3から出射される赤色光の色は第1の赤色光401-1及び第2の赤色光401-2の色の組み合わせであると理解され、575nmと625nmとの間の第2のダイクロイックミラー120-2の遷移領域の尖鋭度及び/または位置を選択することによって調整され得るが、そのような選択は遷移領域がより高い波長に向かってシフトされるとき、第2の赤色光401-2の輝度に影響を及ぼし得る。しかしながら、遷移領域は575nmより短い波長から、及び/または625nmより長い波長までであってもよく、所与の明るさ及び/または所与の赤色(例えば、赤色点)及び/または所与の白色点(例えば、システム100によって生成される赤色、緑色及び青色光の組み合わせから生じる白色光の色)に依存してもよいことが理解される。
【0069】
少なくとも
図4の説明から、第1のダイクロイックミラー120-1は、第1の蛍光体ホイール106-1上に配置され、第2のレーザ104-2から第1の蛍光体108に第2の青色光402を向けるようにさらに構成され、第1の蛍光体108は第2の青色光402を、第2の赤色光401-2を含むより長い波長に変換するように構成され、第2のダイクロイックミラー120-2は第2の赤色光401-2を少なくとも1つの光インテグレータ124に向け、より長い波長の他のものを透過(または部分的に透過)させるようにさらに構成され、少なくとも1つの光インテグレータ124は第1の赤色光401-1と第2の赤色光401-2とを組み合わせることが理解される。第3のダイクロイックミラー120-3は、第1の赤色光401-1を第4のレーザ104-4から少なくとも1つの光インテグレータ124に向けるように構成されることがさらに理解される。
【0070】
図5に注目すると、緑色モードでは、第3のレーザ104-3はオンであり、他のレーザ104はオフである。第3のレーザ104-3は第3の青色光503を生成し、第3の青色レーザ104-3の第3の青色光503の波長は前述のように、蛍光体110を励起するように選択され得る。例えば、第3の青色光503の波長は、約455nmであってもよい。
【0071】
図示のように、第3の青色光503は、第3のダイクロイックミラー120-3の側面に向かって放射され、第3のレーザ104-3に対して45度であると理解され、第2の蛍光体ホイール106-2に向かって角度を成す。したがって、レーザ104-3、104-4は第3のダイクロイックミラー120-3の両側にあり、したがって、レーザ104-3からの青色光503及びレーザ104-4からの赤色光401-1は、反対方向に向けられる/反射されることが理解される。
【0072】
第3の青色光503の波長が455nm(例えば、
図10Aにも示されるような第3のダイクロイックミラー120-3の反射範囲内)であるとき、第3のダイクロイックミラー120-3は第3の青色光503を第2の蛍光体ホイール106-2、具体的には、緑色光501(例えば、
図8に示されるように)ならびにそれぞれの蛍光体スペクトル800内の他の色を励起及び放出する蛍光体110に向かって反射する。
【0073】
緑色光501及び他の色は、第3のダイクロイックミラー120-3に向かって放射される。
図8の蛍光体110の蛍光体スペクトル800を
図10Aの第3のダイクロイックミラー120-3の透過曲線1002と比較すると、約500nm~約590nm(例えば、緑色~橙色)の蛍光体110によって放出された光の波長は第3のダイクロイックミラー120-3を通って第4のダイクロイックミラー120-4に向かって透過され、一方、他の波長(例えば、青色及び赤色)は反射または部分的に反射されることが理解される。
【0074】
図8の蛍光体110の蛍光体スペクトル800を、
図10Bの第4のダイクロイックミラー120-4の透過曲線1004と比較すると、第3のダイクロイックミラー120-3を通って第4のダイクロイックミラー120-4に向かって透過される光の波長、すなわち約560nm未満(例えば、緑色光501)または635nm超(例えば、第1の赤色光401-1)の波長は第2のインテグレータ124-2の折り返しミラーに向かって反射され、一方、他の波長(例えば、黄色~橙色)は、透過及び/または部分的に透過されることが理解される。緑色モードで蛍光体110によって放射される(例えば、約620nmを超える)赤色光も反射され得るが、
図8は蛍光体110が一般に赤色不足であり、したがって、赤色光が緑色光501の色点に大きく寄与しないことを示す。したがって、第4のダイクロイックミラー120-4の透過曲線1004は赤色光401を反射するとともに、蛍光体110によって放射される他の色から緑色光501をフィルタリングするように選択されることが理解される。
【0075】
実際、蛍光体110の蛍光体スペクトル800と、第3のダイクロイックミラー120-3の透過曲線と、第4のダイクロイックミラー120-4の反射率曲線(例えば、1から
図10Bの透過曲線1004を引いたもの)との乗算は一般に、第2のインテグレータ124-2に入射する緑色光501のスペクトルをもたらすことが理解される。したがって、ダイクロイックミラー120-3、120-4、より具体的には第4のダイクロイックミラー120-4は一般に、第2の蛍光体110によって放射される光の他の色から緑色光501を選択及び/またはフィルタリングするためのフィルタとして機能する。言い換えると、第3のダイクロイックミラー120-3及び第4のダイクロイックミラー120-4のうちの1つまたは複数は緑色光501を精製してそのピーク波長(例えば、フィルタリングから生じる主波長)をシフトさせるようにさらに構成され得る。
【0076】
赤色光401と同様に、緑色光501は第4のダイクロイックミラー120-4から、緑色光501を第2のインテグレータ124-2の本体に反射する第2のインテグレータ124-2の折り返しミラーに向けられ、かつ/または反射される。したがって、第4のダイクロイックミラー120-4は、緑色光501を第2のインテグレータ124-2に向け、緑色光501をフィルタリングする。さらに、緑色光501は、したがって、第2のインテグレータ124-2によって統合され、さらに、第3のインテグレータ124-3によって統合され、SLM130に提供される緑色光501を提供して、(例えば、RGB画像の)緑色画像及び/または緑色サブ画像を形成する。
【0077】
実際には、再び
図10Bを参照すると、約560nmと約610nmとの間の第4のダイクロイックミラー120-4の遷移領域の尖鋭度及び/または位置は緑色光501を、例えば所与の色点に、より正確に選択及び/またはフィルタリングするように選択され得る。
【0078】
例えば、再び
図10Bを参照すると、約560nmと約610nmとの間の第4のダイクロイックミラー120-4の遷移領域の尖鋭度及び/または位置は、緑色光501をより正確に選択及び/またはフィルタリングするように選択され得る。例えば、第4のダイクロイックミラー120-4の遷移領域を「よりシャープ」にすることによって、例えば遷移領域を約560nmから約575nmに狭めることによって、より多くの黄色及び橙色光を緑色光501からフィルタリングして、緑色光501の色点をより深い緑色にシフトさせることができるが、これはまた、緑色光501の輝度を減少させる効果を有する可能性がある。代替的に、及び/または加えて、遷移領域を560nm及び610nmから550nm~600nm(例えば、同じ幅であるが、より高い波長)にシフトさせることによって、より多くの黄色及び橙色光を緑色光501からフィルタリングして、緑色光501の色点をより深い緑色にシフトさせることができるが、これはまた、緑色光501の輝度を低下させる効果を有する可能性がある。第4のダイクロイックミラー120?4(またはダイクロイックミラー120のいずれか)の遷移領域のそのような尖鋭化及び/またはシフトは、第4のダイクロイックミラー120?4の製造中(またはダイクロイックミラー120のいずれかの製造中に)生じることが理解される。
【0079】
さらに、第3のダイクロイックミラー120-3は例えば、第3のダイクロイックミラー120-3の透過領域を狭くして黄色光及び橙色光を反射することによって、そのようなフィルタリングに適合されてもよいが、ダイクロイックミラー120-3の透過曲線は少なくとも、第3の青色光503の反射及び第1の赤色光401-1の反射を維持しなければならないことによって制約され得ることが理解される。したがって、例えば、ダイクロイックミラー120-3は本明細書に記載されるように、第3の赤色光503及び第1の赤色光401-1を反射すべきであるが、透過短カットオフ波長を増加させることができ、及び/または透過長カットオフ波長を減少させて「より純粋である」グリーンを達成することができる。
【0080】
第3のダイクロイックミラー120-3は、第4のレーザ104-4からの第1の赤色光401-1を(例えば、第4のダイクロイックミラー120-4を介して)少なくとも1つの光インテグレータ124に向け、第3の青色光503を第3のレーザ104-3から第2の蛍光体ホイール106-2上に配置された第2の蛍光体110に向けるように構成されることがさらに理解される。
【0081】
第2の蛍光体110は、第3の青色光503を、緑色光501を含むそれぞれのより長い波長に変換するように構成され、第3のダイクロイックミラー120-3は緑色光501を(例えば、第4のダイクロイックミラー120-4を介して)少なくとも1つの光インテグレータ124に透過させるようにさらに構成されることがさらに理解される。
【0082】
第4のダイクロイックミラー120-4は任意であることが理解されるが、第4のダイクロイックミラー120-4が存在する場合、第3のダイクロイックミラー120-3は第4のレーザ104-3からの第1の赤色光401-1を第4のダイクロイックミラー120-4を介して少なくとも1つの光インテグレータ124に向けるように構成され、第4のダイクロイックミラー120-4は第1の赤色光401-1を第3のダイクロイックミラー120-3から少なくとも1つの光インテグレータ124に向けるように構成される。第4のダイクロイックミラー120-4が存在するとき、第3のダイクロイックミラー120-3は、緑色光501を、第4のダイクロイックミラー120-4を介して少なくとも1つの光インテグレータ124に伝達するようにさらに構成され、第4のダイクロイックミラー120-4は緑色光501を少なくとも1つの光インテグレータ124に向け、蛍光体110によって放出されるそれぞれのより長い波長の他の光を伝達及び/または部分的に伝達するようにさらに構成されることがさらに理解される。
【0083】
次に、動作中の4つのレーザ104すべてを有するシステム200を示す
図6に注目する。
図6は動作中のシステム100、200間の類似性及び相違を簡単に示すために提供される。したがって、すべての4つのレーザ104が
図6で動作している間、システム100はそれぞれ
図3、
図4、及び
図5に示されるように、青色モード、赤色モード、及び緑色モードで動作することができ、第1のレーザ104-1は青色モードであり、他のレーザ104はオフであり、第2のレーザ104-2及び第3のレーザ104-3は赤色モードであり、他のレーザ104はオフであり、第4のレーザ104-4は緑色モードであり、他のレーザ104はオフであることが理解される。
【0084】
図示のように、システム200では、第1の青色光301、第2の青色光402、及び第2の赤色光401-2の経路はシステム100内の第1の青色光301、第2の青色光402、及び第2の赤色光401-2の経路と同様であり、かつ/または同じである。
【0085】
しかしながら、レーザ104-3、104-4、第2の蛍光体ホイール106-2、及び第3のダイクロイックミラー120-3がシステム100と比較して、インテグレータ124-2に対して90度回転されると、第1の赤色光401-1は第3のダイクロイックミラー120-3から第2のインテグレータ124-2に向けられ、及び/または反射され、同様に、緑色光501は、第3のダイクロイックミラー120-3を通って第2のインテグレータ124-2に透過される。したがって、システム100の第3のダイクロイックミラー120-3が(例えば、
図10Aに示されるように)システム100と同じ透過曲線1002を有する場合、緑色光501のより少ないフィルタリングが生じ得るが、システム100の第3のダイクロイックミラー120-3の透過曲線1002は上述のように、緑色光501をより良好にフィルタリングするように調整され得る。
【0086】
少なくとも1つの光インテグレータ124を要約すると、図示の例では、少なくとも1つの光インテグレータ124が、第2のダイクロイックミラー124-2から第1の青色光301及び第2の赤色光401-2を受光するように構成された第1の光インテグレータ124-1と、第3のダイクロイックミラー120-3から(例えば、システム200内で直接、またはシステム100内の第4のダイクロイックミラー120-4を介して)緑色光5-1及び第1の赤色光401-2を受光するように構成された第2の光インテグレータ124-2と、第1の光インテグレータ124-1及び第2の光インテグレータ124-2からのそれぞれの光を結合する第3の光インテグレータ124-3と、を備えることが理解される。さらに、少なくとも1つの光インテグレータ124は、少なくとも1つの光インテグレータ124で受光された光を空間光変調器130に供給するように構成される。さらに、インテグレータ124は3つの別個の構成要素として示されているが、インテグレータ124は3つの示されているインテグレータ124と同じ形状及び/または構成及び/または機能を有する1つのインテグレータ124(または2つ以上のインテグレータ124)などとして提供されてもよい。
【0087】
次に、システム100(及び/またはシステム200)で使用され得る2つの異なる候補蛍光体の消光曲線1102、1104を示す
図11に注目する。特に、消光曲線1102、1104は、励起パワー(ワット)の関数として、2つの異なる蛍光体の出力パワー(ワット)を示す。約80W未満の励起パワー(例えば、レーザによって2つのリンに入力される80Wのパワーae)では蛍光体変換効率が典型的には50~60%である(例えば、10W~80Wの励起パワーでは、出力パワーは励起パワーの約50~60%である)。残りの励起パワーは、廃熱に変換され、蛍光体の温度を上昇させる。蛍光体の温度が上昇するにつれて、その変換効率が低下し、言い換えれば、励起パワーが増加するにつれて、蛍光体の効率が低下し、最終的に、励起パワーとともに出力パワーが低下するクエンチ点に達することがある。消光曲線1102を有する蛍光体はクエンチ点を有しないが、消光曲線1104を有する蛍光体は約140Wの励起パワーでクエンチ点を有する。蛍光体108、110が消光曲線1104と同様のそれぞれの消光曲線を有すると仮定すると、レーザ104-2、104-3を、蛍光体110のクエンチ点を下回る励起パワーで動作させて、効率を最大にすることが好ましい。この問題は異なるクエンチ点を有する異なる(例えば、異なる色を発する)蛍光体を含む1つの蛍光体ホイールが(例えば、従来技術において)使用されるときに、最小励起パワーを下回る励起パワーでレーザを動作させる必要があるため、さらに悪化する可能性がある。したがって、2つの蛍光体ホイール106にわたってシステムの熱負荷を分割することは、蛍光体108、110のそれぞれのクエンチ点に応じてレーザ104-2、104-3としての柔軟性を提供する。さらに、蛍光体108によって生成される第2の赤色光401-2を補うための赤色レーザ104-4の第1の赤色光401-1の使用は、第2のレーザ104-2が例えば、赤色レーザ104-4が使用されないときと比較して、クエンチ点未満であるより低い相対パワーで動作されることを可能にし得る。言い換えると、第1の赤色光401-1及び第2の赤色光401-2は互いに補足し、かつ/または第1の赤色光401-1及び第2の赤色光401-2の組み合わせから組み合わされた赤色を形成し、かつ/または互いのそれぞれの明るさを補足する。
【0088】
したがって、第2のレーザ104-2は第1の蛍光体108の消光限界未満の出力で動作し、第3のレーザ104-3は、第2の蛍光体110のそれぞれの消光限界未満のそれぞれの出力で動作することが一般に理解される。
【0089】
次に、システム100(またはシステム200)を制御する方法1200を示す
図12に注目する。方法1200の動作は、コントローラ132によって実行される機械可読命令に対応し得る。方法1200は示されるような正確なシーケンスで実行される必要はなく、同様に、様々なブロックが、シーケンスではなく並行して実行され得る。したがって、方法1200の要素は本明細書では「ステップ」ではなく「ブロック」と呼ばれる。方法1200はシステム100の変形(システム200を含むが、これに限定されない)にも実装され得る。
【0090】
方法1200は(例えば、「開始」で)開始し、コントローラ132はブロック1202で第1の青色レーザ104-1をオンにすることによって青色モードを実施し、一方、他のレーザ104はオフになるように制御され、SLM130は、ブロック1204で青色サブ画像を提供するように並列に制御される。SLM130はブロック1204においてコントローラ132によって制御され得、及び/またはコントローラ132はブロック1204においてSLM130を制御している別のコントローラからコマンドを受信することによってブロック1202を実装して、青色サブ画像を提供し得る。一般に、ブロック1202は、第1の青色光301がSLM130を照明する
図3によって示される。
【0091】
青色モードに続く赤色モードでは、コントローラ132がブロック1206で第2の青色レーザ104-2及び第3の青色レーザ104-3をオンにし、一方、他のレーザ104はオフになるように制御され、SLM130は並列に、ブロック1208で赤色サブ画像を提供するように制御される。SLM130はブロック1208においてコントローラ132によって制御され得、及び/またはコントローラ132はブロック1208において、SLM130を制御している別のコントローラからコマンドを受信することによって、ブロック1206を実装して、赤色サブ画像を提供し得る。一般に、ブロック1206は、赤色光401がSLM130を照明する
図4によって示されている。
【0092】
赤色モードに続く緑色モードでは、コントローラ132がブロック1210で第4の青色レーザ104-2をオンにし、一方、他のレーザ104はオフになるように制御され、SLM130は並列に、ブロック1212で緑色サブ画像を提供するように制御される。SLM130はブロック1210においてコントローラ132によって制御されてもよく、及び/またはコントローラ132はブロック1212において、SLM130を制御している別のコントローラからコマンドを受信することによって、ブロック1210を実装して、緑色サブ画像を提供してもよい。一般に、ブロック1210は、緑色光501がSLM130を照明する
図4によって示される。
【0093】
したがって、一般に、コントローラ132は青色時間周期中に、第1の青色光301を放出するように第1のレーザ104-1を制御し、赤色時間周期中に、第2の青色光402を放出するように第2のレーザ104-2を制御し、第1の赤色光401-2を放出するように第4のレーザ104-3を制御し、緑色時間周期中に、第3の青色光503を放出するように第3のレーザ104-3を制御するように構成される。
【0094】
方法1200は青色モード、赤色モード、及び緑色モードに関して説明されているが、モードは任意の適切なシーケンスで実装され得る。
【0095】
さらに、モードは例えば、システム100またはシステム200において所与の白色点(例えば、青色光301、赤色光401、及び緑色光501を組み合わせることによって達成される光の色)を達成するために、任意の適切なそれぞれの時間周期のために実装され得る。
【0096】
さらに、所与のモードで所与のレーザ104をオンにし、SLM130を制御して、それぞれのサブ画像のニーズを提供することは、正確な調整で行われる。例えば、SLM130が所定のサブ画像を提供するように制御される前に、所定のモードで、それぞれのレーザ104がオンにされ、他のレーザ104がオフにされ得、または、SLM130が所与のサブ画像を提供するように制御された後、所与のモードで、それぞれのレーザ104がオンにされ、他のレーザ104がオフにされ得る。しかしながら、SLM130は一般に、別のモードのレーザ104がオフであるときにのみ、所与のサブ画像を所与のモードに提供するように制御される(例えば、赤色モードの場合、SLM130は第1の青色レーザ104-1がオフの後に赤色サブ画像を提供するように制御されるが、SLM130はレーザ104-2、104-3がオンである前または後に赤色サブ画像を提供するように制御されてもよく、同様に、SLM130は第4の青色レーザ104-4がオンである前に赤色サブ画像を提供することを停止するように制御される)。
【0097】
したがって、光の赤色、緑色、及び青色の期間は、例えばレーザ104をオン及びオフにすることによって、光割り当てに従って割り振られ得る。各色チャネル(例えば、赤色モードを提供する赤色チャネル、緑色モードを提供する緑色チャネル、及び青色モードを提供する青色チャネル)の効率は、光源レーザ光の量と同様に変化し得、これは他の色と比較して所与の色について異なる輝度をもたらし得る。ビデオシステムは一般に、合計されたときに特定の白色点をもたらす赤色、緑色、及び青色光のバランスに従って動作する。したがって、赤色光、緑色光、及び青色光の相対デューティサイクルは、特定の実装形態において利用可能な各色の量に基づいて選択され得る。
【0098】
本明細書によれば、赤色に割り当てられた時間周期中、
図4に示されるように、2組のレーザ104-2、104-3が、システム100(またはシステム200)においてアクティブ及び/またはオンである。波長455nmの第2のレーザ104-2からの青色光は一般に、第1のダイクロイックミラー120-1に向けられ、第1のダイクロイックミラー120-1の透過曲線902の反射部分では波長455nmを有する(例えば、透過波長カットオフ未満)。したがって、第2のレーザ104-2からの光は、第1の蛍光体ホイール106-1において「赤色」蛍光体108に向けられる。蛍光体108は一般に、第1のダイクロイックミラー120-1に向けて戻される黄色~赤色光(例えば、
図8参照)を放射する蛍光を発する。黄色~赤色光は、第1のダイクロイックミラー120-1の透過曲線902の透過部にあるため、第2のダイクロイックミラー120-2に透過する。第2のダイクロイックミラー120-2の透過曲線904は緑色~黄色光を透過し、赤色(または青色光)を反射するように選択される。これは、黄色光を赤色光にフィルタリングし、インテグレータ124-1への反射時にそれを赤色に変換する効果を有する。
【0099】
第2のダイクロイックミラー120-2の透過曲線904の長波長カットオフをどこに配置するかの選択は、第1の蛍光体ホイール106-1の蛍光体110のために選択された蛍光体材料と、第3のインテグレータ124-3によって放出されるべき赤色の所望の色とに依存し得る。例えば、システム100がREC.709ディスプレイ規格に従って動作されるプロジェクタに、またはその中に提供される場合、REC.709ディスプレイ規格が深い飽和色を必要としないので、長波長カットオフは、より短い波長であるように選択され得る。DCIP3カラー規格に従って動作させるプロジェクタはより長い波長での長波長カットオフを必要とする場合があり、REC.2020に従って動作させるプロジェクタは、より長い波長での長波長カットオフを必要とする場合がある。
【0100】
「より深い」赤色(例えば、620nmをはるかに超える赤色)を達成しようとすると、蛍光体材料が赤欠乏する傾向があるので、LaPhディスプレイシステムのさらなる課題が明らかになる。赤色に割り当てられる表示時間のパーセントを増加させることはこの問題のいくつかを軽減し得るが、一般に、この解決策は十分ではない場合がある。より多くのポンプレーザ(例えば、2つ以上の第2のレーザ104-2が使用されてもよい)を追加することも、消光限界に達するまで、問題を軽減することができる。しかしながら、本明細書で提供されるように、赤色レーザ104-4を直接赤色レーザ源として使用することは、所与のホワイトバランス及び/または白色点を達成するのに役立ち得る。
【0101】
赤色表示時間中、赤色レーザ104-4(例えば、波長638nm)はレーザ104-3と同時にオンになり、赤色レーザ104-4からの光は、第3のダイクロイックミラー120-3に向けられる。第3のダイクロイックミラー120-3は、赤色レーザ104-4の波長未満となるように選択された透過長波長カットオフを有してもよい。したがって、赤色レーザ104-4からの赤色光は、第4のダイクロイックミラー120-4に反射及び/または方向付けられ、赤色レーザ104-4の波長未満になるように選択された透過長波長カットオフも有する。赤色レーザ104-4からの赤色光は再び反射され、インテグレータ124-2に向かう。
【0102】
緑色表示時間中、第3の青色レーザ104-3(例えば、波長455nm)がオンであり、そこからの光は、第3の青色レーザ104-3の波長を超えるように選択された透過低波長カットオフと、赤色レーザ104-4によって放射された光を反射するように選択された透過高波長カットオフとを有するバンドパスフィルタを備える第3のダイクロイックミラー120-3に向けられる。第3の青色レーザ104-3からの光は第3のダイクロイックミラー120-3で反射し、第2の蛍光体ホイール106-1の緑色蛍光体110に向けられ、緑色蛍光体110は蛍光を発し、緑色~黄色光を発する。この緑色~黄色光は第3のダイクロイックミラー120-3に向けられ、透過し、第4のダイクロイックミラー120-4に衝突し、黄色ノッチフィルタとして作用するため、緑色光をインテグレータ124-2に向かって反射する(黄色光が透過するため)。
【0103】
青色表示時間の間、第1の青色レーザ104-1(例えば、波長465nm)がオンであり、そこからの光は、第1の青色レーザ104-1の波長を超えるように選択された透過波長カットオフを有するバンドパスフィルタを備える第1のダイクロイックミラー120-1に向けられる。第1の青色レーザ104-1からの光は第1のダイクロイックミラー120-1で反射し、第2のダイクロイックミラー120-2に向けられる。第2のダイクロイックミラー120-2の透過低波長カットオフは第1の青色レーザ104-1の波長を超えるように選択され、したがって、第1の青色レーザ104-1からの光は第2のダイクロイックミラー120-2によってインテグレータ124-1に向かって反射される。
【0104】
したがって、2つの独立した蛍光体ホイール106を有することによって、蛍光体を使用して赤色と緑色(例えば、青色と)の両方を提供するのと比較して、蛍光体108、110の選択を個々の赤色と緑色に対して最適化することができる。
【0105】
システム100(またはシステム200)を使用するプロジェクタの最終的な測色は、選択されるレーザ104の波長、選択される蛍光体材料のタイプ、及び様々なダイクロイックミラー120のカットオフ波長に依存し得る。したがって、本明細書は、異なる動作色点、明るさ、測色などを最適化する際の柔軟性を可能にするシステム100、200を提供することが理解される。
【0106】
すでに論じたように、蛍光体材料は温度に敏感である。さらに、レーザ104もまた、温度に敏感であり得ることが理解される。様々なダイクロイックミラー120の波長カットオフを選択する際に、排除された光を吸収するヒートシンク122を設けることが重要であり得る。例えば、インテグレータ124に向けられない光は、システム100(またはシステム200)の内部のどこかで吸収され、熱に変換される。したがって、波長カットオフは、廃光が第3のダイクロイックミラー120-3または第4のダイクロイックミラー120-4のいずれかを通る透過によってフィルタリングされるように選択され得る。ダイクロイックミラー120-3、120-4に追加された光吸収ヒートシンク122は、最適な熱管理を可能にすることができる。言い換えると、いくつかの例では、システム100またはシステム200が第1のダイクロイックミラー120-1、第2のダイクロイックミラー120-2、第3のダイクロイックミラー120-3、及び第4のダイクロイックミラー120-4のうちの1つまたは複数からの熱及び廃光のうちの1つまたは複数を吸収するように構成された1つまたは複数のヒートシンク122をさらに備え得る。
【0107】
したがって、2つの独立した蛍光体ホイール106の使用は(例えば、セグメント化されていない蛍光体108、110を有する)各個別の蛍光体ホイール106に対する熱負荷を低減することができ、これは、(例えば、セグメント化された蛍光体を有する)1つの蛍光体ホイール106のみが使用される場合と比較して、効率及び輝度を向上させることができる。システム100、200ではレーザ104をオン及びオフにする能力によって、色間の切り替えの速度が制限されるが、短いオン及びオフ時間を有するレーザ104を選択することによって、レーザ104をオン及びオフにすることが、約1μsの時間周期で起こり得、これは先行技術のLaPhシステムで経験されるスポーク時間問題を低減及び/または排除し得る。スポーク時間を低減及び/または排除することは、純粋な色に割り当てられる時間の量を増加させ、システム効率及び明るさをさらに増加させ得る。そのような高速スイッチングはまた、高速(より速い)カラーサイクリングレートを可能にし得る。実際のシステムでは、色サイクル速度がSLMの切り替え速度(例えば、サブ画像間で切り替える時間)によって制限され得、したがって、レーザ104の切り替え時間は約1μsであるため、システム100(またはシステム200)を使用するプロジェクタの切り替え時間はレーザ104の切り替え時間とは無関係であり得る。
【0108】
ここで明らかであるように、本明細書に記載されるデバイスの動作及び機能はコンピュータシステム上でのそれらの実装を必要とするほど十分に複雑であり、実際問題として、人間の精神(human mind)の中で実行することができない。特に、本明細書に記載されるようなコンピューティングデバイスはそのような動作の本質的にデジタル的な性質に加えて、人間の精神的ステップによって得られない速度、正確さ及び複雑さの管理を必要とし、提供するものとして理解される(例えば、人間の精神は、本明細書に記載される他の特徴及び機能の中でも、デジタルプロジェクタまたはレーザと直接インターフェースすることができない)。
【0109】
本明細書では、要素が1つまたは複数の機能を実行する「ように構成される」、またはそのような機能「のために構成される」と説明され得る。一般に、機能を実行するように構成される、または機能を実行するために構成される要素は、機能を実行することが可能である、または機能を実行するのに適している、または機能を実行するように適応されている、または機能を実行するように動作可能である、また、そうでなければ機能を実行することが可能である。
【0110】
本明細書の目的のために、「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」及び「X、Y、及びZのうちの1つまたは複数」の文言はXのみ、Yのみ、Zのみ、または2つ以上の項目X、Y、及びZの任意の組合せ(例えば、XYZ、XY、YZ、XZなど)として解釈され得ることが理解される。同様の論理は、「少なくとも1つ…」及び「1つ以上…」文言の任意の出現における2つ以上の項目に適用することができる。
【0111】
用語「約」、「実質的に」、「本質的に」、「およそ」などは、例えば、当業者によって理解されるように、「に近い」と定義される。いくつかの例では、用語が「10%以内」、他の例では「5%以内」、さらに別の例では「1%以内」、さらに別の例では「0.5%以内」であると理解される。
【0112】
当業者はいくつかの例では、本明細書で説明するデバイス及び/または方法及び/またはプロセスの機能が事前にプログラムされたハードウェアまたはファームウェア要素(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)など)、または他の関連構成要素を使用して実装され得ることを諒解されよう。他の例では、本明細書で説明されるデバイス及び/または方法及び/またはプロセスの機能がコンピューティング装置の動作のためのコンピュータ可読プログラムコードを記憶するコードメモリ(図示せず)へのアクセスを有するコンピューティング装置を使用して達成され得る。コンピュータ可読プログラムコードは固定され、有形であり、これらの構成要素によって直接可読であるコンピュータ可読記憶媒体(例えば、リムーバブルディスケット、CD-ROM、ROM、固定ディスク、USBドライブ)に記憶され得る。さらに、コンピュータ可読プログラムは、コンピュータ使用可能媒体を備えるコンピュータプログラム製品として記憶され得ることを諒解されたい。さらに、永続的記憶デバイスは、コンピュータ可読プログラムコードを備えることができる。さらに、コンピュータ可読プログラムコード及び/またはコンピュータ使用可能媒体は、非一時的コンピュータ可読プログラムコード及び/または非一時的コンピュータ使用可能媒体を備えることができることを諒解されたい。代替的に、コンピュータ可読プログラムコードは遠隔に記憶され得るが、伝送媒体を介してネットワーク(インターネットを含むが、これに限定されない)に接続されたモデムまたは他のインターフェースデバイスを介して、これらの構成要素に送信可能であり得る。伝送媒体は非モバイル媒体(例えば、光及び/またはデジタル及び/またはアナログ通信回線)またはモバイル媒体(例えば、マイクロ波、赤外線、自由空間光または他の伝送方式)またはそれらの組合せのいずれかであり得る。
【0113】
当業者は、さらに別の例及び修正が可能であり、上記の例は1つまたは複数の例の例示に過ぎないことを理解し得るであろう。したがって、範囲(Scope)は、本明細書に添付される請求の範囲によってのみ限定される。
【要約】
二重蛍光体ホイール投影システムが提供される。第1のダイクロイックミラーは青色光を第1の青色レーザから第2のダイクロイックミラーに向け、第2のダイクロイックミラーは青色光を少なくとも1つのインテグレータに向ける。第1のダイクロイックミラーは青色光を第2の青色レーザから第1の蛍光体/蛍光体ホイールに向け、第1の蛍光体/蛍光体ホイールは青色光を、赤色光を含むより長い波長に変換する。第2のダイクロイックミラーは、赤色光をインテグレータに向け、より長い波長の他のものを透過させる。インテグレータは、赤色光を赤色レーザからの赤色光と組み合わせる。第3のダイクロイックミラーは赤色レーザからインテグレータに赤色光を導き、第3の青色レーザからの青色光を第2の蛍光体/蛍光体ホイールに導き、第2の蛍光体/蛍光体ホイールは青色光を、緑色光を含むそれぞれの長い波長に変換する。第3のダイクロイックミラーは、緑色光をインテグレータに透過させる。
【選択図】
図6