(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-15
(45)【発行日】2024-03-26
(54)【発明の名称】トラッキングボリュームの検出性およびモデル品質を最適化するイメージング視点を選択するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240318BHJP
【FI】
A61N5/10 M
(21)【出願番号】P 2023515344
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 US2021044181
(87)【国際公開番号】W WO2022055634
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-08-28
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック チャールズ ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ブロードハースト ロバート イライジャ
(72)【発明者】
【氏名】シュナー エリック
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-140137(JP,A)
【文献】特表2019-528149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、撮像システムと、当該撮像システムに操作可能に接続された処理装置とを備えており、
前記処理装置は、
第1の視点からの関心領域(ROI)の画像であって前記関心領域に関連する不確実性値を有する画像を識別し、
前記関心領域に関連する1つ以上のパラメータを含むモデルを前記画像に基づいて生成するものであり、
かつ、前記モデルを使用して、前記ROIの撮像システムによって後続の画像が撮像される可能性のある複数の視点に対する複数のトラッキング品質指標であって、前記後続の画像によって前記ROIに関連付けられた不確実性値の減少を示す複数のトラッキング品質指標を決定し、
かつ、第2の視点に対応する前記複数のトラッキング品質指標であって、前記不確実性値が減少していることを示す前記複数のトラッキング品質指標のうち、対応するトラッキング品質指標に基づいて前記後続の画像に対する複数の視点の中から前記第2の視点を選択するものである、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、放射線治療システムを含む装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記第2の視点は、前記放射線治療システムによる治療セッション中に前記処理装置によって自動的に選択される装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記撮像システムは、X線撮像システムから構成される装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記撮像システムは、磁気共鳴(MR)撮像システムを備える装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記処理装置は、さらに、撮像源に、前記第2の視点から前記関心領域の後続の画像を撮像させ、前記撮像源から前記後続の画像を受信し、前記後続の画像に基づいて前記モデルを更新する装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記撮像システムがリングガントリに動作可能に接続され、前記第1の視点が前記関心領域に対する前記撮像システムの第1の角度に対応し、前記第2の視点が前記関心領域に対する前記撮像システムの第の2角度に対応する装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記モデルは、前記関心領域に関連する呼吸運動軌跡を含む装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記1つ以上のパラメータは、前記関心領域内の1つ以上の放射線感受性構造を含む装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記1つ以上のパラメータは、前記関心領域の視認性を含む装置。
【請求項11】
方法であって、
第1の視点からの関心領域(ROI)の画像であって前記関心領域に関連する不確実性値を有する画像を識別するステップと、
前記画像に基づいて前記関心領域に関連する1つ以上のパラメータを含むモデルを生成するステップと、
前記モデルを使用して、前記ROIの撮像システムによって後続の画像が撮像される可能性のある複数の視点に対する複数のトラッキング品質指標であって、前記後続の画像によって前記ROIに関連付けられた不確実性値の減少を示す複数のトラッキング品質指標を決定するステップと、
処理装置により、第2の視点に対応する前記複数のトラッキング品質指標であって、前記不確実性値が減少していることを示す前記複数のトラッキング品質指標のうち、対応するトラッキング品質指標に基づいて前記後続の画像に対する複数の視点の中から前記第2の視点を選択するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記後続の画像は、放射線照射システムの前記撮像システムによって撮像されるものである方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記第2の視点は、前記放射線照射システムによる治療セッション中に前記処理装置によって自動的に選択される方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、前記撮像システムは、X線撮像システムを含む方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、撮像システムが磁気共鳴(MR)撮像システムを含む方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、
さらに、前記撮像システムに、前記第2の視点から前記関心領域の後続の画像を撮像させ、
前記撮像システムから前記後続の画像を受信し、
前記後続の画像に基づいて前記モデルを更新する方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、前記撮像システムがリングガントリに操作可能に接続され、前記第1の視点が前記関心領域に対する前記撮像システムの第1の角度に対応し、前記第2の視点が前記関心領域に対する前記撮像システムの第2の角度に対応する方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、前記モデルは、前記関心領域に関連する呼吸運動軌跡を含む方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法であって、前記1つ以上のパラメータが、前記関心領域内の1つ以上の放射線感受性構造を含む方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法であって、前記1つ以上のパラメータは、前記関心領域の視認性を含む方法。
【請求項21】
命令を格納する非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、これらの命令は、処理装置によって実行されると、前記処理装置に以下のこと、すなわち、
第1の視点からの関心領域(ROI)の画像であって前記関心領域に関連する不確実性値を有する画像を識別することと、
前記関心領域に関連する1つ以上のパラメータを含むモデルを前記画像に基づいて生成することと、
モデルを使用して、前記ROIの撮像システムによって後続の画像が撮像される可能性のある複数の視点に対する複数のトラッキング品質指標であって、前記後続の画像によって前記ROIに関連付けられた不確実性値の減少を示す複数のトラッキング品質指標を決定することと、
第2の視点に対応する前記複数のトラッキング品質指標であって、前記不確実性値が減少していることを示す前記複数のトラッキング品質指標のうち、対応するトラッキング品質指標に基づいて前記後続の画像に対する複数の視点の中から前記第2の視点を選択することと、を実行させるように構成される非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項22】
前記後続の画像は、放射線治療システムの撮像システムによって撮像されるようになっている請求項21に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項23】
前記第2の視点は、前記放射線治療システムによる治療セッション中に前記処理装置によって自動的に選択される請求項22に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項24】
前記撮像システムは、X線撮像システムを含む請求項21に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年9月8日に出願された米国特許出願第17/014,021号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、その全文は、ここに参照として組み込まれている。
【0002】
本開示は、トラッキングボリュームの検出性およびモデル品質を最適化するイメージング視点を選択するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療において、放射線照射システムは、モーショントラッキングを利用して、照射標的または関心領域の動きと、トラッキング構造体の位置の直接的な測定との相関関係を決定することがある。相関関係は、標的または関心領域を登録し、トラッキング構造体に対する動きを予測するモーションモデルをフィッティングすることによって決定される。
【0004】
本開示は、以下の詳細な説明および本開示の様々な実施例を示す添付図面から、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1Aは、本明細書で説明される実施例に従ったヘリカル放射線照射システムを示す。
【0006】
【
図1B】
図1Bは、本明細書に記載の実施例に従って使用され得るロボット型放射線照射システムを示す。
【0007】
【
図1C】
図1Cは、本明細書で説明される実施例に従ったCアームガントリベースの放射線照射システムを示す。
【0008】
【
図2】
図2は、本開示の実施例に従った、トラッキングボリュームの検出性およびモデル品質を最適化するためのイメージング視点を選択する方法の流れ図を示す。
【0009】
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施例に従った、関心領域の複数の視点を持つ撮像システムの一例を示す。
【0010】
【
図3B】
図3Bは、本開示の実施例に従った、トラッキング品質指標に基づいて後続の画像を撮像するための視点を選択する例を示す。
【0011】
【
図4】
図4は、本開示の実施例に従った、関心領域の後続の画像を受信してモデルを更新する方法の流れ図を示す。
【0012】
【
図5】
図5は、一部の実施例に従って、本明細書に記載される操作の1つ以上を実行する可能性のある例のコンピューティングデバイスのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書では、トラッキングボリュームの検出性(検出可能性)およびモデル品質を最適化するためのイメージング視点を選択する方法および装置の実施例について説明する。放射線照射システムは、高周波のオンラインモーショントラッキングを利用することがある。
高周波のオンラインモーショントラッキングは、照射標的の動きであり、トラッキング構造体(標的と同期して動いていると仮定される)の位置に対する低周波であるが直接的な高精度測定(たとえば2次元(2D)X線画像)と、高周波のモーションサロゲート(たとえば、呼吸またはその他の準周期的な動きを追跡するLEDマーカ、または静止した標的に対して何も追跡しない)との相関関係に依存している。
【0014】
低周波の直接的な測定を取得するため、放射線照射システムには、2DX線画像を撮像するためのキロボルト(kV)または磁気共鳴(MR)撮像システムなどの撮像システムが含まれる場合がある。これらの撮像システムは、トラッキング構造体を含む関心領域(ROI)のX線画像を撮像するために使用される。
【0015】
これらの画像を取得する際には、非治療的な画像照射線量(および/または撮像時間/頻度)と位置の不確実性との間にトレードオフが存在する。例えば、少ない数の画像を取得すると、患者が被爆する非治療的な画像照射線量は減少するが、位置の不確実性(以下、「アンダーサンプリング」ともいう)が増加する。逆に、多くの画像を取得すると、位置の不確実性は低下するが、患者が被爆する非治療的な画像照射線量(以下、「オーバーサンプリング」ともいう)が増加する。
したがって、これらの画像を取得する時間および/または視点を決定する際には、これらの両方の事項をバランス良く考慮することが重要である。
【0016】
本開示の一部は、トラッキングボリュームおよびモデル品質を最適化するために、イメージング視点および/または時間を選択することによって、従来の欠点およびその他の欠点を改善することができる。ROIの画像が第1の視点から取得されると、その画像は、ROIに関連する位置の不確実性に対応する不確実性値を有する可能性がある。例えば、不確実性値は、ROI内のトラッキング構造体または標的の位置の不確実性に対応する可能性がある。
【0017】
処理装置の処理ロジックは、画像に基づいてROIに関連付けられたモデルを生成することができる。モデルには、ROIに関連付けられた1つ以上のパラメータが含まれる場合がある。具体的には、1つ以上のパラメータは、ROIの位置の不確実性に影響を与える可能性のある任意の特性または値である場合がある。ROIに関連するパラメータの例には、ROIに関連する呼吸運動軌跡、ROI内の放射線感受性構造、ROIの視認性、または、ROIの視点などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
処理ロジックは、ROIの後続の画像が取得される複数の視点に対してトラッキング品質指標を決定するために、モデルを使用する場合がある。処理ロジックは、各視点から取得される後続の画像によって、ROIに関連する不確実性値がどの程度低減されるかを示すトラッキング品質指標を、モデルを使用して決定することができる。トラッキング品質指標は、他の視点に比べて不確実性値が大幅に低下することを示す場合がある。これらのトラッキング品質指標は、他の視点と比較して不確実性値の大幅な低下がある1つ以上の視点を特定するために使用されることがある。
【0019】
処理ロジックは、トラッキング品質指標に基づいて、ROIの後続の画像を取得するために複数の視点からの第2の視点を選択することができる。処理ロジックは、ROIに関連付けられた不確実性値を減少させるために、後続の第2の視点からの画像がより適していることを示す対応するトラッキング品質指標に基づいて、第2の視点を選択することができる。第2の視点を選択することにより、後続の画像はROIの位置の不確実性を減らし、有用な情報を含まない(例えば、ROIの位置の不確実性を改善しない)可能性のある後続の画像の取得を防止し、オーバーサンプリングを減らすか、または除去することができる。過剰なオーバーサンプリングを削減または排除することで、患者が被爆する非治療的な画像照射線量を減少させ、放射線照射システムの性能を向上させることができる。
【0020】
本開示の実施形態は、放射線照射システムの文脈で説明されているが、このような説明は、例示の目的でのみ提供される。本開示の側面は、ROIのイメージング視点の選択の最適化が有益である任意のタイプの撮像システムによって利用される可能性がある。例えば、本開示のいくつかの態様は、撮像システムを含む様々なタイプの手術ガイダンスシステムによって利用される可能性がある。さらに、本開示の実施形態は、kV撮像システムを利用して説明されることがあるが、本開示の一部は、MR撮影システムまたはメガボルト(MV)撮像システムなど、他のタイプの撮像システムによって利用されることができる。
【0021】
実施形態において、本開示の態様は、改良されたMR撮影システムを提供することができる。MR撮影には放射線を使用しないため、MR撮影システムを使用する場合、患者の放射線被爆を減らす必要はない。しかしながら、本開示の態様は、MR撮影システムを使用してROIから取得される画像の位置、向き、および/またはタイミングを最適化するために使用されることができる。例えば、MR撮影システムは、ROI全体にわたって動きを捉えるのに十分な速さで3次元(3D)画像を取得することができない場合がある。ROIの3D画像を取得しようとするのではなく、ROI内の様々な位置および向きから複数の1次元(1D)または2DMR画像(3D画像よりも迅速に取得できる)を取得してもよい。本開示の側面は、MR撮影システムを使用してROI内の重要な標的および感受性構造物をトラッキングする際に関連する不確実性を最小限に抑えるために、これらの画像の位置、向き、および/またはタイミングを最適化するために利用することができる。
【0022】
図1Aは、本開示の実施形態に従うヘリカル放射線照射システム800を示す。ヘリカル放射線照射システム800は、リングガントリ820に取り付けられたLINAC(線形加速器)850を含む。LINAC850は、電子ビームをX線発生標的に向けて誘導することにより、放射線ビーム(すなわち、治療ビーム)を生成するために使用されることがある。治療ビームは、照射対象領域(すなわち、腫瘍)に放射線を照射することができる。
治療システムには、さらに、LINAC850の遠位端に接続されたMLC(マルチリーフコリメータ:多段絞り機構)860が含まれている。MLCには、複数の可動式のリーフを収容するハウジングが含まれており、治療ビームの形成を可能にするために、リーフを可動させてMLCの開口部を調整することができる。実施形態において、MLC860は、2つの対向するバンクに配置された複数のリーフを含むバイナリMLCであり、2つの対向するバンクのリーフが互いに挟み込まれ、開閉して開口部を形成することができる。一部の実施形態において、MLC860は電磁気作動型のMLCであってもよく、MLC860は、任意の他のタイプのMLCであってもよい。
リングガントリ820はトロイダル形状をしており、患者830がリング/トロイドのボアを通って伸び、LINAC850がリングの周囲に取り付けられ、その中心を通る軸を中心に回転し、患者の周りの1つ以上の角度から供給される放射線を標的に照射する。治療中、患者830は治療台840の上でガントリのボアを通って同時に移動することができる。
【0023】
ヘリカル放射線照射システム800は、撮像源としてのLINAC850とX線検出器870とを備えた撮像システムを含む。LINAC850は、患者830のセットアップのために患者830を画像化し、治療前の画像を生成するために、ROIに向けた一連のX線ビームを誘導し、LINAC850と対向する側にあるX線検出器870に入射するようにし、患者830を画像化するためのメガボルトX線画像(MVCT)を生成するができる。
一実施形態では、ヘリカル放射線照射システム800には、LINAC850に直交して(例えば90度離れた位置に)リングガントリ820に取付けられたkV撮像源810から構成される2次撮像システムも含まれることがある。この2次撮像システムは、照射対象領域に向けて撮影用X線ビームを投影し、患者130を通過した後に検出器の撮像面を照らすように配置することができる。
【0024】
図1Bは、本明細書に記載されている代替的な実施形態に応じて使用される放射線治療システム1200を示す。
図1Bに示すように、放射線治療システム1200は、放射線治療源として機能するLINAC(線形加速器)1201と、治療ビームを形成するためにLINAC1201の遠位端に接続されたMLC1205とを含む。
一実施形態では、LINAC1201を位置決めして、多くの角度から、多くの平面において、患者の周りの手術体積にビームを送出して病理解剖学的構造(例えば、標的)に照射するために、LINAC1201は、複数(例えば5以上)の自由度を有するロボットアーム1202の端部に取り付けられる。
治療には、単一のアイソセンターを有するビーム経路、複数のアイソセンターを有するビーム経路、または非アイソセントリックなアプローチを有するビーム経路を含むことができる。
【0025】
LINAC1201は、ロボットアーム1202を動かすことによって、治療中に複数の異なるノード(LINAC1201が停止し、放射線が照射され得る予め定められた位置)に配置することができる。ノードにおいて、LINAC1201は、1つ以上の放射線治療ビームを標的に照射することができ、そこでは、放射線ビーム形状は、MLC1205内のリーフの位置によって決定される。ノードは、患者の周囲におおよそ球状に分布するように配置することができる。特定のノード数および各ノードに適用される治療ビームの数は、治療されるべき病理解剖学的構造の位置およびタイプの関数として変化する可能性がある。
【0026】
別の実施形態では、ロボットアーム1202およびその端部におけるLINAC1201は、放射線が照射されている間に、ノード間を連続的に移動することができる。放射線ビームの形状および2次元強度マップは、LINAC1201が連続的に動作する間、MLC1205内のリーフの高速な動きによって決定される。
【0027】
放射線治療システム1200は、X線源1203Aおよび1203B(すなわち、撮像源)および固定式X線検出器1204Aおよび1204Bと接続された処理装置1230を有する撮像システム1210を含む。あるいは、X線源1203A、1203Bおよび/またはX線検出器1204A、1204Bが移動可能である場合、これらは、標的との位置合わせを維持するために再配置されることがある。また、標的を異なる方向から撮像するために再配置し、あるいは、多くのX線画像を取得して3次元(3D)コーンビームCTを再構築することがある。一実施形態では、X線源は、点線源ではなく、当業者に理解されるように、むしろX線源アレイである。一実施形態では、LINAC1201は撮像源として機能し、LINACの出力レベルは画像化のために許容可能なレベルにまで低減されることがある。
【0028】
撮像システム1210は、コーンビームCTまたはヘリカルメガボルトコンピュータ断層撮影(MVCT)などのコンピュータ断層撮影(CT)を実行してもよく、撮像システム1210によって生成された画像は2次元(2D)または3次元(3D)であってもよい。2つのX線源1203Aおよび1203Bは、手術室の天井の固定位置に取り付けられ、2つの異なる角度位置(例えば、90度離れている)からX線撮像ビームを投射して、マシンアイソセンタ(本明細書では治療中心と呼ばれ、治療中に患者を治療台1206上に位置付けるための基準点を提供)で交差し、患者を通過した後にそれぞれのX線検出器1204Aおよび1204Bの撮像面を照射できるように位置合わせすることができる。一実施形態では、撮像システム1210は、標的および周囲の関心体積(VOI)の立体画像を提供する。
他の実施形態では、撮像システム1210は、2つ以上のまたは2つ未満のX線源と、2つ以上のまたは2つ未満の検出器とを含むことができ、検出器のいずれかは固定ではなく移動可能であってもよい。さらに他の実施形態では、X線源と検出器の位置は入れ替わってもよい。
X線検出器1204Aおよび1204Bは、当業者によく知られているように、X線を可視光に変換するシンチレーション材料(例えば、アモルファスシリコン)と、デジタル画像の座標系を基準画像の座標系に変換する画像レジストレーションプロセス中に、光を参照画像と比較できるデジタル画像に変換するCMOS(相補型金属酸化膜シリコン)またはCCD(電荷結合素子)イメージングセルのアレイから作製してもよい。基準画像は、例えば、CT画像を通した光線の投影によってX線画像形成プロセスをシミュレートすることに基づいて3-D・CT画像から生成される仮想的なX線画像であるデジタル再構成X線写真(DRR)であってもよい。
【0029】
一実施形態では、IGRT照射システム(放射線治療システム)1200は、2次撮像システム1239も含む。2次撮像システム1239は、CBCT(コーンビーム・コンピュータ断層撮影)撮像システムであり、例えば、medPhoton社製のImaging Ring Systemである。代わりに、他のタイプの体積イメージングシステムを使用することもできる。
2次撮像システム1239は、アームおよびレールシステム(図示せず)に取り付けられた回転式ガントリ1240(例えば、リング)を含む。このアームおよびレールシステムは、回転式ガントリ1240を1つ以上の軸に沿って(例えば、治療台1206の頭部から足部まで延びる軸に沿って)移動させる。回転式ガントリ1240には、撮像源1245と検出器1250とが取り付けられている。回転式ガントリ1240は、治療台の頭部から足部まで延びる軸を中心に360度回転することができる。
従って、撮像源1245および検出器1250は、多数の異なる角度に配置することができる。
一実施形態では、撮像源1245はX線源であり、検出器1250はX線検出器である。一実施形態では、2次撮像システム1239は、別々に回転可能な2つのリングを含む。撮像源1245は第1のリングに取り付けることができ、検出器1250は第2のリングに取り付けることができる。一実施形態では、回転式ガントリ1240は、ロボットアーム1202との衝突を回避するために、放射線治療デリバリー中に治療台の足元で静止する。
【0030】
図1Bに示されるように、画像誘導型の放射線治療システム1200は、治療デリバリーワークステーション150とさらに関連付けることができる。治療デリバリーワークステーションは、放射線治療システム1200および患者が配置されている治療室とは異なる部屋に、放射線治療システム1200から遠隔に配置されてもよい。治療デリバリーワークステーション150は、本明細書に記載されるような、1つ以上の画像レジストレーションに基づく標的の動きの検出に基づいて患者1225への治療実施を修正する処理装置(処理装置1230または別の処理装置であってもよい)およびメモリを含むことができる。
【0031】
図1Cは、Cアーム型放射線照射システム1400を示す。一実施形態では、Cアーム型放射線照射システム1400において、治療中にLINACのビームエネルギーを調整することができ、LINACをX線撮影と放射線治療の両方に使用することができる。別の実施形態では、Cアーム型放射線照射システム1400は、X線画像を生成するためのオンボードkV撮像システムと、より高エネルギーの治療用放射線ビームを生成するための別個のLINACとを含むことができる。
Cアーム型放射線照射システム1400は、Cアーム型ガントリ1410と、LINAC1420と、ビームを形成するためにLINAC1420の遠位端と連結されたMLC1470と、ポータル撮像検出器1450とを含む。Cアーム型ガントリ1410は、選択された投影に対応する角度に回転させ、治療台1440上の患者1430のVOIのX線画像を取得するために使用することができる。
ポータル撮像システムを含む実施形態では、LINAC1420は、患者1430の標的を通過してポータル撮像検出器1450に入射するX線ビームを生成して、標的のX線画像を生成する。標的のX線画像が生成された後、LINAC1420のビームエネルギを増大させることができるので、LINAC1420は、患者1430の照射対象領域を治療するための放射線ビームを生成することができる。
別の実施形態では、kV撮像システムは、患者1430の標的を通過するX線ビームを生成して、標的のX線画像を生成することができる。いくつかの実施形態では、ポータル撮像システムは、治療のデリバリー中にポータル画像を取得することができる。ポータル撮像検出器1450は、ビームが患者1430を通過した後に、出口線量を測定することができる。これにより、内部または外部の基準または解剖学的構造(例えば、腫瘍や骨など)をポータル画像内に定位させることができる。
【0032】
あるいは、本明細書に記載されたkV撮像源またはポータル撮像器および操作方法は、さらに他のタイプのガントリベースのシステムと共に使用することができる。ガントリベースのシステムでは、ガントリは、kV撮像源およびLINACをアイソセンタ-を通る軸を中心に回転させる。一部のガントリベースのシステムでは、患者の体がリング/トロイドのボアを通って伸びる一般的にトロイダル形状のリングガントリが含まれ、kV撮像源およびLINACはリングの周囲に取り付けられ、アイソセンターを通過する軸を中心に回転する。
ガントリベースのシステムは、kV撮像源およびLINACがアイソセンターを通る軸の上方に片持ち式に取り付けられ、アイソセンターを通る軸を中心に回転するCアーム型ガントリをさらに含むことができる。別の実施形態では、kV撮像源およびLINACは、上述のようにkV撮像源およびLINACが取り付けられるロボットアームを含むロボットアームベースのシステムで使用することができる。本開示の態様は、さらに、ガントリベースのLINACシステム、放射線治療および放射線手術に関連する静的撮像システム、統合画像ガイダンスを用いた陽子線治療システム、インターベンショナルラジオロジーおよび術中X線撮像システムなど、他のそのようなシステムで使用することができる。
【0033】
図2は、本開示の実施形態に従って、トラッキングボリューム検出性(検出可能性)およびモデル品質を最適化するためにイメージング視点を選択する方法200の流れ図を描いている。方法200は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、プロセッサ、処理装置、中央処理装置(CPU)、システムオンチップ(SoC)など)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で命令の実行/実行中の命令)、ファームウェア(例えば、マイクロコード)、またはそれらの組み合わせを含むことができる処理ロジックによって実行することができる。実施形態では、方法200の様々な部分は、
図1A-1Cで先に説明したような放射線照射システムの処理装置の処理ロジックによって実行することができる。
【0034】
図2を参照すると、方法200は、様々な実施形態によって使用される例示的な機能を示している。方法200において特定の機能ブロック(「ブロック」)が開示されているが、そのようなブロックは例である。すなわち、実施形態は、方法200で列挙されたブロックを様々な他のブロックに変更または変形してもよい。方法200におけるブロックは、提示されたものとは異なる順序で実行されてもよく、方法200におけるブロックのすべてが実行されるとは限らないことが理解できる。
【0035】
方法200はブロック210から始まり、ここで、処理ロジックは、ROIに関連する不確実性値を有する第1の視点からROIの画像を識別する。実施形態では、不確実性値は、ROIおよび/またはROI内の1つ以上のオブジェクトに関連する位置の不確実性に対応している場合がある。例えば、不確実性値は、ROI内のトラッキング構造体に関連する位置の不確実性に対応している場合がある。
【0036】
いくつかの実施形態において、ROIの画像は、放射線照射システムによって実行される治療セッション中に、画像処理システムによって取得されることがある。実施形態では、ROIの画像は、以前に取得された画像であってよい。例えば、画像は、治療計画セッションの一部として以前に撮像されたROIの画像であってもよい。
【0037】
ブロック220において、処理ロジックは、画像に基づいて、ROIに関連する1つ以上のパラメータを含むモデルを生成する。1つ以上のパラメータは、ROIの位置の不確実性に影響を与える可能性のある任意の特性または値であってもよい。実施形態では、パラメータは、ROIに関連する患者の呼吸運動軌跡を含む場合がある。呼吸運動軌跡は、患者の呼吸周期の異なる段階におけるROIの動きを特徴付け、さらに、呼吸周期の様々な段階のタイミングを含む場合がある。実施形態では、パラメータは、ROI内またはROIに近接した放射線感受性構造を含む場合がある。例えば、パラメータは、患者の直腸がROI内にあるか、またはROIに近接していることを示す場合がある。実施形態では、パラメータは、撮像システムによるROIの視認性を含む場合がある。実施形態では、パラメータは、ROIの視点を含む場合がある。いくつかの実施形態では、他のパラメータをモデル内で使用することができる。
【0038】
ブロック230において、処理ロジックは、後続の画像が撮像される可能性のある視点のトラッキング品質指標を決定する。トラッキング品質指標は、各視点から撮像された後続の画像が、ブロック210で識別された画像の不確実性値を減少させるかどうかを示す場合がある。実施形態では、トラッキング品質指標は、以下に示すように、モデル適合目的関数Lのテイラー展開の高次項を調べることによって決定することができる:
ここで、tは測定が行われた時刻である。回転ガントリの場合、この時間は、治療ビームに対する撮像システムおよび患者支持位置を指定することもできる。
p
tは、トラッキング構造体の測定値のセット、または、2次元X線画像内のトラッキング構造体の検出された位置または候補位置である。
m
tは高周波サロゲートモーションデータである。
f
sは高周波データをトラッキング構造体の位置に変換するモーションモデルである。
sはモーションモデルのパラメータである。
P
tは、3DデータをX線画像内の2Dデータに関連付ける投影演算子である。点の場合は、これは透視投影行列である。画像データの場合は、これはDRRジェネレーターである。
dは、モデルに従って2D予測位置における2D測定データp
tとトラッキング構造体との間の類似性を重み付けする何らかの距離関数である。
実施形態では、距離関数は、撮像ジオメトリに対するトラッキング構造体の3D位置に起因する誤差の拡大を反映する場合がある。いくつかの実施形態では、距離関数は、測定値の先験的な不確実性を反映する場合がある。一実施形態では、距離関数は、年齢に関連する古い測定値の重み付けを反映する場合がある。実施形態では、距離関数は、画像マッチングに対するトラッキング構造体候補の空間確率分布を反映し、2D画像データの品質に基づいて誤差ベクトルを重み付けすることができる。いくつかの実施形態では、距離関数は、トラッキング構造体の動きを特徴付ける能力の推定値として、モデルの統計的品質を反映する他の要因を反映する場合がある。
【0039】
モデル適合目的関数の値は、ROIのモデル品質を評価するために使用することができ、目的関数L^の値が小さいほど、ROIのモデル適合度が高いことを示す。ただし、これは必ずしもROIに関連する動きを予測する際のモデルの品質を表しているとは限らない。例えば、これは、モデルがROIに関連する患者の呼吸運動を予測する方法を表さない場合がある。
【0040】
また、モデル適合度の追加の尺度は、最適なモデルパラメータs^が既に見出されている最小のsに対するL^の形を調べることによって見付けることができる。s^に関するL^のテイラー級数展開を考える。
ここで、第1項は目的関数の最小値であり、第2項は目的関数の勾配であり、第3項はヘッセ行列(目的関数の2次導関数の行列)である。
は、モデルのパラメータに関して取られたヘッセ演算子Hを持っている。この行列は関数の曲率を表すことがある。曲率が大きいということは、モデルのパラメータ空間において、ある方向s'に小さなステップが与えられると、関数の値が大きく変化することを意味する。曲率が特定の方向で非常に大きい場合、関数/測定値は、その方向のパラメータの変化に対してより敏感であるため、その方向における最小値の位置についてより確実性が高くなる。
【0041】
ヘッセがs'の最小値にあるとき、ヘッセ行列は対象で、正定値対象(SPD)行列である。このような行列は、等尤度目的関数値が楕円体(ゼロを中心とする)または2次体を記述していると考えることができる。SPD行列は共分散行列の形式であり、最小でのヘッセ行列は、次のようにモデルパラメータが描画される(正規)分布の共分散を記述するものと考えることができる:
上記の式は、生成されたモデルのパラメータの分布を記述したものである。分布の共分散Σ
sはヘッセ行列の逆関数であり、ヘッセ曲率行列は確実性行列、その逆行列は不確実性行列と考えることができ、不確実性が小さいことが望ましい場合がある。モデルの品質は、モデルのパラメータが描画される分布の分散が小さい(例えば、ヘッセ行列が大きいことに対応する)場合、より高くなる可能性がある。したがって、最適な次の撮像時間は、その画像が目的関数のヘッセ行列の大きさを最大に増加させることができる時間である。代替的に(またはそれに加えて)、次の最適な撮像時間は、(不確実性によって与えられる)期待誤差の最小量が維持されるようにすることもできる。
【0042】
画像を撮像するための最適な視点を決定するために、別の角度を画像セットに追加することができる。
ここで、t'は、新しいトラッキング測定値を取得する将来の時間に対応し、a
t'は、時間t'における高周波のモーションサロゲートの予測値に対応する。後続の画像の後の確実性を決定するために、モデルパラメータに関してヘッセ行列を計算する。
この行列式は、確実性行列の大きさを表す指標と見なすことができる。SPDの行列式は、それが表す楕円体の体積に比例する。そのため、最適な撮像時間は以下の式で表される。
合理的な外挿を使用して、時間t'における未知の値を予測することができる。この問題は、イメージング視点/時間の離散的な集合に対する一次元の最適化であるため、扱いやすい。実施形態では、この問題は、複数の将来の時点について解くことにより、より一般的なものとすることができる、例えば、ポイントのセットの時間的制限を考慮して、ガントリ1回転分のポイントを一度に推定すれば、より質の高い時点を推定することができる。
【0043】
行列式中の各項は、楕円体を定義するSPD行列であってもよい。SPD行列の和がSPDであるため、結果的にその和も楕円を表すことになる。後続の画像の最適な時間/視点は、最初の楕円体と加算したときに最大の楕円体を生成する確実性楕円体を生成する時間/視点に対応することができる。
【0044】
ブロック240において、処理ロジックは、不確実性値の減少を示す第2の視点の対応するトラッキング品質指標に基づいて、複数の視点から第2の視点を選択する。実施形態では、処理ロジックは、複数の視点の不確実性値の最大の減少を示す対応するトラッキング品質指標に基づいて、第2の視点を選択する。一実施形態では、処理ロジックは、閾値を超える不確実性値の減少を示す対応するトラッキング品質指標に基づいて第2の視点を選択する。いくつかの実施形態では、処理ロジックは、他の基準に基づいて第2の視点を選択する。実施形態では、処理ロジックは、放射線照射システムの治療セッション中に、第2の視点を自動的に(例えば、ユーザの介入なしに)選択する。
【0045】
図3Aは、本開示の実施形態に係る、関心領域の複数の視点を有する撮像システムの一例を示す説明
図300である。説明
図300には、X線(kVまたはMV)撮像システム、MR撮影システム、または任意の他のタイプの撮像システムである撮像システム302が含まれている。実施形態では、撮像システム302は、
図1AのkV撮像源810または
図1Bの撮像システム1210に対応する場合がある。いくつかの実施形態では、撮像システム302には、
図1A-1Cで先に説明したように、画像検出器(不図示)が含まれる場合がある。
【0046】
実施形態では、撮像システム302は、
図1Aのリングガントリ820のようなリングガントリに接続される場合がある。実施形態では、撮像システム302は、
図1Bのロボットアーム1202のようなロボットアームに接続され場合がある。いくつかの実施形態では、撮像システム302は、
図1CのCアーム型ガントリ1410のようなCアーム型ガントリに接続される場合がある。
【0047】
説明
図300には、関心領域312がさらに含まれる。実施形態では、関心領域312は、患者の関心領域に対応する場合がある。関心領域312には、1つ以上の標的および/またはトラッキング構造体が含まれる場合がある。
【0048】
説明
図300には、関心領域312の画像を撮像することができる異なる視点に対応する、第1視点304、第2視点306、第3視点308および第4視点310が含まれている。実施形態では、第1視点304は、
図2のブロック210で説明したように、第1の画像が撮像された視点に対応する。いくつかの実施形態では、第2視点306、第3視点308、および第4視点310は、
図2のブロック230および240で説明したように、関心領域312の後続の画像を撮像するために考慮される複数の視点のサブセットに対応する。
【0049】
撮像システム302がガントリに接続されている実施形態では、第1視点304、第2視点306、第3視点308および第4視点310は、撮像システム302がガントリによって関心領域312について回転されるときに、関心領域312に対する撮像システム302として異なる角度に対応することができる。撮像システムがロボットアームに接続されている実施形態では、撮像システム302がロボットアームによって関心領域312に関する経路に沿って位置決めされるとき、第1視点304、第2視点306、第3視点308および第4視点310は、関心領域312に対する異なる角度に対応する。
【0050】
図3Bは、本開示の実施形態に従った、トラッキング品質指標に基づいて後続の画像を撮像するための視点を選択する例を示す説明
図350である。説明
図350において、第1視点304は、第1画像が撮像された視点に対応する。先に説明したように、画像は、関連する不確実性値(例えば、不確実性352)を有する場合がある。
【0051】
第2視点306、第3視点308および第4視点310は、それぞれ対応するトラッキング品質指標として、指標354、指標356および指標358を有する。前述したように、トラッキング品質指標は、第1視点304から撮像された画像の不確実性352の値の減少を示すことがある。指標354、指標356および指標358を決定する際に、処理装置の処理ロジックは、関心領域312の後続の画像を撮像するために、第2視点306、第3視点308、または、第4視点310のうちの1つを選択する。
【0052】
図3Bを参照すると、指標354の値は2.4、指標356の値は8.2、指標358の値は6.3である。指標356が最大の値を有するので、指標356は、第3視点308から撮像された後続の画像が、より低い対応する指標(例えば、指標354および指標358)を有する第2視点306および第4視点310と比較して、第1の画像の不確実性352の値の最大の低減を有する可能性があることを示している。従って、処理ロジックは、後続の画像を撮像するために第3視点308を選択する。
【0053】
実施形態では、第3視点308から後続の画像を撮像するために、処理ロジックによって時間が選択されることがある。例えば、関心領域312が患者の呼吸運動の影響を受ける可能性のある場所である場合、位置の不確実性の減少を最大化するために、第3視点から後続の画像を撮像するための特定の時間は、患者の特定の呼吸位相と一致することがある。
【0054】
図3Aおよび
図3Bは、後続の画像を撮像するための4つの視点を例示するが、本開示の実施形態では、後続の画像を撮像するために考え得る任意の数の視点を含むことができる。さらに、
図3Bは、不確実性の最大の減少に基づいて第3視点308を選択することを説明したが、本開示の実施形態は、後続の画像を撮像するための視点を選択するための他の基準を利用してもよい。
【0055】
図4は、本開示の実施形態による、関心領域の後続の画像の受信に基づいてモデルを更新する方法400の流れ図を示す。方法400は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、プロセッサ、処理装置、中央処理装置(CPU)、システムオンチップ(SoC)など)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で命令の実行/実行中の命令)、ファームウェア(例えば、マイクロコード)、またはそれらの組み合わせからなる処理ロジックによって実行されてよい。実施形態では、方法400の様々な部分は、
図1A-1Cで先に説明したような放射線照射システムの処理装置の処理ロジックによって実行することができる。
【0056】
図4に示す方法400は、様々な実施形態によって使用される例示的な機能を示している。方法400において特定の機能ブロック(「ブロック」)が開示されているが、これらのブロックは例である。すなわち、実施形態は、方法400で詳述されたブロックの様々な他のブロックまたは変形を実行することによく適している。方法400のブロックは、提示されたものとは異なる順序で実行されてもよく、方法400のブロックの総てが実行されるとは限らないことが分かる。
【0057】
方法400はブロック410で始まり、処理ロジックは、撮像システムにROIの後続の画像を撮像させる。後続の画像は、先に
図2で説明したように、第1画像に関連する不確実性値の減少に基づいて選択される視点から撮像することができる。実施形態では、後続の画像は、放射線照射システムによって実行されている治療セッションの間に撮像することができる。
【0058】
ブロック420では、処理ロジックは、撮像システムから後続の画像を受信する。
【0059】
ブロック430において、処理ロジックは、後続の画像に基づいて、ROIに関連する1つ以上のパラメータを含むモデルを更新する。実施形態において、モデルは、
図2のブロック220で生成されたモデルに対応する場合がある。いくつかの実施形態では、モデルの更新は、モデルのパラメータの修正、追加、および/または削除を含む場合がある。例えば、ROI内の放射線感受性構造の位置に関連する追加情報を含む後続の画像を受信すると、処理ロジックは、ROI内の放射線感受性構造の位置に対応するモデルのパラメータを修正する場合がある。
【0060】
図5は、いくつかの実施形態に従って、本明細書に記載される動作の1つ以上を実行することができる例示的なコンピューティングデバイス500のブロック図である。コンピューティングデバイス500は、LAN、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネットにおいて、他のコンピューティングデバイスに接続される場合がある。コンピューティングデバイスは、クライアントサーバネットワーク環境においてはサーバマシンとして、また、ピアツーピアネットワーク環境においてはクライアントとして動作することができる。
コンピューティングデバイスは、パーソナルコンピュータ(PC)、セットトップボックス(STB)、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ、ブリッジ、またはそのマシンによって実行されるべき動作を指定する一連の命令(シーケンシャル、または、その他)を実行する任意のマシンによって提供されることができる。さらに、単一のコンピューティングデバイスのみが図示されているが、用語「コンピューティングデバイス」は、本明細書で説明される方法を実行するために命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行するコンピューティングデバイスの集合体を含むと解釈される。
【0061】
例として示されるコンピューティングデバイス500は、処理装置(例えば、汎用プロセッサ、PLDなど)502、主記憶装置504(例えば、シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセスメモリ(SDRAM)、読み取り専用メモリ(ROM))、スタティックメモリ506(例えば、フラッシュメモリおよびデータ記憶装置518)を含む場合があり、これらはバス530を介して互いに通信する場合がある。
【0062】
処理装置502は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つ以上の汎用処理装置によって提供される場合がある。具体的な例として、処理装置502は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットまたは命令セットの組み合わせを実装するプロセッサからなる場合がある。処理装置502はまた特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つ以上の特定用途向け処理装置から構成されることができる。処理装置502は、本開示の1つ以上の態様に従って、本明細書で説明される動作およびステップを実行するために構成されることができる。
【0063】
コンピューティングデバイス500は、ネットワーク520と通信することができるネットワークインターフェース装置508をさらに含むことができる。また、コンピューティングデバイス500は、映像表示装置(例えば、液晶表示装置(LCD)または陰極線管(CRT))、英数字入力装置(例えば、キーボード)、カーソル制御装置(例えば、マウス)および音響信号発生装置(例えば、スピーカー)を含むことができる。一実施形態では、映像表示装置、英数字入力装置およびカーソル制御装置は、単一のコンポーネントまたは装置(例えば、液晶タッチパネル)に組み合わされることがある。
【0064】
データ記憶装置518は、1つ以上の命令集合を記憶することができるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(たとえば、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体)528であって、本開示の1つ以上の態様に従って本明細書に記載された演算を実行するための視点選択手順525を格納できる記憶媒体528を含むことができる。主記憶装置504および処理装置502はまたコンピュータ読み取り可能な媒体を構成し、命令は、コンピューティングデバイス500によるその実行中に、全部または一部が、主記憶装置504内および/または処理装置502内に存在することがある。命令はさらに、ネットワークインターフェース装置508を介してネットワーク520経由で送信または受信することもできる。
【0065】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体528は、単一の媒体であることが例示的に示されているが、用語「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、1つ以上の命令集合を記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベースおよび/または関連キャッシュおよびサーバ)を含むとみなす必要がある。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」という用語は、マシンによる実行のための集合命令を記憶、符号化または担持することができ、マシンに本明細書に記載の方法を実行させる任意の媒体を含むものとする。「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」という用語は、それに応じて、固体メモリ、光学媒体および磁気媒体を含むが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書に記載された方法および装置は、医用画像診断装置および治療にのみ使用することに限定されないことに留意すべきである。代替的な実施形態では、本明細書の方法および装置は、産業用画像処理および材料の非破壊検査など、医療技術分野以外の用途に使用することもできる。そのような用途において、例えば、「治療」は、ビーム(例えば、放射線、音響など)の適用など、治療計画システムによって制御される操作の実行を一般的に指すことがあり、「標的」は、非解剖学的な物体または領域を指す場合がある。
【0067】
前述した説明では、本発明の実施形態を理解しやすくするために、特定のシステム、コンポーネント、方法などの具体例を複数示しているが、当業者であればこれらの具体例の説明がなくても本発明を実施しうる。
また、公知のコンポーネントや方法はその詳細が省略されていたり、単純なブロック図の形式で示されることがあるが、これは本発明の理解を容易にするためである。したがって、開示された内容は単に例示であり、一事例は他の例示と異なる場合があっても、本発明の範囲内に含まれる場合がある。
【0068】
本明細書において「一実施形態」または「実施形態」という表現が使用される場合、それらの実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書のいくつかの箇所で「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が現れている場合、必ずしも同じ実施形態を示すものではない。
【0069】
ここで説明されている方法の操作は特定の順序で示されているが、各方法の操作の順序は変更されることがあり、特定の操作を逆順で行ってもよいし、少なくとも一部の操作を他の操作と同時に行ってもよい。異なる操作の指示または補助的な操作は、断続的または交互に行うことができる。
【0070】
上記の本発明に関する実施形態の説明は、その抽象的な概念説明を含め本発明をこれらに限定するものではない。本明細書において説明された実施形態や具体例は、本発明の説明の目的で記載されるものであり、本件技術分野における当業者が認識する範囲で種々の同等な変更を行うことができる。
ここで使用される「例」または「例示的」の語は、事例または例示として役立つように使用されている。「例」または「例示的」と説明された態様や造形がどのようなものであっても他の態様や造形に対して優れたものとして解釈されるべきではない。「例」または「例示的」という用語の使用は、概念を具体的な形で示すことを意図している。
本明細書において使用される「または」の用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」として解釈されることを意図している。つまり、特に指定されていない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」という表現は、自然な包括的な並び替えのいずれかを意味する。つまり、XがAを含む場合、XがBを含む場合、あるいはXがAとBの両方を含む場合、すべての前述の場合において、「X はAまたはBを含む」という条件を満たすものとする。
さらに、本明細書および添付された特許請求の範囲の請求項で使用される冠詞「a」と「an」は、特に指定されていない限り、文脈から単数形であることが明らかでない場合には「1つまたは複数」を意味するものと解釈される。
さらに、明細書において「第1」、「第2」、「第3」、「第4」のような用語が使用される場合、これらの用語は異なる要素を区別するためのラベルとして使用されるもので、数字の指定に従って必ずしも順序を示すものではない。