(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ジョイントボックス及びユニットケーブル
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240319BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20240319BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02G3/04
H02G3/08
H01B7/00 305
(21)【出願番号】P 2020076515
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592189860
【氏名又は名称】住友電工産業電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐野 偉幸
(72)【発明者】
【氏名】河村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】戸田 賢治
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-327034(JP,A)
【文献】特開平09-247822(JP,A)
【文献】実開昭63-156520(JP,U)
【文献】特開昭47-044179(JP,A)
【文献】特開平07-087652(JP,A)
【文献】特開平09-284973(JP,A)
【文献】特開2018-196218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/08
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に設けられた開口を備えた周壁部と、
前記周壁部から前記周壁部の内側の空間に向けて突出する突出部と、
を有し、
前記周壁部に、当該周壁部を厚さ方向で貫通する第1孔が形成され、
前記突出部は、前記周壁部の前記一方の端部と他方の端部とを結ぶ第1方向において、前記第1孔と前記開口との間に位置するジョイントボックス。
【請求項2】
前記第1孔は、前記周壁部に一対形成されている請求項1に記載のジョイントボックス。
【請求項3】
前記周壁部の前記他方の端部は閉塞されている請求項1または請求項2に記載のジョイントボックス。
【請求項4】
前記周壁部は、
第1内側面を備えた収容部と、
前記第1内側面に対向する第2内側面を備えた蓋部と、
を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のジョイントボックス。
【請求項5】
前記突出部は、前記第1内側面から前記第2内側面に向けて突出する請求項4に記載のジョイントボックス。
【請求項6】
前記突出部は、前記第2内側面から前記第1内側面に向けて突出する請求項4に記載のジョイントボックス。
【請求項7】
前記一方の端部側から視たときに、前記開口は前記突出部により2分割されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のジョイントボックス。
【請求項8】
前記突出部に、当該突出部を突出方向で貫通する第3孔が形成されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のジョイントボックス。
【請求項9】
前記周壁部に、当該周壁部を厚さ方向で貫通する第2孔が形成され、
前記第1孔は、前記第1方向において、前記第2孔と前記突出部との間に位置する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のジョイントボックス。
【請求項10】
前記第2孔は、前記周壁部に一対形成されている請求項9に記載のジョイントボックス。
【請求項11】
一方の端部に設けられた開口を備えた周壁部と、
前記周壁部から前記周壁部の内側の空間に向けて突出するひとつの突出部と、
を有するジョイントボックス
と、
前記周壁部の内側の空間に収容された複数本のケーブルと、
前記周壁部の前記一方の端部と他方の端部とを結ぶ第1方向において、前記突出部と前記他方の端部との間で前記複数本のケーブルを結束する結束部材と、
を有するユニットケーブル。
【請求項12】
結束された複数本のケーブルが、前記突出部を跨いで前記周壁部の内側の空間に収容される請求項11に記載の
ユニットケーブル。
【請求項13】
前記複数本のケーブルは、前記周壁部の前記一方の端部と他方の端部とを結ぶ第1方向において、前記突出部と前記他方の端部との間で結束される請求項12に記載の
ユニットケーブル。
【請求項14】
前記突出部は、前記第1方向と前記突出部が突出する方向とに直交する方向において、前記複数本のケーブルに含まれる少なくとも1本のケーブルと他の少なくとも1本のケーブルとにより挟まれる請求項13に記載の
ユニットケーブル。
【請求項15】
前記複数本のケーブルに含まれる少なくとも1本のケーブルが前記突出部に接触する請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の
ユニットケーブル。
【請求項16】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のジョイントボックスと、
前記周壁部の内側の空間に収容された複数本のケーブルと、
前記第1孔に挿通され、前記複数本のケーブルを結束して前記周壁部に固定する第1結束部材と、
を有するユニットケーブル。
【請求項17】
請求項9または請求項10に記載のジョイントボックスと、
前記周壁部の内側の空間に収容された複数本のケーブルと、
前記第1孔に挿通され、前記複数本のケーブルを結束して前記周壁部に固定する第1結束部材と、
前記第2孔に挿通され、前記複数本のケーブルを結束して前記周壁部に固定する第2結束部材と、
を有するユニットケーブル。
【請求項18】
前記複数本のケーブルは、前記第1結束部材によって前記第2結束部材よりも密に結束されている請求項17に記載のユニットケーブル。
【請求項19】
前記複数本のケーブルは、前記第2結束部材によって前記第1結束部材よりも密に結束されている請求項17に記載のユニットケーブル。
【請求項20】
請求項1から請求項1
0のいずれか1項に記載のジョイントボックスと、
前記周壁部の内側の空間に収容された複数本のケーブルと、
前記周壁部の前記一方の端部と他方の端部とを結ぶ第1方向において、前記突出部と前記他方の端部との間で前記複数本のケーブルを結束する結束部材と、
を有するユニットケーブル。
【請求項21】
前記複数本のケーブルに含まれる少なくとも1本のケーブルが前記突出部に接触する請求項1
1から請求項20のいずれか1項に記載のユニットケーブル。
【請求項22】
前記突出部は、前記第1方向と前記突出部が突出する方向とに直交する方向において、前記複数本のケーブルに含まれる少なくとも1本のケーブルと他の少なくとも1本のケーブルとにより挟まれている請求項1
1から請求項21のいずれか1項に記載のユニットケーブル。
【請求項23】
前記複数本のケーブルは、VVFケーブル又はEEFケーブルを含む請求項1
1から請求項22のいずれか1項に記載のユニットケーブル。
【請求項24】
前記複数本のケーブルは、接地線付きVVFケーブル又は接地線付きEEFケーブルを含む請求項1
1から請求項23のいずれか1項に記載のユニットケーブル。
【請求項25】
前記複数本のケーブルは、CuクラッドAl線を含む請求項1
1から請求項24のいずれか1項に記載のユニットケーブル。
【請求項26】
一方の端部に設けられた開口を備えた周壁部と、前記周壁部から前記周壁部の内側の空間に向けて突出する突出部と、を有し、前記周壁部に、当該周壁部を厚さ方向で貫通する一対の第1孔が形成され、前記突出部は、前記周壁部の前記一方の端部と他方の端部とを結ぶ第1方向において、前記一対の第1孔と前記開口との間に位置するジョイントボックスと、
前記周壁部の内側の空間に収容された複数本のケーブルと、
前記一対の第1孔に挿通され、前記複数本のケーブルを結束して前記周壁部に固定する結束部材と、
を有し、
前記周壁部は、
第1内側面を備えた収容部と、
前記第1内側面に対向する第2内側面を備えた蓋部と、
を有し、
前記突出部は、前記第1内側面から前記第2内側面に向けて突出し、
前記複数本のケーブルに含まれる少なくとも1本のケーブルが前記突出部に接触するユニットケーブル。
【請求項27】
前記周壁部は、
第1内側面を備えた収容部と、
前記第1内側面に対向する第2内側面を備えた蓋部と、
を有し、
前記突出部に、当該突出部を突出方向で貫通する第3孔が形成され、
前記蓋部に、前記第3孔と連通する第4孔が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のジョイントボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジョイントボックス及びユニットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の結束部材を用いて複数本のケーブルを2段階に結束し、ジョイントボックスに固定したユニットケーブルが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のユニットケーブルでは、ケーブルを結束部材のみで支持していることから、ケーブルに大きな力が作用すると、ケーブルがダメージを受けてしまう可能性がある。また、ケーブルに大きな力が作用すると、ジョイントボックスと結合された結束部材に対して大きな力が加わる。その結果、結束部材が伸びてしまったり、切れてしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、改良されたジョイントボックス及びユニットケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のジョイントボックスは、一方の端部に設けられた開口を備えた周壁部と、前記周壁部から前記周壁部の内側の空間に向けて突出する突出部と、を有し、前記周壁部に、当該周壁部を厚さ方向で貫通する第1孔が形成され、前記突出部は、前記周壁部の前記一方の端部と他方の端部とを結ぶ第1方向において、前記第1孔と前記開口との間に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、結束部材の切断を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るジョイントボックスの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るジョイントボックスを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るジョイントボックスの収容部を示す正面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るジョイントボックスを示す下面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るユニットケーブルを示す正面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るユニットケーブルを示す下面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係るユニットケーブルの設置例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例に係るジョイントボックスの収容部を示す正面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の変形例に係るユニットケーブルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係るジョイントボックスは、一方の端部に設けられた開口を備えた周壁部と、前記周壁部から前記周壁部の内側の空間に向けて突出する突出部と、を有し、前記周壁部に、当該周壁部を厚さ方向で貫通する第1孔が形成され、前記突出部は、前記周壁部の前記一方の端部と他方の端部とを結ぶ第1方向において、前記第1孔と前記開口との間に位置する。
【0012】
ジョイントボックス内に収容される複数本のケーブルは、第1孔に挿通される第1結束部材により結束されて周壁部に固定され、開口からジョイントボックスの外部に引き出される。第1方向において、第1孔と開口との間に突出部が設けられているため、ケーブルは突出部に接触し、ケーブルと突出部との間に摩擦力が生じる。このため、外部からケーブルに力が作用しても、その力は第1結束部材だけでなく突出部にも作用する。この結果、第1結束部材にかかる荷重を緩和できる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記第1孔は、前記周壁部に一対形成されていてもよい。この場合、結束部材を環状にして周壁部に固定しやすい。
【0014】
〔3〕 〔1〕または〔2〕において、前記周壁部の前記他方の端部は閉塞されていてもよい。この場合、周壁部の内側の空間への異物の侵入を抑制しやすい。
【0015】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記周壁部は、第1内側面を備えた収容部と、前記第1内側面に対向する第2内側面を備えた蓋部と、を有してもよい。この場合、ケーブルをジョイントボックス内に収容しやすく、結束部材をケーブルに取り付けやすい。
【0016】
〔5〕 〔4〕において、前記突出部は、前記第1内側面から前記第2内側面に向けて突出してもよい。この場合、複数本のケーブルを収容部内に収容しやすい。
【0017】
〔6〕 〔4〕において、前記突出部は、前記第2内側面から前記第1内側面に向けて突出してもよい。この場合、収容部及び蓋部を形成しやすいことがある。
【0018】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記一方の端部側から視たときに、前記開口は前記突出部により2分割されていてもよい。この場合、ケーブルと突出部との間の接触面積を大きく確保しやすい。
【0019】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記突出部に、当該突出部を突出方向で貫通する第3孔が形成されていてもよい。この場合、ビスやボルトを、第3孔を通して家屋の梁等に対して取り付けることで、ジョイントボックスを固定できる。
【0020】
〔9〕 〔1〕~〔8〕において、前記周壁部に、当該周壁部を厚さ方向で貫通する第2孔が形成され、前記第1孔は、前記第1方向において、前記第2孔と前記突出部との間に位置してもよい。この場合、複数本のケーブルをより強固に結束し、より強固に周壁部に固定しやすい。
【0021】
〔10〕 〔9〕において、前記第2孔は、前記周壁部に一対形成されていてもよい。
【0022】
〔11〕 本開示の他の一態様に係るジョイントボックスは、一方の端部に設けられた開口を備えた周壁部と、前記周壁部から前記周壁部の内側の空間に向けて突出する突出部と、を有する。この場合、ジョイントボックス内に収容される複数本のケーブルは、結束部材により結束されて周壁部に固定され、開口からジョイントボックスの外部に引き出される。突出部が設けられているため、結束部材により結束されたケーブルは突出部に接触し、ケーブルと突出部との間に摩擦力が生じる。このため、外部からケーブルに力が作用しても、その力は結束部材だけでなく突出部にも作用する。この結果、結束部材にかかる荷重を緩和できる。
【0023】
〔12〕 本開示の他の一態様に係るユニットケーブルは、〔1〕~〔10〕のいずれかのジョイントボックスと、前記周壁部の内側の空間に収容された複数本のケーブルと、前記第1孔に挿通され、前記複数本のケーブルを結束して前記周壁部に固定する第1結束部材と、を有する。この場合、外部からケーブルに力が作用しても、その力は第1結束部材だけでなく突出部にも作用する。この結果、第1結束部材にかかる荷重を緩和できる。
【0024】
〔13〕 本開示の他の一態様に係るユニットケーブルは、〔9〕または〔10〕のジョイントボックスと、前記周壁部の内側の空間に収容された複数本のケーブルと、前記第1孔に挿通され、前記複数本のケーブルを結束して前記周壁部に固定する第1結束部材と、前記第2孔に挿通され、前記複数本のケーブルを結束して前記周壁部に固定する第2結束部材と、を有する。この場合、外部からケーブルに力が作用しても、その力は第1、第2結束部材だけでなく突出部にも作用する。この結果、第1、第2結束部材にかかる荷重を緩和できる。
【0025】
〔14〕 〔13〕において、前記複数本のケーブルは、前記第1結束部材によって前記第2結束部材よりも密に結束されていてもよい。この場合、ケーブルをより強固に突出部に接触させやすい。
【0026】
〔15〕 〔13〕において、前記複数本のケーブルは、前記第2結束部材によって前記第1結束部材よりも密に結束されていてもよい。この場合、複数本のケーブルを収容部に収容させやすい。
【0027】
〔16〕 〔12〕~〔15〕において、前記複数本のケーブルに含まれる少なくとも1本のケーブルが前記突出部に接触してもよい。この場合、第1結束部材に作用する力を緩和しやすい。
【0028】
〔17〕 〔12〕~〔16〕において、前記突出部は、前記第1方向と前記突出部が突出する方向とに直交する方向において、前記複数本のケーブルに含まれる少なくとも1本のケーブルと他の少なくとも1本のケーブルとにより挟まれていてもよい。この場合、より多くのケーブルを突出部に接触させやすい。
【0029】
〔18〕 〔12〕~〔15〕において、前記複数本のケーブルは、VVFケーブル又はEEFケーブルを含んでもよい。
【0030】
〔19〕 〔12〕~〔15〕において、前記複数本のケーブルは、接地線付きVVFケーブル又は接地線付きEEFケーブルを含んでもよい。この場合、接地線をシースから容易に分離できる。
【0031】
〔20〕 〔12〕~〔15〕において、前記複数本のケーブルは、CuクラッドAl線を含んでもよい。この場合、軽量化が図れる。
【0032】
〔21〕 本開示の他の一態様に係るユニットケーブルは、一方の端部に設けられた開口を備えた周壁部と、前記周壁部から前記周壁部の内側の空間に向けて突出する突出部と、を有し、前記周壁部に、当該周壁部を厚さ方向で貫通する一対の第1孔が形成され、前記突出部は、前記周壁部の前記一方の端部と他方の端部とを結ぶ第1方向において、前記一対の第1孔と前記開口との間に位置するジョイントボックスと、前記周壁部の内側の空間に収容された複数本のケーブルと、前記一対の第1孔に挿通され、前記複数本のケーブルを結束して前記周壁部に固定する結束部材と、を有し、前記周壁部は、第1内側面を備えた収容部と、前記第1内側面に対向する第2内側面を備えた蓋部と、を有し、前記突出部は、前記第1内側面から前記第2内側面に向けて突出し、前記複数本のケーブルに含まれる少なくとも1本のケーブルが前記突出部に接触する。
【0033】
複数本のケーブルは、第1結束部材により結束されて周壁部に固定され、開口からジョイントボックスの外部に引き出される。第1方向において、一対の第1孔と開口との間に突出部が設けられているため、ケーブルは突出部に接触し、ケーブルと突出部との間に摩擦力が生じる。このため、外部からケーブルに力が作用しても、その力は第1結束部材だけでなく突出部にも作用する。この結果、第1結束部材にかかる荷重を緩和できる。
【0034】
〔22〕 〔1〕~〔3〕において、前記周壁部は、第1内側面を備えた収容部と、前記第1内側面に対向する第2内側面を備えた蓋部と、を有してもよい。前記突出部に、当該突出部を突出方向で貫通する第3孔が形成されていてもよい。前記蓋部に、前記第3孔と連通する第4孔が形成されていてもよい。この場合、ビスやボルトを、第3孔及び第4孔を通して家屋の梁等に対して取り付けることで、ジョイントボックスを固定できる。
【0035】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。各図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定されている。
【0036】
(第1実施形態)
第1実施形態は、ユニットケーブルに用いられるジョイントボックスに関する。
図1は、第1実施形態に係るジョイントボックスの外観を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係るジョイントボックスを示す分解斜視図である。
図3は、第1実施形態に係るジョイントボックスの収容部を示す正面図である。
図4は、第1実施形態に係るジョイントボックスを示す下面図である。
【0037】
図1~
図4に示すように、第1実施形態に係るジョイントボックス100は、直方体状の形状を備える。ジョイントボックス100は、収容部110と蓋部120とを有する。
【0038】
収容部110は、互いに平行に配置された長方形板状の第1壁部111と第2壁部112とを有する。第1壁部111は、第2壁部112側の第1主面111Aと、第1主面111Aとは反対側の第2主面111Bとを有する。第2壁部112は、第1壁部111側の第1主面112Aと、第1主面112Aとは反対側の第2主面112Bとを有する。第1主面111A、第2主面111B、第1主面112A及び第2主面112BはY軸方向に垂直である。第1主面111Aと第1主面112Aとは互いに対向している。例えば、第2壁部112が第1壁部111のY軸方向正側に位置する。
【0039】
収容部110は、第1壁部111及び第2壁部112のX軸方向の一方の端部同士をつなぐ長方形板状の第3壁部113を有する。第3壁部113は、第1主面111A及び112Aにつながる第1主面113Aと、第1主面113Aとは反対側の第2主面113Bとを有する。第2主面113Bは、第2主面111B及び112Bにつながる。第1主面113A及び第2主面113Bは、X軸方向に垂直である。
【0040】
第1主面111A、112A及び113Aが収容部110の内側面であり、第2主面111B、112B及び113Bが収容部110の外側面である。第1主面113Aは第1内側面の一例である。
【0041】
収容部110は、第1壁部111、第2壁部112及び第3壁部113のZ軸方向の一方の端部同士をつなぐ長方形板状の第4壁部114を有する。第4壁部114は、第1主面111A、112A及び113Aにつながる第1主面114Aと、第1主面114Aとは反対側の第2主面114Bとを有する。第2主面114Bは、第2主面111B、112B及び113Bにつながる。第1主面114A及び第2主面114Bは、Z軸方向に垂直である。第1壁部111、第2壁部112及び第3壁部113のZ軸方向の他方の端部は開放されている。
【0042】
第3壁部113は、第1壁部111、第2壁部112及び第4壁部114のX軸方向の一方の端部同士をつないでいる。第1壁部111、第2壁部112及び第4壁部114のX軸方向の他方の端部は開放されている。
【0043】
蓋部120は、長方形板状の形状を有し、第1壁部111、第2壁部112及び第4壁部114のX軸方向の開放された端部に固定される。また、蓋部120には、孔120Xが形成されている。蓋部120を固定する方法は限定されず、例えば、接着剤により接着されてもよく、ねじ止めが行われてもよい。蓋部120は、収容部110に取り付けられたときに第3壁部113の第1主面113Aに対向する第1主面120Aと、第1主面120Aとは反対側の第2主面120Bとを有する。第1主面120Aは第2内側面の一例である。蓋部120が収容部110に取り付けられたとき、蓋部120の孔120Xは、後述する収容部110の貫通孔130Xと連通する。孔120Xは第4孔の一例である。
【0044】
収容部110の第1壁部111、第2壁部112及び第3壁部113と蓋部120とにより周壁部101が構成される。蓋部120が収容部110に取り付けられると、周壁部101の第4壁部114側のX軸方向の端部は閉塞される。一方、蓋部120が取り付けられても、周壁部101の第4壁部114とは反対側のX軸方向の端部は開放されている。すなわち、周壁部101には、この端部に開口102が設けられている。
【0045】
収容部110は、第3壁部113の第1主面113Aから蓋部120の第1主面120Aに向けて突出する突出部130を有する。突出部130は第3壁部113と一体に形成されている。例えば、突出部130は円柱状の形状を有し、X軸方向からの平面視で突出部130の形状は円形状である。突出部130には、突出部130が突出する方向で、ここではX軸方向で突出部130を貫通する貫通孔130Xが形成されている。貫通孔130Xは第3孔の一例である。
【0046】
図4に示すように、開口102側からのZ軸方向の平面視で、開口102は突出部130により2分割されている。すなわち、開口102は、開口102側からのZ軸方向の平面視で、突出部130と第1壁部111との間のサブ開口102Aと、突出部130と第2壁部112との間のサブ開口102Bとを有する。
【0047】
第3壁部113に、Z軸方向において開口102から離間して、第3壁部113を厚さ方向で、ここではX軸方向で貫通する一対の貫通孔113Xが形成されている。突出部130は、周壁部101の両端部を結ぶ方向、ここではZ軸方向において、一対の貫通孔113Xと開口102との間に位置する。詳細は後述するが、周壁部101の内側の空間に複数本のケーブルが収容され、これら複数本のケーブルを結束した結束部材が一対の貫通孔113Xに挿通され、複数本のケーブルが周壁部101に固定される。貫通孔113Xは第1孔の一例である。
【0048】
第4壁部114の第2主面114Bに、ジョイントボックス100を家屋の梁、天井等に固定するための係止部115が、第1壁部111、第2壁部112、第3壁部113及び第4壁部114と一体に形成されている。係止部115には、係止部115を、例えばX軸方向に貫通する取付穴115Xが形成されている。
【0049】
詳細は後述するが、ジョイントボックス100は次のような効果を有する。ジョイントボックス100内に収容される複数本のケーブルは、貫通孔113Xに挿通される結束部材により結束されて周壁部101に固定され、開口102からジョイントボックス100の外部に引き出される。Z軸方向において、貫通孔113Xと開口102との間に突出部130が設けられているため、ケーブルは突出部130に接触し、ケーブルと突出部130との間に摩擦力が生じる。このため、外部からケーブルに力が作用しても、その力は結束部材だけでなく突出部130にも作用する。この結果、結束部材にかかる荷重を緩和できる。したがって、結束部材の伸びや切断を抑制できる。
【0050】
なお、ジョイントボックス100の形状は直方体状でなくてもよい。例えば、ジョイントボックス100が、直方体の一部の隅にR加工が施された形状を有していてもよい。
【0051】
(第2実施形態)
第2実施形態は、ユニットケーブルに関する。
図5は、第2実施形態に係るユニットケーブルを示す正面図である。
図6は、第2実施形態に係るユニットケーブルを示す下面図である。
図5では、収容部110内のケーブルの配置を示すため、蓋部120の図示が省略されている。
【0052】
図5及び
図6に示すように、第2実施形態に係るユニットケーブル200は、第1実施形態に係るジョイントボックス100と、周壁部101の内側の空間に収容された複数本、この例では6本のケーブル210とを有する。6本のケーブル210には、例えばVVF(vinyl insulated vinyl sheathed flat-type cable)ケーブルが含まれる。6本のケーブル210にEEF(polyethylene insulated polyethylene sheathed flat-type cable)ケーブルが含まれてもよい。6本のケーブル210に接地線付きVVFケーブル又は接地線付きEEFケーブルが含まれてもよい。6本のケーブル210にCuクラッドAl線が含まれてもよい。6本のケーブル210は、互いに平行に配置しており、6本のケーブル210の電線は複数個、ここでは4個の電線コネクタ220で回路結線されている。電線コネクタ220としては、差込形コネクタや、リングスリーブと絶縁チューブとの組合せを採用することができる。
【0053】
ユニットケーブル200は、6本のケーブル210を結束する結束部材230を有する。結束部材230は、6本のケーブル210を結束しつつ、第3壁部113に形成された一対の貫通孔113Xに挿通され、周壁部101の外側で締められている。結束部材230によって6本のケーブル210が結束されているため、各ケーブル210は少なくとも1本の他のケーブル210に接触する。このようにして、6本のケーブル210は結束部材230によって結束され、周壁部101に固定されている。結束部材230は第1結束部材の一例である。
【0054】
上述のように、Z軸方向において、一対の貫通孔113Xと開口102との間に突出部130が設けられている。6本のケーブル210は、Z軸方向において、結束部材230が4個の電線コネクタ220と突出部130との間に位置するように収容部110に配置される。6本のケーブル210は、例えば3本ずつ2つの組に分けられ、一方の組が開口102のサブ開口102Aを通じてジョイントボックス100の外部に引き出され、他方の組がサブ開口102Bを通じてジョイントボックス100の外部に引き出されている。突出部130を基準として、6本のケーブル210は開口102とは反対側で結束部材230により結束されている。このため、各ケーブル210には、Y軸方向で突出部130に向かう力が作用する。従って、3本ずつの各組において、少なくとも1本のケーブル210が突出部130に直接接触し、突出部130に押し付けられている。従って、当該ケーブル210と突出部130との間には大きな摩擦力が生じる。また、突出部130に直接接触しないケーブル210にも、他のケーブル210を介して突出部130との間に大きな摩擦力が生じる。
【0055】
従って、ユニットケーブル200において、6本のケーブル210のいずれかにジョイントボックス100から引き抜く方向の力が作用したとしても、当該ケーブル210には、突出部130との間の大きな摩擦力が直接的又は間接的に逆向き作用する。このため、当該ケーブル210をジョイントボックス100から抜けにくくすることができる。また、この摩擦力によって、結束部材230に作用する力が低減される。従って、結束部材230の破断を抑制することもできる。
【0056】
突出部130が、第1壁部111、第2壁部112及び第3壁部113を備えた収容部110に設けられているため、ユニットケーブル200を組み立てる際に、6本のケーブル210を所定の位置に配置させやすい。ただし、突出部130は、収容部110ではなく、蓋部120に設けられていてもよい。すなわち、突出部130が蓋部120と一体に形成されていてもよい。この場合、例えば、突出部130は蓋部120の第1主面120Aから第3壁部113の第1主面113Aに向けて突出する。収容部110及び蓋部120の形状によっては、突出部130が蓋部120に設けられている方が、収容部110及び蓋部120を形成しやすいことがある。
【0057】
第3壁部113に一対の貫通孔113Xが形成されているため、結束部材230を環状にして周壁部101に固定しやすい。
【0058】
周壁部101の開口102とは反対側の端部が第4壁部114により閉塞されているため、周壁部101の内側の空間への異物の侵入を抑制しやすい。
【0059】
ジョイントボックス100が収容部110と蓋部120とを備えているため、ケーブル210をジョイントボックス100内に収容しやすく、結束部材230をケーブル210に取り付けやすい。
【0060】
Y軸方向において、サブ開口102Aを通じて引き出されるケーブル210とサブ開口102Bを通じて引き出されるケーブル210とにより突出部130が挟まれているため、より多くのケーブル210を突出部130に接触させやすい。
【0061】
6本のケーブル210に、VVFケーブル、EEFケーブルが含まれていてもよい。6本のケーブル210に、接地線付きVVFケーブル、接地線付きEEFケーブルが含まれていてもよい。接地線付きVVFケーブルや接地線付きEEFケーブルは、例えば特開2017-183103号公報、特開2017-220317号公報、特開2019-33049号公報、特開2019-33050号公報、特開2014-220073号公報、特開2013-152936号公報、特開2011-181231号公報に開示されているが、これらに開示されている接地線付きVVFケーブルや接地線付きEEFケーブルに限定されない。6本のケーブル210は、少なくともその1本が、CuクラッドAl線の導体を含んでいてもよい。CuクラッドAl線を用いた平型ケーブルは例えば特開2018-45855号公報、特開2015-103366号公報に開示されているが、これらに開示されているCuクラッドAl線に限定されない。
【0062】
ここで、ユニットケーブル200の設置例について説明する。
図7は、第2実施形態に係るユニットケーブルの設置例を示す図である。
【0063】
ユニットケーブル200を家屋に設置する際には、例えば、ビスやボルトが取付穴115Xを通るように、ユニットケーブル200が梁や天井に対してビスやボルトで取り付けられる。その後、必要に応じて、他のビスやボルトが貫通孔130Xを通るように、ユニットケーブル200が梁や天井に対してビスやボルトで取り付けられる。なお、貫通孔130Xの内面に雌ねじを形成して置き、雄ねじを螺合させてもよい。このようにして、ユニットケーブル200を家屋に固定する。その上で、
図7に示すように、サブ開口102Aを通じて引き出されたケーブル210は、第2壁部112側に向かうようにして敷設される。同様に、サブ開口102Bを通じて引き出されたケーブル210は、第1壁部111側に向かうようにして敷設される。これは、ケーブル210と突出部130との接触面積を大きく確保し、より大きな摩擦力を得るためである。
【0064】
(変形例)
Z軸方向において、6本のケーブル210が2箇所で結束させて周壁部101に固定されてもよい。
図8は、第1実施形態の変形例に係るジョイントボックスの収容部を示す正面図である。
図9は、第2実施形態の変形例に係るユニットケーブルを示す正面図である。
図9では、収容部110内のケーブルの配置を示すため、蓋部120の図示が省略されている。
【0065】
この変形例では、
図8に示すように、第3壁部113に、Z軸方向において開口102から離間して、第3壁部113を厚さ方向で、ここではX軸方向で貫通する一対の貫通孔113Yが形成されている。一対の貫通孔113Xは、Z軸方向において、一対の貫通孔113Yと突出部130との間に位置する。6本のケーブル210は、結束部材230だけでなく、結束部材240によっても結束されている。結束部材240は、一対の貫通孔113Yに挿通され、周壁部101の外側で締められている。貫通孔113Yは第2孔の一例であり、結束部材240は第2結束部材の一例である。
【0066】
この変形例によれば、6本のケーブル210をより強固に結束し、周壁部101により強固に固定することができる。また、第3壁部113に一対の貫通孔113Yが形成されているため、結束部材240を環状にして周壁部101に固定しやすい。
【0067】
6本のケーブル210は、結束部材230によって結束部材240よりも密に結束されていてもよく、結束部材240によって結束部材230よりも密に結束されていてもよい。結束部材230によって結束部材240よりも密に結束されている場合、つまり、結束部材230が形成する環の面積が、結束部材240が形成する環の面積よりも小さい場合、ケーブル210をより強固に突出部130に接触させやすい。結束部材240によって結束部材230よりも密に結束されている場合、つまり、結束部材240が形成する環の面積が、結束部材230が形成する環の面積よりも小さい場合、ケーブル210を収容部110に収容させやすい。
【0068】
なお、結束部材230及び240は、6本のケーブル210のすべてを結束しているが、6本のケーブル210を複数の組に分け、結束部材230又は240よりも開口102から離間する位置で各組を結束する他の結束部材が含まれてもよい。例えば、サブ開口102Aを通じて引き出される3本のケーブル210が結束部材で結束され、サブ開口102Bを通じて引き出される3本のケーブル210が結束部材で結束され、これらがまとめて結束部材230及び240により結束されてもよい。
【0069】
突出部130の側面に、ケーブル210との間の摩擦係数を高めるための表面処理が施されていてもよい。摩擦力をより強化することができる。
【0070】
突出部130の形状は特に限定されない。例えば、突出部130が四角柱状の形状を有してもよい。
【0071】
本開示において、ユニットケーブルに含まれるケーブルの数は特に限定されない。例えば、2本以上5本以下のケーブルが含まれてもよく、7本以上のケーブルが含まれてもよい。
【0072】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。例えば、特定の規格に従ったコネクタ付き多心ケーブルに限らず、種々のコネクタ付き多心ケーブルに適用できる。
【符号の説明】
【0073】
100:ジョイントボックス
101:周壁部
102:開口
102A:サブ開口
102B:サブ開口
110:収容部
111:第1壁部
111A:第1主面
111B:第2主面
112:第2壁部
112A:第1主面
112B:第2主面
113:第3壁部
113A:第1主面
113B:第2主面
113X:貫通孔
113Y:貫通孔
114:第4壁部
114A:第1主面
114B:第2主面
115:係止部
115X:取付穴
120:蓋部
120A:第1主面
120B:第2主面
120X:孔
130:突出部
130X:貫通孔
200:ユニットケーブル
210:ケーブル
220:電線コネクタ
230:結束部材
240:結束部材