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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】繊維巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/048 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B65H67/048 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020138830
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2021175688
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020079077
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591159619
【氏名又は名称】島津産機システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(72)【発明者】
【氏名】村田 茂
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-093521(JP,U)
【文献】実開昭62-150462(JP,U)
【文献】実開昭57-062762(JP,U)
【文献】特開2000-272835(JP,A)
【文献】特開平10-167573(JP,A)
【文献】特開昭58-059745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストランドが巻き取られるコレットと、
前記コレットが取り付けられ、回転可能なタレット盤と、
前記タレット盤に取り付けられたブロックと、
前記ブロックを把持する第1アームおよび第2アームと、
前記第1アームに設けられた第1回転軸と、
前記第2アームに設けられた第2回転軸と、
前記第1アームを第1回転軸を中心として回転させるための動力を与える動力装置と、
前記第1アームの回転に応じて第2アームが回転するための連携機構と、
を備えた繊維巻取り装置。
【請求項2】
前記連携機構が、
前記第1アームに設けられた第1凸部と、
前記第2アームに設けられ、前記ブロックを第1アームと第2アームで把持した状態で第1凸部に接する第2凸部と、
を備えた請求項1に記載の繊維巻取装置。
【請求項3】
前記連携機構が、
前記第1アームに設けられた第3凸部と、
前記第2アームに設けられ、前記ブロックを第1アームと第2アームで把持したときに第3凸部に押される第4凸部と、
を備えた請求項2の繊維巻取装置。
【請求項4】
前記連携機構が、
前記第1回転軸を中心に回転する第1ギヤと、
前記第2回転軸を中心に回転し、前記第1ギヤとかみ合う第2ギヤと、
を備えた請求項1の繊維巻取装置。
【請求項5】
前記タレット盤が円形であり、2つの前記ブロックがタレット盤の中心を対称としてタレット盤の外周部に配置された請求項1から4のいずれかの繊維巻取装置。
【請求項6】
前記タレット盤を回転させるインダクションモータを備えた請求項1から5のいずれかの繊維巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1をはじめとして、ガラス繊維などの繊維を巻き取る装置が開発されている。たとえば、従来の繊維巻取装置は複数本のフィラメント(単繊維)を集束してストランドを形成し、コレットでストランドを巻き取っている。コレットはタレット盤に取り付けられており、タレット盤はモータによって回転させられる。タレット盤の位置決めをしなければコレットでストランドを巻き取れないため、タレット盤の位置決めをする機構が必要になる。
【0003】
たとえば、図14に示すように、タレット盤200に取り付けられたブロック202、そのブロック202の凹部204にはめ込まれる凸部206、凸部206を上下動させるエアシリンダ208を備える。タレット盤200をモータで回転させた後、停止したブロック202の凹部204に向けて凸部206を移動させる。凹部204と凸部206がはめ合わされることで、タレット盤200の位置合わせが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-137222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
凹部204の位置がずれると、凸部206が凹部204にはまらず、タレット盤200の位置合わせができない。凹部204を広げると凸部206を大きくする必要があり、凸部206が凹部204にはめ合わされるときの力を大きくする必要がある。エアシリンダ208が大型化して好ましくない。凹部204の位置ずれを小さくするためにモータの性能を高めると、位置決めするための構成が複雑化したり、高価になったりする。
【0006】
そこで本発明の目的は、簡単な構成でタレット盤の位置合わせができる繊維巻取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決すべく、本発明に係る繊維巻取装置は、以下に述べるような構成を有する。
【0008】
本発明の繊維巻取装置は、ストランドが巻き取られるコレットと、前記コレットが取り付けられ、回転可能なタレット盤と、前記タレット盤に取り付けられたブロックと、前記ブロックを把持する第1アームおよび第2アームと、前記第1アームに設けられた第1回転軸と、前記第2アームに設けられた第2回転軸と、前記第1アームを第1回転軸を中心として回転させるための動力を与える動力装置と、前記第1アームの回転に応じて第2アームが回転するための連携機構とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1アームと第2アームがブロックを把持するだけであり、簡単な構成でタレット盤を位置合わせできる。従来のようにモータの性能を高めたり、エアシリンダを大型化することはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】繊維巻取装置の全体構成を示す図である。
図2】4本のストランドを形成して4つのケーキを形成する図である。
図3】押出装置によってストランドを移動させた図である。
図4】タレット盤を位置決めするための機構を示す図である。
図5】第1アームと第2アームでブロックを把持した図である。
図6】第1アームが回転し、第3凸部が第2凸部に接した図である。
図7】第3凸部が第2凸部を押している図である。
図8】第1把持部と第2把持部がブロックの軌道の外まで移動した図である。
図9図8の状態から第1アームが回転して第3凸部が第4凸部に接した図である。
図10】第3凸部が第4凸部を押している図である。
図11】第1凸部が第2凸部に接した図である。
図12】第1アームに第1ギヤを設け、第2アームに第2ギヤを設けた図である。
図13図12から第1把持部と第2把持部がブロックの軌道の外まで移動した図である。
図14】従来のタレット盤を位置決めするための機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の繊維巻取装置について図面を参照して説明する。複数の実施形態を説明するが、異なる実施形態であっても同じ手段には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0012】
[実施形態1]
図1に示す本願の繊維巻取装置10は、複数本のフィラメント12を集束させるギャザリングシュー14、ストランド16に所定の張力を与えるガイド18、ストランド16の位置を変えるトラバース装置20、ストランド16を巻き取るコレット22、そのコレット22が取り付けられたタレット盤24を備える。
【0013】
フィラメント12は単繊維であり、たとえばガラス繊維またはバサルト繊維などである。ギャザリングシュー14は溝を備えたローラである(図2)。複数本のフィラメント12が1つの溝で集束される。複数本のフィラメント12が集束されることでストランド16が形成される。1本の回転軸26に複数のローラが備えられてもよいし、幅広のローラに複数の溝が備えられてもよい。複数の溝があることで、同時に複数のストランド16が形成できる。
【0014】
ガイド18はギャザリングシュー14とコレット22の間に配置されている。ストランド16がガイド18に接し、ストランド16に張力を与えている。ガイド18は溝を備えたローラまたは櫛歯状の板体である。図2に示すガイド18は溝を備えたローラであり、そのガイド18はストランド16の本数に合わせて備えられる。全てのガイド18が1本の回転軸28に取り付けられている。全てのガイド18が同時に回転する。
【0015】
ガイド18とコレット22の間にトラバース装置20が備えられる。トラバース装置20は回転棒30およびトラバース32を備える。トラバース32は曲線状の線状体である。トラバース32が回転棒30に取り付けられている。ストランド16がトラバース32に押し当てられており、回転棒30が回転することで、ストランド16がトラバース32の形状に沿って移動する。ストランド16がコレット22の回転軸方向に往復する。ストランド16がコレット22に巻き付けられるときに、ストランド16がコレット22の回転軸方向に往復しながら巻き付けられる。
【0016】
コレット22は円筒状または円柱状になっている(図1図2)。コレット22の第1端部34が開放されており、コレット22の第2端部36がタレット盤24側に配置されている。タレット盤24は円盤状、円筒状または円柱状になっている。2つのコレット22はタレット盤24の中心に対して対称な位置に配置されている。一方のコレット22の位置がストランド16の巻き取り位置であり、他方のコレット22の位置がケーキの取り出し位置である。2つのコレット22の間に仕切り板38が備えられている。巻き取り位置にあるコレット22がモータ(図示省略)によって回転される。コレット22にモータの回転軸が取り付けられており、その回転軸を回転可能に保持する軸受けなどの保持部(図示省略)がタレット盤24に取り付けられている。一方のコレット22にケーキ40が形成されると、タレット盤24が回転してコレット22の位置が入れ替えられ、次に他方のコレット22が回転される。1つのコレット22に形成されるケーキ40の数は限定されず、図2に示すように4つのケーキ40が形成されてもよい。
【0017】
コレット22にチューブ42が取り付けられる。チューブ42はコレット22と共に回転する。チューブ42の上にストランド16が巻き取られ、ケーキ40が形成される。1つのチューブ42に1つのケーキ40が形成される。1つのコレット22に形成するケーキ40の数と同じ数のチューブ42がコレット22に取り付けられる。チューブ42は紙製または樹脂製である。
【0018】
ケーキ40の取り出し位置にあるコレット22からケーキ40を取り出すために、受け部材44とその受け部材44を移動させる移動装置46を備える。受け部材44はケーキ40を下方から支持する。移動装置46はサーボモータ、ボールネジまたはエアシリンダなどを備える。移動装置46は、受け部材44をコレット22の回転軸方向に移動させる。受け部材44がケーキ40を支え、ケーキ40とチューブ42を一緒に第1端部34に向けて移動させる。コレット22からケーキ40とチューブ42を取り外すことができる。なお、手作業でケーキ40とチューブ42をコレット22から取り外す場合、受け部材44と移動装置46は省略されてもよい。
【0019】
繊維巻取装置10はガイド18とコレット22の間を走行するストランド16の位置を移動させる押出装置48を備える。押出装置48はストランド16を押す押出バー50とその押出バー50を前後させるエアシリンダを備える。エアシリンダのピストンロッド52に押出バー50が取り付けられている。コレット22にケーキ40が完成してタレット盤24が回転する前に、押出バー50が前進されて、ストランド16がケーキ40の外側に押し出される(図3)。ストランド16がケーキ40に巻きつかず、コレット22の第1端部34の近辺の溝54に巻きつく。タレット盤24が回転すると一方のコレット22の第1端部34の近辺から他方のコレット22の第1端部34の近辺の溝54にストランド16が巻きかえられる。その後、押出バー50が元の位置に戻されることで、他方のコレット22にストランド16が巻き取られる。
【0020】
繊維巻取装置10は水などの液体を噴出するスプレー装置56を備えてもよい(図1)。タレット盤24が回転すると一方のコレット22から他方のコレット22にストランド16が巻きかえられる。その際、一方のコレット22は回転を停止し、他方のコレット22が回転を始めることで、ストランド16が引っ張られ、コレット22の回転差などで乗り移り、巻き付く際のストランド16の折れ曲がりにより切断される。ストランド16が切断されるときに微細になったフィラメント12が飛び散るおそれがある。スプレー装置56でストランド16に液体を吹き付けることで、フィラメント12の飛び散りを防止する。なお、スプレー装置48は必要に応じて設けられる。
【0021】
図1の筐体58の中にタレット盤24を位置決めする機構が収納されている(図4)。また、タレット盤24はモータ60の動力によって回転する。位置決めの機構は、タレット盤24に取り付けられたブロック62、第1アーム64、第2アーム66および動力装置68を備える。
【0022】
2つのブロック62がタレット盤24に取り付けられている。2つのブロック62は、タレット盤24の中心に対して対称な位置に取り付けられている。各ブロック62はタレット盤24の外周近傍に取り付けられている。ブロック62の形状は直方体、立方体など第1アーム64と第2アーム66で把持できる形状であれば限定されない。
【0023】
第1アーム64と第2アーム66はブロック62を把持するための部材である。第1アーム64と第2アーム66がブロック62を把持することで、タレット盤24が固定される。
【0024】
第1アーム64は第1回転軸70、第1把持部72、第1凸部74、第3凸部76および接続部78を備える。第2アーム66は第2回転軸80、第2把持部82、第2凸部84および第4凸部86を備える。
【0025】
第1アーム64は第1回転軸70を中心に回転し、第2アーム66は第2回転軸80を中心に回転する。第1アーム64と第2アーム66は回転することで、第1把持部72と第2把持部82でブロック62を把持したり、ブロック62を放したりできる。
【0026】
第1アーム64が回転すると第2アーム66がそれに応じて回転する。第1アーム64と第2アーム66が連携して回転するための連携機構として第1凸部74、第2凸部84、第3凸部76および第4凸部86が利用される。第1凸部74は第1アーム64が回転したときに第2凸部84を押す。第1把持部72と第2把持部82がブロック62を把持した状態では、第1凸部74と第2凸部84が接した状態になっている。第3凸部76は第1アーム64と第2アーム66がブロック62を放すときに第2凸部84を押して第2アーム66を回転させる。さらに第1アーム64と第2アーム66がブロック62を把持するときに第3凸部76は第4凸部86を押して第2アーム66を回転させる。第1アーム64と第2アーム66が回転するときの詳細な動作は後述する。
【0027】
第1アーム64の接続部78は動力装置68に接続された部分である。第1アーム64の第1回転軸70に対して第1把持部72と接続部78は反対方向に配置されている。接続部78が動かされることで、第1アーム64は第1回転軸70を中心として回転する。
【0028】
動力装置68はエアシリンダまたは液圧シリンダなどである。たとえばエアシリンダのピストンロッド88の先端が接続部78に回転可能に接続されている。エアシリンダのシリンダ90は筐体58の内面に固定された固定板92に取り付けられている。シリンダ90は固定板92にベルト94を介して取り付けれている。ベルト94と固定板92の間に回転部材96を備えており、シリンダ90は回転部材96を中心として回転できるようになっている。
【0029】
次に、第1アーム64と第2アーム66を用いたブロック62の開放と把持について説明する。先にブロック62を開放する工程について説明する。
【0030】
(1)図5は、第1把持部72がブロック62に接し、第1凸部74が第2凸部84を押すことで、第2把持部82がブロック62に接している。2つの把持部72、82でブロック62を把持している。
【0031】
(2)ピストンロッド88がシリンダ90の中に入っていくことで、接続部78の位置がシリンダ90に近づけられ、第1アーム64が第1回転軸70を中心として回転する。図6に示すように、第1把持部72がブロック62から離れる方向に第1アーム64が回転する。その回転する途中で第3凸部76が第2凸部84に接する。
【0032】
(3)第1アーム64の回転が続くことで、第3凸部76が第2凸部84を押す(図7)。第2アーム66は第2凸部84が押されることで、第2回転軸80を中心として回転する。第2アーム66は第2把持部82がブロック62から離れる方向に回転する。
【0033】
(4)タレット盤24が回転したときのブロック62の軌道に第1把持部72が入らない位置まで第1アーム64を回転させる(図8)。その間、第3凸部76が第2凸部84を押しており、第2アーム66も回転する。第2アーム66の第2把持部82もブロック62の軌道に入らない位置まで移動させる。
【0034】
以上の工程によって第1アーム64と第2アーム66で把持していたブロック62が放される。この状態でタレット盤24は回転し、もう一方のブロック62が所定位置またはその近辺に配置されたときにタレット盤24が停止する。ブロック62を把持する工程について説明する。
【0035】
(5)第1アーム64と第2アーム66は図8の状態にあり、この状態から第1把持部72と第2把持部82をブロック62に向けて近づける。ピストンロッド88をシリンダ90の中から出されるように動かし、接続部78をシリンダ90から遠ざけるように動かす。第1アーム64が第1回転軸70を中心に回転する。第1把持部72がブロック62に近づく。その途中で、第3凸部76が第4凸部86に接する(図9)。
【0036】
(6)第1アーム64の回転が続くことで、第3凸部76は第4凸部86を押す(図10)。第4凸部86が押されることで、第2アーム66は第2回転軸80を中心として回転する。第2把持部82がブロック62に近づく。
【0037】
(7)第1アーム64の回転が続き、第3凸部76が第4凸部86を押せなくなると、次に第1凸部74が第2凸部84に接する(図11)。さらに回転が続くことで、第1凸部74が第2凸部84を押し、第2アーム66が第2回転軸80を中心に回転する。このまま第1アーム64と第2アーム66が回転することで、図5のように第1把持部72と第2把持部82でブロック62を把持できる。第1把持部72と第2把持部82はブロック62を押圧しながら把持してもよい。
【0038】
モータ60でタレット盤24を回転させたときに、ブロック62が図9の符号62'のように所定位置からずれる場合がある。第1アーム64と第2アーム66でブロック62を押し、所定位置にブロック62を移動させて第1アーム64と第2アーム66で把持することができる。ブロック62がタレット盤24と一緒に所定位置に移動する。したがって、タレット盤24を回転させるためのモータ60は位置決め精度を高くする必要はなく、設計が容易になる。モータ60はインダクションモータを使用できる。
【0039】
以上のように、本願は第1アーム64と第2アーム66によってブロック62を把持するため、タレット盤24の位置合わせが容易である。モータ60および動力装置68が大型化されることはない。
【0040】
[実施形態2]
図12のように、連携機構として第1アーム64に第1ギヤ100、第2アーム66に第2ギヤ102を備えてもよい。第1ギヤ100は第1回転軸70を軸として回転する。第2ギヤ102は第2回転軸80を軸として回転する。第1ギヤ100と第2ギヤ102はかみ合っている。動力装置68の動力によって第1アーム64が回転すると、第1ギヤ100が回転する。第1ギヤ100の回転に応じて第2ギヤ102が回転する。第2ギヤ102が回転することで第2アーム66が回転する。第1把持部72がブロック62から離れるように第1アーム64が回転すると、第2把持部82がブロック62から離れるように第2アーム66が回転する(図13)。第1把持部72がブロック62に近づくように第1アーム64が回転すると、第2把持部82がブロック62に近づくように第2アーム66が回転する。第1把持部72がブロック62に接すると、第2把持部82もブロック62に接する。
【0041】
図12図13において第1凸部74と第2凸部84を示しているが、第1凸部74と第2凸部84の有無は任意である。
【0042】
第1アーム64と第2アーム66の形状は限定されず、たとえば第1把持部72と第2把持部82を図10の符号72'、82'のように伸ばしてもよい。ブロック62を把持する部分が増え、第1アーム64と第2アーム66はブロック62を把持しやすくなる。
【0043】
(第1項)一態様に係る繊維巻取装置は、ストランドが巻き取られるコレットと、前記コレットが取り付けられ、回転可能なタレット盤と、前記タレット盤に取り付けられたブロックと、前記ブロックを把持する第1アームおよび第2アームと、前記第1アームに設けられた第1回転軸と、前記第2アームに設けられた第2回転軸と、前記第1アームを第1回転軸を中心として回転させるための動力を与える動力装置と、前記第1アームの回転に応じて第2アームが回転するための連携機構とを備える。
【0044】
第1項に記載の繊維巻取装置によれば、第1アームと第2アームが連携して動作する簡単な機構であり、タレット盤を回転させるモータの高性能化および動力装置の大型化は必要ない。本願は容易に第1アームと第2アームがブロックを把持し、タレット盤の位置決めをすることができる。
【0045】
(第2項)前記連携機構が、前記第1アームに設けられた第1凸部と、前記第2アームに設けられ、前記ブロックを第1アームと第2アームで把持した状態で第1凸部に接する第2凸部とを備える。
【0046】
第2項に記載の繊維巻取装置によれば、第1アームの第1凸部と第2アームの第2凸部の単純な構造であり、装置が複雑化されることはない。
【0047】
(第3項)前記連携機構が、前記第1アームに設けられた第3凸部と、前記第2アームに設けられ、前記ブロックを第1アームと第2アームで把持するときに第3凸部に押される第4凸部とを備える。
【0048】
第3項に記載の繊維巻取装置によれば、第3凸部が第4凸部に押されることで第2アームが回転するため、簡単な構成になっている。
【0049】
(第4項)前記連携機構が、前記第1回転軸を中心に回転する第1ギヤと、前記第2回転軸を中心に回転し、前記第1ギヤとかみ合う第2ギヤとを備える。
【0050】
第4項に記載の繊維巻取装置によれば、第1ギヤと第2ギヤによるかみ合いで第1アームと第2アームが同期して回転するだけであり、簡単な構成になっている。
【0051】
(第5項)前記タレット盤が円形であり、2つの前記ブロックがタレット盤の中心を対称としてタレット盤の外周部に配置される。
【0052】
第5項に記載の繊維巻取装置によれば、タレット盤の外周部にブロックが配置されており、第1アームと第2アームでブロックを把持することができる。
【0053】
(第6項)前記タレット盤を回転させるインダクションモータを備える。
【0054】
第6項に記載の繊維巻取装置によれば、タレット盤を回転さえるモータはインダクションモータであり、高性能なモータを用いなくてもよい。
【0055】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。説明した各実施形態は独立したものではなく、当業者の知識に基づき適宜組み合わせて実施できるものである。
【符号の説明】
【0056】
10:繊維巻取装置
12:フィラメント
14:ギャザリングシュー
16:ストランド
18:ガイド
20:トラバース装置
22:コレット
24:タレット盤
60:モータ
62:ブロック
64、66:アーム
68:動力装置
70、80:回転軸
72、82:把持部
74、76、84、86:凸部
78:接続部
88:ピストンロッド
90:シリンダ
100、102:ギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14