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特許7456092光学装置、画像読取装置、および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】光学装置、画像読取装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20240319BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240319BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240319BHJP
   H04N 1/031 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G02B5/00 B
G02B3/00 A
G02B3/00 Z
G02B7/02 B
G02B7/02 D
G02B7/02 H
H04N1/031
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019058914
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020160239
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】浅野 元博
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-043538(JP,A)
【文献】特開2015-161904(JP,A)
【文献】特開2012-185390(JP,A)
【文献】特開平10-210213(JP,A)
【文献】特開2010-008803(JP,A)
【文献】特開2008-087185(JP,A)
【文献】特開2001-296405(JP,A)
【文献】特開2015-108794(JP,A)
【文献】特開2014-115411(JP,A)
【文献】特開平03-016466(JP,A)
【文献】特開平03-265356(JP,A)
【文献】特開2018-036637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0280628(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108780164(CN,A)
【文献】特開2008-036058(JP,A)
【文献】特開2009-193060(JP,A)
【文献】特開2010-145821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0271705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00
G02B 3/00
G02B 7/02
H04N 1/031
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体と、
前記複数のレンズにおける各レンズの光軸に沿って設けられ、貫通孔ではなく内部を光が透過する材料により形成された複数の柱部であって、当該柱部の外周では、当該光軸に沿う方向における当該柱部の端部よりも当該柱部の内側から外側に光が透過することが抑制されている複数の柱部と、
前記レンズの光軸に沿う方向において、前記複数の柱部を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該複数の柱部を覆うとともに、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域が設けられた覆い部材であり、当該レンズの光軸に沿う方向において、当該複数の柱部よりも厚さが薄い当該覆い部材
を有し、
前記複数の柱部が一体に構成され、かつ、前記レンズ体に対して配置され、
前記柱部は、前記端部に前記レンズの外周に沿う凹部を有して当該凹部が当該レンズの外周に接する位置に設けられ、前記光軸に沿う方向から見た平面視において当該レンズを完全に覆い、
前記覆い部材の前記通過領域は、半円形または半円よりも領域が狭い円弧と弦とによって形成される弓形である
光学装置。
【請求項2】
前記柱部の内部において前記光軸に沿って進む光は、当該柱部の内部において集光しないことを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項3】
前記柱部は、前記外周に前記端部よりも表面が粗い粗面を有し、
前記粗面は、前記柱部の内側から外側に光が透過することを抑制する抑制部材によって覆われている
ことを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項4】
前記複数の柱部を支持するとともに、当該複数の柱部よりも光を透過しにくい柱支持体を有することを特徴とする請求項3記載の光学装置。
【請求項5】
前記柱部は、前記レンズと接する前記端部とは異なる側に前記覆い部材の側を向く端面を有し、当該端面は平坦であることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項6】
原稿に対して光を照射する照射部と、
各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズを備えるレンズ体と、
前記複数のレンズにおける各レンズの光軸に沿って設けられ、貫通孔ではなく内部を光が透過する材料により形成された複数の柱部であって、当該柱部の外周では、当該光軸に沿う方向における当該柱部の端部よりも当該柱部の内側から外側に光が透過することが抑制されている複数の柱部と、
前記レンズの光軸に沿う方向において、前記複数の柱部を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該複数の柱部を覆うとともに、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域が設けられた覆い部材であり、当該レンズの光軸に沿う方向において、当該複数の柱部よりも厚さが薄い当該覆い部材と、
前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と
を有し、
前記複数の柱部が一体に構成され、かつ、前記レンズ体に対して配置され、
前記柱部は、前記端部に前記レンズの外周に沿う凹部を有して当該凹部が当該レンズの外周に接する位置に設けられ、前記光軸に沿う方向から見た平面視において当該レンズを完全に覆い、
前記覆い部材の前記通過領域は、半円形または半円よりも領域が狭い円弧と弦とによって形成される弓形である
画像読取装置。
【請求項7】
原稿に対して光を照射する照射部と、
各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズを備えるレンズ体と、
前記複数のレンズにおける各レンズの光軸に沿って設けられ、貫通孔ではなく内部を光が透過する材料により形成された複数の柱部であって、当該柱部の外周では、当該光軸に沿う方向における当該柱部の端部よりも当該柱部の内側から外側に光が透過することが抑制されている複数の柱部と、
前記レンズの光軸に沿う方向において、前記複数の柱部を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該複数の柱部を覆うとともに、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域が設けられた覆い部材であり、当該レンズの光軸に沿う方向において、当該複数の柱部よりも厚さが薄い当該覆い部材と、
前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した光に基づいて画像を形成する画像形成部と
を有し、
前記複数の柱部が一体に構成され、かつ、前記レンズ体に対して配置され、
前記柱部は、前記端部に前記レンズの外周に沿う凹部を有して当該凹部が当該レンズの外周に接する位置に設けられ、前記光軸に沿う方向から見た平面視において当該レンズを完全に覆い、
前記覆い部材の前記通過領域は、半円形または半円よりも領域が狭い円弧と弦とによって形成される弓形である
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、画像読取装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マスクに形成されたパターンを、S偏光のみが存在する第1の部分とS偏光及びP偏光が混在する第2の部分とを有する有効光源を形成する照明系を用いて照明し、前記マスクを経た光を、投影光学系を介して被処理体に投影することを特徴とする露光方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-111678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体に対して、例えば迷光を抑制するため、レンズを通る光が透過することを抑制する遮光体を設けることがある。また、このような遮光体としては、各レンズに対応する位置に光を通す貫通孔を設ける構成が知られている。ここで、レンズ体におけるレンズ間の距離を小さくしようとすると、遮光体における貫通孔間の距離も小さくすることが必要となる。しかしながら、貫通孔間の距離を小さくすると、遮光体の整形不良が発生しやすくなる。
【0005】
そこで、本発明では、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、光が透過することを抑制する構成における整形不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体と、前記複数のレンズにおける各レンズの光軸に沿って設けられ、貫通孔ではなく内部を光が透過する材料により形成された複数の柱部であって、当該柱部の外周では、当該光軸に沿う方向における当該柱部の端部よりも当該柱部の内側から外側に光が透過することが抑制されている複数の柱部と、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記複数の柱部を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該複数の柱部を覆うとともに、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域が設けられた覆い部材であり、当該レンズの光軸に沿う方向において、当該複数の柱部よりも厚さが薄い当該覆い部材とを有し、前記複数の柱部が一体に構成され、かつ、前記レンズ体に対して配置され、前記柱部は、前記端部に前記レンズの外周に沿う凹部を有して当該凹部が当該レンズの外周に接する位置に設けられ、前記光軸に沿う方向から見た平面視において当該レンズを完全に覆い、前記覆い部材の前記通過領域は、半円形または半円よりも領域が狭い円弧と弦とによって形成される弓形である光学装置である。
請求項2に記載の発明は、前記柱部の内部において前記光軸に沿って進む光は、当該柱部の内部において集光しないことを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項3に記載の発明は、前記柱部は、前記外周に前記端部よりも表面が粗い粗面を有し、前記粗面は、前記柱部の内側から外側に光が透過することを抑制する抑制部材によって覆われていることを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項4に記載の発明は、前記複数の柱部を支持するとともに、当該複数の柱部よりも光を透過しにくい柱支持体を有することを特徴とする請求項3記載の光学装置である。
請求項5に記載の発明は、前記柱部は、前記レンズと接する前記端部とは異なる側に前記覆い部材の側を向く端面を有し、当該端面は平坦であることを特徴とする請求項1記載の光学装置である
求項に記載の発明は、原稿に対して光を照射する照射部と、各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズを備えるレンズ体と、前記複数のレンズにおける各レンズの光軸に沿って設けられ、貫通孔ではなく内部を光が透過する材料により形成された複数の柱部であって、当該柱部の外周では、当該光軸に沿う方向における当該柱部の端部よりも当該柱部の内側から外側に光が透過することが抑制されている複数の柱部と、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記複数の柱部を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該複数の柱部を覆うとともに、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域が設けられた覆い部材であり、当該レンズの光軸に沿う方向において、当該複数の柱部よりも厚さが薄い当該覆い部材と、前記複数のレンズを通る光を受光する受光部とを有し、前記複数の柱部が一体に構成され、かつ、前記レンズ体に対して配置され、前記柱部は、前記端部に前記レンズの外周に沿う凹部を有して当該凹部が当該レンズの外周に接する位置に設けられ、前記光軸に沿う方向から見た平面視において当該レンズを完全に覆い、前記覆い部材の前記通過領域は、半円形または半円よりも領域が狭い円弧と弦とによって形成される弓形である画像読取装置である。
請求項に記載の発明は、原稿に対して光を照射する照射部と、各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズを備えるレンズ体と、前記複数のレンズにおける各レンズの光軸に沿って設けられ、貫通孔ではなく内部を光が透過する材料により形成された複数の柱部であって、当該柱部の外周では、当該光軸に沿う方向における当該柱部の端部よりも当該柱部の内側から外側に光が透過することが抑制されている複数の柱部と、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記複数の柱部を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該複数の柱部を覆うとともに、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域が設けられた覆い部材であり、当該レンズの光軸に沿う方向において、当該複数の柱部よりも厚さが薄い当該覆い部材と、前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と、前記受光部が受光した光に基づいて画像を形成する画像形成部とを有し、前記複数の柱部が一体に構成され、かつ、前記レンズ体に対して配置され、前記柱部は、前記端部に前記レンズの外周に沿う凹部を有して当該凹部が当該レンズの外周に接する位置に設けられ、前記光軸に沿う方向から見た平面視において当該レンズを完全に覆い、前記覆い部材の前記通過領域は、半円形または半円よりも領域が狭い円弧と弦とによって形成される弓形である画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、光が透過することを抑制する構成における整形不良を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、柱部の内部において集光する場合と比較して、簡易な構成で迷光を抑制できる。
請求項3の発明によれば、柱部が外周に粗面を有しない場合と比較して、迷光を抑制できる。
請求項4の発明によれば、柱支持体を有しない場合と比較して、柱部の製造が容易となる。
請求項5の発明によれば、覆い部材を有しない場合と比較して、迷光がより抑制される
求項の発明によれば、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、光が透過することを抑制する構成における整形不良を抑制することができる。
請求項の発明によれば、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、光が透過することを抑制する構成における整形不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
図2】本実施の形態が適用される原稿読取装置の概略構成図である。
図3】本実施の形態が適用されるレンズアレイユニットの分解斜視図である。
図4】(a)および(b)は、遮光壁の構成図である。
図5】第1レンズアレイに対して固定された遮光壁の上面図である。
図6図5のVI-VIにおける断面図である。
図7】(a)および(b)は、遮光壁の変形例を説明する図である。
図8】(a)乃至(d)は、遮光壁の製造工程を説明する図である。
図9】(a)乃至(d)は、第1遮光フィルムの変形例を示す図である。
図10】(a)および(b)は、第1遮光フィルムの形状を変化させたシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿Gの情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読取画像)に基づいて画像を記録紙Sに形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙Sを送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3とを本体101の内部に収容する一方で、本体101の上方に原稿読取装置1を配置している。本体101は、その上面部に、画像が形成された記録紙Sを排出して収容する排出収容部102を有する。
【0010】
原稿読取装置1は、筐体103を有する。また、原稿読取装置1は、筐体103の上面部に、原稿Gを置く光透過性の原稿台105と、その原稿台105を覆うとともに筐体103に対して開閉操作できる原稿カバー106とを有する。原稿カバー106には、原稿Gを読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿Gを排出する自動原稿搬送部107と、自動原稿搬送部107により送られる原稿Gを搭載する原稿トレイ108と、自動原稿搬送部107から排出される原稿Gを収容する収容部109とが設けられている。
【0011】
画像形成部2は、例えば電子写真方式にて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20と、その像形成ユニット20で形成されたトナー像を記録紙Sに転写するまで搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙Sに転写したトナー像を定着させる定着ユニット27とを備えている。
【0012】
給紙部3は、予め定めたサイズ、種類などからなる複数枚の記録紙Sを搭載可能な引き出し式の収容体31と、収容体31に収容される記録紙Sを1枚ずつ搬送路に送り出す送出装置32とを有する。給紙部3と画像形成部2との間には、給紙部3から送り出された記録紙Sを二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。
【0013】
次に、画像形成装置100の基本的な動作について説明をする。
まず、原稿読取装置1では、ユーザによって原稿台105と原稿トレイ108のいずれか一方に原稿Gが置かれる。そして、ユーザが操作ボタン(不図示)などを操作することで、原稿読み取りの指示を受け付けると、原稿Gの読み取り動作が開始される。すなわち、原稿読取装置1が原稿Gの読み取り情報を取得する。そして、画像形成部2が、原稿読取装置1から受信した原稿Gの読み取り情報に基づいて、画像形成動作を実行する。この際、画像形成部2の動作にあわせて、給紙部3から記録紙Sが送り出される。そして、記録紙Sは、画像形成部2にてトナー像が定着された後、排出収容部102へと排出される。以上の画像形成の動作は、原稿Gの枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。
【0014】
<原稿読取装置1>
図2は、本実施の形態が適用される原稿読取装置1の概略構成図である。
次に、図2を参照しながら、本実施の形態が適用される原稿読取装置1について説明をする。図2に示すように、原稿読取装置1は、透明板70と、透明板70を支持する合成樹脂製のケース71と、ケース71の底面部に組み付けられた基板72とを備えている。基板72の表面上には、主走査方向(紙面と直交する方向)に間隔を隔てて列状に並べられた複数の点状の光源73と、これら複数の光源73と同方向に並べられた複数の受光素子74とが設けられている。各光源73は、例えば発光ダイオードを用いて構成されている。各受光素子74は、光電変換機能を有するものであり、光を受けると、その受光量に対応した出力レベルの信号、具体的には画像信号を出力する。受光素子74は受光部の一例である。
【0015】
ここで、原稿読取装置1は、透明板70と各受光素子74との間に、レンズアレイユニット10を備えている。レンズアレイユニット10の詳細な構成は後述するが、図示のレンズアレイユニット10は、ケース71に設けられた凹溝75内に配置されている。また、図示の透明板70の表面部のうち、レンズアレイユニット10に対向する部分は、主操作方向に延びる画像読み取り領域Laとなっている。この画像読み取り領域Laには、各光源73から光が照射される。
【0016】
原稿読取装置1においては、自動原稿搬送部107(図1参照)によって透明板70の表面上に導かれた原稿Gに対して、光源73からの光が照射される。原稿Gに照射された光の反射光は、レンズアレイユニット10に向けて進行する。すると、レンズアレイユニット10の作用によって、画像読み取り領域Laにおける原稿Gの1ライン分の画像が、複数の受光素子74上に正立等倍で結像する。このため、複数の受光素子74からは、原稿Gの画像に対応する1ライン分の画像信号が出力される。このような読み取り処理は、原稿Gが例えば自動原稿搬送部107が有するプラテンローラ77によって副走査方向に搬送される過程において、複数回にわたって繰り返し実行される。
【0017】
なお、以下の説明においては、画像読み取り領域Laから受光素子74に向かう方向、すなわち図2における上下方向を光軸方向ということがある。
【0018】
<レンズアレイユニット10>
図3は、本実施の形態が適用されるレンズアレイユニット10の分解斜視図である。
次に、図3を参照しながら、本実施の形態が適用されるレンズアレイユニット10について説明をする。
【0019】
図3に示すように、レンズアレイユニット10は、第1遮光フィルム110と、遮光壁130と、第2遮光フィルム150と、第1レンズアレイ170と、第2レンズアレイ180と、第3遮光フィルム190とを有する。さらに説明をすると、図示の例のレンズアレイユニット10においては、第1遮光フィルム110、遮光壁130、第2遮光フィルム150、第1レンズアレイ170、第2レンズアレイ180、および第3遮光フィルム190がこの順で積層されるとともに、接着剤などによって互いに接着され一体化している。以下、レンズアレイユニット10が有する各部材について説明をする。
【0020】
まず、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180について説明をする。
第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、各々略直方体状の部材である。さらに説明をすると、図示の第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、1対のレンズ部材であり、互いに一致する形状である。
【0021】
第1レンズアレイ170は、略直方体状の第1支持体171と、第1支持体171の表裏面に形成された複数の第1レンズ173とを有する。複数の第1レンズ173は、各々の光軸が互いに平行になるように構成されている。また、複数の第1レンズ173は、主走査方向に沿った第1列R71および第2列R72に並べて設けられる。ここで、複数の第1レンズ173は、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R71を構成する第1レンズ173と、第2列R72を構成する第1レンズ173とは、主走査方向において互いにずれて配置されている。なお、第1列R71における第1レンズ173は、予め定めた間隔、すなわちピッチで配置されている。また、第2列R72における第1レンズ173は、第1列R71と同一の間隔で配置されている。
【0022】
第2レンズアレイ180は、略直方体状の第2支持体181と、第2支持体181の表裏面に形成された複数の第2レンズ183とを有する。複数の第2レンズ183は、各々の光軸が互いに平行になるように構成されている。また、複数の第2レンズ183は、主走査方向に沿った第1列R81および第2列R82に並べて設けられる。ここで、複数の第2レンズ183は、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R81を構成する第2レンズ183と、第2列R82を構成する第2レンズ183とは、主走査方向において互いにずれて配置されている。なお、第1列R81における第2レンズ183は、予め定めた間隔で配置されている。また、第2列R82における第2レンズ183は、第1列R81と同一の間隔で配置されている。
【0023】
図示の例においては、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、第1レンズ173および第2レンズ183の各々が互いに対向するように配置される。さらに説明をすると、第1レンズ173の光軸と第2レンズ183の光軸とが一致するように揃えて配置されている。また、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の各々は、例えば透光性を有する光学樹脂を用いて射出成形することにより、一体的に形成される。なお、以下の説明において、第1レンズ173の光軸と第2レンズ183の光軸とを区別する必要がない場合、単に「第1レンズ173の光軸」と呼ぶことがある。
【0024】
次に、第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190について説明をする。第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、各々長尺状の薄板部材である。図示の例における第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、互いに一致する形状である。
【0025】
第1遮光フィルム110は、平面視略長方形状の第1板面111を有する。この第1板面111には、複数の第1貫通孔113が形成されている。ここで、各第1貫通孔113は、略円形である。また、各第1貫通孔113の位置は、第1レンズ173および第2レンズ183に対応する。すなわち、各第1貫通孔113は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第1貫通孔113は、主走査方向に沿った第1列R11および第2列R12に並べて設けられる。
【0026】
図示の例においては、第1遮光フィルム110は、遮光壁130よりも、厚さが薄い。すなわち、第1遮光フィルム110は、遮光壁130よりも光軸方向の寸法が小さい。また、第1遮光フィルム110は、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、アクリル樹脂)により形成されている。この第1遮光フィルム110は、第1レンズ173および第2レンズ183の結像に寄与しない構成を遮断する。さらに説明をすると、第1遮光フィルム110は、光軸方向において遮光壁130を挟んで第1レンズ173および第2レンズ183とは反対側、言い替えると遮光壁130の上面に設けられ、遮光壁130に進入する光の一部を遮断する。
【0027】
上記のように第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、互いに一致する形状であるため、詳細な説明は省略するが、第2遮光フィルム150は、複数の第2貫通孔153が形成された第2板面151を有する。ここで、各第2貫通孔153は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第2貫通孔153は、第1列R51および第2列R52に並べて設けられる。
【0028】
また、第3遮光フィルム190は、複数の第3貫通孔193が形成された第3板面191を有する。ここで、各第3貫通孔193は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第3貫通孔193は、第1列R91および第2列R92に並べて設けられる。
【0029】
<遮光壁130>
図4(a)および(b)は、遮光壁130の構成図である。より詳細には、図4(a)は遮光壁130の斜視図であり、図4(b)は図4(a)のIVB-IVBにおける断面図である。
【0030】
次に、図4を参照しながら、遮光壁130について説明をする。
図4に示すように、遮光壁130は、略直方体状の基体132と、基体132を光軸方向に貫通して設けられる複数の柱部135とを有する。
【0031】
基体132は、長手方向が主走査方向に沿って配置される略直方体状の部材である。基体132は、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、アクリル樹脂)により形成されている。この基体132は、第1レンズ173および第2レンズ183の結像に寄与しない光を遮断する。基体132は、例えば、主走査方向の長さL1が300mmであり、光軸方向の長さL2が2.5mmであり、副走査方向の長さL3が4mmである。
【0032】
柱部135は、長手方向が光軸方向に沿って配置される柱状の部材である。図示の柱部135は、略円柱状の部材である。また、各柱部135は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に設けられる。さらに説明をすると、各柱部135は、第1レンズ173に対して垂直に配置される。また、図示の柱部135は、基体132において、主走査方向に沿った第1列R31および第2列R32に並べて設けられる。なお、第1列R31および第2列R32の各々における柱部135の間隔、すなわちピッチは、第1レンズ173のピッチと一致する。また、図示の柱部135は、基体132によって、一体に構成されている。
【0033】
ここで、柱部135は、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180と同一の材質により構成される。具体的には、柱部135は、光源73(図2参照)からの光に対して透明な材料、例えば、ガラス、アクリル樹脂などにより形成されている。なお、ここでの同一の材質とは、不純物を除き共通の組成であることを示す。
【0034】
また、柱部135は、屈折率分布を有する所謂セルフォック(登録商標)レンズとは異なり、内部に屈折率分布がない。さらに説明をすると、柱部135は、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の屈折率に対して屈折率分布を持たない。また、柱部135の中心側の屈折率は、柱部135の外周側の屈折率と一致する。付言すると、柱部135を光軸方向に沿って通過する光は、柱部135内部において集光しない。なお、集光しないとは、単に屈折率分布を持たない場合や、単なる透明体のような場合も含む。
【0035】
ここで、図4(b)に示すように、第1遮光フィルム110(図3参照)側を向く柱部135の第1端面136は平坦である。すなわち、第1端面136は、基体132の面に沿う形状である。一方で、第1レンズアレイ170(図3参照)側を向く第2端面139は、湾曲した凹部である。すなわち、第2端面139は、基体132の面から凹んだ形状である。図示の第2端面139は、第1レンズ173(図3参照)の湾曲面に沿う形状をしている。
【0036】
また、柱部135の外周面138は、第1端面136および第2端面139よりも、表面が粗く形成されている。詳細は後述するが、柱部135の外周面138が粗面であることにより、外周面138に対して斜めに入射する光線を散乱させ正反射を抑制する。
【0037】
<遮光壁130の配置>
図5は、第1レンズアレイ170に対して固定された遮光壁130の上面図である。
図6は、図5のVI-VIにおける断面図である。
次に、図5および図6を参照しながら、第1レンズアレイ170に対する遮光壁130の配置を説明する。
【0038】
まず、図5に示すように、第1レンズアレイ170に対して固定された遮光壁130を光軸方向に沿って見ると、柱部135が各々第1レンズ173と重なる位置に配置される。このように配置された柱部135は、第1レンズ173の光軸に沿って進行する光を透過させる。さらに説明をすると、図6に示すように、第1端面136から入射した光は柱部135内を光軸方向に沿って進み、第2端面139から第1レンズ173に向けて出射する(図中光LP1参照)。
【0039】
また、遮光壁130は、第1レンズ173および第2レンズ183の結像に寄与しない光を遮断する。さらに説明をすると、柱部135の外周は、黒色の樹脂であり柱部135よりも光を透過し難い基体132によって囲まれている。したがって、柱部135の内部において光軸方向と交差する向きに光が進行した場合(図中光LP2参照)、基体132によって、主走査方向において隣り合う光軸に光LP2が到達することが制限される。
【0040】
また、柱部135における外周面138の表面粗さは、第1端面136などよりも粗い。このことにより、柱部135と基体132との界面である外周面138において、柱部135から外に向かう光LP2が正反射することが抑制される。なお、表面粗さとは、表面の粗さを規定するものであり、例えば日本工業規格(JIS)に規定される粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)である。
【0041】
これらのことにより、第1レンズ173および第2レンズ183の画角が狭められ、焦点深度が増加し得る。また、第1レンズ173および第2レンズ183を通過する光において、迷光が生じにくくなり得る。なお、ここでの画角とは、光軸方向に対する光線の見込み角度(法線と光線とのなす角度)のことをいう。また、迷光とは、物体面の物点、すなわち画像読み取り領域Laから出た光線が、像面上、すなわち受光素子74上の対応する像点以外に到達する光のことをいう。
【0042】
さて、一般的には、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180におけるレンズピッチ、すなわち第1レンズ173および第2レンズ183の主走査方向における間隔が狭くなると、例えば受光素子74(図2参照)に到達する光の光量が増加するなど、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の光学性能が向上する。
【0043】
ここで、本実施の形態とは異なり、例えば遮光壁130を1つの直方体で形成し、第1レンズ173の光軸に対応する位置に、複数の貫通孔(不図示)が形成された構成も採用され得る。しかしながら、このような構成が採用された場合において、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180における狭いレンズピッチにあわせて、遮光壁130の貫通孔(不図示)同士の距離を狭めると、例えば貫通孔の間の肉壁が薄くなる。そして、例えばこの肉壁が150μm以下となるなど予め定めた厚さよりも薄くなると、射出成形を行う際に、薄い部分における樹脂材料の流動性が悪化し、成形不良が発生し得る。
【0044】
一方で、本実施の形態の遮光壁130のように、複数の柱部135を有する構成においては、柱部135同士の間隔を小さくした場合であっても、例えば後述する図8(a)乃至(d)に示す製造方法で製造することが可能である。したがって、本実施の形態の遮光壁130においては、上記のような整形不良が抑制され得る。
【0045】
また、図6に示すように、遮光壁130は、第1レンズアレイ170に接触して設けられる。さらに説明をすると、柱部135の第2端面139が、第1レンズアレイ170の第1レンズ173の外周面に接触するよう設けられている。また、上記のように柱部135および第1レンズアレイ170は、同一の材質で形成されている。このことにより、湿度や温度が変化した場合においても、レンズアレイユニット10の光学性能の変化を小さくし得る。
【0046】
また、柱部135および第1レンズアレイ170が同一の材質であることにより、柱部135と第1レンズ173との間における光の損失を抑制することができる。このように、遮光壁130による光の欠落を防ぐことで、レンズアレイユニット10における光情報の欠落を抑制し得る。また、柱部135と第1レンズ173とを同一の材料で構成することにより、遮光壁130の製造コストを抑制し得る。
【0047】
<変形例>
図7(a)および(b)は、遮光壁130の変形例を説明する図である。より詳細には、図7(a)は変形例における遮光壁230および第1レンズアレイ170の断面図であり、図7(b)は他の変形例における遮光壁330の斜視図である。
【0048】
次に、図7(a)および(b)を参照しながら遮光壁130の変形例について説明をする。なお、以下の説明において、上記の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0049】
上記の説明においては、柱部135の第2端面139が凹部であることを説明したが、これに限定されない。例えば、図7(a)に示す柱部235のように、第2端面239が平坦であってもよい。図示の例においては、第2端面239は、第1レンズ173の頂点173Aに対して接触して設けられている。
【0050】
また上記の説明においては、柱部135を支持する基体132が黒色であることを説明したが、これに限定されない。柱部135内部から光軸方向と交差する向きに光が進行することを抑制するものであれば、構成は特に限定されない。例えば、図7(b)に示すように、導光体335の外周に、光を遮る樹脂などで形成された遮光膜339が設けられる構成であってもよい。なお、図7(b)に示す例においては、基体332は透明な樹脂材料により構成されている。さらに説明をすると、基体332を柱部135や第1レンズ173と同一の材料で構成することにより、遮光壁130の製造コストを抑制できる。
【0051】
<製造工程>
図8(a)乃至(d)は、遮光壁430の製造工程を説明する図である。
次に、図8(a)乃至(d)を参照しながら、他の変形例における遮光壁430の構造および遮光壁430(図8(d)参照)の製造工程について説明をする。
【0052】
まず、上記の説明においては、遮光壁130の基体132が、黒色顔料を混ぜた樹脂材料により構成されることを説明したが、これに限定されない。柱部135を支持するものであり、柱部135の外周から出射する光を遮るものであれば、その構造は特に限定されない。例えば、図8(d)に示す遮光壁430のように、基体432が、複数の部材により構成されてもよい。すなわち、基体432が、繊維強化プラスチック(FRP、Fiber-Reinforced Plastics)により構成された板材である第1板材431Aおよび第2板材431Bと、第1板材431Aおよび第2板材431Bに挟まれる空間を充填するシリコンなどの充填剤431Cにより構成されてもよい。
【0053】
次に、遮光壁430の製造工程について説明をする。
まず、図8(a)に示すように、第1板材431Aが支持台90の上に搭載される。
そして、図8(b)に示すように、第1板材431Aの上にファイバ状に形成された柱部135が図示の例では二層に並べて積載される。なお、柱部135の外周面138は、例えばエッチング処理やブラスト処理などによって、予め粗面化されている。
【0054】
次に、図8(c)に示すように、二層に積層された柱部135に第2板材431Bが搭載される。
そして、図8(d)に示すように、第1板材431Aと第2板材431Bとの間に、充填剤431Cが充填される。このとき、柱部135の外周も充填剤431Cによって囲まれる。このことにより、第1板材431A、第2板材431B、および充填剤431Cによって構成される基体432が、柱部135を支持する構成となる。
【0055】
なお、上記では説明を省略したが、図8(a)乃至(d)における各部材は、遮光壁430の生産効率を上げるため、紙面奥行方向に長く構成されている。具体的には、図8における各部材の奥行き方向長さは、図4(a)に示すような各部材の光軸方向長さの複数倍以上長い。そして、図8(d)に示すように、柱部135が基体432によって固定された後、紙面奥行方向において予め定めた長さごとに切断される。このことにより、複数の遮光壁431が効率よく生産されることとなる。
【0056】
さて、上記の説明と異なる製造方法としては、例えば略直方体状に形成された基体132に貫通孔を形成し、その貫通孔に柱部135を挿入する方法も採用され得る。なお、この柱部135を挿入する製造方法と比較して、上記図8(a)乃至(d)に示す製造方法においては、例えば貫通孔に柱部135を挿入する工程が不要であるため、遮光壁130の製造がより容易となる。
【0057】
<第1遮光フィルム110の変形例>
図9(a)乃至(d)は、第1遮光フィルム110の変形例を示す図である。
次に、図9(a)乃至(d)を参照しながら、第1遮光フィルム110の変形例について説明をする。上記の説明においては、第1遮光フィルム110(図9(a)参照)が、平面視略長方形状の第1板面111に形成された略円形の第1貫通孔113を有することを説明したが、これに限定されない。第1遮光フィルム110は、光軸方向において遮光壁130を挟んで第1レンズ173および第2レンズ183とは反対側に設けられ、遮光壁130に進入する光の一部を遮断する構成であれば、その形状は特に限定されない。
【0058】
例えば、図9(b)に示す第1遮光フィルム210のように、平面視略長方形状の第1板面211に形成された略半円状の第1貫通孔213を有する構成であってもよい。ここで、図9(b)に示す第1遮光フィルム210は、第1遮光フィルム110(図9(a)参照)の幅方向両端を切り落とした形状と捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム110の幅方向長さW1が2mmとすると、第1遮光フィルム210の幅方向長さW2は0.75mmとなる。
【0059】
また、図9(c)に示す第1遮光フィルム310のように、平面視略長方形状の第1板面311に形成された第1貫通孔313を有する構成であってもよい。第1貫通孔313は、略半円、より具体的には、半円よりも領域が狭い円弧と弦によって形成される所謂弓形である。図9(c)に示す第1遮光フィルム310は、第1遮光フィルム110(図9(a)参照)の幅方向両端を切り落とした形状と捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム110の幅方向長さW1が2mmとすると、第1遮光フィルム310の幅方向長さW3は0.6mmとなる。
【0060】
また、図9(d)に示す第1遮光フィルム410のように、平面視略長方形状であってもよい。すなわち、第1貫通孔113(図9(a)参照)を有しない構成であってもよい。第1遮光フィルム410は、副走査方向における第1レンズ173の第1列R71および第2列R72の間において、第1列R71および第2列R72に沿って配置される長尺状部材として捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム410の幅方向長さW4は0.18mmである。
【0061】
図10(a)および(b)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させたシミュレーション結果を示す図である。より詳細には、図10(a)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させた場合における、主走査方向の焦点深度と解像度(CTF:Contrast Transfer Function)との関係のシミュレーション結果を示す図である。また、図10(b)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させた場合における、副走査方向における焦点深度と、解像度との関係のシミュレーション結果を示す図である。
【0062】
なお、図10(a)および(b)における解像度は、書き込む線画像データの濃度コントラストを100%とした場合の、原稿G上の読取画像の濃度コントラストの相対値である。また、シミュレ―ションの条件としては、図2に示すレンズアレイユニット10のように、遮光壁130、第2遮光フィルム150、第1レンズアレイ170、第2レンズアレイ180、および第3遮光フィルム190をこの順に積層したものに対して、各形状の第1遮光フィルム110などを配置することとした。
【0063】
なお、「半円0.6」とは、第1遮光フィルム110の副走査方向の両側を切り落とし、第1遮光フィルムの幅方向長さを0.6mmとしたものである。また、比較対象として、第1遮光フィルム110を設けない条件を「フィルム無し」とした。また、「線0.18」は図9(d)の第1遮光フィルム410であり、「半円0.6」は図9(c)の第1遮光フィルム310であり、「半円0.75」は図9(b)の第1遮光フィルム210であり、「円」は図9(a)の第1遮光フィルム110である。
【0064】
次に、図9(a)乃至(d)、図10(a)および(b)を参照しながら、第1遮光フィルム110の形状を変化させた際のシミュレーション結果について説明をする。
図10(a)および(b)に示すように、上記第1遮光フィルム110、210、310、410、および「半円0.65」の第1遮光フィルム(不図示)の各々において、主走査方向における焦点深度および解像度の関係、および副走査方向における焦点深度および解像度との関係をシミュレーションした。
【0065】
図10(a)および(b)によれば、「線0.18」、「半円0.6」、「半円0.65」、「半円0.75」、および「円」のいずれにおいても、「フィルム無し」と比較して、より大きな解像度が得られた。すなわち、第1遮光フィルム110などを配置することによって、レンズアレイユニット10の光学性能が向上することが確認された。なお、「線0.18」である第1遮光フィルム410においては、図10(b)に示す副走査方向における解像度が「フィルム無し」と比較して大きくなることが確認された。
【0066】
<他の変形例>
上記の説明においては、柱部135が円柱であることを説明したが、光軸方向に沿って延びる部材であれば、断面形状は限定されない。したがって、柱部135は、角柱であってもよい。また、柱部135の断面が楕円形、三角形、あるいは多角形など他の形状であってもよい。
【0067】
また、上記の説明においては、柱部135と第1レンズ137とが接触して設けられることを説明したが、柱部135と第1レンズ137とが光軸方向に沿って設けられれば、これに限定されない。例えば柱部135と第1レンズ137とが離間して設けられてもよい。また、柱部135と第1レンズ137とは同一の材質であることを説明したが、互いに異なる材質でもよい。
【0068】
また、遮光壁130における第1遮光フィルム110(図3参照)側の表面、および柱部135の外周を支持する面、すなわち内面において、余分な光を散乱させる反射防止膜を設けてもよい。また、遮光壁130の表面および内面を粗面化してもよい。
また、上記の説明においては、柱部135の外周面138が粗面であることを説明したが、粗面化せず、第1端面136および第2端面139と同様の表面粗さとして形成してもよい。
【0069】
また、上記の説明においては、第1レンズアレイ170が、第1列R71および第2列R72の複数列に並べられた第1レンズ173を有することを説明したが、これに限定されない。例えば、第1レンズアレイ170が、1列の第1レンズ173を有する構成であってもよい。なお、この構成においては、遮光壁130は主走査方向に一列に並べられた柱部135を有する態様となる。
【0070】
上記の説明においては、第1遮光フィルム110を設けることを説明したが、フィルム状の形状や材質に限定されるものではない。例えば、フィルムよりも剛性が高い板状部材によって第1遮光フィルム110を構成してもよい。すなわち、第1遮光フィルム110に替えて、遮光板として構成してもよい。さらに、第1遮光フィルム110を設けない構成であってもよい。
【0071】
また、レンズアレイユニット10を原稿読取装置1に設けることを説明したが、これに限定されない。例えば、発光ダイオードが発光する光を像保持体に結像する像形成装置など、原稿読取装置1以外の光学装置にレンズアレイユニット10を設けてもよい。
【0072】
なお、上記の説明における第1レンズ173は、レンズ体の一例である。第1端面136は、端部の一例である。外周面138は、外周の一例である。第2端面139は、凹部の一例である。基体132は、抑制部材および柱支持体の一例である。第1遮光フィルム110は、覆い部材の一例である。第1貫通孔113は、通過領域の一例である。光源73は、照射部の一例である。受光素子74は、受光素子の一例である。原稿読取装置1は、画像読取装置の一例である。
【0073】
上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…原稿読取装置、10…レンズアレイユニット、100…画像形成装置、110…第1遮光フィルム、130…遮光壁、132…基体、135…柱部、173…第1レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10