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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】保守方法、及び、保守サーバ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20240319BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20240319BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20240319BHJP
【FI】
G06Q10/02 300
G06F13/00
G06F3/04817
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019072891
(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公開番号】P2020170452
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】谷本 好史
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-053985(JP,A)
【文献】特開2002-032880(JP,A)
【文献】特開2013-183447(JP,A)
【文献】特開2016-201007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 13/00
G06F 3/04817
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場内の設備を、前記作業現場外の保守拠点に設けられた保守端末を用いて保守するための保守サーバが実行する保守方法であって、
前記作業現場を表す現場画像を作成するステップと、
前記設備にアクセスするためのアクセス情報を取得するステップと、
前記現場画像内において前記設備を表すオブジェクトに、当該設備にアクセスするための前記アクセス情報が関連付けられていることを示すアイコンを付して合成画像を作成するステップと、
前記保守端末に前記合成画像を出力するステップと、
前記保守端末を用いた前記合成画像における前記アイコンの選択を受け付けるステップと、
選択されたアイコンが付されたオブジェクトに関連付けられた前記アクセス情報を用いて、選択されたアイコンが付されたオブジェクトに対応する設備が接続されたゲートウェイ装置と、前記保守端末が接続されたゲートウェイ装置との間にVPNセッションを確立させるステップと、
を備え、
前記合成画像を作成するステップは、
前記現場画像内における前記オブジェクトの配置位置の座標値を特定するステップと、
前記現場画像の特定した座標値に前記アクセス情報を関連付けるステップと、
前記現場画像の特定した座標位置に前記アイコンを付するステップと、
を有する、
保守方法。
【請求項2】
前記作業現場は複数存在し、
前記現場画像、前記アクセス情報、及び前記合成画像は、複数の作業現場のそれぞれに対して作成される、請求項1に記載の保守方法。
【請求項3】
前記設備にて発生した異常を示す異常情報を前記設備から取得するステップと、
異常が発生した設備に対応する前記オブジェクトに前記異常情報を関連付けて、前記合成画像を作成するステップと、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の保守方法。
【請求項4】
前記合成画像を作成後に前記作業現場内の設備に変更があった場合、当該設備の変更に対応した新たなアクセス情報を用いて新たな合成画像を作成するステップと、
前記保守端末に前記新たな合成画像を出力するステップと、
をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の保守方法。
【請求項5】
前記新たな合成画像を作成したら、前記保守端末に、前記合成画像が更新されたことを通知するステップをさらに備える、請求項4に記載の保守方法。
【請求項6】
前記合成画像が表示される領域の外側に、前記保守端末を使用する保守員と前記作業現場に設けられた作業者端末を使用する作業者との間のチャット機能を提供するチャット欄を表示するステップをさらに備え、
前記合成画像が更新されたことの通知は、前記チャット欄に表示される、請求項5に記載の保守方法。
【請求項7】
作業現場内の設備を、前記作業現場外の保守拠点に設けられた保守端末を用いて保守するための保守サーバであって、
前記作業現場を表す現場画像を作成し、
前記設備にアクセスするためのアクセス情報を取得し、
前記現場画像内において前記設備を表すオブジェクトに、当該設備にアクセスするための前記アクセス情報が関連付けられていることを示すアイコンを付して合成画像を作成し、
前記保守端末に前記合成画像を出力し、
前記保守端末を用いた前記合成画像における前記アイコンの選択を受け付け、
選択されたアイコンが付されたオブジェクトに関連付けられた前記アクセス情報を用いて、選択されたアイコンが付されたオブジェクトに対応する設備が接続されたゲートウェイ装置と、前記保守端末が接続されたゲートウェイ装置との間にVPNセッションを確立させる、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記現場画像内における前記オブジェクトの配置位置の座標値を特定し、
前記現場画像の特定した座標値に前記アクセス情報を関連付け、
前記現場画像の特定した座標位置に前記アイコンを付することで、前記合成画像を作成する、
保守サーバ。
【請求項8】
前記作業現場は複数存在し、
前記制御部は、前記現場画像、前記アクセス情報、及び前記合成画像を、複数の作業現場のそれぞれに対して作成する、請求項7に記載の保守サーバ。
【請求項9】
前記制御部は、前記設備にて発生した異常を示す異常情報を前記設備から取得し、異常が発生した設備に対応する前記オブジェクトに前記異常情報を関連付けて前記合成画像を作成する、請求項7又は8に記載の保守サーバ。
【請求項10】
前記制御部は、前記合成画像を作成後に前記作業現場内の設備に変更があった場合、当該設備の変更に対応した新たなアクセス情報を用いて新たな合成画像を作成し、前記保守端末に前記新たな合成画像を出力する、請求項7~9のいずれか一項に記載の保守サーバ。
【請求項11】
前記制御部は、前記新たな合成画像を作成したら、前記保守端末に前記合成画像が更新されたことを通知する、請求項10に記載の保守サーバ。
【請求項12】
前記制御部は、前記合成画像が表示される領域の外側に、前記保守端末を使用する保守員と前記作業現場に設けられた作業者端末を使用する作業者との間のチャット機能を提供するチャット欄を表示し、前記合成画像が更新されたことの通知を、前記チャット欄に表示する、請求項11に記載の保守サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業現場内の設備を保守するための保守方法、及び、当該保守作業に用いられる保守サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LAN内のサーバ又は端末と、当該LAN外の端末とをVPN(Virtual Private Network)を介してアクセスする技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1のシステムでは、外部端末から特定のLAN内のサーバ又は端末にVPNを介してアクセスする際に、当該VPNのゲートウェイに接続するための情報が、当該情報を管理するサーバから外部端末へ送信される。このゲートウェイに接続するための情報には、当該ゲートウェイのアドレスなどが含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5254909号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような外部端末と特定のLAN内の端末等とをVPN接続する技術を、自動倉庫などの多数の設備を備える作業現場に対して適用することが考えられている。これにより、ネットワークを介して、外部端末から作業現場内の設備にアクセスできるようになる。
しかしながら、従来のVPN接続技術では、作業現場のような多数の設備が存在する場面での使用は想定されていない。例えば、従来のVPN接続技術では、VPN接続のゲートウェイへのアクセス情報(アドレス)は提供されるが、LAN内の端末及びサーバの配置に関する情報などは提供されない。
【0005】
多数の設備を有する作業現場においては、作業現場における配置位置から対象の設備を特定する場合もあるが、従来のVPN接続のように設備の配置に関する情報が提供されないと、外部端末から対象の設備に迅速にアクセスすることが難しくなることがある。
【0006】
本発明の目的は、作業現場外の端末から作業現場内の設備にアクセスするシステムにおいて、外部端末から設備へのアクセスを容易かつ迅速にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る保守方法は、作業現場内の設備を、作業現場外の保守拠点に設けられた保守端末を用いて保守するための保守サーバが実行する方法である。保守方法は、以下のステップを備える。
◎作業現場を表す現場画像を作成するステップ。
◎設備にアクセスするためのアクセス情報を取得するステップ。
◎現場画像内において設備を表すオブジェクトに、当該設備にアクセスするためのアクセス情報を関連付けて合成画像を作成するステップ。
◎保守端末に合成画像を出力するステップ。
◎保守端末を用いた合成画像におけるオブジェクトの選択を受け付けるステップ。
◎選択されたオブジェクトに関連付けられたアクセス情報を用いて、選択されたオブジェクトに対応する設備と保守端末との間に通信セッションを確立させるステップ。
【0008】
作業現場内の設備を外部の保守端末を用いて保守する上記の保守方法においては、作業現場における設備の配置及びその形態を表すオブジェクトを含む合成画像が作成される。作成された合成画像は、外部の保守端末に出力される。
また、合成画像のオブジェクトには、対応する設備にアクセスするためのアクセス情報が関連付けられており、保守端末により合成画像内の特定のオブジェクトが選択されると、選択されたオブジェクトに関連付けられたアクセス情報を用いて、当該オブジェクトに対応する設備と保守端末との間に通信セッションが確立される。
これにより、保守端末のユーザは、合成画像を参照してアクセスしたい設備を容易に特定できるとともに、特定した設備に迅速にアクセスできる。
【0009】
作業現場は複数存在してもよい。この場合、現場画像、アクセス情報、及び合成画像は、複数の作業現場のそれぞれに対して作成される。
これにより、保守端末のユーザは、複数の作業現場に存在する設備を容易に特定し、特定した設備に迅速にアクセスできる。
【0010】
上記の保守方法は、以下のステップをさらに備えてもよい。
◎設備にて発生した異常を示す異常情報を設備から取得するステップ。
◎異常が発生した設備に対応するオブジェクトに異常情報を関連付けて、合成画像を作成するステップ。
これにより、保守端末のユーザは、設備に発生した異常に関する情報に容易かつ迅速にアクセスできる。
【0011】
上記の保守方法は、以下のステップをさらに備えてもよい。
◎合成画像を作成後に作業現場内の設備に変更があった場合、当該設備の変更に対応した新たなアクセス情報を用いて新たな合成画像を作成するステップ。
◎保守端末に新たな合成画像を出力するステップ。
これにより、作業現場において設備の変更があった場合には、その変更を反映した最新の合成画像を保守端末に提供できる。
【0012】
上記の保守方法は、新たな合成画像を作成したら、保守端末に、合成画像が更新されたことを通知するステップをさらに備えてもよい。
これにより、保守端末のユーザに対して、合成画像の更新とともに、作業現場において設備に変更があったことを通知できる。
【0013】
上記の保守方法は、合成画像が表示される領域の外側に、チャット欄を表示するステップをさらに備えてもよい。チャット欄は、保守端末を使用する保守員と作業現場に設けられた作業者端末を使用する作業者との間のチャット機能を提供する。この場合、合成画像が更新されたことの通知は、チャット欄に表示される。
これにより、作業現場の作業者に対しても、合成画像の更新とともに、作業現場において設備に変更があったことを通知できる。
【0014】
本発明の他の見地に係る保守サーバは、作業現場内の設備を、作業現場外の保守拠点に設けられた保守端末を用いて保守するためのサーバである。保守サーバは、制御部を備える。
制御部は、作業現場を表す現場画像を作成し、設備にアクセスするためのアクセス情報を取得し、現場画像内において設備を表すオブジェクトに、当該設備にアクセスするためのアクセス情報を関連付けて合成画像を作成し、保守端末に前記合成画像を出力し、保守端末を用いた合成画像におけるオブジェクトの選択を受け付け、選択されたオブジェクトに関連付けられたアクセス情報を用いて、選択されたオブジェクトに対応する設備と保守端末との間に通信セッションを確立させる。
【0015】
上記の保守サーバにおいては、作業現場における設備の配置及びその形態を表すオブジェクトを含む合成画像が作成される。作成された合成画像は、外部の保守端末に出力される。
また、合成画像のオブジェクトには、対応する設備にアクセスするためのアクセス情報が関連付けられており、保守端末により合成画像内の特定のオブジェクトが選択されると、選択されたオブジェクトに関連付けられたアクセス情報を用いて、当該オブジェクトに対応する設備と保守端末との間に通信セッションが確立される。
これにより、保守端末のユーザは、合成画像を参照してアクセスしたい設備を容易に特定できるとともに、特定した設備に迅速にアクセスできる。
【0016】
作業現場は複数存在してもよい。この場合、制御部は、現場画像、アクセス情報、及び合成画像を、複数の作業現場のそれぞれに対して作成する。
これにより、保守端末のユーザは、複数の作業現場に存在する設備を容易に特定し、特定した設備に迅速にアクセスできる。
【0017】
制御部は、設備にて発生した異常を示す異常情報を設備から取得し、異常が発生した設備に対応するオブジェクトに異常情報を関連付けて合成画像を作成してもよい。
これにより、保守端末のユーザは、設備に発生した異常に関する情報に容易かつ迅速にアクセスできる。
【0018】
制御部は、合成画像を作成後に作業現場内の設備に変更があった場合、当該設備の変更に対応した新たなアクセス情報を用いて新たな合成画像を作成し、保守端末に新たな合成画像を出力してもよい。
これにより、作業現場において設備の変更があった場合には、その変更を反映した最新の合成画像を保守端末に提供できる。
【0019】
制御部は、新たな合成画像を作成したら、保守端末に合成画像が更新されたことを通知してもよい。
これにより、保守端末のユーザに対して、合成画像の更新とともに、作業現場において設備に変更があったことを通知できる。
【0020】
制御部は、合成画像が表示される領域の外側に、チャット欄を表示してもよい。チャット欄は、保守端末を使用する保守員と作業現場に設けられた作業者端末を使用する作業者との間のチャット機能を提供する。この場合、制御部は、合成画像が更新されたことの通知を、チャット欄に表示する。
これにより、作業現場の作業者に対しても、合成画像の更新とともに、作業現場において設備に変更があったことを通知できる。
【発明の効果】
【0021】
上記の合成画像を作成し外部の保守端末に出力することで、外部の保守端末において合成画像を参照してアクセスしたい設備を容易に特定できるとともに、特定した設備に迅速にアクセスできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】通信システムの全体構成の一例を示す図。
図2】自動倉庫システムの構成の一例を示す図。
図3】画像データの一例を示す図。
図4】センサによる測定データの一例を示す図。
図5】保守拠点の構成の一例を示す図。
図6】保守情報の一例を示す図(その1)。
図7】保守情報の一例を示す図(その2)。
図8】保守サーバのハードウェア構成の一例を示す図。
図9】中継サーバのハードウェア構成を示す図。
図10A】ゲートウェイリストの一例を示す図。
図10B】合成画像作成情報の構成を示す図。
図11A】第1設備リストのデータ構成の一例を示す図。
図11B】第2設備リストのデータ構成の一例を示す図。
図12】保守サーバの概略動作を示すフローチャート。
図13】初期設定動作を示すフローチャート。
図14】アクセス情報の取得動作を示すフローチャート。
図15】アクセス情報の取得における情報の送受信を示す図。
図16】合成画像出力までの動作における保守サーバの動作を示すフローチャート。
図17】合成画像出力までの動作における情報の送受信を示す図。
図18】ログイン画面の一例を示す図。
図19】合成画像の作成動作を示すフローチャート。
図20】保守サーバの通信セッション確立動作を示すフローチャート。
図21】通信セッション確立動作における情報の送受信を示す図。
図22】設備の変更があった場合の保守サーバの動作を示すフローチャート。
図23】設備の変更があった場合における情報の送受信を示す図。
図24】合成画像が更新されたことの通知の一例を示す図。
図25】初期画面の一例を示す図。
図26A】合成画像の一例を示す図。
図26B】合成画像の一部の拡大図。
図27】合成画像とチャット欄とを同時表示した表示画面の一例を示す図。
図28】アクセス情報を文字のリストとして表示した表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.第1実施形態
(1)通信システムの全体構成
以下、本発明に係る保守サーバについて説明する。保守サーバは、作業現場に設けられた設備を、当該作業現場とは離れた場所に存在する保守拠点に設けられた保守端末を用いて保守するためのサーバである。従って、保守サーバは、作業現場内部の設備及び端末と、保守拠点に存在する端末と、を含む通信システムに設けられる。
以下、図1を用いて、上記通信システムの一例としての第1実施形態に係る通信システム100を説明する。図1は、通信システムの全体構成の一例を示す図である。
【0024】
第1実施形態に係る通信システム100は、上記の作業現場の一例としての自動倉庫システム1と、保守拠点2と、保守サーバ3と、中継サーバ4と、を備える。
自動倉庫システム1は、例えば、物流センターなどに配置され、荷物の入出庫を行うためのシステムである。自動倉庫システム1は、荷物の入出庫を行うための自動倉庫11(設備の一例)(図2)を有する。本実施形態の通信システム100は、複数の自動倉庫システム1を備えている。
【0025】
保守拠点2は、例えば、自動倉庫システム1内の自動倉庫11の保守等を行う保守員が駐在する拠点であって、自動倉庫システム1の保守を行うための端末(保守端末21a、21b)を備える。保守拠点2の保守端末21a、21bは、複数の自動倉庫システム1のそれぞれの設備にアクセスできる。
【0026】
保守サーバ3は、上記の自動倉庫システム1及び保守拠点2(のゲートウェイ装置)と、ネットワークNW(例えば、WANなど)を介して接続されている。保守サーバ3は、自動倉庫システム1にて蓄積されている自動倉庫11(の各設備)に関する情報(稼働情報と呼ぶ)と、保守拠点2にて管理されている設備を保守するために使用する情報(保守情報と呼ぶ)と、を蓄積するデータベースを格納する。
また、保守サーバ3は、必要に応じて、自動倉庫システム1内において自動倉庫11を使用する作業者が用いる作業者端末と、保守拠点2において保守員が用いる保守端末21a、21bと、に、蓄積している稼働情報及び/又は保守情報を提供する。これにより、通信システム100では、保守サーバ3を介して、作業者端末と保守端末21a、21bとの間で、稼働情報及び保守情報を共有できる。
【0027】
さらに、保守サーバ3は、保守端末21a、21bを用いて自動倉庫システム1内の設備を保守する際に、保守端末21a、21bと当該設備との間に通信セッションを確立するための仲介をする。どのような仲介をするかについては、後ほど詳しく説明する。
【0028】
中継サーバ4は、自動倉庫システム1及び保守拠点2(のゲートウェイ装置)と、ネットワークNWを介して接続されている。中継サーバ4は、自動倉庫システム1と保守拠点2との間の通信を中継するサーバである。
また、中継サーバ4は、ネットワークNWを介して保守サーバ3と接続され、保守サーバ3からの要求に応じて、中継サーバ4に保存する各種情報を保守サーバ3に提供する。
【0029】
なお、本実施形態に係る通信システム100において、後述する各装置(ゲートウェイ装置、及び、自動倉庫システム1のカメラ及びセンサ)と保守サーバ3との間のコマンド等の送受信は、例えば、WebSocketプロトコルを用いて実行される。
【0030】
また、図1に示す通信システム100においては、保守拠点2が1つしか存在しない。これに限られず、保守拠点2は、通信システム100において複数存在してもよい。例えば、1つの保守拠点2にて複数の自動倉庫システム1を保守可能とするだけでなく、1つの自動倉庫システム1を複数の保守拠点2から保守可能としてもよい。
【0031】
(2)自動倉庫システム
(2-1)自動倉庫
以下、図2を用いて、通信システム100に含まれる自動倉庫システム1の具体的構成を説明する。図2は、自動倉庫システムの構成の一例を示す図である。なお、複数の自動倉庫システム1は、各々が有する設備数などに違いがあるのみで、基本的な構成については同一である。従って、以下では、代表的な自動倉庫システム1の基本構成を説明する。
自動倉庫システム1は、自動倉庫11を有する。自動倉庫11は、ラック、スタッカクレーン、コンベヤなどを有し、荷物の入出庫、移載、保管などを行う。
【0032】
本実施形態において、自動倉庫11のスタッカクレーン及びコンベヤには、例えば、静止画、及び、所定時間の長さを有する動画を撮影可能なカメラCA1~CA4が設けられ、スタッカクレーン及びコンベヤの状況を視覚的な稼働情報FIとして取得可能となっている。カメラCA1~CA4は、例えば、魚眼カメラである。このカメラCA1~CA4により、例えば、図3に示すような画像データ(動画)を稼働情報FIとして取得できる。図3は、画像データの一例を示す図である。
【0033】
また、自動倉庫11の近傍には、周囲の温度及び湿度を測定するセンサSE(例えば、温湿度センサ)が設けられ、周囲温度及び湿度を稼働情報FIとして取得できる。センサSEにより、例えば、図4に示すような、測定された温度と湿度を折れ線グラフまたは棒グラフで表示するデータを、測定データ(稼働情報FI)として取得できる。図4は、センサによる測定データの一例を示す図である。
【0034】
さらに、スタッカクレーンには、所定の物理量を測定するセンサSEが設けられ、スタッカクレーンにて荷崩れなどが発生したときに、当該荷崩れなどにより発生した振動及び/又は音の大きさを、稼働情報FIとして測定可能となっている。このようなセンサSEとしては、例えば、加速度センサ、音センサ、などがある。
【0035】
なお、図2に示す自動倉庫システム1においては、4台のカメラCA1~CA4、及び、1つのセンサSEが設けられているが、自動倉庫11に設けられるカメラ及びセンサの数は、上記に限られず、自動倉庫システム1の規模等に応じて任意とできる。
【0036】
(2-2)自動倉庫システムのネットワーク構成
図2を用いて、自動倉庫システム1において各設備が互いに通信するためのネットワーク構成をさらに説明する。自動倉庫システム1のネットワーク構成は、第1スイッチングハブSH1を有する。第1スイッチングハブSH1は、図2に示すように、カメラCA1、CA2と、第1外部記憶装置13aと、を接続する。第1外部記憶装置13aは、例えばNAS(Network Attached Storage)装置であり、カメラCA1、CA2により取得された画像データを保存する。
また、第1スイッチングハブSH1には、自動倉庫11のスタッカクレーン及びコンベヤなどの制御装置(図示せず)が接続されている。
【0037】
自動倉庫システム1のネットワーク構成は、第2スイッチングハブSH2を有する。第2スイッチングハブSH2は、カメラCA3、CA4、センサSE、及び、第2外部記憶装置13bを接続する。第2外部記憶装置13bは、例えばNAS装置であり、カメラCA3、CA4により取得された画像データ、及び、センサSEにより取得された測定データを保存する。
【0038】
第2スイッチングハブSH2は、第1スイッチングハブSH1にも接続されており、カメラCA1、CA2にて取得した画像データは第2外部記憶装置13bにも保存でき、カメラCA3、CA4にて取得した画像データ、及び、センサSEにて取得したデータは第1外部記憶装置13aにも保存できる。
【0039】
自動倉庫システム1のネットワーク構成は、自動倉庫システム1を管理するサーバを有する。具体的には、搬送管理サーバ15aと、情報管理サーバ15bと、を有する。
搬送管理サーバ15aは、CPU、記憶装置(RAM、ROM、SSD、ハードディスクなど)、ネットワークインタフェースなどの各種インターフェースを有するコンピュータシステムである。搬送管理サーバ15aは、自動倉庫11のスタッカクレーン、コンベヤなどと通信可能となっており、これらスタッカクレーン及びコンベヤを制御することで、自動倉庫11における荷物の入出庫を制御・管理する。
なお、本実施形態において、搬送管理サーバ15aは、第1スイッチングハブSH1に接続されている。
【0040】
情報管理サーバ15bは、CPU、記憶装置(RAM、ROM、SSD、ハードディスクなど)、ネットワークインタフェースなどの各種インターフェースを有するコンピュータシステムである。情報管理サーバ15bは、第1外部記憶装置13a及び第2外部記憶装置13bに保存された各種データ(例えば、カメラCA1~CA4及びセンサSEにて取得されたデータ)を管理する。情報管理サーバ15bは、必要に応じて、搬送管理サーバ15aが管理している情報を取得する。
なお、本実施形態において、情報管理サーバ15bは、第2スイッチングハブSH2に接続されている。
【0041】
自動倉庫システム1のネットワーク構成は、作業者端末17を有する。作業者端末17は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などである。作業者端末17は、自動倉庫11を使用する作業者が用いる端末であり、ネットワークNWを介して、保守サーバ3と通信可能となっている。これにより、作業者は、作業者端末17を用いて、保守サーバ3に蓄積されている稼働情報FI及び保守情報MIを閲覧できる。作業者端末17がタブレット端末である場合、作業者は保守対象の機器(自動倉庫、カメラやセンサ)の設置場所に作業者端末を携帯して保守作業を進めることができる。また、タブレット端末以外の端末(例えば、パーソナルコンピュータ)が作業者端末17である場合にも、作業者端末17にてカメラCA1~CA4、センサSE等にアクセス可能となっていてもよい。
【0042】
なお、図2にて示す自動倉庫システム1では、作業者端末17は1台しか設けられていないがこれに限られず、複数台の作業者端末17が設けられてもよい。
【0043】
自動倉庫システム1のネットワーク構成は、第1ゲートウェイ装置19を有する。第1ゲートウェイ装置19は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、SSD、ハードディスクなど)、ネットワークインタフェースなどの各種インターフェースを有するコンピュータシステムである。また、第1ゲートウェイ装置19は、その機能の一部又は全部をSoCなどにより実現したハードウェアであってもよい。
第1ゲートウェイ装置19は、第2スイッチングハブSH2、及び、外部のネットワークNWに接続され、自動倉庫システム1のネットワーク構成中の各設備と外部との通信を中継できる。そのため、第1ゲートウェイ装置19は、第1ゲートウェイ装置19に接続された設備に関する情報をリスト化した第1設備リストEL1(後述)を、記憶装置に記憶する。
【0044】
第1ゲートウェイ装置19は、自動倉庫システム1の各設備(カメラCA1~CA4、センサSE、スタッカクレーン及びコンベヤの制御装置など)と保守端末21a、21bとの間で通信セッションを確立すべき旨の指令を中継サーバ4から受信すると、保守拠点2の第2ゲートウェイ装置23(後述)との間にVPNセッションを確立する制御を実行する。
【0045】
また、第1ゲートウェイ装置19は、所定のタイミングで、第1外部記憶装置13a及び第2外部記憶装置13bに保存されたカメラCA1~CA4の画像データ、センサSEの測定データ、及び、各設備において発生した異常を示す異常情報などを、稼働情報FIとして保守サーバ3にアップロードする機能を有する。その他、第1ゲートウェイ装置19は、各設備のメンテナンスに関する情報、各設備の稼働情報、作業者等が撮影した設備の写真、及び、各設備の部品発注に関する情報などを、稼働情報FIとして、保守サーバ3にアップロードできる。
【0046】
上記所定のタイミングは、例えば、一定の時間毎(例えば、1時間毎、1日毎、など)、新たな稼働情報FIが保存されたタイミング、既存の稼働情報FIが更新されたタイミング、保存された稼働情報FIの容量が決められた大きさとなるタイミング、など、適宜決定できる。
【0047】
(3)保守拠点
以下、図5を用いて、通信システム100に含まれる保守拠点2の具体的構成について説明する。図5は、保守拠点の構成の一例を示す図である。
保守拠点2は、保守端末21a、21bを有する。保守端末21a、21bは、第3スイッチングハブSH3に接続される。保守端末21a、21bは、例えば、パーソナルコンピュータであり、保守拠点2に駐在する保守員が自動倉庫システム1の設備等の保守をする際に使用される。
【0048】
保守拠点2は、第2ゲートウェイ装置23を有する。第2ゲートウェイ装置23は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、SSD、ハードディスクなど)、ネットワークインタフェースなどの各種インターフェースを有するコンピュータシステムである。また、第2ゲートウェイ装置23は、その機能の一部又は全部をSoCなどにより実現したハードウェアであってもよい。
第2ゲートウェイ装置23は、第3スイッチングハブSH3、及び、外部のネットワークに接続され、保守端末21a、21bと外部との通信を中継する。そのため、第2ゲートウェイ装置23は、第2ゲートウェイ装置23に接続された保守端末21a、21bに関する情報をリスト化した第2設備リストEL2(後述)を、記憶装置に記憶する。
【0049】
第2ゲートウェイ装置23は、自動倉庫システム1の第1ゲートウェイ装置19からVPNセッション確立要求があったら、第1ゲートウェイ装置19との間にVPNセッションを確立する制御を実行する。
【0050】
また、第2ゲートウェイ装置23は、所定のタイミングで、保守端末21a、21b、及び/又は、保守拠点2に設けられた基幹システム(図示せず)に保存された情報を、保守情報MIとして保守サーバ3にアップロードする機能を有する。上記所定のタイミングは、例えば、一定の時間毎(例えば、1時間毎、1日毎、など)、新たな保守情報MIが保存されたタイミング、既存の保守情報MIが更新されたタイミング、保存された保守情報MIの容量が決められた大きさとなるタイミング、など、適宜決定できる。
【0051】
上記の保守情報MIの例としては、例えば、図6に示すような設備の部品のリストであるパーツリスト、図7に示すような自動倉庫システム1における設備(自動倉庫11)の配置を示すレイアウト図、などがある。図6及び図7は、保守情報の一例を示す図である。その他、第2ゲートウェイ装置23は、自動倉庫システム1の各設備の点検履歴、及び、各設備の点検レポートなどを、保守情報MIとして、保守サーバ3にアップロードできる。
保守サーバ3は、第2ゲートウェイ装置23(保守拠点2)から受信した保守情報MIについては、例えば、そのファイル名に基づいて、自動倉庫システム1のどの設備に関する情報であるかを判定できる。
【0052】
(4)保守サーバ
以下、図8を用いて、通信システム100に含まれる保守サーバ3の具体的なハードウェア構成について説明する。図8は、保守サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図8に示すように、保守サーバ3は、プロセッサ31と、RAM32と、ROM33と、ネットワークインタフェース34と、記憶装置35と、を有するコンピュータシステムである。
【0053】
プロセッサ31は、CPU、又は、CPUと各種インターフェースとを1つのチップに集積したSoCである。プロセッサ31は、記憶装置35などに記憶されたプログラムを実行し、保守サーバ3において行われる各種情報処理を行う。
RAM32は、記憶装置35に記憶されたプログラムなど一時的に必要な情報を記憶する。ROM33は、保守サーバ3を制御するためのプログラム及び設定などを記憶する。
このように、上記プロセッサ31と、RAM32と、ROM33は、保守サーバ3の機能を実現する制御を行うハードウェア構成である。従って、以後、これら3つのハードウェア構成を、保守サーバ3の「制御部」と呼ぶことにする。つまり、この制御部が、記憶装置35に記憶されたプログラムを実行し、後述する保守サーバ3の機能(動作)を実現する。
【0054】
ネットワークインタフェース34は、外部の端末及び/又は設備などとの通信を実行する。ネットワークインタフェース34は、例えば、有線通信により外部の端末及び/又は設備と通信をするイーサネット(登録商標)カード、及び/又は、無線通信により外部の端末及び/又は設備と通信をする無線LANインターフェースなどである。
なお、保守サーバ3が外部へ各種情報及びデータを送信する場合、上記制御部が、ネットワークインタフェース34を介して、これら情報及びデータを外部に出力する。また、保守サーバ3が外部から各種情報及びデータを受信する場合、上記制御部が、ネットワークインタフェース34を介して、これら情報及びデータを外部から入力する。
【0055】
記憶装置35は、保守サーバ3にて実行されるプログラム、保守サーバ3に蓄積する各種情報、及び、各種設定情報を記憶する。本実施形態に係る保守サーバ3に蓄積する各種情報は、自動倉庫システム1の設備(自動倉庫11)に関する稼働情報FI、及び、保守拠点2にて管理される設備の保守に関する保守情報MIである。
【0056】
一方、本実施形態に係る保守サーバ3の記憶装置35に記憶される設定情報は、ユーザ情報UI、ゲートウェイリストGL、及び、合成画像作成情報GIである。
ユーザ情報UIは、保守サーバ3にログインできるユーザを管理する情報である。ゲートウェイリストGLは、各自動倉庫システム1が有する第1ゲートウェイ装置19、及び、各保守拠点2が有する第2ゲートウェイ装置23を識別するためのリストである。合成画像作成情報GIは、自動倉庫システム1毎及び保守拠点2毎に作成され、各自動倉庫システム1の合成画像SI(図26A)を作成する場合、及び、どの保守拠点2の保守端末21a、21bからアクセスがあるかを判断する場合に使用される情報である。
【0057】
上記の構成を有することにより、保守サーバ3は、自動倉庫システム1の設備に関する稼働情報FI、及び、設備の保守に関する保守情報MIを、自動倉庫システム1及び保守拠点2から受信し、蓄積することができる。
また、この構成を有する保守サーバ3は、後述するように、現場画像FMのオブジェクトO(後述)に、そのオブジェクトOに対応する設備へのアクセス情報ACを関連付けた画像(合成画像SIと呼ぶ)を作成できる。また、合成画像SIには、各オブジェクトOに、対応する設備に関する稼働情報FI及び保守情報MIを関連付けることもできる。
【0058】
保守サーバ3は、上記の構成以外にも、ディスプレイ36を有してもよい。ディスプレイ36は、保守サーバ3についての各種情報を表示する、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイである。これにより、ユーザは、例えば、ディスプレイ36に表示された情報を参照しながら、保守サーバ3を管理できる。
【0059】
保守サーバ3は、ユーザからの入力を受け付ける入力インターフェース37をさらに有してもよい。入力インターフェース37は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力機器である。これにより、ユーザは、入力インターフェース37を用いて、保守サーバ3を直接管理できる。
【0060】
なお、保守サーバ3は、上記の入力インターフェース37及び/又はディスプレイ36がなくとも、例えば、ネットワークインタフェース34を介してアクセス可能な端末を用いて、保守サーバ3に関する情報を参照しつつ保守サーバ3を管理できる。
【0061】
(5)中継サーバ
以下、図9を用いて、通信システム100に含まれる中継サーバ4の具体的なハードウェア構成を説明する。図9は、中継サーバのハードウェア構成を示す図である。
図9に示すように、中継サーバ4は、プロセッサ41と、RAM42と、ROM43と、ネットワークインタフェース44と、記憶装置45と、を有するコンピュータシステムである。
プロセッサ41は、CPU、又は、CPUと各種インターフェースとを1つのチップに集積したSoCである。プロセッサ41は、記憶装置45などに記憶されたプログラムを実行し、中継サーバ4において行われる各種情報処理を行う。
【0062】
RAM42は、記憶装置45に記憶されたプログラムなど一時的に必要な情報を記憶する。ROM43は、中継サーバ4を制御するためのプログラム及び設定などを記憶する。
ネットワークインタフェース44は、外部の端末及び/又は設備などとの通信を実行する。ネットワークインタフェース44は、例えば、有線通信により外部の端末及び/又は設備と通信をするイーサネット(登録商標)カード、及び/又は、無線通信により外部の端末及び/又は設備と通信をする無線LANインターフェースなどである。
【0063】
記憶装置45は、中継サーバ4にて実行されるプログラム、及び、ログイン情報LIを記憶する、例えば、ハードディスク、SSDなどの記憶装置である。また、記憶装置45は、中継サーバ4を動作させるために必要な設定を記述した設定ファイルなどを記憶する。
【0064】
他の実施形態において、中継サーバ4は、ディスプレイ46を有してもよい。ディスプレイ46は、中継サーバ4についての各種情報を表示する、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイである。これにより、ユーザは、例えば、ディスプレイ46に表示された情報を参照しながら、中継サーバ4を管理できる。
【0065】
他の実施形態において、中継サーバ4は、ユーザからの入力を受け付ける入力インターフェース47を有してもよい。入力インターフェース47は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力機器である。これにより、ユーザは、入力インターフェース47を用いて、中継サーバ4を直接管理できる。
【0066】
なお、中継サーバ4は、上記の入力インターフェース47及び/又はディスプレイ46がなくとも、例えば、ネットワークインタフェース44を介してアクセス可能な端末を用いて、中継サーバ4に関する情報を参照しつつ中継サーバ4を管理できる。
【0067】
(5)通信システムにて管理される情報
(5-1)保守サーバで管理される情報
以下、保守サーバ3、中継サーバ4、第1ゲートウェイ装置19、及び、第2ゲートウェイ装置23に記憶されている情報について説明する。最初に、保守サーバ3で管理される情報を説明する。上記のように、保守サーバ3は、ユーザ情報UI、合成画像作成情報GI、及びゲートウェイリストGLを記憶装置35に記憶している。
ゲートウェイリストGLは、図10Aに示すように、例えば、各自動倉庫システム1の識別情報と、当該自動倉庫システム1が有する第1ゲートウェイ装置19の識別情報と、を関連付けたリストである。また、ゲートウェイリストGLは、各保守拠点2の識別情報と、当該保守拠点2が有する第2ゲートウェイ装置23の識別情報を関連付けて記憶している。図10Aは、ゲートウェイリストの一例を示す図である。
【0068】
各自動倉庫システム1及び各保守拠点2の識別情報は、例えば、自動倉庫システム1及び保守拠点2の識別番号である。この識別情報のうち自動倉庫システム1のものは、後述する合成画像作成情報GIにも含まれる。図10Aに示す例では、自動倉庫システム1の識別番号を100番台の番号とし、保守拠点2の識別番号を200番台の番号としている。自動倉庫システム1及び保守拠点2の識別番号は、図10Aに示す例に限られず、任意に設定できる。
一方、第1ゲートウェイ装置19及び第2ゲートウェイ装置23の識別情報は、例えば、当該第1ゲートウェイ装置19及び第2ゲートウェイ装置23が中継サーバ4にログインするためのログインIDである。その他、第1ゲートウェイ装置19及び第2ゲートウェイ装置23のネットワークアドレス(IPアドレス)を、ゲートウェイ装置の識別情報とすることもできる。
【0069】
ユーザ情報UIは、保守サーバ3にログインするためのユーザIDとパスワードとを記憶する。また、ユーザ情報UIにおいては、ユーザIDごとに、ユーザ種別が関連付けられている。ユーザ種別は、そのユーザIDが保守員のものであるか、作業者等の保守員以外のものであるかの種別を示すものである。その他、ユーザ情報UIには、各ユーザの情報(例えば、ユーザの所属、連絡先、権限レベル、など)が記憶されていてもよい。
【0070】
合成画像作成情報GIは、図10Bに示すように、識別情報INと、現場画像FMと、関連付け情報AIと、第1設備リストEL1と、を有する。図10Bは、合成画像作成情報の構成を示す図である。識別情報INは、自動倉庫システム1を識別するための情報であって、ゲートウェイリストGLの識別情報と同じものである。
現場画像FMは、自動倉庫システム1を表す画像である。具体的には、現場画像FMは、自動倉庫システム1の実写画像、又は、デジタルモデルである。現場画像FMは、自動倉庫システム1の各設備を画像化して表す。設備を画像化して表したものをオブジェクトOと呼ぶことにする。
【0071】
関連付け情報AIは、稼働情報FI及び保守情報MIと、自動倉庫システム1の設備との関連付けを記憶した情報である。また、関連付け情報AIには、自動倉庫システム1の設備と、保守端末21a、21bから当該設備にアクセスするためのアクセス情報AC(後述)と、が関連付けられている。
第1設備リストEL1は、第1ゲートウェイ装置19に接続された設備に関する情報のリストである。具体的な構成については、後ほど詳しく説明する。
【0072】
(5-2)中継サーバで管理される情報
次に、中継サーバ4で管理される情報を説明する。中継サーバ4で管理されるログイン情報LIは、中継サーバ4にログインするためのユーザIDを記憶する。なお、ログイン情報LIには、第1ゲートウェイ装置19及び第2ゲートウェイ装置23のためのユーザIDを含んでいる。すなわち、第1ゲートウェイ装置19及び第2ゲートウェイ装置23は、中継サーバ4にログインする。
なお、ログイン情報LIにおいて、ゲートウェイ装置のためのユーザIDは、そのユーザIDを有するゲートウェイ装置のネットワークアドレス(例えば、IPアドレス)と関連付けられている。これにより、中継サーバ4は、ゲートウェイ装置のユーザIDから、対応するゲートウェイ装置のネットワークアドレスを知ることができ、当該ゲートウェイ装置にアクセスできる。
【0073】
(5-3)ゲートウェイ装置で管理される情報
最後に、ゲートウェイ装置で管理されている情報を説明する。各ゲートウェイ装置は、自身のLAN内に接続された設備に関する情報のリストを管理する。第1ゲートウェイ装置19は、図11Aに示す第1設備リストEL1を管理する。その一方、第2ゲートウェイ装置23は、図11Bに示す第2設備リストEL2を管理する。図11Aは、第1設備リストのデータ構成の一例を示す図である。図11Bは、第2設備リストのデータ構成の一例を示す図である。
なお、図11A及び図11Bに示す設備リストは一例であって、自動倉庫システム1及び保守拠点2の規模などにより、リストされる設備の種類、設備の数は異なる。
【0074】
(5-3-1)第1設備リスト
図11Aに示すように、第1ゲートウェイ装置19が管理する第1設備リストEL1は、設備名記録部分R1と、アドレス記録部分R2と、サブID記録部分R3と、サブタイプ記録部分R4と、状態記録部分R5と、を有する。
【0075】
設備名記録部分R1は、設備名を記録する。第1設備リストEL1においては、図11Aに示すように、カメラCA1~CA4の名称(クレーン#1カメラ~コンベヤ#2カメラ)と、センサSEの名称(クレーン#1センサ)と、第1外部記憶装置13aの名称(外部記憶装置#1)と、第2外部記憶装置13bの名称(外部記憶装置#2)と、情報管理サーバ15bの名称(情報管理サーバ)と、搬送管理サーバ15aの名称(搬送管理サーバ)と、が記録される。
【0076】
アドレス記録部分R2は、ゲートウェイ装置に接続可能な設備に割り当てられたネットワークアドレスを記録する。第1設備リストEL1においては、カメラCA1~CA4の設備名を有する行には、それぞれに、「192.168.0.1」~「192.168.0.4」とのIPアドレスが記録されている。また、センサSEの設備名を有する行に、「192.168.0.11」とのIPアドレスが記録されている。
さらに、外部記憶装置#1~外部記憶装置#2との設備名を有する行に、それぞれ、「192.168.0.21」及び「192.168.0.22」と、情報管理サーバ及び搬送管理サーバとの設備名を有する行に、それぞれ、「192.168.0.31」及び「192.168.0.32」と、IPアドレスが記録されている。
【0077】
また、スタッカクレーンの制御装置名(制御盤)を有する行のそれぞれに、「192.168.0.111」及び「192.168.0.112」と、コンベヤの制御装置名(PLC)を有する行のそれぞれに、「192.168.0.41」及び「192.168.0.42」と、IPアドレスが記録されている。
【0078】
後述するように、上記アドレス記録部分R2に記録されたIPアドレスは、ゲートウェイ装置間で通信セッションを確立したときに、当該ゲートウェイ装置に接続された設備同士が、ゲートウェイ装置を介して通信する際に使用される。
【0079】
サブID記録部分R3は、設備が中継サーバ4にログインするためのログインID(サブID)を記録する。第1設備リストEL1においては、カメラCA1~CA4の設備名を有する行に、それぞれ、「cam001」~「cam004」とのサブIDが記録され、センサSEの設備名を有する行に「sen001」とのサブIDが記録されている。
また、「制御盤」との設備名を有する行に、それぞれ、「ctrl001」及び「ctrl002」とのサブIDが記録され、「PLC」との設備名を有する行に、それぞれ、「PLC001」及び「PLC002」とのサブIDが記録されている。
【0080】
サブタイプ記録部分R4は、ゲートウェイ装置に接続された設備の種別を表すユーザタイプ(サブタイプ)を記録する。第1設備リストEL1においては、カメラCA1~カメラCA4の設備名を有する行に「camera」とのサブタイプが記録され、センサSEの設備名を有する行に「sensor」とのサブタイプが記録されている。
また、「制御盤」との設備名を有する行に「controller」とのサブタイプが記録され、「PLC」との設備名を有する行に「PLC」とのサブタイプが記録されている。
【0081】
状態記録部分R5は、設備リストに記録された各設備がゲートウェイ装置と通信可能な状態にあるか否かを記録する。第1設備リストEL1の例では、例えば、カメラCA3及びカメラCA4の設備名の行に「NG」と記録されている一方、その他の行においては「OK」と記録されている。すなわち、カメラCA3、CA4が第1ゲートウェイ装置19と通信可能となっていない。
このように、状態記録部分R5は、ゲートウェイ装置に接続された設備(設備)のうち、ゲートウェイ装置と通信可能となっているものに対しては「OK」と記録し、通信可能となっていないものに対しては「NG」と記録する。
【0082】
図11Aに示すように、第1設備リストEL1の1行分の情報、すなわち、1つの設備に対するIPアドレス、設備名、サブID、サブタイプ、及び状態を含む情報がアクセス情報ACであり、これが現場画像FMのオブジェクトOに関連付けられる。
【0083】
(5-3-2)第2設備リスト
次に、図11Bを用いて、第2ゲートウェイ装置23が管理する第2設備リストEL2を説明する。第2設備リストEL2は、第1設備リストEL1と同様に、設備名記録部分R1と、アドレス記録部分R2と、サブID記録部分R3と、サブタイプ記録部分R4と、状態記録部分R5と、を有する。
第2設備リストEL2においては、設備名記録部分R1には、保守端末21aの名称(保守端末#1)と、保守端末21bの名称(保守端末#2)と、が記録される。また、アドレス記録部分R2には、保守端末21a、21bの設備名を有する行のそれぞれに、「172.28.0.2」及び「172.28.0.3」とのIPアドレスが記録されている。
【0084】
その一方、第2設備リストEL2のサブID記録部分R3、サブタイプ記録部分R4、及び状態記録部分R5には、情報が記録されていない。これは、保守端末21a、21bは、中継サーバ4にログインできないことを示している。
【0085】
(6)保守サーバの概略動作
以下、本実施形態に係る通信システム100の保守サーバ3の動作を説明する。まず、図12を用いて、保守サーバ3の概略動作を説明する。図12は、保守サーバの概略動作を示すフローチャートである。
保守サーバ3は、自動倉庫システム1の各設備に、遠隔地の保守端末21a、21bを用いてアクセスする場合に、所望の設備を容易に特定し、かつ、迅速にアクセスを可能とする。この機能を実現するため、保守サーバ3は、図12のフローチャートに従った処理を実行する。なお、図12に示す動作は、1つの自動倉庫システム1に対する動作である。保守サーバ3は、通信システム100に含まれる複数の自動倉庫システム1のそれぞれについて、図12に示す動作を個別に実行する。
【0086】
具体的には、まずステップS1で、保守サーバ3は、合成画像SIを作成するための初期設定動作を実行する。初期設定動作を実行後、保守サーバ3は、ステップS2で、初期設定動作において作成及び取得した情報等を用いて、合成画像SIを作成する。保守サーバ3は、作成した合成画像SIを、対応する保守端末21a、21bに出力する。合成画像SIを受信した保守端末21a、21bは、ディスプレイ(図示せず)に合成画像SIを表示させる。
【0087】
合成画像SIを出力後、保守サーバ3は、ステップS3で、保守端末21a、21bを用いた合成画像SIにおけるオブジェクトOの選択を受け付ける。
ステップS3でオブジェクトOの選択を受け付けると(ステップS3で「Yes」)、保守サーバ3は、ステップS4で、選択されたオブジェクトOに関連付けられたアクセス情報ACを用いて、選択されたオブジェクトOに対応する設備と保守端末21a、21bの間に通信セッションを確立させるための指令をする。
【0088】
(7)保守サーバの具体的動作
(7-1)初期設定動作
以下、図13を用いて、上記ステップS1の初期設定動作を具体的に説明する。図13は、初期設定動作を示すフローチャートである。
初期設定動作では、まず、ステップS11で、現場画像FMが作成され、保守サーバ3の記憶装置35に記憶される。
現場画像FMを自動倉庫システム1の実写画像とする場合には、自動倉庫システム1の複数の箇所で実写画像を撮影する。次に、それぞれが自動倉庫システム1のどの位置で撮影されたかを考慮して、当該複数の実写画像を連結して現場画像FMを作成する。その他、実写画像をパノラマ画像として撮影して、現場画像FMとすることもできる。
一方、現場画像FMを自動倉庫システム1のデジタルモデルとする場合には、例えば、CADなどを用いて描画した自動倉庫システム1の三次元イメージを現場画像FMとする。
【0089】
次に、ステップS12において、保守サーバ3は、保守端末21a、21bから自動倉庫システム1の各設備にアクセスするためのアクセス情報ACを取得する。本実施形態において、アクセス情報ACは、中継サーバ4から取得する。アクセス情報ACの取得動作については、後ほど詳しく説明する。
【0090】
アクセス情報ACを取得後、ステップS13において、保守サーバ3は、取得したアクセス情報ACと、現場画像FM中のオブジェクトOとを関連付ける。この関連付けは、例えば、以下のようにして実行できる。
【0091】
まず、現場画像FMにおいて、自動倉庫システム1の設備を表す画像をオブジェクトOとして特定する。その後、特定したオブジェクトOのそれぞれについて、その座標値を取得する。オブジェクトOの座標値は、例えば、オブジェクトOを表す画素の現場画像FMにおける配置位置(座標値)とできる。
次に、オブジェクトOの座標値と、そのオブジェクトOに対応する設備のアクセス情報ACと、を関連付けて関連付け情報AIに記憶する。
【0092】
上記のステップS11~S13を実行することにより、保守サーバ3は、合成画像SIを作成するために必要な情報を得られる。すなわち、保守サーバ3は、現場画像FMと、関連付け情報AIと、アクセス情報ACを含む第1設備リストEL1と、自動倉庫システム1の識別情報INと、を関連付けて合成画像作成情報GIを得られる。
【0093】
なお、上記のステップS13において、保守サーバ3は、自動倉庫システム1及び保守拠点2から、これらが有する稼働情報FI及び保守情報MIを取得する。その後、保守サーバ3は、現場画像FMの各オブジェクトOに、対応する設備の稼働情報FI及び保守情報MIをさらに関連付けて、関連付け情報AIに記憶する。このとき、保守サーバ3は、稼働情報FI及び保守情報MIへのリンクを、各オブジェクトOに関連付ける。
【0094】
上記のように、稼働情報FIには、自動倉庫システム1の設備にて発生した異常を示す異常情報が含まれる。従って、現場画像FMの各オブジェクトOに稼働情報FIを関連付けることにより、異常が発生した設備に対応するオブジェクトOに異常情報を関連付けて、合成画像SIを作成できる。
【0095】
また、保守サーバ3は、初期設定動作として、保守サーバ3にログインするためのユーザ登録、各ユーザに対する情報へのアクセス制限等の設定動作を実行してもよい。
【0096】
(7-2)アクセス情報取得動作
次に、図14及び図15を用いて、上記の初期設定動作のステップS12の動作、すなわち、アクセス情報ACの取得動作をより詳細に説明する。図14は、アクセス情報の取得動作を示すフローチャートである。図15は、アクセス情報の取得における情報の送受信を示す図である。
アクセス情報ACを取得するために、保守サーバ3は、ステップS21で、中継サーバ4に設備リスト要求信号を送信する。
【0097】
具体的には、保守サーバ3は、まず、所望のアクセス情報ACが存在する自動倉庫システム1の識別番号を特定する。その後、ゲートウェイリストGLにおいて、特定した識別番号に関連付けられた第1ゲートウェイ装置19のログインIDを特定する。
ログインIDを特定後、保守サーバ3は、設備リスト要求信号とともに、特定したログインIDを中継サーバ4に送信する(ステップS201)。
【0098】
上記要求信号を受信した中継サーバ4は、要求信号とともに送信されてきたログインIDが、いずれの自動倉庫システム1の第1ゲートウェイ装置19のものであるかを特定する。その後、中継サーバ4は、設備リスト要求信号を、上記にて特定した第1ゲートウェイ装置19へ送信する(ステップS202)。
【0099】
中継サーバ4から設備リスト要求信号を受信すると(ステップS202)、第1ゲートウェイ装置19は、自身が保有する第1設備リストEL1を、中継サーバ4へ送信する(ステップS203)。
【0100】
その後、所望の第1設備リストEL1を第1ゲートウェイ装置19から取得したら(ステップS203)、中継サーバ4は、その第1設備リストEL1を保守サーバ3へ送信する(ステップS204)。
【0101】
中継サーバ4から第1設備リストEL1を受信すると(ステップS22で「Yes」)、保守サーバ3は、取得した第1設備リストEL1を、合成画像作成情報GIとして記憶装置35に記憶する。その後、保守サーバ3は、記憶した第1設備リストEL1から、各設備のアクセス情報ACを抽出する。
以上のようにして、保守サーバ3は、所望の第1設備リストEL1を、中継サーバ4を介して、対応する第1ゲートウェイ装置19から受信し、受信した第1設備リストEL1からアクセス情報ACを抽出して取得できる。
【0102】
(7-3)合成画像の作成/出力動作
次に、図16及び図17を用いて、上記ステップS2における合成画像SIの作成と出力の具体的な動作を説明する。図16は、合成画像出力までの動作における保守サーバの動作を示すフローチャートである。図17は、合成画像出力までの動作における情報の送受信を示す図である。以下では、保守拠点2の保守員が保守端末21aを用いて、保守サーバ3へアクセスする場合を例にとって説明する。
【0103】
合成画像SIの作成と出力は、初期設定動作が完了し稼働中の保守サーバ3に対して、保守端末21aから、保守サーバ3への接続要求がなされることから開始される(ステップS301)。具体的には、例えば、保守端末21aのウェブブラウザにおいて保守サーバ3のアドレスが指定され、このウェブブラウザが保守サーバ3へ接続要求を出力する。
【0104】
接続要求を受信すると(ステップS31で「Yes」)、保守サーバ3は、ステップS32で、接続要求のあった保守端末21aにログイン画面I1を出力する(ステップS302)。例えば、図18に示すようなログイン画面I1が出力される。図18は、ログイン画面の一例を示す図である。
【0105】
保守員は、保守端末21aに表示されたログイン画面I1において、ユーザID入力欄T1に自身のユーザIDを入力し、パスワード入力欄T2に自身のパスワードを入力する。その後、ログインボタンB1を押すことで、入力されたユーザID及びパスワードが、認証情報として保守サーバ3に出力される(ステップS303)。
【0106】
保守端末21aから認証情報を受信すると(ステップS33で「Yes」)、保守サーバ3は、ステップS34において、認証動作を実行する。具体的には、保守サーバ3は、受信した認証情報、すなわち、ユーザID及びパスワードと、ユーザ情報UIに記憶されたユーザID及びパスワードとを比較する。
【0107】
上記比較の結果、受信した認証情報がユーザ情報UIに存在しない、又は、受信した認証情報とユーザ情報UIに記憶されたユーザID及びパスワードとが一致しないなどの理由により認証に失敗した場合(ステップS34で「No」)、保守サーバ3は、合成画像出力処理を終了する。
認証に失敗した場合、保守サーバ3は、認証に失敗したことを、ログインしようとしている保守端末21aに通知する。また、保守サーバ3は、認証が所定の回数失敗後に、合成画像出力処理を終了してもよい。
【0108】
一方、受信した認証情報により認証に成功すると(ステップS34で「Yes」)、保守サーバ3は、ステップS25において、認証に成功した保守端末21aに、初期画面I2(図25)を出力する(ステップS304)。初期画面I2の構成については、後ほど説明する。
保守端末21aに初期画面I2が表示された後、保守員は、初期画面I2を用いて入室したいルームを選択する。作業者端末17又は保守端末21aが、選択されたルームのチャットへの参加要求を、チャット入室要求として保守サーバ3に送信する(ステップS305)。
【0109】
保守端末21aからチャット入室要求を受信すると、保守サーバ3は、ステップS36において、合成画像SIを作成する。以下、図19を用いて、ステップS36で実行される合成画像SIの作成動作を、さらに詳しく説明する。図19は、合成画像の作成動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS41において、保守サーバ3は、現場画像FMの各オブジェクトOに対応する設備ついて、対象の保守員が閲覧可能な稼働情報FI及び保守情報MI、及び、当該保守員がアクセス可能な設備を選択する。
【0110】
具体的には、保守サーバ3は、ユーザIDにて識別された保守員に対して閲覧可能となっている稼働情報FI、保守情報MIを判断する。また、当該保守員がアクセス可能な設備を判断する。
次に、保守サーバ3は、関連付け情報AIを参照し、各オブジェクトOに関連付けられている稼働情報FI、保守情報MI、アクセス情報ACのうち、対象の保守員が閲覧可能となっている稼働情報FI及び保守情報MIを抽出する。また、当該保守員がアクセスできる設備のアクセス情報ACを抽出する。
【0111】
さらに、保守サーバ3は、各オブジェクトOと、対応する設備について抽出した稼働情報FI、保守情報MI、及びアクセス情報ACと、を関連付けて、対象の保守員ごとの独自の関連付け情報を作成する。
【0112】
独自の関連付け情報を作成後、保守サーバ3は、ステップS42において、当該独自の関連付け情報において、現場画像FMの各オブジェクトOに稼働情報FI、保守情報MI、又は、アクセス情報ACが関連付けられているか否かを判定する。
独自の関連付け情報において、稼働情報FI、保守情報MI、アクセス情報ACのいずれもオブジェクトOに関連付けられていない場合(ステップS42で「No」)、合成画像SIの作成処理はステップS44に進む。
【0113】
一方、独自の関連付け情報において、稼働情報FI、保守情報MI、アクセス情報ACのいずれかがオブジェクトOに関連付けられている場合(ステップS42で「Yes」)、保守サーバ3は、ステップS43において、このオブジェクトOが存在する現場画像FMの座標位置に、所定のアイコンを配置する。この所定のアイコンは、稼働情報FI及び/又は保守情報MIがオブジェクトOに関連付けられていることを示す。
【0114】
また、このオブジェクトOに対応する設備が保守端末21aを用いてアクセス可能であれば、当該オブジェクトOのアイコンには、対応する設備のアクセス情報ACが表示される。なお、後述するように、関連付けられている稼働情報FI及び/又は保守情報MIの種類により、配置するアイコンの種類(形状)は異なっている。
【0115】
アイコンを配置後、保守サーバ3は、上記独自の関連付け情報に基づいて、アイコンをクリックすることによりステップS41で選択された稼働情報FI、保守情報MIを参照できるリンクを作成する。
それと同時に、アクセス情報ACが表示されたアイコンをクリックすることにより、ステップS41で選択されたアクセス情報ACを用いて通信セッションを確立する指令(セッション確立指令と呼ぶ)を出力する命令を作成する。
【0116】
設備数が多い自動倉庫システム1においては、1つのオブジェクトO(設備)に関連付けられる稼働情報FI及び保守情報MIは、通常、複数存在する。従って、本実施形態では、各オブジェクトOに関連付けられている稼働情報FI及び保守情報MIへのリンクは、リスト化され、リストとして管理される。また、本実施形態では、このリストへのリンクを各オブジェクトOに関連付ける。
その一方で、アクセス情報ACは設備ごとに異なっているので、通信セッション確立指令を出力する命令は、各オブジェクトOに直接関連付けられる。
【0117】
上記の処理により、現場画像FMにおいて、稼働情報FI、保守情報MI、アクセス情報ACのいずれかが関連付けられているオブジェクトOにはアイコンを配置できる一方、これら情報が全く関連付けられていないオブジェクトOにはアイコンを配置しないようにできる。
【0118】
必要に応じてオブジェクトOにアイコンを配置後、ステップS44において、現場画像FMの全てのオブジェクトOに対して上記ステップS41~S43を実行したか否かを確認する。すなわち、全てのオブジェクトOについて関連付けるべき稼働情報FI、保守情報MI、アクセス情報ACを決定したか否かを確認する。
全てのオブジェクトOについて情報の関連付けを決定していない場合(ステップS44で「No」)、他のオブジェクトOについて上記S41~S43をさらに実行する。
【0119】
一方、全てのオブジェクトOについて情報の関連付けを決定した場合(ステップS44で「Yes」)、合成画像SI(図26A)の作成を終了する。
具体的構成については後ほど説明するが、合成画像SIでは、現場画像FMのオブジェクトOに稼働情報FI、保守情報MI、アクセス情報ACのいずれかが関連付けられていると、そのオブジェクトOにアイコンが配置される。
また、オブジェクトOに関連付けられている情報の種類によりアイコンの形状は異なっており、アクセス情報ACが関連付けられているオブジェクトOには、そのアクセス情報ACがアイコンとともに表示される。
【0120】
このような合成画像SIにより、どのオブジェクトOにどの種類の稼働情報FI、保守情報、アクセス情報ACが関連付けられているかを、視覚的に整理された状態で保守員に示すことができる。
【0121】
図16及び図17に戻り、上記のようにして合成画像SIを作成後、保守サーバ3は、ステップS37において、合成画像SIとともにチャット欄A4(図27)を設けた表示画面I3を、この合成画像SIの作成に用いたユーザIDの保守員が使用中の保守端末21aに送信する(ステップS306)。
【0122】
なお、自動倉庫システム1の作業者が作業者端末17を用いて保守サーバ3にアクセスした場合も、上記ステップS31~S37、及び、ステップS41~S44が実行される。すなわち、合成画像SIが作成され、表示画面I3が作業者端末17に出力される。ただし、この場合の合成画像SIのオブジェクトOには、アクセス情報ACは関連付けられない。つまり、作業者端末17を使用する作業者は、合成画像SIを参照して稼働情報FI及び保守情報MIのみを閲覧できる。
【0123】
また、保守サーバ3は、作成した合成画像SIに、当該合成画像SIが示す自動倉庫システム1の識別情報INを関連付ける。合成画像SIのオブジェクトOが選択(クリック)された場合には、この識別情報INをオブジェクトOの選択結果(後述)に含めて保守サーバ3に送信する。
【0124】
(7-4)合成画像の出力までの動作に関するまとめ
図13図19を用いて説明した、保守サーバ3の合成画像SIの出力までの動作については、以下のようにまとめることができる。
本実施形態においては、保守サーバ3が、自動倉庫システム1を表す現場画像FMを作成し(ステップS11)、設備にアクセスするためのアクセス情報ACを取得し(ステップS12、ステップS21~S23)、現場画像FM内において設備を表すオブジェクトOに、当該設備にアクセスするためのアクセス情報ACを関連付けて合成画像SIを作成し(ステップS13、ステップS41~S44)、保守端末21a、21bに合成画像SIを出力している(ステップS37)。
【0125】
上記のようにして作成された合成画像SIのオブジェクトOには、対応する設備にアクセスするためのアクセス情報ACが関連付けられている。これにより、保守端末21a、21bのユーザ(保守員)は、合成画像SIを参照して、アクセスしたい設備を容易に特定できる。
【0126】
また、本実施形態においては、保守サーバ3が、自動倉庫システム1から稼働情報FIを取得し、対応するオブジェクトOに稼働情報FIを関連付けて合成画像SIを作成している。上記のように、稼働情報FIには、自動倉庫システム1の設備で発生した異常を示す異常情報が含まれているので、保守員は、設備に発生した異常に関する情報に容易かつ迅速にアクセスできる。
【0127】
また、本実施形態においては、保守サーバ3が、合成画像SIが表示される領域の外側に、チャット欄A4を表示する表示画面I3を出力している。また、保守サーバ3は、作業者のユーザIDを用いて作成した合成画像SIの外側にもチャット欄A4を設ける。
これにより、チャット欄A4を用いて、保守端末21a、21bを使用する保守員と、作業者端末17を使用する作業者との間でチャット機能を使用できる。
【0128】
(8)通信セッション確立動作
(8-1)通信セッション確立動作
上記のように、合成画像SIを作成し出力すると、合成画像SIとチャット欄A4とがともに表示された表示画面I3が保守端末21a、21bに表示される。表示画面I3が表示されることで、アクセス可能な設備を容易に特定可能な合成画像SIの提供が開始される。それとともに、保守サーバ3に蓄積された稼働情報FI及び保守情報MIの提供が開始される。
すなわち、保守員は、合成画像SIを参照して、所望のオブジェクトOに配置されたアイコンをクリックすることで、そのオブジェクトOに対応する設備に容易かつ迅速にアクセスできる。また、それとともに、オブジェクトOに関連付けられた稼働情報及び保守情報MIにアクセスできる。
【0129】
以下、図20及び図21を用いて、保守端末21a、21bと、合成画像SIにおいて特定したオブジェクトOに対応する設備と、の間に通信セッションを確立するまでの動作を説明する。図20は、保守サーバの通信セッション確立動作を示すフローチャートである。図21は、通信セッション確立動作における情報の送受信を示す図である。
以下では、保守サーバ3にログインしている保守端末21aと、自動倉庫11のスタッカクレーンの制御盤(設備名:クレーン#1制御盤)と、の間の通信セッションの確立を例にとって説明する。
【0130】
保守端末21aに表示される表示画面I3の合成画像SI(図26A)において、アクセス情報ACが付されたアイコンがクリックされると(図12のステップS3で「Yes」)、クリックされたアイコンの情報が、オブジェクトOの選択結果として、保守端末21aから保守サーバ3に送信される(ステップS501)。
例えば、「Ctrl001 192.168.0.111」とのアクセス情報ACが付されたアイコンがクリックされた場合、保守端末21aは、自身のIPアドレス(LAN内)と、その保守端末21aが存在する保守拠点2の識別番号と、当該アクセス情報ACと、合成画像SIに関連付けられた識別情報INと、をオブジェクトOの選択結果として、保守サーバ3に送信する。
【0131】
なお、オブジェクトOにアクセス情報ACが関連付けられたことを示さないアイコンがクリックされた場合には、保守サーバ3は、そのアイコンに関連付けられた動作を実行する。
【0132】
オブジェクトOの選択結果を保守端末21aから受信すると、保守サーバ3は、ステップS51において、保守サーバ3がアクセスしようとしている設備が、いずれの第1ゲートウェイ装置19に接続されているかを特定する。
具体的には、保守サーバ3は、ゲートウェイリストGLにおいて、受信した選択結果の識別情報INが、どの第1ゲートウェイ装置19の識別情報に関連付けられているかを特定する。例えば、「101」との識別番号を識別情報INとして受信したとき、保守サーバ3は、図10AのゲートウェイリストGLを参照し、ログインID「vpn001」を有する第1ゲートウェイ装置19を特定する。
【0133】
また、ステップS51においては、保守サーバ3は、オブジェクトOの選択結果を送信した保守端末21aが接続された第2ゲートウェイ装置23も特定する。例えば、「201」との識別番号を受信したとき、保守サーバ3は、図10AのゲートウェイリストGLを参照し、ログインID「vpn002」を有する第2ゲートウェイ装置23を特定する。
【0134】
次に、保守サーバ3は、ステップS52において、保守サーバ3がアクセスしようとしている設備のアクセス情報ACを特定する。具体的には、保守サーバ3は、オブジェクトOの選択結果として送信されたアクセス情報ACを、アクセスしようとしている設備のアクセス情報ACとして特定する。
また、ステップS52においては、保守サーバ3は、オブジェクトOの選択結果として受信した保守端末21aのアドレスから、保守端末21aのIPアドレスを特定する。
【0135】
その後、保守サーバ3は、ステップS53において、上記ステップS51~S52により特定した第1ゲートウェイ装置19のログインID(vpn001)、特定した第2ゲートウェイ装置23のログインID(vpn002)、特定したアクセス情報AC、及び、保守端末21aのIPアドレスを、第1ゲートウェイ装置19への接続要求として、中継サーバ4に送信する(ステップS502)。
【0136】
上記のステップS51~S53を実行することにより、保守サーバ3は、通信システム100において、保守端末21aと自動倉庫システム1の設備との間に通信セッションを確立させるための指令を、中継サーバ4に送信できる。
【0137】
保守端末21aと自動倉庫システム1の設備との間に通信セッションを確立させるための指令を送信後は、主に、中継サーバ4、第1ゲートウェイ装置19、及び、第2ゲートウェイ装置23により、通信セッションの確立動作が実行される。以下、図21を用いて、当該確立動作を説明する。
上記の接続要求を受信した中継サーバ4は、接続要求先のユーザID「vpn001」から第1ゲートウェイ装置19のネットワークアドレスを特定する。また、ユーザID「vpn002」から、保守端末21aが接続された第2ゲートウェイ装置23のネットワークアドレスを特定する。
【0138】
その後、特定した第2ゲートウェイ装置23のネットワークアドレス、アクセス情報AC、及び、保守端末21aのIPアドレスを、接続要求として、特定した第1ゲートウェイ装置19に送信する(ステップS503)。
【0139】
上記の接続要求を受信した第1ゲートウェイ装置19は、当該接続要求を受け入れるか否かを決定する。この接続要求を受け入れると決定した場合には、第1ゲートウェイ装置19は、接続要求を受け入れる旨の通知を、受信した接続要求に含まれていたネットワークアドレスを有する第2ゲートウェイ装置23に送信する(ステップS504)。
【0140】
上記通知を受信した第2ゲートウェイ装置23は、自身が有する第2設備リストEL2を、上記通知の送信元の第1ゲートウェイ装置19に送信する(ステップS505)。
第2設備リストEL2を受信した第1ゲートウェイ装置19は、受信した設備リストの送信元の第2ゲートウェイ装置23に、自身が有する第1設備リストEL1を送信する(ステップS506)。
【0141】
以上のステップS505及びS506により、互いが有する第1設備リストEL1と第2設備リストEL2を交換後、第1ゲートウェイ装置19及び第2ゲートウェイ装置23は、互いの間にVPNセッションを確立する。
上記のように第1ゲートウェイ装置19と第2ゲートウェイ装置23との間でVPNセッションを確立することにより、保守端末21aは、第2ゲートウェイ装置23と第1ゲートウェイ装置19とを介して、第1ゲートウェイ装置19に接続された設備にアクセスできる。
【0142】
また、第1ゲートウェイ装置19と第2ゲートウェイ装置23との間にVPNセッションが確立されると、保守端末21aと自動倉庫システム1の各設備は、交換した第1設備リストEL1及び第2設備リストEL2のアドレス記録部分R2に記録されているIPアドレスを用いて、互いに通信できる。
【0143】
例えば、VPNセッションの確立後に、自動倉庫システム1の設備(設備名:クレーン#1制御盤の制御盤)は、保守端末21aのIPアドレス「172.28.0.2」宛てに、当該設備のIPアドレス「192.168.0.111」とともに、自身へのVPN接続が可能である旨を通知する。
当該通知を受信した保守端末21aは、例えば、設備の保守アプリケーションを起動する。これにより、保守端末21aのユーザ(保守員)は、当該アプリケーションを用いて設備(制御盤)の保守を実行できる。
【0144】
上記のVPNセッションにより、保守端末21aと自動倉庫システム1の設備は、第1ゲートウェイ装置19及び第2ゲートウェイ装置23を介して、LAN内で用いられているIPアドレス(例えば、「192.168.*.*」、「172.28.*.*」(*:ワイルドカード)などのIPアドレス)を用いて、セキュリティを確保した状態で互いにデータを送受信できる。
【0145】
(8-2)通信セッション確立動作に関するまとめ
図20及び図21を用いて説明した、保守端末21a、21bと自動倉庫システム1の設備との間の通信セッションの確立動作については、以下のようにまとめることができる。
上記のように、保守端末21a、21bにより、合成画像SI内の特定のオブジェクトO(アクセス情報ACが付されたオブジェクトO)が選択されると(ステップS3、ステップS501)、保守サーバ3は、選択されたオブジェクトOに関連付けられたアクセス情報ACを用いて、当該オブジェクトOに対応する設備と保守端末21a、21bとの間に通信セッションを確立させる(ステップS51~S53、ステップS502)。
これにより、保守端末21a、21bのユーザ(保守員)は、合成画像SIを参照してアクセスしたい設備を容易に特定できるとともに、特定した設備に迅速にアクセスできる。
【0146】
(9)合成画像SIを表示中に実行できる機能
(9-1)合成画像SIを表示中に実行可能な機能の概略
上記にて説明した図27に示すような表示画面I3が表示された後、保守端末21a、21bにおいて、保守員は、チャット欄A4を用いてチャットすることができる。また、チャット以外にも、合成画像SIを用いた各種機能を実行できる。
例えば、チャット欄A4のチャット内容を合成画像SIに関連付けて新たな合成画像SIを作成できる。また、チャット欄A4のチャット内容をクリックすると、このチャット内容に関連した合成画像SIの位置(オブジェクトO)に「ジャンプ」(アクセス)できるようになる。
【0147】
さらには、新たな稼働情報FI及び保守情報MIを作成し、又は、既存の稼働情報FI及び保守情報MIを編集し、それを合成画像SIに関連付けることもできる。
稼働情報FI及び保守情報MIの更新だけでなく、保守サーバ3は、自動倉庫システム1における設備の接続状態に変化があった場合、自動倉庫システム1の設備に変更があった場合、設備数に増減があった場合には、これらの変更を合成画像SIに反映できる。
【0148】
(9-2)設備変更に伴う合成画像の更新動作
以下、図22及び図23を用いて、設備の変更があった場合の通信システム100における動作を説明する。図22は、設備の変更があった場合の保守サーバの動作を示すフローチャートである。図23は、設備の変更があった場合における情報の送受信を示す図である。
例えば、自動倉庫システム1において新たなゲートウェイ装置が追加された、及び/又は、既存の自動倉庫システム1において設備が除去及び/又は追加された場合、設備の変更があった自動倉庫システム1の第1ゲートウェイ装置19は、新たな設備の変更に対応した第1設備リストEL1を作成(更新)する。当該第1ゲートウェイ装置19は、新たな第1設備リストEL1を中継サーバ4に送信する(ステップS601)。
【0149】
新たな第1設備リストEL1を受信した中継サーバ4は、それを保守サーバ3へ送信する(ステップS602)。このとき、中継サーバ4は、新たな第1設備リストEL1を送信した第1ゲートウェイ装置19の識別情報IN(例えば、ログインID)を、新たな第1設備リストEL1とともに送信する。
【0150】
新たな第1設備リストEL1を受信した保守サーバ3は、新たな第1設備リストEL1に対応するよう、合成画像SIを更新する。合成画像SIの更新は、以下のようにして実行される。
まず、ステップS61で、保守サーバ3は、新たな第1設備リストEL1の各アクセス情報ACと、合成画像SI中のオブジェクトOとの新たな関連付けを実行する。
具体的には、保守サーバ3は、まず、新たな第1設備リストEL1とともに送信されてきた識別情報INにより、どの合成画像作成情報GIを変更すべきかを決定する。次に、対応する合成画像作成情報GIの第1設備リストEL1を、新たな第1設備リストEL1に置き換える。さらに、保守サーバ3は、オブジェクトOと、新たな第1設備リストEL1に含まれる新たなアクセス情報ACとの関連付けを実行し、新たな関連付け情報AIを作成する。
【0151】
なお、上記ステップS61のオブジェクトOと新たなアクセス情報ACとの関連付けは、上記にて説明したステップS11~S13(図13)、及び、ステップS21~S23(図14)を、新たな第1設備リストEL1に基づいて実行することにより実現できる。従って、ここでは詳細な説明を省略する。
【0152】
オブジェクトOとアクセス情報ACの新たな関連付けを実行後、保守サーバ3は、ステップS62において、新たな合成画像作成情報GIに基づいて、新たな合成画像SIを作成し、保守端末21a、21bに出力する(ステップS603)。
なお、上記ステップS52の新たな合成画像SIの作成と出力は、ステップS31~S37(図16)、及び、ステップS41~S44(図19)を、新たな関連付けに基づいて実行することにより実現できる。従って、ここでは詳細な説明を省略する。
【0153】
このように、合成画像SIを作成後に自動倉庫システム1の設備に変更があった場合に、当該設備の変更に対応した新たなアクセス情報を用いて、新たな合成画像SIを作成し出力することにより、自動倉庫システム1において設備の変更があった場合には、その変更を反映した最新の合成画像SIを保守端末21a、21bに提供できる。
【0154】
上記のようにして新たな合成画像SIを作成後、保守サーバ3は、ステップS63において、保守端末21a、21bに、合成画像SIが更新されたことを通知する。
上記通知は、例えば、図24に示すように、チャット欄A4の所定領域(図24の例では下部領域)に「合成画像が更新されました」との表示を有するポップアップウィンドウPUを、表示画面I3上に表示する指令である。図24は、合成画像が更新されたことの通知の一例を示す図である。その他、上記通知は、保守端末21a、21bに、所定の音を発生させる指令であってもよい。
あるいは、チャット欄A4に「合成画像が更新されました」というメッセージを投稿してもよい。また、このメッセージには更新されたデータへのリンクを含めておき、メッセージ中のリンクから、合成画像SI中の更新されたデータにアクセスできるようにしても良い。
【0155】
このように、新たな合成画像SIが作成されたら、保守サーバ3が保守端末21a、21bにその旨を通知することにより、保守端末21a、21bを使用する保守員は、新たな合成画像SI(最新の合成画像SI)が作成されたこと、すなわち、合成画像SIの更新があったことを容易に認識できる。また、保守員は、合成画像SIの更新があったことを認識することにより、自動倉庫システム1において設備の変更があったことを認識できる。
【0156】
なお、保守端末21a、21bを使用する保守員が、作業者端末17を使用する作業者とチャットをしている場合には、上記のポップアップを、作業者端末17のチャット欄A4にも表示する。これにより、自動倉庫システム1の作業者に対しても、合成画像SIの更新とともに、自動倉庫システム1において設備に変更があったことを通知できる。
【0157】
(10)画面表示の構成
(10-1)初期画面
以下、保守端末21a、21bのディスプレイに表示される表示画面の構成について簡単に説明する。なお、以下に示す表示画面は一例であって、表示画面の構成及び/又は外観は適宜変更できる。
まず、図25を用いて、保守サーバ3にログイン後に作業者端末17及び保守端末21a、21bに表示される初期画面I2の構成を説明する。図25は、初期画面の一例を示す図である。初期画面I2は、利用履歴表示欄A1を有する。利用履歴表示欄A1には、利用履歴をリスト表示する利用履歴リストL1と、利用履歴を更新するための更新ボタンB2と、メモを記載するためのメモ欄T3と、が表示される。
【0158】
初期画面I2は、ルーム選択欄A2を有する。ルーム選択欄A2には、どのチャットのルームに入室するかを選択するための選択ボタンB3が表示される。いずれかの選択ボタンB3が押されると、選択されたボタンのチャットのルームへの入室が要求される。
なお、ユーザが入出できないルームのボタンは、非表示とするか、又は、無効(選択できない)とされる。
【0159】
初期画面I2は、ユーザ情報変更欄A3を有する。ユーザ情報変更欄A3には、ユーザの情報(ユーザID、パスワード、ユーザIDに関連付けるユーザの名称)を編集するための情報編集欄T4と、ユーザ画像(アバター)を変更するための画像変更ボタンB4と、アカウント種別を変更するための種別変更欄M1と、押されるとユーザの情報が更新される更新ボタンB5と、が表示される。
【0160】
(10-2)合成画像
次に、図26A及び図26Bを用いて、合成画像SIの構成を説明する、図26Aは、合成画像の一例を示す図である。図26Bは、合成画像の一部の拡大図である。合成画像SIは、自動倉庫システム1の設備を表す複数のオブジェクトOを表示する。具体的には、自動倉庫システム1に含まれる複数種類の自動倉庫11がオブジェクトOとして表示されている。
【0161】
また、合成画像SIでは、各オブジェクトOにアイコンが配置されている。図26Aに示す合成画像SIの例では、八種類のアイコン(ICO1~ICO8)が配置されている。なお、合成画像SIに表示されるアイコンの種類は、設備に関連付ける情報の種類などにより、任意に決定できる。
【0162】
第1アイコンICO1は、「i」の文字が丸で囲まれた形状を有している。第1アイコンICO1は、このアイコンが配置された設備には、この設備に関する各種情報(マニュアル等)が稼働情報FI及び/又は保守情報MIとして関連付けられていることを示す。また、第1アイコンICO1の下には、「***INFO」(「***」は設備の呼称。以下同じ)との文字が付され、第1アイコンICO1がどのオブジェクトに配置されているかが具体的に示されている。
【0163】
第2アイコンICO2は、小型カメラの形状を有している。第2アイコンICO2は、このアイコンが配置された設備には、この設備に設けられたカメラCAが取得した画像データが稼働情報FIとして関連付けられていることを示す。また、第2アイコンICO2の下には、「***カメラ」との文字が付され、第2アイコンICO2がどのオブジェクトに配置されているかが具体的に示されている。
【0164】
第3アイコンICO3は、温度計と湿度計の形状を有している。第3アイコンICO3は、このアイコンが付された設備には、この設備に設けられたセンサSEが取得したデータ(温度、湿度)が稼働情報FIとして関連付けられていることを示す。また、第3アイコンICO3の下には、「***湿温度」との文字が付され、第3アイコンICO3がどのオブジェクトに配置されているかが具体的に示されている。
【0165】
第4アイコンICO4は、ドキュメントの形状を有している。第4アイコンICO4は、このアイコンが付された設備には、この設備のパーツリストが保守情報MIとして関連付けられていることを示す。また、第4アイコンICO4の下には、「***パーツリスト」との文字が付され、第4アイコンICO4がどのオブジェクトに配置されているかが具体的に示されている。
【0166】
第5アイコンICO5は、大型カメラの形状を有している。第5アイコンICO5は、このアイコンが付された大型カメラには、このカメラが取得した画像データが稼働情報FIとして関連付けられていることを示す。また、第5アイコンICO5の下には、「カメラ」との文字が付され、第5アイコンICO5が大型カメラのオブジェクトに配置されていることが示されている。
【0167】
第6アイコンICO6は、逆三角形の図形の横に矢印が付された形状を有している。第6アイコンICO6は、現場画像FM(合成画像SI)の所定位置に設けられ、このアイコンをクリックすることで、合成画像SIの視野が当該アイコンの方向に移動することを示す。
第6アイコンICO6が押されるか又は操作されると、合成画像SIの視野の中心が、選択された第6アイコンICO6の位置となり、視野の方向が第6アイコンICO6の正面になる方向となる。これにより、合成画像SIにおいて、自動倉庫システム1を移動するような仮想現実を実現できる。
【0168】
第7アイコンICO7は、現場画像FM(合成画像SI)の所定位置に設けられ(図26Aの例では合成画像SIの上方)、スイッチの形状を有している。また、その下には「View Mode」との文字が付されている。第7アイコンICO7は、クリックすることで、上記第1アイコンICO1~第6アイコンICO6の表示と非表示とを切り替えることができる機能を有する。
【0169】
第8アイコンICO8は、現場画像FM(合成画像SI)の所定位置に設けられ(図26Aの例では合成画像SIの上方)、スイッチの形状を有している。また、その上には「VPN」との文字が付されている。第8アイコンICO8は、クリックすることで、合成画像SIにおいてアクセス情報ACの表示と非表示とを切り替えることができる機能を有する。
【0170】
図26B図26Aの点線で囲まれた部分の拡大図)に示すように、合成画像SIに含まれるいくつかのアイコンには、アクセス情報ACが表示されている。図26Bで示す例では、「PL1_INFO」との記載と第1アイコンICO1との間に、「Ctrl001 192.168.0.111」と、当該設備(スタッカクレーンの制御盤)のサブIDとIPアドレスとが、アクセス情報ACとして表示されている。また、「PL1_クレーンカメラ」との記載と第2アイコンICO2との間に、「Cam001 192.168.0.1」と、当該設備(カメラCA)のサブIDとIPアドレスとが、アクセス情報ACとして表示されている。
【0171】
(10-3)合成画像とチャット欄との表示画面
以下、図27を用いて、合成画像SIとチャット欄A4とを同時に表示した表示画面I3の構成を説明する。図27は、合成画像とチャット欄とを同時表示した表示画面の一例を示す図である。
図27に示すように、表示画面I3においては、合成画像SIが表示される領域の外側に、上記にて説明したルーム選択欄A2と、チャット欄A4と、が表示される。図27に示す例では、ルーム選択欄A2は合成画像SIの左側に表示され、チャット欄A4は右側に表示される。
【0172】
チャット欄A4では、チャット中の所定のタイミングでなされたチャット内容が吹き出しCHとして時系列に配置される。また、チャット欄A4には、ファイル選択欄FSが配置されている。ファイル選択欄FSは、作業者端末17又は保守端末21aなどに保存されたファイルを選択し、チャット内容(吹き出しCH)に添付する。
このようにしてチャット内容に添付されたファイルは、合成画像SIにドラッグすることにより、合成画像SIの所定の位置又はオブジェクトOに、稼働情報FI又は保守情報MIとして関連付けることができる。
【0173】
チャット内容から関連付けられたファイルは、例えば、作業者端末17にて上記動作がなされた場合には稼働情報FIとして関連付け、保守端末21a、21bにて上記動作がされた場合には保守情報MIとして関連付けることができる。
【0174】
また、図28に示すように、表示画面I3において表示状態を切り替えることにより、合成画像SIのオブジェクトOに関連付けられているアクセス情報ACを文字によりリスト表示することもできる。図28は、アクセス情報を文字のリストLSTとして表示した表示画面の一例を示す図である。
【0175】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
上記にて説明したフローチャートの処理の順番、及び、各ステップの処理内容は、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0176】
(A)合成画像SIは、オブジェクトOにアクセス情報ACが関連付けられたことを示すアイコンを有さなくてもよい。この場合、例えば、合成画像SI上にカーソル(例えば、マウスカーソル)が配置されたときに、そのカーソルが指しているオブジェクトOにアクセス情報ACが関連付けられているなら、そのオブジェクトOのアクセス情報ACが表示されてもよい。また、オブジェクトOに関連付けてアクセス情報AC自体が表示されなくてもよく、例えば、オブジェクトOに対応する設備にアクセスするか否かを問うメッセージが表示されてもよい。すなわち、合成画像SIにおいてオブジェクトOにアクセス情報ACが関連付けられていればよく、具体的な表示態様は問わない。
【0177】
(B)ユーザIDとパスワード以外にも、作業者及び保守員の人体情報(例えば、指紋、血管(静脈)パターン、虹彩パターン、顔パターンなど)を用いたユーザ認証を用いることもできる。
さらに、例えば、作業者端末17及び保守端末21a、21bの識別情報(例えば、MACアドレス、IPアドレス、など)を用いたユーザ認証を用いることもできる。この場合には、作業者端末17、保守端末21a、21b、LANグループ、自動倉庫システム1、及び保守拠点2などの単位で閲覧権限を設けることができる。
【0178】
(C)上記にて説明した通信システム100は、自動倉庫システム1と、自動倉庫システム1の設備を保守する保守拠点2との間の情報共有の用途以外にも、隔離された箇所で情報を共有するシステムにおいて使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明は、作業現場内の設備を遠隔にて保守するための通信システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0180】
100 通信システム
1 自動倉庫システム
11 自動倉庫
13a 第1外部記憶装置
13b 第2外部記憶装置
15a 搬送管理サーバ
15b 情報管理サーバ
17 作業者端末
19 第1ゲートウェイ装置
2 保守拠点
21a、21b 保守端末
23 第2ゲートウェイ装置
3 保守サーバ
31 プロセッサ
32 RAM
33 ROM
34 ネットワークインタフェース
35 記憶装置
36 ディスプレイ
37 入力インターフェース
4 中継サーバ
41 プロセッサ
42 RAM
43 ROM
44 ネットワークインタフェース
45 記憶装置
46 ディスプレイ
47 入力インターフェース
A1 利用履歴表示欄
A2 ルーム選択欄
A3 ユーザ情報変更欄
A4 チャット欄
AC アクセス情報
AI 関連付け情報
B1 ログインボタン
B2 更新ボタン
B3 選択ボタン
B4 画像変更ボタン
B5 更新ボタン
CA カメラ
CA1~CA4 カメラ
CH 吹き出し
EL1 第1設備リスト
EL2 第2設備リスト
FI 稼働情報
FM 現場画像
FS ファイル選択欄
GI 合成画像作成情報
GL ゲートウェイリスト
I1 ログイン画面
I2 初期画面
I3 表示画面
ICO1 第1アイコン
ICO2 第2アイコン
ICO3 第3アイコン
ICO4 第4アイコン
ICO5 第5アイコン
ICO6 第6アイコン
ICO7 第7アイコン
ICO8 第8アイコン
IN 識別情報
L1 利用履歴リスト
LI ログイン情報
M1 種別変更欄
MI 保守情報
NW ネットワーク
O オブジェクト
PU ポップアップウィンドウ
R1 設備名記録部分
R2 アドレス記録部分
R3 サブID記録部分
R4 サブタイプ記録部分
R5 状態記録部分
SE センサ
SH1 第1スイッチングハブ
SH2 第2スイッチングハブ
SH3 第3スイッチングハブ
SI 合成画像
T1 ユーザID入力欄
T2 パスワード入力欄
T3 メモ欄
T4 情報編集欄
UI ユーザ情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
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図26A
図26B
図27
図28