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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】点火コイル
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/12 20060101AFI20240319BHJP
   F02P 15/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01F38/12 A
H01F38/12 Q
F02P15/00 303B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019108774
(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公開番号】P2020202308
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 崇司
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045760(JP,A)
【文献】実開昭56-046236(JP,U)
【文献】特開平11-111532(JP,A)
【文献】特開2007-194364(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0212635(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/26、38/12
F02P 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに磁気結合された一次コイル(11)及び二次コイル(12)と、
前記一次コイル及び前記二次コイルの周囲に配されたコアカバー(2)と、
前記コアカバーに保持された外周コア(3)と、を備え、
前記コアカバーは、前記外周コアを挟持する一対の挟持部(21)と、一対の前記挟持部の間に位置し前記外周コアの内周面に対向するカバー対向面(220)と、を有し、
前記コアカバーの一対の側方カバー部(23)において、前記外周コアの側方辺部(331、332)を挟持する一対の前記挟持部の一方は、一対の前記挟持部の並び方向(Z)の可撓性を有するとともに前記側方辺部の前記並び方向における一方の端面を弾性的に押圧する可撓部(211)と、前記並び方向において前記可撓部の外側に位置し前記側方辺部の一方の端面と対向する側方天板部(232)と、を有しており、前記挟持部の他方は、前記側方辺部の前記並び方向における他方の端面に沿う側方リブ(234)を有しており、
前記可撓部は、前記並び方向における前記外周コア側に向かうほど、前記カバー対向面側、又は、前記並び方向に直交するとともに前記カバー対向面に平行な方向(X)の一方側へ向かうよう傾斜するガイド面(211a、211g、211h)を有し、
前記並び方向に直交するとともに前記カバー対向面に平行な方向において、前記側方天板部の両端部は、一対の前記挟持部の一方が位置する領域よりも外側に位置している、点火コイル(1)。
【請求項2】
前記コアカバーは、一対の前記挟持部を連結する連結部(22a、22b)に、前記外周コアの内周面に対向する前記カバー対向面を有し、一対の前記挟持部は、前記並び方向における前記カバー対向面の両側に配置されている、請求項1に記載の点火コイル。
【請求項3】
前記外周コアにおける前記可撓部と当接する面部を当接面部(37)としたとき、前記当接面部と前記可撓部との当接位置は、前記カバー対向面の法線方向(Y)における中央位置(c)よりも前記カバー対向面から遠い側に配されている、請求項1又は2に記載の点火コイル。
【請求項4】
前記可撓部は、前記並び方向に直交する面方向の一方へ向かうほど、前記並び方向における前記外周コア側へ向かうよう形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の点火コイル。
【請求項5】
前記可撓部は、その根本部から先端部までにかけて湾曲した形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の点火コイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の点火コイルは、互いに磁気的に結合された一次コイル及び二次コイルと、一次コイル及び二次コイルを囲むよう形成された環状の外周コアと、を有する。前記外周コアは、コアホルダに保持されている。
【0003】
コアホルダは、環状の外周コアの開口方向の両側から、外周コアを挟持する一対の底板部と、底板部の内周側端縁同士を前記開口方向に連結するとともに、外周コアの内周面に対向する連結側板部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-45760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の点火コイルにおいては、公差等により、前記開口方向における外周コアの寸法が前記開口方向における一対の底板部の間隔よりも大きくなるほど、外周コアが一対の底板部の間に挿入できない場合が懸念される。コストや製造性等の観点から公差を小さくすることは困難であり、特許文献1に記載の点火コイルは、コアカバーに対するコアの組付性を向上させる観点から、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、コアカバーに対する外周コアの組付性を向上させることができる点火コイルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、互いに磁気結合された一次コイル(11)及び二次コイル(12)と、
前記一次コイル及び前記二次コイルの周囲に配されたコアカバー(2)と、
前記コアカバーに保持された外周コア(3)と、を備え、
前記コアカバーは、前記外周コアを挟持する一対の挟持部(21)と、一対の前記挟持部の間に位置し前記外周コアの内周面に対向するカバー対向面(220)と、を有し、
前記コアカバーの一対の側方カバー部(23)において、前記外周コアの側方辺部(331、332)を挟持する一対の前記挟持部の一方は、一対の前記挟持部の並び方向(Z)の可撓性を有するとともに前記側方辺部の前記並び方向における一方の端面を弾性的に押圧する可撓部(211)と、前記並び方向において前記可撓部の外側に位置し前記側方辺部の一方の端面と対向する側方天板部(232)と、を有しており、前記挟持部の他方は、前記側方辺部の前記並び方向における他方の端面に沿う側方リブ(234)を有しており、
前記可撓部は、前記並び方向における前記外周コア側に向かうほど、前記カバー対向面側、又は、前記並び方向に直交するとともに前記カバー対向面に平行な方向(X)の一方側へ向かうよう傾斜するガイド面(211a、211g、211h)を有し、
前記並び方向に直交するとともに前記カバー対向面に平行な方向において、前記側方天板部の両端部は、一対の前記挟持部の一方が位置する領域よりも外側に位置している、点火コイル(1)にある。
【発明の効果】
【0008】
前記態様の点火コイルにおいて、一対の挟持部の少なくとも一方は、一対の挟持部の並び方向の可撓性を有するとともに外周コアを弾性的に押圧する可撓部を有する。それゆえ、コアカバーに外周コアを組み付ける際、可撓部を前記並び方向に撓ませることで一対の挟持部間の間隔を変えることができるため、外周コアを確実に一対の挟持部の間に配置することができる。
【0009】
以上のごとく、前記態様によれば、コアカバーに対する外周コアの組付性を向上させることができる点火コイルを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1における、点火コイルの断面図。
図2】実施形態1における、コアカバー及び外周コアの斜視図。
図3】実施形態1における、コアカバー及び外周コアを前方から見た正面図。
図4】実施形態1における、コアカバー及び外周コアの、可撓部を通る断面図。
図5図4の、可撓部周辺の拡大図。
図6】実施形態1における、コアカバーの斜視図。
図7】実施形態1における、コアカバーの側面図。
図8】実施形態1における、コアカバーを後方から見た背面図。
図9】実施形態1における、中心コア、磁石体、及び外周コアの平面図。
図10】実施形態1における、コアカバー、第一分割コア及び第二分割コアの分解斜視図。
図11】実施形態1における、コアカバー及び側方辺部の可撓部を通る断面図であって、側方辺部が可撓部のガイド面に当接している様子を示す図。
図12】実施形態1における、コアカバー及び側方辺部の可撓部を通る断面図であって、側方辺部に押されて可撓部が撓んだ様子を示す図。
図13】実施形態2における、コアカバーの可撓部を通る断面図。
図14】実施形態3における、コアカバーの可撓部を通る断面図。
図15】実施形態4における、コアカバーの可撓部を通る断面図。
図16】実施形態5における、コアカバーの可撓部を通る断面図。
図17】実施形態6における、コアカバー、第一分割コア及び第二分割コアの分解斜視図。
図18】実施形態6における、コアカバーに第一分割コアを組み付ける様子を示す側面図。
図19】実施形態6における、コアカバーに第二分割コアを組み付ける様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
点火コイルの実施形態につき、図1図12を用いて説明する。
本形態の点火コイル1は、図1に示すごとく、互いに磁気結合された一次コイル11及び二次コイル12と、一次コイル11及び二次コイル12の周囲に配されたコアカバー2と、コアカバー2に保持された外周コア3と、を備える。
【0012】
図2図8に示すごとく、コアカバー2は、外周コア3を挟持する一対の挟持部21を有する。一対の挟持部21の少なくとも一方は、一対の挟持部21の並び方向の可撓性を有するとともに外周コア3を弾性的に押圧する可撓部211を有する。
以後、本形態につき詳説する。
【0013】
なお、図7において、外周コア3は、後述の後方辺部32の断面のみを表している。また、図8においては、外周コア3の外形を2点鎖線で表している。
【0014】
なお、一次コイル11及び二次コイル12の巻回軸が延びる方向をX方向という。また、図1に示すごとく、X方向の一方側であって、外周コア3に対して後述のイグナイタ13が配された側を前方X1とし、その反対側を後方X2とする。一対の挟持部21の並び方向は、X方向に直交する方向であり、以後、Z方向という。Z方向の一方側であって、後述のケース5が開口する側を上側Z1、その反対側であって、ケース5における高圧タワー部52の突出側を下側Z2という。なお、前後や上下の表現は、便宜的なものであり、内燃機関等に対する点火コイル1の配置姿勢を限定するものではない。また、X方向とZ方向との双方に直交する方向をY方向という。
【0015】
本形態の点火コイル1は、例えば、自動車、コージェネレーション等の内燃機関に用いるものとすることができる。点火コイル1は、内燃機関に設置される図示しないスパークプラグに接続され、スパークプラグに高電圧を印加する手段として用いられる。
【0016】
図9に示すごとく、外周コア3は、Z方向から見た形状が矩形環状である。外周コア3の上面と下面とのそれぞれは、Z方向に直交する面上に面一に形成されている。外周コア3は、前方辺部31、後方辺部32及び一対の側方辺部331、332を備える。
【0017】
前方辺部31と後方辺部32とは、それぞれX方向に厚みを有する矩形板状に形成されているとともに、互いにX方向に対向している。
【0018】
一対の側方辺部331、332は、前方辺部31及び後方辺部32のY方向の一端同士及び他端同士をつなぐ。一対の側方辺部331、332は、それぞれY方向に厚みを有する矩形板状に形成されているとともに、互いにY方向に対向している。なお、後述の第一分割コア3aの側方辺部に符号331を付し、後述の第二分割コア3bの側方辺部に符号332を付する。
【0019】
外周コア3は、周方向に2分割されている。すなわち、外周コア3は、Z方向から見た形状がL字状の第一分割コア3aと第二分割コア3bとを組み合わせることで環状に形成されている。
【0020】
第一分割コア3aは、前方辺部31及び一方の側方辺部331、332からなり、第二分割コア3bは、後方辺部32及び他方の側方辺部331、332からなる。第一分割コア3aと第二分割コア3bとは、互いに同等の形状を有する。第一分割コア3aと第二分割コア3bとのそれぞれは、Z方向に厚みを有するとともにZ方向の両面が絶縁材にて被覆された被覆鋼板を、Z方向に積層してなる。
【0021】
図2図9に示すごとく、第一分割コア3aは、前方辺部31における側方辺部331、332と反対側の端部に、Y方向の端面の一部がY方向に突出した組付凸部35を有する。また、第一分割コア3aは、側方辺部331、332における前方辺部31と反対側の端部に、Y方向の前方辺部31が突出する側の端面の一部がY方向に凹んだ組付凹部36を有する。第一分割コア3aにおいて、組付凸部35及び組付凹部36のそれぞれは、第一分割コア3aのZ方向の全体にわたって形成されている。
【0022】
第二分割コア3bは、後方辺部32における側方辺部331、332と反対側の端部に、Y方向の端面の一部がY方向に突出した組付凸部35を有する。また、第二分割コア3bは、側方辺部331、332における後方辺部32と反対側の端部に、Y方向の端面の一部がY方向に凹んだ組付凹部36を有する。第二分割コア3bにおいて、組付凸部35及び組付凹部36のそれぞれは、第二分割コア3bのZ方向の全体にわたって形成されている。
【0023】
第一分割コア3aと第二分割コア3bとは、第一分割コア3aの組付凸部35を第二分割コア3bの組付凹部36に、第二分割コア3bの組付凸部35を第一分割コア3aの組付凹部36に、それぞれ嵌入して組み付けられている。すなわち、第一分割コア3a及び第二分割コア3bにおける組付凸部35の突出方向、及び組付凹部36の凹み方向(すなわちX方向)は、第一分割コア3aと第二分割コア3bとの組付方向と一致している。第一分割コア3a及び第二分割コア3bは、コアカバー2に対して組み付けられている。
【0024】
図2に示すごとく、コアカバー2は、外周コア3の後方辺部32及び一対の側方辺部331、332を一対の挟持部21によって挟持しており、Z方向から見たとき、前方X1に開口するU字状を呈している。すなわち、コアカバー2は、一対の側方カバー部23と後方カバー部24とを備える。一対の側方カバー部23は、Z方向から見たとき、X方向に形成されるとともに互いにY方向に並んで形成されている。また、一対の側方カバー部23は、一対の側方辺部331、332を保持している。後方カバー部24は、側方カバー部23の後端同士をY方向に連結するとともに後方辺部32を保持している。
【0025】
図6図8に示すごとく、コアカバー2の後方カバー部24及び側方カバー部23のそれぞれは、一対の挟持部21と、連結部22a、22bとを備える。一対の挟持部21は、Z方向における外周コア3の両側に配されており、外周コア3を挟持している。連結部22a、22bは、外周コア3の内周側に配されており、一対の挟持部21を連結している。連結部22a、22bは、外周コア3の内周面に対向するよう板状に形成されている。つまり、連結部22a、22bは、外周コア3の内周面に対向するカバー対向面220を有する。
【0026】
以後、一対の挟持部21における側方カバー部23を構成する部位のうち、上側Z1の部位を側方第一挟持部21aといい、下側Z2の部位を側方第二挟持部21bという。また、連結部22a、22bにおける側方カバー部23を構成する部位を側方連結部22aという。また、一対の挟持部21における後方カバー部24を構成する部位のうち、上側Z1の部位を後方第一挟持部21cといい、下側Z2の部位を後方第二挟持部21dという。また、連結部22a、22bにおける後方カバー部24を構成する部位を後方連結部22bという。
【0027】
側方第一挟持部21aは、可撓部211を備える。前述のごとく、可撓部211は、Z方向に可撓性を有する。可撓性とは、力が加わると大きく撓むように変形可能である性質をいう。また、本形態において、可撓部211は、加わる力がなくなると略元の状態に戻る性質(弾性)を備える。なお、図5に、撓む前(すなわち、変形していない自由状態)の可撓部211の外形を破線で表している。
【0028】
図5に示すごとく、可撓部211は、Y方向の一方へ向かうほど、Z方向における外周コア3側(すなわち下側Z2)へ向かうよう傾斜している。具体的には、可撓部211は、Y方向におけるカバー対向面220から遠ざかるほど、Z方向における外周コア3側(すなわち下側Z2)に向かうよう傾斜している。可撓部211は、側方連結部22aから、Y方向及びZ方向の双方に傾斜する斜め方向に沿ってまっすぐに延設されている。可撓部211は、コアカバー2における、当該可撓部211が形成された側方カバー部23の側方連結部22a以外の部位には接続されていない。
【0029】
可撓部211は、側方連結部22aに接続された片持ち状態で配されている。それゆえ、可撓部211は、側方連結部22aから遠い側の端部周辺に上向きの力が加わると、Z方向に変形可能であり、当該力がなくなると、略元の状態(自由状態)に戻ることができる。
【0030】
図5に示すごとく、可撓部211における側方連結部22aから突出する側の端部には、ガイド面211aが形成されている。ガイド面211aは、Z方向における外周コア3側(すなわち下側Z2)に向かうほど、Y方向のカバー対向面220側へ向かうよう傾斜したテーパ面である。後述するが、第一分割コア3a及び第二分割コア3bをコアカバー2に組み付ける際、第一分割コア3a又は第二分割コア3bをガイド面211aに押し付けることで、可撓部211を上側Z1に向かって撓ませることができる。
【0031】
図5に示すごとく、ガイド面211aにおけるY方向のカバー対向面220側に隣接する隣接面211bは、カバー対向面220側に向かうほど上側Z1に向かうよう傾斜している。隣接面211bとガイド面211aとの間の部位は、外周コア3に当接する可撓当接部211cである。可撓当接部211cは、下側Z2に突出するよう形成されており、外周コア3の上面を下側Z2に向かって弾性的に押圧している。
【0032】
図5に示すごとく、可撓部211における側方連結部22aから突出する側の端部には、側方連結部22aからの可撓部211の突出方向に直交する方向であって、可撓当接部211cから遠い側に突出した突出部211dを有する。突出部211dが形成されていることにより、ガイド面211aをより上側Z1の領域まで形成しやすくし、ガイド面211aと第一分割コア3a又は第二分割コア3bとを当接しやすくしている。
【0033】
可撓部211が撓んでいない自由状態であるときにおいて、Z方向のガイド面211aの上端位置と側方第二挟持部21bとの間のZ方向の最短長さは、外周コア3の側方辺部331、332のZ方向の長さよりも大きい。また、可撓部211が、撓んでいない自由状態であるときにおいて、Z方向のガイド面211aの下端位置(すなわち可撓当接部211cの位置)と側方第二挟持部21bとの間のZ方向の最短長さは、外周コア3の側方辺部331、332のZ方向の長さよりも小さい。これにより、外周コア3の下面を側方第二挟持部21bの上面に沿わせながら外周コア3をコアカバー2に組み付ける際、外周コア3は、ガイド面211aに当接する。
【0034】
図5に示すごとく、外周コア3における可撓当接部211cと当接する面部を当接面部37とする。すなわち、当接面部37は、外周コア3の各側方辺部331、332の上面である。当接面部37と可撓当接部211cとの当接位置は、カバー対向面220の法線方向(すなわちY方向)における当接面部37の中央位置cよりもカバー対向面220から遠い側に配されている。本形態において、当接面部37と可撓当接部211cとの当接位置(つまり、可撓当接部211cの位置)は、Y方向における当接面部37の側方連結部22aのカバー対向面220から遠い側の端部に位置している。
【0035】
図5に示すごとく、可撓部211を含むコアカバー2全体は、例えばポリプロピレン樹脂(いわゆるPP)からなる。可撓部211は、例えば肉厚Tを0.8mm以上とすることができる。これにより、可撓部211の強度、成形性を確保しやすい。また、可撓部211の肉厚Tは、2mm以下とすることができる。これにより、可撓部211の可撓性を確保しやすい。ここで、本形態において、可撓部211は、突出部211dを有するため、可撓部211の先端部は他の部位と比べて肉厚が異なっているが、ここでいう肉厚Tは、突出部211dのような、局所的に可撓部211の他の部位とは異なる厚みを有する部位の厚みではなく、可撓部211の主要部の厚みを意味する。
【0036】
図5に示すごとく、可撓部211は、側方連結部22aからの突出長さLは、例えば3mmとすることができる。突出長さLは、側方連結部22aからの可撓部211の突出方向における、可撓当接部211cから、可撓部211と側方連結部22aとの境界までの長さである。また、Y方向における、可撓当接部211cと側方連結部22aまでの長さHは、例えば0.8mmとすることができる。また、可撓部211の肉厚Tは、突出長さLの1/3以下とすることが、可撓部211の可撓性確保の観点から好ましい。
【0037】
また、図5に示すごとく、コアカバー2に外周コア3が組み付いた状態において、可撓部211と側方連結部22aのカバー対向面220とがなす角θは、0°<θ<55°、の関係を満たすことが好ましい。かかる数値範囲は、片持ちの梁の公式から導出される。これにより、可撓部211がY方向の外側に大きく突出することなく、かつ、コアカバー2全体の成形型も作成しやすい。本形態において、θは35°である。
【0038】
図3図6に示すごとく、側方第一挟持部21aは、可撓部211の上側Z1に位置し、外周コア3の側方辺部331、332の上面に対向する側方天板部232を有する。側方天板部232は、X方向に長尺でZ方向に厚みを有する板状に形成されている。側方天板部232は、可撓部211を上側Z1から覆うよう形成されている。
【0039】
図3図4図6に示すごとく、側方第二挟持部21bは、外周コア3の側方辺部331、332の下面に沿うようX方向に形成された側方底板部233と、側方底板部233から上側Z1に突出した側方リブ234とを有する。
【0040】
図4に示すごとく、側方リブ234は、外周コア3の側方辺部331、332の下面に当接しており、可撓部211との間で側方辺部331、332をZ方向に挟持している。側方リブ234は、側方底板部233の上面において、X方向に長尺に形成された凸条である。側方リブ234は、各側方底板部233において、Y方向の2か所に形成されている。図6に示すごとく、各側方底板部233に形成された側方リブ234は、互いに平行に形成されている。側方リブ234は、底板部の上面におけるX方向の全体にわたって形成されている。
【0041】
図7図8に示すごとく、後方第一挟持部21cは、外周コア3の後方辺部32の上面に沿うようY方向に形成された後方天板部242と、後方天板部242から下側Z2に突出した後方第一リブ243とを有する。
【0042】
後方天板部242は、一対の側方天板部232の後端同士をつなぐようY方向に形成されている。後方天板部242のY方向の両端以外の中央部には、両端よりも下側Z2に突出するよう隆起した隆起部244が形成されている。そして、隆起部244の下面から下側Z2に突出するよう、後方第一リブ243が形成されている。
【0043】
図7に示すごとく、後方第一リブ243は、外周コア3の後方辺部32の上面に当接している。後方第一リブ243は、隆起部244の下面において、X方向に長尺に形成された凸条である。図8に示すごとく、後方第一リブ243は、隆起部244におけるY方向の2か所に形成されている。
【0044】
後方第二挟持部21dは、外周コア3の後方辺部32の下面に沿うようY方向に形成された後方底板部245と、後方底板部245から上側Z1に突出した後方第二リブ246とを有する。
【0045】
後方底板部245は、一対の側方底板部233の後端同士をつなぐようY方向に形成されている。後方底板部245は、外周コア3の後方辺部32の下面に対向するよう形成されている。そして、後方底板部245の上面から上側Z1に突出するよう、後方第二リブ246が形成されている。
【0046】
後方第二リブ246は、外周コア3の後方辺部32の下面に当接している。後方第二リブ246は、後方底板部245の上面において、X方向に長尺に形成された凸条である。後方第二リブ246は、後方底板部245におけるY方向の2か所に形成されている。後方第二リブ246は、後方第一リブ243とZ方向に重なる位置に形成されている。そして、後方第一リブ243と後方第二リブ246との間に、外周コア3の後方辺部32が挟持されている。
【0047】
図2図8に示すごとく、後方連結部22bは、中央部に、X方向に貫通した貫通穴241aが形成されている。後方辺部32の内周面の一部は、貫通穴241aから内周側に向って露出した露出面となっている。そして、図1図9に示すごとく、外周コア3の内周側には、中心コア4が配されている。
【0048】
中心コア4は、外周コア3と共に閉磁路を形成する。中心コア4は、外周コア3と同様に、被覆鋼板その厚み方向をZ方向にした状態でZ方向に積層してなる。図9に示すごとく、中心コア4は、X方向に形成された矩形柱状の柱状部41と、柱状部41の前端からY方向の両側に突出した鍔部42とを備え、全体としてT字状を呈している。中心コア4は、前方X1に鍔部42を備えることにより、中心コア4の前方X1におけるX方向に直交する断面積を稼いでいる。
【0049】
中心コア4は、柱状部41の後面を、コアカバー2の貫通穴241aから露出する外周コア3の後方辺部32の内周面とX方向に対向させるよう配されている。図1図9に示すごとく、中心コア4の前面と外周コア3の前方辺部31との間には、磁石体18が配されている。磁石体18は、点火コイル1の出力電圧の向上のため、中心コア4に磁気バイアスをかけ、一次コイル11への通電の遮断時の磁束の変化量を大きくして、二次コイル12に誘起される電圧を高めるためのものである。そして、図1に示すごとく、中心コア4は、一次スプール14の内側に埋設されている。
【0050】
一次スプール14は、その成形型の内側に中心コア4を配したインサート成形により形成されている。一次スプール14は、電気的絶縁性を有する樹脂等からなる。一次スプール14は、後述のコネクタ部15と一体的に成形されている。
【0051】
一次スプール14における、中心コア4の柱状部41の外周側に、一次コイル11が巻回されている。一次コイル11は、X方向に延在する軸を中心に巻回されている。一次コイル11の外周側に、一次コイル11と同軸状に二次コイル12が配されている。
【0052】
二次コイル12は、一次コイル11の外周側に配された二次スプール16の外周部に巻回されている。二次スプール16は、電気的絶縁性を有する材料を筒状に形成してなる。二次スプール16は、その内側に一次コイル11を挿入するよう配されている。
【0053】
図1に示すごとく、外周コア3の前方辺部31の前方X1には、イグナイタ13が配されている。イグナイタ13は、一次コイル11への通電、及びその遮断の制御を行う。これら点火コイル1を構成する部品は、ケース5内に収容されている。
【0054】
ケース5は、点火コイル1の構成部品を収容するケース本体部51を備える。ケース本体部51は、上端が開放された箱状に形成されている。ケース本体部51の前方X1の壁部には、一次スプール14と一体のコネクタ部15が嵌合されている。コネクタ部15は、点火コイル1を、外部機器等に接続されたワイヤーハーネス等に接続するためのコネクタである。また、ケース5は、ケース本体部51から下側Z2に突出する筒状の高圧タワー部52を有する。
【0055】
ケース5単体を見たとき、高圧タワー部52の内部空間は、ケース本体部51の内部空間と連通している。そして、点火コイル1において、高圧タワー部52内には、金属製の高圧出力端子17が嵌入されている。これにより、高圧タワー部52におけるケース本体部51側の端部は閉塞されている。高圧出力端子17は、ケース本体部51から高圧タワー部52側に、ケース5内の封止樹脂6が漏れ出ないようにする役割や、点火コイル1の出力端子としての役割を有する。そして、ケース本体部51内には、封止樹脂6が充填されている。
【0056】
封止樹脂6は、例えばエポキシ樹脂からなる。封止樹脂6は、ケース本体部51内に配された、点火コイル1を構成する部品を封止している。
【0057】
コアカバー2は、封止樹脂6と剥離する材質で構成されている。これにより、コアカバー2と封止樹脂6との間に熱応力が発生することを抑制することができる。その結果、外周コア3と封止樹脂6との間に熱応力が生じることを抑制することができる。すなわち、コアカバー2は、外周コア3と封止樹脂6との間に配されることにより、外周コア3と封止樹脂6との間の熱応力を緩和する役割を有する。本形態において、封止樹脂6はエポキシ樹脂からなり、コアカバー2はポリプロピレンからなる。
【0058】
次に、コアカバー2に対する外周コア3の組み付け方の一例につき説明する。
【0059】
図10図11に示すごとく、コアカバー2の一方の側方カバー部23に対し、第一分割コア3aを組み付ける。すなわち、図11に示すごとく、第一分割コア3aの側方辺部331を、側方カバー部23の側方リブ234と可撓部211との間に、Y方向に挿入させる。このとき、まず、側方辺部331の下面を側方リブ234の上面に沿わせるとともに、側方辺部331の上部の角部を可撓部211のガイド面211aに当接させる。
【0060】
かかる状態から、第一分割コア3aを更に、Y方向における側方連結部22a側に押し込む。これにより、図12に示すごとく、ガイド面211aは側方辺部331の角部を摺動して、上側Z1に撓むよう弾性的に変形する。これに伴い、可撓部211と側方リブ234との間のZ方向の間隔が広がり、外周コア3が可撓部211と側方リブ234との間に挿入される。そして、可撓部211の弾性力(可撓部211が自由状態に戻ろうとする復元力であり、図5の矢印で示す。)が、外周コア3に作用する。
【0061】
第一分割コア3aは、その側方辺部331、332の内周面がコアカバー2の側方連結部22aのカバー対向面220に当接するまで一対の挟持部21間に挿入される。また、第一分割コア3aは、その組付凹部36が、側方カバー部23の側方連結部22aよりも後方X2にはみ出るよう組み付けられる。
【0062】
第二分割コア3bをコアカバー2に組み付けるに当たっては、第一分割コア3aを保持していない側の側方カバー部23の可撓部211と側方リブ234との間にY方向に挿入させる。このとき、まず、側方辺部331、332の下面を側方リブ234の上面に沿わせるとともに、側方辺部331、332の上部の角部を可撓部211のガイド面211aに当接させる。
【0063】
かかる状態から、第二分割コア3bを更に、Y方向における側方連結部22a側に押し込み、第一分割コア3aと同様に可撓部211を撓ませ、第二分割コア3bの側方辺部332を側方カバー部23の可撓部211と側方リブ234との間に挟持させる。
【0064】
また、第二分割コア3bの後方辺部32を、後方カバー部24の一対の挟持部21間にX方向に挿入する。すなわち、後方辺部32を、後方第一リブ243と後方第二リブ246との間に挿入する。ここで、後方カバー部24にコアを組み付ける前の状態において、Z方向における後方第一リブ243と後方第二リブ246との間の長さは、後方辺部32のZ方向の長さよりも若干小さい。そして、後方辺部32は、後方第一リブ243と後方第二リブ246との間に圧入される。
【0065】
また、第二分割コア3bの組付凸部35は、コアカバー2に組み付いた第一分割コア3aの組付凹部36に挿入するとともに、第二分割コア3bの組付凹部36を第一分割コア3aの組付凸部35に係合させる。
【0066】
第二分割コア3bの側方辺部332を側方カバー部23の可撓部211と側方リブ234との間に挿入する工程と、後方辺部32を後方カバー部24の後方第一リブ243と後方第二リブ246との間に挿入する工程と、第二分割コア3bの組付凸部35及び組付凹部36を第一分割コア3aの組付凹部36及び組付凸部35に嵌合させる工程とは、第二分割コア3bをコアカバー2に組み付ける際に同時的に行うことができる。
以上のようにして、コアカバー2に外周コア3が組み付けられる。
【0067】
次に、本形態の作用効果につき説明する。
本形態の点火コイル1において、一対の挟持部21の少なくとも一方は、一対の挟持部21の並び方向の可撓性を有するとともに外周コア3を弾性的に押圧する可撓部211を有する。それゆえ、コアカバー2に外周コア3を組み付ける際、可撓部211をZ方向に撓ませることで一対の挟持部21間の間隔を変えることができるため、外周コア3を確実に一対の挟持部21の間に配置することができる。
【0068】
また、外周コア3は、被覆鋼板をZ方向に積層してなる。それゆえ、外周コア3は、Z方向の大きさの公差が大きくなりやすい。それゆえ、可撓部211を有さないようなコアカバー2であれば、外周コア3をコアカバー2に組み付けられない場合や組付難くなる場合等が考えられる。しかしながら、前述のごとく、本形態においては、可撓部211をZ方向に撓ませることで一対の挟持部21間の間隔を変えることができるため、Z方向の大きさの公差が大きい外周コア3であっても、容易にコアカバー2に組み付けることができる。
【0069】
また、可撓部211は、Z方向における外周コア3側に向かうほど、カバー対向面220側へ向かうよう傾斜するガイド面211aを有する。それゆえ、前述のごとく、外周コア3をコアカバー2へ組み付ける際、外周コア3を可撓部211のガイド面211aに当接させるとともにガイド面211aを押圧することで、可撓部211を撓ませることができる。それゆえ、一層容易に、外周コア3をコアカバー2に組み付けることができる。
【0070】
また、当接面部37と可撓部211との当接位置は、カバー対向面220の法線方向(つまりY方向)における中央位置cよりもカバー対向面220から遠い側に配されている。それゆえ、可撓部211から外周コア3に作用する力(図5において矢印で示している。)に、連結部22a、22b側(すなわちY方向の内側)に向かう成分を生じやすい。それゆえ、可撓部211によって外周コア3を側方連結部22a側に向かって抑えることができ、外周コア3が一対の挟持部21ら抜け落ちることを防止しやすい。
【0071】
また、可撓部211は、Z方向に直交するY方向の一方へ向かうほど、Z方向における外周コア3側(すなわち下側Z2)へ向かうよう傾斜している。それゆえ、可撓部211の長さを確保しやすく、可撓部211を撓ませやすい。
【0072】
以上のごとく、本形態によれば、コアカバーに対する外周コアの組付性を向上させることができる点火コイルを提供することができる。
【0073】
(実施形態2)
本形態は、図13に示すごとく、実施形態1に対して、可撓部211の形状を変更した形態である。
【0074】
本形態において、可撓部211は、その根本部(すなわち、側方連結部22aとの境界部)から先端部(すなわち、側方連結部22aから突出した側の端部)までにかけて湾曲した形状を有する。なお、可撓部211は、その根本部から先端部までにかけて湾曲した形状を有していれば、一部が湾曲していなくてもよい。可撓部211は、側方連結部22aから遠ざかるほど下側Z2へ向かうよう湾曲している。すなわち、可撓部211は、Y方向とZ方向との双方に交差する斜め上側に若干膨らむよう湾曲している。
【0075】
その他は、実施形態1と同様である。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0076】
本形態において、可撓部211は、その根本部から先端部までにかけて湾曲した形状を有する。それゆえ、可撓部211の長さを確保しやすく、可撓部211を撓ませやすい。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0077】
(実施形態3)
本形態は、図14に示すごとく、実施形態1に対して、可撓部211の形状を変更した形態である。
【0078】
本形態において、可撓部211は、側方連結部22aから側方連結部22aのカバー対向面220の法線方向(Y方向)に沿って形成された可撓本体部211eと、可撓本体部211eにおける側方連結部22aから遠い側の端部に、下側Z2に突出する可撓突出部211fとを有する。
【0079】
可撓突出部211fは、Y方向の両面が、Y方向の中央へ向かうほど先端側へ向かうようテーパ状に形成されている。可撓突出部211fのY方向の側方連結部22aから遠い側の面は、前述のガイド面211aを構成している。
その他は、実施形態1と同様である。
【0080】
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0081】
(実施形態4)
本形態は、図15に示すごとく、実施形態1に対して、可撓部211の形状を変更した形態である。
【0082】
可撓部211は、実施形態1と同様、Z方向における外周コア3側(すなわち下側Z2)に向かうほど、カバー対向面220から遠い側へ向かうよう形成されている。すなわち、本形態においても、可撓部211は、Y方向及びZ方向の双方に傾斜する斜め方向にまっすぐに延設されている。そして、本形態において、可撓部211は、前記斜め方向における厚みが一定である。すなわち、本形態の可撓部211は、全体的に平板状に形成されており、実施形態1で示した突出部(図5の符号211d参照)が形成されていない。
その他は、実施形態1と同様である。
【0083】
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0084】
(実施形態5)
本形態は、図16に示すごとく、実施形態1に対して、可撓部211の形状を変更した形態である。
【0085】
本形態において、可撓部211は、その根本部(すなわち、側方連結部22aとの境界部)から先端部(すなわち、側方連結部22aから突出した側の端部)までにかけて湾曲した形状を有する。可撓部211は、Y方向の中央部が上側Z1に膨らむよう円弧上に形成されている。可撓部211における側方連結部22aと反対側の端部は円弧状に丸まって形成されており、その少なくとも一部がガイド面211aを構成している。
その他は、実施形態1と同様である。
【0086】
可撓部211は、その根本部から先端部までにかけて湾曲した形状を有する。それゆえ、可撓部211の根本部から先端部までのアーム長さを長くすることができる。これにより、外周コア3をコアカバー2に組み付ける際における、可撓部211の単位長さ当たりの変形量が小さくなり、可撓部211の応力を低減できる。
その他、実施形態1、2と同様の作用効果を有する。
【0087】
(実施形態6)
本形態は、図17図19に示すごとく、実施形態1に対して、可撓部211の形状を変更した形態である。
【0088】
図18図19に示すごとく各側方カバー部23において、可撓部211は、X方向の2か所に形成されている。可撓部211は、略棒状に形成されている。可撓部211は、Z方向における外周コア3側(すなわち下側Z2)に向かうほど、後方X2へ向かうよう傾斜している。すなわち、可撓部211は、側方天板部232から、X方向及びZ方向の双方に傾斜する斜め方向に、まっすぐに延設されている。
【0089】
可撓部211は、側方天板部232に接続された片持ち状態で配されている。それゆえ、可撓部211は、側方連結部22aから遠い側の端部周辺に上向きの力が加わると、Z方向に変形可能であり、当該力がなくなると、略元の状態(自由状態)に戻ることができる。
【0090】
図18図19に示すごとく、可撓部211の表面には、ガイド面211g、211hが形成されている。本形態において、各可撓部211のX方向の両側の面にガイド面211g、211hが形成されている。可撓部211の前方X1のガイド面211gは、Z方向における外周コア3側(すなわち下側Z2)に向かうほど、後方X2に向かうよう傾斜したテーパ面である。可撓部211の後方X2のガイド面211hは、Z方向における外周コア3側(すなわち下側Z2)に向かうほど、前方X1へ向かうよう傾斜したテーパ面である。可撓部211の前後のガイド面211g、211hは、互いに可撓当接部211cを介して連なっている。
【0091】
可撓部211における側方天板部232から突出する側の端部には、側方天板部232からの可撓部211の突出方向に直交する方向であって、可撓当接部211cから遠い側に突出した突出部211dを有する。突出部211dが形成されていることにより、可撓部211の後方X2のガイド面211hをより上側Z1の領域まで形成しやすくしている。
【0092】
図17に示すごとく、本形態において、第一分割コア3aの組付凸部35は、側方辺部331、332の後面の一部が後方X2に突出するよう形成されている。第一分割コア3aの組付凹部36は、前方辺部31における側方辺部331、332と反対側の端部に、後面の一部が前方X1に凹むよう形成されている。
【0093】
本形態において、第二分割コア3bの組付凸部35は、側方辺部331、332の前面の一部が前方X1に突出するよう形成されている。第二分割コア3bの組付凹部36は、後方辺部32における側方辺部331、332と反対側の端部に、その前面の一部が後方X2に凹むよう形成されている。そして、第一分割コア3aと第二分割コア3bとは、互いにX方向に組み付けられている。
【0094】
次に、コアカバー2に対する外周コア3の組み付け方の一例につき説明する。
【0095】
図18に示すごとく、コアカバー2の一方の側方カバー部23に対し、第一分割コア3aを組み付ける。すなわち、第一分割コア3aの側方辺部331を、側方カバー部23の側方リブ234と可撓部211との間に、前方X1から後方X2に向かって挿入させる。このとき、まず、側方辺部331の下面を側方リブ234の上面に沿わせるとともに、側方辺部331の上部の角部を可撓部211の前方X1のガイド面211gに当接させる。
【0096】
かかる状態から、第一分割コア3aを更に後方X2に押し込む。これにより、可撓部211の前方X1のガイド面211gは側方辺部331の角部を摺動して上側Z1に撓むよう弾性的に変形する。これに伴い、可撓部211と側方リブ234との間のZ方向の間隔が広がり、外周コア3が可撓部211と側方リブ234との間に挿入される。
【0097】
図19に示すごとく、第二分割コア3bをコアカバー2に組み付けるに当たっては、第一分割コア3aを保持していない側の側方カバー部23の可撓部211と側方リブ234との間に、後方X2から前方X1に向かって挿入させる。このとき、まず、側方辺部332の下面を側方リブ234の上面に沿わせるとともに、側方辺部332の上部の角部を可撓部211の後方X2のガイド面211hに当接させる。
【0098】
かかる状態から、第二分割コア3bを更に前方X1に押し込み、第一分割コア3aと同様に可撓部211を撓ませ、第二分割コア3bの側方辺部332を側方カバー部23の可撓部211と側方リブ234との間に挟持させる。
その他は、実施形態1と同様である。
【0099】
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0100】
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、前記各形態においては、一対の挟持部の上側のみに可撓部を形成したが、これに限られず、例えば下側の挟持部のみに可撓部を形成することや、一対の挟持部の双方に可撓部を設けることが可能である。また、後方カバー部に、可撓部を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 点火コイル
11 一次コイル
12 二次コイル
2 コアカバー
21 挟持部
211 可撓部
3 外周コア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19