(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240319BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240319BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240319BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240319BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01L23/12 Z
H01L25/08 H
H05K3/28 B
H05K3/28 D
(21)【出願番号】P 2019110310
(22)【出願日】2019-06-13
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 良馬
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-192869(JP,A)
【文献】特開2017-050464(JP,A)
【文献】特開2010-118631(JP,A)
【文献】特開2015-037181(JP,A)
【文献】特開2003-078234(JP,A)
【文献】特開2016-111297(JP,A)
【文献】特開平07-283544(JP,A)
【文献】特開平07-231151(JP,A)
【文献】特開平06-252529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/07
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シード層と、
前記シード層の上方に配置され、側面を第1の絶縁性樹脂からなる保護膜層によって覆われた電解銅めっきパターンと、前記
側面を第1の絶縁性樹脂からなる保護膜層によって覆われた電解銅めっきパターンの間を第2の絶縁性樹脂で充填した配線基板であって、
前記第1の絶縁性樹脂は、配線形成性に優れた感光性樹脂であり、
前記第2の絶縁性樹脂は、前記第1の絶縁性樹脂よりも絶縁信頼性に優れた樹脂である配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記保護膜層の下方には、前記シード層が延在していることを特徴とする配線基板。
【請求項3】
支持体の上方に請求項1または2に記載の配線基板が配置された支持体付き配線基板において、
前記支持体の上方に剥離層、配線保護層が形成され、前記配線保護層の上方に前記配線
基板が形成されていることを特徴とする支持体付き配線基板。
【請求項4】
請求項1または2のいずれかに記載の配線基板の製造方法であって、
第1のシード層を形成する工程と、
前記第1のシード層の上方に第1のレジスト層を塗工する工程と、
前記第1のレジスト層に開口部を形成する工程と、
前記開口部に第1の電解銅めっきパターンを形成する工程と、
前記第1のレジスト層を除去する工程と、
前記第1の電解銅めっきパターンの下方以外の前記第1のシード層を除去する工程と、
樹脂層を塗工する工程と、
前記第1の電解銅めっきパターン上の一部の領域の前記樹脂層に開口部を形成する工程と、
前記樹脂層及び前記開口部に第2のシード層を形成する工程と、
前記第2のシード層の上方に第2のレジスト層を塗工する工程と、
前記第2のレジスト層に開口部を形成する工程と、
前記第2のレジスト層の開口部に第2の電解銅めっきパターンを形成する工程と、
前記第2のレジスト層を除去する工程と、
前記第2の電解銅めっきパターン及び前記第2のシード層を前記第1の絶縁性樹脂で埋没する工程と、
前記第1の絶縁性樹脂を前記第2の電解銅めっきパターン周辺部のみ残存させて、前記第2の電解銅めっきパターンの側壁及び上面に前記第1の絶縁性樹脂からなる保護膜層を形成し、前記第2の電解銅めっきパターン及び前記保護膜層の下方以外の領域の前記第2のシード層を露出させる工程と、
露出した前記第2のシード層を除去する工程と、
前記樹脂層及び前記保護膜層を第2の絶縁性樹脂で埋没する工程と、
前記第2の絶縁性樹脂の表面を研磨し、前記第2の電解銅めっきパターン及び前記保護膜層を露出させる研磨工程と、
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の支持体付き基板の製造方法であって、
支持体の上方に剥離層を形成する工程と、
前記剥離層の上方に配線保護層を形成する工程と、
第1のシード層を形成する工程と、
前記第1のシード層の上方に第1のレジスト層を塗工する工程と、
前記第1のレジスト層に開口部を形成する工程と、
レジスト層の前記開口部に第1の電解銅めっきパターンを形成する工程と、
前記第1のレジスト層を除去する工程と、
前記第1の電解銅めっきパターンの下方以外の前記第1のシード層を除去する工程と、
樹脂層を塗工形成する工程と、
前記樹脂層で、前記第1の電解銅めっきパターン上の一部の領域の前記樹脂層に開口部
を形成する工程と、
前記配線保護層の上方に以下の工程A~工程Kの工程を任意の回数繰り返して積層構造
を形成する工程と、
工程A:前記樹脂層及び前記開口部に第2のシード層を形成する工程
工程B:前記第2のシード層の上方に第2のレジスト層を塗工する工程
工程C:前記第2のレジスト層に開口部を形成する工程
工程D:前記第2のレジスト層の開口部に第2の電解銅めっきパターンを形成する工程
工程E:前記第2のレジスト層を除去する工程
工程F:前記第2の電解銅めっきパターン及びと前記第2のシード層を第1の絶縁性樹脂保護膜層で埋没する工程
工程G:前記第1の絶縁性樹脂を前記第2の電解銅めっきパターン周辺部のみ残存させて、前記第2の電解銅めっきパターンの側壁及びと上面に前記第1の絶縁性樹脂からなる保護膜層を形成し、前記第2の電解銅めっきパターン及び前記保護膜層の下方以外の領域において前記第2のシード層を露出させる工程。
工程H:前記露出した第2のシード層を除去する工程
工程I:前記樹脂層及び前記保護膜層を第2の絶縁性樹脂で埋没する工程
工程J:前記第2の絶縁性樹脂の層表面を研磨し、前記第2の電解銅めっきパターン及び前記保護膜層が露出するまで研磨する工程
工程K:略平坦に研磨された前記第2の電解銅めっきパターン、前記保護膜層及び第2の絶縁性樹脂の上方に第3の絶縁性樹脂による絶縁層を形成し、前記絶縁層に前記第2の電解銅めっきパターンに到達する開口パターンを形成する工程
前記工程Kの後に、前記開口パターンの上方に第4のシード層を形成する工程と、
前記第4のシード層の上方にビア接続用のパッドを形成する工程と、
前記ビア接続用のパッドの下方以外の領域の前記第4のシード層を除去する工程と、
前記ビア接続用のパッドをソルダーレジストで埋没し、前記ビア接続用のパッドが露出するようにソルダーレジスト層に開口部を形成する工程と、
前記ソルダーレジスト層の開口部に表面処理層を形成する工程と、
前記ソルダーレジスト層の開口部にはんだバンプを形成する工程と
を含むことを特徴とする支持体付き配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年半導体の高速・高集積化が進む中で、FC-BGA用配線基板に対する要求も半導体チップとの接続端子の狭ピッチ化が求められ、更には基板側にはライン/スペース(L/S)は2μm/2μmの微細配線形成や層間厚2.5μmレベルの薄化が求められている。
【0003】
FC-BGA用配線基板の配線形成には、シード層表面に形成する配線パターンの逆パターンをレジストパターンにより形成した後、電解銅めっきを行い、次いでレジストパターンを除去し、最後に、シード層をエッチング除去するセミアディティブ工法が用いられている。セミアディティブ工法では、シード層をエッチング除去する際に電解銅めっきパターンもエッチングするため、電解銅めっきパターンが細り、電解銅めっきパターンの下地にあるシード層もサイドエッチングされ、アンダーカットを生じることで、電解銅めっきパターン倒れが発生し、ライン/スペース(L/S)が2μm/2μmの微細配線形成は困難である。
【0004】
基板配線の微細化のため、シリコン上に配線を形成してチップ接続用の基板(シリコンインターポーザ)とし、それをFC-BGA用配線基板に接続する方式が特許文献1に開示されている。
【0005】
または、FC-BGA用配線基板の表面をCMP等で平坦にしてから微細配線を形成する方式が特許文献2に開示されている。
【0006】
微細配線を形成するために、感光性樹脂からなる樹脂層を埋設し、埋設部に電解銅めっきパターンを形成後に化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を行い、導体配線を形成する方法があり、特許文献3では、化学的機械研磨ではなく、フライカット法と呼ばれる切削研磨を行う技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、感光性樹脂からなる樹脂層を埋設することで、微細配線を形成することで、感光性樹脂に微細配線形成性と絶縁信頼性の2つの特性を付加する必要があり、使用する感光性樹脂が限られるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4513222号公報
【文献】特許第5654160号公報
【文献】国際公開第2017/038110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の問題点に鑑み、本発明は、シード層をエッチング除去する際に電解銅めっきパターンの細りおよびシード層のアンダーカットによる電解銅めっきパターンが剥離する問題を回避し、微細配線形成性と絶縁信頼性を両立する配線基板とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に係る発明は、シード層と、このシード層の上に配置された電解銅めっきパターンと、この電解銅めっきパターンの側面を被覆する保護膜層とを、有することを特徴とする配線基板、を備えることを特徴とする配線基板である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記保護膜層は、感光性絶縁樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板である。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または2のいずれかに記載の配線基板の製造方法であって、シード層を形成する工程と、レジストを塗工する工程と、レジスト層に開口部を形成する工程と、シード層を下地にもつレジスト層開口部に電解銅めっきパターンを形成する工程と、レジスト層を除去する工程と、電解銅めっきパターン下以外のシード層を除去する工程と、樹脂層を形成する工程と、樹脂層で、電解銅めっきパターン上の一部に開口部を形成する工程と、電解銅めっきパターンとシード層を保護膜層で埋没する工程と、電解銅めっきパターン側壁と上面への保護膜層形成工程と、電解銅めっきパターン下以外のところで、シード層を露出する工程と、樹脂層表面を研磨し、電解銅めっきパターンと保護膜層を露出させる工程と、を含むことを特徴とする配線基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、シード層のエッチング前に電解銅めっきパターン側壁と上面に保護膜層を形成することで、シード層のエッチングの際に電解銅めっきパターンが剥離する問題を回避することができ、さらに樹脂層に絶縁信頼性に優れた樹脂を選択することにより、微細配線形成性と絶縁信頼性を両立する配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配線基板に半導体チップを実装した半導体装置の一例を示す模式的断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る配線基板(インターポーザ)の支持体が付いた状態を示す模式的断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る配線基板(インターポーザ)に支持体とはんだ層が付いた状態を示す模式的断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による支持体が付く配線基板(インターポーザ)の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による支持体が付く配線基板(インターポーザ)の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による支持体が付く配線基板(インターポーザ)の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による支持体が付く配線基板(インターポーザ)の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による支持体が付く配線基板(インターポーザ)の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による支持体が付く配線基板(インターポーザ)の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による支持体が付く配線基板(インターポーザ)の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による支持体が付く配線基板(インターポーザ)の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による配線基板と、半導体装置の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による配線基板と、半導体装置の製造工程の一例の模式的説明図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る模式的断面図による配線基板と、半導体装置の製造工程の一例の模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態に係る配線基板について図面を参照して説明する。ただ
し、以下に説明する各図において相互に対応する部分については同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、各図面は説明を容易にするために適宜誇張して表現している。
【0016】
さらに、本発明の一実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するもであって、各部の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、変更を加えることができる。
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る配線基板100に半導体チップを実装した半導体装置1000の一例を示す模式的断面図である。
【0018】
本発明の一実施形態に係る配線基板100は、FC-BGA用配線基板1の一方の面に、樹脂と配線とが積層されてなるビルドアップ配線層のみで形成された微細配線層を備えた薄い配線基板(インターポーザ)3が、はんだバンプまたは銅ポスト(銅ピラー)または金バンプで接合24されている。また、FC-BGA用配線基板1と配線基板(インターポーザ)3との間隙が絶縁性の接着部材としてのアンダーフィル(樹脂)2で埋め込まれている。さらにインターポーザ3の、FC-BGA用配線基板1とは逆側の面に半導体チップ4が銅ピラーで接合31され、半導体チップ4とインターポーザ3との間隙がアンダーフィル32で埋め込まれている。
【0019】
アンダーフィル2は、FC-BGA用配線基板1と配線基板(インターポーザ)3とを固定及び封止するために用いられる接着材料である。アンダーフィル2としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてのシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等が加えられた材料が用いられる。アンダーフィル2は、液状の樹脂を充填させることで形成される。
【0020】
アンダーフィル32は半導体チップ4と配線基板(インターポーザ)3とを固定及び封止するために用いられる接着剤であり、アンダーフィル2と同様の材料で構成される。この場合、アンダーフィル32に代わりに、異方性導電フィルム(ACF)または、フィルム状接続材料(NCF)を用いてもよい。
【0021】
配線基板(インターポーザ)3の、半導体チップ4と接合される部分の配線ピッチは、半導体チップ4と接合される部分の配線ピッチは、半導体チップ4とFC-BGA配線基板1とを直接接合する場合の、FC-BGA用配線基板1の半導体チップ4と接合される部分の配線ピッチよりも狭くなっている。すなわち、配線基板(インターポーザ)3の半導体チップ4を実装する側の面は、半導体チップ4と接合する場合のFC-BGA用配線基板1よりも微細な配線となっている。
【0022】
例えば、現在のハイバンドメモリ(HBM:High Bandwidth Memory)の使用に対応するためには、インターポーザ3では配線幅を2μm以上6μm以下にする必要がある。特性インピーダンスを50Ωにあわせるためには、配線幅が2μm、配線高さ2μmの場合、配線上の絶縁膜厚は2.5μmとなる。配線も含めたい1層の厚さは4.5μmとなり、この厚さで5層の配線基板(インターポーザ)3を形成する場合、配線基板(インターポーザ)3は、総厚25μm程度と極薄の配線基板(インターポーザ)となる。
【0023】
前記の通り、配線基板(インターポーザ)3の厚みは薄く、そのままの状態ではFC-BGA用配線基板1に実装するのが困難であるため、配線基板(インターポーザ)3には剛直性が求められる。また、2μm程度の幅と高さを有する配線を形成するには、平坦な支持体が必要となる。上記理由により、
図2に示すように、配線基板(インターポーザ)は、剛直で平坦な支持体5上に剥離層6と配線保護層7などを介して形成される。なお、支持体上には剥離層、配線保護以外の層を設けてもよい。
【0024】
図3は本発明の一実施形態に係る配線基板(インターポーザ)3に支持体とはんだ層が付いた状態を示す模式的断面図である。
図3は
図2のはんだ層20を含む配線基板(インターポーザ)3の端部の一部分を拡大したものである。
【0025】
図3に示すように、支持体5上には、剥離層6と、配線保護層7と、シード層51、52、54と、電解銅めっきパターン(ビア接続パッド)41Pと、電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Rと電解銅めっきパターン(ビア接続配線)45Rと、電解銅めっきパターン(配線)43L、45Lからなる配線層と、保護膜層63、65と、樹脂層11、12、13、14、15と、電解銅めっきパターン(ビア)42V、44V、46Vと、ソルダーレジスト層16と、シード層55と電解銅めっきパターン(ビア接続パッド)47Pからなるはんだ接続パッドと、表面処理層19と、はんだ層20とからなる配線基板(インターポーザ)3が形成されている。
【0026】
電解銅めっきパターン(ビア接続配線)の側面と、電解銅めっきパターン(配線)の側面に設けられた保護膜層63、65は、電解銅めっきパターン(配線)下部以外のシード層52、54をエッチング除去する際の電解銅めっきパターンの細りおよびシード層がサイドエッチングされ生じるアンダーカットを防ぐことで、電解銅めっきパターンの剥離、倒れの発生を抑制し、微細配線形成が可能となる。
【0027】
シード層51、52、54、56は、チタン(Ti)/銅(Cu)、クロム(Cr)/銅(Cu)、ニッケルクロム(NiCr)/銅(Cu)、ニッケル(Ni)/銅(Cu)など、用途に応じて適宜構成、厚みを振って構わないが、最も望ましいのは、チタン(Ti)/銅(Cu)である。チタン層は更なる層厚絶縁信頼性の向上と、下地の樹脂との密着向上のために設け、銅は電解銅めっきをする際の導電層として適している。
【0028】
樹脂層11、12、13、14、15には、感光性絶縁樹脂、非感光性絶縁樹脂のいずれを用いてもよく、また、例えば、11は感光性絶縁樹脂、12は非感光性絶縁樹脂といったように各層で異なる絶縁樹脂を適用してもよい。絶縁樹脂にはエポキシ系やポリイミド系やLCPなどを用いることができ、絶縁樹脂中には、例えば、シリカや硫酸バリウムなどのフィラーが添加されていてもよい。樹脂層の絶縁層樹脂は、ランド層のみを形成し、ビア層および配線層は覆うのみであるため、微細配線形成性に拘らず、絶縁信頼性に優れた特性の樹脂を選択することで、絶縁信頼性を確保することができる。
【0029】
保護膜層63、65には、樹脂層11、12、13、14、15と同一材料でも別材料でも用いて構わないが、絶縁性を確保するために絶縁材料であり、微細配線形成性を考慮
すると感光性材料であることが望ましい。
【0030】
保護膜層63、65の形成は、電解銅めっきパターンのシード層のアンダーカットによる電解銅めっきパターンが剥離する問題を回避することが目的のため、ビア層や一部のラフな配線層に形成しなくても構わない。
【0031】
電解銅めっきパターン(ビア)42V、44V、46Vの形状は、順テーパー形状でもよく、垂直テーパー形状でもよい。高速伝送の用途においては、ビアの径はΦ5~Φ30μmの間であることが望ましい。
【0032】
樹脂層11、12、13、14、15の厚みは高速伝送の用途においては、1μmから5μmの間であることが望ましい。層間厚を薄くすることで、電気特性が向上する。
【0033】
シード層をチタン(Ti)/銅(Cu)とした場合、樹脂層と導体の接する面はチタン層であるか、一部の樹脂層は無機絶縁膜層により全面を被覆されるため、わずかな銅酸化物による密着性の低下を抑制でき、ひいては線間、層間での導体からの樹脂剥離を防止することができ、更なる信頼性向上が期待できる。
【0034】
<製造方法>
次に
図4(a)から(e)と、
図5(f)から(i)と、
図6(j)から(l)と、
図7(m)から(o)と、
図8(p)から(r)と、
図9(s)から(t)と、
図10(u)から(v)と、
図11(w)と順を追って、本発明の一実施形態に係るインターポーザ3を備えた配線基板100と配線基板100に半導体チップを搭載した半導体装置1000を形成するときに必要な支持体・はんだ層付き配線基板(インターポーザ)90の製造工程の一例を説明する。
【0035】
まず、支持体5上に、配線基板(インターポーザ)3となる配線基板を作製する、
図4(a)に示すように、支持体5の一方の面に、後工程で、支持体5を剥離するための剥離層6を形成する。
【0036】
次いで、
図4(b)に示すように、剥離層6の上に配線保護層7を形成する。配線保護層7は、後工程で支持体5を剥離する際に配線基板(インターポーザ)3を保護するための層であり、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂であり、配線基板(インターポーザ)3を支持体5から剥離後に除去可能な樹脂である。配線保護層7については、スピンコート、ラミネート等、樹脂の形状に応じて適宜形成してよい、本発明の一実施形態ではアクリル系樹脂をラミネート法により形成している。
【0037】
剥離層6は、UV光によって剥離可能な樹脂でもよく、熱によって発泡する樹脂でもよい。UV光によって剥離可能な樹脂を用いる場合、剥離層6を設けた側とは反対側の面から支持体5にUV光を照射して、配線基板(インターポーザ)3と、FC-BGA用配線基板1との接合体から支持体5を取り去る。この場合、支持体5は、透明性を有する必要があり、例えばガラスを用いることができる。ガラスは平坦性に優れており、インターポーザ3の微細なパターン形成に向いている、また、ガラスはCTEが小さく歪みにくいことから、FC-BGA用配線基板1と接合した時のパターン配置精度及び平坦性の確保に優れている。支持体5としてガラスを用いる場合、ガラスの厚さは、製造プロセスにおける反りの発生を抑制する観点から厚い方が望ましく、例えば0.7mm以上1.1mm以下程度の厚みが望ましい。また、ガラスの線膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)は3ppm以上15ppm以下であり、FC-BGA用配線基板、半導体チップのCTEの観点から9ppm程度が望ましい。ここでは、支持体5として、例えばガラスを用いる。
【0038】
一方、剥離層6に前記熱によって発泡する樹脂を用いた場合は、配線基板(インターポーザ)3と、FC-BGA用配線基板1との接合体を加熱する事で支持体5を取り去る。この場合、支持体5は、歪みの少ないメタルやセラミックスを用いることができる。
【0039】
次に、
図4(c)に示すように、真空中で、配線保護層7上にシード層51を形成する。シード層の構成についてはチタン(Ti)/銅(Cu)、クロム(Cr)/銅(Cu)、ニッケルクロム(NiCr)/銅(Cu)、ニッケル(Ni)/銅(Cu)等、用途に応じて適宜構成、厚みを振って構わない。本発明の一実施形態では支持体5側から順にTi:50nm、Cu:100nmをスパッタにより形成した。配線保護層7上にシード層1sを形成することで、この上に微細パターンを形成することが可能となる。
【0040】
シード層51、52、54、56は、チタン(Ti)/銅(Cu)、クロム(Cr)/銅(Cu)、ニッケルクロム(NiCr)/銅(Cu)、ニッケル(Ni)/銅(Cu)など、用途に応じて適宜構成、厚みを振って構わないが、最も望ましいのは、チタン(Ti)/銅(Cu)である。チタン層は更なる層厚絶縁信頼性の向上と、下地の樹脂との密着向上のために設け、銅は電解銅めっきをする際の導電層として適している。
【0041】
次に、
図4(d)に示すようにシード層51上にレジスト層71を形成し、そのレジスト層開口部71aに電解銅めっきにより電解銅めっきパターン(ビア接続)41Pを形成する。
【0042】
その後、
図4(e)に示すようにレジスト層71を除去する。
【0043】
次に、
図5(f)に示すように電解銅めっきパターン(ビア接続)以下以外の不要なシード層51をエッチングし除去する。
【0044】
次に、
図5(g)に示すように絶縁樹脂である樹脂層11を形成する。樹脂層11に感光性材料を用いる場合は、スピンコート法により形成する。一方、樹脂層11に非感光性材料を用いる場合は、真空ラミネーターなどによって、樹脂をラミネートして形成する。
【0045】
次に、
図5(h)に示すように樹脂層11に電解銅めっきパターン(ビア接続)41P上の樹脂層開口部11aを形成する。
【0046】
次に、
図5(i)に示すようにシード層52を形成する。
【0047】
次に、
図6(j)に示すようにレジスト層73を形成する。
【0048】
次に、
図6(k)に示すようにレジスト層73にレジスト層開口部73a、73b、73cを形成する。
【0049】
次に、
図6(l)に示すように電解銅めっきパターン(ビア接続)41P上のレジスト層開口部73a内に電解銅めっきにより電解銅めっきパターン(ビア)42Vおよび電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Rを、レジスト層開口部73b、73c内に電解銅めっきにより電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Lを形成する。
【0050】
次に、
図7(m)に示すようにレジスト層73を除去する。
【0051】
次に、
図7(n)に示すように保護膜層63を形成する。
【0052】
次に、
図7(o)に示すように電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Rと電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Lを覆い、電解銅めっきパターン下以外のところで、シード層52が露出するように保護膜層63を部分的に除去する。保護層膜63が感光性絶縁樹脂の場合は、露光、現像を行うことで、除去をする。
【0053】
次に、
図8(p)に示すように電解銅めっきパターン下以外のところのシード層52をエッチングし除去する。電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Rと電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Lは、側面と上面が保護層膜63に被覆されているため、エッチングによる電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Rおよび電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Lの細りがなく、かつ、シード層52の側面も保護層膜63に被覆されているため、シード層52のアンダーカットによる電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Rおよび電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Lが剥離する問題を回避することができる。
【0054】
次に、
図8(q)に示すように樹脂層12を形成する。樹脂層12は、配線形成をしないため、微細配線形成性に拘らず、絶縁信頼性に優れた特性の樹脂を選択することで、絶縁信頼性を確保することができる。
【0055】
次に、
図8(r)に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)あるいは切削研磨により電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Rと電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43Lと保護膜層63を露出させる。
【0056】
次に、
図5(g)から
図8(r)の工程を行うことで、樹脂層11、12、13、14、シード層51、52、53、電解銅めっきパターン(ビア)42V、44V、電解銅めっきパターン(ビア接続)41Pと電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43R、45R、電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43L、45L、保護膜層63、65を具備した
図9(s)に示した配線基板を得る。
【0057】
次に、
図5(g)から
図7(m)の工程を行うことで、樹脂層11、12、13、14、15、シード層51、52、53、56、電解銅めっきパターン(ビア)42V、44V46V、電解銅めっきパターン(ビア接続)41P、47Pと電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43R、45R、電解銅めっきパターン(ビア接続配線)43L、45L、保護膜層63、65を具備した
図9(t)に示した配線基板を得る。最外層に電解銅めっきパターン(ビア接続)47Pが表出される。
【0058】
次に、
図10(u)に示すように電解銅めっきパターン(ビア接続)47P下以外のところのシード層56をエッチングし除去する。
【0059】
次に、
図10(v)に示すようにソルダーレジスト層16を形成する。ソルダーレジスト層16は、シード層56と電解銅めっきパターン(ビア接続)47Pからなるはんだ接続用パッドを覆うように、露光、現像により、電解銅めっきパターン(ビア接続)47Pが露出するようにソルダーレジスト層開口部16aを備えるように形成する。本発明の実施形態では、絶縁樹脂として感光性エポキシ樹脂を使用してソルダーレジスト層16を形成する。なお、絶縁樹脂は絶縁樹脂層15と同一材料でもよい。
【0060】
次に、
図11(w)に示すように電解銅めっきパターン(ビア接続)47Pの表面に、酸化防止とはんだバンプの濡れ性をよくするため、表面処理層19を設ける。表面処理層としては、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP(Organic Soiderab
ility Preservative 水溶性プレフラックスによる表面処理)、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどから適宜用途に応じて選択しても良い。更に、表面処理層19に、はんだバンプ20を形成し、支持体・はんだ層付き配線基板(インターポーザ)90を得る。
【0061】
次に
図12(a)に示すように、支持体・はんだ層付き配線基板(インターポーザ)90の端子であるはんだバンプ20の位置に合わせて設計、製造したFC-BGA用配線基板1にフリップチップにより支持体・はんだ層付き配線基板(インターポーザ)90を配置し、
図12(b)に示すように、支持体・はんだ層付き配線基板(インターポーザ)90とFC-BGA用配線基板1を接合後、アンダーフィル2で固め位置を固定する。
【0062】
次に
図13(c)に示すように、支持体5の背面より、すなわち、支持体5のFC-BGA用配線基板1とは逆側の面からレーザ光26を支持体5との界面に形成された剥離層6に照射し、
図13(d)に示すように支持体5を取り外す。
【0063】
次に、剥離層6と配線保護層7とシード層51を除去し、
図14(e)に示すような配線基板(インターポーザ)3がFC-BGA用配線基板1に接続された配線基板100を得る。本発明の実施形態では、剥離層6は機械的に、配線保護層7から引き剥がす。また、配線保護層7は、アクリル系樹脂を用いており、アルカリ系溶剤(1%NaOH、2.3%TMAH)によって除去する。更に、シード層51は、配線保護層7側からチタンと銅を用いており、それぞれアルカリ系のエッチング剤と、酸系のエッチング剤にて溶解除去する。
【0064】
配線基板100において、表面に露出した電解銅めっきパターン上に前記の通り、無電解Ni/Pd/Auめっき、OSP、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどの表面処理を施してもよい。
【0065】
最後に、
図14(f)に示すように、配線基板100に半導体チップ4を接続し、配線基板100と半導体チップ4の間隙にアンダーフィル32を充填することで、本発明にかかる半導体装置1000を作ることができる。
【0066】
上記の通り、本発明に係る実施形態により、保護膜層がシード層をエッチング除去する際の電解銅めっきパターンの細りおよびシード層がサイドエッチングされ生じるアンダーカットを防ぐことで、電解銅めっきパターンの剥離、倒れの発生を抑制し、ライン/スペース(L/S)2μm/2μmレベルの微細配線が形成でき、微細配線形成性に拘らず、絶縁信頼性に優れた特性の樹脂を選択することで、絶縁信頼性を確保することができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態を例示したが、本発明は上記実施形態に限定されたものではなく、本発明の実施形態の技術的思想が逸脱しない限り、配線基板としての用途を考慮し、要求される他の物性である剛性、強度、耐衝撃性などを向上する目的で、他の層や構造を任意に形成できることはいうまでもない。
【実施例】
【0068】
以下、実施例1と比較例1と比較例2を用いて、本発明の配線形成性と絶縁耐性の効果を検証する。また、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0069】
以下実施例で使用した材料の記述において、感光性絶縁樹脂AはJSR製WPR-1052(ネガ型、フェノール系)であり、感光性絶縁樹脂BはJSR製WPR-5107(ポジ型、フェノール系)である。
【0070】
(実施例1)
図3(a)から
図11(w)の手順にて支持体・はんだ層付き配線基板(インターポーザ)90を作製した。配線上の保護膜層は配線形成性に優れた感光性絶縁樹脂Aを用いて、線幅を2.5μmで形成し、十分に配線層を被覆した。樹脂層には、絶縁信頼性に優れた感光性絶縁樹脂Bを用いた。
【0071】
(比較例1)
実施例1に対し、保護膜層を導入せずに、樹脂層は、実施例1と同一材料の絶縁信頼性に優れた感光性絶縁樹脂Bを用いた。
【0072】
(比較例2)
実施例1に対し、保護膜層を導入せずに、樹脂層は、実施例1の保護膜層と同一材料の配線形成性に優れた感光性絶縁樹脂Aを用いた。
【0073】
(評価及び方法)
実施例1、比較例1と2で得られたそれぞれの配線基板を用いて、バイアスHAST(Highly Accelerated stress test)による絶縁信頼性を評価した。線間の絶縁信頼性は、
図11(w)の43L(L/S=2μm/2μm)にて評価し、層間の絶縁信頼性は、
図11(w)の43L/45L間(層間厚2.5μm)にて評価した。
【0074】
バイアスHASTの試験は以下の条件にのっとって実施し、抵抗値が106Ω以上であることを合格の基準とした。
【0075】
<絶縁信頼性評価>
規格:JESD22-A110
・温度:130℃
・湿度:85%RH
・電圧:3.3V
・時間:96時間
上記実施例、比較例1、比較例2のL/S=2μm/2μm配線形成性と絶縁信頼性の結果を表1に示した
【0076】
【0077】
(比較結果)
表1に示す実施例1、比較例1、比較例2結果から、本発明に係る保護膜層の導入と、樹脂層の絶縁信頼性に優れた樹脂の選択により、配線形成性と絶縁信頼性が両立できることが示された。
【符号の説明】
【0078】
1・・・FC-BGA配線用基板
2・・・アンダーフィル
3・・・配線基板(インターポーザ)
4・・・半導体チップ
5・・・支持体
6・・・剥離層
7・・・配線保護層
11、12、13、14、15・・・樹脂層(絶縁層)
11a・・・樹脂層開口部
16・・・ソルダーレジスト層
16a・・・ソルダーレジスト層開口部
19・・・表面処理層
20・・・はんだ層
24・・・金バンプ接合部
26・・・レーザ光
31・・・銅ピラー
32・・・アンダーフィル
41P、47P・・・電解銅めっきパターン(ビア接続)
42V、44V、46V・・・電解銅めっきパターン(ビア)
43R、45R・・・電解銅めっきパターン(ビア接続配線)
43L、45L・・・電解銅めっきパターン(配線)
51、52、53、54、56・・・シード層
63、65・・・保護膜層
71、73・・・レジスト層
71a・・・レジスト層開口部
73a、73b、73c・・・レジスト層開口部
90・・・支持体・はんだ層付き配線基板(インターポーザ)
100・・・配線基板
1000・・・半導体装置