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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/303 20220101AFI20240319BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H04L67/303
H04N1/00 838
H04N1/00 127B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019131592
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2021018443
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】浜野 義丈
(72)【発明者】
【氏名】竹村 友貴
(72)【発明者】
【氏名】品田 晃
(72)【発明者】
【氏名】友金 秀幸
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010417(JP,A)
【文献】特開2003-169187(JP,A)
【文献】特開2008-027235(JP,A)
【文献】特開2016-021120(JP,A)
【文献】特開2015-166944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元シンボルから、通信先となる端末のネットワーク上のアドレスと、自装置が提供する機能のうちの特定の機能を利用する権限の管理に用いられる情報とを読み取る読取手段と、
前記ネットワーク上のアドレスが割り当てられている前記端末に、権限に応じた画面を表示させるための情報を送信する送信手段と
を有し、
特定の機能を利用する権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を物理的に一意に特定する情報である、
情報処理装置。
【請求項2】
通信先となる前記端末又は当該端末を操作するユーザに機能を利用する権限がない場合、前記送信手段は、権限が無いことを示す画面を表示させるための情報を送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
通信先となる前記端末又は当該端末を操作するユーザに機能を利用する権限がある場合、前記送信手段は、権限を有する機能を利用するための画面を表示させるための情報を送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を物理的に特定する情報である、請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を操作するユーザを特定する情報である、請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
通信先となる前記端末を操作するユーザに機能を利用する権限がある場合、前記送信手段は、当該ユーザが当該機能に対して設定している情報を送信する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
自装置が提供する機能は、用紙に画像を形成する機能、原稿を読み取る機能であり、特定の機能とは用紙に画像を形成する機能である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
二次元シンボルから、通信の相手先になる端末のネットワーク上のアドレスと、自装置が提供する機能のうちの特定の機能を利用する権限の管理に用いられる情報とを読み取らせる機能と、
前記ネットワーク上のアドレスが割り当てられている前記端末に、権限に応じた画面を表示させるための情報を送信させる機能と
を実行させるプログラムであり、
特定の機能を利用する権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を物理的に一意に特定する情報である、プログラム
【請求項9】
携帯型の端末に設けられるコンピュータに、
通信の相手先である画像形成装置との接続に使用する二次元シンボルの生成の指示を受け付けた場合、自端末のネットワーク上のアドレスと、通信の相手先である前記画像形成装置が提供する機能のうちの特定の機能を利用する権限の管理に用いている情報として予め定められている情報を含む二次元シンボルを生成させる機能と、
生成された二次元シンボルを自端末の表示手段に表示させる機能と、
を実行させるプログラムであり、
特定の機能を利用する権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を物理的に一意に特定する情報である、プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型の端末に格納されている文書データを、最寄りの印刷装置で印刷したい場合がある。現在、携帯型の端末を印刷装置に接続するための仕組みとして、NFC(=Near Field Communication)が用いられることがある。NFCは、機器同士を近づけることで通信が可能であるが、文書データの送信には適していない。このため、NFCは、印刷装置のIP(=Internet Protocol)アドレスの携帯型の端末への送信に使用されている。IPアドレスを取得した携帯型の端末は、Wi-Fi(登録商標)等を使用して、文書データや印刷の設定を印刷装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-149666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セキュリティに関する関心の高まりに伴い、画像処理装置へのNFCの搭載を望まない顧客や設けられているNFCの機能を無効にする顧客も存在する。
また、IPアドレスの手入力により携帯型の端末を画像処理装置に接続できた場合でも、画像処理装置が提供する機能を利用する権限を有するか否かは、該当する機能を利用する時点にならないと分からない。このため、ユーザは、幾つかの操作を行った後に、該当する機能を利用する権限を有しないことに気づくことがある。この場合、気づくまでに行われたユーザの作業が無駄になる。
【0005】
本発明は、NFCを用いずにネットワーク上のアドレスが未知である機器同士を接続する場合に、接続される側の機器が提供する機能を利用する権限の有無を、機器同士が接続された時点で、接続する側の機器を操作するユーザに知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、二次元シンボルから、通信先となる端末のネットワーク上のアドレスと、自装置が提供する機能のうちの特定の機能を利用する権限の管理に用いられる情報とを読み取る読取手段と、前記ネットワーク上のアドレスが割り当てられている前記端末に、権限に応じた画面を表示させるための情報を送信する送信手段とを有し、特定の機能を利用する権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を物理的に一意に特定する情報である、情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、通信先となる前記端末又は当該端末を操作するユーザに機能を利用する権限がない場合、前記送信手段は、権限が無いことを示す画面を表示させるための情報を送信する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、通信先となる前記端末又は当該端末を操作するユーザに機能を利用する権限がある場合、前記送信手段は、権限を有する機能を利用するための画面を表示させるための情報を送信する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を物理的に特定する情報である、請求項2又は3に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を操作するユーザを特定する情報である、請求項2又は3に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、通信先となる前記端末を操作するユーザに機能を利用する権限がある場合、前記送信手段は、当該ユーザが当該機能に対して設定している情報を送信する、請求項3に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、自装置が提供する機能は、用紙に画像を形成する機能、原稿を読み取る機能であり、特定の機能とは用紙に画像を形成する機能である、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、コンピュータに、二次元シンボルから、通信の相手先になる端末のネットワーク上のアドレスと、自装置が提供する機能のうちの特定の機能を利用する権限の管理に用いられる情報とを読み取らせる機能と、前記ネットワーク上のアドレスが割り当てられている前記端末に、権限に応じた画面を表示させるための情報を送信させる機能とを実行させるプログラムであり、特定の機能を利用する権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を物理的に一意に特定する情報である、プログラムである。
請求項9に記載の発明は、携帯型の端末に設けられるコンピュータに、通信の相手先である画像形成装置との接続に使用する二次元シンボルの生成の指示を受け付けた場合、自端末のネットワーク上のアドレスと、通信の相手先である前記画像形成装置が提供する機能のうちの特定の機能を利用する権限の管理に用いている情報として予め定められている情報を含む二次元シンボルを生成させる機能と、生成された二次元シンボルを自端末の表示手段に表示させる機能と、を実行させるプログラムであり、特定の機能を利用する権限の管理に用いられる前記情報は、前記端末を物理的に一意に特定する情報である、プログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、NFCを用いずにネットワーク上のアドレスが未知である機器同士を接続する場合に、接続される側の機器が提供する機能を利用する権限の有無を、機器同士が接続された時点で、接続する側の機器を操作するユーザに知らせることができる。
請求項2記載の発明によれば、操作が無駄になる前に機能を利用する権限が無いことを知らせることができる。
請求項3記載の発明によれば、機能を利用する権限を有することが分かった状態で操作を行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、端末単位で権限の有無を管理できる。
請求項5記載の発明によれば、1台の端末を複数人で共用する場合でもユーザ単位で権限の有無を管理できる。
請求項6記載の発明によれば、機能を利用する場合の操作の数が削減できる。
請求項7記載の発明によれば、利用する機能の選択を可能にできる。
請求項記載の発明によれば、NFCを用いずにネットワーク上のアドレスが未知である機器同士を接続する場合に、接続される側の機器が提供する機能を利用する権限の有無を、機器同士が接続された時点で、接続する側の機器を操作するユーザに知らせることができる。
請求項記載の発明によれば、NFCを用いずにネットワーク上のアドレスが未知である機器同士を接続する場合に、接続される側の機器が提供する機能を利用する権限の有無を、機器同士が接続された時点で、接続する側の機器を操作するユーザに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1で使用する印刷システムの全体構成の例を概略的に示す図である。
図2】実施の形態1で使用する画像形成装置の構成例を説明する図である。
図3】印刷機能許可リストの一例を示す図である。
図4】実施の形態1で使用する画像形成装置が有する機能のうちスマートフォンとの連携のために用意されている機能の一例を説明する図である。
図5】実施の形態1で使用するスマートフォンの構成例を説明する図である。
図6】スマートフォンが有する機能のうちNFC通信を用いずに自機を画像形成装置に接続する場合に使用される機能の一例を説明する図である。
図7】実施の形態1における処理動作の一例を説明する図である。
図8】接続用のQRコードを画像形成装置で読み取る操作を説明する図である。(A)は接続用アプリの起動によりスマートフォンに表示される画面の例を説明する図であり、(B)は画像形成装置でQRコードを読み取る場合の操作を説明する図である。
図9】画像形成装置の印刷機能を利用する権限が無いスマートフォンに、通信が確立した時点で表示される画面の例を示す図である。
図10】印刷機能を利用する権限を有する場合に、通信が確立した段階で、スマートフォンに表示される画面の例を示す図である。(A)は印刷データの選択画面の例を示す図であり、(B)は印刷設定の画面の例を示す図である。
図11】実施の形態2で使用する画像形成装置の構成例を説明する図である。
図12】印刷機能許可リストの一例を示す図である。
図13】実施の形態2で使用する画像形成装置が有する機能のうちスマートフォンとの連携のために用意されている機能の一例を説明する図である。
図14】実施の形態2で使用するスマートフォンが有する機能のうちNFC通信を用いずに自機を画像形成装置に接続する場合に使用される機能の一例を説明する図である。
図15】実施の形態2における処理動作の一例を説明する図である。
図16】印刷機能を利用する権限を有する場合に、スマートフォンに表示される画面の例を示す図である。(A)は印刷データの選択画面の例を示す図であり、(B)はユーザについて記憶されている印刷設定のデフォルト値を示す画面の例を示す図である。
図17】利用したい権限の選択に使用する画面の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<印刷システム1の全体構成>
図1は、実施の形態1で使用する印刷システム1の全体構成の例を概略的に示す図である。
図1に示す印刷システム1は、ローカルエリアネットワーク10に接続される画像形成装置20と、アクセスポイント30と、スマートフォン40で構成されている。図1の場合、画像形成装置20、アクセスポイント30及びスマートフォン40は1台であるが、それぞれ複数台でもよい。画像形成装置20は、情報処理装置の一例である。
【0010】
図1の場合、ローカルエリアネットワーク10は、有線LAN(=Local Area Network)である。このため、ローカルエリアネットワーク10と画像形成装置20、ローカルエリアネットワーク10とアクセスポイント30は、いずれもLANケーブルで接続されている。なお、アクセスポイント30とスマートフォン40は、無線LANで接続されている。本実施の形態の場合、無線LANには、Wi-Fiを使用する。
図1に示す印刷システム1を構成する画像形成装置20、アクセスポイント30、スマートフォン40のそれぞれには、LAN上の位置を示すIPアドレスが付与されている。IPアドレスは、ネットワーク上のアドレスの一例である。
【0011】
図1に示す画像形成装置20は、用紙に画像を形成する機能に加え、原稿等の画像イメージを読み取る機能やファクシミリ通信を制御する機能も備えている。なお、列記した機能は一例に過ぎず、他の機能を備えることを妨げない。
本実施の形態における画像形成装置20は、NFC通信用のデバイスが設けられていないか、NFC通信用のデバイスの機能の設定が無効である。このため、本実施の形態における画像形成装置20は、NFC通信により、スマートフォン40のIPアドレスを受け取ることができない。
【0012】
アクセスポイント30は、スマートフォン40等の無線端末を収容するとともに、ローカルエリアネットワーク10との通信を中継する基地局である。
スマートフォン40は、ユーザによる持ち運びが可能な携帯型のコンピュータである。本実施の形態におけるスマートフォン40は、画像形成装置20に対して印刷データと印刷の設定情報を送信するコンピュータとして使用される。
なお、本実施の形態では、携帯型のコンピュータの一例としてスマートフォン40を用いるが、タブレット端末、ウェアラブル端末でもよい。
【0013】
<画像形成装置20の構成>
図2は、実施の形態1で使用する画像形成装置20の構成例を説明する図である。
図2に示す画像形成装置20は、システム全体の動作を制御するシステム制御部201と、原稿等の画像イメージを読み取る画像読取部202と、記録媒体の一例である用紙の表面に画像を形成する画像形成部203と、画像データが表す画像に色補正や階調補正等の処理を加える画像処理部204と、画像データ等を記憶する記憶部205と、ユーザによる操作の受け付けや情報の表示に使用される操作及び表示部206と、ファクシミリ通信を制御するファクシミリ制御部207と、ネットワーク通信を制御するネットワーク制御部208と、これらを接続するバス209や不図示の信号線を有している。
【0014】
システム制御部201は、CPU(=Central Processing Unit)と、ファームウェアやBIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)等を有している。システム制御部201は、いわゆるコンピュータであり、プログラムの実行を通じて各種の機能を提供する。
【0015】
画像読取部202は、原稿のコピーやファクシミリ送信に使用する原稿の読み取り等に使用されるデバイスであり、スキャナとも呼ばれる。本実施の形態における画像読取部202には、読み取り位置に原稿を1枚ずつ搬送する機構も取り付けられている。以下、画像読取部202を用いて原稿を読み取る機能をスキャン機能という。
画像形成部203は、電子写真方式やインクジェット方式等により用紙の表面に画像を形成するデバイスである。用紙は、記録媒体の一例である。画像形成部203には、用紙を1枚ずつ搬送する機構も取り付けられている。以下、用紙に画像を形成する機能を印刷機能という。
画像処理部204は、画像データを印刷等に適したデータに処理するための専用のプロセッサや処理回路等で構成される。
【0016】
記憶部205は、書き換えが可能な不揮発性の記憶装置であり、例えばハードディスク装置等が用いられる。記憶部205には、画像読取部202で読み取られた原稿の画像イメージに対応する画像データ、通信により外部から与えられる画像データ、ファクシミリ通信を通じて送信又は受信された画像データ等が保存される。また、記憶部205には、ローカルエリアネットワーク10上での自機の位置を示すIPアドレスも保存されている。
加えて、本実施の形態における記憶部205には、自機が提供する印刷機能を利用する権限を有するスマートフォン40(図1参照)のMACアドレスを記録する印刷機能許可リスト205Aと、印刷機能の設定に関する情報を記憶する印刷設定ファイル205Bも記憶されている。本実施の形態の場合、MACアドレスは、権限の管理に用いられる情報の一例である。
【0017】
図3は、印刷機能許可リスト205Aの一例を示す図である。図3に示す印刷機能許可リスト205Aは、管理用のID211と、MACアドレス212とで構成される。MACアドレス212は、スマートフォン40(図1参照)のハードウェアを一意に特定する物理アドレスである。図3の場合、印刷機能許可リスト205Aには、3台のスマートフォン40が登録されている。例えば番号#1には、印刷機能を利用する権限が有るスマートフォン40を物理的に特定するMACアドレスとして「AA-BB-CC-DD-EE-FF」が登録されている。
なお、印刷設定ファイル205Bには、例えば画像の印刷に使用する用紙のサイズ、カラーモード、両面印刷モード、レイアウト等についての設定が含まれる。
【0018】
図2の説明に戻る。
操作及び表示部206は、操作パネル等に配置されるスイッチやボタン、情報の表示に用いられる液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイ、表示画面に対する作業者の操作を検知するタッチセンサ等で構成される。
ファクシミリ制御部207は、電話網を経由して実行されるファクシミリ通信を制御するデバイスである。以下、ファクシミリ制御部207を通じてファクシミリ文書を送信又は受信する機能をファクシミリ機能という。
ネットワーク制御部208は、ローカルエリアネットワーク10経由の通信を制御するデバイスである。
【0019】
図4は、実施の形態1で使用する画像形成装置20が有する機能のうちスマートフォン40(図1参照)との連携のために用意されている機能の一例を説明する図である。
図4に示す機能は、システム制御部201によるプログラムの実行を通じて実現される。以下では、プログラムの実行を通じて実現される機能を順番に説明する。
スキャン受付部221は、読み取りの対象である物体の表面の情報を光学的に読み取る処理を受け付ける機能部である。換言すると、スキャン受付部221は、いわゆるスキャンボタンの操作を検知する機能部である。スキャン受付部221がスキャンボタンの操作を検知すると、画像読取部202(図2参照)を構成する透明なガラス面に設置された物体表面の情報が光学的に読み取られる。本実施の形態の場合、読み取りの対象である物体の表面として、スマートフォン40(図1参照)の表示面を想定する。本実施の形態の場合、スマートフォン40が生成した接続用のQRコード(登録商標)が読み取りの対象となる。QRコードは、二次元シンボルの一例である。
【0020】
QRコード復号部222は、画像読取部202(図2参照)で読み取られたQRコードを復号化する処理を実行する機能部である。本実施の形態の場合、スマートフォン40に表示されるQRコードには、スマートフォン40のIPアドレスと、スマートフォン40を物理的に一意に特定するMACアドレスとが含まれている。このため、QRコード復号部222の復号出力にはIPアドレスとMACアドレスが含まれる。本実施の形態の場合、IPアドレスは判定結果通知部224に与えられ、MACアドレスは権限判定部223に与えられる。ここでのQRコード復号部222は、二次元シンボルから情報を読み取る読取手段の一例である。
【0021】
権限判定部223は、復号化されたMACアドレスに基づいて、読み取りの対象になったQRコードが表示されていたスマートフォン40に、自機の印刷機能を利用する権限が割り当てられているか否かを判定する機能部である。
本実施の形態の場合、権限判定部223は、読み取ったMACアドレスが印刷機能許可リスト205A(図2参照)に登録されているか否かを判定する。
読み取ったMACアドレスが印刷機能許可リスト205Aに見つかった場合、権限判定部223は、印刷機能を利用する権限が有ることを示す判定の結果を出力する。一方、読み取ったMACアドレスが印刷機能許可リスト205Aに見つからない場合、権限判定部223は、印刷機能を利用する権限が無いことを示す判定の結果を出力する。
【0022】
判定結果通知部224は、権限判定部223から与えられる判定の結果を、ローカルエリアネットワーク10経由でスマートフォン40(図1参照)に通知する機能部である。なお、宛先には、QRコードから読み取られたIPアドレスが使用される。
判定結果通知部224は、自機が提供する印刷機能を利用する権限を通信の相手先となるスマートフォン40が有している場合、その旨を通知の内容に含める。印刷機能を利用する権限を有する旨の通知を受信したスマートフォン40では、印刷機能を利用するための画面が表示される。この意味で、権限を有する旨を含む通知は、印刷機能を利用するための画面を表示させるための情報の一例である。
【0023】
一方、判定結果通知部224は、自機が提供する印刷機能を利用する権限を通信の相手先となるスマートフォン40が有していない場合、その旨を通知の内容に含める。印刷機能を利用する権限を有しない旨の通知を受信したスマートフォン40では、印刷機能を利用する権限を有しないことを示す画面が表示される。この意味で、権限を有しない旨を含む通知は、印刷機能を利用する権限が無いことを示す画面を表示させるための情報の一例である。
ここでの判定結果通知部224は、権限に応じた画面を表示させるための情報を送信する送信手段の一例である。
【0024】
<スマートフォン40の構成>
図5は、実施の形態1で使用するスマートフォン40の構成例を説明する図である。
図5に示すスマートフォン40は、装置全体の動作を制御するシステム制御部401と、各種のデータを記憶するメモリカード402と、アクセスポイント30(図1参照)との接続に用いられるWi-Fiインターフェース403と、4G網等の移動通信網との接続に用いられる4Gインターフェース404と、タップ、ドラッグ、フリック等の操作を検知するタッチセンサ405と、表示画面を表示する表示デバイス406と、これらを接続するバス407や不図示の信号線を有している。
【0025】
システム制御部401は、CPU411と、ファームウェアやBIOS等が記憶されたROM412と、ワークエリアとして用いられるRAM413とを有している。ROM412は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。
本実施の形態におけるメモリカード402は、例えば書き換え可能な不揮発性の半導体メモリであり、NFC通信を利用できない環境下で、自機を画像形成装置20(図1参照)に接続するために使用するQRコードを生成するためのアプリケーションプログラムも記憶する。
表示デバイス406は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。表示デバイス406の表面にタッチセンサ405を配置したモジュールは、タッチパネルと呼ばれる。表示デバイス406は、2次元シンボルが表示される表示手段の一例である。
【0026】
図6は、スマートフォン40が有する機能のうちNFC通信を用いずに自機を画像形成装置20(図1参照)に接続する場合に使用される機能の一例を説明する図である。図6に示す処理は、システム制御部401によるプログラムの実行を通じて実現される。以下では、プログラムの実行を通じて実現される機能を順番に説明する。
接続用アプリ起動検知部421は、自機を画像形成装置20(図1参照)に接続するために使用するアプリケーションプログラム(以下「接続用アプリ」という)の起動を検知する機能部である。ここでの接続用アプリは、自機のIPアドレス等の受け渡しに使用するQRコードの生成用である。接続用アプリの起動は、対応するアイコンのタップ操作の受け付け等により実行される。
【0027】
IPアドレス取得部422は、自機のIPアドレスをメモリカード402(図5参照)等から取得する機能部である。
MACアドレス取得部423は、自機のMACアドレスをWi-Fiインターフェース403(図5参照)の専用メモリ等から取得する機能部である。
QRコード生成部424は、取得された自機のIPアドレスと自機のMACアドレスを含むQRコードを生成する機能部である。
QRコード表示制御部425は、生成されたQRコードを表示デバイス406(図5参照)に表示させる機能部である。
通信制御部426は、ローカルエリアネットワーク10(図1参照)等を経由した通信を制御する機能部である。本実施の形態における通信制御部426は、生成されたQRコードを読み取った画像形成装置20(図1参照)が送信した、印刷機能を利用する権限の有無に関する通知の受信に用いられる。
【0028】
<スマートフォン40と画像形成装置20の通信設定に関する処理動作>
図7は、実施の形態1における処理動作の一例を説明する図である。なお、図中に示す記号のSはステップを意味する。
まず、ユーザは、スマートフォン40に用意されている接続用アプリのアイコンをタップする。対応するアイコンのタップを検知したスマートフォン40は、接続用アプリを起動する(ステップ1)。
次に、スマートフォン40は、起動された接続用アプリを通じ、自機のIPアドレスとMACアドレスを取得する(ステップ2)。
続いて、スマートフォン40は、取得されたIPアドレスとMACアドレスを含むQRコードを生成する(ステップ3)。
【0029】
この後、スマートフォン40は、生成されたQRコードを表示する(ステップ4)。QRコードが表示されると、ユーザは、QRコードが表示されている面を、画像形成装置20の読み取り位置に設置する。
図8は、接続用のQRコード431を画像形成装置20で読み取る操作を説明する図である。(A)は接続用アプリの起動によりスマートフォン40に表示される画面の例を説明する図であり、(B)は画像形成装置20でQRコード431を読み取る場合の操作を説明する図である。
図8の場合、スマートフォン40の表示面には、生成されたQRコード431と、表示を消すために用いるキャンセル用のボタン432が表示されている。図8に示すように、QRコード431の読み取り時には、画像読取部202に設けられている読み取り用のガラス面202Aに、スマートフォン40の表示面が対向するように押し当てられる。
【0030】
図7の説明に戻る。
次に、ユーザは、画像形成装置20のスキャンボタンを操作する。すると、画像形成装置20は、スマートフォン40の表示面に表示されているQRコードを含む画像を読み取る(ステップ5)。
続いて、画像形成装置20は、読み取られた画像に含まれているQRコードを復号する(ステップ6)。復号により、ガラス面202A(図8参照)に設置されたスマートフォン40のIPアドレスとMACアドレスが復号される。
この後、画像形成装置20は、復号されたMACアドレスを用いて印刷機能を利用する権限の有無を判定する(ステップ7)。
続いて、画像形成装置20は、復号されたIPアドレスに対して印刷機能を利用する権限の有無に関する情報を送信する(ステップ8)。
【0031】
ここでの情報は、ローカルエリアネットワーク10(図1参照)経由でユーザが操作するスマートフォン40に通知される。
スマートフォン40は、印刷機能を利用する権限の有無に関する情報を受信すると(ステップ9)、権限が有るか否かを判定する(ステップ10)。
権限が無い場合にはステップ10で否定結果が得られ、権限が有る場合にはステップ10で肯定結果が得られる。
ステップ10で否定結果が得られた場合、スマートフォン40は、表示デバイスにエラー画面を表示する(ステップ11)。
【0032】
図9は、画像形成装置20(図1参照)の印刷機能を利用する権限が無いスマートフォン40(図1参照)に、通信が確立した時点で表示される画面の例を示す図である。換言すると、図9に示す画面は、通信が確立した直後に表示される初期画面の一例である。
図9の場合、スマートフォン40の表示面には、印刷機能を利用する権限が無いことを示すメッセージ433と、表示を消すために用いるキャンセル用のボタン434とが表示されている。図9の場合、メッセージ433の例として「印刷機能を利用する権限がありません」が表されている。
【0033】
図7の説明に戻る。
一方、ステップ10で肯定結果が得られた場合、スマートフォン40は、印刷データの選択画面を表示する(ステップ12)。例えばデータファイルの一覧と印刷の対象を受け付ける画面が表示される。
印刷データが選択されると、スマートフォン40は、印刷機能の設定画面を表示する(ステップ13)。
図10は、画像形成装置の印刷機能を利用する権限を有するスマートフォン40に、通信が確立した時点で表示される画面の例を示す図である。(A)は印刷データの選択画面の例を示す図であり、(B)は印刷設定の画面の例を示す図である。換言すると、図10に示す画面は、通信が確立した直後に表示される初期画面の一例である。
【0034】
図10に示す印刷データの選択画面には、ユーザに求める操作を示すメッセージ441と、選択対象とするデータファイルの一覧442とが表示されている。図10の場合、選択対象とするデータファイルは3つであり、「file001」のチェックボックスにチェックが付けられている。従って、図10の例では、「file001」が印刷の対象として選択されている。この他、選択画面には、現在の選択の状態を確定して印刷設定の画面に移行するためのボタン443と、印刷データの選択を取り止めるためのボタン444とが設けられている。
【0035】
図10に示す印刷設定の画面には、タイトル欄451と、設定項目の一覧452とが表示されている。図10に示す画面の場合、原稿のサイズとしてA4が指定され、カラーモードとしてカラーが指定されている。ここで、原稿のサイズは、プルダウンメニューで表示される複数のサイズの中から選択的に指定される。この他、両面印刷の設定とレイアウトの指定が可能である。図10の場合、両面印刷の設定に「長辺とじ」が指定され、レイアウトには2ページを1枚の用紙にまとめて印刷する「2in1」が指定されている。なお、両面印刷の設定やレイアウトには「しない」を指定することも可能である。
この他、選択画面には、印刷設定を確定するためのボタン453と、印刷設定を取り止めるためのボタン454も設けられている。
【0036】
図7の説明に戻る。
印刷設定の画面でボタン453が操作されて設定の内容が確定すると、スマートフォン40は、ステップ9の通知に含まれていた画像形成装置20のIPアドレスを宛先として、印刷データと設定情報を送信する(ステップ14)。
この後、画像形成装置20は、受信した設定情報に基づいて印刷データの印刷を開始する(ステップ15)。
【0037】
このように、本実施の形態では、NFC通信を使えない環境下でも、スマートフォン40に表示させたQRコードを画像形成装置20で読み取るという簡易な操作により、スマートフォン40と画像形成装置20とが通信可能な状態になる。
また、画像形成装置20の印刷機能を利用する権限が無い場合には、通信の確立と同時にスマートフォン40にエラー画面が表示される。この場合、ユーザは、印刷機能を利用できないことに気づかないまま無駄な操作を行わずに済む。一方、画像形成装置20の印刷機能を利用する権限を有する場合には、通信の確立と同時にスマートフォン40に印刷データを選択するための画面等が表示される。この場合、ユーザは、印刷機能を利用できることを分かった状態で、印刷データを選択する操作等を行うことが可能になる。
【0038】
<実施の形態2>
前述した実施の形態1の場合には、印刷機能を利用する権限の有無をMACアドレスで管理しているが、本実施の形態では、ユーザIDで管理する場合について説明する。
なお、本実施の形態で使用する画像形成装置20及びスマートフォン40のハードウェア上の構成は実施の形態1と同様である。
【0039】
<画像形成装置20の構成>
図11は、実施の形態2で使用する画像形成装置20の構成例を説明する図である。図11には、図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
図11に示す画像形成装置20の場合、記憶部205に記憶されるデータの内容が実施の形態1と異なっている。
本実施の形態の場合、記憶部205には、自機が提供する印刷機能を利用する権限を有するユーザIDを記録する印刷機能許可リスト205Cと、デフォルト印刷設定リスト205Dと、印刷機能の設定に関する情報を記憶する印刷設定ファイル205Eも記憶されている。本実施の形態の場合、ユーザIDは、権限の管理に用いられる情報の一例である。
【0040】
図12は、印刷機能許可リスト205Cの一例を示す図である。図12に示す印刷機能許可リスト205Cは、管理用のID231と、ユーザID232とで構成される。ユーザID232は、画像形成装置20で管理しているユーザを特定する情報である。ユーザを特定する情報には、例えばユーザのアカウント、従業員番号、ユーザの氏名が用いられる。
図12の場合、印刷機能許可リスト205Cには、3名のユーザが登録されている。例えば番号#1には、ユーザIDとして「AAAA1」が登録されている。
【0041】
図11の説明に戻る。
デフォルト印刷設定リスト205Dは、画像形成装置20がユーザ別に管理している印刷設定のデフォルト値である。本実施の形態の場合、デフォルト値には、ユーザが予め設定した印刷設定の内容、ユーザが直前回に使用した印刷設定の内容等が記憶されている。本実施の形態の場合、デフォルト印刷設定リスト205Dは、データ量が少なくなるように符号化された状態で記憶されている。
印刷設定ファイル205Eは、デフォルト印刷設定リスト205Dを復号化した印刷設定の内容、又は、ユーザがスマートフォン40を通じて修正した印刷設定の内容である。
【0042】
図13は、実施の形態2で使用する画像形成装置20が有する機能のうちスマートフォン40(図1参照)との連携のために用意されている機能の一例を説明する図である。図13には、図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図13に示す機能も、システム制御部201によるプログラムの実行を通じて実現される。以下では、プログラムの実行を通じて実現される機能を順番に説明する。
スキャン受付部221は、読み取りの対象である物体の表面の情報を光学的に読み取る処理を受け付ける機能部である。スキャン受付部221は、実施の形態1と同じである。
【0043】
QRコード復号部222Aは、画像読取部202(図11参照)で読み取られたQRコードを復号化する処理を実行する機能部である。本実施の形態の場合、スマートフォン40に表示されるQRコードには、スマートフォン40のIPアドレスと、スマートフォン40を操作するユーザを特定するユーザIDとが含まれている。このため、QRコード復号部222Aの出力にはIPアドレスとユーザIDが含まれる。本実施の形態の場合、IPアドレスは判定結果通知部224Aに与えられ、ユーザIDは権限判定部223Aとデフォルト印刷設定リスト読出部225に与えられる。ここでのQRコード復号部222Aは、読取手段の一例である。
【0044】
権限判定部223Aは、復号化されたユーザIDに基づいて、読み取りの対象になったQRコードが表示されていたスマートフォン40を操作しているユーザに、自機の刷機能を利用する権限が割り当てられているか否かを判定する機能部である。
本実施の形態の場合、権限判定部223Aは、読み取ったユーザIDが印刷機能許可リスト205C(図12参照)に登録されているか否かを判定する。
読み取ったユーザIDが印刷機能許可リスト205Cに見つかった場合、権限判定部223Aは、印刷機能を利用する権限を有することを示す判定の結果を出力する。一方、読み取ったユーザIDが印刷機能許可リスト205Cに見つからない場合、権限判定部223Aは、印刷機能を利用する権限が無いことを示す判定の結果を出力する。
【0045】
デフォルト印刷設定リスト読出部225は、印刷機能を利用する権限が有る場合、ユーザIDに対応付けられているデフォルト印刷設定リスト205D(図11参照)をリスト復号部226に与える機能部である。一方で、印刷機能を利用する権限が無い場合、デフォルト印刷設定リスト読出部225は、ユーザIDに対応するデフォルト印刷設定リスト205Dの読み出しを行わない。
リスト復号部226は、与えられたデフォルト印刷設定リスト205Dを復号化する機能部である。復号化された印刷設定のデフォルト値は、判定結果通知部224Aに与えられる。
【0046】
判定結果通知部224Aは、権限判定部223Aによる判定の結果を示す情報を、QRコードから読み取られたIPアドレスを宛先としてローカルエリアネットワーク10経由で通知する機能部である。
本実施の形態における判定結果通知部224Aは、自機が提供する印刷機能を利用する権限を、通信先のスマートフォン40を操作しているユーザが有している場合、その旨と、ユーザに関連付けられている印刷設定のデフォルト値を通知の内容に含める。
【0047】
一方、判定結果通知部224Aは、自機が提供する印刷機能を利用する権限を、通信先のスマートフォン40を操作しているユーザが有していない場合、その旨を通知の内容に含める。この通知には、印刷設定のデフォルト値は含まれない。
ここでの判定結果通知部224Aも、権限に応じた画面を表示させるための情報を送信する送信手段の一例である。
【0048】
<スマートフォン40の構成>
本実施の形態で使用するスマートフォン40のハードウェア上の構成は実施の形態1と共通である。
図14は、実施の形態2で使用するスマートフォン40が有する機能のうちNFC通信を用いずに自機を画像形成装置20(図1参照)に接続する場合に使用される機能の一例を説明する図である。図14には、図6との対応部分に対応する符号を付して示している。 図14に示す機能も、システム制御部401によるプログラムの実行を通じて実現される。以下では、プログラムの実行を通じて実現される機能を順番に説明する。
【0049】
本実施の形態におけるスマートフォン40では、MACアドレス取得部423(図6参照)に代えてユーザID取得部423Aが使用される点と、QRコード生成部424(図6参照)に代えてQRコード生成部424Aが使用される点で実施の形態1と相違する。
ユーザID取得部423Aは、例えば自機を操作しているユーザのアカウント等を、ユーザIDとして取得する機能部である。ユーザID取得部423Aは、ユーザのアカウント等をメモリカード402(図5参照)等から取得する機能部である。
QRコード生成部424Aは、取得された自機のIPアドレスとユーザIDを含むQRコードを生成する機能部である。
【0050】
<スマートフォン40と画像形成装置20の通信設定に関する処理動作>
図15は、実施の形態2における処理動作の一例を説明する図である。なお、図中に示す記号のSはステップを意味する。図15には、図7との対応部分に対応する符号を付して示している。
まず、ユーザは、スマートフォン40に用意されている接続用アプリのアイコンをタップする。対応するアイコンのタップを検知したスマートフォン40は、接続用アプリを起動する(ステップ1)。
【0051】
次に、スマートフォン40は、起動された接続用アプリを通じ、自機のIPアドレスとユーザIDを取得する(ステップ21)。
続いて、スマートフォン40は、取得されたIPアドレスとユーザIDを含むQRコードを生成する(ステップ22)。
この後、スマートフォン40は、生成されたQRコードを表示する(ステップ4)。QRコードが表示されると、ユーザは、QRコードが表示されている面を、画像形成装置20の読み取り位置に設置する。
【0052】
次に、ユーザは、画像形成装置20のスキャンボタンを操作する。すると、画像形成装置20は、スマートフォン40の表示面に表示されているQRコードを含む画像を読み取る(ステップ5)。
続いて、画像形成装置20は、読み取られた画像に含まれているQRコードを復号する(ステップ6)。復号により、画像読取部202(図2参照)で表示面を読み取ったスマートフォン40のIPアドレスとユーザIDが復号される。
この後、画像形成装置20は、復号されたユーザIDを用いて印刷機能を利用する権限の有無を判定する(ステップ23)。
【0053】
権限を有する場合、画像形成装置20は、復号されたユーザIDに対応するデフォルト印刷設定を復号する(ステップ24)。権限が無い場合、ステップ24はスキップされる。
この後、画像形成装置20は、復号されたIPアドレスに対して印刷機能を利用する権限の有無に関する情報を送信する(ステップ25)。なお、印刷機能を利用する権限を有する場合、画像形成装置20は、ユーザIDに対応する印刷設定のデフォルトも送信する。
ここでの情報は、ローカルエリアネットワーク10(図1参照)経由でユーザが操作するスマートフォン40に通知される。
【0054】
スマートフォン40は、印刷機能を利用する権限の有無に関する情報を受信すると(ステップ9)、権限が有るか否かを判定する(ステップ10)。
権限が無い場合にはステップ10で否定結果が得られ、権限が有る場合にはステップ10で肯定結果が得られる。
ステップ10で否定結果が得られた場合、スマートフォン40は、表示デバイスにエラー画面を表示する(ステップ11)。
一方、ステップ10で肯定結果が得られた場合、スマートフォン40は、印刷データの選択画面を表示する(ステップ12)。例えば一覧表示されているデータファイルの中から印刷の対象とするデータファイルの選択を受け付ける画面が表示される。
印刷データが選択されると、スマートフォン40は、デフォルト印刷設定を表示する(ステップ26)。
【0055】
図16は、印刷機能を利用する権限を有する場合に、スマートフォン40(図1参照)に表示される画面の例を示す図である。(A)は印刷データの選択画面の例を示す図であり、(B)はユーザについて記憶されている印刷設定のデフォルト値を示す画面の例を示す図である。
図16に示す印刷データの選択画面の内容は、実施の形態1の場合と同じである。
印刷データの選択画面においてボタン443が操作されると、スマートフォン40の表示は、デフォルト印刷設定の画面に切り替わる。
図16に示すデフォルト印刷設定の表示画面の場合、タイトル欄461と、設定項目の一覧462とが表示されている。図16の場合、カラーモードは白黒である。デフォルト印刷設定の画面は、ユーザの確認用に表示される。このため、表示されている設定に変更が無い場合、ユーザは、ボタン463を操作する。もっとも、デフォルト印刷設定の画面の一部の設定を変更した場合には、特定の項目について内容の変更も可能である。なお、印刷データを選択する画面に戻る場合には、ボタン464が操作される。
【0056】
図15の説明に戻る。
デフォルト印刷設定の画面でボタン463が操作されて設定の内容が確定すると、スマートフォン40は、印刷機能を利用する権限の有無の通知に含まれていた画像形成装置20のIPアドレスを宛先として、印刷データを送信する(ステップ27)。
本実施の形態の場合、印刷設定のデフォルト値は、画像形成装置20に記憶されているので、印刷設定に変更が無い場合、スマートフォン40は、印刷データだけを画像形成装置20に送信する。もっとも、ユーザがデフォルト印刷設定の一部を変更した後にボタン463を操作した場合、スマートフォン40は、実施の形態1と同様に、印刷データと設定情報とを画像形成装置20に送信する。
【0057】
印刷データを受信した画像形成装置20は、記憶部205(図11参照)に内蔵されているデフォルト印刷設定に基づいて印刷データの印刷を開始する(ステップ28)。
なお、スマートフォン40でデフォルト印刷設定に修正が加えられている場合、画像形成装置20は、受信した設定情報に基づいて、印刷データの印刷を開始する。
このように、NFC通信を使えない環境下でも、スマートフォン40に表示させたQRコードを画像形成装置20で読み取るという簡易な操作により、スマートフォン40と画像形成装置20とが通信可能な状態になる。
この場合も、画像形成装置20に接続されたスマートフォン40を操作するユーザに印刷機能を利用する権限が無い場合には、印刷設定の前にエラー画面が表示される。このため、ユーザの操作が無駄にならずに済む。また、本実施の形態では、1台のスマートフォンを複数人で使用する場合にも、ユーザ単位で利用の権限を管理することが可能になる。
【0058】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
例えば前述の実施の形態の場合には、スマートフォン40(図1参照)を通じて画像形成装置20(図1参照)の印刷機能を利用しているが、利用する機能は印刷機能に限らない。例えばスキャン機能やファクシミリ機能を利用したい場合にも、前述した実施の形態の技術の活用が可能である。例えばQRコードの生成前に、利用したい機能を選択する画面を表示させ、当該画面で選択された機能について権限の有無の通知を受け付けられるようにしてもよい。
図17は、利用したい権限の選択に使用する画面の一例を説明する図である。図17に示す画面には、ユーザに求める操作の内容を示すメッセージ471と、利用を希望する機能の一覧472と、機能の選択を確定するためのボタン473と、機能の選択を取り止めるためのボタン474とが含まれている。
【0060】
例えばファクシミリ機能を利用する権限がある場合、画像形成装置20との接続後に、ファクシミリ文書の送信サービスを利用するか、受信されたファクシミリ文書の閲覧サービスを利用するかを選択するための画面が表示される。
送信サービスを選択した場合には、送信する文書データを選択する画面の表示に続いて、宛先の名称、宛先の番号等を設定するための画面が表示される。一方、閲覧サービスを選択した場合には、閲覧するファクシミリ文書を指定するための画面等が表示される。
また、スキャン機能を利用する権限がある場合、画像形成装置20との接続後に、スキャンの解像度、カラーモード、保存で用いるファイル形式、保存先等を設定するための画面が表示される。
【0061】
前述の実施の形態の場合には、画像形成装置20(図1参照)とスマートフォン40(図1参照)との接続にローカルエリアネットワーク10を使用しているが、Wi-Fiダイレクトを使用してもよい。なお、Wi-Fiダイレクトのアクセスポイントとして機能が画像形成装置20に設けられていることが前提である。Wi-Fiダイレクトによる接続では、スマートフォン40と画像形成装置20とを直接接続できるので通信の安全性を高めることが可能である。
【0062】
前述の実施の形態においては、スマートフォン40を接続する機器として画像形成装置20を例示したが、接続の対象とする機器は、画像読取部202(図2参照)を有するネットワーク機器であればよい。例えば画像の読み取り機能に特化したスキャナでもよい。なお、画像読取部202は、IPアドレスの交換用にネットワーク機器に対して外付けされてもよい。
また、前述の実施の形態においては、画像形成装置20の機能を利用するために接続される携帯型の電子機器の一例としてスマートフォン40(図1参照)を例示したが、QRコード等の二次元シンボルを生成する機能と、生成された二次元シンボルを表示する機能を有していればスマートフォン40に限定されない。もっとも、生成された二次元シンボルの表示に使用される表示デバイスは、外付けされた又は無線接続された他の機器に設けられている表示デバイスでもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…印刷システム、10…ローカルエリアネットワーク、20…画像形成装置、30…アクセスポイント、40…スマートフォン、205A、205C…印刷機能許可リスト、205B、205E…印刷設定ファイル、205D…デフォルト印刷設定リスト、221…スキャン受付部、222、222A…QRコード復号部、223、223A…権限判定部、224、224A…判定結果通知部、225…デフォルト印刷設定リスト読出部、226…リスト復号部、421…接続用アプリ起動検知部、422…IPアドレス取得部、423…MACアドレス取得部、424…QRコード生成部、425…QRコード表示制御部、426…通信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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